説明

汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法

【課題】汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減すること。
【解決手段】乾燥機3と排気装置8とヒートポンプ11−1〜11−nとを備えている。乾燥機3は、ヒートポンプ蒸気の熱により汚泥を加熱する。排気装置8は、その汚泥が加熱される雰囲気を減圧する。このような減圧によれば、その汚泥を乾燥させる温度を低減することができ、その汚泥をより高効率に乾燥することができる。ヒートポンプ11−1〜11−nは、その汚泥が加熱されることにより生成される排気の熱により、加熱媒体を加熱してヒートポンプ蒸気を生成する。このような汚泥乾燥装置10は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法に関し、特に、汚泥を乾燥する汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥を乾燥する汚泥乾燥装置が知られている。その汚泥としては、下水を脱水することにより生成される固体、工場の廃液、し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより生成される固体が例示される。このような汚泥は、含水率が80%程度である。このような汚泥は、乾燥されることにより、減容され、または、燃料化される。このような汚泥乾燥装置は、消費エネルギーを低減することが望まれている。
【0003】
特開平10−103861号公報には、蒸気再圧縮の原理を用い、且つ、水蒸気を予熱源とした小型・簡便でエネルギー効率が高い水蒸気再圧縮式真空乾燥装置が開示されている。その水蒸気再圧縮式真空乾燥装置は、廃棄物を入れる真空タンクと、その真空タンクからの水蒸気を圧縮する圧縮手段と、そのタンクと熱的に結合された水蒸気凝縮手段と凝縮水および不凝縮性ガスを排出する排出手段とを有する水蒸気再圧縮式真空乾燥装置において、真空タンクの外部に水蒸気発生手段を設け、その水蒸気発生手段の吐出側を真空タンクに接続したことを特徴としている。
【0004】
特許第3147146号公報には、水蒸気圧縮機の体積効率を維持し、小型・軽量化することも可能な水蒸気再圧縮式真空乾燥装置のスーパーヒータが開示されている。その水蒸気再圧縮式真空乾燥装置のスーパーヒータは、廃棄物を入れる真空タンクと、その真空タンクからの水蒸気を圧縮する水蒸気圧縮機と、前記真空タンクに設けられタンクと熱的に結合された水蒸気凝縮器と、水蒸気凝縮器からの不凝縮性ガスを自発的に排出する不凝縮性ガス排出手段と、水蒸気凝縮器からの凝縮水を自発的に排出する凝縮水排出手段とを有し、前記水蒸気圧縮機の吸気管に吸気を加熱するヒータコイルが捲回されスイッチを介して電源に接続されており、そして前記水蒸気圧縮機の吐出側の蒸気配管が水蒸気凝縮機に接続されていることを特徴としている。
【0005】
特許第3891469号公報には、水蒸気圧縮機の耐熱性が高く、かつオイルフリーであり、被脱水物への伝熱性能が改善され、不凝縮性ガス排除性能の優れた水蒸気ヒートポンプ式蒸発脱水装置が開示されている。その水蒸気ヒートポンプ式蒸発脱水装置は、被脱水物を入れる乾燥容器と、その乾燥容器内を減圧し水蒸気を抽気する水蒸気圧縮手段と、その水蒸気圧縮手段から吐出される加圧水蒸気を凝縮しその潜熱で前記乾燥容器内の被脱水物を脱水する凝縮手段とで構成される水蒸気ヒートポンプ式蒸発脱水装置において、前記乾燥容器内に回転軸を立設し、その回転軸の周囲を螺旋状に巡る複数の螺旋体を設けその内部に水蒸気通路を形成して第1の凝縮手段を構成すると共に被脱水物の撹拌を行う撹拌伝熱手段を設け、前記回転軸内に前記水蒸気圧縮手段からの水蒸気を上端に向け噴出しその動圧によって前記螺旋体内部の水蒸気通路を掃気する構成としたことを特徴としている。
【0006】
特許第2662687号公報には、固形状態を呈する有機性汚泥を効率よく焼却する有機性汚泥の焼却方法が開示されている。その有機性汚泥の焼却方法は、固形状態を呈する有機性汚泥を焼却するに際し、該有機性汚泥を200℃以上の温度及び該温度の飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して流動化させ、この高温高圧下の流動化物をフラッシュ減圧し、得られたフラッシュ減圧残渣物を焼却することを特徴としている。
【0007】
特許第3646132号公報には、有機性汚泥スラリー液を高率で濃縮する工程を含む有機性汚泥の処理方法が開示されている。その有機性汚泥の処理方法は、固体状態を示す有機性汚泥の処理方法において、(i)高温蒸気を用いて該有機性汚泥を150〜275℃の反応温度に間接的に加熱するとともに、該反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して液状化させる液状化工程、(ii)該液状化工程で得られた汚泥スラリー液からその固形分濃度が20〜40重量%の濃縮液を得る濃縮工程、(iii)該濃縮工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を燃焼処理する燃焼工程、(iv)該燃焼工程で得られた高温燃焼排ガスを廃熱ボイラーに供給して、高温蒸気を発生させる高温蒸気発生工程、(v)流量調節バルブを介して該高温蒸気発生工程で得られた高温蒸気を前記液状化工程に送って有機性汚泥の間接加熱用熱源として用いる高温蒸気供給工程、(vi)該流量調節バルブにより液状化工程に供給される高温蒸気量を前記液状化工程の反応温度との関連で調節して液状化工程の反応温度を常に150〜275℃の範囲に調節する高温蒸気量調節工程、からなり、前記濃縮工程が、(a)該有機性汚泥液状化工程から得られる加圧状態にある高温の汚泥スラリー液をフラッシュタンク内にフラッシュさせてその中に含まれている水分を水蒸気として蒸発させるとともに、生成した水蒸気をタンク外部に排出させるフラッシュ工程と、(b)該フラッシュ工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を、50℃以下の温度でかつ500G以下の遠心重力の条件下で遠心処理して、汚泥スラリー高濃縮液と分離水を得る遠心工程からなることを特徴としている。
【0008】
特開平10−80699号公報には、有機性汚泥の液状化物にみられる固形分の高粘度化現象の発生を防止するとともに、有機性汚泥を工業的に有利に処理する有機性汚泥の処理方法が開示されている。その有機性汚泥の処理方法は、固体状態を示す有機性汚泥の処理方法において、(i)高温蒸気を用いて該有機性汚泥を150〜275℃の反応温度に間接的に加熱するとともに、該反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して液状化させる液状化工程、(ii)該液状化工程で得られた有機性汚泥の液状化物から水蒸気を蒸発させて濃縮する濃縮工程、(iii)該濃縮工程で得られた液状化汚泥濃縮物を燃焼処理する燃焼工程、(iv)該燃焼工程で得られた高温燃焼排ガスを廃熱ボイラーに供給して、高温蒸気を発生させる高温蒸気発生工程、(v)流量調節バルブを介して該高温蒸気発生工程で得られた高温蒸気を前記液状化工程に送って有機性汚泥の間接加熱用熱源として用いる高温蒸気供給工程、(vi)該流量調節バルブにより液状化工程に供給される高温蒸気量を前記液状化工程の反応温度との関連で調節して液状化工程の反応温度を常に150〜275℃の範囲に調節する高温蒸気量調節工程からなることを特徴としている。
【0009】
特開2008−100218号公報には、水熱処理後の廃液及び固液分離(脱液)工程からの液分の着色成分の処理を改良して、ランニングコストや処理設備の小型化を図ることができる下水汚泥の処理方法が開示されている。その下水汚泥の処理方法は、処理容器内に供給した下水汚泥を高温高圧処理する高温高圧工程と、高温高圧処理後の処理汚泥を固液分離手段にて固液分離する脱液工程と、脱液汚泥に対して乾燥処理する乾燥工程と、前記高温高圧処理後に処理容器から排出する廃液と前記脱液工程からの液分とを受けて、これを濃縮する濃縮工程と、濃縮工程での濃縮液は前記脱液汚泥と共に前記乾燥工程へと送る工程とを有することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−103861号公報
【特許文献2】特許第3147146号公報
【特許文献3】特許第3891469号公報
【特許文献4】特許第2662687号公報
【特許文献5】特許第3646132号公報
【特許文献6】特開平10−80699号公報
【特許文献7】特開2008−100218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減する汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減し、かつ、長寿命である汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減し、かつ、製造コストを低減する汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減し、かつ、汚泥をより速く乾燥する汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明による汚泥乾燥装置(10)(20)(30)(40)(50)(60)(80)は、乾燥機(3)(81)と排気装置(8)とヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)とを備えている。乾燥機(3)(81)は、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)により生成される蒸気(以下、「ヒートポンプ蒸気」と記載される。)の熱により汚泥を加熱する。排気装置(8)は、その汚泥が加熱される雰囲気を減圧する。このような減圧によれば、その汚泥を乾燥させる温度を低減することができ、その汚泥をより高効率に乾燥することができる。ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)は、その汚泥が加熱されることにより生成される排気の熱により、加熱媒体を加熱してヒートポンプ蒸気を生成する。すなわち、加熱媒体は、排気と異なっている。このような汚泥乾燥装置(10)(20)(30)(40)(50)(60)(80)は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減することができる。
【0014】
本発明による汚泥乾燥装置(10)(20)(30)(40)(60)(80)は、コンデンサ(7)をさらに備えている。コンデンサ(7)は、その排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、その冷却媒体から冷却排水を生成し、その排気を凝縮させる。このとき、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)は、その冷却排水からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その冷却排水から冷却媒体を生成し、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。このような汚泥乾燥装置(10)(20)(30)(40)(60)(80)は、排気からその加熱媒体に熱を移動させることに比較して、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)の腐食を防止することができる。
【0015】
