説明

水酸化フラーレンとその製造方法並びに抗酸化組成物と外用組成物

【課題】高い水溶性と高い活性酸素消去能を有する新規な水酸化フラーレン、及び簡便に効率的に低コストで大量合成できるその製造方法を提供する。
【解決手段】フラーレンを、過酸化水素水と、アンモニアおよびアミン化合物のうちの1種以上と接触させて、水酸基とともにアミノ基およびニトロ基のすくなくともいずれかである含窒素基を有する水酸化フラーレンを合成する。該化合物は抗酸化剤として有用であり、特に化粧品や外用性の皮膚処方薬などとして応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい水酸化フラーレンとその製造方法並びにこれらを有効成分とする抗酸化組成物と外用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラーレン類は高いラジカル捕捉能を有することが知られており、特に、活性酸素の消去能も知られている(特許文献1、非特許文献1−6)。
【0003】
一方、この活性酸素消去能については、ビタミンC、ポリフェノール、カテキン等の有する特性としてスキンケア成分や癌予防効果の観点から注目されており、化粧品、医薬品等への応用が期待されている。そこで、フラーレン類もその活性酸素消去能等において同様に化粧品や医薬品への応用展開が期待されるところであるが、フラーレン類は水に対して不溶性ないし難溶性であることが大きな障害になっている。
【0004】
また、フラーレン類を包接化合物とすることにより水溶解性を高めることも検討されてきているが、フラーレン類の有する濃茶色の色調が化粧品等への応用において問題になる。
【0005】
フラーレン核を高度に置換することで淡色になることはC6036のような化合物(淡黄色)で知られており、多置換のポリ水酸化フラーレンとその誘導体についてはその合成法とともにすでに報告されている(特許文献1)ものの、その合成法では褐色の水酸化フラーレンが得られたり、反応後の処理が難しいなどの問題がある(非特許文献7−9)。しかも、ポリ水酸化フラーレンであっても、たとえばC60(OH)12のものでも、水に対しての溶解性は極めて低いという問題がある。
【0006】
また、以上のほかにも、水酸化フラーレンの合成法がいくつか提案されている(特許文献2−3;非特許文献10−12)が、いずれの場合にも、水溶性が低く、かつ多段反応であって、発煙硫酸のような扱いにくい試薬を用いることや、ナトリウム等の金属塩が残存してしまう等の問題点があった。
【0007】
このような状況において、本発明者は、水溶性水酸化フラーレンとして活性酸素消去能が高く、しかも高い水溶性を有し、淡色であるものを開発し、その製造方法とともに提案している(特願2004−264664号)。
【0008】
ただ、この場合にも、不溶性の水酸化フラーレンや水素化フラーレンを経由しての多段反応であるという制約があり、また改善された水溶性ではあっても更なる向上が望まれている等の課題があった。
【特許文献1】特開平9−136964号公報
【特許文献2】特開平7−48302号公報
【特許文献3】特開2004−168752号公報
【非特許文献1】Science 1991,254,1183
【非特許文献2】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1995、1283
【非特許文献3】Neurobiol. Dis. 1996,3,129
【非特許文献4】Bioorg. Med. Chem. Lett., 1996,6,539
【非特許文献5】Fragrance Journal,2003,31,40
【非特許文献6】Bio Industry, 2003,20,82
【非特許文献7】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1992,1791
【非特許文献8】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1994,463
【非特許文献9】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993,1784
【非特許文献10】J. Org. Chem.,1994,59,3960
【非特許文献11】Tetrahedron,1996,52,4963
【非特許文献12】Synthetic Communications, 2005,35,1803
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のとおりの背景から、高い水溶性を示すことができ、高い活性酸素消去能を有するとともに、簡便に効率的に低いコストで大量合成することのできる新しい水酸化フラーレンとその製造方法、並びにこの水溶性フラーレンの抗酸化組成物、そして外用組成物をも提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の特徴を有している。
【0011】
第1:水酸基とともに含窒素基を有しているフラーレンである水酸化フラーレン。
【0012】
第2:フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかである上記の水酸化フラーレン。
【0013】
第3:含窒素基は、アミノ基およびニトロ基の少くともいずれかである上記の水酸化フラーレン。
【0014】
第4:10〜40の数の水酸基を有している上記いずれかの水酸化フラーレン。
【0015】
第5:二次結合水を有している上記いずれかの水酸化フラーレン。
【0016】
第6:水溶性を有している上記いずれかの水酸化フラーレン。
【0017】
第7:水酸化フラーレンであって、組成式が、次式<A><B>;
<A>FL(OH)1(NH2(NO2
<B>FL(OH)1(NH2(NO2・kH2
(式中のFLは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかのフラーレンを示し、0<l、0≦m、0≦n、0<kであって、0<m+nである。)
のいずれかで表わされる水酸化フラーレン。
【0018】
第8:l=10〜40、m+n=4〜30の範囲内である水酸化フラーレン。
【0019】
第9:l+m+n=20〜40の範囲内である水酸化フラーレン。
【0020】
第10:k=5〜50の範囲内である水酸化フラーレン。
【0021】
第11:水溶性を有している水酸化フラーレン。
【0022】
第12:10重量%以上の水溶性を有する上記いずれかの水酸化フラーレン。
【0023】
第13:フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させる、水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【0024】
第14:アミノ化フラーレンを、過酸化水素水と接触反応させる、水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【0025】
第15:酸化フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させる、水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【0026】
第16:フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかである、上記いずれかの水酸化フラーレンの製造方法。
【0027】
第17:含窒素基は、アミノ基およびニトロ基の少くともいずれかである、上記いずれかの水酸化フラーレンの製造方法。
【0028】
第18:10〜40の数の水酸基を有している上記いずれかの水酸化フラーレンの製造方法。
【0029】
第19:二次結合水を有している上記いずれかの水酸化フラーレンの製造方法。
【0030】
第20:水溶性を有している上記いずれかの水酸化フラーレンの製造方法。
【0031】
第21:フラーレン核に、過酸化水素水並びにアンモニアおよびアミノ化合物のうちの少くともいずれかとの接触反応により水酸基と含窒素基とを結合させるフラーレンの水酸化方法。
【0032】
第22:酸化フラーレンを、過酸化水素水と接触反応させる水酸化フラーレンの製造方法。
【0033】
第23:フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかである上記の水酸化フラーレンの製法方法。
【0034】
第24:30以上の数の水酸基を有している上記の水酸化フラーレンの製造方法。
【0035】
第25:二次結合水を有している上記の水酸化フラーレンの製造方法。
【0036】
第26:水溶性を有している上記の水酸化フラーレンの製造方法。
【0037】
第27:第1から第12のいずれかの発明の水酸化フラーレンを有効成分としている抗酸化剤または抗酸化剤組成物。
【0038】
第28:第1から第12のいずれかの発明の水酸化フラーレン並びにこれを修飾、包接もしくは複合化する有機化合物またはその塩の少くとも1種を有効成分としている抗酸化剤組成物。
【0039】
第29:有機化合物は、有機オリゴマー、有機ポリマー、シクロデキストリンもしくはその類縁体、およびクラウンエーテルもしくはその類縁体のうちの少くとも1種である抗酸化剤組成物。
【0040】
第30:第27から第29のいずれかの抗酸化剤もしくはその組成物を含有している外用組成物。
【発明の効果】
【0041】
上記のとおりの本発明によれば、高い水溶性と活性酸素消去能を有し、しかもフラーレンからの一段での直接合成が簡便に可能とされ、ナトリウム等の金属塩を含有することもない、効率的で、容易な方法によって低コストでの大量合成も可能とされるという、優れた効果が奏される。
【0042】
そして、本発明によって、フラーレンとその類縁体について、生体適合性の諸応用の分野への適用を可能とし、新しい抗酸化機能等を実現するための技術的手段を提供し、また、特に、化粧品や外用性の皮膚処方薬等としての応用のための手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0044】
本発明において提供される新しい水酸化フラーレンは、水酸基とともに含窒素基をフラーレン核に有している。この場合のフラーレン核は、炭素原子のみの結合によって骨格を形成しているものを意味しており、このようなフラーレン核については、C60、C70あるいはより高次のもの、そして、これらの混合物をはじめとして各種のものであってよい。また、本発明のフラーレン核には、メチレン鎖等のアルキレン鎖を介して複数のフラーレンが結合したものや、アルキレン鎖が、フラーレン骨格の異なる位置の炭素原子に結合するもの等であってもよい。フラーレン核には置換基を有していてもよく、フラーレン分子一個に対して修飾基が1個から40個結合しているもの等であってよく、この場合の修飾基は、たとえば各々独立にアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ケタール基、アセタール基等であってよい。また、フラーレン核の一部の5員環または6員環構造が反応によってより大きな員数の環構造へと変化した開口フラーレン核であってもよい。そして、本発明では、これらの置換基あるいは修飾基の一部もしくは全部として、水酸基と含窒素基とを有している。
