説明

気泡の形成を低減させながらガラス溶融物からガラスを製造するための方法および装置

【課題】交流電流を溶融物の加熱に使用するガラスの製造中に気泡の形成を低減させるか少なくとも防止する方法並びに装置を提供する。
【解決手段】ガラス溶融物FSを交流電流により加熱するために前記ガラス溶融物FS中に伸長する電極を使用し、前記ガラス溶融物FS中に直流電流が生じ、前記直流電流が前記ガラス溶融物FS中の気泡の形成の臨界となるしきい値を超過する電流密度を有するような低含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物FSを使用し、気泡の形成を低減または防止するため、加熱用交流電流の動作周波数を最小周波数に調整し、それにより、生じている電流密度が臨界しきい値より下に留まる、製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの製造中に気泡の形成を低減させるか少なくとも防止することにより、ガラス溶融物からガラスを製造するための方法並びに装置および/または配置に関する。本発明は、特に、溶融タンクまたは溶融炉、供給チャネル、るつぼおよび/または攪拌ロッド等の、交流電流により加熱したガラス溶融物を供給される少なくとも1の製造ユニットを運転する方法に関する。それに加えて、本発明は、前記ガラス溶融物中の気泡の形成を低減または防止するため、ガラス溶融物中の電流密度を決定するための測定配置(measuring arrangement)または測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製造プロセスにおいては、ガラス溶融物は、溶融または精製に特に用いられる攪拌ロッドまたは他の部材と共にタンク、るつぼまたは他の容器等の製造ユニットと共に処理されるが、製造ユニットはしばしば電流が直接印加される金属部材(金属被覆、金属部品)を備えている。これを通して電流が気泡形成を引き起こし、特に二次気泡と呼ばれる気泡形成が生じる場合がある。
【0003】
DE10244040C1公報は、そのような気泡形成に簡単に言及している。これによれば、望ましくない気泡形成は、例えば白金などで被覆された溶融タンクまたは精製タンク中で生じ、気泡形成は、各金属(例えば、Pt、Ir、W、Moなど)の導電性または高熱伝導性のゆえに引き起こされる可能性がある。例えば、水分含量の増加が精製プロセスおよび残留ガスの再吸収後に金属壁または内部金属管で生じ得る。金属表面では、水は分解しその元素に分割され、水素は金属を通して外部に拡散する。
【0004】
一方で酸素はガラス溶融物中に残り、金属から離れ、いわゆる二次気泡として発生するか現れるOガスの気泡を形成する。
【0005】
文献EP1101740B1では、ガラス溶融物と貴金属からなる部材(component)または製造ユニットとの接触面における酸素の気泡の形成を(電流なしに)減少させる方法を記載している。そこでは、その部材は少なくとも1の電極に導通するように接続されなければならず、電極は前記ガラス溶融物中の成分からは離隔しており、ここで、前記電極と前記構成要素または製造ユニットの間には、電流が流れるようにポテンシャル勾配を発生させることが提案されている。例えば、ポテンシャル勾配が、部材または製造ユニットが陰極に接続されることおよび電極がDC電源の陽極に接続されることにより生じる。
【0006】
上記のタイプのさらなる方法および装置が、例えばDE102006003534A1、DE10304973A1またはDE102004015577A1に記載されているが、しかし、電流に関連する気泡の形成の問題について詳細に議論していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第10244040号明細書
【特許文献2】欧州特許第1101740号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102006003534号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10304973号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102004015577号明細書
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、電流に関連するガラスの気泡形成に効果的に対処し得る方法および装置または配置を提供することである。
【0009】
その目的は、独立した請求項に記載の方法および装置または配置によって解決される。
【0010】
したがって、ガラス溶融物が供給される少なくとも1の製造ユニットを運転することによるガラスの製造に使用される方法であって、前記ガラス溶融物中に伸長する電極が交流電流によりガラス溶融物を加熱するために使用される方法が提案される。このプロセスでは、前記ガラス溶融物中に直流電流が生じ、前記直流電流が前記ガラス溶融物中の気泡の形成に臨界となるしきい値を超過する電流密度を有し、前記気泡の形成を低減または防止するために、加熱用交流電流の動作周波数を最小周波数に調整し、それにより発生する電流密度を臨界しきい値より下に留めるように、低含有量のレドックス緩衝剤(Redox buffer)を含むガラス溶融物を使用する。
【0011】
したがって、交流電流が供給される電極によって加熱されるガラス溶融物中の気泡形成は、請求項1に記載の特徴を含む方法によって防止される。そのために、発明者らは、もしガラス溶融物が5000ppm未満の含有量のレドックス緩衝剤を含んでいれば、ガラス溶融物中に気泡の形成にとって臨界となるしきい値を超える密度の直流電流が発生するかどうかについて検査が必要となる、電流の関連する気泡が非常に容易に形成されることを見出した。そのため、発明者らは、気泡の形成は交流電流の使用ではなくガラス溶融物中の整流効果により、特に金属接触面で生じる直流電流の結果であることをも見出した。したがって、例えば対策として、ガラス溶融物と接触している電極に直流電圧、気泡を生じる直流電流を相殺する補償直流電流を発生させる直流電圧を印加することが提案される。
