説明

治療剤としての縮合三環式mGluR1アンタゴニスト

この多くの実施形態において、本発明は、代謝性グルタミン酸レセプター(mGluR)アンタゴニストとして(特に、選択的代謝性グルタミン酸レセプター1アンタゴニストとして)有用な式(I)(ここで、J〜J、X、ZならびにR、RおよびRは、本明細書中で定義されるとおり)の三環式化合物、この化合物を含む薬学的組成物、ならびに代謝性グルタミン酸レセプター(例えば、mGluR1)に関連した疾患(例えば、疼痛、片頭痛、不安、尿失禁症および神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病))を処置するためのこの化合物および組成物を使用した処置の方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、代謝性グルタミン酸レセプター(mGluR)アンタゴニストとして(特に、選択的代謝性グルタミン酸レセプター1アンタゴニストとして)有用な縮合三環式化合物、この化合物を含む薬学的組成物、および代謝性グルタミン酸レセプター(例えば、mGluR1)に関連する疾患(例えば、疼痛、片頭痛、不安、尿失禁症および神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病))を処置するためのこの化合物および組成物を使用した処置の方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
グルタミン酸は、哺乳動物の中枢神経系における重要な興奮性の神経伝達物質である。中枢神経系(CNS)におけるグルタミン酸のシナプス応答は、レセプターの2種のファミリーの活性(リガンド型カチオンチャネル(イオンチャネル型グルタミン酸レセプターと呼ばれる)およびGタンパク質共役型レセプター(代謝性グルタミン酸レセプター(mGluR)として公知))をとおして媒介される。今日まで、8種のmGluRのサブタイプがスプライシング変異体とともに、クローニングされ、そして機能研究において特性付けられている(非特許文献1)。この8種のmGluRは、構造的相同性、薬理学およびシグナル伝達のメカニズムを基にして3つのクラスに分類される。
【0003】
グループIのレセプター(mGluR1およびmGluR5)は、G11タンパク質と共役してホスホリパーゼC(PLC)を活性化し、ホスホイノシチド(PI)の加水分解、細胞内貯蔵からのカルシウム放出をもたらす。一方で、グループII(mGluR2およびmGluR3)およびグループIII(mGluR4、mGluR6 mGluR7およびmGluR8)は、アデニルシクラーゼ(AC)とG/Gタンパク質をとおして負に共役し、それによって、サイクリックAMP(cAMP)形成を阻害する(非特許文献2)。
【0004】
(グルタミン酸と疼痛)
慢性疼痛は、非常に満たされていない医学的必要性のある分野である。現在の治療は十分ではなく、そして慢性疼痛は、最も一般的に使用されている鎮痛剤(オピオイドを含む)に対してしばしば難治性を示す。グルタミン酸は、侵害受容のプロセスにおいて重要な役割を果たす。グルタミン酸レセプター(mGluRを含む)は、疼痛の感覚および伝達に関する脳、脊髄および末梢の関連部分において発現される。
【0005】
慢性疼痛は、組織の損傷および疾患(炎症性疼痛)が原因であり得るか、もしくは中枢神経系および末梢神経系(神経障害性疼痛)が原因であり得、そして、自発的疼痛、痛覚過敏(疼痛性刺激に対する過剰応答)および異痛症(非有害性刺激に対して、疼痛としての間違った知覚)によって特性付けられる重度の慢性感覚障害に関連している。ヒト患者における罹患症状としては、冷痛覚過敏、機械的異痛症、およびそれほど一般的ではないが、熱痛覚過敏が挙げられる。
【0006】
慢性疼痛は、真性疾患である。これは、侵害受容のプロセスの中枢におけるシナプスでの可塑性(脊髄後角ニューロンの上昇した興奮性からなる「中枢感作」と呼ばれる現象)の結果であると考えられている。グルタミン酸レセプターは、中枢感作におけるこれらの重要な役割に関して同定された。侵害受容プロセスに関連するシナプスにおける可塑性は、イオンチャネル型グルタミン酸レセプター(例えば、NMDA)の活性化を必要とし、そしてこの可塑性は、mGluR(mGluR1を含む)によって調節される。NMDAレセプターアンタゴニストは、損傷後の持続的疼痛の予防および処置に関する実験的治療においてテストされた。しかしながら、神経系全体にわたる正常な興奮性のシナプス伝達におけるこれらのレセプターの決定的な役割に主に起因する、NMDAアンタゴニストの使用に関連する重大な望ましくない副作用が存在する。これらの副作用としては、精神病、過度活動、疲労感、めまい感、ならびにNMDAアンタゴニストのさらに高いレベルの場合は、健忘症および神経毒性が挙げられる。mGluR1レセプターに拮抗するように設計された薬剤は、より少ない副作用傾向を有することが期待される。なぜなら、これらは、非疼痛知覚に関する正常な脊髄のシナプスのプロセスにほとんど影響を与えずに、持続的疼痛の状態に関連する病理学的に異常な脊髄NMDAレセプターの活性化を選択的に調節するようであるからである。したがって、mGluRアンタゴニストは、慢性の疼痛状態において臨床的にうまく機能し得る。なぜなら、これらが、広範囲におよぶ脊髄および脊柱上のNMDAレセプターの拮抗作用に固有の副作用を回避するからである。
【0007】
(mGluR1と疼痛)
多くの行動研究(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)および電気生理学の研究(非特許文献8および非特許文献9)が、CNSでの侵害受容のプロセスにおけるグループIのmGluR(特に、mGluR1レセプター)に関する特定の役割を実証した(痛覚過敏および炎症のメカニズムを含む)。脊髄において、mGluR1は、主に後角および前角の全体にわたるシナプス後要素上に局在化されるようである(非特許文献10)。慢性の侵害受容における脊髄mGluR1の内因性活性化は、アンタゴニスト、抗体およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して実証された。mGluR1アンタゴニストの髄腔内投与によって、ホルマリン誘発性侵害受容行動の第二期において抗侵害受容作用を生じた(非特許文献10)。行動研究はまた、脊髄損傷における脊髄のmGluR1レセプターの役割および神経障害性疼痛の結紮モデルに取り組んだ。mGluR1の発現は、ラットにおいて脊髄損傷後に増加し、これは、この損傷によって誘発される慢性の中枢痛をもたらし得る(非特許文献11)。アンチセンスオリゴヌクレオチドの髄腔内注入による脊髄のmGluR1のノックダウンは、神経障害性のラットにおいて冷痛覚過敏および機械的異痛症を減衰させた(非特許文献12および非特許文献13)。さらに、抗mGluR1のIgG抗体の脊髄投与は、神経障害性のラットにおいて冷痛覚過敏は軽減させたが、機械的異痛症は軽減させなかった(非特許文献4)。疼痛に関連する中枢感作における脊髄のmGluR1レセプターの決定的役割は、麻酔された動物における電気生理学のインビボでの研究によって、単一の細胞レベルにおいて強調される。mGluR1アンタゴニストの脊髄内投与は、霊長類の脊髄視床路ニューロンの短時間の有害な(しかし、無害性ではない)機械的な皮膚刺激に対する応答、ならびにカプサイシン疼痛モデルにおける中枢感作を阻害した(非特許文献14)。mGluR1発現がノックダウンされたラットにおいて、C−繊維刺激性のマスタードオイルの繰り返される局所的塗布によって惹起される有害性のインプットに対するマルチレセプターの後角ニューロンの応答は、対照ニューロンに比べると顕著に軽減され;無毒性の皮膚刺激に対する応答は、顕著な差異はなかった(非特許文献15)。
【非特許文献1】Schoeppら、Neuropharmacology、1999年、38、1431−1476
【非特許文献2】A. FrancesconiおよびR. M. Duvoisin、J. Biol. Chem. 1998年、273(10)、5615−5624
【非特許文献3】Fisherら、Neuroreport、1998年、20、1169−1172
【非特許文献4】Fundytusら、Neuroreport、1998年、9、731−735
【非特許文献5】Bhaveら、Nature Neurosci.、2001年、4、417−423
【非特許文献6】Dolanら、Neuropharmacology、2002年、43、319−326
【非特許文献7】Dolanら、Pain、2003年、106、501−512
【非特許文献8】Youngら、Neuropharmacology、1994年、33、141−144
【非特許文献9】Youngら、Brain Res.、1997年、777、161−169
【非特許文献10】Neugebauer、Trends Neurosci.、2001年、24、550−552
【非特許文献11】MillsおよびHulsebosch、Neurosci. Lett.、2002年、319、59−62
【非特許文献12】Fundytusら、Br. J. Pharmacol.、2001年、132、354−367
【非特許文献13】Fundytusら、Pharmacol. Biochem. Behav.、2002年、73、401−410
【非特許文献14】Neugebauerら、J. Neurophysiol.、1999年、82、272−282
【非特許文献15】Youngら、J. Neurosci.、1998年、18、10180−10188
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
この多くの実施形態において、本発明は、代謝性グルタミン酸レセプター(mGluR)アンタゴニストとして(特に、選択的mGluR1アンタゴニストとして)有用な三環式化合物の新規なクラス、1つ以上のこのような化合物を含む薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含む薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物もしくは薬学的組成物を使用してmGluR(特に、mGluR1)に関連する1つ以上の疾患を処置、予防、阻害もしくは改善する方法を提供する。
【0009】
一局面において、本願は、式I:
【0010】
【化8】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、ここで:
、JおよびJは、独立してNもしくはCであり、但し、J、JおよびJのうちの1〜2つはNであり;
【0011】
【化9】

は、単結合もしくは二重結合であり;
は、H、−NR、−OR、−SR、−CN、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択されるか、または、このRアリールは、隣接する炭素原子上の2つのラジカルで必要に応じて置換され得、ここで、このラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、この環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換され、
Xは、H、−NR、−SR、−NRNR、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
Zは、S、OおよびNRからなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NHC(O)R、−NHSO11、−NR、−OR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、w=2である場合、2つのRがこれらが結合している炭素原子と一緒になって、式:
【0012】
【化10】

の基を形成し、ここで、mおよびpはそれぞれ、0〜4の範囲の整数であり、但し、(m+p)=2〜7であり、そしてYは、S、S(O)、S(O)、O、NR、C(RおよびC(O)からなる群より選択され;
wは、1〜2の範囲の整数であり;
は、Hおよびアルキルからなる群より選択され;
は、H、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびRは、H、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、
およびRもしくはRおよびRは、同じ窒素原子に結合している場合、必要に応じてこの窒素原子と一緒になって、この窒素原子に加えてO、NもしくはSより独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の複素環式環を形成し;
は、H、ハロ、−OR、−NO、−CN、−NRC(O)R10、−NRSO11、−NR10、−C(O)R10、−C(O)NR10、C(O)OR、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−C(O)R10、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−N(R)C(O)R10、−N(R)C(O)NR10および−NRSO11のうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびR10は、H、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NRのうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;そして
11は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群より選択される。
【0013】
別の局面において、本願は、上記のとおりの式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、ここで:
、JおよびJは、独立してNもしくはCであり、但し、J、JおよびJのうちの1〜2つはNであり;
【0014】
【化11】

は、単結合もしくは二重結合であり;
は、H、−NR、−OR、−SR、−CN、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
Xは、H、−NR、−SR、−NRNR、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
Zは、S、OおよびNRからなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NHC(O)R、−NHSO11、−NR、−OR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、w=2である場合、2つのRがこれらが結合している炭素原子と一緒になって、式:
【0015】
【化12】

の基を形成し、ここで、mおよびpはそれぞれ、0〜4の範囲の整数であり、但し、(m+p)=2〜7であり、そしてYは、S、S(O)、S(O)、O、NR、C(RおよびC(O)からなる群より選択され;
wは、1〜2の範囲の整数であり;
は、Hおよびアルキルからなる群より選択され;
は、H、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびRは、H、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、
およびRもしくはRおよびRは、同じ窒素原子に結合している場合、必要に応じてこの窒素原子と一緒になって、この窒素原子に加えてO、NもしくはSより独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の複素環式環を形成し;
は、H、ハロ、−OR、−NO、−CN、−NRC(O)R10、−NRSO11、−NR10、−C(O)R10、−C(O)NR10、C(O)OR、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−C(O)R10、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−N(R)C(O)R10、−N(R)C(O)NR10および−NRSO11のうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびR10は、H、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NRのうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;そして
11は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群より選択される。
【0016】
式Iの化合物は、選択的代謝性グルタミン酸レセプター1アンタゴニストとして有用であり、したがって、疼痛(神経向性もしくは炎症性)、片頭痛、不安、尿失禁症および神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)の処置および予防において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
一実施形態において、本発明は、構造式Iによって表される三環式化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルを開示しており、ここで、種々の部分は上記のとおりである。
【0018】
一実施形態において、式Iにおいては、−NRは、
【0019】
【化13】

