説明

水没対応車両装置

【課題】検出精度の低下を抑えながら車両の水没を迅速に検出することを可能にする。
【解決手段】互いに離れて配設されるとともに一方が接地されている一対の露出電極10・11により構成されているとともに、露出電極10・11が筐体20外部に露出されている水没センサ9と、所定の静電容量を有し、水没センサ9の非接地側の露出電極10と直列に接続されるとともに、非接地側の露出電極10と接続されていない端子側で直流電圧の印加を受けることが可能となっているコンデンサ12とを備える。そして、コンデンサ12の静電容量と露出電極10・11間の静電容量との比に応じたコンデンサ12と水没センサ9との間の電位が、露出電極10・11間の静電容量の増加により変化することをもとにして水没を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水没対応車両装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の水没時において、水没センサによって車両の水没を検出し、水没時に応じた動作をする車両装置(以下、水没対応車両装置)が知られている。例えば、特許文献1には、一対の水没検出電極間の電気抵抗の減少により水没を検出する水没センサの検出結果に基づき、窓昇降用モータを制御する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、一対の導体パターン電極間の電気抵抗の減少を検出することにより水没を検出する水没センサの検出結果に基づき、パワーウインドウを必要に応じて開閉する技術が開示されている。特許文献2に開示の技術では、水没センサの一対の導体パターン電極は、プリント基板の一主面に露出してパターニングされた導体パターン電極と、プリント基板他主面に露出してパターニングされた導体パターン電極とからなっている。そして、水没センサが実装されたプリント基板は、開口部が設けられたケース内に収容されている。
【0004】
特許文献2において、開口部が設けられたケース内に水没センサが実装されたプリント基板を収容する技術が開示されているように、従来は水没センサをECU等の筐体内に収容していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3703084号
【特許文献2】特許第3580499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、水没時の水没センサの電極表面が劣化し、検出精度が低下してしまうという問題点があった。詳しくは、以下の通りである。従来の技術では、水没センサは、一対の電極間の電気抵抗の変化を検出する構成となっているため、水没時において電極間に水が浸入してきた場合、その水を介して電極間に比較的良好に電流が流れる。水を介して電極間に良好に電流が流れると、電気分解によって電極表面に絶縁物が堆積しやすく、電極表面が劣化して水没センサの検出精度が次第に低下してしまう。
【0007】
また、従来の技術では、水没センサをECU等の筐体内に収容しているため、水没時の水没の検出を迅速に行うことができず、水没時に応じた動作を車両装置が迅速に行うことができないという問題点があった。詳しくは、以下の通りである。
【0008】
水没センサがほぼ密閉されていて隙間が殆どない筐体内に収容されている場合には、車両とともにこの筐体が水没してからも、筐体内部に水が入り込むまでに時間がかかる。従って、車両の水没後に、水没センサの電極間に水が浸入することで水没が検出され、水没時に応じた動作がパワーウインドウ装置等の車両装置で行われるまでに時間がかかってしまう。また、特許文献2に開示の技術のように筐体に開口部が設けられていた場合であっても、開口部の大きさによっては開口部から筐体内に水が入りこんで水没センサの電極間に水が浸入するまでには時間がかかる。よって、この場合でも、車両の水没後に水没が検出され、水没時に応じた動作がパワーウインドウ装置等の車両装置で行われるまでに時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、検出精度の低下を抑えながら車両の水没を迅速に検出することを可能にする水没対応車両装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の水没対応車両装置は、車両に搭載され、車両の水没を検出する水没検出部と、水没検出部で水没を検出したことに応じた制御を行う制御部と、水没検出部の少なくとも一部及び制御部が実装された配線基板とを備え、配線基板が筐体内に収容されている。また、水没検出部は、互いに対向して配設されるとともに一方が接地されている一対の電極により構成されているとともに、両電極が筐体外部に露出されている水没センサと、所定の静電容量を有し、水没センサの電極のうちの接地側の電極と直列に接続されるとともに、接地側の電極と接続されていない端子側で直流電圧の印加を受けることが可能となっているコンデンサとを含んでおり、コンデンサの静電容量と両電極間の静電容量との比に応じたコンデンサと水没センサとの間の電位が、両電極間の静電容量の増加により変化することをもとにして水没を検出する。
【0011】
これによれば、水没センサの一対の電極のうちの一方が接地され、他方が直流電圧の印加を受けることが可能となっているコンデンサと直列に接続されているとともに、互いに離れて配設されているため、水没センサを構成する一対の電極はコンデンサとして機能することになる。また、この一対の電極間の静電容量は、電極間に水が浸入していない空気のみの場合には、空気の比誘電率がほぼ1であるため、比較的小さな値となる。一方、電極間に水が浸入した場合には、水の比誘電率が約80であるため、より大きな値となる。よって、請求項1の構成におけるコンデンサと水没センサとの間の電位は、水没センサの両電極間に水が浸入しているかいないかに応じて変化することになる。従って、請求項1の構成によれば、コンデンサと水没センサとの間の電位が、両電極間の静電容量の増加により変化することをもとにして、車両の水没を精度良く検出することができる。