【0012】
さらに、発明者は、気泡の形成は電流密度が所定のしきい値(臨界電流密度)を超えるときにのみ生じることを見出したが、ここで、しきい値は異なるパラメータ、特に交流電流の周波数にも依存する可能性がある。そこで、さらなる選択的なまたは追加的な手段として、加熱用の交流電流の動作周波数を100Hzを超える値まで増加させることが提案される。発生する電流密度をほぼ臨界値より下に留める効果をもたらす。
本発明により、少なくとも二次気泡の発生は非常に効果的に、検出、防止または低減することができ、その際の気泡には、例えばO、SO、NまたはCOの気泡があり得る。気泡は低濃度の酸化物清澄剤(5000ppm未満)または非酸化物清澄剤(硫酸塩、塩化物など)を含むガラス中で生じやすい。周波数を減少する間、電流に関連するかまたは電流が原因の二次気泡の形成が増加するリスクを考慮に入れなければならない。
【0013】
本発明は、特に以下の特徴の組み合わせで特徴づけられる:
−ガラス溶融物を交流電流により加熱するためにガラス溶融物中に伸長する電極;
−ガラス溶融物中の気泡の形成の臨界となるしきい値を超える電流密度でガラス溶融物中に直流電流が生じるように、ガラス溶融物が低含有量でレドックス緩衝剤を有する。
−ガラスの気泡形成を低減するために、加熱用交流電流の動作周波数を最小周波数に適合させ、これにより、発生する電流密度を臨界しきい値より下に留める。
【0014】
ここで提案される方法に一致させて、ガラス溶融物が供給される少なくとも1の製造ユニットによってガラスを製造するための装置が提案され、その装置は前記ガラス溶融物中に伸張しガラス溶融物を交流電流により加熱する電極を備える。そのために、少なくとも1の製造ユニットには、ガラス溶融物中に直流電流が生じ、直流電流はガラス溶融物中の気泡の形成にとって臨界となるしきい値を超過する密度を有し、前記装置は気泡の形成を低減するために最小周波数に調整された動作周波数を有する加熱用交流電流が供給される電極を有し、これにより、発生する電流密度を臨界しきい値の下に留めるように、低含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物が供給される。
【0015】
さらに、少なくとも1の製造ユニットの動作中に気泡の形成を低減または防止するためのモニター方法が提供され、前記ユニットはガラス溶融物が供給され、交流電流により前記ガラス溶融物を加熱するためにガラス溶融物中に電極が伸張している。ガラス溶融物が5000ppm未満の含有量のレドックス緩衝剤と共に使用される場合には、密度が前記気泡の形成にとっての臨界しきい値を超過するような、直流電流密度が前記ガラス溶融物中に発生しているかどうかについて検査する。
【0016】
これに一致させて、少なくとも1の製造ユニットの運転中に気泡の形成を低減または防止するためのモニター装置が提案され、前記装置はガラス溶融物を供給され、前記製造ユニットは、ガラス溶融物を交流電流により加熱しガラス溶融物中に伸長する電極を備える。5000ppm未満の含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物が使用される場合には、前記装置は前記ガラス溶融物中に直流電流が発生しているかどうかおよび前記電流が前記気泡の形成に臨界となる所定のしきい値を超過する電流密度を有しているかどうかについて検査を実施する。
【0017】
最終的に、前記ガラス溶融物の気泡の形成を低減または防止するため、ガラス溶融物中の電流密度を決定するための測定配置または測定装置が共に提案され、前記装置は交流電流により前記ガラス溶融物を加熱するために前記ガラス溶融物中に伸長する電極を備え、測定配置は前記ガラス溶融物中またはその試料中に伸長する電極を含み、さらに交流電圧を発生する電源を含み、直流電流を測定する測定回路を形成するために、電源の第一極は前記電極に接続され、第二極は少なくとも1の製造ユニットの金属部材、特に容器に接続される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は特許請求の範囲の従属項の結果である。以下では、添付の図面を参照しながら、本発明は実施形態により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、適当な製造ユニットを用いてガラスを製造するためのシステムまたは設備の概略構成を示す。
【図2】図2は、フローチャートを用いて本発明の方法を説明している。
【図3】図3は、本発明による測定配置の構成の概略図を示す;
【図4】図4は、電極または金属容器における酸素含有量の分圧など、異なる測定結果を曲線または波形で示す。
【図5】図5は、本発明が適用されるPtの管状部分を示す;および
【図6】図6は、本発明が適用されるるつぼを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1はガラスを製造するための設備を示し、これは特に以下の製造ユニットを備える:
ガラス溶融物FSが供給され、第一セクションまたは領域(左側、溶融領域)および第二領域(右側、精製領域)を有する溶融タンクW。溶融タンクSWの内壁は、例えば白金で被覆されている。同様に内面が白金で被覆され、それを通して精製されたガラス溶融物FSがるつぼRTに供給される供給チャネルSRがそれに付随する。このるつぼは金属で被覆された攪拌ロッドRSを備える。これらの製造ユニットは電流を印加することができ、それにより熱的な気泡の形成に加えて電流に関連する気泡の形成も生じ得る。
【0021】
発明者は以下の推論を始点としている:電極は溶融タンクまたは精製タンクのガラス溶融物中に挿入されまたは浸漬され、電極は金属(Mo、W、Pt、Pt合金、SnOなど)で形成されている。そこでこれら電極間に電圧(交流電圧)が印加され、溶融状態のガラスは静かで良好な導電性を有しているため、印加により電流(加熱用電流)は電解質であるガラスを通って流れる。
