説明

水処理方法および水処理装置

【課題】活性炭の吸着能力を向上させることができると共に、活性炭を人為的に再生する必要がなく、かつ、浄化能力に優れる水処理方法および水処理装置を提供すること。
【解決手段】活性炭吸着塔12内の活性炭に微生物が繁殖している状態で、活性炭吸着塔12に、被処理水にマイクロナノバブルが含有させられたマイクロナノバブル含有被処理水を流入させて、上記活性炭に吸着した上記被処理水中の有機物を上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理方法および水処理装置に関し、特に、排水や上水等の水に含まれる有機物を活性炭吸着処理すると共に、排水、用水、純水のいずれの水にも適用できる水処理方法及び水処理装置に関する。また、本発明は、特に、マイクロナノバブル発生助剤を被処理水に添加してマイクロナノバブルを効率的に発生させて、活性炭に繁殖した微生物を活性化して、活性炭が吸着した有機物を完全に微生物分解する水処理方法および水処理装置に関し、特に、活性炭の再生を行うために、活性炭を活性炭塔外部に人為的に取り出す必要がない水処理方法及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物負荷が少ない上水における生物活性炭システムとしては、浄水場において河川の水を活性炭処理するシステムがある。このシステムは、有機物負荷が少ない場合、活性炭吸着塔の活性炭に微生物が良好に繁殖することを利用している。このシステムは、活性炭吸着塔の活性炭に微生物を繁殖させて、活性炭が吸着した有機物を微生物分解することにより、浄化するようになっている。このシステムは、活性炭の再生が不要であるという長所を有している。
【0003】
しかしながら、上記システムは、有機物負荷が少ない場合に限られ、有機物負荷が大きい排水には、適用できないという問題がある。このため、有機物負荷が大きい排水に対する生物活性炭システムが所望されているのが実情である。
【0004】
このような実情において、最近では浄水にナノバブルを適用しようとしている試みがある。
【0005】
従来、ナノバブルを使用した浄水技術としては、特開2004−121962号公報(特許文献1)に記載された技術がある。
【0006】
この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、および、静電分極の実現に起因する界面活性作用や殺菌作用などの特性を活用するものである。
【0007】
より具体的には、上記特許文献1には、ナノバブルが有する上記複数の要因が相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能が実現され、各種物体を高機能かつ低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることが開示されている。
【0008】
また、従来、ナノ気泡の生成方法としては、特開2003−334548号公報(特許文献2)に記載されているものがある。
【0009】
この方法は、液体中において液体の一部を分解ガス化する工程と、液体中で超音波を印加する工程または液体の一部を分解ガス化する工程と、超音波を印加する工程とで構成されている。
【0010】
また、従来、マイクロバブルを利用する廃液の処理装置としては、特開2004−321959号公報(特許文献3)に記載されたオゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置がある。
【0011】
この装置は、オゾン発生装置より生成されたオゾンガスと、処理槽の下部から抜き出された廃液とを、加圧ポンプを介してマイクロバブル発生装置に供給するようになっている。この装置は、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することによって、廃液の処理を行うようになっている。
【0012】
しかしながら、上記3つの公報に記載されている気泡(バブル)を用いた装置は、水の浄水と無関係であるか、または、水の浄化を目的として水の浄化に活性炭を使用している場合では、活性炭吸着塔における自発的な活性炭の再生が困難であるという問題がある。
【0013】
すなわち、従来、排水処理に活性炭を使用している場合では、時間の経過とともに活性炭が有機物を吸着していくにつれて、活性炭が吸着不能になって、活性炭が破過することを避けがたい。特に、活性炭を排水で使用する場合、必ず、一定期間後、活性炭の吸着能力が極端に低下して、活性炭の吸着能力が破過するという問題がある。また、有機物負荷が大きいときにも、活性炭が破過することを避けがたい。このため、吸着不能になった活性炭を、活性炭吸着塔から人為的に取り出して再生する必要があるから、常時排水処理を行おうとした場合、予備の活性炭吸着塔の設置等が必要になる。更には、従来の活性炭を使用した処理方法では、活性炭の抜き出し作業や別の場所での活性炭再生作業が必要になる。
【0014】
このため、従来の装置および方法では、予備の活性炭吸着塔の設置等のイニシャルコストの増大や、活性炭の抜き出し作業や別の場所での活性炭再生作業に起因するランニングコストの増大の問題を避けがたいという問題がある。
【0015】
又、排水は、その流入水質の変動が頻繁に発生するから、活性炭吸着塔への流入水質が変動しても、活性炭吸着塔出口の水質が一定であることが望ましい。しかしながら、従来の技術では、活性炭の吸着能力に限界があり、活性炭吸着塔への流入水質が頻繁に変動した場合、活性炭吸着塔出口の水質を一定に保つことが難しいという問題がある。すなわち、活性炭吸着設備の能力の向上が、所望されているという問題がある。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2003−334548号公報
【特許文献3】特開2004−321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明の課題は、活性炭の吸着能力を向上させることができると共に、活性炭を人為的に再生する必要がなく、かつ、浄化能力に優れる水処理方法および水処理装置を提供することにある。また、本発明は、特に、本願によって開示される強力な微生物再生を使用することによって、活性炭の再生と有機物の活性炭への吸着とを同時に強化にすることができて、処理水の水質の向上と安定化を実現することができる水処理方法および水処理装置を提供することにある。また、本発明は、特に、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、処理後の水の水質を略一定にすることができる水処理方法および水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、この発明の水処理方法は、
微生物が繁殖する活性炭を充填した活性炭吸着塔に、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を流入させて、
上記活性炭に繁殖した上記微生物を上記マイクロナノバブルによって活性化して、
上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性化した微生物によって分解して、上記活性炭を再生することを特徴としている。
【0018】
