説明

水晶デバイス

【課題】複数の水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載することなく複数の振動モードを有した生産性のよい水晶デバイスを提供する。
【解決手段】水晶振動素子が搭載されている素子搭載部材が蓋部材と接合されて素子搭載部材と蓋部材とで水晶振動素子を気密封止している水晶デバイスであって、矩形形状の平板状の基部131aと基部の側面から同一方向に延設された2つ一対の振動腕部131bとから構成されており音叉形状の水晶片131と、両主面がY軸及びZ軸に平行な基部の両主面に厚み縦振動用励振電極132が設けられ、振動腕部に屈曲振動用励振電極が設けられ、所定の接続電極134aが厚み縦振動用励振電極と電気的に接続され、所定の他の接続電極134bが屈曲振動用励振電極と電気的に接続されている水晶振動素子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子搭載部材と蓋部材とが接合されて前記素子搭載部材に搭載されている水晶振動素子が気密封止されている水晶デバイスの水晶振動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶デバイスは、例えば、移動通信機器等の電子機器に多く用いられている。
特に、電子機器は、電子機器の多機能化に伴って、複数の水晶デバイスが搭載される。また、小型化に伴って、複数の水晶デバイスを搭載するために、水晶デバイスも小型化が進められている。
【0003】
ここで、水晶デバイスは、例えば、水晶振動素子と素子搭載部材と蓋部材とから構成されている。
【0004】
素子搭載部材は、例えば、基板部と基板部の一方の主面の縁部に沿って環状に設けられている枠部とから構成されており、一方の主面に凹部空間が形成されている。
また、素子搭載部材は、凹部空間の底面に搭載パッドが設けられ、凹部空間の底面に対向する面に搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子が設けられている。
また、素子搭載部材には、例えば、搭載パッドが後述する水晶振動素子の接続端子に対向する位置に設けられ、導電性接着剤によって電気的に接続されることで、後述する水晶振動素子が搭載される。
【0005】
蓋部材は、例えば、素子搭載部材の凹部空間を塞ぐように素子搭載部材に接合されている。このとき、後述する水晶振動素子が素子搭載部材と蓋部材とで形成される空間内に気密封止されている。
【0006】
水晶振動素子は、例えば、水晶片と励振電極と接続電極と導配線パターンとから構成されている。
また、水晶振動素子は、例えば、導配線パターンによって励振電極と接続電極とが電気的に接続された状態になるように、励振電極と接続電極と導配線パターンが水晶片に設けられている。
また、水晶振動素子は、接続電極に交流電圧が印加されると、所定の周波数で水晶片の一部が振動する。
【0007】
ここで、水晶片の一部が振動しているときの周波数を振動周波数とする。
また、水晶片の一部が振動している状態を水晶振動素子が振動している状態とし、このときの水晶片の振動の仕方を振動モードとする。
【0008】
また、水晶振動素子は、水晶片が互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しているため、水晶振動素子が有している振動モードが結晶軸と励振電極が設けられている位置によって異なる。言い換えると、水晶振動素子が有している振動モードは、励振電極が設けられている面と水晶片の結晶軸との位置によって異なる。
【0009】
水晶振動素子が有している振動モードは、例えば、厚み滑り振動モードや厚み縦振動モードや屈曲振動モードがある。
【0010】
振動モードの一例である厚み滑り振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、水晶片の両主面がX軸及びZ軸を含む面をY軸の負の方向側へ約35度回転させた面に平行となっており、この両主面に励振電極が設けられている。
また、厚み滑り振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、周波数帯がMHz帯となっているMHz帯の水晶デバイスに用いられる。
また、厚み滑り振動モードを有する水晶振動素子は、振動周波数が水晶片の厚みに依存している。ここで、水晶片の厚みとは、励振電極が設けられている水晶片の一方の主面から他方の主面までの長さである。
【0011】
また、振動モードの他の一例である厚み縦振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、水晶片の両主面がY軸及びZ軸に平行となっており、この両主面に励振電極が設けられている。
