説明

油中水型エマルション組成物

本発明は、油中水型エマルション組成物に関し:(A)架橋を含有し、該構造がC3〜45アルキル基及びポリオキシアルキレン基を含有する、特定の処方の乳化シリコーンエラストマー;(B)該構造がC3〜45有機基及びポリオキシアルキレン基を含有する、特定の処方のアルキル置換シリコーン乳化剤;及び(C)水性キャリア、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の処方の乳化シリコーンエラストマー、特定の処方のアルキル置換シリコーン乳化剤、及び水性キャリアを含む油中水型エマルション組成物に関する。本発明の組成物は、改良されたエマルション安定性及びUV保護効果を有し、ファンデーション製品及び日光保護スキンケア製品に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション組成物は、顔及び体のその他の部分に適用して肌の色調及びきめを均一にして、毛穴、欠陥、小じわなどを隠すことができる。ファンデーション組成物はまた、皮膚に潤いを与え、皮膚の油分を整え、そして日光、風、及びその他の環境要因の悪影響から皮膚を守るためにも適用される。
【0003】
シリコーンエラストマー材料及びシリコーン乳化剤を利用したファンデーション及びスキンケア組成物は、その好適な肌触りから人気が増している。シリコーンエラストマー材料とシリコーン乳化剤との組み合わせは、その製造し易さ及び貯蔵安定性により、製造業者の立場からも好ましい。このような組成物を一般的に開示した参照としては、日本特許公報A−2003−286125、A−2002−322030、及びA−2000−86438が挙げられる。
【0004】
一方で、日光及びUV光線からの保護、即ち換言すれば高SPF及びPA値は、最近、消費者がファンデーション及びスキンケア製品に当然のこととして求める機能になった。異なる化学構造の種々のUV保護剤を組み込むことは高いUV保護効果を提供するが、このような種々のUV保護剤の組み込みは組成物の安定性に悪影響を及ぼすこともありうることは、当業者に既知である。組成物安定性を伴うUV保護効果と使用時の肌触りとのバランスをとることは、いまだ困難である。
【0005】
ファンデーション及びスキンケア製品、特にファンデーション製品にとって、色、色調、皮脂制御、装着性、改良、感覚改良及びその他を提供するために種々のパウダーを組み込み、製品の多くの機能を宣伝できるようにすることは、最近の傾向でもある。種々の化学構造及び特性を有するこのような種々のパウダーを適応させることができるベース組成物を有することが非常に望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に基づき、改良されたエマルション安定性及びUV保護効果を提供する油中水型組成物の必要性が存在する。特に化粧用ファンデーションとしての使用については、種々のパウダーの分散性を改良し、それによって均一な被覆率及び長期装着を提供することができる油中水型組成物の必要性も存在する。既存の技術分野には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、油中水型エマルション組成物に関し:(A)架橋を含有し、該構造がC3〜45アルキル基及びポリオキシアルキレン基を含有する、特定の処方の乳化シリコーンエラストマー;(B)、該構造がC3〜45有機基及びポリオキシアルキレン基を含有する、特定の処方のアルキル置換シリコーン乳化剤;及び(C)水性キャリア、を含む。
【0008】
特定の処方の乳化シリコーンエラストマー及び特定の処方のアルキル置換シリコーン乳化剤を処方することによって、エマルション安定性が改良され、UV保護効果が増強された油中水型エマルション組成物が得られる。
【0009】
添付の特許請求の範囲と共に本明細書の開示内容を読むことによって、本発明におけるこれら並びにその他の特徴、態様、及び利点が当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書は、本発明を特に指摘しかつ明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0011】
百分率、部分及び比率はすべて、特に指定されない限り本発明の組成物の総重量に基づいている。提示した成分に関するこのような重量は全て活性物質の濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれる可能性があるキャリア又は副生成物を含まない。
【0012】
本明細書に有用な活性物質及び他の成分のような成分はすべて、美容及び/若しくは治療的な効果、又はそれらが本来有する作用様式によって分類又は記載されることがある。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容及び/若しくは治療的な複数の効果をもたらすこと、又は複数の作用様式で作用することもあることを理解すべきである。したがって、本明細書での分類は便宜上実施されるものであって、成分を特に規定した用途又は列挙した用途に制限しようとするものではない。
【0013】
乳化シリコーンエラストマー
本組成物は、以下に詳述する特定の化学構造を有する乳化シリコーンエラストマーを、約0.1%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約1%〜約4%含む。本発明の乳化シリコーンエラストマーは、三次元構造に由来するエラストマー機能、さらには構造内の疎水性アルキル基及び親水性ポリオキシアルキレン基に由来する乳化機能も有する、高級アルキル置換架橋三次元シリコーンポリマーである。「乳化シリコーンエラストマー」の定義は、本明細書において、後述する他のシリコーンエラストマーと比較して該構成成分の支配的特徴を記述するために使用され、これは該構成成分が溶媒吸収時のゲル化のような他の機能を欠くことを意味するのではない。
【0014】
本発明の乳化シリコーンエラストマーは、次の一般式(1)によって表される:
1a2b3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
式中;R1、R2、及びR3の各々は以下に記載されており、aは1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.3の範囲であり、bは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0の範囲であり、cは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0の範囲であり、上の式(1)によって表されるシリコーン化合物の重量平均分子量は、500〜200,000、好ましくは1000〜100,000の範囲であり;
少なくとも1つのR1は、3〜45個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子を有する高級アルキルから選択される有機基であり、複数のR1の場合、残りの基は、アリール、アラルキル、フッ素置換アルキル、アミノ置換アルキル又はカルボキシル置換アルキルであり、好ましくは残りのR1基は、プロピル、ブチル、ペンチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トルイル、ベンジル、フェネチル、トリフルオロプロピル、ヘプタデカフルオロデシル、3−アミノプロピル、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル、又は3−カルボキシプロピルであり;
2は次の一般式(2)によって表され;
−Cm2m-−O−(C24O)f(C36O)g5 (2)
式中、R5は水素原子、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基又はR6(CO)によって表される有機基であり、R6は1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、0≦m≦15、f及びgは、2≦f≦200、好ましくは5≦f≦100及び0≦g≦200、好ましくは0≦g≦100の整数であって、同時にf+gは3≦f+g≦200、好ましくは5≦f+g≦100、より好ましくはf/g≧1の範囲であり;