からなる群より選択され、ここで、
各R12は、H、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択され;
各R13は、H、ハロ、ヒドロキシル、−CN、−NHC(O)R、−NHSO11、−NR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択され;
14は、H、−C(O)R、−C(O)OR、C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
nは、0〜4であり;そして、
yは、1〜4である。
【0020】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、そしてJおよびJはそれぞれCである。
【0021】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、JおよびJはそれぞれCであり、そしてRはアルキルである。
【0022】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、JおよびJはそれぞれCであり、そしてRはHである。
【0023】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、JおよびJはそれぞれCであり、そしてRはアリールである。
【0024】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、JおよびJはそれぞれCであり、そしてRはヘテロアリールである。
【0025】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JはNであり、JおよびJはそれぞれCであり、Rはp−ハロフェニルであり、そしてRはHである。
【0026】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRである。
【0027】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、RおよびRは、水素、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキルおよびシクロアルキル基からなる群より独立して選択される。
【0028】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RおよびRはそれぞれアルキルである。
【0029】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RはHであり、そしてRはヒドロキシアルキルである。
【0030】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RおよびRのうちの少なくとも1つはシクロアルキルである。
【0031】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RはHであり、そしてRはシクロプロピルもしくはシクロブチルである。
【0032】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RはHであり、そしてRはシクロプロピルである。
【0033】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、−NRは、
【0034】
【化14】

であり、ここで、nは0である。
【0035】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、−NRは、
【0036】
【化15】

であり、ここで、nは0であり、R13はHもしくはOHである。
【0037】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、RはHであり、そしてRは、アルキルであり、このアルキルは、−OH、アルコキシ、−CFおよび−C≡CHからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で必要に応じて置換される。
【0038】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、Rは、それぞれが少なくとも1つのRで必要に応じて置換されるシクロアルキルおよびアリールからなる群より選択されるか、またはこのRアリールは、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを必要に応じて含み得、ここで、このラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、この環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換される。
【0039】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、Rは、それぞれが少なくとも1つのRで必要に応じて置換されるシクロアルキルおよびアリールからなる群より選択されるか、またはこのRアリールは、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを必要に応じて含み得、ここで、このラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、この環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換され、ここで、このRシクロアルキルは、シクロヘキシルである。
【0040】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、Rは、それぞれが少なくとも1つのRで必要に応じて置換されるシクロアルキルおよびアリールからなる群より選択されるか、またはこのRアリールは、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを必要に応じて含み得、ここで、このラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、この環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換され、ここで、このRは、アルキル、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、ハロおよびヒドロキシからなる群より選択される。
【0041】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、ここで、Rは、それぞれが少なくとも1つのRで必要に応じて置換されるシクロアルキルおよびアリールからなる群より選択されるか、またはこのRアリールは、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを必要に応じて含み得、ここで、このラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、この環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換され、ここで、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを有し、このラジカルがそれらが結合している該炭素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成するRアリールを含むこのRアリールは、フェニルおよび
【0042】
【化16】

からなる群より選択され、これらのうちのそれぞれは、少なくとも1つのRで必要に応じて置換される。
【0043】
別の実施形態において、式Iにおいては、Xは−NRであり、そしてRは、少なくとも1つのRで置換されたフェニルである。
【0044】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、そしてJはCである。
【0045】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRはHである。
【0046】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRは必要に応じて置換されたアリールである。
【0047】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRは必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0048】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRはp−ハロフェニルである。
【0049】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRはp−ハロフェニルもしくはp−アルコキシフェニルである。
【0050】
別の実施形態において、式Iにおいては、ZはSであり、JおよびJはそれぞれNであり、JはCであり、そしてRは、それぞれが必要に応じて置換されたシクロアルキルもしくはアリールである。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、構造式II〜VII:
【0052】
【化17】

によって表される三環式化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルを開示し、ここで、Z、X、R、R、Rおよびwは、式Iにおいて定義したとおりである。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、構造式II〜VI:
【0054】
【化18】

によって表される三環式化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルを開示し、ここで、Z、X、R、R、Rおよびwは、式Iにおいて定義したとおりである。
【0055】
本発明の代表的な化合物は、以下の表1において示される。
【0056】
【表2−1】

【0057】
【表2−2】

【0058】
【表2−3】

【0059】
【表2−4】

表1の化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルもまた企図される。
【0060】
一実施形態において、式Iの化合物は、化合物番号9A、9B、9C、9D、9Eおよび23Iを含む。
【0061】
一実施形態において、式Iの化合物は、化合物番号9A、9Cおよび9Dを含む。
【0062】
一実施形態において、式Iの化合物は、化合物番号9A〜F、21C、23A、23I、23Rおよび23Gを含む。
【0063】
上記および本明細書にわたって使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を包含する。
【0064】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳類の動物を意味する。
【0065】
「アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよく、約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよい鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語、「置換アルキル」は、1つ以上の置換基によって置換され得るアルキル基を意味し、この置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれの置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシ、−C(O)O−アルキルおよび−S(アルキル)からなる群より独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0066】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、ここで、この鎖は直鎖状でも分枝状でもよく、そしてこの基は、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有しており;さらに好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、約2〜約6個の炭素原子が鎖中にあることを意味し、この鎖は、直鎖状でも分枝状でもよい。用語「置換アルケニル」は、アルケニル基が、1つ以上の同じでも異なっていてもよい置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群より独立して選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0067】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、ここで、この鎖は、直鎖状でも分枝状でもよく、そしてこの基は、約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を含み;さらに好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、約2個〜約6個の炭素原子が鎖中にあることを意味し、この鎖は、直鎖状でも分枝状でもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」は、アルキニル基が、1つ以上の同じでも異なっていてもよい置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0068】
「アルキレン」は、上記で定義したアルキル基から水素原子を取り除いて得られる二官能基を意味する。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレン、およびプロピレンが挙げられる。
【0069】
「アリール」(しばしば、「Ar」と省略される)は、約6〜約14個の炭素原子(好ましくは約6〜約10個の炭素原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。アリール基は、1つ以上の同じでも異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、これは本明細書中で定義するとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0070】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子(好ましくは約5〜約10個の環原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環原子のうちの1個以上は炭素とは異なる元素(1つもしくは組み合わせ)であり、例えば、窒素、酸素もしくは硫黄であるものを意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、1つ以上の同じでも異なっていてもよい「環系置換基」によって必要に応じて置換され得、これは本明細書中で定義するとおりである。ヘテロアリールの根名(root name)の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0071】
「アラルキル」もしくは「アリールアルキル」は、アリール−アルキル−基を意味し、ここで、アリールおよびアルキルは、上記のとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0072】
「アルキルアリール」は、アルキル−アリール基を意味し、ここで、アルキルおよびアリールは、上記のとおりである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例としては、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0073】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは約5〜約10個の炭素原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、1つ以上の同じであっても異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、それらは上記で定義したとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例として、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。「シクロアルキル」は、以下に定義するような「アリールシクロアルキル」および「シクロアルキルアリール」を含む。
【0074】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基を意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロもしくはブロモであり、さらに好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0075】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素および臭素である。
【0076】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1個以上の水素原子が、上記で定義したとおりのハロ基によって置き換えられた、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。
【0077】
「シアノアルキル」は、アルキル上の1個以上の水素原子が、シアノ基によって置き換えられた、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。
【0078】
「オキソ」は、(=O)を意味し、そして「チオキソ」は、(=S)を意味する。
【0079】
「環系置換基」は、芳香族もしくは非芳香族の環系に結合した置換基を意味し、例えば、環系上の利用可能な水素にとって代わる。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、各置換基は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じでも異なっていてもよく、そして、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群より独立して選択される。「環系置換基」はまた、環系上の(1つのHがそれぞれの炭素上にある)2つの隣接した炭素原子上の2つの利用可能な水素を同時に置換する単一の部分も意味し得る。このような部分の例としては、オキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などが挙げられ、例えばそれらは:
【0080】
【化19】

のような部分を形成する。
【0081】
「シクロアルケニル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは、約5〜約10個の炭素原子)を含む、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、1つ以上の同じであっても異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、それらは上記で定義したとおりである。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例として、ノルボルニレニルが挙げられる。「シクロアルケニル」は、以下に定義するとおりの「アリールシクロアルケニル」および「シクロアルケニルアリール」を包含する。
【0082】
「ヘテロシクレニル」は、約3〜約10個の環原子(好ましくは、約5〜約10個の環原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環系中の原子のうちの1個以上が炭素とは異なる元素(1個もしくは組み合わせ)(例えば、窒素原子、酸素原子、もしくは硫黄原子)であり、そして少なくとも1つの炭素−炭素二重結合もしくは炭素−窒素二重結合を有するものを意味する。この環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、1個以上の環系置換基によって必要に応じて置換され得、「環系置換基」は、上記で定義したとおりである。ヘテロシクレニルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適切なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な多環式のオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルである。適切な単環式のチアヘテロシクレニル環の非限定的な例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0083】
「ヘテロシクリル」(もしくは、ヘテロシクロアルキル)は、約3〜約10個の環原子(好ましくは約5〜約10個の環原子)を含む非芳香族の飽和した単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環系内の原子のうちの1つ以上は炭素とは異なる元素(1つもしくは組み合わせ)であり、例えば、窒素、酸素、もしくは硫黄であるものを意味する。環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサ、もしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、同じでも異なっていてもよい、本明細書中で定義する1個以上の「環系置換基」によって必要に応じて置換され得る。ヘテロシクリルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式のヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。「ヘテロシクリル」は、以下に定義するとおりの「ヘテロアリールシクロアルキル」および「シクロアルキルヘテロアリール」を包含する。
【0084】
「アリールシクロアルケニル」は、縮合された、本明細書中で定義するとおりのアリールとシクロアルケニルから、シクロアルケニル部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。好ましいアリールシクロアルケニルは、アリールがフェニルであってかつシクロアルケニルが約5〜約6個の環原子を含むものである。アリールシクロアルケニルは、1個以上の環系置換基によって必要に応じて置換され得、この「環系置換基」は、上記に定義されたとおりである。適切なアリールシクロアルケニルの非限定的な例としては、1,2−ジヒドロナフタレン、インデンなどが挙げられる。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0085】
「シクロアルケニルアリール」は、縮合された、本明細書中で定義するとおりのアリールシクロアルケニルから、アリール部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。適切なシクロアルケニルアリールの非限定的な例は、親部分への結合が芳香族の炭素原子を介していることの他は、アリールシクロアルケニルについて本明細書中で記載したとおりである。
【0086】
「アリールシクロアルキル」は、縮合された、本明細書中で定義するとおりのアリールとシクロアルキルから、シクロアルキル部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。好ましいアリールシクロアルキルは、アリールがフェニルであってかつシクロアルキルが約5〜約6個の環原子を含むものである。アリールシクロアルキルは、1個以上の環系置換基によって必要に応じて置換され得、この「環系置換基」は、上記に定義されたとおりである。適切なアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0087】
「シクロアルキルアリール」は、縮合された、本明細書中で定義するとおりのアリールシクロアルキルから、アリール部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。適切なシクロアルキルアリールの非限定的な例は、親部分への結合が芳香族の炭素原子を介していることの他は、アリールシクロアルキル基について本明細書中で記載したとおりである。
【0088】
「ヘテロアリールシクロアルキル」は、縮合された、本明細書中で定義するとおりのヘテロアリールとシクロアルキルから、シクロアルキル部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。好ましいヘテロアリールシクロアルキルは、このヘテロアリールが約5〜約6個の環原子を含み、かつシクロアルキルが約5〜約6個の環原子を含むものである。ヘテロアリールの前の接頭辞のアザ、オキサ、もしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールシクロアルキルは、1個以上の環系置換基によって必要に応じて置換され得、この「環系置換基」は、上記に定義されたとおりである。ヘテロアリールシクロアルキルのヘテロアリール部分の窒素原子は、対応するN−酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切なヘテロアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾオキサゾリル、1H−4−オキサ−1,5−ジアザナフタレン−2−オニル、1,3−ジヒドロイミジゾール−[4,5]−ピリジン−2−オニルなどが挙げられる。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0089】
「シクロアルキルヘテロアリール」は、縮合された、本明細書中で定義されるヘテロアリールシクロアルキル(beteroarylcycloalkyl)から、ヘテロアリール部分より水素原子を取り除くことによって誘導された基を意味する。適切なシクロアルキルヘテロアリールの非限定的な例は、親部分への結合が芳香族の炭素原子であることの他は、ヘテロアリールシクロアルキルについて本明細書中で記載したとおりである。
【0090】
「アラルケニル」は、アリール−アルケニル−基を意味し、ここで、アリールおよびアルケニルは、上記のとおりである。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なアラルケニル基の非限定的な例としては、2−フェネテニル(2−phenethenyl)および2−ナフチルエテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介してである。
【0091】
「アラルキニル」は、アリール−アルキニル基を意味し、ここで、アリールおよびアルキニルは上記のとおりである。好ましいアラルキニルは、低級アルキニル基を含む。親部分への結合は、アルキニルを介してである。適切なアラルキニルの非限定的な例としては、フェナセチレニル(phenacetylenyl)およびナフチルアセチレニルが挙げられる。
【0092】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは上記のとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0093】
「ヘテロアラルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルケニルは上記のとおりである。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なヘテロアラルケニル基の非限定的な例としては、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介してである。
【0094】
「ヘテロアラルキニル」は、ヘテロアリール−アルキニル基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキニルは上記のとおりである。好ましいヘテロアラルキニルは、低級アルキニル基を含む。適切なヘテロアラルキニル基の非限定的な例としては、ピリド−3−イルアセチレニルおよびキノリン−3−イルアセチレニルが挙げられる。親部分への結合は、アルキニルを介してである。
【0095】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは上記で定義されたとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0096】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基もしくはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は上記のとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0097】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記のとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0098】
「ヘテロアロイル」は、ヘテロアリール−C(O)−基を意味し、ここで、ヘテロアリール基は上記のとおりである。適切な基の非限定的な例としては、ニコチノイルおよびピロール−2−イルカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0099】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記のとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0100】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記のとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0101】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記のとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0102】
「アルキルアミノ」は、−NHもしくは−NH基を意味し、ここで、窒素上の水素原子のうちの1個以上が、上記で定義したとおりのアルキル基によって置き換えられる。
【0103】
「アリールアミノ」は、−NHもしくは−NH基を意味し、ここで、窒素上の水素原子のうちの1個以上が、上記で定義したとおりのアリール基によって置き換えられる。
【0104】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記のとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0105】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は、上記のとおりである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0106】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記のとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0107】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0108】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0109】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0110】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0111】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルフィニルを介してである。
【0112】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0113】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基をする。親部分への結合は、スルフィニルを介してである。
【0114】
式Iの炭素は、全ての原子価の必要条件が満たされるのであれば、1〜3個のケイ素原子で置き換えられ得ることが注記される。
【0115】
用語「必要に応じて置換された」は、利用可能な位置(単数もしくは複数)における特定の基、ラジカルもしくは部分での必要に応じた置換を意味する。
【0116】
化合物内の部分(例えば、置換基、基もしくは環)の数に関して、他に定義がない限り、「1個以上」および「少なくとも1個」のフレーズは、化学的に許容されるだけの数の部分が存在し得ることを意味し、そしてこのような部分の最大数の決定は、当業者の知識内に充分に入る。
【0117】
任意の要素もしくは式において1つより多くの何らかの可変物(例えば、アリール、ヘテロシクリル、Rなど)が存在する場合、それぞれの存在箇所におけるその定義は、他の全ての存在箇所におけるその定義とは独立する。
【0118】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的にもしくは間接的に生じた任意の生成物を包含することが意図される。
【0119】
環系中に引かれた線(例えば:
【0120】
【化20】

