気相反応物質触媒反応用化学反応器及び方法
【課題】熱移動及び物質移動に対する抵抗が少なく、プロセス設備容積を劇的に減少させるチャンスを創り出す化学反応器及び反応チャンバ及び気相反応物質を有する触媒化学反応を行う方法を提供する。
【解決手段】反応チャンバである反応器マイクロチャネル内に多孔性触媒物質106を配設してその間にバルク流路102、104を形成し、多孔性触媒物質は多孔性触媒物質内で分子拡散を行わせるために十分大きい孔径を有し、反応器マイクロチャネルに熱移動用マイクロチャネル400を隣接させる。
【解決手段】反応チャンバである反応器マイクロチャネル内に多孔性触媒物質106を配設してその間にバルク流路102、104を形成し、多孔性触媒物質は多孔性触媒物質内で分子拡散を行わせるために十分大きい孔径を有し、反応器マイクロチャネルに熱移動用マイクロチャネル400を隣接させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応器及び気相反応物質触媒反応方法に関する。
本明細書において、「分子状拡散」とは、層流、遷移流又は乱流中の流体の隣接する層の間のブラウン運動に基づく物質移動の古典的な意味において用いられ、流れていない流体の隣接する層の間の物質移動を含む。
【0002】
本明細書において、「クヌーセン拡散」とは、クヌーセン流すなわち自由分子流を意味し、分子の平均自由経路は、流場の特性寸法、例えば分子が貫通して拡散する物質の孔径に比べて長い。クヌーセン拡散において、分子は、典型的に、他の気相分子ではなく壁と衝突する。
【背景技術】
【0003】
多くの触媒反応は、気相反応物質、例えば蒸気改質、部分酸化、水性ガスシフトその他で始まる。しかし、物質移動制限及び熱移動制限ゆえに、設備、特に反応器容量が一般的に大きい。慣用の反応器は、約1,000〜約3,600hr-1の気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)で操作される。換言すれば、熱移動制限及び物質移動制限ゆえに、接触時間は、1秒よりも長い。
【0004】
これらの問題が認められており、マイクロチャネル反応器を考慮する研究がなされている。なぜなら、マイクロチャネルは、熱移動及び物質移動に対する抵抗が少なく、プロセス設備容積を劇的に減少させるチャンスを創り出すからである。マイクロチャネル反応器の数タイプが文献に記載されている。
【0005】
Franzら,1998及びLoweら,1998は、マイクロチャネル壁に、直接、活性触媒のコーティング(Pt、Ag又は他の貴金属)を適用することを報告している。このアプローチは、使用可能な表面領域がマイクロチャネル壁の表面領域のみであるという欠点を有する。
【0006】
Weissmeier及びHonicke,1998a-bは、触媒が堆積しているマイクロチャネル壁材料から直接多孔性界面を作ることを報告している。アルミニウム壁をアノード化して、ナノメータ範囲の平均孔径(クヌーセン拡散のみを可能とする)及び数十ミクロン範囲の厚みを有する多孔性アルミニウム界面を創る。このアプローチの欠点は、アルミニウムのみに適用可能で、表面領域が制限されることを含む。アノード化された壁は、700本の同一のマイクロチャネルの二次元列を形成した。
【0007】
Tonkovich/Zilkaら,1998は、充填されたマイクロベッドとして、一列の平行なマイクロチャネル内に直接触媒粉末を充填することを報告した。欠点は、充填されたマイクロベッドに流体を流通させることによって、比較的大きな圧力降下を創り出す傾向があることであった。
【0008】
Tonkovich/Zilkaら,1998は、キャビティ(マイクロチャネルよりも大きい)内に金属ニッケルフォーム上に担持されたパラジウム触媒を置いて、次いで、マイクロチャネル列への流出分を熱交換器に送ることを報告した。欠点は、金属フォームを貫通する大きな圧力降下であった。
【0009】
よって、低い圧力低下を伴う小さな反応器容積を有する速い運動での触媒反応用化学反応器が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Franz, A.J., Quiram, D., Srinivasan, R., Hsing, I-M., Firebaugh, S.L., Jensen,K.F., and M.A.Schmidt, 1998, New Operating Regimes and Applications Feasible with Microreactors, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p33-38.
【非特許文献2】Lowe, H., Ehrfeld, W., Gebauer, K., Golbig, K., Hausner, O., Haverkamp, V., Hessel, V., and Richter, Th., 1998, Microreactor Concepts for Heterogeneous Gas Phase Reactions, Proceeding of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, Louisiana, p63-74.
【非特許文献3】Tonkovich, A. Y., Zilka, J.L., Powell, M. R., and C.J. Call, 1998, The Catalytic Partial Oxidation of Methane in a Microchannel Chemical Reactor, Proceedings of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, LA, p.45-53.
【非特許文献4】Tonkovich, A. Y., Jimenez, D. M., Zilka, J. L., LaMont, M., Wang, Y., and R. S. Wegeng, 1998, Microchannel Chemical Reactors for Fuel Processing, Proceedings of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, LA, p.186-195.
【非特許文献5】Weissmeier, G., and Honicke, D., 1998a, Strategy for the Development of Micro Channel Reactors for Heterogeneously Catalyzed Reactions, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p.24-32.
【非特許文献6】Weissmeier, G., and Honicke, D., 1998b, Microreaction Technology: Development of a microchannel reactor and its application in heterogeneously catalyzed hydrogenation, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p.152-153.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面において、本発明は、分子拡散を可能とする多孔度を有する多孔性構造体である触媒物質を提供する。一実施形態における多孔性構造体は、長さ、幅及び厚みを有し、多孔性構造体は、少なくとも1のマイクロチャネルの少なくとも1の壁の少なくとも一部を画定する。
【0012】
本発明は、少なくとも1の多孔性触媒物質と少なくとも1の開放領域とを含む少なくとも1の反応チャンバであって、該少なくとも1の反応チャンバの各々が反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する化学反応器を提供する。内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する。少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有する。チャンバ高さ又はチャンバ幅が2mm以下であるポイントにて、チャンバ高さ及びチャンバ幅は断面積を画定する。断面積は、多孔性触媒物質及び開放領域を含み、多孔性触媒物質は断面積の5%〜95%を占め、開放領域は断面積の5%〜95%を占める。断面積中の開放領域は、5×10-8〜1×10-2m2の連続領域を占め、多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する孔を含む。
【0013】
別の側面において、本発明は、少なくとも10の長さ対厚みの比率を有する触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルがある少なくとも1の反応チャンバを含む化学反応器を提供する。ここで、少なくとも1の反応チャンバは、反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する。内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有し、少なくとも1の反応チャンバは、2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を含む。触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルは、反応チャンバを横断する圧力降下がシステム入口総圧力の20%よりも少なくなるように反応チャンバ内に配設されている。
【0014】
別の側面において、本発明は少なくとも3つの層を含む化学反応器を提供する。第1の層は、第1の多孔性触媒物質を含み、第2の層は熱交換器及び第2の層を貫通する少なくとも1の流体流路を含む。第2の層は、第1の多孔性触媒物質を通過する流体が少なくとも1の流体流路を通過できるように反応チャンバ内に配設されている。第3の層は、第2の多孔性触媒物質を含み、第3の層は、第2の層を通過する流体が第2の多孔性触媒物質を通過できるように反応チャンバ内に配設されている。第1の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを含む。連続チャネルは、0.1μm〜2mm以下のチャネル高さ及び/又はチャネル幅を有する。第1の多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、気孔容積の20%以上は、0.1〜300ミクロンのサイズを有する孔を含む。
【0015】
本発明はさらに、炭化水素蒸気改質方法を含む。この方法において、蒸気及び炭化水素を含む反応物質流は、少なくとも1の反応チャンバに通過する。反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有する。チャンバ高さ又はチャンバ幅は2mm以下である。各反応チャンバは、始端及び終端を有する。チャンバ長さは、反応チャンバの始端から終端までの距離である。反応チャンバの始端に入る反応物質流は、反応チャンバを出る生成物流に転化される。この生成物流は、水素、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素を含む。少なくとも1の反応チャンバの始端に入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%は、水素、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素に転化される。プロセスは、炭化水素が300ミリ秒よりも短い接触時間を有する条件下で行われる。
【0016】
本発明は、さらに、化学反応器内で化学反応を行わせる方法を提供する。この方法において、気体状反応物質は、第1の区画室に入る。化学反応器は、多孔性触媒と、第1の区画室と第2の区画室とを含む。第1の区画室及び第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする開放スペースを含む。第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有する。区画室高さ又は幅は、約2mmよりも短い。多孔性触媒物質は、第1の区画室と第2の区画室との間に配設されている。気体状反応物質は、多孔性触媒物質内で反応する。
【0017】
別の側面において、本発明は、気体状反応物質が第1の区画室に通過する化学反応器内で化学反応を行わせる方法を提供する。反応チャンバは、第1の区画室と、第2の区画室と、第1の区画室及び第2の区画室の間に配設されている隔壁と、を含む。隔壁は、第1の流体分配層又は分離剤を含む。第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有する。第1の区画室は、多孔性触媒物質と、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースと、を含み、約2mm以下の区画室高さ又は区画室幅を有する。この方法において、気体は、隔壁を通して移動する。好ましい実施形態において、隔壁は、流分配層を含み、気体状反応物質は、流分配層を通して第2の区画室から第1の区画室へと対流移動し、流分配シートを通過して移動した後、第1の区画室内に含まれている多孔性触媒物質内で反応する。別の実施形態において、隔壁は、第1の区画室内で形成された生成物を選択的に分離できるか又は分配供給用途で用いるため空気から酸素などの反応物質を選択的に分離することができるメンブラン又は吸収剤を含む。
【0018】
本発明はさらに、少なくとも1の反応チャンバのバルク流路内に気体状反応物質を通過させる化学反応を行わせる方法を含む。バルク流路は、チャンバ長さ全体にわたり連続している。反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有する。少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有する。多孔性触媒物質は、内部容積内に配設されていて、多孔性触媒物質は、気体反応物質が多孔性触媒物質内で分子的に拡散できるように多孔性内部構造体を有する。気体反応物質は、多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成する。
【0019】
本発明の種々の側面を記載し、1又は2の反応チャンバとして請求されているが、本発明は、反応器が多数の反応チャンバを含む場合に最も効率的に操作することを想定しており、本発明は、ただ一つの反応チャンバを有する反応器及び方法に限定されるものではないことは理解されるべきである。多数の実施形態において、特徴的な寸法は約2mm以下とされているが、この範囲での物質移動及び熱移動が非常に効率的だからである。
【0020】
本明細書に記載されている実施形態及び反応チャンバ設計の多くは、種々の設計の組合せに良好に適することは理解されたい。例えば、図10d及び10eに示されている反応チャンバは、1つの層から別の層への流体を送るための導管(第2の触媒層から第1の触媒層に戻る導管など)と一体にされていてもよい。したがって、本発明は、本明細書に記載されている種々の設計及び実施形態の組合せを含むことは理解されるべきである。
【0021】
本発明の主題は、本明細書の一部である特許請求の範囲に特に指摘されている。しかし、機構及び操作方法、並びにさらなる利点及び目的は、添付図面を参照しながら下記説明を読むことにより、もっともよく理解されるであろう。なお、図面中、同じ要素には同じ符合を付す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、多孔性物質を有するマイクロチャネルの断面図である。
【図2】図2は、触媒物質を有する多孔性物質の断面図である。
【図3】図3は、多孔性物質により画定されるマイクロチャネルの断面図である。
【図4a】図4aは、熱移動マイクロチャネルにより包囲されている多孔性物質を有するマイクロチャネルの断面図である。
【図4b】図4bは、多孔性物質を有するマイクロチャネルの間に熱移動マイクロチャネルを有するマイクロチャネルの断面図である。
【図5】図5は、筒状多孔性物質の等角投影図である。
【図6】図6は、多孔性表面領域上に第2の多孔性物質を有する多孔性物質の断面図である。
【図7a】図7aは、マイクロチャネル蒸気改質システムのブロックダイアグラムである。
【図7b】図7bは、マイクロチャネル反応器の端面図である。
【図8a】図8aは、介在する多孔性触媒物質を有する区画室を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8b】図8bは、多孔性触媒層の間に配設されているバルク流チャネルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8c】図8cは、2本の波形触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8d】図8dは、触媒表面上の気体流を有する波型触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8e】図8eは、触媒を貫通する気体流を有する波形触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8f】図8fは、触媒物質のワイヤを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8g】図8gは、ファイバーを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8h】図8hは、多孔性触媒物質のコーティングを有するバッフルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8i】図8iは、多孔性触媒物質からなるバッフルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8j】図8jは、バルク流チャネルを有する多孔性マトリックスを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8k】図8kは、触媒含有区画室への流を分配する流分配シートを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図9a】図9aは、熱交換流体の交差流を有する触媒チャネルの斜視図である。
【図9b】図9bは、反応チャンバの壁に直接接触しない多孔性触媒物質の断面図である。