本発明による汚泥乾燥装置(20)(30)(40)(50)は、ドレン水を加熱することによりボイラー蒸気を生成するボイラー(21)(32)(42)(52)をさらに備えている。乾燥機(3)は、熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させることにより、その熱源蒸気からそのドレン水を生成し、かつ、その汚泥を加熱する。このとき、その熱源蒸気は、ボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気である。このような汚泥乾燥装置(20)(30)(40)(50)は、ヒートポンプ(24)(34)(44)(54)により生成される熱量が小さい場合でも、乾燥機(3)に熱源が十分に供給されることができ、汚泥をより速く乾燥することができる。
【0016】
本発明による汚泥乾燥装置(20)は、ボイラー(21)の排熱によりその温水を加熱する熱交換器(23)をさらに備えている。このような汚泥乾燥装置(20)は、ボイラー(21)の排熱が熱源蒸気に伝達され、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0017】
本発明による汚泥乾燥装置(40)は、ボイラー蒸気とヒートポンプ蒸気とを混合することにより、その熱源蒸気を乾燥機(3)に供給する減圧弁(45)をさらに備えている。ヒートポンプ蒸気は、ボイラー蒸気が高温高圧であるときに、その熱源蒸気を所定圧力に減圧し、その熱源蒸気を所定温度に冷却するために用いられる。このとき、ヒートポンプ(44)は、このように用いられるヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができる。このため、汚泥乾燥装置(40)は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0018】
本発明による汚泥乾燥装置(30)は、コンデンサ(7)をさらに備えている。コンデンサ(7)は、その排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、その冷却媒体から冷却排水を生成し、その排気を凝縮させる。このとき、ヒートポンプ(34)は、その冷却排水とドレン水との混合物からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その混合物からその冷却媒体を生成し、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。乾燥機(3)は、熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させることにより、その熱源蒸気をそのドレン水に凝縮させ、かつ、その汚泥を加熱する。このような汚泥乾燥装置(30)は、ドレン水からその加熱媒体に熱を移動させることに比較して、ヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができ、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0019】
ヒートポンプ(54)は、その排気からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その排気を凝縮させ、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。このような汚泥乾燥装置(50)は、ヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができ、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0020】
本発明による汚泥乾燥装置(60)(80)は、未可溶化汚泥を加圧して加熱することによりその汚泥を生成する可溶化装置(61)(81)をさらに備えている。このようなその汚泥は、未可溶化汚泥に比較して、乾燥されやすい。このため、このような汚泥乾燥装置(60)(80)は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0021】
その熱源蒸気は、可溶化装置(61)でその未可溶化汚泥を加熱した後に乾燥機(3)でその汚泥を加熱することが好ましい。
【0022】
乾燥機(81)は、さらに、未可溶化汚泥を加圧して加熱することによりその汚泥を生成する。すなわち、乾燥機(81)は、未可溶化汚泥を加圧して加熱することによりその汚泥を生成する可溶化装置(81)と兼用されることが好ましい。
【0023】
本発明による汚泥乾燥方法は、乾燥機(3)(81)を用いて、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)により生成されたヒートポンプ蒸気の熱により汚泥を減圧雰囲気で加熱するステップと、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)を用いて、その汚泥が加熱されることにより生成される排気の熱により加熱媒体を加熱してヒートポンプ蒸気を生成するステップとを備えている。すなわち、加熱媒体は、排気と異なっている。このような汚泥乾燥方法は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減することができる。さらに、その汚泥が減圧雰囲気で加熱されることによれば、その汚泥を乾燥させる温度を低減することができ、その汚泥をより高効率に乾燥することができる。
【0024】
本発明による汚泥乾燥方法は、その排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、その冷却媒体から冷却排水を生成し、その排気を凝縮させるステップをさらに備えている。ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)は、その冷却排水からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その冷却排水からその冷却媒体を生成し、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。このような汚泥乾燥方法は、排気からその加熱媒体に熱を移動させることに比較して、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)の腐食を防止することができる。
【0025】
本発明による汚泥乾燥方法は、ボイラー(21)(32)(42)(52)を用いてドレン水を加熱することによりボイラー蒸気を生成するステップをさらに備えている。乾燥機(3)は、熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させることにより、その熱源蒸気からそのドレン水を生成し、かつ、その汚泥を加熱する。その熱源蒸気は、ボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気である。このような汚泥乾燥方法は、ヒートポンプ(11−1〜11−n)(24)(34)(44)(54)により生成される熱量が小さい場合でも、乾燥機(3)に熱源が十分に供給されることができ、汚泥をより速く乾燥することができる。
【0026】
本発明による汚泥乾燥方法は、熱交換器(23)を用いてボイラー(21)の排熱を用いてその温水を加熱するステップをさらに備えている。このような汚泥乾燥方法は、ボイラー(21)の排熱が熱源蒸気に伝達され、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0027】
本発明による汚泥乾燥方法は、ボイラー蒸気とヒートポンプ蒸気とを混合してその熱源蒸気を生成するステップを備えている。ヒートポンプ蒸気は、ボイラー蒸気が高温高圧であるときに、その熱源蒸気を所定圧力に減圧し、その熱源蒸気を所定温度に冷却するために用いられる。このとき、ヒートポンプ(44)は、このように用いられるヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができる。このため、汚泥乾燥装置(40)は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0028】
本発明による汚泥乾燥方法は、その排気から冷却媒体に熱を移動させるコンデンサ(7)を用いて、その冷却媒体から冷却排水を生成し、その排気を凝縮させるステップをさらに備えている。ヒートポンプ(34)は、その冷却排水とドレン水との混合物からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その混合物からその冷却媒体を生成し、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。乾燥機(3)は、熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させることにより、その熱源蒸気をそのドレン水に凝縮させ、かつ、その汚泥を加熱する。このような汚泥乾燥装置(30)は、ドレン水からその加熱媒体に熱を移動させることに比較して、ヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができ、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0029】
ヒートポンプ(54)は、その排気からその加熱媒体に熱を移動させることにより、その排気を凝縮させ、かつ、その加熱媒体からヒートポンプ蒸気を生成する。このような汚泥乾燥装置(50)は、ヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができ、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0030】
本発明による汚泥乾燥方法は、未可溶化汚泥を加圧して加熱することによりその汚泥を生成するステップをさらに備えている。このようなその汚泥は、未可溶化汚泥に比較して、乾燥しやすい。このため、このような汚泥乾燥装置(60)(80)は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーをより低減することができる。
【0031】
本発明による汚泥乾燥方法は、その未可溶化汚泥からその汚泥を生成する最中に、その汚泥と異なる他の汚泥を乾燥するステップをさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明による汚泥乾燥装置および汚泥乾燥方法は、汚泥を乾燥するための消費エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による汚泥乾燥装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明による汚泥乾燥装置の実施の他の形態を示すブロック図である。
【図3】図3は、真空乾燥機が汚泥を乾燥するときに必要である熱量の変化を示し、ヒートポンプにより生成されるヒートポンプ蒸気の熱量の変化を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示すブロック図である。
【図8】図8は、汚泥が乾燥されているときに汚泥の含水率の変化を示すグラフである。
【図9】図9は、乾燥時間比と蒸発速度比とを示すグラフである。
【図10】図10は、乾燥燃料の硫化水素の濃度と乾燥燃料の硫化メチルの濃度と乾燥燃料の二硫化メチルの濃度と乾燥燃料のメチルメルカプタンの濃度とを示すグラフである。
【図11】図11は、乾燥燃料のアンモニアの濃度を示すグラフである。
【図12】図12は、乾燥燃料の臭気濃度と乾燥燃料の臭気指数とを示すグラフである。
【図13】図13は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面を参照して、本発明による汚泥乾燥装置の実施の形態を記載する。その汚泥乾燥装置10は、図1に示されているように、ケーキ貯留ホッパ1とケーキ搬送ポンプ2と真空乾燥機3と乾燥燃料ホッパ5とを備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0035】
