説明

水中油型乳化化粧料

【課題】本発明は水中油型乳化化粧料において、更に詳細には低pH、低粘度、かつ経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料に関する。
【解決手段】
次の成分(a)〜(e);
(a)ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン
(b)高級アルコール
(c)水
(d)多糖類系水溶性高分子
(e)酸性物質
を含有し、かつ、成分(a)と成分(b)の含有重量比(a)/(b)が0.05〜10であり、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化化粧料に関し、更に詳細にはポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン、炭素数16〜22の高級アルコール、水、多糖類系水溶性高分子、酸性物質を含有し、25℃におけるpHが3以上4.5以下であっても、低粘度で経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中油型乳化化粧料は、肌への保湿効果を付与するなど特に好まれて用いられるが、含有される油性成分により、凝集やクリーミングなどがおこる場合があった。これに対して高級アルコールを配合して界面膜の強度を向上させる技術や水溶性高分子を配合して外相の水性成分の粘性を付与し、経時安定性を向上させる技術などがある。このように高級アルコールや水溶性高分子を配合して経時安定性を向上させた技術の水中油型乳化化粧料は、比較的高粘度領域のものが多いのが現状である。例えば、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタンを乳化剤として用いた乳液やクリームなどの皮膚外用剤の例がある(特許文献1参照)。
【0003】
これに対して近年では使用時のみずみずしい感触を持つ水中油型乳化化粧料として低粘度領域のもの開発されている。しかし低粘度領域での水中油型乳化化粧料は、経時で粘度上昇する場合があり、粘度を一定に保つために乳化機器に関する技術や製剤化に関する技術も多い。例えば、高圧乳化法で乳化組成物を製造する技術(特許文献2参照)、N−長鎖アシル酸性アミノ酸モノ塩、両親媒性物質、水を用いてゲルを形成させて乳化を行う技術(特許文献3参照)、ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステル、高級アルコールを用いる技術(特許文献4参照)など、低粘度領域での水中油型乳化化粧料の開発が行われている。
一方、種々の美容効果や付加価値向上のため、アミノ酸やアルコルビン酸などの酸性物質を含有する化粧料も数多く開発されている(前記特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−229852号公報
【特許文献2】特開2005−194267号公報
【特許文献3】特開平9−301847号公報
【特許文献4】特開2006−160619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の技術では、乳液やクリームの記載例はあるものの低粘度領域への応用を示唆するものではなく、低pH領域における使用可能性についても知られているものではなかった。特許文献2の技術では、高圧乳化機という特別な装置を用いて行う技術であり、容易に実施することができなかった。特許文献3の技術では、弱酸性領域において安定な低粘度水中油型乳化組成物であるが、N−長鎖アシル酸性アミノ酸モノ塩の界面活性を示すpH領域が5.5〜7であり、これよりもさらに酸性領域においては、安定でない場合があった。特許文献4の技術では、電解質を含有する低粘度水中油型乳化化粧料に関するものであり、本発明にある低pH領域では安定でない場合があった。
【0005】
以上のように、従来の水中油型乳化化粧料として油性成分を安定に含有するために、相当量の高級アルコールや水溶性高分子を配合する必要があり、高粘度の水中油型乳化化粧料が多く、またpH領域も弱酸性領域までのものが多いの実情であった。
【0006】
すなわち酸性物質を安定に含有し、さらに酸性物質の薬効を十分機能させるために、低pH領域、具体的にはpH3以上4.5以下の領域において経時安定性に優れ、さらにみずみずしい使用感を有するため、低粘度領域、具体的には粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下の場合においても経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料を製造することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑みて本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸性物質を含有する水中油型乳化化粧料において、含有する酸性物質を安定に含有でき、また薬効として機能するためのpH領域として、pHが3以上4.5以下の領域で、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下のみずみずしい使用感を保ちながら、経時安定性を良好にするべく検討を行ったところ、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン、炭素数16以上22以下の高級アルコールを特定比率で含有し、さらに水、多糖類系水溶性高分子を含有することにより、経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料である本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は次の成分(a)〜(e);
(a)ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン
(b)炭素数16〜22の高級アルコール
(c)水
(d)多糖類系水溶性高分子
(e)酸性物質
を含有し、かつ、成分(a)と成分(b)の含有質量比(a)/(b)が0.05〜10で、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であることを特徴とする水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0009】