【図9c】図9cは、頂部−多孔性プラグを有する反応チャンバ、底部−混合チャンバを有する多数の流チャネルを含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9d】図9dは、付形多孔性触媒物質を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9e】図9eは、多孔性触媒物質で充填されたu字形チャネルを含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9f】図9fは、多孔性分割器を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9g】図9gは、多孔性触媒物質の層の間に流される混合反応物質流を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図10a】図10aは、多数の多孔性触媒物質シートを含む化学反応器の層を示す。
【図10b】図10bは、多孔性触媒物質の一層を示す。
【図10c】図10cは、化学反応器内での再循環流を示す概略図である。
【図10d】図10dは、生成物を選択的透過可能層を通して取り除くことができる反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図10e】図10eは、生成物を選択的透過可能層を通して取り除くことができる反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図11】図11は、種々の反応チャンバ形状のメタン蒸気改質テストの結果を示す。
【図12】図12は、種々の反応チャンバ形状のメタン蒸気改質テストの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一側面において、本発明は、少なくとも1の気相反応物質による触媒化学反応用化学反応器を含む。反応器(図1)は、少なくとも1の反応物質102及び少なくとも1の生成物104の流用の少なくとも1の反応器マイクロチャネル100を有する。本発明による改良は、反応器がさらに、少なくとも1の反応物質102が反応して少なくとも1の生成物104を形成する多孔性構造体106を有することである。多孔性構造体106は、バルク流(反応物質102、生成物104)に抵抗し且つ分子的拡散(反応物質部分102a、生成物部分104a)を可能とする複数の孔200又は多孔度を有する。孔200は、触媒物質108が滞留する多孔性表面領域202により画定される。多孔性物質106は、さらに、長さL、幅(図示せず)及び厚みTを有し、幾つかの実施形態において、少なくとも1の反応物質102が通過するバルク流路の少なくとも1の壁の少なくとも一部分を画定する。
【0024】
マイクロチャネルは、バルク流路を画定する任意の断面からなるものでよく、1mmよりも短い特徴的な寸法により特徴づけられる。
操作時に、少なくとも1の反応物質102は、少なくとも1の反応器マイクロチャネル100に入り、バルク流路中を流れて多孔性物質106と接触する。少なくとも1の反応物質102aの一部は、多孔性触媒106内を横断するように分子拡散し、反応して、ここから、少なくとも1の生成物104aがバルク流路内を横断するように分子拡散し、こうして少なくとも1の生成物104を反応器から移動させる。
【0025】
気相反応物質触媒反応は、制限されるものではないが、蒸気改質、CO2改質部分酸化、塩素化、フッ素化、水素化、脱水素化、窒素化、水性ガスシフト、逆水性ガスシフト、自熱改質、燃焼、水素化分解法、水素化脱硫法を含む。蒸気改質において、気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)は、好ましくは10,000よりも大きく、より好ましくは50,000よりも大きく、10ミリ秒よりも短い滞留時間に対応する約100,000hr-1であってもよい。
【0026】
好ましい実施形態において、バルク流路の幅は、約1mm以下である。多孔性構造体106の厚みTは、約1mm以下であり、長さLは好ましくは約10cm以下のマイクロチャネルの長さに対応する。多孔性構造体106の幅は、変動してもよいが、バルク流路の周囲の少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%である。
【0027】
多孔性物質106は、触媒物質、例えば、フォーム又はフェルト形態の触媒金属又はセラミックでもよい。あるいは、多孔性物質106は、その上に置かれた触媒物質108を有する非触媒物質の多孔性担体であってもよい。多数の孔は、ハニカム又は平行多孔性構造体に見られるように幾何学的に規則性を有するものでも、又は曲がりくねっていたりランダムであってもよい。多孔度は、約30%〜約98%の範囲であってもよく、最も小さいマイクロチャネル寸法よりも小さな平均孔径を有する。好ましくは、孔径は、約0.1μm〜約200μmであり、分子拡散を可能とする。
【0028】
図3に示すように、多孔性物質106単独でマイクロチャネルを画定してもよい。この実施形態において、多孔性物質106の厚みTが少なくとも1の反応物質102又は少なくとも1の生成物104の熱移動流体との混合を防止するに十分な厚みである限り、熱移動流体を用いることも可能である。あるいは、生成物を、多孔性物質106を通して、収集されるべき第2の流体(図示せず)内に拡散させてもよい。
【0029】
多孔性物質106は、非多孔性物質、例えば図4a及び4bに示すように取り外し可能なインサートとしての金属の壁400に隣接して置いてもよい。非多孔性壁400を用いることで、少なくとも1の反応物質102及び/又は少なくとも1の生成物104とは異なる熱移動流体402を用いることができるようになる。熱移動流体402は、少なくとも1の反応物質102及び/又は少なくとも1の生成物104に対して、対向流、並行流、交差流又はこれらの組合せとして流れてもよい。
【0030】
本発明は、図5に示すように筒状幾何学形状を含み得る。内径は、マイクロチャネルを表し、約1mm以下の直径を有する。筒は、任意の閉断面形状でよい。多数の筒を用いることができる。筒は、多孔性物質106のモノリシックブロックを貫通する穴として形成されてもよい。別の穴を、反応物質/生成物用及び熱移動流体用に用いてもよい。
【0031】
反応器内での反応物質の滞留時間は、好ましくは、触媒物質に接触する反応物質の拡散時間よりも長い。幾つかの好ましい実施形態において、反応器を横断する圧力降下は、好ましくは、約0.1psi〜約5psiの範囲である。
【0032】
別の実施形態を図6に示す。ここで、多孔性物質106は、多孔性表面領域202上に第2の多孔性物質600を有する第1の多孔性物質である。触媒物質108は、第2の複数の孔602内に滞留する。第2の複数の孔602は、複数の孔200よりも小さく、第2の複数の孔602内では、主としてクヌーセン拡散が生じる。
【0033】
本発明の種々の実施形態及び反応チャンバに合わせて触媒を設計する方法を図8及び図9に示す。図面では、単一の反応チャンバを示すが、好ましい実施形態においては、容量を増加したい場合には一体の装置内で多数の反応チャンバ、好ましくは少なくとも5個の反応チャンバ、より好ましくは一体化された化学反応器内の100個の反応チャンバを用いる。幾らか低い容量の用途に対しては、1〜5個のチャネルだけが必要となるかもしれない。好ましくは、一体化化学反応器は、平行、直列又は両方に連結された多数の反応チャンバを含む。反応チャンバは、好ましくは、図7a及び7bに示すように、マイクロチャネル熱交換器又は装置などの他の要素と一体化されている。本発明の反応チャンバを一体化された装置内で使用することにより、慣用の装置で達成し得る容量よりも小さな容量で、非常に高い生成速度を得ることができる。
【0034】
「バルク流領域」とは、反応チャンバ内の開放領域をいう。連続バルク流領域は、大きな圧力降下なしに、気体を迅速に反応チャンバを貫通して流すことができる。好ましい実施形態において、バルク流領域内には層流がある。各反応チャンバ内のバルク流領域は、好ましくは5×10-8〜1×10-2m2の断面積、より好ましくは5×10-7〜1×10-4m2の断面積を有する。バルク流領域は、好ましくは、(1)反応チャンバの内容積又は(2)反応チャンバの断面積の少なくとも5%、より好ましくは30〜80%を構成する。
【0035】
反応チャンバは、高さ、幅及び長さの寸法を有する。高さ及び/又は幅は、好ましくは約2mm以下、より好ましくは1mm以下(この場合、反応チャンバは、マイクロチャネルの古典的定義に含まれる)である。反応チャンバの長さは、典型的には、より長い。好ましくは、反応チャンバの長さは、1cm以上、より好ましくは1〜20cmの範囲にある。典型的には、反応チャンバの側面は、反応チャンバ壁により画定される。これらの壁は、好ましくは、セラミック、スチールなどの鉄ベース合金又はモネルなどの硬質物質からなる。さらに好ましくは、反応チャンバ壁は、耐候性で良好な熱伝導性を有するステンレススチール又はインコネルからなる。
【0036】
好ましい実施形態において、反応チャンバは、マイクロチャネル熱交換器と熱接触状態にある。反応チャンバと熱交換器とのこの組合せは、結果的に高速の熱移動を生じさせることができる。マイクロチャネル熱交換器の使用を含む例示及びより詳細な記述は、本願に参照として組み込まれる2000年1月27日出願の米国特許出願09/492.246により与えられる。好ましい実施形態において、装置及び方法は、少なくとも0.6W/cm3の熱流束(heat flux)を有する。
【0037】
マイクロチャネル熱交換器に代えて、又はこれに加えて、熱移動は、隣接する(又は熱的に接触している)反応チャンバの間で生じ、好ましくは、一つの反応チャンバ内での発熱反応からの熱が隣接する反応チャンバ内の吸熱反応に移動するように反応チャンバを結合することができる。
【0038】
幾つかの好ましい実施形態において、反応チャンバは、入口及び出口並びに入口から出口までの連続バルク流路を有する。これらの好ましい実施形態において、入口から出口に至る圧力降下は、システム入口圧力の好ましくは20%よりも小さく、より好ましくは10%よりも小さい。圧力降下は、好ましくは、350kPaよりも小さく、より好ましくは圧力降下は70kPaよりも小さい。低い圧力降下は、ポンプ及びコンプレッサなどの他のシステム機器のサイズ及び費用を低減させるために望ましい。他の実施形態において、反応チャンバは、多孔性プラグなどのバルク流に影響するセクションを含むものでもよい。
【0039】
平衡変換率は、古典的な態様で規定され、最大到達変換率は、反応器温度、圧力及び供給物組成の関数である。炭化水素蒸気改質反応の場合には、平衡変換率は、温度の上昇と共に増加し、圧力の増加と共に減少する。
【0040】
本明細書中に記載されている「多孔性触媒物質」とは、気孔容積が全体の多孔性物質の容積の5〜98%、より好ましくは30〜95%の多孔性物質をいう。物質の気孔容積の少なくとも20%(より好ましくは少なくとも50%)は、0.1〜300ミクロン、より好ましくは0.3〜200ミクロン、さらに好ましくは1〜100ミクロンの範囲の孔径(直径)を有する孔から構成される。気孔容積及び孔径分布は、水銀ポロシメトリ(mercury porisimetry)(孔の筒状幾何学形状を考える)及び窒素吸着により測定される。知られているように、水銀ポロシメトリ及び窒素吸着は、大きな孔径(30nmよりも大きい)をより正確に測定する水銀ポロシメトリと、小さな孔径(50nmよりも小さい)をより正確に測定する窒素吸着との相補的技術である。約0.1〜300ミクロンの範囲にある孔径は、ほとんどの気相触媒条件下で、物質を貫通させて分子を拡散させる。多孔性物質は、触媒自身であってもよいが、より好ましくは多孔性物質は、その上に堆積した単一の触媒物質又は複数の触媒物質の単層又は複数の層を有する金属、セラミック又は複合物担体を含む。好ましくは、担体は、金属フォーム又はセラミックフォームである。
【0041】
触媒の好ましい主要活性成分は、IUPAC群IIA、IVA、VA、VIA、VIIA、VIIIA、IB、IIB、IVB、ランタニド列及びアクチニド列にある元素を含む。触媒層も、存在する場合には、好ましくは多孔性である。触媒層の平均孔径(容積平均)は、好ましくは、担体の平均孔径よりも小さい。担体上に堆積した触媒層における平均孔径は、BET法でN2吸着により測定した場合に、好ましくは10-9m〜10-7mの範囲にある。より好ましくは、総気孔容積の少なくとも50容量%は、直径が10-9m〜10-7mの孔径範囲にある孔からなる。触媒層中のこれらの小さな孔内での拡散は、典型的には事実上クヌーセン拡散であり、孔の壁との分子衝突は、他の気相分子との分子衝突よりも頻繁に起こる。
【0042】
好ましい実施形態において、触媒は、反応チャンバに利便に挿入でき且つ反応チャンバから利便に取り除くことができるインサートの形態である。反応チャンバ(同じタイプ又は異なるタイプのいずれか)は、触媒の多数のタイプと直列に組み合わせてもよい。例えば、反応物質を、第1のタイプの触媒を含有する第1の反応チャンバに通過させ、このチャンバからの生成物を、第2のタイプの触媒を含有する次の反応チャンバ(又は同じ反応チャンバの次のステージ)に通過させ、ここで生成物(より正確に言えば、中間体)をさらに所望の生成物に転化させることもできる。所望であれば、追加の反応物質を次の反応チャンバに添加してもよい。
【0043】
本発明の触媒プロセスは、アセチル化、添加反応、アルキル化、脱アルキル化、水素添加脱アルキル化、還元アルキル化、アミノ化、芳香族化、アリール化、自熱改質、カルボニル化、脱カルボニル化、還元カルボニル化、カルボキシル化、還元カルボキシル化、還元カップリング、濃縮、クラッキング、水素添加分解、環化、シクロオリゴマー化、脱ハロゲン化、二量化、エポキシ化、エステル化、交換、フィッシャー-トロプシュ、ハロゲン化、水素添加ハロゲン化、同族体化、水化、脱水、水素添加、脱水素、ヒドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ヒドロメタレーション、ヒドロシレーション(hydrosilation)、加水分解、水素処理(HDS/HDN)、異性化、メチル化、ジメチル化、メタセシス、硝酸塩化、酸化、部分酸化、ポリマー化、還元、改質、逆水性ガスシフト、スルホン化、テロメル化、エステル交換反応、三量化、及び水性ガスシフトを含む。
【0044】
本発明の別の利点は、短い接触時間で良好な収率を得ることができることである。好ましい方法において、接触時間は、100ミリ秒(ms)よりも短く、より好ましくは50msよりも短く、さらにより好ましくは1〜25msの間である。チャネル長さを同時に短くしながら、バルク流及び多孔性触媒の間の拡散距離を短くすることによって、接触時間を短縮することができる。これらの接触時間にて、炭化水素蒸気改質の好ましい実施形態において、少なくとも1の反応チャンバの始端に入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%を水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化する。同様の改良は、他のプロセスでも得られる。
【0045】
図8aは、約2mm以下の少なくとも1の寸法を有する第1の区画室804と、多孔性触媒物質806と、第2の区画室808と、を有する反応チャンバ802を示す。この反応チャンバは、幾つかの方法で用いることができる。例えば、第1の反応物質(例えばメタン)810を第1の区画室に通過させて、第2の反応物質(例えば水)812を第2の区画室に通過させて、この態様にて多孔性物質806内で反応を制御することによって、触媒反応を注意深く制御することができる。圧力差を制御することにより、又は第1の区画室に栓をすることにより(例えばプラグ814)、流を制御し、多孔性物質内で形成された生成物を出口816に向かわせることができる。
【0046】
図8kは、流分配層862(典型的には、ランダムに、規則的に又は離隔している孔、スロット、ホールなどを有するシート)が供給物864を反応チャンバ866の長さ方向に沿って分配する装置860を示す。反応チャンバ866は、好ましくは、多孔性触媒物質868(反応チャンバの長さ方向に沿う単一の層として図示されていて、低い圧力降下を可能とするが、多孔性触媒物質は本明細書に記載されている任意の形状を有するものでよい)を含む。生成物870は、反応チャンバを出る。供給物を分配することによって、反応物質の一つの局部的な分圧をより低くする。これは、局部的な濃度が他方の反応経路上にある一方の反応経路に好ましい傾向にあるような事実上平行又は直列である反応にとって有利である。例えば、望ましくない深い位置にある酸化生成物よりも所望の生成物に対する選択率を増加させるこの分配された供給物アプローチによって、部分酸化反応が改良され得る。
【0047】
図8bは、本発明の反応チャンバの一実施形態を示し、ここでバルク流路820は多孔性触媒物質822の間に配設されているが、幾らかの流は、多孔性触媒物質中の大きな孔を貫通して対流的に移動してもよい。大きな孔を貫通する流は、多孔性インサートの孔径が増加して、開放領域の流体の直径よりも一桁小さい程度に近づいた場合に、増加する。この反応チャンバは、触媒のリング又は触媒の部分的なリングを有するチューブとして構成されてもよいが、好ましくは平面的配置である。平面的配置により、追加の反応チャンバ、熱交換器などの他の構成要素と一緒に反応チャンバを経済的に積み重ねることができる。バルク流路の連続的に直通する形状は、低い圧力降下で気相触媒を作用させる機会を創り出す。
【0048】
図8c及び8dは、連続流路828、832が低い圧力降下で触媒を作用させながら、波形触媒インサート826が気相触媒用の大きな表面積を与える反応チャンバ形状を示す。インサート826は、多孔性触媒物質の表面コーティングを有するか、あるいは好ましくは多孔性触媒物質からなるかのいずれかである。同様の形状は、図9dに示されている。
【0049】
図8eは、波形多孔性触媒物質826が、気体流が触媒を部分的に貫通して流れ且つ触媒周囲に流れるように反応チャンバ内に配設されている実施形態を示す。この形状は、多孔性触媒との接触を確実にさせる。しかし、この形状は、圧力降下が非常に高いという欠点と、活性触媒表面との反応物質とのより緊密な接触の利点とを有する。
【0050】
図8f及び8gは、触媒ファイバー836、838を利用する。これらのファイバーは、例えば、多孔性セラミック、金属又は複合物のファイバーであってもよい。平行なファイバー836は、圧力降下が少ないので、好ましい。ファイバー838は、反応チャンバを貫通する蛇行流を生じさせる。いずれの場合にも、触媒ファイバーは、粉末よりも好ましい。なぜなら、触媒ファイバーは、圧力降下が小さく、良好な熱伝導性を有し、触媒に対してより均一で制御された表面を与えることができるからである。触媒壁840、842は、セラミック(高温操作用)、金属(良好な熱伝導性用)、複合物、又は多孔性触媒(追加の反応性及び/又は気体成分の添加又は除去用)であってもよい。