3は、次の一般式(3)によって表されるオルガノシロキサンであり;
−Cn2n−(SiR12O)h−SiR13 (3)
式中、R1は上記と同じであり、hは0≦h≦500、好ましくは3≦h≦100であり、nは1≦n≦5の整数であり、特にビニルとハイドロジェンシロキサンとの反応による合成の場合、nは2である。
【0015】
上に示す式(1)によって表される本発明の乳化シリコーンエラストマーは、日本特許公報2003−292415Aに記載されているように、1分子当たり2つ以上のビニル反応部位を有する架橋剤を用いてオルガノハイドロジェンポリシロキサンとポリオキシアルキレン化合物との付加反応を実行し、ケイ素原子に直接結合した水素原子との反応の結果として架橋構造を形成することによって合成できる。
【0016】
乳化シリコーンエラストマーが生成する合成反応の性質により、得られる材料は溶媒を吸収するか又は溶媒で膨潤した乳化シリコーンエラストマーのペースト状混合物である。前記溶媒は、シリコーンオイル、炭化水素油、又はトリグリセリド油であることができる。したがって、本明細書の乳化シリコーンエラストマーは、溶媒中に膨潤された活性エラストマーの形態でのみ商業的に入手できる。前記溶媒は、組成物の残りの部分との相溶性の観点から選択される。それにもかかわらず、乳化シリコーンエラストマーの濃度は、本明細書に記載されるように、活性エラストマーの重量を基準とし、商業的に入手可能な材料を基準としない。
【0017】
驚くべきことに、乳化シリコーンエラストマーは、後述するアルキル置換シリコーン乳化剤と組み合わせたとき、改良された安定性、及び増強されたUV保護効果を有する油中水型エマルションを与えることが見出された。
【0018】
本明細書で、組成物の安定性は、エマルションの安定性及び組成物の色/色合い安定性に関係する。エマルションの安定性とは、相分離及び粘度/レオロジーの大きな変化がないことを意味する。色/色合いの安定性とは、時間の経過に伴う組成物の色及び/又は明度の大きな変化がないことを意味する。いかなる組成物でも、適用時に、水を包含する揮発性物質が体温に基づいて皮膚から蒸発することによる初期の色変化が観察されることは、当該技術分野において周知である。色/色合いの安定性は、本明細書で、このような初期の色変化の後に、色及び明度の大きな変化がないことに関係する。色/色合いの安定性は、化粧品製品及び特にファンデーション製品にとって有利な特徴である。
【0019】
本明細書で、UV保護効果とは、SPF及びPA値によって測定される生体内UV保護を意味する。本発明の組成物は、本明細書で必須の乳化シリコーンエラストマーがない同じ組成物と比較して、より高いSPF及びPA値を与える。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、本発明の特定の乳化シリコーンエラストマーは、化学構造内のアルキル置換がより高いこと、及び三次元配置、並びに特定のアルキル置換シリコーン乳化剤との相溶性により、このような安定性効果を提供すると考えられる。理論に束縛されるものではないが、特定の乳化シリコーンエラストマーは、組成物中に比較的高濃度の有機UV保護剤が存在するときに十分に高い弾性率(G’)のような好適なレオロジーを提供し、その結果有機UV保護剤の基底エネルギー状態が低下し、それによって効果が増大すると考えられる。
【0021】
本明細書で有用な市販の乳化シリコーンエラストマーとしては、シリコーンオイル、炭化水素油又はトリグリセリド油中で膨潤又はゲル化されたこのようなシリコーンエラストマーが挙げられ、すべて信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能な商標名KSG−310の鉱物油中PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、商標名KSG−320のイソドデカン中PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、商標名KSG−330のトリエチルヘキサノン(triethylhexanoin)中PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、及び商標名KSG−340のスクアラン中PEG−10ラウリルジメチコンクロスポリマー及びPEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。
【0022】
アルキル置換シリコーン乳化剤
本発明の組成物は、次の一般式(11)の特定の化学構造を有するアルキル置換シリコーン乳化剤を、約0.5%〜約15%、好ましくは約1%〜約3%含む:
1a2b3cSiO(4-a-b-c)/2 (11)
式中R1は、3〜45個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はフッ素置換アルキル基から選択される同じ又は異なる有機基を表し、その際、すべてではないが一部のR1は、−Cm2m-O−(C24O)d(C36O)e4であることができ;
2は、−Cm2m−O−(C24O)f(C36O)g−R5によって表されるポリオキシアルキレン基であり;
3は、下の一般式(12)(によって表されるオルガノシロキサン)であり:
−Cn2n−(SiR24O)h−SiR13 (12)
4は4〜30個の炭素原子を有する炭化水素基又はR6−(CO)−によって表される有機基であり;R5は水素原子、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、又はR6−(CO)−によって表される有機基であり;R6は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基である。a、b、及びcはそれぞれ1.0≦a≦2.5;0.001≦b≦1.5;及び0.001≦c≦1.5である。d及びeは整数であり、それぞれ0≦d≦50及び0≦e≦50である。f及びgはそれぞれ2≦f≦200及び0≦g≦200であり、その際f+gは3〜200の整数であり、mは0≦m≦15の整数であり;hは0≦h≦500の整数であり;nは1≦n≦5の整数である。
【0023】
好ましくは、上記の一般式(11)によって表されるシリコーン化合物の質量平均分子量は、500〜200,000、より好ましくは1000〜100,000である。式(11)のシリコーン材料は、好適には、日本特許公報2001−39819−Aに記載されているプロセスによって作製できる。
【0024】
本明細書で有用な市販のアルキル置換シリコーン乳化剤としては、商標名KF6038で信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが挙げられる。
【0025】
水性キャリア
本発明の油中水型エマルション組成物は、不連続な水相を提供するのに十分な量、一般的には全組成物の約10%〜約60%の水を含む。好ましくは、水は水性キャリアに使用される。好ましくは、水は、揮発性シリコーンオイル(包含される場合)及び水の総量が全組成物の約40%を超えるような量で包含される。理論に制限されることなく、本明細書中の水の量は、必ずしも乾燥した感触を皮膚に残すことなく、改善された爽快でかつ軽い感触を皮膚に与えると考えられる。更に、この水の量は、後述のような水溶性の、任意の皮膚活性剤類の包含を許容する。
【0026】
本発明では、脱イオン水が通常使用される。ミネラルカチオン類を包含する天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。
【0027】
本発明の水性キャリアは、保湿剤を、約1重量%〜約15重量%、より好ましくは約2重量%〜約7重量%の量で含んでもよい。本明細書における保湿剤は、多価アルコール、水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される。本明細書において有用な多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
