説明

汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備

【課題】超微細化により浮遊有機物と汚泥を発酵菌で効率的に処理し、下水処理能力を大幅に高め、また最終的に汚泥をゼロにする。
【解決手段】下水の処理設備1は、受入槽11から汲み取りし尿などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽13から高圧ポンプP1によって吸引した下水を8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用によって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して撹拌槽14に戻す超微細化装置20と、撹拌槽から超微細化処理下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽15と、受入槽と撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給装置5と、曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽16と、該沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部17と、沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理装置18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汲み取りし尿や浄化槽汚泥などを含む下水の処理設備、特に下水中の有機物を超微細化して発酵菌で処理すると共に汚泥産出をゼロにする構成の汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のし尿などを含む下水の処理設備としては、下水、し尿、各種産業廃水などの有機性廃水に含有された窒素酸化物をメタン発酵菌のグラニュール汚泥床を有した嫌気性処理槽内で上向流で流通させつつ、脱窒菌をグラニュール汚泥の周りで繁殖させ、生物学的に還元して脱窒処理する生物学的脱窒方法がある(特許文献1を参照)。これは、菌体自体をグラニュール化して菌体を高い密度で保持でき、高容積負荷での運転ができる。
【特許文献1】特開平7−290088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような生物学的脱窒方法では、被処理物の浮遊有機物自体が数ミリメートルから0.1ミリメートル程の粒状物やフレークであり、それに作用する菌もグラニュール状態では、例え高密度接触を図っても作用効果は限定的である。他方、脱窒菌着生のグラニュール汚泥が短期間で形成され、安定したグラニュール汚泥床が維持できる分、汚泥が比較的早く蓄積していき、その汚泥の処置も重要な課題である。
【0004】
本願発明の目的は、ポンプによって発生される少なくとも8m/秒の高速度旋回水流が複数の筒壁から成る環状流路で起こす少なくとも剪断作用によって水クラスターもし尿を含む下水中の有機物も超微細化し、超微細化によって水クラスター間に良く分散し、単位重量当り極めて大きくなった表面積の浮遊有機物を加えられた発酵菌によって効率的に極めて短時間で処理し、下水の処理能力を大幅に高めることができると共に、汚泥を好気性菌による生物分解処理や発酵菌による発酵によって農業資材に転換して汚泥産出をゼロにする汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、汲み取りし尿や浄化槽汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽と、
該貯留槽から高圧ポンプによって吸引した下水を高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用によって下水クラスタと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して超微細化処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻す超微細化装置と、 上記貯留槽から上記撹拌槽を経て、又は上記撹拌槽から直接超微細化処理下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽と、
少なくとも上記撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給手段と、
上記曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽と、
該沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部と、
上記沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理手段と、を有することを特徴とする汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備である。
【0006】
上記貯留槽の前に、汲み取りし尿や浄化槽汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、
該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられており、
上記受入れ槽は、上記発酵菌供給手段から発酵菌の供給を受けるように構成される。
【0007】
上記沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を上記超微細化装置の上流側に供給したり、上記生物処理手段に供給するように構成される。
【0008】
上記後処理部は、上記沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する構成を取ることができる。
