説明

油中水エマルジョン組成物およびそれの製造および使用方法

アルミナ製造工程における工程流れに懸濁している固体の含有量を前記流れを油中水組成物で供給したケイ素含有重合体と接触させることで減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水エマルジョン組成物に関する。より詳細には、本発明は、ケイ素含有重合体が入っている油中水エマルジョン組成物をアルミナ製造工程で用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
ボーキサイトは、製造されるほとんど全部のアルミニウム化合物用の基本的な原料である。アルミニウム化合物を製造する過程でボーキサイトに精製をバイエル(Bayer)方法、シンター(Sinter)方法およびこれらの組み合わせで受けさせることで水酸化アルミニウムを生じさせることができる。ボーキサイトの分類分けは典型的にギブサイト、ベーマイトおよびダイアスポア成分の如き主要な鉱物学的成分に従って行われる。ボーキサイトの鉱物学的組成によって処理方法が影響を受ける可能性がある。
【0003】
アルミナをボーキサイトから製造するためのバイエル方法を実施している時、ボーキサイト鉱石を苛性溶液、即ち水酸化ナトリウム(NaOH)と一緒にして高温高圧で分解させることで懸濁したままの不溶不純物が入っている過飽和アルミン酸ナトリウム溶液(一般に“過飽和緑液”と呼ばれる)を得る。そのボーキサイトが主にギブサイトを含有する場合には、ボーキサイトからのアルミナの抽出を100から150℃の範囲の温度で達成することができる。しかしながら、ボーキサイトが主にベーマイトまたはダイアスポアを含有する場合には、アルミナの抽出がより困難になって200℃以上の温度が必要になる。その上、ベーマイトまたはダイアスポアを含有するボーキサイトを分解させる時に石灰を添加するとアルミナの回収率が向上し得ることも良く知られている。
【0004】
シンター方法はバイエル方法の代替法または補助法であり、その方法は一般にシリカ含有量が高いボーキサイトを処理しようとする時に用いられる。シンター方法では、ボーキサイト(またはバイエル“赤泥”)に焼成をソーダおよび/または石灰を用いて1200℃で受けさせた後にNaOH溶液を用いた浸出を実施することで、アルミン酸ナトリウム溶液(また一般に“過飽和緑液”とも呼ばれる)および不溶な“シンター泥”を生じさせる。
【0005】
アルミナ製造工程中に生じた不溶な残留物、即ち懸濁している固体には、酸化鉄、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カルシウム、チタン酸カルシウム、二酸化チタン、ケイ酸カルシウムおよび他の物質が含まれる。処理中に添加されるボーキサイト鉱物学的および化学的添加剤は存在する固体相に影響を及ぼす。懸濁している固体を過飽和緑液からそれのほぼ沸点で分離する方法は“浄化”として知られる。
【0006】
浄化段階では、より粗い固体状粒子を一般に“サンドトラップ”サイクロンを用いて除去する。より微細な固体状粒子を前記溶液から分離しようとする時、通常はそのスラリーを泥沈降装置の中心井戸に供給してそれを凝集剤組成物で処理することが行われているが、その凝集剤組成物は、多様な凝集剤が基になっている可能性があり、それには澱粉、小麦粉、ポリアクリル酸塩重合体、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体および/またはペンダント型のヒドロキサム酸もしくは塩の基を含有する水溶性重合体が含まれる。泥が沈降するにつれて浄化された緑液が泥沈降用タンクの上部に位置する堰から溢れ出て次の処理段階に送られる。
【0007】
その時点で、シンター方法では、しばしば、脱ケイ酸用添加剤、例えば石灰などを前記緑液に添加して前記溶液から可溶シリカ種を除去する別の段階が必要である。そのスラリーを凝集剤で処理した後、脱ケイ酸沈降装置に送り込むことで不溶な脱ケイ酸生成物を除
去することが行われるが、その不溶な脱ケイ酸生成物にはアルミノケイ酸ナトリウムおよびアルミノケイ酸カルシウムが含まれる。
【0008】
その凝集手順で沈降させた固体(泥として知られる)を泥沈降装置の下部から取り出して、向流の洗浄回路に通すことでアルミン酸ナトリウムおよびソーダを回収する。ボーキサイトに入っているケイ酸塩およびチタン含有酸化物の濃度に応じて、赤泥および/またはアルミン酸塩溶液にアルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、チタン酸カルシウムおよび二酸化チタンが入っている可能性がある。そのような不溶な物質はしばしば脱ケイ酸生成物(DSP)と呼ばれ、それらは赤泥および/またはアルミン酸溶液の中に懸濁液したままであり得る。
【0009】
浄化段階において、この工程全体の効率を良好にすべき場合には、その懸濁している固体を好適には相対的に速い速度で分離する。アルミナを生じさせる工程における工程流れから懸濁している固体を効率良く除去することは様々な様式で取り扱われてきており、それには、これらに限定するものでないが、ポリアクリレートを凝集剤として用いる様式、ポリアクリレートと澱粉の組み合わせをバイエルアルミナ回収回路で用いる様式、ポリアクリルアミドを泥沈降装置内で用いる様式、バイエルアルミナ回収回路における様々な段階を様々な凝集剤組成物で処理する様式、バイエル工程流れをヒドロキサム化重合体と接触させて混合することで懸濁している固体をバイエルアルミナ工程流れから除去する様式、およびヒドロキサム化重合体エマルジョンとポリアクリレートエマルジョンの混合物を用いて懸濁している固体をバイエルアルミナ工程流れから除去する様式が含まれる。
【0010】
ケイ素含有重合体が水浄化の目的で開示されている。例には、これらに限定するものでないが、水に懸濁している固体を凝集させるためのケイ素含有アミノメチルホスホネート、油性廃水の解乳化、鉱物スラリーの脱水および廃水の浄化で用いられる凝固剤としてのハロゲン化ジアリルジメチルアンモニウムとビニルトリアルコキシシランの共重合体、および非イオン性、カチオン性およびアニオン性の水溶性重合体の構造を改質するための架橋剤としてのビニルトリアルコキシシラン、および構造的改質を受けさせた重合体を凝集剤として用いることが含まれる。
【0011】
ケイ素含有重合体はまたアルミノケイ酸塩スケールの制御でも用いられる。
【0012】
バイエル方法における赤泥凝集を向上させる目的でケイ素含有重合体の水溶液を用いることが特許文献1に開示されている。
【0013】
ケイ素含有重合体を有する油中水エマルジョン凝集剤組成物を工程流れに単独でか或は通常の凝集剤を添加した後にか或はそれの添加に続いてか或は一緒に添加して効率良く混合することでアルミナ製造工程、特にバイエルおよび/またはシンター工程の流れから懸濁している固体、特にケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、チタン酸カルシウムおよび二酸化チタンの粒子を凝集させ得ることができることをここに見いだした。この処理を必ずしもではないが典型的に泥を沈降させる工程における段階の前に行うことで、濾過の必要性を有意に低くすることができる。その懸濁している固体は好ましくない不純物を含有する可能性があることから、本発明の実施によって懸濁している固体の量の低下を達成するとまた結果としてもたらされるアルミナ生成物の純度も向上する可能性がある。シラン含有量が高い重合体が入っている油中水エマルジョンを調製することができることを見いだした。その油中水エマルジョンが示す凝固点の方が公知溶液が示すそれよりも低く、従って、それはより低い温度で液状のままでありかつ使用可能である。更に、シラン含有重合体が入っている油中水エマルジョンをアニオン性重合体、例えばポリアクリレートおよび/またはヒドロキサム化ポリアクリルアミドなどが入っているエマルジョンと簡単に混合することができることでそれを如何なる比率でも容易に混合することができる
ことも見いだした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US 2008/0257827
【発明の概要】
【0015】
