説明

水性媒体中HASE重合体エマルションで油をカプセル化する方法、得られる生成物、およびこの使用

本発明は、少なくとも1種の油を含有する水性配合物の製造法に関し、この方法は以下の工程、少なくとも1種の会合性重合体、1種の油、および水を混合すること、pH値を8より上げることにより油をカプセル化すること、pH値を6より下げることにより混合物が必要に応じて析出できるようにすること、ならびに水を除去することにより、得られる粒子を必要に応じて単離することを含む。本発明は、水性配合物および水性分散液、ならびにこのように得られる固体粒子にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
油とは、水と混ざり合わない脂肪を示す総称である。油は、液状、粘性、または固体のこともある脂肪で、動物性、植物性、鉱物油、または合成したものがある。油として以下が挙げられる:
食用油として既知の動植物油、脂質からなり、たいていは圧搾して得られる;
いわゆる植物の「エッセンシャル」油、これは植物から蒸留または溶媒を用いた化学抽出で得られる揮発性芳香族化合物を濃縮した疎水性脂質(非芳香族炭化水素およびアルコール系、アルデヒド系、またはケトン(cetone−)系酸化化合物などのテルペンをはじめとする様々な分子の混合物)に相当する;
鉱物油、これは炭化水素の混合物であり、精製により得られる;
分子の化学合成または鉱物油の水添分解を通じて得られる、多種多様な分子からなる合成油、合成油は炭素系、ケイ素系、フッ素系などがある。
【0002】
油は、水が汚染物質または有害物質とみなされる用途に用いられることがあるが、水相を含有する配合物に用いられることもあるし、そうした配合物のなかにはほとんどが水でできているものさえある。かけはなれた性質の油を用いる水性配合物としては、例えば、化粧用配合物、塗料、水硬性結合剤、燃料、潤滑剤、消泡剤、冶金の切削油および焼入油、肥料、ならびに医薬用油、農業用油、植物検疫油、洗浄用油、および食用油、または皮革製造業もしくは塗装業の配合物がある。
【0003】
最初は、水にまったくまたはほとんど分散しない油相が存在すると付いてまわる望ましくない現象(分離、相分離、不安定さ)を制限しようと努力しながら水性配合物に油を組込む目的で様々な溶液が開発された。このような現象は全て、問題の配合物にとって、美的観点(相の全体的な外観)、レオロジー面(例えば、水に分散しない油相の存在と関連して流動性が変わることによる。)、または配合物の使用時の性能(油の分散状態がよくないことに関連して配合物の性質が不均一であるため、配合物の最終的な性能の劣化を導く可能性がある。)に関して、さらに望ましくないものである。こうした溶液は特に、水中の油相を安定させる機能を持つ、溶媒または界面活性剤の混合物の使用に基づくものである。
【0004】
溶媒および界面活性剤の使用に関して法律が制限を厳しくするのに加えて、より最近の技術の進歩の結果、当業者は含油水性配合物の製造に新たな機会を得た。これがカプセル化技術である。この技術は、油を組込んだ水相中で油を化学的または物理的に孤立させることを可能にする:従って、不安定さによるどのような現象も回避され、上記の欠点が解消される。現在、主要な2つのカプセル化技術が既知である:β−シクロデキストリンの使用、および有機ポリマーを用いたカプセル化である。
【0005】
第一のカテゴリーはβ−シクロデキストリンを用いるものである。β−シクロデキストリンは、デンプンの酵素分解により得られる天然分子である。β−シクロデキストリンは、グルコースの環状オリゴマーの形で存在し、凹み部分の存在を特徴とする。この凹みのおかげでβ−シクロデキストリンは包接錯体を形成するような「ホスト分子となる」ことができる。これを受けて、文書JP2001 354515は、化粧料用途に、シクロデキストリンを用いて油をマイクロ化した形でカプセル化することを記載している。
【0006】
第二のカテゴリーは、有機重合体を用いる方法に基づく。こうした重量体のなかにコアセルベーション法があり、この方法は、重合体のコロイド溶液(前記溶液は不安定化してある。)を用いてこの重合体の析出によりできた膜で油エマルションを被覆することに基づく。この析出をコアセルベートと呼び、これが油エマルションの液滴のまわりに吸着されて液滴を覆う。例として、文書WO 00/48560は、炭素数が2から4のアルコールの水溶液のコアセルベーションにより、油とクロロフィル抽出物との混合物のマイクロカプセルを製造する方法を記載する。
【0007】
重合体の使用に基づく別のカプセル化法は、重縮合である。この方法は、2種の単量体の重縮合に依存し、単量体の一方はカプセル化媒体と混和性であり、他方はカプセル化される物質、即ち油と混和性である。文書US3,754,062は、ウレタン重合体およびエピクロロヒドリン(epichlorhydrin)を液体脂肪に溶解し、得られる混合物を液滴の形でポリアミン含有溶液に分散させ、最終的に混合物を界面重合することにより、脂肪をカプセル化することを記載している。この技法を用いてカプセル化することができる製品としてヒマシ油が記載されている。
【0008】
最後に、重合体の使用に基づくカプセル化の第三の方法は、(メタ)アクリル酸である単量体とアクリル酸エステルである別の単量体に基づくカルボン酸重合体を用いるものである(文献では、これらの重合体は「アルカリ溶解性エマルション(alkali soluble emulsion)」に基づくASEという用語で指定されることが多い。)。この状況では、カプセル化の現象はpHに依存した前記重合体の溶解性にのみ支配される。そうした重合体は、Eudragit(商標)、Kollicoat(商標)、およびEastacryl30D(商標)の商品名で市販されている。この場合のカプセル化法は、前記重合体の存在下、前記活性成分を水溶液に混合し、それから混合物を乾燥することからなる。しかしながら、この出願の実施例が実証するとおり、これらASE重合体は油をカプセル化することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−354515号公報
