説明

水処理装置

【課題】有用菌の活性度を高めて、有機物の酸化分解、排水中の難分解性化合物の酸化分解、アンモニア性窒素の酸化等が可能な水処理装置を提供する。
【解決手段】この水処理装置によれば、微生物活性化部58において、粗大マイクロナノバブルと微小マイクロナノバブルによって活性化した有用微生物を含有したマイクロナノバブル水を、微生物培養槽27から水配管14を経由して、接触調整槽2および接触酸化槽9の少なくとも一方に供給する。この活性化された有用微生物および粗大,微小マイクロナノバブルによって、接触調整槽2,接触酸化槽9,循環ポンプ槽15および放流ポンプ槽20が構成する水処理部57の水処理能力を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水処理装置における有用菌の利用は、ホテルの厨房排水や食品工場からの排水のように油脂(ノルマルヘキサン抽出物質として測定されている)を比較的多量に含有している排水に対して利用されてきた。すなわち、それらの排水処理装置においては、油脂を分解する微生物を調整槽や曝気槽もしくは接触酸化槽に投入して、効率的に油脂や有機物等を総合的に微生物分解していた。
【0003】
ところで、従来技術としてのマイクロナノバブルを利用した水処理方法および水処理装置が、特許文献1(特開2008−36518号公報)に開示されている。この従来技術は、マイクロナノバブルを油脂を含む被処理水と混合して加圧浮上槽に導入して、被処理水中の懸濁物質と超微細な懸濁物質の両方を加圧浮上槽で浮上分離させる内容である。したがって、この従来技術では、加圧浮上槽の前段で被処理水とマイクロナノバブルを混合しているので、一般的な加圧浮上槽と比較して、油脂を含む超微細な懸濁物質をも加圧浮上槽で浮上分離できる利点を開示している。
【0004】
また、特許文献2(特開2004−121962号公報)には、従来技術としてのナノバブルの利用方法および装置が開示されている。この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることを開示している。
【0005】
また、特許文献3(特開2003−334548号公報)には、従来技術としてのナノ気泡の生成方法が開示されている。この技術は、液体中において、(1)液体の一部を分解ガス化する工程、(2)液体中で超音波を印加する工程または、(3)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程から構成されていることを開示している。
【0006】
また、特許文献4(特開2004−321959号公報)では、従来技術としてのオゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置が開示されている。この技術では、マイクロバブル発生装置にオゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液を加圧ポンプを介して供給している。また、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することを開示している。
【0007】
ところで、上記従来の排水処理装置における有用菌の利用は、ホテルの厨房排水や食品工場からの排水の様に油脂(ノルマルヘキサン抽出物質として測定されている)を比較的多量に含有している排水に対して、利用されてきた。すなわち、それらの排水処理装置においては、油脂を分解する微生物を調整槽や曝気槽もしくは接触酸化槽に投入して、油脂や有機物等を効率的に総合的に微生物分解していた。
【0008】
しかしながら、上記従来の有用菌を使用した排水処理装置では、有用菌の活性度が比較的低いばかりか、処理水の水質を格段に向上させることができなかった。すなわち、上記従来の排水処理装置では、一般的な微生物の集合体である活性汚泥と有用菌の作用のみの微生物による処理であるが、有用菌の作用が弱い課題があった。また、上記従来の有用菌を利用した排水処理装置では、有機物の酸化分解ができない課題もある。当然であるが、有用菌のみでは、排水中の難分解性化合物をも酸化分解できない課題もある。また、一般的な有用菌では、油脂の分解はある程度期待できるが、排水中のアンモニア性窒素の酸化すなわち、硝酸性窒素までの硝化はできない課題もある。また、上記従来の有用菌を利用した排水処理装置では、アンモニア性窒素の硝化と硝酸性窒素の窒素ガスとしての処理すなわち、脱窒の両方を期待できない課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−036518号公報
【特許文献2】特開2004−121962号公報
【特許文献3】特開2003−334548号公報
【特許文献4】特開2004−321959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の課題は、有用菌の活性度を高めて、有機物の酸化分解、排水中の難分解性化合物の酸化分解、アンモニア性窒素の酸化等を可能にできる水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、一参考例の水処理方法は、第1のマイクロナノバブルと、この第1のマイクロナノバブルのサイズよりも小さなサイズの第2のマイクロナノバブルとで微生物を活性化し、この活性化した微生物で水処理を行うことを特徴としている。
【0012】
この参考例の水処理方法によれば、サイズの異なる第1,第2の2種類のマイクロナノバブルで微生物を活性化するので、サイズの異なる微生物の大部分を活性化でき、活性化した大部分の微生物による水処理効率の向上を図れる。そして、微小なマイクロナノバブル(第2のマイクロナノバブル)と微生物とが被処理水に混合された状態となるので、活性化した微生物による処理効率の向上と、微小なマイクロナノバブルが有するフリーラジカルによる有機物の酸化作用や、油脂の酸化分解作用を発揮できる。
【0013】
上記微生物には、比較的大きいサイズの微生物(例えば、原生動物,糸ミミズ等)とバクテリアの様にサイズが比較的小さい微生物の両方が存在している。この発明は、サイズの異なる各種微生物に対して、粗大な第1マイクロナノバブルと微小な第2マイクロナノバブルの相乗的な効果によって、各種微生物を活性化する。また、粗大な第1マイクロナノバブルには、微生物を活性化する作用と水槽内を撹拌する作用とがある。そして、粗大な第1マイクロナノバブルと微小な第2マイクロナノバブルという2種類のマイクロナノバブルで、総合的に水処理性能を高めることができる。
【0014】
また、一参考例の水処理方法は、上記微生物が枯草菌を含んでいる。
【0015】
この実施形態の水処理方法によれば、微生物としての枯草菌を2種類のマイクロナノバブルで活性化するので、サイズの異なる枯草菌の大部分を活性化でき、活性化した大部分の枯草菌による処理効率の向上を図れる。そして、微小な第2マイクロナノバブルと微生物としての枯草菌とが被処理水に混合された状態となるので、活性化した枯草菌による処理効率の向上と微小なマイクロナノバブルが有するフリーラジカルによる有機物の酸化作用や、油脂の酸化分解作用を発揮できる。
【0016】
また、一参考例の水処理方法は、上記微生物がバチルスサブティリス・サポロフィテックを主とした微生物群を含んでいる。
【0017】
この参考例の水処理方法によれば、微生物としてのバチルスサブティリス・サポロフィテックを主とした微生物群を2種類のマイクロナノバブルで活性化するので、バチルスサブティリス・サポロフィテックを主とした微生物群による微生物処理の効率向上を図れる。そして、微小な第2マイクロナノバブルとバチルスサブティリス・サポロフィテックを主とした微生物群とが被処理水に混合された状態となるので、バチルスサブティリス・サポロフィテックを主とした微生物群による水処理効率の向上と微小なマイクロナノバブルが有するフリーラジカルによる有機物の酸化作用や、油脂の酸化分解作用をも発揮できる。
【0018】
また、一参考例の水処理方法は、上記微生物がセレウス種を主とした微生物群を含んでいる。
【0019】
この参考例の水処理方法によれば、セレウス種を主とした微生物群を含んでいる微生物を2種類のマイクロナノバブルで活性化するので、セレウス種を主とした微生物群による微生物処理の効率向上を期待できる。
【0020】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記微生物の栄養剤を含有する液体を導入して、上記第1のマイクロナノバブルを発生させる。
【0021】
この参考例の水処理方法によれば、栄養剤を含有する液体をマイクロナノバブル発生機に導入して粗大な第1のマイクロナノバブルを多量に製造できるので、比較的サイズの大きい微生物を活性化して、水処理の効率を向上できる。また、栄養剤の成分をマイクロナノバブル発生機に導入することで、粗大な第1のマイクロナノバブルを多量に発生させることができる結果、水処理効率を向上できる。すなわち、栄養剤は、微生物に対する栄養剤であるが、粗大なマイクロナノバブルを多量に製造するのにも有効であることが分った。