通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅するバブルであり、マイクロバブルは、直径が10〜数十μmの気泡径を有する気泡で、水中で収縮していき、ついには消滅(完全溶解)してしまうバブルである。また、ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が数百nm以下の直径を有する気泡)でいつまでも水の中に存在することが可能なバブルである。本明細書では、マイクロナノバブルを、上記説明のマイクロバブルと、上記説明のナノバブルとが混合したバブルとして定義する。
【0019】
本発明によれば、上記活性炭に吸着した上記マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができる。したがって、被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
【0020】
また、本発明によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して、上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
【0021】
また、一実施形態の水処理方法は、上記被処理水は、少なくとも有機フッ素化合物を含んだ水である。
【0022】
有機フッ素化合物の中には、化学的に安定なため、一旦環境に排出されると、環境中で分解することができず、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有するものもある。
【0023】
本発明の水処理方法は、マイクロナノバブルによって活性化した微生物で有機物の分解を行う様式であって浄化能力が高いので、分解しにくい上記有機フッ素化合物であっても分解処理を行うことができる。
【0024】
また、本発明の水処理装置は、
内部に活性炭を充填した活性炭吸着塔と、
被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、上記活性炭吸着塔に流入させる被処理水流入機構と
を備え、
上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性炭に繁殖していると共に、上記マイクロナノバブルによって活性化された微生物によって分解することを特徴としている。
【0025】
本発明によれば、上記活性炭に吸着した上記マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、上記マイクロナノバブルによって活性化した上記微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができる。したがって、上記被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
【0026】
また、本発明によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
【0027】
また、一実施形態の水処理装置は、上記微生物によって分解される上記有機物の分解速度が、上記活性炭に吸着される上記有機物の吸着速度以上になるように、上記活性炭吸着塔に流入する上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御する第1制御装置を備える。
【0028】
上記実施形態によれば、上記第1制御装置が、上記微生物によって分解される上記有機物の分解速度が、上記活性炭に吸着される上記有機物の吸着速度以上になるように、上記活性炭吸着塔に流入する上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御するから、活性炭の自発的な再生能力をさらに促進することができる。
【0029】
また、一実施形態の水処理装置は、上記被処理水を収容する第1ピットと、上記第1ピット内に収容された上記被処理水の中に上記マイクロナノバブルを発生する少なくとも一つのマイクロナノバブル発生機と、上記活性炭吸着塔に流入する前の上記マイクロナノバブル含有被処理水または上記被処理水を濾過する濾過機とを備える。
【0030】
上記実施形態によれば、上記活性炭吸着塔に流入する前の上記マイクロナノバブル含有被処理水または上記被処理水に含まれる浮遊物質を濾過機で除去して、濾過機で浮遊物質が除去された後のマイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭吸着塔に導入するようになっているので、活性炭吸着塔内の活性炭が浮遊物質で閉塞されることを抑制できる。したがって、活性炭吸着塔内の活性炭の有機物の吸着能力を向上させることができて、有機物を効率的に分解できる。
【0031】
また、一実施形態の水処理装置は、マイクロナノバブル発生助剤が貯留されたマイクロナノバブル発生助剤タンクと、上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから流出する上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御する第2制御装置と、上記活性炭吸着塔から流出した上記活性炭吸着塔通過後の水を収容する第2ピットと、上記第2ピットに収容された上記活性炭吸着塔通過後の上記水の水質を検出する水質検出装置とを備える。
【0032】
上記実施形態によれば、マイクロナノバブル発生助剤タンクから第1ピットにマイクロナノバブル発生助剤を導入することによって、マイクロナノバブルを効率的に発生させることができる。また、上記第2ピットに収容された水の水質を検出する水質検出装置を有するので、活性炭吸着塔通過後の水の水質を検出することができて、例えば、この活性炭吸着塔通過後の水の水質に基づいて、上記マイクロナノバブル発生助剤の導入量の制御等を行うことができる。
【0033】
また、一実施形態の水処理装置は、上記マイクロナノバブル発生助剤タンクと上記第1ピットとの間を連通して、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク内の上記マイクロナノバブル発生助剤を上記第1ピットに導入する第1水通路を備える。
【0034】
たとえ、被処理水が、マイクロナノバブルが発生しにくい水であったとしても、マイクロナノバブル発生助剤を添加することによって、マイクロナノバブルを安定的に発生させることができて、その結果、微生物を確実に活性化することができる。上記実施形態によれば、マイクロナノバブル発生助剤を上記第1ピットに導入できるので、マイクロナノバブルを安定的に発生させることができて、微生物を確実に活性化することができる。尚、添加するマイクロナノバブル発生助剤として、微生物分解性の良い商品を選定した場合、マイクロナノバブルの発生に寄与して役割が終わったマイクロナノバブル発生助剤を、上記活性炭吸着塔内等に存在する微生物で略完全に分解することができる。したがって、マイクロナノバブル発生助剤が、処理後の水に残存することはない。
【0035】
また、一実施形態の水処理装置は、上記第2制御装置が、上記水質検出装置からの信号に基づいて上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御するようになっている。
【0036】
上記実施形態によれば、被処理水に、被処理水の水質に対応した量のマイクロナノバブル発生助剤を添加することができる。したがって、被処理水の水質に基づいてマイクロナノバブルの発生量を調節することができるので、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、処理後の水の水質を略一定にすることができる。
