説明

油性皮膚の処置の為の微生物の化粧的使用

本発明は、少なくとも1のプロバイオティック微生物及び/又はその画分及び/又はその代謝物の有効量を、油性肌又は油性傾向を有する肌及び関連する皮膚疾患を処置し及び/又は予防する為の剤として、化粧的に使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料製品及び/又は皮膚科学的製品、より特には油性肌のケアにおける使用の為の化粧料製品及び/又は皮膚科学的製品の分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、油性肌に関連する疾患を、特には皮脂分泌が減少される作用を通じて、処置し及び/又は防ぐ為に、新規活性剤を使用する方法を提案することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
皮脂は通常、表皮にとっての水和剤をなす。
【0004】
それは、皮脂腺の自然の産物であり、これは毛嚢脂腺ユニットの付属物をなす。それは、本質的に、脂質の多かれ少なかれ複雑な混合物である。通常、皮脂腺は、スクアレン、トリグリセリド、脂肪族ワックス、コレステロールワックス、及びもしかすると遊離コレステロールを産生する(Stewart, M.E., Semin Dermatol 11, 100−105(1992))。バクテリアのリパーゼの作用は、形成されたトリグリセリドのさまざまな部分を、遊離脂肪酸を与えるように転化する。
【0005】
脂腺細胞は、皮脂腺のコンピテント細胞を構成する。皮脂の産生は、この細胞の最終的な分化のプログラムに関連する。この分化の間、脂腺細胞の代謝的活動は本質的に、脂質生合成(脂質生成)に焦点が当てられ、及びより特には脂肪酸新生(neosynthesis)に焦点が当てられる。
【0006】
過度に脂漏性の油性皮膚は、皮脂の過剰な分泌及び排出により特徴付けられる。通常、前頭部について測定される200μg/cmより多い皮脂レベルが、そのような油性皮膚の特徴であると考えられる。
【0007】
また、そのような皮膚は、しばしば、落屑の欠損、ギラギラした顔色、及び厚い皮膚のきめ(a thick skin grain)、皮膚の欠陥又は美的異常であると感じられる症状とも関連する。
【0008】
その見栄えの悪い外見に加えて、それは合併症が起こりうる領域をなす。それは、たくさんの皮脂腺がある領域に影響し、そして、これらの特定の腺による皮脂産生のアンドロゲン的過剰刺激から主に結果する。このように、過剰脂漏症は、尋常性ざ瘡(acne vulgaris)病変の出現に寄与する。
【0009】
ざ瘡は、皮脂腺に富む皮膚(顔、肩の領域、腕及び間擦性領域)を冒す多因子性の病気である。それは、皮膚病の最も一般的な形である。
【0010】
その最も軽度の型において、この皮膚病は、ほぼすべてのヒトを冒す。その頻度は、思春期の間に最大であるが、それは、最初に7歳〜9歳の年齢で現れ、そして、最大で40歳超の齢で現れうる。さらに、それは男性及び女性の両方を冒す。
【0011】
その最も一般的な型のうち、面皰性ざ瘡(非炎症性ざ瘡、comedonal acne)(一般的に若年性ざ瘡として知られている)、丘疹膿疱性ざ瘡及び/又は結節性ざ瘡(papulopustular and/or nodular acne)、集簇性ざ瘡(acne conglobata)、及び“外因性”ざ瘡(炎症性外部因子に対する反応として現れる)が言及されうる。
【0012】
より特には、ざ瘡は皮脂腺の毛包の病気である。以下の5つの病原的因子が、ざ瘡の形成において決定的な役割を果たす:
遺伝的素因、
皮脂の過剰産生(脂漏症)、
アンドロゲン、
毛包角質化疾患(面皰発生:comedogenesis)、及び
バクテリアのコロニー形成及び炎症性因子。
【0013】
実際に、毛の毛包の漏斗部の最も深い部分に、通常より多い量のケラチノサイトの形成が観察される。これらの細胞は、分化して角細胞(horny cells)を与え、これは毛包管の内腔を次第にふさぐ。表面に面した漏斗先端(acro-infundibulum)の連続的落屑の生理学的プロセスが、該作られた角細胞の増加した付着により妨げられる。過角化の栓は、面疱を構成する、ざ瘡の最初の病変を形成する。最終的に、3つの主な局部的な微生物、Staphyloccus epidermidis、Malassezia furfur及びPropionibacterium acnesが、皮脂腺の毛包中に理想的な栄養環境を発見する。環境の変化及び微生物叢(ミクロフローラ)にとっての増殖条件における改善は、炎症促進性産物、例えばリパーゼ、プロテアーゼ及びインターロイキンの増加をもたらす。産生されたリパーゼはトリグリセリドを解離して遊離脂肪酸を与え、これが、毛包上皮にとっての刺激物として作用し、その結果過剰増殖を刺激すると認められる。顆粒球が引きつけられ、それにより炎症プロセスを増強し、そして該顆粒球が毛包の内腔へと移動し、そこでそれらは最終的に毛包の壁の酵素的破壊に寄与する。
【0014】
観察される、貯留症状(retentional manifestations)として知られる臨床的症状は、開いた又は閉じた面疱タイプ(小嚢胞、微小面疱、稗粒腫(whitehead))でありうる。貯留病変に由来する炎症性病変は、硬化した結節、膿瘍、瘻、瘢痕化を伴う丘疹性又は膿疱性タイプでありうる。
【0015】
すなわち、ざ瘡を有する個体又はざ瘡傾向の個体は最も一般的には、油性皮膚、油性傾向を有する皮膚、又は混合肌(combination skin)を有する。彼らの皮膚は、最も一般的に、てかてかしており、とりわけ顔の、多くの欠陥(硬化した結節、膿瘍、瘻、瘢痕化を伴う、小嚢胞、微小面疱、稗粒腫、丘疹、膿疱)を有する。該欠陥は、くすんだ、濁った皮膚、色素異常症、赤み、又は、乾燥皮膚の斑を伴う荒れた皮膚などのタイプでもありうる。皮膚の過角化が観察され、顔では毛穴が広げられ、しばしば荒れている皮膚を伴い、厚い角質層を伴い、斑における乾燥皮膚の領域の外見を与える(表皮萎縮及びわずかな落屑)。
【0016】
結果として、過剰脂漏症は明らかに、関連する皮膚疾患の発現を防ぐ為に、有効に制御することが重要であるとみえる生物学的現象である。
【0017】
過剰脂漏症と闘うために、種々の化合物がすでに提案されており、それは、皮膚に局所的に施与されたときに、脂腺細胞における脂質生成を減少することができ、そして従って皮脂産生を制限することができる。
【0018】
残念ながら、現在利用可能な処置は、完全には満足できるものでなく、特にはそれらがしばしば伴う副作用、例えばレチノイド及びベンゾイルパーオキシドなどのいくつかの局所的剤(topical agents)による刺激的副作用など又は、胃腸の副作用(経口的な抗生物質的処置)さえなど、の観点から完全には満足できるものでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
それ故に、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚に対して有益な化粧的又は治療的作用を発揮することができる新規活性剤を有することのニーズがある。
【0020】
また、油性皮膚のエコフローラ(ecoflora)を再構築することを可能にする活性剤を有するニーズもある。
【0021】
また、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚を処置し及び/又は予防する為に有効であり且つ使用するのに好ましく且つ快適である新規組成物を有すること、すなわち処置によるコンプライアンスを促進する、のニーズも存在する。
【0022】
また、油性皮膚疾患、特には例えば脂漏性皮膚炎及び特にはざ瘡など、を処置し及び/又は予防することを可能とする新規活性剤を有するニーズも存在する。
【0023】
本発明の目的はこれらのニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
すなわち、第一の主題に従い、本発明は、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する疾患を処置し及び/又は予防する為の活性剤として、有効量の少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus sp.及び/又はBifidobacterium sp.属、その画分及び/又はその代謝物を化粧的に使用する方法に関する。
【0025】
本発明者らは、実際に、そのような微生物が、油性皮膚及び/又は油性傾向を有する皮膚に関連する疾患の処置及び/又は予防にとって有効であると見られたことに気付いた。
【0026】
本発明の目的の為に、語「皮膚」は、顔又はからだの皮膚を意味することが意図される。
【0027】
本発明の目的の為に、語「有効量」は、期待される効果を得るのに十分な量を意味することが意図される。
【0028】
本発明の目的の為に、語「予防する」は、考慮下にある疾患の症状の発生のリスクを減少する事実を意味することが意図される。
【0029】
本発明者らの知る限りで、プロバイオティック微生物の、特にはLactobacillus sp.及び/又はBifidobacterium sp.属の、その画分及び/又はその代謝物のこの有効性は、記載されていない。
【0030】
皮膚のケアの為の微生物、特にはプロバイオティック微生物の使用はすでに記載されている。
【0031】
すなわち、文献国際公開第2006/07922号パンフレットは、活性剤として、Lactobacillus paracasei又はcasei微生物とBifidobacterium longum又はBifidobacterium lactis微生物との組合せを用いる、敏感な肌の処置に専用の組成物を記載する。
【0032】