【0022】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記微生物の栄養剤を含有する液体を導入して、上記第2のマイクロナノバブルを発生させる。
【0023】
この参考例の水処理方法によれば、上記栄養剤を含有する液体をマイクロナノバブル発生機に導入して微小な第2のマイクロナノバブルを多量に製造できるので、比較的サイズの小さい微生物を活性化して、水処理効率を向上できる。また、上記栄養剤の成分をマイクロナノバブル発生機に導入して、微小なマイクロナノバブルを合理的に多量に発生させることができる結果、水処理効率を向上できる。すなわち、栄養剤は、微生物に対する栄養剤であるが、微小なマイクロナノバブルを多量に製造するのにも有効であることが分った。
【0024】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記バブル発生助剤を含有する液体を導入して、上記第1のマイクロナノバブルを発生させる。
【0025】
この参考例の水処理方法によれば、バブル発生助剤(ミネラルや界面活性剤等の気泡助剤)をマイクロナノバブル発生機に導入して、粗大な第1のマイクロナノバブルを多量に製造できる結果、水処理の効率を向上できる。
【0026】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記バブル発生助剤を含有する液体を導入して、上記第2のマイクロナノバブルを発生させる。
【0027】
この参考例の水処理方法によれば、上記バブル発生助剤をマイクロナノバブル発生機に導入して、微小な第2のマイクロナノバブルを多量に製造することができる結果、水処理の効率を向上できる。
【0028】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の両方を含有する液体を導入して、上記第1のマイクロナノバブルを発生させる。
【0029】
この参考例の水処理方法によれば、上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の両方をマイクロナノバブル発生機に導入して、粗大な第1のマイクロナノバブルを多量に製造できる結果、水処理の効率を向上できる。
【0030】
また、一参考例の水処理方法は、マイクロナノバブル発生機に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の両方を含有する液体を導入して、上記第2のマイクロナノバブルを発生させる。
【0031】
この参考例の水処理方法によれば、上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の両方をマイクロナノバブル発生機に導入して、微小な第2のマイクロナノバブルを多量に製造することができる結果、水処理の効率を向上できる。
【0032】
また、本発明の水処理装置は、被処理水が導入される調整槽と、
上記調整槽からの処理水が導入される接触酸化槽と、
上記接触酸化槽から処理水が導入され、活性化微生物による汚泥を上記接触酸化槽に返送する循環ポンプを有する循環ポンプ槽と、
上記接触酸化槽から上記循環ポンプ槽を経由して導入される処理水を外部に放流する放流ポンプ槽と、
微生物が導入される微生物培養槽と、
上記微生物培養槽に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を添加する添加剤槽と、
第1のマイクロナノバブルとこの第1のマイクロナノバブルのサイズよりも小さなサイズの第2のマイクロナノバブルとを発生して上記第1および第2のマイクロナノバブルを上記微生物培養槽に供給するマイクロナノバブル発生機と、
上記微生物培養槽から上記第1および第2のマイクロナノバブルと上記微生物とを含有した微生物含有マイクロナノバブル水を上記調整槽と接触酸化槽の少なくとも一方に供給するマイクロナノバブル水供給部とを備え、
上記マイクロナノバブル発生機は、
上記微生物培養槽から上記栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を含む水を吸い込んで上記水にマイクロナノバブルを発生させると共に気体せん断部が付加した渦流ポンプと、
上記渦流ポンプに接続されていると共に上記渦流ポンプからマイクロナノバブルが発生したマイクロナノバブル水が導入されてこのマイクロナノバブル水を加圧する加圧タンクと、
上記加圧タンクに接続されていると共に圧力計が付属していて、上記加圧タンクからのマイクロナノバブル水が導入されて上記第1のマイクロナノバブルを含有した水と上記第2のマイクロナノバブルを含有した水を上記微生物培養槽に供給する余剰エアータンクとを有している。
【0033】
この発明の水処理装置によれば、上記マイクロナノバブル水供給部は、上記微生物培養槽に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を添加することで活性化した微生物を含有するマイクロナノバブル水を上記調整槽と接触酸化槽の少なくとも一方に供給する。この活性化された微生物および第1,第2のマイクロナノバブルによって、調整槽,接触酸化槽および放流ポンプ槽が構成する水処理部の水処理能力を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の水処理装置では、上記マイクロナノバブル発生機は、気体せん断部が付加した渦流ポンプと、
上記渦流ポンプに接続された加圧タンクと、
上記加圧タンクに接続されていると共に圧力計が付属している余剰エアータンクとを有している。
【0035】
この発明の水処理装置によれば、上記マイクロナノバブル発生機が気体せん断部が付加した渦流ポンプと加圧タンクおよび圧力計が付属している余剰エアータンクから構成され、かつ、上記微生物培養槽に上記微生物の栄養剤またはバブル発生助剤を添加しているので、マイクロナノバブルを多量に製造することができる。特に、余剰エアータンクにより、比較的サイズの大きいマイクロナノバブル(第1のマイクロナノバブル)を余剰エアーとして区分して製造することができる。そして、比較的サイズの小さいマイクロナノバブル(第2のマイクロナノバブル)をサイズの大きいマイクロナノバブルと区分して製造することができる。
【0036】
また、一実施形態の水処理装置では、上記微生物培養槽は、上記マイクロナノバブル発生機からの第1のマイクロナノバブルが供給される第1の混合撹拌槽と、
上記マイクロナノバブル発生機からの第2のマイクロナノバブルが供給される第2の混合撹拌槽とを有する。
【0037】
この実施形態の水処理装置によれば、上記微生物培養槽が有する第1の混合撹拌槽で粗大な第1のマイクロナノバブルと微生物とを混合撹拌しながら培養でき、上記微生物培養槽が有する第2の混合撹拌槽で微小な第2のマイクロナノバブルと微生物とを混合撹拌しながら培養できる。この微小なマイクロナノバブルは、微生物の活性化や有機物に対するフリーラジカルによる酸化作用を期待できる。また、上記粗大なマイクロナノバブルは、大型の微生物の活性化や、槽内の空気撹拌に有効となる。
【0038】
また、一実施形態の水処理装置では、上記添加剤槽は、上記微生物培養槽に上記栄養剤とバブル発生助剤の両方を添加する。
【0039】
この実施形態の水処理装置によれば、上記添加剤槽から上記微生物培養槽に栄養剤とバブル発生助剤の両方が添加されるので、上記栄養剤が微生物の栄養源になると同時に、上記栄養剤の成分が無機物であろうと有機物であろうとマイクロナノバブルの製造に有効となる。要するに、液体に無機物や有機物が溶解しているとマイクロナノバブルが多量に発生することが、実験により判明している。なお、栄養剤としては、各種ミネラルがあり、またバブル発生助剤としては、無機塩類が挙げられる。この栄養剤としてのミネラルとバブル発生助剤としての無機塩類とを微生物培養槽に添加して、マイクロナノバブル発生機を運転すると、粗大なマイクロナノバブルと微小なマイクロナノバブルが多量に発生して微生物を活性化することとなる。
【0040】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽に充填材が配置されている。
【0041】
この実施形態の水処理装置によれば、上記接触酸化槽に充填材が充填されているので、充填材に微生物が固定化されて微生物による処理が安定する。また、マイナスの電荷を有するマイクロナノバブルが充填材に無数付着して、充填材に固定化した微生物がマイクロナノバブルを利用し易くなり、微生物がより活性化して処理性能が向上する。