本明細書に記述する1つの面は、油中水エマルジョン組成物の製造方法であり、この方法は、ケイ素含有重合体を含有して成る水溶液を生じさせ、そして前記水溶液を界面活性剤および油と混合することで前記ケイ素含有重合体を含有する油中水エマルジョン組成物を生じさせることを含んで成る。
【0016】
本明細書に記述する別の面は、ケイ素含有重合体を含有して成る油中水エマルジョン組成物であり、この組成物は、ケイ素含有重合体を含有して成る水溶液を界面活性剤および油と混合して油中水エマルジョン組成物を得ることで製造した組成物である。
【0017】
本明細書に記述するさらなる面は凝集方法であり、この方法は、上述した如き油中水エマルジョン組成物で供給した高分子凝集剤をアルミナ製造工程における工程流れと混合することを含んで成り、ここでは、その中に懸濁している固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で前記高分子凝集剤を混合しかつ前記懸濁している固体を赤泥、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、酸化チタンおよびこれらの混合物から成る群より選択する。
【0018】
本明細書に記述する更に別の面は、油中水エマルジョン組成物であり、これは、−Si(OR)基を含有する単量体単位を少なくとも8%有するケイ素含有重合体を含有して成る。
【0019】
前記および他の面を以下により詳細に説明する。
【0020】
詳細な説明
以下の説明および実施例に本発明の多数の態様を詳細に例示する。当業者は、本発明の範囲内に含まれる本発明の変形および修飾形が数多く存在することを認識するであろう。従って、本明細書に示す態様の説明は本発明の範囲を限定すると見なされるべきでない。
【0021】
ここに、様々なケイ素含有重合体がアルミナ製造工程、例えばバイエル方法およびシンター方法などの工程流れの中に懸濁している固体を凝集させる凝集剤として用いるに有用であることを見いだした。
【0022】
1つの態様は、ケイ素含有重合体を含有する油中水組成物を包含する。油中水エマルジョン(また“逆エマルジョン”とも呼ぶ)には、水相に入っているカチオン性、アニオン性または非イオン性のケイ素含有重合体、油相としての炭化水素油(本明細書では以降“油”と呼ぶ)および乳化剤(本明細書では以降“界面活性剤”と呼ぶ)が入っている。本明細書に記述する油中水エマルジョンには、油が連続して存在しかつこのエマルジョンの分散している水性粒子の中に溶解しているケイ素含有重合体が入っている。この逆エマルジョンは、前記重合体がせん断、希釈または別の界面活性剤(“逆界面活性剤”と呼ぶ)によって前記粒子から放出されると“逆転”または使用のための活性化を起こす。逆転を記述している米国特許第3,734,873号を参照のこと。
【0023】
前記ケイ素含有重合体の形態は一般にボーキサイト鉱石を分解させる方法における懸濁している固体の凝集を向上させる形態である。ケイ素含有重合体の例には、ペンダント型
シラン基、例えば式(I):
−Si(OR) (I)
[式中、各Rは独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンまたはNR’であり、かつ各R’は独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルであり、そしてRおよびR’は各々独立して置換されていないか或はヒドロキシで置換されている]
で表されるケイ素含有ペンダント型基などが結合している重合体が含まれる。R基の例には、低級アルキル基、例えばC1−6アルキル基およびC1−3アルキル基など、フェニル、ベンジル、Na、KおよびNHなどが含まれる。
【0024】
いくつかの態様における−Si(OR)基、即ち式Iは、トリメトキシシラン基(R=メチル)またはトリエトキシシラン基(R=エチル)である。また、他のアルキル基も式(I)中のRとして有利に用いることができる。本明細書で用いる如き用語“アルキル”は、幅広い用語であり、それを通常の意味で用い、それには、これらに限定するものでないが、炭素原子数が1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の直鎖もしくは分枝で、非環式もしくは環式の、飽和脂肪族炭化水素を指すことが含まれる一方、用語“低級アルキル”はアルキルと同じ意味を有するが、それが含有する炭素原子の数は1、2、3、4、5また6である。代表的な飽和直鎖アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる。飽和分枝アルキル基の例には、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが含まれる。
【0025】
代表的な飽和環式アルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロプロピル、−CHシクロブチル、−CHシクロペンチル、−CHシクロヘキシルなどが含まれる。環式アルキル基をまた“ホモ環式環”とも呼ぶこともあり得、それにはジ−およびポリ−ホモ環式環、例えばデカリンおよびアダマンタンなどが含まれる。
【0026】
不飽和アルキル基は、隣接して位置する炭素原子の間に二重もしくは三重結合を少なくとも1個含有する(それぞれ“アルケニル”または“アルキニル”と呼ぶ)。代表的な直鎖および分枝アルケニル基には、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが含まれる。代表的な直鎖および分枝アルキニル基には、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1 ブチニルなどが含まれる。代表的な不飽和環式アルキル基には、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが含まれる。
【0027】
置換されていないアルキル、アルケニルおよびアルキニル基が一般に適切ではあるが、また、置換されているアルキル、アルケニルおよびアルキニル基も有利に使用可能である。
【0028】
特定の態様において、Rはアリール基であってもよいか或はそれを含有していてもよい。本明細書で用いる如き用語“アリール”は幅広い用語であり、それを通常の意味で用い、それには、これらに限定するものでないが、芳香炭素環式部分、例えばフェニルまたはナフチルなどばかりでなくアラルキルおよびアルキルアリール部分を指すことが含まれる。本明細書で用いる如き用語“アラルキル”は幅広い用語であり、それを通常の意味で用い、それには、これらに限定するものでないが、少なくとも1個のアルキル水素原子がアリール部分に置き換わっているアルキル、例えばベンジル、−CH(1または2−ナフ
チル)、−(CHフェニル、−(CHフェニル、−CH(フェニル)などを指すことが含まれる。本明細書で用いる如き用語“アルキルアリール”は幅広い用語であり、それを通常の意味で用い、それには、これらに限定するものでないが、少なくとも1個のアリール水素原子がアルキル部分に置き換わっているアリールを指すことが含まれる。特に好適なアリール基にはC6−12アリールおよびC7−20アラルキル基が含まれる。
【0029】
置換されていないアルキルもしくはアリール基が一般に好適ではあるが、特定の態様では置換されているアルキルもしくはアリール基も有利に使用可能である。本明細書で用いる如き用語“置換されている”は幅広い用語であり、それを通常の意味で用い、それには、これらに限定するものでないが、少なくとも1個の水素原子が置換基に置き換わっている前記基(例えばアルキル、アリール)のいずれかを指すことが含まれる。ケト置換基(“−C(=O)−”)の場合、2個の水素原子が置き換わっている。置換されている場合の“置換基”には、好適な態様の文脈の範囲内で、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボキシル、エーテル、カルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルなどが含まれる。別法として、R基が有する炭素原子の中の1個以上がヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄などに置き換わっていてもよい。