真空乾燥機3は、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0036】
真空乾燥機3は、さらに、複数のヒートポンプ11−1〜11−n(n=2,3,4,…)と冷却水循環水槽12と冷却水循環ポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。その冷却水の温度としては、30℃が例示される。冷却水循ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0037】
複数のヒートポンプ11−1〜11−nの各ヒートポンプ11−i(i=1,2,3,…,n)は、ヒートポンプ蒸気を生成する。このとき、真空乾燥機3は、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されるヒートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、そのヒートポンプ蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱して乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。ヒートポンプ11−iは、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からそのヒートポンプ蒸気を生成する。ヒートポンプ11−iは、さらに、コンデンサ7により生成される冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。すなわち、ヒートポンプ11−iは、電力を用いてその冷却排水からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。
【0038】
本発明による汚泥乾燥方法の実施の形態は、汚泥乾燥装置10により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3の内部に搬送する。真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、攪拌羽根を用いてその汚泥を攪拌する。エゼクタ8は、真空乾燥機3が密封された後に、真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。
【0039】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気とポンプ14により供給される冷却水とを熱的を接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0040】
ヒートポンプ11−1〜11−nは、それぞれ、コンデンサ7により生成される冷却排水から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ11−1〜11−nは、さらに、その熱の移動により、コンデンサ7により生成された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0041】
真空乾燥機3は、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されるヒートポンプ蒸気と汚泥とを熱的に接触させることにより、そのヒートポンプ蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱して乾燥する。このとき、エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0042】
真空乾燥機3は、このような乾燥を所定の時間(たとえば、20時間)継続することにより、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0043】
本発明による汚泥乾燥装置の比較例は、汚泥乾燥装置10のヒートポンプ11−1〜11−nに置換して、ボイラーとクーリングタワーとを備えている。そのボイラーは、化石燃料を燃焼することにより、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱し、そのドレン水からボイラー蒸気を生成し、そのボイラー蒸気を真空乾燥機3に供給する。このとき、真空乾燥機3は、そのボイラー蒸気と汚泥とを熱的に接触させることにより、そのボイラー蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱して乾燥する。そのクーリングタワーは、コンデンサ7により生成される冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0044】
本発明による汚泥乾燥装置10は、このような比較例のクーリングタワーを備えておらず、このような比較例に比較して、設置面積を低減し、製造コストを低減することができる。本発明による汚泥乾燥装置10は、さらに、このような比較例のボイラーを備えておらず、化石燃料を消費しないで、排出される二酸化炭素を低減することができる。本発明による汚泥乾燥装置10は、さらに、ヒートポンプ11−1〜11−nを用いることにより、このような比較例に比較して、冷却水とボイラー蒸気とを生成するときに消費されるエネルギーが少ない。このため、本発明による汚泥乾燥装置10は、このような比較例に比較して、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0045】
なお、ヒートポンプ11−1〜11−nは、その汚泥を乾燥させるために十分なヒートポンプ蒸気を1台のヒートポンプが生成することができるときに、1台のヒートポンプに置換されることができる。このような汚泥乾燥装置は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0046】
図2は、本発明による汚泥乾燥装置の実施の他の形態を示している。その汚泥乾燥装置20は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ケーキ貯留ホッパ1とケーキ搬送ポンプ2と真空乾燥機3と乾燥燃料ホッパ5とを備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0047】
真空乾燥機3は、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0048】
コンデンサ7は、さらに、冷却水循環水槽12とポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0049】
真空乾燥機3は、さらに、ドレン回収器21とボイラー22と熱交換器23とヒートポンプ24とを備えている。ドレン回収器21は、真空乾燥機3により生成されるドレン水を回収し、そのドレン水から温水を生成し、その温水をボイラー22に給水する。ボイラー22は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器21から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成する。そのボイラー蒸気の温度としては、120℃が例示される。ボイラー22は、その化石燃料を燃焼することにより、高温のボイラー排気を排気する。熱交換器23は、ボイラー22から排気されるボイラー排気とコンデンサ7により生成される冷却排水とを熱的に接触させることにより、そのボイラー排気からその冷却排水に熱を移動させ、その冷却排水を加熱する。
【0050】
ヒートポンプ24は、熱交換器23により加熱された冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。ヒートポンプ24は、さらに、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成する。すなわち、ヒートポンプ24は、その冷却排水からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。
【0051】
このとき、真空乾燥機3は、ボイラー22により生成されるボイラー蒸気またはヒートポンプ24により生成されるヒートポンプ蒸気から汚泥に熱を移動させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を冷却して、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0052】
本発明による汚泥乾燥方法の実施の他の形態は、汚泥乾燥装置20により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3の内部に搬送する。真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、攪拌羽根を用いてその汚泥を攪拌する。エゼクタ8は、真空乾燥機3が密封された後に、真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。
【0053】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気から冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0054】
ボイラー22は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器21から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成し、そのボイラー蒸気を真空乾燥機3に供給する。熱交換器23は、ボイラー22から排気されるボイラー排気とコンデンサ7により生成される冷却排水とを熱的に接触させることにより、そのボイラー排気からその冷却排水に熱を移動させ、その冷却排水を加熱する。ヒートポンプ24は、ボイラー22がそのボイラー蒸気の生成を開始してから所定時間経過後に、熱交換器23により加熱された冷却排水から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ24は、さらに、その熱の移動により、熱交換器23により加熱された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。ボイラー22は、ヒートポンプ24がそのヒートポンプ蒸気の生成を開始してからさらに所定時間経過後に、ボイラー蒸気を生成することを停止する。
【0055】
真空乾燥機3は、供給される熱源蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。その熱源蒸気は、汚泥の乾燥の開始直後にボイラー22により生成されたボイラー蒸気であり、その開始直後から所定時間経過後にそのボイラー蒸気とヒートポンプ24により生成されたヒートポンプ蒸気との混合物であり、さらに所定時間経過後にそのヒートポンプ蒸気である。
【0056】
エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0057】
真空乾燥機3は、このような乾燥を所定の時間継続することにより、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0058】