【特許文献2】国際公開第00/48560号
【特許文献3】米国特許第3,754,062号明細書
【発明の概要】
【0010】
水性配合物に加えようとする油をカプセル化し、それにより、従来技術で開示される解決法とは別の解決法で当分野に貢献しようとする研究を続ける中で、出願人は、少なくとも1種の油を含有する水性配合物の製造方法を開発した。この方法は以下の工程を含むことを特徴とする:
a)以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる会合性重合体の少なくとも1種を、少なくとも1種の油および水と、油が混合物の合計重量の少なくとも4%を占めるような割合で混合する、
b)工程a)で得られた混合物のpHを6超、好ましくは7超、さらに好ましくは8超の値に調整する、
c)前記重合体と前記油からなる粒子の水性分散液を得るため、pHを6未満の値に調整することにより、工程b)で得られた混合物を析出させる、
d)必要に応じて水を除去することにより、工程c)で得られた前記重合体と前記油からなる粒子を単離する。
【0011】
本発明の方法の新規性の1つは、上記方法の工程a)に記載されるとおりの会合性重合体の使用である。こうした重合体が十分に高いpH(6超、好ましくは7超、さらに好ましくは8超)まで中和されると、疎水性基間に会合性相互作用が生じる。こうした相互作用は、油分子の溶媒和ケージとなるドメインの範囲を定める。こうした重合体は、文献中、「疎水改質アルカリ可溶性エマルション(hydrophobically modified alkali−soluble emulsion)」を表す頭字語HASEを用いて記載されることが多い。
【0012】
出願人の功績の1つは、このような重合体を介した水中組織構造化の現象を同定し、これを用いたことである。水性配合物に組込まれた油は、こうして自然に保護される。出願人は、この機構がASE重合体を用いるカプセル化の様式と異なっていることを強調する。本出願ですでに記載されたとおり、この機構では、カプセル化現象が、pHに依存した重合体の溶解性によってのみ支配される。
【0013】
HASEエマルションは、塗装用途(FR2,693,203、FR2,872,815、およびFR2,633,930を参照)およびでコンクリート部門(フランス特許出願、出願番号FR0700086を参照、本出願時にはまだ公開されず)で十分記載されてきたが、HASEエマルションの本発明のような使用は、本出願人の知る限りでは、新しい利用法である。
【0014】
そのうえさらに、フランス特許出願、出願番号FR0703890(本出願時にはまだ公開されず)も存在する。この文書は、臭気性活性成分をカプセル化するためのHASE重合体の使用(臭気性活性成分であるカナンガ油のカプセル化を開示する唯一の試験である試験番号#5に従って)を記載する。前記カナンガ油は、これが組込まれた配合物の合計重量に対して3.33重量%の濃度で存在すると、この試験には記載されている。このことが、フランス特許出願、出願番号FR0703890と本発明を分ける決定的な要因である。本発明は、合計重量に対して少なくとも4重量%の油を含有する配合物のみを範囲に含める。油分子を非常に多量にカプセル化することを可能にすることも、本発明によりもたらされる技術的利点の1つである。重量による油の割合は、問題の水性配合物の合計重量の、10%超、40%超、場合によっては60%超までもが可能である。
【0015】
結果として、本発明の方法の工程a)および工程b)を行った後、油分子が溶媒和ケージに捕捉された混合物が得られる。
【0016】
本発明の方法の第一の改変では、工程b)で得られた混合物を酸性にする工程c)も実施することができる。このpH低下が引き金となって重合体構造が崩壊する。こうして、重合体と油分子からなる固体粒子の水性分散液が得られる。このとき、油分子は捕捉されたままである。
【0017】
本発明の方法の第二の改変において、工程c)だけでなく連続する工程d)も、同時に実施できる。工程d)は、水を除去することにより、工程c)で得られた粒子を単離することからなる。
【0018】
従って、本発明の方法のさらなる利点は、油分子を捕捉した形で、ある重量割合、時には非常に高い割合(特に前記配合物の合計重量の60%超)で油を含有する水性配合物をもたらすことであり、油分子を捕捉した形は以下の3種類が可能である:
混合する工程a)、次いでpHを6超に調整する工程b)のみを行って生成物を調製した場合の、水性エマルションである液状、
pH6未満で析出させる工程c)をさらに実施して生成物を調製した場合の、前記重合体と前記油との粒子の水性分散液である液状、
本発明の方法の単離する工程d)を実施した場合の、油分子とこれを捕捉する重合体分子でできた固体粒子の形。
【0019】
本出願人は、本発明のこれら3種の実施形態間にある本発明の不変性がこれらの形のそれぞれにおいて、HASE重合体((メタ)アクリル酸、この酸のエステル、および会合性疎水性単量体の共重合体)の使用により確保されていることを示唆する。本出願人の功績としてさらに、本発明のこれら3種の実施形態を得る目的で、このHASE重合体のpHに関連した特定の挙動を使用できるようにしたことがあり、これにより製造者(formulator)に多大なる柔軟性と自由度をもたらす。
【0020】