【0030】
1つの態様において、−Si(OR)基はペンダント型基としてケイ素含有重合体のバックボーンに結合している。そのペンダント型−Si(OR)基は、ケイ素含有重合体のバックボーンの中の原子(例えば炭素原子)と直接結合していてもよいか或は適切な連結基を通して重合体のバックボーンと結合していてもよい。連結基の例には、完全飽和直鎖C1−6アルキル鎖ばかりでなくエーテル連結を有するアルキル鎖(例えばアルコキシまたはポリ(アルコキシ)連結基)も含まれる。他の連結基には、アミド連結およびヒドロキシ置換基を有するアルキル鎖、例えば:
−C(=O)(NH)CHCHCH
−NHCHCHOHCHOCHCHCH
−NHC(=O)NHCHCHCH
などが含まれる。
【0031】
1つの態様では、−Si(OR)基を重合体バックボーンおよび/または重合体の適切な部分のいずれか(例えば末端基、グラフト化部分または側鎖などとして)の中に含めるか或はそれと結合させる。特定の態様のケイ素含有重合体では、それに−Si(OR)基に加えて他のペンダント型基も含めるのが好ましい可能性がある。他のペンダント型基の例には、カルボキシレート基、例えば−C(=O)Oまたは−C(=O)OHなど、アミド基、例えば−C(=O)NR’R”[ここで、R’およびR”は各々独立してH、アルキルまたはアルケニルであってもよい]など、ヒドロキサム化基、例えば−C(=O)NHOなどおよびアミン基、例えば−NHなどが含まれる。また、当業者が理解するであろうように、他のペンダント型基を用いることも可能である。
【0032】
いくつかの態様では、ケイ素含有重合体のバックボーンに置換されているエチレン繰り返し単位、例えば−[CHC(R)H]−[ここで、Rは、本明細書の他の場所に記述する如き連結基の有り無しの−Si(OR)基または別のペンダント型置換基を含んで成る]などを含める。1種類のみの連結基を用いてもよいか或は連結基の組み合わせを用いることも可能である。特定の態様では、エチレン繰り返し単位が有する追加的水素原子がペンダント型シラン基または他のある種のペンダント型基に置き換わっていてもよい。
【0033】
ケイ素含有重合体に含める−Si(OR)基の適切な量は、当該重合体の種類および
用途に応じて多様であり得る。例えば、1つの態様では、ケイ素含有重合体が有する単量体単位の少なくとも8%が−Si(OR)基を含有する。
【0034】
他の態様において、ケイ素含有重合体が有する−Si(OR)基含有単量体単位の量は少なくとも10%、12%、15%または20%であってもよい。凝集剤組成物に存在させる−Si(OR)基の含有量を高くするとその凝集剤組成物が示す凝集利点が向上し得る。
【0035】
本油中水エマルジョン組成物の製造では、ケイ素含有重合体が入っている水溶液を生じさせそしてその水溶液を界面活性剤および油と混合することでケイ素含有重合体が入っている油中水エマルジョン組成物を生じさせることで製造を行う。本油中水エマルジョンは油が連続的に存在することに加えて分散している水相の中にケイ素含有重合体が溶解している。
【0036】
そのようなケイ素含有重合体が入っている水溶液の製造は多様な様式で実施可能である。1つの態様では、重合体バックボーンの合成を溶液重合で実施しそしてケイ素含有基を溶液中で実施する一連の反応を通して導入する。別法として、ケイ素含有重合体を溶液中で生じさせることも可能であり、その場合には、ケイ素含有単量体を用いてケイ素含有基が結合している重合体を生じさせる。
【0037】
例えば、いくつかの態様において、ケイ素含有重合体の製造は式(I)で表される基−Si(OR)を含有する単量体を重合させるか或は前記単量体と1種以上の共重合用単量体を共重合させることで実施可能である。適切な単量体には、これらに限定するものでないが、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニル−トリエトキシシラン、γ−N−アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、p−トリエトキシシリルスチレン、2−(メチル−トリメトキシシリル)アクリル酸、2−(メチルトリメトキシシリル)−1,4−ブタジエン、N−トリエトキシシリルプロピル−マレイミド、および無水マレイン酸と他の不飽和無水物と−Si(OR)基含有アミノ化合物の他の反応生成物が含まれる。前記単量体または結果としてもたらされる繰り返し単位に塩基水溶液を用いた加水分解を重合前または重合後のいずれかで受けさせる。適切な共重合用単量体には、これらに限定するものでないが、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸およびこれのエステル、アクリルアミドおよび置換されているアクリルアミド、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が含まれる。共重合体はまたグラフト共重合体、例えばポリアクリル酸−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)またはポリ(酢酸ビニル−コ−クロトン酸)−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)などであってもよい。そのような重合体の製造は様々な溶媒、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなど中で実施可能である。ある場合には、そのような重合体は反応溶媒に可溶であり、それの回収を便利には溶媒を留出させることで行ってもよいか、或はその重合体が反応溶媒に不溶な場合、生成物の回収を便利に濾過で行ってもよいが、しかしながら、適切な如何なる回収方法も使用可能である。適切な開始剤には2,2’アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどが含まれる。
【0038】
いくつかの態様において、本明細書に記述するケイ素含有重合体の製造は−Si(OR)基に加えて現存重合体のペンダント型基もしくはバックボーン原子のいずれかと反応し得る反応性基も含有する化合物を反応させることで実施可能である。ポリアミンを−Si(OR)基を1個以上含有する多様な化合物と反応させることで重合体を生じさせてもよく、それを好適な態様で用いてもよい。そのような反応性基は、アルキルハライド基、例えばクロロプロピル、ブロモエチル、クロロメチル、ブロモウンデシルまたは他の適
切な基であり得る。−Si(OR)基を1個以上含有する化合物はエポキシ官能基、例えばグリシドキシプロピル、1,2−エポキシアミル、1,2−エポキシデシルまたは3,4−エポキシシクロ−ヘキシルエチルなどを含有していてもよい。そのような反応性基はまたヒドロキシル基とハライドの組み合わせ、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルなどであってもよい。そのような反応性部分はまたイソシアネート基、例えばイソシアナトプロピルまたはイソシアナトメチルなどを含有していてもよく、それらはアミン基と反応して尿素結合を生じるか或はヒドロキシル基と反応してウレタン結合を生じる。加うるに、無水基を含有するシラン、例えば無水トリエトキシシリルプロピルこはく酸などを用いることも可能である。その反応は混ぜ物なしまたは適切な溶媒中のいずれかで実施可能である。加うるに、重合体が有する他のアミノ基または窒素原子をアルキルハライド、エポキシドまたはイソシアネートと反応させることで他の官能基、例えばアルキル基などを加えることも可能である。そのようなポリアミンの製造は多様な方法を用いて実施可能である。例えば、アジリジンまたは同様な化合物の開環重合を起こさせることでそれらを製造することができる。また、アミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミンなどを反応性化合物、例えば1,2−ジクロロエタン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンまたは同様な化合物と一緒に縮合反応させることでそれらを生じさせることも可能である。
【0039】