本明細書中の市販の保湿剤としては、旭電化(Asahi Denka)から入手可能なグリセリン、イノレックス(Inolex)から入手可能な商標名レクソール(LEXOL)PG−865/855のプロピレングリコール、BASFから入手可能な1,2−プロピレングリコールUSP、協和醗酵工業(Kyowa Hakko Kogyo)から入手可能な1,3−ブチレングリコール、BASFから入手可能な同じ商標名のジプロピレングリコール、ゾルファイ社(Solvay GmbH)から入手可能な商標名ジグリセロール(DIGLYCEROL)のジグリセリン、アクティブ・オーガニクス(Active Organics)から入手可能な商標名アクティモイスト(ACTIMOIST)のヒアルロン酸ナトリウム、インタージェン(Intergen)から入手可能なトリのヒアルロン酸ナトリウムシリーズ、一丸ファルコス(Ichimaru Pharcos)から入手可能なヒアルロン酸Naが挙げられる。
【0029】
有機UV保護剤
本発明の組成物は、日光及びUV保護効果を提供するための有機UV保護剤をさらに含んでもよい。包含される場合、有機UV保護剤の総量は、全組成物の約0.5%〜約40%、好ましくは約1%〜約20%である。驚くべきことに、本組成物は、異なる化学配向のUV保護剤が組み合わされたときでさえ、多数の、並びに種々の有機UV保護剤に適応でき、同時に良好なエマルション安定性を維持できることが見出された。
【0030】
好ましい実施形態の1つでは、少なくとも1つの油溶性有機UV保護剤と少なくとも1つの水溶性有機UV保護剤との組み合わせが使用される。油溶性有機UV保護剤及び水溶性有機UV保護剤の各々は、全組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の濃度で包含される。
【0031】
有用な有機UV保護剤としては、主にUVB領域で紫外線を吸収するもの、及び主にUVA領域で紫外線を吸収するものが挙げられる。UVBからの保護は、SPF(太陽光線保護指数)によって記述され、UVAからの保護はPA(UVA保護)によって記述される。UVA保護剤とUVB保護剤との組み合わせは、有効な日焼け止め効果を有する組成物を提供することが当該技術分野において周知である。好ましい実施形態の1つでは、本発明は、少なくとも15のSPF及び少なくとも++のPAを有する日焼け止め製品又は化粧品製品である。
【0032】
UVBフィルタとして有効な、有用な油溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:3−ベンジリデンカンファー誘導体、好ましくは3−(4−メチルベンジリデン)カンファー及び3−ベンジリデンカンファー;アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)−ベンゾエート及びアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;ケイ皮酸のエステル類、好ましくは2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート及びイソペンチル4−メトキシシンナメート;サリチル酸のエステル類、好ましくは2−チルヘキシル(thylhexyl)サリチラート、4−イソプロピルベンジルサリチラート及びホモメンチルサリチラート;ベンゾフェノン誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン及び2.2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル類、好ましくはジ(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンザルマロネート;及び2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン。
【0033】
UVAフィルタとして有効な、有用な油溶性有機UV保護剤としては次のものが挙げられる:ジベンゾイルメタンの誘導体、特に1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1.3−ジオン及び1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1.3−ジオン。
【0034】
市販されている本明細書の油溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:シムライズ(Symrise)から商標名パーソル(PARSOL)MCXで入手可能な2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、及びBASFから入手可能な2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)。
【0035】
UVBフィルタとして有効な、有用な水溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、及びそのナトリウム、カリウム、又はトリエタノール−アンモニウム塩;ベンゾフェノン類のスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)及びその塩類;例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸及びその塩類のような、3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体。
【0036】
市販されている本明細書の水溶性有機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:BASFから商標名パーソル(PARSOL)HSで入手可能なフェニルベンジルイミダゾール−5−スルホン酸及びシムライズ(Symrise)から入手可能なネオヘロパンハイドロ(Neo Helopan Hydro)、及びBASFから入手可能な2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)。
【0037】
無機UV保護剤
本組成物は、無機UV保護剤をさらに含んでもよい。本明細書の無機UV保護剤は、200nmより小さい、好ましくは100nmより小さい粒径を有することによって日光及びUVを遮蔽できることから、後述する一般的なパウダー構成成分と区別される。包含される場合、無機UV保護剤の濃度は、全組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.5%〜約10%である。
【0038】
好ましい実施形態の1つでは、油溶性有機UV保護剤と無機UV保護剤との組み合わせが使用される。驚くべきことに、有機及び無機UV保護剤の併用は、肌に乾燥を残すことなく、持続性のある心地良い感覚を肌に与えることが見出された。油溶性有機UV保護剤は油っぽい感覚を肌に残す傾向があるが、無機UV保護剤は肌に乾燥を与える傾向があることが一般的に知られている。理論に束縛されるものではないが、本発明の油溶性UV保護剤は、乳化シリコーンエラストマーと無機UV保護剤の比較的疎水性の表面とによって吸収され、それによってそのようなマイナスの肌触りを緩和すると考えられる。
【0039】
別の好ましい実施形態では、油溶性UV保護剤、水溶性UV保護剤、及び無機UV保護剤の組み合わせが、できるだけ少量の全UV保護剤を使用して高い日焼け止め効果を提供するために使用される。好ましい実施形態の1つでは、本発明は、少なくとも35のSPF及び少なくとも+++のPAを有する非常に有効な日焼け止め製品である。
【0040】
本明細書で有用な無機UV保護剤は、水に難溶性又は不溶性の化粧品及び皮膚科学的に許容可能な金属酸化物及び/又はその他の金属化合物であり、特に、チタン(TiO2)、亜鉛(ZnO)、鉄(例えばFe23)、ジルコニウム(ZrO2)、ケイ素(SiO2)、マンガン(例えばMnO)、アルミニウム(Al23)及びセリウム(例えばCe23)の酸化物、対応する金属の混合酸化物及びこのような酸化物の混合物である。
【0041】
