説明

油性固形アイライナー組成物

【課題】従来にはない高いツヤと深い黒の発色、強力な耐皮脂性を有し、さらに充填性にも優れた油性固形アイライナー組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)〜(E)、
(A)揮発性炭化水素 35〜70質量%
(B)非揮発性液状油分 0.1〜10質量%
(C)トリメチルシロキシケイ酸 15〜40質量%
(D)金属石鹸 0.01〜5質量%
(E)カーボンブラック 0.01〜5質量%
を配合し、水と揮発性シリコーンを実質的に配合しないことを特徴とする油性固形アイライナー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は秀でた特徴を有するアイライナーに関するものであり、特にツヤや黒の発色、耐皮脂性、及び充填性に優れた油性固形アイライナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アイライナーは目の際やその周辺にラインを引くことにより、目を自然に大きく見せたり、目元を印象付けたりする目的で使用されている。中でも、従来塗布のしやすさと耐水性の点から油性剤型のアイライナーに対するニーズは高かったが、一方で、その塗布部位がまぶたと粘膜の際であるため、額や頭皮などから流れて落ちてきて滞留した皮脂と塗膜との接触機会が多く、アイライナーには非常に強い耐皮脂性が必要とされていた。そのような中、近年では目元をより艶やかな印象にするための高い光沢と深い黒の発色、耐皮脂性において一般的に液状のものよりも優れるという利点から固形状のアイライナーに対するニーズも高まってきている。
【0003】
これらのニーズに対してメーカー側も様々な努力を行ってきており、例えば、有機シリコーン樹脂と揮発性炭化水素と粉末を配合することで耐油性を向上させた化粧料(特許文献1参照)や真珠光沢顔料と油溶性樹脂を配合することで光沢性と化粧持続性を向上させた油性化粧料(特許文献2参照)等が開発されている。
【0004】
しかしながら、従来のいずれの発明においても、耐皮脂性の効果は消費者にとって充分とは言えなかった。また目元を艶やかな印象にするためのツヤや黒さにおいても、計測機器による数値上だけでは分からない消費者の実感としては、その効果は不十分であり、現在の高い消費者のニーズを満たせてはいなかった。更に、これらの効果を向上させようとするあまり、樹脂分や顔料、揮発性油分の配合量が多くなってしまい、液体の流動性が落ち、容器への充填性が非常に悪くなるという致命的な欠点があった。また、深い黒の発色を出すためにカーボンブラックを配合する努力もなされてきたものの、ただ単純にこれを配合しただけではやはり光沢や黒さが十分ではなく、更に保存安定性が悪化するという課題もあった。
【特許文献1】特公平6−15453号公報
【特許文献2】特許第3704464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が目的とするところは、目元を印象付けるツヤや黒さ、また耐皮脂性において従来にない優れた効果を有し、更に充填性にも優れた油性固形アイライナー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を特定の比率で配合した場合にのみ、従来にはない高いツヤと深い黒の発色、強力な耐皮脂性を有し、更に充填性にも優れた油性固形アイライナー組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記成分(A)〜(E);
(A)揮発性炭化水素 35〜70質量%
(B)非揮発性液状油分 0.1〜10質量%
(C)トリメチルシロキシケイ酸 15〜40質量%
(D)金属石鹸 0.01〜5質量%
(E)カーボンブラック 0.01〜5質量%
を含有し、水と揮発性シリコーンを実質的に含有しないことを特徴とする油性固形アイライナー組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、従来にはない高いツヤと深い黒の発色、強力な耐皮脂性を有し、更に充填性にも優れた油性固形アイライナー組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の最良な実施形態について詳述する。
【0010】
本発明に用いる成分(A)の揮発性炭化水素は、常圧における沸点が60〜260℃の範囲にあり、化粧品に一般的に用いられているものであれば、直鎖状でも分岐状でもよく、特に限定されず使用できる。例えば軽質流動イソパラフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン等を挙げることができる。
【0011】
本発明においては、これらの中から1種又は2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として35〜70質量%(以下、単に「%」で示す)である。より好ましくは40〜65%であり、さらに好ましくは45〜60%である。35%未満の配合量では組成物の十分な流動性が得られず、また70%を超えると、良好な耐皮脂性を発揮することが困難になるため好ましくない。
【0012】
更に本発明においては、常圧における沸点が150〜200℃の範囲にあるイソドデカン又はイソヘキサデカンであれば更に好ましく、このような市販品にはマルカゾールR(沸点、約180℃:丸善石油化学社製)等がある。
【0013】