【0012】
また、請求項1の構成によれば、水没センサの両電極はコンデンサとして機能し、水没センサと直列に接続されたコンデンサは直流電圧の印加を受けることがあるのみであるので、水没センサの両電極には電流が僅かしか流れない。請求項1の構成によれば、水没センサの両電極には電流が僅かしか流れないので、水没時に両電極間に水が浸入した場合でも電気分解によって電極表面に絶縁物が堆積することが殆どない。従って、水没時にも電極表面が劣化しにくく、水没センサの検出精度が低下しにくい。
【0013】
さらに、請求項1の構成によれば、水没センサの両電極が筐体外部に露出されているので、車両とともに筐体が水没した場合に、両電極間に迅速に水が浸入しやすく、水没検出部での水没の検出も迅速に行うことができる。その結果、検出精度の低下を抑えながら車両の水没を迅速に検出することが可能になる。
【0014】
水没センサの両電極を筐体外部に露出させる場合には、請求項2のように、両電極が筐体外部に突出することで筐体外部に露出させる構成とすればよい。これによれば、水没センサの両電極が筐体外部に突出しているので、車両とともに筐体が水没した場合に、両電極間により迅速に水が浸入しやすく、水没検出部での水没の検出もより迅速に行うことができる。
【0015】
また、水没センサの両電極を筐体外部に突出させる場合には、請求項3のように、両電極が、筐体外部にまで伸びた1対の絶縁被覆導線を介して配線基板上の配線に電気的に接続されることで筐体外部に設けられているとともに、車両の運転席のシート下面よりも低い位置に設けられている構成とすればよい。これによれば、筐体自体は運転席のシート下面よりも高い位置に搭載しながら、水没センサの両電極を運転席のシート下面よりも低い位置に設けることができる。よって、車両の水没時に筐体が水没するよりも先に水没検出部で水没の検出を迅速に行うことができる。また、筐体が水没するよりも先に水没の検出を行うことが可能になるので、水没検出部で水没を検出したときには、制御部は未だ水の浸入を受けていないこととなり、制御部の正常な作動を確実なものとすることができる。
【0016】
さらに、水没センサの両電極を筐体外部に露出させる場合には、請求項4のように、両電極は、接地側の電極の全体が筐体外部に設けられている一方、非接地側の電極は筐体内部に設けられており、非接地側の電極は、筐体の面のうち、接地側の電極と非接地側の電極とに挟まれた面に設けられた開口部によって筐体外部に露出されている構成としてもよい。これによれば、水没センサの両電極の一方が筐体外部にあり、もう一方は筐体の開口部によって露出しているので、車両とともに筐体が水没した場合に、両電極間により迅速に水が浸入しやすく、水没検出部での水没の検出もより迅速に行うことができる。
【0017】
また、請求項4のようにする場合には、請求項5のように、筐体を車両の車体に取り付けるための金属製の取り付け部品を接地側の電極として用いる構成としてもよいし、請求項6のように、車両の車体の金属製の部分を接地側の電極として用いる構成としてもよい。
【0018】
請求項7の構成においては、車両のパワーウインドウを昇降するための昇降用モータと、車両のパワーウインドウの上昇用及び降下用の操作スイッチとを備え、制御部は、水没検出部によって水没の検出が行われていない場合には、操作スイッチの信号に基づいて昇降用モータを昇降させる制御を行うとともに、水没検出部によって水没の検出が行われた場合には、昇降用モータによるパワーウインドウの上昇を禁止する一方、パワーウインドウの降下は許可する制御を行う。これによれば、非水没時には、上昇用及び降下用の操作スイッチの操作に応じてパワーウインドウの昇降を行うことができる。一方、水没時には、乗員が誤って自席の窓上昇用の操作スイッチを操作してもパワーウインドウは上昇することがなく、乗員が窓降下用の操作スイッチにより確実にパワーウインドウの下降を確保することで、乗員が車室内へ閉じ込められるのを防止することができる。
【0019】
請求項8の構成においては、車両に搭載されたエンジンの始動を行うスタータモータと、スタータモータへの車載バッテリからの電源供給のオンオフの切り替えを行う電源供給切り替え部とを備え、制御部は、水没検出部によって水没の検出が行われた場合には、前記電源供給切り替え部による電源供給のオンへの切り替えを禁止する制御を行う。これによれば、水没時には、電源供給切り替え部による電源供給のオンへの切り替えを禁止するので、水没時におけるスタータモータの作動を防止することができる。よって、水没時に、水没による配線間の電流リークによるスタータモータの誤作動を防止することで、スタータモータの誤作動による車載バッテリの電力消費を防ぐことができ、他の車載電気装置の作動に足りる電力を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1における水没センサ付きパワーウインドウ装置の回路図である。
【図2】(a)は、プリント基板1を収容しているECUの筐体20の側面図であり、(b)は、図2(a)のC矢視図である。
【図3】(a)は、図2(a)のA−A断面図であり、(b)は図3(a)のB矢視図である。
【図4】(a)は、ECUのコネクタ部21のうちのハウジング21aの内部に露出電極10・11の突出部分も配置する構成の一例を示す図であり、(b)は、コネクタ部21の嵌合状態の一例を示す模式図である。