最後に、本発明の最後の利点として、本発明の実施により非常に多数の油分子をその起源にかかわらず捕捉することができるということがある。これが利点となる理由は、当業者はこれまで非常に大量の会合性単量体の文献を調べてこの中から捕捉しようとする油と最善の親和性を示す単量体を同定してきたからである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一の目的は、少なくとも1種の油を含有する水性配合物の製造法であり、この方法は以下の工程を含むことにより特徴付けられる:
a)以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる会合性重合体の少なくとも1種を、少なくとも1種の油および水と、油が混合物の合計重量の少なくとも4%を占めるような割合で混合する、
b)工程a)で得られた混合物のpHを6超、好ましくは7超、さらに好ましくは8超の値に調整する、
c)必要に応じて前記重合体と前記油からなる粒子の水性分散液を得るため、pHを6未満の値に調整することにより、工程b)で得られた混合物を析出させる、
d)必要に応じて水を除去することにより、工程c)で得られた前記重合体と前記油からなる粒子を、単離する。
【0022】
第一の改変において、本発明の方法は、工程a)および工程b)のみを実施する。
【0023】
第二の改変において、本発明の方法は、工程a)、工程b)、および工程c)のみを実施する。
【0024】
第三の改変において、本発明の方法は、工程a)、工程b)、工程c)、および工程d)のみを実施する。
【0025】
本発明の方法は、工程a)の間、前記会合性重合体は、乾燥重量で、工程a)後に得られる混合物の合計重量に対して0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、さらに好ましくは0.1から5%で用いられることを、さらに特徴とする。
【0026】
本発明の方法は、工程a)の間、少なくとも1種の油が、工程a)後に得られる混合物の合計重量に対して、少なくとも4%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも60重量%であり、同時に70重量%以下で用いられることを、さらに特徴とする。
【0027】
本発明の方法は、混合物のpHが、工程b)の間、有機塩基または無機塩基により調整されることを、さらに特徴とする。実際には、成分(油、水、会合性重合体、および有機または無機塩基)を振盪した反応器に加える。加える順番は、特にカプセル化する油の水溶性に基づいて、当業者により選択することができる。
【0028】
本発明の方法は、工程c)の間、強酸またはそれなりに強い酸を用いることを、さらに特徴とする。
【0029】
本発明の方法は、(メタ)アクリル酸エステルである単量体が、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることを、さらに特徴とする。
【0030】
本発明の方法は、前記会合性疎水性単量体が、以下の一般式(I):
【0031】
【化1】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することをさらに特徴とする。
【0032】
最後に、本発明の方法は、工程d)の間に、水をエバポレーションまたは遠心分離で除去することを特徴とする。しかしながら、当業者は工程a)および工程b)後に得られる混合物から水を除去する目的で任意の他の技法を用いることができる。
【0033】
本発明の方法は、油が、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ(Pongamia pinnata)油、ヤトロファ(Jatropha)油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核(apricot pit)油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることを、さらに特徴とする。
【0034】
本発明の別の目的は、上記の方法の工程a)および工程b)の実施により得られる、少なくとも1種の油を含有する水性配合物で構成される。
【0035】
この少なくとも1種の油を含有する水性配合物は、水、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有すること、
6より大きい、好ましくは7より大きい、より好ましくは8より大きいpHを有すること、
ならびにこの合計重量に対して油を少なくとも4重量%含有すること、を特徴とする。
【0036】
この水性配合物は、水性配合物の合計重量に対して、会合性疎水性重合体を、乾燥重量で0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%含有することを特徴とする。
【0037】
この水性配合物は、水性配合物の合計重量に対して、少なくとも1種の油を、少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%で、同時に70重量%以下で含有することを特徴とする。
【0038】
この水性配合物は、(メタ)アクリル酸エステルである単量体は、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする。
【0039】
この水性配合物は、前記会合性疎水性単量体が、以下の一般式(I):
【0040】
【化2】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することをさらに特徴とする。
【0041】
この水性配合物は、油が、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることをさらに特徴とする。
【0042】
本発明の別の目的は、上記の方法の析出する工程c)の実施により得られる、固体粒子が水に分散してできた配合物からなる。
【0043】
