説明

水中低分子量シリコーン油型エマルジョン

エマルジョンの油相成分が少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する水中油型エマルジョン組成物、及びこのようなエマルジョンを調製する方法を開示する。水中油型エマルジョンは、シリコーンポリエーテルとアニオン性界面活性剤とを組み合わせることで安定化される。水中油型エマルジョン、及び当該エマルジョンよりその後希釈されるエマルジョンは、経時的に安定であり、種々のパーソナルケア配合物、医療用ケア配合物、及び家庭用ケア配合物に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
該当なし。
本発明は、水中油型エマルジョンの油相成分が少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する水中油型エマルジョン組成物、及びこのようなエマルジョンを調製する方法を提供する。水中油型エマルジョンは、シリコーンポリエーテルとアニオン性界面活性剤とを組み合わせることで安定化される。水中油型エマルジョン、及び当該エマルジョンよりその後希釈されるエマルジョンは、経時的に安定であり、種々のパーソナルケア配合物、医療用ケア配合物、及び家庭用ケア配合物に有用である。
【背景技術】
【0002】
[背景]
シリコーンのエマルジョンは、当該技術分野において既知であり、その多くが市販されている。しかしながら、低分子量シリコーン又は揮発性シロキサンの水中油型エマルジョンは、それら特有の不安定性のために一般的ではない。より詳細には、油相の大部分が揮発性シロキサンから成る水中油型エマルジョンは、分散された油相の平均粒度がオストワルド熟成(Ostwald Ripening)として知られているプロセスにより経時的に増大するため、安定化しにくい。低分子量シロキサンは、油相粒子が次から次へと拡散し得るのに十分な水溶性を有している。したがって、経時的に、低分子量シロキサンは、エマルジョン中で小さい粒子から大きい粒子にまで拡散することができ、平均粒度を増大させ、最終的にエマルジョンを不安定化してしまう。
【0003】
パーソナルケア産業、医療用ケア産業、及び家庭用ケア産業における用途に関して、水連続エマルジョン(water continuous emulsions)中の主な油相成分である低分子量シリコーン油を安定化する特定の要求及び関心が存在する。低分子量又は揮発性メチルシロキサンは、通常、制汗剤、消臭剤、化粧品、シャンプー、コンディショナー、スキンケアローション及びクリーム等の多くの消費者用の配合製品に使用されている。低分子量シロキサンの安定な水系エマルジョンは、水希釈可能な製品に求められる配合度が大きいため、消費者製品等の配合者にとって、関心事である。したがって、シリコーン油が主に、経時的に安定な揮発性シロキサンである、水中シリコーン油型エマルジョンに対する要求がある。さらに、希釈安定性を有する、すなわち、希釈又は他の構成成分と配合することができ、同時にエマルジョン粒子完全性を維持するこのようなエマルジョンが必要とされている。これは、揮発性メチルシロキサンを制汗剤塩配合物等の高イオン性配合物中に包含するために特に必要とされる。この種のエマルジョンはまた、「ワイプ」タイプ製品等の不織物品の製造において有用性を有することが期待される。エマルジョンを(例えば、噴霧によって)不織布シート上に塗布して、家庭用ケア製品及び医療用ケア製品の双方用のクリーニング製品を製造することもできる。
【0004】
油相が主に低分子量シロキサンから成る水中油型エマルジョンの幾つかの例としては、米国特許第2,755,194号明細書、同第4,784,844号明細書、及び同第5,300,286号明細書が挙げられる。しかしながら、これらの参考は、報告されるエマルジョンの長期安定性をなんら開示しておらず、また、長期安定性を有する組成物又はエマルジョンを生成するプロセスも特に開示していない。
【0005】
Kasprzakによる米国特許第5,443,760号明細書は、特定のシロキサン−オキシアルキレンコポリマー系界面活性剤で調製されるシリコーン含有水中油型エマルジョンを教示している。油相は、揮発性のシリコーン油、及び、不揮発性のシリコーン油若しくはシリコーンゴム、又はシリコーン油及びシリコーンゴムの混合物を含む。Kasprzakは、少なくとも2種のシロキサン−オキシアルキレンコポリマー系界面活性剤の使用を教示しており、1つは油相中に存在し、且つ他方は水相中に存在し、両方の界面活性剤の組み合わせは、総HLB値が4〜7でなければならない。
【0006】
最近になって、Geeによる米国特許第6,087,317号明細書は、低分子量シロキサンの粒度安定性シリコーンエマルジョンを開示している。Geeのエマルジョンは、シリコーン粒子の表面積100平方Å当たり約0.5〜3分子を提供するのに十分な濃度で、約13より大きい親水性親油性バランス(HLB)を有する一次乳化剤である非イオン性界面活性剤と、シリコーン粒子の表面積100平方Å当たり乳化剤5〜15分子を提供するのに十分な濃度で、約11より小さいHLBを有する非イオン性補助界面活性剤とを使用することによって安定化される。
【0007】
国際公開第03/011948号パンフレットは、(i)水、(ii)揮発性シロキサン、(iii)長鎖又は高分子量シリコーンポリエーテル、及び任意の構成成分として(iv)モノヒドロキシアルコール、有機ジオール、有機トリオール、有機テトラオール、シリコーンジオール、シリコーントリオール、シリコーンテトラオール及び非イオン性界面活性剤等の補助界面活性剤を単に混合すること(combining)により、透明なミクロエマルジョンを開示している。
【0008】
国際公開第03/064500号パンフレットは、水中シリコーン油型(silicone in oil water)エマルジョン、塩類、アルコール及び溶媒を含有する組成物を開示している。国際公開第03/064500号公報の油中シリコーン型エマルジョンは、ケイ素原子含有モノマー、シリコーンポリエーテル、触媒、及び任意で有機界面活性剤(単数又は複数)を含有する水中で、所望の分子量のシリコーン油が得られるまでケイ素原子含有モノマーを重合することにより調製される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの参考文献は、現行の技術水準における進歩を示しているが、希釈することができるか、或いは他の構成成分と配合することができ、なおかつエマルジョン粒子の完全性を維持することができる水中揮発性シリコーン型エマルジョンの必要が依然として存在する。なお、保存安定性がある制汗剤塩組成物中に配合され得る水中揮発性シリコーン型エマルジョンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の必要性を満たす、保存安定性で、且つ希釈安定性である水中低分子量シリコーン型エマルジョン組成物を開発した。エマルジョンは、揮発性シリコーンを乳化するのに、特定のシリコーンポリエーテルとアニオン性補助界面活性剤とを併用した際に、予期せず実現された。
【0011】
[概要]
本発明は、エマルジョン組成物であって、
A)少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する、20〜80重量%の油相、
B)式
【0012】
【化1】