【図5】(a)及び(b)は、実施形態2の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。
【図6】(a)及び(b)は、実施形態3の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。
【図7】実施形態4の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。
【図8】実施形態5における水没センサ付きスタータ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施形態1)
まず、実施形態1における水没センサ付きパワーウインドウ装置について、図1に示す回路図を参照して説明を行う。図1は、実施形態1における水没センサ付きパワーウインドウ装置の回路図である。なお、水没センサ付きパワーウインドウ装置が請求項の水没対応車両装置に相当する。
【0023】
プリント基板1には、切り替えリレー2・3、リレー駆動用トランジスタ4・5、窓上昇禁止用トランジスタ6、フリーホイリングダイオード7・8、水没センサ9、コンデンサ12、コンパレータ13、抵抗素子r1〜r5が実装されている。なお、プリント基板1が請求項の配線基板に相当する。また、本実施形態では、プリント基板1がECUの筐体内に収容されている場合を例に挙げて説明を行う。
【0024】
窓昇降用モータ14は直流モータであって、その両端は切り替えリレー2・3の共通接点に接続され、切り替えリレー2・3のそれぞれ2つの切り替え接点は不図示の車載バッテリの両端に接続されている。切り替えリレー2・3は非通電時に不図示のスプリングにより接地側切り替え接点に倒れている。
【0025】
窓降下用の切り替えリレー2は、リレーコイル17を通じて窓降下用のリレー駆動用トランジスタ4により通電制御され、リレー駆動用トランジスタ4は抵抗素子r1及び窓降下用の操作スイッチ15を通じて車載バッテリの高位端に接続されている。
【0026】
窓上昇用の切り替えリレー3は、リレーコイル18を通じて窓上昇用のリレー駆動用トランジスタ5により通電制御され、リレー駆動用トランジスタ5は抵抗素子r5及び窓上昇用の操作スイッチ16を通じて車載バッテリの高位端に接続されている。
【0027】
水没センサ9は、プリント基板1上に所定間隔を隔てて配置された2つの露出電極10・11からなり、露出電極10はコンデンサ12を通じて車載バッテリの高位端に接続され、露出電極11は接地されている。よって、露出電極10が+電極、露出電極11が−電極に相当する。また、露出電極10が請求項の非接地側の電極、露出電極11が請求項の接地側の電極に相当する。
【0028】
ここで、水没センサ9の構成について図2(a)〜図3(b)を用いて説明を行う。図2(a)は、プリント基板1を収容しているECUの筐体20の側面図である。図2(b)は、図2(a)のC矢視図である。なお、取り付け方向は図2(a)中のCの矢印で示している。図3(a)は、図2(a)のA−A断面図である。図3(b)は図3(a)のB矢視図である。
【0029】
水没センサ9が実装されたプリント基板1は、図2(a)及び図2(b)に示すような矩形の箱形状をしたECUの筐体20に収容されるが、水没センサ9(詳しくは、露出電極10・11)は図2(a)に示すように、筐体20の外部に露出して設けられる。より詳しくは、筐体20のうちのECUのコネクタ部21が設けられた面と同じ面から、下方向に突出するように設けられる。
【0030】
水没センサ9の非接地側の露出電極10は、矩形状をした金属板からなっており、図3(a)及び図3(b)に示すように、プリント基板1に実装される側の端部がL字状に折り曲げられている。水没センサ9の接地側の露出電極11は、図3(a)及び図3(b)に示すように、方形の筒状をした中空の金属枠からなっており、金属製の脚部によってプリント基板1に実装されている。
【0031】
そして、図3(a)及び図3(b)に示すように、露出電極10にあたる金属板が露出電極11にあたる金属枠の中空の部分に差し込まれている。また、露出電極10にあたる金属板と露出電極11にあたる金属枠とは、お互いが接触しないように間隔をもって配設されている。露出電極10にあたる金属板と露出電極11にあたる金属枠との間の空間には、非水没時には空気が満たされているものとする。
【0032】
水没センサ9の露出電極10・11は、プリント基板1に実装されていることにより一部は筐体20の内部に収容されているものの、図3(a)の破線の円で示したように、他の一部は筐体20の外部に突出することで、筐体20の外部に露出している。
【0033】
なお、水没センサ9の露出電極10・11が実装されている領域と、他の実装領域とが仕切板等で区画分離されており、水没時に当該他の実装領域に水が浸入しにくい構造となっている構成としてもよい。これによれば、水没時に当該他の実装領域に水が浸入しにくくなり、当該他の実装領域における配線間の電流リークによる誤作動を生じにくくすることができる。
【0034】
図1に戻って、コンデンサ12は、所定の静電容量を持ったコンデンサである。コンデンサ12の静電容量の設定値については後に詳述する。また、コンデンサ12は、水没センサ9の非接地側の露出電極10と直列に接続されるとともに、車載バッテリの高位端に接続される。
【0035】
以上のように、水没センサ9の露出電極10・11のうちの一方が接地され、他方が車載バッテリの高位端に接続されているコンデンサ12と直列に接続されているとともに、互いに離れて配設されているため、水没センサ9を構成する露出電極10・11はコンデンサとして機能することになる。
【0036】