無水基を含有する重合体を多様なケイ素含有化合物(例えば−Si(OR)基を1個以上含有する)と反応させることで本明細書に記述する態様のケイ素含有重合体を生じさせることも可能である。適切な出発重合体には、無水マレイン酸のホモ重合体および無水マレイン酸と単量体、例えばスチレン、エチレン、メチルビニルエーテルなどの共重合体が含まれる。そのような出発重合体はまたグラフト共重合体、例えばポリ(1,4−ブタジエン)−g−無水マレイン酸またはポリエチレン−g−無水マレイン酸などであってもよい。他の適切な無水単量体には、無水イタコン酸および無水シトラコン酸が含まれる。適切な反応性シラン化合物には、これらに限定するものでないが、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ
アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシプロピル)−トリメトキシシラン、γ−アミノブチルトリエトキシルシランなどが含まれる。当該重合体をアミン、アルコールおよび他の化合物と反応させることで他の官能基をそれに加えることも可能である。
【0040】
1つの好適な態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[C(R)H−C(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位および構造−[C(R)H−C(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、R、RおよびRは−C(=O)ORであり、Rは−C(=O)NH−R’−Si(OR)であり、RはI族もしくはII族の金属イオン、好適にはNaまたはKであり、そしてR’は炭素原子数が1から12、好適には炭素原子数が2から6のアルキレン、より好適にはプロピレンである。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位の量を当該重合体に含まれる繰り返し単位の総数を基準にした数で表して少なくとも約5%、好適には少なくとも約8%にする。そのような重合体にビニル単量体、例えばスチレン、アルキルビニルエーテルおよびN−ビニルピロリドンに由来するさらなる繰り返し単位を含有させることも可能である。
【0041】
別の好適な態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[C(R)H−C(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[C(R)H−C(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位および構造−[C(R)H−C(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、R、R、RおよびRは−C(=O)ORであり、Rは−C(=O)NH−R’−Si(OR)であり、Rは−C(=O)NR”R”’でありそしてRはI族またはII族の金属イオン
、好適にはNaまたはKであり、そしてR’は炭素原子数が1から12、好適には炭素原子数が2から6のアルキレン、より好適にはプロピレンであり、R”は水素またはアルキルまたはアルケニル基であり、そしてR”’は炭素原子数が好適には1から18のアルキルまたはアルケニル基である。そのような重合体にビニル単量体、例えばスチレン、アルキルビニルエーテルおよびN−ビニルピロリドンなどに由来するさらなる繰り返し単位を含有させることも可能である。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位の量を当該重合体に含まれる繰り返し単位の総数を基準にした数で表して少なくとも約5%、好適には少なくとも約8%にしそして3番目の繰り返し単位の量を少なくとも約10%にする。
【0042】
ヒドロキシル基含有重合体をエポキシ官能基、例えばグリシドキシプロピルトリメトキシシランなどと反応させることも可能である。ヒドロキシル基含有重合体の例には、多糖、例えば澱粉およびヒドロキシエチルセルロースなどが含まれる。
【0043】
1つの態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、Rは−C(=O)Oまたは−C(=O)NHまたはこれらの組み合わせであり、そしてRは−C(=O)NHCHCHCHCHSi(Oである。1つの態様では、前記2番目の繰り返し単位の量を当該重合体に含まれる繰り返し単位の総数を基準にした数で表して少なくとも約8%、例えば少なくとも約10%にする。
【0044】
別の態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位(これの含有量は場合により0から50%であってもよい)、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位(これの含有量は場合により0から90%であってもよい)、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位(これの含有量は場合により0から60%であってもよい)、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位(これの含有量は8から100%である)および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位(これの含有量は場合により0から30%であってもよい)を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OでありそしてRは−NHである。1つの態様では、前記ケイ素含有重合体の1番目の繰り返し単位の含有量を数で表して約50%以下、2番目の繰り返し単位の含有量を数で表して約90%以下、3番目の繰り返し単位の含有量を数で表して60%以下、4番目の繰り返し単位の含有量を数で表して8%から50%にしそして5番目の繰り返し単位の含有量を数で表して30%以下にする。
【0045】
別の態様におけるケイ素含有重合体は、構造−[CHC(R)H]−で表される1番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される2番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される3番目の繰り返し単位、構造−[CHC(R)H]−で表される4番目の繰り返し単位および構造−[CHC(R)H]−で表される5番目の繰り返し単位を包含する繰り返し単位を含有して成り、ここで、RはC(=O)NHであり、Rは−C(=O)Oであり、Rは−C(=O)NHOであり、Rは−NHC(=O)NHCHCHCHSi(OでありそしてRは−NHである。1つの態様では、前記1番目の繰り返し単位と2番目の繰り返し単位が一緒になって数で表して繰り返し単位の約65%から約70%を構成し、3番目の繰り返し単位が数で表して繰り返し単位の約20から約30%を構成しそして4番目と5番目の繰り返し単位が一緒になって繰り返し単位の残りを構成するようにする。
【0046】
さらなる態様では、構造(I)で表される繰り返し単位を含有しかつ場合により構造(
II)で表される繰り返し単位および構造(III)で表される繰り返し単位
【0047】
【化1】

【0048】
を含有して成っていてもよい重合体を提供し、ここで、
QはHまたは場合により置換されていてもよい炭素数が約1から約20のヒドロカルビル基であり、
およびAは各々独立して直接結合または炭素数が約1から約20の有機連結基であり、そして
R”=H、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキル、場合により置換されていてもよいC−C20アルケニル、I族の金属イオン、II族の金属イオンまたはNRであり、ここで、各Rは独立してH、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキルおよび場合により置換されていてもよいC−C20アルケニルから選択される。
【0049】