【0009】
上記発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとを有することができる。
【0010】
上記生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成される。
【0011】
上記汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有することができる。
【0012】
上記超微細化装置は、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に内部円筒壁を隔設し、内部円筒壁をケーシング底壁と結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、円筒状外壁と内部円筒壁とで形成した環状流路と内部円筒壁の内部とを上記隙間を介して連通しており、また高圧ポンプによって上記貯留槽又は汚泥濃縮槽から上記内部円筒壁の内部に汚泥を含有した第一高速度水流が供給され、次いで該内部円筒壁の内部から高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される汚泥を含有した第二高速度水流が第二水導入部において上記環状流路に供給されて、次いで上記内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下されてケーシング底壁に激突させるようにしており、上記環状流路と上記内部円筒壁の内部に渡って形成した循環流路において水流中の汚泥の細胞膜を破壊し、汚泥を超微細化した処理水を上記環状流路から一部分抜いて上記貯留槽又は汚泥濃縮槽に供給される構造を有することができる。
【0013】
上記超微細化装置は、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に中間円筒壁と内部円筒壁の二つを隔設し、中間円筒壁をケーシング天井壁とケーシング底壁に結合して外環状流路を形成し、内部円筒壁をケーシング底壁と結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、中間円筒壁と内部円筒壁とで形成した中間環状流路と内部円筒壁の内部とを上記隙間を介して連通しており、また上記貯留槽又は汚泥濃縮槽から第一水導入部において、高圧ポンプによって発生された汚泥を含有した第一高速度水流が空気導入部に供給されて、そこで空気が第一高速度水流に気泡として導入され、該気泡の導入された第一高速度水流は上記中間環状流路に供給され、次いで上記内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下されてケーシング底壁に激突させ、また該内部円筒壁の内部から高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される汚泥を含有した第二高速度水流が第二水導入部において上記外環状流路に供給されるようにして、更に該外環状流路を上記第一ポンプの吸引側に管路を介して接続して形成される循環路を流れるようにされ、この循環路を成す上記中間環状流路及び上記外環状流路での剪断作用と上記ケーシング底壁への激突とによって水中の汚泥の細胞膜を破壊して超微細化し、超微細化された汚泥を含有した処理水が上記外環状流路から一部分抜かれて上記貯留槽又は汚泥濃縮槽に導かれる構造を有することができる。
【0014】
上記第一又は第二の超微細化装置は、立面視で略逆U字形状に中央上部で互いに連通状態で結合し、湾曲上部と有底の垂直下部とから成り、中央上部に余剰流体を排出する排出管が接続されている略逆J字形状の複数の外筒体と、
各外筒体の垂直下部の内部において間に環状空間を形成するように垂直下部の底に固定された有底の垂直内筒体と、
上記複数の外筒体のいずれかの環状空間に固形状の被処理物を含んだ高速流体を供給して8m/秒以上の平面視で時計方向か、又は反時計方向の高速旋回流を発生する第一高圧ポンプ及び配管と、
高速流体が供給される外筒体の内筒体の底部から、該内筒体の開放上縁を越えて底に落下し流入してくる流体を吸引して、上記いずれか以外の外筒体の環状空間に被処理物を含んだ高速流体を供給して8m/秒以上の平面視で反時計方向か、又は時計方向の高速旋回流を発生する第二高圧ポンプ及び配管と、
上記いずれか以外の外筒体の内筒体の底部から、該内筒体の開放上縁を越えて底に落下し流入してくる流体を排出する配管と、
該流体排出配管に設けられた排出量調節手段と、
上記第一高圧ポンプからの配管と、上記第二高圧ポンプまでの配管と、上記排出の配管とに各々配置された開閉弁と、
上記第一高圧ポンプからの配管に設けられ、高速流体に空気を混入するエゼクターと、から構成されており、
上記高速流体が含有している被処理物は、上記環状空間における高速旋回流が発生する剪断作用と上記内筒体の底への流体の落下による衝撃力によってミクロンのレベルまで超微細化される構成にできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備では、汲み取りし尿や浄化槽汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽から高圧ポンプによって吸引した下水を超微細化装置において高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用によって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して超微細化処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻すことになる。そこでは、水クラスターもし尿を含む下水中の有機物も超微細化し、超微細化によって水クラスター間に良く分散している。特に、8m/秒以上の高速度により好ましい微細化が行われる。