また、厚み縦振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、周波数帯がMHz帯となっているMHz帯の水晶デバイスに用いられている。
また、厚み縦振動モードを有する水晶振動素子は、振動周波数が水晶片の厚みに依存している。
【0012】
また、振動モードの更に他の一例である屈曲振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、両主面がY軸及びZ軸に平行となっている水晶板がフォトリソ技術及びエッチング技術によって、基部と2つ一対の振動腕部とが一体となって音叉形状に形成された水晶片が用いられる。このとき、2つ一対の振動腕部が基部の所定の側面から同一方向に延びるように設けられており、励振電極が振動腕部の表面に設けられている。
また、屈曲振動モードを有する水晶振動素子は、励振電極に交流電圧が印加されると、電界が発生しこれにより、振動腕部が屈曲振動される構造となっている。
このため、屈曲振動モードを有する水晶振動素子は、その振動周波数が振動腕部の大きさに依存している。
ここで、振動腕部の長さとは、基部と振動腕部とが接する面からこの面に対向する振動腕部までの長さ、つまり、自由端から固定端までの長さとする。また、振動腕部の幅とは、隣接する振動腕部側を向く面とこの面に対向する面までの長さとする。
また、屈曲振動モードを有する水晶振動素子は、例えば、周波数帯がkHz帯となっているkHz対の水晶デバイスに用いられている。
【0013】
水晶デバイスは、水晶振動素子が素子搭載部材と蓋部材とで気密封止されており、素子搭載部材の外部接続端子と水晶振動子の励振電極が電気的に接続された状態となっている。このため、水晶デバイスは、素子搭載部材の外部接続端子に交流電圧を印加したとき、水晶振動素子が振動周波数で振動する構成となっている。
また、水晶デバイスは、使用用途に合わせて水晶振動素子の振動モードが選択され移動通信機器等の電子機器に用いられている。
【0014】
ここで、電子機器の一例である携帯電話には、例えば、メインクロック用の発振源となるMHz帯の水晶デバイスや待機動作用のサブクロックの発振源となるkHz帯の水晶デバイスが用いられている。
【0015】
MHz帯の水晶デバイスには、例えば、厚み滑り振動モードの水晶振動素子が用いられる。
このような厚み滑り振動モードの水晶振動素子は、例えば、矩形形状の平板状の水晶片の両主面に励振電極が設けられている。このとき、水晶振動素子は、両主面が、例えば、X軸及びZ軸に平行な面をY軸の負の方向へ約35度回転させた面に平行となっている。
【0016】
kHz帯の水晶デバイスは、例えば、屈曲振動モードの水晶振動素子が用いられる。
このkHz帯の水晶デバイスの水晶振動素子は、例えば、両主面がY軸及びZ軸を含む面が平行なっている水晶板がフォトリソ技術及びエッチング技術によって、基部と基部の側面から同一方向に延設されている振動腕部とが一体となって音叉形状に形成された水晶片が用いられ、この振動腕部の表面に励振電極が設けられている。
【0017】
近年の電子機器の多機能化と小型化に伴い、水晶デバイスも小型化される傾向にある。
小型化された水晶デバイスは、例えば、異なる振動モードを有する水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載する構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0018】
また、MHz帯の水晶デバイスの一例として、厚み滑り振動モードを有した水晶振動素子が用いられている場合について説明したが、厚み縦振動モードを有して水晶振動素子が用いられる場合がある。
このMHz帯の水晶デバイスの水晶振動素子は、例えば、水晶片の両主面がY軸及びZ軸に平行な面に平行となっており、この両主面に励振電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2004−120073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来の水晶デバイスは、異なる振動モードを有する水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載する構造となっているので、複数の水晶振動素子と搭載しなければならず、搭載するための手間と時間を要し、生産性が低下する恐れがある。
【0021】