【0022】
供給チャネルまたはるつぼの電気的な加熱については、二つの可能性がある:もし供給チャネルまたはるつぼが非導電性材料で形成されていれば、電極が用いられる。もし供給チャネルまたはるつぼがPtまたはPt合金などの導電性材料で形成されていれば、これらの導電性材料はフランジを通して直接電流が印加される。
【0023】
通常金属部材が交流電流を印加される場合には全て、一般的に50Hz(回線周波数)の周波数が用いられる。導電性材料とガラスとの境界面で電流がガラスに入るとき、電流に誘発される二次気泡形成が起きる可能性がある。
【0024】
発明者は、二次気泡形成をもたらす境界条件は、特に以下のパラメータに依存することを見出した:
・導電性材料の種類。この点で、特にPt、Pt合金、Irおよび他の貴金属は決定的である。Mo、W、SnOは通常臨界電流密度がより高い。
・電流の周波数。より高い周波数は臨界電流密度がより高い。
・ガラスの基本組成。
・ガラス中のドーピング。溶融物が、例えば以下の元素の酸化物(Sn、As、SB、Bi、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Eu、Ce)を含む場合は、臨界電流密度はそのようなドーピングのないガラスの密度を超える。
【0025】
特定のガラスが溶融しているとき(少なくとも電流によって加熱される製造設備中で)、通常以下のような場合が生じる:
ユニットまたは集合体(aggregate)中でしばらくの間ガラスが既に溶けた状態であり、かつ、例えば50Hzの低周波数を使用しても二次気泡が存在しない限りは、本発明は適用する必要はない。このことは、前記元素の酸化物などの適当な清澄剤をガラスが使用している場合、および、設備が、その特定のガラスの臨界電流密度が発生しないか、発生しづらいように構成されるか、設計されている場合にも、同様に真実である。
【0026】
しかしながら、本発明は、以下のような点を考慮しなければならない場合には、適用すべきである:
−制御方法や条件が変更され、現状がもはや許容されなくなった場合に、ガラスに添加する具体的なドーピングを変える必要が生じている。
−制御条件(process window)またはパラメータが未知の新しい組成を溶融させなければならない。
−新たな要求に応えるため、現状のタンクをある程度まで変更する必要がある。
【0027】
そのような場合に、電流に関連する二次気泡の形成を防止するのに合致する、変更したまたは未知の制御条件/パラメータがある。
【0028】
特に本発明は、上記の元素の酸化物の添加剤(清澄剤)をほとんど含まないかまたは非酸化物清澄剤(硫酸塩、塩化物、臭化物など)を含む、そのようなガラスまたはガラス溶融物に適用し得る。なぜならば、これらのガラスでは、制御条件またはパラメータは通常非常に小さいものではないので、二次気泡の形成を防止するために対策が取られなければならない。
【0029】
発明者は、二次気泡は基本的に直流電流によって引き起こされることを見出した。交流電流(加熱用の電力を供給するための)は、それ自体は気泡形成を引き起こすことはない。直流電流は交流電流の整流の結果生じ、その際、整流効果の程度または度合いは、いくつかの因子、特に交流電流の周波数に依存する。以下が理解されている:より高い周波数は、整流効果がより小さい。このことは、高い周波数が、気泡の形成にとって特徴的な臨界電流密度を増加させることを間違いなく意味している。
【0030】
このような気泡の形成を防止するために、以下の工程が実施される。これを説明するために、方法100の工程を示した図2を参照する。さらに、以下の説明を例示するために他の図面を参照する。
【0031】
基本的な条件を開始点とするが、その条件は、組成に関連する所定の仕様の基礎に従ってガラスが決定されるものである。このことは、レドックス緩衝剤を表わす清澄剤の量についても同様である。この種類のガラスは所定の電気エネルギーを供給する製造ユニット中で溶融されなければならない。
【0032】
工程110において、制御条件またはパラメータが決定されるが、このことは、重要な材料パラメータが決定されることを意味する。これは、例えば研究室に備え付けられる測定配置(measuring arrangement)MA(図3参照)中で既知の組成を有するガラスに適用され、ここで、制御条件またはパラメータは特に温度および周波数に依存する電流密度によって定義され、特に決定される。さらに、交流電流のDC電流への整流の程度も決定される。さらに、詳細は図3を参照して以下に説明する。
【0033】
工程120において、製造ユニットが構成され、ここで、その構成(configuration)は、シミュレーションによっても実施され得る。そのために、システム特有のパラメータは予め導出された材料特有のパラメータを基礎として決定され(工程110参照)、特に、加熱用交流電流の動作周波数の基準値(nominal value)が決定される。パラメータは、例えば加熱エネルギーの再分配および/または部材の変化(配置/寸法)を参照することができる。その際、特にその立体的な配置に関して金属部材の変化および/または臨界電流密度を防止するために使用する材料を参照することができる。しかしながら、シミュレーションが製造ユニット中の予想される電流密度(温度および周波数に依存する)が実験室で決定された各臨界電流密度より下に維持されることを示す限り、特に対策を取る必要はない。ガラスが溶融する場合には、臨界値を超えたことを検出し対策をスタートさせるために、運転中の製造プロセスにおいて、電流密度を後にモニターすることが必要なだけである。
【0034】
後の工程130では、運転中の製造プロセスにおいて、モニターが実施される。そのために、金属部材の電流密度が製造ユニットおよびガラスの特徴(例えば導電率)とは独立に決定される。これらのパラメータは実験室でのパラメータと比較される。
【0035】