)は、表示された線(結合)が、置換可能な環の炭素原子のいずれかに結合され得ることを示す。
【0121】
当該分野において周知であるように、そうでないと述べられていない限り、結合の最終末端において部分が何も描かれていない、特定の原子から引かれている結合は、その結合をとおしてその原子に結合しているメチル基を意味する。例えば:
【0122】
【化21】

を表す。
【0123】
本明細書中の本文、スキーム、実施例、構造式および任意の表中の不十分な原子価の任意の炭素もしくはヘテロ原子は、その原子価を満たすために水素原子(単数もしくは複数)を有するとみなされていることも注意されるべきである。
【0124】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用される場合、薬物の前駆物質である化合物を意味し、これは被験体への投与の際に、代謝プロセスもしくは化学的プロセスによって化学変換を受けて、式Iの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる。プロドラッグに関する考察は、A.C.S.Symposium SeriesのT.Higuchi and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987) Volume14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche(編)、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press内に提供されており、これらは両方とも本明細書中に参考として援用される。
【0125】
例えば、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物が、カルボン酸官能基を有する場合、プロドラッグは、酸の基の水素原子を、基(例えば、(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−もしくはモルホリノ(C−C)アルキルなど)で置き換えることによって形成されるエステルを含み得る。
【0126】
同様に、式Iの化合物が、アルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、基(例えば、(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシルもしくはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、各α−アミノアシル基は、天然のL−アミノ酸より独立して選択される)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)もしくはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を取り除くことで生じるラジカル)など)で置き換えることによって形成され得る。
【0127】
式Iの化合物がアミン官能基を含む場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子を、基(例えば、RおよびR’がそれぞれ独立して(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルであるか、あるいはR−カルボニルが天然α−アミノアシルもしくは天然−アミノアシルである、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル、YがH、(C−C)アルキルもしくはベンジルである−C(OH)C(O)OY、Yが(C−C)アルキルであり、Yが(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである−C(OY)Y、YがHもしくはメチルであり、そしてYがモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである−C(Y)Yなど)で置き換えることで形成され得る。
【0128】
「有効量」もしくは「治療上有効な量」は、mGluR(特にmGluR1)を拮抗するに有効な本発明の化合物もしくは組成物の量であり、ゆえに、所望する治療効果、改善効果、阻害効果もしくは予防効果を適切な患者において生じることを説明すると意味される。
【0129】
「カプセル」は、活性成分を含む組成物を保持もしくは含むためのメチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性したゼラチンもしくはデンプンでできた特別な容器もしくは囲い物を説明すると意味される。硬い殻のカプセルは、典型的に相対的に高いゲルの強い骨と豚の皮のゼラチンとの混合からできている。カプセル自体は、少量の染料、不透明因子、可塑剤、および保存料を含み得る。
【0130】
「錠剤」は、活性成分を適切な希釈剤と一緒に含む圧縮または成型された固体の投薬形態を説明すると意味される。この錠剤は、混合物を圧縮することによって、または湿式造粒法、乾燥式造粒法、もしくは圧縮から得られる顆粒化によって、調製され得る。
【0131】
「経口ジェル」は、親水性の半固体のマトリックス中に拡散または溶解された活性成分を説明すると意味される。
【0132】
「粉末の構成」は、活性成分と水もしくは液中に浮遊させた適切な希釈剤とを含む粉末混合物を意味する。
【0133】
「希釈剤」は、通常、組成物もしくは投薬形態の大部分を構成する物質を意味する。適切な希釈剤としては、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール);麦、とうもろこし、米、およびじゃがいもからとれるデンプン;ならびにセルロース(例えば、微結晶セルロース)が挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、総組成物の約10重量%〜約90重量%の範囲であり得、好ましいのは、約25重量%〜75重量%で、さらに好ましいのは、約30重量%〜約60重量%で、もっとさらに好ましいのは、約12重量%〜約60重量%である。
【0134】
「崩解剤」は、組成物を壊し(分解)、薬物を放出するのを促進するために組成物に加えられる物質を意味する。適切な崩解剤としては、デンプン;「冷水に可溶な」に変化したデンプン(例えば、カルボキシメチルナトリウムデンプン);天然もしくは合成ゴム(例えば、イナゴマメ、カラヤゴム、グアール、トラガカントゴムおよび寒天);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム);微結晶セルロースおよび架橋微結晶セルロース(例えば、クロスカルメロース);アルギン酸塩(例えば、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウム);粘土(例えば、ベントナイト);ならびに発泡性の混合物が挙げられる。組成物中の崩解剤の量は、組成物の約2重量%〜約15重量%の範囲で、より好ましいのは約4重量%〜約10重量%であり得る。
【0135】
「結合剤」は、粉末を結合もしくは「接着」し、顆粒を形成することで粘着性のある物質にし、その処方物中で「粘着性物質」として使用する物質を意味する。結合剤は、希釈因子もしくは増大因子に既に利用できる粘着力を加える。適切な結合剤として、糖(例えば、スクロース);麦、とうもろこし 米、およびじゃがいもからとれるデンプン;天然ゴム(例えば、アカシア、ゼラチンおよびトラガカント);海草の派生物(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸アンモニウムカルシウム);セルロース系物質(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース);ポリビニルピロリドン;および無機物(例えば、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩)が挙げられる。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2重量%〜約20重量%の範囲で、さらに好ましいのは約3重量%〜約10重量%で、もっとさらに好ましいのは約3重量%〜約6重量%であり得る。
【0136】
「滑剤」は、錠剤、顆粒などが圧縮されたあとに、摩擦もしくは水を減らすことで型もしくはダイス型から離れるのを促進するために投薬形態に加えられる物質を説明すると意味される。適切な滑剤として、金属のステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、もしくはステアリン酸カリウム);ステアリン酸;高い融点のろう;および水に可溶の滑剤(例えば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびd’l−ロイシン)が挙げられる。滑剤は通常、それらが顆粒の表面、および顆粒と錠剤圧縮機のパーツとの間になければいけないので、圧縮前の最後の段階で加えられる。組成物中の滑剤の量は、組成物の約0.2重量%〜約5重量%で、好ましいのは約0.5重量%〜約2重量%で、さらに好ましいのは約0.3重量%〜約1.5重量%の範囲であり得る。
【0137】
「グリデント(glident)」は、顆粒が固まるのを防ぎ、その流動の性質を向上させ、その結果流動を順調にし、均質にする物質を意味する。適切なグリデントとしては、二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。組成物中のグリデントの量は、総組成物の約0.1重量%〜約5重量%内で変わり得、好ましいのは約0.5重量%〜約2重量%であり得る。
【0138】
「着色料」は、組成物もしくは投薬形態に着色を提供する賦形剤を意味する。このような賦形剤は、食品基準の染料、および適切な吸着物質(例えば、粘土もしくは酸化アルミニウム)に吸着した食品基準の染料を含み得る。着色料の量は、組成物の約0.1重量%〜約5重量%内で変わり得、好ましいのは約0.1重量%〜約1重量%であり得る。
【0139】
「バイオアベイラビリティー」は、標準またはコントロールと比べて投与される投薬形態から活性薬の成分もしくは治療学的部分が全身循環に吸収される割合および程度を意味する。錠剤の調製の一般的方法は公知である。このような方法としては、乾燥方法(例えば、直接圧縮およびぎっしりつめることによる顆粒の圧縮)、もしくは湿式方法、または他の特別な手順が挙げられる。投与のための他の形態(例えば、カプセル、坐薬など)の調製の従来の方法もまた周知である。
【0140】
式Iの化合物は、塩を形成し、この塩もまた本発明の範囲内にある。他に示されない限り、本明細書中の式Iの化合物への言及は、その塩への言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用される場合、無機酸および/もしくは有機酸を使って形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/もしくは有機塩基を使って形成される塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンもしくはイミダゾールだが、これらに限定されない)、および酸性部分(例えば、カルボン酸だが、これに限定されない)の両方を含む場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用される場合、用語「塩」に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学上受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。例えば、媒質中(例えば、塩を沈殿させる媒質中もしくはその後凍結乾燥を行う水性媒質中)で式Iの化合物とある量(例えば、等量)の酸もしくは塩基を反応させることにより、式Iの化合物の塩が形成され得る。塩基性(もしくは酸性)の薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適していると一般的に考えられる酸(および塩基)は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry (1996)、Academic Press、New Yorkによって;The Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.ウェブサイトにて);およびP.Heinrich Stahl、Camille G.Wermuth(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(2002)Int’l. Union of Pure and Applied Chemistry、pp.330−331中で議論されている。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0141】
典型的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート(pivalate)、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(本明細書中で述べたようなもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。
【0142】
典型的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機塩基(例えば、有機アミン)(例えば、ベンザチン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンで形成)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド(N−methyl−D−glucamide)、t−ブチルアミン、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、コリン、トロメタミン)との塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、薬剤(例えば、ハロゲン化低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸のジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物)など)によって、四級化され得る。
【0143】
このような酸性塩および塩基性塩は全て、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることが意図されており、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のためには、対応する化合物の遊離した形態と等価であるとみなされる。
【0144】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性体の形態で(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして)存在し得る。このような互変異性の形態は全て、本明細書中で、本発明の一部として企図される。
【0145】