【0051】
図8h及び8iは、バッフル846、848を有する反応チャンバを示す。バッフル846は、多孔性触媒物質からなるか又は多孔性触媒でコーティングされているプレート又はロッドを含む。バッフル848は、多孔性触媒物質からなるプレート又はロッドである。流は、平行849又は非平行847のいずれもよく、異なる反応物質が異なる方向に流れてもよい(例えば、直交する反応物質流)。いずれの場合にも、チャンバを貫通する連続バルク流がある。これらのバッフルは、渦流を生じさせ、気体状反応物質と触媒との接触を強める。好ましくは熱伝導性金属を含むバッフルは、反応器壁との良好な熱移動を与える。反応チャンバ壁854は、壁842として上述した物質と同じ物質からなるものでもよい。
【0052】
図8jは、多孔性触媒マトリックス物質850を示し、その中に連続バルク流チャネル852がある。マトリックス850は、反応チャンバ壁であってもよく、あるいは全体の物品855が開口に嵌合するインサートであってもよい。好ましくは、マトリックス物質は、1〜10,000個のバルク流チャネル852を含み、より好ましくは5〜1000個のバルク流チャネル852を含む。好ましい実施形態において、バルク流チャネル852は、本質的に直線である。別の実施形態において、これらのチャネルは、蛇行している。さらに別の実施形態において、チャネル852は、触媒物質で充填されていて、反応物質及び生成物のバルク流は、基本的にマトリックスを貫通する。
【0053】
図9aは、反応チューブ/チャンバ904を有する反応器902を示す。反応チューブ/チャンバ904の各々は、本明細書に記載されている任意の形状の多孔性触媒物質(図示せず)を含み得る。これらのチューブの外側には、バルク流容積906がある。好ましい実施形態において、熱交換流体は、バルク流容積を貫通して流れ、熱交換流体の流は、気体状反応物質及び生成物の流に対して、交差流でも、並行流でも、対向流でもよい。
【0054】
図9bは、多孔性触媒物質908が反応チャンバ壁910に直接接触せずに反応チャンバ内に配設されている構成を示す。別の実施形態(図示せず)において、多孔性触媒物質908は、大きな孔構造体(ここで分子拡散が生じる)のコアと、外側の小さな孔構造体(これを通して、クヌーセン拡散が生じる)とを含む。触媒は、小さな孔構造体上、大きな孔構造体上、あるいは両者の上にコーティングされていてもよい。
【0055】
図9cの頂部は、バルク流路912及び多孔性触媒物質914、916を有する反応チャンバ911を示す。多孔性プラグ916は、バルク流路912を通過した後に未反応のまま残っている任意の気体状反応物質に、触媒を接触させるように作用する。この例及び他の図面における流の形態は、典型的には、レイノルド数が2000よりも少ない古典的な拡散に基づく層流である。流の形態は、マイクロチャネル内で変動しても乱れてもよいが、これは一般的ではない。すべての分子が多孔性触媒に拡散して反応する機会を有するわけではない。壁に拡散して反応しないこれらの分子については、これを「スリップ」という。よって、全体の反応器変換率は、到達し得ると示唆される平衡よりも数パーセント低いかもしれない。反応器長さの一部に対して、全断面を貫通する多孔性触媒物質を用いることで、スリップを減少させ、全体の変換率を平衡に近づけることができる。
【0056】
図9cの底部は、多数の反応チャンバ922及び1個の混合チャンバ924からなる反応器を示す。混合チャンバは、少なくとも2個の反応チャンバ922からの気体を組み合わせる。混合チャンバは、潜在的な層流流線を混合することにより、多数の反応チャンバの間の濃度を等しくするように補助し、及び反応物質の中心でのスリップを減少させることにより、少なくとも2個の反応チャンバを1個のチャンバに統合した場合よりも高い全体の変換率を達成するように補助する。
【0057】
図9eは、少なくとも2個の反応チャンバ930、932からのバルク流が多孔性物質934に流入する反応器を示す。操作の別モードにおいて、流は、流路930に入りこれを貫通して、多孔性物質934を貫通して、流路932から出る。この実施形態は、潜在的な反応物質のスリップを減少させ、全体の反応器変換率を平衡時に予測された変換率に近づけるようにも作用する。
【0058】
図9fは、気体状反応物質が約2mm以下の寸法を有する第1の区画室936に入り、多孔性触媒物質938を対流移動し、多孔性触媒940を貫通して対流移動するフォーク形状を示す。区画室936内を移動する間、供給物は、多孔性触媒に拡散して反応する。多孔性触媒940から出る気体は、第2の区画室942に流入する。区画室936及び942は、オフセットされていてもオフセットされていなくてもよい。多孔性分割器938をオフセットさせることによって、隣接する第1の区画室内での気体流は、さらに混合されて、反応物質のスリップを減少させる。
【0059】
図9gは、供給物が第1の流路内で多孔性触媒の一側面に沿って流れ、少なくとも1回曲がって、次いで多孔性触媒の他側面に沿って反対の流方向に戻り、少なくとも1の第2の流路を形成する流の形状を示す。別の形状において、第2の流路に対して、第2の触媒を用いてもよい。別の形状において、壁が、第1の流路及び第2の流路内で用いられる多孔性触媒を分離させてもよい。
【0060】
図10a〜10cは、熱交換器504が多孔性触媒シート502、506の2層の間に配設されている本発明の別の側面を示す。これらの層は、シートとして、あるいは一体装置として組み立てられてもよい。好ましい実施形態において、第1の多孔性触媒シート502に入る気体は、次いで、熱交換器504内の少なくとも1列のマイクロチャネルを通過して、第2の多孔性触媒シート506に向かって移動する。チャンバ502内の発熱反応からの熱を取り除くため、あるいはチャンバ502内の吸熱反応の場合に熱を加えるため、熱交換器504に、別個の熱交換流体があることが好ましい。熱交換流体の流は、並行流、対向流又は交差流のいずれでもよい。別の実施形態において、熱交換器502は、復熱型熱交換モードで操作し得るものであり、冷たい反応物質は、熱交換器504内の少なくとも1の第1列マイクロチャネル内で予加熱され、502内の反応チャンバに供給されて、発熱反応を受け、次いで、熱交換器504内の少なくとも1の第2列マイクロチャネル内で冷却される。第2列マイクロチャネルは、熱交換器504内の第1列マイクロチャネルと熱交換する。熱交換チャンバ504を貫通して移動する第1の反応チャンバ502からの生成混合物は、次いで、少なくとも1の第2の反応チャンバ506に移動して、異なる反応若しくは同様の反応を受ける。
【0061】
この交互の構造は、任意の所望数の層として繰り返されてもよい。好ましい実施形態において、図10aに示した層は積層されてもよく、積層体の周囲に壁を置いて反応器を形成してもよい。反応器は、反応物質の流入及び生成物の流出並びに熱交換流体の流を制御するために適切な開口、バルブなどを有する。多孔性触媒層は、同一でも異なっていてもよい。例えば、第1の触媒層502からの生成物を、第2のシート506での1種以上の多孔性触媒(第1の層上の触媒とは異なる)を用いる第2の反応(第1の反応とは異なる)に供して、異なる生成物を形成してもよい。多孔性触媒層は、好ましくは本明細書に記載されている多孔性触媒物質からなる複数の層を貫通して気体を流すことができるために十分な多孔度を有するものでなければならない。多孔性触媒層502及び好ましくは他の多孔性触媒層(例えば506)は、層を貫通する連続チャネルを有するべきである。これらのチャネルの最も小さい幅寸法又は高さ寸法は、0.1μm〜約2mmであり、好ましくは0.3μm〜2mmである。多孔性触媒物質は、層を貫通して移動する気体が多孔性触媒物質と接触するように、層内に配設される。これらのチャネルは、本明細書に記載されている任意の反応チャンバであってもよい。チャネルの長さは、2mmよりも短い任意の長さでよい。
【0062】
別の側面において、本発明は、1つの多孔性触媒層502及び熱交換器504を含む化学反応器を含むものとして定義することもできる。場合によって、熱交換器を貫通する流体流は、本明細書に記載されている任意の反応チャンバなどの反応チャンバに向かうこともできる。
【0063】
熱交換器は、好ましくはマイクロチャネル熱交換器である。図10cに示したように、任意の層からの流の一部が上流に循環して戻されて、再び積層体の全体又は一部を貫通して流れるように、積層体として構成されてもよい。循環は、変換率が熱力学的に達成し得るものである場合には、変換率を増加させるために望ましい。別の構成として、より初期の反応区域へ戻る循環経路上にある生成物を未反応供給物から分離してもよい。
【0064】
図10dにおいて、生成物は、メンブラン又は吸着剤などの活性分離剤522を使用して形成された場合に、反応チャンバ502から分離されてもよい。生成物の連続的な除去により、さもなければ平衡に制限される反応を完了させることができる。多孔性触媒524から出て拡散する生成物は、さらに開放領域526を横断して、反対側の壁上の活性分離剤まで拡散する。例えば、分離剤522は、水素気体の選択的除去用のパラジウムメンブランでもよい。図10eに示した別の実施形態において、生成物は、多孔性触媒を貫通して、活性分離剤である隣接する壁まで拡散してもよい。
【0065】
実施例1
メタン蒸気改質用1マイクロチャネルを用いる本発明を示すために実験を行った。マイクロチャネルをチューブ炉内に置いて、必要な吸熱反応熱を与えた。マイクロチャネルは、長さ1.52cm、高さ0.66cmであった。マイクロチャネルの幅(又は開口)は、0.0762cmすなわち762ミクロンであった。0.0762cm幅は、両側の壁をカバーする各々254ミクロンの幅を有する2個の多孔性構造体を含み、2個の多孔性構造体の間に254ミクロンのバルク流路を含むものであった。多孔性構造体は、Technetics(Deland, Florida)から入手したFeCrAl合金の金属フェルト上の13.8%-Rh/6%-MgO/Al2O3触媒を含有していた。13.8wt%Rh/6wt%MgO/Al2O3粉末触媒は、(1)高い表面積のγ−アルミナを500℃で5時間、焼成し、(2)硝酸マグネシウムの水溶液による初期湿潤方法(incipient wetness method)を用いてMgOをγ−アルミナに含浸させて、MgO修飾γ−アルミナ担体(MgO modified gamma alumina support)を得て、(3)修飾担体を110℃で4時間乾燥させ、(4)900℃で2時間、第2の焼成を行い、(5)硝酸ロジウム溶液からの初期湿潤方法で、修飾担体にRh2O3を含浸させ、(6)110℃で4時間の最終乾燥を行い、(7)500℃で3時間の最終焼成を行い、担持触媒の粉末を得る、ことによって調製した。粉末触媒を一晩ボールミルで粉砕して、所望のローディングが達成されるまで、FeCrAlフェルト上にスラリーディップコーティングを行った。コーティング済み触媒を90℃で一晩乾燥させ、350℃で4時間焼成した。触媒評価の前に、触媒を10%H2/N2(100cc(STP)/min)中で110℃で4時間かけて還元した。
【0066】
メタン入口流速は、標準状態で50.3cc/minであり、水(液体)流速は7.3mL/hrであった。これは、約3:1の蒸気対炭素の比率に相当する。メタン及び水を、マイクロチャネルに入れる前に、反応温度近くまで予加熱した。多孔性構造体の間のバルク流路内にある気体流は、約500よりも小さいレイノルド数を有していて、分子拡散は、反応物質及び生成物を、触媒を含有する各孔表面へ及び各孔表面から移動させた。
【0067】
結果をTable1-1(非常に短い滞留時間(10ミリ秒よりも短い)に対する温度の関数としての性能)に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例2
燃料燃焼器700、水蒸発器702、反応物質予加熱熱交換器704、及び蒸気改質ユニット706を含む図7aに示す装置を利用して、実験を行った。蒸気改質ユニット706は、各々、長さ2.79cm、高さ2.54cm、幅750ミクロンの12個の平行なチャネル(図7b)1,2,3…12で構成されていた。多孔性構造体106は、Technetics(Orlando, Florida)から入手した35%〜90%の範囲の多孔度を有する幅約250ミクロンのフェルトFeCrAl合金であった。チャネル長さ及び高さにほぼ等しい長さ及び高さを有する金属フェルトの片を、実施例1に記載したと同じスラリーディップ方法及び粉末触媒を使用して、触媒でコーティングした。これらのフェルトを、各チャネル内に約250ミクロンのバルク流路を残して、チャネルの両側にある壁上に固着させた。反応器マイクロチャネルを、熱交換チャネルa,b,c…mで挟んで、吸熱反応熱を与えた。隣接する(及び差し込まれている)平行な熱交換マイクロチャネル(全部で13個)を反応マイクロチャネルに対して密閉するようにシールして、触媒物質の周囲への反応物質のバイパスを防止した。熱交換マイクロチャネルは、反応マイクロチャネルとほぼ同じ高さ及び長さを有していた。各熱交換チャネルの幅は、508ミクロンであった。蒸気改質ユニット内の熱交換流体402は、水素(20SLPM供給物)及び過剰の空気(168SLPM供給物)の燃焼生成物であった。燃焼生成物402を、反応物流102の方向に、交差流形状で供給した。
【0070】
反応物質は、それぞれ、1SLPM及び2.81SLPM(すなわち2.26mL/min液体)の流速で蒸気の形態であるメタンと水であった。気体時間当たり空間速度は、9.2ミリ秒の滞留時間に対応する約100,000hr-1であった。反応器入口温度は、メタンと蒸気との混合物を受け入れる736℃であった。マイクロチャネル蒸気改質ユニットを介しての圧力降下は、0.6psiよりも小さかった。
【0071】
メタンの生成物変換率は79%で、CO選択率は65%であった。
実施例3
反応チャンバ内での種々の触媒形状の効果を評価するために、蒸気改質実験を行った。種々の構造を有する加工触媒を合成して、実施例1に記載したと同じ手順を用いて活性化した。フェルト及び襞物質は、Technetics(Deland, Florida)から購入したFeCrAl合金ファイバーから形成された多孔性物質である。
【0072】
触媒を、ぴったりと嵌合するように単一チャネル装置内に挿入した。すべての触媒を、単一チャネル装置内で評価した。単一チャネル装置をチューブ炉内に置いた。炉の頂部ゾーン内で反応物質を予加熱して、下降流モードで単一チャネル装置内に導入した。メタンの蒸気改質を、固定した接触時間、蒸気対炭素比2/1、及び850℃に維持した温度(チャンバ温度を熱電対で連続モニタした)で行った。流出速度をバブル流速計で測定し、生成物をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。テストした触媒形状及び流れ方向を図11の底部に示す。圧力は、0〜350psigの範囲であった。実施例3に記載したすべての実験について、加工触媒を横断する圧力降下を測定したところ、0.2psigよりも小さかった。接触時間は、触媒チャンバ容積により割られた標準温度、標準圧力での総供給気体容積である。
【0073】
単一フェルト(0.01”×0.35”×2”/0.025cm×0.88cm×5.0cm)担持触媒を、単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)内でテストした。フェルトを、単一チャネル装置の真ん中に置いて、触媒がチャネル壁と接触しないコンセプトによる流をシミュレートした。この場合、触媒チャンバ容積は、単一チャネル容積(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)そのものに限定される。
【0074】
二重フェルト形状内の各フェルト触媒は、単一フェルト(0.01”×0.35”×2”)の寸法と同一寸法を有し、単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)内で評価した。0.01”のギャップを有する2枚のフェルトを単一チャネル装置内に置いて、両方のフェルトが壁に近接して接触するようにした。再び、触媒チャンバ容積を単一チャネル容積として定義した。
【0075】
0.01”(0.025cm)の厚みを有するフェルトを襞と呼ばれる波形にした。この実験において研究した襞は、0.117”(0.295cm)の固定波長さ及び0.05”(0.127cm)の固定広がりを有する。襞の寸法は、0.35”(0.88cm)幅及び2”(8.0cm)長さである。反応物質は、波に直交する方向に流れる。単一の襞を、触媒チャンバ容積を限定する単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”)内にぴったりと嵌合させた。二枚の同一の襞の間に詰め物(0.01”×0.35”×2”/0.025cm×0.88cm×5.0cm)を置いて二枚の同一の襞を重ねて、二重襞形状を設計した。より広い単一チャネル装置(0.11”×0.35”×2”/0.28cm×0.88cm×5.0cm)内で、二重襞を評価し、触媒チャンバ容積を限定する。
【0076】
実験データを図11〜12に示す。このデータに対して、実験誤差は約5%であった。比較のため、これらの図には実験条件下での平衡変換率も含む。実験した圧力範囲にわたって、すべての4種の触媒構造体は、短い接触時間(<50ms)で高い変換率(>50%)により示されるかなり高い活性を示す。
【0077】
最もよい結果は、二重フェルト形状を用いて得られた。この形状において、28msと14msの接触時間の間に顕著な相違は見られず、7msの接触時間があまり効果的でない変換率を示した。総体的に、加工触媒構造体の活性は、二重フェルト>単一襞>二重襞>単一フェルトの順番で減少した。容積当たりの触媒部位密度も活性と同じ傾向を示すことは注目すべきことである。触媒部位密度に加えて、熱転移特性も種々の構造体で同一ではなく、熱転移率は、活性の順番と同じ順番で減少すると推測される。
【0078】
固定された温度、圧力及び供給物化学量論の下で、種々の加工構造体の活性をランク付けするために、メタン変換率及び接触時間を含む情報を用いることができる。一般に、接触時間が長くなるほど、変換率は高くなる。図12は、単一フェルトと二重フェルトとの間での活性を比較する。接触時間を除く同一条件下で、単一フェルトの活性は、接触時間が3倍(45.9ms対13.75ms)であっても、二重フェルトの活性よりもまだ低い。図11は、単一襞と二重襞との間での活性を比較する。同一条件(15ms接触)下で、単一襞は、二重襞よりも10%高い変換率を示す。図11は、同一接触時間(7.5ms)にて、二重フェルトが少なくとも10%だけ単一襞よりも優れていることを示す。二重フェルトが単一フェルトの3倍高い活性を示すが、二重フェルトが単一襞よりもわずかに10%高い活性を示すだけであり、単一襞が二重襞よりもわずかに10%高い活性を示すだけであるから、二重襞が単一フェルトよりも活性であることは容易に推論できる。