このような金属酸化物が示す変態は、本質的に本明細書に無関係である。例えば、TiO2は天然に3つの主要な変態(ルチル、アナターゼ、板チタン石)で存在し、これは原則的にすべて等しく好適である。同じことが、酸化鉄等の変態に当てはまる。
【0042】
本明細書の無機UV保護剤は、表面に撥水処理がなされてもよい。この表面処理は、それ自体既知のプロセスによって、薄い疎水性層の顔料を提供することを含むことができる。このようなプロセスは、nTiO2+m(RO)3Si−R’→nTiO2(表面)に従う反応によって、疎水性の表面層を生じてもよい。n及びmは必要に応じて挿入される化学量論的パラメータであり、R及びR’は所望の有機ラジカル類である。例えば、DE−A3314742と同様に調製された疎水化された顔料は、有利である。
【0043】
市販されている本明細書の無機UV保護剤としては、次のものが挙げられる:BASFから商標名Z−コート(Z-cote)HP1で入手可能な約70nmの平均粒径を有する酸化亜鉛、及び三好(Miyoshi)から商標名SI−TTO−S−3Z−LHC及びSAMT−UFZO−450で入手可能な約50nmの平均粒径を有する酸化チタン。
【0044】
ゲル化シリコーンエラストマー
本組成物は、本明細書で上述した必須の乳化シリコーンエラストマーに加えて、ゲル化シリコーンエラストマーを更に含んでもよい。本明細書のゲル化シリコーンエラストマー類は、上記の乳化シリコーンエラストマーではなく、類似の方法で別に合成され、類似の溶媒膨潤特性を有する架橋三次元シリコーンポリマー類である。乳化シリコーンエラストマーと比べて、本明細書のゲル化シリコーンエラストマー類は、一般式(1)のR1によって表されるより高度なアルキル置換を欠くか、又は一般式(1)のR2によって表されるポリアルコキシ置換を欠くかのいずれかであってもよい。
【0045】
包含されるとき、ゲル化シリコーンエラストマーの濃度は、活性物質ベースで、全組成物の約0.01%〜約10%、好ましくは約0.5%〜約6%である。本発明の好ましい化粧品ファンデーションの実施形態では、ゲル化シリコーンエラストマーは、全組成物の約0.5%〜約6%、好ましくは約1%〜約4.5%含まれる。理論に束縛されるものではないが、ゲル化シリコーンエラストマーは、本油中水型エマルションの安定化を補佐すると考えられる。
【0046】
本明細書で非常に有用な市販のゲル化シリコーンエラストマー類としては、シリコーンオイル、炭化水素油、又はトリグリセリド油のような溶媒で膨潤されたものが挙げられ、これには、すべて信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能な商標名KSG−15、KSG−16、KSG−41、KSG−42、KSG−43、及びKSG−44の架橋ポリマー類、ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なDC9040、ゼネラル・エレクトリック(General Electrics)から商標名ベルベシル(VELVESIL)で入手可能なアルキル変性架橋ポリマー類、及び信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能な商標名KSG−210のポリエーテル変性架橋ポリマー類が包含される。
【0047】
粒子状シリコーンエラストマー
本組成物は、本明細書で上述した必須の乳化シリコーンエラストマーに加えて、粒子状シリコーンエラストマーを更に含んでもよい。包含される場合、粒子状シリコーンエラストマーの濃度は、全組成物の約0.1%〜約30%、好ましくは約0.5%〜約15%である。
【0048】
本明細書の粒子状シリコーンエラストマーは、独立した比較的剛直な球状構造を有することから、上記の乳化シリコーンエラストマー及びゲル化シリコーンエラストマーと区別される。粒子状シリコーンエラストマーは特定の溶媒を吸収することもできるが、蒸発又は遠心分離によって容易に溶媒から単離できる。本明細書の粒子状シリコーンエラストマー類は、シリコーンゴム球状粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂粒子、又はポリオルガノシルセスキオキサン樹脂でコーティングされたシリコーンゴム球状粒子であってもよい。
【0049】
本明細書の粒子状シリコーンエラストマーは、皮膚に対する改良された塗布性及び透明性を提供する。好ましい実施形態の1つでは、乳化シリコーンエラストマー、ゲル化シリコーンエラストマー、及び粒子状シリコーンエラストマーの組み合わせが使用される。これら3種類のシリコーンエラストマー類の組み合わせは、本組成物のエマルションの安定性を改良し、並びに毛穴のような皮膚のでこぼこの修正及び平滑化を改良し、それによって、欠陥の被覆のような審美的効果を改良し、同時に良好な塗布性も維持する。溶媒吸収特性を有する粒子状シリコーンエラストマーは、皮脂制御にも有用な場合がある。
【0050】
本明細書で有用な市販の粒子状シリコーンエラストマーとしては、すべて信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.)から入手可能なKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105、KSP−200、及びKSP−300、ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能な商標名トレフィル(TREFIL)E−506C、商標名DC9506及びDC9509の硬化ポリオルガノシロキサンエラストマー類、GE東芝シリコーン(GE Toshiba Silicones)から入手可能な商標名トスパール(TOSPEARL)のポリオルガノシルセスキオキサン樹脂、及びグラント・インダストリーズ(Grant Industries)から入手可能な商標名グランシル(GRANSIL)系列のエラストマーが挙げられる。
【0051】
追加のパウダー
本発明の組成物は、追加のパウダー構成成分をさらに含んでもよい。本明細書の追加のパウダーは、一般的には本来疎水性であり、又は疎水的に処理されている。上記のもの以外のパウダーの種類及び濃度は、例えば、色合い、被覆率、優れた装着性能、及び組成物の安定性を提供することを目的に、選択される。製品の必要性に応じて、無色パウダーが、無色ファンデーション、日焼け止め剤、又はメークアップ基礎製品を提供することを目的に、選択されてもよい。
【0052】
本明細書で有用な追加のパウダーは、粘土鉱物粉末、例えばタルク、雲母、絹雲母、シリカ、ケイ酸マグネシウム、合成フッ素金雲母、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイト及びモンモリロナイト;パール粉末、例えばアルミナ、硫酸バリウム、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、酸化鉄、チタン酸鉄、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化チタン被覆雲母;有機粉末、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、メチルメタクリレート樹脂、セルロース、12−ナイロン、6−ナイロン、スチレン−アクリル酸コポリマー類、ポリプロピレン、塩化ビニルポリマー、テトラフルオロエチレンポリマー、窒化ホウ素、魚鱗グアニン、レーキタールカラー染料、及びレーキ天然カラー染料である。このようなパウダーは、次のものを包含する疎水性処理剤で処理されてもよい:メチコン、ジメチコン及びペルフルオロアルキルシランなどのシリコーン;ステアリン酸などの脂肪性材料;ジミリスチン酸アルミニウムなどの金属石鹸;水素添加タローグルタミン酸アルミニウム、水素添加レシチン、ラウロイルリジン、ペルフルオロアルキルリン酸のアルミニウム塩、並びにこれらの混合物。
【0053】