【0045】
このような本発明の水酸化フラーレン、すなわち、水酸基とともに含窒素基とを有するフラーレンは、以下のとおりの本発明のいずれかの方法によって製造することができる。
【0046】
<I>フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させて水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンを製造する。
【0047】
<II>アミノ化フラーレンを、過酸化水素水と接触反応させて水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンを製造する。
【0048】
<III>酸化フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させて水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンを製造する。
【0049】
上記の方法<I><III>に共通していることは、フラーレン核に、直接に一般反応で水酸基と含窒素基を結合形成可能としていることである。また方法<II>では、アミノ化フラーレンから水酸基の結合形成を可能としている。
【0050】
いずれの反応方法においても、本発明では、反応出発物質フラーレン等に対しての過酸化水素水は、濃度30%のものとして、たとえば、10〜1000倍程度の重量比とすることができる。100倍の条件ではC60のモル比で500当量以上のH22が存在することになる。このような当量比を考慮して使用量を定めることができる。
【0051】
なお、過酸化水素水としては市販品で3%〜50%濃度のものがあるが、実際的には30%以上のものを用いることが好ましい。
【0052】
また、反応にアンモニアを用いる場合には、アンモニアガスを液中に導入するようにしてもよいし、アンモニア水の状態で使用してもよい。反応の操作上はアンモニア水を用いることが簡便である。この場合のアンモニア水の濃度やその使用量についても過酸化水素水の場合と同様に適宜に定めることができ、一般的には、たとえば濃度5〜35%程度のアンモニア水が好適に用いられる。
【0053】
反応のアミン化合物を用いる場合には、アミン化合物の種類は適宜であってよい。たとえば、アルキル置換アミン、ジアルキル置換アミン、シクロヘキシルアミン、フェニルアミン等の一級もしくは二級アミン化合物が好適に用いられる。またアミン化合物としては、無機酸塩、あるいはアンモニウム塩として用いることもできる。これらの使用量も上記と同様に適切にその使用量が選択される。
【0054】
方法<II>においてアミノ化フラーレンを出発物質とする場合には、このアミノ化フラーレンは、公知の方法をはじめとして各種の方法により合成したものであってよい。方法<III>における酸化フラーレンの場合も同様である。
【0055】
反応温度としては、通常は−40℃〜過酸化水素水の沸点の範囲が考慮されるが、好ましくは室温(約18℃)〜80℃の範囲である。
【0056】
反応時間については、出発物質フラーレンがほぼ完全に溶解した段階までを目安とすることができる。もちろん、これに限定されることはない。なお、アンモニアガスを用いる場合には、大気圧下にアンモニアガスをバブリングしてもよいし、あるいは加圧下の条件を採用してもよい。
【0057】
そして、反応後の分離、精製に際しては、水に可溶なものと、そうでないものとの溶媒の組合わせ使用が有効でもある。ただし、水層と有機層に分離しないように組合わせることが望ましい。
【0058】
一般的には、アルコール、THF、アセトン、アセトニトリル等の水可溶性溶媒と、その他の溶媒との組合わせが考慮される。たとえば、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジエチルエーテル等とヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等との組合わせである。これらの溶媒は、過酸化水素水に対して各々3〜20倍程度が適当であるが、好ましくは5〜10倍である。過少な場合には、沈殿する生成物中に過酸化水素水が残留し、過剰反応や、乾燥の妨げになるという不具合が生じる。
【0059】
以上の反応により、通常は二次結合水を有する水和物が生成されるが、減圧下で150℃程度までの強度範囲において加温、加熱することにより無水物とすることができる。
【0060】
反応により結合形成される水酸基や含窒素基の数については、反応出発物質の種類や、過酸化水素、アンモニア水の濃度、アンモニアあるいはアミン化合物の使用割合、反応条件等の適切な選択と設定によって制御することができる。
【0061】
以上のとおりの反応による方法では、含窒素基としてのアミノ基およびニトロ基の少くともいずれかと、水酸基とフラーレン核との結合が形成される。
【0062】
なお、本発明では、上記の方法<III>において用いられる酸化フラーレンについて、過酸化水素水と反応させることで、たとえば30個以上の水酸基を結合する水酸化フラーレンに変換する新しい方法も提供することができる。
【0063】
以上のような方法によって、たとえば、本発明においては、前記のとおり、その組成式が、次式<A><B>;
<A>FL(OH)1(NH2(NO2
<B>FL(OH)1(NH2(NO2・kH2
(式中のFLは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかのフラーレンを示し、0<l、0≦m、0≦n、0<kであって、0<m+nである。)
のいずれかで表わされる水酸化フラーレンが提供される。
【0064】
ここで、好適には、l=10〜40、m+n=4〜30の範囲内である水酸化フラーレンや、l+m+n=20〜40の範囲内である水酸化フラーレンが考慮される。
【0065】
また、次式<B>のように二次結合水を有する場合には、k=5〜50の範囲内である水酸化フラーレンが考慮される。
【0066】
これらの好適なものはいずれも水溶性を有している。
【0067】
本発明により提供される水酸化フラーレンにおいても、10重量%以上の水溶性を有することも可能とされている。
【0068】
そして本発明においては、上記組成式において示されるアミノ基、あるいはニトロ基は、生理活性等を有するアミノ誘導基へと容易に導くことができる。たとえば、上記アミノ基(NH2)について、アルキル基、芳香族基、あるいは複素環基との結合形成をはじめ、アミド結合、カルバミド結合、尿素結合、イミン結合等を形成することも可能とされる。また、ニトロ基は、アミノ基への還元をはじめ、ニトロン基、イミド結合への変換等により、機能性のフラーレンとすることが可能である。
【0069】
本発明の水酸化フラーレンにおいては、水酸基とともに、これらの誘導基も包含することができる。
【0070】
本発明の水酸化フラーレンは、各種の用途、たとえば代表的にはその高い活性酸素消去能を利用した抗酸化剤の外用組成物等として利用可能であって、その際には、本発明の水酸化フラーレンまたは置換誘導体は有機化合物により修飾または包接されたものとして利用することもできる。
【0071】
水溶性の水酸化フラーレンまたはフラーレン誘導体を修飾もしくは包接する有機化合物としては、有機オリゴマー、有機ポリマーおよび包接化合物または包接錯体が形成可能なシクロデキストリン(CD)やクラウンエーテルもしくはそれらの類縁化合物の1種または2種以上のものが好適なものとして例示される。
【0072】
有機オリゴマーや有機ポリマーとしては、たとえば、カルボン酸エステル類、アルコール類、糖類、多糖類、多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、等のポリアルキレングリコール又は多価アルコール類の重合体、デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン及びヒドロキシプロピルデンプンのようなデンプン誘導体を含む非イオン性水溶性高分子、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体、並びにこれらの高分子のアニオン性又はカチオン性誘導体及びこれらの高分子グリセリン及び脂肪酸類、油類、炭酸プロピレン、ラウリルアルコール、エトキシル化ひまし油、ポリソルベート類、及びこれらのエステル類又はエーテル類、及びこれらの重合体、及びこれらのポリエステル重合体類、ポリビニルピロリドン等のピロリドン重合体類、不飽和アルコール重合体類のエステル類またはエーテル類およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等のものがフラーレン又はその誘導体に結合したものが好ましく、それらの一種以上の混合物であってもよい。なかでも、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリアルキレングリコール、PVP、等の各種のものが好ましいものとして例示される。PEG、PVP等のポリマーの場合には、その平均分子量については、一般的には、2000〜100,000程度が好ましい、水溶性の水酸化フラーレンまたはその誘導体との比率としては、モル比として10/1以下程度とする事が考慮される。
【0073】
たとえば以上のとおりの有効成分とともに、この出願の発明においては、炭素数10以上の長鎖カルボン酸、またはそのエステルもしくは塩を含有することが有効でもある。さらには、後述のとおりの油剤、界面活性剤、顔料、保湿剤、賦形剤や基剤、細胞賦活剤等を配合してもよい。
【0074】
この出願の発明の水溶性フラーレン含有の外用組成物に水分を含む場合のそのpHは、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン包接化合物、又はその塩類の原体のpHにより異なるが、通常pHが3から10の範囲にあればフラーレン及びその誘導体を安定に配合することができるので好ましい。
【0075】
フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン包接化合物、又はその塩類の原体の20℃、0.5%重量水溶液のpHを測定し小数点以下の数字を四捨五入した数字をn(nは0から14までの整数)とするとき、nが3から10の場合は、安定な外用組成物のpHは、n±2の範囲でかつpH3から10の範囲でpHを調整するとよい。また、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン修飾または包接化合物、又はその塩類の原体の20℃、0.5%重量水溶液のpHの四捨五入した数字をnとするとき、nが3以下の場合は、安定なフラーレン外用剤のpHは3から4の範囲とし、nのpHが10以上の場合はpH9から10とするのがよい。いずれにしても安定なフラーレン含有外用組成物のpHは3から10の範囲とするのが好ましい。
【0076】
そして、本発明の場合、pH3〜10の安定化された外用組成物としては、含有される、もしくは混入される遷移金属化合物の合計濃度が0.1%以下とすることがより望ましい。
【0077】