曝気処理槽では、貯留槽から撹拌槽を経て、又は撹拌槽から直接供給される超微細化処理下水に含まれ、単位重量当り極めて大きくなった表面積の浮遊有機物は、発酵菌供給手段から供給され、良く分散した添加発酵菌によって効率的に極めて短時間で水分と炭酸ガスなどに発酵処理され、下水の処理能力を大幅に高めることができる。発酵菌も処理しつつ増殖して悪臭の発生を抑制する。曝気処理槽からの曝気処理下水は、沈殿槽に供給され、そこで上澄水と沈殿汚泥とに分離される。一方では上澄水は、沈殿槽から後処理部に供給され、そこで凝集剤やpH調整剤などによる凝集とpH調整の処理後に処理済み水として放流され、他方で沈殿槽からの汚泥は、オガコ菌床などを利用した生物処理手段で好気性菌や嫌気性菌によって炭酸ガスと水に生物分解処理したり、発酵菌によって発酵させて農業資材に転換利用することで、汚泥産出をゼロにすることができる。生物処理手段を生物分解処理部と発酵処理部とで構成すると、農業資材の需要に応じて両部への供給量を加減できる。
【0016】
貯留槽の前に、汲み取りし尿や浄化槽汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられると、超微細化装置に高速流体を供給するポンプの作動に障害になる水に溶解しにくい生理用品などを事前にしさとしてドラムスクリーンで捕捉してスクリュープレスで脱水して処理業者に委託処理することができる。受入れ槽に発酵菌供給手段から発酵菌が供給されると、発酵菌の発酵作用によって悪臭の発生を幾分でも抑制することができる。
【0017】
沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を超微細化装置の上流側に供給したり、生物処理手段に供給するように構成され、汚泥の発生量に応じて、また汚泥の利用や処理方式に応じて切替え弁によって超微細化装置へ戻す量と生物処理手段へ送る量を調節することができる。
【0018】
後処理部は、沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する構成を取ることで、上澄水は生物浄化後に、又は硫酸バンド凝集剤、ポリマー凝集剤やpH調整剤などによって凝集とpH調整が行われ、処理後に各地域のBOD(生物学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)などの規制をクリアした処理水として河川などへ放流される。
【0019】
発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとを有することができ、大量に培養力の大きな発酵菌を事前に用意して必要個所に分配できる。
【0020】
生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成され、両装置によって最終的に汚泥産出をゼロにでき、また農業資材として利用する場合、その需要に応じて両装置への供給量を加減できる。
【0021】
汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有することができ、生物分解処理で生じる臭気や蒸気を吸引ファンで捕捉し、臭気を脱臭ユニットで脱臭すると共に蒸気を冷却ユニットで復水することで外部に漏れるのを防ぎ、本設備の設置条件を緩和できる。復水は工場の雑用水として利用できる。
【0022】
上記超微細化装置は、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に内部円筒壁を隔設すると、壁と内部円筒壁との間に環状流路が形成され、そこに供給される高速度水流は流れ方向が常に変化して強力な遠心力を発生させて、外側壁面に強く当って大きな圧縮力と壁面の層流間に剪断力を生じさせ、同時に内側壁面からの層流剥離によってキャビテーションを生じさせて、水クラスターと汚泥の超微細化、即ち汚泥の細菌死骸の細胞膜の破壊と細胞質の超微細化を促進できる。円形環状流路では水流の流速の維持が比較的容易である。また内部円筒壁をケーシング底壁に結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、円筒状外壁と内部円筒壁とで形成した環状流路と内部円筒壁の内部とを上記隙間を介して連通し、高速度の水流が環状流路から、また同時に高圧ポンプから供給されてくる水流が内部円筒壁の内部に落下して、ケーシング底壁に激突して衝撃力によって水のクラスターと気泡の超微細化を促進する。また高圧ポンプによって内部円筒壁の内部から水を吸引するので、その内部に落下する水流の上記衝撃力をより強いものにできる。高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される第二高速度水流が上記環状流路に供給されることで、環状流路と内部円筒壁の内部に渡って循環流路を形成することになり、循環中に繰り返し水のクラスターの超微細化と水流中の汚泥細菌死骸の細胞膜の破壊と内部の細胞質の超微細化を行うことができる。超微細化された汚泥の細菌死骸を含有した処理水は環状流路から一部分抜いて槽に供給される。
【0023】