図3は、真空乾燥機3が汚泥を乾燥するときに必要である熱量の変化を示している。その変化26は、その熱量が初期的に単純に増加し、所定時間経過後にその熱量が単純に減少することを示している。図3は、さらに、ヒートポンプ24により生成されるヒートポンプ蒸気の熱量の変化を示している。その変化27は、汚泥の乾燥の開始直後から所定時間経過後にヒートポンプ24がヒートポンプ蒸気を生成し始めることを示している。変化27は、さらに、汚泥の乾燥の開始直後から所定時間経過まで、そのヒートポンプ蒸気の熱量が汚泥を乾燥するときに必要である熱量に不足していることを示している。変化27は、さらに、汚泥の乾燥の開始直後から所定時間経過した以降に、そのヒートポンプ蒸気の熱量が汚泥を乾燥するときに必要である熱量以上であることを示している。
【0059】
すなわち、本発明による汚泥乾燥方法では、ボイラー22は、ヒートポンプ24がヒートポンプ蒸気の生成を開始する前にボイラー蒸気を生成し始める。ボイラー22は、さらに、ヒートポンプ24により生成されるヒートポンプ蒸気の熱量が汚泥を乾燥するときに必要である熱量以上になったときに、ボイラー蒸気を生成することを停止する。
【0060】
本発明による汚泥乾燥装置20は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、クーリングタワーを備える必要がなく、設置面積を低減し、製造コストを低減することができる。本発明による汚泥乾燥装置20は、さらに、ボイラー22の稼働時間を低減することができ、化石燃料の消費を低減し、排出される二酸化炭素を低減することができる。本発明による汚泥乾燥装置20は、さらに、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ヒートポンプ24を用いることにより、冷却水とボイラー蒸気とを生成するときに消費されるエネルギーが少ない。このため、本発明による汚泥乾燥装置10は、このような比較例に比較して、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0061】
本発明による汚泥乾燥装置20は、さらに、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と比較して、汚泥の乾燥初期に汚泥に十分な熱量を供給することができる。このため、本発明による汚泥乾燥装置20は、汚泥をより高効率に乾燥することができる。本発明による汚泥乾燥装置20は、さらに、熱交換器23を用いて、ボイラー22の排熱をヒートポンプ24がヒートポンプ蒸気を生成することに利用している。このため、ヒートポンプ24は、そのヒートポンプ蒸気をより高効率に生成することができ、本発明による汚泥乾燥装置20は、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0062】
なお、汚泥乾燥装置20は、ヒートポンプ34を複数台備えることもできる。このとき、汚泥乾燥装置20は、汚泥の乾燥に十分である熱量の熱源蒸気をより確実に供給することができる。
【0063】
図4は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示している。その汚泥乾燥装置30は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ケーキ貯留ホッパ1とケーキ搬送ポンプ2と真空乾燥機3と乾燥燃料ホッパ5とを備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0064】
真空乾燥機3は、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0065】
コンデンサ7は、さらに、冷却水循環水槽12と冷却水循環ポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。冷却水循環ポンプ14は冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0066】
真空乾燥機3は、さらに、ドレン回収器31とボイラー32とヒートポンプ34とを備えている。ドレン回収器31は、真空乾燥機3により生成されるドレン水を回収し、そのドレン水から温水を生成し、その温水をボイラー32に給水する。ボイラー32は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器31から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成する。そのボイラー蒸気の温度としては、120℃が例示される。ボイラー32は、その化石燃料を燃焼することにより、高温のボイラー排気を排気する。
【0067】
ヒートポンプ34は、コンデンサ7により生成された冷却排水と真空乾燥機3により生成されるドレン水との混合物を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。ヒートポンプ34は、さらに、外部から供給される水を加熱することにより、その水からヒートポンプ蒸気を生成する。すなわち、ヒートポンプ34は、電力を用いて、その冷却排水からその水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。
【0068】
このとき、真空乾燥機3は、ボイラー32により生成されるボイラー蒸気またはヒートポンプ34により生成されるヒートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の接触により、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を冷却して、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0069】
本発明による汚泥乾燥方法の実施のさらに他の形態は、汚泥乾燥装置30により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3の内部に搬送する。真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、攪拌羽根を用いてその汚泥を攪拌する。エゼクタ8は、真空乾燥機3が密封された後に、真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。
【0070】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気から冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0071】
ボイラー32は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器31から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成し、そのボイラー蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ34は、ボイラー32がそのボイラー蒸気の生成を開始してから所定時間経過後に、コンデンサ7により生成された冷却排水と真空乾燥機3により生成されるドレン水との混合物から、外部から供給される水に熱を移動させることにより、その水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ34は、さらに、その熱の移動により、その混合物から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。ボイラー32は、ヒートポンプ34により生成されるヒートポンプ蒸気の熱量が汚泥を乾燥するときに必要である熱量以上になったときに、ボイラー蒸気を生成することを停止する。
【0072】
真空乾燥機3は、供給される熱源蒸気から汚泥に熱を移動させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。その熱源蒸気は、汚泥の乾燥の開始直後ではボイラー32により生成されたボイラー蒸気であり、その開始直後から所定時間経過後ではそのボイラー蒸気とヒートポンプ34により生成されたヒートポンプ蒸気との混合物であり、さらに所定時間経過後にそのヒートポンプ蒸気である。エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0073】
真空乾燥機3は、このような乾燥を所定の時間継続することにより、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0074】
本発明による汚泥乾燥装置30は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、設置面積を低減し、製造コストを低減することができ、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0075】
コンデンサ7により生成された冷却排水と真空乾燥機3により生成されるドレン水との混合物は、コンデンサ7により生成された冷却排水に比較して、温度が高く、熱量が大きい。このため、ヒートポンプ34は、そのヒートポンプ蒸気をより効果的に生成することができ、本発明による汚泥乾燥装置30は、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0076】
図5は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示している。その汚泥乾燥装置40は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ケーキ貯留ホッパ1とケーキ搬送ポンプ2と真空乾燥機3と乾燥燃料ホッパ5とを備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0077】
真空乾燥機3は、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0078】
コンデンサ7は、さらに、冷却水循環水槽12と冷却水循環ポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気とポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0079】
真空乾燥機3は、さらに、ドレン回収器41とボイラー42とヒートポンプ44と減圧弁45とを備えている。ドレン回収器41は、真空乾燥機3により生成されるドレン水を回収し、そのドレン水から温水を生成し、その温水をボイラー42に給水する。ボイラー42は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器41から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成する。そのボイラー蒸気の温度としては、120℃が例示される。
【0080】
ヒートポンプ44は、コンデンサ7により生成された冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。ヒートポンプ44は、さらに、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成する。すなわち、ヒートポンプ44は、電力を用いて、その冷却排水からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。そのヒートポンプ蒸気は、ボイラー42により生成されるボイラー蒸気より低圧である。
【0081】
減圧弁45は、ボイラー42により生成されるボイラー蒸気とヒートポンプ44により生成されるヒートポンプ蒸気とを混合することにより、熱源蒸気を生成する。その熱源蒸気の圧力は、そのボイラー蒸気の圧力より低く、かつ、そのヒートポンプ蒸気の圧力より高い。その熱源蒸気の温度は、そのボイラー蒸気の温度より低く、かつ、そのヒートポンプ蒸気の温度より高い。
【0082】
