説明

治療用複素環式化合物

【課題】喘息等の治療に有用なSP及びNKAの新規な非ペプチド系アンタゴニストである化合物を提供する。
【解決手段】下式Iの化合物、それらのN−オキシド又は薬学的に許容できるそれらの塩。


[式中、Q1はピロリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり;Q2は(1〜3C)アルキルであり;Q3は水素であり;Q4は3,4−ジクロロフェニルであり;そしてQ5はフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、2−イソプロポキシベンジル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ニューロキニン類(neurokinins)として知られる内因性神経ペプチドタキキニン類の薬学的作用に、特にニューロキニン1(NK1)レセプター及びニューロキニン2(NK2)レセプターにおいて拮抗する新規な置換1,2−エタンジアミン誘導体に関する。この新規な1,2−エタンジアミン誘導体は、かかる拮抗作用が望まれる場合には常に有用である。かくして、かかる化合物は、NK1及び/又はNK2レセプターが関係する疾患の治療において、例えば、喘息及び関連する状態の治療において価値があるといえる。本発明は、かかる治療に用いるためのこれら新規な1,2−エタンジアミン誘導体を含有する医薬組成物、それらを用いる方法、及びそれら新規な1,2−エタンジアミン誘導体を製造するための方法及び中間体も提供する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物ニューロキニン類は、抹消及び中枢神経系に見出されるペプチド神経伝達物質の部類を含む。3種の主要なニューロキニンは、SP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)である。少なくともNKAのN−末端伸長型もある。少なくとも3種のレセプタータイプが、これら3種の主要なニューロキニンについて知られている。ニューロキニンアゴニストSP、NKA及びNKBを好むそれらの相対的選択性に基づいて、これらレセプターは、それぞれニューロキニン1(NK1)、ニューロキニン2(NK2)及びニューロキニン3(NK3)レセプターとして分類される。抹消では、SP及びNKAは、C線維として知られている非有髄神経末端により特徴付けられるC求心性感覚ニューロン内に局在しており、これらニューロンの選択的脱分極、又はこれらC線維の選択的刺激により放出される。C線維は気道上皮に存在しており、これらタキキニンが、喘息において認められる多くの症状に明らかに平行する際立った作用を起こすことが知られている。哺乳動物気道内でのタキキニンの放出又は導入の作用には、気管支収縮、微小血管透過性の増加、血管拡張、粘液分泌の増加、神経原性炎症及び肥満細胞の活性化が含まれる。かくして、これらタキキニンは、喘息で認められる病態生理及び気道の高応答性に関係しており、そして放出されたタキキニンのこれら働きを遮断することは、喘息及び関連する状態の治療において有用であり得る。NK1及びNK2の両方に選択性の環状ペプチドアンタゴニスト(FK−224)は、喘息及び慢性気管炎に患っているヒトの患者において臨床的効能を示した。M. Ichinose ら, Lancet, 1992, 340, 1248。非ペプチド系タキキニンアンタゴニストが、例えば、ヨーロッパ特許出願、公報番号(EPA)428434、EPA474561、EPA512901、EPA512902、EPA515240及びEPA559538に、並びにWO94/10146に報告されている。
【0003】
K. Nagarajanら, Proc. Indian Acad. Sci. (Chem. Sci.), 1992, 104, 383-397 (Nagarajan)は、式I(式は、ローマ数字を付した他の式と一緒に実施例の後に示している)の1,2−エタンジアミン誘導体の合成を開示しており、そこでは、Q1は式Idのピロリジノ又はピペリジノ基であり、Q4はフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル、3−メトキシフェニル、又は2−チエニルである。Nagarajanに開示されたこれら化合物は、以下の本発明の化合物の定義から除外されている。Nagarajanは、そこに開示された化合物を含有する医薬組成物も、それらの化合物の薬学的有用性も開示していない。
【0004】
本発明者らは、NK1レセプター及びNK2レセプターの一連の非ペプチド系アンタゴニストを発見し、そしてこのことが本発明の基礎となっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のよれば、式Iの化合物〔式中、
1は、下式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ij、Ik及びImの基の群から選ばれる基であって:
式Iaの基については、Za は窒素又は基CRad(Radは水素であるか又はRadはRac及び存在する炭素−炭素結合と一緒に二重結合を形成する)であり;RaaはAr又はHetであり;Rabは水素であり;そしてRacは水素又はヒドロキシであるか又はRacはRad及び存在する炭素−炭素結合と一緒に二重結合を形成するか、又はRacとRadが一緒に二価基−(CH2)j−(jは1〜5の整数である)を形成するか;又はRabとRacが一緒に二価基−(CH2)k−(kは2〜6の整数である)を形成するか、又はRabとRacが一緒にオキソ又は式=N−O−(CH2)q−NRaeaf(qは2又は3の整数であり、Rae及びRafは独立して水素又は(1〜4C)アルキルであるか、又は基NRaeafがピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノである)のジアルキルアミノアルキルオキシイミノであり;
式Ibの基については、Zb は置換イミノ基RbaN又はRbaCH2N(Rbaは(3〜7C)シクロアルキル、Ar又はHetである)であるか;又はZbは二置換メチレン基Rbb(CH2p−C−Rbc{RbbはAr又はHetであり、pは0又は1の整数であり、そしてRbcは水素、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、(1〜4C)アルカノイルオキシ、COORbd(Rbdは水素又は(1〜3C)アルキルである)、シアノ、NRbebf又はSRbg(Rbe及びRbfは独立して水素、(1〜4C)アルキル、(1〜4C)ヒドロキシアルキル又は(1〜4C)アルカノイルであるか、又は基NRbebfがピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノである)であり、そしてRbgは水素又は(1〜4C)アルキルである)であるか、又はRbcはそれが結合している炭素原子及びこのピペリジン環内の隣接する炭素原子と二重結合を形成する}であるか;又はZbはスピロ環を形成する二置換メチレン基RbhCRbi{Rbhはオルト置換二価基XbによりRbiに繋がっているフェニルであって、このフェニルRbhはハロ、(1〜3C)アルキル、(1〜3C)アルコキシ、ヒドロキシ、(1〜3C)アルキルチオ、(1〜3C)アルキルスルフィニル及び(1〜3C)アルキルスルホニルから選ばれる置換基を更に有していてもよく、二価基Xbはメチレン、カルボニル又はスルホニルであり、そしてRbiはオキシ又は式−NRbj−(Rbjは水素又は(1〜3C)アルキルである)のイミノである}であり;
式Icの基については、RcaはAr又はHetであり;そしてZc はオキソ、チオ、スルフィニル、スルホニル又は式−NRcb−{Rcbは(1〜3C)アルキル又はRcccdN−(CH2)q−(qは2又は3の整数であり、そしてRcc及びRcdは独立して水素又は(1〜3C)アルキルであるか又は基RcccdNがピロリジノ、ピペリジノ又はモルホリノである)である}のイミノであり;
式Idの基については、Rdaは1、2又は3であり;
式Ieの基については、Jeは酸素、硫黄又はNRea(Reaは水素又は(1〜3C)アルキルである)であり;Rebは水素、ヒドロキシ置換基及び/又は1〜3のフルオロ置換基を有していてもよい(1〜6C)アルキル、(3〜6C)アルケニル(ビニル炭素は窒素に結合していない)、2−ヒドロキシエチル、(3〜7C)シクロアルキル、Ar又はHetであり;Recは水素、ヒドロキシ置換基及び/又は1〜3のフルオロ置換基を有していてもよい(1〜6C)アルキル、(3〜6C)シクロアルキル、(1〜5C)アルコキシ(Jeが酸素である場合に限る)、(3〜6C)シクロアルコキシ(Jeが酸素である場合に限る)、又は0〜7の炭素原子を含有する式NRedee{Red及びReeはそれぞれ独立して水素、(1〜5C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか、又は基NRedeeがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニル基は4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)である}のアミノ基であり;
式Ifの基については、Jf は酸素、硫黄又はNRfa(Rfaは水素又は(1〜3C)アルキルである)であり;Lfは二価の炭化水素基であって、その1位が基Jf を有する炭素に結合しており、この二価基Lf はトリメチレン、cis−プロペニレン、テトラメチレン、cis−ブテニレン、cis−3−ブテニレン、cis,cis−ブタジエニレン、ペンタメチレン及びcis−ペンテニレンから選ばれ、二価基Lf自体が1又は2のメチル置換基を有していてもよく;
式Igの基については、Zg は(1〜8C)アルキル又は(3〜8C)シクロアルキルであって、ハロ、(3〜6C)シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、(1〜5C)アルカノイルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、オキソ、イミノ((1〜6C)アルキル、(3〜6C)シクロアルキル、(1〜5C)アルカノイル又はアロイル置換基を有していてもよい)、ヒドロキシイミノ(このヒドロキシイミノは酸素上に(1〜4C)アルキル又はフェニル置換基を有していてもよい)、式NRgagbのアミノ基、式NRgcgdのアミノ基、式C(=NRgg)NRgegfのアミジノ基、及び式CON(ORgh)Rgiのカルバモイル基からなる群から選ばれる1又は2以上の置換基(ヒドロキシとオキソ置換基が一緒にカルボキシ基を形成するあらゆる基を除く){式NRgagbのアミノ基は0〜7の炭素原子を含有し、Rga及びRgbはそれぞれ独立して水素、(1〜5C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか、又は基NRgagbがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であり;そしてRgcは水素又は(1〜3C)アルキルであり、Rgdは(1〜5C)アルカノイル、アロイル又はヘテロアロイルであるか;又はRgdは式C(=Jg) NRgegfの基(Jg は酸素、硫黄、NRgg又はCHRgjである)であり;そしてアミノ基NRgegfは0〜7の炭素原子を含有し、Rge及びRgfはそれぞれ独立して水素、(1〜5C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか、又は基NRgegfがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であるか、又はRgeが水素又は(1〜4C)アルキルでありRgfがRggと一緒にエチレン又はトリメチレン基を形成し;Rggは水素、(1〜4C)アルキルであるか又はRgfと一緒にエチレン又はトリメチレン基を形成し;Rgjはシアノ、ニトロ又はSO2gkであってRgkは(1〜4C)アルキル又はフェニルであり;Rgh及びRgiは独立して(1〜3C)アルキルである}を有していてもよく;そしてZg上の置換基であるか又はZg 上の置換によって形成される環状基は、更なる置換基として炭素上に1又は2以上の(1〜3C)アルキル基を有していてもよく;そして基Zgの一部であるアリール又はヘテロアリール基は、1又は2以上のハロ、(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル又はニトロ置換基を有していてもよく;
式Ihの基については、Gh は単結合、二重結合又は二価の炭化水素基を表し;Jh はGh が二重結合を表す場合には単結合によりこの環に結合する基を表すが他の場合には二重結合により結合する基を表し;Mhはヘテロ原子、置換ヘテロ原子、又は単結合を表し;そしてLh は1位がMh に結合している炭化水素基を表し;Gh、Jh、Mh及びLhの意義は下記の (a)〜(h) :
(a) Ghが単結合であり;Jhがオキソ又はチオキソであり;Mhがオキシ、チオ又はNRhaであり;そしてLhがLhaである;
(b) Ghが単結合であり;JhがNRhbであり;Mh がNRhaであり;そしてLh がLhaである;
(c) Ghが二重結合であり;JhがORha、SRha又はNRhchdであり;Mhが窒素であり;そしてLhがLhaである;
(d) Ghが1又は2のメチル置換基を有していてもよいメチレンであり;Jhがオキソ、チオキソ又はNRheであり;Mhがオキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル又はNRhaであり;そしてLhがLhbである;
(e) Gh が単結合であり;Jhがオキソ、チオキソ又はNRheであり;Mhが窒素であり;そしてLhがLhcである;
(f) Ghが(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよいメチンであり;Jhがオキソ、チオキソ又はNRheであり;Mhが窒素であり;そしてLh がLhdである;
(g) Ghが1又は2のメチル置換基を有していてもよいcis−ビニレンであり;Jhがオキソ、チオキソ、又はNRheであり;Mhが窒素であり;そしてLh がLheである;及び
(h) Ghが単結合であり;Jhがオキソ又はチオキソであり;Mhが単結合であり;そしてLhがLhfである;
{Rhaは水素又は(1〜3C)アルキルであり;Rhbは水素、(1〜3C)アルキル、シアノ、(1〜3C)アルキルスルホニル又はニトロであり;Rhc及びRhdは独立して水素又は(1〜3C)アルキルであるか又は基NRhchdがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であり;Rheは水素又は(1〜3C)アルキルであり;Lhaはエチレン、cis−ビニレン、トリメチレン又はテトラメチレンであって、基Lha自体が1又は2のメチル置換基を有していてもよく;Lhbはエチレン又はトリメチレンであって、基Lhb自体が1又は2のメチル置換基を有していてもよく;Lhcは2−プロペン−1−イリデン−3−イルであって、基Lhc自体が1又は2のメチル置換基を有していてもよく;Lhdはcis−ビニレンであって、基Lhd自体が1又は2のメチル置換基を有していてもよく;Lheはメチンであって、基Lhe自体が(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよく;そしてLhfは4−オキサブタン−1,4−ジイルである}から選ばれるものであり;