上記超微細化装置では、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に中間と内部の円筒壁を隔設すると、外部と中間と内部の各円筒壁間に外部と中間の環状流路が形成される。これら外部と中間の環状流路に供給される高速度水流は、流れ方向が常に変化して強力な遠心力を発生して外側壁面に強く当って大きな圧縮力と壁面の層流間に剪断力を生じさせ、同時に内側壁面から層流剥離を生じさせてキャビテーション作用を発生させ、汚泥の超微細化、即ち汚泥の細菌死骸の細胞膜の破壊と細胞質の超微細化を促進できる。円形環状流路では水流の流速の維持が比較的容易である。また中間円筒壁をケーシング天井壁とケーシング底壁に結合し、内部円筒壁をケーシング底壁と結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成すると、中間環状流路に供給される水流は内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下して、ケーシング底壁に激突して生じる衝撃力によって水のクラスターと汚泥の超微細化を促進する。水流への気泡の導入は、水導入部の内の第一水導入部の空気導入部において、高圧ポンプによって発生された第一高速度水流を利用したエゼクター作用などによって行われる。水に吸収された空気は、上記のキャビテーション作用を強力に発生させる。この気泡の導入された第一高速度水流は中間環状流路に供給され、次いで上述のように内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下してケーシング底壁に激突するが、該内部円筒壁の内部から第二高圧ポンプによって吸引されるために、内部に落下する水流の上記衝撃をより強いものにできる。高圧ポンプによって吸引され、高速度で吐出されて形成される第二高速度水流が第二水導入部で外環状流路に供給されるようにして、更に該外環状流路から第一高圧ポンプの吸引側に管路を介して供給されることで循環路が形成される。循環を繰り返すことでクラスターの超微細化と汚泥の超微細化を行うことができる。超微細化された汚泥を含有した処理水は、外環状流路から一部分抜かれて槽に戻される。
【0024】
上記超微細化装置は、上述のように二連式の逆U字状態の構造に構成されているために、上記高速流体が含有している被処理物が、たとえ動物性有機物を含んでいても、上記環状空間における高速旋回流が発生する剪断作用と上記内筒体の底への流体の落下による衝撃力によって高速流で搬送されながら連続的に且つ効率的にミクロンのレベルまで超微細化される。例えば半径1mmの球状の被処理物が半径0.1ミクロンに超微細化されると、単位重量当りの表面積(比表面積)はほぼ1万倍にも成り、発酵菌などの処理微生物や薬品によって極めて効率的に処理作用を受けることになる。また、上記いずれか以外の外筒体の内筒体の底部からの流体排出配管に設けられた排出量調節手段によってその流体排出量を絞ると外筒体同士が略逆U字形状に中央上部で互いに連通状態で結合しているために、上記いずれかの外筒体側に高速旋回しながら旋回方向で干渉しないように旋回方向が反転して流入し、被処理物は所望の粒度まで繰り返し超微細化の作用を受ける。被処理物は、外筒体の内面に付着した流体層とそれに近接した高速旋回流層との間での剪断作用を受けたり、また内筒体の底への落下激突によって超微細化されるために、単純に肉厚を厚くすることで構造が簡単で耐久性の大きな装置にすることができる。第一高圧ポンプからの配管と、第二高圧ポンプまでの配管と、上記排出の配管とには、各々開閉弁が配置され、第一高圧ポンプからの配管の開閉弁によって流体の供給量を調節できると共に、装置の緊急時に流体供給を止めることができる。また第二高圧ポンプまでの配管の開閉弁によって供給流体に対応して上記いずれかの環状空間において最適な高速旋回流が形成されるように上記いずれかの内筒体からの吸引量を調節できる。また排出の配管の開閉弁によって流体排出量を絞ると上記いずれか以外の外筒体から上記いずれかの外筒体へ流体を高速旋回させながら戻すことができ、また上記いずれかの外筒体及び内筒体と上記いずれか以外の外筒体及び内筒体による超微細化作用で所定の超微細化が達成された場合は、第一高圧ポンプからの供給量よりも多く排出できる状態に排出の配管の開閉弁を設定できる。
【0025】
上記空気導入部は、高速度水流を利用したエジェクターから構成され、空気ポンプを使わずに、エジェクターのノズルから噴出する高速度水流が発生する負圧によって空気を吸引して水流中に混入させることができる。更に、装置ケーシング内部において筒壁で限定された環状流路内に供給される高速度の水流は、該環状流路に接線方向から供給され、環状流路内への水流供給をスムースに行い、速度の激変を防ぎ、経路全体に渡って高速度水流の上記作用の維持に役立つ。筒壁は、平坦部等の曲率変更部を部分的に有すると、それら曲率変更部で若干水流速度が低下するが、水流の方向が変わって水流層間に作用する剪断力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に示すように、本発明の代表の実施形態に係る汲み取りし尿、浄化槽汚泥、家畜糞尿などを含む下水の処理設備1は、そのような下水の被処理物の供給を受ける受入槽11と、そこからカッターポンプ(例えば、5〜8mmに粗砕する)p1によって被処理物の供給を受け、ろ液としさとに分離するドラムスクリーン12Aと、しさを脱水するスクリュープレス12Bと、ろ液と脱水された水の供給を受ける貯留槽13と、該貯留槽13から第一高圧ポンプP1によって吸引した下水を8m/秒以上の高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用によって下水クラスターと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して撹拌槽14に戻す超微細化装置20、30と、貯留槽13から下水クラスターと含有有機物とが超微細化処理された中間下水がポンプpによって配管4aで供給され、含有有機物を曝気処理する曝気槽15と、そこから配管4bを介して供給されて上澄下水と汚泥とに分離する沈殿槽16と、該沈殿槽16から上澄水の供給を受けると共に、凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する後処理部17と、沈殿槽16からポンプp2により流動汚泥の供給を受ける生物処理する生物処理装置18とを有している。
【0027】
下水は、まず受入槽11の前部でしさ以外の砂などの固形物を除去する沈砂部11Aに通される。また貯留槽13は、超微細化装置20、30に接続した上流部と発酵菌が供給される下流部とに仕切られ、超微細化による発酵菌の消耗を防ぐようにも構成される。発酵菌の消耗を防ぐために、貯留槽13には投入される下水量に応じて複数組の超微細化装置が接続されるようにも構成される。