このとき、真空乾燥機3は、減圧弁45により生成される熱源蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の接触により、その熱源蒸気を冷却して、その熱源蒸気を凝縮させ、その熱源蒸気からドレン水を生成する。
【0083】
本発明による汚泥乾燥方法の実施のさらに他の形態は、汚泥乾燥装置40により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3の内部に搬送する。真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、攪拌羽根を用いてその汚泥を攪拌する。エゼクタ8は、真空乾燥機3が密封された後に、真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。
【0084】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気から冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水に熱を移動させることにより、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0085】
ボイラー42は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器41から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成する。ヒートポンプ44は、コンデンサ7により生成された冷却排水から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成する。ヒートポンプ44は、さらに、その熱の移動により、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。減圧弁45は、ボイラー42により生成されるボイラー蒸気をヒートポンプ44により生成されるヒートポンプ蒸気により減圧冷却して、熱源蒸気を生成する。その熱源蒸気を真空乾燥機3に供給する。
【0086】
真空乾燥機3は、減圧弁45から供給される熱源蒸気から汚泥に熱を移動させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0087】
真空乾燥機3は、このような乾燥を所定の時間(たとえば、20時間)継続することにより、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0088】
本発明による汚泥乾燥装置40は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、設置面積を低減し、製造コストを低減することができ、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0089】
本発明による汚泥乾燥装置40は、減圧弁45を介して、所定の圧力の熱源蒸気を真空乾燥機3に供給することができる。このとき、ヒートポンプ44により生成されるヒートポンプ蒸気は、ボイラー42により生成されるボイラー蒸気と混合されるために、単独で真空乾燥機3の汚泥を乾燥させるために十分な熱量を備える必要がない。このとき、ヒートポンプ44は、このようなヒートポンプ蒸気をより効率的に生成することができ、このため、本発明による汚泥乾燥装置40は、本発明による汚泥乾燥装置40は、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0090】
図6は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示している。その汚泥乾燥装置50は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ケーキ貯留ホッパ1とケーキ搬送ポンプ2と真空乾燥機3と乾燥燃料ホッパ5とを備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0091】
真空乾燥機3は、ダスタ6とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気を生成する。
【0092】
真空乾燥機3は、さらに、ドレン回収器51とボイラー52とヒートポンプ54とを備えている。ドレン回収器51は、真空乾燥機3により生成されるドレン水を回収し、そのドレン水から温水を生成し、その温水をボイラー52に給水する。ボイラー52は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器51から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成する。そのボイラー蒸気の温度としては、120℃が例示される。ボイラー52は、その化石燃料を燃焼することにより、高温のボイラー排気を排気する。
【0093】
ヒートポンプ54は、ダスタ6により生成された排気を冷却することにより、その排気を凝縮して、ドレン排水と乾燥した排気とを生成する。その乾燥した排気は、エゼクタ8に供給される。ヒートポンプ54は、さらに、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成する。すなわち、ヒートポンプ54は、電力を用いて、その排気からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その乾燥した排気を生成する。
【0094】
このとき、真空乾燥機3は、ボイラー52により生成されるボイラー蒸気またはヒートポンプ54により生成されるヒートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の接触により、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を冷却して、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのボイラー蒸気またはヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0095】
本発明による汚泥乾燥方法の実施のさらに他の形態は、汚泥乾燥装置50により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機3の内部に搬送する。真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、攪拌羽根を用いてその汚泥を攪拌する。エゼクタ8は、真空乾燥機3が密封された後に、真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をヒートポンプ54に供給する。
【0096】
ボイラー52は、化石燃料を燃焼することにより、ドレン回収器51から給水された温水を加熱して、その温水からボイラー蒸気を生成し、そのボイラー蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ54は、ボイラー52がそのボイラー蒸気の生成を開始してから所定時間経過後に、ダスタ6から供給される排気から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機3に供給する。ヒートポンプ54は、さらに、その熱の移動により、その排気を冷却して、乾燥した排気を生成してエゼクタ8に供給する。ボイラー52は、ヒートポンプ54により生成されるヒートポンプ蒸気の熱量が汚泥を乾燥するときに必要である熱量以上になったときに、ボイラー蒸気を生成することを停止する。
【0097】
真空乾燥機3は、供給される熱源蒸気から汚泥に熱を移動させることにより、その汚泥を加熱して乾燥する。その熱源蒸気は、汚泥の乾燥の開始直後ではボイラー52により生成されたボイラー蒸気であり、その開始直後から所定時間経過後ではそのボイラー蒸気とヒートポンプ54により生成されたヒートポンプ蒸気との混合物であり、さらに所定時間経過後ではそのヒートポンプ蒸気である。エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0098】
真空乾燥機3は、このような乾燥を所定の時間(たとえば、20時間)継続することにより、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0099】
本発明による汚泥乾燥装置50は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、設置面積を低減し、製造コストを低減することができ、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0100】
既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10のコンデンサ7により生成される冷却排水は、真空乾燥機3から排出される排気に比較して、熱量が小さい。このため、本発明による汚泥乾燥装置50は、さらに、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10に比較して、ヒートポンプ54がそのヒートポンプ蒸気をより効果的に生成することができ、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0101】
図7は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示している。その汚泥乾燥装置60は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10がさらに可溶化装置61とコンプレッサ62とをさらに備えている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を可溶化装置61に搬送する。
【0102】
コンプレッサ62は、大気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、その圧縮空気を可溶化装置61に供給する。可溶化装置61は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。可溶化装置61は、さらに、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いて、その汚泥を可溶化し、その可溶化された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。
【0103】
真空乾燥機3は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、可溶化装置61により可溶化された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機3は、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機3は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機3により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0104】
真空乾燥機3は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機3に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機3の内部を排気することにより、真空乾燥機3の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0105】
