説明

泡状化粧料用添加剤

【課題】簡便に泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上できる泡状化粧料用添加剤を提供する。
【解決手段】本発明の泡状化粧料用添加剤は、γポリグルタミン酸及び蜂蜜を有効成分として含有することを特徴とする。前記γポリグルタミン酸は、好ましくは平均分子量が50kDa〜7000kDaである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γポリグルタミン酸及び蜂蜜を有効成分として含有し、泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上させることができる泡状化粧料用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、使用時に泡状で使用する泡状化粧料として、例えばシャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料、及び石鹸が知られている。それらの泡状化粧料は、使用時の泡立ち、泡の量、並びに泡質、例えば泡のきめ細かさ、弾力性、持続性、及び塗布部に対する密着性を向上させるためにコンディショニング成分が配合されることがある。たとえば、特許文献1,2に開示される泡状化粧料が知られている。それらの泡状化粧料は、界面活性剤の他、泡質を向上させるために特定の水溶性高分子ポリマーを含有する。特許文献1の泡状化粧料は、水溶性高分子ポリマーとして半合成高分子、例えばカチオン化デンプンを含有する。特許文献2は、水溶性高分子ポリマーとしてアクリル酸系ポリマーを含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189582号公報
【特許文献2】特開2009−249330号公報
【特許文献3】特開2009−149567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の泡状化粧料は、未だ泡立ち及び泡質の向上効果が不十分であるという問題があった。また、泡立ち及び泡質を向上させるコンディショニング成分は、当初より化粧料中に含有されているため、使用目的及び適用箇所等に応じ、泡立ち及び泡質を調整することは困難である。
【0005】
ところで、従来より、化粧料に配合される保湿性分として、蜂蜜及びγポリグルタミン酸(γPGA)が知られている(特許文献3)。しかしながら、それらの成分を併用することにより、泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上させる点については未だ知られていない。
【0006】
本発明は、蜂蜜及びγポリグルタミン酸を併用することにより、泡状化粧料の泡質を大幅に向上できることを発見したことに基づくものである。また、泡状化粧料用添加剤として構成することにより、様々な泡状化粧料に対し、簡便に泡立ち及び泡質を向上できるとともに、泡立ち及び泡質も調整することができる。
【0007】
本発明の目的とするところは、簡便に泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上できる泡状化粧料用添加剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の泡状化粧料用添加剤は、γポリグルタミン酸及び蜂蜜を有効成分として含有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の泡状化粧料用添加剤において、前記γポリグルタミン酸は、平均分子量が50kDa〜7000kDaであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の泡状化粧料用添加剤において、前記γポリグルタミン酸は、平均分子量が1000kDa〜6000kDaであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の泡状化粧料用添加剤において、前記泡状化粧料用添加剤中における前記γポリグルタミン酸の含有量に対する前記蜂蜜の含有量の質量比は、200〜2000であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上できる泡状化粧料用添加剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の泡状化粧料用添加剤を具体化した実施形態を説明する。
本実施形態の泡状化粧料用添加剤は、有効成分としてγポリグルタミン酸及び蜂蜜を含有する。蜂蜜は、γポリグルタミン酸と併用することにより泡状化粧料の泡立ち性及び泡質を向上させる。また、蜂蜜は、γポリグルタミン酸と併用することにより泡状化粧料の保湿性能を一層向上させる。本実施形態において使用される蜂蜜の産地は、特に限定されないが、例えば中国、台湾、日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、ブラジル等の南アメリカ諸国、及びオーストラリア等のオセアニア諸国のいずれでもよい。また、蜂蜜の密源植物も特に限定されないが、例えばレンゲ、ニセアカシア、ローズマリー、オレンジ、レモン、ユーカリ、ミカン、クローバー、ソバ、クリ、ラベンダー、及びコーヒーが挙げられる。