【0028】
撹拌槽14と沈殿槽16との間には、各々撹拌槽が併置された曝気槽15A、15Bが設けられており、そこでは、例えば脱窒素菌によってNO3 をN2 に変換して脱窒素を行ったり、硝化菌によってNH4 をNO3 に変換したり、メタノールによりNO3 をN2 に変換して脱窒素を行うようにしている。また沈殿槽16では曝気槽15A、15Bで働いた菌の死骸が汚泥として沈殿し、各種有機物が処理された上澄水は後処理部17に流入する。沈殿汚泥は、切替弁v1によって超微細化装置20、30と、生物処理装置18とに供給される量が調節される。例えば、通常超微細化装置20、30へ戻される割合は、50%から75%であり、生物処理装置18に供給される割合は、50%から25%であるが、必要に応じて変えられる。
【0029】
後処理部17は、生物膜浄化するろ過装置で構成され、上澄水の放流の前に、沈殿槽16からの上澄水中の残留汚泥や固形細粒物がろ過される。更に、後処理部17では、各地域のBOD(生物学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)などの規制をクリアするために、上澄水の放流の前に、適宜硫酸バンドの凝集剤とアルカリなどのpH調整剤とが供給されて沈殿槽16からの上澄水中の残留汚泥や固形細粒物が混和凝集され、またポリマー凝集剤が供給され、更に凝集されるようにも構成される。
【0030】
生物処理装置18は、沈殿槽16から切替弁v1、v2を介して汚泥の供給を受け、好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置18Aと、沈殿槽16からの汚泥と発酵菌供給装置5からの発酵菌とを混合する混合槽19Aと、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽19Bとから成る発酵装置19とから構成されている。発酵装置19からは、堆肥や土壌改良に転用可能な農業資材が得られる。他方で、汚泥を消滅させる汚泥消滅装置18Aは、プール18aに保持され、好気性菌が生息している木質チップの菌床18bと、送気ブロワーから送気され、菌床18bの下部に配管された送気管18cと、前後移動しながら菌床18bの木質チップと供給汚泥を撹拌する撹拌機18dと、飛散物回収装置18eとを有している。飛散物回収装置16eは、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファン18fによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニット18gと、排気を脱臭する脱臭ユニット18hと、復水タンク18iとを有している。復水は、工場雑用水として利用される。
【0031】
発酵菌供給装置5は、ラクトバチルス菌などの発酵菌種を収容した種菌タンク5aと、糖蜜やミネラルを含む添加物を収容した添加物タンク5bと、タンク5cから水の供給を受け、高圧ポンプP1で発生された高速水流の衝撃力と大きな水流速度差による剪断力と気泡破裂の超音波とによって水のクラスターをミクロンレベルに超微細化する水超微細化装置5dと、上記種菌タンクから発酵菌種が、上記添加物タンクから添加物が、タンク5cから超微細化されたクラスターの水がそれぞれ供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンク5eと、発酵促進すると共に、分配ポンプを組み込んだ分配槽5fとから構成されている。浮遊有機物を超微細化して超微細化されたクラスターの水と混合して発酵菌培養タンクからの発酵菌を添加して発酵を促進する分配槽5fの数を更に増やすこともできる。発酵菌培養タンク5eと分配槽5fとに発酵菌と共生関係を取る光合成菌が添加されると、光合成菌はアミノ酸やミネラルやビタミン等の優れた栄養分に富んでいて菌体自身が有機肥料としても有用であり、互いに必要とする物質を供給しあって培養を早めてくれる他、腐敗菌が発生させる悪臭物質を栄養源として摂取するので更に腐敗防止を確実に行うことができる。また発酵菌培養タンクと分配槽が内部に撹拌手段を備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に添加物や有機物を分散することができる。更に発酵促進タンクが内部に撹拌手段と温度制御手段とを備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に有機物を分散し、発酵菌に適した温度で培養速度を高めることができる。発酵菌としては、現地で採取したラクトバチルス菌、乳酸菌、酵母菌、酪酸菌、納豆菌等が一般加えられ、更に共生関係を取る光合成菌も添加される。
【0032】
上記超微細化装置5d、20は、同じ構造とすることができるが、別々のもの5d、20、30を混在させることもできる。
先ず、2連設式超微細化装置20について説明すると、図2と図3において、下水Wがタンク5cや貯留槽13から高圧水中ポンプP1によって供給され、立面視で略逆U字形状に中央上部で互いに連通状態で結合し、湾曲した上部21と有底23、26の垂直下部22、25とから成る略逆J字形状の二つの同直径の外円筒体20A、20Bと、各外円筒体20A、20Bの垂直下部22、25の内部において間に環状空間28、29を形成するように垂直下部の底23、26に同心状態で固定された有底23A、26の同直径の垂直内円筒体20C、20Dと、流体供給側の外円筒体20Aの環状空間28に被処理物を含んだ高速流体L1をほぼ接線方向から供給して平面視で反時計方向の8m/秒以上の、好ましくは30から50m/秒の高速旋回流H1を発生する高圧水中ポンプから成る第一高圧ポンプP1及び配管22と、流体供給側の外円筒体20Aの内円筒体20Cの底部21Aから、該内円筒体20Cの開放上縁21Bを越えて底23Aに落下し流入してくる中間被処理水W1を吸引して、流体排出側の外円筒体20Bの環状空間29に超微細化処理された有機物を含んだ高速流体L2をほぼ接線方向から供給して平面視で時計方向の8m/秒以上の、好ましくは30から50m/秒の高速旋回流H2を発生する二系列の第二高圧ポンプP2、P2及び配管22A、22Aと、流体排出側の外円筒体20Bの内円筒体20Dの底部26Aから、該内円筒体20Dの開放上縁27を越えて底26に落下し流入してくる処理水W2を槽13、17へ戻す配管24と、第一高圧ポンプP1からの配管22と、第二高圧ポンプP2までの配管22Bと、排出配管24とに設けられた開閉弁V1、V2、V3と、二つの外円筒体20A、20Bの結合中央上部に接続され、余剰流体を槽5c、13へ戻す余剰流体排出管24Aとから構成されている。