式Ijの基については、Xj は(1〜6C)アルキル、−CH2 ORja、−CH2SRja、−CH2S(O)Rjg、−CH2S(O)2jg、−CORja、−COORja、−C(=Jja)NRjbjc、−C(Rja)(ORjd)(ORje)、−CH2N(Rja)C(=Jja)Rjf、−CH2 N(Rja)COORjg又は−CH2N(Rja)C(=Jja)NRjbjcであり;Bjは直接結合でLj は1位がBj に結合している炭化水素鎖であって、Ljがトリメチレン、テトラメチレン、cis−1−ブテニレン及びcis,cis−ブタジエニレンから選ばれるか;又はBjはN(Rjh)でLjがエチレン、トリメチレン及びcis−ビニレンから選ばれる炭化水素鎖であるか;又はBjはNでLj は1位がBj に結合している炭化水素鎖であって、Ljがcis,cis−2−プロペン−1−イリデン−3−イルであり;Jj及びJjaは独立して酸素又は硫黄であり;Rja、Rjf及びRjhは独立して水素又は(1〜6C)アルキルであり;Rjb及びRjcは独立して水素又は(1〜6C)アルキルであるか;又は基NRjbjcがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であり;Rjd及びRjeは独立して(1〜3C)アルキルであるか又は一緒になってエチレン及びトリメチレンから選ばれる二価の炭化水素鎖を形成し;Rjgは(1〜6C)アルキルであり;
式Ikの基については、Zk は式II〔式中、E1、E2、E3及びE4は、E1、E2、E3及びE4それぞれがメチンであるか又はE1 、E2 、E3 及びE4 の1又は2が窒素であって残りのE1、E2、E3及びE4がメチンである二価の4員鎖(−E1=E2−E3=E4−)を形成し;更にメチンである1又は2以上のE1、E2、E3及びE4がハロ、(1〜3C)アルキル、ヒドロキシ、(1〜3C)アルコキシ、(1〜3C)アルキルチオ、(1〜3C)アルキルスルフィニル又は(1〜3C)アルキルスルホニル置換基を有していてもよく;そして、基Fk、Gk 及びIk (Xk )は下記の (a)〜(d):
(a) Gkが直接結合であり、Ik(Xk)が式=C(Yk)−を有する基であり、そしてFkが−CH=及び−N=から選ばれる基である;
(b) Gkが直接結合であり、Ik(Xk)が式−C(=Jk)−を有する基であり、そしてFkが−N(Rkf)−、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH2−N(Rkf)−及び−CH=N−から選ばれる基である;
(c) Gkが式−CH2−を有する基であり、Ik(Xk)が式−C(=Jk)−を有する基であり、そしてFkが−CH2−及び−N(Rkf)−から選ばれる;及び
(d) Gkが−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−及び−N=CH−から選ばれ、Ik (Xk)が式−C(=Jk )−を有する基であり、そしてFk が直接結合である;
{Jk は酸素又は硫黄であり;Yk は−ORka、−SRka、−CORka、−COORka、−C(=Jka)NRkbkc又は−C(Rka)(ORkd)(ORke)であり;Jkaは酸素又は硫黄であり;Rka及びRkfは独立して水素又は(1〜6C)アルキルであり;Rkb及びRkcは独立して水素又は(1〜6C)アルキルであるか;又は基NRkbkcがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であり;Rkd及びRkeは独立して(1〜3C)アルキルであるか又はRkdとRkeが一緒にエチレン又はトリメチレンを形成する}から選ばれる。〕の窒素連結基であるか;又はZkはフタルイミド、スクシンイミド、マレイミド、グルタルイミド、及び3−オキサ−、3−チア−及び3−アザグルタルイミドから選ばれるイミド基であって、このイミド基は1又は2以上の(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよく、加えて、フタルイミドの芳香族部分が1又は2以上のハロ、ヒドロキシ又は(1〜3C)アルコキシ置換基を有していてもよく;
式Imの基については、Rmaは1又は2であり;そして
基Q1 については、Arは、フェニル基又は少なくとも1の環が芳香族である9〜10の環員原子のオルト縮合二環式炭素環基であって、基Arは無置換であっても、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ、メチレンジオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、−S(O)nxa、(1〜5C)アルカノイル、(1〜5C)アルカノイルオキシ、ニトロ、NRxbxc、NRxdxe、C(=NRxf)NRxgxh、CONRxbxc及びCOORxj{nは0、1又は2の整数であり、Rxaは(1〜6C)アルキル、(3〜6C)シクロアルキル又はフェニル(このフェニルはハロ、トリフルオロメチル、(1〜3C)アルキル又は(1〜3C)アルコキシ置換基を有していてもよい)であり、基NRxbxcは0〜7の炭素を含有し、そしてRxb及びRxcはそれぞれ独立して水素、(1〜5C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか、又は基NRxbxcがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であり;そしてRxdが水素又は(1〜4C)アルキルでRxeは(1〜5C)アルカノイル、ベンゾイルであるか、又は式C(=Jx)NRxgxhの基(Jxは酸素、硫黄、NRxf又はCHRxiである)であり;Rxfは水素、(1〜5C)アルキル又はRxgと一緒にエチレン又はトリメチレン二価基を形成し、基NRxgxhは0〜7の炭素を含有して、Rxg及びRxhそれぞれは独立して水素、(1〜5C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか、又は基NRxgxhがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)であるか;又はRxgがRxfと一緒にエチレン又はトリメチレン二価基を形成してRxhが水素又は(1〜5C)アルキルであり;Rxiはシアノ、ニトロ、(1〜5C)アルキルスルホニル又はフェニルスルホニルであり;そしてRxjは水素、(1〜5C)アルキル又はベンジルである}から選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよく;そしてHetは、酸素、硫黄及び窒素から選ばれる1〜4のヘテロ原子と炭素からなる5又は6の環員原子を含有する単環式芳香環の環員炭素を介して結合した基(又はその安定なN−オキシド)であるか、又はプロペニレン、トリメチレン、テトラメチレン又はベンズ二価基を縮合させることによってそれから誘導されるオルト縮合二環式複素環であって、この基Hetは無置換であっても、Arについて上で定義した1又は2以上の置換基により炭素上で置換されていても(1〜3C)アルキルにより窒素上で置換されていてもよく;
2及びQ3は、独立して水素又は(1〜3C)アルキルであり;
4は、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(1〜3C)アルコキシ、(1〜3C)アルキル及びメチレンジオキシから独立に選ばれる1又は2の置換基を有していてもよいフェニルであるか;又はQ4は、ハロ置換基を有していてもよいチエニル、イミダゾリル、ベンゾ〔b〕チオフェニル又はナフチルであるか;又はQ4 はビフェニリルあるか;又はQ4 は、1位にベンジル置換基を有していてもよい炭素連結インドリルであり;そして
5は、ホルミル、4−イミダゾリジニル、3−ピロリジニル(その窒素は(1〜3C)アルキル、アシル、及びベンジルオキシカルボニルアミノアセチルから選ばれる置換基により場合により置換されていてもよい)、(3〜6C)シクロアルキル、トリフルオロメチル、4−ピペリジノ(その窒素は(1〜3C)アルキル及びアシルから選ばれる置換基により場合により置換されていてもよい)、アリール、ヘテロアリール、1−ピリジルメチル、フルオレニル、β−スチリル、式 XII〜XXIIの基又はキサンテニルであるか;又はQ5 は、アリール、ヘテロアリール、(アリール)オキシ、アリール(1〜3C)アルキル、ヘテロアリール(1〜3C)アルキル、(1〜6C)アルキル、(ヘテロアリール)オキシ、ベンジルオキシ、(3〜6C)シクロアルキル、アダマンチル、ノルボルナニル、β−スチリル、シアノ、トリフルオロメチル、オキソ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、−NRab、−NC(=O)NRcd、−NC(=O)ORe、−C(=O)ORf、−S(O)Rg、−S(O)2h、=NRi、SRj、及び式XII〜XXIIの基から選ばれる0〜3の置換基により置換されていてもよい(1〜8C)アルキルであり;
a〜Rbは水素、アシル、ホルミル、及び(1〜4C)アルキルから独立に選ばれるか、又は基NRabがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)から選ばれる環状基を形成してもよく;
c〜Rf及びRjは水素、フェニル、ベンジル、フェネチル及び(1〜4C)アルキルから独立に選ばれ;
g及びRhは水素、フェニル、ベンジル、フェネチル、β−スチリル及び(1〜4C)アルキルから独立に選ばれ;
iは水素、(1〜4C)アルキル、アシル又は(1〜4C)アルコキシであり;
5中のアリール若しくはヘテロアリール、又はQ5のアリール若しくはヘテロアリール部分、又はRa 〜Rj のアリール若しくはヘテロアリール部分は、無置換であっても、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ、メチレンジオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、NRkm、−NS(O)2アリール(このアリール基は0〜3の(1〜3C)アルキル基により置換されていてもよい)、ヒドロキシ、−SRn、及びニトロから選ばれる1〜5の置換基を有していてもよく;そしてβ−スチリルはβ位で(1〜3C)アルコキシから選ばれる置換基により場合により置換されていてもよく;
k〜Rmは水素、アシル、ホルミル、及び(1〜4C)アルキルから独立に選ばれるか、又は基NRkmがピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(又はそのS−オキシド)又はピペラジニル(このピペラジニルは4位に(1〜3C)アルキル置換基を有していてもよい)から選ばれる環状基を形成してもよく;そして
n は水素又は(1〜3C)アルキルである。〕
又はQ1において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZaが窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Q1において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZa が窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基R1が(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩;
である本発明のコンパウンドが提供される。但し、Q1が式Idのピロリジノ又はピペリジノ基であるときは、Q4はフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル、3−メトキシフェニル、又は2−チエニルではないものとする。
【0006】
本発明の化合物の好ましいサブグループは、Q5がアリール又はヘテロアリールであるか、又はQ5が式IIIの基であって、a)R1 がアリール、ヘテロアリール、アリール(1〜3C)アルキル又はヘテロアリール(1〜3C)アルキルであり;そしてR2及びR3が独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アリール(1〜3C)アルキル、ヘテロアリール(1〜3C)アルキル、(1〜6C)アルキル又は(3〜6C)シクロアルキルであるか;又はb)R1及びR2 がそれらが結合している炭素と一緒に(3〜6C)シクロアルキルを形成し、R3が水素又は(1〜6C)アルキルである基であり、Q5中のアリール若しくはヘテロアリール環が無置換であっても、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、(1〜4C)アルキル、(1〜4C)アルコキシ、メチレンジオキシ、ヒドロキシ及びニトロから選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよい、上で定義した式Iの化合物;
又はQ1 において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZa が窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Q1 において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZa が窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基R1 が(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩である。
【0007】
式Iの化合物は、1又は2以上の不斉置換炭素原子を含有すること、及びそのような化合物は、光学活性体、ラセミ体及び/又はジアステレオマー体で単離され得ることが分かるであろう。化合物は多形現象を示し得る。本発明が、NK1及びNK2アンタゴニスト性を有するあらゆるラセミ体、光学活性体、ジアステレオマー体、多形体若しくは立体異性体、又はそれらの混合物を包含することが理解されるべきであり、光学活性体の調製の仕方(例えば、ラセミ体の分割によるか又は光学活性な出発物質からの合成による調製)及び当該技術分野で知られておりかつ以下に説明する標準試験によるNK1及びNK2アンタゴニスト性の確認の仕方は、当該技術分野において周知である。
【0008】
この明細書において、Ra、Rb、R1、R2等は一般基を表し、他の意義を持たない。一般用語“(1〜3C)アルキル”及び“(1〜6C)アルキル”には、直鎖及び分枝鎖アルキル基のいずれも含まれるが、“プロピル”の如き個々のアルキル基への言及は直鎖(ノルマル)基だけを包含し、“イソプロピル”の如き分枝鎖異性体は個別的に言及されるものと理解されるべきである。同様な取り決めが他の一般基、例えば、アルコキシ、アルカノイル等にも適用される。ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードである。アリールは、フェニル基又は約9〜10の環員原子を有するオルト縮合二環式炭素環基であって、少なくとも1つの環が芳香族である環基を表す。ヘテロアリールは、酸素、硫黄及び窒素から選択される1〜4のヘテロ原子と炭素からなる5の環員原子を含有するか又は1若しくは2の窒素と炭素からなる6の環員原子を含有する単環式芳香環の環員炭素を介して結合した基、並びにそれから誘導される約8〜10原子のオルト縮合二環式複素環の基、特にベンズ誘導体、又はプロペニレン、トリメチレン又はテトラメチレン二価基をそれに縮合させることによって誘導される誘導体、並びにその安定なN−オキシドを包含する。
【0009】
上記した式Iの化合物についての基、置換基及び範囲についての特定的な意義を説明のためにのみ以下に挙げるが、それらは、それら基及び置換基について定義された範囲内で他に定義された意義又は他の意義を排除するものではない。