本発明においては、水溶性フラーレンを実現し、このものを有する優れた作用としての抗酸化活性、すなわちヒドロキシラジカルの消去作用を抗酸化剤、抗酸化組成物、そして外用組成物として化粧品や医薬品等への応用を可能としている。
【0078】
そこでまず、ヒドロキシルラジカルを消去する活性について説明する。
【0079】
(1)過酸化水素と硫酸第一鉄を混合すると、いわゆるFenton反応が引き起こされて活性酸素の1種であるヒドロキシルラジカルが発生するが、これは人体でも随所で同様に引き起こされてDNA・蛋白質・脂質に酸化的傷害を与えて細胞死を引き起こすと考えられる。この反応で発生したヒドロキシルラジカルをこの出願の発明の水溶性フラーレン並びにその誘導体等は効率的に消去することができる。実際、ヒドロキシルラジカル消去活性はプロビタミンCであるアスコルビン酸−2−0−リン酸エステルと同等またはそれ以上である。
【0080】
本発明の水溶性水酸化フラーレンによるヒドロキシルラジカル消去活性は遷移金属イオンによって発生するヒドロキシルラジカルに対する消去活性に限らず、広く生体内や皮膚内の各種条件で発生するヒドロキシルラジカルを消去する。
【0081】
ヒドロキシルラジカル消去活性はヒドロキシルラジカルによって引き起こされるDNA切断・DNA損傷・細胞膜破綻・細胞死を防御する作用をもたらす。
【0082】
(2)酸素反応によって発生するスーパーオキシドアニオンラジカルを消去する活性について説明すると、皮膚血流の停滞や皮膚傷害の過程でスーパーオキシドアニオンラジカルは発生してDNA・蛋白質・脂質に酸化的傷害を与えて細胞死を引き起こすと考えられる。スーパーオキシドアニオンラジカルについてはヒポキサンチンとキサンチンオキシダーゼを混合して発生させるが、この出願の発明の水溶性フラーレン類はこれを効率的に消去することができる。
【0083】
本発明の水溶性水酸化フラーレン類のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性はプロビタミンCであるアスコルビン酸−2−0−リン酸エステルを凌駕する。
【0084】
スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性は酸素反応によって発生するヒドロキシルラジカルに対する消去活性に限らず、広く生体内や皮膚内の各種条件で発生するスーパーオキシドアニオンラジカルを消去する。
【0085】
スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性はスーパーオキシドアニオンラジカルによって引き起こされるDNA切断・DNA損傷・細胞膜破綻・細胞死を防御する作用をもたらす。
【0086】
(3)紫外線によって皮膚細胞に発生するパーオキシド/過酸化水素を抑制する活性について説明すると、皮膚は、太陽光線を照射されると、光線の中の紫外線(B波)によって細胞内部にパーオキシド/過酸化水素が発生したりDNA切断やDNA損傷や細胞膜破綻を受けて細胞死を引き起こす。
【0087】
照射前に予め本発明の水溶性水酸化フラーレン類を処方しておくと、パーオキシド/過酸化水素の発生量が顕著に抑制される。この出願の発明の水溶性フラーレン類のパーオキシド/過酸化水素消去活性はプロビタミンCであるアスコルビン酸−2−0−リン酸エステルと同等またはそれ以上である。
【0088】
パーオキシド/過酸化水素は細胞膜を透過すると共に残存寿命が長いので、細胞傷害を引き起こす主因となるが、この出願の発明の水溶性フラーレン類は、紫外線によるパーオキシド/過酸化水素だけに限らず、広く生体内や皮膚内の各種条件で発生するパーオキシド/過酸化水素を消去する。
【0089】
本発明の水溶性水酸化フラーレン類のパーオキシド/過酸化水素消去活性はパーオキシド/過酸化水素によって引き起こされるDNA切断・DNA損傷・細胞膜破綻・細胞死を防御する作用をもたらす。
【0090】
(4)過酸化脂質によって皮膚細胞に発生するパーオキシド/過酸化水素を抑制する活性について説明すると、皮膚に存在する脂質は常時、酸化を受けやすく、この結果、皮膚細胞死を引き起こす原因になっているが、特に、角質層の脂質であるセラミドやスクワレンは酸化を受けてヒドロペルオキシドに変換されて細胞死を引き起こす。
【0091】
予め本発明の水溶性水酸化フラーレン類を処方しておくと、パーオキシド/過酸化水素の発生量が顕著に抑制される。この出願の発明の水溶性フラーレン類のパーオキシド/過酸化水素消去活性はプロビタミンCであるアスコルビン酸−2−0−リン酸エステルと同等またはそれ以上である。
【0092】
本発明の水溶性水酸化フラーレン類は、過酸化脂質によるパーオキシド/過酸化水素だけに限らず、広く生体内や皮膚内の各種条件で発生するパーオキシド/過酸化水素を消去する。
【0093】
本発明の水溶性水酸化フラーレン類のパーオキシド/過酸化水素消去活性はパーオキシド/過酸化水素によって引き起こされるDNA切断・DNA損傷・細胞膜破綻・細胞死を防御する作用をもたらす。
【0094】
そして、以上のように、この出願の発明では、各種の活性酸素を消去する活性があるので、活性酸素によって引き起こされたり助長されたり修復妨害される紫外線傷害・過酸化脂質脂質傷害・虚血再濃流傷害・メラニン生成・シワ/くすみ/たるみ形成・セルライト形成を防御する各種の美肌効果を示す。
【0095】
このため、外用組成物としての適用によって、肌の美白、色素沈着の改善、ニキビの治療、シワの改善、肌荒れの改善、油肌の改善、乾燥肌の改善、毛穴の縮小、瘢痕の治療、赤ら顔の治療、抜け毛の治療、育毛促進、やけどの治療、皮膚の殺菌、皮膚の殺ダニ、皮膚のキメの改善の治療効果が劇的に増強される。
【0096】
そして、本発明では、皮膚に塗布吸収された後はじめてその抗酸化力を効率よく発揮し、様々な皮膚障害に対し明確な改善、治療効果を発現することもできる。
【0097】
このため、この出願の発明の外用組成物は、肌の美白、ニキビの改善、シワの改善、肌荒れの改善、油肌の改善、乾燥肌の改善、毛穴の縮小、瘢痕の改善、赤ら顔の改善、抜け毛の治療、育毛促進、やけどの改善、肌の殺菌、肌の殺ダニ、肌のキメの改善等の明確な治療効果を発揮することができる。
【0098】
つまり、美肌効果だけに止まらず、あらゆる皮膚炎症・皮下炎症を防御したり創傷治癒を促進する皮膚防護効果にも有効である。中でも細菌感染症、細菌類カビ類及びウイルス感染症、寄生虫感染症、熱傷、日焼け、擦過傷、打撲傷、噛傷等の創傷による炎症に効果的である。
【0099】
抗酸化剤、抗酸化組成物、そして外用組成物としての水溶性フラーレン類の投与について説明すると、一般的には次のように対処することができる。
【0100】
(1)投与量
本発明の水溶性水酸化フラーレン類の濃度は0.00001%から30%重量濃度であればよいが使用感的側面から好ましくは5%以下が良い。皮膚に投与する場合外用組成物の量は皮膚面積1平方メートル当たり液体0.001〜20ml好ましくは0.01〜5.0mlを外用塗布、湿布または粉霧するのがのぞましい。
【0101】
(2)投与形態
皮膚外用組成物の形態の例としては、特に限定されず、たとえば、水溶剤、軟膏、乳液、クリーム、ジェル剤、パック、浴剤、洗浄剤、パップ剤、分散液等のあらゆる外用剤の形態を取ることができ、その剤型についても特に制限はなく、固型状、ペースト状、ムース状、ジェル状、粉末状、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、多層状とすることができる。特に水溶液、乳剤、軟膏剤、ジェル剤、水溶製剤、美容液、パック剤については、これらの剤を外用した後に加湿導入器、振動導入器、イオン導入器、音波導入器、電磁波導入器を用いることにより水溶性フラーレン類の皮膚への浸透を促進することができより大きな効果を発揮できる。
【0102】
塗布方法は、液剤の場合、スプレー、貼布、湿布、ディッピング、マスク等物理的に可能な全ての方法を用いることができる。
【0103】
(3)組成成分
本発明の抗酸化組成物、そして外用組成物は、基本的に従来より知られている化粧品や外用薬剤を構成する各種成分との組合わせとして実現される。
【0104】
以下にまず、これら成分一般について概説する。
【0105】
1.油剤
本発明の水溶性水酸化フラーレン類はオイル類、好ましくは天然オイル、より好ましくはオレンジオイル、ビーバーオイル、オリーブオイル、パインオイルから選択される一種又は二種以上のオイル類を含有するオイルに分散させて生体、特に皮膚に投与することが好ましい。
【0106】
油剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、天然系油であるか、合成油であるか、或いは、固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等、いずれの油剤も使用することができる。たとえば、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類;牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等の動物油;ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のラノリン誘導体;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類が挙げられる。
【0107】
油剤としては、また、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級アルコール;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸−N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セパシン酸ジイソプロピル、セパシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油が挙げられる。等に、油剤として、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等のグリセライド油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン;高級脂肪酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコンゴム、シリコーン油等のシリコーン系油剤;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤が挙げられる。
【0108】
2.界面活性剤
本発明の水溶性水酸化フラーレン類の製剤/化粧品にはカプリル酸モノグリセリドおよび/またはカプリン酸モノグリセリドを含有することもでき、さらに、ラウリン酸モノグリセリドを配合することもできる。カプリル酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリドおよびラウリン酸モノグリセリド(以下、単にグリセリドともいう)は、いずれも食品添加物;グリセリン脂肪酸エステルに指定され、その安全性が確認されており、食しても何ら問題のない食品用乳化剤である。
【0109】