【0033】
各外円筒体20A、20Bの湾曲した上部21は、逆U字形状の一本の湾曲管で形成されている。流体供給側の内円筒体20Cは、その内部への流入を容易にするために高さを比較的低くし且つ落差を大きくするために底23Aを下げているのに対して、流体排出側の内円筒体20Dは、超微細化を繰り返す場合に流体供給側の環状空間28へ戻すために高速旋回流H2を上方へ案内するのに都合が良いように、また落差を大きくするために高さを高くしている。流体供給側の内円筒体20Cでは、その底部21Aから二台の第二ポンプP2、P2によって中間被処理水W1が吸引されるので、開放上縁21Bを越えてくる中間被処理水W1は底23Aに激しく衝突し、有機物や水クラスターの超微細化を強める。また、第一ポンプP1からの配管22には、キャビテーション泡を多く発生したり、槽13、17での好気性菌の活性化を図るために高速水流を利用して空気Aを吸引するエゼクターEが設けられている。更に、流体排出側の外円筒体20Bの内側には、その環状空間29内に突出量変更可能に突き出た複数の突出部材29Aを有しており、第二ポンプP2、P2によって発生された極めて高い高速旋回流H2を突出部材29Aに衝突させることでその背後に生じやすいキャビテーションや衝撃力を中間被処理水中の有機物に作用させることができる。高速旋回流H2の減速度やキャビテーション作用や衝撃力の調節は、突出部材29Aの数や突出量を変えることで行われる。流体排出側の外円筒体20Bと内円筒体20Dとは底26を共有している。
【0034】
中間被処理水W1中の有機物と水の超微細化は、環状空間28、29における高速旋回流H1、H2が外円筒体20A、20Bの内面に付着した水層とそれに近接した高速旋回水流層との間で発生する剪断作用とそれに付随したキャビテーション作用と、中間被処理水W1、W2が内円筒体20C、20Dの底23A、26に落下して発生する衝撃力と、高速旋回流H2が突出部材28への衝突とによって達成される。被処理水中の有機物の種類や超微細化度に応じて、この2連設式超微細化装置20の運転モードを選択することができる。即ち、微細化の容易な有機物や緩い超微細化度に対応して繰り返し超微細化を行う必要が無い場合は、供給量と排出量が釣り合った状態で運転すればよいし、繰り返し超微細化を行う場合は、被処理水の供給量よりも排出量が少なくなるように排出配管24に設けられた開閉弁V3を絞ることで、流体排出側の環状空間29における高速旋回流H2が高速旋回しながら、環状空間28の高速旋回流H1と旋回干渉しないように旋回方向が反転して流体供給側の環状空間28に流入し、被処理物が所望の粒度まで繰り返し超微細化の作用を受けるように運転する。その場合は、供給量は排出配管24からの排出量と余剰流体用排出管24Aからの排出量と均衡される。第一ポンプP1からの配管22の開閉弁V1は、供給量の調節と危急時の供給停止に使用され、また第二ポンプP2までの各配管22Bの各開閉弁V2は、高速旋回流H2の速度調節に使用され、また排出配管24に設けられた開閉弁V3は、上述のように繰り返し超微細化を行うか、行わないかを制御するために使用される。
【0035】
図4の二円筒式の汚泥超微細化装置30は、そのケーシング33の外壁33aを円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に内部円筒壁34を隔設し、内部円筒壁34の下端をケーシング底壁33bに結合し且つケーシング天井壁33cに対して隙間Cを形成することで、円筒状外壁33aと内部円筒壁34とで形成した環状流路35と内部円筒壁34の内部36とを隙間Cを介して連通している。また槽5c、13の内部の高圧水中ポンプによって供給されてくる有機物を含有した高速水流W1’を第一水導入部のケーシング天井壁33cの中央部の供給部31から内部円筒壁34の内部36に供給している。次いで、本装置30は、内部円筒壁内部36の下部から第二ポンプP2’によって吸引され高速度で吐出されて形成される第二高速度水流W2をケーシング外壁33aの下部に設けた第二水導入部37から環状流路35にほぼ接線方向から供給し、次いで内部円筒壁34の上端の隙間Cからその内部36に急激に落下させてケーシング底壁33bに激突させるようにしており、かくして、環状流路35と内部円筒壁内部36に渡って形成した循環流路において上述のような作用で水クラスターを超微細化すると共に水流中の汚泥と有機物を超微細化し、超微細な汚泥と有機物を含有した処理水W3をケーシング外壁33aの上部に設けた水排出部39において環状流路から一部分抜いて槽5c、13に戻す。供給部31には空気Aを流入させるエゼクターEを設けることができる。
【0036】
また水流W2’を繰り返し循環流路に通す度合いは、隙間Cを大きくしたり、水排出部39における水排出量を減らしたり、汚泥含有した廃水導入量を増やすことで、またそれらを複合的に組み合わせて高めることができ、繰り返し循環する度合いを低下させる場合は、それらの逆の調節を行う。ケーシング33aは、底壁33bを2段に分離しているが、底壁を内部円筒壁34の下端レベルに統合できることは言うまでもない。筒壁同士が接触