【0010】
Arについての特定的な意義は、無置換であっても、クロロ、メチル、メトキシ、ヒドロキシ又はメチルスルフィニル置換基を有していてもよいフェニル基である。Hetについての特定的な意義は、無置換であっても、クロロ、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メチルスルフィニル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル置換基を有していてもよいフリル、チエニル、2−イミダゾリル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、ピリジル又はピリミジニルである。アリールについての特定的な意義はフェニルである。ヘテロアリールについての特定的な意義は、フリル、ピリジル又はピリミジニルである。ハロについての特定的な意義はクロロ又はブロモである。(1〜3C)アルキルについての特定的な意義は、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであり;(1〜4C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はt−ブチルであり;(1〜5C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル又はイソペンチルであり;(1〜6C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル又はイソヘキシルであり;そして(1〜8C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−プロピルブチル、又はオクチルである。(3〜6C)シクロアルキルについての特定的な意義は、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;(3〜7C)シクロアルキルについては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであり;そして(3〜8C)シクロアルキルについては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルである。(3〜6C)アルケニルについての特定的な意義は、アリル、2−ブテニル又は3−メチル−2−ブテニルである。(1〜4C)アルカノイルについての特定的な意義は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル又はイソブチリルであり;そして(1〜5C)アルカノイルについては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル又はピバロイルである。
【0011】
Arについてのより特定的な意義は、無置換であっても、メトキシ、ヒドロキシ又はメチルスルフィニル置換基を有していてもよいフェニル基である。Hetについてのより特定的な意義は、無置換であっても、メトキシ、ヒドロキシ又はメチルスルフィニル置換基を有していてもよいピリジル又はピリミジニルである。ヘテロアリールについてのより特定的な意義はピリジルである。ハロについてのより特定的な意義はクロロである。(1〜3C)アルキルについてのより特定的な意義はメチルであり;(1〜4C)アルキルについては、メチル又はエチルであり;(1〜5C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであり;(1〜6C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はt−ブチルであり;そして(1〜8C)アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−エチルプロピル又は1−プロピルブチルである。(3〜6C)シクロアルキルについてのより特定的な意義は、シクロプロピル又はシクロペンチルであり;(3〜7C)シクロアルキルについては、シクロプロピル又はシクロペンチルであり;そして(3〜8C)シクロアルキルについては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。(3〜6C)アルケニルについてのより特定的な意義はアリルである。(1〜4C)アルカノイルについてのより特定的な意義は、ホルミル又はアセチルであり;そして(1〜5C)アルカノイルについては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル又はイソブチリルである。
【0012】
1についての特定的な意義は、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ、4−アセトアミド−4−フェニルピペリジノ、4−(ベンジルスルフィニル)−4−メトキシピペリジノ、4−(2−メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノ、又は4−(2−オキソパーヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノであり;Q2については、メチル、エチル又はプロピルであり;Q3については水素であり;Q4については、3,4−ジクロロフェニル又は3,4−メチレンジオキシフェニルであり;そしてQ5については、フェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、2−イソプロポキシベンジル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0013】
式Iの化合物の特定的なグループは、Q1が式Ia、Ib、Ic、Ie、If、Ig、Ih、Ij、Ik及びImの基の群から選ばれる基である化合物である。
式Iの化合物の特定的なグループは、Q1が式Ie、If、Ig、Ih、Ij、Ik及びImの基から選ばれる化合物である。
【0014】
式Iの化合物の特定的なグループは、Q1が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ、4−アセトアミド−4−フェニルピペリジノ、4−(ベンジルスルフィニル)−4−メトキシピペリジノ、又は4−(2−オキソパーヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノであり;Q2が(1〜3C)アルキルであり;そしてQ5がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、2−メトキシベンジル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルベンジル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロベンジル、3,5−ジメトキシフェニル、又は3,5−ジメトキシベンジルである式VIIIの化合物である。
【0015】
式Iの化合物の特定的なグループは、Q5がホルミル、4−イミダゾリジニル、3−ピロリジニル(その窒素は(1〜3C)アルキル、アシル、及びベンジルオキシカルボニルアミノアセチルから選ばれる置換基により場合により置換されていてもよい)、(3〜6C)シクロアルキル、トリフルオロメチル、4−ピペリジノ(その窒素は(1〜3C)アルキル及びアシルから選ばれる置換基により場合により置換されていてもよい)、アリール、ヘテロアリール、1−ピリジルメチル、フルオレニル、β−スチリル、式 XII〜XXIIの基又はキサンテニルであるか;又はQ5 が、アリール、ヘテロアリール、(アリール)オキシ、(ヘテロアリール)オキシ、ベンジルオキシ、(3〜6C)シクロアルキル、アダマンチル、ノルボルナニル、β−スチリル、シアノ、トリフルオロメチル、オキソ、ヒドロキシ、(1〜4C)アルコキシ、−NRab、−NC(=O)NRcd、−NC(=O)ORe、−C(=O)ORf、−S(O)Rg 、−S(O)2h、=NRi、SRj、及び式XII〜XXIIの基から選ばれる1の置換基により置換されていてもよい(1〜6C)アルキルである化合物である。
【0016】
式Iの化合物のより特定的なグループは、Q1が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり;Q2が(1〜3C)アルキルであり;そしてQ5がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、2−イソプロポキシベンジル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである式VIIIの化合物である。
【0017】
式Iの化合物のもう1つのより特定的なグループは、Q1が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり;Q2がメチルであり;そしてQ5がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、2−メトキシベンジル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルベンジル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロベンジル、3,5−ジメトキシフェニル、又は3,5−ジメトキシベンジルである式VIIIの化合物である。
【0018】
式Iの化合物の薬学的に許容できる塩には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、又はp−トルエンスルホン酸の如き、生理学的に許容できるアニオンを付与する強い無機酸又は有機酸でできた塩が含まれる。
【0019】
式Iの化合物は、構造的に類似する複素環式化合物の製造について化学技術分野で知られている方法を包含する方法により作ることができる。上で定義した式Iの化合物の製造のためのかかる方法及び中間体が、本発明の更なる特徴として提供され、それらは次の操作により説明される。この際、一般基の意義は、特に示さない限り、上で定義した通りである。
【0020】
(a) 式IVのアミンを、Xがクロロである式Vの酸塩化物でアシル化する。このアシル化は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン又はジエチルエーテルの如き不活性溶媒中、−50℃から100℃の範囲、好ましくは−20℃から50℃の範囲の温度で行うことができ、そして適する塩基の存在下で行うことができる。式IVのアミンのこのアシル化に適する条件は実施例1に記載されている。
【0021】
(b) 式IVのアミンを、XがOHである式Vの酸でアシル化する。この反応は、例えば、1,1' −カルボニルジイミダゾールの如き適するカップリング試薬の存在下、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン又はジエチルエーテルの如き不活性溶媒中、−50℃から100℃の範囲、好ましくは0℃から50℃の範囲の温度で行うことができる。式IVのアミンのこのアシル化に適する条件は実施例2に記載されている。
【0022】
(c) Q2が(1〜3C)アルキルである式Iの化合物については、Q2が水素である式Iの対応する化合物を、Yが例えばクロロ、ブロモ又はメタンスルホニルの如き適する脱離基である式Q2Yの化合物でアルキル化する。このアルキル化は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン又はジエチルエーテルの如き不活性溶媒中、−50℃から100℃の範囲、好ましくは−20℃から50℃の範囲の温度で行うことができ、そして適する塩基の存在下で行うことができる。式Iの化合物のこのアルキル化に適する条件は実施例3に記載されている。
【0023】
(d) Q1において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZaが窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)のN−オキシドについては、式Iの対応する化合物のピペリジノ窒素を、例えば、メタノール中で過酸化水素を用いるか、不活性溶媒(ジクロロメタンの如きもの)中で過酢酸又は3−クロロ過安息香酸を用いるか、又はアセトン中でジオキシランを用いる如き、慣用的操作を用いて酸化する。
【0024】
(e) Q1において式Ia〜Im中のΔにより指し示されるピペリジノ窒素(又はZaが窒素である場合はQ1のどちらかの塩基性ピペラジニル窒素)の4級アンモニウム塩については、式Iの対応する化合物中のピペリジノ窒素を、Yが脱離基である式R1Yのアルキル化剤でアルキル化する。
【0025】
(f) スルフィニル基を有する式Iの化合物については、スルフィド基を有する式Iの対応する化合物の硫黄を慣用的方法を用いて酸化する。
(g) スルホニル基を有する式Iの化合物については、式Iの対応する化合物のスルフィド基又はスルフィニル基を慣用的方法を用いて酸化する。
【0026】
(h) 芳香族ヒドロキシ基を有する式Iの化合物については、芳香族アルコキシ基を有する式Iの対応する化合物のエーテルを慣用的方法を用いて開裂する。
上記の方法の全部又は一部の間、場合により保護基を用い、次いで最終化合物を生成させようとするときにその保護基を除去するのが望ましいといえる。
【0027】
その後に、上記操作のいずれかについて、式Iの化合物の薬学的に許容される塩が必要な場合は、式Iの化合物を生理学的に許容できる対イオンを付与する酸と反応させることにより又は他の何らかの慣用操作によりそれを得ることができる。
【0028】
本発明の化合物中の種々の任意の置換基のうち一定のものを上の方法の前又は直後のいずれかに標準的な芳香族置換反応により導入しても、慣用的な官能基修飾によって生成させてもよく、そしてそういうものが本発明の方法的側面に包含されることも分かるであろう。かかる操作のための試薬及び反応条件は、当該化学技術分野では周知である。
【0029】
市販されていない場合には、上の操作に必要な出発物質を、有機化学の標準的技術、既知の構造上類似する化合物の合成法に類似する技術、及び上記操作若しくは実施例に記載した操作に類似する技術から選ばれる操作により作ることができる。出発物質及びそれらの調製操作は、本発明の追加の側面である。
【0030】
式Iの化合物の調製に便利な中間体は、Q1が式Ia〜Imから選ばれるところの式Q1 −Hのピペリジンから、スキームIに示すように調製できる式IVのアミンである。式VIのアルデヒドのトリメチルシリルシアナイド及び式Q1−Hのピペリジンとの触媒量のヨウ化亜鉛の存在下でのカップリングで、式VII のニトリルが得られる。このニトリルを還元すると、Q2が水素である式IVのアミンが生成する。
【0031】
式Q1−Hのピペリジンは、容易に入手できる出発物質からから既知の合成法を用いて調製することができる。例えば、式Q1−Hのピペリジンの調製は、ヨーロッパ特許出願、公報番号(EPA)428434、EPA474561、EPA512901、EPA512902、EPA515240及びEPA559538、並びにWO94/10146に開示されている。当業者には明白であろうが、これら出発物質の調製には種々の順序が可能であり、本発明の出発物質及び生成物を導く順序は、合成方法及び存在する基に関する適切な考慮が伴うならば、変更してもよい。
【0032】
本発明の化合物又は薬学的に許容できるその塩(以下“コンパウンド”と総称する)の有用性は、上記のEPA公報に開示されたもの及び以下に記載するものを含む標準的試験及び臨床的研究によって証明することができる。