仏国特許出願公開第2 872 047号明細書は、その一部について、プロバイオティック微生物と二価無機カチオンとの組合せを記載する。
【0033】
仏国特許出願公開第2 889 057号明細書に関して、それは、ポリ不飽和脂肪酸及び/又はポリ不飽和脂肪酸エステルと一緒にプロバイオティック微生物を含む局所的組成物を開示し、それは、敏感な皮膚の処置において役立つ。
【0034】
加えて、国際公開第WO02/28402号パンフレットは、皮膚の過敏な反応、例えば炎症反応及びアレルギー反応など、を制御する為にプロバイオティック微生物を使用する方法を記載する。
【0035】
最後に、国際公開第WO03/070260号パンフレットは、皮膚の光防護の為のプロバイオティック微生物の使用に関する。
【0036】
従って、これらの文献のいずれもが、本発明に従うプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、及び特にはLactobacillus paracasei ST11株、それらの画分及び/又はそれらの代謝物の、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患の処置及び/又は予防において役立つ活性剤としての使用を記載していない。
【0037】
また、本発明の主題は、有効量の本発明に従う少なくとも1つのプロバイオティック微生物を、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属を、特にはLactobacillus paracasei ST11株を、それらの画分及び/又はそれらの代謝物を、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚に関連する脂漏性皮膚炎を処置し及び/又は予防する為の活性剤として、化粧的に、好ましくは局所的に、使用する方法である。
【0038】
また、本発明は、上記言及された微生物を、油性皮膚及び/又は油性傾向を有する皮膚の病変及び/又は欠陥、特には開いた又は閉じた面皰タイプの貯留病変(微小嚢胞(microcysts)、微小面疱、稗粒腫(whiteheads))及び/又は、適宜、乾燥皮膚の斑を伴う、くすんだ、ギラギラした又は濁った皮膚、色素異常症、赤味、又は荒れた皮膚などのタイプの欠陥、を処置し及び/又は予防する為の活性剤として化粧的に使用する方法にも向けられる。
【0039】
1つの特定の実施態様に従い、本発明の主題は、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する疾患、例えば皮膚炎、特には脂漏性タイプの皮膚炎、及び特にはざ瘡など、を処置し及び/又は予防する為の組成物、特には皮膚科学的組成物の調製の為に、上記言及された微生物を使用する方法である。
【0040】
本発明は、特に、ざ瘡の、特には面皰性ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡及び/又は結節性ざ瘡、集簇性ざ瘡及び外因性ざ瘡の処置又は予防における使用の為の組成物、特には皮膚科学的組成物の調製の為のそのような微生物の使用に向けられる。
【0041】
そのような皮膚炎の型は、菌及び/又は酵母の、及び特にはMalassezia属の酵母の過度の増殖により引き起こされた良性状態の結果であり得る。
【0042】
今、実施例において提示されたデータから明らかなとおり、本発明者らは、特に、表皮の抗菌的防御を促進し及び強化することができる驚くほど多数のタンパク質の合成を刺激する、本発明に従う微生物の能力を特徴付けた。
【0043】
特に、本発明者らは、本発明に従うLactobacillus paracasei属の微生物が、表皮の抗菌的防御を促進し及び強化することができる驚くほど多数のタンパク質の合成を刺激することを可能とすることを実証した。
【0044】
特に、本発明者らは、病原性微生物による過度のコロニー形成に対する表皮の防御を強化することができる、表皮の種々の抗菌性防御タンパク質、例えばリボヌクレアーゼ7(Unirefアクセション番号 Q9H1E1)、ダームシジン(P81605)、“プロラクチン誘発性タンパク質”(P12273)、SlOO A8及びA9タンパク質(P05109及びP06702)、及びヒストンタンパク質(Q5R2W0)など、の発現を刺激することを、そのような微生物が可能とすることを実証した。
【発明の効果】
【0045】
今、上記言及されたタンパク質のこの刺激は、油性皮膚及び/又は油性傾向を有する皮膚に関連した皮膚疾患に関与する微生物Malassezia furfur及びPropionibacterium acnesによる表皮のコロニー形成を有効に妨害することの利点を有する。本発明に従う該微生物により得られるこの減少は、それ故に、均衡のとれたエコフローラの再確立に寄与し、結果として皮膚の炎症状態の減少及び脂漏症の制御を伴う。結果として、該欠陥が減少され、顔色がより明るく且つより均一になり、色素異常症の領域又は乾燥の領域を有さない。
【0046】
もし、該微生物が、本発明に従い用いられる微生物により誘発される、その表皮防御機構刺激特性と、角質デスモソームタンパク質DSGl (Q02413)、DSC1a (Q9HB01)、Cdsn (Q15517)の断片の増加により証明されるような、落屑現象に関与するプロテアーゼ(KLK7 (Ref. P49862)、KLK5 (Q9Y337)、cathepsin L2 (O60911))の合成を刺激する特性とを兼ね備えるならば、本発明に従う処置は、ざ瘡及び顔の欠陥に対していっそう効果的であると分かりうる。面疱の角栓(keratin plug)が次に、これらのタンパク質溶解性酵素の作用を通じて速やかに排除されることができ、バクテリアの発達及び続く炎症にとって適した閉鎖環境の形成を防ぐとみえる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
また、本発明は、脂漏症を制御する為の組成物、特には皮膚科学的組成物の調製の為に、本発明に従う微生物を使用する方法にも向けられる。
【0048】
また、本発明は、有効量の本発明に従う少なくとも1つのプロバイオティック微生物の、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属の、及び、特にはLactobacillus paracasei ST11株の、それらの画分及び/又はそれらの代謝物の、皮膚ホメオスタシスを維持し及び/又は回復する為の活性剤としての化粧的使用方法にも向けられる。
【0049】
本発明に従う使用方法は、本発明に従う少なくとも1の第一のプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、特にはLactobacillus paracasei ST11株、それらの画分及び/又はそれらの代謝物を、該第一の微生物と異なる少なくとも1の第二の補助的微生物、特にはプロバイオティック微生物、の有効量と一緒に使用する方法も含みうる。
【0050】
本発明に従う使用方法は、本発明に従う少なくとも1の第一のプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、特にはLactobacillus paracasei ST11株、それらの画分及び/又はそれらの代謝物を、有効量の、過度の皮脂分泌を減少し及び/又は修正する為の少なくとも1つの活性剤、例えば抗脂漏性活性剤、特には本明細書以下で記載されるとおりの活性剤、を一緒に使用する方法も含みうる。
【0051】
その局面の他に従い、本発明は、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する美的障害を処置し及び/又は予防するために役立つ化粧料組成物及び/又は皮膚科学的組成物であって、生理学的に許容できるキャリア中に、本発明に従う少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、及び特にはLactobacillus paracasei ST11株、それらの画分及び/又はそれらの代謝物を、有効量の、少なくとも1つの抗脂漏性活性剤、特には本明細書以下で記載されるとおりの抗脂漏性活性剤と一緒に含む、前記組成物に関する。
【0052】
その局面の他に従い、本発明の対象は、個体における油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する疾患、特には美的疾患、を処置し及び/又は予防する為の方法、特には化粧的方法であって、該個体に、本発明に従う少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、及び特には、Lactobacillus paracasei ST11株、それらの画分及び/又はそれらの代謝物を施与する少なくとも1つのステップを含む前記方法である。
【0053】
本発明の一つの変形の実施態様に従い、本発明に従う微生物は経口的に用いられうる。
【0054】
本発明の他の変形の実施態様に従い、本発明に従う微生物は局所的に用いられうる。
【0055】
しかしながら、局所的製品は、定義により、処置されるべき領域で局所的に作用し(該領域でそれらは不均一に分布されてもよい)且つ、注意深く且つ繰り返しの施与を要求する。それらは、いくつかの場合において、皮膚に対する副反応に、又は不快感さえに、関与もしうる。
【0056】
対照的に、経口投与は、迅速且つ比較的非制限的な投与様式により、全体の皮膚に対して、その深い層(真皮、皮下組織)において、全体的に作用する利点を有する。特には、該代謝物及び他の活性栄養成分が血流により皮膚マトリックス内に特に分布される。
【0057】
また、経口投与又はパッチを介した施与も、迅速且つ比較的非制限的な施与様式の利点を有する。