せずに流通横断面の余り変化の無い流路35を形成する程度に偏心状に内部円筒壁34を設けることもできる。更に、ケーシング外壁33aや、内部円筒壁34は、平坦部等の曲率変更部を部分的に有したり、内部円筒壁34に縦長のスリットを形成することができ、当該部分での衝撃力や剪断力を高めるようにも構成できる。
【0037】
図示は省略するが、三円筒式の汚泥超微細化装置を説明すると、ケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に中間円筒壁と内部円筒壁の二つを隔設し、中間円筒壁の上端をケーシング天井壁に、下端をケーシング底壁に結合して外環状流路を形成し、内部円筒壁の下端をケーシング底壁に結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、中間円筒壁と内部円筒壁とで形成した中間環状流路と内部円筒壁内部とを隙間を介して連通している。また水導入部の内の第一水導入部において、装置の近くに配置した第一高圧ポンプによって槽の内部の有機物や汚泥を含有した下水を吸引して発生した第一高速度水流が空気導入部のエジェクターに供給されて、そこで空気が第一高速度水流に気泡として導入され、該気泡の導入された高速度水流は中間環状流路に接線方向から供給され、次いで内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下されてケーシング底壁に激突させ、また該内部円筒壁内部から第二高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される第二高速度水流が第二導入部で外環状流路に接線方向から供給されるようにしている。本装置は、更に外環状流路を第一ポンプの吸引側に管路を介して接続して形成される循環路に水流が繰り返し流されるようにし、この循環路を成す中間環状流路及び外環状流路での剪断作用ときャビテーション作用と、ケーシング底壁への激突とによって水のクラスターが超微細化されると共に水流中の汚泥及び有機物が超微細化され、超微細な気泡を含有した処理済みの水が水排出部において外環状流路から一部分抜かれて槽に戻されるようにしている。
【0038】
また水流を繰り返し循環する度合いは、隙間を大きくしたり、水排出部における水排出量を減らしたり、第一水導入部における水導入量を増やしたり、第一ポンプの吸引側の弁を絞ると共に管路の弁を大きく開いて、またそれらを複合的に組み合わせて高めることができ、繰り返し循環する度合いを低下させる場合は、それらの逆の調節を行う。ケーシングは、底壁を2段に分離しているが、底壁を中間と内部の円筒壁の下端レベルに統合できることは言うまでもない。筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に中間と内部の円筒壁を設けることもできる。ケーシング外壁や、中間と内部の円筒壁は、平坦部等の曲率変更部を部分的に有したり、中間と内部の円筒壁に縦長のスリットを形成したりでき、当該部分での衝撃力や剪断力を高めるように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の代表的な実施形態の汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備の概略説明フロー図。
【図2】同設備の第一形態の超微細化装置の構成を示す部分断面の概略説明立面図。
【図3】同超微細化装置の概略説明平面図。
【図4】同設備の第二形態の超微細化装置の構成を示す部分断面の概略説明立面図。
【符号の説明】
【0040】
1:汲み取りし尿などを含む下水の処理設備
5:発酵菌供給手段
5c:培養水のタンク
5d:水用超微細化装置
5e:培養槽
5f:分配槽
11:受入槽
12A:ドラムスクリーン
12B:スクリュープレス
13:貯留槽
14:撹拌槽
15:曝気槽
15A:第一曝気槽
15B:第二曝気槽
16:沈殿槽
17:後処理部
18:生物処理手段
18A:汚泥消滅装置
18b:菌床
18f:吸引ファン
18g:冷却ユニット
18h:脱臭ユニット
18i:復水タンク
19:発酵装置
19A:混合槽
19B:発酵槽
20:超微細化装置
20A:外円筒体
20B:外円筒体
20C:垂直内円筒体
20D:垂直内円筒体
21:上部
21B:開放上縁
22:垂直下部
24:排出配管
24A:余剰流体排出管
25:垂直下部
28:環状空間
29:環状空間
30:別の形態の超微細化装置
33a:ケーシング底壁
33b:ケーシング底壁
34:内部円筒壁
35:環状流路
36:内部円筒壁の内部
40:生物処理部
C:隙間
P1:高圧ポンプ
p1:カッターポンプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
汲み取りし尿や浄化槽汚泥などを含んだ下水の供給を受ける貯留槽と、
該貯留槽から高圧ポンプによって吸引した下水を高速度で環状流路に供給して、高速水流の少なくとも剪断作用によって下水クラスタと含有有機物をミクロンレベルに超微細化して超微細化処理下水として上記貯留槽又は撹拌槽に戻す超微細化装置と、
上記貯留槽から上記撹拌槽を経て、又は上記撹拌槽から直接超微細化処理下水と発酵菌の供給を受けて曝気処理する曝気処理槽と、
少なくとも上記撹拌槽に発酵菌を供給する発酵菌供給手段と、
上記曝気処理槽から曝気処理下水が供給されて上澄水と沈殿汚泥とに分離する沈殿槽と、
該沈殿槽から上澄水の供給を受けて処理済み水を放流する後処理部と、
上記沈殿槽から汚泥の供給を受けて生物処理する生物処理手段と、を有することを特徴とする汲み取りし尿などを含んだ下水の処理設備。
【請求項2】
上記貯留槽の前に、汲み取りし尿や浄化槽汚泥や家畜の糞尿などを含んだ下水を受け入れる受入槽と、
該受入れ槽からカッターポンプによって移送されてくる下水からし渣を分離するドラムスクリーンと、しさを脱水するスクリュープレスとが設けられており、
上記受入れ槽は、上記発酵菌供給手段から発酵菌の供給を受けるようになっている請求項1記載の処理設備。
【請求項3】