【0013】
泡状化粧料用添加剤中に配合される蜂蜜の一部を、蜂蜜以外の糖類及び多価アルコールから選ばれる少なくとも一種の置換成分に置換しても、泡状化粧料の泡立ち性及び泡質を向上させる効果を維持することができる。蜂蜜以外の糖類及び多価アルコールから選ばれる少なくとも一種の置換成分の蜂蜜中へ配合量は、元の蜂蜜の使用量(100質量%)に対し、好ましくは75質量%以下(蜂蜜25質量%以上)、より好ましくは50質量%以下(蜂蜜50質量%以上)、さらに好ましくは30質量%以下(蜂蜜70質量%以上)である。泡状化粧料の泡立ち性及び泡質を向上させる効果を得るために、蜂蜜より安価又は入手が容易な成分に蜂蜜の一部を代替することができる。蜂蜜以外の糖類として、単糖類、例えばブドウ糖、果糖、キシロース、アラビノース、マンノース、及びガラクトース、小糖類、例えば麦芽糖、乳糖、ショ糖、トレハロース、及びラフィノース、オリゴ糖、例えばキシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、コーヒー豆マンノオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、及びラクチュロース、並びに多糖類が挙げられる。多価アルコールとして、例えばグリセリン、キシリトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びジ・ポリグリセリンが挙げられる。
【0014】
γポリグルタミン酸は、上記蜂蜜と併用することにより泡状化粧料の泡立ち性及び泡質を向上させる。また、γポリグルタミン酸は、蜂蜜と併用することにより泡状化粧料の保湿性能を一層向上させる。γポリグルタミン酸は、グルタミン酸を重合単位とするポリペプチドの一種で、γ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がペプチド結合を形成している。γポリグルタミン酸は、天然物由来のものを使用してもよく、化学的に合成したものを使用してもよい。また、市販品を入手してもよい。γポリグルタミン酸は、納豆菌及び炭疽菌より分泌されるため、それらの菌体又は分泌物より公知の方法を用いて抽出してもよい。
【0015】
γポリグルタミン酸の平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは50kDa〜7000kDa、より好ましくは1000kDa〜6000kDa、さらに好ましくは2000kDa〜5000kDaである。γポリグルタミン酸の平均分子量が50kDa未満であると泡立ち性及び泡質を向上させる効果が低下する場合がある。γポリグルタミン酸の平均分子量が7000kDaを超えると泡立ち性及び泡質を向上させる効果が低下する場合がある。尚、γポリグルタミン酸の平均分子量は、分子ふるい、例えばゲル電気泳動、ろ過及び分子排斥クロマトグラフィーを用いることにより決定することができる。
【0016】
泡状化粧料用添加剤中におけるγポリグルタミン酸の含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比(蜂蜜の含有量/γポリグルタミン酸の含有量)は、好ましくは200〜2000、より好ましくは500〜1500である。γポリグルタミン酸の含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比が200未満であると、γポリグルタミン酸の含有量の割合が多いため、泡状化粧料用添加剤がゲル化し、泡状化粧料との混合性及び取り扱い性が低下するおそれがある。γポリグルタミン酸の含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比が2000を超えると、泡立ち性及び泡質を向上させる効果が低下する場合がある。
【0017】
泡状化粧料用添加剤は、使用時に泡状で使用される泡状化粧料に配合することにより使用される。使用時に泡状で使用される泡状化粧料としては、例えばシャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料、及び石鹸が挙げられる。泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料は、例えば泡状化粧料の成分、種類、使用目的及び適用箇所に応じ、泡立ち及び泡質を調整しながら混合される。泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料の混合比は、所望の泡立ち及び泡質が得られる範囲であれば特に限定されないが、泡立ち及び泡質をより向上させる観点から、好ましくは質量比として0.1〜10:1、より好ましくは0.5〜1.5:1である。尚、泡状化粧料がシャンプーの場合、好ましくは質量比として0.1〜10:1、より好ましくは0.5〜5:1である。