【0058】
一つの好ましい実施態様に従い、本発明に従う化粧的使用方法はそれ故に経口的に実施され、そして、本発明に従う方法は、前記有効量の、本発明に従う考慮の下にある微生物又はその画分の経口投与を含む。
【0059】
本明細書以下において明示されるとおり、該微生物を含有する組成物は、選ばれる施与様式と適合するように処方される。
【0060】
微生物
【0061】
本発明に適した微生物は、プロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属のプロバイオティック微生物である。
【0062】
本発明の目的の為に、語「プロバイオティック微生物」は、適切な量で消費されたときに、その宿主の健康に対して良い影響を及ぼし("Joint FAO/WHO Expert Consultation on Evaluation of Health and Nutritional Properties of Probiotic in Food Including Powder Milk with Live Lactic Acid Bacteria, 6 October 2001")、及び特には、腸の微生物バランスを改善することができる、生きている微生物を意味することが意図される。
【0063】
本発明の一つの変形に従い、この微生物は、分離された形で用いられ、すなわち該微生物の起源環境中で該微生物と関連しうる1又はそれより多い化合物と混合されていない。
【0064】
本発明の目的の為に、語「代謝物」は、本発明に従う考慮下にある微生物の代謝に由来し、及び、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚の処置において有効でもある、任意の物質を意味する。
【0065】
本発明の目的の為に、語「画分」は、より特には、該全体微生物との類似により、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚の処置において有効である、該微生物の画分を意味する。
【0066】
本発明に適した微生物は、特には、子嚢菌、例えばSaccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Torulaspora、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Candida、Pichia、Aspergillus及びPenicilliumなど、Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus及びLactobacillus属のバクテリア、並びにこれらの混合物から選ばれうる。
【0067】
本発明に最も特に適した子嚢菌として、特に、Yarrowia lipolitica及びKluyveromyces lactis、及び同様にSaccharomyces cereviseae、Torulaspora、Schizosaccharomyces pombe、Candida及びPichiaが言及されうる。
【0068】
本発明に適したプロバイオティック微生物の具体的な例は、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium pseudocatenulatum、Lactobacillus acidophilus (NCFB 1748,); Lactobacillus amylovorus、Lactobacillus casei (Shirota)、Lactobacillus rhamnosus (株 GG)、Lactobacillus brevis、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus delbrueckii (亜種 bulgaricus、lactis)、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus gallinarum、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii (CNCM I-1225,)、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus casei subsp. casei、Lactobacillus sake、Lactococcus lactis、Enterococcus (faecalis、faecium)、Lactococcus lactis (亜種 lactis又はcremoris)、Leuconostoc mesenteroides subsp dextranicum、Pediococcus acidilactici、Sporolactobacillus inulinus、Streptococcus salvarius subsp. thermophilus、Streptococcus thermophilus、Staphylococccus carnosus、Staphylococcus xylosus、Saccharomyces (cerevisiaeあるいはboulardii)、Bacillus (cereus var toyo又はsubtilis)、Bacillus coagulans、Bacillus licheniformis、Escherichia coli strain nissle、Propionibacterium freudenreichii、及びそれらの混合物である。
【0069】
より特には、それらは、乳酸バクテリア、例えば、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacteriumなど、の群に由来するプロバイオティック微生物でありうる。
【0070】
これらの乳酸バクテリアの説明のために、より特には、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus casei又はBifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium pseudocatenulatum、及びそれらの混合物が言及されうる。
【0071】
最も特に適した種は、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus paracasei、Bifidobacterium adolescentis及びBifidobacterium longum(それぞれ、ブタペスト条約に従い、パスツール研究所(28 rue du Docteur Roux, F-75024 Paris cedex 15)に、30/06/92、12/01/99、15/04/99及び15/04/99に、以下の指定の下で:CNCM I-1225、CNCM I-2116、CNCM I-2168及びCNCM I-2170、寄託されている)、及びBifidobacterium lactis (Bb 12) (ATCC27536)又はBifidobacterium longum (BB536)属である。Bifidobacterium lactis (ATCC27536)株は、Hansen (Chr. Hansen A/S, 10-12 Boege AlIe, P.O. Box 407, DK- 2970 Hoersholm, Denmark)から得られうる。
【0072】
一つの実施態様に従い、本発明に適したプロバイオティック微生物は、特には、Lactobacillus sp.属の微生物でありうる。
【0073】
好ましくは、本発明に適したLactobacillus sp.属の微生物は、種Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus paracasei、及びLactobacillus casei、並びにこれらの混合物から選ばれうる。
【0074】
一つの好ましい実施態様に従い、本発明に適した微生物はLactobacillus paracaseiでありうる。
【0075】
本発明に適した微生物は、特には、ブタペスト条約に従いパスツール研究所(28 rue du Docteur Roux, F-75024 Paris cedex 15)に、12/01/99に、指定CNCM I-2116下で寄託されたLactobacillus paracasei STll株、及び/又はその画分及び/又はその代謝物でありうる。
【0076】
一つの変形の実施態様に従い、本発明は、上記で規定されたとおりの第一のプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属の微生物、に加えて、該第一の微生物と異なる、少なくとも有効量の少なくとも1の第二の微生物、特にはプロバイオティックタイプの微生物、及び/又はその画分及び/又はその代謝物を使用する方法に関する。
【0077】
この第二の微生物は、特には、子嚢菌、例えばSaccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Torulaspora、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Candida、Pichia、Aspergillus及びPenicilliumなど、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus、Lactobacillus又はBifidobacterium属のバクテリア、及びそれらの混合物から選ばれうる。
【0078】