真空乾燥機3は、さらに、複数のヒートポンプ11−1〜11−nと冷却水循環水槽12と冷却水循環ポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。その冷却水の温度としては、30℃が例示される。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0106】
複数のヒートポンプ11−1〜11−nの各ヒートポンプ11−iは、ヒートポンプ蒸気を生成する。このとき、可溶化装置61は、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されるヒートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、そのヒートポンプ蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱する。その加熱温度としては、170℃が例示される。可溶化装置61は、さらに、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いて、その汚泥を加圧する。その圧力としては、2MPaGが例示される。その汚泥は、その加熱と加圧とにより、汚泥中の細胞が破壊され、その細胞中の水分が自由水となり、可溶化される。可溶化装置61は、さらに、その可溶化によりそのヒートポンプ蒸気を冷却し、そのヒートポンプ蒸気から熱源蒸気を生成する。その熱源蒸気の温度としては、120℃が例示される。
【0107】
真空乾燥機3は、可溶化装置61により生成された熱源蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、その熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱して真空乾燥する。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、その熱源蒸気を冷却して、その熱源蒸気を凝縮させ、その熱源蒸気からドレン水を生成する。ヒートポンプ11−iは、真空乾燥機3により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からそのヒートポンプ蒸気を生成する。ヒートポンプ11−iは、さらに、コンデンサ7により生成される冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。すなわち、ヒートポンプ11−iは、電力を用いてその冷却排水からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。
【0108】
本発明による汚泥乾燥方法の実施のさらに他の形態は、汚泥乾燥装置60により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を可溶化装置61の内部に搬送する。可溶化装置61は、その汚泥が内部に搬送されると、密封される。ヒートポンプ11−1〜11−nは、その汚泥が可溶化装置61の内部に密封されると、コンデンサ7により生成される冷却排水から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を可溶化装置61に供給する。ヒートポンプ11−1〜11−nは、さらに、その熱の移動により、コンデンサ7により生成された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0109】
可溶化装置61は、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いてその汚泥を加圧し、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されたヒートポンプ蒸気をその汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱する。その汚泥は、その加圧と加熱とにより可溶化される。可溶化装置61は、さらに、その可溶化により、そのヒートポンプ蒸気を冷却し、そのヒートポンプ蒸気から熱源蒸気を生成し、その熱源蒸気を真空乾燥機3に供給する。
【0110】
このとき、ユーザは、可溶化装置61により汚泥が可溶化されている最中に、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に搬入する。可溶化装置61は、その可溶化が終了すると、その可溶化された汚泥を真空乾燥機3に搬送する。
【0111】
真空乾燥機3は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、可溶化装置61により生成される熱源蒸気と汚泥とを熱的に接触させることにより、その熱源蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱する。このとき、エゼクタ8は、真空乾燥機3の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導いている。真空乾燥機3は、さらに、その熱の移動により、その熱源蒸気を冷却して、その熱源蒸気を凝縮させ、その熱源蒸気からドレン水を生成する。
【0112】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機3から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的を接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0113】
ヒートポンプ11−1〜11−nは、それぞれ、コンデンサ7により生成される冷却排水から真空乾燥機3により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を可溶化装置61に供給する。ヒートポンプ11−1〜11−nは、さらに、その熱の移動により、コンデンサ7により生成された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0114】
真空乾燥機3は、このような減圧と加熱とを所定の時間継続することにより、その汚泥を乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。ユーザは、真空乾燥機3を用いてその汚泥を所定の時間乾燥した後に、乾燥燃料を真空乾燥機3から乾燥燃料ホッパ5に搬送する。
【0115】
可溶化装置61は、真空乾燥機3により汚泥が乾燥されている最中に、他の汚泥を可溶化する。すなわち、ケーキ搬送ポンプ2は、可溶化装置61により可溶化された汚泥が可溶化装置61から真空乾燥機3に搬送された後に、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を可溶化装置61の内部に搬送する。可溶化装置61は、その汚泥が内部に搬送されると、密封され、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いてその汚泥を加圧し、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されたヒートポンプ蒸気をその汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱する。
【0116】
このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置60は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【0117】
図8は、可溶化されていない汚泥が乾燥されているときにその汚泥の含水率の変化を示している。その変化65は、その可溶化されていない汚泥が乾燥されているときにその汚泥の含水率が単純に減少することを示し、その汚泥が時間とともに乾燥されることを示している。変化65は、さらに、その可溶化されていない汚泥の含水率が比較的に緩やかに減少していることを示している。
【0118】
図8は、さらに、可溶化された汚泥が乾燥されているときにその汚泥の含水率の変化を示している。その変化66は、その変化65と同様に、その可溶化されていない汚泥が乾燥されているときにその汚泥の含水率が単純に減少することを示し、その汚泥が時間とともに乾燥されることを示している。変化66は、さらに、変化65に比較してその変化が急であることを示し、その可溶化されていない汚泥に比較して、その可溶化された汚泥がより速く乾燥されることを示している。可溶化された汚泥(変化66)は,汚泥中の細胞が破壊されているため、その細胞中の水分が自由水となっているため,可溶化されていない汚泥(変化65)に比較して高温乾燥期間が長くなり,減率乾燥期間が短くなったことから,可溶化された汚泥がより速く乾燥されていることを示している。
【0119】
すなわち、このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置60は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置に比較して、汚泥をより速く乾燥することができ、汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0120】
図9は、汚泥の乾燥時間を示している。その乾燥時間は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥を用いて測定される。その調製された複数の汚泥は、それぞれ、含水率が測定された後に、電子天秤を用いて重量が測定されながら95℃で加熱され、その重量の変化が測定される。その複数の汚泥の乾燥時間は、その重量の変化に基づいて含水率の変化が算出され、その汚泥の含水率が70%に到達した時刻から10%に到達した時刻までの時間を示している。その乾燥時間67は、未処理の(加熱加圧していない)汚泥の乾燥時間を1とすると、150℃・10MPaGで加熱加圧された汚泥の乾燥時間比は、0.86であり、170℃・2MPaGで加熱加圧された汚泥の乾燥時間比は、0.49であり、200℃・2MPaGで加熱加圧された汚泥の乾燥時間比は、0.46であり、200℃・5MPaGで加熱加圧された汚泥の乾燥時間比は、0.49であることを示している。
【0121】
図9は、さらに、汚泥の蒸発速度を示している。その蒸発速度は、単位量の汚泥から水分が蒸発する速度を示し、その乾燥時間に基づいて算出される。その蒸発速度68は、未処理の汚泥の蒸発速度を1とすると、150℃・10MPaGで加熱加圧された汚泥の蒸発速度比は、1.12であり、170℃・2MPaGで加熱加圧された汚泥の蒸発速度比は、1.72であり、200℃・2MPaGで加熱加圧された汚泥の蒸発速度比は、1.76であり、200℃・5MPaGで加熱加圧された汚泥の蒸発速度比は、1.65であることを示している。
【0122】
乾燥時間67と蒸発速度68とは、汚泥を加熱加圧することにより、乾燥しやすくなることを示している。すなわち、このような汚泥乾燥方法よれば、汚泥乾燥装置60は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置1と比較して、汚泥をより速く乾燥することができ、汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。
【0123】
図10は、汚泥から生成された乾燥燃料の硫化水素の濃度を示している。その濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その濃度71は、常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化水素の濃度と、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化水素の濃度と、170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化水素の濃度とが概ね等しいことを示している。