粒子の水性分散液は、前記粒子が、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有すること、
6未満のpHを有すること、
ならびに粒子の水性分散液の合計重量に対して油を少なくとも4重量%含有すること、
を特徴とする。
【0044】
この水性分散液は、前記粒子が、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有すること、
6未満のpHを有すること、
ならびに粒子の水性分散液の合計重量に対して油を少なくとも4重量%含有すること、
を特徴とする。
【0045】
この水性分散液は、水性配合物の合計重量に対して、会合性疎水性重合体を、乾燥重量で0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%含有することをさらに特徴とする。
【0046】
この水性分散液は、水性配合物の合計重量に対して、少なくとも1種の油を、少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%で、同時に70重量%以下で含有することをさらに特徴とする。
【0047】
この水性分散液は、(メタ)アクリル酸エステルである単量体は、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることをさらに特徴とする。
【0048】
この水性分散液は、前記会合性疎水性単量体が、以下の一般式(I):
【0049】
【化3】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することをさらに特徴とする。
【0050】
この水性分散液は、油は、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることをさらに特徴とする。
【0051】
本発明の別の目的は、上記の方法の単離する工程d)の実施により得られる固体粒子でできた配合物にある。
【0052】
これらの固体粒子は、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有することを特徴とする。
【0053】
これらの個体粒子は、前記会合性疎水性単量体が、以下の一般式(I):
【0054】
【化4】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することを特徴とする。
【0055】
これらの固体粒子は、油が、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることをさらに特徴とする。
【0056】
本発明の最後の目的は、少なくとも1種の油を含有する水性配合物、少なくとも1種の油を含有する固体粒子の水性分散液、ならびに少なくとも1種の油を含有する固体粒子の、化粧品、塗料、建築、燃料、潤滑剤、消泡剤、冶金、肥料、医薬品、農薬、植物衛生、洗剤、食品、皮革、および被膜の分野での利用である。
【実施例】
【0057】
実施例1および実施例2はそれぞれ、本発明に従って用いることができる単量体の製造、ならびに本発明に従って用いることができる水溶性会合性重合体の製造を示す。
【0058】
実施例1:本発明に従って用いられる単量体の合成
プロトコルa:メタクリル酸単量体の合成
1リットルの反応器に、以下を計量する:
溶融エチレンオキシド25モルが縮合したベヘニルアルコール400グラム、
アロオシメン0.0994グラム、
無水メタクリル酸43.75グラム。
【0059】
混合物を82℃土2℃に加熱し、この温度で3時間反応(cooking)させる。その後、周辺温度で液体である溶液を得る目的で、得られる巨大単量体をメタクリル酸396gで希釈する。
【0060】
プロトコルb:ウレタン単量体の合成
第一工程では、三角フラスコに以下を計量して縮合前駆体(precondensate)を生成する:
トルエン(tuolene)ジイソシアナート13.726グラム、
アクリル酸エチル36.1グラム、
アロオシメン0.077グラム、
ジラウリン酸ジブチルスズ0.198グラム。
【0061】
次いで、滴下ロートに、メタクリル酸エチレングリコール10.257グラムおよびアクリル酸エチル10グラムを計量する。このロートの内容物を、35℃より低い温度で、20分かけて三角フラスコに滴下し、30分間反応させる。
【0062】
第二工程では、1000mLの反応器に、エチレンオキシド25モルが縮合したトリスチリルフェノール132グラムを計量し、これを65℃で溶融した状態に保って縮合を行う。次いで、このアルコールに、65℃で20分かけて縮合前駆体を加え、その後65℃で2時間反応(cooked)させる。最後に、室温で液体であるものを得る目的で、混合物をアクリル酸エチル15.5グラムと脱イオン(bipermulated)水84.6グラムで希釈する。
【0063】
プロトコルc:ヘミマレイン酸(hemimaleate)単量体の合成
1リットルの反応器に、以下を計量する:
溶融エチレンオキシド15モルが縮合した炭素数32の分岐鎖アルコール400グラム、
アロオシメン0.0994グラム、
無水マレイン酸25.3グラム。
【0064】
混合物を82℃土2℃に加熱し、3時間反応(cooking)させる。その後、周辺温度で液体である溶液を得る目的で、得られる巨大単量体をメタクリル酸425gで希釈する。
【0065】
実施例2:会合性水溶性重合体の合成
プロトコルA
1リットルの反応器に、脱イオン水280グラムおよびドデシル硫酸ナトリウム3.89グラムを計量する。これを始動器中82℃±2℃に加熱する。
【0066】
この間に、ビーカーに以下を計量してプレエマルションを調製する:
脱イオン水112.4グラム、
ドデシル硫酸ナトリウム2.1グラム、
メタクリル酸80.6グラム、