上記沈殿槽は、その下部から切替え弁を介して汚泥を上記超微細化装置の上流側に供給したり、上記生物処理手段に供給するように構成されている請求項1記載の処理設備。
【請求項4】
上記後処理部は、上記沈殿槽から上澄水の供給を受けると共に、上澄水を生物浄化を行うろ過装置を通してから、又は凝集剤やpH調整剤が供給されて凝集とpH調整の処理後に処理済み水を放流する請求項1記載の処理設備。
【請求項5】
上記発酵菌供給手段は、水用超微細化装置と、水クラスターが超微細化された培養水のタンクと、該タンクからの培養水と発酵菌種とミネラルなどの栄養素とが供給される培養槽と、分配槽と、分配ポンプとを有している請求項1記載の処理設備。
【請求項6】
上記生物処理手段は、上記沈殿槽からの汚泥を好気性菌の菌床に混合して生物分解処理する汚泥消滅装置と、
上記沈殿槽からの汚泥と上記発酵菌供給手段からの発酵菌とを混合する混合槽と、該混合槽からの混合物の供給を受けて発酵させる発酵槽とから成る発酵装置とから構成されている請求項1記載の処理設備。
【請求項7】
上記汚泥消滅装置は、該装置から発生する水蒸気などを吸引ファンによって供給され、凝縮水に復水する冷却ユニットと、排気を脱臭する脱臭ユニットと、復水タンクとを有している請求項1記載の処理設備。
【請求項8】
上記超微細化装置は、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に内部円筒壁を隔設し、内部円筒壁をケーシング底壁と結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、円筒状外壁と内部円筒壁とで形成した環状流路と内部円筒壁の内部とを上記隙間を介して連通しており、また高圧ポンプによって上記貯留槽又は汚泥濃縮槽から上記内部円筒壁の内部に汚泥を含有した第一高速度水流が供給され、次いで該内部円筒壁の内部から高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される汚泥を含有した第二高速度水流が第二水導入部において上記環状流路に供給されて、次いで上記内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下されてケーシング底壁に激突させるようにしており、上記環状流路と上記内部円筒壁の内部に渡って形成した循環流路において水流中の汚泥の細胞膜を破壊し、汚泥を超微細化した処理水を上記環状流路から一部分抜いて上記貯留槽又は汚泥濃縮槽に供給される構造を有している請求項1記載の処理設備。
【請求項9】
上記超微細化装置は、そのケーシングの外壁を円筒状に形成し、そのケーシング内部に同心状に、又は筒壁同士が接触せずに流路を形成する程度に偏心状に中間円筒壁と内部円筒壁の二つを隔設し、中間円筒壁をケーシング天井壁とケーシング底壁に結合して外環状流路を形成し、内部円筒壁をケーシング底壁と結合し且つケーシング天井壁に対して隙間を形成することで、中間円筒壁と内部円筒壁とで形成した中間環状流路と内部円筒壁の内部とを上記隙間を介して連通しており、また上記貯留槽又は汚泥濃縮槽から第一水導入部において、高圧ポンプによって発生された汚泥を含有した第一高速度水流が空気導入部に供給されて、そこで空気が第一高速度水流に気泡として導入され、該気泡の導入された第一高速度水流は上記中間環状流路に供給され、次いで上記内部円筒壁の上端からその内部に急激に落下されてケーシング底壁に激突させ、また該内部円筒壁の内部から高圧ポンプによって吸引されて高速度で吐出されて形成される汚泥を含有した第二高速度水流が第二水導入部において上記外環状流路に供給されるようにして、更に該外環状流路を上記第一ポンプの吸引側に管路を介して接続して形成される循環路を流れるようにされ、この循環路を成す上記中間環状流路及び上記外環状流路での剪断作用と上記ケーシング底壁への激突とによって水中の汚泥の細胞膜を破壊して超微細化し、超微細化された汚泥を含有した処理水が上記外環状流路から一部分抜かれて上記貯留槽又は汚泥濃縮槽に導かれる構造を有している請求項1記載の処理設備。
【請求項10】
上記第一又は第二の超微細化装置は、立面視で略逆U字形状に中央上部で互いに連通状態で結合し、湾曲上部と有底の垂直下部とから成り、中央上部に余剰流体を排出する排出管が接続されている略逆J字形状の複数の外筒体と、
各外筒体の垂直下部の内部において間に環状空間を形成するように垂直下部の底に固定された有底の垂直内筒体と、
上記複数の外筒体のいずれかの環状空間に固形状の被処理物を含んだ高速流体を供給して8m/秒以上の平面視で時計方向か、又は反時計方向の高速旋回流を発生する第一高圧ポンプ及び配管と、
高速流体が供給される外筒体の内筒体の底部から、該内筒体の開放上縁を越えて底に落下し流入してくる流体を吸引して、上記いずれか以外の外筒体の環状空間に被処理物を含んだ高速流体を供給して8m/秒以上の平面視で反時計方向か、又は時計方向の高速旋回流を発生する第二高圧ポンプ及び配管と、
上記いずれか以外の外筒体の内筒体の底部から、該内筒体の開放上縁を越えて底に落下し流入してくる流体を排出する配管と、
該流体排出配管に設けられた排出量調節手段と、
上記第一高圧ポンプからの配管と、上記第二高圧ポンプまでの配管と、上記排出の配管とに各々配置された開閉弁と、
上記第一高圧ポンプからの配管に設けられ、高速流体に空気を混入するエゼクターと、から構成されており、
上記高速流体が含有している被処理物は、上記環状空間における高速旋回流が発生する剪断作用と上記内筒体の底への流体の落下による衝撃力によってミクロンのレベルまで超微細化される請求項1記載の処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212483(P2006−212483A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25375(P2005−25375)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】