PCT国際公開特許WO05/082319に記載されているソフトフォーカスパウダーも、本明細書で有用である。ソフトフォーカスパウダーとは、組成物にソフトフォーカス効果を提供する、すなわち規定量を組み込む場合に、皮膚トラブルの出現を最小限にするのに良好な適用範囲をもつが自然な仕上がりを提供するのに特に有用なパウダーを意味する。本明細書で有用な球状ソフトフォーカスパウダーは、62〜72の全光透過率(Tt)、45〜55の散乱光透過率(Td)、及び70〜80のヘイズ(Haze)値{(Td/Tt)×100}を有する、三好化成株式会社(Miyoshi Kasei Inc.)から入手可能な、商標名SA−アルミナビーズとして市販されているもののような、球状アルミナを含む。
【0054】
無機及び有機油吸収性パウダーが本明細書で有用である。本明細書の無機油吸収性パウダーとしては、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、及びヒドロキシアパタイトが挙げられる。組成物の残りの部分との相溶性により、未処理及び表面処理パウダーの双方を使用できる。とりわけ、約1μm〜約30μmの平均粒径を有する球状シリカパウダーが、本明細書で有用である。メチルメタクリレートコポリマー類のような、有機油吸収性パウダーは、本明細書で有用ある。
【0055】
本明細書で有用な市販の無機油吸収性パウダーには、商標名シルデックス(SILDEX)H−52として旭硝子株式会社(Asahi Glass Company Co., Ltd)から入手可能な球状シリカ、表面処理され、商標名SIシルデックス(SILDEX)H−52として三好化成株式会社(Miyoshi Kasei, Inc.)から入手可能な同物、商標名ゴッドボール(GODD BALL)SF−16Cとして鈴木油脂工業株式会社(Suzuki Yushi Industrial Co. Ltd.)から入手可能な球状シリカが挙げられ、すべて200ml/100gを超える油吸収性を有する。本明細書で有用な市販のパウダー類としては、三好化成株式会社(Miyoshi Kasei Inc.)により表面処理され、ガンズ・ケミカル(GANZ Chemical Co.,Ltd.)から入手可能な商標名SA−GMP−0820のメチルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0056】
ソフトフォーカスパウダー及び油吸収性パウダー以外の球状パウダーも使用してよい。球状パウダーを製造するのに有用な材料の非限定例は、ポリアクリレート類、シリケート類、サルフェート類、金属二酸化物類、カーボネート類、セルロース類、ポリアルキレン類、ビニルアセテート類、ポリスチレン類、ポリアミド類、アクリル酸エーテル類、シリコーン類、及びこれらの混合物、並びにこれらの複合材である。具体的には、本明細書で有用な材料としては、ポリアクリレート類、例えばナイロン、シリケート類、例えばケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウム及びシリカビーズ、金属二酸化物類、例えば二酸化チタン及び水酸化アルミニウム、カーボネート類、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セルロース類、ポリアルキレン類、例えばポリエチレン、及びポリプロピレン、ビニルアセテート類、ポリスチレン類、ポリアミド類、アクリル酸メチルエーテル及びアクリル酸エチルエーテルのようなアクリル酸エーテル類、ポリビニルピロリドン類が挙げられる。本明細書で特に有用な市販の球状粉末としては、東レ(Toray)から入手可能な商標名ナイロンパウダー(NYLON POWDER)シリーズのナイロン−12が挙げられる。
【0057】
揮発性シリコーンオイル
本組成物は、揮発性シリコーンオイルをさらに含んでもよい。本明細書の揮発性シリコーンオイルは、上記の乳化シリコーンエラストマー及び任意のゲル化シリコーンエラストマーを膨潤するために部分的又は全体的に使用されてもよい。揮発性シリコーンオイルはまた、改良された清涼及び軽い感覚を皮膚に提供すると考えられる。揮発性シリコーンの量は、組成物が必ずしも乾燥した感覚を皮膚に残さないように調節される。
【0058】
本明細書で有用な揮発性シリコーンオイルは、沸点が約60〜約260℃であり、好ましくは2〜7個のケイ素原子を有する、直鎖又は環状ポリアルキル又はポリアリールシロキサン類から選択される。
【0059】
本明細書で有用な市販の揮発性シリコーン化合物としては、商標名SH200C−1csのオクタメチルトリシロキサン、商標名SH200C−1.5csのデカメチルテトラシロキサン、商標名SH200C−2csのヘキサデカメチルヘプタシロキサン、商標名SH244のオクタメチルシクロテトラシロキサン、商標名DC245及びSH245のデカメチルシクロペンタシロキサン、及び商標名DC246のドデカメチルシクロヘキサシロキサン(dodeamethylcyclohexasiloxane)が挙げられ、これらはすべてダウ・コーニング(Dow Corning)より入手できる。
【0060】
不揮発性油
本組成物は、不揮発性油をさらに含んでもよい。組み込まれる場合、好ましくは、その量は約0.5%〜約20%である。理論に制限されることなく、本明細書中の不揮発性油の種類及び濃度は、改善された滑らかさを皮膚に与え、そしてまた皮膚の乾いた感触を緩和すると考えられる。
【0061】
本明細書において有用な不揮発性油は、例えば、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ネオペンチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジイソプロピルジメレート、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカダミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ごま油、パーシック油、麦芽油、パサンカ油(pasanqua oil)、ヒマシ油、亜麻仁油、ベニバナ油、綿実油、シソ油、大豆油、ピーナッツ油、茶実油、カヤ油、米糠油、シナ桐油、日本桐油、ホホバ油、米芽油、グリセロールトリオクタノエート(glycerol trioctanate)、グリセロールトリイソパルミテート、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸イソプロピル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ラノリン、ラノリン液、パラフィン液、スクワラン、ワセリン、並びにこれらの混合物である。市販の油としては、例えば、クローダ(Croda)から入手可能な商標名クローダモル(Crodamol)TNのイソノナン酸イソトリデシル、日清製油(Nisshin Seiyu)から入手可能なヘキサラン(Hexalan)、及びエーザイ(Eisai)から入手可能な酢酸トコフェロールが挙げられる。
【0062】
好ましい実施形態の1つでは、イソノナン酸イソトリデシルは、上記の2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)のような、油溶性有機UV保護剤の溶媒として使用される。驚くべきことに、イソノナン酸イソトリデシルは、本発明の他の必須成分との組み合わせでこのようなUV保護剤の安定性の維持に有効であり、該保護剤の結晶化を防止することが見出された。有機UV保護剤の結晶化は、皮膚に望ましくない刺激を引き起こすことがあり、したがって好ましくは避けられる。
【0063】
本明細書で有用な不揮発性オイルとしては、約7〜約8,000の繰返し単位を有するポリアルキル又はポリアリールシロキサン類も挙げられる。これらのシリコーン化合物は、例えば、ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)からビスカシル(Viscasil)(登録商標)及びSF96シリーズで、及びダウ・コーニング(Dow Corning)からダウ・コーニング(Dow Corning)200シリーズで、ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)よりSF1075メチルフェニル流体として又はダウ・コーニング(Dow Corning)より556コスメチック・グレード液(Cosmetic Grade Fluid)として入手可能なポリメチルフェニルシロキサン類が入手できる。