また、従来の水晶デバイスは、異なる振動モードを有する水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載する構造となっているので、水晶デバイスがさらに小型化した場合、素子搭載部材の搭載面積が小さくなり水晶振動素子を搭載することができなくなる恐れがある。
【0022】
また、従来の水晶デバイスは、異なる振動モードを有する水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載する構造となっているので、水晶デバイスがさらに小型化した場合、水晶振動素子が小型化されて取り扱いが困難となり生産性が低下する恐れがある。
小型化された水晶振動素子を素子搭載部材に搭載する場合、同一の素子搭載部材に搭載される水晶振動素子の距離が短くなり、隣接する水晶振動素子が接触しないように搭載しなければならず、取り扱いが困難となる。
【0023】
そこで、本発明では、複数の水晶振動素子を同一の素子搭載部材に搭載することなく複数の振動モードを有した生産性のよい水晶デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記課題を解決するため、接続端子が設けられている水晶振動素子と、前記接続端子と電気的に接続されている搭載パッドが設けられ前記水晶振動素子を搭載する素子搭載部材と、前記蓋部材と接合されて前記素子搭載部材を気密封止する蓋部材とを備え、前記水晶振動素子が搭載されている前記素子搭載部材の面に対向する前記素子搭載部材の外部接続端子が設けられ、前記外部接続端子と前記搭載パッドとが電気的に接続されている水晶デバイスであって、
互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、主面が前記Y軸及び前記Z軸に平行となっている平板状の基部の側面より
同一方向に延びる2つの平板形状の振動腕部が一体となって設けられ音叉形状となっている水晶片と、前記基部の両主面に設けられている厚み縦振動用励振電極と、
前記振動腕部の面であって前記基部の側面に接している面及び前記基部の側面に接している面に対向する面に設けられている屈曲振動用励振電極と、前記素子搭載部材側を向く前記基部の面であって前記振動腕部が設けられている辺に対向する前記基部の辺の縁部に沿って設けられており、前記厚み縦振動用励振電極が所定の接続電極と電気的に接続され、前記屈曲振動用励振電極が所定の他の接続電極と電気的に接続されている接続用電極と、を備えている水晶振動素子を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
このような水晶デバイスによれば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を備えている水晶振動素子の水晶片が基部と基部の側面から同一方向に延設されている振動腕部とが一体となって音叉形状に形成されており、両主面がY軸及びZ軸に平行となっている基部の両主面に厚み縦振動用励振電極が設けられ、所定の接続電極が厚み縦振動用励振電極と電気的に接続になっており、振動腕部に屈曲振動用励振電極が設けられ、
所定の他の接続用電極が屈曲振動用励振電極と電気的に接続になっており、素子搭載部材の搭載パッドと外部接続端子とが電気的に接続されており、
素子搭載部材の搭載パッドと水晶振動素子の接続電極とが電気的に接続されているので、水晶振動素子の接続電極に交流電圧を印加させると、厚み縦振動用励振電極及び屈曲振動用励振電極に交流電圧を印加することができる。
従って、このような水晶デバイスによれば、厚み縦振動モード及び屈曲振動モードを有している水晶振動素子を素子搭載部材に搭載することができるので、従来の水晶デバイスと比較して搭載する水晶振動素子の数を少なくすることができる。
このため、このような水晶デバイスによれば、従来の水晶デバイスと比較して、水晶振動素子を搭載する手間と時間を減少させることができ、生産性を向上させることができる。
【0026】
また、このような水晶デバイスによれば、水晶振動素子が異なる振動モードを有しているので、従来の水晶デバイスの水晶振動素子と比較して搭載するために必要な面積が小さくなっている。
このため、このような水晶デバイスによれば、従来の水晶デバイスよりさらに小型化して素子搭載部材の搭載面積が小さくなっても、水晶振動素子を搭載することができる。
【0027】
また、このような水晶デバイスによれば、水晶振動素子が異なる振動モードを有しているので、素子搭載部材に搭載する面積が小さくても搭載することができる。
このため、このような水晶デバイスによれば、従来の水晶デバイスの水晶振動素子より大きさを大きくすることができるので、従来の水晶デバイスの水晶振動素子と比較して取り扱いが容易となり、生産性を向上させることができる。