アクリル酸エチル146.1グラム、
プロトコルa)に記載されるとおりの巨大単量体溶液55.6グラム。
【0067】
次いで、過硫酸アンモニウム0.85グラムを脱イオン水10グラムに溶解したものを第一の触媒として計量し、メタ重亜硫酸ナトリウム0.085グラムを脱イオン水10グラムに溶解したものを第二の触媒として計量する。始動器が設定温度に達したら、この2つの触媒を加え、同時にプレエマルションを加えて、76℃±2℃で2時間、重合を行う。ポンプを脱イオン水20グラムですすぎ、76℃±2℃で1時間反応(cooked)させる。最後に、反応物を周辺温度まで冷却して、得られる重合体を濾過する。
【0068】
プロトコルB
1リットルの反応器に、脱イオン水280グラムおよびドデシル硫酸ナトリウム3.89グラムを計量する。これを始動器中82℃±2℃に加熱する。
【0069】
この間に、ビーカーに以下を計量してプレエマルションを調製する:
脱イオン水334グラム、
ドデシル硫酸ナトリウム3.89グラム、
ドデシルメルカプタン0.92グラム、
メタクリル酸80.6グラム、
アクリル酸エチル160.55グラム、
プロトコルb)に記載のメタクリルウレタン溶液60.4グラム。
【0070】
次いで、過硫酸アンモニウム0.33グラムを脱イオン水10グラムに溶解したものを第一の触媒として計量し、メタ重亜硫酸ナトリウム0.28グラムを脱イオン水10グラムに溶解したものを第二の触媒として計量する。始動器が設定温度に達したら、この2つの触媒を加え、同時にプレエマルションを加えて、84℃±2℃で2時間、重合を行う。ポンプを脱イオン水20グラムですすぎ、84℃±2℃で1時間反応(cooked)させる。最後に、反応物を周辺温度まで冷却して、濾過する。
【0071】
プロトコルC
このプロトコルは、計量という第一の工程でドデシルメルカプタンを省くことを除けば、プロトコルBと同一である。
【0072】
プロトコルD
このプロトコルは、ビーカーに計量するという最初の工程でドデシルメルカプタン0.9グラムを加えることを除けば、プロトコルAと同一である。
【0073】
実施例3
この実施例は、混合する工程a)、pHを上げる工程b)、およびpHを下げる工程c)を実施する本発明の方法を例示する。詳細には、この実施例は、本発明の重合体の疎水性基の会合性相互作用が生じたときに起こるカプセル化を実証し、この相互作用は本出願人が油をカプセル化するのに用いたpHの特定の変化により制御される。この実施例は、様々な重合体を用いた油(ここではヒマワリ油)のカプセル化を例示する。
【0074】
試験番号1
この試験は、本発明外の試験を例示する。
【0075】
試験は、メタクリル酸36.9重量%とアクリル酸エチル63.1重量%でできた重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水182グラム、および食用ヒマワリ油150グラム(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。このときpHは2である。
【0076】
この重合体は、ASE増粘剤として当業者に周知の重合体であり、これが活性成分をカプセル化する様式はすでに記載がある。しかしながら、この試験では、上記のように単純に混合した後、2相になるのが観測される:1相は油であり、もう1つの相は重合体を含有する水相である。
【0077】
次いで、0.5pH単位の間隔で、最終値が9に到達するまで、水酸化ナトリウムを連続して加えることにより、pHを徐々に上げた。
【0078】
しかしながら、中間値のそれぞれでこのpHで一定に保った後も、2相系は依然として観測された。
【0079】
次いで、最終pH値が5に到達するまで、リン酸を連続して加えることにより、pH値を9から0.5pH単位の間隔で連続して下げた。
【0080】
しかしながら、中間値のそれぞれでこのpHで一定に保った後も、2相系は依然として観測された。
【0081】
従って、この試験は、ASE重合体が油のカプセル化を可能にしないことを十分に実証している。
【0082】
試験番号2から12
これらの試験は本発明を例示する。
【0083】
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水182グラム、および食用ヒマワリ油150グラム(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。
【0084】
工程a)に従って、混合を行う。
【0085】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8に上げる。
【0086】
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0087】
重合体の組成を表1に示す。
【0088】
油と重合体でできた粒子の水性分散液が得られる:従って、使用した重合体は、ヒマワリ油を有効にカプセル化することを可能にする。
【0089】
分散粒子の大きさは、MALVERN(商標)社が販売するZetasizer(商標)nanoS90を用いて、動的光散乱により求めた。
【0090】
簡単な目視観察により、これらの分散液の貯蔵安定性も求めた。分散液の均一性が失われた(沈降または表面のクリーム発生の現象)ところで、分散液はもはや安定ではないとみなすことにする。これらの結果を表2にまとめる。
【0091】
【表1】

【0092】
式(I)で定義される略号について、xy、およびzはそれぞれ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、および式(1)の単量体の質量比を指定する。
【0093】
【表2】

【0094】
これらの試験では、試験3、4、および5で用いられる重合体で有効性の増加が特に観測される。