【0064】
本明細書において有用な不揮発性油はまた、種々の等級の鉱油類である。鉱油類は、石油から生成される炭化水素類の液体混合物である。適した炭化水素類の具体例としては、パラフィン油、鉱油、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、エイコセン、イソエイコセン、トリデカン、テトラデカン、ポリブテン、ポリイソブテン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
追加の親油性界面活性剤
本発明の組成物は、必須のアルキル置換シリコーン乳化剤に加えて、追加の親油性界面活性剤をさらに含んでもよい。組み込まれる場合、包含される量は、好ましくは約0.1%〜約10%である。理論に束縛されるものではないが、本明細書の親油性界面活性剤の種類及び濃度により、本発明の他の構成成分を考慮した安定な油中水型エマルションが提供されると考えられている。本明細書において親油性界面活性剤は、約8未満のHLB値を有する。本発明に包含される構成成分によると、本発明の他の必須構成成分のための安定なエマルションを提供するための少なくとも1つのエステル型界面活性剤及び少なくとも1つのシリコーン型界面活性剤の混合物である。
【0066】
市販のエステル型界面活性剤は、例えばクローダ(Croda)から入手可能な商標名クリル(Crill)6のソルビタンイソステアレート、及び花王アトラス(Kao Atras)から商標名アラセル(Arlacel)83のソルビタンセスキオレエートである。
【0067】
市販のシリコーン型界面活性剤は、例えば、すべてダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なジメチコンコポリオール類DC5225C、BY22−012、BY22−008、SH3746M、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3748、SH3749、及びDC5200、及び商標名アビル(ABIL)EM90でゴールドシュミット・パーソナルケア(Goldschmidt Personal Care)から入手可能な、メチルポリシロキサンセチルメチルポリシロキサンポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)メチルポリシロキサンコポリマーとも呼ばれ、約5のHLB及び約13,000の分子量を有する、セチルジメチコンコポリオール、及び、信越化学工業株式会社(ShinEtsu Chemical Co., Ltd.)から商標名KF−6028で入手可能なPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである。
【0068】
皮膚活性剤
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の皮膚活性剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「皮膚活性剤」は、皮膚、毛髪又は爪の上の適用領域に美容的及び/又は治療的効果をもたらす活性成分を意味する。本明細書で有用な皮膚活性剤には、美白剤、抗ニキビ剤、皮膚軟化剤、非ステロイド系抗炎症剤、局所麻酔薬、人工日焼け剤、防腐剤、抗菌及び抗真菌活性物質、皮膚鎮静剤、日焼け止め剤、皮膚バリア修復剤、しわ防止剤、皮膚萎縮防止剤、脂質、皮脂阻害物質、皮脂阻害物質、皮膚感覚剤、タンパク質分解酵素抑制剤、皮膚引き締め剤(skin tightening agent)、かゆみ止め剤、発毛阻害物質、落屑酵素強化剤、糖化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。包含する場合、本発明の組成物は、約0.001%〜約30%、好ましくは約0.001%〜約10%の少なくとも1つの皮膚活性剤を含む。
【0069】
皮膚活性剤の種類及び量は、特定の剤の包含が組成物の安定性に影響を与えないように選択される。
【0070】
本明細書において有用な美白剤は、処置前と比較した場合に過度の色素沈着を改善する活性成分を指す。本明細書において有用な皮膚美白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、グリチルリチン酸、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、並びにこれらの混合物が挙げられる。美白剤の組み合わせの使用は、それらが異なる機構により美白効果をもたらす可能性があるという点で、有益であると考えられる。
【0071】
本明細書で有用なアスコルビン酸化合物には、本質的にL型のアスコルビン酸、アスコルビン酸塩、及びそれらの誘導体が挙げられる。本明細書で有用なアスコルビン酸塩類としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム及びプロタミン塩が挙げられる。本明細書において有用なアスコルビン酸誘導体としては、例えば、アスコルビン酸のエステル、及びアスコルビン酸のエステル塩が挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸化合物としては、アスコルビン酸とグルコースのエステルであって、通常はL−アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビルグルコシドと称される、2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、及びその金属塩、並びにリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルカリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、及びリン酸アスコルビルカルシウムのようなリン酸L−アスコルビン酸エステル塩が挙げられる。市販のアスコルビン酸化合物としては、昭和電工(Showa Denko)から入手可能なリン酸アスコルビルマグネシウム、ハヤシバラ(Hayashibara)から入手可能な2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、及びロシュ(Roche)から入手可能な商標名ステイC(STAY C)のリン酸L−アスコルビルナトリウムが挙げられる。
【0072】
本明細書において有用なビタミンB3化合物としては、例えば、次式を有するものが挙げられる。
【0073】
【化1】

式中、Rは−CONH2(例えば、ナイアシンアミド)又は−CH2OH(例えば、ニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及びこれらの塩である。前出のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル類、ニコチニルアミノ酸類、カルボン酸類のニコチニルアルコールエステル類、ニコチン酸N−オキシド及びナイアシンアミドN−オキシドを包含する、ニコチン酸エステル類が挙げられる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロールであり、より好ましいものはナイアシンアミドである。好ましい実施形態において、ビタミンB3化合物は、限られた量の塩の形態を含有し、より好ましくは、実質的に、ビタミンB3化合物の塩類を含まない。好ましくは、ビタミンB3化合物は、約50%未満のそのような塩を含有し、より好ましくは本質的に塩の形態を含まない。本明細書において極めて有用な市販のビタミンB3化合物としては、ライリー(Reilly)から入手可能なナイアシンアミドUSPが挙げられる。
【0074】