このような水晶デバイスによれば、小型化された水晶振動素子を素子搭載部材に搭載する場合、従来の水晶デバイスのように隣接する水晶振動素子が接触しないように搭載する必要がないので、取り扱いが容易となり生産性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る水晶デバイスの水晶振動素子の一例を示す状態図である。
【図2】本発明の実施形態に係る水晶デバイスの一例を示す分解断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水晶デイバスの水晶振動素子の他の一例を示す状態図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水晶デバイスの他の一例を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0030】
本発明の実施形態に係る水晶デバイスは、図2に示すように、素子搭載部材110と蓋部材120と水晶振動素子130とから構成されている。
【0031】
素子搭載部材110は、例えば、図2に示すように、基板部110aと枠部110bとから構成され、矩形形状で平板状の基板部110aの一方の主面の縁部に沿って環状の枠部110bが設けられて凹部空間111が形成されている。
また、素子搭載部材110は、凹部空間111の底面に搭載パッドPが設けられている。また、素子搭載部材110は、基板部110aと枠部110とが接する面に対向する基板部110aの面に外部接続端子Gが設けられている。
【0032】
搭載パッドPは、例えば、4つ設けられており、後述する水晶振動素子130の接続電極134a,134bに対向する位置に設けられている。
また、搭載パッドPは、例えば、図2に示すように、導電性接着剤Dによって、後述する水晶振動素子130の接続電極134a,134bと電気的に接続されている。
【0033】
外部接続端子Gは、例えば、4つ設けられており、素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介して搭載パッドPと電気的に接続されている。
【0034】
従って、素子搭載部材110は、図2に示すように、搭載パッドPと後述する水晶振動素子130の接続電極134a,134bとを電気的に接続した状態にして、後述する水晶振動素子130を凹部空間111内に収納した状態で搭載している。
【0035】
蓋部材120は、矩形形状の平板状に形成されている。
また、蓋部材120は、図2に示すように、蓋部材130の一方の主面が基板部110aと枠部110bとが接する面に対向する枠部110bの面と接合されている。従って、蓋部材120は、素子搭載部材110の凹部空間111を塞ぐようにして素子搭載部材110に接合されている。
このとき、素子搭載部材110に搭載されている水晶振動素子130が素子搭載部材110と蓋部材120とで気密封止された状態となっている。
【0036】
水晶振動素子130は、図1及び図2に示すように、水晶片131(131a,131b)と厚み縦振動用励振電極132と屈曲振動用励振電極133a,133bと接続電極134a,134bと導配線パターン135a,135b,135cと周波数調整用電極136とから構成されている。
【0037】
水晶片131は、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有した水晶板がフォトリソ技術とエッチング技術によって、基部131aと枠部131bとが一体となって音叉形状に設けられている。このとき、水晶板の主面がY軸及びZ軸に平行となっている。
【0038】
基部131aは、例えば、矩形形状の平板状に形成されており、両主面がY軸及びZ軸に平行となっている。
【0039】
振動腕部131bは、例えば、平板状となっており、2つ設けられている。
また、振動腕部131bは、基部131aの側面より同一方向に延びるように設けられている。
【0040】
ここで、基部131aの側面とは、基部131aの両主面に接している面である。
【0041】
従って、振動腕部131bは、基部131aと一体となって形成されているので、基部131aの主面と平行な面がY軸及びZ軸に平行となっており、隣接する振動腕部131b側を向く面とこの面に対向する面がY軸及びZ軸に垂直となっている。
また、振動腕部131bは、基部131aと接している面側の端部が固定された固定端となっており、基部131aと接している面に対向する振動腕部131aの端部が自由端となっている。
【0042】
従って、水晶片131は、2つの振動腕部130bが同一方向に延びるように基部131aの側面に一体となって設けられて音叉形状となっている。
【0043】