本発明に用いる成分(B)の非揮発性液状油分は、常温(25℃)で液状であり、且つ揮発性を有さない油性成分のことである。これらは化粧品に一般的に用いられているものであれば、特に限定されず何れのものも使用できる。例えば、イソステアリン酸等の液状脂肪酸、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油、アボガド油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、パーム油、ヤシ油、硬化ヤシ油、硬化油、硬化ヒマシ油、卵黄油、ナタネ油、コムギ胚芽油、落花生油、コメヌカ油等の油脂、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリル、オレイン酸フィトステリル、乳酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル,マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のエステル類、オクチルドデカノール、カプリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン等の炭化水素、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン等のシリコーン油、フッ素変性ポリシロキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル等の脂肪酸と一価のアルコールのエステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸とグリコールのエステル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール等の脂肪酸と多価アルコールのエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等の水酸基を持つエステル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、炭酸ジアルキル等の二塩基酸のエステル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等の脂肪酸とステロールとのエステルや液状ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0014】
本発明においては、これらの中から1種又は2種以上を適時選択して用いることができるが、メチルフェニルポリシロキサン等の非揮発性シリコーン油の中から選択されて用いられることが好ましく、更に特開2001−342254号公報等に開示されている、パーフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等のフッ素・ポリエーテル共変性シリコーンであると、より強力な耐皮脂性と高いツヤが得られるため、より好ましい。このような市販品としては、FPD−4970、FPD−6131(信越化学工業社製)等がある。またその配合量は、化粧料総量を基準として0.1〜10%であり、好ましくは1〜5%である。0.1%未満の配合量では良好な充填性が得られず、また10%を超えるとべたつきが生じ、耐皮脂性が悪化するため好ましくない。
【0015】
本発明に用いる成分(C)のトリメチルシロキシケイ酸は、化粧品に一般的に用いられているものであれば特に限定されず何れのものも使用できる。市販品としては、X−21−5595(信越化学工業社製)やSR−1000(東芝GEシリコーン社製)等を挙げることができる。
【0016】
本発明においては、これらの中から1種又は2種以上を適時選択して用いることができ、形態は溶剤に希釈された液状形態であっても粉末形態であってもよい。またその配合量は、固形分換算で化粧料総量を基準として15〜40%であり、好ましくは20〜35%である。15%未満の配合量では十分なツヤや耐皮脂性が得られず、また40%を超えると充填性が悪化するため好ましくない。
【0017】
本発明に用いる成分(D)の金属石鹸は、一般式が(RCOO) M(式中のRは炭素数10〜18の脂肪族炭化水素基を示す。Mは、Na,K,Rb,Cs,Fr以外の金属であり、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、リチウム等が使用できる)で表される化合物であり、化粧品に一般的に用いられているものであれば特に限定されず、何れのものも使用できる。例えば、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0018】
本発明においては、これらの中から1種又は2種以上を適時選択して用いることができる。またその配合量は化粧料総量を基準として0.01〜5%であり、好ましくは0.1〜3%である。これらの範囲内であれば、優れた耐皮脂性と充填性を得ることができる。
【0019】
本発明に用いる成分(E)のカーボンブラックは、化粧品に一般的に用いられているものであれば特に限定されず何れのものも使用できる。本発明においては、最終生成物の状態で、90vol%以上のカーボンブラック粒子の分散径が0.6μm以下に制御されているとツヤと黒さの面から好ましい。
【0020】
成分(E)のカーボンブラックは、1種又は2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、0.01〜5%であり、好ましくは0.1〜3%である。これらの範囲内であれば、高いツヤと深い黒の発色、優れた充填性を得ることができる。
【0021】
本発明は、水と揮発性シリコーンを実質的に配合しないことを特徴とするが、本明細書において「実質的に配合しない」とは、それぞれの配合量が化粧料総量を基準として5%未満であることを指し、3%未満であるとより好ましく、1%未満であると更に好ましい。本発明においては水と揮発性シリコーンを実質的に配合しないことが非常に重要であり、各成分の配合量を上記範囲内に抑えることによりツヤと黒さ、耐皮脂性、充填性において従来にない劇的な効果を発揮することが可能となる。尚、本発明に上記範囲内で配合されていても良い揮発性シリコーンの例としては、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いる成分(F)のキャンデリラレジンは、キャンデリラワックスをエタノール等の有機溶剤にて分別抽出して得られた65%以上の樹脂分を含有するキャンデリラワックス分別物であり、詳細には特許第3890547号公報に記載されている。分別抽出は、例えば、キャンデリラロウをエタノール中に加熱溶解し、冷却後、析出する結晶を濾別し、濾液を濃縮することにより、樹脂分であるキャンデリラレジンを得ることができる。本発明においては、化粧品に一般的に用いられているものであれば特に限定されず使用でき、市販品としてはキャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)等がある。