【0037】
また、一実施形態の水処理装置は、上記マイクロナノバブル発生機が、上記マイクロナノバブルの発生量を調整する調整部を有し、上記水質検出装置からの信号に基づいて上記調整部を調整することによって、上記マイクロナノバブルの上記発生量を制御する調整部制御器を備える。
【0038】
上記実施形態によれば、被処理水の水質に基づいてマイクロナノバブルの発生量を調節することができるので、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、処理後の水の水質を略一定にすることができる。
【0039】
また、一実施形態の水処理装置は、上記第1ピットよりも上方に位置していると共に、水が通過できる底部を有し、かつ、内部に活性炭が充填されている活性炭層水槽と、上記濾過機と上記活性炭吸着塔とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭吸着塔に導入する第2水通路と、上記濾過機と上記活性炭層水槽とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭層水槽に導入する第3水通路と、上記活性炭吸着塔に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御すると共に、上記活性炭層水槽に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御する第3制御装置とを備え、上記底部を通過した上記活性炭層水槽通過後の水は、上記第1ピットに流入するようになっている。
【0040】
上記実施形態によれば、濾過機で濾過された後の水の少なくとも一部を、活性炭層水槽を介して第1ピットに再度導入することができる。すなわち、被処理水を、第1ピット、濾過機、活性炭層水槽の間で、循環処理することができるので、有機物負荷を低減できる。また、マイクロナノバブル含有被処理水を、活性炭層水槽に導入するようにすれば、活性炭層水槽の活性炭に繁殖している微生物を活性化することができて、この活性炭層水槽の活性炭に吸着した有機物を効率的に分解処理することができる。したがって、被処理水の浄化能力を向上させることができるから、処理前の被処理水の有機物負荷が高い場合であっても、処理後の水の水質が劣化することを防止でき、かつ、活性炭層水槽の活性炭の人為的な再生を行う必要がない。
【0041】
また、一実施形態の水処理装置は、上記第1ピット内に設置されると共に、活性炭が収納された網袋を備える。
【0042】
上記実施形態によれば、上記第1ピット内に設置されると共に、活性炭が収納された網袋を備えるので、有機物負荷を低減できる。また、マイクロナノバブルで網袋内の活性炭に繁殖している微生物を活性化することができて、この網袋内の活性炭に吸着した有機物を効率的に分解処理することができる。したがって、被処理水の浄化能力を向上させることができるから、処理前の被処理水の有機物負荷が高い場合であっても、処理後の水の水質が劣化することを防止でき、かつ、網袋内の活性炭の人為的な再生を行う必要がない。
【0043】
また、一実施形態の水処理装置は、上記活性炭吸着塔内に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
【0044】
上記実施形態によれば、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物で有機物を分解することができるので、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が存在していない場合と比較して、活性炭吸着塔内の被処理水の有機物負荷を低減することができる。したがって、浄化能力を向上させることができる。
【0045】
また、特に、活性炭吸着塔内において、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物を、活性炭よりも被処理水の上流側に配置した場合、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖した微生物で前処理した後に、活性炭と被処理水とが接触することになるので、活性炭への有機物負荷が減少し、水質を格段に向上させることができる。更に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物で繁殖した微生物を、マイクロナノバブル含有被処理水の流れに沿って活性炭に移動させることができるから、活性炭の自動再生能力(自発的な再生能力)を、向上させることができる。
【0046】
また、一実施形態の水処理装置は、上記活性炭吸着塔内に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
【0047】
上記実施形態によれば、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物で有機物を分解することができるので、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物が存在していない場合と比較して、活性炭吸着塔内の被処理水の有機物負荷を低減することができる。したがって、浄化能力を向上させることができる。
【0048】
また、特に、活性炭吸着塔内において、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物を、活性炭よりも被処理水の上流側に配置した場合、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖した微生物で前処理した後に、活性炭と被処理水とが接触することになるので、活性炭への有機物負荷が減少し、水質を格段に向上させることができる。更に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物で繁殖した微生物を、マイクロナノバブル含有被処理水の流れに沿って活性炭に移動させることができるから、活性炭の自動再生能力(自発的な再生能力)を、向上させることができる。
【0049】
また、一実施形態の水処理装置は、複数の上記マイクロナノバブル発生機と、稼働する上記マイクロナノバブル発生機の数を上記記水質検出装置からの信号に基づいて制御する運転台数制御器とを備える。
【0050】
上記実施形態によれば、活性炭吸着塔通過後の水の水質に基づいて稼働する上記マイクロナノバブル発生機の数を制御することができるので、被処理水の水質が頻繁に変動するような場合でも、活性炭吸着塔通過後の水の水質を一定に近づけることができる。
【0051】
また、一実施形態の水処理装置は、上記マイクロナノバブル発生助剤が、上記微生物によって分解される界面活性剤または上記微生物によって分解されるアルコール類である。
【0052】
上記実施形態によれば、上記マイクロナノバブル発生助剤が、上記微生物によって分解される界面活性剤または上記微生物によって分解されるアルコール類であるから、マイクロナノバブルの発生に寄与して役割が終わったマイクロナノバブル発生助剤を、上記活性炭吸着塔内等に存在する微生物で分解することができる。そして、処理後の水に残存するマイクロナノバブル発生助剤の量を殆どゼロにすることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、活性炭に吸着したマイクロナノバブル含有被処理水中の有機物を、マイクロナノバブルによって活性化した微生物によって分解するので、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、被処理水の浄化の能力を格段に向上させることができる。