用語“重合体P1”を本明細書では構造(I)で表される繰り返し単位を含有しかつ場合により構造(II)で表される繰り返し単位および構造(III)で表される繰り返し単位を含有していてもよい重合体を指す目的で用いることができる。1つの態様における重合体P1は、R”がI族の金属イオン(例えばNa)、II族の金属イオン(例えばK)および/またはNR(例えばアンモニウム)である構造(I)で表される繰り返し単位を含有して成る。この重合体P1に含める繰り返し単位の量は幅広い範囲に渡って多様であり得る。例えば、1つの態様では、重合体P1に含有させる構造(I)で表される繰り返し単位の量を重合体P1中の繰り返し単位の総モル量を基準にして少なくとも約8モルパーセント、好適には少なくとも約15モルパーセントにする。
【0050】
この上に示したように、重合体P1中の構造(I)および(II)で表される繰り返し単位にはAおよびAが含まれ、これらは各々独立して直接結合または炭素数が約1から約20の有機連結基である。適切な有機連結基の例には、AおよびAの各々が独立して−A−A−A−で表される連結基が含まれ、ここで、
=直接結合、C=O、場合により置換されていてもよいC−C10アルキレンまたは場合により置換されていてもよいC−C12アリールであり、
=直接結合、O、NR”’、アミド、ウレタンまたは尿素(ここで、R”’はHまたはC1−3アルキルである)であり、そして
=直接結合、O、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C20アルケニルまたは場合により置換されていてもよいC−C20アラルキルである。
【0051】
有機連結基AおよびAの例には、−(CH−、−CH(OH)−CH−、−CH−CH(OH)−、−CH(OH)−CH−O−、−CH−CH(OH)−
O−、−CH−CH(OH)−CH−O−、−CH−CH(OH)−CH−O−CHCHCH−、−C(=O)−CH(COM)−、−C(=O)−CH(CHCOM)−、−C(=O)−CH−CH(COM)−および−C(=O)−NH−CHCHCH−が含まれ、ここで、MはH、金属カチオン、例えばNaなど、アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムまたはNHなど、または有機基、例えば場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキルまたは場合により置換されていてもよいC−C20アルケニルなどである。好適な態様では、有機連結基AおよびAの中の少なくとも一方が−CH−CH(OH)−CH−O−CHCHCH−である。
【0052】
当業者は、基Qの形態の疎水性を場合によりいろいろな方法で重合体P1の中に組み込むことも可能であることを理解するであろう。1つの態様のQは、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキルまたは場合により置換されていてもよいC−C20アルケニルである。Qを好適にはプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、C−C20アルキルフェニル(例えばクレジル、ノニルフェニル)、セチル、オクテニルおよびオクタデシルから選択する。いくつかの態様では、Qをブチル、2−エチルヘキシル、フェニル、クレジル、ノニルフェニル、セチル、オクテニルおよびオクタデシルから選択する。1つの態様におけるAは−CH−CH(OH)−CH−O−でありそしてQはC−C10アルキルである。
【0053】
別の態様では、少なくともポリエチレンイミンと1番目の窒素反応性化合物と場合により2番目の窒素反応性化合物の重合反応生成物を含有して成る組成物を提供し、ここで、前記重合反応生成物の重量平均分子量を少なくとも約500、好適には少なくとも約20000にし、前記1番目の窒素反応性化合物は−Si(OR”)基および窒素反応性基[ここで、R”=H、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキル、場合により置換されていてもよいC−C20アルケニル、I族の金属イオン、II族の金属イオンまたはNRであり、各Rは独立してH、場合により置換されていてもよいC−C20アルキル、場合により置換されていてもよいC−C12アリール、場合により置換されていてもよいC−C20アラルキルおよび場合により置換されていてもよいC−C20アルケニルから選択される]を含有して成り、前記2番目の窒素反応性化合物は、窒素反応性基を含有するがSi(OR”)基を含有せずかつ場合により置換されていてもよい炭素数が約2から約40のヒドロカルビル基を含有して成る。用語“PRP1”を本明細書ではそのような重合反応生成物を指す目的で用いることができる。直鎖もしくは分枝ポリエチレンイミンを用いることで、当業者が通常理解するように、分枝ポリエチレンイミンの構造が以下に示す連結:
【0054】
【化2】

【0055】
を含有するPRP1を生じさせることができる。
【0056】
Siを含有する様々な窒素反応性化合物を用いてPRP1を製造することができる。Siを含有する適切な窒素反応性化合物は窒素反応性基、例えば適切な形態のハライド、ス
ルフェート、エポキシド、イソシアネート、無水物、カルボン酸および/または酸クロライド官能基などを含有する窒素反応性基を含有して成る。適切な窒素反応性基の例には、アルキルハライド(例えばクロロプロピル、ブロモエチル、クロロメチルおよびブロモウンデシル)、エポキシ(例えばグリシドキシプロピル、1,2−エポキシアミル、1,2−エポキシデシルまたは3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)、イソシアネート(例えば反応して尿素結合を形成するイソシアナトプロピルまたはイソシアナトメチル)、無水物(例えば無水マロン酸、無水こはく酸)およびそのような基の組み合わせ、例えばヒドロキシル基とハライドの組み合わせ、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルなどが含まれる。無水トリエトキシシリルプロピルこはく酸、グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびクロロプロピルトリメトキシシランが−Si(OR”)基と窒素反応性基を含有して成る窒素反応性化合物の例である。そのような化合物が当業者に様々に知られており、例えば米国特許第6,814,873号(これは引用することによって本明細書に組み入れられ、特にそのような化合物の説明およびそれらを重合体の中に組み込む方法の目的で組み入れられる)を参照のこと。
【0057】
窒素反応性基を含有するがSi(OR”)基を含有しない様々な窒素反応性化合物を用いてPRP1を製造することができる。適切な窒素反応性化合物には、上述した窒素反応性基を1個以上含有する化合物が含まれる。窒素反応性基を含有するがSi(OR”)基を含有しない窒素反応性化合物の非限定例には、C−C20アルキルハライド(例えばアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびオクチルなどのクロライド、ブロマイドおよびヨージド)、アルケニルハライド、例えば塩化アリルなど、アラルキルハライド、例えば塩化ベンジルなど、アルキルスルフェート、例えばジメチルスルフェートなど、エポキシド基を少なくとも1個含有する化合物(例えばグリシジルアルコール、フェノールおよびアミン)、および無水基を含有する化合物、例えば無水アルケニルマロン酸および/または無水アルケニルこはく酸などが含まれる。好適な2番目の窒素反応性化合物の例には、ジメチルスルフェート、クロロオクタン、クロロヘキサン、塩化ベンジル、エピクロロヒドリン、グリシジル4−ノニルフェニルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、C−C10アルキルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、無水オクテニルこはく酸および無水オクタデセニルこはく酸が含まれる。いくつかの態様において、そのような2番目の窒素反応性化合物(窒素反応性基を含有するがSi(OR”)基を含有しない)が含有する窒素反応性官能基の数は少なくとも2であり、それらは互いに同じまたは異なってもよい。
