説明

油圧式建設機械と緊急脱出油圧ユニットとの間に設けられる操作ユニット

【課題】油圧式建設機械の稼働中に走行系油圧ユニットに故障が発生した場合、油圧式建設機械を移動させることができる非常用脱出装置を提供すること。
【解決手段】操作ユニット31が機械側走行用接続口Q1および油圧ユニット側接続口P1の間に接続されることにより、緊急脱出油圧ポンプ12、走行用油圧モータ42、および流量制御弁33の間に走行用緊急油圧開回路が形成される。形成された走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量は、流量制御弁33によって制御され、アスファルトフィニッシャ1の走行が制御される。このため、緊急脱出油圧ユニット11を用いて走行用油圧閉回路を備えたアスファルトフィニッシャ1を緊急走行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式建設機械と緊急脱出油圧ユニットとの間に設けられ、油圧式建設機械を緊急脱出させる、または、油圧式建設機械の作業装置を緊急駆動させる操作ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用油圧回路が閉回路で構成されるHST(Hydro-Static Transmission)と称される走行系油圧ユニットを備えた油圧式建設機械として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この走行系油圧ユニットは、原動機であるエンジンと駆動輪との間に設けられ、エンジンによって駆動される走行用油圧ポンプと、走行用油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される走行用油圧モータと、これら走行用油圧ポンプおよび走行用油圧モータの間に閉回路を構成する走行用油圧閉回路とを備えて構成されている。この走行系油圧ユニットでは、走行用油圧モータの駆動力を駆動輪に伝達することにより、油圧式建設機械が走行させられる。
【0003】
また、特許文献2には油圧式建設機械の非常用脱出装置が開示されている。この非常用脱出装置は、油圧式建設機械本体とは別に油圧源ユニットおよびモータユニットを備えて構成される。これら油圧源ユニットおよびモータユニットは、油圧カプラおよび油圧ホースによって油圧式建設機械本体に接続される。油圧式建設機械は、走行用のコントロールバルブなどが故障した場合に、非常用脱出装置が接続されることにより圧油が供給されて走行用油圧モータが駆動させられ、作業現場から脱出させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−279834号公報
【特許文献2】特許第3145668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の上記従来の非常用脱出装置は、特許文献1に記載されたような走行用油圧回路が閉回路で構成される走行系油圧ユニットで走行する油圧式建設機械には、接続することができなかった。このため、上記従来の非常用脱出装置では、油圧式建設機械の稼働中に走行系油圧ユニットに故障が発生した場合、非常用脱出装置を用いて故障現場から油圧式建設機械を移動させることができなかった。また、非常用脱出装置から圧油供給を受けている油圧式建設機械において、その作業装置が非駆動状態でも、非常用脱出装置から作業装置へ高い圧油圧力で圧油が供給され続けるため、圧油の油温が上昇してオーバーヒートが生じ易かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
走行装置を駆動する走行用油圧モータおよび走行用油圧モータに圧油を供給する走行用油圧ポンプの間に構成される走行用油圧閉回路の管路の途中に設けられ、走行用油圧閉回路内を流れる圧油を走行用油圧閉回路外へ導く機械側走行用接続口を備えた油圧式建設機械と、油圧ユニット側接続口から圧油を送出する緊急脱出油圧ポンプおよび緊急脱出油圧ポンプを駆動するエンジンを備えた緊急脱出油圧ユニットとの間に着脱自在に設けられ、機械側走行用接続口および緊急脱出油圧ユニット側接続口の間に接続されると、走行用油圧モータおよび緊急脱出油圧ポンプの間に走行用緊急油圧開回路を形成し、走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量を制御する流量制御弁を備える操作ユニットを構成した。
【0007】