もし運転中のプロセスにおいて臨界電流密度を超過すれば、例えば要求される電気的エネルギーの再分配に関するなどの対策をスタートさせる。もしそれが不可能であれば、金属部材(形状および/または材料)の変化が臨界電流密度を防止するための緩和を生じさせてもよい。もし、これらの対策が機能せず、またはそれらを取るべきでない場合には、以下の方法を取ることが考えられ、これらの対策も代わりに適用し得る:
−加熱に使用する交流電流の電流密度が高すぎる場合には、交流電流の周波数を増加させなければならない。
−加熱用電流の周波数の増加が十分でないか、高いレベルに調整できない場合には、適当な逆電圧(直流電圧)を、臨界直流電流密度を超過することの影響を止めるために印加する。これらの対策は、上記の対策に加えて適用し得る。
【0036】
少なくとも1の製造ユニットには、低すぎる周波数の交流電流を供給してはならないことが分かっている。そのため、最小周波数は100Hz未満であってはならない。可能であれば、周波数は1000Hz以上であるべきである。5000Hz以上の周波数はよい結果を与える。
【0037】
図3によって、本発明の測定配置MAの構造を以下に説明するが、この配置は臨界電流密度を決定するための測定の実施に用いられる。測定配置MAは、ガラス溶融物の試料FSが供給されるるつぼTGのテストセットアップの近くに設置される。るつぼTGは内側が例えば白金などの金属で被覆され、したがってガラス溶融物中に挿入される、低い端部がディスクを有する電極ESの対極となる。
【0038】
測定配置MAは、電極ESと対極となるるつぼTGの金属内壁との間に電圧を印加するために適当な周波数を有する交流電流を発生する双極型電源LEまたは電源ユニットを含む。そのため、電源ユニットLEの第一極は電極ESに接続し、第二極は測定分路(measurement shunt)Rまたは測定抵抗Rを介してるつぼTGの金属壁に接続する。
【0039】
給電ラインまたは測定分路Rにおける電流測定によって、DC成分IDCと共にAC成分IACが決定され得る。DC成分IDCから、気泡形成の原因となる、求める電流密度が導出される。
【0040】
それに取り付けられている電極EまたはディスクESは回転することが分かる。したがって、測定配置MAは、ギアボックスを有する電気的モーターMによって実現し得るアクチュエーターまたはモーターを含む。
【0041】
電極ディスクESにおける気泡の発生は、肉眼で近接して観察することによっては容易に検出できない可能性がある。それゆえに、電極ESは通常ガラス溶融物から取り除かれ、その後測定用のテストセットアップは再度設置され、定常状態に移行させる必要がある。
【0042】
測定によって気泡の発生を検出するため、かつ、より容易に検出するためには、測定配置MAはさらに以下の要素を含む:
ガラス溶融物FS’中には、この例では温度センサーTSとして使用する参照電極TSも配置される。参照電極または例えばZrOで被覆されるプローブには、2の測定装置EMKおよびEMK*のコネクターまたは端子が接続される。第一測定装置EMKの一方の端子はるつぼTGに接続され、これは対極を表わす。第二測定装置EMK*の別の端子は、回転電極ESおよびそのディスクに接続する。
【0043】
第二測定装置EMK*によって、気泡形成の指標である、電極Eに存在する酸素の分圧量(図4中pO*参照)から導出される起電力(EMF)を測定することができる。第一測定装置EMKは、対極となる、るつぼTGに対する起電力(EMF)を測定し、したがってそこに存在する分圧を示す(図4中pO参照)。
【0044】
本発明は以下の実現により優位点がある:
ガラス中の電流に関連する二次気泡の形成を引き起こす可能性のある臨界電流密度(白金における)の典型的な値は、DC電流について例えば5〜500μA/cmである。50Hzの交流電流により加熱が行われる場合には、電流密度はかなり高くなる(例えば5〜500μA/cm)。これは、加熱するために、100〜5000アンペアの範囲もしくはそれ以上の加熱用電流(交流電流)を使用するためである。金属部材の幾何学的配置(geometry)によっては、電流密度はμAの範囲で非常に急速である。さらに、整流効果は、金属部材の表面での化学反応をもたらす。このことは、交流電流の一部が最終的に二次気泡の形成の原因となるDC電流に移行するか変換されることを意味する。
【0045】
電流が流れる理由は、金属部材に与えられる最終的な電気的ポテンシャルである。したがって、異なるタイプの気泡の形成が、金属部材における特定のポテンシャルに伴い得る。例えば、O気泡の形成が正の電気的ポテンシャルに伴うか関連して生じ得る。一方で例えば負のポテンシャルに典型的に関連するSO気泡が形成され得る。このことは、DC電流の場合には、アノード(陽極)にO気泡が発生し、かつカソード(陰極)にSO気泡が発生することを意味する。交流電流が流れる場合には、正の半波の間はOが発生し、負の半波の間はSOが発生する。
【0046】
実験の過程で、低濃度(<5000ppm)の酸化物清澄剤を含むか、または、非酸化物清澄剤(硫酸塩、塩化物など)を含むガラスにおける臨界電流密度は非常に低いことが分かった。ここで提案された測定装置または配置によって、これらのガラス中の金属部材における整流効果がどの程度大きいか定量することができる。
【0047】
電流に誘起される二次気泡を低減するため、高周波数の交流電流をできるだけ使用すべきであることが分かった。金属部材の種類(材料の種類、部材の形状)によって、そのような高周波数の交流電流の適用が十分ではない場合が生じ得る。この場合特に上記のガラスにおいては、整流によって流れる直流電流を相殺するために、追加の対策が取られるべきである。
【0048】
ここで提案する多段工程のプロセス(図2参照)中では、最初に、適当な実験室内の方法によって、周波数への依存性における、かつ、各ガラスに関連する、臨界電流密度が決定される。
【0049】
そのために使用される測定セットアップ(図3参照)は、いくつかの目的を達成する:
−第一に、臨界電流密度が測定される(図2中工程110参照)。そのために、印加する交流電流が測定され(電流クランプによって)、同時に分路を介して整流により交流電流から発生するDC電流が測定される。したがって、高交流電流と低DC電流の同時測定が達成される。
【0050】
−回転電極または電極ディスクが使用され、これは(製造ユニット中のものに類似する)シミュレーションのガラス流を可能にする。なぜならば、ガラス流は現状の制御条件に具体的な影響を及ぼすためである。定常的なまたは回転しない電極は、小さすぎる、したがって(そこではガラス流がある)製造の制御条件と同じではない実験室中での、制御条件の決定を導き得ることが分かった。
【0051】
−ここで提案する構造によって、パラメータまたは数値を供給電流および得られるEMF測定(=ポテンシャル測定)から導出することができ、ここで、パラメータは製造ユニット中の電流密度のシミュレーションのために要求される(分極抵抗など)。
【0052】
−気泡形成を引き起こす臨界電流密度は、関連する測定量を最終的に表わす。電流密度は、テスト設置において、分路によるDC電流測定を介して、電流クランプによるDC電流測定および既知の測定電極表面(PTディスク)の独立性により、決定される。
【0053】
−EMF測定は、さらに気泡形成の計量的な検出という優位点を有する。そうでなければ、ディスクは、肉眼を用いての検査により気泡の形成を検出するために、各試験の後に取り除かれなければならず、それにより実験時間は実質的に長くなり得る。気泡の形成は特定のEMF値(ポテンシャルs)に伴うものであるため、特定のポテンシャルを上回っている場合には、対応する気泡が形成されると言ってよい。仮に、例えば、0μAのポテンシャルを上回っていれば、O気泡が形成される。したがって、気泡の発生または形成はガラス溶融物から電極を取り除く必要なく検出でき、実験時間を相当程度に短縮し得る。計量的な検出により、気泡が形成されているかどうかを示すオンラインでの決定を行うことができる。
【0054】
−電流密度に関連して、関連するデータ(分極抵抗など)の決定は、製造ユニットでの電流密度のシミュレーションのために必要とされ、行われる。
【0055】
したがって、臨界電流密度および実験室中での整流を決定するために、好ましくは説明したテストセットアップは以下の特徴を有する:
回転電極(測定電極としてのディスク)によるガラス流シミュレーション。
【0056】
干渉する影響(例えば気泡形成)を生じない適当な対極を有する。そのために、対極は測定電極よりもずっと大きくなければならない。対極としては、るつぼ壁を例えば使用することができる。
【0057】
DC電流および交流電流は同時に決定されなければならず、なぜなら、そうでなければ、正確な臨界電流密度および整流の程度が決定できない恐れがあるからである。したがって、特別な測定分路が好ましく使用される。
【0058】
測定配置によって、溶融物中の気泡の形成を決定する純粋な計量方法が、純粋に目視による検査に代替するために提供される。そのために、三つの電極の適切な構造を有する上記のpO測定が提供される。すなわち、もし気泡が回転電極で発生すれば、これは典型的にはpO値に関連付けられる。例えば、もしO気泡が発生すれば、そこにはかなり高い、1barを超えるpO値があることになる。一方で、もしSO気泡が発生すれば、低いpO値が測定される。図4は、図3からの回転電極のpO値を、異なる交流電流および整流効果に対して示している。40μA/cm(50Hz)の値を有する交流電流密度および約450μA/cm(整流)の値を有するDC電流密度の場合に、pO値は1barを超えて著しく増加することが明らかに見てとれる。このpO値は、典型的には気泡形成に関連付けられる。この制御のために、回転ディスクはガラス溶融物から取り除かれた後に検査され、ディスクが気泡で覆われているのを見ることができた。この気泡を分析することにより、80%を超える気泡中で対応するOのパーセンテージが高いことが分かった。
【0059】
製造ユニットの構成のために、工程120が実施される(図2参照)。製造ユニット中のプロセスを計算することにより(ガラスの組成、清澄剤、金属部材の寸法および材料、要求されるプロセス温度等を考慮して)、求める電流密度が決定される。それらを実験室での値と比較することにより、必要とされる交流電流(例えば加熱用)の周波数が決定される。
【0060】
もし重要な部材が導通しないように接続されているかまたは臨界電流密度が部材の一つで生じていれば、DC電流測定は実施できない。この場合には、電流密度は各金属部材において計算しなければならない。そのために、実際のポテンシャルおよび温度は、前記金属部材の寸法と同様に、既知でなくてはならない。実験室からのこれらの特性値またはパラメータ(導電率、整流効果およびそれから導出される拡散係数または分極抵抗)と共に、金属部材で発生するDC電流密度は、シミュレーションにより特別に分解された方法で疑似的に得ることができる。そのようなシミュレーションの基礎は(図2中工程110参照)、とりわけ、オームの法則の使用である。温度、導電性および分極抵抗から、最終的な抵抗の合計が計算できる。測定し得る現在のポテンシャルによって、現在のDC電流密度が計算できる。温度およびガラス組成が変化しない限り、結果として抵抗の合計も変化していなかった。したがって、電流密度は現在のポテンシャルを決定することにより、オンラインで計算できる。
【0061】
したがって、製造ユニットまたは集合体(aggregate)中の電流の決定および測定法は、プラント設備の構成にも適用し得る。
【0062】
各ガラス、周波数および整流効果に依存して臨界電流密度が決定されれば、これらの値は二次気泡の形成を防止するために製造ユニット中の電流密度と比較しなければならない。
【0063】
製造ユニット設置中の準備期間に、必要とされる電流量は使用するガラスの種類、要求されるエネルギー量およびガラスの導電率によって計算できる。電気的部材の幾何学的配置および予測される温度によって、求める電流密度を決定することができる。実験室からの対応する値との比較の後、どの周波数(基準値)がもっとも交流電流に適しているのか決定できる。
