説明

永久磁石式3相回転電機

【課題】
永久磁石式3相回転電機で特殊な磁路とそれに対応した巻き線と回転子極数の組み合わせで、コギングトルクを6次調波以上とし、低振動回転電機を実現するもの。永久磁石式3相ブラシレスDCモータは高効率低振動なモータとして広く使用されている。しかし、このモータで、コギングトルクが大きいと、回転ムラや振動が大きくなり高精度の回転が得られなかった。
【解決手段】
略円環状磁性体から放謝状に均等ピッチで配設された3相巻線を設けた12個の固定子極と、エアギャップを介して等ピッチでN極S極交互にその合計極が2Pに磁化された永久磁石式回転子を有した回転電機により、次式を満たす構成の極対数pとする。
【数1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低振動低騒音なブラシレスDCモータやステッピングモータ等の回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
1) 3相永久磁石式回転電機のブラシレスモータはOA機器に広く使用されているが、コイルに電流を流さないときに発生する永久磁石のみによるトルクであるコギングトルクが大きいと振動や騒音が大きくなり、また鉄損も大きくなる問題があった。
2) 例えば従来技術として固定子が6スロット(6突極も同じモータ)で回転子が4極の永久磁石式回転電機や12スロット(12突極)で8極または16極で駆動していた。
3) 更に低振動が要求される用途には12スロット(12突極)で10極や14極品が使用されている。
【0003】
【特許文献1】特公昭49−8568
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1)上述した特公昭49−8568の従来技術では低振動低騒音化の要求は必ずしも満足の行くものではなかった。
2) 高トルクと低振動が要求される用途に対しては、トルクを増加させると、振動騒音も増加する傾向があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
「手段1」
略環状体から12個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次12個の突極に番号を付けた場合、突極1,2,7,8で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1とその隣接する突極2が同一極性で突極7とその隣接する突極8は突極1、突極2とは異極性に磁化され、2相目巻線が同様に突極3、4、9、10、に、また残りの突極5、6、11,12に3相目の巻線が設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該12個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の固定子突極と回転子極が対向したとき、次式を満たす回転電機。
【数1】

「手段2」
略環状体から6個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなり該6個の突極には更に各々2個の誘導子を有し、該6個の固定子で任意の突極1から順次6個の突極に番号を付けた場合、突極1,4で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1と突極4が異極性に磁化され、2相目巻線が同様に突極3、5に、また残りの突極3、6に3相目の巻線が同様に設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該6個の突極の先端部の該誘導子とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p 極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たす回転電機。
【数1】

「手段3」
略環状体から9個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次9個の突極に番号を付けた場合、突極1,4,7,で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1と、突極4,7はお互いに異極性となるように巻線され、2相目巻線が同様に突極2、と突極5、8がお互いに異極性に、また3相目の巻線が、残りの突極3、と突極6、9がお互いに異極性となるように設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該9個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たすことを特徴とした回転電機。
【数2】

あるいは上式に加えて、次式も満たすことを特徴とした回転電機。
【数3】

「手段4」
略環状体から9個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次9個の突極に番号を付けた場合、突極1,5,6,で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1、5,6とも同極性となるように巻線され、2相目巻線が同様に突極7、2,3で、すべてお互いに同極性に、また3相目の巻線が、残りの突極4、8,9で、すべてお互いに同極性となるように設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該9個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たすことを特徴とした回転電機。
【数2】

あるいは上式に加えて、次式も満たすことを特徴とした回転電機。
【数3】

「手段5」
手段1から4にて、該突極の巻線を2コイル巻いたユニポーラ巻線を有した固定子とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機にて該ユニポーラ巻き線には一方向電流で180度位相のことなる電流で駆動する3相式回転電機。
「手段6」
手段1から4において、回転子の円筒状永久磁石の反エアギャップ側に磁性体よりなるバックヨークを有した回転電機。
本発明を実現するには以下の手段による。
1) 高効率モータにするには、回転子に永久磁石を用いることが知られている。しかし永久磁石のN極とS極の合計の数の極数と固定子スロット数(コイルが巻かれる固定子極数あるいは突極数と同じ数となる)で決まる、通電しない状態でのコギングトルクが発生し回転磁界によるトルクにこのコギングトルクが重畳されるので、トルク変動が起こり、精密な定速度回転を要求される用途には色々の問題を起こしていた。このコギングトルクを低減させる有力な手段は回転子1回転中のコギングトルクの脈動数を極力多くするようにする。するとトルク波形はほぼ正弦波なので、従って振幅を小さくすることができることになる。
2)本発明はコギングトルクの6次調波成分を消し、12次調波または18次調波成分とし、コギングトルク脈動数を増加させる構成を提供するものである。
3)その手段は前述した固定子突極数と上述した数式を満たす回転子極数を組み合わせることで実現でき、具体的には上述した1から6の手段による。