【むすび】
【0079】
本発明の好ましい実施形態を示して記載したが、当業者には本発明の広い側面から逸脱しない限り多くの変形及び変更がなされてもよいことが明らかであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲内にあるすべての変形及び変更を包含することを意図するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応器及び気相反応物質触媒反応方法に関する。
本明細書において、「分子状拡散」とは、層流、遷移流又は乱流中の流体の隣接する層の間のブラウン運動に基づく物質移動の古典的な意味において用いられ、流れていない流体の隣接する層の間の物質移動を含む。
【0002】
本明細書において、「クヌーセン拡散」とは、クヌーセン流すなわち自由分子流を意味し、分子の平均自由経路は、流場の特性寸法、例えば分子が貫通して拡散する物質の孔径に比べて長い。クヌーセン拡散において、分子は、典型的に、他の気相分子ではなく壁と衝突する。
【背景技術】
【0003】
多くの触媒反応は、気相反応物質、例えば蒸気改質、部分酸化、水性ガスシフトその他で始まる。しかし、物質移動制限及び熱移動制限ゆえに、設備、特に反応器容量が一般的に大きい。慣用の反応器は、約1,000〜約3,600hr-1の気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)で操作される。換言すれば、熱移動制限及び物質移動制限ゆえに、接触時間は、1秒よりも長い。
【0004】
これらの問題が認められており、マイクロチャネル反応器を考慮する研究がなされている。なぜなら、マイクロチャネルは、熱移動及び物質移動に対する抵抗が少なく、プロセス設備容積を劇的に減少させるチャンスを創り出すからである。マイクロチャネル反応器の数タイプが文献に記載されている。
【0005】
Franzら,1998及びLoweら,1998は、マイクロチャネル壁に、直接、活性触媒のコーティング(Pt、Ag又は他の貴金属)を適用することを報告している。このアプローチは、使用可能な表面領域がマイクロチャネル壁の表面領域のみであるという欠点を有する。
【0006】
Weissmeier及びHonicke,1998a-bは、触媒が堆積しているマイクロチャネル壁材料から直接多孔性界面を作ることを報告している。アルミニウム壁をアノード化して、ナノメータ範囲の平均孔径(クヌーセン拡散のみを可能とする)及び数十ミクロン範囲の厚みを有する多孔性アルミニウム界面を創る。このアプローチの欠点は、アルミニウムのみに適用可能で、表面領域が制限されることを含む。アノード化された壁は、700本の同一のマイクロチャネルの二次元列を形成した。
【0007】
Tonkovich/Zilkaら,1998は、充填されたマイクロベッドとして、一列の平行なマイクロチャネル内に直接触媒粉末を充填することを報告した。欠点は、充填されたマイクロベッドに流体を流通させることによって、比較的大きな圧力降下を創り出す傾向があることであった。
【0008】
Tonkovich/Zilkaら,1998は、キャビティ(マイクロチャネルよりも大きい)内に金属ニッケルフォーム上に担持されたパラジウム触媒を置いて、次いで、マイクロチャネル列への流出分を熱交換器に送ることを報告した。欠点は、金属フォームを貫通する大きな圧力降下であった。
【0009】
よって、低い圧力低下を伴う小さな反応器容積を有する速い運動での触媒反応用化学反応器が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Franz, A.J., Quiram, D., Srinivasan, R., Hsing, I-M., Firebaugh, S.L., Jensen,K.F., and M.A.Schmidt, 1998, New Operating Regimes and Applications Feasible with Microreactors, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p33-38.
【非特許文献2】Lowe, H., Ehrfeld, W., Gebauer, K., Golbig, K., Hausner, O., Haverkamp, V., Hessel, V., and Richter, Th., 1998, Microreactor Concepts for Heterogeneous Gas Phase Reactions, Proceeding of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, Louisiana, p63-74.
【非特許文献3】Tonkovich, A. Y., Zilka, J.L., Powell, M. R., and C.J. Call, 1998, The Catalytic Partial Oxidation of Methane in a Microchannel Chemical Reactor, Proceedings of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, LA, p.45-53.
【非特許文献4】Tonkovich, A. Y., Jimenez, D. M., Zilka, J. L., LaMont, M., Wang, Y., and R. S. Wegeng, 1998, Microchannel Chemical Reactors for Fuel Processing, Proceedings of the Second International Conference of Microreaction Technology, March 1998, New Orleans, LA, p.186-195.
【非特許文献5】Weissmeier, G., and Honicke, D., 1998a, Strategy for the Development of Micro Channel Reactors for Heterogeneously Catalyzed Reactions, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p.24-32.
【非特許文献6】Weissmeier, G., and Honicke, D., 1998b, Microreaction Technology: Development of a microchannel reactor and its application in heterogeneously catalyzed hydrogenation, Proceedings of the Second International Conference on Microreaction Technology, New Orleans, LA, p.152-153.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面において、本発明は、分子拡散を可能とする多孔度を有する多孔性構造体である触媒物質を提供する。一実施形態における多孔性構造体は、長さ、幅及び厚みを有し、多孔性構造体は、少なくとも1のマイクロチャネルの少なくとも1の壁の少なくとも一部を画定する。
【0012】
本発明は、少なくとも1の多孔性触媒物質と少なくとも1の開放領域とを含む少なくとも1の反応チャンバであって、該少なくとも1の反応チャンバの各々が反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する化学反応器を提供する。内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する。少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有する。チャンバ高さ又はチャンバ幅が2mm以下であるポイントにて、チャンバ高さ及びチャンバ幅は断面積を画定する。断面積は、多孔性触媒物質及び開放領域を含み、多孔性触媒物質は断面積の5%〜95%を占め、開放領域は断面積の5%〜95%を占める。断面積中の開放領域は、5×10-8〜1×10-2m2の連続領域を占め、多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する孔を含む。
【0013】
別の側面において、本発明は、少なくとも10の長さ対厚みの比率を有する触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルがある少なくとも1の反応チャンバを含む化学反応器を提供する。ここで、少なくとも1の反応チャンバは、反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する。内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有し、少なくとも1の反応チャンバは、2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を含む。触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルは、反応チャンバを横断する圧力降下がシステム入口総圧力の20%よりも少なくなるように反応チャンバ内に配設されている。
【0014】
別の側面において、本発明は少なくとも3つの層を含む化学反応器を提供する。第1の層は、第1の多孔性触媒物質を含み、第2の層は熱交換器及び第2の層を貫通する少なくとも1の流体流路を含む。第2の層は、第1の多孔性触媒物質を通過する流体が少なくとも1の流体流路を通過できるように反応チャンバ内に配設されている。第3の層は、第2の多孔性触媒物質を含み、第3の層は、第2の層を通過する流体が第2の多孔性触媒物質を通過できるように反応チャンバ内に配設されている。第1の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを含む。連続チャネルは、0.1μm〜2mm以下のチャネル高さ及び/又はチャネル幅を有する。第1の多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、気孔容積の20%以上は、0.1〜300ミクロンのサイズを有する孔を含む。
【0015】
本発明はさらに、炭化水素蒸気改質方法を含む。この方法において、蒸気及び炭化水素を含む反応物質流は、少なくとも1の反応チャンバに通過する。反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有する。チャンバ高さ又はチャンバ幅は2mm以下である。各反応チャンバは、始端及び終端を有する。チャンバ長さは、反応チャンバの始端から終端までの距離である。反応チャンバの始端に入る反応物質流は、反応チャンバを出る生成物流に転化される。この生成物流は、水素、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素を含む。少なくとも1の反応チャンバの始端に入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%は、水素、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素に転化される。プロセスは、炭化水素が300ミリ秒よりも短い接触時間を有する条件下で行われる。
【0016】
本発明は、さらに、化学反応器内で化学反応を行わせる方法を提供する。この方法において、気体状反応物質は、第1の区画室に入る。化学反応器は、多孔性触媒と、第1の区画室と第2の区画室とを含む。第1の区画室及び第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする開放スペースを含む。第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有する。区画室高さ又は幅は、約2mmよりも短い。多孔性触媒物質は、第1の区画室と第2の区画室との間に配設されている。気体状反応物質は、多孔性触媒物質内で反応する。
【0017】
別の側面において、本発明は、気体状反応物質が第1の区画室に通過する化学反応器内で化学反応を行わせる方法を提供する。反応チャンバは、第1の区画室と、第2の区画室と、第1の区画室及び第2の区画室の間に配設されている隔壁と、を含む。隔壁は、第1の流体分配層又は分離剤を含む。第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有する。第1の区画室は、多孔性触媒物質と、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースと、を含み、約2mm以下の区画室高さ又は区画室幅を有する。この方法において、気体は、隔壁を通して移動する。好ましい実施形態において、隔壁は、流分配層を含み、気体状反応物質は、流分配層を通して第2の区画室から第1の区画室へと対流移動し、流分配シートを通過して移動した後、第1の区画室内に含まれている多孔性触媒物質内で反応する。別の実施形態において、隔壁は、第1の区画室内で形成された生成物を選択的に分離できるか又は分配供給用途で用いるため空気から酸素などの反応物質を選択的に分離することができるメンブラン又は吸収剤を含む。
【0018】
本発明はさらに、少なくとも1の反応チャンバのバルク流路内に気体状反応物質を通過させる化学反応を行わせる方法を含む。バルク流路は、チャンバ長さ全体にわたり連続している。反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有する。少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有する。多孔性触媒物質は、内部容積内に配設されていて、多孔性触媒物質は、気体反応物質が多孔性触媒物質内で分子的に拡散できるように多孔性内部構造体を有する。気体反応物質は、多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成する。
【0019】
本発明の種々の側面を記載し、1又は2の反応チャンバとして請求されているが、本発明は、反応器が多数の反応チャンバを含む場合に最も効率的に操作することを想定しており、本発明は、ただ一つの反応チャンバを有する反応器及び方法に限定されるものではないことは理解されるべきである。多数の実施形態において、特徴的な寸法は約2mm以下とされているが、この範囲での物質移動及び熱移動が非常に効率的だからである。
【0020】
本明細書に記載されている実施形態及び反応チャンバ設計の多くは、種々の設計の組合せに良好に適することは理解されたい。例えば、図10d及び10eに示されている反応チャンバは、1つの層から別の層への流体を送るための導管(第2の触媒層から第1の触媒層に戻る導管など)と一体にされていてもよい。したがって、本発明は、本明細書に記載されている種々の設計及び実施形態の組合せを含むことは理解されるべきである。
【0021】
本発明の主題は、本明細書の一部である特許請求の範囲に特に指摘されている。しかし、機構及び操作方法、並びにさらなる利点及び目的は、添付図面を参照しながら下記説明を読むことにより、もっともよく理解されるであろう。なお、図面中、同じ要素には同じ符合を付す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、多孔性物質を有するマイクロチャネルの断面図である。
【図2】図2は、触媒物質を有する多孔性物質の断面図である。
【図3】図3は、多孔性物質により画定されるマイクロチャネルの断面図である。
【図4a】図4aは、熱移動マイクロチャネルにより包囲されている多孔性物質を有するマイクロチャネルの断面図である。
【図4b】図4bは、多孔性物質を有するマイクロチャネルの間に熱移動マイクロチャネルを有するマイクロチャネルの断面図である。
【図5】図5は、筒状多孔性物質の等角投影図である。
【図6】図6は、多孔性表面領域上に第2の多孔性物質を有する多孔性物質の断面図である。
【図7a】図7aは、マイクロチャネル蒸気改質システムのブロックダイアグラムである。
【図7b】図7bは、マイクロチャネル反応器の端面図である。
【図8a】図8aは、介在する多孔性触媒物質を有する区画室を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8b】図8bは、多孔性触媒層の間に配設されているバルク流チャネルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8c】図8cは、2本の波形触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8d】図8dは、触媒表面上の気体流を有する波型触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8e】図8eは、触媒を貫通する気体流を有する波形触媒を含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8f】図8fは、触媒物質のワイヤを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8g】図8gは、ファイバーを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8h】図8hは、多孔性触媒物質のコーティングを有するバッフルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8i】図8iは、多孔性触媒物質からなるバッフルを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8j】図8jは、バルク流チャネルを有する多孔性マトリックスを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図8k】図8kは、触媒含有区画室への流を分配する流分配シートを含む反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図9a】図9aは、熱交換流体の交差流を有する触媒チャネルの斜視図である。