SPレセプター結合アッセイ(試験A)
NK1レセプターにおけるSPの結合に拮抗する本発明のコンパウンドの能力は、マウス赤白血病(MEL)細胞内で発現されるヒトNK1レセプターを用いるアッセイを用いて証明することができる。このヒトNK1レセプターを、B. Hopkinsら “Isolation and Characterization of the human lung NK1 reseptorcDNA" Biochem. Biophys. Res. Comm., 1991, 180, 1110-1117 に記載されている通りに単離及び特性決定した。そのNK1レセプターを以下の試験Bに記載した操作と類似の操作を用いてマウス赤白血病(MEL)細胞内で発現させた。
【0033】
一般に、試験した本発明のコンパウンドは、試験Aにおいて実質的に有意な結合活性を示し、1μM又はそれよりずっと少ないKiが概して測定された。
ニューロキニンA(NKA)レセプター結合アッセイ(試験B)
NK2レセプターにおけるNKAの結合に拮抗する本発明のコンパウンドの能力は、Aharony, D. ら “Isolation and Pharmacological Characterization of a Hampster Neurokinin A Recepter cDNA" Molecular Pharmacology, 1994, 45, 9-19 に記載された通りに、マウス赤白血病(MEL)細胞内で発現されたヒトNK2レセプターを用いるアッセイを用いて証明することができる。このアッセイを最初に用いるに際し、標準化合物L−659,877について測定したIC50が、MELMに結合する 3H−NKAに対して30nMであることが分かった。
【0034】
NK1レセプター及びNK2レセプターにおける結合についてのコンパウンドの選択性は、標準アッセイ、例えば、NK3レセプターに対して選択的な組織試料中のNKBのトリチウム標識誘導体を用いるアッセイを用いて、他のレセプターにおけるその結合を確認することにより示すことができる。一般に、試験した本発明のコンパウンドは、試験Bにおいて実質的に有意な結合活性を示し、10μM又はそれより少ないKi が概して測定された。
ウサギ肺動脈アッセイ:NK1 in vitro 機能アッセイ(試験C)
肺組織内でアゴニスト、つまりAC−〔Arg6 ,Sar9 ,Met(O2)11〕SP(6−11)(ASMSPと名付ける)の働きに拮抗する本発明のコンパウンドの能力は、Emonds-Alt, X ら “In vitro and in vivo biological activities of Sr 140333, a novel potent non-peptide tachykinin NK1 receptor antagonist" Eur. J. Pharmacol., 1993, 250, 403-413 に記載された条件と同様な条件下で行われる機能アッセイ (functional assay) を用いて証明することができ、それは次のようにして行われる。
【0035】
雄ニュージーランド白ウサギを(ネンブタール(Nembutal) 60mg/kgをカニューレを挿入した耳静脈中に)致死注射することにより殺す。血液凝固を抑えるために、0.0025ml/kgのヘパリンの1000U/ml溶液をその耳静脈中にネンブタールより先に注射する。肺動脈の左右の分枝を肺組織の残りの部分から分離し、半分に切って各動物から4つのリング状切片を得る。無傷の内皮が付いたこれら切片をステンレススチール製あぶみ金の間に吊るして次の組成(mM)(NaCl,119.0;KCl,4.6;CaCl2,1.8;MgCl2,0.5;NaH2PO4,1.0;NaHCO3,25.0;グルコース,11.0;インドメタシン,0.005(シクロオキシゲナーゼを阻害するため);及びdl−プロプラノロール,0.001(β−アドレナリンレセプターを阻害するため))の生理的塩類溶液を含有する水ジャケット(37.0℃)付き組織浴中に入れて、95%O2−5%CO2を継続的に吹き込む。各組織にかける初期張力は2gであり、これを0.5時間の平衡時間全体にわたって維持する。張力の変化を Grass FT-03 力変換器 (force transducer) を介して Grassポリグラフで測定する。
【0036】
1×10-6Mのチオルファン(E.C.3.4.24.11.を阻害するため)及び、例えばWO94/148184、EPA0625509、EPA0630887に記載されたアンタゴニストの如き選択性NK2アンタゴニスト(NK2レセプターを阻害するため)、又はアゴニストSR48968(3×10-8M)を、試験化合物又はその媒質と共にこれら組織浴に添加して90分してから、NK1レセプターアゴニスト、つまりAC−〔Arg6,Sar9 ,Met(O2)11〕SP(6−11)(ASMSPと名付ける)を添加する。3×10-6Mのフェニレフリンをその組織内における緊張を誘発するために添加する。フェニレフリンを導入した1時間後に、ASMSPの累積的濃度応答作用が得られ、そして1×10-3Mのパパベリンを各実験の終わりに添加して最大の弛緩量(100%と定義する)を確認する。
【0037】
試験した各濃度についての見掛け解離定数(KB)を標準式:
B=〔アンタゴニスト〕/(用量比−1)
を用いて計算することにより、それら化合物の効力を出す。ここで、用量比=真数〔(アゴニスト−log(化合物なしのモルEC50))−(アゴニスト−log(化合物有りのモルEC50))〕である。これらKB値は、負の対数に変換して−logモルKB(即ち、pKB )として表される。アゴニストの効力は、各曲線におけるそれ自体の最大弛緩量の50%で定める。これらEC50値を負の対数に変換して−logモルEC50として表す。ASMSPに対する最大弛緩応答は、パパベリンにより起こる弛緩のパーセンテージとしてそのアゴニストに対する最大応答を表すことにより定められる。
モルモット気管アッセイ:NK2 in vivo 機能アッセイ(試験D)
肺組織内でのアゴニスト、つまり〔β−Ala8〕−ニューロキニンA(4−10)(BANKと名付ける)の働きに拮抗する本発明のコンパウンドの能力は、Ellis, J.L. ら “Pharmacological examination of receptors mediating contractile responses to tachykinins in airways isolated from human, guinea pig and hamster" J. Pharmacol. Exp. Ther., 1993, 267, 95-101 に記載された条件と同様な条件下で行われるモルモット気管における機能アッセイを用いて証明することができ、それは次のようにして行われる。
【0038】
後頭部を一撃することにより雄モルモットを殺して放血させる。その気管を切除し、余分な組織を切り取って(上皮の切除を含む)らせん状に切る。縦方向に切った各気管切片を、次の組成(mM)(NaCl,119;KCl,4.6;CaCl2 ,1.8;MgCl2 ,0.5;NaH2PO4 ,1;NaHCO3,25;グルコース,11;及びインドメタシン,0.005(シクロオキシゲナーゼを阻害するため))の生理的塩類溶液を含有する水ジャケット(37.5℃)付き組織浴中に細片として吊るして、95%O2−5%CO2 を継続的に吹き込む。各組織にかける初期張力は5gであり、他の薬品を添加する前に0.5時間の平衡時間全体にわたって維持する。収縮応答を Grass FT-03 力変換器を介して Grassポリグラフで測定する。
【0039】
組織を単一濃度(1×10-6M)のカプサイシンで一度攻撃してよく洗浄してから、例えば(±)−CP96345(3×10-7M)の如き選択性NK1アンタゴニスト(NK1レセプターをブロックするため)及び1×10-6Mのチオルファン(E.C.3.4.24.11.を阻害するため)を添加する。チオルファンを添加して35分後にNK2アゴニスト〔β−Ala8〕−ニューロキニンA(4−10)(BANKと名付ける)の累積的添加を始める。試験化合物はBANKの120分前に添加する。
【0040】
試験化合物の効力は、試験した各濃度についての見掛け解離定数(KB )を標準式:
B =〔アンタゴニスト〕/(用量比−1)
を用いて計算することにより評価する。ここで、用量比=真数〔(アゴニスト− log(化合物なしのモルEC50))−(アゴニスト− log(化合物有りのモルEC50))〕である。これらKB値は、負の対数に変換して−log モルKB (即ち、pKB )として表される。BANKの効力は、各曲線におけるそれ自体の最大応答レベルの50%で定める。これらEC50値を負の対数に変換して−log モルEC50として表す。BANKに対する最大弛緩応答は、カプサイシンにより起こる初期収縮のパーセンテージとしてBANKに対する最大応答を表すことにより定められる。
【0041】
一般に、試験した本発明のコンパウンドは、試験C及びDにおいて機能活性を示し、各試験において5又はそれより大きなpKB が概して測定された。例えば、実施例2の化合物は、試験Cにおいて6.2のpKBを示した。
モルモット窮迫複式呼吸(呼吸困難)アッセイ:NK1及びNK2 in vivo 機能アッセイ(試験E)
NK1又はNK2レセプターのアンタゴニストとしてのコンパウンドの活性も、例えば、Snyderら “Conscious guinea-pig aerosol model for evaluation of peptide leukotriene antagonists" J. Pharmacol. Meth., 1988, 19, 219 においてロイコトリエンアンタゴニストの評価について記載された定型的モルモットエアロゾル試験を適用することによって、実験動物で in vivo で証明でき、それは次のようにして行われる。
【0042】
Snyderらにより以前に記載された透明プラスチック室を用いて、気管支収縮薬アゴニストのエアロゾルに頭部だけを曝すためにモルモットを固定し、アゴニストを6匹の意識あるモルモットにエアロゾルにより各処置の間同時に投与する。3×10-5MのタキキニンNK1選択性アゴニスト、つまりASMSP又はタキキニンNK2選択性アゴニスト、つまりBANKのいずれかを、2L/分の速度でこの室に入ってゆく空気流の中に Devilbiss Model 25 超音波ネブライザからエアロゾル化する。
【0043】
モルモット(275〜400g)を実験の約16時間前に固定する。ASMSP又はBANKの作用の遮断について評価しようとするコンパウンド又はそれらの媒質(生理食塩水中10%PEG400)を、エアロゾルアゴニストで攻撃する前の種々の時点で、経口、静脈内又はエアロゾル経路により投与する。全ての動物をアトロピン(10mg/kg,腹腔内,45分前処理)、インドメタシン(10mg/kg,腹腔内,30分前処理)、プロプラノロール(5mg/kg,腹腔内,30分前処理)、及びチオルファン(1mg/mlのエアロゾルを5分間,15分前処理)で前処理する。
【0044】
アゴニストでのエアロゾル攻撃で、最初に呼吸速度が上昇した後、腹筋が僅かに連動する初期の徴候を伴って低下する。曝し続けるにつれて、呼吸速度は更に低下して、腹筋のより大きな連動を伴って呼吸はより窮迫する。明確に認識できる終点は、モルモットの呼吸パターンが一定してゆるやかに深くかつ落ち着く時点で、顕著な腹筋の連動が見られる。エアロゾル攻撃の開始からこの終点までの時間(秒)を、ストップウォッチを用いて各動物について測定する。動物達は終点に達した後は概して虚脱状態になってアゴニスト誘発呼吸困難から回復することはなかった。アンタゴニストは、この終点に達する時間を長くする。動物達は、最大時間で780秒間、アゴニストのエアロゾル投与を受ける。
【0045】
薬品処理グループと対応する媒質処理コントロールグループ間の差を、不対観察 (unpaired observation) についてのスチューデントt検定を用いて比較する。結果を防護値(%)として記録する。
【0046】
防護値(%)=〔(薬品時間−平均コントロール時間〕
/(最大エアロゾル時間−平均コントロール時間)〕×100
臨床研究
本発明のコンパウンドの効力を証明する臨床研究を、標準的方法を用いて行うことができる。例えば、喘息又は喘息様状態の症状を予防又は治療するコンパウンドの能力は、吸入冷気又はアレルゲンの攻撃及び統計分析の標準的方法により分析される、例えば、FEV1(1秒最大努力呼気肺活量)及びFVC(努力性肺活量)の如き標準的肺測定値による評価を用いて証明することができる。
【0047】
上記の試験におけるコンパウンドの活性が関係するものは喘息に限定されず、むしろ、これら試験はSP及びNKAの両方の広い拮抗作用の証拠を提供することが分かるであろう。
【0048】
SP及びNKAは、慢性関節リウマチ、アルツハイマー病、水腫、アレルギー性鼻炎、炎症痛、胃腸運動亢進、過敏性腸症候群、不安、嘔吐、ハンチントン病、精神病、高血圧症、片頭痛、失禁、膀胱運動亢進、及びじんま疹を含む多くの疾患の病因に関係している。従って、本発明の1つの特徴は、式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩を、SP又はNKAが関係しているためにその働きの拮抗作用が望まれる疾患の治療に、それを必要とするヒト又は他の哺乳動物に用いることである。
【0049】
喘息は、症候的には、気道の慢性炎症及び過剰応答性の両方により特徴付けられる。NK1レセプターは気道における炎症及び粘液過剰分泌を媒介することが知られており、NK2レセプターは気管支平滑筋の緊張の制御に関係している。かくして、SP及びNKAの働きにそれぞれNK1レセプター及びNK2レセプターにおいて拮抗することができる物質は、喘息の前兆となる慢性炎症及び気道過剰応答の両方を軽くすることができる。更に、NK1アンタゴニスト及びK2アンタゴニストの同時適用から気管支収縮に対する共働的作用が生じ得る。D.M. Foulon ら“NK1 and NK2 Receptors Mediated Tachykinin and Resiniferatoxin-induced Bronchospasm in Guinea Pigs" American Review of Respiratory Disease, 1993, 148, 915-921。従って、本発明の他の特徴は、式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩を喘息の治療に、それを必要とするヒト又は他の哺乳動物に用いることである。
【0050】
SP及びNKAの働きに帰因する作用の範囲の故に、それらの働きを遮断することができる化合物は、タキキニンファミリー内の他の神経伝達物質の生物学的機能を更に評価するためのツールとしても有用である。その結果、本発明の他の特徴は、式Iの化合物又はその塩を、SP又はNKAが関係する疾患を治療するための新たな治療剤の開発に用いるための新たな疾患モデル又はアッセイの開発及び標準化のための薬学的スタンダードとして又はそれらの診断用アッセイのための薬学的スタンダードとしての使用により提供される。
【0051】
疾患の治療に用いる場合、本発明の化合物は、一般に、先に定義した式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩及び薬学的に許容できる希釈剤又はキャリヤーを含む適切な医薬組成物として投与され、その組成物は、選ばれる特定の投与ルートに適合させられる。そのような組成物は、本発明の更なる特徴として提供される。それは、慣用操作及び賦形剤及び結合剤を用いて得ることができ、そしてそれは種々の投与形態の1種をとることができる。かかる形態には、例えば、経口投与用の錠剤、カプセル剤、溶液剤又は懸濁剤;直腸投与用の坐剤;静脈内若しくは筋肉内輸注又は注射により投与するための滅菌溶液剤又は懸濁剤;吸入により投与するためのエアロゾル又はネブライザ溶液剤若しくは懸濁剤;又はガス注入により投与するためのラクトースの如き薬学的に許容できる固体希釈剤を伴った散剤が含まれる。