【0042】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽に充填材としてポリ塩化ビニリデン充填物が配置されている。
【0043】
この実施形態の水処理装置によれば、上記接触酸化槽に充填材としてのポリ塩化ビニリデン充填物が充填されているので、このポリ塩化ビニリデン充填物に微生物が固定化されて微生物処理が安定する。また、マイナスの電荷を有するマイクロナノバブルがポリ塩化ビニリデン充填剤に無数付着して、ポリ塩化ビニリデン充填剤に固定化した微生物がマイクロナノバブルを利用し易くなり、微生物がより活性化して処理性能が向上する。
【0044】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽からの処理水が導入されて上記処理水を上記接触酸化槽へ返送する循環ポンプを有すると共に上記処理水を上記放流ポンプ槽へ導入する循環ポンプ槽を備えた。
【0045】
この実施形態の水処理装置によれば、上記循環ポンプ槽と接触酸化槽との間で処理水を循環させて処理能力の向上を図れる。
【0046】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽は、曝気される曝気槽をなし、さらに、上記接触酸化槽からの処理水が導入されて上記処理水に含まれる微生物汚泥を上記接触酸化槽へ返送する循環ポンプを有すると共に上記処理水を上記放流ポンプ槽へ導入する沈殿槽を備えた。
【0047】
この実施形態の水処理装置によれば、調整槽と曝気槽と沈澱槽と放流ポンプ槽とが水処理部を構成する。これらの槽は、水処理においては典型的な槽であるから、各種排水処理装置、再利用装置、下水処理装置、し尿処理装置等に活用することができる。
【0048】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽は、曝気と硝化を行う曝気硝化槽をなし、さらに、上記曝気硝化槽からの処理水が導入されて上記処理水に含まれる微生物汚泥を沈殿させて循環ポンプで上記曝気硝化槽へ返送すると共に上記処理水を上記放流ポンプ槽へ導入する沈殿脱窒槽を備えた。
【0049】
この実施形態の水処理装置によれば、水処理部を構成する曝気硝化槽は、曝気槽の機能と硝化槽の機能を併せ持っているので、処理性能を向上できる。また、水処理部を構成する沈澱脱窒槽は、沈澱槽の機能と脱窒槽の機能とを併せ持っているので、処理性能を向上できる。結果として、この実施形態の曝気硝化槽、沈澱脱窒槽は、曝気槽、沈澱槽、硝化槽、脱窒槽から構成されている通常の排水処理装置に比べて、シンプルな排水処理システムとなるばかりでなく、建設費やランニングコストを低減できる。
【0050】
また、一実施形態の水処理装置では、上記調整槽へ上記被処理水として再利用水が流入する。
【0051】
この実施形態の水処理装置によれば、水処理部を構成する調整槽に再利用水が流入するので、この再利用水を有用菌から構成される微生物を用いて効率的に処理できて、再利用設備を小さくでき、イニシャルコストの低減に役立つ。
【0052】
また、一実施形態の水処理装置では、上記調整槽へ上記被処理水として下水が流入する。
【0053】
この実施形態の水処理装置によれば、水処理部を構成する調整槽に下水が流入するので、この下水を有用菌から構成される微生物を用いて効率的に処理でき、下水処理設備を小さくでき、イニシャルコストの低減に役立つ。すなわち、下水処理での発生汚泥の削減と脱窒性能の向上を図れる。
【0054】
また、一実施形態の水処理装置では、上記調整槽へ上記被処理水としてし尿が流入する。
【0055】
この実施形態の水処理装置によれば、水処理部を構成する調整槽にし尿が流入するので、このし尿を有用菌から構成される微生物を用いて効率的に処理できて、し尿処理設備を小さくでき、イニシャルコストの低減に役立つ。
【0056】
また、一実施形態の水処理装置では、上記接触酸化槽の水槽内部に液中膜が設置されており、上記接触酸化槽の液中膜から上記放流ポンプ槽へ処理水を導入する。
【0057】
この実施形態の水処理装置によれば、水処理部を調整槽と、液中膜が水槽内部に設置された接触酸化槽と放流ポンプ槽とで構成しているので、上記接触酸化槽の水槽内部に設置された液中膜で有用微生物を高濃度とすることができる。そして、有用微生物濃度が高濃度となることで、水処理装置の処理性能が向上する。すなわち、液中膜を使用すれば、接触酸化槽の内部における微生物濃度を、MLSS(ミックスド・リカー・サスペンディド・ソリッド)濃度で一例として10000ppm〜30000ppm程度まで高めて効率的に微生物処理できる。これに対し、液中膜を使用しない通常の接触酸化槽の一例での微生物濃度は、MLSS濃度で3000ppm〜10000ppmの範囲になる。
【0058】
また、一実施形態の水処理装置では、上記マイクロナノバブル水供給部は、上記微生物培養槽から上記調整槽に活性化された有用微生物を含有したマイクロナノバブル水を供給する。
【0059】
この実施形態の水処理装置によれば、上記微生物培養槽から調整槽に活性化された有用微生物が添加されるので、上記調整槽は後段の接触酸化槽の前処理設備となり、後段の接触酸化槽への流入負荷を低減できる。
【0060】
また、一実施形態の水処理装置では、上記水処理部の調整槽および液中膜が水槽内部に設置された接触酸化槽の両方に活性化有用微生物が添加される。
【0061】
この実施形態の水処理装置によれば、上記活性化有用微生物によって、調整槽および接触酸化槽の処理能力が向上して、全体的な水処理装置の性能が向上することになる。
【0062】
また、一参考例の水処理方法では、上記微生物がバチルス・リケニホルミスを主とした微生物群を含んでいる。
【0063】
この参考例の水処理方法によれば、上記微生物が含んでいるバチルス・リケニホルミスを主とした微生物群が微小な第2のマイクロナノバブルと粗大な第1のマイクロナノバブルとによって相乗的に活性化され、処理効率を向上できる。
【0064】
また、一参考例の水処理方法では、上記微生物がシュードモナス・フルオレセンスを主とした微生物群を含んでいる。
【0065】
この参考例の水処理方法によれば、上記シュードモナス・フルオレセンスを主とした微生物群が、微小な第2のマイクロナノバブルと粗大な第1のマイクロナノバブルによって相乗的に活性化されるので、処理効率を向上できる。
【0066】
また、一参考例の水処理方法では、上記微生物がシュードモナス・プチダを主とした微生物群を含んでいる。
【0067】
この参考例の水処理方法によれば、上記シュードモナス・プチダを主とした微生物群が微小な第2のマイクロナノバブルと粗大な第1のマイクロナノバブルによって相乗的に活性化されるので、処理効率を向上できる。
【0068】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤がケイ素を含有している。
【0069】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤がケイ素を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、ケイ素は無機イオンであるので、無機イオンが水に溶解することにより、マイクロナノバブルをより多量に製造することができる。すなわち、水に無機イオンを添加すると、マイクロナノバブルがより多量に発生することが実験により判明している。
【0070】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤がカリウムを含有している。
【0071】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤がカリウムを含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、カリウムは無機イオンであるので、無機イオンが水に溶解することにより、マイクロナノバブルをより多量に製造することができる。
【0072】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤がマグネシウムを含有している。
【0073】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤がマグネシウムを含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、マグネシウムは無機イオンであるので、無機イオンが水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【0074】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤が窒素を含有している。