また、露出電極10・11間の静電容量は、露出電極10・11間に水が浸入していない空気のみの場合には、空気の比誘電率がほぼ1であるため、比較的小さな値となる。一方、露出電極10・11間に水が浸入した場合には、水の比誘電率が約80であるため、より大きな値となる。なお、水が純水(ほぼ80)、河川の水、海水(ほぼ81)である場合で比誘電率は異なるものの、どの場合でもおおよそ80となる。よって、コンデンサ12と水没センサ9との間の電位は、水没センサ9の露出電極10・11間に水が浸入しているかいないかに応じて変化することになる。詳しくは、水没センサ9の露出電極10・11間に水が浸入している場合に、より高い電位となる。
【0037】
コンパレータ13は、2つの入力(+入力と−入力)が備わっており、それぞれの入力にアナログ電圧を与えると、入力された電圧のどちらが大きいかによって出力の値が切り替わるようになっている。詳しくは、+入力が−入力よりも高い電位にあるとき高電圧Hiが出力され、+入力が−入力以下の電位であるときには低電圧Loが出力される。
【0038】
コンパレータ13の+入力には、コンデンサ12の静電容量と水没センサ9の露出電極10・11間の静電容量との比に応じて生じるコンデンサ12と水没センサ9との間の電位(つまり、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位)が与えられる。また、コンパレータ13の−入力には、抵抗素子r2と抵抗素子r4との抵抗分割で生じる電位が基準電位として与えられる。
【0039】
よって、コンパレータ13では、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が上記基準電位以下であるときにはLoを出力し、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が上記基準電位を上回ったときにはHiを出力する。なお、水没センサ9、コンデンサ12、コンパレータ13からなる構成が請求項の水没検出部に相当する。
【0040】
ここで、コンデンサ12の静電容量、及び抵抗素子r2・r4の抵抗値は、以下の関係を満たす値を設定するものとする。詳しくは、露出電極10・11間に水が浸入していない空気のみの場合の水没センサ9とコンデンサ12との容量分割で生じる電位が抵抗素子r2と抵抗素子r4との抵抗分割で生じる電位以下となる一方、露出電極10・11間に水が浸入している場合の水没センサ9とコンデンサ12との容量分割で生じる電位が抵抗素子r2と抵抗素子r4との抵抗分割で生じる電位を上回るような関係を満たすように設定するものとする。
【0041】
続いて、非水没時及び水没時の動作説明を行う。非水没時及び水没時のいずれにおいても、窓降下用の操作スイッチ15をオンすると、リレー駆動用トランジスタ4がオンされて窓降下用の切り替えリレー2が切り替えられる。その結果、窓昇降用モータ14は窓降下方向へ通電されて、窓(つまり、パワーウインドウ)が降下する。よって、窓昇降用モータ14が請求項の昇降用モータに相当し、窓降下用の操作スイッチ15が請求項のパワーウインドウの降下用の操作スイッチに相当する。
【0042】
非水没時に窓上昇用の操作スイッチ16をオンすると、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が上記基準電位以下となるので、コンパレータ13からはLoが出力される。コンパレータ13からLoが出力される場合には、窓上昇禁止用トランジスタ6はオフとなる。また、窓上昇禁止用トランジスタ6がオフとなっている場合には、窓上昇用のリレー駆動用トランジスタ5がオンし、リレーコイル18に電流が流れ、窓上昇用の切り替えリレー3が切り替えられる。その結果、窓昇降用モータ14は窓上昇方向へ通電されて、窓が上昇する。よって、窓上昇用の操作スイッチ16が請求項のパワーウインドウの上昇用の操作スイッチに相当する。
【0043】
一方、水没時(つまり、水没センサ9の露出電極10・11間に水が浸入した場合)に、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が上記基準電位を上回るので、コンパレータ13からはHiが出力される。コンパレータ13からHiが出力される場合には、窓上昇禁止用トランジスタ6はオンとなる。窓上昇禁止用トランジスタ6がオンされている場合には、電流がGNDに流れるため、窓上昇用の操作スイッチ16をオンしても、窓上昇用のリレー駆動用トランジスタ5がオンとならない。従って、乗員が誤って、自席の窓上昇用の操作スイッチ16を操作しても窓上昇用の切り替えリレー3が電源側の切り替え接点へ倒れることがなく、乗員が窓降下操作スイッチ15により確実にパワーウインドウを降下できる。よって、窓上昇禁止用トランジスタ6が請求項の制御部に相当する。
【0044】
以上の構成によれば、以上の構成によれば、コンデンサ12と水没センサ9との間の電位が、露出電極10・11間の静電容量の増加により変化することをもとにして、車両の水没を精度良く検出することができる。
【0045】
また、以上の構成によれば、水没センサ9の露出電極10・11はコンデンサとして機能し、水没センサ9と直列に接続されたコンデンサ12は直流電圧の印加を受けることがあるのみであるので、水没センサ9の露出電極10・11には電流が僅かしか流れない。このように、水没センサ9の露出電極10・11には電流が僅かしか流れないので、水没時に露出電極10・11間に水が浸入した場合でも電気分解によって電極表面に絶縁物が堆積することが殆どない。従って、水没時にも電極表面が劣化しにくく、水没センサ9の検出精度が低下しにくい。
【0046】
さらに、以上の構成によれば、水没センサ9の露出電極10・11が筐体20の外部に突出して露出されているので、車両とともに筐体20が水没した場合に、露出電極10・11間により迅速に水が浸入しやすく、水没の検出もより迅速に行うことができる。その結果、検出精度の低下を抑えながら車両の水没をより迅速に検出することが可能になる。