本発明に最も特に適した子嚢菌として、特にYarrowia lipolitica及びKluyveromyces lactis、及び同様にSaccharomyces cereviseae、Torulaspora、Schizosaccharomyces pombe、Candida及びPichiaが言及されうる。
【0079】
プロバイオティック微生物の具体的な例は、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus delbruckii subsp. lactis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus (Lactobacillus GG)、Lactobacillus sake、Lactococcus lactis、Streptococcus thermophilus、Staphylococccus carnosus、Staphylococcus xylosus、及びそれらの混合物である。
【0080】
一つの実施態様に従い、以下のバクテリア及び酵母の属が優先的に第二の微生物として用いられる:
−乳酸バクテリア、これは糖の発酵により乳酸を産生する。それらの形態によって、それらは2つの群に分けられる:
Lactobacillus種: Lactobacillus acidophilus、amylovorus、casei、rhamnosus、brevis、crispatus、delbrueckii (subsp bulgaricus、lactis)、fermentum、helveticus、gallinarum、gasseri、johnsonii、plantarum、reuteri、salivarius、alimentarius、curvatus、casei subsp. casei、sake、及び
Gocci: Enterococcus (faecalis、faecium)、Lactococcus lactis (subsp lactis又はcremoris)、Leuconostoc mesenteroides subsp dextranicum、Pediococcus acidilactici、Sporolactobacillus inulinus、Streptococcus salvarius subsp. thermophilus、Streptococcus thermophilus、Staphylococccus carnosus、Staphylococcus xylosus、
−ビフィドバクテリア又はBifidobacterium種: Bifidobacterium adolescentis、animalis、bifidum、breve、lactis、longum、infantis、pseudocatenulatum、
−酵母: Saccharomyces (cerevisiae又はboulardii)、
−他の胞子形成バクテリア: Bacillus (cereus var toyo又はsubtilis)、Bacillus coagulans、Bacillus licheniformis、Escherichia coli strain nissle、Propionibacterium freudenreichii、
−及びそれらの混合物。
【0081】
より特には、該第二の微生物は、該第一の微生物についてのプロバイオティック微生物の具体的な例として、上記で提示されたプロバイオティック微生物の一つでありうる。
【0082】
最も特に適した種は、Lactobacillus johnsonii、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium longum及びBifidobacterium lactis NCC 2818(夫々ブタペスト条約に従いパスツール研究所(28 rue du Docteur Roux, F-75024 Paris cedex 15)に30/06/92、12/01/99、15/04/99、15/04/99及び07/06/05に、以下の指定の下で:CNCM I-1225、CNCM I-2168、CNCM I-2170及びCNCM I-3446、寄託された)、及びBifidobacterium longum (BB536)属、及びそれらの混合物である。
【0083】
一つの特定の実施態様に従い、プロバイオティック微生物は、Lactobacillus species属のもの、特にはLactobacillus johnsonii種、それらの画分及び/又はそれらの代謝物である。
【0084】
それは特には、Lactobacillus johnsonii種(それぞれブタペスト条約に従いパスツール研究所(28 rue du Docteur Roux, F-75024 Paris cedex 15)に30/06/92に、指定CNCM I-1225の下で寄託された)でありうる。
【0085】
本発明の微生物は、組成物中に、該組成物の全重量に対して、少なくとも0.0001%(乾燥重量によって表される)の割合で、特には0.0001重量%〜20重量%の割合で、より特には0.001重量%〜15重量%の割合で、特には0.01重量%〜10重量%、特には0.1重量%〜2重量%の割合で処方されうる。
【0086】
一般に、本発明に従う組成物及び特には経口で投与されることが意図される組成物は、生きている微生物について、キャリアの1グラム当たり10〜1015cfu/g、特には10〜1015cfu/g、より特には10〜1012cfu/gの微生物、又は不活性若しくは死んだ微生物について又は微生物の画分について又は産生された代謝物について計算された等価な用量で含みうる。
【0087】
経口で投与される必要がある該組成物の特定の場合、それぞれの微生物及び/又は対応する画分及び/又は代謝物の濃度は、5×10〜1013cfu/d、特には10〜1011cfu/dの投与量(微生物当量として表される)に相当するように調節されうる。
【0088】
本発明に従う局所的施与の為の組成物は一般に、10〜1012cfu/g、特には10〜1010cfu/g、より特には10〜10cfu/gの微生物を含みうる。
【0089】
組成物が代謝物を含むとき、該組成物中の代謝物の含有量は、1グラムのキャリア当たり、10〜1015cfu、特には10〜1015cfu、より特には10〜1012cfuの生きている微生物により産生されることができる内容物(contents)に実質的に相当する。
【0090】
該微生物は、本発明に従う組成物中に、生きている、準活性な若しくは不活性な、又は死んだ形で含まれうる。
【0091】
一つの特定の実施態様に従い、これらの微生物は、生きている形で用いられる。
【0092】
それらは、細胞成分画分の形で又は代謝物の形でも含まれうる。微生物、代謝物又は画分は、凍結乾燥された粉の形で、培養上清の形で、及び/又は必要に応じて、濃厚にされた形で導入されてもよい。
【0093】
一つの変形に従い、該組成物は、二価無機カチオンも含みうる。
【0094】
該局所的組成物の特定の場合、これらの微生物を不活性な形で又は死んだ形さえで用いることが有利でありうる。
【0095】
本発明に従う組成物は、選ばれた投与方法にとって通常利用可能である製剤形態(galenical forms)のいずれかでありうる。
【0096】
補助的活性剤
【0097】
考慮下にある施与方法と関係なく、本発明の微生物は有利に、少なくとも1つの他の活性剤と一緒にされうる。
【0098】
すなわち、本発明に従う局所的又は経口的組成物は、少なくとも1つの抗脂漏性活性剤も含みうる。
【0099】
そのような処方は、本発明の微生物の有益な効果を有利に増幅しうる。
【0100】
語「抗脂漏活性剤」は、皮脂腺活性を制御することができる化合物を意味することが意図される。
【0101】
本発明に適した抗脂漏活性剤は特には、レチノイン酸、ベンゾイルパーオキシド、硫黄、ビタミンB6(又はピリドキシン)、塩化セレン、シーフェンネル(sea fennel);シナモン、茶、及びオクタノイルグリシンの混合物、例えばSepicontrol A5 TEA(商標)、Seppicから;シナモン、サルコシン及びオクタノイルグリシンの混合物、特にはSEPPIC社により商品名Sepicontrol A5(商標)下で販売されるもの;亜鉛塩、例えばグルコン酸亜鉛、亜鉛ピロリドンカルボキシレート(又はピドロ酸亜鉛)、乳酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、システイン酸亜鉛;銅誘導体、及び特にはピドロ酸銅(copper pidolate)、例えばSolabiaからのCuivridone(商標)など;種Arnica montana、Cinchona succirubra、Eugenia caryophyllata、Humulus lupulus、Hypericum perforatum、Mentha piperita、Rosmarinus officinalis、Salvia officinalis及びThymus vulgarisの植物の抽出物、すべて例えばMaruzen社により販売されている;シモツケソウ(Spiraea ulmaria)の抽出物、例えばSilab社により名称Sebonormine(商標)下で販売される製品など;藻類Laminaria saccharinaの抽出物、例えばBiotechmarine社により名称Phlorogine(商標)下で販売される製品など;サラダバーネット根(Sanguisorba officinalis/Poterium officinale)の抽出物、ショウガ根茎(Zingiber officinalis)及び桂皮(Cinnamomum cassia)の混合物、例えばSolabia社により名称Sebustop(商標)下で販売される製品など;アマニ抽出物、例えばLucas