この構成によれば、操作ユニットが機械側走行用接続口および緊急脱出油圧ユニット側接続口の間に接続されることにより、緊急脱出油圧ポンプ、走行用油圧モータ、および流量制御弁の間に走行用緊急油圧開回路が形成される。形成された走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量は流量制御弁によって制御され、油圧式建設機械の走行が制御される。このため、緊急脱出油圧ユニットを用いて走行用油圧閉回路を備えた油圧式建設機械を緊急走行させることができる操作ユニットが提供される。
【0008】
また、本発明は、走行用緊急油圧開回路において流量制御弁の下流側に走行用油圧モータへ送られる圧油の圧力の低下を検出すると走行用油圧モータから戻る圧油の流量を絞って走行用油圧モータに回転抵抗力を発生させるカウンターバランス弁を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、カウンターバランス弁によって、走行用緊急油圧開回路において走行用油圧モータへ送られる圧油の圧力の低下が検出されると、走行用油圧モータから戻る圧油の流量が絞られて、走行用油圧モータに回転抵抗力が発生させられる。このため、走行用緊急油圧開回路を用いた降坂時に、油圧式建設機械自身の車体重量によって走行用油圧モータが回転させられる外力が加わっても、安定した下降速度が得られる。従って、油圧式建設機械が坂道を下る際に暴走するのを防止することができる。
【0010】
また、本発明は、作業装置を駆動する作業装置駆動用油圧回路を流れる圧油を作業装置駆動用油圧回路外へ導く機械側作業装置用接続口を備えた油圧式建設機械と、油圧ユニット側接続口から圧油を送出する緊急脱出油圧ポンプおよび緊急脱出油圧ポンプを駆動するエンジンを備えた緊急脱出油圧ユニットとの間に着脱自在に設けられ、機械側作業装置用接続口および緊急脱出油圧ユニット側接続口の間に接続されると作業装置駆動用緊急油圧回路を形成し、圧油圧力が一定の回路保護値以上となった作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする回路保護リリーフ弁と、作業装置の非駆動状態において圧油圧力が回路保護値よりも低い一定値となるように作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする負荷変動型リリーフ弁とを備える操作ユニットを構成した。
【0011】
この構成によれば、作業装置の非駆動状態において、作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油圧力が回路保護値よりも低い一定値以上となった場合、負荷変動型リリーフ弁によって作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油が放出されてリリーフされる。このため、作業装置の非駆動状態時、作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油圧力は回路保護値に達する前の一定値に規制され、必要以上の高い圧油圧力で常時油圧回路内を圧油が流れなくなる。従って、作業装置の非駆動状態時、作業装置駆動用緊急油圧回路を流れる圧油の油温上昇が抑制され、オーバーヒートが生じ難くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記のように、緊急脱出油圧ユニットを用いて走行用油圧閉回路を備えた油圧式建設機械を緊急走行させることができる操作ユニット、および、作業装置の非駆動状態時に作業装置に供給する圧油の油温上昇を抑制してオーバーヒートを生じさせ難い操作ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による操作ユニットをアスファルトフィニッシャと緊急脱出油圧ユニットとの間に接続した状態の側面図、(b)は(a)の平面図、(c)はアスファルトフィニッシャにおける機械側接続口を示す図、(d)は緊急脱出油圧ユニットにおける油圧ユニット側接続口を示す図である。
【図2】アスファルトフィニッシャと緊急脱出油圧ユニットとの間に図1に示すように操作ユニットを接続した際に形成される油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明による操作ユニットをアスファルトフィニッシャの緊急脱出に適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0015】
図1(a)は、この一実施の形態による操作ユニット31をアスファルトフィニッシャ1と緊急脱出油圧ユニット11との間に接続した状態の側面図、同図(b)は同図(a)の平面図、同図(c)はアスファルトフィニッシャ1における機械側接続口Q1〜Q6を示す図、同図(d)は緊急脱出油圧ユニット11における油圧ユニット側接続口S,P1〜P4を示す図である。
【0016】