【図9b】図9bは、反応チャンバの壁に直接接触しない多孔性触媒物質の断面図である。
【図9c】図9cは、頂部−多孔性プラグを有する反応チャンバ、底部−混合チャンバを有する多数の流チャネルを含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9d】図9dは、付形多孔性触媒物質を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9e】図9eは、多孔性触媒物質で充填されたu字形チャネルを含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9f】図9fは、多孔性分割器を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図9g】図9gは、多孔性触媒物質の層の間に流される混合反応物質流を含む反応チャンバ形状の概略図である。
【図10a】図10aは、多数の多孔性触媒物質シートを含む化学反応器の層を示す。
【図10b】図10bは、多孔性触媒物質の一層を示す。
【図10c】図10cは、化学反応器内での再循環流を示す概略図である。
【図10d】図10dは、生成物を選択的透過可能層を通して取り除くことができる反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図10e】図10eは、生成物を選択的透過可能層を通して取り除くことができる反応チャンバ形状の断面概略図である。
【図11】図11は、種々の反応チャンバ形状のメタン蒸気改質テストの結果を示す。
【図12】図12は、種々の反応チャンバ形状のメタン蒸気改質テストの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一側面において、本発明は、少なくとも1の気相反応物質による触媒化学反応用化学反応器を含む。反応器(図1)は、少なくとも1の反応物質102及び少なくとも1の生成物104の流用の少なくとも1の反応器マイクロチャネル100を有する。本発明による改良は、反応器がさらに、少なくとも1の反応物質102が反応して少なくとも1の生成物104を形成する多孔性構造体106を有することである。多孔性構造体106は、バルク流(反応物質102、生成物104)に抵抗し且つ分子的拡散(反応物質部分102a、生成物部分104a)を可能とする複数の孔200又は多孔度を有する。孔200は、触媒物質108が滞留する多孔性表面領域202により画定される。多孔性物質106は、さらに、長さL、幅(図示せず)及び厚みTを有し、幾つかの実施形態において、少なくとも1の反応物質102が通過するバルク流路の少なくとも1の壁の少なくとも一部分を画定する。
【0024】
マイクロチャネルは、バルク流路を画定する任意の断面からなるものでよく、1mmよりも短い特徴的な寸法により特徴づけられる。
操作時に、少なくとも1の反応物質102は、少なくとも1の反応器マイクロチャネル100に入り、バルク流路中を流れて多孔性物質106と接触する。少なくとも1の反応物質102aの一部は、多孔性触媒106内を横断するように分子拡散し、反応して、ここから、少なくとも1の生成物104aがバルク流路内を横断するように分子拡散し、こうして少なくとも1の生成物104を反応器から移動させる。
【0025】
気相反応物質触媒反応は、制限されるものではないが、蒸気改質、CO2改質部分酸化、塩素化、フッ素化、水素化、脱水素化、窒素化、水性ガスシフト、逆水性ガスシフト、自熱改質、燃焼、水素化分解法、水素化脱硫法を含む。蒸気改質において、気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)は、好ましくは10,000よりも大きく、より好ましくは50,000よりも大きく、10ミリ秒よりも短い滞留時間に対応する約100,000hr-1であってもよい。
【0026】
好ましい実施形態において、バルク流路の幅は、約1mm以下である。多孔性構造体106の厚みTは、約1mm以下であり、長さLは好ましくは約10cm以下のマイクロチャネルの長さに対応する。多孔性構造体106の幅は、変動してもよいが、バルク流路の周囲の少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%である。
【0027】
多孔性物質106は、触媒物質、例えば、フォーム又はフェルト形態の触媒金属又はセラミックでもよい。あるいは、多孔性物質106は、その上に置かれた触媒物質108を有する非触媒物質の多孔性担体であってもよい。多数の孔は、ハニカム又は平行多孔性構造体に見られるように幾何学的に規則性を有するものでも、又は曲がりくねっていたりランダムであってもよい。多孔度は、約30%〜約98%の範囲であってもよく、最も小さいマイクロチャネル寸法よりも小さな平均孔径を有する。好ましくは、孔径は、約0.1μm〜約200μmであり、分子拡散を可能とする。
【0028】
図3に示すように、多孔性物質106単独でマイクロチャネルを画定してもよい。この実施形態において、多孔性物質106の厚みTが少なくとも1の反応物質102又は少なくとも1の生成物104の熱移動流体との混合を防止するに十分な厚みである限り、熱移動流体を用いることも可能である。あるいは、生成物を、多孔性物質106を通して、収集されるべき第2の流体(図示せず)内に拡散させてもよい。
【0029】
多孔性物質106は、非多孔性物質、例えば図4a及び4bに示すように取り外し可能なインサートとしての金属の壁400に隣接して置いてもよい。非多孔性壁400を用いることで、少なくとも1の反応物質102及び/又は少なくとも1の生成物104とは異なる熱移動流体402を用いることができるようになる。熱移動流体402は、少なくとも1の反応物質102及び/又は少なくとも1の生成物104に対して、対向流、並行流、交差流又はこれらの組合せとして流れてもよい。
【0030】
本発明は、図5に示すように筒状幾何学形状を含み得る。内径は、マイクロチャネルを表し、約1mm以下の直径を有する。筒は、任意の閉断面形状でよい。多数の筒を用いることができる。筒は、多孔性物質106のモノリシックブロックを貫通する穴として形成されてもよい。別の穴を、反応物質/生成物用及び熱移動流体用に用いてもよい。
【0031】
反応器内での反応物質の滞留時間は、好ましくは、触媒物質に接触する反応物質の拡散時間よりも長い。幾つかの好ましい実施形態において、反応器を横断する圧力降下は、好ましくは、約0.1psi〜約5psiの範囲である。
【0032】
別の実施形態を図6に示す。ここで、多孔性物質106は、多孔性表面領域202上に第2の多孔性物質600を有する第1の多孔性物質である。触媒物質108は、第2の複数の孔602内に滞留する。第2の複数の孔602は、複数の孔200よりも小さく、第2の複数の孔602内では、主としてクヌーセン拡散が生じる。
【0033】
本発明の種々の実施形態及び反応チャンバに合わせて触媒を設計する方法を図8及び図9に示す。図面では、単一の反応チャンバを示すが、好ましい実施形態においては、容量を増加したい場合には一体の装置内で多数の反応チャンバ、好ましくは少なくとも5個の反応チャンバ、より好ましくは一体化された化学反応器内の100個の反応チャンバを用いる。幾らか低い容量の用途に対しては、1〜5個のチャネルだけが必要となるかもしれない。好ましくは、一体化化学反応器は、平行、直列又は両方に連結された多数の反応チャンバを含む。反応チャンバは、好ましくは、図7a及び7bに示すように、マイクロチャネル熱交換器又は装置などの他の要素と一体化されている。本発明の反応チャンバを一体化された装置内で使用することにより、慣用の装置で達成し得る容量よりも小さな容量で、非常に高い生成速度を得ることができる。
【0034】
「バルク流領域」とは、反応チャンバ内の開放領域をいう。連続バルク流領域は、大きな圧力降下なしに、気体を迅速に反応チャンバを貫通して流すことができる。好ましい実施形態において、バルク流領域内には層流がある。各反応チャンバ内のバルク流領域は、好ましくは5×10-8〜1×10-2m2の断面積、より好ましくは5×10-7〜1×10-4m2の断面積を有する。バルク流領域は、好ましくは、(1)反応チャンバの内容積又は(2)反応チャンバの断面積の少なくとも5%、より好ましくは30〜80%を構成する。
【0035】
反応チャンバは、高さ、幅及び長さの寸法を有する。高さ及び/又は幅は、好ましくは約2mm以下、より好ましくは1mm以下(この場合、反応チャンバは、マイクロチャネルの古典的定義に含まれる)である。反応チャンバの長さは、典型的には、より長い。好ましくは、反応チャンバの長さは、1cm以上、より好ましくは1〜20cmの範囲にある。典型的には、反応チャンバの側面は、反応チャンバ壁により画定される。これらの壁は、好ましくは、セラミック、スチールなどの鉄ベース合金又はモネルなどの硬質物質からなる。さらに好ましくは、反応チャンバ壁は、耐候性で良好な熱伝導性を有するステンレススチール又はインコネルからなる。
【0036】
好ましい実施形態において、反応チャンバは、マイクロチャネル熱交換器と熱接触状態にある。反応チャンバと熱交換器とのこの組合せは、結果的に高速の熱移動を生じさせることができる。マイクロチャネル熱交換器の使用を含む例示及びより詳細な記述は、本願に参照として組み込まれる2000年1月27日出願の米国特許出願09/492.246により与えられる。好ましい実施形態において、装置及び方法は、少なくとも0.6W/cm3の熱流束(heat flux)を有する。
【0037】
マイクロチャネル熱交換器に代えて、又はこれに加えて、熱移動は、隣接する(又は熱的に接触している)反応チャンバの間で生じ、好ましくは、一つの反応チャンバ内での発熱反応からの熱が隣接する反応チャンバ内の吸熱反応に移動するように反応チャンバを結合することができる。
【0038】
幾つかの好ましい実施形態において、反応チャンバは、入口及び出口並びに入口から出口までの連続バルク流路を有する。これらの好ましい実施形態において、入口から出口に至る圧力降下は、システム入口圧力の好ましくは20%よりも小さく、より好ましくは10%よりも小さい。圧力降下は、好ましくは、350kPaよりも小さく、より好ましくは圧力降下は70kPaよりも小さい。低い圧力降下は、ポンプ及びコンプレッサなどの他のシステム機器のサイズ及び費用を低減させるために望ましい。他の実施形態において、反応チャンバは、多孔性プラグなどのバルク流に影響するセクションを含むものでもよい。
【0039】
平衡変換率は、古典的な態様で規定され、最大到達変換率は、反応器温度、圧力及び供給物組成の関数である。炭化水素蒸気改質反応の場合には、平衡変換率は、温度の上昇と共に増加し、圧力の増加と共に減少する。
【0040】
本明細書中に記載されている「多孔性触媒物質」とは、気孔容積が全体の多孔性物質の容積の5〜98%、より好ましくは30〜95%の多孔性物質をいう。物質の気孔容積の少なくとも20%(より好ましくは少なくとも50%)は、0.1〜300ミクロン、より好ましくは0.3〜200ミクロン、さらに好ましくは1〜100ミクロンの範囲の孔径(直径)を有する孔から構成される。気孔容積及び孔径分布は、水銀ポロシメトリ(mercury porisimetry)(孔の筒状幾何学形状を考える)及び窒素吸着により測定される。知られているように、水銀ポロシメトリ及び窒素吸着は、大きな孔径(30nmよりも大きい)をより正確に測定する水銀ポロシメトリと、小さな孔径(50nmよりも小さい)をより正確に測定する窒素吸着との相補的技術である。約0.1〜300ミクロンの範囲にある孔径は、ほとんどの気相触媒条件下で、物質を貫通させて分子を拡散させる。多孔性物質は、触媒自身であってもよいが、より好ましくは多孔性物質は、その上に堆積した単一の触媒物質又は複数の触媒物質の単層又は複数の層を有する金属、セラミック又は複合物担体を含む。好ましくは、担体は、金属フォーム又はセラミックフォームである。
【0041】
触媒の好ましい主要活性成分は、IUPAC群IIA、IVA、VA、VIA、VIIA、VIIIA、IB、IIB、IVB、ランタニド列及びアクチニド列にある元素を含む。触媒層も、存在する場合には、好ましくは多孔性である。触媒層の平均孔径(容積平均)は、好ましくは、担体の平均孔径よりも小さい。担体上に堆積した触媒層における平均孔径は、BET法でN2吸着により測定した場合に、好ましくは10-9m〜10-7mの範囲にある。より好ましくは、総気孔容積の少なくとも50容量%は、直径が10-9m〜10-7mの孔径範囲にある孔からなる。触媒層中のこれらの小さな孔内での拡散は、典型的には事実上クヌーセン拡散であり、孔の壁との分子衝突は、他の気相分子との分子衝突よりも頻繁に起こる。
【0042】
好ましい実施形態において、触媒は、反応チャンバに利便に挿入でき且つ反応チャンバから利便に取り除くことができるインサートの形態である。反応チャンバ(同じタイプ又は異なるタイプのいずれか)は、触媒の多数のタイプと直列に組み合わせてもよい。例えば、反応物質を、第1のタイプの触媒を含有する第1の反応チャンバに通過させ、このチャンバからの生成物を、第2のタイプの触媒を含有する次の反応チャンバ(又は同じ反応チャンバの次のステージ)に通過させ、ここで生成物(より正確に言えば、中間体)をさらに所望の生成物に転化させることもできる。所望であれば、追加の反応物質を次の反応チャンバに添加してもよい。
【0043】
本発明の触媒プロセスは、アセチル化、添加反応、アルキル化、脱アルキル化、水素添加脱アルキル化、還元アルキル化、アミノ化、芳香族化、アリール化、自熱改質、カルボニル化、脱カルボニル化、還元カルボニル化、カルボキシル化、還元カルボキシル化、還元カップリング、濃縮、クラッキング、水素添加分解、環化、シクロオリゴマー化、脱ハロゲン化、二量化、エポキシ化、エステル化、交換、フィッシャー-トロプシュ、ハロゲン化、水素添加ハロゲン化、同族体化、水化、脱水、水素添加、脱水素、ヒドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ヒドロメタレーション、ヒドロシレーション(hydrosilation)、加水分解、水素処理(HDS/HDN)、異性化、メチル化、ジメチル化、メタセシス、硝酸塩化、酸化、部分酸化、ポリマー化、還元、改質、逆水性ガスシフト、スルホン化、テロメル化、エステル交換反応、三量化、及び水性ガスシフトを含む。
【0044】
本発明の別の利点は、短い接触時間で良好な収率を得ることができることである。好ましい方法において、接触時間は、100ミリ秒(ms)よりも短く、より好ましくは50msよりも短く、さらにより好ましくは1〜25msの間である。チャネル長さを同時に短くしながら、バルク流及び多孔性触媒の間の拡散距離を短くすることによって、接触時間を短縮することができる。これらの接触時間にて、炭化水素蒸気改質の好ましい実施形態において、少なくとも1の反応チャンバの始端に入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%を水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化する。同様の改良は、他のプロセスでも得られる。
【0045】
図8aは、約2mm以下の少なくとも1の寸法を有する第1の区画室804と、多孔性触媒物質806と、第2の区画室808と、を有する反応チャンバ802を示す。この反応チャンバは、幾つかの方法で用いることができる。例えば、第1の反応物質(例えばメタン)810を第1の区画室に通過させて、第2の反応物質(例えば水)812を第2の区画室に通過させて、この態様にて多孔性物質806内で反応を制御することによって、触媒反応を注意深く制御することができる。圧力差を制御することにより、又は第1の区画室に栓をすることにより(例えばプラグ814)、流を制御し、多孔性物質内で形成された生成物を出口816に向かわせることができる。
【0046】
図8kは、流分配層862(典型的には、ランダムに、規則的に又は離隔している孔、スロット、ホールなどを有するシート)が供給物864を反応チャンバ866の長さ方向に沿って分配する装置860を示す。反応チャンバ866は、好ましくは、多孔性触媒物質868(反応チャンバの長さ方向に沿う単一の層として図示されていて、低い圧力降下を可能とするが、多孔性触媒物質は本明細書に記載されている任意の形状を有するものでよい)を含む。生成物870は、反応チャンバを出る。供給物を分配することによって、反応物質の一つの局部的な分圧をより低くする。これは、局部的な濃度が他方の反応経路上にある一方の反応経路に好ましい傾向にあるような事実上平行又は直列である反応にとって有利である。例えば、望ましくない深い位置にある酸化生成物よりも所望の生成物に対する選択率を増加させるこの分配された供給物アプローチによって、部分酸化反応が改良され得る。
【0047】
図8bは、本発明の反応チャンバの一実施形態を示し、ここでバルク流路820は多孔性触媒物質822の間に配設されているが、幾らかの流は、多孔性触媒物質中の大きな孔を貫通して対流的に移動してもよい。大きな孔を貫通する流は、多孔性インサートの孔径が増加して、開放領域の流体の直径よりも一桁小さい程度に近づいた場合に、増加する。この反応チャンバは、触媒のリング又は触媒の部分的なリングを有するチューブとして構成されてもよいが、好ましくは平面的配置である。平面的配置により、追加の反応チャンバ、熱交換器などの他の構成要素と一緒に反応チャンバを経済的に積み重ねることができる。バルク流路の連続的に直通する形状は、低い圧力降下で気相触媒を作用させる機会を創り出す。
【0048】
図8c及び8dは、連続流路828、832が低い圧力降下で触媒を作用させながら、波形触媒インサート826が気相触媒用の大きな表面積を与える反応チャンバ形状を示す。インサート826は、多孔性触媒物質の表面コーティングを有するか、あるいは好ましくは多孔性触媒物質からなるかのいずれかである。同様の形状は、図9dに示されている。
【0049】
図8eは、波形多孔性触媒物質826が、気体流が触媒を部分的に貫通して流れ且つ触媒周囲に流れるように反応チャンバ内に配設されている実施形態を示す。この形状は、多孔性触媒との接触を確実にさせる。しかし、この形状は、圧力降下が非常に高いという欠点と、活性触媒表面との反応物質とのより緊密な接触の利点とを有する。
【0050】
図8f及び8gは、触媒ファイバー836、838を利用する。これらのファイバーは、例えば、多孔性セラミック、金属又は複合物のファイバーであってもよい。平行なファイバー836は、圧力降下が少ないので、好ましい。ファイバー838は、反応チャンバを貫通する蛇行流を生じさせる。いずれの場合にも、触媒ファイバーは、粉末よりも好ましい。なぜなら、触媒ファイバーは、圧力降下が小さく、良好な熱伝導性を有し、触媒に対してより均一で制御された表面を与えることができるからである。触媒壁840、842は、セラミック(高温操作用)、金属(良好な熱伝導性用)、複合物、又は多孔性触媒(追加の反応性及び/又は気体成分の添加又は除去用)であってもよい。