【0064】
非常にしばしば新しいガラスまたは改質された清澄剤を含むガラスが、既存の製造ユニット中で溶融される。これらの場合には、臨界電流密度に到達する可能性がある。そのために、以下のような対策が特に適用されなければならない:
−加熱は要求される電流周波数に適合させる。
−エネルギー分配は臨界電流密度が防止されるように変える。
【0065】
しかしながら、臨界DC電流密度を引き起こす整流効果を防止するのは常に可能であるとは限らない。そこで、二次気泡形成を安全に抑制するため、交流電流およびDC電流を検出する必要がある。そのようにすると、多数の金属部材が互いに電気的に直接接続されてはいないという事実のために、全ての電流を直接測定できないという問題が生じる恐れがある。このような場合には、電流は、抵抗およびポテンシャルの測定または計算をすることにより間接的に決定されなければならない。このような理由のために、もし特別に分解された方法において電流密度が既知であれば、有用である。
【0066】
これは以下を意味する:もし平均の電流密度のみが既知であれば(金属部材の総表面に対して)、これらの電流密度は既知の臨界密度よりも下にとどまる。このことから、電気的な部材においては、局部的な電流密度は部分的に一次元または桁(order)の範囲で変動することが分かった。例えば、もしPt供給部または樋(gutter)において、電流密度が各樋の入口または出口で非常に高ければ、電流密度は樋の中間で相当に低くなっている。工程130(図2参照)では、製造ユニットの運転中にモニターおよびパラメータの適合が実施される。
【0067】
そのために、既存の電流密度(DCおよびAC電流)は、適当なパラメータ(ポテンシャル、抵抗、電流)の測定およびこれらパラメータの対応する修正により決定され、オンラインで検出されモニターされる。
【0068】
製造ユニットの構成と独立して、臨界DC電流密度(交流電流の整流による)に到達したかどうかが検査される。その場合には、逆電圧を印加することにより相殺する。この逆電圧は、二次気泡の形成を止めるために、臨界DC電流と継続して比較する。
【0069】
このようにして、ACおよびDC電流(電流測定により直接であれポテンシャルおよび抵抗の測定により間接であれ)の連続的な設定が実現され、実験室で決定された制御条件への適合が実現される。
【0070】
もし臨界交流電流密度に到達すれば、エネルギー分配を変える、かつ/または加熱周波数を増加しなければならない。
【0071】
もし臨界の整流が生じれば、気泡の形成を止めるために逆電圧を供給しなければならない。そのため、前記逆電圧の値を適合させるために、逆電圧は臨界電流密度と同様に連続して測定しなければならない。
【0072】
逆電圧は、好ましくは、気泡が発生するPt部材が、電圧供給により気泡が生じない他のPt部材に対比して必ず反転するように、供給する必要がある。例えば、O気泡が発生する(正ポテンシャル)Pt部材は、Pt部材のポテンシャルを臨界値まで下げるために電源の陰極に接続し得る。気泡を発生させるPt部材で負のポテンシャルが高すぎる場合には、この部材は電源の陽極に接続し得る。
【0073】
交流電流で加熱される部材において整流に起因する臨界DC電流が流れ(気泡形成)、しかしながら、第二のPt部材を介して対応する逆電圧が供給できなかった場合には、適当な代替策が取られなければならない。この代替策は、影響するPt部材への適当な直接接続を介して、補正または補償逆電圧を供給することからなる。
【0074】
図5は、ガラス流GFを導入するPt管RA部分を示している。管部分は加熱のために交流電流VACが供給され、電流は加熱フランジHFまたはHF’を介して末端に供給される。交流電流の整流により、特別な分解された方法で正のDC電圧ポテンシャルが存在する(典型的にはPt管部分の末端または始点で)状況が起こり得る。これらのポテンシャルは、O気泡形成を引き起こす場合がある。もしそれら加熱フランジの1つが逆電源の陽極に接続されており、第二の加熱フランジが逆電源の陰極に接続されていれば、O気泡形成は一つの加熱フランジ(陰極)でのみ防止され、他方の加熱フランジ(陽極)では増大する。しかしながら、そのような場合においても以下の解決策がある:このため、Pt管部分RAの中間にさらなる電気的接続KMを設けまたは配置し、ここで、この接続にはしかしながら、交流電流は供給されない。したがって、最終的にPt管部分には三の接続が存在する。二次気泡(例えばO)の形成を防止するために、両方の加熱フランジは一つの電源の極(例えば負の)に接続され、追加の電気的接続は電源の他方の極に接続される。このようにすると、気泡形成は両方の加熱フランジにおいて防止できる。
【0075】
図5によって示されるように、気泡の発生は、DC電流または直接加熱される管部分の末端のACフランジと予め追加電流用のタブを付けた接続KMとの間に、それぞれ逆電圧VDC1またはVDC2を供給することにより抑制することができ、ここでタブは長手方向好ましくは軸方向対称に、部材の中間に配置される。
【0076】
金属で作製され、金属製の攪拌ロッドRSが内部に挿入される攪拌るつぼRTが使用される場合には、追加の電気的接続は攪拌羽の高さに位置する必要があることを考慮に入れるべきである(図6参照)。そのために、シミュレーションの計算により、追加の電気的接続の対応する位置を見出すことができる。
【0077】
図6に図示されるように、追加のタブKM’は内側に向かって配置される攪拌羽または針を有する部材の、壁までの距離または加熱されるるつぼ壁と攪拌羽または針との間の間隔が小さい位置に形成される。
【0078】
参照符号リスト
FS Fiolax(登録商標)(Schott社の登録商標)を含むガラス溶融物
以下の形式の製造ユニット:
SW 溶融タンク、SR 供給チャネル、
RT 攪拌るつぼ、RS 攪拌ロッド
100 気泡形成を防止する方法であり、以下の工程110、120および130を含む:
110 制御条件(材料特有のパラメータ)の決定
120 シミュレーション/製造ユニットの構成または集合体(システム特有のパラメータ)
130 運転中のパラメータのモニターおよび適合
MA電流密度を決定するための測定配置
TG 容器、ここではるつぼが使用される(対極として機能する白金で被覆された)
OF 炉の加熱
K セラミックス
E (回転)ディスクESを有する電極
TS 参照電極(組み込み熱センサー含む)
M アクチュエーターまたはドライブ、ギアボックスを備える電気モーターが使用される
LE 電源(電源ユニット)
R 測定抵抗(分路)
IAC 交流電流
IDC 測定電流(DC成分)
EMK るつぼの起電力を測定するための測定装置
EMK* 電極の起電力を測定するための測定装置
Temp ガラス溶融物の温度
pO るつぼにおける酸素分圧
pO* 回転ディスクにおける酸素分圧
RA 管部分
GF ガラス流
HF、HF’ 加熱フランジ
KM、KM’ 追加の接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶融物(FS)が供給される少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)を運転することによるガラスの製造方法であって、前記ガラス溶融物を交流電流により加熱するために前記ガラス溶融物中に伸長する電極を使用し、前記ガラス溶融物中に直流電流が生じ、前記直流電流が前記ガラス溶融物中の気泡の形成の臨界となるしきい値を超過する電流密度を有するような低含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物(FS)を使用し、気泡の形成を低減または防止するため、加熱用交流電流の動作周波数を最小周波数に調整し、それにより、生じている電流密度が臨界しきい値より下に留まる、製造方法。
【請求項2】
加熱用交流電流の動作周波数が100Hz(Hertz)より高い最小周波数、特に1000Hzよりも高い周波数に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発生する直流電流密度が500mA/cm2(milli−amperes per square centimeter)未満の臨界しきい値よりも小さい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス溶融物が5000ppm(parts per million)未満の量のレドックス緩衝剤を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
直流電圧が前記ガラス溶融物と接触している電極に供給され、前記電圧は前記ガラス溶融物中で発生している直流電流を相殺する補償直流電流を生じる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス溶融物中に前記気泡の形成に臨界となるしきい値を前記密度が超過するような直流電流密度が生じているかどうかについて検査を行う、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ガラス溶融物(FS)が供給される少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)によってガラスを製造する装置であって、前記装置は、交流電流により加熱するための前記ガラス溶融物中に伸長する電極を含み、少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)は、前記ガラス溶融物中に直流電流が発生し、前記直流電流は前記ガラス溶融物中で気泡の形成に臨界となるしきい値を超過する電流密度を有するように、低含有量でレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物(FS)が供給され、気泡の形成を低減するために電極に最小周波数に調整された動作周波数を有する加熱用交流電流が供給され、それにより、発生する電流密度が臨界しきい値より下に留まる、装置。
【請求項8】
ガラス溶融物(FS)が供給される少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の運転中に、気泡の形成を低減または防止するためのモニター方法(100)であって、交流電流により加熱するために前記ガラス溶融物中に伸長する電極を使用し、5000ppm(工程120)未満の含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物(FS)を使用する場合に、前記ガラス溶融物中に、前記気泡の形成にとって臨界しきい値を超過するような直流電流密度が発生しているかどうかを検査する(工程130)、モニター方法。
【請求項9】
以下の元素:Sn、As、Sb、Bi、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、EuおよびCeの酸化物を単独でまたは組み合わせてレドックス緩衝剤として使用する(工程120、130)、先行する請求項のいずれか一項に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項10】
一以上の清澄剤が前記ガラス溶融物(FS)に添加される、特に、ハロゲン化物、塩化物、フッ化物、臭化物および/または硫酸塩が添加される、先行する請求項のいずれか一項に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項11】
少なくとも1の製造ユニットが、溶融タンクまたは炉(SW)、供給チャネル(SR)、るつぼ(RT)および/または攪拌ロッド(RS)を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項12】