アスファルトフィニッシャ1は、アスファルト加熱混合物である舗装材が供給されるホッパ2が車体の前部に設けられている。ホッパ2の底には、ホッパ2に供給された舗装材を搬送するコンベヤ3が設けられており、コンベヤ3の後方の車体下部にはスクリュースプレッダ4が設けられている。スクリュースプレッダ4は、スクリュー軸の外周にスクリュー羽根が形成されており、スクリュー軸が定速回転するのに伴いスクリュー羽根が旋回し、コンベヤから供給されて路面R上に落下した舗装材を路面Rの幅方向に撒き拡げる。車体の後方には、撒き拡げた舗装材を敷き均して舗装面を平滑に仕上げるスクリード装置5が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、車体の前方および後方に設けられた一対の前輪6L,6Rおよび一対の後輪7L,7Rによって進行方向である同図左方に走行し、スクリード装置5を牽引する。また、車体上部の運転席には操作部8が設けられており、操作部8には、アスファルトフィニッシャ1の走行を操作する走行スイッチや、スクリード装置5を操作する操作レバーや操作スイッチなどが設けられている。
【0017】
アスファルトフィニッシャ1は、例えば、車体に搭載されたエンジンまたは油圧ポンプなどが故障した際、同図(a),(b)に示すように、操作部8の脇に載置されて着脱自在に接続される操作ユニット31を介して、別置きの緊急脱出油圧ユニット11が接続される。アスファルトフィニッシャ1の操作部8の側面には、同図(c)に示す機械側接続口Q1〜Q6が設けられている。また、緊急脱出油圧ユニット11の側面には、同図(d)に示す油圧ユニット側接続口S,P1〜P4が設けられている。操作ユニット31は、両側が、機械側接続口Q1〜Q6および油圧ユニット側接続口P1〜P4に油圧ホースによって接続されている。操作ユニット31には同図(b)に示すように走行操作レバー32が設けられている。走行操作レバー32は、緊急脱出油圧ユニット11を用いた緊急走行時におけるアスファルトフィニッシャ1の走行速度や前進・後退の操作を行うのに、使用される。
【0018】
図2は、アスファルトフィニッシャ1と緊急脱出油圧ユニット11との間に操作ユニット31を接続した際に形成される油圧回路図である。なお、同図において図1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0019】
アスファルトフィニッシャ1には、従来からある機械本体に備えられた既存油圧機器41aに加え、今回新たに機械本体に組み込んで加えられた追加油圧機器41bが設けられている。既存油圧機器41aには、後輪7L,7Rからなる走行装置を駆動する走行用油圧モータ42、および走行用油圧モータ42に圧油を供給する走行用油圧ポンプ43が設けられている。走行用油圧モータ42および走行用油圧ポンプ43間には、HSTを構成する走行用油圧閉回路が形成されている。この走行用油圧閉回路の管路の途中には、走行用油圧閉回路内を流れる圧油を走行用油圧閉回路外へ導く機械側走行用接続口Q1につながるマニホールド44が設けられている。
【0020】
緊急脱出油圧ユニット11には、緊急脱出油圧ポンプ12〜15、および緊急脱出油圧ポンプ12〜15を駆動させるエンジン16が備えられている。油圧ユニット側接続口Sは、油圧ホースによってアスファルトフィニッシャ1に備えられたタンク9に接続され、タンク9内の圧油は油圧ユニット側接続口Sを経由して各緊急脱出油圧ポンプ12〜15に供給される。また、各緊急脱出油圧ポンプ12〜15から吐出される圧油は、油圧ユニット側接続口P1〜P4を経由して、各油圧ホースを介して操作ユニット31へ送出される。
【0021】
操作ユニット31は、機械側走行用接続口Q1および油圧ユニット側接続口P1の間に接続されると、走行用油圧モータ42および緊急脱出油圧ポンプ12の間に走行用緊急油圧開回路を形成する。走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量は、操作ユニット31に設けられた流量制御弁33によって制御される。流量制御弁33は、手動比例弁からなり、走行操作レバー32が操作されるとスプールがスライドし、流量制御弁33のポートに出入する圧油の流量や方向を制御して、アスファルトフィニッシャ1の走行速度および前後進を制御する。図示する状態の流量制御弁33は、走行用緊急油圧開回路を流れる圧油を阻止しており、緊急脱出油圧ポンプ12から吐出される圧油を通過させて戻りラインへ送っている。走行操作レバー32の操作によって流量制御弁33のスプールが図示の上方へ移動すると、緊急脱出油圧ポンプ12からの圧油は、チェック弁を通って流量制御弁33を通過し、走行用緊急油圧開回路を流れて機械側走行用接続口Q1を経由して走行用油圧モータ42に送られ、アスファルトフィニッシャ1は前進する。