本発明の水溶性水酸化フラーレン類は水に分散させるために乳化剤を添加することもできる。たとえば、乳化剤としては、HLBが10以上のポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルのようなノニオン系界面活性剤、または、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤を用いることもできる。
【0110】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤が用いられる。アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、
N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0111】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル酸四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0112】
金属セッケンとしては、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
【0113】
3.顔料
本発明の水溶性水酸化フラーレン類の多くは有色なので化粧品として適宜顔料を配合して違和感のない色調に調整することは望ましい。有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化した顔料、天然色素をレーキ化した顔料、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0114】
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられる。天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。上記した無機粉体、有機粉体、顔料、タール色素等の粉体は、複合化したり、油剤やシリコーン、又はフッ素化合物で表面処理を行なってもよい。
【0115】
4.保湿剤
プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール等の多価アルコールは、皮膚の保湿および刺激を緩和するために添加される。保湿剤としては、アルカリ単純温泉水、深層水、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸などのムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、エラスチン、ケラチンなどのタンパク質またはそれらの誘導体並びにそれらの塩、大豆及び卵由来のリン脂質、糖脂質、セラミド、ムチン、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖等の糖類、尿素、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルチニン、グルタミン、グリシン、グルタミン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン、シスチン、シトルリン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、テアニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、リジンなどのアミノ酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩などが挙げられる。
【0116】
更に保湿剤として、D−パンテノール、アボカド抽出物、アーモンド油、イナゴマメ抽出物、イネ抽出物、イチゴ抽出物、ウイキョウ抽出物、ウスベニアオイ抽出物、オウレン抽出物、オリーブ油、オドリコソウ抽出物、カカオ脂、カラスムギ抽出物、キズタ抽出物、クマザサ抽出物、クチナシ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ゲンチアナ抽出物、ゴボウ抽出物、コボタンヅル抽出物、ゴマ抽出物、サボテン抽出物、サボンソウ抽出物、ショウガ抽出物、ジオウ抽出物、シア脂、シモツケ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ツバキ抽出物、トウモロコシ抽出物、トウチュウカソウ抽出物、トルメンチラ抽出物、ドクダミ抽出物、パクモンドウ抽出物、ハウチマメ抽出物、ハマメリス抽出物、ハッカ抽出物、ミドリハッカ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、パセリ抽出物、バラ抽出物、ヒマワリ抽出物、ヒノキ抽出物、ヘチマ抽出物、プルーン抽出物、ブッチャーズブルーム抽出物、ボラージ油、ボタン抽出物、ホホバ油、ボダイジュ抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、マロニエ抽出物、マカデミアナッツ油、マルメロ抽出物、ムラサキ抽出物、メドウホーム油、メリッサ抽出物、ヤグルマソウ抽出物、ユリ抽出物、ユズ抽出物、ライム抽出物、ラベンダー抽出物、リンドウ抽出物、ワレモコウ抽出物及びリンゴ抽出物等が挙げられる。上記に挙げた保湿剤は、一種又は二種以上を適宜選択して配合することができる。
【0117】
5.賦形剤・基剤
ゲル化剤としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0118】
アルコール類としてはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0119】
水溶性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0120】
粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、無機粉体、有機粉体、顔料などいずれのものも使用することができる。例えば、無機粉体としては、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、含硫ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、パーミキュライト、ハイジライト、モンモリロナイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等が挙げられる。
【0121】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0122】
6.細胞賦活剤
本発明の水溶性水酸化フラーレン類を生体や皮膚に投与して薬効を促進するためには投与対象である細胞を賦活するための薬剤を同時投与することは好ましい。細胞賦活剤としては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘導体であるカフェイン、テオフェリン並びにそれらの塩等の核酸関連物質、幼牛血液抽出液、血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、トリ等の卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、ラクトフェリン又はその分解物、イカスミ等の軟体動物抽出物、魚肉抽出物等、哺乳類、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類、甲殻類等の動物由来の抽出物、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物等の発酵代謝産物から選ばれる微生物由来の抽出物が挙げられる。
【0123】
更に細胞賦活剤としては、レチノール及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール、トレチノイン、カロチン等のカロチノイド等のビタミンA類、チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、コリン類等のビタミンB類、アンズ抽出物、イチョウ抽出物、オタネニンジン抽出物、オオムギ抽出物、オレンジ抽出物、キュウリ抽出物、キウイ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ブクリョウ抽出物、モモ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、霊芝抽出物、ローズマリー抽出物、アスパラガス抽出物、イブキトラノオ抽出物、エンドウ豆抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、キイチゴ抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、リノール酸を含有する植物油、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、フローデマニータ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物及び羅
漢果抽出物、さらには、アカネ、アカブドウ、アカメガシワ、アケビ、アサ、アサガオ、アズキ、アセンヤク、アマチャ、アマチャヅル、イタドリ、イチジク、イチョウ、イランイラン、ウツボグサ、ウメ、ウワウルシ、ウンシュウミカン、エゾウコギ、エビスグサ、エンジュ、エンドウ、オオバコ、オクラ、オグルマ、オニグルミ、オミナエシ、オランダイチゴ、カキ、カキドウシ、カシュウ、カシュー、カノコソウ、カラスウリ、カリン、ガラナ、キキョウ、キク、キササゲ、ギシギシ、ギムネマ・シルベスタ、キンミズヒキ、グアバ、クコ、クズ、クスノキ、クリ、ケイケットウ、ゲッケイジュ、ケイヒ、ゴショイチゴ、コショウ、コーヒー、ゴマノハグサ、コロンボ、サザンカ、サンショウ、サフラン、サクラ、ザクロ、サンズコン、サンペンズ、シオン、ショウブ、スイカ、ステビア、スモモ、セイヨウキズタ、セイヨウナシ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウネズ、セイヨウワサビ、セキショウ、セリ、セネガ、センナ、ダイオウ、ダイダイ、タマリンド、タラノキ、タンポポ、チコリ、チョウジ、チョウセンゴミシ、チョレイ、ツキミソウ、ツボクサ、ツユクサ、ツルナ、テウチグルミ、トウガン、トチュウ、トロロアオイ、ナズナ、ナツミカン、ナンテン、ニガキ、ノゴギリソウ、パイナップル、ハイビスカス、パパイヤ、バジル、ハス、ハダカムギ、ヒオウギ、ピーナツ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒバ、ヒメマツタケ、ビャクシ、ビワ、フキタンポポ、フシノキ、フジバカマ、ブルーベリー、ボウフウ、ホオズキ、ホオノキ、ボケ、マイカイ、マオウ、マンゴー、マンネンタケ、ミシマサイコ、ミソハギ、ミツバ、ミモザ、メリロート、メロン、モクレン、モモルディカ・グロスベノリィ、モロヘイヤ、モヤシ、ヤクチ、ヤクモソウ、ガグルマソウ、ヤシ、ヤシャジツ、ヤドリギ、ヤナギタデ、ヤマゴボウ、ヤマモモ、ユズリハ、ヨモギ、ライムギ、ラン、リュウガン、リンゴ、レイシ、レンギョウ等の抽出物、ヒノキチオール、セファランチン等の植物由来の抽出物、α−及びγ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、コハク酸、乳酸、サリチル酸等の有機酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩等が挙げられる。上記に挙げた細胞賦活剤は一種又は二種以上を適宜選択して配合することができる。