【0051】
図8h及び8iは、バッフル846、848を有する反応チャンバを示す。バッフル846は、多孔性触媒物質からなるか又は多孔性触媒でコーティングされているプレート又はロッドを含む。バッフル848は、多孔性触媒物質からなるプレート又はロッドである。流は、平行849又は非平行847のいずれもよく、異なる反応物質が異なる方向に流れてもよい(例えば、直交する反応物質流)。いずれの場合にも、チャンバを貫通する連続バルク流がある。これらのバッフルは、渦流を生じさせ、気体状反応物質と触媒との接触を強める。好ましくは熱伝導性金属を含むバッフルは、反応器壁との良好な熱移動を与える。反応チャンバ壁854は、壁842として上述した物質と同じ物質からなるものでもよい。
【0052】
図8jは、多孔性触媒マトリックス物質850を示し、その中に連続バルク流チャネル852がある。マトリックス850は、反応チャンバ壁であってもよく、あるいは全体の物品855が開口に嵌合するインサートであってもよい。好ましくは、マトリックス物質は、1〜10,000個のバルク流チャネル852を含み、より好ましくは5〜1000個のバルク流チャネル852を含む。好ましい実施形態において、バルク流チャネル852は、本質的に直線である。別の実施形態において、これらのチャネルは、蛇行している。さらに別の実施形態において、チャネル852は、触媒物質で充填されていて、反応物質及び生成物のバルク流は、基本的にマトリックスを貫通する。
【0053】
図9aは、反応チューブ/チャンバ904を有する反応器902を示す。反応チューブ/チャンバ904の各々は、本明細書に記載されている任意の形状の多孔性触媒物質(図示せず)を含み得る。これらのチューブの外側には、バルク流容積906がある。好ましい実施形態において、熱交換流体は、バルク流容積を貫通して流れ、熱交換流体の流は、気体状反応物質及び生成物の流に対して、交差流でも、並行流でも、対向流でもよい。
【0054】
図9bは、多孔性触媒物質908が反応チャンバ壁910に直接接触せずに反応チャンバ内に配設されている構成を示す。別の実施形態(図示せず)において、多孔性触媒物質908は、大きな孔構造体(ここで分子拡散が生じる)のコアと、外側の小さな孔構造体(これを通して、クヌーセン拡散が生じる)とを含む。触媒は、小さな孔構造体上、大きな孔構造体上、あるいは両者の上にコーティングされていてもよい。
【0055】
図9cの頂部は、バルク流路912及び多孔性触媒物質914、916を有する反応チャンバ911を示す。多孔性プラグ916は、バルク流路912を通過した後に未反応のまま残っている任意の気体状反応物質に、触媒を接触させるように作用する。この例及び他の図面における流の形態は、典型的には、レイノルド数が2000よりも少ない古典的な拡散に基づく層流である。流の形態は、マイクロチャネル内で変動しても乱れてもよいが、これは一般的ではない。すべての分子が多孔性触媒に拡散して反応する機会を有するわけではない。壁に拡散して反応しないこれらの分子については、これを「スリップ」という。よって、全体の反応器変換率は、到達し得ると示唆される平衡よりも数パーセント低いかもしれない。反応器長さの一部に対して、全断面を貫通する多孔性触媒物質を用いることで、スリップを減少させ、全体の変換率を平衡に近づけることができる。
【0056】
図9cの底部は、多数の反応チャンバ922及び1個の混合チャンバ924からなる反応器を示す。混合チャンバは、少なくとも2個の反応チャンバ922からの気体を組み合わせる。混合チャンバは、潜在的な層流流線を混合することにより、多数の反応チャンバの間の濃度を等しくするように補助し、及び反応物質の中心でのスリップを減少させることにより、少なくとも2個の反応チャンバを1個のチャンバに統合した場合よりも高い全体の変換率を達成するように補助する。
【0057】
図9eは、少なくとも2個の反応チャンバ930、932からのバルク流が多孔性物質934に流入する反応器を示す。操作の別モードにおいて、流は、流路930に入りこれを貫通して、多孔性物質934を貫通して、流路932から出る。この実施形態は、潜在的な反応物質のスリップを減少させ、全体の反応器変換率を平衡時に予測された変換率に近づけるようにも作用する。
【0058】
図9fは、気体状反応物質が約2mm以下の寸法を有する第1の区画室936に入り、多孔性触媒物質938を対流移動し、多孔性触媒940を貫通して対流移動するフォーク形状を示す。区画室936内を移動する間、供給物は、多孔性触媒に拡散して反応する。多孔性触媒940から出る気体は、第2の区画室942に流入する。区画室936及び942は、オフセットされていてもオフセットされていなくてもよい。多孔性分割器938をオフセットさせることによって、隣接する第1の区画室内での気体流は、さらに混合されて、反応物質のスリップを減少させる。
【0059】
図9gは、供給物が第1の流路内で多孔性触媒の一側面に沿って流れ、少なくとも1回曲がって、次いで多孔性触媒の他側面に沿って反対の流方向に戻り、少なくとも1の第2の流路を形成する流の形状を示す。別の形状において、第2の流路に対して、第2の触媒を用いてもよい。別の形状において、壁が、第1の流路及び第2の流路内で用いられる多孔性触媒を分離させてもよい。
【0060】
図10a〜10cは、熱交換器504が多孔性触媒シート502、506の2層の間に配設されている本発明の別の側面を示す。これらの層は、シートとして、あるいは一体装置として組み立てられてもよい。好ましい実施形態において、第1の多孔性触媒シート502に入る気体は、次いで、熱交換器504内の少なくとも1列のマイクロチャネルを通過して、第2の多孔性触媒シート506に向かって移動する。チャンバ502内の発熱反応からの熱を取り除くため、あるいはチャンバ502内の吸熱反応の場合に熱を加えるため、熱交換器504に、別個の熱交換流体があることが好ましい。熱交換流体の流は、並行流、対向流又は交差流のいずれでもよい。別の実施形態において、熱交換器502は、復熱型熱交換モードで操作し得るものであり、冷たい反応物質は、熱交換器504内の少なくとも1の第1列マイクロチャネル内で予加熱され、502内の反応チャンバに供給されて、発熱反応を受け、次いで、熱交換器504内の少なくとも1の第2列マイクロチャネル内で冷却される。第2列マイクロチャネルは、熱交換器504内の第1列マイクロチャネルと熱交換する。熱交換チャンバ504を貫通して移動する第1の反応チャンバ502からの生成混合物は、次いで、少なくとも1の第2の反応チャンバ506に移動して、異なる反応若しくは同様の反応を受ける。
【0061】
この交互の構造は、任意の所望数の層として繰り返されてもよい。好ましい実施形態において、図10aに示した層は積層されてもよく、積層体の周囲に壁を置いて反応器を形成してもよい。反応器は、反応物質の流入及び生成物の流出並びに熱交換流体の流を制御するために適切な開口、バルブなどを有する。多孔性触媒層は、同一でも異なっていてもよい。例えば、第1の触媒層502からの生成物を、第2のシート506での1種以上の多孔性触媒(第1の層上の触媒とは異なる)を用いる第2の反応(第1の反応とは異なる)に供して、異なる生成物を形成してもよい。多孔性触媒層は、好ましくは本明細書に記載されている多孔性触媒物質からなる複数の層を貫通して気体を流すことができるために十分な多孔度を有するものでなければならない。多孔性触媒層502及び好ましくは他の多孔性触媒層(例えば506)は、層を貫通する連続チャネルを有するべきである。これらのチャネルの最も小さい幅寸法又は高さ寸法は、0.1μm〜約2mmであり、好ましくは0.3μm〜2mmである。多孔性触媒物質は、層を貫通して移動する気体が多孔性触媒物質と接触するように、層内に配設される。これらのチャネルは、本明細書に記載されている任意の反応チャンバであってもよい。チャネルの長さは、2mmよりも短い任意の長さでよい。
【0062】
別の側面において、本発明は、1つの多孔性触媒層502及び熱交換器504を含む化学反応器を含むものとして定義することもできる。場合によって、熱交換器を貫通する流体流は、本明細書に記載されている任意の反応チャンバなどの反応チャンバに向かうこともできる。
【0063】
熱交換器は、好ましくはマイクロチャネル熱交換器である。図10cに示したように、任意の層からの流の一部が上流に循環して戻されて、再び積層体の全体又は一部を貫通して流れるように、積層体として構成されてもよい。循環は、変換率が熱力学的に達成し得るものである場合には、変換率を増加させるために望ましい。別の構成として、より初期の反応区域へ戻る循環経路上にある生成物を未反応供給物から分離してもよい。
【0064】
図10dにおいて、生成物は、メンブラン又は吸着剤などの活性分離剤522を使用して形成された場合に、反応チャンバ502から分離されてもよい。生成物の連続的な除去により、さもなければ平衡に制限される反応を完了させることができる。多孔性触媒524から出て拡散する生成物は、さらに開放領域526を横断して、反対側の壁上の活性分離剤まで拡散する。例えば、分離剤522は、水素気体の選択的除去用のパラジウムメンブランでもよい。図10eに示した別の実施形態において、生成物は、多孔性触媒を貫通して、活性分離剤である隣接する壁まで拡散してもよい。
【0065】
実施例1
メタン蒸気改質用1マイクロチャネルを用いる本発明を示すために実験を行った。マイクロチャネルをチューブ炉内に置いて、必要な吸熱反応熱を与えた。マイクロチャネルは、長さ1.52cm、高さ0.66cmであった。マイクロチャネルの幅(又は開口)は、0.0762cmすなわち762ミクロンであった。0.0762cm幅は、両側の壁をカバーする各々254ミクロンの幅を有する2個の多孔性構造体を含み、2個の多孔性構造体の間に254ミクロンのバルク流路を含むものであった。多孔性構造体は、Technetics(Deland, Florida)から入手したFeCrAl合金の金属フェルト上の13.8%-Rh/6%-MgO/Al2O3触媒を含有していた。13.8wt%Rh/6wt%MgO/Al2O3粉末触媒は、(1)高い表面積のγ−アルミナを500℃で5時間、焼成し、(2)硝酸マグネシウムの水溶液による初期湿潤方法(incipient wetness method)を用いてMgOをγ−アルミナに含浸させて、MgO修飾γ−アルミナ担体(MgO modified gamma alumina support)を得て、(3)修飾担体を110℃で4時間乾燥させ、(4)900℃で2時間、第2の焼成を行い、(5)硝酸ロジウム溶液からの初期湿潤方法で、修飾担体にRh2O3を含浸させ、(6)110℃で4時間の最終乾燥を行い、(7)500℃で3時間の最終焼成を行い、担持触媒の粉末を得る、ことによって調製した。粉末触媒を一晩ボールミルで粉砕して、所望のローディングが達成されるまで、FeCrAlフェルト上にスラリーディップコーティングを行った。コーティング済み触媒を90℃で一晩乾燥させ、350℃で4時間焼成した。触媒評価の前に、触媒を10%H2/N2(100cc(STP)/min)中で110℃で4時間かけて還元した。
【0066】
メタン入口流速は、標準状態で50.3cc/minであり、水(液体)流速は7.3mL/hrであった。これは、約3:1の蒸気対炭素の比率に相当する。メタン及び水を、マイクロチャネルに入れる前に、反応温度近くまで予加熱した。多孔性構造体の間のバルク流路内にある気体流は、約500よりも小さいレイノルド数を有していて、分子拡散は、反応物質及び生成物を、触媒を含有する各孔表面へ及び各孔表面から移動させた。
【0067】
結果をTable1-1(非常に短い滞留時間(10ミリ秒よりも短い)に対する温度の関数としての性能)に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例2
燃料燃焼器700、水蒸発器702、反応物質予加熱熱交換器704、及び蒸気改質ユニット706を含む図7aに示す装置を利用して、実験を行った。蒸気改質ユニット706は、各々、長さ2.79cm、高さ2.54cm、幅750ミクロンの12個の平行なチャネル(図7b)1,2,3…12で構成されていた。多孔性構造体106は、Technetics(Orlando, Florida)から入手した35%〜90%の範囲の多孔度を有する幅約250ミクロンのフェルトFeCrAl合金であった。チャネル長さ及び高さにほぼ等しい長さ及び高さを有する金属フェルトの片を、実施例1に記載したと同じスラリーディップ方法及び粉末触媒を使用して、触媒でコーティングした。これらのフェルトを、各チャネル内に約250ミクロンのバルク流路を残して、チャネルの両側にある壁上に固着させた。反応器マイクロチャネルを、熱交換チャネルa,b,c…mで挟んで、吸熱反応熱を与えた。隣接する(及び差し込まれている)平行な熱交換マイクロチャネル(全部で13個)を反応マイクロチャネルに対して密閉するようにシールして、触媒物質の周囲への反応物質のバイパスを防止した。熱交換マイクロチャネルは、反応マイクロチャネルとほぼ同じ高さ及び長さを有していた。各熱交換チャネルの幅は、508ミクロンであった。蒸気改質ユニット内の熱交換流体402は、水素(20SLPM供給物)及び過剰の空気(168SLPM供給物)の燃焼生成物であった。燃焼生成物402を、反応物流102の方向に、交差流形状で供給した。
【0070】
反応物質は、それぞれ、1SLPM及び2.81SLPM(すなわち2.26mL/min液体)の流速で蒸気の形態であるメタンと水であった。気体時間当たり空間速度は、9.2ミリ秒の滞留時間に対応する約100,000hr-1であった。反応器入口温度は、メタンと蒸気との混合物を受け入れる736℃であった。マイクロチャネル蒸気改質ユニットを介しての圧力降下は、0.6psiよりも小さかった。
【0071】
メタンの生成物変換率は79%で、CO選択率は65%であった。
実施例3
反応チャンバ内での種々の触媒形状の効果を評価するために、蒸気改質実験を行った。種々の構造を有する加工触媒を合成して、実施例1に記載したと同じ手順を用いて活性化した。フェルト及び襞物質は、Technetics(Deland, Florida)から購入したFeCrAl合金ファイバーから形成された多孔性物質である。
【0072】
触媒を、ぴったりと嵌合するように単一チャネル装置内に挿入した。すべての触媒を、単一チャネル装置内で評価した。単一チャネル装置をチューブ炉内に置いた。炉の頂部ゾーン内で反応物質を予加熱して、下降流モードで単一チャネル装置内に導入した。メタンの蒸気改質を、固定した接触時間、蒸気対炭素比2/1、及び850℃に維持した温度(チャンバ温度を熱電対で連続モニタした)で行った。流出速度をバブル流速計で測定し、生成物をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。テストした触媒形状及び流れ方向を図11の底部に示す。圧力は、0〜350psigの範囲であった。実施例3に記載したすべての実験について、加工触媒を横断する圧力降下を測定したところ、0.2psigよりも小さかった。接触時間は、触媒チャンバ容積により割られた標準温度、標準圧力での総供給気体容積である。
【0073】
単一フェルト(0.01”×0.35”×2”/0.025cm×0.88cm×5.0cm)担持触媒を、単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)内でテストした。フェルトを、単一チャネル装置の真ん中に置いて、触媒がチャネル壁と接触しないコンセプトによる流をシミュレートした。この場合、触媒チャンバ容積は、単一チャネル容積(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)そのものに限定される。
【0074】
二重フェルト形状内の各フェルト触媒は、単一フェルト(0.01”×0.35”×2”)の寸法と同一寸法を有し、単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”/0.075cm×0.88cm×5.0cm)内で評価した。0.01”のギャップを有する2枚のフェルトを単一チャネル装置内に置いて、両方のフェルトが壁に近接して接触するようにした。再び、触媒チャンバ容積を単一チャネル容積として定義した。
【0075】
0.01”(0.025cm)の厚みを有するフェルトを襞と呼ばれる波形にした。この実験において研究した襞は、0.117”(0.295cm)の固定波長さ及び0.05”(0.127cm)の固定広がりを有する。襞の寸法は、0.35”(0.88cm)幅及び2”(8.0cm)長さである。反応物質は、波に直交する方向に流れる。単一の襞を、触媒チャンバ容積を限定する単一チャネル装置(0.03”×0.35”×2”)内にぴったりと嵌合させた。二枚の同一の襞の間に詰め物(0.01”×0.35”×2”/0.025cm×0.88cm×5.0cm)を置いて二枚の同一の襞を重ねて、二重襞形状を設計した。より広い単一チャネル装置(0.11”×0.35”×2”/0.28cm×0.88cm×5.0cm)内で、二重襞を評価し、触媒チャンバ容積を限定する。
【0076】
実験データを図11〜12に示す。このデータに対して、実験誤差は約5%であった。比較のため、これらの図には実験条件下での平衡変換率も含む。実験した圧力範囲にわたって、すべての4種の触媒構造体は、短い接触時間(<50ms)で高い変換率(>50%)により示されるかなり高い活性を示す。
【0077】
最もよい結果は、二重フェルト形状を用いて得られた。この形状において、28msと14msの接触時間の間に顕著な相違は見られず、7msの接触時間があまり効果的でない変換率を示した。総体的に、加工触媒構造体の活性は、二重フェルト>単一襞>二重襞>単一フェルトの順番で減少した。容積当たりの触媒部位密度も活性と同じ傾向を示すことは注目すべきことである。触媒部位密度に加えて、熱転移特性も種々の構造体で同一ではなく、熱転移率は、活性の順番と同じ順番で減少すると推測される。
【0078】
固定された温度、圧力及び供給物化学量論の下で、種々の加工構造体の活性をランク付けするために、メタン変換率及び接触時間を含む情報を用いることができる。一般に、接触時間が長くなるほど、変換率は高くなる。図12は、単一フェルトと二重フェルトとの間での活性を比較する。接触時間を除く同一条件下で、単一フェルトの活性は、接触時間が3倍(45.9ms対13.75ms)であっても、二重フェルトの活性よりもまだ低い。図11は、単一襞と二重襞との間での活性を比較する。同一条件(15ms接触)下で、単一襞は、二重襞よりも10%高い変換率を示す。図11は、同一接触時間(7.5ms)にて、二重フェルトが少なくとも10%だけ単一襞よりも優れていることを示す。二重フェルトが単一フェルトの3倍高い活性を示すが、二重フェルトが単一襞よりもわずかに10%高い活性を示すだけであり、単一襞が二重襞よりもわずかに10%高い活性を示すだけであるから、二重襞が単一フェルトよりも活性であることは容易に推論できる。