【0075】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤が窒素を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、窒素は硝酸イオンとして添加されるので、無機イオンの添加となり、無機イオンが水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。また、硝酸イオンは、マイクロナノバブルの製造に役立つと共に、微生物を活性化するための栄養源としても有効である。なお、被処理水中に硝酸イオンが多量に存在する場合は、排水処理装置の水処理部で脱窒することが必要になる場合もある。
【0076】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤がリンを含有している。
【0077】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤がリンを含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、リンはリン酸イオンとして添加されるので、無機イオンの添加となり、無機イオンが水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。リン酸イオンは、マイクロナノバブルの製造に役立つ、また微生物を活性化するための栄養源としても有効である。なお、被処理水中にリン酸イオンが多量に存在する場合は、排水処理装置の水処理部で脱リンすることが必要となる場合もある。
【0078】
また、一実施形態の水処理装置では、上記栄養剤がケイ素、カリウム、マグネシウム、窒素、リンを含有している。
【0079】
この実施形態の水処理装置によれば、上記栄養剤がケイ素、カリウム、マグネシウム、窒素、リンを含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、各種無機イオンの添加となり、各種無機イオンが水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【0080】
また、一実施形態の水処理装置では、上記バブル発生助剤が無機塩類を含有している。
【0081】
この実施形態の水処理装置によれば、上記バブル発生助剤が無機塩類を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、各種無機塩類の添加により、各種無機塩類が水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【0082】
また、一実施形態の水処理装置では、上記バブル発生助剤がナトリウム塩を含有している。
【0083】
この実施形態の水処理装置によれば、上記バブル発生助剤がナトリウム塩を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、ナトリウム塩の添加により、ナトリウム塩が水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造することができる。
【0084】
また、一実施形態の水処理装置では、上記バブル発生助剤がカルシウム塩を含有している。
【0085】
この実施形態の水処理装置によれば、上記バブル発生助剤がカルシウム塩を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、カルシウム塩の添加により、カルシウム塩が水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【0086】
また、一実施形態の水処理装置では、上記バブル発生助剤がカリウム塩を含有している。
【0087】
この実施形態の水処理装置によれば、上記バブル発生助剤がカリウム塩を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、カリウム塩の添加により、カリウム塩が水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【0088】
また、一実施形態の水処理装置では、上記バブル発生助剤がマグネシウム塩を含有している。
【0089】
この実施形態の水処理装置によれば、上記バブル発生助剤がマグネシウム塩を含有しているので、微生物の活性化に有効となるばかりでなく、マグネシウム塩の添加により、マグネシウム塩が水に溶解することによって、マイクロナノバブルをより多量に製造できる。
【発明の効果】
【0090】
この発明の水処理装置によれば、サイズの異なる第1,第2の2種類のマイクロナノバブルで微生物を活性化するので、サイズの異なる微生物の大部分を活性化でき、活性化した大部分の微生物による水処理の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の排水処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の排水処理装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】本発明の排水処理装置の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】本発明の排水処理装置の第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の排水処理装置の第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】本発明の排水処理装置の第6実施形態を模式的に示す図である。
【図7】本発明の排水処理装置の第7実施形態を模式的に示す図である。
【図8】本発明の排水処理装置の第8実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0093】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の水処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。この第1実施形態の水処理装置は、大きくは水処理部57と微生物活性化部58から構成されている。また、さらに詳細には、水処理部57は、接触調整槽2、接触酸化槽9、循環ポンプ槽15、放流ポンプ槽20から構成されている。一方、微生物活性化部58は、マイクロナノバブル発生機26、微生物培養槽27、添加剤槽としての栄養剤・バブル発生助剤槽28から構成されている。
【0094】
次に、図1に従い、この第1実施形態をさらに詳細に説明する。原水は、原水配管1を経由して、接触調整槽2に流入する。接触調整槽2は、空気を散気管5により吐出させての空気撹拌により、流入水の水質や水量を調整するための水槽である。
【0095】
この接触調整槽2には、電動弁12が開の条件で、微生物活性化部58からの活性化した微生物が水配管14を経由して導入される。このため、接触調整槽2では、活性化微生物による処理も実施されることになる。この接触調整槽2では、水槽下部に散気管5が設置されており、ブロワー3から吐出する空気が空気配管4を経由して散気管5から吐出して、気泡19となり、接触調整槽2内を空気撹拌している。そして、この接触調整槽2では、活性化微生物と空気撹拌により水質が調整された被処理水は、接触調整槽ポンプ6により、水配管7とスクリーンユニット8を経由して、次の槽である接触酸化槽9に導入される。このスクリーンユニット8の目的は、単に浮遊物質の除去であり、市販のバースクリーンタイプのスクリーンユニット8を採用した。
【0096】
上記接触酸化槽9の水槽下部には、散気管10が設置されている。この散気管10は、ブロワー50から空気配管11を経由して送られて来る空気による気泡55を吐出して、接触酸化槽9内の空気撹拌を実施している。この接触酸化槽9には、電動弁13が開の条件で、微生物活性化部58で活性化した微生物が水配管14を経由して導入される。この活性化微生物が接触酸化槽9に導入されることによって、接触酸化槽9での処理性能が向上することになる。
【0097】
上記接触酸化槽9内の活性化した微生物は、一般的な有機物の微生物分解のみならず、被処理水中の油脂成分をも効率的に分解することができる。油脂を微生物分解すると脂肪酸とグリセリンとなり、結果として水質項目であるノルマルヘキサン抽出物質の測定値が低下する。上記油脂成分の分解の基本的考え方は、活性化微生物が分泌する酵素(リパーゼ)により、油脂を脂肪酸とグリセリンに分解する内容である。
【0098】
また、上記活性化微生物は、具体的設備としての微生物培養槽27から添加ポンプ49により、マイクロナノバブル水供給部を構成する水配管14を経由して、接触酸化槽9に添加される。この活性化微生物は、液体としての水に含有された状態であり、この液体(水)は、微小マイクロナノバブルを含んでいる。このため、上記活性化微生物を含有した水は、活性化微生物による作用と微小マイクロナノバブルによる作用の両方の作用を発揮することになる。なお、上記活性化微生物の具体的一例としては、枯草菌を挙げることができる。上記微小マイクロナノバブルは、第2のマイクロナノバブルとしての数百nm前後の直径を有する超微細気泡を多量に含有している。