【0054】
また、本発明によれば、上記マイクロナノバブルを用いない場合と比較して上記有機物の分解速度を格段に大きくすることができて、上記活性炭に吸着した上記有機物を略完全に分解することができるから、活性炭の表面に過剰に有機物が吸着することがなく、活性炭が自発的に再生する。したがって、人為的に活性炭を再生する必要がないから、ランニングコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0056】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【0057】
この水処理装置は、第1ピット1と、急速濾過機11と、活性炭吸着塔12と、第2ピット17と、マイクロナノバブル発生助剤タンク13とを備える。上記活性炭吸着塔12内には、活性炭が充填されている一方、マイクロナノバブル発生助剤タンク13内には、微生物分解性の良い界面活性剤や、微生物分解性の良いアルコール類等から成る微生物分解性の良いマイクロナノバブル発生助剤が貯留されている。尚、以下で言及されるマイクロナノバブル含有被処理水は、被処理水にマイクロナノバブルが含有させられたものである。
【0058】
上記第1ピット1のマイクロナノバブル含有被処理水は、第1ピットポンプ8によって汲み上げられて、その汲み上げられたマイクロナノバブル含有被処理水の少なくとも一部は、急速濾過機11に導入されるようになっている。また、急速濾過機11の出口から流出したマイクロバブル含有被処理水は、活性炭吸着塔12に導入されるようになっている。また、活性炭吸着塔12の出口から流出した活性炭吸着塔通過後の水の少なくとも一部は、第2ピット17に導入されるようになっている。尚、この実施形態では、急速濾過機11は、マイクロナノバブルと被処理水とを含むマイクロナノバブル含有被処理水を濾過したが、この発明では、濾過機は、例えば、第1ピット1の前段に配置されても良く、第1ピット1に流入する前の被処理水を濾過するようになっていても良い。
【0059】
上記第1ピット1には、処理するべき被処理水としての流入水が導入されるようになっている。ここで、流入水としては、排水、上水、工場での再利用水、河川水、地下水等がある。また、排水には、例えば、排水の原水だけでなく、排水を生物処理した後の水、排水を化学処理した後の水、排水を物理処理した後の水等も含まれる。すなわち、本発明の装置および方法によって処理される排水は、本発明の方法を用いて浄化できるものであれば、非処理のものであっても処理されたものであってもどちらでも良い。
【0060】
また、本発明の装置および方法で処理される排水には、有機フッ素化合物含有排水も該当する。有機フッ素化合物の中には、化学的に安定なため、一旦環境に排出されると、環境中で分解することができず、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有するものもある。本発明の装置および方法で処理できる排水には、いつまでも環境中に存在し続ける性質を有して現在世界的に問題となっているこのような有機フッ素化合物を含む排水が含まれる。
【0061】
上記第1ピット1には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4が設置されている。尚、この発明では、第1ピット内に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機を、3つ以外の台数、すなわち、1つ、2つ、または、4つ以上設置しても良いことは言うまでもない。水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4は、マイクロナノバブルを発生させるのに空気を必要とする。そのため、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4には、ブロワー5と接続している空気配管6より空気が供給されるようになっている。
【0062】
ここで、マイクロナノバブルを定義することにする。通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅するバブルであり、マイクロバブルは、直径が10〜数十μmの気泡径を有する気泡で、水中で収縮していき、ついには消滅(完全溶解)してしまうバブルである。また、ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が数百nm以下の直径を有する気泡)でいつまでも水の中に存在することが可能なバブルである。本発明では、マイクロナノバブルを、上記説明のマイクロバブルと、上記説明のナノバブルとが混合したバブルとして定義する。
【0063】
水質検出装置の一例としてのUV検出器(紫外吸光光度検出器)18(UVは、ウルトラバイオレットの略)が、第2ピット17内に設置されている。UV検出器18は、活性炭吸着塔12出口からの処理水の有機物濃度を測定することによって、活性炭吸着塔通過後の水の水質を測定するようになっている。具体的には、UV検出器18は、被処理水(排水や上水等)中の有機物濃度を、紫外吸光光度を利用して測定する自動測定器からなっている。尚、水質検出装置として、UV検出器のかわりに、COD(化学的酸素要求量)を検出するCOD計等のUV検出器以外の水質検出装置を使用しても良い。
【0064】
運転台数制御器34は、第2ピット17に設置されているUV検出器18の信号に基づいて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の運転台数を制御するようになっている。詳しくは、UV検出器18で測定したデータは、UV調節計(紫外線調節計)19に送られるようになっている。UV調節計19は、UV検出器18からデータを受けると、調整部制御器としてのモーター回転数制御器20、および、運転台数制御器34に信号を送信するようになっている。
【0065】
運転台数制御器34は、UV調節計19から信号を受けると、その信号を調整して水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の運転台数を制御するようになっている。この実施形態では、第1ピット1内に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機を3つ設置して、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の稼働台数を1から3まで調整できるようにしている。一方、モーター回転数制御器20は、UV調節計19から信号を受けると、その信号を調整して水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の稼働状態におけるモーターのモーター回転数(回転速度)を制御するようになっている。モーターは、調整部を構成している。このような、運転台数制御器34およびモーター回転数制御器20の制御により、第2ピット17内の水の水質が、目的に合った水質となるようにしている。
【0066】