本化合物のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(化合物の塩、溶媒和物、およびプロドラッグの立体異性体、ならびにプロドラッグの塩および溶媒和物の立体異性体を含む)(例えば、エナンチオマー形態(不斉炭素がなくても存在し得る)、回転異性体の形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマーの形態を含め、種々の置換基上の不斉炭素について存在し得るもの)は、本発明の範囲内にあることが企図される。例えば、式Iの化合物が二重結合もしくは縮合環を含む場合、シス−形態およびトランス−形態の両方ならびに混合物が本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよいし、または例えばラセミ体として、もしくは他の全ての立体異性体と、もしくは他の選択された立体異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されているとおりのS配置もしくはR配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ体、もしくはプロドラッグの塩、溶媒和物、およびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0146】
ジアステレオマーの混合物は、それらの物理的、化学的相違を基に、当業者に周知の方法(例えば、クロマトグラフィー、および/もしくは分別結晶)によって、それらの個々のジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールもしくはMosherの酸塩化物のようなキラルの補助物)との反応により、そのエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、そのジアステレオマーを分離し、それぞれのジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解)ことで、分離され得る。また、式Iの化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であり得、これらは本発明の一部とみなされる。エナンチオマーもまたキラルHPLCカラムの使用によって分離され得る。
【0147】
式Iの化合物の化合物の多形形態、ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグの多形形態は、本発明に含まれることが意図される。
【0148】
本発明はまた、同位体的に標識された本発明の化合物を包含し、これは、本明細書中に詳述した化合物と同一であるが、一つ以上の原子が、通常天然で確かめられる原子質量もしくは質量数と異なる原子質量もしくは質量数を有する原子と置換される。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体(例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Cl)が挙げられる。
【0149】
特定の同位体的標識をした式(I)の化合物(例えば、Hおよび14Cで標識をしたもの)は、化合物および/もしくは基質の組織類別アッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわち、H)および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、それらの調製および検出のしやすさのために、特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)のようなより重い同位体を有する置換基は、より高い代謝の安定性(例えば、インビボの半減期を伸ばす、または必要投与量を下げる)から生じる特定の薬学的利点を生じ得て、ゆえに、ある状況においては好ましくなり得る。同位体的標識をした式(I)の化合物は、一般的に、本明細書の後記のスキームおよび/もしくは実施例において開示される手順と類似した手順に沿って、同位体的標識をしていない因子を適切な同位体的標識をした因子で置換することで調製され得る。
【0150】
本発明に記載の化合物は、薬学的特性を有しており;特に、式Iの化合物は、mGluR(代謝性グルタミン酸レセプター)アンタゴニストであり得、よえい詳細には、選択的mGluR1アンタゴニストであり得る。したがって、本化合物は、mGluR(より詳細には、mGluR1)機能を阻害することによって処置可能もしくは予防可能である状態の処置もしくは予防において有用である。このような状態は、興奮性アミノ酸伝達の過剰もしくは不適切な刺激に関連する種々の急性および慢性の神経学的障害ならびにグルタミン酸欠乏機能を引き起こす状態を包含する。
【0151】
処置可能もしくは予防可能な急性神経学的障害の例としては、心臓のバイパス手術および移植後の大脳欠陥、大脳虚血、脳卒中(虚血性もしくは出血性)、脊髄損傷(外傷、梗塞/虚血もしくは炎症による)、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止および低血糖性神経損傷が挙げられるが、これらに限定されない。処置可能もしくは予防可能な慢性神経学的障害としては、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDS誘発性痴呆、遺伝性運動失調、眼の損傷および網膜症、認知障害、ならびに突発性および薬物誘発性パーキンソン病が挙げられるが、これらに限定されない。式Iの化合物によって処置可能もしくは予防可能である、グルタミン酸機能障害に関連した他の状態としては、筋痙攣、痙攣(例えば、てんかん)、痙縮、片頭痛(月経性片頭痛を含む)、精神病(例えば、統合失調症および双極性障害)、尿失禁症、不安および関連障害(例えば、パニック発作)、嘔吐、脳水腫、晩発性ジスキネジー、うつ病、薬物耐性および離脱(例えば、アヘン製剤、ベンゾジアゼピン、ニコチン、コカインもしくはエタノール)ならびに喫煙の停止が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
式Iの化合物はまた、神経障害性(神経損傷)もしくは炎症性(組織損傷)であり得る疼痛を処置もしくは予防するのに有用である。これらの化合物は特に、神経障害性疼痛を処置もしくは予防するのに有用である。本明細書中で使用される神経障害性疼痛とは、疼痛感覚の異常な状態をいう。この状態においては、創傷、圧迫、感染、癌、虚血などによって起こる)もしくは代謝障害(例えば、真性糖尿病など)によって引き起こされる、神経、叢もしくは神経周囲の軟部組織の損傷もしくは変性に伴う機能異常に起因する疼痛の閾値の低下などが継続する。神経障害性疼痛は、中枢神経もしくは末梢神経の損傷のいずれかによって引き起こされる疼痛を包含する。これはまた、単神経障害もしくは多発性神経障害のいずれかによって起こされる疼痛も包含する。いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛は糖尿病によって誘発される。他の実施形態において、神経障害性疼痛は、神経の圧迫によって誘発される。
【0153】
本化合物によって処置可能もしくは予防可能な神経障害性疼痛の例としては、異痛症(通常は疼痛を起こさない機械的刺激もしくは熱刺激によって誘発される疼痛感覚)、痛覚過敏(通常痛い刺激に対する過剰応答)、知覚過敏(接触刺激に対する過剰応答)、糖尿病性多発性神経障害、エントラップメント神経障害、癌の疼痛、中枢痛、陣痛、心筋梗塞の疼痛、脳卒中後の疼痛、膵臓痛、大腸痛、筋肉痛、手術後の疼痛、集中治療に関する疼痛、歯周病に関する疼痛(歯肉炎および歯周炎を含む)、月経痛、片頭痛、持続性の頭痛(例えば、群発性頭痛もしくは慢性の緊張性頭痛)、持続性の疼痛状態(例えば、線維筋痛症もしくは顔面筋疼痛)、三叉神経痛、治療後の神経痛、関節炎の疼痛(例えば、変形性関節症もしくは関節リウマチによる疼痛)、滑液包炎、AIDSに関連する疼痛、内臓痛(例えば、間質性膀胱炎および過敏性腸症候群(IBS))、脊髄損傷および/もしくは変性による疼痛、熱傷疼痛、関連痛、疼痛の強調された記憶および疼痛に対処することに関わるニューロンのメカニズムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、異痛症および痛覚過敏を処置もしくは予防するのに特に有用である。
【0154】
式Iの化合物はまた、炎症もしくは炎症性疾患に関連する疼痛を患者において処置もしくは予防するのにも有用である。炎症もしくは炎症性疾患に関連する、本化合物によって処置可能もしくは予防可能な疼痛は、体の組織の炎症のある箇所に発生し得、これは局所的炎症性応答および/もしくは全身性炎症であり得る。例えば、本化合物は、炎症性疾患(臓器移植拒絶;臓器移植(心臓、肺、肝臓もしくは腎臓の移植を含む)の結果起こる再酸素化損傷;関節の慢性炎症性疾患(関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、および上昇した骨吸収に関連する骨疾患を含む);炎症性肺疾患(例えば、ぜんそく、成人呼吸窮迫症候群および慢性の閉塞性気道疾患を含む);眼の炎症性疾患(角膜ジストロフィ、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎および眼内炎を含む);歯肉の慢性炎症性疾患(歯肉炎および歯周炎を含む);結核症;らい病;腎臓の炎症性疾患(尿毒症性合併症、糸球体腎炎およびネフローゼを含む);皮膚の炎症性疾患(強皮症(sclerodermatitis)、乾癬および湿疹を含む);中枢神経系の炎症性疾患(神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、AIDS関連の神経変性およびアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンティングトン病、筋萎縮性側索硬化症ならびにウイルス性もしくは自己免疫性脳炎を含む);自己免疫疾患(I型糖尿病およびII型糖尿病を含む);糖尿病性合併症(糖尿病性の白内障、緑内障、網膜症、腎症(例えば、ミクロアルブミン尿(microaluminuria)および進行性糖尿病性腎症)、多発性神経障害、単神経障害、自律神経性神経障害、足の壊疽、アテローム性冠状動脈疾患、周囲動脈疾患、高浸透圧性非ケトン性昏睡、足の潰瘍、関節の問題、および皮膚もしくは粘膜の合併症(例えば、感染、脛の斑点、カンジダ感染およびリポイド類壊死症)を含む);免疫複合体性脈管炎および全身性エリテマトーデス(SLE);心臓の炎症性疾患(例えば、心筋症、虚血性心臓疾患 高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症);ならびに重大な炎症性要素を有し得る多種の他の疾患(子かん前症、慢性肝不全、脳および脊髄の損傷ならびに癌を含む)が挙げられるが、これらに限定されない)に関連する疼痛を処置もしくは予防するために使用され得る。
【0155】
本化合物はまた、体の全身性炎症(例えば、グラム陽性もしくはグラム陰性ショック、出血性もしくはアナフィラキシーショック、癌の化学療法によって誘発される炎症促進性サイトカインに応答したショック(例えば、炎症促進性サイトカインに関連したショック)および癌の処置として投与された薬剤によって誘発されるショック)を含む炎症性疾患に関連した疼痛を処置もしくは予防するために使用され得もする。
【0156】
本発明の一局面は、選択的にmGluR1を拮抗する方法を必要とする細胞内において選択的にmGluR1を拮抗する方法に関連しており、この方法は、この細胞を、少なくとも1つの式Iの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と接触させる工程を包含する。
【0157】
用語「代謝性グルタミン酸レセプター(例えば、mGluR1)のアンタゴニスト」は、代謝性グルタミン酸レセプター(例えば、mGluR1)に結合するが、応答を引き出すことができず、それによってアゴニスト作用を遮断する(すなわち、mGluR(例えば、mGluR1)の機能を阻害する)化合物をいう。したがって、mGluR(例えば、mGluR1)媒介性のプロセスおよび応答は、mGluR(例えば、mGluR1)のアンタゴニストを使用して阻害され得る。好ましくは、アンタゴニストは、グループIのmGluRを選択的に拮抗する。さらに好ましくは、本発明のアンタゴニストは、mGluR1の選択的アンタゴニストである。mGluR1の選択的アンタゴニストは、mGluR1を拮抗するが、他のmGluRをほんの弱くしか拮抗しないか、もしくは実質的に全く拮抗しないか、または他のmGluRを、それがmGluR1を拮抗する際のIC50の少なくとも10倍(または、さらには100倍もしくは1000倍)のIC50で少なくとも拮抗するものである。最も好ましいアンタゴニストは、低濃度でmGluR1を選択的に拮抗し得るもの(例えば、100nM以下の濃度で50%以上の拮抗作用のレベルを起こすもの)である。
【0158】
本発明の別の局面は、mGluR1に関連する疾患もしくは状態を処置もしくは予防する方法が必要な哺乳動物(例えば、ヒト)においてmGluR1に関連する疾患もしくは状態を処置もしくは予防する方法に関連しており、この方法は、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、この哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0159】
好ましい投与量は、1日あたり、体重1kgあたり約0.001mg/kg〜500mg/kgの式Iの化合物である。特に好ましい投与量は、1日あたり、体重1kgあたり約0.01mg/kg〜25mg/kgの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0160】
本発明の化合物はまた、上記の障害もしくは状態を処置するための1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせて(一緒にもしくは逐次的に投与される)も有用であり得る。このようなさらなる治療剤は、疼痛管理剤(非オピオイド鎮痛薬(例えば、アセチルサリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ジフルシナル(diflusinal)およびナプロキセン);およびオピオイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ、ヒドロモルホン、メタドン、レボルファノール、フェンタニール、オキシコドンおよびオキシモルホン)を含む)であり得る。他のこのような治療剤は、非ステロイド抗炎症剤、抗片頭痛剤、Cox−IIインヒビター、制吐薬、βアドレナリン遮断薬、鎮痙薬、抗うつ薬、Ca2+チャネル遮断薬、抗癌剤、尿失禁(UI)を処置もしくは予防するための薬剤、アルツハイマー病を処置するための薬剤、炎症性腸疾患(IBD)を処置もしくは予防するための薬剤、炎症性腸症候群(IBS)を処置もしくは予防するための薬剤、パーキンソン病もしくは振せん麻痺を処置するための薬剤、不安を処置するための薬剤、てんかんを処置するための薬剤、脳卒中を処置するための薬剤、精神病を処置するための薬剤、ハンティングトン舞踏病を処置するための薬剤、ALSを処置するための薬剤、嘔吐を処置するための薬剤、ジスキネジーを処置するための薬剤、もしくはうつ病を処置するための薬剤、およびこれらの混合物)であり得る。