【0052】
経口投与用には、250mgまで(典型的には5〜100mg)の式Iの化合物を含有する錠剤又はカプセル剤を用いることができる。吸入による投与については、式Iの化合物を例えば5〜100mgの1日投与量の範囲で、1回で又は2〜4回に分割した1日投与量でヒトに投与する。同じく、静脈内若しくは筋肉内注射又は輸注については、10%w/wまで(典型的には0.05〜5%w/w)の式Iの化合物を含有する滅菌溶液剤又は懸濁剤を用いることができる。
【0053】
投与すべき式Iの化合物の量は、投与ルート及び容態の重さ及び治療される患者の大きさや年齢を考慮し、当該技術分野で周知の原則に従って、必然的に変動する。しかしながら、一般に、式Iの化合物は、(ヒトの如き)温血動物に、例えば、0.01〜25mg/kg(通常は0.1〜5mg/kg)の範囲の量で投与される。一般に、等価量の薬学的に許容できる式Iの化合物の塩を用いれることが理解されるであろう。
【0054】
以下の非限定的実施例により本発明を説明する。この際、特に断らない限り、
(i) 温度は摂氏(℃)で示し;操作は、室温又は周囲温度、即ち、18〜25℃の温度で行った;
(ii) 有機溶液は、無水硫酸マグネシウムで乾燥した;溶媒の留去は、減圧下(600〜4000パスカル;4.5〜30mmHg)でロータリーエバポレーターを用いて60℃までの浴温で行った;
(iii) クロマトグラフィーは、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーを意味する;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレートで行った;
(iv) 一般に、反応経過はTLCで追跡し、反応時間は説明のために示しているに過ぎない;
(v) 融点は無補正のものであり、(dec) は分解を示す;示した融点は、記載した通りに調製した物質について得られたものである;多形性により幾つかの調製において異なる融点を有する物質が単離されることがある;
(vi) 最終生成物は満足のゆくプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルを有した;
(vii) 収率は説明のために示したに過ぎず、必ずしも鋭意開発した方法により得ることができた収率ではない;より多くの物質が必要な場合には調製を繰り返した;
(viii) NMRデータが示される場合、それは主要な特性プロトンについてのδ値の形であって、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に比較した100万当たりの数値(ppm)で示しており、溶媒として重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)を用いて300MHzで測定したものである;シグナルの形については慣用的略号を用いている;ABスペクトルについては直接に認められたシフトを報告している;カップリング定数(J)はHzで示している;Arは、そのような帰属がなされるときには芳香族プロトンを示している;
(ix) 化学記号はそれらの通常の意味を有する;SI単位及び記号を用いている;
(x) 減圧度は絶対圧としてパスカル(Pa)で示している;高圧度はゲージ圧としてバールで示している;
(xi) 溶媒比率は容量:容量(v/v)表示で示している;そして
(xii) マススペクトル(MS)は、直接暴露プローブ(direct exposure probe) を用いる化学イオン化(CI)式で70電子ボルトの電子エネルギーで運転した;示される場合には、イオン化を電子衝撃法(EI)又は高速原子衝撃法(FAB)により行った;m/zについての値を示している;一般に、ペアレントマスを示すイオンだけを報告している。
【実施例】
【0055】
実施例1 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ピロリジン−1−イルエチル〕ベンズアミド・塩酸塩
2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミン(2.46g)、塩化ベンゾイル(1.34g)及びトリエチルアミン(1.92g)をジクロロメタン(25mL)中で23℃で48時間攪拌した。この反応液を水中に注ぎ、分液した有機層を乾燥し、そして溶媒を留去して褐色オイル(2.85g)を得た。溶離液としてクロロホルム(1200mL)次いでメタノール:クロロホルム(5:95)でクロマトグラフィーに付してオイルを得た。このオイルをジエチルエーテルで磨り潰して白色固体を得た。これをジクロロメタンに溶かして塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理した。この溶液の溶媒を留去して、表題の化合物を白色ガラス状物(330mg)として得た;m.p.129℃(再固化後);MS:m/z=636(M+1);NMR:1.78 (m,4),2.54 (m,4), 3.5 (m,2), 4 (m,1), 6.16 (br s,1), 7.21 (m,1), 7.42 (m,5), 7.62 (m,2) :元素分析 計算値:C, 55.22;H, 5.49 ;N, 6.78 ;測定値:C, 55.21;H, 5.24 ;N, 6.59 。
【0056】
中間体の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミンは、次のようにして調製した。
a)α−ピロリジン−1−イル−3,4−ジクロロベンジルシアナイド・塩酸塩。トリメチルシリルシアナイド(2.02g)及び触媒量のヨウ化亜鉛をジクロロメタン(40mL)中の3,4−ジクロロベンズアルデヒド(2.86g)の溶液に23℃で添加した。この反応液を23℃で20分間攪拌し、メタノール(20mL)中のピロリジン(1.16g)の溶液で処理した。この反応液を2時間還流して23℃で18時間攪拌した。この反応液を氷浴中で冷却して塩酸(g)/メタノール(pH=1〜2)で処理した。この反応液を23℃で1時間攪拌し、溶媒を留去して金色オイルを得た。これを次反応にそのまま用いた。
【0057】
b)2−(ピロリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)エチルアミン。テトラヒドロフラン(100mL)中のα−ピロリジン−1−イル−3,4−ジクロロベンジルシアナイド・塩酸塩(4.73g)のスラリーを、還流を維持しながら、テトラヒドロフラン(35mL)中の水素化アルミニウムリチウム(3.23g)のスラリーに添加した。この反応液を18時間還流させた。この反応液を氷浴中で冷却して硫酸ナトリウム水溶液で処理した。この反応液を濾過し、溶媒を留去して赤褐色オイルを得た。このオイルをジエチルエーテルに溶かし、塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理し、そして溶媒を留去して赤色オイルを得た。これを後の反応にそのまま用いた。
実施例2 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕−N−メチル−2−メトキシフェニルアセトアミド・塩酸塩
テトラヒドロフラン(10mL)中の2−メトキシフェニル酢酸(570mg)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(610mg)の溶液を0.5時間攪拌還流した。この反応液を23℃に冷やして、テトラヒドロフラン(50mL)中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン(940mg)の溶液で処理した。この反応液を23℃で18時間攪拌した。この反応液の溶媒を留去して金色オイルを得た。このオイルをジクロロメタン(30mL)に溶かし、塩酸(g)/エーテルで処理し、そして溶媒を留去して黄色オイルを得た。これをジクロロメタン(10mL)に溶かしてジエチルエーテル(500mL)中に滴下した。表題の化合物が白色固体として析出した;m.p.205〜208℃;MS:m/z=527(M+1);NMR:1.75 (m,2), 2.43 (m,1), 2.6 (m,1), 2.81 (s,3), 3.12 (m,3), 3.48 (m,4), 3.69 (s,3), 3.76 (m,4), 4.17 (m,1), 4.35 (m,1), 4.79 (m,1), 6.67 (d,1), 6.77 (d,1), 7.31 (m,6), 7.76 (m,2), 8.05 (s,1), 11.66 (s,1), 11.73 (s,1) :元素分析 計算値:C, 61.76;H, 5.9;N, 4.97 ;測定値:C, 61.68;H, 5.96 ;N, 4.91 。
【0058】
中間体のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミンは、次のようにして調製した。
a)α−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−3,4−ジクロロベンジルシアナイド・塩酸塩。トリメチルシリルシアナイド(2.02g)及び触媒量のヨウ化亜鉛を、ジクロロメタン(45mL)中の3,4−ジクロロベンズアルデヒド(2.86g)の溶液に23℃で添加した。この反応液を23℃で20分間攪拌し、メタノール(20mL)中の4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン(2.89g)の溶液で処理した。この反応液を2.5時間還流して23℃で18時間攪拌した。この反応液を氷浴中で冷却して塩酸(g)/エーテルで処理した(pH=1〜2)。この反応液を23℃で1時間攪拌し、溶媒を留去して黄褐色オイルを得た。このオイルをエーテル:ヘキサン:エタノール(1:1:1)で磨り潰して表題の化合物を淡黄色固体(5.09g)として得た。これを後の反応にそのまま用いた;MS:m/z=361(M+1)。
【0059】
b)2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン。テトラヒドロフラン(50mL)中のα−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−3,4−ジクロロベンジルシアナイド・塩酸塩(5.09g)のスラリーを、テトラヒドロフラン(40mL)中の水素化アルミニウムリチウム(2.43g)のスラリーに還流しながら添加した。18時間後、この反応液を氷浴中で冷却し、硫酸ナトリウム水溶液で処理し、濾過し、そして乾燥(Na2 SO4 )して表題の化合物を得た。これを後の反応にそのまま用いた。
【0060】
c)N−アセチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン。テトラヒドロフラン(200mL)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン(4.68g)、炭酸ナトリウム(1.36g)及びクロロギ酸メチル(1.21g)の混合液を23℃で48時間攪拌した。この反応液の溶媒を留去し、ジクロロメタン(300mL)と水(200mL)に分配し、分液した有機層を乾燥し、そして溶媒を留去して金色オイルを得た。これを後の反応にそのまま用いた。
【0061】
d)N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン。テトラヒドロフラン(50mL)中のN−アセチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン(5.40g)を、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム(1.40g,95%)のスラリーに還流下で攪拌しながら添加した。この反応液を18時間還流し、氷浴中で冷却し、硫酸ナトリウム水溶液で処理し、濾過し、そして乾燥(Na2 SO4 )して表題の化合物を得た。これを後の反応にそのまま用いた。
実施例3 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ピロリジン−1−イルエチル〕−N−メチルベンズアミド・塩酸塩
ジメチルスルホキシド(1.5mL)中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ピロリジン−1−イルエチル〕ベンズアミド(260mg)の溶液及びヨウ化メチル(230mg)を、ジメチルスルホキシド(0.7mL)中のKOH(190mg)の溶液に添加した。この反応液を23℃で0.75時間攪拌し、水(10mL)中に注ぎ、そしてジクロロメタン(20mL)で抽出した。有機層を洗浄(食塩水)し、乾燥し、そして溶媒を留去して金色オイルを得た。溶離液として酢酸エチル:ヘキサン(50:50次いで75:25)でクロマトグラフィーに付してオイルを得た。これをジエチルエーテルに溶かして塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理し、表題の化合物を白色固体(60mg)として得た;m.p.199〜202℃;MS:m/z=377(M+1);NMR:1.98 (m,1), 2.12 (m,2), 2.35 (m,1), 2.54 (s,3), 2.61 (m,1), 3.35 (m,2), 3.88 (t,1), 4.13 (m,1), 4.63 (m,2), 7.2 (dd,1), 7.26 (s,1), 7.53 (d,1), 7.79 (br s,1), 8.11 (br s,1), 13.23 (br s,1):元素分析 計算値:C, 57.43;H, 5.6;N, 6.7;測定値:C, 57.59;H, 5.61 ;N, 6.35 。
実施例4 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕ベンズアミド・塩酸塩
塩化ベンゾイル(290mg)及びトリエチルアミン(420mg)を、テトラヒドロフラン(37.5mL)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン(750mg)の溶液に添加した。この反応液を23℃で18時間攪拌し、溶媒を留去してオイル−固体混合物を得た。この混合物を水(100mL)とジクロロメタン(100mL)に分配し、分液した有機層を乾燥し、そして溶媒を留去してくすんだ白色固体(1.01g)を得た。ジエチルエーテル中のこの固体の溶液を塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理してからその塩酸塩を熱酢酸エチル(最小容量)から再結晶して、表題の化合物を白色固体(450mg)として得た;m.p.232〜235℃;MS:m/z=469(M+1);NMR:1.8 (m,2), 2.44 (m,1), 2.63 (m,1), 3.17 (m,3), 3.99 (m,2), 4.27 (m,1), 4.76 (m,1), 5.4 (br s,1), 7.26 (m,1), 7.46 (m,7), 7.8 (m,5), 11.37 (br s,1):元素分析 計算値:C, 61.73;H, 5.38 ;N, 5.54 ;測定値:C, 61.8 ;H, 5.5;N, 5.52 。
実施例5 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕−N−メチルベンズアミド