マイクロナノバブル含有被処理水におけるマイクロナノバブルの含有率が高いと、活性炭に繁殖する微生物の活性化が促進されて、微生物が有機物をより分解して、処理後の水の水質が向上することが確かめられた。このことに鑑み、UV検出器19で測定した有機物濃度が高く、第2ピット17内の水質が目的水質より悪い場合は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4のモーター回転数を高く設定して、マイクロナノバブルを多量に発生するようにする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の運転台数も最大数とする。このようにして、第2ピット17の水の浄化能力を高くする。
【0067】
一方、水質が目的水質より良い場合は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4のモーター回転数を低く設定して、マイクロナノバブルの発生量を少量にする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の運転台数を、設定によって、2台もしくは1台にする。このようにして、第2ピット17の水質が元々良い場合は、水処理装置の運転コストを低減するようにして、水処理装置の省エネ運転を実現する。
【0068】
水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4の具体的な制御方法としては、例えば、次に示すような方法がある。
【0069】
先ず、第2ピット17の水質が、第2ピット17の水質が最も悪い状態か、または、それ以外の状態であるかの判断の基準となる第1基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を運転状態にし、かつ、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4の夫々のモーター回転数を最大にする。
【0070】
また、第2ピット17の水質が通常であるか、または、第2ピット17の水質が良好であるかを判断する基準水質を第2基準水質とするとき、第2ピット17の水質が、第1基準水質より良くて第2基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を運転状態にし、かつ、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3、および、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4の夫々のモーター回転数を定格回転数付近に設定する。
【0071】
また、第2ピット17の水質が良好であるか、または、第2ピット17の水質が最良であるかを判断する基準水質を第3基準水質とするとき、第2ピット17の水質が、第2基準水質より良くて第3基準水質より悪い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3を運転状態にする一方、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を停止状態にする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3の夫々のモーター回転数を、定格回転数付近に設定する。
【0072】
また、第2ピット17の水質が、第3基準水質より良い場合には、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2を運転状態にする一方、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機3および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機4を停止状態にする。また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2のモーター回転数を最低にする。
【0073】
もっと大雑把には、第2ピット17内の水の水質を検出しているUV検出器18の値が、目的水質の基準となる基準値よりも高くて、第2ピット17内の水の水質が基準水質よりも悪い場合には、第1ピット1内における被処理水に、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によって、3台の水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によって供給できる供給能力の最大限のマイクロナノバブルを供給する。
【0074】
マイクロナノバブル含有被処理水は、第1ピットポンプ8によって、急速濾過機11に導入されるようになっている。ここで、第1ピットポンプ8によってくみ出された被処理水の全てを、必ずしも急速濾過機11に導入する必要はない。すなわち、第1ピットポンプ8によってくみ出された被処理水のうちの一部を、第1制御装置を構成するバルブ9およびバルブ10の調整によって、第1ピット1に返送循環しても良い。すなわち、処理水量を下げる場合において、第1ピットポンプ8によってくみ出された被処理水のうちの一部を、返送循環の配管ライン50を介して、第1ピット1に返送循環しても良い。
【0075】
急速濾過機11は、被処理水中の浮遊物質を除去するようになっている。急速濾過機11は、活性炭吸着塔12内の活性炭が浮遊物質で閉塞されることを防止する役割を担っている。マイクロナノバブル含有被処理水は、急速濾過機11を通過した後、活性炭吸着塔12に導入されるようになっている。マイクロナノバブル含有被処理水中の有機物は、活性炭吸着塔12内で活性炭に吸着された後、活性炭に繁殖したマイクロナノバブルによって活性化した微生物によって分解されるようになっている。このような機構により、活性炭の表面の有機物が分解除去され、その結果、被処理水の浄化を行うと共に、活性炭が自動再生されるようになっている。尚、図1において、第1ピットポンプ8、バルブ10、急速濾過機11、マイクロナノバブル含有被処理水を第1ピット1から急速濾過機11まで導入する配管65、および、マイクロナノバブル含有被処理水を急速濾過機11から活性炭吸着塔12まで案内する配管66は、被処理水流入機構を構成している。
【0076】
このように、この実施形態では、活性炭吸着塔12内に充填された活性炭は、常に吸着と再生を繰り返しているので、活性炭を活性炭吸着塔12から取り出して再生する必要がない。したがって、ランニングコストを低減できると同時に、予備の活性炭吸着塔12も必要ないので、イニシャルコストも低減できる。尚、第1制御装置を構成するバルブ9および10によって、微生物によって分解される有機物の分解速度が、活性炭に吸着する有機物の吸着速度以上になるように、活性炭吸着塔12に流入するマイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御すれば、活性炭の自発的な再生能力をさらに促進することができる。
【0077】
上記活性炭吸着塔12の出口から流出した水の少なくとも一部は、バルブ16を介して第2ピット17内に流入するようになっている。尚、バルブ16とバルブ17の開閉の調整により、活性炭吸着塔12の出口から流出した水の一部を、バルブ15を介して第1ピット1に返送循環しても良い。
【0078】