Meyer社により名称Linumine(商標)下で販売される製品など;Phellodendron抽出物、例えばMaruzen社により名称Phellodendron extract BG(商標)下で又はIchimaru Pharcos社により名称Oubaku liquid B下で販売されるものなど;アルガンオイル、Serenoa serrulata(ソー・パルメット)抽出物及びゴマ種子抽出物の混合物、例えばPentapharm社により名称Regu SEB(商標)下で販売される製品など;willowherb、Terminalia chebula、nasturtiumの抽出物及び生物学的に利用可能な亜鉛(微細藻類)の混合物、例えばGreen Tech社により名称Seborilys(商標)下で販売される製品など;Pygeum afrianumの抽出物、例えばEuromed社により名称Pygeum afrianum sterolic lipid extract(商標)下で販売される製品など;Serenoa serrulataの抽出物、例えばActives International社により名称Viapure Sabal(商標)下で販売されるもの又はEuromed社により販売されるものなど;plantainの抽出物、Berberis aquifoliumの抽出物及びサリチル酸ナトリウムの混合物、例えばRahn社により名称Seboclear(商標)下で販売される製品など;クローブ抽出物、例えばMaruzen社により名称Clove extract Powder(商標)下で販売される製品など;アルガンオイル、例えばLaboratoires Serobiologiquesにより名称Lipofructyl(商標)下で販売される製品など;乳のタンパク質のろ過物、例えばSederma社により名称Normaseb(商標)下で販売される製品など;藻類Laminariaの抽出物、例えばBiotechmarine社により名称Laminarghane(商標)下で販売される製品など;藻類Laminaria digitataのオリゴ糖、例えばCodif社により名称Phycosaccharide AC(商標)下で販売される製品など;甘蔗糖抽出物、例えばSabinsa社により名称Policosanol(商標)下で販売される製品など;スルホン化シェールオイル、例えばIchthyol社により名称Ichthyol Pale(商標)下で販売される製品など;European meadowsweet(Spiraea ulmaria)の抽出物、例えばLibiol社により名称Cytobiol(商標) Ulmaire下で販売される製品など;セバシン酸、特にはSederma社による名称Sebosoft(商標)下でポリアクリル酸ナトリウムゲルの形で販売されるもの;コンニャク塊茎から抽出されそしてアルキルスルホネート鎖を修飾されたグルコマンナン、例えばArch Chemical社により名称Biopol Beta(商標)下で販売される製品など;Sophora angustifoliaの抽出物、例えばBioland社により名称Sophora powder(商標)又はSophora extract(商標)下で販売されるものなど;Cinchona succirubra barkの抽出物、例えばAlban Muller社により名称Red bark HS(商標)下で販売される製品など;Quillaja saponariaの抽出物、例えばAlban Muller社により名称Panama wood HS(商標)下で販売される製品など;ウンデシレン鎖にグラフト化されたグリシン、例えばSeppic社により名称Lipacide UG OR(商標)下で販売される製品など;オレアノール酸及びノルジヒドログアイヤレチック酸の混合物、例えばSederma社により名称AC.Net(商標)下でゲルの形で販売される製品など;フタルイミドパーオキシヘキサン酸;Sasol社により名称Cosmacol(商標) ECI下で販売されるクエン酸トリ(C12−C13)アルキル;Sasol社により名称Cosmacol(商標) ECL下で販売されるクエン酸トリ(C14−C15)アルキル;10−ヒドロキシデカン酸、及び特には10−ヒドロキシデカン酸、セバシン酸、及び1,10−デカンジオールの混合物、例えばVincience社により名称Acnacidol(商標) BG下で販売される製品など;並びにそれらの混合物から選ばれうる。
【0102】
抗脂漏活性剤は、例えば、該組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、優先的には0.5〜3重量%の含有量で存在する。
【0103】
この抗脂漏活性剤に加えて、本発明に従う組成物は、一般的に用いられ及び/又は容認されるいくつかの他の達成剤も含みうる。
【0104】
慣用的に用いられる活性剤として、植物由来の、ビタミンB3、B5、B6、B8、C、D、E、又はPP、ナイアシン、カロテノイド、ポリフェノール、ミネラル、及び微量元素、フィトエストロゲン、タンパク質及びアミノ酸、モノサッカライド及びポリサッカライド、アミノ糖、フィトステロール及びトリテルペンアルコールが言及されうる。
【0105】
特に用いられる前記ミネラル及び微量元素は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ヨウ素、マンガン、セレニウム、及びクロム(III)である。
【0106】
前記ポリフェノールのうち、グレープから、茶から、オリーブから、ココアから、コーヒーから、リンゴから、ブルーベリーから、エルダーベリーから、ストロベリーから、クランベリーから、及びタマネギからのポリフェノールもまた特に選ばれる。好ましくは、フィトエストロゲンのうち、遊離の形にある又はグリコシル化された形にあるイソフラボン、例えばゲニスタイン、ダイゼイン、グリシテイン又はリグナンなど、特には亜麻由来のもの及びSchizandra chinensis由来のものが選ばれる。
【0107】
前記アミノ酸又はそれらを含むペプチド及びタンパク質、例えばタウリン、スレオニン、システイン、トリプトファン、又はメチオニンなど。前記脂質は、好ましくはモノ不飽和及びポリ不飽和脂肪酸を含む油、例えばオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ステアリドン酸、長鎖魚オメガ−3脂肪酸、例えばEPA及びDHAなど、又は植物若しくは動物から得られる複合化脂肪酸、例えばCLA(複合化リノール酸)など、の群に属する。
【0108】
特に、ビタミンC及びE、及び少なくとも1つのカロテノイド、特にはβ−カロテン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン及びルテインから選ばれるカロテノイド、フラボノイド、例えばカテキン、ヘスペリジン、プロアントシアニジン及びアントシアニンなど、リポ酸及びコエンザイムQ10を含む抗酸化剤複合物が使用されうる。
【0109】
該補助的活性剤は、少なくとも1つのプレバイオティクス(prebiotic)又はプレバイオティクスの混合物でもありうる。より特には、これらのプレバイオティクスはオリゴ糖、例えば、グルコース、ガラクトース、キシロース、マルトース、スクロース、ラクトース、デンプン、キシラン、ヘミセルロース又はイヌリン、アカシアタイプのゴム、又はそれらの混合物から作られるオリゴ糖から選ばれうる。
【0110】
より特には、該オリゴ糖は少なくとも1つのフルクトオリゴ糖を含む。より特には、このプレバイオティクスはフルクトオリゴ糖及びイヌリンの混合物を含みうる。
【0111】
局所的な製剤形態(galenical form)において、より特には、親水的な活性剤として、タンパク質又はタンパク質加水分解物、アミノ酸、ポリオール、特にはC〜C10のポリオール、例えばグリセロール、ソルビトール、ブチレングリコール及びポリエチレングリコールなど、尿素、アラントイン、糖及び糖誘導体、水溶性ビタミン、デンプン、バクテリア抽出物又は植物抽出物、例えばアロエベラからのそれらなど、が使用されうる。
【0112】
前記親油性活性剤に関して、レチノール(ビタミンA)及びその誘導体、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、セラミド、精油及び不けん化物質(トコトリエノール、セサミン、γ−オリザノール、フィトステロール、スクアレン、ワックス及びテルペン)が使用されうる。
【0113】
該製品と、落屑を促進する為の活性剤と、例えば化粧料中の参照水和性活性剤(the reference hydrating active agents):グリセロール、ヒアルロン酸、尿素及びその誘導体などと、及び落屑及び剥離を促進する為の活性剤とも、例えばキレート剤、ジャスモン酸及びその誘導体、特にはER2412、還元剤、スルホン酸誘導体(sulfonic derivatives)及び特にはHepes、アミノ酸、AHA及びBHA、最も特にはグリコール酸及びER195、及びいくつかの界面活性剤など、とも有利に一緒にすることが可能である。
【0114】
製剤形態(galenical form)
【0115】
本発明に従う組成物は、選ばれる投与方法にとって通常利用可能な任意の製剤形態にありうる。
【0116】
該キャリアは、考慮下の組成物のタイプによって多様な性質のものでありうる。局所的施与のための組成物は水性、水性溶液、水性−アルコール性溶液又は油性溶液、溶液タイプの分散物又はローションタイプ若しくはセラムタイプの分散物、乳液タイプの液体又は半液体の粘稠性(consistency)のエマルジョン、クリームタイプの懸濁物又はエマルジョン、水性ゲル又は無水ゲル、イオン性タイプ及び/又は非イオン性タイプのミクロエマルジョン、ミクロカプセル、ミクロパーティクル、又は小胞分散物でありうる。
【0117】
これらの組成物は通常の方法に従い調製される。