【0047】
また、以上の構成によれば、非水没時には、窓降下用の操作スイッチ15及び窓上昇用の操作スイッチ16の操作に応じてパワーウインドウの昇降を行うことができる。一方、水没時には、乗員が誤って自席の窓上昇用の操作スイッチを操作してもパワーウインドウは上昇することなく、乗員が窓降下用の操作スイッチにより確実にパワーウインドウの下降を確保することで、乗員が車室内へ閉じ込められるのを防止することができる。
【0048】
他にも、容量分割で生じる電位の変化をもとに水没を検出する構成とした利点としては以下のようなものがある。従来のように、コンデンサ12の代わり抵抗素子を用いることで、水没センサ9を抵抗として機能させる構成とした場合には、以下のような問題点がある。詳しくは、水の種類が純水、河川の水、海水といったように異なる場合には、抵抗値が大きく異なるので、抵抗分割で生じる電位は水の種類によって大きく異なってしまう。よって、純水、河川の水、海水といった異なる種類の水の全てについて水没の検出を行うことが可能なように抵抗素子の抵抗値を設定することは出来ず、純水、河川の水、海水といった異なる種類の水の全てについて水没の検出を行うことを可能にすることができなかった。
【0049】
これに対して、以上の構成によれば、純水、河川の水、海水といったように水の種類が異なった場合でも、純水、河川の水、海水といった異なる種類の水の全てについて水没の検出を行うことが可能なようにコンデンサ12の静電容量を設定することが可能となっている。これは、純水も河川の水も海水も比誘電率はほぼ80であり、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位は、コンデンサ12の静電容量と水没センサ9の静電容量との比に応じているため、水の種類が異なっても静電容量がほぼ同じになるためである。従って、以上の構成によれば、純水、河川の水、海水といった異なる種類の水の全てについて水没の検出を行うことが可能になるという利点も生じる。
【0050】
本実施形態においては、露出電極10として金属板を用いる一方、露出電極11として金属枠を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。露出電極10と露出電極11とは、コンデンサとしての機能を果たすようにお互いに離れて配設される2枚の金属であればよく、例えば露出電極10と露出電極11との両方に金属板を用いる構成としてもよい。
【0051】
本実施形態においては、ECUのコネクタ部21と水没センサ9の筐体20外部への突出部分(つまり、露出電極10・11の突出部分)とを別々に設ける構成(図2(a)及び図2(b)参照)を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図4(a)に示すように、ECUのコネクタ部21のうちの、コネクタ本体の接続端子を収容するためのハウジング21aの内部に露出電極10・11の突出部分も配置し、ハウジング21aによって上記突出部分の周囲を囲う構成としてもよい。露出電極10・11の突出方向については当然開口されているものとする。なお、図4(a)は、ECUのコネクタ部21のうちのハウジング21aの内部に露出電極10・11の突出部分も配置する構成の一例を示す図である。
【0052】
この場合には、コネクタ部21の相手方のコネクタのハウジング30がコネクタ部21の位置に誘導される一方、露出電極10・11の突出部分の位置には嵌合できないようにするしきり21bをハウジング21aに設けることが好ましい(図4(a)及び図4(b)参照)。これによれば、相手方のコネクタのハウジング30をコネクタの本体側にしか嵌合できないようにして、ハウジング30を誤って露出電極10・11の配置されている側に嵌合させようとして露出電極10・11を損傷させてしまうことを防止することができる。なお、図4(b)は、コネクタ部21の嵌合状態を側面から見た場合の一例を示す模式図である。
【0053】
また、図4(a)及び図4(b)に示すように、露出電極10・11の周囲を囲むハウジング21aにスリット21cを設ける構成としてもよい。これによれば、筐体20の水没時に露出電極10・11間に水がさらに浸入しやすくなるので、水没の検出をさらに迅速に行うことが可能になる。
【0054】
(実施形態2)
前述の実施形態1では、接地側の露出電極11をプリント基板1に実装する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、接地側の露出電極11をプリント基板1に実装しない構成としてもよい。以下では、この構成について図5(a)及び図5(b)を参照して説明を行う。図5(a)及び図5(b)は、実施形態2の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。なお、図5(a)が筐体20の厚さ方向の側面から見た図であって、図5(b)が筐体20の長手方向の側面から見た図である。説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合もあるものとする。
【0055】
実施形態2の水没センサ付きパワーウインドウ装置は、非接地側の露出電極10(+電極)がプリント基板1上のパターン電極である点と接地側の露出電極11(−電極)がプリント基板1に実装されていない点とを除けば、実施形態1の水没センサ付きパワーウインドウ装置と同様の構成である。
【0056】