【0006】
上述の如き構成においては、以下の理由で課題が解決できる。
3相永久磁石式モータは低振動低回転ムラであるがその理由はコギングトルクが2相機と比べて一般的に、2相機は4次調波成分で構成されるが、3相機はコギングトルクの4次調波成分は消え、6次調波成分で構成されるためである。しかし、6次成分のコギングトルクでは用途によっては十分ではなく、3相機で更なる低コギングトルクの回転電機の要求が多い。そこで本発明は、コギングトルクの6次成分を消して12次あるいはそれ以上のコギングトルク成分とするものである。3相機のコギングトルクは6次成分とその正数倍成分の和で構成されていることに着目して、この性質を利用するのが本発明のキーポイントである。6次成分とその正数倍成分の和で構成されていることに関しては、「PCIM2001,INTELLIGENT MOTION 38th Proceeding、pp139-141、June 19-21,2001,Nurnberg,Germany, Cogging Torque Comarison between 2
and 3 phase HB type stepping motor. Masafumi Sakamoto.」に記載があるので、その説明は省略する。即ち6次成分をうまく消せば12次成分以上で、また、6次と12次成分を消せれば18次成分以上でコギングトルクは構成される。その場合、存在する低次成分(上記では12次、あるいは18次)が主な支配的な成分となる。なぜなら次数が高いほどその振幅は小さくなり低次に対し無視可能になるからである。
【発明の効果】
【0007】
1) 本発明の12スロットや9スロット構成ではコギングトルクが従来品モータの数倍以上の脈動数になるため、極めて小さい低コギングトルクモータを提供できる。
2) 6スロットで誘導子を有するものは低振動で更に高トルクとなる。
3) ユニポーラ式で高速回転対応も可能である。
4) クローズドループの3相ブラシレスDCモータの他にオープンル ープの3相永久磁石式ステッピングモータにも活用できる。
5) 実現できる。
6)外転型にすれば、回転子外径を大きくできるので、イナーシャも大きくできて、一定速度の用途で回転ムラを小さくでき、または低速で大トルクを要する用途に適したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は第一の本発明の回転電機の例である。1なる環状固定子から放謝状に均等に配設された12個の突極1−1から1−12に図示したようにU,V,W相の3相巻き線がなされている。各相の巻き終わりは短絡されて、スター結線がされている。そのため、図5に示したインバータ等による反転電流でバイポーラ駆動される。1相分巻き線はたとえばU相では突極1−1と1−2がN極とすれば180度反対の1−7,1−8はS極に磁化されるように巻き線されている。N,N,S,Sと巻き線極性を作るこの巻き線方式が本発明の一つの特徴である。このため22極の回転子磁石2は図のように対向して、永久磁石のN極から出た点線及び矢印で示した磁束は1−7、1−8、のS極の固定子に入り1−1,1−2のN極から回転子のS極にもどりバックヨークを経由して磁路を結ぶ。このためバックヨークが必要となる。これに対し従来構造の回転電機は回転子の隣接のN極とS極と固定子突極で磁路を結ぶのでバックヨークは必要ではない。
尚、図4は本発明に関する回転電機の軸を含めた断面図である。1は固定子鉄心、2は回転子の円筒状永久磁石、3はコイル、4は回転子の円筒状永久磁石の反エアギャップ側に設けたバックヨークで磁性体より構成されている。6は回転軸であり、図示してない軸受けで回転自在に固定子鉄心1に固定支持されている。2は回転子の円筒状永久磁石であり、一般にこの種類の構造の回転子は表面磁石式回転子と呼ばれている。
【0009】
次に従来技術を説明する。図8は従来技術を示すものである。以後の図面での同じ名称あるいは類似形の部品は同じ番号を付してある。1は固定子で固定子極を形成するコイルを巻く部分(主極と呼ぶことにする)が12個均等ピッチで配置されている。回転子極(磁極と呼ぶことにする)の数は8極であるので、中央上部の主極と回転子のN極が一致したとき、時計方向に、隣接の主極とそれに最も近い磁極(図ではS極)とのづれ角をδとすれば、同様に、次の主極と次の磁極とのづれ角は2δとなり、以下順次3δ、4δ、5δ、となり、中央下部の主極で磁極と一致し同様な関係を繰り返すので、磁極から見た主極のパーミアンスの6次成分は以下のようになる。パーミアンス成分がコギングトルク成分と一致することは、例えば、日本電気学会の論文誌D,114巻、12号、平成6年、「ハイブリッド形ステッピングモータの高調波トルクの低減法、坂本、戸恒」等に記載されているのでその説明は省略する。