【0099】
ここで、上記微小マイクロナノバブルの作用について説明する。
【0100】
第1に、上記微小マイクロナノバブルは、有用微生物である枯草菌を活性化する作用がある。第2に、上記微小マイクロナノバブルが有するフリーラジカルに起因する酸化作用によって有機物や難分解有機物を酸化分解させる作用がある。
【0101】
上記接触酸化槽9で上記活性化微生物と微小マイクロナノバブルにより処理された被処理水は、オーバーフロー配管73を経由して、循環ポンプ槽15に流入する。循環ポンプ槽15は、流入してきた沈澱する活性化微生物を循環ポンプ17で水配管25を経由して接触酸化槽9に返送している。この活性化微生物による汚泥は、微小マイクロナノバブルにより循環ポンプ槽15での沈降性がさらに良好となるので、循環ポンプ槽15から放流ポンプ槽20に流出することはない。また、この循環ポンプ槽15において、ブロワー50からの吐出空気は空気配管11を経由して散気管16から吐出することになる。また、散気管16からの吐出空気はバルブ(図示せず)により調整されて、活性化した微生物を循環ポンプ槽15で撹拌する。よって、循環ポンプ槽15に流入してくる活性化した微生物汚泥は、循環ポンプ17により、効率的に接触酸化槽9に返送される。こうして、接触酸化槽9、循環ポンプ槽15、循環ポンプ17および活性化した有用菌である枯草菌の組み合わせにより、循環ポンプ槽15から放流ポンプ槽20へ活性化した微生物汚泥が流出することは実質的に皆無となる。そして、最終的に、放流ポンプ槽20に流入した処理水は、放流ポンプ槽20に設置してある放流ポンプ22により外部に処理水として排出される。
【0102】
なお、放流ポンプ槽20にも、散気管21が設置されていて、上記ブロワー50からの吐出空気が散気管21から吐出する。この放流ポンプ槽20を数年に1回程度、清掃する場合に、ブロワー50からの吐出空気を散気管21から吐出させて使用する。
【0103】
次に、微生物活性化部58について詳細に説明する。上述した様に、微生物活性化部58は、マイクロナノバブル発生機26、微生物培養槽27、栄養剤・バブル発生助剤槽28から構成されている。上記マイクロナノバブル発生機26は、加圧タンク33、余剰エアータンク32、そして気体せん断部38が付加した渦流ポンプ39から構成されている。栄養剤およびバブル発生助剤を含む水が、吸い込み配管41を経由して気体せん断部38が付加した渦流ポンプ39に流入し、液体としての水と気体としての空気が渦流ポンプ39のインペラが高速回転することにより、気液混合,せん断される。なお、気体としての空気は、バルブ76が開の条件で空気吸い込み配管75から一定量が導入される。
【0104】
ここで、マイクロナノバブル発生機26を構成する渦流ポンプ39と気体せん断部38におけるマイクロナノバブル発生のメカニズムを記載する。
【0105】
マイクロナノバブル発生機26の渦流ポンプ39と気体せん断部38において、マイクロナノバブルを発生させるために、液体および気体の混相旋回流を発生させ、回転中心部に高速旋回させる気体空洞部を形成させる。次に、この気体空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この気体空洞部に、気体としての空気をマイナス圧(負圧)を利用して、自動的に供給させる。さらに、この気体空洞部を切断,粉砕しながら混相流を回転させる。この切断,粉砕は、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。その時の回転速度は、500〜600回転/秒である。
【0106】
すなわち、マイクロナノバブル発生機26の渦流ポンプ39において、流体力学的に圧力を制御することで、負圧形成部分から気体を吸入し、高揚程ポンプである渦流ポンプ39で高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロナノバブルやナノバブルを発生させる。より解かりやすく簡単に説明すると、渦流ポンプ39である高揚程ポンプで水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送し、高速せん断することにより、マイクロナノバブルやナノバブルを製造することができるのである。
【0107】
以上が、マイクロナノバブル発生機26での気体せん断部38が付加した渦流ポンプ39によるマイクロナノバブル発生のメカニズムである。なお、上記渦流ポンプ39に流入させる水に栄養剤およびバブル発生助剤を添加することは、マイクロナノバブルの発生量を飛躍的に増大させる効果がある。
【0108】
こうして、上記渦流ポンプ39で発生したマイクロナノバブル水は、次に、吐出水配管37を経由して、加圧タンク33に導入される。この加圧タンク33の目的は、発生したマイクロナノバブルを水へ加圧溶解させることである。したがって、この加圧タンク33を経由することで、マイクロナノバブルが水に溶解して溶存酸素濃度が上昇する。この加圧タンク33を出た水は、配管35を経由して、余剰エアータンク32に導入される。この余剰エアータンク32は、タンク32内で微小マイクロナノバブルを作製するために、余剰エアーである粗大マイクロナノバブルを余剰エアータンク32の上部から開状態の電動弁34から排出させる機能がある。これにより、酸化作用があり、溶解効率の良い微小マイクロナノバブルを作製することができる。
【0109】
余剰エアーである粗大マイクロナノバブルといっても、マイクロナノバブルの1種である。この粗大マイクロナノバブルは、大部分の気泡が、数十μmの気泡(第1のマイクロナノバブル)である。よって、この粗大マイクロナノバブルを含有した水は、配管としての粗大マイクロナノバブル水配管36を経由して、微小マイクロナノバブル混合撹拌槽46内部の粗大マイクロナノバブル水吐出配管48から吐出させて、粗大マイクロナノバブル流56となる。この粗大マイクロナノバブル流56は、枯草菌培養のための粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46内の撹拌に利用されている。
【0110】
一方、余剰エアータンク32には、圧力計31が設置されている。そして、微小マイクロナノバブルを作製するに当って、余剰エアータンク32内を最適な圧力とするために、電動バルブ34と電動バルブ30の開度を調整することで余剰エアータンク32内の圧力を調整している。実排水による運転の結果、圧力計31の値は、排水の種類によっても多少異なるが、圧力として約0.4MPa(メガパスカル)の場合が多い。この圧力による運転条件により、電動弁30を通過した微小マイクロナノバブルは、微小マイクロナノバブル水配管29を経由してマイクロナノバブル発生槽40内の微小マイクロナノバブル吐出管42から吐出して、微細マイクロナノバブル流43が発生することになる。
【0111】
なお、マイクロナノバブル発生機26は、具体的には、株式会社 ニクニの気体せん断部38が付加した渦流ポンプ39と株式会社ニクニの余剰エアータンク32と加圧タンク33を採用した。2種類の粗大マイクロナノバブルと微小マイクロナノバブルを発生させるためには、株式会社ニクニの気体せん断部38が付加した渦流ポンプ39、余剰エアータンク32、加圧タンク33と栄養剤・バブル発生助剤を添加する設備が必要となる。
【0112】
そして、栄養剤・バブル発生助剤を添加する設備としては、栄養剤・バブル発生助剤槽28、定量ポンプ52等が必要となる。つまり、栄養剤・バブル発生助剤が水配管54から栄養剤・バブル発生助剤槽28へ導入される。また、栄養剤・バブル発生助剤を含有した水を、定量ポンプ52により栄養剤・バブル発生助剤槽28から吸い込み配管51へ吸い込んで、水配管53を経由して、マイクロナノバブル発生槽40へ栄養剤とバブル発生助剤が導入される。
【0113】
次に、微生物培養槽27について、説明する。この微生物培養槽27は、微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40と粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46から構成されている。また、微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40の上部に有用菌である枯草菌を投入するべくホッパー45とその下部の自動供給機44が設置されている。そして、有用菌である枯草菌として、バチルスサブティリス・サポロフィテックをホッパー45に投入した。この枯草菌としてのバチルスサブティリス・サポロフィテックは、蒸気殺菌された小麦の『ふすま』に混合されている商品を購入してホッパー45に投入した。このバチルスサブティリス・サポロフィテックは、蒸気殺菌された小麦の『ふすま』に混合されている状態では、仮死状態である。そして、このバチルスサブティリス・サポロフィテックは、自動供給機44で微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40に供給されて、液体としての水や微小マイクロナノバブルと混合,撹拌されて、仮死状態から活性化し増殖して作用するようになる。また、この時、さらに上記液体としての水に、ケイ素、カリウム、マグネシウム、窒素、リン等のいずれか1つもしくは全部が含有されていると、より効率的に活性化が進行する。