また、第1ピット1内での水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4によるマイクロナノバブルの発生状態が悪い場合は、マイクロナノバブルを適正に発生させるために、マイクロナノバブル発生助剤タンク13に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤を、第2制御装置としてのマイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14を介して、第1ピット1内に添加することができる。第1ピット1内にマイクロナノバブル発生助剤を添加すると、無添加の場合と比較して、格段に小さい超微細なマイクロナノバブルを発生させることができる。尚、マイクロナノバルブ発生助剤タンク13の出口から第1ビット1までマイクロナノバブル発生助剤を案内する配管60は、第1水通路を構成している。また、マイクロナノバブル発生助剤タンク13に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤は、マイクロナノバブル発生助剤のなかでも微生物分解性に優れたものである。微生物分解性に優れるマイクロナノバブル発生助剤を使用しているから、マイクロナノバブル発生助剤自体が第2ピット17まで残存することはない。すなわち、マイクロナノバブル発生助剤は、マイクロナノバブルを発生させた後は、活性炭吸着塔12内に繁殖した微生物によって、完全に微生物分解されることになる。
【0079】
水処理装置は、本実施形態のように自動運転仕様であっても良い。この場合、第2ピット17内の処理水の水質を検出しているUV検出器18からの信号に基づいて、マイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ14のモーターのモーター回転数が制御される。そして、適量のマイクロナノバブル発生助剤が添加されることになる。すなわち、第2ピット17の水質が悪い場合は、自動的にマイクロナノバブル発生助剤が多く添加して、マイクロナノバブルを多く発生させて、活性炭吸着塔12の活性炭に繁殖した微生物を活性化させて、吸着した有機物を完全に分解するようにする。
【0080】
第2ピット17の水質が、設定水質(放流規制値は確実に順守しなければならないから、上記設定水質とは、例えば、被処理水が排水である場合、放流規制値に基づく水質ではなく、放流規制値に基づく水質よりもきれいであり、かつ、自主管理値に基づく水質である)よりも悪い場合には、以下のA、B、Cの手続きを必要に応じて行うようになっている。そして、これらA、B、Cのうちの少なくとも1つの手続きにより、第2ピット17の水質を、設定水質と比較して悪い状態から良い状態に改善するようになっている。尚、A、B、Cの全てを実施すれば、浄化能力が最大になることは言うまでもない。
【0081】
A.マイクロナノバブル発生助剤を第1ピット1に添加する。
【0082】
B.水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4のモーター回転数を高い値に設定する。
【0083】
C.3台の水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4を全て稼働させる。
【0084】
尚、第1実施形態の水処理装置に上述の有機フッ素化合物含有排水が導入された場合、活性炭吸着塔12の活性炭が有機フッ素化合物を吸着し、その後、マイクロナノバブルによって活性化した微生物が活性炭に大量に繁殖して、有機フッ素化合物を分解処理することが確認された。ここで、例えば、有機フッ素化合物としては、界面活性剤がある。活性炭は、界面活性剤をよく吸着し、かつ、マイクロナノバブルによって活性化した微生物が、活性炭が物理的に吸着した有機フッ素化合物を強力に分解処理することが確認された。
【0085】
また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4は、市販されているものならば、如何なるメーカーのものであっても良い。本実施形態では、野村電子工業株式会社のものを採用したが、例えば、株式会社オーラテック等、野村電子工業株式会社以外の商品であっても良い。
【0086】
上記第1実施形態の水処理装置において、第1ピット1の容量を約4m、急速濾過機11の容量を0.5m、活性炭吸着塔の容量を2m、第2ピット17の容量を2m、マイクロナノバブル発生助剤タンクの容量を0.5mとして、排水を導入して、約3ケ月間運転を行った。
【0087】
運転後、第1ピット1への入口TOC〔トータル オーガニック カーボン〕濃度と第2ピット17の出口のTOC〔トータル オーガニック カーボン〕の濃度を測定し、TOCの除去率を測定したところ、90%であった。
【0088】
上記第1実施形態の水処理装置および水処理方法によれば、活性炭の再生を有機物の活性炭への吸着と同時に強力にできるので、活性炭吸着能力を格段に向上でき、活性炭吸着塔出口における水の水質を安定させることができる。
【0089】
また、上記第1実施形態の水処理装置によれば、マイクロナノバブルで微生物を活性化して、活性炭に繁殖させているから、活性炭が吸着した有機物を活性化した微生物でほぼ完全に分解することができる。また、マイクロナノバブル量を制御することによって、活性炭処理能力(活性炭吸着量と活性化微生物の有機物分解量)を、制御されているマイクロナノバブル量に比例して制御できる。また、最終処理水のUV値を測定して、水質を監視し、フィードバックして水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機のモーターを回転数制御しているから、最終処理水の水質を安定させることができる。
【0090】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【0091】
第2実施形態の水処理装置は、第1ピット1の上部に、急速濾過機11の出口から流出した後、活性炭吸着塔12に流入しなかったマイクロナノバブル含有被処理水を収容する活性炭層水槽24を設けた点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。尚、急速濾過機11の出口から活性炭吸着塔12までマイクロナノバブル含有被処理水を案内する配管61は、第2水通路を構成し、急速濾過機11の出口から活性炭層水槽24までマイクロナノバブル含有被処理水を案内する配管62は、第3水通路を構成している。図2に示すように、配管61の一部63は、配管62の一部も兼ねている。
【0092】
第2実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
【0093】
上記活性炭層水槽24には、活性炭が充填されている。上記活性炭層水槽24に充填された活性炭は、活性炭層35を形成している。上記活性炭層水槽24の鉛直方向下方の底部25は、多孔板からなっている。また、底部25の上面には、合成樹脂製のネット(図示せず)が設置されていて、微細な活性炭が底部25への流出することを防止している。活性炭層35と底部25を通過して下方に滴下した水滴26は、第1ピット1に収容されるようになっている。
【0094】
また、活性炭吸着塔12への通水量と、活性炭層水槽24への通水量は、第3制御装置を構成するバルブ21およびバルブ22で調整するようになっている。バルブ21およびバルブ22の開度の割合は、第2ピット17内の水の水質を見て決定するようになっている。
【0095】