【0124】
ビタミンとしては、フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール等のビタミンK類、エリオシトリン、ヘスペリジン等のビタミンP類、ビオチン、カルチニン、フェルラ酸等が挙げられる。血行促進剤としては、ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、α−ボルネオール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランテレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ペラパミル、γ−オリザノール等が挙げられる。皮膚収斂剤としてはタンニン酸等、抗脂漏剤としてはチアントロール等、酵素としてはリパーゼ、パパイン等が挙げられる。
【0125】
アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、オルチニン、シトルリン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、あるいはピロリドンカルボン酸等のアミノ酸誘導体またはその誘導体等が挙げられる。核酸関連物質としては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リン酸から選ばれるアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘導体であるカフェイン、デオフィリン並びにそれらの塩、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0126】
7.アスコルビン酸
本発明の外用組成物においては、アスコルビン酸またはその誘導体が好適に使用される。
【0127】
なかでも、前記の式で表される化合物またはその塩及びそこから選択される少なくとも一種であればよい。
【0128】
アスコルビン酸そのものを使用することもでき、アスコルビン酸としてはL体、D体またはDL体のいずれでも良く、無機酸または有機酸とのエステル、糖との配糖体、あるいはアスコルビン酸の水酸基のうち隣接した2個の水酸基とケトン結合したケタールまたはアルデヒドと結合したアセタールであってもよい。
【0129】
この場合の無機酸としては、リン酸、ジリン酸、トリリン酸、硫酸などが挙げられ好ましくはリン酸である。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などが挙げられ、パルミチン酸などの高級脂肪酸が特に好ましい。糖としては、グルコース、スクロース、フラクトースなどであり、特にグルコースが好ましい。ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトンが挙げられ、アルデヒドとしてはアセトアルデヒド、プロピンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどを挙げることができる。塩とする時は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどを挙げることができ、ナトリウム塩、マグネシウム塩が特に好ましい。
【0130】
このようなアスコルビン酸誘導体の具体例としては、例えばアスコルビン酸2−リン酸、アスコルビン酸2−二リン酸、アスコルビン酸2−三リン酸、アスコルビン酸2−ポリリン酸、アスコルビン酸2−リン酸ジエステル、アスコルビン酸2−リン酸6−パルミチン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−ミリスチン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−ステアリン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−オレイン酸、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸2−グルコシド6−パルミチン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−ミリスチン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−ステアリン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−オレイン酸、アスコルビン酸2−硫酸などのアスコルビン酸エステル類、L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等の誘導体等であり、これらの塩であるナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等でも良い。更に具体的には、パルミチン酸L−アスコルビン酸、ジパルミチン酸L−アスコルビン酸、イソパルミチン酸L−アスコルビン酸、ジイソパルミチン酸L−アスコルビン酸、テトライソパルミチン酸L−アスコルビン酸、ステアリン酸L−アスコルビン酸、ジステアリン酸L−アスコルビン酸、イソステアリン酸L−アスコルビン酸、ジイソステアリン酸L−アスコルビン酸、ミリスチン酸L−アスコルビン酸、ジミリスチン酸L−アスコルビン酸、イソミリスチン酸L−アスコルビン酸、ジイソミリスチン酸L−アスコルビン酸、オレイン酸L−アスコルビン酸、ジオレイン酸L−アスコルビン酸2−エチルヘキサン酸L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルカリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルカルシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルアルミニウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルカリウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルカルシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルアルミニウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム、L−アスコルビン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸カルシウム、L−アスコルビン酸アルミニウム等であり、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、アルキル置換アンモニウム塩、ヒドロキシアルキル置換アンモニウム塩等が挙げられる。
【0131】
また、これらアスコルビン酸誘導体がポリマー鎖に結合している形状でもよい。水溶性等の製剤上の利便性と誘導体の化学的安定性、さらに効果の点から、特にアスコルビン酸2−リン酸およびアスコルビン酸2−グルコシド、および特にこれらの上記塩類が好ましい。
【0132】
8.pH調整剤
保存安定化剤又はキレート効果を有する有機酸又はその塩がpH調整剤として好適に例示される。これらは、エリソルビン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびその誘導体、ポルフィリン、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸水素ナトリウム、無水亜硫酸ナトリウム、没食子酸及びその誘導体、アラニン、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、その配合量は、外用組成物の全重量に対して0.01%から50%重量の範囲で、好ましくは0.1%から5%重量の範囲で添加すればよい。塩としては、特に限定されないがその皮膚に対する安全性から遷移金属以外の金属が望ましく特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが望ましい。
【0133】
9.活性酸素消去剤
本発明の水溶性水酸化フラーレン類の活性酸素消去活性を助長するために、別の活性酸素消去剤を同時投与することは好ましい。活性酸素消去剤としては、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、カテキン、カテキン誘導体、ルチン、ルチン誘導体、タウリン、チオタウリン、卵殻膜抽出物、没食子酸、没食子酸誘導体、酵母抽出物、霊芝抽出物、ヤシャジツ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ボタンピ抽出物、メリッサ抽出物、パセリ抽出物及びジコッピ抽出物、レチノール及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のビタミンA類;チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩等)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコパラミン、葉酸類、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、コリン類等のビタミンB類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等のビタミンD類;トコフェロール及びその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等)、ユビキノン類等のビタミンE類;ジブチルヒドロキシトルレン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0134】
10.その他の配合剤
本発明の水溶性水酸化フラーレン類を含有する外用組成物またはその希釈液を保存する目的で、エタノールのような防腐剤を添加することができる。また、クエン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸等の有機酸のようなpH調節剤やNaOH、KOHを添加し、pHを調整することもできる。
【0135】
いずれにしても、本発明の水溶性フラーレン類を含有する外用組成物には、薬理効果を損なわない範囲で、通常、外用剤等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を適宜一種又は二種以上添加することができる。
【0136】