【むすび】
【0079】
本発明の好ましい実施形態を示して記載したが、当業者には本発明の広い側面から逸脱しない限り多くの変形及び変更がなされてもよいことが明らかであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲内にあるすべての変形及び変更を包含することを意図するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応器であって、
(a)少なくとも1の気相反応物質が通過するバルク流路を画定する少なくとも1の壁の少なくとも1の反応器マイクロチャネルと、
(b)該少なくとも1の気相反応物質が接触し、反応して、少なくとも1の生成物を形成する触媒構造体と、を含み、該触媒構造体が、
(c)分子拡散を可能とする第1の多孔度を有する多孔性物質を有し、該多孔性物質はさらに長さ、幅及び厚み、及び多孔性表面領域を有し、該多孔性物質は該少なくとも1の反応器マイクロチャネルの該少なくとも1の壁の少なくとも一部を画定し、
操作中に、該少なくとも1の反応物質が、該バルク流路内の該少なくとも1の反応器マイクロチャネルに入り、流れて、該多孔性物質と接触し、該少なくとも1の反応物質の一部が該多孔性物質中に分子的に拡散して、そこで反応して、該バルク流路中に分子的に拡散する該少なくとも1の生成物を形成し、こうして該少なくとも1の生成物を該反応器から移動させる化学反応器。
【請求項2】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記バルク流路の周囲の少なくとも20%は、前記多孔性物質により画定される化学反応器。
【請求項3】
請求項2に記載の化学反応器であって、前記バルク流路の周囲の少なくとも50%は、前記多孔性物質により画定される化学反応器。
【請求項4】
請求項1に記載の化学反応器であって、さらに、前記反応器マイクロチャネルに隣接する少なくとも1の熱移動用マイクロチャネルを含む化学反応器。
【請求項5】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記多孔性物質は、触媒物質である化学反応器。
【請求項6】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体は、前記多孔性表面領域上の触媒物質を有する非触媒物質として前記多孔性物質を含む化学反応器。
【請求項7】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体は、前記多孔性表面領域上に第2の多孔度を有する第2の多孔性物質を含み、該第2の多孔度は、クヌーセン拡散を可能とし、前記触媒物質は、該第2の多孔性物質上にある化学反応器。
【請求項8】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体はインサートである化学反応器。
【請求項9】
請求項8に記載の化学反応器であって、前記インサートは取り外し可能である化学反応器。
【請求項10】
少なくとも1の気相反応物質による触媒化学反応方法であって、該少なくとも1の気相反応物質を触媒物質に流す工程と、該少なくとも1の気相反応物質を反応させて少なくとも1の生成物を形成する工程と、を含み、
(a)該触媒物質を、分子的拡散を可能とする多孔度並びに長さ、幅及び厚みを有し且つ該少なくとも1の反応物質を通過させるバルク流路を画定するマイクロチャネルの少なくとも1の壁の少なくとも一部分を画定する多孔性構造体として調製し、
(b)該少なくとも1の反応物質を該マイクロチャネルに流し、該触媒物質を含む該多孔性構造体と接触させて、該少なくとも1の反応物質の一部を該多孔性構造体中に分子的に拡散させ、そこで反応させ、そこから該少なくとも1の生成物を該バルク流路中に分子的に拡散させ、こうして該少なくとも1の生成物を該反応器から移動させる
ことを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記触媒反応は、蒸気改質、CO2改質部分酸化、塩素化、フッ素化、水素化、脱水素化、窒素化、水性ガスシフト、逆水性ガスシフト、自熱改質、燃焼、水素化分解、及び水素化脱硫からなる群より選択される方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、気体時間空間速度(gas hourly space velocity)は、1秒未満の滞留時間に対応する10,000以上である方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、さらに、前記反応器マイクロチャネルに隣接する少なくとも1の熱移動マイクロチャネルを含む方法。
【請求項14】
化学反応器であって、
少なくとも10の長さ対厚み比を有する触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルを含む少なくとも1の反応チャンバを含み、該少なくとも1の反応チャンバの各々は反応チャンバ壁により画定される内部容積を有し、
該内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下であるチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルは、該反応チャンバを横断する圧力降下がシステム入口総圧力の20%未満となるように該反応チャンバ内に配設されている、
化学反応器。
【請求項15】
化学反応器であって、
少なくとも3層を含む少なくとも1の反応チャンバと、
第1の多孔性触媒物質を含む第1の層と、
熱交換器及び貫通する少なくとも1の流体流路を含む第2の層であって、該第1の層を通過する流体が該少なくとも1の流体通路を通過できるように該反応チャンバ内に配設されている第2の層と、
第2の多孔性触媒物質を含む第3の層であって、該第2の層を通過する流体が該第2の多孔性触媒物質を通過できるように該反応チャンバ内に配設されている第3の層と、
を含み、
該第1の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを有し、
該少なくとも1の連続チャネルは、0.1μm〜約2mmであるチャネル高さ又は幅を有し、
該少なくとも1の連続チャネルの少なくとも一部は、該第1の多孔性触媒物質を含み、
該第1の多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する
化学反応器。
【請求項16】
請求項15に記載の化学反応器であって、前記熱交換器は、マイクロチャネル熱交換器を含む化学反応器。
【請求項17】
請求項16に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の連続チャネルは、0.3μm〜2mmであるチャネル高さ又はチャネル幅を有し、該第3の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを含み、これらの連続チャネルの少なくとも1は、0.3μm〜2mmであるチャネル高さ又はチャネル幅を有する、化学反応器。
【請求項18】
請求項17に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の流体流路はマイクロチャネルを含む化学反応器。
【請求項19】
請求項16に記載の化学反応器であって、前記第1の層は、入口を有し、前記第3の層は、出口を有し、さらに、該出口と該入口とを連結する導管を含む化学反応器。
【請求項20】
請求項19に記載の化学反応器であって、前記導管は、分離剤を含む化学反応器。
【請求項21】
請求項17に記載の化学反応器であって、前記第1の層の前記多孔性触媒物質は、金属フォーム又はフェルトを含む化学反応器。
【請求項22】
炭化水素蒸気改質方法であって、
蒸気及び炭化水素を含む反応物質流を少なくとも1の反応チャンバに通過させる工程を含み、
該反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、始端及び終端を有し、該チャンバ長さは該反応チャンバの該始端から該終端までの距離であり、
該反応チャンバの始端から入る該反応物質流は、該反応チャンバから出る生成物流に転化され、
該生成物流は、水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を含み、
該少なくとも1の反応チャンバの該始端から入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%が、水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化され、
該炭化水素は、300ミリ秒よりも短い接触時間を有する
方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記反応チャンバは、多孔性触媒物質及びバルク流チャネルを含む方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記バルク流チャネルは、前記反応チャンバの前記始端から前記終端まで連続している方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記反応チャンバ内に、多数のバルク流チャネルがある方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法であって、前記反応チャンバの前記始端から前記終端までの圧力降下は、20%よりも小さい方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法であって、
前記炭化水素は、メタンを含み、
前記少なくとも1の反応チャンバの前記始端から入るメタンの平衡変換率の少なくとも90%が、水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化され、
メタンは、30ミリ秒よりも少ない接触時間を有する
方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記反応チャンバは、側部を含み、該側部の少なくとも2つは、多孔性触媒物質を有する方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記多孔性触媒物質は、5〜95%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.3〜200ミクロンのサイズの孔を含む方法。
【請求項30】
請求項23に記載の方法であって、さらに、隣接するマイクロチャネル熱交換器から前記反応チャンバに熱を加える工程を含む方法。
【請求項31】
化学反応器内で化学反応を行わせる方法であって、
反応チャンバの第1の区画室に気体状反応物質を通過させる工程を含み、
該反応チャンバは、多孔性触媒物質と、第1の区画室と、第2の区画室とを含み、
該第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有し、
該第1の区画室は、約2mmよりも小さい区画室高さ又はチャンバ区画室を含み、
該多孔性触媒物質は、該第1の区画室と該第2の区画室との間に配設されていて、
該気体状反応物質は、該多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成し、
該第1の区画室及び該第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする開放スペースを含む
方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記少なくとも1の生成物は、前記第2の区画室を通過する方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、さらに、第2の気体状反応物質を第2の区画室に通過させる工程を含み、該第2の区画室からの該気体状反応物質を前記多孔性触媒物質に移動させて、前記第1の区画室からの前記気体状反応物質と反応させる方法。
【請求項34】
化学反応器内で化学反応を行わせる方法であって、
気体状反応物質を第1及び/又は第2の区画室に通過させる工程を含み、
該第1の区画室と該第2の区画室との間には隔壁が配設されていて、
該隔壁は、流体分配層又は分離剤を含み、
該第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有し、
該第1の区画室は、約2mm以下の区画室高さ又は区画室幅を有し、
該第1の区画室は、多孔性触媒物質を含み、
該隔壁を通して気体を移動させ、
該第1の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを有する
方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを含み、前記隔壁は流分配層を含み、
前記気体状反応物質を、前記第1の区画室から前記第2の区画室まで、該流分配層を通して、対流移動させ、
前記気体状反応物質は、該流分配シートを通して移動させた後で、前記第2の区画室内に含まれている前記多孔性触媒物質中で反応する
方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、前記第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを含み、前記隔壁は、薄膜及び吸収剤からなる群より選択される分離剤を含む方法。
【請求項37】
請求項34に記載の方法であって、前記化学反応器は、平行又は直列に配列されている多数の反応チャンバを含み、
該多数の反応チャンバの第1の区画室に気体状反応物質を通過させる工程を含む方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、前記分離剤は、パラジウムメンブランを含み、該方法は、該パラジウムメンブランから水素を連続的に取り除く工程を含む方法。
【請求項39】
化学反応を行わせる方法であって、
気体状反応物質を、反応チャンバのバルク流路に通過させ、
該反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、約2mmよりも小さいチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該内部容積内には、多孔性触媒物質が配設されていて、該多孔性触媒物質は、該気体状反応物質が該多孔性触媒物質内に分子的に拡散できるような多孔性内部構造体を有し、
該気体状反応物質は、該多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成し、
該バルク流路は、該チャンバ長さを貫通して連続している
方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記反応チャンバ内での前記気体状反応物質の接触時間は、100ミリ秒よりも短い方法。
【請求項41】
化学反応器であって、
少なくとも1の多孔性触媒物質及び少なくとも1の開放領域を含む少なくとも1の反応チャンバであって、該少なくとも1の反応チャンバの各々は反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する、反応チャンバを含み、
該内部容積は、約2mmよりも小さいチャンバ高さ又はチャンバ幅からなり、
該チャンバ高さ又はチャンバ幅が約2mmよりも小さいポイントにて、該チャンバ高さ及びチャンバ幅は断面積を画定し、
該断面積は、多孔性触媒物質と開放領域とを含み、該多孔性触媒物質は断面積の5%〜95%を占め、該開放領域は断面積の5%〜95%を占め、
該断面積内の該開放領域は、5×10-8〜1×10-2m2の連続領域を占め、該多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する、
化学反応器。
【請求項42】
請求項41の化学反応器であって、前記反応チャンバの長さ全体に亘り連続するバルク流チャネルを含む反応器。
【請求項43】
請求項42に記載の化学反応器であって、バルク流チャネルは、本質的に直線である反応器。
【請求項44】
請求項42に記載の化学反応器であって、5〜1000個のバルク流チャネルを含む反応器。
【請求項45】
請求項41に記載の化学反応器であって、前記多孔性触媒物質は、比較的大きな孔の第1の物質のコアと、該第1の物質の少なくとも一部を覆って配設されている比較的小さな孔の第2の物質のコーティングと、を含む反応器。
【請求項46】
請求項41に記載の化学反応器であって、少なくとも5個の反応チャンバを含む反応器。
【請求項47】
請求項41に記載の化学反応器であって、少なくとも2個の反応チャンバからの気体を少なくとも1個の混合チャンバ内で混合することができるように配設されている多数の反応チャンバ及び少なくとも1の混合チャンバとを含む反応器。
【請求項48】
請求項42に記載の化学反応器であって、オフセット多孔性分割器を含む反応器。
【請求項49】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、前記反応チャンバと熱接触しているマイクロチャネル熱交換器を含む反応器。
【請求項50】
請求項42に記載の化学反応器であって、前記多孔性触媒物質は、反応チャンバに挿入可能又は取外し可能である別個のユニットである反応器。
【請求項51】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、気体区画室及び流分配層を含む、該流分配層は、該気体区画室と前記反応チャンバとの間に配設されていて、気体を該気体区画室から該流分配層を通して前記反応チャンバまで流すことができる反応器。
【請求項52】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、気体区画室を含み、多孔性触媒物質は、該気体区画室と前記反応チャンバの開放領域との間に配設されている反応器。
【請求項53】
請求項14に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の反応チャンバは、ファイバ又はバッフルを含み、該ファイバ又はバッフルは多孔性触媒物質を含む反応器。
【請求項1】
化学反応器であって、
(a)少なくとも1の気相反応物質が通過するバルク流路を画定する少なくとも1の壁の少なくとも1の反応器マイクロチャネルと、