【0124】
図10は、さらに、汚泥から生成された乾燥燃料の硫化メチルの濃度を示している。その濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その濃度72は、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化メチルの濃度と、170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化メチルの濃度とが常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料の硫化メチルの濃度より小さいことを示している。
【0125】
図10は、さらに、汚泥から生成された乾燥燃料の二硫化メチルの濃度を示している。その濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その濃度73は、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の二硫化メチルの濃度と、170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の二硫化メチルの濃度とが常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料の二硫化メチルの濃度より小さいことを示している。
【0126】
図10は、さらに、汚泥から生成された乾燥燃料のメチルメルカプタンの濃度を示している。その濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その濃度74は、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料のメチルメルカプタンの濃度と、170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料のメチルメルカプタンの濃度とが常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料のメチルメルカプタンの濃度より小さいことを示している。
【0127】
図11は、汚泥から生成された乾燥燃料のアンモニアの濃度を示している。その濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その濃度75は、170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料のアンモニアの濃度が常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料のアンモニアの濃度および常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料のアンモニアの濃度より小さいことを示している。
【0128】
図12は、汚泥から生成された乾燥燃料の臭気濃度を示している。その臭気濃度は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定される。その臭気濃度77は、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気濃度と170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気濃度とが常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気濃度より小さいことを示している。
【0129】
図12は、さらに、汚泥から生成された乾燥燃料の臭気指数を示している。その臭気指数は、汚泥を各種の条件でそれぞれ加熱加圧して調製された複数の汚泥から生成された乾燥燃料を用いて測定され、値が大きいほど感覚的臭気が高いことを示している。その臭気指数77は、常温・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気指数と170℃・2MPaGで処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気指数とが常温常圧で処理された汚泥から生成された乾燥燃料の臭気指数より小さいことを示している。
【0130】
図10〜図12は、汚泥から可溶化された汚泥から生成された乾燥燃料が比較的臭わないことを示し、本発明による汚泥乾燥方法により生成された乾燥燃料がハンドリングしやすいことを示している。
【0131】
このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置60は、可溶化された汚泥を乾燥している最中に汚泥を可溶化しており、単位時間当たりに乾燥される汚泥を増加することができ、ランニングコストを低減することができる。
【0132】
図13は、本発明による汚泥乾燥装置の実施のさらに他の形態を示している。その汚泥乾燥装置80は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10の真空乾燥機3が真空乾燥機81とコンプレッサ82とに置換されている。ケーキ貯留ホッパ1は、汚泥を貯留する。その汚泥は、下水を脱水することにより生成される固体であり、または、工場の廃液を脱水することにより生成される固体である。このような汚泥は、含水率が80%程度である。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機81に搬送する。
【0133】
コンプレッサ62は、大気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、その圧縮空気を真空乾燥機81に供給する。真空乾燥機81は、環境から内部を密封可能である容器に形成され、ケーキ搬送ポンプ2により搬送された汚泥をその容器の内部に貯留する。真空乾燥機81は、さらに、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いて、その汚泥を可溶化する。真空乾燥機81は、さらに、図示されていない攪拌羽根を備えている。その攪拌羽根は、その貯留された汚泥を攪拌する。真空乾燥機81は、さらに、その貯留された汚泥を真空乾燥し、その汚泥から乾燥燃料を生成する。その乾燥燃料は、含水率が10%以下であり、燃料として利用される。乾燥燃料ホッパ5は、真空乾燥機81により生成された乾燥燃料を貯留する。
【0134】
真空乾燥機81は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、ダスタ6とコンデンサ7とエゼクタ8とを備えている。エゼクタ8は、管路を介して真空乾燥機81に接続されている。エゼクタ8は、その管路を介して真空乾燥機81の内部を排気することにより、真空乾燥機81の内部に減圧雰囲気を生成する。その減圧雰囲気としては、水の沸点が44℃である雰囲気、−92kPaGが例示される。ダスタ6は、その管路の途中に介設されている。ダスタ6は、真空乾燥機81から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、その管路のうちのダスタ6とエゼクタ8との間に介設されている。コンデンサ7は、ダスタ6から供給された排気を冷却して、その排気を凝縮する。
【0135】
真空乾燥機81は、さらに、複数のヒートポンプ11−1〜11−nと冷却水循環水槽12と冷却水循環ポンプ14とを備えている。冷却水循環水槽12は、冷却水を貯留している。その冷却水の温度としては、30℃が例示される。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。このとき、コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的に接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。その冷却排水の温度としては、40℃が例示される。
【0136】
複数のヒートポンプ11−1〜11−nの各ヒートポンプ11−iは、ヒートポンプ蒸気を生成する。このとき、真空乾燥機81は、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されるヒートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、そのヒートポンプ蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱する。その加熱温度としては、170℃が例示される。真空乾燥機81は、さらに、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いて、その汚泥を加圧する。その圧力としては、2MPaGが例示される。その汚泥は、その加熱と加圧とにより、汚泥中の細胞が破壊され、その細胞中の水分が自由水となり、可溶化される。真空乾燥機81は、さらに、その可溶化によりそのヒートポンプ蒸気を冷却し、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。そのドレン水の温度としては、120℃が例示される。
【0137】
真空乾燥機81は、エゼクタ8により内部が減圧されているときに、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されたシートポンプ蒸気を汚泥に熱的に接触させることにより、そのシートポンプ蒸気からその汚泥に熱を移動させ、その汚泥を加熱して真空乾燥する。真空乾燥機81は、さらに、その熱の移動により、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。ヒートポンプ11−iは、真空乾燥機81により生成されるドレン水を加熱することにより、そのドレン水からそのヒートポンプ蒸気を生成する。ヒートポンプ11−iは、さらに、コンデンサ7により生成される冷却排水を冷却することにより、その冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。すなわち、ヒートポンプ11−iは、電力を用いてその冷却排水からそのドレン水に熱を移動させることにより、そのヒートポンプ蒸気を生成し、その冷却水を生成する。
【0138】
本発明による汚泥乾燥方法の実施のさらに他の形態は、汚泥乾燥装置80により実行される。ユーザは、まず、下水または工場廃液,し尿・畜産汚泥,食品廃棄物などの有機性汚泥を脱水することにより汚泥を生成し、その汚泥をケーキ貯留ホッパ1に貯留する。ケーキ搬送ポンプ2は、ケーキ貯留ホッパ1により貯留された汚泥を真空乾燥機81の内部に搬送する。真空乾燥機81は、その汚泥が内部に搬送されると、密封される。ヒートポンプ11−1〜11−nは、その汚泥が真空乾燥機81の内部に密封されると、コンデンサ7により生成される冷却排水から真空乾燥機81により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機81に供給する。ヒートポンプ11−1〜11−nは、さらに、その熱の移動により、コンデンサ7により生成された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0139】
真空乾燥機81は、コンプレッサ62により生成された圧縮空気を用いてその汚泥を加圧し、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されたヒートポンプ蒸気をその汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱する。その汚泥は、その加圧と加熱とにより可溶化される。真空乾燥機81は、さらに、その可溶化により、そのヒートポンプ蒸気を冷却し、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成し、そのドレン水をヒートポンプ11−1〜11−nに供給する。