厚み縦振動用励振電極132は、図1及び図2に示すように、2つ一対となっており、水晶片131の基部131aの両主面に設けられている。
一方の厚み縦振動用励振電極132は、図1及び図2に示すように、基部131aの一方の主面に設けられている。
他方の厚み縦振動用励振電極132は、図2に示すように、一方の厚み縦振動用励振電極132に対向する位置であって、基部131aの他方の主面に設けられている。
【0044】
また、厚み縦振動用励振電極132は、Y軸及びZ軸に平行となっている両主面に設けられているので、厚み縦振動用励振電極132に交流電圧が印加したとき、厚み縦振動用励振電極132に挟まれている基板部131aの一部を所定の周波数で厚み縦振動させる役割を果たす。
【0045】
このとき、厚み縦振動用励振電極132に挟まれている基板部131aの一部が厚み縦振動しているときの所定の周波数を厚み縦振動周波数とする。
この厚み縦振動周波数が基板部131aの板厚に依存しているので、水晶片131の基板部131aの板厚によって厚み縦振動周波数を決定することができる。
基板部131aの板厚とは、厚み縦振動用励振電極132が設けられている基板部131aであって基板部131aの一方の主面から他方の主面までの長さである。
また、厚み縦振動用励振電極132に挟まれた基板部131aの一部が厚み縦振動しているときの状態を厚み縦振動モードとする。
【0046】
屈曲振動用励振電極133a,133bは、図1及び図2に示すように、水晶片131の振動腕部131bに2つ設けられている。
【0047】
一方の屈曲振動用励振電極133aは、一方の振動腕部131bの面であって基部131aの両主面に平行な2面と、他方の振動腕部131bの面であって一方の振動腕部131b側を向く面と、他方の振動腕部131bの面であって一方の振動腕部131b側を向く面に平行な面と、に設けられている。
つまり、一方の屈曲振動用励振電極133aは、一方の振動腕部131bの対向しあう2面と他方の振動腕部131bの対向しあう2面とに設けられている。
また、一方の振動腕部131に設けられている一方の屈曲振動用励振電極133aは、後述する接続電極135cによって接続されている。
【0048】
他方の屈曲振動用励振電極133bは、一方の振動腕部131bの面であって他方の振動腕部131b側を向く面と、一方の振動腕部131bの面であって他方の振動腕部131b側を向く面に対向する面と、他方の振動腕部131bの面であって基部131aの両主面に平行な2面と、に設けられている。
つまり、他方の屈曲振動用励振電極133bは、一方の屈曲振動用励振電極133aが設けられていない一方の振動腕部131bの対向しあう2面と、一方の屈曲振動用励振電極133aが設けられていない他方の振動腕部131bの対向しあう2面とに設けられている。
また、他方の振動腕部131に設けられている他方の屈曲振動用励振電極133bは、後述する接続電極135cによって接続されている。
【0049】
また、屈曲振動用励振電極133a,133bは、振動腕部131bに設けられているので、屈曲振動用励振電極133a,133bに交流電圧を印加したとき、電界が発生され振動腕部を所定の周波数で屈曲振動させる役割を果たしている。
【0050】
このとき、振動腕部131bが振動しているときの所定の周波数を屈曲振動周波数とする。
この屈曲振動周波数は、振動腕部131bの腕長さ及び振動腕部131bの幅に依存しているので、水晶片131の振動腕部131bの大きさによって屈曲振動用周波数を決定することができる。
振動腕部131bの幅とは、隣接する振動腕部131b側を向く面からこの面に対向する面までの長さである。
振動腕部131bの腕長さとは、基部131aに接する面からこの面に対向する面までの長さ、つまり、固定端から自由端までの長さである。
また、振動腕部131bが屈曲振動しているときの状態を屈曲振動モードとする。
【0051】
接続電極134a,134bは、図2に示すように、前述した素子搭載部材110の搭載パッドPに対向する位置に設けられている。
従って、接続電極134a,134bは、例えば、素子搭載部材110側を向く基部131aの面であって、振動腕部131bが設けられている辺に対向する基部131aの辺の縁部に沿って4つ並んで設けられている。
【0052】
所定の2つの接続電極134aは、一方の接続電極134aが、一方の厚み縦振動用励振電極132と後述する導配線パターン135aによって電気的に接続されており、他方の厚み縦振動用励振電極132と後述する導配線パターン135aによって電気的に接続されている。
【0053】
所定の他2つの接続電極134bは、一方の接続電極134bが一方の屈曲振動用励振電極133aと後述する導配線パターン135bによって電気的に接続されており、