【0013】
又は
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル、
C)アニオン性界面活性剤、及び
D)A)、B)、C)及びD)の重量%の合計を100重量%とするのに十分量の水
を含み、油相が、5マイクロメートルより小さい平均径を有する粒子としてエマルジョン中に分散される、エマルジョン組成物を提供する。
【0016】
本発明はまた、水中油型エマルジョンを生成する方法であって、
I)A)低分子量シロキサン、及び
B)式
【0017】
【化3】

【0018】
又は
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル
を混合して、少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する油相を形成すること、
II)油相を、
C)アニオン性界面活性剤、及び
D)水
を含む水相に添加して、油相を20〜80重量%含有する水中油型エマルジョンを形成すること、
を含む、水中油型エマルジョンを生成する方法に関する。
【0021】
本発明はまた、本発明の方法により生成される組成物に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の方法により生成される組成物及び製品は、低分子量シリコーンの安定で希釈可能な水系エマルジョンが望まれる種々の用途に有用である。特に、本発明の低分子量シリコーンエマルジョンは、その改善された配合物安定性のために制汗剤組成物に有用である。本発明のエマルジョンは、種々の噴霧可能なローション及びワイプ用途に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[詳細な説明]
本発明における成分(A)は、少なくとも50%の低分子量シロキサンを含有する油相である。本明細書中で使用される場合、低分子量シロキサンという語句は、1,000未満の分子量(Mw)を有する一般式RSiO(4−i)/2(式中、iは、1〜3の平均値を有し、Rは任意の一価の有機基であるが、典型的にRはメチル基である)を有するポリシロキサンを意味し且つ、包含するよう意図される。代替的には、低分子量シロキサンの構造は、単官能性「M」単位(CHSiO1/2、二官能性「D」単位(CHSiO2/、三官能性「T」単位、及び四官能性「Q」単位SiO4/2で表わすことができる。「低分子量シロキサン」という語句は、(i)低分子量直鎖状及び環状揮発性メチルシロキサン、(ii)低分子量官能性直鎖状及び環状シロキサンを意味し、且つ包含するよう意図される。しかしながら、最も好ましくは、低分子量直鎖状及び環状揮発性メチルシロキサン(VMS)である。シクロメチコーンのCTFAの定義に準ずる揮発性メチルシロキサンも、低分子量シロキサンの定義範囲内であると考えられる。
【0024】
直鎖状VMSは、式(CHSiO{(CHSiO}Si(CHを有する。fの値は0〜7である。環状VMSは、式{(CHSiO}を有する。gの値は3〜6である。好ましくは、これらの揮発性メチルシロキサンは、約1,000未満の分子量、約250℃未満の沸点及び約0.65〜約5.0mm/s(センチストーク)、一般的には5.0mm/s(センチストーク)以下の粘度を有する。
【0025】
代表的な直鎖状揮発性メチルシロキサンは、100℃の沸点、0.65mm/sの粘度、及び式MeSiOSiMeを有するヘキサメチルジシロキサン(MM);152℃の沸点、1.04mm/sの粘度、及び式MeSiOMeSiOSiMeを有するオクタメチルトリシロキサン(MDM);194℃の沸点、1.53mm/sの粘度、及び式MeSiO(MeSiO)SiMeを有するデカメチルテトラシロキサン(MDM);229℃の沸点、2.06mm/sの粘度、及び式MeSiO(MeSiO)SiMeを有するドデカメチルペンタシロキサン(MDM);245℃の沸点、2.63mm/sの粘度、及び式MeSiO(MeSiO)SiMeを有するテトラデカメチルヘキサシロキサン(MDM);並びに、270℃の沸点、3.24mm/sの粘度、及び式MeSiO(MeSiO)SiMeを有するヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MDM)である。
【0026】
代表的な環状揮発性メチルシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D)、すなわち、134℃の沸点、約223の分子量、及び式{(Me)SiO}を有する固体;176℃の沸点、2.3mm/sの粘度、約297の分子量、及び式{(Me)SiO}を有するオクタメチルシクロテトラシロキサン(D);210℃の沸点、3.87mm/sの粘度、約371の分子量、及び式{(Me)SiO}を有するデカメチルシクロペンタシロキサン(D);並びに、245℃の沸点、6.62mm/sの粘度、約445の分子量、及び式{(Me)SiO}を有するドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D)である。
【0027】
代表的な分枝鎖揮発性メチルシロキサンは、192℃の沸点、1.57mm/sの粘度、及び式C1030Siを有するヘプタメチル−3−{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(MT);222℃の沸点、2.86mm/sの粘度、及び式C1236Siを有するヘキサメチル−3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(MQ);並びに、式C24Siを有するペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン(MD)である。
【0028】
本発明はまた、式RSiO(RSiO)SiR及び(RSiO)でそれぞれ表わされる低分子量直鎖状及び環状揮発性及び不揮発性高級アルキルシロキサン及びアリールシロキサンを使用することを含む。Rは、炭素数2〜20のアルキル基、又はフェニル等のアリール基であり得る。fの値は、0〜約7である。gの値は3〜6である。これらの値は、一般的に約5mm/s(センチストーク)以下の粘度及び約1,000未満の分子量を有するポリシロキサンを提供するように選択される必要がある。このようなポリシロキサンの実例は、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びポリジフェニルシロキサンである。
【0029】
低分子量官能性ポリシロキサンもまた、用いることができ、式RSiO(RQSiO)SiR又は式(RQSiO)(式中、Qは官能基である)で表わされる。このような官能性ポリシロキサンの例としては、アクリルアミド官能性シロキサン液(fluids)、アクリレート官能性シロキサン液、アミド官能性シロキサン液、アミノ官能性シロキサン液、カルビノール官能性シロキサン液、カルボキシ官能性シロキサン液、クロロアルキル官能性シロキサン液、エポキシ官能性シロキサン液、グリコール官能性シロキサン液、ケタール官能性シロキサン液、メルカプト官能性シロキサン液、メチルエステル官能性シロキサン液、ペルフルオロ官能性シロキサン液、シラノール官能性シロキサン、及びビニル官能性シロキサン液がある。ここでも同様に、f及びgの値、並びに官能基Qは、一般的に約5mm/s(センチストローク)以下の粘度、及び約1,000未満の分子量を有する官能性ポリシロキサンを提供するように選択される。
【0030】