【0118】
これらの組成物は特には、顔のため、手のため、足のため、大きな解剖学的しわのため又は体のためのクレンジングクリーム、ピーリングクリーム、処理クリーム又はケアクリーム(例えばデイクリーム(day creams)、ナイトクリーム、メイクアップ除去クリーム、ファンデーションクリーム、アンチサンクリーム(antisun creams))、メイクアップ製品、例えばフルイド(fluid)ファンデーション、メイクアップ除去ミルク、保護の又はケアのボディミルク、日焼け後ミルク、スキンケアローション、ジェル又はムース、例えばクレンジングローション又は殺菌するローソン、アンチサンローション(antisun lotions)、人工タンニングローション、又は入浴組成物などを構成しうる。
【0119】
本発明に従う組成物はまた、クレンジングソープ又はクレンジングバーを構成する固形調製物(solid preparations)からなりうる。
【0120】
本発明の組成物がエマルジョンである場合、脂肪相の割合は、該組成物の全重量に対し、5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%でありうる。エマルジョンの形の該組成物において用いられる油、乳化剤及び共乳化剤(coemulsifiers)は、化粧品及び/又は皮膚科学の分野において慣用的に用いられるものから選択される。該乳化剤及び共乳化剤は、該組成物中に、該組成物の全重量に対し0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の割合で存在しうる。
【0121】
本発明の組成物が油状のゲル又は溶液である場合、該脂肪相は、該組成物の全重量の90%超を表しうる。
【0122】
既知の様式において、局所的施与のための製剤形態は、化粧料の分野、医薬分野及び/又は皮膚科学分野において通常用いられる補助剤(adjuvants)、例えば親水性若しくは親油性ゲル化剤、親水性若しくは親油性活性剤、保存料、抗酸化剤、溶剤、香料、フィラー、スクリーン(screens)、殺バクテリア剤、匂い吸収剤及び着色材など、も含みうる。これらの種々の補助剤の量は、考慮下の分野において慣用的に用いられるものであり、そして、例えば該組成物の全重量の0.01〜20%である。それらの性質に依存して、これらの補助剤は脂肪相中に及び/又は水性相中に導入されうる。
【0123】
本発明において用いられうる油脂として、鉱油、例えば水素化ポリイソブテン及びワセリンなど、植物油、例えばシアバターの液体画分、ヒマワリ油及び杏仁油など、動物油、例えばパーヒドロスクアレンなど、合成油、特にはPurcellin油、イソプロピルミリステート及びエチルヘキシルパルミテート、不飽和脂肪酸及びフッ化油、例えばパーフルオロポリエーテル、が言及されうる。脂肪アルコール、脂肪酸、例えばステアリン酸及び例えばワックス、特にはパラフィンワックス、カルナウバワックス及びビーズワックス、もまた使用されうる。シリコーン化合物、例えばシリコーン油及び例えばシクロメチコン及びジメチコンなど、及びシリコーンワックス、樹脂及びガムも用いられうる。
【0124】
本発明において用いられうる乳化剤として、例えば、グリセリルステアレート、ポリソルベート60、Henkel社により名称Sinnowax AO(商標)下で販売される、33モルのエチレンオキシドを有するセチルステアリルアルコール/オキシエチレン化セチルステアリルアルコールの混合物、Gattefosse社により名称Tefose(商標)63下で販売されるPEG−6/PEG−32/グリコールステアレートの混合物、PPG−3ミリスチルエーテル、シリコーン乳化剤、例えばセチルジメチコンコポリオール及びソルビタンモノステアレート又はトリステアレート、PEG−40ステアレート、又はオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート(20 EO)が言及されうる。
【0125】
本発明において用いられうる溶剤として、低級アルコール、特にはエタノール及びイソプロパノール、及びプロピレングリコールが言及されうる。
【0126】
本発明の組成物は、有利に、温泉水及び/又はミネラルウォーター、特にはVittel水、Vichy盆地からの水及びla Roche Posayの水から選択される温泉水及び/又はミネラルウォーター、も含みうる。
【0127】
親水性ゲル化剤として、カルボン酸ポリマー(carboxylic polymers)、例えばカルボマーなど、アクリルコポリマー、例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなど、ポリアクリルアミド、及び特にはSEPPIC社により名称Sepigel 305(商標)下で販売される、ポリアクリルアミド、C13−14イソパラフィン及びLaureth−7の混合物、多糖類、例えばセルロース誘導体など、例えばヒドロキシアルキルセルロース、及び特にはヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなど、天然ゴム、例えばグアー、キャロブ及びキサンタンなど、並びに粘土が言及されうる。
【0128】
親油性ゲル化剤として、改質された粘土、例えばbentoneなど、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム及び疎水性シリカなど、又はエチルセルロース及びポリエチレンが言及されうる。
【0129】
経口投与による本発明に従う使用方法の場合、摂取可能なキャリアの使用が好ましい。
【0130】
該摂取可能なキャリアは、考慮下の組成物のタイプに依存して種々の性質のものでありうる。
【0131】
錠剤又はトローチ剤(lozenges)、乾燥形態にある経口サプリメント及び液状形態にある経口サプリメントは、すなわち、特には医薬のキャリア又は食品のキャリアとしての使用に適している。
【0132】
例えば、それらは食品サプリメントであってよく、その処方は、特には制御された放出を許す、シュガーコートされた錠剤、ゲルカプセル、ゲル、エマルジョン、錠剤、カプセル、及びヒドロゲルを製造する為の通常の方法により実施されうる。
【0133】
特に、本発明に従う微生物は、任意の他の形の食品サプリメント又は強化食品、例えばフードバー(food bar)又は圧縮された若しくは圧縮されていないパウダー、の中に組み込まれうる。該パウダーは、水中に、ソーダ中に、乳製品中に、又は大豆誘導物中に希釈されてよく、又はフードバー中に組み込まれうる。
【0134】
本発明に従う微生物はさらに、そのような経口組成物又は食品サプリメントのための通常の賦形剤及び成分、すなわち特には、食品部門において通常である油脂成分及び/又は水性成分、湿潤剤、増粘剤、保存料、テクスチャー剤、フレーバー増強剤及び/又はコーティング剤、抗酸化剤、保存料及び着色料、と一緒に処方されうる。
【0135】
経口組成物のための、特には食品サプリメントのための、前記処方する剤及び賦形剤は、本技術分野において既知であり、そして、本明細書中の詳細な説明の主題とはならない。
【0136】
乳、ヨーグルト、チーズ、発酵した乳、乳に基づく発酵製品、アイス、穀物に基づく製品又は発酵した穀物に基づく製品、乳に基づく粉、子供及び赤ちゃんのための処方物(フォーミュラ)、菓子類、チョコレート若しくはシリアルタイプの食品製品、動物飼料、特には家畜のための飼料、錠剤、ゲルカプセル又はトローチ剤、液状バクテリア懸濁物、乾燥形態の経口サプリメント及び液状形態の経口サプリメントが、特に、医薬キャリア又は食品キャリアとして適している。
【0137】
本発明に従う微生物は、さらに、そのような経口組成物又は食品サプリメントのための通常の賦形剤及び成分、すなわち特には、食品部門において通常である油脂成分及び/又は水性成分、湿潤剤、増粘剤、保存料、テクスチャー剤、フレーバー増強剤及び/又はコーティング剤、抗酸化剤、保存料及び着色料、と一緒に処方されうる。
【0138】
経口組成物のための、特には食品サプリメントのための、前記処方する剤及び賦形剤は、本技術分野において既知であり、そして、本明細書中の詳細な説明の主題とはならない。経口組成物の、特には食品サプリメントの多くの実施態様が摂取にとって可能である。その処方は、シュガーコートされたタブレット、ゲルカプセル、ゲル、制御された放出のためのハイドロゲル、エマルジョン、錠剤又はカプセルを製造する為の通常の方法により実施される。
【0139】
一つの特定の実施態様に従い、本発明に従う考慮下の補助的な微生物は、組成物中に、それらの生存時間を有意に改善するようにカプセル化された形で処方されうる。そのような場合、カプセルの存在は特に、胃腸管での該微生物の分解を遅らせ又は防ぎうる。
【0140】
本発明の化粧的処置方法は、特には、少なくとも有効量の、本発明に従う少なくとも一つの微生物を経口的に及び/又は局所的に施与することにより実施されうる。
【0141】
局所的投与は、皮膚への、これらの組成物を使用するための通常の技術に従う、化粧料組成物及び/又は皮膚科学的組成物の外用(external application)を含む。
【0142】
説明のために、本発明に従う化粧的方法は、本発明に従う微生物の、例えば毎日の、局所的施与により実施されてよく、それは、例えば、化粧の除去の為の、クリーム、ゲル、セラム、ローション、エマルション、ミルク、又は日焼け後組成物(aftersun compositions)の形で処方されうる。
【0143】
本発明に従う方法は、1回の施与を含みうる。他の実施態様に従い、該施与は、例えば1日以上の間、一般的には少なくとも4、又は1〜15週さえの持続した期間、一日当たり2〜3回、繰り返される。
【0144】
経口投与は、上記で定義されたとおりの経口組成物を、1又はそれより多い摂取で、摂取することを含む。