【0018】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の泡状化粧料用添加剤は、γポリグルタミン酸及び蜂蜜を有効成分として含有する。したがって、簡便に泡状化粧料の泡立ち及び泡質を向上させることができる。
【0019】
(2)また、泡状化粧料に対し、保湿性向上効果を付与することができる。
(3)また、泡状化粧料に対し、泡状化粧料の濯ぎ時の泡切れ及び洗浄時おける使用感の向上効果を付与することができる。
【0020】
(4)また、泡状化粧料に対し、使用後の肌の感触、例えばさっぱり感、つっぱり感のなさ、つるつる感(すべり感)、しっとり感(密着感・保湿感)、もっちり感(弾力感)、及び化粧のり・もちの良さ、並びに洗浄後の使用感の向上効果を付与することができる。
【0021】
(5)本実施形態の泡状化粧料用添加剤は、使用時に泡状化粧料と混合して使用される。したがって、様々な泡状化粧料に対し、簡便に泡立ち及び泡質を調整することができる。
【0022】
(6)本実施形態の泡状化粧料用添加剤において、γポリグルタミン酸の平均分子量は、好ましくは50kDa〜7000kDaである。したがって、泡状化粧料の泡立ち及び泡質をより向上させることができる。
【0023】
(7)本実施形態の泡状化粧料用添加剤において、γポリグルタミン酸の含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比は、好ましくは200〜2000である。したがって、泡状化粧料の泡立ち及び泡質をより向上させることができる。
【0024】
(8)泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料は、好ましくは質量比として0.1〜10:1の割合で混合して使用される。したがって、泡状化粧料の泡立ち及び泡質をより向上させることができる。
【0025】
(9)本実施形態の泡状化粧料用添加剤は、天然成分としてのγポリグルタミン酸及び蜂蜜から構成することができる。したがって、より安全に化粧料に適用することができる。
【0026】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の泡状化粧料用添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般に化粧品に共通して配合される基剤を配合してもよい。基剤としては、溶媒、例えば油分、水、及びアルコール、保湿剤、例えばヒアルロン酸、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、並びに香料が挙げられる。
【0027】
・上記実施形態の泡状化粧料用添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、最初に化粧水、水又はお湯に適量を溶かした後、泡状化粧料と混合して使用してもよい。かかる構成により、泡状化粧料との混合性を向上させることができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<泡状化粧料用添加剤の調製>
ニセアカシアが密源植物である蜂蜜に、平均分子量が50kDa、500kDa、2000kDa、5000kDa、及び7000kDaの各γポリグルタミン酸(γPGA:バイオリーダース社製)をそれぞれ0.1質量%添加した。そして、一晩攪拌することによって、各泡状化粧料用添加剤を作製した。
【0029】
<試験例1:泡の弾力性試験1>
上記の各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合し、泡立てた後、泡の弾力性を泡の潰れる時間を測定することにより評価した。市販の泡状化粧料として、表1に示される洗顔料である泡状化粧料A,B,Cを使用した。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料A0.9gを手のひらに取り、手のひら同士を1分30秒間擦り合わせることにより泡立てた。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料B0.6g又は泡状化粧料C0.6gを泡立てボールを用いて攪拌することにより泡立てた。泡立て後の各泡状化粧料について、板の上に一定量を置いて、その上に1円玉(1g)1枚を乗せてから、1円玉が板に接触するまでに要する時間を測定した(N=5)。コントロールとしての市販の各泡状化粧料のみを泡立てた場合の時間を100とした時の相対値(平均値)を表2に示す。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものについても、それぞれ同様に評価した。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