また紫外線防御剤として、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸アミル等の安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等のサリチル酸系紫外線吸収剤;4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−メトキシジベンゾイルメタン、4−t−ブチル−4’−ヒドロキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;メンチル−O−アミノベンゾエート、2−フェニル−ベンズイミダゾル−5−硫酸、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メンチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられる。これらの金属酸化物はシリカ被覆されたものでもよい。紫外線防御剤の配合量としては0.001から50%重量であればよく好ましくは0.01から10%である。
【0137】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、フェノキシエタノール及びチアントール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。pH調整剤としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。清涼剤としては、L−メントール、カンフル等が挙げられる。
【0138】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム等のグリチルリチン酸、若しくはグリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、パンテトン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパンテノール及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、トラネキサム酸等が挙げられる。配合量としては0.001から10%重量であり、より好ましくは0.01から5%重量である。
【0139】
抗酸化剤としては、スーパーオキシドディスムターゼ、マンニトール、ヒスチジン、トリプトファン、ビリルビン、クエルセチン、クエルシトリン、ポリフェノール、プロアントシアニジン、トコトリエノール、カテキン、カテキン誘導体、ルチン及びその誘導体、没食子酸及びその誘導体等、ユビキノン、アスタキサンチン、カロチン、及びその他のパルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール、カロチン、リコピン、アスタキサンチン等のカロチノイド、カロチノイド類;チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等のピリドキシン類、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコパラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等のビタミンB類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等のビタミンD類;dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等のビタミンE類;ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0140】
また、本発明の外用組成物をより実際的に外用剤として適用する場合、
<1>非イオン界面活性剤
<2>アスコルビン酸またはその誘導体、もしくは塩
<3>紫外線防御剤
のうちの少くとも1種以上を含有させることが好ましい。そして、より好ましくは、<1>非イオン界面活性剤は、組成物全体の0.01重量%〜50重量%の範囲とし、以下のものから選択された1種または2種以上とすることである。すなわち、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノラウレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPセチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトラPOE・テトラPOEエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体、POEミツロウ・ラノリン誘導体、ラウリン酸モノエタノールアミド等のアルカノールアミド類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれる少なくとも一種である。
【0141】
また、<2>アスコルビン酸類については、組成物全体量に対して0.01重量%〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲とし、前記の式(1)で表わされる化合物およびその塩から選択された1種又は2種以上とすることである。
【0142】
<3>紫外線防御剤については、組成物の全体量に対して0.01重量%〜50重量%の範囲とし、以下のものから選択された1種または2種以上とすることである。すなわち、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸アミル等の安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等のサリチル酸系紫外線吸収剤;4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−メトキシジベンゾイルメタン、4−t−ブチル−4’−ヒドロキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、メンチル−O−アミノベンゾエート−2−フェニル−ベンズイミダゾル−5−硫酸−2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル−2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート−2−エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート−2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メンチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛及びこれらの金属酸化物のシリカ被覆物である。
【0143】
そして、安定組成物とするためには、本出願の発明においては、以下のものの1種または2種以上のものを、組成物全体に対して、0.01重量%〜10重量%の範囲において、<4>保存安定剤またはキレート効果を有する有機酸またはその塩類として配合することが好ましい。すなわち、エリソルビン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびその誘導体、ポルフィリン、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸水素ナトリウム、無水亜硫酸ナトリウム、没食子酸及びその誘導体、アラニン、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。その配合量は、外用組成物の全重量に対して0.01%から50%重量の範囲で、好ましくは0.1%から5%重量の範囲で添加すればよい。塩としては、特に限定されないがその皮膚に対する安全性から遷移金属以外の金属が望ましく特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが望ましい。
【0144】
このような安定化組成物においては、水性のものとしてはpH値を前記のとおり3〜10の範囲とすることが特に好適である。そして、安定化組成物の構成のためには、遷移金属化合物の合計濃度が0.1重量%以下とすることが特に望ましい。
【0145】
フラーレンの抗酸化力を外用組成物に応用使用すると、通常は、フラーレンの強い抗酸化力によりフラーレンが酸化されやすく外用組成物に配合しても製剤中で不安定になりやすい。
【0146】
つまり、フラーレンの強い抗酸化力により外用組成物中で還元性を発揮し急速に酸化される。その結果として皮膚に投与されたときに抗酸化力が減少し、弱まり、又は失活し十分な効果を発揮できないことがある。
【0147】
また、フラーレンを外用剤として塗布しても、その有効成分が酸化分解され、一部のフラーレンが皮膚上で紫外線などの影響によりフリーラジカルに変化することから抗酸化剤としての効果が不十分であり外用剤としての改善、治療効果を充分に発揮できず防御や予防的効果に留まってしまうことがある。
【0148】
このような懸念に対し、上記の組成物においては良好な安定性が実現されることになる。
【0149】
さらにこの出願の発明においては、より実際に好適外用剤のための組成物として、以下の成分のうち少なくても1種を含有することにより、肌の美白、色素沈着の改善、ニキビの治療、シワの改善、肌荒れの改善、油肌の改善、乾燥肌の改善、毛穴の縮小、瘢痕の治療、赤ら顔の治療、抜け毛の治療、育毛促進、やけどの治療、皮膚の殺菌、皮膚の殺ダニ、皮膚のキメの改善の効果が増強されたフラーレン外用組成物が提供される。
【0150】
すなわち、
<5>組成物全体量に対して0.01重量%〜20重量%の美白成分であって、システイン及びその誘導体並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、胎盤抽出物、ハイドロキノン及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、グルタチオンから選ばれる少なくとも一種である。
<6>組成物全体に対して0.001重量%〜10重量%の範囲の抗炎症成分としての、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、パンテノール及びその誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、トラネキサム酸から選ばれる少なくとも一種である。
<7>組成物全体に対して0.001重量%〜10重量%の範囲の抗酸化成分としての、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、ヒスチジン、トリプトファン、ビリルビン、クエルセチン、クエルシトリン、ポリフェノール、プロアントシアニジン、トコトリエノール、カテキン、カテキン誘導体、ルチン及びその誘導体、没食子酸及びその誘導体、ユビキノン、アスタキサンチン、カロチン、及びその他のカロチノイド類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる少なくとも一種である。
【0151】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく本発明について説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0152】
<実施例1>
(フラーレンC60(1)からの水溶性水酸化フラーレン2の合成)