【0058】
本明細書に記述する重合体および組成物の製造は様々な方法で実施可能である。例えば、PRP1および重合体P1の製造はポリエチレンイミン、1番目の窒素反応性化合物および場合により2番目の窒素反応性化合物(これらの物質はこの上に記述した如きである)をいずれかの順で一緒にして適切な条件下で反応させることで実施可能である。前記ポリエチレンイミン、1番目の窒素反応性化合物および2番目の窒素反応性化合物の各々が特定の化合物の混合物を含有して成っていてもよいことは理解されるであろう。当業者は、適切な反応条件を特定することができかつ本明細書に示した指針による情報を基にした常規実験を用いて幅広く多様な重合体および組成物(例えばPRP1および重合体P1)を製造することができるであろう。
【0059】
本明細書に示した指針による情報を基にした常規実験を用いることで、個々の用途に有効なケイ素含有重合体の選択を例えば重合体バックボーン、分子量、ケイ素含有基およびそれらの量などを選択することで行うことができ、それによって、懸濁している固体を凝集させるに有効な重合体を製造することができるであろう。例えば、本明細書に示した指針による情報を基にした常規実験を用いることで、懸濁している固体をケイ素含有重合体が凝集させる能力をケイ素含有基1個または2個以上が向上させるように重合体を構築す
ることができるであろう。
【0060】
本明細書に示した指針による情報を基にした常規実験を用いることで、適切な分子量を有するケイ素含有重合体を選択することができるであろう。例えば、ケイ素含有重合体に持たせる分子量は幅広い範囲に渡って多様であり得、例えば約1,000から約15百万であり得る。いくつかの態様では、ケイ素含有重合体の分子量を約10,000以上または約100,000以上、例えば約10,000から約10百万、例えば約100,000から約5百万の範囲内にする。本明細書に記述する如き分子量は、特に明記しない限り、高圧サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(光散乱検出)で測定した時の重量平均である。
【0061】
そのようなケイ素含有重合体は、ケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖(例えばケイ素含有澱粉またはケイ素含有セルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース)、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有改質スチレン−無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体(例えばケイ素含有無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体)またはこれらの混合物および塩およびこれらの混合物から選択可能である。
【0062】
本油中水エマルジョン組成物を生じさせようとする時には、前記ケイ素含有重合体が入っている水溶液を界面活性剤および油と混合する。本明細書で用いる如き用語“混合”は一般にある物質、例えば組成物または溶液などと別の物質の接触を前記物質を一緒に物理的撹拌、例えば機械的撹拌、振とう、均一化などの有り無しでブレンドまたは混合することで起こさせるいずれかの様式を指す。
【0063】
本油中水エマルジョン凝集剤組成物を生じさせようとする時に用いるに有用な適切な界面活性剤(即ち乳化剤または乳化用作用剤)は一般に商業的に入手可能であり、それらには、McCutcheonのEmulsifiers & Detergentsの北アメリカ版の中にまとめられているそれらが含まれる。ケイ素含有重合体が入っている水溶液を乳化させるに特に適した界面活性剤は、アルカリ性加水分解に安定な界面活性剤、例えばエトキシル化アミンおよびエトキシル化アルコールなどである。
【0064】
界面活性剤の具体例には、これらに限定するものでないが、Lumulse POE(2)(オレイル/アミン/エチレンオキサイドの反応生成物、Lambent Technologies、Gurnee、IL)およびHypermer A60(Croda
of Edison(NJ)から入手可能な高分子量界面活性剤)が含まれる。
【0065】
前記油はエマルジョンを生じさせるに適した如何なる炭化水素油であってもよく、それには、これらに限定するものでないが、イソパラフィン、非分枝もしくは環式炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、燃料油、ケロセン、無臭のミネラルスピリットおよびこれらの混合物が含まれる。特定例にはExxsol D−80油(Exxon Mobil Chemical Companies(Houston TX)から入手可能)が含まれる。
【0066】
前記ケイ素含有重合体が入っている水溶液と界面活性剤と油を油中水エマルジョンが生じるに充分な量および比率で混合する。水相と炭化水素相の重量比は幅広く多様であり得るが、典型的には約4:1から約1:1の範囲の重量比が適切である。
【0067】
当業者は、本明細書に記述する如き油中水エマルジョン組成物に追加的成分を含有させ
てもよいことを理解するであろう。追加的成分の例には、水、塩、安定剤およびpH調整剤ばかりでなくDSPおよびバイエル工程赤泥などの如き材料も含まれる。
【0068】
本明細書に記述する油中水エマルジョン組成物は凝集剤として用いるに有用である。例えば、1つの態様では凝集方法を提供し、この方法は、本明細書に記述する如き油中水エマルジョン組成物をアルミナ処理工程における工程流れと混合することを包含する。本油中水組成物を前記工程流れに懸濁している固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で混合する。そのような懸濁している固体には、例えば赤泥、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、酸化チタンおよびこれらの混合物などが含まれ得る。その凝集させた懸濁固体の少なくとも一部を工程流れから分離してもよい。
【0069】
1つの態様では、工程流れに懸濁している固体の濃度を低くする方法を提供し、この方法では、懸濁している固体を工程流れから便利に分離することができるように懸濁固体を有効に凝集させる目的で、記述する油中水エマルジョン組成物を単独でか、通常の凝集剤を添加した後にか、添加する前にか或は一緒に添加する。懸濁している固体の含有量の低下度合は測定可能でありかつ最新技術のアルミナ工程サンプルを一般に含めた対照と比較可能である。
【0070】
油中水組成物1種または2種以上を単独または通常の凝集剤と組み合わせて用いる時に工程流れに入っている特定種の固体を凝集させるに有効な量は、本明細書に示す指針による情報を基にした常規実験で決定可能である。一例として、本油中水エマルジョン組成物を工程流れに約0.1ppm(part per million)から約500ppmの範囲の量で添加する。
【0071】
本明細書に記述する油中水エマルジョンを用いて供給する高分子凝集剤の量はしばしば固体1トン当たり約0.01ポンドから約40ポンドの範囲の凝集剤(無水ベース)、例えば約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9ポンドから約15、20、25、30または35ポンドの様々な範囲である。当業者は、前記は示した値の各々の間の範囲を説明するものであることを理解すると思われ、従って、例えば本油中水組成物を用いて固体1トン当たり約1ポンドから約10ポンドの範囲の凝集剤(無水ベース)の量で高分子凝集剤を供給してもよいことを理解するであろう。
【0072】
商業的プラント実施に関連して、本油中水エマルジョンを水性媒体に添加することで生じさせた高分子凝集剤溶液または本油中水エマルジョン組成物自身を沈降装置供給材料に添加してもよい。別法として、本油中水エマルジョンを水性媒体に添加することで生じさせた高分子凝集剤溶液または本油中水エマルジョン組成物自身を主要沈降装置から溢れ出る流れにか或は分解装置から噴出して来る流れに添加することも可能である。また、本油中水エマルジョン組成物を泥洗浄回路の中で泥を沈降させようとする時に用いることも可能である。本油中水エマルジョン組成物およびこれから生じさせた水溶液を単独または他の工程化学品と組み合わせて商業的プラント実施の他の時点で添加することも同様に有利に可能である。