表2に示されるように、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、いずれの泡状化粧料と混合しても泡の弾力性が低下することが確認された。γPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、いずれの泡状化粧料と混合しても泡の弾力性はほとんど変わらないことが確認された。蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、特に平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において優れた泡の弾力性の向上効果が得られることが確認された。
【0032】
<試験例2:泡の弾力性試験2>
上記の各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合し、泡立てた後、泡の弾力性を泡が潰れる重さを測定することにより評価した。市販の泡状化粧料として、表1に示される泡状化粧料Aを使用した。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料A0.9gを手のひらに取り、手のひら同士を1分30秒間擦り合わせることにより泡立てた。泡立て後の泡状化粧料について、板の上に一定量を置いて、その上に1円玉(1g)を1枚ずつ乗せて、1円玉が板に接触するまでに要する重さを測定した(N=3)。コントロールとしての泡状化粧料Aのみを泡立てた場合の重さを100とした時の相対値(平均値)を表2に示す。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものについても、それぞれ同様に評価した。
【0033】
【表3】

表3に示されるように、本試験においては、蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において優れた泡の弾力性の向上効果が得られることが確認された。
【0034】
<試験例3:保湿性試験>
上記の各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合し、顔に塗布して洗顔した後、頬の皮膚の水分値を測定した。市販の泡状化粧料として、表1に示される泡状化粧料Cを使用した。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料C0.6gを泡立てボールを用いて攪拌することにより泡立てた。泡立て後の泡状化粧料について、顔に塗布して常法に従い洗顔し、洗浄後、余分な水をタオルでふき取った。洗顔後の頬の皮膚の水分値を所定時間経過毎に皮膚粘弾性測定装置キュートメーター(MPA580:インテグラル社製)にて測定した(N=2)。コントロールとしての洗顔前の頬の皮膚の水分値を100とした場合の相対値を表4に示す。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものについても、それぞれ同様に評価した。また、泡状化粧料用添加剤と混合しない泡状化粧料Cのみを用いて洗顔した場合も同様に評価した。
【0035】
【表4】

表4に示されるように、蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、特に平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した場合と比べ、明らかに優れた保湿性の向上効果が得られることが認められた。特に、洗顔後120分経過後の皮膚の水分値について顕著な差が認められた。これは空気中の水分を吸収し保湿性を高めたものと思料される。尚、泡状化粧料Bについて、蜂蜜及び平均分子量2000〜5000kDaのγPGAを併用した泡状化粧料用添加剤と混合した場合にも比較例に対し優れた保湿性の向上効果が得られることが認められた。(データ不添付)。
【0036】
<試験例4:泡立ち及び泡質の評価>
上記の各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合し、泡立てた後、泡立ち及び泡質について官能評価を行った。市販の泡状化粧料として、表1に示される泡状化粧料B,Cを使用した。尚、コントロールとして各泡状化粧料用添加剤と混合しない泡状化粧料B,Cを使用した。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(平均分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものを使用した。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料B0.6g又は泡状化粧料C0.6gを泡立てボールを用いて1分30秒(約150回転)攪拌することにより泡立てた。泡立て時において、パネラー(10名)が泡立ちやすさ、泡の量、泡のきめの細かさ、泡の弾力性、及び泡の密着性についてコントロールより良いか否かについて判断した。各パネラーの判断より下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表5に示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0037】
【表5】

表5に示されるように、蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、特に平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した場合と比べて、明らかに優れた泡立ち及び泡質の向上効果が認められた。一方、比較例としての蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、泡立ち及び泡質の評価はコントロールと変わらない又はコントロールより劣る傾向にあることが確認された。
【0038】
<試験例5:泡立て時の泡立ち、泡質及び使用感等、化粧料の濯ぎ時の使用感等、並びに洗浄後の使用感等の評価>
蜂蜜とγPGA(平均分子量2000kDa)を含有する泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合した後、泡立て時の泡立ち、泡質及び使用感等、化粧料の濯ぎ時の使用感等、並びに使用後の使用感等の評価を行った。市販の泡状化粧料として、表1に示される泡状化粧料B又はCを使用した。尚、コントロールとして泡状化粧料用添加剤と混合しない泡状化粧料B又はCを使用した。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものを使用した。
【0039】
上記泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料B又はC0.6gを泡立てボールを用いて1分30秒(約150回転)攪拌することにより泡立てた。泡立て後の泡状化粧料を用いて、パネラー(10名)が常法に従い洗顔し、洗浄後、余分な水をタオルでふき取った。パネラーは、泡立て時、濯ぎ時、及び洗浄後(使用後)における下記表6に示される泡立ち、泡質又は使用感の各評価を行った。コントロールの評価を3(普通)とした場合、下記に示される基準に従い点数を付けた。パネラーの平均点を表6に示す。
10:非常に良い、5:良い、3:普通(コントロール)、2:悪い、1:非常に悪いとして評価した。
【0040】
【表6】