第2実施形態の水処理装置によれば、活性炭吸着塔12のみならず活性炭層水槽24でも、有機物をマイクロナノバブルで活性化した微生物で分解処理することができるので、有機物の分解能力を格段に向上させることができる。したがって、有機物負荷量が高くて、活性炭吸着塔12内の活性炭量のみでは、有機物を十分に分解することができない場合でも、確実に有機物を分解することができる。
【0096】
また、第2実施形態の水処理装置によれば、活性炭吸着塔12のみならず活性炭層水槽24にも活性炭が充填されていて、活性炭層水槽24に充填された活性炭が活性炭層35を形成しているから、その活性炭層35の活性炭に、マイクロナノバブルで活性化した微生物を大量に繁殖させることができて、活性炭が吸着した有機物を微生物で分解処理することができる。したがって、活性炭層35の活性炭は、自発的に再生するので、活性炭吸着塔12内の活性炭と同様、活性炭層35の活性炭を、活性炭層水槽24から活性炭を取り出して再生する必要がない。
【0097】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【0098】
尚、図3において、29および30は、多孔板を示している。
【0099】
第3実施形態の水処理装置は、第1実施形態の水処理装置の第1ピット1に、活性炭28が充填された網袋27が設置されている点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
【0100】
第3実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第3実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
【0101】
第3実施形態の水処理装置は、活性炭28が充填された網袋27を、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4が設置された第1ピット1に設置している。したがって、網袋27内の活性炭28が、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機2,3,4のどれか又は全数から発生したマイクロナノバブルを効率よく受けることができる。したがって、活性炭28に繁殖した微生物の活性化の度合が大きくて、活性炭28に繁殖した微生物で効率よく有機物を分解することができる。また、第1ピット1内の活性炭28による有機物処理が1次処理となるから、活性炭吸着塔12に充填された活性炭による有機物処理を2次処理とすることができる。すなわち、有機物処理を、2段階で行うことができるから、有機物処理を確実に行うことができる。
【0102】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【0103】
第4実施形態の水処理装置は、活性炭吸着塔12に、活性炭に加えて、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31を充填している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
【0104】
第4実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第4実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
【0105】
第4実施形態では、活性炭吸着塔12内の水流入側に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されている。
【0106】
第4実施形態によれば、活性炭吸着塔12内の水流入側に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されているから、活性炭吸着塔12に導入された被処理水に含まれる有機物は、最初にひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している活性化した微生物によって微生物分解され、その後、有機物負荷が軽減された状態で、活性炭吸着処理される。したがって、活性炭吸着がより確実になることに加えて、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31で微生物を繁殖させることができて、さらに、微生物をひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物31から活性炭まで移動させることができる。したがって、活性炭が吸着した有機物をより確実に微生物分解することができて、浄化を促進することができると共に、活性炭の自発的な再生能力を格段に促進することができて、活性炭の再生作業を行う必要がない。
【0107】
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【0108】
第5実施形態の水処理装置は、活性炭吸着塔12に、活性炭に加えて、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31を充填している点が、第1実施形態の水処理装置と異なっている。
【0109】
第5実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第5実施形態の水処理装置では、第1実施形態の水処理装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の水処理装置と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
【0110】
第5実施形態では、活性炭吸着塔12内の水流入側に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されている。
【0111】
第5実施形態によれば、活性炭吸着塔12内の水流入側に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31が充填されている一方、活性炭吸着塔12内の水流出側に、活性炭が充填されているから、活性炭吸着塔12に導入された被処理水に含まれる有機物は、最初にリング型ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している活性化した微生物によって微生物分解され、その後、有機物負荷が軽減された状態で、活性炭吸着処理される。したがって、活性炭吸着がより確実になることに加えて、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物31で微生物を繁殖させることができて、さらに、微生物をリング型ポリ塩化ビニリデン充填物31から活性炭まで移動させることができる。したがって、活性炭が吸着した有機物をより確実に微生物分解することができて、浄化を促進することができると共に、活性炭の自発的な再生能力を格段に促進することができて、活性炭の再生作業を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第5実施形態の水処理装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1 第1ピット
2,3,4 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機
5 ブロワー
6 空気配管
7 水流
8 第1ピットポンプ
9,15,16,21,22 バルブ