実施形態2でも、非接地側の露出電極10はコンデンサ12を通じて車載バッテリの高位端に接続されている。また、接地側の露出電極11は、ECUの筐体20を車両のボディ(つまり、車体)に取り付けるためのブラケット40で構成されている。また、ブラケット40は、車両のGNDに取り付けられることで接地されている。よって、このブラケット40が請求項の金属製の取り付け部品に相当する。
【0057】
ブラケット40は、図5(a)及び図5(b)に示すように、筐体20の厚さ方向の側面のうち、プリント基板1の露出電極10が設けられた面と同じ側の面の一部を覆うようにして筐体20に取り付けられている。また、ブラケット40がプリント基板1の露出電極10から離れて対向するように取り付けられているとともに、筐体20の面のうちの露出電極10とブラケット40との間の領域には開口部20aが設けられている。このように、露出電極10とブラケット40(つまり、露出電極11)とが空間をもって対向することでコンデンサとして機能することになり、本発明の水没センサ9として機能する。
【0058】
以上の構成によれば、水没センサ9の露出電極11が筐体20の外部にあり、もう一方の露出電極10は筐体20の開口部20aによって露出しているので、車両とともに筐体20が水没した場合に、露出電極10・11間により迅速に水が浸入しやすく、水没の検出もより迅速に行うことができる。なお、露出とは、筐体20の外部から開口部20aを通して露出電極10を視認することができる状態にあることを言う。
【0059】
(実施形態3)
また、接地側の露出電極11をプリント基板1に実装しない構成として、以下のような構成も可能である。以下では、この構成について図6(a)及び図6(b)を参照して説明を行う。図6(a)及び図6(b)は、実施形態3の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。なお、図6(a)が筐体20の厚さ方向の側面から見た図であって、図6(b)が筐体20の長手方向の側面から見た断面図である。説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合もあるものとする。
【0060】
実施形態3の水没センサ付きパワーウインドウ装置においても、非接地側の露出電極10(+電極)がプリント基板1上のパターン電極である点と接地側の露出電極11(−電極)がプリント基板1に実装されていない点とを除けば、実施形態1の水没センサ付きパワーウインドウ装置と同様の構成である。
【0061】
実施形態3でも、非接地側の露出電極10はコンデンサ12を通じて車載バッテリの高位端に接続されている。また、接地側の露出電極11は、車両のボディ(つまり、車体)の金属製の部分(以下、金属製部分)50で構成されている。また、この金属製部分50は接地されているものとする。よって、この金属製部分50が請求項の車体の金属製の部分に相当する。
【0062】
図6(a)に示すように、筐体20の厚さ方向の側面のうち、プリント基板1の露出電極10が設けられた面と同じ側の面の、露出電極10と対向する領域には、開口部20aが設けられている。また、筐体20が車体に取り付けられる場合には、図6(b)に示すように、金属製部分50と筐体20の開口部20aとが向かい合い、金属製部分50と露出電極10とが離れて対向するように取り付けられる。このように、露出電極10と金属製部分50(つまり、露出電極11)とが空間をもって対向することでコンデンサとして機能することになり、本発明の水没センサ9として機能する。
【0063】
以上の構成によっても、水没センサ9の露出電極11が筐体20の外部にあり、もう一方の露出電極10は筐体20の開口部20aによって露出しているので、車両とともに筐体20が水没した場合に、露出電極10・11間により迅速に水が浸入しやすく、水没の検出もより迅速に行うことができる。
【0064】
(実施形態4)
また、接地側の露出電極11と非接地側の露出電極10とをプリント基板1に直接に実装しない構成とすることも可能である。以下では、この構成について図7を参照して説明を行う。図7は、実施形態4の水没センサ付きパワーウインドウ装置の一例を説明するための模式図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合もあるものとする。
【0065】
実施形態4の水没センサ付きパワーウインドウ装置は、非接地側の露出電極10(+電極)と接地側の露出電極11(−電極)とがプリント基板1に直接に実装されていない点を除けば、実施形態1の水没センサ付きパワーウインドウ装置と同様の構成である。
【0066】
実施形態4では、接地側の露出電極11は、筐体20外部にまで伸びたワイヤ60aを介して、プリント基板1のGNDに接地されている。また、非接地側の露出電極10は、筐体20外部にまで伸びたワイヤ60bを介して、コンデンサ12と直列に接続されることで、車載バッテリの高位端に接続されている。ワイヤ60a・60bは、絶縁被覆導線であるものとする。
【0067】
実施形態4の水没センサ9の露出電極10・11は、前述したような筐体20外部にまで伸びた一対のワイヤ60a・60bを介してプリント基板1上の配線に電気的に接続されることで、図7に示すように筐体20の外部に設けられている。また、例えば樹脂製のハウジング61によって、露出電極10・11の周囲を囲って保護するとともに、露出電極10・11同士が離れて対向するように固定することでコンデンサとして機能できるようにする。なお、露出電極10・11の突出方向については当然開口されているものとする。
【0068】