【0023】
本発明においては、これらの中から1種又は2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、0.1〜5%であり、好ましくは0.5〜3%である。これらの範囲内であれば、高いツヤと深い黒の発色、優れた充填性を得ることができる。
【0024】
本発明の油性固形アイライナー組成物は目元を印象的にするための高い光沢と深い黒の発色、耐皮脂性の効果をより高く発揮するため、固形の形態でのみ用いることができる。なお本明細書において「固形」とは、組成物を内径30mm、高さ120mmの平底円筒形のガラス製瓶に底からの高さが55mmとなるまで入れ、25℃で48時間静置したのち、この瓶を横に倒し、25℃で5分放置した場合に、当該組成物が瓶の外部へ移動しないものを指す。
【0025】
本発明のアイライナー組成物は目の際にライン状に塗布する用途に用いられるものであり、睫毛に塗布するためのマスカラや、眉毛に塗布するためのアイブロウ、まぶた全体に広く使用するアイシャドウ等とは全く異なった用途に用いられるものである。またその塗布部位は目の際であれば目尻、目頭、目の上部側、下部側を問わず使用にでき、組成物は常法に従い、製造することができる。
【0026】
本発明においては、成分(E)のカーボンブラック以外の顔料についても本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。これらは、化粧品に通常使用されるものであれば何れでもよい。またその形態についても、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。例えば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体、タール色素類等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、銀被覆ガラスフレーク、金被覆ガラスフレーク、酸化鉄被覆ガラスフレークポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・ポリウレタン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられる。またこれらの色素及び顔料は、表面をシリコーン類、ラウロイルリジン、ステアロイルグルタミン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、ポリエチレン、その他油剤等で被覆処理されていても良い。
【0027】
本発明の油性固形アイライナー組成物は、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、化粧品に一般的に用いられる各種の成分、例えば、揮発性炭化水素及び非揮発性液状油分以外の固形又は半固形状の油性成分、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、溶剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を適時配合することができる。
【0028】
本発明で用いることのできる上記油性成分としては、化粧品に一般的に用いられているものであれば、特に限定されず何れのものも使用できる。例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、α−オレフィンオリゴマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モクロウ、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、コメヌカロウ等のワックス類や、アクリルシリコーン・グラフト共重合体等のトリメチルシロキシケイ酸以外の有機シリコーン樹脂、エイコセン・ビニルピロリドン共重合体、ロジン系樹脂等の油溶性樹脂、ステアリン酸、パルミチン酸等の固形状脂肪酸等が挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、表中の数値は含有量(%)を表わす。実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0030】
(1)容器への充填性評価試験方法
所定の方法で調製したアイライナー組成物を約90℃の状態で内径20mm、高さ15mmの平底円筒形のガラス製瓶に底からの高さが10mmとなるまで充填を行い、そのまま20℃で1時間静置して組成物が固化した後の液面の状態を観察し、評価した。
微細な凹凸、凝集なし ;◎
微細な凹凸、凝集ごくわずかに有り ;○
微細な凹凸、凝集あり ;△
大きな凹凸、凝集あり ;×
【0031】
(2)官能評価試験方法
女性パネラー20名によって、目の際に塗布後の目元の印象度(ツヤと黒さ)、耐皮脂
性について下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
良いと答えた人数が17人以上 ;◎
良いと答えた人数が12〜16人;○
良いと答えた人数が8〜11人 ;△
良いと答えた人数が7人以下 ;×
(評価項目)
a.目元の印象度(ツヤ)