テトラヒドロフラン中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン(450mg)、塩化ベンゾイル(168mg)、及びトリエチルアミン(120mg)を23℃で48時間攪拌した。この反応液を濾過及び濃縮して金色オイルを得た。溶離液としてクロロホルム次いでメタノール:クロロホルム(5:95)でクロマトグラフィーに付して金色オイルを得た。このオイルをジエチルエーテル/ヘキサンで磨り潰して白色固体を得た;MS:m/z=483(M+1);NMR:1.77 (m,2), 2.4 (m,1), 2.63 (m,1), 2.72 (m,3), 3.2 (m,3), 3.83 (m,1), 4.36 (m,2), 4.93 (m,1), 5.43 (br s,1), 7.03 (m,2), 7.41 (m,7), 7.83 (m,2) :元素分析 計算値:C, 60.28;H, 5.8;N, 5.21 ;測定値:C, 60.25;H, 5.52;N, 5.14 。
実施例6 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕フェニルアセトアミド・塩酸塩
塩化フェニルアセチル(330mg)及びトリエチルアミン(420mg)をテトラヒドロフラン(38mL)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチルアミン(750mg)の溶液に添加した。この反応液を23℃で18時間攪拌し、溶媒を留去してオイル−固体混合液を得、水(100mL)とジクロロメタン(100mL)に分配した。その有機層を乾燥し、その濾液の溶媒を留去して金色オイルを得た。このオイルをジエチルエーテルに溶かし、塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理した。このエーテル層を濃縮して金色オイルを得た。このオイルを水(300mL)とジエチルエーテル(300mL)に分配した。水層を重炭酸ナトリウムで塩基性(pH=12)にしてジエチルエーテル(2×150mL)で抽出した。このエーテル層を塩酸(g)/ジエチルエーテルで処理し、濃縮して金色オイルを得た。このオイルをジエチルエーテルで磨り潰して表題の化合物を黄褐色ガラス状物(100mg)として得た;m.p.129〜133℃;NMR:1.77 (m,2), 2.33 (m,2), 3.13 (m,4), 3.81 (m,2), 4.04 (m,1), 4.71 (m,1), 5.39 (br s,1), 7.02 (m,2), 7.33 (m,8), 7.61 (d,1), 7.75 (d,1), 8.1 (s,1), 8.5 (br s,1), 10.94 (br s,1):元素分析 計算値:C, 60.79;H, 5.76 ;N, 5.25 ;測定値:C, 60.6 ;H, 5.47 ;N, 4.96 。
実施例7 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕−N−メチルフェニルアセトアミド・塩酸塩
テトラヒドロフラン(25mL)中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン(450mg)、塩化フェニルアセチル(190mg)及びトリエチルアミン(120mg)を23℃で48時間攪拌した。この反応液の溶媒を留去して金色オイルを得た。溶離液としてクロロホルム次いでメタノール:クロロホルム(5:95)でクロマトグラフィーに付して金色オイル(420mg)を得た。ジエチルエーテル(15mL)中のこのオイルの溶液を塩酸(g)/エーテル(4mL)で処理し、表題の化合物を白色固体(200mg)として得た;m.p.109℃(少し融解してから再固化),137〜139℃;MS:m/z=497(M+1);NMR:1.77 (m,2), 2.49 (m,1), 2.65 (m,2), 2.81 (br s,3), 3.05 (m,3), 3.56 (m,3), 4.17 (m,1), 4.32 (m,1), 4.74 (br s,1), 6.96 (br s,2), 7.33 (m,10), 7.67 (br s,2), 8 (br s,1), 11.64 (br s,1) :元素分析 計算値:C, 62.99;H, 5.66 ;N, 5.25 ;測定値:C, 62.69;H, 5.9;N, 5.14 。
実施例8 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕−N−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルアセトアミド・塩酸塩
テトラヒドロフラン(15mL)中の3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸(1.61g)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.01g)の溶液を還流しながら0.5時間攪拌した。この反応液を23℃に冷やしてテトラヒドロフラン(70mL)中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン(2.24g)の溶液で処理した。この反応液を23℃で18時間攪拌した。この反応液の溶媒を留去してオイルを得て、そのオイルをジエチルエーテルと1N塩酸(100mL)に分配した。有機層をエーテル性塩酸で処理すると、表題の化合物が白色固体(950mg)として生成した;m.p.230℃;MS:m/z=633(M+1);NMR:1.73 (m,2), 2.42 (m,1), 2.75 (m,1), 3.01 (s,4),3.86 (m,4), 4.43 (m,1), 4.85 (m,1), 5.34 (m,1), 7.34 (m,5), 7.73 (s,2),7.87 (m,5), 8.06 (s,1), 11.36 (br s,1):元素分析 計算値:C, 53.79;H, 4.36 ;N, 4.18 ;測定値:C, 54.06;H, 4.48 ;N, 4.23 。
実施例9 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕−N−メチル−3−イソプロポキシフェニルアセトアミド・塩酸塩
テトラヒドロフラン(15mL)中の3−イソプロポキシフェニル酢酸(670mg)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(590mg)の溶液を還流しながら0.5時間攪拌した。この反応液を23℃に冷やしてテトラヒドロフラン(40mL)中のN−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)エチル〕メチルアミン(940mg)の溶液で処理した。この反応液を23℃で18時間攪拌した。この反応液の溶媒を留去して金色オイルを得た。そのオイルをジエチルエーテル(100mL)と1N塩酸(150mL)に分配した。有機層を塩酸(g)/エーテルで処理し、溶媒を留去して黄色オイルを得た。これをジクロロメタン(10mL)に溶かしてジエチルエーテル(500mL)に滴下した。表題の化合物が白色固体(480mg)として析出した;m.p.127〜132℃;MS:m/z=555(M+1);NMR:1.23 (d,3), 1.25 (d,3), 1.75 (m,2), 2.4 (m,1), 2.7 (m,1), 2.83 (s,3), 3.13 (m,2), 3.43 (m,2), 3.54 (s,2), 3.73 (m,1), 4.52 (m,1), 5.37 (m,1), 6.38 (d,1), 6.66 (s,1), 6.73 (d,1), 7.01 (m,3), 7.22 (m,2), 7.46 (d,2), 7.7 (s,2), 8.05 (s,1), 11.73 (s,1):元素分析 計算値:C, 61.95;H, 6.37 ;N, 4.66 ;測定値:C, 61.94;H, 6.3;N, 4.56 。
実施例10 N−〔2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチル〕−N−メチル−3−イソプロポキシフェニルアセトアミド
酢酸エチル(3mL)中の2−イソプロポキシフェニル酢酸(109mg)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(91mg)の溶液を窒素雰囲気下で1回攪拌して23℃で1.5時間反応させた。この溶液を2.5mLの酢酸エチル中のN−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミン(175mg)の溶液で処理し、窒素雰囲気下で1回攪拌して24時間放置した。溶離液としてクロロホルムで、Varian Mega Bond Elute Si 1225-6034 カラム,60cc,10g,MGFコード2217でのクロマトグラフィーに付して表題の化合物を得た;MS:m/z=521(M+1),HPLC純度55%,RT=15.175。HPLC純度は、SPERISORB カラム(ODS 5 μ,Hewlet Packard から購入;カタログ番号 7992402-584)で1.5mL/分の流速で、そして40℃のオーブン温度でUV検出器(280nm)を用いて測定した。2溶媒系を用いてHPLC純度を測定し、ここではそれらを溶媒A及び溶媒Bと名付けた。溶媒Aは1mMトリエチルアミン水溶液であり、溶媒Bは1mMトリエチルアミン・アセトニトリル溶液である。表題の化合物については、t=0〜3分 95:5(A/B)、t=17〜20分 5:95(A/B)、t=30分 95:5(A/B)。
【0062】
a)α−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)−3,4−ジクロロベンジルシアナイド。メタノール(8mL)中の3,4−ジクロロベンズアルデヒド(2.59g)を窒素雰囲気下23℃で水(6mL)中の亜硫酸水素ナトリウム(1.54g)の溶液に添加した。この混合液を0〜5℃に冷却し、1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン(2.12g)で処理した後、シアン化カリウム(965mg)で処理した。この混合液を氷浴中で攪拌し、そして一晩で室温に戻した。その混合液を濾過して得られた固体をメタノール:水(1:1)で洗浄して、このニトリルを淡黄色固体として得た。これを乾燥して後の反応にそのまま用いた;MS:m/z=327(M+1);NMR:1.75 (m,4), 2.65 (t,4), 3.96 (s,4), 4.82 (s,1), 7.39 (d,1),7.42 (d,1), 7.65 (s,1)。
【0063】
b)2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)エチルアミン。テトラヒドロフラン(50mL)中の(a)(11.00g)の溶液を、テトラヒドロフラン(100mL)中の水素化アルミニウムリチウム(2.68g,95%)のスラリーに還流を維持しながら窒素雰囲気下で添加した。この反応液を18時間還流した。その溶液を氷浴中で冷却して硫酸ナトリウム(飽和)水溶液で処理した。この混合液を濾過し、乾燥(Na2 SO4 )し、そして得られた物質を後の反応にそのまま用いた。
【0064】
c)N−(メトキシカルボニル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミン。テトラヒドロフラン(300mL)中の(b)(11.13g)、炭酸ナトリウム(3.56g)及びクロロギ酸メチル(3.18g)の混合液を窒素雰囲気下23℃で18時間攪拌した。この混合液を濃縮して橙色固体を得た。この固体を塩化メチレン(200mL)と水(200mL)に分配した。有機層を乾燥し減圧濃縮して金色オイルを得た。このオイルを更に精製することなく後の反応に用いた。
【0065】
d)N−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミン。テトラヒドロフラン(50mL)中の(c)(13.08g)の溶液を、テトラヒドロフラン(80mL)中の水素化アルミニウムリチウム(2.61g,95%)のスラリーに窒素雰囲気下で攪拌還流しながら添加した。この溶液を18時間還流し、氷浴中で冷却し、硫酸ナトリウム(飽和)水溶液で処理した。この混合液を濾過し、乾燥(Na2 SO4 )して、後の反応にそのまま用いた;MS:m/z=345(M+1)。
実施例11〜23
N−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミンをN−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−フェニルピペリジノ)エチルアミンと置き換え、かつ2−イソプロポキシフェニル酢酸を所要のカルボン酸と置き換えた以外は、実施例10に記載した操作と同じ操作を用いて、Q1 が4−フェニルピペリジノであり、Q2 がメチルであり、Q3が水素であり、Q4 がジクロロフェニルであり、そしてQ5 が以下に明示した意義を有する式Iの以下の化合物を調製した。
実施例115 =3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル;MS:m/z=617(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.946。
実施例125 =3−イソプロポキシベンジル;MS:m/z=539(M+1);HPLC:溶媒B,RT=16.206。
実施例135 =2,4−ジフルオロベンジル;MS:m/z=517(M+1);HPLC:溶媒A,RT=18.504。
実施例145 =2−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=549(M+1);HPLC:溶媒A,RT=19.009。
実施例155 =3−フルオロベンジル;MS:m/z=499(M+1);HPLC:溶媒A,RT=18.464。
実施例165 =2,5−ジフルオロベンジル;MS:m/z=517(M+1);HPLC:溶媒A,RT=18.465。
実施例175 =4−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=549(M+1);HPLC:溶媒A,RT=15.591。
実施例185 =3,5−ジクロロフェニル;MS:m/z=535、537、539(M+1);HPLC:溶媒A,RT=19.359。
実施例195 =3,5−ジメチルフェニル;MS:m/z=495(M+1);HPLC:溶媒A,RT=19.245。
実施例205 =ベンジル;MS:m/z=481(M+1);HPLC:溶媒B,RT=16.855。
実施例215 =9−キサンテニル;MS:m/z=571(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.209。
実施例225 =2−メトキシベンジル;MS:m/z=511(M+1);溶媒A,RT=15.868。
実施例235 =3,5−ジメトキシフェニル;MS:m/z=527(M+1);溶媒A,RT=18.159。
実施例24〜36
N−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミンを2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−N−(メチル)エチルアミンと置き換え、かつ2−イソプロポキシフェニル酢酸を所要のカルボン酸と置き換えた以外は、実施例10に記載した操作と同じ操作を用いて、Q1 が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり、Q2がメチルであり、Q3 が水素であり、Q4 がジクロロフェニルであり、そしてQ5 が以下に明示した意義を有する式Iの以下の化合物を調製した。