フラーレンC60(1,>99%、市販品)0.100gに、30%過酸化水素水10mL、28%アンモニア水4mLを加え、黒色懸濁溶液を60℃で12時間攪拌した。溶液が褐色懸濁溶液になったのを確認後、浮遊固体を遠心分離により沈降させ、デカンテーションにより上澄み液Aと沈殿物Bを得た。
【0153】
この得られた上澄み液Aに30mLのエタノールを加え、固体を析出させた。生じた沈殿を遠心分離により沈降させた後、デカンテーションにより上澄み液を除いた。得られた沈殿物を5mLの脱イオン水に溶かし、さらに35mLのエタノールを用いて再沈降させた後、40mLのエタノールで2回超音波洗浄後、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン2を淡黄土色粉末として0.074g得た。
【0154】
得られた水溶性水酸化フラーレン2の赤外線吸収スペクトル(FT−IR)を図1に示す。比較として水酸基数が12(L. Y. Chiang et al., J. Org. Chem., 1994, 59, 3960の方法により合成)および36(特願2004−264664の方法により合成)のポリ水酸化フラーレンのIRスペクトルをそれぞれ図2および図3に示す。図2および図3では水酸基のO−H伸縮に基づく3400cm-1付近の大きなブロードな吸収とともに、C−CおよびC−O伸縮に基づく1620、1370、1080cm-1付近にブロードな吸収を示している。これらと図1の吸収を比較すると、図1には3400cm−1付近に大きなブロードな吸収があるのに加えて、3170cm-1付近にもややブロードな吸収が重なっているのが見られた。これはN−Hの対称伸縮でありアミノ基の存在を示唆しており、水酸基のブロードな吸収と重なっていると考えられる。またC−CおよびC−O伸縮に基づく1600、1400、1100cm-1付近にブロードな吸収が見られ、これらの吸収パターンは水溶性水酸化フラーレンのスペクトル図2および図3とよく似ており、それぞれの吸収の相対強度比が若干異なることから水酸基数が異なる水酸化フラーレンであることが示唆された。また図1には1600及び1400cm-1にニトロ基に特徴的なシャープな吸収が重なって見られることからニトロ基の存在も示唆された。
【0155】
この水溶性水酸化フラーレン2を熱重量分析計(TGA)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度1℃/minで熱分析を行ったところ、室温〜168℃付近までに2つの極大点を有しながら約25wt%の重量減少がみられた(図4)。一般に極性官能基を多数有するような化合物では150℃程度まで加熱しないと離れない二次結合水が存在可能であることから、少なくとも2種類の異なる環境の極性官能基部位に強固に吸着している水分が20〜25wt%程度存在すると見積もることができた。
【0156】
水溶性水酸化フラーレン2の含水率について、熱重量分析の結果を確認するため、カール・フィッシャー水分計を用いて水分測定を行った。固体試料は直接カール・フィッシャー試薬に溶解しなかったため、水分気化装置を用いて190℃に加熱して放出された水分を測定した結果、水溶性水酸化フラーレン2の含水率は20wt%と見積もられた。用いた水分気化装置は所定温度まで一気に昇温するため、固体バルク中の水分は熱重量分析と比較してやや少なめに見積もられる可能性を考慮すると、上記の熱重量分析の結果をほぼ支持した。
【0157】
この水溶性水酸化フラーレン2の元素分析を行ったところ、実験値はC:35.87%、H:4.22%、N:10.97%であった。すなわち、アンモニア由来の窒素官能基が約11%の窒素含有率で含まれていた。γ−シクロデキストリンの包摂により水溶化されたC60は気体のアンモニアと反応することが知られており(T. Takui et al., Synthetic Metals, 2001, 121, 1171-1172)、よく知られているジエチルアミンとフラーレンの反応(J. Janaki et al., Thermochimica Acta, 2000, 356, 109-116)と同様にまず初めにアミノ基が導入された可能性が高いと推察される。しかし、本条件下では酸化剤である過酸化水素水がこのアミノ基を酸化し、ヒドロキシアミノ基、ニトロソ基、ニトロ基などへと変換される可能性も考えられる。実際に、アミノ化フラーレン、ニトロ化フラーレンについてはすでに報告されている(特開平9−136964)。
【0158】
赤外線吸収スペクトルの結果、含水量ならびに高い水への溶解度を考慮して、この化合物を水酸基・アミノ基、ニトロ基および二次結合水から構成されるフラーレン誘導体と仮定してそれぞれの平均導入数を見積った結果を表1に示す。計算値1〜5はいずれも元素分析値を実験値とほぼ一致するように水酸基・アミノ基・ニトロ基および二次結合水の数を変化させたものである。熱重量分析の結果から水分含有率を25wt%とすれば、計算値4のC60(OH)16(NH28(NO28・28H2Oなる組成を有するものの元素分析理論値はC:36.15%、H:4.45%、N:11.13%、含水率は25.3wt%と計算され、実験値C:35.87%、H:4.22%、N:10.97%とよく一致した。合計官能基数32個はこれまでに知られているフラーレン誘導体から類推される範囲であり、水酸基とアミノ基を合計した親水性官能基数24個は、高い水溶性を支持する。
【0159】
【表1】

この水溶性水酸化フラーレン2の水への溶解度を調べたところ、200mg/mL(20wt%)以上であり、これまでに報告されている包接化合物による水溶化に比べてはるかに高い溶解性を有し、またC60(OH)36・9H2O(特願2004−264664、59mg/mL)よりも高い溶解性を有することが分かった。
<実施例2>
(フラーレンC60(1)からの水溶性水酸化フラーレン3の合成)
反応は実施例1と同様に行い、沈殿物Bを、残存するアンモニアを取り除くために24時間真空乾燥した後、脱イオン水20mLを加えて溶解させた。溶解から遠心分離を用いて未反応フラーレンを含む沈殿物をデカンテーションにより除去し、この上澄み液に20mLのエタノールを加えて固体を析出させた。生じた沈殿を遠心分離により沈降させた後、デカンテーションにより上澄み液を除き、さらに40mLのエタノールで2回超音波洗浄後、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン3を淡黄土色粉末として0.077g得た。
【0160】
得られた水溶性水酸化フラーレン3の赤外線吸収スペクトルを図5に示す。図1とよく似ていることから、水溶性水酸化フラーレン2とほぼ同じ官能基を有し、官能基の付加数の異なる水酸化フラーレン誘導体であることが示唆された。
【0161】
この水溶性水酸化フラーレン3は熱重量分析計TGAから水分は24wt%程度存在すると見積もられ(図6)、また、カール・フィッシャー水分計からは17wt%と見積もられた。
【0162】
赤外線吸収スペクトルの結果、含水量ならびに高い水への溶解度を考慮して、この化合物を水酸基・アミノ基・ニトロ基および二次結合水から構成されるフラーレン誘導体と仮定してそれぞれの平均導入数を見積った結果を表2に示す。計算値1〜5はいずれも元素分析値を実験値とほぼ一致するように水酸基・アミノ基・ニトロ基および二次結合水の数を変化させたものである。熱重量分析の結果から水分含有率を24wt%とすれば、計算値4のC60(OH)18(NH22(NO26・24H2Oなる組成を有するものの元素分析理論値はC:40.78%、H:3.99%、N:6.34%、含水率は24.5wt%と計算され、実験値C:40.82%、H:3.86%、N:6.67%とよく一致した。合計官能基数26個はこれまでに知られているフラーレン誘導体から類推される範囲であり、水酸基とアミノ基を合計した親水性官能基数20個は、十分な水溶性を支持する。
【0163】
【表2】

この水溶性水酸化フラーレン3の水への溶解度を調べたところ、30mg/mL(3.0wt%)であった。
【0164】
反応条件の最適化のため、水溶性水酸化フラーレンの収量に及ぼすアンモニア水量の影響ならびに反応時間の影響を調べた結果をそれぞれ表3および表4に示す。これらより、水溶性水酸化フラーレン2および水溶性水酸化フラーレン3の合計収量が最も多く得られる反応条件は、アンモニア水を4mL用い、12時間反応を行ったときであることがわかった。
【0165】
【表3】

【0166】
【表4】

<実施例3>
(混合フラーレン(4)からの水溶性水酸化フラーレン5の合成)
実施例1と同様に、混合フラーレン(4;C60:50wt%以上、C70:10wt%以上、その他は高次フラーレンからなる市販品)0.100gに、30%過酸化水素水10mL、28%アンモニア水6mLを加え、懸濁溶液を60℃で12時間攪拌した。溶液が褐色懸濁溶液になったのを確認後、浮遊固体を遠心分離により沈降させた後、デカンテーションで分離し、上澄み液Aと沈殿物Bを得た。
【0167】
この上澄み液Aに30mLのエタノールを加え、固体を析出させた。生じた沈殿を遠心分離により沈降させた後、デカンテーションにより上澄み液を除いた。得られた沈殿物を5mLの脱イオン水に溶かし、さらに35mLのエタノールを用いて再沈殿させた後、40mLのエタノールで2回超音波洗浄後、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン5を淡黄土色粉末として0.072g得た。
【0168】
得られた水溶性水酸化フラーレン5の赤外線吸収スペクトルを図7に示す。図1とよく似ていることから、水溶性水酸化フラーレン2とほぼ類似した組成を有する水酸化フラーレン誘導体であることが示唆された。元素分析値はC:33.48%、H:3.52%、N:10.31%であり、熱重量分析により含水率は16wt%と見積もられた(図8)。
<実施例4>
(フラーレンC60(1)からのアミンを用いた水溶性水酸化フラーレン6の合成)
実施例1と同様に、しかし、アンモニア水に代えてジエチルアミンを用いて、上記の反応を行った。フラーレンC60(1)0.100gに、30%過酸化水素水10mL、ジエチルアミン5.76mL(400当量)を加え、懸濁溶液を室温で3日間攪拌した。溶液がほぼ黄褐色均一溶液になったのを確認後、それぞれ50mLの2−プロパノール、ジエチルエーテル、ヘキサンを順に加えて固体を沈殿させた。生じた沈殿を遠心分離により収集し、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン6を淡黄土色粉末として0.176g得た。
【0169】
得られた水溶性水酸化フラーレン6の赤外線吸収スペクトルを図9に示す。図1とよく似ていることから、水溶性水酸化フラーレン2と類似した構造を有する含窒素水酸化フラーレン誘導体であることが示唆された。元素分析値はC:53.14%、H:4.46%、N:2.56%であった。
<実施例5>
(アミノ化フラーレンC60(NEt2)mHn(7)からの水溶性水酸化フラーレン8の合成)