【0114】
なお、バチルスサブティリス・サポロフィテックを上記ふすまに混合しての仮死状態は、最長3年間持続する。すなわち、最長3年間保存することができる。
【0115】
上記ふすまに混合された有用微生物のバチルスサブティリス・サポロフィテックは、自動供給機44により微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40に供給されて液体としての水と混合,撹拌される。特に、微小マイクロナノバブルが微小マイクロナノバブル水吐出配管42から吐出して、微小マイクロナノバブル流を発生し、微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40内を混合,撹拌する。この微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40内で混合,撹拌された有用微生物は、次に、オーバーフローで粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46に流入する。粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46では、粗大マイクロナノバブル水吐出配管48から粗大マイクロナノバブルが吐出して、粗大マイクロナノバブル流56を形成している。粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46における粗大マイクロナノバブル流56により、また、時間の経過により、次第に有用微生物(バチルスサブティリス・サポロフィテック)の活性度が増加してくる。
【0116】
そして、この有用微生物(バチルスサブティリス・サポロフィテック)は、添加ポンプ49により、吸い込み配管47から水配管14を経由して、接触調整槽2または接触酸化槽9またはそれら槽の両方に必要に応じて添加される。この接触調整槽2または接触酸化槽9またはそれら槽の両方に上記有用微生物を添加する制御は、電動弁12または電動弁13の開閉を自動的に制御することで実施される。そして、この電動弁12または電動弁13の自動的な開閉制御は、タイマーによる制御、または、水質測定器(図示せず)を用いて処理水の水質と連動させて行う制御等にて実施することができる。
【0117】
上述の様に、この実施形態によれば、微生物活性化部58において、粗大マイクロナノバブルと微小マイクロナノバブルによって活性化した有用微生物を含有したマイクロナノバブル水を、微生物培養槽27から水配管14を経由して、接触調整槽2および接触酸化槽9の少なくとも一方に供給する。この活性化された有用微生物および粗大,微小マイクロナノバブルによって、接触調整槽2,接触酸化槽9,循環ポンプ槽15および放流ポンプ槽20が構成する水処理部57の水処理能力を向上させることができる。
【0118】
ここで、各種バブルについて説明する。
【0119】
(i) 通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。
【0120】
(ii) マイクロバブルは、その発生時において、直径が10〜数10μmの気泡径を有する気泡で、発生後に収縮運動により、マイクロナノバブルに変化する。
【0121】
(iii) ナノバブルは、数100nm以下の直径を有する気泡である。
【0122】
(iv) マイクロナノバブルは、10μmから数100nm前後の直径を有する気泡で、マイクロバブルとナノバブルの混合物と説明できる。
【0123】
尚、上記実施形態では、微生物培養槽27に導入する有用な微生物の一例として、枯草菌としてのバチルスサブティリス・サポロフィテックを採用したが、セレウス種を主とした微生物群、またはバチルス・リケニホルミスを主とした微生物群、またはシュードモナス・フルオレセンスを主とした微生物群、またはシュードモナス・プチダを主とした微生物群を含んでいる微生物としてもよい。また、上記実施形態では、栄養剤・バブル発生助剤槽28から微生物培養槽27へ栄養剤とバブル発生助剤の両方を添加したが、栄養剤とバブル発生助剤のいずれか一方を微生物培養槽27へ添加してもよい。また、上記バブル発生助剤としては、無機塩類、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等を採用できる。
【0124】
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明の水処理装置の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、図1の水処理部57の接触酸化槽9の内部に接触材59を充填した点だけが前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0125】
図2に示すように、この第2実施形態では、接触酸化槽9の内部に、接触材59の具体的一例としての繊維状のポリ塩化ビニリデン充填物を充填した。したがって、この接触酸化槽9では、活性化した有用微生物のバチルスサブティリス・サポロフィテックが接触材59としてのポリ塩化ビニリデン充填物に付着,繁殖して、接触材59が充填されていない場合に比べて多くのメリットを発揮する。そのメリットとしては、以下の(1)〜(3)に示す内容がある。
【0126】
(1) 流入原水の水質が変動しても、処理水の水質が安定する。
【0127】
(2) 流入原水の水質負荷量がある程度増加しても、処理水の水質は安定的に維持できる。
【0128】
(3) 流入原水として、殺菌剤がある程度混入流入しても、ショックに強く、処理水の水質が安定している。
【0129】
(第3の実施の形態)
次に、図3に、この発明の水処理装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、水処理部57が、接触酸化槽9に替えて曝気槽60を有する点と、循環ポンプ槽15に替えて沈殿槽61を有する点とが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0130】
この第3実施形態では、沈澱槽61の下部に沈澱した汚泥を沈殿槽汚泥返送ポンプ62で汚泥返送配管63を経由し上記曝気槽60に返送できる構成となっている。この第3実施形態では、水処理部57が曝気槽60と沈澱槽61、および汚泥を返送するための沈殿槽汚泥返送ポンプ62を組み合わせた構成を有している。
【0131】
上述の第1実施形態では、沈澱性の良い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、循環ポンプ槽15での循環により汚泥が自然に沈澱するので、沈澱槽を必要としていなかった。これに対して、この第3実施形態では、比較的沈澱性が悪い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、沈澱槽61を必要とする排水処理設備である。この第3実施形態の水処理部57の接触調整槽2、曝気槽60、沈澱槽61、および放流ポンプ槽20が構成する排水処理システムは、上述の第1実施形態よりも一般的な排水処理システムであるので、対象とする排水は、数多く存在する。すなわち、多くの排水処理の現場で、この第3実施形態を採用できることになる。
【0132】
(第4の実施の形態)
次に、図4に、この発明の水処理装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、水処理部57が、接触酸化槽9に替えて曝気硝化槽64を有する点と、循環ポンプ槽15に替えて沈澱脱窒槽65を有する点とが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0133】
この第4実施形態では、沈澱脱窒槽65の下部に沈澱した汚泥を沈殿脱窒槽汚泥返送ポンプ77で汚泥返送配管63を経由して曝気硝化槽64に返送できる構成となっている。この第4実施形態では、水処理部57が、曝気硝化槽64と沈澱脱窒槽65、および汚泥を返送するための沈殿脱窒槽汚泥返送ポンプ77を組み合わせた構成を有している。
【0134】