実施例245 =3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル;MS:m/z=633(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.059。
実施例255 =3−イソプロポキシベンジル;MS:m/z=555(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.912。
実施例265 =2,4−ジフルオロベンジル;MS:m/z=533(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.181。
実施例275 =2−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=565(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.890。
実施例285 =3−フルオロベンジル;MS:m/z=515(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.909。
実施例295 =2,5−ジフルオロベンジル;MS:m/z=533(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.311。
実施例305 =4−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=565(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.130。
実施例315 =3,5−ジクロロフェニル;MS:m/z=551、553、555(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.282。
実施例325 =3,5−ジメチルフェニル;MS:m/z=511(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.019。
実施例335 =ベンジル;MS:m/z=497(M+1);HPLC:溶媒B,RT=14.607。
実施例345 =9−キサンテニル;MS:m/z=587(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.182。
実施例355 =2−メトキシベンジル;MS:m/z=527(M+1);溶媒B,RT=14.378。
実施例365 =3,5−ジメトキシフェニル;MS:m/z=543(M+1);溶媒B,RT=14.266。
実施例37〜49
N−メチル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イル)エチルアミンを2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ベンジルピペリジノ)−N−(メチル)エチルアミンと置き換え、かつ2−イソプロポキシフェニル酢酸を所要のカルボン酸と置き換えた以外は、実施例10に記載した操作と同じ操作を用いて、Q1 が4−ベンジルピペリジノであり、Q2 がメチルであり、Q3が水素であり、Q4 がジクロロフェニルであり、そしてQ5 が以下に明示した意義を有する式Iの以下の化合物を調製した。
実施例375 =3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル;MS:m/z=631(M+1);HPLC:溶媒B,RT=18.7725。
実施例385 =3−イソプロポキシベンジル;MS:m/z=553(M+1);HPLC:溶媒B,RT=18.945。
実施例395 =2,4−ジフルオロベンジル;MS:m/z=531(M+1);HPLC:溶媒A,RT=19.325。
実施例405 =2−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=563(M+1);HPLC:溶媒B,RT=19.195。
実施例415 =3−フルオロベンジル;MS:m/z=513(M+1);HPLC:溶媒B,RT=17.276。
実施例425 =2,5−ジフルオロベンジル;MS:m/z=531(M+1);HPLC:溶媒B,RT=18.663。
実施例435 =4−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=563(M+1);HPLC:溶媒B,RT=18.955。
実施例445 =3,5−ジクロロフェニル;MS:m/z=549、551、553(M+1);HPLC:溶媒B,RT=19.570。
実施例455 =3,5−ジメチルフェニル;MS:m/z=509(M+1);HPLC:溶媒B,RT=19.092。
実施例465 =ベンジル;MS:m/z=495(M+1);HPLC:溶媒B,RT=18.592。
実施例475 =9−キサンテニル;MS:m/z=585(M+1);HPLC:溶媒B,RT=19.309。
実施例485 =2−メトキシベンジル;MS:m/z=525(M+1);溶媒B,RT=18.559。
実施例495 =3,5−ジメトキシフェニル;MS:m/z=541(M+1);溶媒B,RT=16.781。
実施例50〜58
2−イソプロポキシフェニル酢酸を所要のカルボン酸と置き換えた以外は、実施例10に記載した操作と同じ操作を用いて、Q1 が1,4−ジオキサ−8−アゾスピロ(4.5)デカン−8−イルであり、Q2がメチルであり、Q3 が水素であり、Q4 がジクロロフェニルであり、そしてQ5 が以下に明示した意義を有する式Iの以下の化合物を調製した。
実施例505 =3−イソプロポキシベンジル;MS:m/z=521(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.175。
実施例515 =2,4−ジフルオロベンジル;MS:m/z=499(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.505。
実施例525 =3−フルオロベンジル;MS:m/z=481(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.278。
実施例535 =2,5−ジフルオロベンジル;MS:m/z=499(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.225。
実施例545 =4−トリフルオロメチルベンジル;MS:m/z=531(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.805。
実施例555 =3,5−ジメチルフェニル;MS:m/z=477(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.660。
実施例565 =9−キサンテニル;MS:m/z=553(M+1);HPLC:溶媒B,RT=15.575。
実施例575 =2−メトキシベンジル;MS:m/z=493(M+1);溶媒B,RT=15.766。
実施例585 =3,5−ジメトキシフェニル;MS:m/z=509(M+1);溶媒B,RT=14.459。
実施例59〜129
スキームIIに概略を示した操作及び以下に詳細に記載した操作を用いて、Q5が以下に示した意義を有する式XIの以下の化合物を2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−N−(メチル)エチルアミンから調製した。
【0066】
酢酸エチル(2mL)中のカルボニルジイミド(0.3mmol)の溶液を所要の酸(0.3mmol)に添加し、この混合液を50℃で30分間攪拌した。酢酸エチル(5mL)中の2−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ)−N−(メチル)エチルアミン(0.3mmol)の溶液を添加し、その反応管を振ってから50℃で12時間攪拌した。この反応管を30分間冷やして得られた溶液を濾過した。その溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(5mL)及び水(5mL)で洗浄した。溶媒を2時間かけて減圧留去した。クロマトグラフィーに付して式Iの化合物を得、HPLCを用いて純度を分析した。
【0067】
塩酸塩の形にあった出発酸については、追加1当量のトリエチルアミンをカルボニルジイミダゾールの添加前に添加した。水和物である酸については、追加1当量のカルボニルジイミダゾールを添加した。
【0068】
HYPERSIL ODS 5μカラム(Hewlet Packard から購入;カタログ番号 7992402-584)で、40℃のオーブン温度でUV検出器を用いて、280nmの波長で高速液体クロマトグラフィーを行った。クロマトグラフィーは、次の勾配溶媒系を用いて1.5mL/分の流速で行った。
【0069】
時間(分) 溶媒C(%) 溶媒D(%)
0〜17 95 5
17〜18 5 95
18〜20 95 5
溶媒C トリエチルアミン(1mM)水溶液
溶媒D トリエチルアミン(1mM)アセトニトリル溶液
実施例595 =3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル;RT=13.95。
実施例605 =4−ニトロベンゾイル;RT=12.7。
実施例615 =9−フルオレニル;RT=13.89。
実施例625 =3−アダマンチル;RT=15.5。
実施例635 =3,5−ジメチルフェニル;RT=15.93。
実施例645 =5−フルオロ−3−インドリル;RT=12.64。
実施例655 =2−ナフチル;RT=9.98。
実施例665 =2−ナフチルオキシ;RT=13.52。
実施例675 =β−メトキシスチリル;RT=15.35。
実施例685 =4−(4−メチルフェニルスルホニルアミノ)フェニル;RT=1.5。
実施例695 =4−フルオロベンジル;RT=12.53。
実施例705 =2−(エトキシ)エチル;RT=12.22。
実施例715 =メチル;RT=11.7。
実施例725 =シアノメチル;RT=11.57。
実施例735 =メトキシメチル;RT=11.6。
実施例745 =3,4,5−トリメトキシスチリル;RT=12.41。
実施例755 =4−(エトキシカルボニル)ブチル;RT=12.49。
実施例765 =式XII の基;RT=11.59。
実施例775 =5−ニトロフラン−2−イル;RT=12.39。
実施例785 =5−オキシ−4,5−ジヒドロピラゾール−3−イル(式XIIIの基);RT=11.65。
実施例795 =2−チエニル;RT=12.61。
実施例805 =5−メトキシ−2−インドリル;RT=12.76。
実施例815 =1−ピリジルメチル;RT=11.6。
実施例825 =ヒダントイン−5−イルメチル;RT=11.71。
実施例835 =2−メチル−3−フリル;RT=12.42。
実施例845 =式XXIII の基;RT=9.95。
実施例855 =4−フェノキシフェニル;RT=13.84。
実施例865 =3,4−メチレンジオキシフェニル;RT=12.66。
実施例875 =1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−5−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタニル;RT=13.96。
実施例885 =2−ノルボルナニルメチル;RT=13.17。
実施例895 =トリフルオロメチル;RT=12.93。
実施例905 =2−ピラジニル;RT=11.83。
実施例915 =3−ピリジル;RT=11.83。
実施例925 =フタルイミドメチル;RT=12.43。
実施例935 =3−フルオロフェニル;RT=12.41。
実施例945 =2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−イル;RT=9.7。
実施例955 =3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル;RT=12.51。
実施例965 =3−ピリジルメチル;RT=11.88。
実施例975 =4−ピリジル;RT=11.85。
実施例985 =式XVIIの基;RT=10.7。
実施例995 =ホルミル;RT=11.35。
実施例1005 =3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル;RT=11.88。
実施例1015 =4−フルオロ−3−ニトロフェニル;RT=12.07。
実施例1025 =4−ピリジルメチル;RT=11.84。
実施例1035 =スチリルスルホニルメチル;RT=12.58。
実施例1045 =2−ニトロ−3,4−ジヒドロキシフェニル;RT=1.62。
実施例1055 =フルオロアセチル;RT=11.82。
実施例1065 =(2−(ホルミルアミノ)イミダゾール−4−イル)(メトキシイミノ)メチル;RT=12.63。
実施例1075 =1−アセチルイミノ−2−イミダゾール−4−イルエチル;RT=10.98。
実施例1085 =1−アセチルピペリジン−4−イル;RT=11.64。
実施例1095 =4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル;RT=13.12。
実施例1105 =1−ナフチルメチル;RT=13.65。
実施例1115 =3,5−ジ(ベンジルオキシ)フェニル;RT=15.39。
実施例1125 =5−(5−メチル−2−チオキソイミダゾリジン−4−イル)ペンチル;RT=11.79。
実施例1135=α−(ホルミルアミノ)−α−(メチル)ベンジル;RT=12.32。
実施例1145 =1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−イル(式XIX の基);RT=11.85。
実施例1155 =2−(4−メチルベンジルオキシ)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル;RT=13.35。
実施例1165 =2−ベンゾ〔b〕フラン−2−イル;RT=13.12。
実施例1175 =5,6−ジメチルベンズイミダゾール−1−イルメチル;RT=13.15。
実施例1185 =1,2,3−トリアゾール−4−イル;RT=11.82。
実施例1195 =3,4−ジクロロベンジル;RT=13.6。
実施例1205 =4−フルオロフェノキシメチル;RT=12.62。
実施例1215=式XXIVの基;RT=11.77。
実施例1225 =1−(ベンジルオキシカルボニルアミノアセチル)ピロリジン−3−イル;RT=13.57。
実施例1235=パーフルオロフェニル;RT=13.55。
実施例1245 =tert−ブトキシカルボニルアミノメチル;RT=12.53。
実施例1255 =3,3,3−トリフルオロプロピル;RT=12.7。
実施例1265 =4−イミダゾリジニル;RT=11.76。
実施例1275 =5−シクロヘキシルペンチル;RT=16.5。
実施例1285 =2−オキソイミダゾリジン−1−イルメチル;RT=11.74。
実施例1295 =5−ベンゾイルペンチル;RT=13.25。
化学式
【0070】
【化1】