臨界しきい値が、前記ガラス溶融物の試料(FS’)を入れる金属容器(TG)、前記試料中に伸長する電極(ES)および交流電圧を発生する電源(LE)を備える測定配置(MA)によって決定され、測定回路を形成するために(工程110)電源の第一極が前記電極(ES)に接続され、第二極が金属容器(TG)に接続される、請求項8〜11のいずれか一項に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項13】
臨界しきい値を決定するために測定分路(R)が使用され、分路は前記測定回路に統合され、整流効果(工程110)によってガラス溶融物の前記試料(FS’)中に発生する直流電流(IDC)を測定し、前記測定回路を通ってまたはその中を流れる交流電流(IAC)を測定し、交流電流は加熱用電流に相当し、直流電流(IDC)および交流電流(IAC)の相互依存性は、特に前記電源(LE)によって発生する交流電流の振幅および/または周波数の変化中に特定される(工程10)、請求項12に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項14】
前記電極(ES)とガラス溶融物の前記試料(FS’)中に伸長する参照電極(TS)との間に発生する起電力(EMK*)が測定され、起電力は前記電極(ES)における気泡の発生を検出するために測定され、特に臨界しきい値(工程110)を決定するために気泡の発生中の直流電流(IDC)を測定する、請求項12または13に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項15】
前記測定配置(MA)によって決定される前記臨界しきい値によって、前記ガラス溶融物中(FS)の気泡の形成を決定するためのシミュレーションが、前記少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の運転中に実施される(工程120)、請求項12または13に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項16】
前記測定配置(MA)によって決定される前記臨界しきい値によって、前記少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の運転のための構成(configuration)が実施され(工程120)、特に前記ガラス溶融物中(FS)の加熱エネルギー分配および/または各製造ユニット(SW、SR、RT、RS)中の部材の寸法決定(dimensioning)の構成を実施し(工程120)、特に少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の運転のために決定した臨界電流密度によって、前記ガラス溶融物(FS)を加熱する交流電流の動作周波数の基準値が決定される(工程120)、先行する請求項のいずれか一項に記載のモニター方法(100)または方法。
【請求項17】
ガラス溶融物(FS)が供給される少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の動作中に気泡の形成を低減または防止するためのモニター装置であって、前記装置は交流電流により加熱するために前記ガラス溶融物中に伸長する電極を含み、5000ppm未満の含有量のレドックス緩衝剤を含むガラス溶融物(FS)を使用する場合に、前記装置は前記ガラス溶融物中に直流電流が発生しているかどうかおよび前記電流が前記気泡の形成に臨界となるしきい値を超過する電流密度を有するかどうかを検査する、モニター装置。
【請求項18】
前記装置が前記ガラス溶融物(FS)中に伸長する電極(ES)および交流電圧を発生する電源(LE)を有する測定配置(MA)を含み、直流電流を測定する測定回路を形成するために、電源の第一極は前記電極(ES)に接続され、第二極は少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の金属部材、特に容器(TG)に接続され、測定された直流電流の電流密度が臨界しきい値を超える場合には、特に前記モニター装置は少なくとも1の製造ユニット(SW、SR、RT、RS)の動作周波数を、特に100Hzを超える値まで増加する、請求項17に記載のモニター装置。
【請求項19】
前記装置は前記ガラス溶融物(FS)と接触している電極に直流電圧を供給し、電流密度が前記臨界しきい値を超過する場合には、前記電圧は前記ガラス溶融物中に前記直流電流とは逆の補償直流電流を発生する、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は交流電流により(VAC)加熱される管状部材(RA)に接続され、交流電圧は前記部材(RA)、特にそこに設けられたフランジ(HF、HF’)の末端に供給され、前記装置は各末端に直流電圧を供給し、逆電圧(VDC1、VDC2)として、各電圧が前記末端、特に前記フランジ(HF、HF’)の一方と、前記部材(RA)の長さの中間に、特に軸対称に配置された接続(KM)との間に供給される、請求項19に記載のモニター装置。
【請求項21】
前記装置が部材(RT)およびその中に配置された攪拌部材(RS)に接続され、交流電圧が前記部材(RA)の末端、特にそこに設けられたフランジ(HF、HF’)に供給され、前記装置は、各末端に直流電圧を供給し、逆電圧(VDC1、VDC2)として、各電圧は前記末端の一方、特に前記フランジ(HF、HF’)の一方と、攪拌部材(RS)と部材(RT)の内壁との間の距離の一点に配置された接続(KM’)との間に供給され、該一点は壁の間隔がもっとも小さい、請求項19に記載の装置またはモニター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−68556(P2011−68556A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−201237(P2010−201237)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】