また、走行操作レバー32の操作によって流量制御弁33のスプールが図示の下方へ移動すると、走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の向きが変わって、アスファルトフィニッシャ1は後進する。つまり、緊急脱出油圧ポンプ12から吐出された圧油は、緊急脱出油圧ポンプ12、走行用油圧モータ42、および流量制御弁33の間に形成された走行用緊急油圧開回路内を循環し、流量制御弁33によって制御された流量と方向に従って走行モータ42を駆動させる。また、走行用緊急油圧開回路には、カウンターバランス弁34が設けられている。カウンターバランス弁34は、走行用緊急油圧開回路において流量制御弁33の下流側に走行用油圧モータ42へ送られる圧油の圧力の低下を検出すると、走行用油圧モータ42から緊急脱出油圧ポンプ12へ戻る圧油の流量を絞って走行用油圧モータ42に回転抵抗力を発生させる。
【0022】
また、既存油圧機器41aに備えられたコンベヤ、スクリュー用バルブ45は、コンベヤ3およびスクリュー4の油圧装置を駆動する作業装置駆動用油圧回路に設けられ、コンベヤ3およびスクリュー4へ送る圧油の配分を調節する。アスファルトフィニッシャ1に設けられた機械側作業装置用接続口Q2は、作業装置駆動用油圧回路を流れる圧油をアスファルトフィニッシャ1の外へ導く。機械側作業装置用接続口Q2および油圧ユニット側接続口P2の間に操作ユニット31が接続されると、コンベヤ、スクリュー用バルブ45につながるコンベヤラインに緊急脱出油圧ポンプ13から圧油を供給する作業装置駆動用緊急油圧回路が形成される。この作業装置駆動用緊急油圧回路には、回路保護リリーフ弁35および負荷変動型リリーフ弁36が設けられている。回路保護リリーフ弁35は、圧油圧力が一定の回路保護値(24.5MPa)以上となった作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする。コンベヤ、スクリュー用バルブ45は、コンベヤ3を駆動する油圧ポンプを制御する信号を圧油圧力として、Sポートから出力する。負荷変動型リリーフ弁36は、コンベヤ、スクリュー用バルブ45のSポートにつながる、機械側接続口Q3を経由するセンシングラインを介して、コンベヤ3を駆動する油圧装置が非駆動状態であることを検出すると、作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油圧力が、回路保護値よりも低い一定値(1.4MPa)以上となった場合、作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする。回路保護リリーフ弁35および負荷変動型リリーフ弁36によってリリーフされた圧油は、機械側接続口Q4を経由する戻りラインを介してタンク9に戻される。
【0023】
また、緊急脱出油圧ポンプ14は、タンク9から供給される圧油を油圧ユニット側接続口P3から吐出し、機械側接続口Q5を経由するシリンダラインを介してステアリング用バルブ46およびスクリード昇降シリンダ用バルブ47に供給する。スクリード昇降シリンダ用バルブ47に圧油を供給することによってスクリード昇降シリンダを駆動し、スクリード装置5を路面Rから持ち上げてアスファルトフィニッシャ1を走行可能な状態にし、ステアリング用バルブ46に圧油を供給することによってステアリングを駆動させることができる状態にする。また、緊急脱出油圧ポンプ15は、タンク9から供給される圧油を油圧ユニット側接続口P4から吐出させ、機械側接続口Q6を経由するパイロットラインを介してブレーキ解除バルブ48に供給し、走行用油圧モータ42にかかっているブレーキを解除させる。
【0024】
このような本実施形態による操作ユニット31によれば、上記のように、操作ユニット31が機械側走行用接続口Q1および油圧ユニット側接続口P1の間に接続されることにより、緊急脱出油圧ポンプ12、走行用油圧モータ42、および流量制御弁33の間に走行用緊急油圧開回路が形成される。形成された走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量は流量制御弁33によって制御され、アスファルトフィニッシャ1の走行が制御される。このため、緊急脱出油圧ユニット11を用いて走行用油圧閉回路を備えたアスファルトフィニッシャ1を緊急走行させることができる操作ユニット31が提供される。
【0025】
また、本実施形態による操作ユニット31によれば、カウンターバランス弁34によって、走行用緊急油圧開回路において走行用油圧モータ42へ送られる圧油の圧力の低下が検出されると、走行用油圧モータ42から戻る圧油の流量が絞られて、走行用油圧モータ42に回転抵抗力が発生させられる。このため、走行用緊急油圧開回路を用いた降坂時に、アスファルトフィニッシャ1自身の車体重量によって走行用油圧モータ42が回転させられる外力が加わっても、安定した下降速度が得られる。従って、アスファルトフィニッシャ1が坂道を下る際に暴走するのを防止することができる。