表6に示されるように、蜂蜜とγPGA(平均分子量2000kDa)を含有する泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合した場合、泡立て時の泡立ち、泡質及び使用感等、化粧料の濯ぎ時の使用感等、並びに使用後の使用感等の各評価は、蜂蜜のみからなる泡状化粧料用添加剤を使用した比較例に対し、顕著に優れることが確認された。
【0041】
<試験例6:泡状化粧料として石鹸を使用した場合の泡立ち及び泡質の評価>
上記「泡状化粧料用添加剤の調製」欄における各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合し、泡立てた後、泡立ち及び泡質について官能評価を行った。市販の泡状化粧料として、石鹸(成分:石ケン素地、(シャボン玉浴用無添加石鹸:シャボン玉石けん社製))を使用した。尚、コントロールとして泡状化粧料用添加剤と混合しない石鹸を使用した。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(平均分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものをそれぞれ使用した。
【0042】
上記石鹸に各泡状化粧料用添加剤0.6gを添加した後、泡立てネット(CAC化粧品社製)を用いて、常法に従い1分間石鹸を泡立てた。泡立て時において、パネラー(10名)が泡立ちやすさ、泡の量、泡のきめの細かさ、泡の弾力性、及び泡の密着性についてコントロールより良いか否かについて判断した。各パネラーの判断より、下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表7に示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0043】
【表7】

表7に示されるように、蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、特に平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した比較例と比べて、優れた泡立ち及び泡質の向上効果が認められた。一方、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した比較例の場合、泡立ち及び泡質の評価はコントロールと変わらない又はコントロールより劣る傾向にあることが確認された。
【0044】
<試験例7:泡状化粧料としてシャンプーを使用した場合の泡立ち及び泡質の評価>
上記「泡状化粧料用添加剤の調製」欄における各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合した後、泡立ち及び泡質について官能評価を行った。市販の泡状化粧料として、表8に示されるシャンプーを使用した。尚、コントロールとして泡状化粧料用添加剤と混合しないシャンプーを使用した。比較例として、蜂蜜のみから泡状化粧料用添加剤を構成したもの、γPGA(平均分子量:2000kDa)のみから泡状化粧料用添加剤を構成したものをそれぞれ使用した。
【0045】
シャンプー3.0gに各泡状化粧料用添加剤0.6gを添加した後、シャンプーを手のひらの上で泡立てた。泡立て時において、パネラー(10名)が泡立ちやすさ、泡の量、泡のきめの細かさ、及び使用時のすべり感(指通り)についてコントロールより良いか否かについて判断した。各パネラーの判断より、下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表9に示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0046】
【表8】

【0047】
【表9】

表9に示されるように、蜂蜜とγPGAから泡状化粧料用添加剤を構成した場合、特に平均分子量が2000〜5000kDaの範囲において、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した比較例と比べて、優れた泡立ち及び泡質の向上効果が認められた。一方、蜂蜜のみ又はγPGAのみから泡状化粧料用添加剤を構成した比較例の場合、泡立ち及び泡質の評価はコントロールと変わらない又はコントロールより劣る傾向にあることが確認された。
【0048】
<試験例8:蜂蜜の一部を蜂蜜以外の糖類又はグリセリンに置換した場合の泡の弾力性、泡立ち及び泡質の評価>
ニセアカシアが蜜源植物である蜂蜜に置換成分として果糖ブドウ糖液糖又はグリセリンを表10に示される割合で混合することにより各蜂蜜混合物を調製した。その蜂蜜混合物に平均分子量2000kDaのγPGA(バイオリーダース社製)をそれぞれ0.1%添加することにより泡状化粧料用添加剤を調製した。該泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料B0.6gを泡立てボールを用いて攪拌することにより泡立てた。泡立て後の各泡状化粧料の泡の弾力性について、実施例1と同様に泡の上に1円玉(1g)1枚を乗せてから、1円玉が板に接触するまでに要する時間を測定することにより評価した。コントロールとしての泡状化粧料Bのみを泡立てた場合の時間を100とした時の相対値(平均値)を表10に示す。
【0049】
また、泡立て後の各泡状化粧料について、パネラー(10名)が泡立ちやすさ、泡の量、泡のきめの細かさ、泡の弾力性、及び泡の密着性についてコントロールより良いか否かについて判断した。各パネラーの判断より下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表11に示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0050】
【表10】