【0073】
本明細書に示す説明に従う油中水エマルジョン組成物の具体例の概略を以下の実施例に示す。本実施例は本明細書に記述する油中水エマルジョン組成物の範囲を限定することを意味するものでない。特に、当業者は、逆界面活性剤の性質および量を所望特性、例えば本油中水エマルジョンを水性媒体に添加した時に起こる逆転速度などを達成するための特定事項を基に変えてもよくそしてそのような変更は特定の水性組成物に依存し得ることを理解するであろう。逆界面活性剤を本油中水エマルジョンに含有させる代わりに、逆界面活性剤を水性媒体に本油中水エマルジョンを添加する前か或はそれと一緒に添加すること
で逆転を起こさせることも可能であると考える。
【0074】
実施例
【実施例1】
【0075】
ケイ素含有重合体溶液(Na形態のケイ素含有重合体)の調製
14.85gの無水マレイン酸と15.15gのスチレンをトルエンに入れることで生じさせた溶液を反応槽に仕込んだ。その反応の内容物を工程全体に渡って機械的に撹拌した。その溶液を70℃に加熱しながらそれに窒素を吹き込むことで脱酸素を45分間受けさせた。0.45gのラウロイルパーオキサイドを7.5gのトルエンに入れることで生じさせた脱酸素溶液を添加することで重合を開始させたが、発熱反応であることから温度が上昇した。その反応物を73−77℃に必要に応じて冷却もしくは加熱を行うことで1.5時間維持した。1.5時間後の反応物に63.44gのトルエンを添加した後、0.22gのラウロイルパーオキサイドを3.75gのトルエンに入れることで生じさせた溶液を添加した。
【0076】
その反応物を100−105℃に加熱し、その状態に1時間保持した後、50℃に冷却した。10.16gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランと0.77gのジプロピルアミンを48.09gのトルエンに入れることで生じさせた溶液を加えた後の反応物を100−103℃に加熱して、その状態に0.5時間保持した。
【0077】
40℃に冷却した後の反応物に4%(重量/重量)の水酸化ナトリウム水溶液を386.12g滴下した。この滴下が終了した後に温度を40℃に更に1時間維持すると結果としてトルエンの透明な上部層と乳状の下部水層が生じた。その下部の水層を分離した後、60℃で真空蒸留を行って水のいくらかおよびトルエンの全部を除去することで、最終的にケイ素含有重合体が入っている水溶液を282g得た。
【実施例2】
【0078】
ケイ素含有重合体溶液(K形態のケイ素含有重合体)の調製
カリウム(K+)形態のケイ素含有重合体の調製を4%のNaOH溶液を添加する代わりに7%(重量/重量)の水酸化カリウム(KOH)水溶液を309.5g添加する以外は実施例1と同様にして実施した。
【実施例3】
【0079】
ケイ素含有重合体(Na形態のケイ素含有重合体)が入っているエマルジョンの調製
ケイ素含有重合体が入っているエマルジョンを生じさせる目的で、1.93gのLumulse POE(2)(Lambent Technologies(Gurnee、IL)のオレイルアミン/エチレンオキサイド反応生成物)を22.75gのExxsol D−80油(Exxon Mobil Chemical Company(Houston TX)の)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに実施例1で得たケイ素含有重合体溶液を70g加えた。次に、手持ちホモジナイザーを前記混合物の中に入れてHI(10,000rpm)で30秒間作動させることで、注ぎ込むことが可能な不透明な白色の油中水エマルジョンを生じさせた。前記ホモジナイザーはローター−ステーター型であり、それの製品名は“BioHomogenizer”であり、これはBioSpec Products(Bartlesville、Oklahoma)から入手可能である。
【0080】
均一になった後のエマルジョンを350rpmで機械的に撹拌しながらこれに1.44gのSurfonic N−95(Huntsman Performance Products(The Woodlands、Texas)の)逆界面活性剤を滴下するこ
とで配合を完了した。
【実施例4】
【0081】
ケイ素含有重合体(Na形態のケイ素含有重合体)が入っているエマルジョンの調製
ケイ素含有重合体が入っているエマルジョンを生じさせる目的で、0.86gのHypermer A60(Croda(Edison、NJ)から入手可能な高分子量界面活性剤)を12.96gのExxsol D−80油(Exxon Mobil Chemical Company(Houston TX)の)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに実施例1で得たケイ素含有重合体溶液を40g加えた。
【0082】
次に、手持ちホモジナイザーを前記混合物の中に入れてHI(10,000rpm)で30秒間作動させることで、注ぎ込むことが可能な不透明な白色の油中水エマルジョンを生じさせた。前記ホモジナイザーはローター−ステーター型であり、それの製品名は“BioHomogenizer”であり、これはBioSpec Products(Bartlesville、Oklahoma)から入手可能である。
【実施例5】
【0083】
ケイ素含有重合体(K形態のケイ素含有重合体)が入っているエマルジョンの調製
ケイ素含有重合体が入っているエマルジョンを生じさせる目的で、1.93gのLumulse POE(2)(Lambent Technologies(Gurnee、IL)のオレイルアミン/エチレンオキサイド反応生成物)を22.75gのExxsol D−80油(Exxon Mobil Chemical Company(Houston TX)の)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに実施例2で得た重合体溶液を70g加えた。
【0084】
次に、手持ちホモジナイザーを前記混合物の中に入れてHI(10,000rpm)で30秒間作動させることで、注ぎ込むことが可能な不透明な白色の油中水エマルジョンを生じさせた。前記ホモジナイザーはローター−ステーター型であり、それの製品名は“BioHomogenizer”であり、これはBioSpec Products(Bartlesville、Oklahoma)から入手可能である。
【0085】
均一になった後のエマルジョンを350rpmで機械的に撹拌しながらこれに1.44gのSurfonic N−95(Huntsman Performance Products(The Woodlands、Texas)の)逆界面活性剤を滴下することで配合を完了した。
【実施例6】
【0086】
ケイ素を含有するPEIが基になった重合体溶液の調製
44gのEpomin P−1050(Nippon Shokubaiから商業的に入手可能なポリエチレンイミンPEIが50重量%入っている水溶液)と522.8gの水で生じさせた溶液を反応槽に仕込んだ。撹拌を行いながら50重量%の水酸化ナトリウム水溶液を64.94gの量で温度が40Cを超えないような添加速度でゆっくり加えた。次に、撹拌を行いながら3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを42.24gの量で温度が40Cを超えないような添加速度でゆっくり加えた。添加が終了した後の溶液を室温で更に6時間撹拌した。
【実施例7】
【0087】
ケイ素を含有するPEIが基になった重合体溶液のエマルジョンの調製
ケイ素含有重合体が入っているエマルジョンを生じさせる目的で、0.83gのLumulse POE(2)(Lambent Technologies(Gurnee、
IL)のオレイルアミン/エチレンオキサイド反応生成物)を9.75gのExxsol