【0140】
その可溶化が終了すると、コンプレッサ62は、圧縮空気の生成を停止し、エゼクタ8は、真空乾燥機81の内部を排気することにより、その汚泥から蒸発する排気をダスタ6とコンデンサ7とに導く。真空乾燥機81は、さらに、ヒートポンプ11−1〜11−nにより生成されたヒートポンプ蒸気をその汚泥に熱的に接触させることにより、その汚泥を加熱して、その汚泥を真空乾燥する。真空乾燥機81は、このとき、そのヒートポンプ蒸気を冷却して、そのヒートポンプ蒸気を凝縮させ、そのヒートポンプ蒸気からドレン水を生成する。
【0141】
ダスタ6は、その管路を介して真空乾燥機81から排気される排気からダストを回収し、そのダストが回収された排気をコンデンサ7に供給する。冷却水循環ポンプ14は、冷却水循環水槽12に貯留されている冷却水をコンデンサ7に供給する。コンデンサ7は、ダスタ6から供給される排気と冷却水循環ポンプ14により供給される冷却水とを熱的を接触させることにより、その排気からその冷却水に熱を移動させ、その排気を凝縮する。コンデンサ7は、さらに、その熱の移動により、その冷却水を加熱して、その冷却水から冷却排水を生成する。
【0142】
ヒートポンプ11−1〜11−nは、それぞれ、コンデンサ7により生成される冷却排水から真空乾燥機81により生成されるドレン水に熱を移動させることにより、そのドレン水からヒートポンプ蒸気を生成し、そのヒートポンプ蒸気を真空乾燥機81に供給する。ヒートポンプ11−1〜11−nは、さらに、その熱の移動により、コンデンサ7により生成された冷却排水から冷却水を生成し、その冷却水を冷却水循環水槽12に供給する。
【0143】
このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置80は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置10と同様にして、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置80は、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置60と同様にして、可溶化された汚泥を乾燥することにより、汚泥をより速く乾燥することができ、汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーをより低減し、ランニングコストをより低減することができる。このような汚泥乾燥方法によれば、汚泥乾燥装置80は、さらに、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置60と同様にして、生成された乾燥燃料をハンドリングしやすくすることができる。
【0144】
汚泥乾燥装置80は、さらに、既述の実施の形態における汚泥乾燥装置60と比較して、真空乾燥機3と別個の可溶化装置61を備えておらず、設置面積を低減し、製造コストを低減することができる。
【0145】
なお、本発明による汚泥乾燥装置は、汚泥を減圧雰囲気下で真空乾燥しているが、大気圧雰囲気で乾燥することもできる。このとき、真空乾燥機に供給される蒸気は、ヒートポンプを用いて、汚泥を加熱することによりその汚泥から蒸発する排気の熱を用いて加熱される。このような汚泥乾燥装置は、汚泥を減圧雰囲気下で真空乾燥する汚泥乾燥装置と同様にして、単位量の汚泥を乾燥するときに消費されるエネルギーを低減し、ランニングコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 :ケーキ貯留ホッパ
2 :ケーキ搬送ポンプ
3 :真空乾燥機
5 :乾燥燃料ホッパ
6 :ダスタ
7 :コンデンサ
8 :エゼクタ
10:汚泥乾燥装置
11−1〜11−n:ヒートポンプ
12:冷却水循環水槽
14:冷却水循環ポンプ
20:汚泥乾燥装置
21:ドレン回収器
22:ボイラー
23:熱交換器
24:ヒートポンプ
26:変化
27:変化
30:汚泥乾燥装置
31:ドレン回収器
32:ボイラー
34:ヒートポンプ
40:汚泥乾燥装置
41:ドレン回収器
42:ボイラー
44:ヒートポンプ
45:減圧弁
50:汚泥乾燥装置
51:ドレン回収器
52:ボイラー
54:ヒートポンプ
60:汚泥乾燥装置
61:可溶化装置
62:コンプレッサ
65:変化
66:変化
67:乾燥時間
68:蒸発速度
80:汚泥乾燥装置
81:真空乾燥機
82:コンプレッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱媒体を加熱してヒートポンプ蒸気を生成するヒートポンプと、
前記ヒートポンプ蒸気の熱により汚泥を加熱する乾燥機と、
前記汚泥が加熱される雰囲気を減圧する排気装置とを具備し、
前記ヒートポンプは、前記汚泥が加熱されることにより生成される排気の熱により、前記加熱媒体を加熱して前記ヒートポンプ蒸気を生成する
汚泥乾燥装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、前記冷却媒体から冷却排水を生成し、前記排気を凝縮させるコンデンサを更に具備し、
前記ヒートポンプは、前記冷却排水から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記冷却排水から前記冷却媒体を生成し、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成する
汚泥乾燥装置。
【請求項3】
請求項2において、
ドレン水を加熱することによりボイラー蒸気を生成するボイラーを更に具備し、
前記乾燥機は、熱源蒸気から前記汚泥に熱を移動させることにより、前記熱源蒸気から前記ドレン水を生成し、かつ、前記汚泥を加熱し、
前記熱源蒸気は、前記ボイラー蒸気または前記ヒートポンプ蒸気である
汚泥乾燥装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ボイラーの排熱により前記温水を加熱する熱交換器
を更に具備する汚泥乾燥装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4のいずれかにおいて、
前記ボイラー蒸気と前記ヒートポンプ蒸気とを混合することにより、前記熱源蒸気を前記乾燥機に供給する減圧弁
を更に具備する汚泥乾燥装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、前記冷却媒体から冷却排水を生成し、前記排気を凝縮させるコンデンサを更に具備し、
前記ヒートポンプは、前記冷却排水とドレン水との混合物から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記混合物から前記冷却媒体を生成し、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成し、
前記乾燥機は、熱源蒸気から前記汚泥に熱を移動させることにより、前記熱源蒸気を前記ドレン水に凝縮させ、かつ、前記汚泥を加熱する
汚泥乾燥装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記ヒートポンプは、前記排気から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記排気を凝縮させ、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成する
汚泥乾燥装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
未可溶化汚泥を加圧して加熱することにより可溶化汚泥を生成する可溶化装置を更に具備し、
前記乾燥機は、前記可溶化汚泥を前記汚泥として加熱する
汚泥乾燥装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記熱源蒸気は、前記可溶化装置で前記未可溶化汚泥を加熱した後に前記乾燥機で前記汚泥を加熱する
汚泥乾燥装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
前記乾燥機は、更に、未可溶化汚泥を加圧して加熱することにより前記汚泥を生成する
汚泥乾燥装置。
【請求項11】
乾燥機を用いて、ヒートポンプにより生成されたヒートポンプ蒸気の熱により汚泥を減圧雰囲気で加熱するステップと、
前記ヒートポンプを用いて、前記汚泥が加熱されることにより生成される排気の熱により加熱媒体を加熱して前記ヒートポンプ蒸気を生成するステップ
を具備する汚泥乾燥方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記排気から冷却媒体に熱を移動させることにより、前記冷却媒体から冷却排水を生成し、前記排気を凝縮させるステップを更に具備し、
前記ヒートポンプは、前記冷却排水から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記冷却排水から前記冷却媒体を生成し、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成する
汚泥乾燥方法。
【請求項13】
請求項12において、
ボイラーを用いてドレン水を加熱することによりボイラー蒸気を生成するステップを更に具備し、
前記乾燥機は、熱源蒸気から前記汚泥に熱を移動させることにより、前記熱源蒸気から前記ドレン水を生成し、かつ、前記汚泥を加熱し、
前記熱源蒸気は、前記ボイラー蒸気または前記ヒートポンプ蒸気である
汚泥乾燥方法。
【請求項14】
請求項13において、
熱交換器を用いて前記ボイラーの排熱を用いて前記温水を加熱するステップ
を更に具備する汚泥乾燥方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14のいずれかにおいて、
前記ボイラー蒸気と前記ヒートポンプ蒸気とを混合して前記熱源蒸気を生成するステップ
を具備する汚泥乾燥方法。
【請求項16】
請求項11において、
前記排気から冷却媒体に熱を移動させるコンデンサを用いて、前記冷却媒体から冷却排水を生成し、前記排気を凝縮させるステップを更に具備し、
前記ヒートポンプは、前記冷却排水とドレン水との混合物から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記混合物から前記冷却媒体を生成し、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成し、
前記乾燥機は、熱源蒸気から前記汚泥に熱を移動させることにより、前記熱源蒸気を前記ドレン水に凝縮させ、かつ、前記汚泥を加熱する
汚泥乾燥方法。
【請求項17】
請求項11において、
前記ヒートポンプは、前記排気から前記加熱媒体に熱を移動させることにより、前記排気を凝縮させ、かつ、前記加熱媒体から前記ヒートポンプ蒸気を生成する
汚泥乾燥方法。
【請求項18】
請求項11〜請求項17のいずれかにおいて、
未可溶化汚泥を加圧して加熱することにより前記汚泥を生成するステップ
を更に具備する汚泥乾燥方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記未可溶化汚泥から前記汚泥を生成する最中に、前記汚泥と異なる他の汚泥を乾燥するステップ
を更に具備する汚泥乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−158616(P2010−158616A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2008(P2009−2008)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】