本明細書で有用な他の疎水性美白剤として、テトライソパルミチン酸アスコルビル(例えば、ニッコー化学(Nikko Chemical)から入手可能なVC−IP)、パルミチン酸アスコルビル(例えば、ロッシュ・ビタミンズ(Roche Vitamins)から入手可能)、ジパルミチン酸アスコルビル(例えば、ニッコー化学(Nikko Chemical)から入手可能なニッコールCP(NIKKOL CP));ウンデシレノイルフェニルアラニン(例えば、セピック(Seppic)から入手可能なセピホワイトMSH(SEPIWHITE MSH));オクタデセン二酸(例えば、ユニケマ(Uniquema)から入手可能なARLATONE DIOIC DCA);メマツヨイグサ(oenothera biennis)種(sead)抽出物、及びパイラスマルス(pyrus malus)(りんご)果実抽出物、並びにこれらの混合物のような、アスコルビン酸誘導体を挙げる。
【0075】
本明細書で有用なその他の皮膚活性剤としては、パンテノール、トコフェリルニコチネート、過酸化ベンゾイル、3−ヒドロキシ安息香酸、フラボノイド(例えば、グリコシルヘスペリジン、フラバノン、カルコン)、ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、シス−レチノイン酸、トランス−レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(例えば、レチニルプロピオネート)、フィチン酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、トコフェロール及びそのエステル(例えば、トコフェリルアセテート)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ヒドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、ネオマイシンサルフェート、テオフィリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0076】
追加の構成成分
本明細書の組成物はさらに、局所適用製品に従来使用されるもののような追加の構成成分を含有していてもよく、例えば、組成物又は皮膚に審美的又は機能的効果を与えるためのもの、例えば外観、匂い又は感触に関連する知覚上の効果、治療的効果、あるいは予防的効果を与えるためのものである(上述の必要とされる材料自体がこうした効果を提供してもよいことを理解すべきである)。
【0077】
好適で局所用成分部類の例として、抗セルライト剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、キレート化剤、ビタミン及びこれらの誘導体、研磨剤、他のオイル吸収剤、収れん剤、染料、芳香油、芳香剤、構造剤、皮膜形成ポリマー、可溶化剤、固化防止剤、消泡剤、結合剤、緩衝剤、充填剤、変性剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、隔離剤、化粧殺生物剤、アルコール類並びに防腐剤が挙げられる。
【実施例】
【0078】
次の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態について更に詳しく説明し、実証するものである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるので、これらの実施例は、単に例証を目的として与えるものにすぎず、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0079】
次の油中水型エマルション組成物は、本明細書に記載されるプロセスによって形成される。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
構成成分の定義
*1 イソトリデシルイソノナノエート:クローダ(Croda)から入手可能なクローダモル(Crodamol)TN
*2 デカメチルシクロペンタシロキサン:ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なSH245
*3 ラウリルPEG−9ポリジメチル−シロキシエチルジメチコン:信越化学工業株式会社(Shinetsu Chemical Co., Ltd.)から入手可能なKF6038
*4 酸化鉄、シクロペンタシロキサン、ジメチコン及び水素添加グルタミン酸二ナトリウムのスラリー:三好化成(Miyoshi Kasei)から入手可能なSA/NAI−Y−10/D5(70%)、SA/NAI−R−10/D5(65%)及びSA/NAI−B−10/D5(75%)
*5 テトライソパルミチン酸アスコルビル、シリカ、及びジメチコンの混合物:三好化成(Miyoshi Kasei)から入手可能なSA−SB−705/VC−IP
*6 パウダーミックス:三好化成(Miyoshi Kasei)から商標名グランデュア・パール・パウダー・ピンク(Grandeur Pearl Powder Pink)で入手可能な、メチルメタクリレートクロスポリマー及びココイルグリシン酸ナトリウム及び水酸化カルシウム及び酸化鉄の混合物
*7 雲母、二酸化チタン、シリカ、酸化鉄、アルミナ、及びジメチコン/メチコンコポリマーの混合物:日本触媒(Nihon Shokubai)から入手可能なレリーフ・カラー・ピンク(Relief Color Pink)P−2
*8 2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート:シムライズ(Symrise)から入手可能なパーソル(PARSOL)MCX
*9 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3):BASFから入手可能
*10 二酸化チタン及びメチコン:三好化成(Miyoshi Kasei)から入手可能なSI−T−CR−50Z(80%)LHC
*11 二酸化チタン、ジメチコン、水酸化アルミニウム及びステアリン酸:三好化成(Miyoshi Kasei)から入手可能なSAST−UFTR−Z
*12 シクロペンタシロキサン(87.4%)及びジメチコンクロスポリマー(12.6%)ブレンド:ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なDC−9040
*13 イソドデカン(75%)及びPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー(25%)ブレンド:信越シリコーン(Shinetsu Silicone)から入手可能なKSG−320
*14 ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン(Methicone Silesquioxane)クロスポリマー:信越シリコーン(Shinetsu Silicone)から入手可能なKSP−100
*15 フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸:シムライズ(Symrise)から入手可能なネオ・ハリオパン・ハイドロ(Neo Haliopan Hydro)
*16 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸:BASFから入手可能なベンゾフェノン−4
*17 ブチレングリコール:協和発酵工業(Kyowa Hakko Kogyo)から入手可能な1,3ブチレングリコール
*18 グリセリン:旭電化(Asahi Denka)から入手可能なグリセリンUSP
*19 ナイアシンアミド:レイリー工業株式会社(Reilly Industries Inc.)から入手可能なナイアシンアミド
*20 サッカロミコプシス発酵ろ液及びブチレングリコール及びメチルパラベンの混合物:P&Gから入手可能なSK−24X
*21 トリエタノールアミン:ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能なTEA
*22 キャンデリラろう:セラリカ・ノダ(Cerarica Noda)から入手可能なキャンデリラろうNC−1630
*23 セレシン:ストラール&ピッツ(Strahl & Pitsh)から入手可能なオゾケライトワックスSP−1021
*24 酸化亜鉛及びジメチコン:BASFから入手可能なZ−コート(Z−Cote)HP1