D−80油(Exxon Mobil Chemical Company(Houston TX)の)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに実施例6で得たケイ素含有重合体溶液を30g加えた。次に、手持ちホモジナイザーを前記混合物の中に入れてHI(10,000rpm)で30秒間作動させることで、注ぎ込むことが可能な不透明な白色の油中水エマルジョンを生じさせた。前記ホモジナイザーはローター−ステーター型であり、それの製品名は“BioHomogenizer”であり、これはBioSpec Products(Bartlesville、Oklahoma)から入手可能である。
【0088】
均一になった後のエマルジョンを機械的に撹拌しながらこれに0.62gのSurfonic N−95(Huntsman Performance Products(The Woodlands、Texas)の)逆界面活性剤を滴下することで配合を完了した。
【0089】
本明細書で用いる如き用語“含有して成る”は“包含”、“含有”または“で特徴づけられる”と同義語であり、包含的または変更可能であり、追加的要素も列挙しなかった要素も方法の段階も排除するものでない。
【0090】
本明細書および請求項で用いる材料、反応条件などの量を表すあらゆる数値は全て用語“約”による修飾を受けていると理解されるべきである。従って、反対であると示さない限り、本明細書および添付請求項に示す数値パラメーターは近似値であり、これは本発明で得ることを探求する所望特性に応じて変わり得る。最低限でも、相当物の原則を本請求項の範囲に適用することを制限する企てとしてではなく、各数値パラメーターは有効数字の数および通常の四捨五入のやり方を考慮して解釈されるべきである。
【0091】
この上で行った説明に本発明のいくつかの方法および物質を開示している。本発明は方法および物質の点で修正を受け易いばかりでなく製造方法および装置の点でも変更を受け易い。そのような修正は本明細書に開示する発明の開示または実施を考慮することで当業者に明らかになるであろう。従って、本発明を本明細書に開示する具体的態様に限定することを意図するものでなく、添付請求項に具体的に示す如き本発明の真の範囲および精神の範囲内に入るあらゆる修正形および代替形の全部を本発明に包含させることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水エマルジョン組成物の製造方法であって、
ケイ素含有重合体を含有して成る水溶液を生じさせ、そして
前記水溶液を界面活性剤および油と混合することで前記ケイ素含有重合体を含有する油中水エマルジョン組成物を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記ケイ素含有重合体が−Si(OR)基を含有して成りかつRが独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択されかつR’が独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択されかつRおよびR’が独立して置換されていないか或はヒドロキシで置換されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
Rが独立してNa、KおよびNHから成る群より選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ケイ素含有重合体をケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ケイ素含有重合体の重量平均分子量が約1,000以上である請求項1記載の方法。
【請求項6】
ケイ素含有重合体を含有して成る油中水エマルジョン組成物であって、ケイ素含有重合体を含有して成る水溶液を界面活性剤および油と混合して油中水エマルジョン組成物を得ることで製造した組成物。
【請求項7】
前記ケイ素含有重合体が−Si(OR)基を含有して成りかつRが独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択されかつR’が独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択されかつRおよびR’が独立して置換されていないか或はヒドロキシで置換されている請求項6記載の組成物。
【請求項8】
Rが独立してNa、KおよびNHから成る群より選択される請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記ケイ素含有重合体がケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項6記載の組成物。
【請求項10】
前記ケイ素含有重合体の重量平均分子量が約1,000以上である請求項6記載の組成物。
【請求項11】
凝集方法であって、請求項6記載の油中水エマルジョン組成物を用いて生じさせた高分子凝集剤をアルミナ製造工程における工程流れと混合することを含んで成っていて、その中に懸濁している固体の少なくとも一部を凝集させるに有効な量で前記高分子凝集剤を混合しかつ前記懸濁している固体が赤泥、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、酸化チタンおよびこれらの混合物から成る群より選択される方法。
【請求項12】
前記高分子凝集剤を約0.1ppmから約500ppmの範囲の量で前記工程流れと混合する請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記工程流れが懸濁している赤泥を含有して成る請求項11記載の方法。
【請求項14】
更に前記懸濁している赤泥の少なくとも一部を凝集させることも含んで成る請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記アルミナ製造工程がバイエル方法である請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記アルミナ製造工程がシンター方法である請求項11記載の方法。
【請求項17】
油中水エマルジョン組成物であって、−Si(OR)基を含有する単量体単位を少なくとも8%有するケイ素含有重合体を含有して成る組成物。
【請求項18】
Rが独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリール、C7−20アラルキル、I族の金属イオン、II族の金属イオンおよびNR’から成る群より選択されかつR’が独立して水素、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C6−12アリールおよびC7−20アラルキルから成る群より選択されかつRおよびR’が置換されていないか或はヒドロキシで置換されている請求項17記載の組成物。
【請求項19】
Rが独立してNa、KおよびNHから成る群より選択される請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記ケイ素含有重合体がケイ素含有ポリエチレンイミン、ビニルトリエトキシシラン共重合体、アクリル酸とトリエトキシシリルプロピルアクリルアミドの共重合体、アクリル酸とトリエトキシビニルシランの共重合体、ケイ素含有多糖、ケイ素含有スチレン/無水マレイン酸共重合体、ケイ素含有無水マレイン酸/アルキルビニルエーテル共重合体およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項17記載の組成物。

【公表番号】特表2013−519506(P2013−519506A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552911(P2012−552911)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023866
【国際公開番号】WO2011/100183
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(594060532)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (36)
【Fターム(参考)】