油相の少なくとも50重量%、或いは60重量%の低分子量シロキサン、或いは70重量%の低分子量シロキサン、或いはまた80重量%が低分子量シロキサンを含有することを条件に、この油相は、選択された低分子量シロキサン中に分散可能な他の成分を含有していてもよい。これらの他の油相成分は、低分子量シロキサン中で実質的に可溶であるのに対して、水中で実質的に不溶な任意のシリコーン、炭化水素又はパーソナルケア活性物質から選択することができる。したがって、他の典型的な油相成分は、高分子量(すなわち、M>1,000)シロキサン、例えばシリコーンエラストマー及びシリコーン樹脂、炭化水素油、ワックス、エモリエント剤、香料(fragrances)、並びにビタミン及び日焼け止め等のパーソナルケア有機活性物質を含むことができる。典型的に、他の油相成分が主に植物油等の極性油である場合、油相の少なくとも50重量%が低分子量シロキサンを含有することが好ましい。
【0031】
高分子量シロキサンを、式RSiO(4−i)/2(式中、iは1〜3の平均値を有し、Rは一価の有機基である)を有する油相に添加することができる。高分子量という語句は、1,000以上の分子量(M)を意味する。したがって、高分子量シロキサンは、1,000以上の分子量を有する任意のポリジオルガノシロキサン液又はポリジオルガノシロキサンゴムから選択され得る。本発明に好適なポリジオルガノシロキサンゴムは本質的に、モノメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルエチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン、ビニルエチルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン、ジメチルエチルシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルシロキサン、モノ−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン、アミノアルキルシロキサン、モノフェニルシロキサン、及びモノビニルシロキサン等で表される他の単位を有するジメチルシロキサン単位から成る。ポリジオルガノシロキサンゴムは、当該技術分野において既知であり、商業的に手に入れることができ、粘度が25℃で1,000,000mm/s(cs)より大きく、好ましくは、25℃で5,000,000より大きい。
【0032】
好適な油成分としては、ココナッツ油等の天然油、鉱油及び水添ポリイソブテン等の炭化水素、オクチルドデカノール等の脂肪アルコール、C12〜C15のアルキルベンゾエート等のエステル、プロピレンジペラルガネート(dipelarganate)等のジエステル、及びグリセリルトリオクタノエート等のトリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の油相成分もまた、低粘度の油及び高粘度の油の混合物であり得る。好適な低粘度の油は、25℃で5〜100mPa.sの粘度を有し、一般的には構造RCO−OR’(式中、RCOはカルボン酸ラジカルを表し、OR’はアルコール残基である)を有するエステルである。これらの低粘度の油の例としては、イソトリデシルイソノナノエート、PEG−4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレエート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココ−ジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレアート、イソデシルネオペンタノエート、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、オクトドデカノール、又はオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、イソドデカノール、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、又はそれらの混合物が挙げられる。高粘度の表面油(surface oil)は、一般的に25℃で200〜1,000,000mPa.sの粘度、好ましくは100,000〜250,000mPa.sの粘度を有する。表面油には、ヒマシ油、ラノリン及びラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエート、C10〜18トリグリセリド、カプリリック/カプリック/トリグリセリド、ココナッツ油、コーン油、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノレエート、グリセリルトリオクタノエート、水添ヒマシ油、アマニ油、ミンク油、オリーブ油、ヤシ油、イリッペバター、ナタネ油、ダイズ油、ヒマワリ種子油、牛脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、クルミ油、麦芽油、コレステロール、又はこれらの混合物が挙げられる。流動パラフィン又は流動油(liquid petroleum:鉱油)等の鉱油、ペルヒドロスクアレン油又はアララ油(arara oil)等の動物油、或いは、スイートアーモンド油、カロフィルム油、ヤシ油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ(jojaba)油、オリーブ油又は穀類胚芽油等の植物油である任意の他の非シリコーン脂肪物質に関して言及しうる。ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸又はミリスチン酸のエステル(例えば、オレイルアルコール、リノレイル若しくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール若しくはオクチルドデカノール等のアルコール、又は、アルコール又はポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、デカノエート若しくはリシノレエート)を用いることも可能である。代替的には、水添ヒマシ油、ヤシ油若しくはココナッツ油、又は水添牛脂等の25℃で固体である水素添加油;モノ−、ジ−、トリ−又はスクログリセリド;ラノリン;或いは25℃で固体である脂肪エステルを用いることができる。
【0033】
同一譲受人(common assignee's)の米国特許第5,948,855号明細書(1999年9月7日)には、水中油型エマルジョンの油相に用いることができるビタミン及び薬剤等の幾つかの適当な油溶性活性成分の広範囲にわたるリストも含まれている。このビタミンには、ビタミンA1(レチノール)、レチノールのC〜C18エステル、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンEのエステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レチノールとしては、トランス−レチノール、13−シス−レチノール、11−シス−レチノール、9−シス−レチノール、及び3,4−ジデヒドロ−レチノールが挙げられる。適当な他のビタミンには、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルプロピオネート、α−トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセテート、トコフェリルリノレエート、トコフェリルニコチネート、及びトコフェリルスクシネートが挙げられる。
【0034】
本発明の組成物は、20〜80、或いは20〜60、或いはまた20〜40重量%の油相、すなわち成分(A)を含有する。
【0035】
成分(B)は、
【0036】
【化5】