他方の接続電極134bが他方の屈曲振動用励振電極133bと後述する導配線パターン135bによって電気的に接続されている。
【0054】
導配線パターン135a,135b,135cは、水晶片131の表面に設けられている。
【0055】
導配線パターン135aは、基部131aの主面に設けられており、厚み縦振動用励振電極132と接続電極134aとを電気的に接続させている。
【0056】
導配線パターン135bは、水晶片131の表面に設けられており、屈曲振動用励振電極133a,133bと接続電極134bとを電気的に接続させている。
【0057】
導配線パターン135cは、水晶片131の表面に設けられており、Y軸及びZ軸に平行な面であって対向しあう面に設けられている屈曲振動用励振電極133a,133bを電気的に接続させている。
【0058】
周波数調整用電極136は、図1及び図2に示すように、基板部131aの主面に平行な振動腕部131bの面であって、振動腕部131bの自由端側に設けられており、屈曲振動周波数を調整する機能を果たす。
【0059】
従って、水晶振動素子130は、所定の2つの接続電極134aと厚み縦振動用励振電極132とが導配線パターン135aによって電気的に接続されており、所定の他の2つの接続電極134bと屈曲振動用励振電極133a,133bとが導配線パターン135b,135cとによって電気的に接続されている。
このため、水晶振動素子130は、接続電極134a,134bに交流電圧が印加されると、厚み縦振動用励振電極132で挟まれている基部131aの一部が厚み縦振動しつつ、振動腕部132が屈曲振動する構成となっている。
つまり、このような水晶振動素子130は、厚み縦振動モード及び屈曲振動モードを有している。
【0060】
このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100は、例えば、図2に示すように、水晶振動素子130の接続電極134a,134bが素子搭載部材110の搭載パッドPに導電性接着剤Dによって電気的に接続されている。
また、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100は、素子搭載部材110の搭載パッドPと外部接続端子Gとが内部配線によって電気的に接続されているので、所定の外部接続端子Gと厚み縦振動用励振電極132とが電気的に接続されつつ所定の他の外部接続端子Gと屈曲振動用励振電極133a,133bとが電気的に接続された構造となっている。
従って、本発明の実施形態に係る水晶デバイス100は、外部接続端子Gに交流電圧を印加すると、厚み縦振動用励振電極133及び屈曲振動用励振電極133a,133bに交流電圧を印加することができる構造となっている。
【0061】
このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を備えている水晶振動素子130の水晶片131が基部131aと基部131aの側面から同一方向に延設されている振動腕部131bとが一体となって音叉形状に形成されており、
両主面がY軸及びZ軸に平行となっている基部131aの両主面に厚み縦振動用励振電極132が設けられ、所定の接続電極134aが厚み縦振動用励振電極132と電気的に接続になっており、振動腕部131bに屈曲振動用励振電極133a,133bが設けられ、
所定の他の接続用電極134bが屈曲振動用励振電極133a,133bと電気的に接続になっており、素子搭載部材110の搭載パッドPと外部接続端子Gとが電気的に接続されており、素子搭載部材110の搭載パッドPと水晶振動素子130の接続電極134a,134bとが電気的に接続されているので、水晶振動素子130の接続電極134a,134bに交流電圧を印加させると、厚み縦振動用励振電極132及び屈曲振動用励振電極133a,133bに交流電圧を印加することができる。
従って、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、厚み縦振動モード及び屈曲振動モードを有している水晶振動素子130を素子搭載部材110に搭載することができるので、従来の水晶デバイスと比較して搭載する水晶振動素子の数を少なくすることができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、従来の水晶デバイスと比較して、水晶振動素子130を搭載する手間と時間を減少させることができ、生産性を向上させることができる。