b.目元の印象度(黒さ)
c.耐皮脂性
【0032】
油性固形アイライナー組成物の調製方法
・製法:成分(1)〜(13)を混合して95℃に加熱溶解し、均一に混合した後、80℃まで冷却する。
・これに成分(15)〜(19)と、場合により(14)の成分を添加し、ホモミキサーにより撹拌する。その後、再度90℃まで加熱し、気密性のある容器へ充填し、目的の油性固形アイライナー組成物を得る。
【0033】
上記各組成物の成分組成、及び評価試験結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、本発明の実施例1〜4のものは、目元を艶やかに印象付ける高いツヤと深い黒の発色、耐皮脂性の強さ、及び容器への充填性の全ての点において、比較例1〜7のものより明らかに優れている。
【0036】
以下の成分組成において常法に従い水中油型睫用化粧料を調製し、上記の評価試験を行ったところ、何れも目元を印象付けるツヤや黒さ、またぬるま湯に対するクレンジング性、及び保存安定性の全ての点において優れた結果を示した。
【0037】
実施例5 (%)
・ポリエチレンワックス 残 量
・パラフィンワックス 5.0
・ミツロウ 1.0
・トリメチルシロキシケイ酸 15.0
(SR−1000、東芝GEシリコーン社製)
・キャンデリラレジン 0.5
(キャンデリラ樹脂E−1、日本ナチュラルプロダクツ社製)
・メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(SH−556、東レ・ダウコーニング社製)
・軽質イソパラフィン 65.0
(アイソパー、エクソン社製)
・デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
(KF995、信越化学工業社製)
・ミリスチン酸マグネシウム 0.5
・カーボンブラック 2.0
・疎水化処理無水ケイ酸 0.5
(AEROSIL R972、日本アエロジル社製)
・メチルパラベン 適 量
【0038】
実施例6 (%)
・ポリエチレンワックス 残 量
・パラフィンワックス 3.0
・マイクロクリスタリンワックス 2.0
・トリメチルシロキシケイ酸 30.0
(SR−1000、東芝GEシリコーン社製)
・パルミチン酸デキストリン 1.0
(レオパールKL、千葉製粉社製)
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル 1.0
(コスモール42、日清オイリオ社製)
・イソドデカン 50.0
(マルカゾールR、丸善石油化学社製)
・デカメチルシクロペンタシロキサン 0.5
(KF995、信越化学工業社製)
・水 0.1
・ステアリン酸亜鉛 3.0
・カーボンブラック 1.0
・銀被覆ガラスフレーク 1.0
(メタシャインME2025PS、日本板硝子社製)
・コンジョウ被覆雲母チタン 1.0
(レインボーフレーク、ダイヤ工業社製)
・ポリエチレンテレフタレート 1.0
・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末
・メチルパラベン 適 量
【0039】
実施例7 (%)
・ポリエチレンワックス 残 量
・パラフィンワックス 2.0
・マイクロクリスタリンワックス 2.0
・カルナウバワックス 1.0
・トリメチルシロキシケイ酸 35.0
(SR−1000、東芝GEシリコーン社製)
・キャンデリラレジン 3.0
(キャンデリラ樹脂E−1、日本ナチュラルプロダクツ社製)
・ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 2.0
(ベントン38、ナショナルレッド社製)
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル 1.0
(コスモール42、日清オイリオ社製)
・メチルフェニルポリシロキサン 1.0
(SH−556、東レ・ダウコーニング社製)
・パーフルオロアルキル
・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン 1.0
(FPD−6131、信越化学工業社製)
・イソドデカン 20.0
(マルカゾールR、丸善石油化学社製)
・軽質イソパラフィン 20.0
(アイソパー、エクソン社製)
・デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(KF995、信越化学工業社製)
・水 0.5
・ステアリン酸亜鉛 1.0
・ミリスチン酸マグネシウム 1.0
・ポリメチルシルセスキオキサン 1.0
(トスパール145A、モメンティブ社製)
・カーボンブラック 2.0
・黒酸化鉄 2.0
・赤色226号 0.01
・疎水化処理無水ケイ酸 1.0
(AEROSIL R972、日本アエロジル社製)
・エチルパラベン 適 量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(E);
(A)揮発性炭化水素 35〜70質量%
(B)非揮発性液状油分 0.1〜10質量%
(C)トリメチルシロキシケイ酸 15〜40質量%
(D)金属石鹸 0.01〜5質量%
(E)カーボンブラック 0.01〜5質量%
を含有し、水と揮発性シリコーンを実質的に含有しないことを特徴とする油性固形アイライナー組成物。
【請求項2】
更に成分(F)としてキャンデリラレジン0.1〜5質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の油性固形アイライナー組成物。

【公開番号】特開2010−70516(P2010−70516A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241866(P2008−241866)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】