【0037】
又は
【0038】
【化6】

【0039】
で表される構造を有するシリコーンポリエーテルである。
【0040】
以下に示されるタイプの環状ポリエーテル
【0041】
【化7】

【0042】
もまた、用いることができる。
【0043】
これらの構造において、R1は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R2は、ラジカル(CHO(CO)(CO)R3を表わし、xは20〜1,000、或いは20〜200、或いはまた20〜50の値を有し、yは2〜500、或いは2〜50、或いはまた2〜10の値を有し、zは2〜500、或いは2〜50、或いはまた2〜10の値を有し、mは3〜5の値を有し、nは1であり、aは3〜6の値を有し、bは4〜30の値を有し、cは0〜30の値を有し、R3は、水素、メチルラジカル、又はアセチル等のアシルラジカルである。好ましくは、R1はメチルであり、bは6〜25であり、cは0であり、R3は水素である。
【0044】
典型的に、シリコーンポリエーテルは上記構造に記載されるような、x/y又はx/zの比が2:1〜50:1、或いは5:1〜20:1、或いはまた10:1〜12:1の範囲であるように選択される。
【0045】
シリコーンポリエーテルは、当該技術分野で既知である技法のいずれかで調製することができ、その多くは市販されている。
【0046】
本発明の組成物は、2〜20重量%、或いは2〜15重量%、或いはまた5〜10重量%のシリコーンポリエーテル、すなわち成分(B)を含有する。
【0047】
成分(C)はアニオン性界面活性剤である。当該技術分野において既知である、水中油型エマルジョンを安定化させる任意のアニオン性界面活性剤を成分(C)として選択することができる。好適なアニオン性界面活性剤の例としては、アルカリ金属スルホリシネート;ココナッツ油酸のスルホン化モノグリセリド等の脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;ナトリウムオレイルイソチアネート等のスルホン化された一価のアルコールエステル、オレイルメチルタウリドのナトリウム塩等のアミノスルホン酸のアミド;パルミトニトリルスルホネート等の脂肪酸ニトリルのスルホン化された生成物;α−ナフタレンモノスルホネート等のスルホン化された芳香族炭化水素;ホルムアルデヒド及びナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネートを有するナフタレンスルホン酸の縮合生成物;ナトリウムラウリルスルフェート等のアルカリ金属アルキルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート又はトリエタノールアミンラウリルスルフェート;ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムアルキルアリールエーテルスルフェート及びアンモニウムアルキルアリールエーテルスルフェート等の炭素数8以上のアルキル基を有するエーテルスルフェート;炭素数8以上のアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホネート;ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、及びミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩で例示されるアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CH)CHO(CO)3.5SOH、CH(CH)CHO(CO)SOH、CH(CH19CHO(CO)SOH、及びCH(CH10CHO(CO)SOHを含むポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル;アルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアミン塩が挙げられる。
【0048】
代替的には、アニオン性界面活性剤は、エトキシル化アルコールの硫酸塩から選択される。エトキシル化アルコールの硫酸塩は当該技術分野において既知であり、その多くがALFONINIC、NEODOL、STANDAPOLES、STEOL、SULFOTEX、TEXAPON、WICOLATE等の数多くの商品名で市販されている。代替的には、アニオン性界面活性剤は、STANDAPOLES又はEMPICOL ESB−3である。
【0049】
本発明の組成物は、0.1〜2重量%、或いは0.1〜1重量%、或いはまた0.2〜0.5重量%のアニオン性界面活性剤、すなわち成分(C)を含有する。
【0050】
好ましくは、水中油型エマルジョン組成物は、シリコーンポリエーテルのアニオン性界面活性剤に対する重量比が5〜60、或いは10〜40、或いはまた10〜30であるような、シリコーンポリエーテル及びアニオン性界面活性剤の濃度を含有する。
【0051】
本発明のエマルジョン組成物は、当該技術分野で既知である、水中油型エマルジョンを調製する任意の技法によって調製することができる。典型的には、エマルジョンは、混練、配合、均質化、ソノレーティング(sonolating)又は攪拌等の混合技法を用いて、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を混合することにより調製される。これらの混合手法は、バッチプロセス又は連続プロセスのいずれかで行われ得る。
【0052】
代替的には、本発明の組成物は、以下に記載される方法で調製することができる。
【0053】
本発明の水中油型エマルジョン組成物は、水連続相中に分散される油相、すなわち成分(A)を含む。油相は、シリコーンポリエーテル、すなわち成分(B)と、アニオン性界面活性剤、すなわち成分(C)とを組み合わせることによりエマルジョン中で安定化する。したがって、油相は、離散的な油相粒子として水連続相中に分散される。典型的には、油相粒子は、5マイクロメートル未満、或いは1マイクロメートル未満、或いはまた0.5マイクロメートル未満の平均粒度を有する。「平均粒度」は、エマルジョン分野において通義であり、例えば、Nanotrac150等の粒度分析器を用いて測定することができる。
【0054】
水中油型エマルジョンを安定な水連続エマルジョンとみなすこともできる。本発明の目的に関して、「安定な水連続エマルジョン」とは、エマルジョンの平均粒度分布が、所定の期間中に実質的に変化しないことを意味する。安定性は、エマルジョンの試料を室温で或る期間保存して、分離又はクリーミング(creaming)等のいずれかの不安定性の兆候に関するエマルジョンの観測を行うことで評価することができる。試料を高温、例えば50℃で保存して、促進的なエイジングプロセスのシミュレーションを行うこともできる。点毛的に、本発明のエマルジョンは、少なくとも4週間のエイジング後では、室温における分離を示さない。通常、平均粒度は、少なくとも4週間、室温において5μm粒度未満のままであり、4週間後50℃における平均粒度の変化は<10%である。
【0055】
希釈安定性である水中油型エマルジョン組成物として本明細書中に示される好ましい実施形態において、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の量は、さらなる水系希釈により安定な水連続エマルジョンを生じる水中油型エマルジョンを提供するように選択される。特に、希釈安定性である水中油型エマルジョンは、
A)少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する、20〜80重量%の油相、
B)2〜20重量%の、式
【0056】
【化8】