【0095】
実施例4
この実施例は、混合する工程a)、pHを上げる工程b)、およびpHを下げる工程c)を実施する本発明の方法を例示する。この実施例では、ヒマワリ油および試験番号2に従って試験された重合体を用いて試験を行う。
【0096】
試験番号13
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水162g、および食用ヒマワリ油200g(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。
【0097】
工程a)に従って、混合を行う。
【0098】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8に上げる。
【0099】
工程c)に従って、pH値を5.8に下げる。
【0100】
試験番号14
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水162g、および食用ヒマワリ油250g(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。
【0101】
工程a)に従って、混合を行う。
【0102】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
【0103】
工程c)に従って、pH値を5.8に下げる。
【0104】
試験番号15
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水162g、および食用ヒマワリ油300g(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。
【0105】
工程a)に従って、混合を行う。
【0106】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
【0107】
工程c)に従って、pH値を5.8に下げる。
【0108】
試験番号16
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水162g、および食用ヒマワリ油350g(ORGELEC(商標)社製)を計量して開始する。
【0109】
工程a)に従って、混合を行う。
【0110】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
【0111】
工程c)に従って、pH値を5.8に下げる。
【0112】
油と重合体でできた粒子の水性分散液が得られる:従って、使用した重合体は、油を有効にカプセル化することを可能にする。分散粒子の大きさは、MALVERN(商標)社が販売するZetasizer(商標)nanoS90を用いて、動的光散乱により求めた。結果を表3にまとめる。
【0113】
【表3】

【0114】
実施例5
この実施例は、混合する工程a)、pHを上げる工程b)、およびpHを下げる工程c)を実施する本発明の方法を例示する。この実施例では、様々な油および重合体を用いて試験を行う。
【0115】
試験番号17から19は、アクリル酸エチル26.3重量%、メタクリル酸メチル26.3%、メタクリル酸38.2%、および以下のとおりである式(I)の単量体9.2%でできた重合体を用いる:
Rはメタクリレート基を指定し、
m=p=0 n=25 q=1
R’は炭素数22の直鎖アルキルラジカルを指定する。
【0116】
試験番号17
試験は、重合体33グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水150グラム、およびシトロネラ41.6グラムを計量して開始する。
【0117】
工程a)に従って、混合を行う。
【0118】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.9に上げる。
【0119】
工程c)に従って、pH値を5.8に下げる。
【0120】
試験番号18
試験は、重合体33グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水150グラム、およびシトロネラ26.2グラムを計量して開始する。
【0121】
工程a)に従って、混合を行う。
【0122】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.2に上げる。
【0123】
工程c)に従って、pH値を5.7に下げる。
【0124】
試験番号19
試験は、重合体33グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水150グラム、およびシトロネラ12.4グラムを計量して開始する。
【0125】
工程a)に従って、混合を行う。
【0126】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.2に上げる。
【0127】
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0128】
試験番号20
この試験は、試験番号2で試験した重合体を用いる。
【0129】
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水182グラム、およびシリコーンオイル(silicon oil)150グラムを計量して開始する。
【0130】
工程a)に従って、混合を行う。
【0131】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.2に上げる。
【0132】
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0133】
試験番号21