10 バルブ
11 急速濾過機
12 活性炭吸着塔
13 マイクロナノバブル発生助剤タンク
14 マイクロナノバブル発生助剤タンク定量ポンプ
17 第2ピット
18 UV検出器
19 UV調節計
20 モーター回転数制御器
23 散水管
24,35 活性炭層
25,29,30 多孔板
26 水滴
27 網袋
28 活性炭
31 ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填材
32 リング型ポリ塩化ビニリデン充填材
33 信号線
34 運転台数制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物が繁殖する活性炭を充填した活性炭吸着塔に、被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を流入させて、
上記活性炭に繁殖した上記微生物を上記マイクロナノバブルによって活性化して、
上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性化した微生物によって分解して、上記活性炭を再生することを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理方法において、
上記被処理水は、少なくとも有機フッ素化合物を含んだ水であることを特徴とする水処理方法。
【請求項3】
内部に活性炭を充填した活性炭吸着塔と、
被処理水にマイクロナノバブルを含有させてなるマイクロナノバブル含有被処理水を、上記活性炭吸着塔に流入させる被処理水流入機構と
を備え、
上記活性炭に吸着された有機物を、上記活性炭に繁殖していると共に、上記マイクロナノバブルによって活性化された微生物によって分解することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水処理装置において、
上記微生物によって分解される上記有機物の分解速度が、上記活性炭に吸着される上記有機物の吸着速度以上になるように、上記活性炭吸着塔に流入する上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御する第1制御装置を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の水処理装置において、
上記被処理水を収容する第1ピットと、
上記第1ピット内に収容された上記被処理水の中に上記マイクロナノバブルを発生する少なくとも一つのマイクロナノバブル発生機と、
上記活性炭吸着塔に流入する前の上記マイクロナノバブル含有被処理水または上記被処理水を濾過する濾過機と
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水処理装置において、
マイクロナノバブル発生助剤が貯留されたマイクロナノバブル発生助剤タンクと、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクから流出する上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御する第2制御装置と、
上記活性炭吸着塔から流出した上記活性炭吸着塔通過後の水を収容する第2ピットと、
上記第2ピットに収容された上記活性炭吸着塔通過後の上記水の水質を検出する水質検出装置と
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクと上記第1ピットとの間を連通して、上記マイクロナノバブル発生助剤タンク内の上記マイクロナノバブル発生助剤を上記第1ピットに導入する第1水通路を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の水処理装置において、
上記第2制御装置は、上記水質検出装置からの信号に基づいて上記マイクロナノバブル発生助剤の流量を制御するようになっていることを特徴とする水処理装置。
【請求項9】
請求項6に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生機は、上記マイクロナノバブルの発生量を調整する調整部を有し、
上記水質検出装置からの信号に基づいて上記調整部を調整することによって、上記マイクロナノバブルの上記発生量を制御する調整部制御器を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項10】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記第1ピットよりも上方に位置していると共に、水が通過できる底部を有し、かつ、内部に活性炭が充填されている活性炭層水槽と、
上記濾過機と上記活性炭吸着塔とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭吸着塔に導入する第2水通路と、
上記濾過機と上記活性炭層水槽とを連通して、上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水を上記活性炭層水槽に導入する第3水通路と、
上記活性炭吸着塔に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御すると共に、上記活性炭層水槽に流入する上記濾過機で濾過された上記マイクロナノバブル含有被処理水の水量を制御する第3制御装置と
を備え、
上記底部を通過した上記活性炭層水槽通過後の水は、上記第1ピットに流入するようになっていることを特徴とする水処理装置。
【請求項11】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記第1ピット内に設置されると共に、活性炭が収納された網袋を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項12】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記活性炭吸着塔内に、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項13】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記活性炭吸着塔内に、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項14】
請求項6に記載の水処理装置において、
複数の上記マイクロナノバブル発生機と、
稼働する上記マイクロナノバブル発生機の数を上記記水質検出装置からの信号に基づいて制御する運転台数制御器と
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項15】
請求項6に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生助剤は、上記微生物によって分解される界面活性剤または上記微生物によって分解されるアルコール類であることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−319789(P2007−319789A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153268(P2006−153268)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】