【0057】
又は
【0058】
【化9】

【0059】
(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル、
C)0.1〜2重量%のアニオン性界面活性剤、及び
D)合計して100重量%になるのに十分量の水
を含む。
【0060】
他の任意の構成成分の性質及び/又は量によって、本発明のエマルジョンを実質的に不安定化されることがないことを条件に、特定の実施性能に影響を与えるように、これらの任意の構成成分を本発明の水中油型エマルジョンに添加してもよい。これらの任意の構成成分としては、充填剤、エチレングリコール又はプロピレングリコール等の凍結融解添加物、抗菌製剤、UVフィルタ、顔料、染料及び香料が挙げられる。これらの任意の構成成分としては、水中油型エマルジョンを安定化又は増粘する、当該技術分野で既知の増粘剤及び安定化剤、例えばセルロース系増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はカルボマーも挙げられる。
【0061】
本発明はまた、水中油型エマルジョンを調製する方法であって、
I)A’)低分子量シロキサン、及び
B)式
【0062】
【化10】

【0063】
又は
【0064】
【化11】

【0065】
(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル
を混合して、少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する油相を形成すること、
II)この油相を、
C)アニオン性界面活性剤、及び
D)水
を含む水相に添加して、油相を20〜80重量%含有する水中油型エマルジョンを形成すること、
を含む、水中油型エマルジョンを調製する方法に関する。
【0066】
本発明の方法の過程I)に関して、低分子量シロキサンA’)及びシリコーンポリエーテルB)は、上記のものと同一である。低分子量シロキサンが油相の少なくとも50重量%を構成するのであれば、油相を形成する際に、付加的な成分を上記のような低分子量シロキサンに添加することもできる。混合は、混練、配合、均質化、ソノレーティング又は攪拌等の従来知られている任意の技法によって実施することができる。これらの混合手法は、バッチプロセス又は連続プロセスのいずれかで行われ得る。
【0067】
本方法の過程II)は、過程I)で調製される油相を、アニオン性界面活性剤及び水を含む水相に添加することを伴う。アニオン性界面活性剤は、上記のものと同一である。油相は、典型的に、混合又はせん断しながら水相に添加され、当該技術分野で既知である、水中油型エマルジョンを調製する任意の混合技法により水中油型エマルジョンを形成する。これらの混合手法は、バッチプロセス又は連続プロセスのいずれかで行われ得る。
【0068】
本発明により調製されるエマルジョンは、様々な店頭販売(OTC)パーソナルケア製品、医療用ケア製品及び家庭用ケア製品に使用することができる。したがって、エマルジョンは、制汗剤、消臭剤、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、にきび除去剤又はしわ除去剤等のフェイシャルトリートメント、パーソナルクレンザー及びフェイシャルクレンザー、バスオイル、香料、コロン、サシェ、日焼け止め、プレシェーブローション及びアフターシェーブローション、液体セッケン、シャワージェル、髭剃り用セッケン、シェービングフォーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマ液、脱毛剤、キューティクルコート、メーキャップ用品、カラー化粧料、ファンデーション、ほお紅、口紅、リップクリーム、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、カラー化粧料リムーバー、並びにパウダーに使用することができる。さらに、本発明のエマルジョン組成物を様々な他の成分と組み合わせて、上記のパーソナルケア製品を製造することができると予想される。これらの成分としては、このようなパーソナルケア製品を配合するのに通常使用される、付加的な界面活性剤、保湿剤、顔料、日焼け止め、香料、エモリエント剤が挙げられる。本発明のエマルジョン組成物はまた、噴霧可能なローション配合物及び様々なワイプ配合物に使用することもできる。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本発明の組成物及び方法をさらに例示するために提示されるが、本発明を限定するよう解釈されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲に概説される。実施例におけるすべての部及び%は重量基準であり、すべての測定結果は、指示がない限り約23℃で得られたものである。
【0070】
材料
実施例で使用されるシリコーンポリエーテルを以下に記載する。
SPE1=平均式MD22M(式中、M、D及びDは、それぞれ、(CHSiO1/2、(CHSiO及び(CH)RSiOシロキシ単位を表わし、R=−CHCHCHO(CHCHO)12Hである)を有する、>90重量%のシリコーンポリエーテルを含有するシリコーンポリエーテル組成物。シリコーンポリエーテル組成物は、米国特許第4,147,847号明細書に教示されているような既知の手法に従って、MD22M(式中、Dは、(CH)HSiOシロキシ単位を表わす)と、わずかに過剰モル量のHC=CHCHO(CHCHO)12Hとの白金触媒を用いたヒドロシリル化反応から得られる。
【0071】
(実施例1)
SPE1及びSLESを含むD5エマルジョン
A部:小さいビーカー内で、8gDow Corning(登録商標)245Fluid及び3.4gSPE1を予備混合した。
B部:クリームジャー内で、28.46g脱イオン水及び0.14gStandapol ES−3(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を組み合わせて混合した。
【0072】
A部の内容物をB部に流し込んだ。混合物を、音波プローブを用いてパルスモードで2分間音波処理した。得られたエマルジョンは、239ナノメートルの粒度を有していた。このエマルジョンの粒度は、50℃で20日後でも変化していなかった。このエマルジョン0.5gを10gの水で希釈させた場合、得られたエマルジョンの粒度は、室温で7日後でも変化していなかった。2gの塩化アルミニウム溶液(50%)をこのエマルジョン2グラムに添加して、振とうした場合、得られた組成物は安定し、分離は観測されなかった。
【0073】
(実施例2)(比較例)
SLESを含むD5エマルジョン
クリームジャー内で、31.2g脱イオン水及び0.8gStandapol ES−3(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を予備混合した。その後、8gDow Corning(登録商標)245Fluidを添加した。混合物を、音波プローブを用いてパルスモードで2分間音波処理した。得られたエマルジョンは、327ナノメートルの初期粒度を有していたが、50℃で5日後に分離した。2gの塩化アルミニウム溶液(50%)をこのエマルジョン2グラムに添加して、混合した場合、直ちに異なる相(layers)に分割することが証明されたため、得られるエマルジョンは安定ではなかった。
【0074】
(実施例3)(比較例)
SPE1を含むD5エマルジョン
A部:ビーカー内で、8gDow Corning(登録商標)245Fluid及び3.4gSPE1を予備混合した。
B部:クリームジャー内に、28.46g脱イオン水を入れた。
【0075】
A部の内容物をB部に流し込んだ。混合物を、音波プローブを用いてパルスモードで2分間音波処理した。得られたエマルジョンは、329ナノメートルの粒度を有していた。油相は室温で1日後にエマルジョンの上方に現れ、そのためエマルジョンの不安定性が示された。
【0076】
(実施例4)
SPE1及びSLESを含むD5/100mm/s(cst)PDMSエマルジョン