【0071】
【化2】

【0072】
【化3】

【0073】
【化4】

【0074】
【化5】

【0075】
【化6】

【0076】
【化7】

【0077】
【化8】

【0078】
スキームI
【0079】
【化9】

【0080】
スキームII
【0081】
【化10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式Iの化合物
【化1】

[式中、
が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ、4−アセトアミド−4−フェニルピペリジノ、4−(ベンジルスルフィニル)−4−メトキシピペリジノ、4−(2−メチルスルフィニルフェニル)ピペリジノ、又は4−(2−オキソパーヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノであり;
がメチル、エチル又はプロピルであり;
が水素であり;
が3,4−ジクロロフェニル又は3,4−メチレンジオキシフェニルであり;
がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、2−イソプロポキシベンジル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである]、
又はQにおいてピペリジノ窒素のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Qにおいてピペリジノ窒素が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基Rが(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩。
【請求項2】
下式Iの化合物
【化2】

[式中、
が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ、4−アセトアミド−4−フェニルピペリジノ、4−(ベンジルスルフィニル)−4−メトキシピペリジノ、又は4−(2−オキソパーヒドロピリミジン−1−イル)ピペリジノであり;
が(1〜3C)アルキルであり;
が水素であり;
が3,4−ジクロロフェニルであり;
がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、2−メトキシベンジル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルベンジル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロベンジル、3,5−ジメトキシフェニル、又は3,5−ジメトキシベンジルである]、
又はQにおいてピペリジノ窒素のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Qにおいてピペリジノ窒素が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基Rが(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩。
【請求項3】
下式Iの化合物
【化3】

[式中、
がピロリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり;
が(1〜3C)アルキルであり;
が水素であり;
が3,4−ジクロロフェニルであり;
がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、2−イソプロポキシベンジル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである]、
又はQにおいてピペリジノ窒素のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Qにおいてピペリジノ窒素が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基Rが(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩。
【請求項4】
下式Iの化合物
【化4】

[式中、
が4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノであり;
がメチルであり;
が水素であり;
が3,4−ジクロロフェニルであり;
がフェニル、ベンジル、2−メトキシフェニル、2−メトキシベンジル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルベンジル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロベンジル、3,5−ジメトキシフェニル、又は3,5−ジメトキシベンジルである]、である請求項2に記載の化合物、
又はQにおいてピペリジノ窒素のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Qにおいてピペリジノ窒素が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基Rが(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に定義した式Iの化合物;
又はQにおいてピペリジノ窒素のそのN−オキシド;
又は薬学的に許容できるその塩;
又はその4級アンモニウム塩であって、Qにおいてピペリジノ窒素が4価のアンモニウム窒素であり、その窒素上の4番目の基Rが(1〜4C)アルキル又はベンジルであって、付随している対イオンAが薬学的に許容できるアニオンである塩;並びに
薬学的に許容できる希釈剤又はキャリヤー、
を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に定義した式Iの化合物の製造方法であって、
式IV:
【化5】

のアミンを、式V:
【化6】

(式中、Xはクロロである)の酸塩化物でアシル化することを含む方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に定義した式Iの化合物の製造方法であって、
式IV:
【化7】

のアミンを、式V:
【化8】

(式中、XはOHである)の酸でアシル化することを含む方法。
【請求項8】
が(1〜3C)アルキルである請求項1〜4のいずれか1項に定義した式Iの化合物の製造方法であって、
が水素である式Iの対応する化合物を、Yが適する脱離基である式QYの化合物でアルキル化することを含む方法。

【公開番号】特開2007−320966(P2007−320966A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232246(P2007−232246)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【分割の表示】特願平7−275847の分割
【原出願日】平成7年10月24日(1995.10.24)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】