上述の第1実施形態では、沈澱性の良い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、循環ポンプ槽15での循環により汚泥が自然に沈澱するので、沈澱槽を必要としていなかった。これに対して、この第4実施形態では、比較的沈澱性が悪い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、沈澱脱窒槽65を必要とする排水処理設備である。すなわち、この第4実施形態は、排水処理における被処理水中の窒素成分を除去する場合に適合する実施形態である。
【0135】
この第4実施形態の水処理部57の接触調整槽2、曝気硝化槽64、沈澱脱窒槽65、および放流ポンプ槽20が構成する排水処理システムは、被処理水中の窒素成分を除去(脱窒)できる。よって、この第4実施形態によれば、上述の第1実施形態に比べて、排水処理装置としての処理機能が第1実施形態よりも高い内容となる。特に、被処理水中の窒素成分に対する硝化作用と脱窒反応は、排水処理装置としての価値のある処理内容となる。よって、この第4実施形態は、窒素規制がある地域での最適な排水処理装置となる。
【0136】
(第5の実施の形態)
次に、図5に、この発明の水処理装置の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、原水配管1への流入水を原水に替えて再利用水とした点だけが、前述の第4実施形態と異なる。よって、この第5実施形態では、前述の第4実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第4実施形態と異なる部分を説明する。
【0137】
この第5実施形態では、流入水が再利用水で、水処理部57が曝気硝化槽64と沈澱脱窒槽65、および汚泥を返送するための沈殿脱窒槽汚泥返送ポンプ77の組み合わせた構成を有している。
【0138】
上述の第1実施形態では、沈澱性の良い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、循環ポンプ槽15での循環により汚泥が自然に沈澱するので、沈澱槽を必要としていなかった。これに対して、この第5実施形態では、比較的沈澱性が悪い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、沈澱脱窒槽65を必要とする排水処理設備である。すなわち、この第5実施形態は、再利用水処理装置における被処理水中の窒素成分を除去する場合に適合する実施形態である。
【0139】
この第5実施形態の水処理部57の接触調整槽2、曝気硝化槽64、沈澱脱窒槽65、および放流ポンプ槽20が構成する再利用水処理システムは、再利用水(被処理水)中の窒素成分を除去(脱窒)できる。よって、この第5実施形態によれば、再利用水処理装置としての処理機能が第1実施形態よりも高い内容となる。特に、被処理水中の窒素成分に対する硝化作用と脱窒反応は、再利用水処理装置としての価値ある処理内容となる。よって、この第5実施形態は、窒素を除去するべき再利用水が存在する場合の最適な再利用水処理装置となる。
【0140】
(第6の実施の形態)
次に、図6に、この発明の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、原水配管1への流入水を原水に替えて下水とした点だけが、前述の第4実施形態と異なる。よって、この第6実施形態では、前述の第4実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第4実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0141】
この第6実施形態では、原水配管1への流入水が一般的で規模が大きい下水で、水処理部57が曝気硝化槽64と沈澱脱窒槽65、および汚泥を返送するための沈殿脱窒槽汚泥返送ポンプ77の組み合わせた構成を有している。
【0142】
上述の第1実施形態では、沈澱性の良い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっているので、循環ポンプ槽15で循環により汚泥が自然に沈澱するので、沈澱槽を必要としていなかった。これに対して、この第6実施形態では、比較的沈澱性が悪い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、沈澱脱窒槽65を必要とする排水処理設備である。すなわち、この第6実施形態は、下水処理装置における被処理水中の窒素成分を除去する場合に適合する実施形態である。
【0143】
この第6実施形態の水処理部57の接触調整槽2、曝気硝化槽64、沈澱脱窒槽65、および放流ポンプ槽20の下水処理システムは、被処理水中の窒素成分を除去(脱窒)できる。よって、この第6実施形態は、下水処理装置としての処理機能が上述の第1実施形態よりも高い。特に、下水処理装置において、被処理水中の窒素成分に対する硝化作用と脱窒反応は、価値ある処理内容となる。よって、この第6実施形態は、窒素を徐去するべき下水が存在する場合の最適な下水処理装置となる。
【0144】
(第7の実施の形態)
次に、図7に、この発明の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、原水配管1への流入水を原水に替えて一般的で規模が大きいし尿とした点だけが、前述の第4実施形態と異なる。よって、この第7実施形態では、前述の第4実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第4実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0145】
この第7実施形態では、原水配管1への流入水がし尿で、水処理部57が曝気硝化槽64と沈澱脱窒槽65、および汚泥を返送するための沈殿脱窒槽汚泥返送ポンプ77の組み合わせた構成を有している。
【0146】
上述の第1実施形態では、沈澱性の良い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっているので、循環ポンプ槽15で循環により汚泥が自然に沈澱するので、沈澱槽を必要としていなかった。これに対して、この第7実施形態では、比較的沈澱性が悪い微生物汚泥を対象とした排水処理装置になっており、沈澱脱窒槽65を必要とする排水処理設備である。すなわち、この第7実施形態は、し尿処理装置における被処理水中の窒素成分を除去する場合に適合する実施形態である。
【0147】
この第7実施形態の水処理部57の接触調整槽2、曝気硝化槽64、沈澱脱窒槽65、および放流ポンプ槽20のし尿処理システムは、被処理水中の窒素成分を除去(脱窒)できる。よって、この第7実施形態は、し尿処理システムとしての処理機能が上述の第1実施形態よりも高い。特に、し尿処理装置において、被処理水中の窒素成分に対する硝化作用と脱窒反応は、価値ある処理内容となる。よって、この第7実施形態は、窒素を徐去するべき下水が存在する場合の最適な、し尿処理装置となる。
【0148】
(第8の実施の形態)
次に、図8に、この発明の水処理装置の第8実施形態を示す。この第8実施形態は、水処理部57が、接触調整槽2に替えて液中膜設置接触酸化槽66を有した点と、循環ポンプ槽15を有していない点とが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第8実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0149】
この第8実施形態では、水処理部57が、接触調整槽2、液中膜設置接触酸化槽66、および放流ポンプ槽20から構成されている。この液中膜設置接触酸化槽66では、有用微生物濃度をMLSS(活性汚泥浮遊物質)濃度で10000ppm以上とすることができる。この液中膜設置接触酸化槽66には、液中膜69が設置されている。ここで、上記液中膜69とは、別名、限外ろ過膜を意味していて、膜の穴のサイズが1ミクロン以下のサイズであることが一般的である。よって、微生物は上記液中膜69を通過することができないが、水分子は通過させることができるので、微生物と水とを合理的に分離することができる。
【0150】
上記液中膜69で分離された処理水は、水配管70から液中膜ポンプ71と処理水配管72を通って、放流ポンプ槽20に供給される。なお、図8において、67は洗浄用散気管であり、この洗浄用散気管67が吐出する洗浄用空気68によって液中膜69を洗浄できる。
【0151】
この第8実施形態では、上記した様に、液中膜設置接触酸化槽66において、有用微生物濃度をMLSS濃度で10000ppm以上とすることができるので、排水処理装置の処理能力を向上させることができるし、また、処理の安定化や、発生汚泥の減少化を実現することができる。
【0152】
(実験例)