【0062】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、水晶振動素子130が異なる振動モードを有しているので、従来の水晶デバイスの水晶振動素子と比較して搭載するために必要な面積が小さくなっている。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、従来の水晶デバイスよりさらに小型化して素子搭載部材110の搭載面積が小さくなっても、水晶振動素子130を搭載することができる。
【0063】
また、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、水晶振動素子130が異なる振動モードを有しているので、素子搭載部材110に搭載する面積が小さくても搭載することができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、従来の水晶デバイスの水晶振動素子より大きさを大きくすることができるので、従来の水晶デバイスの水晶振動素子と比較して取り扱いが容易となり、生産性を向上させることができる。
また、このような本発明の実施形態に係る水晶デバイス100によれば、小型化された水晶振動素子を素子搭載部材に搭載する場合、従来の水晶デバイスのように隣接する水晶振動素子が接触しないように搭載する必要がないので、取り扱いが容易となり生産性が向上される。
【0064】
なお、振動腕部が屈曲振動するときに厚み縦振動に影響を防止するために、例えば、図3に示すように、基部231aの主面であって厚み縦振動用励振電極232と振動腕部231bが設けられている基部の一辺との間に干渉防止溝240を設けてもよい。
【0065】
なお、振動腕部が屈曲振動するときに厚み縦振動に影響を防止するために、例えば、図4に示すように、素子搭載部材310に干渉防止枕部340を設けてもよい。このとき、干渉防止枕部340が厚み縦振動用励振電極132と振動腕部131bが設けられている一辺との間の基部131aの面に接している。
【0066】
なお、水晶デバイスが水晶振動素子と蓋部材と素子搭載部材とからなる水晶振動子の場合について説明しているが、素子搭載部材に集積回路素子が搭載されている水晶発振器であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
100,300 水晶デバイス
110,310 素子搭載部材
G 外部接続端子
P 搭載パッド
120 蓋部材
130,230,330 水晶振動素子
131,231 水晶片
131a,231a 基部
131b,231b 振動腕部
132,233 厚み縦振動用励振電極
133a,133b,233a,233b 屈曲振動用励振電極
134a,134b,234a,234b 接続電極
135a,135b,135c,235a,235b,235c 導配線パターン
136,236 周波数調整用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子が設けられている水晶振動素子と、前記接続端子と電気的に接続されている搭載パッドが設けられ前記水晶振動素子を搭載する素子搭載部材と、前記蓋部材と接合されて前記素子搭載部材を気密封止する蓋部材とを備え、前記水晶振動素子が搭載されている前記素子搭載部材の面に対向する前記素子搭載部材の外部接続端子が設けられ、前記外部接続端子と前記搭載パッドとが電気的に接続されている水晶デバイスであって、
互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、主面が前記Y軸及び前記Z軸に平行となっている平板状の基部の側面より同一方向に延びる2つの平板形状の振動腕部が一体となって設けられ音叉形状となっている水晶片と、
前記基部の両主面に設けられている厚み縦振動用励振電極と、
前記振動腕部の面であって前記基部の側面に接している面及び前記基部の側面に接している面に対向する面に設けられている屈曲振動用励振電極と、
前記素子搭載部材側を向く前記基部の面であって前記振動腕部が設けられている辺に対向する前記基部の辺の縁部に沿って設けられており、前記厚み縦振動用励振電極が所定の接続電極と電気的に接続され、前記屈曲振動用励振電極が所定の他の接続電極と電気的に接続されている接続用電極と、
を備えている水晶振動素子を用いることを
特徴とする水晶デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−156941(P2012−156941A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16459(P2011−16459)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】