さらに、実施形態4の水没センサ付きパワーウインドウ装置では、筐体20は例えば車両の運転席のシート下面よりも高い位置に取り付けられる一方、水没センサ9は車両の運転席のシート下面よりも低い位置に配置されるものとする。これによれば、筐体20自体は運転席のシート下面よりも高い位置に搭載しながら、水没センサ9の露出電極10・11を運転席のシート下面よりも低い位置に設けるので、車両の水没時に筐体20が水没するよりも先に水没の検出を迅速に行うことが可能になる。また、筐体20が水没するよりも先に水没の検出を行うことが可能になるので、水没を検出したときには、筐体20内部の配線は未だ水の浸入を受けていないこととなり、プリント基板1に実装された電子部品の正常な作動を確実なものとすることができる。
【0069】
(実施形態5)
前述の実施形態1〜4では、本発明をパワーウインドウ装置に適用した構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、他の車両装置に適用する構成としてもよく、スタータ装置に適用することも可能である。以下では、この構成について図8を参照して説明を行う。図8は、実施形態5における水没センサ付きスタータ装置の回路図である。なお、水没センサ付きスタータ装置が請求項の水没対応車両装置に相当する。また、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合もあるものとする。
【0070】
プリント基板1には、水没センサ9、コンデンサ12、コンパレータ13、リレー駆動用トランジスタ71、スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72、抵抗素子r2〜r4、抵抗素子r6が実装されている。また、本実施形態でも、プリント基板1がECUの筐体内に収容されている場合を例に挙げて説明を行う。
【0071】
スタータモータ74は直流モータであって、車両に搭載されたエンジンの始動を行うためのものである。スタータモータ74の一端が車載バッテリの高位端に接続されている一方、他端はスタータモータ駆動用の切り替えリレー73の共通接点に接続されている。切り替えリレー73は非通電時に不図示のスプリングにより接地側切り替え接点に倒れている。
【0072】
スタータモータ駆動用の切り替えリレー73のコイルは、抵抗素子r6を通じてスタータモータ駆動用のリレー駆動用トランジスタ71により通電制御され、リレー駆動用トランジスタ71は車載バッテリの高位端に接続されている。
【0073】
スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72は、コンパレータ13から高電圧Hiが与えられた場合にオン、低電圧Loが与えられた場合にオフとなる。スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72がオフの場合には、リレー駆動用トランジスタ71からの電流は切り替えリレー73のコイルに流れる。一方、スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72がオンの場合には、リレー駆動用トランジスタ71からの電流をGNDに流すことで、切り替えリレー73のコイルに電流が流れないようにする。
【0074】
水没センサ9、コンデンサ12、コンパレータ13の構成は、水没センサ付きパワーウインドウ装置の説明で述べたのと同様であるものとする。
【0075】
続いて、非水没時及び水没時の動作説明を行う。非水没時には、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が基準電位以下となるので、コンパレータ13からはLoが出力され、スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72はオフとなる。よって、スタータリレー駆動信号がリレー駆動用トランジスタ71に与えられると、切り替えリレー73のコイルに電流が流れて切り替えリレー73が切り替えられる。その結果、スタータモータ74は通電されて駆動を開始する。なお、基準電位は、実施形態1で説明したのと同様に、抵抗素子r2と抵抗素子r4との抵抗分割で生じる電位であるものとする。
【0076】
一方、水没センサ9の露出電極10・11が水没し、露出電極10・11間に水が浸入した場合には、コンデンサ12と水没センサ9との容量分割で生じる電位が上記基準電位を上回るので、コンパレータ13からはHiが出力され、スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72はオンとなる。スタータモータ駆動禁止用トランジスタ72がオンされている場合には、電流がGNDに流れるため、切り替えリレー73のコイルに電流が流れない。よって、切り替えリレー73が切り替えられず、スタータモータ74は駆動を開始しない。よって、窓上昇禁止用トランジスタ6が請求項の制御部に相当し、スタータモータ駆動用の切り替えリレー73が請求項の電源供給切り替え部に相当する。
【0077】
以上の構成によれば、実施形態1と同様に、コンデンサ12と水没センサ9との間の電位が露出電極10・11間の静電容量の増加により変化することをもとにして、車両の水没を精度良く検出することができる。また、水没センサ9の露出電極10・11には電流が僅かしか流れないので、水没時に露出電極10・11間に水が浸入した場合でも電気分解によって電極表面に絶縁物が堆積することが殆どない。従って、水没時にも電極表面が劣化しにくく、水没センサ9の検出精度が低下しにくい。さらに、水没センサ9の露出電極10・11が筐体20の外部に突出して露出されているので、車両とともに筐体20が水没した場合に、露出電極10・11間により迅速に水が浸入しやすく、水没の検出もより迅速に行うことができる。その結果、検出精度の低下を抑えながら車両の水没をより迅速に検出することが可能になる。
【0078】