δ=4×2π{(1/8)-(1/12)}=π/3 (電気角) より、次式を計算する。

P6=2{cos0+cos6×1(π/3)+ cos6×2(π/3)+ cos6×3(π/3)+ cos6×4(π/3)+

cos6×3(π/3)+ cos6×4(π/3)}
【数4】

=12

ここでpは極対数であり、磁極極数が8なのでp=4となり、(4)式は0でなく12となる。(4)式の[ ] 内は余弦の角度が6倍次調波による級数なので、常に(1)式と等しい値となるので、この従来技術は(1)式を成立させることはできないことになる。P6はパーミアンスの6次成分なので、コギングトルクの6次成分でもある。従ってこの12主極8極はコギングトルクは6次成分となりその回転子の1回転中の脈動数Ncは電気角2πに6サイクルでコギングトルクが脈動するので、1回転(機械角、2π)ではそのp倍となり、以下となる。
Nc=6p=6×4=24
経験的に100rpm程度の回転時に低回転ムラを得るにはこのNcが60以上が必要であり24という値は小さく、この従来技術ではコギングトルクも大きく不適当となる。
【0010】
図9も従来技術の例である。固定子主極数は6で、回転子極数は4である。同様にしてパーミアンスの6次成分を計算すると以下のようになる。

δ=2×2π{(1/4)-(1/6)}=π/3 (電気角) より、次式を計算する。

P6=2{cos0+cos6×1(π/3)+ cos6×2(π/3)}
=6
Nc=2×6=12
従って、これもコギングトルクが6次成分で構成され、値が大きくなるので、不適当である。
一般的に、固定子主極数が多いほうが、また回転子極数が多いほうがNcも多きな値となる。
Nc=(極対数)×(存在するコギングトルク調波数)
からも理解できる。主極数は3相機では3の倍数であるから、低コギングトルクモータは主極数6は不適当で、9以上となる。しかし、18以上ではコイルが多すぎるため価格が高くなる。そのため実用的な低コギングトルクモータは主極数は9または12となる
【0011】
図1は前述したが本発明による12主極で回転子極数が22の例であり、突極1−1と回転子のS極が対向しているとき、突極1−2と次の回転子S極とのなす角度δははδ={(p/6)−2}π なのでp=11を代入すれば図示したように、π/6となり、(4)式によりパーミアンスの6次成分P6を計算すると以下のようになる。
【数5】