図1の第1実施形態の水処理装置に基づき、実験装置を製作した。この実験装置において、接触調整槽2の容量を約1mとし、接触酸化槽9の容量を2mとし、循環ポンプ槽15の容量を1mとし、放流ポンプ槽20の容量を1mとした。また、マイクロナノバブル発生機26における加圧タンク33の容量を0.01mと、マイクロナノバブル発生機26における余剰エアータンク32の容量を0.01mとし、微小マイクロナノバブル混合撹拌槽40の容量を0.1mとし、粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽46の容量を0.05mとし、栄養剤・バブル発生助剤槽28の容量を0.05mとした。そして、上記実験装置を、A系列の実験装置とB系列の実験装置の2系列製作して準備した。
【0153】
そして、比較のため、準備したA系列とB系列の2系列の実験装置について、被処理水としての人工排水を導入し、試運転を行った。なお、上記A系列の実験装置では、マイクロナノバブル発生機26を運転したが、上記B系列の実験装置では、マイクロナノバブル発生機26を運転しなかった。
【0154】
そして、上記両者の試運転後、A系列の実験装置とB系列の実験装置における接触調整槽2への流入水の水質濃度と放流ポンプ槽20の出口での処理水を比較したところ、下記の比較表に示す内容であった。





(比較表)

【0155】
上表の実験結果比較表の内容の通り、生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質(SS)、ノルマルヘキサン抽出物質の各項目において、マイクロナノバブル発生機26を運転したA系列は、マイクロナノバブル発生機26を運転しないB系列に比べて、除去率において好成績であることが判明した。
【符号の説明】
【0156】
1 原水配管
2 接触調整槽
3 ブロワー
4 空気配管
5 散気管
6 接触調整槽ポンプ
7 水配管
8 スクリーンユニット
9 接触酸化槽
10 散気管
11 空気配管
12、13 電動弁
14 水配管
15 循環ポンプ槽
16 散気管
17 循環ポンプ
18、19 気泡
20 放流ポンプ槽
21 散気管
22 放流ポンプ
23 気泡
24、25 水配管
26 マイクロナノバブル発生機
27 微生物培養槽
28 栄養剤・バブル発生助剤槽
29 微小マイクロナノバブル水配管
30 電動弁
31 圧力計
32 余剰エアータンク
33 加圧タンク
34 電動弁
35 配管
36 粗大マイクロナノバブル水配管
37 配管
38 気体せん断部
39 渦流ポンプ
40 微小マイクロナノバブル混合撹拌槽
41 吸い込み配管
42 微小マイクロナノバブル水吐出配管
43 微小マイクロナノバブル流
44 自動供給機
45 ホッパー
46 粗大マイクロナノバブル混合撹拌槽
47 吸い込み配管
48 粗大マイクロナノバブル水吐出配管
49 添加ポンプ
50 ブロワー
51 吸い込み配管
52 定量ポンプ
53、54 水配管
55 気泡
56 粗大マイクロナノバブル流
57 水処理部
58 微生物活性化部
59 接触材
60 曝気槽
61 沈澱槽
62 沈澱槽汚泥返送ポンプ
63 汚泥返送配管
64 曝気硝化槽
65 沈澱脱窒槽
66 液中膜設置接触酸化槽
67 洗浄用散気管
68 洗浄用空気
69 液中膜
70 水配管
71 液中膜ポンプ
72 処理水配管
73、74 オーバーフロー配管
75 空気吸い込み配管
76 バルブ
77 沈澱脱窒槽汚泥返送ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水が導入される調整槽と、
上記調整槽からの処理水が導入される接触酸化槽と、
上記接触酸化槽から処理水が導入され、活性化微生物による汚泥を上記接触酸化槽に返送する循環ポンプを有する循環ポンプ槽と、
上記接触酸化槽から上記循環ポンプ槽を経由して導入される処理水を外部に放流する放流ポンプ槽と、
微生物が導入される微生物培養槽と、
上記微生物培養槽に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を添加する添加剤槽と、
第1のマイクロナノバブルとこの第1のマイクロナノバブルのサイズよりも小さなサイズの第2のマイクロナノバブルとを発生して上記第1および第2のマイクロナノバブルを上記微生物培養槽に供給するマイクロナノバブル発生機と、
上記微生物培養槽から上記第1および第2のマイクロナノバブルと上記微生物とを含有した微生物含有マイクロナノバブル水を上記調整槽と接触酸化槽の少なくとも一方に供給するマイクロナノバブル水供給部とを備え、
上記マイクロナノバブル発生機は、
上記微生物培養槽から上記栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を含む水を吸い込んで上記水にマイクロナノバブルを発生させると共に気体せん断部が付加した渦流ポンプと、
上記渦流ポンプに接続されていると共に上記渦流ポンプからマイクロナノバブルが発生したマイクロナノバブル水が導入されてこのマイクロナノバブル水を加圧する加圧タンクと、
上記加圧タンクに接続されていると共に圧力計が付属していて、上記加圧タンクからのマイクロナノバブル水が導入されて上記第1のマイクロナノバブルを含有した水と上記第2のマイクロナノバブルを含有した水を上記微生物培養槽に供給する余剰エアータンクとを有し、
上記接触酸化槽は、曝気される曝気槽をなし、
さらに、上記接触酸化槽からの処理水が導入されて上記処理水に含まれる微生物汚泥を上記接触酸化槽へ返送する循環ポンプを有すると共に上記処理水を上記放流ポンプ槽へ導入する沈殿槽を備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
被処理水が導入される調整槽と、
上記調整槽からの処理水が導入される接触酸化槽と、
上記接触酸化槽から処理水が導入され、活性化微生物による汚泥を上記接触酸化槽に返送する循環ポンプを有する循環ポンプ槽と、
上記接触酸化槽から上記循環ポンプ槽を経由して導入される処理水を外部に放流する放流ポンプ槽と、
微生物が導入される微生物培養槽と、
上記微生物培養槽に上記微生物の栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を添加する添加剤槽と、
第1のマイクロナノバブルとこの第1のマイクロナノバブルのサイズよりも小さなサイズの第2のマイクロナノバブルとを発生して上記第1および第2のマイクロナノバブルを上記微生物培養槽に供給するマイクロナノバブル発生機と、
上記微生物培養槽から上記第1および第2のマイクロナノバブルと上記微生物とを含有した微生物含有マイクロナノバブル水を上記調整槽と接触酸化槽の少なくとも一方に供給するマイクロナノバブル水供給部とを備え、
上記マイクロナノバブル発生機は、
上記微生物培養槽から上記栄養剤とバブル発生助剤の少なくとも一方を含む水を吸い込んで上記水にマイクロナノバブルを発生させると共に気体せん断部が付加した渦流ポンプと、
上記渦流ポンプに接続されていると共に上記渦流ポンプからマイクロナノバブルが発生したマイクロナノバブル水が導入されてこのマイクロナノバブル水を加圧する加圧タンクと、
上記加圧タンクに接続されていると共に圧力計が付属していて、上記加圧タンクからのマイクロナノバブル水が導入されて上記第1のマイクロナノバブルを含有した水と上記第2のマイクロナノバブルを含有した水を上記微生物培養槽に供給する余剰エアータンクとを有し、
上記接触酸化槽は、曝気と硝化を行う曝気硝化槽をなし、
さらに、上記曝気硝化槽からの処理水が導入されて上記処理水に含まれる微生物汚泥を沈殿させて循環ポンプで上記曝気硝化槽へ返送すると共に上記処理水を上記放流ポンプ槽へ導入する沈殿脱窒槽を備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル水供給部は、
上記微生物培養槽から上記調整槽に活性化された有用微生物を含有したマイクロナノバブル水を供給することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の水処理装置において、
上記調整槽および上記接触酸化槽の両方に活性化有用微生物が添加されることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−34993(P2013−34993A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214730(P2012−214730)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2009−175672(P2009−175672)の分割
【原出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(396007959)第一環境株式会社 (4)
【Fターム(参考)】