(b)該少なくとも1の気相反応物質が接触し、反応して、少なくとも1の生成物を形成する触媒構造体と、を含み、該触媒構造体が、
(c)分子拡散を可能とする第1の多孔度を有する多孔性物質を有し、該多孔性物質はさらに長さ、幅及び厚み、及び多孔性表面領域を有し、該多孔性物質は該少なくとも1の反応器マイクロチャネルの該少なくとも1の壁の少なくとも一部を画定し、
操作中に、該少なくとも1の反応物質が、該バルク流路内の該少なくとも1の反応器マイクロチャネルに入り、流れて、該多孔性物質と接触し、該少なくとも1の反応物質の一部が該多孔性物質中に分子的に拡散して、そこで反応して、該バルク流路中に分子的に拡散する該少なくとも1の生成物を形成し、こうして該少なくとも1の生成物を該反応器から移動させる化学反応器。
【請求項2】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記バルク流路の周囲の少なくとも20%は、前記多孔性物質により画定される化学反応器。
【請求項3】
請求項2に記載の化学反応器であって、前記バルク流路の周囲の少なくとも50%は、前記多孔性物質により画定される化学反応器。
【請求項4】
請求項1に記載の化学反応器であって、さらに、前記反応器マイクロチャネルに隣接する少なくとも1の熱移動用マイクロチャネルを含む化学反応器。
【請求項5】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記多孔性物質は、触媒物質である化学反応器。
【請求項6】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体は、前記多孔性表面領域上の触媒物質を有する非触媒物質として前記多孔性物質を含む化学反応器。
【請求項7】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体は、前記多孔性表面領域上に第2の多孔度を有する第2の多孔性物質を含み、該第2の多孔度は、クヌーセン拡散を可能とし、前記触媒物質は、該第2の多孔性物質上にある化学反応器。
【請求項8】
請求項1に記載の化学反応器であって、前記触媒構造体はインサートである化学反応器。
【請求項9】
請求項8に記載の化学反応器であって、前記インサートは取り外し可能である化学反応器。
【請求項10】
少なくとも1の気相反応物質による触媒化学反応方法であって、該少なくとも1の気相反応物質を触媒物質に流す工程と、該少なくとも1の気相反応物質を反応させて少なくとも1の生成物を形成する工程と、を含み、
(a)該触媒物質を、分子的拡散を可能とする多孔度並びに長さ、幅及び厚みを有し且つ該少なくとも1の反応物質を通過させるバルク流路を画定するマイクロチャネルの少なくとも1の壁の少なくとも一部分を画定する多孔性構造体として調製し、
(b)該少なくとも1の反応物質を該マイクロチャネルに流し、該触媒物質を含む該多孔性構造体と接触させて、該少なくとも1の反応物質の一部を該多孔性構造体中に分子的に拡散させ、そこで反応させ、そこから該少なくとも1の生成物を該バルク流路中に分子的に拡散させ、こうして該少なくとも1の生成物を該反応器から移動させる
ことを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記触媒反応は、蒸気改質、CO2改質部分酸化、塩素化、フッ素化、水素化、脱水素化、窒素化、水性ガスシフト、逆水性ガスシフト、自熱改質、燃焼、水素化分解、及び水素化脱硫からなる群より選択される方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、気体時間空間速度(gas hourly space velocity)は、1秒未満の滞留時間に対応する10,000以上である方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、さらに、前記反応器マイクロチャネルに隣接する少なくとも1の熱移動マイクロチャネルを含む方法。
【請求項14】
化学反応器であって、
少なくとも10の長さ対厚み比を有する触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルを含む少なくとも1の反応チャンバを含み、該少なくとも1の反応チャンバの各々は反応チャンバ壁により画定される内部容積を有し、
該内部容積は、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、約2mm以下であるチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該触媒ロッド、触媒プレート又は触媒バッフルは、該反応チャンバを横断する圧力降下がシステム入口総圧力の20%未満となるように該反応チャンバ内に配設されている、
化学反応器。
【請求項15】
化学反応器であって、
少なくとも3層を含む少なくとも1の反応チャンバと、
第1の多孔性触媒物質を含む第1の層と、
熱交換器及び貫通する少なくとも1の流体流路を含む第2の層であって、該第1の層を通過する流体が該少なくとも1の流体通路を通過できるように該反応チャンバ内に配設されている第2の層と、
第2の多孔性触媒物質を含む第3の層であって、該第2の層を通過する流体が該第2の多孔性触媒物質を通過できるように該反応チャンバ内に配設されている第3の層と、
を含み、
該第1の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを有し、
該少なくとも1の連続チャネルは、0.1μm〜約2mmであるチャネル高さ又は幅を有し、
該少なくとも1の連続チャネルの少なくとも一部は、該第1の多孔性触媒物質を含み、
該第1の多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する
化学反応器。
【請求項16】
請求項15に記載の化学反応器であって、前記熱交換器は、マイクロチャネル熱交換器を含む化学反応器。
【請求項17】
請求項16に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の連続チャネルは、0.3μm〜2mmであるチャネル高さ又はチャネル幅を有し、該第3の層は、チャネル高さ、チャネル幅及びチャネル長さの寸法を有する連続チャネルを含み、これらの連続チャネルの少なくとも1は、0.3μm〜2mmであるチャネル高さ又はチャネル幅を有する、化学反応器。
【請求項18】
請求項17に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の流体流路はマイクロチャネルを含む化学反応器。
【請求項19】
請求項16に記載の化学反応器であって、前記第1の層は、入口を有し、前記第3の層は、出口を有し、さらに、該出口と該入口とを連結する導管を含む化学反応器。
【請求項20】
請求項19に記載の化学反応器であって、前記導管は、分離剤を含む化学反応器。
【請求項21】
請求項17に記載の化学反応器であって、前記第1の層の前記多孔性触媒物質は、金属フォーム又はフェルトを含む化学反応器。
【請求項22】
炭化水素蒸気改質方法であって、
蒸気及び炭化水素を含む反応物質流を少なくとも1の反応チャンバに通過させる工程を含み、
該反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、2mm以下のチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、始端及び終端を有し、該チャンバ長さは該反応チャンバの該始端から該終端までの距離であり、
該反応チャンバの始端から入る該反応物質流は、該反応チャンバから出る生成物流に転化され、
該生成物流は、水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を含み、
該少なくとも1の反応チャンバの該始端から入る炭化水素の平衡変換率の少なくとも70%が、水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化され、
該炭化水素は、300ミリ秒よりも短い接触時間を有する
方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記反応チャンバは、多孔性触媒物質及びバルク流チャネルを含む方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記バルク流チャネルは、前記反応チャンバの前記始端から前記終端まで連続している方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記反応チャンバ内に、多数のバルク流チャネルがある方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法であって、前記反応チャンバの前記始端から前記終端までの圧力降下は、20%よりも小さい方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法であって、
前記炭化水素は、メタンを含み、
前記少なくとも1の反応チャンバの前記始端から入るメタンの平衡変換率の少なくとも90%が、水素、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に転化され、
メタンは、30ミリ秒よりも少ない接触時間を有する
方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記反応チャンバは、側部を含み、該側部の少なくとも2つは、多孔性触媒物質を有する方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記多孔性触媒物質は、5〜95%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.3〜200ミクロンのサイズの孔を含む方法。
【請求項30】
請求項23に記載の方法であって、さらに、隣接するマイクロチャネル熱交換器から前記反応チャンバに熱を加える工程を含む方法。
【請求項31】
化学反応器内で化学反応を行わせる方法であって、
反応チャンバの第1の区画室に気体状反応物質を通過させる工程を含み、
該反応チャンバは、多孔性触媒物質と、第1の区画室と、第2の区画室とを含み、
該第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有し、
該第1の区画室は、約2mmよりも小さい区画室高さ又はチャンバ区画室を含み、
該多孔性触媒物質は、該第1の区画室と該第2の区画室との間に配設されていて、
該気体状反応物質は、該多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成し、
該第1の区画室及び該第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする開放スペースを含む
方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記少なくとも1の生成物は、前記第2の区画室を通過する方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、さらに、第2の気体状反応物質を第2の区画室に通過させる工程を含み、該第2の区画室からの該気体状反応物質を前記多孔性触媒物質に移動させて、前記第1の区画室からの前記気体状反応物質と反応させる方法。
【請求項34】
化学反応器内で化学反応を行わせる方法であって、
気体状反応物質を第1及び/又は第2の区画室に通過させる工程を含み、
該第1の区画室と該第2の区画室との間には隔壁が配設されていて、
該隔壁は、流体分配層又は分離剤を含み、
該第1の区画室は、区画室高さ、区画室幅及び区画室長さの寸法を有する内部容積を有し、
該第1の区画室は、約2mm以下の区画室高さ又は区画室幅を有し、
該第1の区画室は、多孔性触媒物質を含み、
該隔壁を通して気体を移動させ、
該第1の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを有する
方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを含み、前記隔壁は流分配層を含み、
前記気体状反応物質を、前記第1の区画室から前記第2の区画室まで、該流分配層を通して、対流移動させ、
前記気体状反応物質は、該流分配シートを通して移動させた後で、前記第2の区画室内に含まれている前記多孔性触媒物質中で反応する
方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、前記第2の区画室は、気体のバルク流を可能とする少なくとも1の開放スペースを含み、前記隔壁は、薄膜及び吸収剤からなる群より選択される分離剤を含む方法。
【請求項37】
請求項34に記載の方法であって、前記化学反応器は、平行又は直列に配列されている多数の反応チャンバを含み、
該多数の反応チャンバの第1の区画室に気体状反応物質を通過させる工程を含む方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、前記分離剤は、パラジウムメンブランを含み、該方法は、該パラジウムメンブランから水素を連続的に取り除く工程を含む方法。
【請求項39】
化学反応を行わせる方法であって、
気体状反応物質を、反応チャンバのバルク流路に通過させ、
該反応チャンバは、チャンバ高さ、チャンバ幅及びチャンバ長さの寸法を有する内部容積を有し、
該少なくとも1の反応チャンバは、約2mmよりも小さいチャンバ高さ又はチャンバ幅を有し、
該内部容積内には、多孔性触媒物質が配設されていて、該多孔性触媒物質は、該気体状反応物質が該多孔性触媒物質内に分子的に拡散できるような多孔性内部構造体を有し、
該気体状反応物質は、該多孔性触媒物質内で反応して、少なくとも1の生成物を形成し、
該バルク流路は、該チャンバ長さを貫通して連続している
方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記反応チャンバ内での前記気体状反応物質の接触時間は、100ミリ秒よりも短い方法。
【請求項41】
化学反応器であって、
少なくとも1の多孔性触媒物質及び少なくとも1の開放領域を含む少なくとも1の反応チャンバであって、該少なくとも1の反応チャンバの各々は反応チャンバ壁により画定される内部容積を有する、反応チャンバを含み、
該内部容積は、約2mmよりも小さいチャンバ高さ又はチャンバ幅からなり、
該チャンバ高さ又はチャンバ幅が約2mmよりも小さいポイントにて、該チャンバ高さ及びチャンバ幅は断面積を画定し、
該断面積は、多孔性触媒物質と開放領域とを含み、該多孔性触媒物質は断面積の5%〜95%を占め、該開放領域は断面積の5%〜95%を占め、
該断面積内の該開放領域は、5×10-8〜1×10-2m2の連続領域を占め、該多孔性触媒物質は、5〜98%の気孔容積を有し、該気孔容積の20%以上は0.1〜300ミクロンのサイズを有する、
化学反応器。
【請求項42】
請求項41の化学反応器であって、前記反応チャンバの長さ全体に亘り連続するバルク流チャネルを含む反応器。
【請求項43】
請求項42に記載の化学反応器であって、バルク流チャネルは、本質的に直線である反応器。
【請求項44】
請求項42に記載の化学反応器であって、5〜1000個のバルク流チャネルを含む反応器。
【請求項45】
請求項41に記載の化学反応器であって、前記多孔性触媒物質は、比較的大きな孔の第1の物質のコアと、該第1の物質の少なくとも一部を覆って配設されている比較的小さな孔の第2の物質のコーティングと、を含む反応器。
【請求項46】
請求項41に記載の化学反応器であって、少なくとも5個の反応チャンバを含む反応器。
【請求項47】
請求項41に記載の化学反応器であって、少なくとも2個の反応チャンバからの気体を少なくとも1個の混合チャンバ内で混合することができるように配設されている多数の反応チャンバ及び少なくとも1の混合チャンバとを含む反応器。
【請求項48】
請求項42に記載の化学反応器であって、オフセット多孔性分割器を含む反応器。
【請求項49】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、前記反応チャンバと熱接触しているマイクロチャネル熱交換器を含む反応器。
【請求項50】
請求項42に記載の化学反応器であって、前記多孔性触媒物質は、反応チャンバに挿入可能又は取外し可能である別個のユニットである反応器。
【請求項51】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、気体区画室及び流分配層を含む、該流分配層は、該気体区画室と前記反応チャンバとの間に配設されていて、気体を該気体区画室から該流分配層を通して前記反応チャンバまで流すことができる反応器。
【請求項52】
請求項42に記載の化学反応器であって、さらに、気体区画室を含み、多孔性触媒物質は、該気体区画室と前記反応チャンバの開放領域との間に配設されている反応器。
【請求項53】
請求項14に記載の化学反応器であって、前記少なくとも1の反応チャンバは、ファイバ又はバッフルを含み、該ファイバ又はバッフルは多孔性触媒物質を含む反応器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図8h】
【図8i】
【図8j】
【図8k】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図8h】
【図8i】
【図8j】
【図8k】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−173120(P2011−173120A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−90203(P2011−90203)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2001−516650(P2001−516650)の分割
【原出願日】平成12年8月17日(2000.8.17)
【出願人】(500037481)バッテル・メモリアル・インスティチュート (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90203(P2011−90203)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2001−516650(P2001−516650)の分割
【原出願日】平成12年8月17日(2000.8.17)
【出願人】(500037481)バッテル・メモリアル・インスティチュート (18)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]