=0
即ち(1)式を成立させることができる。
3相機のコギングトルクの調波数は6の整数倍となるので、パーミアンスの12調波成分P12を確認する。
【数6】

=12
即ち、コギングトルクは6次成分は零で12次成分以上となるので従来技術例よりコギングトルクは大きく低減されることになる。
従って、Nc=12×11=132
となり、60を大きく超えているので、低コギングトルクモータとして適したものとなる。この技術は請求項1及び手段1に対応し、回転子極数が22極は(1)式を満たす一例である。巻き線はスター結線の例で示したがデルタ結線も可能である。
【0012】
図2は別の本発明の例で、請求項2及び手段2に対応するものである。固定子は環状体5から均等の60度で6個の主極が放謝状に設けられ、更に各主極から2個の誘導子を設けた構造である。もしこの各2個の誘導子のピッチを30度にすれば、回転子から見たパーミアンスは図1の12主極と同じとなり、コギングトルク成分も同じく、6次は消えて、12次成分となる。従って(1)式を満たすことができる。回転子極数が22極は(1)式を満たす一例である。巻き線はスター結線の例で示したがデルタ結線も可能である。この場合もバックヨーク4が必要なのは同じである。
図2と図1の構成を比較すると、コギングトルクは上述したように、同じく、小さくなるが、図2の構成の方が図1の構成より、低速で大きなトルクを出せる特徴がある。トルクは電気装荷と磁気装荷の積で決まるが、一般に同一回転子でも、主極数が少ないほど、この積が大きくでき、高トルクが出せる。欠点としては12主極より6主極の方がコイルエンドが大きくなるので、薄形品には適さないことになる。一般に従来技術ではトルクを高くすると、振動も大きくなるが、本構成では振動はコギングトルクが小さいので低く、トルクは高くできるメリットがある。
【0013】
次に主極数が9の場合での本発明の例を示す。図3は請求項3及び手段3を具現したものである。回転子極数は図1と同じ22極の例である。突極1−1と回転子のS極が対向しているとき、突極1−2と次の回転子S極とのなす角度δはδ={(2p/9)−2}π なのでp=11を代入すれば図示したように、4π/9となり、図3を参照して、回転子の極数を22とした場合は次のように上述した(2)式、(3)式を零とすることで、各々、6次、12次調波が消えて、18次調波が存在することになる。
【数2】

【数3】

更にパーミアンスの18次成分P18を計算してみる。
【数7】

即ちP18≠0 なので、18次調波が存在し、Nc=18×11=198
となり、低コギングトルクモータとして適したものとなる。
尚、12次調波以上でも低コギングトルクモータとなるので、(2)式を満足できればよく、(2)と(3)式を同時に満たせばコギングトルクは18次成分となり、極めて小さなコギングレスモータに近づく。巻き線は図示したように、1相分が1−1、1−4、1−7と120度隔てた突極で構成され、2個同極で1個異極性となり、点線で示した磁路となり、4なるバックヨークが必要となる。尚、巻き線は1相分のみで示した。各部品番号は図1と同じである。
【0014】
次に主極数が9の場合での本発明の別例を示す。図7を参照して、回転子の極数を14とした場合は次のように上述した(2)式、(3)式を零とすることで、各々、6次、12次調波が消えて、18次調波が存在することになる。
【数8】

【数9】

更にパーミアンスの18次成分P18を計算してみる。
【数10】

即ちP18≠0 なので、18次調波が存在し、Nc=18×7=126
となり、低コギングトルクモータとして適したものとなる。
この場合の巻き線は、図3の場合とは異なり、図示したように、U相分が1−1、1−5、1−6なる突極で構成され、3個とも同極性となる。V相、W相も相内の3個の突極は同極となる。図7はスター結線の例であり、U,V,W相の巻き終わりは短絡されている。ここでUVの2端子間に電圧を印可すると、2相励磁となり、U相が図示したS極となれば、V相は電流が巻き終わり側から来るので異極性のN極となる。この場合は回転子永久磁石の磁束磁路は隣接の回転子磁極間となる割合が大きくなるので、バックヨークの必要度は今までの例と比べれば少ない。
【0015】
上述したように本発明の3相12主極および誘導子付きの6主極構造の場合は、(1)式を、また9主極の場合は(2)と(3)式を満たす極対数pの永久磁石回転子構造として極めて低回転ムラなスムーズな負荷駆動が実現する。説明図は内転型(インナーロータ型)で示したが、外転型(アウターロータ型)にも、同様に成立する。外転型はロータイナーシャを大きくできるので一定速度駆動の用途には回転ムラを小さくできるメリットがある。反対に内転型は可変速度等に適することになる。
駆動方式としてはホール素子等で回転子磁極を検出して最適タイミング(通常はコイル電流軸と回転子磁極軸が直交)で固定子主極を励磁するクローズドループ駆動のブラシレスDCモータが最適であるが、オープンループ駆動のステッピングモータとしても良い。ホール素子等で回転子磁極を検出するブラシレスDCモータの場合はモータのサイズが直径60mm程度ではpが11即ち22極程度を超えると、量産ベースでバラツキを少なく磁極検出することが困難となるので、実用的な極対数pは自ずと制限が存在することになる。
上記の説明は前述した表面磁石式回転子で説明したが、極対数pが(1)式、あるいは(2)、(3)式を満たすpであれば、図示は省略するが、セグメント式の表面磁石式回転子でも、埋め込み磁石式
でも、同様な効果が得られる。
【0016】
以上の本発明の回転電機はスターあるいはデルタ結線による3端子のU,V,W相で、インバータ等による反転電流でバイポーラ駆動し、図5の駆動回路で駆動する。例えばトランジスターT1とT4をホール素子の出力でオンすれば、U相、V相の2相励磁となり、以下、(T4,T5)、(T5,T2)、(T2,T3)、(T3,T6)、(T6,T1)とオンすることで回転をする。
【0017】
本発明の請求項1から4の回転電機は、突極の巻線を2コイル巻いたユニポーラ巻線を有して、固定子とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機にすることもできる。ユニポーラ巻き線には一方向電流で180度位相のことなる電流で駆動する3相式回転電機となり、図6の駆動回路で駆動できる。一方向電流で180度位相のことなる電流は、例えばT1とT2のトランジスターにてどちらかがオンの時はたがオフとなる様にして駆動する。高速回転させる場合は図5のバイポーラ駆動よりこのユニポーラ駆動の方が巻き線のインダクタンスが小さくなり適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関する回転電機の図
【図2】本発明に関する別の回転電機の図
【図3】本発明に関する別の回転電機の図
【図4】本発明に関する共通の断面図
【図5】本発明に関する駆動回路の図
【図6】本発明に関する別の駆動回路の図
【図7】本発明に関する別の回転電機の図
【図8】従来技術の図
【図9】別の従来技術の図
【符号の説明】
【0019】
1:固定子、
2:回転子永久磁石、
3:コイル、
4:バックヨーク、
5:誘導子付き固定子、
6:回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略環状体から12個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次12個の突極に番号を付けた場合、突極1,2,7,8で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1とその隣接する突極2が同一極性で突極7とその隣接する突極8は突極1、突極2とは異極性に磁化され、2相目巻線が同様に突極3、4、9、10、に、また残りの突極5、6、11,12に3相目の巻線が設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該12個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の固定子突極と回転子極が対向したとき、次式を満たす回転電機。
【数1】