さらに成分(e)の多糖類系水溶性高分子がキサンタンガムであることを特徴とする水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中油型乳化化粧料は、酸性物質を安定に含有し、その酸性物質の薬効を十分機能させるために、25℃における低pH領域、具体的にはpH3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下における、使用時にみずみずしい感触であり、経時安定性が良好であるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の水中油系乳化型化粧料に用いられる成分(a)のポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタンはモノステアリン酸ソルビタンに酸化エチレン20モルを付加重合して得られるノニオン界面活性剤である。成分(a)の市販品としては、花王株式会社製のレオドールTW−S120Vがある。
【0012】
本発明で用いられる成分(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜5質量%(以下、単に「%」)が好ましく、より好ましくは0.05〜3%である。この範囲であれば、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であり、使用時にみずみずしい感触であり、経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0013】
本発明で用いられる成分(b)の炭素数16〜22の高級アルコールは、直鎖の飽和アルコール、側鎖を有する飽和アルコール、直鎖の不飽和アルコール、側鎖を有する不飽和アルコールである。水中油型乳化化粧料に含有されることで、温度変化における経時での安定性の向上、使用時におけるコク感を演出する目的で含有され、具体的にはセトステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール等を挙げることができる。特に好ましくは、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールであり、これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明で用いられる成分(b)の炭素数16〜22の高級アルコールの含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜5%が好ましく、より好ましくは0.1〜3%である。この範囲であれば、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であり、使用時にみずみずしい感触であり、経時安定性に優れた水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0015】
本発明の水中油型乳化化粧料において成分(a)と成分(b)の含有質量比(a)/(b)は、が0.05〜10であることが必須である。成分(a)と成分(b)を含有させさらに、この範囲の比率とすることにより、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下においてもみずみずしい使用感でありながらも、経時安定性に優れる水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0016】
本発明で用いられる成分(c)の水は、水中油型乳化化粧料を構成する上で必須の成分であり、使用時にみずみずしい感触を付与するものであり、精製水、温泉水、深層水、或いは植物の水蒸気蒸留水等でも良い。
【0017】
本発明で用いられる成分(c)の水の含有量は特に限定されず適宜、他の成分量に応じて含有することができるが、概ね60〜90%の範囲で用いることができる。
【0018】
本発明で用いられる成分(d)の多糖類系水溶性高分子とは、25℃におけるpHが3以上4.5以下においても構造が破壊されず、系に適度な粘度を付与することで乳化滴の安定化をはかる目的で含有される。本発明に用いられる成分(e)は通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的にはキサンタンガム、スクレロチウムガム、タラガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガッティガム、カラギーナン、カラヤガム、グアーガム、タマリンド種子ガム等が挙げられる。これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、キサンタンガムを用いると25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下においてもみずみずしい使用感でありながらも、経時安定性に優れる水中油型乳化化粧料が得られる。
【0019】
本発明で用いられる成分(d)の含有量は、本発明の水中油型乳化化粧料としての粘度範囲を維持するものであれば特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中0.01〜5%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2%であれば、使用時にみずみずしい感触である水中油型乳化化粧料が得られることから好ましい。
【0020】
本発明で用いられる成分(e)の酸性成分とは、消炎剤、保湿剤、角質溶解剤、収斂剤、酸性老化防止剤、抗脂肪沈着剤および抗ニキビ剤として水溶液中で酸性を示すものであれば特に限定されない。
具体的には、α−ヒドロキシ酸(AHA)には、乳酸、グリコール酸、フルーツ酸(例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、AHAを含む天然化合物の抽出物(例えば、リンゴ抽出物、アンズ抽出物等)、蜂蜜抽出物、2−ヒドロキシオクタン酸、グリセリン酸(ジヒドロキシプロピオン酸)、タルトロン酸(ジヒドロキシプロパン二酸)、グルコン酸、マンデル酸、ベンジル酸、アゼライン酸、α−リポ酸、サリチル酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシイソバレリアン酸、アトロ乳酸(atrolactic
acid)等が挙げられ得るが、これらに制限はされない。
【0021】
β−ヒドロキシ酸(BHA)には、3−ヒドロキシプロパン酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−フェニル酪酸、β−フェニルピルビン酸が挙げられるが、これらに制限はされない。α−アミノ酸には、α−アミノジカルボン酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸およびその混合物)が挙げられ得るが、これらに制限されない。
【0022】
α−ケト酸(AKA)およびその混合物には、ピルビン酸が挙げられる。幾つかの老化防止化合物において、酸性活性剤は、レチノイン酸、ハロカルボン酸(例えば、トリクロロ酢酸)、酸性酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸(ビタミンC))、鉱酸、フィチン酸、リゾホスファチジン酸等が挙げら得る。幾つかの酸性抗ニキビ剤は、例えば、サリチル酸、サリチル酸誘導体(例えば、5−オクタノイルサリチル酸)、レチノイン酸、およびその誘導体が挙げられ得る。