【0161】
固定用量として処方された場合、このような組み合わせの製品は、本明細書中に記載する投与量の範囲内の本発明の化合物およびこの投与量の範囲内の他の薬学的活性剤もしくは治療剤を使用する。式Iの化合物はまた、組み合わせの処方物が不適切な場合は、公知の治療剤と逐次的に投与され得もする。本発明は、投与の順序に限定されずに;式Iの化合物は、公知の治療剤の投与の前もしくは後のいずれかに投与され得る。このような技術は、当業者ならびに担当医の技術の範囲内である。
【0162】
したがって、一局面において、本発明は、ある量の少なくとも1つの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、ある量の1つ以上の上に列挙したようなさらなる治療剤を含む組み合わせを包含し、ここで、この化合物/治療剤の量は、所望する治療学的効果を生じる。
【0163】
本発明の化合物の薬学的特性は、多くの薬学的アッセイによって確認され得る。代謝性グルタミン酸レセプター1(mGluR1)に対する本発明の化合物の選択的拮抗活性は、当該分野において公知な方法によって(例えば、実施例中に記載されるような方法を使用することによって)アッセイされ得る。
【0164】
疼痛の処置もしくは予防に対する式Iの化合物の作用は、多種の動物モデルによって評価され得、例えば、以下のテストによってである。
【0165】
ホルマリンテスト:マウスを緩やかに拘束し、そしてマウスの右後ろ足の足裏の表面に30μlのホルマリン溶液(食塩水中1.5%)を、27ゲージ針の微量注射器を使用して皮下注入する。ホルマリン注入の後、このマウスを直ちにPlexiglas観察箱(30×20×20cm)内に戻し、そしてホルマリン注入に対する動物の侵害受容応答を60分間観察する。注入された足を舐めることおよび足のたじろぎの持続期間を記録し、そして総観察期間にわたって5分ごとに定量する。初期相(第一相)の記録をすぐに開始し、そして5分間続ける。後期相(第二相)を、ホルマリン注入から約10〜15分後に開始する。
【0166】
坐骨神経のL5およびL6脊髄神経結紮(神経障害性疼痛モデル):小さい変更を除き、Kim and Chung(1992年)によって先に記載された方法にしたがい、右坐骨神経のL5およびL6脊髄神経を結紮することによって末梢神経障害を作り出す。簡単に述べると、ラットを抱水クロラール(400mg/kg、i.p.)で麻酔にかけ、うつ伏せの状態で配置し、L4〜S2のレベルの棘突起から右傍脊柱筋を単離する。L5横突起を小さい骨鉗子で注意深く取り除いて、L4〜L5脊髄神経を同定する。右L5およびL6脊髄神経を単離し、そして、7/0の絹糸で固く結紮する。完全な血流遮断を確認し、そして創傷を縫合する。
【0167】
坐骨神経の慢性狭窄性損傷(CCI)(神経障害性疼痛モデル):Bennett & Xie(1987年)によって記載された方法にしたがい、手術を行なう。ラットを抱水クロラール(400mg/kg、i.p.)で麻酔にかけ、そして共通の坐骨神経を大腿中部のレベルで露出させる。おおよそ、神経三分枝から約1cm離れて、4本のゆるい結紮糸(4/0絹)で1mm間隔で神経の周りを結ぶ。この結紮糸は、外側の脊髄の神経弓上の脈管構造じゅうの循環を遅らせるが、停止はさせない。第二の動物グループにおいて、結紮糸の配置の他は同じ手順を実施する(偽の手術)。
【0168】
カラゲナン(炎症性疼痛モデル):各動物の右後ろ足に、足裏下部のレベルで0.1mLのカラゲナンを注入する(25GA針)。カラゲナンもしくは薬剤の投与の前に、前テストが決定される。治療後のプロトコルにおいて、カラゲナン処置の3時間後にラットをテストして、痛覚過敏の存在を確立し、そしてその後、薬剤投与後の異なる時間においてラットをテストする。処置前プロトコルにおいて、薬剤投与の1時間後に、ラットをカラゲナンで処置し、そして3時間後にテストを開始する。
【0169】
Freundアジュバント誘発性の関節炎モデル(炎症性疼痛モデル):動物の単一の足裏下に、パラフィンオイルと乳化剤(モノオレイン酸マンノイド(mannoid monooleate))との混合物中の500mg用量の熱殺菌し、そして乾燥させたヒト型結核菌(H37 Ra、Difco Laboratories、Detroit、MI、USA)(完全Freundアジュバント)を100mL注入する。対照動物に、0.1mLの鉱油(不完全Freundアジュバント)を注入する。
【0170】
接触異痛症の測定(行動(behavioural)テスト):行動テストは、既日リズムの機能を避けるために日中の周期の間は処置に対して盲検的な観察者によって行なわれる。接触感性を、検定されたSemmes−Weinstein(Stoelting、IL)von Freyのフィラメント(屈曲力は0.25〜15gの範囲である)を使用して評価する。ラットを、金属のメッシュの床が備えられた透明なプラスチックの箱に配置し、そして実験開始前に、この環境に慣らす。このvon Freyのフィラメントを、同側の後ろ足の足裏の真ん中の表面に垂直にあて、そして、刺激の強さの連続的な増加および減少によって機械的異痛症を決定する(フィラメント表示の「アップ−ダウン」模範)。データを、Dixonの非パラメトリック検定(Chaplanら、1994年)を使用して分析する。刺激の後に、足を舐めることもしくは足を勢いよく振ることが、疼痛のような応答とみなされる。
【0171】
熱痛覚過敏(行動テスト):熱侵害受容の指数として足を引っ込める潜伏時間を測定することによって、放射熱に対する熱痛覚過敏を評価する(Hargreavesら、1998年)。痛覚過敏に対するその感度がゆえに、足裏のテスト(Basile、Comerio、Italy)が選択される。簡単に述べると、このテストは、ラットが配置されているガラス平面の下に配置されている可動式の赤外線源を含む。3つの個々のパースペクスの箱は、3匹のラットを同時にテストすることを可能にする。赤外線源は、後ろ足の足裏の表面の直接下に配置されており、この足を引っ込める潜伏時間(PWL)は、ラットがその後ろ足を熱源から移動させるのにかかる時間として定義される。PWLは、各ラットの両方の後ろ足について3回行なわれ、各足の平均値は、ラットの熱疼痛閾値を表した。放射熱源は、ベースラインの潜伏時間が10〜12秒になるように調節される。組織損傷を防ぐために、機器のカットオフは21秒に固定される。
【0172】
体重支持(weight bearing)(行動テスト):後ろ足の重さの分布の決定のために、無能力試験機(incapacitance tester)を使用する。ラットを、各後ろ足が別々の力のプレート(force plate)上に置けるように傾けられたプレキシガラスの箱に配置する。この体重支持テストは、関節炎のラットの病理学的状態の何のストレスもしくは刺激も与えない直接的な測定を表し、したがって、このテストは、動物の自発的な疼痛行動を測定する。
【0173】
活性成分は単独で投与されることが可能であるが、薬学的組成物として存在することが好ましい。本発明の組成物は、上記で定義したような少なくとも1つの活性成分を、1つ以上のその受容可能なキャリア、アジュバント、もしくはビヒクルおよび必要に応じて他の活性因子とともに含む。各キャリア、アジュバントもしくはビヒクルは、組成物の他の成分との適合性の意味では、受容可能でなければならず、処置の必要な哺乳動物にとって有害であってはならない。
【0174】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルと、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルとを含む薬学的組成物にも関連している。
【0175】
本発明によって記載されている化合物から薬学的組成物を調製するためには、不活性の薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散可能な顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5〜約95%の活性成分を含み得る。適切な固体キャリアは、当該分野で公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖もしくはラクトース)。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固体の投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および多種の組成物の製造の方法は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania内で見出され得る。
【0176】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。例としては、非経口の注射のための水もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液、およびエマルジョンのための甘味料および乳白剤の添加が挙げられ得る。液体形態の調製物としてはまた、鼻腔内投与のための溶液も挙げられ得る。
【0177】
吸入に適したエアゾールの調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、圧縮不活性ガス(例えば、窒素))と組み合わせられ得る、溶液および粉末状の固体が挙げられ得る。
【0178】
また、経口もしくは非経口いずれかの投与のために使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図された固体形態の調製物も挙げられる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。
【0179】
本発明の化合物はまた、経皮的にも送達され得る。経皮的な組成物は、クリーム、ローション、エアゾール、および/もしくはエマルジョンの形態をとり得、この目的のために当該分野で従来行なわれるように、マトリックスもしくは貯蔵タイプの経皮パッチに含まれ得る。
【0180】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得もする。
【0181】
好ましくは、この化合物は経口投与される。
【0182】
好ましくは、本薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、調製物は、適切な量(例えば、所望する目的に達するに有効な量)の活性成分を含む適切なサイズの単位用量に細分される。
【0183】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、具体的な用途にしたがって、変わり得るか、もしくは約1mg〜約100mgに調整され得、好ましくは、約1mg〜約50mg、さらに好ましくは、約1mg〜約25mgに調整され得る。
【0184】
使用される実際の投薬量は、患者の必要条件および処置される状態の重症度に依存して変わり得る。個々の状態に対する適切な投薬レジメンの決定は、当該分野の技術範囲内である。便宜上、1日の総投薬量は細分され得、必要であれば、1日の間に少しずつ投与され得る。
【0185】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルの投与の量および頻度は、患者の年齢、状態、および大きさ、ならびに処置される症状の重症度といった要素を考慮して、担当医の判断にしたがって調節される。経口投与の一般的に推奨される1日あたりの投薬レジメンは、2〜4分割した用量で、約1mg/日〜約500mg/日(好ましくは、1mg/日〜200mg/日)の範囲であり得る。
【0186】
本発明の別の局面は、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルと、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルとを含んだキットである。
【0187】
本発明のさらに別の局面は、ある量の少なくとも1つの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルと、ある量の少なくとも1つの上に列挙したさらなる治療剤とを含んだキットであり、ここで、この2つ以上の成分の量は、所望する治療学的効果を生じる。
【0188】
本明細書中に開示されている本発明は、以下の調製および実施例によって例示されているが、この調製および実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。代わりの機構的な経路および類似した構造は、当業者に明白となる。
【0189】
NMRのデータが示されている場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)、Varian Mercury VX−400(400MHz)もしくはBruker−Biospin AV−500(500MHz)のいずれかで得られ、括弧内に示されたプロトン数および多重性とともにppmとして報告される。LC/MSデータが示されている場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析器およびC18カラム(10〜95%のCHCN〜HO(0.05%TFAを有する)勾配)を利用して行なわれた。観察された親イオンが与えられる。
【0190】
以下の溶媒および試薬は、括弧内のそれらの略語によって表され得る:
Me=メチル;Et=エチル;Pr=プロピル;Bu=ブチル;Ph=フェニルおよびAc=アセチル
μl=マイクロリットル
AcOEtもしくはEtOAc=酢酸エチル
AcOHもしくはHOAc=酢酸
ACN=アセトニトリル
atm=気圧
BocもしくはBOC=tert−ブトキシカルボニル
DCMもしくはCHCl:ジクロロメタン:
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMS=ジメチルスルフィド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
Fmoc=9−フルオレニルメトキシカルボニル
g=グラム
h=時間
HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
LAH=水酸化リチウムアルミニウム
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析
min=分
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
mmol=ミリモル
MCPBA=3−クロロ過安息香酸
MeOH:メタノール
MS=質量分析
NMR=核磁気共鳴分光学
RTもしくはrt=室温(周囲、約25℃)
TEAもしくはEtN=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
TMS=トリメチルシリル
Tosもしくはtosyl=p−トルエンスルホニル
Tr=トリフェニルメチル
【実施例】
【0191】
一般的に、本発明の化合物は、公知であるかもしくは容易に調製される出発物質から、当業者に公知である方法および以下に図示される方法にしたがって調製され得る。本化合物の全ての立体異性体および互変異生体の形態が企図される。
【0192】
【化22】