【請求項2】
略環状体から6個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなり該6個の突極には更に各々2個の誘導子を有し、該6個の固定子で任意の突極1から順次6個の突極に番号を付けた場合、突極1,4で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1と突極4が異極性に磁化され、2相目巻線が同様に突極3、5に、また残りの突極3、6に3相目の巻線が同様に設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該6個の突極の先端部の該誘導子とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p 極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たす回転電機。
【数1】

【請求項3】
略環状体から9個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次9個の突極に番号を付けた場合、突極1,4,7,で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1と、突極4,7はお互いに異極性となるように巻線され、2相目巻線が同様に突極2、と突極5、8がお互いに異極性に、また3相目の巻線が、残りの突極3、と突極6、9がお互いに異極性となるように設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該9個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たすことを特徴とした回転電機。
【数2】

あるいは上式に加えて、次式も満たすことを特徴とした回転電機。
【数3】

【請求項4】
略環状体から9個の突極を均等に放謝状に設けた磁性体よりなる固定子で任意の突極1から順次9個の突極に番号を付けた場合、突極1,5,6,で1相巻線を構成し、直流励磁電流で、突極1、5,6とも同極性となるように巻線され、2相目巻線が同様に突極7、2,3で、すべてお互いに同極性に、また3相目の巻線が、残りの突極4、8,9で、すべてお互いに同極性となるように設けられた3相機とし、各相の巻き終わりを短絡したスター結線あるいは巻き終わりと次相の巻き始めを順次結合させたデルタ結線とし、該9個の突極の先端部とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機であって、任意の誘導子と回転子極が対向したとき、次式を満たすことを特徴とした回転電機。
【数2】

あるいは上式に加えて、次式も満たすことを特徴とした回転電機。
【数3】

【請求項5】
請求項1から4において、該突極の巻線を2コイル巻いたユニポーラ巻線を有した固定子とエアギャップを介してN極とS極が交互に合計2p極に磁化された円筒状永久磁石回転子と回転自在に対抗した内転形あるいは外転形回転電機にて該ユニポーラ巻き線には一方向電流で180度位相のことなる電流で駆動する3相式回転電機。
【請求項6】
請求項1から4において、回転子の円筒状永久磁石の反エアギャップ側に磁性体よりなるバックヨークを有した回転電機。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−109675(P2006−109675A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296573(P2004−296573)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000228730)日本サーボ株式会社 (276)
【Fターム(参考)】