また、以上の構成によれば、水没時には、切り替えリレー73によるスタータモータ74への電源供給のオンへの切り替えを禁止するので、水没時におけるスタータモータ74の作動を防止することができる。よって、水没時に、水没による配線間の電流リークによるスタータモータ74の誤作動を防止することで、スタータモータ74の誤作動による車載バッテリの電力消費を防ぐことができ、他の車載電気装置の作動に足りる電力を確保することが可能になる。
【0079】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 プリント基板(配線基板)、2 窓降下用の切り替えリレー、3 窓上昇用の切り替えリレー、4 窓降下用のリレー駆動用トランジスタ、5 窓上昇用のリレー駆動用トランジスタ、6 窓上昇禁止用トランジスタ(制御部)、7・8 フリーホイリングダイオード、9 水没センサ(水没検出部)、10 露出電極(非接地側の電極)、11 露出電極(接地側の電極)、12 コンデンサ(水没検出部)、13 コンパレータ(水没検出部)、14 窓昇降用モータ(昇降用モータ)、15 窓降下用の操作スイッチ(パワーウインドウの降下用の操作スイッチ)、16 窓上昇用の操作スイッチ(パワーウインドウの上昇用の操作スイッチ)、17・18 リレーコイル、20 筐体、20a 開口部、21 コネクタ部、21a ハウジング、21b しきり、21c スリット、40 ブラケット(金属製の取り付け部品)、50 金属製部分(車体の金属製の部分)、60a・60b ワイヤ(絶縁被覆導線)、71 スタータモータ駆動用のリレー駆動用トランジスタ、72 スタータモータ駆動禁止用トランジスタ(制御部)、73 スタータモータ駆動用の切り替えリレー(電源供給切り替え部)、74 スタータモータ、r1〜r6 抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
前記車両の水没を検出する水没検出部と、
前記水没検出部で水没を検出したことに応じた制御を行う制御部と、
前記水没検出部の少なくとも一部及び前記制御部が実装された配線基板とを備え、
前記配線基板が筐体内に収容されている水没対応車両装置であって、
前記水没検出部は、
互いに対向して配設されるとともに一方が接地されている一対の電極により構成されているとともに、両電極が前記筐体外部に露出されている水没センサと、
所定の静電容量を有し、前記水没センサの電極のうちの非接地側の電極と直列に接続されるとともに、非接地側の電極と接続されていない端子側で直流電圧の印加を受けることが可能となっているコンデンサとを含んでおり、
前記コンデンサの静電容量と前記両電極間の静電容量との比に応じた前記コンデンサと前記水没センサとの間の電位が、前記両電極間の静電容量の増加により変化することをもとにして水没を検出することを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記両電極は、前記筐体外部に突出することで前記筐体外部に露出されていることを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記両電極は、前記筐体外部にまで伸びた1対の絶縁被覆導線を介して前記配線基板上の配線に電気的に接続されることで、前記筐体外部に設けられているとともに、前記車両の運転席のシート下面よりも低い位置に設けられていることを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記両電極は、接地側の電極の全体が前記筐体外部に設けられている一方、非接地側の電極は前記筐体内部に設けられており、非接地側の電極は、前記筐体の面のうち、接地側の電極と非接地側の電極とに挟まれた面に設けられた開口部によって筐体外部に露出されていることを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記筐体を前記車両の車体に取り付けるための金属製の取り付け部品を前記接地側の電極として用いることを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記車両の車体の金属製の部分を前記接地側の電極として用いることを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記車両のパワーウインドウを昇降するための昇降用モータと、
前記車両のパワーウインドウの上昇用及び降下用の操作スイッチとを備え、
前記制御部は、
前記水没検出部によって水没の検出が行われていない場合には、前記操作スイッチの信号に基づいて前記昇降用モータを昇降させる制御を行うとともに、
前記水没検出部によって水没の検出が行われた場合には、前記昇降用モータによるパワーウインドウの上昇を禁止する一方、パワーウインドウの降下は許可する制御を行うことを特徴とする水没対応車両装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記車両に搭載されたエンジンの始動を行うスタータモータと、
前記スタータモータへの車載バッテリからの電源供給のオンオフの切り替えを行う電源供給切り替え部とを備え、
前記制御部は、
前記水没検出部によって水没の検出が行われた場合には、前記電源供給切り替え部による電源供給のオンへの切り替えを禁止する制御を行うことを特徴とする水没対応車両装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52835(P2013−52835A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194033(P2011−194033)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】