A部:ビーカー内で、75.1gDow Corning(登録商標)245Fluid、25gDow Corning(登録商標)100cstFluid及び42.17gSPE1を予備混合した。
B部:別のビーカー内で、355.95g脱イオン水及び1.78gStandapol ES−3(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を組み合わせて混合した。
【0077】
A部の内容物を、実験室用ミキサーを1,350RPMで攪拌させて連続混合しながら、B部にゆっくりと流し込んだ。最終混合物を1,350RPMでさらに30分間室温で攪拌した。混合物を、Silverson高せん断ミキサーで2〜3分間さらに処理して、エマルジョンを生成した。2gの塩化アルミニウム溶液(50%)をこのエマルジョンに添加して、混合した場合、得られたエマルジョンは分離することなく安定であった。
【0078】
(実施例5)
エマルジョンを生成するものから、Dow Corning(登録商標)100cstFluidを、等重量のDow Corning(登録商標)556Fluidに代えた以外は、実施例4と同じ手順を用いてエマルジョンを調製し、以後、このエマルジョンをエマルジョン5と表わした。2グラム量の塩化アルミニウム溶液(50%)を2グラムのエマルジョン5に添加して、混合及び振とうさせた。組成物は安定であった。
【0079】
(実施例6)
Dow Corning(登録商標)245Fluidを、等重量のDow Corning(登録商標)1184Fluid(揮発性シリコーン溶液(直鎖状構造及び環状構造を含む)の混合物)に代えた以外は、実施例1と同じ手順を用いてエマルジョンを調製した。得られたエマルジョンは、安定で、50%塩化アルミニウム溶液2gと混合させた後でも安定状態のままであった。
【0080】
(実施例7)
エモリエントオイル又は日焼け止め活性物質と、揮発性シロキサンとの混合物を含有する油相を有する一連のエマルジョンを調製した。その組成を表1にまとめる。このように例示されるエマルジョンは、エマルジョン配合物の総重量に対して、40wt%の油相成分及び15重量%のSPE1を含有していた。これらのエマルジョンは、初めに10分間、実験室用ミキサー(200rpm)で、揮発性シロキサンと、実施例7a〜f(表1)に挙げられるような付加的な油相成分とを混合して調製された。別途、水相は、10分間、実験室用ミキサー(200rpm)で、実施例7a〜f(表1)に挙げられるような水相成分を混合して調製された。その後、実験室用ミキサー(900rpm)で混合しながら、油相を水相にゆっくりと添加した。油相を水相に完全に添加した後、さらに30分間、900RPMの混合速度で混合を続けた。最後に、得られた組成物をSilversonミキサー(Model SL2)に通した。視覚的な分離は、室温で1ヶ月間、また40℃で1ヶ月間観察されなかったため、すべてのエマルジョンを安定であるとみなした。
【0081】
(実施例8)
エモリエントオイル又は日焼け止め活性物質と、揮発性シロキサンとの混合物を含有する油相を有する一連のエマルジョンを調製した。その組成を表2にまとめる。このように例示されるエマルジョンは、エマルジョン配合物の総重量に対して、20重量%の油相成分及び8.5重量%のSPE1を含有していた。これらのエマルジョンは、好ましくは、実施例7に記載の手順で調製された。これらのエマルジョンは、室温又は40℃で1ヶ月間の保存後に分離しなかったことが証明されたため、安定であった。
【0082】
(実施例9)
水中油型エマルジョンは、実施例8の手順に従って調製され、A相として8.5%SPE1及び20重量%DC245、並びに0.34重量%Empicol ESB−3及び71.16重量%水を含有していた。得られたエマルジョンを不織布上に含浸させると、皮膚上の医療用接着剤を除去するためのワイプ製品として機能する性能を示した。機能性のある(performed)エマルジョンを含有するこのワイプ製品は、市販のワイプと比べると、同程度の洗浄性能を有していた。
【0083】
(実施例10)
水中油型エマルジョンは、実施例1の手順に従って調製され、A部として8.5%SPE1及び20%DC245、並びに0.35%Empicol ESB−3及び71.15%水を含有していた。その後、得られたエマルジョンを、REACH301、すなわち50%活性化されたセスキクロルヒドロキシアルミニウムを含有する制汗剤塩溶液と、表3にまとめたような様々な割合で混合させた。得られた配合物は、安定であり、すなわち、室温で1ヶ月間いかなる分離の兆候も、また45℃で1ヶ月後に10%未満のクリーム分離も示さなかった。
【0084】
(実施例11)
水中油型エマルジョンは、実施例6の手順に従って調製され、A部として8.5%SPE1及び20%DC1184、並びに0.35%Empicol ESB−3及び71.15%水を含有していた。その後、得られたエマルジョンを、REACH301、すなわち50%活性化されたセスキクロルヒドロキシアルミニウムを含有する制汗剤塩溶液と、表3にまとめたような様々な割合で混合させた。得られた配合物は、安定であり、すなわち、室温で1ヶ月間いかなる分離の兆候も、また45℃で1ヶ月後に10%未満のクリーム分離も示さなかった。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
(実施例12)
SPE1及びSLESを含む1:1の割合のD5/DC2502AMSのエマルジョン
以下の成分を有するエマルジョンを実施例1の手順に従って調製した。
A部:小さいビーカー内で、4gDow Corning(登録商標)245Fluid、4gDow Corning(登録商標)2502AMS及び2.6gSPE1を予備混合した。
B部:クリームジャー内で、29.26g脱イオン水及び0.14gStandapol ES−3(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を組み合わせて混合した。
得られたエマルジョンは、201ナノメートルの粒度を有していた。粒度は、50℃で20日間加熱した後、6%増大し、0.213ナノメートルとなった。
【0089】
(実施例13)
SPE1及びSLESを含む1:1の割合のD5/DC2502AMSのエマルジョン
以下の成分を有するエマルジョンを実施例1の手順に従って調製した。
A部:小さいビーカー内で、4gDow Corning(登録商標)245Fluid、4gDow Corning(登録商標)50cst fluid及び2.6gSPE1を予備混合した。
B部:クリームジャー内で、29.26g脱イオン水及び0.14gStandapol ES−3(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を組み合わせて混合した。
得られたエマルジョンは、205ナノメートルの粒度を有しており、50℃で20日間変わらなかった。
【0090】
(実施例14)比較例
以下のエマルジョンをR.Geeによる米国特許第6,087,317号明細書に記載の手順に従って調製した。
クリームジャー内で、23.48g脱イオン水及び1.28gSPAN20及び1.32Tween80を組み合わせて混合した。その後、14gのDow Corning(登録商標)245Fluidをジャー内に流し込んだ。混合物を、音波プローブを用いてパルスモードで2分間音波処理した。得られたエマルジョンは、300ナノメートルの粒度を有していた。2gの塩化アルミニウム溶液(50%)をこのエマルジョン2グラムに添加して、混合した場合、50℃で3日間加熱した後黄色を呈し、相に分離することが証明されたため、得られたエマルジョンは安定ではなかった。
【0091】
(実施例15)
低分子量シロキサンのエマルジョンを含有するシャンプー
本発明の代表的なエマルジョンを含有するシャンプー組成物を以下の手順及び組成に従って調製した。
1.相Aの構成成分を合わせて混合し、60℃に加熱する、
2.混合及び加熱しながら、相Bを加える、
3.室温まで冷ます、
4.相Fを加える、
5.相Dを用いてpHを6に調整する
【0092】
【表4】