この試験は、試験番号11で試験した重合体を用いる。
【0134】
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水182グラム、およびベヘニルアルコール24グラムを計量して開始する。
【0135】
85℃に加熱しながら、工程a)に従って、混合を行う。
【0136】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
【0137】
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0138】
試験番号22
この試験は、試験番号17から19で試験した重合体を用いる。
【0139】
試験は、重合体16.5グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水182グラム、およびベヘニルアルコール48グラムを計量して開始する。
【0140】
85℃に加熱しながら、工程a)に従って、混合を行う。
【0141】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0142】
試験番号23
この試験は、試験番号10で試験した重合体を用いる。
【0143】
試験は、重合体4.95グラム(前記重合体を乾燥重量で30%含有する分散液の形)、水45.5グラム、およびテトラドデカン37.5グラムを計量して開始する。
【0144】
85℃に加熱しながら、工程a)に従って、混合を行う。
【0145】
工程b)に従って、水酸化ナトリウムを加えることによりpH値を8.1に上げる。
【0146】
工程c)に従って、pH値を5.9に下げる。
【0147】
油と重合体でできた粒子の水性分散液が得られる:従って、使用した重合体は、油を有効にカプセル化することを可能にする。分散粒子の大きさは、MALVERN(商標)社が販売するZetasizer(商標)nanoS90を用いて、動的光散乱により求めた。結果を表4にまとめる。
【0148】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の油を含有する水性配合物の製造方法であって、以下の工程:
a)以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる会合性重合体の少なくとも1種を、少なくとも1種の油および水と、油が混合物の合計重量の少なくとも4%を占めるような割合で混合する、
b)工程a)で得られた混合物のpHを6超、好ましくは7超、さらに好ましくは8超の値に調整する、
c)必要に応じて前記重合体と前記油からなる粒子の水性分散液を得るため、pHを6未満の値に調整することにより、工程b)で得られた混合物を析出させる、
d)必要に応じて水を除去することにより、工程c)で得られた前記重合体と前記油からなる粒子を単離する、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程a)および工程b)のみを実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)、工程b)および工程c)のみを実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)、工程b)、工程c)、および工程d)のみを実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の間、前記会合性重合体は、乾燥重量で、工程a)後に得られる混合物の合計重量に対して0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、さらに好ましくは0.1から5%で用いられることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)の間、少なくとも1種の油が、工程a)後に得られる混合物の合計重量に対して、少なくとも4%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも60重量%で、同時に70重量%以下で用いられることをさらに特徴とする、請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
混合物のpHは、工程b)の間、有機塩基または無機塩基により調整されることをさらに特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
工程c)の間、中程度の強酸または強酸を用いることを特徴とする、請求項1および3から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
(メタ)アクリル酸エステルである単量体は、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記会合性疎水性単量体は、以下の一般式(I):
【化1】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
工程d)の間に、水をエバポレーションまたは遠心分離で除去することを特徴とする、請求項1および4から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
油は、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
水性配合物が、水、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有すること、
6超、好ましくは7超、さらに好ましくは8超のpHを有すること、
ならびに水性配合物の合計重量に対して油を少なくとも4重量%含有すること、
を特徴とする、少なくとも1種の油を含有する水性配合物。