【0023】
本発明で用いられる成分(e)の含有量は、その含有される成分に応じて異なるが、pH3〜4.5の領域における含有量としては、概ね0.001〜20%含有することが出来る。
【0024】
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記必須成分以外にも通常用いられる油剤を含有することができる。油剤としては通常化粧品使用されるものであれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等であり、その起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、親油性界面活性剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。具体的例示すれば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレスレロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。このような油剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜30%が好ましく、より好ましくは5〜20%である。この範囲であれば、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下においてもみずみずしい使用感でありながらも、経時安定性に優れる水中油型乳化化粧料が得られる。
【0025】
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記した必須成分の他に通常の化粧料に使用される成分、例えば、アルコール類、成分(a)以外の界面活性剤、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0026】
本発明の水中油型乳化化粧料としては、ローション、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め料、パック等の顔、手足、ボディ用の基礎化粧料、整髪料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント等の頭髪化粧料、ファンデーション、マスカラ、アイカラー等のメーキャップ化粧料として使用できる。
【実施例1】
【0027】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0028】
本発明品1〜9及び比較品1〜10:水中油型乳化化粧料
表1及び表2示す組成および以下に示す製造方法に従って水中油型乳化化粧料を調製した。得られた水中油型乳化化粧料に関して、使用時のみずみずしい感触、pH値、経時安定性、粘度の評価を下記の方法に従って行った。その結果を併せて表1及び表2示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を70℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(13)〜(19)を70℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(20)〜(23)を加え、水中油型化粧料を得た。
【0032】
(評価方法:使用時の感触)
表1、表2の各試料について、専門パネル10名により、使用時の感触については使用時のみずみずしさについて、以下の(イ)絶対評価基準を用いて7段階評価をしてもらった。その後、各資料の評点の平均値を(ロ)4段階判定基準を用いて判定した。
【0033】
(イ) 絶対評価基準
(評点) (評価)
6 : 非常にみずみずしく感じる
5 : みずみずしく感じる
4 : やや良い
3 : 普通
2 : ややのびが重い
1 : 非常にのびが重い
(ロ)4段階判定基準
(評価) (判定)
5.0を超えるもの :◎
3.5を超えて5.0迄のもの :○
1.5を超えて3.5迄もの :△
1.5以下のもの :×
【0034】
(評価方法:粘度)
表1の各試料を5℃、40℃にて24時間保管し、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて、3号ローターで6回転、1分後の粘度値を測定した。以下の(ハ)4段階判定基準を用いて判定した。
(ハ)4段階評価基準(評点) :(評価)
1000以上2500mPa・s以下 :◎
2501以上7500mPa・s以下 :○
7501以上10000mPa・s以下 :△
10001mPa・s以上 :×
【0035】
(評価方法:経時安定性)
表1の各試料を50℃の恒温槽に1ヶ月保管し、調整直後の状態を基準として、外観の変化を以下の4段階判定基準を用いて判定した。
【0036】
4段階判定基準
(評価) (判定)
変化無し :◎
外観に軽微な変化があるが問題ない :○
わずかな分離が見られる :△
分離している :×
【0037】
表1から明らかなように、本発明の本発明品1〜9の乳液は、比較品1〜10と比較すると、pH3〜4.5の低pH領域において、使用時のみずみずしい感触があり、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であり、経時安定性が良好な水中油型乳化化粧料であった。これに対して成分(d)を含有しない比較品1では、製造直後に分離し、安定性に問題があった。また成分(a)のかわりにポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタンを含有した比較品2、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油を含有した比較品3、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40)を含有した比較品4、ポリオキシエチレン(30)コレスタノールエーテルを含有した比較品5、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビットを含有した比較品6では、使用時のみずみずしい感触が得られず、粘度の増加がおこるなど安定性にも問題があった。成分(a)のかわりにステアリン酸を含有した比較品7、成分(b)を含有しない比較品8では、製造直後に分離し、安定性に問題があった。成分(a)/成分(b)の含有質量比が0.05未満の比較品9では、5℃及び40℃での粘度が7500mPa・sより大きくなり、使用時のみずみずしい感触がなかった。また、成分(a)/成分(b)の含有質量比が10より大きい比較品10では、製造直後に分離し、安定性に問題があった。
【実施例2】
【0038】
日焼け止め料
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン 1