*25 ジメチコン(76%)及びビニルジメチコンクロスポリマー(24%)ブレンド:信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)から入手可能なKSG−15
*26 ジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(24%)及びジメチコン(75%)ブレンド:信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)から入手可能なKSG−210
【0083】
調製方法
実施例6を除く実施例1〜12の組成物は、次のように調製される:
1)相Aの構成成分を、適したミキサーを用いて均質になるまで混合し、親油性混合物を作製する。
2)相Bの構成成分を、すべての構成成分が完全に溶解するまで、適したミキサーを用いて溶解し、水相を作製する。前記水相を工程1)の生成物に添加し、ホモジナイザーを用いて室温でエマルションを作製する。
実施例6の組成物は、上記の工程1)及び2)を実施し、さらに:
3)相Cの構成成分を、封止した槽内で80〜85℃に加熱して溶解することによって調製される。溶融したワックスを、ホモジナイザーを用いて工程2)の生成物に添加する。
4)最後に、得られたエマルションを、気密容器に充填し、冷却ユニットを用いて室温に冷却させる。
【0084】
先の実施例で示されるこれらの実施形態は、メークアップ又はスキンケア組成物として皮膚に適用される場合、多くの利点を有する。実施例1〜4は、SPFが15〜35、及びPAが++の液体ファンデーション製品として有用である。実施例1及び4は、UV保護剤の用量限度の世界基準に適合する。実施例1〜4はさらに、改良された均一な被覆率、改良された透明な外観、皮脂制御、及び長期装着を有する。実施例5はメークアップベース製品として有用である。実施例5は、ファンデーションの適用前に皮膚に適用されたとき、上に適用されたファンデーションの色安定性、改良された均一な被覆率、改良された透明な外観、皮脂制御、及び長期装着を提供する。実施例6は、15〜35のSPF及び++のPAを有する固体ファンデーション製品として有用であり、UV保護剤の用量限度の世界基準に適合する。実施例7〜9は日焼け止め製品として有用である。実施例7及び8は、SPFが15〜35の範囲及びPAが++であり、実施例9はSPFが35を超え、PAが+++である。実施例10〜12は、SPFが12〜17の範囲及びPAが+であるスキンケアクリーム製品として有用である。すべての実施形態は、改良されたエマルション安定性及び改良された塗布性を有し、並びにべたべたした感覚が低減されると同時に皮膚に潤いも与える。
【0085】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの定義または意味が、参考として組み込まれた文献における同じ用語のいずれかの定義または意味と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義または意味が適用されるものとする。
【0086】
本発明の特定の実施形態を説明記述してきたが、本発明の精神範囲から逸脱することなく他の様々な変更修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルション組成物であって、
(A)次式(1)の乳化シリコーンエラストマー:
1a2b3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
式中;R1、R2、及びR3の各々は以下に記載されており、aは1.0〜2.5の範囲であり、bは0.001〜1.5の範囲であり、cは0.001〜1.5の範囲であり、上の式(1)によって表されるシリコーン化合物の重量平均分子量は、500〜200,000の範囲であり;
少なくとも1つのR1は、3〜45個の炭素原子を有する高級アルキルから選択される有機基であり、複数のR1の場合、残りの基は、アリール、アラルキル、フッ素置換アルキル、アミノ置換アルキル又はカルボキシル置換アルキルであり、
2は次の一般式(2)によって表され;
−Cm2m-−O−(C24O)f(C36O)g5 (2)
式中、R5は水素原子、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、又はR6(CO)によって表される有機基であり、R6は1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、0≦m≦15、f及びgは2≦f≦200の整数であり、同時にf+gは3≦f+g≦200の範囲であり;
3は、次の一般式(3)によって表されるオルガノシロキサンであり;
−Cn2n−(SiR12O)h−SiR13 (3)
式中、R1は上記と同じであり、hは0≦h≦500であり、nは1≦n≦5の整数であり;
(B)次式(11)のアルキル置換シリコーン乳化剤:
1a2b3cSiO(4-a-b-c)/2 (11)
式中R1は、3〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はフッ素置換アルキル基から選択される同じ又は異なる有機基を表し、その際、すべてではないが一部のR1は、−Cm2m-O−(C24O)d(C36O)e4であることができ;
2は、−Cm2m−O−(C24O)f(C36O)g−R5によって表されるポリオキシアルキレン基であり;
3は、下の一般式(12)(によって表されるオルガノシロキサン)であり:
−Cn2n−(SiR24O)h−SiR13 (12)
4は4〜30個の炭素原子を有する炭化水素基又はR6−(CO)−によって表される有機基であり;R5は水素原子、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、又はR6−(CO)−によって表される有機基であり;R6は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、a、b、及びcはそれぞれ1.0≦a≦2.5;0.001≦b≦1.5;及び0.001≦c≦1.5であり、d及びeは整数であって、それぞれ0≦d≦50及び0≦e≦50であり、f及びgはそれぞれ2≦f≦200及び0≦g≦200であって、その際f+gは3〜200の整数であり、mは0≦m≦15の整数であり;hは0≦h≦500の整数であり;nは1≦n≦5の整数であり;及び
(C)水性キャリア
を含む組成物。
【請求項2】
有機UV保護剤と無機UV保護剤とから選択されるUV保護剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
油溶性有機UV保護剤及び水溶性有機UV保護剤を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
油溶性有機UV保護剤及び無機UV保護剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
イソトリデシルイソノナノエートをさらに含む、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
ゲル化シリコーンエラストマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
粒子状シリコーンエラストマーをさらに含む、請求項1又は6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物を皮膚に適用することによって皮膚の欠陥を修正する方法。
【請求項9】
請求項7に記載の組成物を皮膚に適用することによって皮膚のでこぼこを平滑化する方法。

【公表番号】特表2009−524644(P2009−524644A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551936(P2008−551936)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050264
【国際公開番号】WO2007/086022
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】