【請求項14】
水性配合物の合計重量に対して、会合性疎水性重合体を、乾燥重量で0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%含有することを特徴とする、請求項13に記載の粒子の水性配合物。
【請求項15】
水性配合物の合計重量に対して、少なくとも1種の油を、少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%で、同時に70重量%以下で含有することを特徴とする、請求項13または14の一項に記載の粒子の水性配合物。
【請求項16】
(メタ)アクリル酸エステルである単量体は、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項13から15の一項に記載の粒子の水性配合物。
【請求項17】
前記会合性疎水性単量体は、以下の一般式(I):
【化2】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することを特徴とする、請求項13から16の一項に記載の粒子の水性配合物。
【請求項18】
油は、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることを特徴とする、請求項13から17の一項に記載の粒子の配合物。
【請求項19】
前記粒子が、少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有すること、
6未満のpHを有すること、
ならびに粒子の水性分散液の合計重量に対して油を少なくとも4重量%含有すること、
を特徴とする、粒子の水性分散液。
【請求項20】
水性配合物の合計重量に対して、会合性疎水性重合体を、乾燥重量で0.1%から20%、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%含有することを特徴とする、請求項19に記載の粒子の水性分散液。
【請求項21】
水性配合物の合計重量に対して、少なくとも1種の油を、少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%で、同時に70重量%以下で含有することを特徴とする、請求項19または20の一項に記載の粒子の水性分散液。
【請求項22】
(メタ)アクリル酸エステルである単量体は、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項19から21の一項に記載の粒子の水性分散液。
【請求項23】
前記会合性疎水性単量体は、以下の一般式(I):
【化3】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することを特徴とする、請求項19から22の一項に記載の粒子の水性分散液。
【請求項24】
油は、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることを特徴とする、請求項19から23の一項に記載の粒子の水性分散液。
【請求項25】
少なくとも1種の油、および以下:
(メタ)アクリル酸である少なくとも1種の単量体と、
(メタ)アクリル酸エステルである少なくとも1種の単量体と、
および少なくとも1種の会合性疎水性単量体、
からなる少なくとも1種の会合性疎水性重合体を含有することを特徴とする、固体粒子。
【請求項26】
前記会合性疎水性単量体は、以下の一般式(I):
【化4】

式中
m、n、p、およびqは、整数で、m、n、pは150未満であり、qは0より大きく、m、n、およびpのうち少なくとも1つの整数はゼロではなく、
Rは重合可能なビニル官能基を有し、
とRは同じであるか異なっていて、水素原子またはアルキル基を表し、
R’は、少なくとも6個から最大で36個までの炭素原子、好ましくは少なくとも16個から最大で24個までの炭素原子、さらに好ましくは少なくとも18個から最大で22個までの炭素原子を含む疎水性基である、
を有することを特徴とする、請求項25に記載の固体粒子。
【請求項27】
油は、微細藻類油、ポンガミア・ピンナータ油、ヤトロファ油、パーム油、ヒマワリ油、カノーラ油、アーモンド油、ピーナッツ油、ココナッツ油、亜麻仁油、コーン油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ゴマ油、カラシ油、クルミ油、大豆油、鯨油、マッコウクジラ油、タラ肝油、牛脚油、牛脂または脂肪、ブタ脂肪またはラード、ボラジ油、ホホバ油、マカダミア油、セントジョーンズワート油、ヘーゼルナッツ油、ムスクローズ油、杏核油、コムギ胚芽油、イブニングプリムローズ油、アヒル脂肪、ニワトリ脂肪、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、およびモーター油の中から選択されることを特徴とする、請求項25から26の一項に記載の固体粒子。
【請求項28】
請求項12から18の一項に記載の水性配合物、請求項19から24の一項に記載の水性分散液、および請求項25から27の一項に記載の固体粒子の、化粧品、塗料、建築、燃料、潤滑剤、消泡剤、冶金、肥料、医薬品、農薬、植物衛生、洗剤、食品、皮革、および被膜の分野での使用。

【公表番号】特表2011−507679(P2011−507679A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538935(P2010−538935)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003393
【国際公開番号】WO2009/090462
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【Fターム(参考)】