【0093】
(実施例16)
低分子量シロキサンのエマルジョンを含有するリンスオフコンディショナー
本発明の代表的なエマルジョンを含有するリンスオフコンディショナー組成物を以下の手順及び組成に従って調製した。
1)急激に攪拌しながらHECを水中に移すことによりA部を調製する。HECがすべて分散した後、Arquad中で混合する。HECが溶液になるまで分散体を攪拌する。HECが溶液になると、分散体は増粘し、且つ半透明に見えるであろう(A部を放置して気泡を逃がすと、透明になる)。
2)小さいビーカー内で、B部の構成成分を組み合わせて、80〜85℃に加熱する
3)最終的なビーカー内で、C部を80〜85℃に加熱する
4)B部を混合し、その後、急激に攪拌しながらC部を迅速に加える。5〜10分間混合する
5)A部(室温)を熱いエマルジョンに加える。バッチを急速に冷やさないようにA部を2〜3分間かけて加える。バッチが増粘するような良好な回転数を維持するため、ミキサー速度を上げる。バッチが40〜45℃に冷めるまで混合を続ける。
6)水分損失の補正を行い、相Eを添加する
7)相Dを用いてpHを4に調整する。
【0094】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョン組成物であって、
A)少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する、20〜80重量%の油相、
B)式:
【化1】