【0193】
【化23】

(実験手順)
【0194】
【化24−1】

方法A:(参照:H. ZipseおよびL.−H. Wang、LiebigsAnn.、1996年、1501−1509)
シアノアセトアミド(8.4g、0.10mol)とジメチルアセトアミドジメチルアセタール(14.6mL、0.1mol)の混合物を、乾燥エタノール(150mL)中で還流で、窒素雰囲気下で2.5時間加熱した。生じた2−シアノ−3−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの白色結晶(10.0g、0.07mol)をろ過し、エタノールで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。これに、N,N−ジメチル−ホルムアミドジメチルアセタール(8.1g、0.07mol)を加え、そしてこの混合物を、乾燥トルエン(100mL)中で、還流で1時間加熱し、減圧下で溶媒をエバポレートさせた。残渣を150℃で30分間適切に加熱し、冷却し、アセトンで2回洗浄し、そして真空下で乾燥させて、化合物2を得た。
【0195】
【化24−2】

10に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=164.1、実測値 m/z=164.2。
【0196】
【化25】

方法B:(参照:M. Yu. Yakovlev、O. B. Romanova、S. I. Grizik、A. V. KadushkinおよびV. G. Granik、Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurmal、1997年、31(11)、44−47)
化合物2(9.34g、0.06mol)に、オキシ塩化リン(95mL、1.02mol)を加え、そしてこの混合物に、トリエチルアミン(4ml、0.029mol)を一滴ずつ加えた。生じた混合物を還流で3時間加熱し、室温まで冷却し、そして氷水でクエンチングした。その後、この混合物を、40%水酸化ナトリウム溶液を使用して塩基性化し、生じた沈殿物をろ過し、中性まで水で洗浄し、そして真空オーブン内で乾燥させて、クロロピリジン化合物3を得た。
【0197】
【化26】

【0198】
【化27】

方法C:(参照:M. Yu. Yakovlev、O. B. Romanova、S. I. Grizik、A. V. KadushkinおよびV. G. Granik、Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurmal、1997年、31(11)、44−47)
化合物3(6.02g、0.033mol)、チオグリコール酸メチル(7.05g、0.066mol)および炭酸カリウム(6.88g、0.050mol)のDMF(50mL)中の溶液を、室温で窒素雰囲気下で5時間攪拌した。水(200mL)を加え、そして生じた沈殿物をろ過し、そして真空オーブン内で乾燥させ、エステル4を得た。
【0199】
【化28】

【0200】
【化29】

方法D:
化合物4(8.33g、0.033mol)およびナトリウムメトキシド(3.77g、0.07mol)のメタノール中の溶液を、還流で3時間、窒素雰囲気下で加熱した。この反応物を室温まで冷却し、水を加え、そして生成物をジクロロメタン(150mL)での抽出によって単離した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、そして減圧下でエバポレートして、所望する生成物5を得た。
【0201】
【化30】

1114に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=252.1、実測値 m/z=252.1。
【0202】
【化31】

方法E:(参照:Clive,D.L.J.;Sannigrahi,M.;Hisaindee;S.J.Org.Chem.、2001年、66、954−961)
3首の2Lの丸底フラスコを、オーバーヘッドの機械式攪拌器および添加漏斗に装着し、そしてCuBr(4.05g、28.2mmol)および水性の48%HBr(280mL)を入れた。生じた溶液を氷水浴中で冷却し、そして化合物5を加えた。この冷却した混合物に、NaNO(2.44g、35.4mmol)の水(65mL)中の溶液を一滴ずつ加えた。氷水浴中で冷却しながら7時間攪拌した後、水(300mL)中のNa(50g)の溶液を加えた。この反応混合物を、NaHCO(固体、少しずつ加える)の添加によって注意深くクエンチングした。少量の酢酸エチルを定期的に加え、このクエンチングの間に起こる泡沫を制御した。このクエンチングした混合物を、分液漏斗に注ぎ、そして、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合せた有機層およびエマルジョン層を、NaSOで一晩乾燥させた。乾燥させた有機層をろ過し、シリカゲル(25g)に吸収させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン/酢酸エチルで精製して、化合物6(3.49g、39%)を、黄色い固体として得た。
【0203】
【化32】

1112SBrに関するMS(M+1):計算値 m/z=314.98、316.98、実測値 m/z=315.07、317.04。
【0204】
【化33】

方法E(代案):
ヨウ素(28.7g、113mmol)および亜硝酸tert−ブチル(7.8mL、56.7mmol)のCHCN(250mL)中の50℃の溶液に、基質5(9g、37.8mmol)を加えた。生じた懸濁液を1時間勢いよく攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、その後、亜硫酸水素ナトリウム(200g)の水(500mL)中の溶液に注いだ。攪拌を30分続け、そして、紙をとおした真空ろ過によって沈殿物を単離し、そして水で洗浄した。固体を風乾し、その後、真空下に一晩置いて、6A(4.5g)をオレンジ色の粉末として得た。
【0205】
【化34】

【0206】
【化35】

方法F:
丸底フラスコに、6(0.30g、1.14mmol)、ビニル−tri−n−ブチルスタンナン(0.37g、1.16mmol)およびDMF(6mL)を入れた。数分間攪拌しながら、窒素を混合物に通気させた。テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0.01g、0.08mmol)をこの混合物中に加え、そして窒素雰囲気下で攪拌を続けた。この混合物を、油浴中で70℃で一晩加熱した。生じた黒色の混合物に、水性の1MのKCO、酢酸エチルおよび固体KFを加えた。この混合物を1時間勢いよく攪拌し、その後、層を分離した。水層を、酢酸エチルで抽出した。合せた有機層を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン/酢酸エチルで精製して、化合物7(0.18g、70%)を得た。
【0207】
【化36】

【0208】
【化37】

方法G:
THF:HO(200mL(1:1))中の化合物7(1.5g、5.7mmol)およびNaIO(3.0g、14.3mmol)を、室温で攪拌し、その後、OsO(6mL、0.07mmol(BuOH中2.5%w/w)を加えた。この反応混合物を、室温で週末にわたって攪拌した。この反応が完了したと判断されたら、10%のチオ硫酸ナトリウムを加え、そしてこの溶液を、酢酸エチル(300mL)および水(300mL)を含む分液漏斗に注ぎいれた。層を分離し、そして水層を、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合せた有機層を、NaSOで乾燥させ、ろ過し、そして濃縮して、粗製の生成物を得、続いてこれを、酢酸エチル/ヘキサン混合物で溶出したシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製して、純粋なアルデヒド8(250mg)を得た。
【0209】
【化38】

【0210】
【化39】

方法H:
トルエン(4mL)中のアルデヒド8(25mg、0.94mmol)に、p−トリルヒドラジン塩酸塩および数滴の酢酸を加えた。75℃で一晩加熱した後、この反応混合物を室温まで冷却し、そしてポリスチレン樹脂上でジメチルアミノエチルアミンで処理して、酢酸をクエンチングした。この樹脂をろ過によって除去し、残渣を濃縮して、粗製の生成物9Aを得、これを、酢酸エチル ヘキサンの混合物で溶出したシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製した。
【0211】
【化40】

1816OSに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=337.1、実測値m/z=337.2。
【0212】
【化41】

方法H(代案):
メタノール(4mL)中のアルデヒド8(0.10g、0.38mmol)の溶液に、p−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(0.20g、1.14mmol)を加え、続いて濃縮した水性HCl(0.1mL、12mmol)を加えた。この反応物を70℃で48時間攪拌し、その後、冷却し、一部濃縮し、CHClで希釈し、そして水性NaHCOとともに振とうした。有機層を分離し、そして濃縮して、粗製の生成物を得、これを、酢酸エチル ヘキサンの混合物で溶出したシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製した。
【0213】
【化42】

1816に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=353.1、実測値=353.2。
【0214】
以下の化合物は、同じように調製された:
【0215】
【表3−1】

【0216】
【表3−2】

【0217】
【化43−1】

方法I:
反応バイアルに、化合物10(0.71g、2.26mmol)、n−ブチルビニルエーテル(1.5mL、11.5mmol)、酢酸ナトリウム(1.0g、12mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.076g、0.34mmol)およびN−メチルピロリジノン(7mL)を入れ、封をし、その後、90℃の油浴中に設置した。油浴中で4.25時間加熱および攪拌した後、この反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、そして水(2×100mL)で洗浄した。生じた有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、シリカゲル(7g)に吸収させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン/酢酸エチルで精製して、化合物11Aおよび11B(E−11B:Z−11B、1.5:1)の混合物を、それぞれ3:2の混合物(0.505g、67%)として得た。
【0218】
【化43−2】

1723に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=335.14、実測値 m/z=335.15。
【0219】
【化44】

方法J:
水性の1MのHCl(2.6mL)を、テトラヒドロフラン(9mL)中の化合物11Aおよび11B(0.43g、1.29mmol)の溶液中に加えた。その後、この溶液を還流で3時間加熱した。その後、反応溶液を、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、そして、飽和した水性NaHCO(100mL)中に注ぎいれた。この混合物を10分間勢いよく攪拌し、その後、層を分離した。水層を、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。合せた有機層を、NaSOで乾燥させ、ろ過し、シリカゲル(4g)に吸収させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン/酢酸エチルで精製して、化合物12A(0.189g、53%)を、黄色の固体として、黄色の固体の化合物12B(0.064g、18%)とともに得た。
【0220】
【化45】

【0221】
【化46】

方法K:
反応容器に、化合物12A(0.014g、0.050mmol)、ヒドラジン一水和物(0.024mL、0.49mmol)およびエタノール(0.5mL)を入れ、封をし、そして110℃の油浴中に設置した。17.5時間加熱した後、この反応混合物を冷却し、そして、ジクロロメタン/メタノール中に溶解させた。その後、この溶液を、PS−ベンズアルデヒド樹脂(1.50mmol/g)とともに1.5時間振とうした。生じた混合物を、ろ過し、そして単離したろ液を濃縮して、化合物13A(0.0139g、定量収率)を得た。
【0222】
【化47】

1213OSに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=261.1、実測値 m/z=261.0。
【0223】
【化48】

方法K(代案)
反応容器に、化合物12A(0.044g、0.158mmol)、シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩(0.048g、0.32mmol)、トリエチルアミン(0.044mL、0.32mmol)およびエタノール(1.6mL)を入れ、封をし、そして80℃の油浴中に設置した。2.5日間加熱した後、さらなるシクロヘキシルヒドラジン塩酸塩(0.24g、1.6mmol)およびトリエチルアミン(0.33mL、2.4mmol)を、この反応混合物に加えた。1日加熱した後、この反応溶液を冷却し、ジクロロメタンで希釈し、そしてPS−ベンズアルデヒド樹脂(1.50mmol/g)とともに2時間振とうした。生じた混合物をろ過し、その後、ろ液をシリカゲル(5g)に吸収させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィーによって、メタノール/水性水酸化アンモニウム/ジクロロメタンで精製して、化合物13Bを少量の不純物とともに得た。不純の化合物13Bを、シリカゲルクロマトグラフィーによって、メタノール/水性水酸化アンモニウムおよびジクロロメタンで精製して、化合物13B(0.0125g、23%)を白色固体として得た。
【0224】
【化49】

1823OSに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=343.2、実測値 m/z=343.1。
【0225】
以下の化合物は、同じように調製された。
【0226】
【表4】