文献記載(J. Janaki et al., Thermochimica Acta, 2000, 356, 109-116)の方法に従って、C60(1)とジエチルアミンからアミノ化フラーレンC60(Et2NH)n(7)を合成した。この化合物の赤外線吸収スペクトルを図10に示す。元素分析値はC:82.50%、H:4.44%、N:6.02%であった。このアミノ化フラーレン(7)0.172gに、30%過酸化水素水10mLを加え、懸濁溶液を室温で24時間攪拌した。溶液がほぼ黄褐色均一溶液になったのを確認後、それぞれ50mLの2−プロパノール、ジエチルエーテル、ヘキサンを順に加えて固体を沈殿させた。生じた沈殿を遠心分離により収集し、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン8を淡黄土色粉末として0.194g得た。
【0170】
得られた水溶性水酸化フラーレン8の赤外線吸収スペクトルを図11に示す。図1および図9とよく似ていることから、水溶性水酸化フラーレン6とほぼ類似した構造を有する水酸化フラーレン誘導体であることが示唆された。元素分析値はC:52.73%、H:4.24%、N:2.86%であった。
<実施例6>
(酸化フラーレンC60On(9)からの水溶性水酸化フラーレン10の合成)
酸化フラーレンC60On(9、n=0〜4程度の混合物)0.100gに、30%過酸化水素水10mLを加え、懸濁溶液を60℃で14日間攪拌した。溶液がほぼ均一な黄色透明になったのを確認した後、遠心分離により残存する固体を除去後、それぞれ50mLの2−プロパノール、ジエチルエーテル、ヘキサンを順に加えて固体を沈殿させた。
【0171】
生じた沈殿を遠心分離機を用いて結晶を沈降させた後、デカンテーションで分離し、さらに50mLのエーテルで2回洗浄後、18時間真空乾燥することで反応生成物である水溶性水酸化フラーレン10を淡黄土色粉末として0.094g得た。
【0172】
得られた水溶性水酸化フラーレン10の赤外線吸収スペクトルを図12に示す。図3とよく似ていることから、水溶性水酸化フラーレンC60(OH)36・9H2Oと類似した構造を有する水酸化フラーレン誘導体であることが示唆された。元素分析値はC:46.36%、H:3.59%であった。
<比較例1>
(アンモニア水非存在下でのフラーレンC60(1)と過酸化水素水の反応)
実施例1と同様に、しかし、アンモニア水を用いずに、上記の反応を行った。フラーレンC60(1)0.100gに、30%過酸化水素水10mLを加え、懸濁溶液を60℃で12時間攪拌した。その後、7日間攪拌したが、溶液は着色せず、フラーレンは全く反応しなかった。残った固体をトルエンに溶解し、HPLCにて分析を行い98%以上のフラーレンC60(1)であることを確認した。
<比較例2>
(過酸化水素水非存在下でのフラーレンC60(1)とアンモニア水の反応)
実施例1と同様に、しかし、過酸化水素水を用いずに、上記の反応を行った。フラーレンC60(1)0.100gに、28%アンモニア水10mLを加え、懸濁溶液を60℃で12時間攪拌した。溶液は着色せず、フラーレンは全く反応しなかった。残った固体をトルエンに溶解しHPLCにて分析を行い、98%以上のフラーレンC60(1)であることを確認した。
【0173】
上記比較例1および2から、反応には過酸化水素水とアンモニア水を共存させることが不可欠であり、本条件下、それぞれ単独ではフラーレンと反応しなかった。一方、実施例5からわかるように、独立してアミンとフラーレンを反応させて得られるアミノ化フラーレンと過酸化水素水の反応によっては、対応する含窒素水溶性水酸化フラーレンが得られた。また、実施例6のように、窒素原子だけでなく酸素原子を官能基として有する酸化フラーレンのような誘導体からも、過酸化水素水との反応によって対応する水溶性水酸化フラーレンが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】実施例1の水溶性水酸化フラーレン2のFT−IRスペクトル図である。
【図2】C60(OH)12・5H2OのFT−IRスペクトル図である。
【図3】C60(OH)36・9H2OのFT−IRスペクトル図である。
【図4】実施例1の水溶性水酸化フラーレン2のTGA測定チャート図である。
【図5】実施例2の水溶性水酸化フラーレン3のFT−IRスペクトル図である。
【図6】実施例2の水溶性水酸化フラーレン3のTGA測定チャート図である。
【図7】実施例3の水溶性水酸化フラーレン5のFT−IRスペクトル図である。
【図8】実施例3の水溶性水酸化フラーレン5のTGA測定チャート図である。
【図9】実施例4の水溶性水酸化フラーレン6のFT−IRスペクトル図である。
【図10】実施例5におけるアミノ化フラーレン7のFT−IRスペクトル図である。
【図11】実施例5の水溶性水酸化フラーレン8のFT−IRスペクトル図である。
【図12】実施例6の水溶性水酸化フラーレン10のFT−IRスペクトル図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基とともに含窒素基を有しているフラーレンであることを特徴とする水酸化フラーレン。
【請求項2】
フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の水酸化フラーレン。
【請求項3】
含窒素基は、アミノ基およびニトロ基の少くともいずれかである請求項1または2記載の水酸化フラーレン。
【請求項4】
10〜40の数の水酸基を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項5】
二次結合水を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項6】
水溶性を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項7】
請求項1の水酸化フラーレンであって、組成式が、次式<A><B>;
<A>FL(OH)(NH2(NO2
<B>FL(OH)1(NH2(NO2・kH2
(式中のFLは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかのフラーレンを示し、0<l、0≦m、0≦n、0<kであって、0<m+nである。)
のいずれかで表わされることを特徴とする水酸化フラーレン。
【請求項8】
l=10〜40、m+n=4〜30の範囲内であることを特徴とする請求項7記載の水酸化フラーレン。
【請求項9】
l+m+n=20〜40の範囲内であることを特徴とする請求項7または8記載の水酸化フラーレン。
【請求項10】
k=5〜50の範囲内であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項11】
水溶性を有していることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項12】
10重量%以上の水溶性を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の水酸化フラーレン。
【請求項13】
フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させることを特徴とする水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項14】
アミノ化フラーレンを、過酸化水素水と接触反応させることを特徴とする水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項15】
酸化フラーレンを、過酸化水素水とともにアンモニアおよびアミン化合物のうちの少くともいずれかと接触反応させることを特徴とする水酸基とともに含窒素基を有する水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項16】
フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかであることを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項17】
含窒素基は、アミノ基およびニトロ基の少くともいずれかである請求項13から16のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項18】
10〜40の数の水酸基を有していることを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項19】
二次結合水を有していることを特徴とする請求項13から18のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項20】
水溶性を有していることを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項21】
フラーレン核に、過酸化水素水並びにアンモニアおよびアミノ化合物のうちの少くともいずれかとの接触反応により水酸基と含窒素基とを結合させることを特徴とするフラーレンの水酸化方法。
【請求項22】
酸化フラーレンを、過酸化水素水と接触反応させることを特徴とする水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項23】
フラーレンは、C60、C70、さらに高次のフラーレンもしくはこれらの2種以上の混合物のいずれかであることを特徴とする請求項22記載の水酸化フラーレンの製法方法。
【請求項24】
30以上の数の水酸基を有していることを特徴とする請求項22または23記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項25】
二次結合水を有していることを特徴とする請求項22から24のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項26】
水溶性を有していることを特徴とする請求項22から25のいずれかに記載の水酸化フラーレンの製造方法。
【請求項27】
請求項1から12のいずれかの水酸化フラーレンを有効成分としていることを特徴とする抗酸化剤または抗酸化剤組成物。
【請求項28】
請求項1から12のいずれかの水酸化フラーレン並びにこれを修飾、包接もしくは複合化する有機化合物またはその塩の少くとも1種を有効成分としていることを特徴とする抗酸化剤組成物。
【請求項29】
有機化合物は、有機オリゴマー、有機ポリマー、シクロデキストリンもしくはその類縁体、およびクラウンエーテルもしくはその類縁体のうちの少くとも1種であることを特徴とする抗酸化剤組成物。
【請求項30】
請求項27から29のいずれかの抗酸化剤もしくはその組成物を含有していることを特徴とする外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−176899(P2007−176899A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380036(P2005−380036)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(503272483)ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 (16)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】