2.1,3−ブチレングリコール 7
3.グリセリン 3
4.ε―アミノカプロン酸 8
5.メチルパラベン 0.1
6.精製水 残量
7.パラメトキシ皮酸2−エチルヘキシル 6
8.4−tert−ブチルー4´―メトキシジベンゾイルメタン 1
9.メチルポリシロキサン 1.5
10.ベヘニルアルコール 1.5
11.セトステアリルアルコール 1.9
12.新油型モノステアリン酸グリセリン 0.4
13.水素添加大豆リン脂質 0.2
14.微粒子酸化チタン 10
15.香料 適量
16.キサンタンガム 0.15
17.ヒドロキシエチルセルロース 0.15
18.エタノール 5
【0039】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を70℃にて、均一に混合する。
B.成分(7)〜(15)を70℃にて、均一に混合する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.C成分に成分(16)〜(18)を加え、日焼け止め料を得た。
【0040】
実施例2で得られた、日焼け止め料はpH4.5であり、粘度も1000〜7500mPa・sの範囲にあり、経時安定性にも優れた日焼け止め料であった。
【実施例3】
【0041】
美容液
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
2.セトステアリルアルコール 0.3
3.ベヘニルアルコール 0.5
4.新油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
5.トリエタノールアミン 0.01
6.スクワラン 3.5
7.メチルパラベン 0・1
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 1
9.2−エチルヘキサン酸セチル 2
10.1,3−ブチレングリコール 15
11.アスコルビン酸 0.5
12.精製水 残量
13.水素添加大豆リン脂質 0.2
14.キサンタンガム 0.12
15.クイーンシードエキス 0.12
16.香料 適量
【0042】
(製造方法)
A.成分(1)〜(9)を75℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(10)〜(12)を75℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(13)〜(16)を加え、美容液を得る。
【0043】
実施例3で得られた、美容液はpH4.5でありながら、粘度も1000〜7500mPa・sの範囲にあり、経時安定性にも優れた美容液であった。
【実施例4】
【0044】
リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.精製水 残量
2.1,3−ブチレングリコール 7.5
3.リンゴ酸 0.02
4.ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン 1.5
5.トリエタノールアミン 0.4
6.ベヘニルアルコール 0.5
7.セトステアリルアルコール 0.5
8.新油性モノステアリン酸グリセリン 0.8
9.水素添加大豆リン脂質 0.3
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
11.2−エチルヘキサン酸セチル 3
12.顔料級酸化チタン 2.2
13.ベンガラ 適量
14.黄酸化鉄 適量
15.黒酸化鉄 適量
16.1,3−ブチレングリコール 4.5
17.キサンタンガム 0.12
18.ヒドロキシエチルセルロース 0.06
19.香料 適量
【0045】
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を70℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(6)〜(11)を70℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(12)〜(19)を加え、リキッドファンデーションを得る。
【0046】
実施例4で得られた、リキッドファンデーションはpH4でありながら、粘度も1000〜7500mPa・sの範囲にあり、経時安定性にも優れたリキッドファンデーションであった。
【実施例5】
【0047】
クンジングミルク
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン 1.5
2.1,3−ブチレングリコール 18
3.グリセリン 5
4.フィチンサン酸 0.05
5.メチルパラベン 0.1
6.精製水 残量
7.水酸化ナトリウム 0.001
8.セトステアリルアルコール 0.5
9.ベヘニルアルコール 0.5
10.新油性モノステアリン酸グリセリン 0.8
11.水素添加大豆リン脂質 0.3
12.流動パラフィン 20
13.キサンタンガム 0.15
14.ヒドロキシエチルセルロース 0.15
【0048】
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)70℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(8)〜(11)70℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(12)〜(14)を加え、クレンジングミルクを得た。
【0049】
実施例5で得られた、クレンジングミルクはpH4.5でありながら、粘度も1000〜7500mPa・sの範囲にあり、経時安定性にも優れたクレンジングミルクであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(e);
(a)ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン
(b)炭素数16〜22の高級アルコール
(c)水
(d)多糖類系水溶性高分子
(e)酸性物質
を含有し、かつ、成分(a)と成分(b)の含有重量比(a)/(b)が0.05〜10であり、25℃におけるpHが3以上4.5以下、粘度が1000mPa・s以上7500mPa・s以下であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記成分(e)がキサンタンガムであることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化化粧料。

【公開番号】特開2008−247866(P2008−247866A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94197(P2007−94197)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】