【0227】
【化50】

方法L:(参照:(a)S.Yano、T.Ohno、K.Ogawa、Heterocycles 1993年、36、145 (b)M.Mittelbach、G.Kastner、H.Junek、Arch.Pharm. 1985年、318、481)
(1−エトキシエチリデン)マロニトリル(14)(40.0g、294mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(63.0ml、470mmol)を、MittelbachおよびYanoの手順にしたがって反応させて、23.5gの15を黄色−オレンジ色の固体として得た。
【0228】
【化51】

【0229】
【化52】

方法M:
化合物15(23.5g、157mmol)に、POCl(300mL)およびEtN(15mL)を加えた。この反応混合物を還流で2時間攪拌し、そして溶媒を真空内で除去した。生じた茶色の固体を、水を一滴ずつ加えてクエンチングし、そして、40%水性NaOHで塩基性化した。水性の懸濁液を、3部の100mLのジクロロメタンで抽出し、MgSOで乾燥させ、そして真空内で濃縮して、23.9gの化合物16を茶色の固体として得た。
【0230】
【化53】

【0231】
【化54】

方法N:
化合物16(10.0g、59.2mmol)の200mLのDMF中の溶液に、メチルチオグリコレート(7.15mL、65.0mmol)およびナトリウムメトキシド(3.60g、65.0mmol)を加えた。この反応物を、室温で2時間攪拌し、そして500mLの水に注いだ。固体をろ過し、そしてエタノールから再結晶させ、10.0gの化合物17を黄色の固体として得た。
【0232】
【化55】

【0233】
【化56】

方法O:
ヨウ素(80g、315mmol)および亜硝酸tert−ブチル(16mL、157mmol)のCHCN(1L)中の48℃の溶液に、基質17(25g、105mmol)を加えた。生じた懸濁液を、1時間勢いよく攪拌し続け、この時、MSによってこの反応が完了したと判断された。この反応混合物を室温まで冷却し、その後、亜硫酸水素ナトリウム(500g)の水(2.5L)中の溶液に注いだ。攪拌を30分続けて、その後、紙をとおした真空ろ過によって沈殿物を単離した。黄褐色の固体を空気中で風乾し、その後、真空下に一晩置いて、18(20g)を白色粉末として得た。
【0234】
【化57】

【0235】
【化58】

方法P:
ヨウ化物18(40g、30.9mmol)およびtri−n−ブチルアリルスタンナン(9mL、31.4mmol)を、DMF(100mL)中に室温で加え、そしてNの気流をこの溶液に5分間通気させた。Pd(PPh(800mg、0.7mmol)を加え、この反応混合物を85℃で48時間加熱した。この反応混合物を室温までもどし、酢酸エチル(500mL)および水(500mL)を含む分液漏斗に移し、勢いよく振とうした。有機層を除去し、そして水層を、さらに2回それぞれ100mL抽出した。
【0236】
【化59】

【0237】
【化60】

方法Q:
THF:BuOH:HO(300mL:150mL:300mL)中の19(2.2g、8.8mmol)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(4g、18mmol)を加え、続いて、OsO(4mL、0.39mmol、BuOH中2.5% v/v溶液)を加えた。この反応混合物を、室温で攪拌し、沈殿物の形成が、約20分で認められ、そして攪拌を一晩続けた。この反応を、チオ硫酸ナトリウム(20%水性)でクエンチングし、その後、酢酸エチルで希釈した。水層を、酢酸エチル(3×)、続いて、クロロホルム(1×)でさらに希釈した。合せた有機層を乾燥させ、そして濃縮して、ダークレッド色のタール状物を得、これをクロロホルム中に溶解させ、そしてエーテルで粉砕させた。ろ過および乾燥により、20(2.2g)を得た。
【0238】
【化61】

【0239】
【化62】

方法R:
メタノール/CHCl(100mL 3/1)中のアルデヒド20(2.2g、8.8mmol)を、p−クロロヒドラジン塩酸塩(1.8g、10.1mmol)および濃縮した水性HCl(0.5mL)で処理した。この反応物を、45℃で一晩加熱した。この反応混合物を、CHClで希釈し、その後、炭酸水素ナトリウムで洗浄した。水層を、CHCl(2×)で抽出し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾燥状態まで濃縮した。残渣をクロロホルムおよびメタノールでの粉砕によって精製して、生成物21Aを、灰色の固体として得た。
【0240】
【化63】

1610ClNSに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=343.02、実測値 m/z=344.2。
【0241】
【表5】

【0242】
【化64】

方法S、工程1:
化合物21A(610mg)を、20mLのHBr(酢酸中33%)で処理し、そして100℃で4時間加熱した。懸濁液を室温まで冷却し、そして固体物質をろ過により単離し、そして水で洗浄した。この物質を、アセトニトリルと、そしてCHClとの共エバポレーション(co−evaporation)によって乾燥させて、灰色/茶色の固体を得、これを、さらに精製せずに、使用した;以下の方法S、工程2を参照されたい。
【0243】
方法S、工程2:
工程1からの粗製物質を、POCl(10mL)およびトリエチルアミン(2mL)で処理し、そして60℃で2時間加熱した。この反応混合物を部分濃縮し、そして氷上に注ぎ、水性NaOHでpHを7〜8に調節し、そして酢酸エチル(3×)で抽出した。合せた有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。粗製の残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン/アセトン混合物で溶出することによって精製して、22Aを得た。
【0244】
【化65】

【0245】
【化66】

方法T:
工程1:固体21B(500mg、0.58mmol)およびピリジン塩酸塩(2.0g、115mmol)を、均一な液体が形成されるまでヒートガンで加熱し、その後、冷却させ、そして室温で固体化させた。この固体混合物に、3NのHCl(100mL)を加えた。この固体を壊し、そして30分間攪拌し、そしてろ過した。フィルターケーキを、ろ液が中性になるまで水で洗浄した。この固体をクロロホルムおよびアセトニトリルに溶解させ、そして乾燥状態までエバポレートした。黄色の固体を、さらに精製せずに使用した。
【0246】
工程2:残渣を、CHCl中にとり、そしてトリエチルアミン(1mL)およびPOCl(3mL)で処理し、そして室温で一晩攪拌した。この反応混合物を、クロロホルムで希釈し、そして、氷上に注ぎ、NaHCO(飽和 水性)でpHを8まで調節し、そして層を分離させた。水層をクロロホルム(2×30mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。残渣を、ヘキサン/アセトン混合物で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。生成物含有のフラクションを濃縮して、生成物22B(150mg)を得た。
【0247】
【化67】

【0248】
【化68】

方法U:
塩化物22B(50mg、0.15mmol)とシクロプロピルアミン(200mL)とのジオキサン(4mL)中の混合物を、封をしたバイアル中で18時間加熱した。この反応混合物を、クロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウムとともに振とうし、そして、疎水性フリットを備えたSPEカートリッジをとおしたろ過により、有機層を水層から分離させた。溶媒を除去し、そして、残渣を、ヘキサン/アセトン混合物で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、23Aを得た。
【0249】
【化69】

1813ClNOSに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=368.05、実測値 m/z=369.2。
【0250】
【化70】

方法U(代案):
塩化物22B(50mg、0.15mmol)とエタノールアミン(200mL)とのジオキサン(4mL)中の混合物を、封をしたバイアル中で80℃で18時間加熱した。この反応混合物を、HO(4mL)で処理し、そして固体をろ過によって単離した。この固体を、最少量のクロロホルム中にとり、シリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン/アセトン混合物で溶出して精製した。
【0251】
【化71】

1916に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=364.10、実測値 m/z=365.2。
【0252】
以下の化合物は、同じように調製された。
【0253】
【表6−1】

【0254】
【表6−2】

【0255】
【表6−3】

【0256】
【化72】

方法V:(参照:A.Gomtsyan、S.Didomenico、C−H.Lee、M.A.Matulenko、K.Kim、E.A.Kowaluk、C.T.Wismer、J.Mikusa、H.Yu、K.Kohlhass、M.F.Jarvis、S.S.Bhagwat;J.Med.Chem.、2002年、45、3639−3648)
DMF(32mL)とPOCl(100mL)との混合物を、0℃で1時間攪拌し、4,6−ジヒドロキシピリミジン(25.0g、223mmol)で処理し、そして室温で0.5時間攪拌した。その後、この不均質な混合物を還流で加熱し、そして3時間攪拌した。この反応物を室温まで冷却し、そして生じた粘着性の黒色液体を、氷水上に注ぎ、そしてジエチルエーテル(6×100mL)で抽出した。その後、有機相をNaHCOおよび水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして濃縮して、25を黄色の固体(20.0g、57%収率)として得た。
【0257】
【化73】

【0258】
【化74】

方法W:工程1(参照:A.A.Santilli、D.H.KimおよびS.V.Wanser;J.Heterocyclic Chem.、1971年、8、445−453)
アルデヒド25(29.0g、164mmol)およびヒドロキシルアミン塩酸塩を、AcOH(0.83M、198mL)中に、還流まで加熱することによって溶解させた。この反応物を、還流で0.5時間攪拌し、その後、室温まで冷却した。溶媒を、真空中で除去した。生じた黄色の固体を、HO中にとり、そして生成物をろ過した。その後、固体生成物を真空下で一晩乾燥させて、オキシムを黄色の固体として得、これを真空下で乾燥させ、そして粗製物を次の工程で使用した。
【0259】
工程2:(参照:A.A.Santilli、D.H.KimおよびS.V.Wanser;J.Heterocyclic Chem.、1971年、8、445−453)
上記のオキシム(5.00g、26.0mmol)の塩化チオニル(104mL)中の溶液を、還流で3時間攪拌した。この反応物を、室温まで冷却し、そして真空中で溶媒を除去した。生じた黄色−茶色の固体を真空下で一晩乾燥させて、26(3.90g、96%収率)を得た。
【0260】
【化75】

【0261】
【化76】

方法X:
化合物26(2.50g、16.0mmol)に、POCl(31mL)およびEtN(2.0mL)を加えた。この反応混合物を還流で3時間攪拌し、そして真空中で溶媒を除去した。生じた茶色の固体を、水を一滴ずつ加えてクエンチングし、そして40%水性NaOHで塩基性化した。水性の懸濁液を、ジクロロメタン(100ml×3)で抽出し、MgSOで乾燥させ、そして真空中で濃縮して、2.64gの27を茶色の固体として得た。CClに関する質量分析(M+1):計算値 m/z=183.1、実測値 m/z=183.1。
【0262】
【化77】

方法Y:(参照:J.Clark、M.S.Shahhet、D.Korakas、G.Varvounis;J.Heterocyclic Chem.、1993年、30、1065−1072)
THF(2.5mL)中の化合物27(100mg、0.58mmol)およびメチルチオグリコレート(127mL、1.16mmol)に、EtN(162μL、1.16mmol)を加えた。この反応物は、すぐに黄色の沈殿物を形成し、そして室温で10分間攪拌した。その後、真空中で溶媒を除去し、生じた黄色の固体を最少量のHO中にとった。水性の懸濁液を室温で5分間攪拌し、そしてろ過して、150mgの28を黄色の固体として得た。C1111に関する質量分析(M+1):計算値 m/z=314.0、実測値 m/z=314.0。
【0263】
【化78】

方法Z:(参照:J.Clark、M.S.Shahhet、D.Korakas、G.Varvounis;J.Heterocyclic Chem.、1993年、30、1065−1072)
トルエン(3.1mL)中の化合物28(156mg、0.50mmol)に、EtN(80mL、0.55mmol)を加えた。この反応物を還流で4時間攪拌した。次に、この混合物を、室温まで冷却し、そして真空中で溶媒を除去して、150mgの29を黄色の固体として得た。
【0264】
【化79】

【0265】
【化80】

方法AA:
メタノール(500mL)中の化合物30(37g、118mmol)に、ナトリウムメトキシド(7.7g、142mmol)を加えた。黄色の懸濁液を還流で4時間加熱した。この反応を、質量分析法によってモニタリングし、反応が完了したと判断されたら、0℃まで冷却し、ろ過し、固体を最少量のメタノールおよび水で洗浄した。真空下での乾燥により、生成物31(27g)を白色固体として得た。
【0266】
【化81】

【0267】
【化82】

方法AB:
CHCN(500mL)中のヨウ素(86g、340mmol)の60℃の溶液に、亜硝酸tert−ブチル(17.5g、170mmol)、続いて化合物30(27g、113mmol)を逐次的に加えた。この反応物を1.5時間攪拌し、その後、亜硫酸水素ナトリウム(2.5LHO中600g)中に注ぎ、そして20分間攪拌した。生じた二相の懸濁液を、真空下で紙をとおしてろ過した。この固体を真空下で乾燥させて、31(20.6g)を得た。
【0268】
【化83】