【0145】
本明細書において及び以下に続く実施例において、他に示されない限り、百分率は重量による百分率であり、そして、「・・・〜・・・」の形で記載される値の範囲は、特定された上限及び下限を含む。成分は、それらが処方される前に、当技術分野の当業者により容易に決定される順序及び条件で混合される。
【0146】
一つの変形に従い、該化粧的方法は、有効量の本発明に従う少なくとも一つの微生物又はその画分を経口的に投与する少なくとも一つのステップ、及び、有効量の本発明に従う少なくとも一つの微生物又はその画分を局所的に投与する少なくとも一つのステップを含む。
【0147】
本発明に従う方法は、単回投与を含みうる。
【0148】
他の実施態様に従い、該投与は、例えば、一日当たり2〜3回、1日又はそれより多い間、及び一般には少なくとも4週あるいは4〜15週間さえの持続した期間、必要に応じて1又はそれより多い遮断期間を伴い、繰り返される。
【0149】
加えて、任意的に経口的又は局所的な形による処置の組合せが、本発明により定義されたとおりの微生物の活性を補足し又は強化する為に、意図される。
【0150】
すなわち、任意的に他の微生物、特にはプロバイオティック微生物、又は死んだ、生きている若しくは準活性な形の他のプロバイオティクスを含む経口的又は局所的組成物と組み合わされた、本発明に従う微生物を含む組成物による局所的処置が想定されうる。
【0151】
成分は、それらが処方される前に、当技術分野の当業者により容易に決定される順序及び条件で混合される。
【0152】
本明細書以下の実施例は、本発明の分野の非限定的な説明のために提示される。
【0153】
これらの実施例において、語「cfu」は「コロニー形成ユニット(colony forming unit)」を意味する。これは、生きているバクテリアを定量するために用いられる測定の単位である。
【0154】
本明細書以下の実施例の組成物において用いられるLactobacillus paracaseiは、Lactobacillus paracasei ST11 NCC 2461(CNCMI−2116)である。
【0155】
経口投与の為の組成物の実施例
【実施例1】
【0156】
実施例1パウダースティック

一日当たり一つのスティックが摂取されうる。
【実施例2】
【0157】
実施例2カプセル

一日当たり1〜3のこれらのカプセルが摂取されうる。
【実施例3】
【0158】
実施例3シュガーコートされた錠剤タイプの処方

このタイプのシュガーコートされた錠剤は、一日当たり1〜3回摂取されうる。
【実施例4】
【0159】
実施例4シュガーコートされた錠剤タイプの処方

このタイプのシュガーコートされた錠剤は、一日当たり1〜3回摂取されうる。
【0160】
局所的施与の為の組成物の実施例
【実施例5】
【0161】
実施例5フェイスローション

【実施例6】
【0162】
実施例6スカルプケアミルク

【実施例7】
【0163】
実施例7フェイスケアジェル

【実施例8】
【0164】
実施例8スカルプケアミルク

【実施例9】
【0165】
実施例9フェイスケアクリーム

【実施例10】
【0166】
実施例10フェイスケアジェル

【実施例11】
【0167】
実施例11:本発明に従う微生物を含む食品サプリメントの、成人女性におけるざ瘡及び顔の欠陥に対する効果
【0168】
Lactobacillus paracasei ST11 NCC 2461(CNCMI−2116)株が単独で、無作為化二重盲検試験において試験された。
【0169】
ざ瘡の皮膚及び顔の欠陥を有する18〜40歳齢の女性がいくつかの集団に分けられた:
33の女性の第一の集団、これにプラセボが投与された、該プラセボは同一の組成物であるが、微生物の代わりにマルトデキストリンを有する(本明細書以下において「製品A」と呼ばれる)、及び
33の女性の第二の集団、これに1×10cfuの上記言及されたLactobacillus paracasei ST11を有する組成物(本明細書以下において「製品B」と呼ばれる)が、単独で、投与された。
【0170】
これらの食品サプリメントは経口で2か月間投与された。
【0171】
個体は、種々の臨床的評価により、1日目、15日目、29日目、43日目及び57日目で評価された。
【0172】
特に、色素異常症などの顔の欠陥の臨床的評価が実施され、そして、個体それ自体が、彼らの皮膚の状態における改善の自己評価を実施した。
【0173】
a)臨床評価
【0174】
有効性を判断するための原理基準は、表面の炎症病変の数(丘疹及び膿疱、区別をしない)及び貯留病変の数(開いた及び閉じた面皰、区別をしない)により定められる。
【0175】
計数は、調査員により、それぞれの診察で(1日目、15日目、29日目、43日目及び57日目)で、全体の顔(あごを含む、しかしTゾーン上を含まない)にわたって、視覚的計数により、ECLAスケール(the ECLA scale)に従い実施される:
【0176】
ファクターF1:0〜5のスコア(病変カウント(0;<5;5〜9;10〜19;20〜40;>40)に対応する)による全体の顔上のざ瘡のタイプ及び強度
非炎症病変:0〜5のスコアを有する開放又は閉鎖面皰(病変カウントに対応する)(0;<5;5〜9;10〜19;20〜40;>40)
炎症病変
a)表面:0〜5のスコア(病変カウント(0;<5;5〜9;10〜19;20〜40;>40)に対応する)を有する丘疹及び膿疱、及びサイズについての情報(0.1cm〜0.5cm)
b)深さ:0〜5のスコア(病変カウント(0、1、2、3、4、5)に対応する)を有する結節及び嚢胞、及びサイズについての情報(0.5cm又はそれより大きい)。
【0177】
ファクターF2:顔の範囲を超えるざ瘡の拡張及び強度
−上及び下の頸部領域の0(不在)〜3(多量)の格付けによる首、
−0(不在)〜3(多量)の格付けによる胸、
−0(不在)〜3(多量)の格付けによる背中(上部肩甲骨端及び下部肩甲骨端)、
−0(不在)〜3(多量)の格付けによる腕。
【0178】
ファクターF3:傷
不在(0)又は存在(1)。
それらは、炎症性、非炎症性又はすりむけたもの(excoriated)。
さらに、調査員は、それぞれの診察で(1日目、15日目、29日目、43日目及び57日目)、0〜9の尺度で評価する:
マーク(そばかす、アクチニックマーク(actinic marks)、色素脱失、ほくろ)の存在、
萎縮、
乾燥斑の存在、
うろこ、
脂漏性皮膚炎。
【0179】
この評価の結果は、試験された食品サプリメントが、該プラセボ組成物と比較して、表面炎症病変の数及び貯留病変の数を有意に減少することを可能にすることである。
【0180】
b)脂漏症の評価
【0181】
皮膚の表面で排出される皮脂の量が、Sebumetre(商標)(Courage & Khazaka)を用いて評価される。
【0182】
それは測光的な方法である。一片の合成物質(これは吸収された脂質と接触すると透明になる)が、正確に30秒間、測定領域につけられる。
【0183】
該片の透明度が、次に、それが接触しているハイドロリピッドフィルム(hydrolipid film)の皮脂の量に比例して増加する。
【0184】
反射率測定による記録が、透過光の増加を定量することを可能にし、及びすなわち、単位表面積当たりの排出された脂質の合計質量(μg・cm−2)を決定することを可能にする。
【0185】
測定は、70°アルコールによる注意深い脱脂後に、額上で実施される。
【0186】
次に、半時間後、さらなる測定が実施される。すなわち、単位表面積当たり及び単位時間当たりの排出された皮脂量を計算することが可能である。
【0187】
この試験の結果は、試験された食品サプリメントが、プラセボ組成物と比較して、皮膚の再オイリング(re-oiling)を50%だけ減少することを可能にすることである。
【0188】
c)顔の一般的なエコフローラの分析
【0189】
それぞれの訪問で、個体の顔上の微生物学的試料が、バクテリアのエコフローラのための2つの滅菌SWAB(Oxoid)により採られる。
【0190】
方法論
−約5cm×1cmの2つの領域が、鼻の両側で範囲を区切られる(左に一つ及び右に一つ)。
【0191】
選択された位置が、観察ノートに示され、そして、研究を通じて、所定の個体について同じままである(及び鼻の先から耳の上の測定に基づき位置を正確に示される)。
−2つのswabのそれぞれにより、顔が5回こすられ、そして次に、該swabをひっくり返した後に、それが再度2回こすられる。
−該swabが閉じられ、そして、細菌学部門への移送まで、+4℃で保存される。
【0192】
該2つのswabが、0.1%のTriton Xを含む3mlのPBS中に入れられ、そして少なくとも30秒間激しく撹拌される。
【0193】
この懸濁物がストックソリューション(SS)を表し、ここから2つの逐次的な10倍希釈(1/10th−d1及びd2)が実施される。
【0194】
0.1mlのSSが、Escherichia coli及びStaphylococcus aureusを捜す為に、アガーの表面にプレートされる。
【0195】
0.1mlのSS、0.1mlのd1及び0.1mlのd2が、全フローラ、嫌気的フローラ、グラム陽性球菌及びコリネバクテリアについて、アガーの表面でプレートされる。
【0196】
すべての植菌は、二重に行われる。
【0197】
Escherichia coli、Staphylococcus aureus、全フローラ、グラム陽性球菌及びコリネバクテリアは、35〜37℃で好気的条件下で48時間インキュベートされる。
【0198】
嫌気性フローラは、35〜37℃で嫌気的条件下で5〜6日間インキュベートされる。
【0199】
血液培地が、皮膚フローラについてのPropionibacterium、本質的にはP.acnes、について計数する為に用いられる(嫌気的条件下での37℃での8日)。