【0026】
また、本実施形態による操作ユニット31によれば、コンベヤ3を駆動する油圧装置の非駆動状態において、作業装置駆動用緊急油圧回路内のコンベヤラインの圧油圧力が回路保護値(24.5MPa)よりも低い一定値(1.4MPa)以上となった場合、負荷変動型リリーフ弁36によってコンベヤラインの圧油が放出されてリリーフされる。このため、コンベヤ3を駆動する油圧ポンプの非駆動状態時、コンベヤラインの圧油圧力は回路保護値に達する前の一定値に規制され、必要以上の高い圧油圧力で常時油圧回路内を圧油が流れなくなる。従って、コンベヤ3を駆動する油圧装置の非駆動状態時、作業装置駆動用緊急油圧回路を流れる圧油の油温上昇が抑制され、オーバーヒートが生じ難くなる。また、必要以上の高い圧油圧力で常時圧油を緊急脱出油圧ポンプ13に吐出させ続けずにすむため、エンジン16のエネルギーロスを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上記の実施形態においては、本発明による操作ユニットをアスファルトフィニッシャに接続して用いた場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、移動式のクレーンや油圧ショベルなどの油圧式建設機械に本発明を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1…アスファルトフィニッシャ
10…タンク
11…緊急脱出油圧ユニット
12〜15…緊急脱出油圧ポンプ
16…エンジン
31…操作ユニット
32…走行操作レバー
33…流量制御弁
34…カウンターバランス弁
35…回路保護リリーフ弁
36…負荷変動型リリーフ弁
42…走行用油圧モータ
44…マニホールド
45…コンベヤ、スクリュー用バルブ
S,P1〜P4…油圧ユニット側接続口
Q1〜Q6…機械側接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を駆動する走行用油圧モータおよび前記走行用油圧モータに圧油を供給する走行用油圧ポンプの間に構成される走行用油圧閉回路の管路の途中に設けられ、前記走行用油圧閉回路内を流れる圧油を前記走行用油圧閉回路外へ導く機械側走行用接続口を備えた油圧式建設機械と、
油圧ユニット側接続口から圧油を送出する緊急脱出油圧ポンプおよび前記緊急脱出油圧ポンプを駆動するエンジンを備えた緊急脱出油圧ユニットとの間に着脱自在に設けられ、
前記機械側走行用接続口および前記油圧ユニット側接続口の間に接続されると、前記走行用油圧モータおよび前記緊急脱出油圧ポンプの間に走行用緊急油圧開回路を形成し、前記走行用緊急油圧開回路を流れる圧油の流量を制御する流量制御弁を備える操作ユニット。
【請求項2】
前記走行用緊急油圧開回路において前記流量制御弁の下流側に前記走行用油圧モータへ送られる圧油の圧力の低下を検出すると前記走行用油圧モータから戻る圧油の流量を絞って前記走行用油圧モータに回転抵抗力を発生させるカウンターバランス弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
作業装置を駆動する作業装置駆動用油圧回路を流れる圧油を前記作業装置駆動用油圧回路外へ導く機械側作業装置用接続口を備えた油圧式建設機械と、
油圧ユニット側接続口から圧油を送出する緊急脱出油圧ポンプおよび前記緊急脱出油圧ポンプを駆動するエンジンを備えた緊急脱出油圧ユニットとの間に着脱自在に設けられ、
前記機械側作業装置用接続口および前記油圧ユニット側接続口の間に接続されると作業装置駆動用緊急油圧回路を形成し、
圧油圧力が一定の回路保護値以上となった前記作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする回路保護リリーフ弁と、
前記作業装置の非駆動状態において圧油圧力が前記回路保護値よりも低い一定値以上となった前記作業装置駆動用緊急油圧回路内の圧油を放出してリリーフする負荷変動型リリーフ弁と
を備える操作ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−31890(P2012−31890A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169976(P2010−169976)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(591075630)株式会社アクティオ (33)
【Fターム(参考)】