【0269】
【化84】

方法AC:
化合物31(10g、0.40mmol)のDMF(150mL)溶液に、tri−n−ブチル−ビニルスタンナン(13.5mL、0.43mmol)およびテトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウムを加えた。この反応混合物を75℃まで加熱し、そして96時間攪拌した。黒色溶液を室温まで冷却し、その後、HOおよび酢酸エチル/ヘキサン(4:1、200mL)を含んだ分液漏斗に移し、そして勢いよく振とうした。層を分離し、そして有機層を水(3×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。粗製の物質をヘキサンとともに攪拌し、そして生成物32(5.2g)をろ過により単離し、そして少量のジエチルエーテルで洗浄した。
【0270】
【化85】

【0271】
【化86】

方法AD:
THF:HO(それぞれ100mL)中の化合物33(5.2g、20.8mmol)に、過ヨウ素酸ナトリウム(22.3g、104mmol)および四酸化オスミウム(10mL、1.04mmol)を加えた。この反応混合物(懸濁液)を3時間攪拌し、そしてこの時に、チオ硫酸ナトリウム(10%水性、50mL)でクエンチングした。ろ過によって固体を除去し、そしてろ液を、酢酸エチル(100mL)およびHO(100mL)を含んだ分液漏斗に移した。層を分離し、そして有機層をクロロホルム(2×100mL)で抽出した。合せた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濃縮した。残渣を、エーテルでの粉砕によって精製し、そして化合物33(xx mg)をろ過によって単離し、そしてヘキサンで洗浄した。
【0272】
【化87】

【0273】
【化88】

方法AE:
CHCl(5mL)およびメタノール(5mL)中の化合物33(0.2g、0.80mmol)に、4−クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(0.22g、1.24mmol)および水性濃HCl(100ml)を加えた。ダークレッド色の反応混合物を、65℃まで加熱し、そして18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、そして溶媒を除去した。残渣をCHCl(100mL)中に懸濁させ、そして炭酸水素ナトリウム(飽和 水性、100mL)とともに振とうした。水層をCHCl(1×50mL)および酢酸エチル(1×50mL)で抽出した。合せた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾燥状態まで濃縮した。残渣を、クロロホルム/メタノール混合物での粉砕によって精製し、ろ過により単離し、そして0.5N HClおよび水で洗浄した。
【0274】
【化89】

【0275】
【表7】

【0276】
【化90】

方法AF:
DMSO(3mL)中の34B(50mg、0.15mmol)の溶液に、シクロプロピルアミン(200mL、4.25mmol)を加えた。この溶液を85℃まで16時間加熱し、その後、室温まで冷却した。その後、生じた溶液を、勢いよく攪拌された水(25mL)中にピペットでゆっくり移した。固体35B(34mg)を、ろ過によって単離し、そして風乾させた。
【0277】
【化91】

【0278】
【表8−1】

【0279】
【表8−2】

(IC50の決定)
hmGluR1レセプターを安定して発現するCHO細胞系統を樹立した。アッセイの1日前に、細胞を、100μlの容積中50,000個の細胞/ウェルの濃度で増殖培地内に分配し、黒色透明の底の96−ウェルプレートに播種した。2〜6時間後、細胞がプレートに充分に付着したら、増殖培地を、GPT(1U/mL)およびピルビン酸ナトリウム(1mM)で補充された高グルコースDMEMを含むアッセイ培地(100μL)で置き換えた。一晩のインキュベーション後、培地を捨て、そして、細胞を、製造者の説明書にしたがって調製したCalcium 3 Assay Reagent Kit(Molecular Devices、# R8033)からの染料とともに2時間入れた。96−チップのピペッター/蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR 384;Molecular Devices)を使用し、そして6秒のベースライン測定の後に、アゴニストのQuisqualate刺激の際の蛍光の増加によって細胞内のカルシウムの動員を測定した。テスト化合物を、Quisqualateの10分前に加えた。テスト化合物に関するIC50の決定は、標準的な用量応答曲線におけるEC80値に対応するQuisqualate 1μMに対して出された。
【0280】
以下の表において、20nM未満(<20nM)のmGluR1のIC50値を有する化合物は、文字「A」で示され;20〜100nM未満(10−<100nM)のIC50値を有するものは、文字「B」で示され;100〜1000nMのIC50値を有するものは、文字「C」で示され;そして1000nMより大きい(>1000nM)IC50値を有するものは、文字「D」で示される。
【0281】
【表9−1】

【0282】
【表9−2】

【0283】
【表9−3】

【0284】
【表9−4】

いくつかの代表的な化合物の特定のIC50値は、以下の表に示される。
【0285】
【表10−1】

【0286】
【表10−2】

【0287】
【表10−3】

広範な発明の概念から逸脱せずに上記の実施形態に改変がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本発明は開示されている具体的な実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の意図および範囲内にある改変を網羅することが意図されることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
、JおよびJは、独立してNもしくはCであり、但し、J、JおよびJのうちの1〜2つはNであり;
【化2】

は、単結合もしくは二重結合であり;
は、H、−NR、−OR、−SR、−CN、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択されるか、または、該Rアリールは、隣接する炭素原子上の2つのラジカルで必要に応じて置換され得、ここで、該ラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、該環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換され、
Xは、H、−NR、−SR、−NRNR、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
Zは、S、OおよびNRからなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
は、H、ハロ、−CN、−NHC(O)R、−NHSO11、−NR、−OR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR;ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、w=2である場合、2つのRがこれらが結合している炭素原子と一緒になって、式:
【化3】

の基を形成し、ここで、mおよびpはそれぞれ、0〜4の範囲の整数であり、但し、(m+p)=2〜7であり、そしてYは、S、S(O)、S(O)、O、NR、C(RおよびC(O)からなる群より選択され;
wは、1〜2の範囲の整数であり;
は、Hおよびアルキルからなる群より選択され;
は、H、−C(O)R、−SO、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびRは、H、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択されるか;または、
およびRもしくはRおよびRは、同じ窒素原子に結合している場合、必要に応じて該窒素原子と一緒になって、該窒素原子に加えてO、NもしくはSより独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の複素環式環を形成し;
は、H、ハロ、−OR、−NO、−CN、−NRC(O)R10、−NRSO11、−NR10、−C(O)R10、−C(O)NR10、C(O)OR、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−C(O)R10、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−N(R)C(O)R10、−N(R)C(O)NR10および−NRSO11のうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
およびR10は、H、ならびにハロ、−CN、−NO、−OR、−SR、−NR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)NR、−N(R)C(O)R、−OS(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)Rおよび−N(R)C(O)NRのうちの少なくとも1つで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群よりそれぞれ独立して選択され;そして
11は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクリル基からなる群より選択される、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
−NRが、
【化4】

からなる群より選択され、ここで、
各R12は、H、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択され;
各R13は、H、ハロ、ヒドロキシル、−CN、−NHC(O)R、−NHSO11、−NR、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より独立して選択され;
14は、H、−C(O)R、−C(O)OR、C(O)NR、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル基からなる群より選択され;
nは、0〜4であり;
yは、1〜4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがSであり、JがNであり、そしてJおよびJがそれぞれCである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、そしてRがアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、そしてRがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、そしてRがアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、そしてRがヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、Rがp−ハロフェニルであり、そしてRがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Xが−NRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
およびRが、水素、ならびに少なくとも1つのRで必要に応じて置換されたアルキルおよびシクロアルキル基からなる群より独立して選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
およびRがそれぞれアルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
がHであり、そしてRがアルキルであり、該アルキルが、−OH、アルコキシ、−CFおよび−C≡CHからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で必要に応じて置換される、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
およびRのうちの少なくとも1つがシクロアルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
がHであり、そしてRがシクロプロピルもしくはシクロブチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
−NRが、
【化5】

であり、ここで、nが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
13が、HもしくはOHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が、シクロアルキルおよびアリールからなる群より選択され、該シクロアルキルおよびアリールのそれぞれが、少なくとも1つのRで必要に応じて置換されるか、または該Rアリールが、隣接する炭素原子上に2つのラジカルを必要に応じて含み得、ここで、該ラジカルは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、該環は、少なくとも1つのRで必要に応じて置換される、請求項9に記載の化合物。
【請求項18】
前記Rシクロアルキルがシクロヘキシルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記Rが、アルキル、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、ハロおよびヒドロキシからなる群より選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
隣接する炭素原子上に2つのラジカルを有し、該ラジカルがそれらが結合している該炭素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成するRアリールを含む前記Rアリールが、フェニルおよび
【化6】

からなる群より選択され;これらのうちのそれぞれは、少なくとも1つのRで必要に応じて置換される、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
ZがSであり、JおよびJがそれぞれNであり、そしてJがCである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
ZがSであり、JおよびJがそれぞれNであり、JがCであり、そしてRがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
ZがSであり、JおよびJがそれぞれNであり、JがCであり、そしてRが必要に応じて置換されたアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
ZがSであり、JおよびJがそれぞれNであり、JがCであり、そしてRが必要に応じて置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
ZがSであり、JおよびJがそれぞれNであり、JがCであり、そしてRがp−ハロフェニルもしくはp−アルコキシフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
ZがSであり、JがNであり、JおよびJがそれぞれCであり、そしてRが、それぞれが必要に応じて置換されたシクロアルキルもしくはアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
【化7】

からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルであって、ここで、Z、X、R、R、Rおよびwが請求項1において定義したとおりである、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物が、以下に述べる化合物:
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項29】
少なくとも1つの請求項1の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルを含む、薬学的組成物。
【請求項30】
少なくとも1つの請求項28の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルを含む、薬学的組成物。
【請求項31】
1つ以上のさらなる治療剤をさらに含む、請求項29に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
1つ以上のさらなる治療剤をさらに含む、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記さらなる治療剤が、疼痛管理に適した治療剤、抗不安薬、抗片頭痛薬および尿失禁症を処置するのに適した治療剤からなる群より選択される、請求項31に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記さらなる治療剤が、疼痛管理に適した治療剤、抗不安薬、抗片頭痛薬および尿失禁症を処置するのに適した治療剤からなる群より選択される、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
代謝性グルタミン酸レセプター1(mGluR1)活性を選択的に拮抗する方法が必要な細胞において代謝性グルタミン酸レセプター1(mGluR1)活性を選択的に拮抗する方法であって、該方法は、該細胞を、治療上有効な量の少なくとも1つの請求項1の化合物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項36】
代謝性グルタミン酸レセプター1(mGluR1)機能に関連する疾患もしくは状態をこのような処置の必要な哺乳動物において処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の少なくとも1つの請求項1の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記疾患もしくは状態が疼痛である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患もしくは状態が神経障害性疼痛である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患もしくは状態が異痛症である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患もしくは状態が痛覚過敏である、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患もしくは状態が、炎症もしくは炎症性疾患に関連する疼痛である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
疼痛の管理に適した1つ以上のさらなる治療剤を投与する工程をさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記さらなる治療剤がオピオイド鎮痛薬である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記さらなる治療剤が非オピオイド鎮痛薬である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記疾患もしくは状態が、筋痙攣、痙攣、痙縮、片頭痛、精神病、尿失禁症、不安および関連障害、嘔吐、脳水腫、晩発性ジスキネジー、うつ病、薬物耐性および離脱ならびに喫煙の停止からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患もしくは状態が不安である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
1つ以上のさらなる抗不安薬を投与する工程をさらに包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患もしくは状態が片頭痛である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
1つ以上のさらなる抗片頭痛薬を投与する工程をさらに包含する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患もしくは状態が尿失禁症である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
尿失禁症を処置するのに適した1つ以上のさらなる治療剤を投与する工程をさらに包含する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患もしくは状態が、心臓のバイパス手術もしくは移植後の大脳欠陥、大脳虚血、脳卒中、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDS誘発性痴呆、遺伝性運動失調、眼の損傷および網膜症、認知障害、ならびに突発性もしくは薬物誘発性パーキンソン病からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
1つ以上のさらなる治療剤を投与する工程をさらに包含する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
単離され、そして精製された形態である、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−504752(P2009−504752A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527090(P2008−527090)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/031944
【国際公開番号】WO2007/032854
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】