【0200】

【0201】
計数は、嫌気性フローラ(及び特にはPropionibacterium acnes及びコリネバクテリア)が、考慮下の活性剤を含む食品サプリメントによる処置に従う患者において減少されることを示し、すなわち皮膚のホメオスタシスの再確立に寄与する。
【0202】
d)タンパク質発現
【0203】
加えて、1日目、29日目及び57日目のときに、処置された個体の表皮タンパク質発現を研究する為に、試料が角質ディスク(corneodiscs)により額から採られた。
【0204】
角質ディスクは、粘着物により覆われた柔軟であり透明なポリエステルフィルムから作られた粘着性ディスクであり、これはそれ自体透明であり、酸化及び埃に対して比較的無反応性であり、そして、stratum corneumとの良い接触を与える。この技術は、角質層のいくつかのタンパク質の組成を分析することを可能にする。
【0205】
メモリ付動力計を用いた適用が、100〜250g/cmの一定の適用圧力を得る為に推奨される。清潔であり且つ乾燥した表面が、5秒の間の最適な接着を許す。
【0206】
方法論:
【0207】
1×2cmの長方形が、額の領域上に範囲を定められる。
【0208】
角質ディスクが該小さな領域に置かれる。該角質ディスクが次に、白い縁の粘着により、半分に折り重ねられて、そしてNuncチューブ中に置かれる。
【0209】
すなわち、3つの角質ディスクが、同じ領域から逐次的に回収され、そして3つのNuncチューブが次に液体窒素中に導入され、そして−80℃で、デフェンシン(より特にはβデフェンシンタイプ2、LL−37、エラフィン)及び炎症マーカー(TNF−α、IL−6、IL−8)の定量的分析まで保存される。
【0210】
サンプリングは、額について、1日目、29日目及び57日目のときに、角質ディスクにより、角質層の一部だけ、すなわち最大で4〜5層の角質層、を採取するように実施される。
【0211】
これらの皮膚試料が次に、抽出後、ELISA分析により及びluminex技術により分析された。
【0212】
これらの分析は、本発明に従う微生物が、表皮の抗微生物性防御タンパク質のいくつか(LL37、β−デフェンシン2及びエラフィン)及びいくつかの炎症促進性サイトカイン(TNF−α及びIL8)の発現を刺激することを示すことを可能にした。
【0213】
上記言及されたタンパク質の実証は、すなわち、油性皮膚及び/又は油性傾向を有する皮膚に関連する皮膚疾患に関与するMalassezia furfur及びPropionibacterium acnes微生物によコロニー形成の減少に関連付けられる。
【0214】
加えて、炎症性サイトカインを減少することも、油性皮膚及び/又は油性傾向を有する皮膚に関連する皮膚疾患の減少に関与する。
【0215】
すなわち、そのような減少が、バランスのとれたエコフローラの再確立に寄与し、その結果は、皮膚の炎症状態の減少及び脂漏症の制御である。結果として、該欠陥が減少され、そして、顔色がより明るくなり、及び、より均一になり、色素異常症の領域及び乾燥の領域を伴わない。
【0216】
これらの結果は、油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患を処置し及び/又は防ぐ為に、及び関連する皮膚疾患、例えば開いた又は閉じた面皰タイプの貯留病変(微小嚢胞、微小面疱、稗粒腫)及び/又はくすんだ皮膚の欠陥、ギラギラした又は濁った皮膚、又は色素異常症タイプなど、の減少を許す為に役立つ効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患を処置し及び/又は予防する為の活性剤として、有効量の少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、その画分及び/又はその代謝物を化粧的に使用する方法。
【請求項2】
該皮膚疾患が、開放又は閉鎖面皰タイプの貯留病変(微小嚢胞、微小面皰、稗粒腫)及び/又は、くすんだ、ギラギラした又は濁った皮膚、色素異常症、赤み、又は、乾燥皮膚の斑を伴いうる荒れた皮膚などのタイプの皮膚欠陥であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該疾患が、脂漏性皮膚炎、特にはざ瘡である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
脂漏症を制御する為の組成物の調製の為の活性剤として、有効量の少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、その画分及び/又はその代謝物を使用する方法。
【請求項5】
油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患を処置し及び/又は予防する為の組成物の調製の為の活性剤として、有効量の少なくとも1つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属、その画分及び/又はその代謝物を使用する方法。
【請求項6】
ざ瘡、特には面皰性ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡及び/又は結節性ざ瘡、集簇性ざ瘡及び外因性ざ瘡を処置し及び/又は予防する為の、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該微生物が、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus casei、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis又はBifidobacterium pseudocatenulatum、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該微生物がLactobacillus paracaseiである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該微生物がLactobacillus paracasei CNCM I−2116である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該微生物が、それを含む組成物の全重量に対して、0.0001重量%〜20重量%、特には0.001重量%〜15重量%、より特には0.01重量%〜10重量%の割合で用いられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該微生物が局所的に又は経口的に用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該微生物がLactobacillus属の第一の微生物であり、該第一の微生物と異なる少なくとも1の第二の微生物の少なくとも有効量と併用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該第二の微生物が、子嚢菌、例えばSaccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Torulaspora、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Candida、Pichia、Aspergillus及びPenicilliumなど、Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus又はLactobacillus属のバクテリア、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患を予防し及び/又は処置する為に役立つ化粧料組成物及び/又は皮膚科学的組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも有効量の少なくとも1の第一のプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属の微生物、その画分及び/又はその代謝物を、抗脂漏活性剤、水和性活性剤、該第一の微生物と異なる第二の微生物及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも一つの活性剤の有効量と一緒に含む、前記組成物。
【請求項15】
該第一の微生物が請求項7〜10に規定されたものである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
油性皮膚又は油性傾向を有する皮膚及び関連する皮膚疾患を処置し及び/又は予防する為に役立つ化粧的処置方法であって、有効量の少なくとも一つのプロバイオティック微生物、特にはLactobacillus及び/又はBifidobacterium sp.属の微生物、及び/又はその画分及び/又はその代謝物を個体に投与する少なくとも一つのステップを含む、前記方法。
【請求項17】
該第一の微生物が請求項7〜10に規定されたものである、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529484(P2011−529484A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520636(P2011−520636)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053204
【国際公開番号】WO2010/013179
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】