又は
【化2】

(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル、
C)アニオン性界面活性剤、及び
D) A)、B)、C)及びD)の重量%の合計を100重量%とするのに十分量の水
を含み、前記油相が、5マイクロメートルより小さい平均径を有する粒子として該エマルジョン中に分散される、水中油型エマルジョン組成物。
【請求項2】
20〜80重量%のA)油相、
2〜20重量%のB)シリコーンポリエーテル、
0.1〜2重量%のC)アニオン性界面活性剤、
前記A)、前記B)、前記C)及びD)の重量%の合計を100重量%とするのに十分量のD)水
を含む、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項3】
前記低分子量シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項4】
前記油相が、シリコーン油、炭化水素油又は天然油をさらに含む、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項5】
前記シリコーンポリエーテルのx/y比又はx/z比が、2:1〜50:1の範囲である、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項6】
前記アニオン性界面活性剤が、エトキシル化アルコールの硫酸塩である、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項7】
充填剤、凍結融解添加物、抗菌剤、UVフィルタ、顔料、染料、香料及びそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載のエマルジョン組成物。
【請求項8】
水中油型エマルジョンを調製する方法であって、
I)A’)低分子量シロキサン、及び
B)式:
【化3】

又は
【化4】

(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表わし、
R2は、ラジカル−(CHO(CO)(CO)R3を表わし、
xは20〜1,000であり、yは2〜500であり、zは2〜500であり、aは3〜6であり、bは4〜30であり、cは0〜30であり、R3は、水素、メチルラジカル又はアシルラジカルである)
を有するシリコーンポリエーテル
を混合することであって、それにより、少なくとも50重量%の低分子量シロキサンを含有する油相を形成すること、
II)該油相を、
C)アニオン性界面活性剤、及び
D)水
を含む水相に添加することであって、それにより、該油相を20〜80重量%含有する水中油型エマルジョンを形成すること、
を含む、水中油型エマルジョンを調製する方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法により調製されるエマルジョン。
【請求項10】
請求項1又は8に記載のエマルジョンを含むパーソナルケア製品。
【請求項11】
制汗剤、消臭剤、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、にきび除去剤又はしわ除去剤等のフェイシャルトリートメント、パーソナルクレンザー及びフェイシャルクレンザー、バスオイル、香料、コロン、サシェ、日焼け止め、プレシェーブローション及びアフターシェーブローション、液体セッケン、シャワージェル、髭剃り用セッケン、シェービングフォーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマ液、脱毛剤、キューティクルコート、メーキャップ用品、カラー化粧料、ファンデーション、ほお紅、口紅、リップクリーム、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、カラー化粧料リムーバー、並びにパウダーから選択される、請求項9に記載のパーソナルケア製品。
【請求項12】
請求項1又は8に記載のエマルジョンを含む制汗剤組成物。
【請求項13】
請求項1又は8に記載のエマルジョンを含む消臭剤組成物。
【請求項14】
請求項1又は8に記載のエマルジョンを含む噴霧可能なローション組成物。
【請求項15】
請求項1又は8に記載のエマルジョンを含む製造品。
【請求項16】
請求項1又は8に記載のエマルジョンでコーティングされた不織布である、請求項14に記載の製造品。

【公表番号】特表2007−532644(P2007−532644A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508357(P2007−508357)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/008811
【国際公開番号】WO2005/105024
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】