【0051】
【表11】

表10に示されるように、蜂蜜の一部を蜂蜜以外の糖類又はグリセリンに置換して泡状化粧料用添加剤を構成した場合、置換成分の割合が50質量%であっても優れた泡の弾力性が得られることが確認された。また、表11に示されるように、泡立ち及び泡質の官能評価においても、置換成分の割合が50質量%であっても、優れた泡立ち及び泡質が得られることが確認された。
【0052】
<試験例9:蜂蜜とγPGAの配合比率の検討>
泡状化粧料用添加剤中における蜂蜜とγPGAの配合比率を変えた場合の泡立ち及び泡質について評価した。ニセアカシアが密源植物である蜂蜜に、平均分子量が2000kDaのγPGA(バイオリーダース社製)を0.05質量%(γPGAの含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比:1999)、0.1質量%(同質量比:999)、0.3質量%(同質量比:332)、0.5質量%(同質量比:199)、及び1.3質量%(同質量比:76)それぞれ添加した。そして、一晩攪拌することによって、各泡状化粧料用添加剤を作製した。
【0053】
各泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を混合する際の混合性、泡立ちを評価した。市販の泡状化粧料として、泡状化粧料B又はCを使用した。各泡状化粧料用添加剤0.6gと泡状化粧料B又はC0.6gを手のひらに取り、手のひらを擦り合わせることにより泡立てた。コントロールとして泡状化粧料用添加剤と混合しない泡状化粧料B又はCを使用した。泡立て時において、パネラー(10名)が泡立ちやすさ、及び混合性についてコントロールより良いか否かについて判断した。混合性の評価は、泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料B又はCを混合する際、溶液がゲル化することにより、混合性及び取り扱い性が低下するか否かの観点から行った。各パネラーの判断より下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表12に示す。表中の「蜂蜜の質量比」は、γPGAの含有量に対する蜂蜜の含有量の質量比を示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0054】
【表12】

表12に示されるように、泡状化粧料用添加剤中におけるγPGAの配合量が0.05質量%未満の場合、泡立ちが不十分となる傾向があることが確認された。γPGAの配合量が0.5質量%以上では溶液がゲル化する傾向にある。それにより、混合性が低下するとともに、泡吐出用容器等を用いて使用する場合は、容器への充填が困難になり、ノズルが詰まる等、取り扱い性が低下するおそれがあることが確認された。
【0055】
<試験例10:泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料の配合比率の検討>
泡状化粧料用添加剤と泡状化粧料の混合比率を変えた場合の泡立ち及び泡質について評価した。蜂蜜とγPGA(平均分子量2000kDa)を含有する泡状化粧料用添加剤と市販の泡状化粧料を所定の比率で混合した後、泡立て時における泡立ちの評価を行った。市販の泡状化粧料として、表1に示される泡状化粧料A,B,Cを使用した。泡立て方法は、試験例1の方法に従った。尚、コントロールとして泡状化粧料用添加剤と混合しない各泡状化粧料を使用した。泡立て後の泡状化粧料について、パネラー(10名)が泡立ちやすさについて各コントロールより良いか否かについて判断した。各パネラーの判断より下記基準に従い官能評価の結果とした。結果を表13に示す。
◎:コントロールより良いと答えた人数が8名以上
○:コントロールより良いと答えた人数が6名以上、8名未満
△:コントロールより良いと答えた人数が4名以上、6名未満
×:コントロールより良いと答えた人数が4名未満
【0056】
【表13】

表13に示されるように、泡状化粧料の配合量に対する泡状化粧料用添加剤の配合量の質量比が特に0.5〜1.5程度の範囲内において顕著な泡立ち向上効果が確認された。
【0057】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。(a)前記泡状化粧料用添加剤は、泡状化粧料の配合量に対し、質量比として0.1〜10の割合で混合して使用される前記泡状化粧料用添加剤の使用方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
γポリグルタミン酸及び蜂蜜を有効成分として含有することを特徴とする泡状化粧料用添加剤。
【請求項2】
前記γポリグルタミン酸は、平均分子量が50kDa〜7000kDaであることを特徴とする請求項1に記載の泡状化粧料用添加剤。
【請求項3】
前記γポリグルタミン酸は、平均分子量が1000kDa〜6000kDaであることを特徴とする請求項2に記載の泡状化粧料用添加剤。
【請求項4】
前記泡状化粧料用添加剤中における前記γポリグルタミン酸の含有量に対する前記蜂蜜の含有量の質量比は、200〜2000であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の泡状化粧料用添加剤。

【公開番号】特開2011−168513(P2011−168513A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32478(P2010−32478)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(591045471)アピ株式会社 (59)
【Fターム(参考)】