波長分波光学素子
【解決手段】本発明の波長分波光学素子は、少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面に一定の間隔をもって規則的に形成された等方性を有する多数の凸部を備えた波長分波光学素子であって、該トップ層の表面に、所定の間隙をもってそれぞれ独立に形成された凸部が、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)からなり、隣接する凸部パターンが相互に異なる凸部パターンであり、任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとの距離が一定であることを特徴としている。
【効果】本発明によれば、サイドバンドのない単一波長の光を分離するのに適した高性能の波長分波分光素子を安価に供給することができる。
【効果】本発明によれば、サイドバンドのない単一波長の光を分離するのに適した高性能の波長分波分光素子を安価に供給することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射される波長を単一波長にすることができ、容易に製造可能な波長分波光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発達に伴って、情報の伝達媒体が電気から光に変わりつつある。例えばインターネットなどにおいては、ISDNのように電話回線を用いた電気信号の代わりに、光ファイバーを用いたネットワークが構築されており、この光ファイバーを通して波長の異なる複数の光からなる光の束として情報を送信することができる。例えば、このような光の束を構成する特定波長の光を画像情報の伝達媒体として使用し、他の特定波長の光を音響情報の伝達媒体とするなど、光通信技術では複数の情報を一本の光ファイバーを用いて同時に送信することができる。
【0003】
具体的な例を示すと、インターネットの通信に用いられている光ファイバー通信網では、近赤外から中赤外線領域の波長光(波長:760nm〜2.5μm、2.5〜4μm)を使用して情報の伝達が行われている。この近赤外から中赤外線領域の波長光は、肉眼では見えないが、光としての性質は勿論、可視光に近い性質を有しており、通信伝達媒体としての光として可視光より極めて便利な波長光であることから、近年、急速に普及した携帯電話の光通信網、インタ-ネットの光ファイバ通信網で使用されている。そして、今後
その情報伝送量はますます増大すると予測されている。
【0004】
このように光通信では、例えば、波長分割多重化WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式が採用されている。
ここで採用されているWDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、例えば、音声、画像、映像などの独立情報を、それぞれの波長の光に割り当て独立情報の数に対応した波長の数の光を多重化して光信号として光束伝送させる光通信システムである。
【0005】
従って、WDM方式で送られた情報を受ける側では、光の束に含まれる特定波長の光を光の束から個別独立に分離する必要がある。このようなWDM方式の通信システムで多重化伝送された光信号を分離(又は分波)させるために、波長分波性(又は波長選択性)を有する波長に対して選択のあるフィルターが必要であり、このようなフィルターは、例えば図10に示すように、表面に凹凸を有する透明部材で形成された構造を有しており、通常は、波長分波光学素子とよばれている。
【0006】
このような波長分波光学素子は、例えば、図10に示すように、反射型の回折格子1は基板100上に周期Dの格子溝110が規則的に配列された光学素子である。この回折格子に対し、格子溝110の法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝110における光束の光路差ΔL10は次の(A)式で与えられる。
【0007】
【数2】
この光路差ΔL10が波長λの1/2の偶数倍、即ち、
【0008】
【数3】
但し、M=1、2、3の整数を表す。
と等しくなるとき出射光は強め合うことになる。したがって、次の(B)式を満足する特定の波長λを持つ光が回折格子から出射(回折)する。
【0009】
【数4】
例えば、θ1+θ2=αを一定にする条件の下で入射角θ1及び出射角θ2を変化させることにより、回折光の波長λを任意に変化させることができる。また、入射光が白色光である場合にも、出射角θ2を変化させることにより特定波長を持つ光を回折光として取り出すことができるとされている。
【0010】
しかしながら、上記のような従来の回折格子には、所望の波長の光とともに必要としない高次光も同じ方向に出射してくるという原理的な問題がある。即ち、(B)式は、波長がλである1次光、波長がλ/2である2次光、波長がλ/3である3次光、・・・が強め合って出て来ることを意味するから、いま入射角θ1、出射角(回折角)θ2の配置で取り出したい1次光の波長をλAとすると、同時に不要であるλA/2、λA/3、・・・の
光も同じ方向に出射する。一般に次数が高くなるに伴って回折光の強度は低下するものの、2次光は無視できない程度に大きな強度を有していることが多い。
【0011】
こうした従来の回折格子(波長分波分光素子)において、必要とされるλA以外の波長の光が分波して、所望の波長λAを高い選択率で分波するために、たとえば特開2006-91204号公報(特許文献1)には、「溝周期がDである第1の格子溝の上に、該格子溝と同一方向に延伸し溝周期がD/4である第2の格子溝を重ねて刻して成ることを特徴とする回折格子。」の発明が記載されており、第1の格子溝110における回折条件は上記と同様であるが、第2の格子溝12の回折条件を考えると、第1の格子溝110と同様に、法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝12における光束の光路差ΔL2は次の(C)式で与えられる。
【0012】
【数5】
この第2の格子溝120によって強め合う条件は、(B)式と同様に次の(D)式となる。
【0013】
【数6】
但し、N=1、2、3、などの整数である。
第1の格子溝110で取り出したい1次光の波長をλAとすると、(B)式より、
【0014】
【数7】
であるから、溝周期がD/4である第2の格子溝12では、波長がλA/4である1次
光、波長がλA/8である2次光、波長がλA/12である3次光、・・・を強め合うことが分かる。他方、逆に弱め合う条件は、次の(E)式を満足するときである。
【0015】
【数8】
即ち、波長がλA/2である1次光、波長がλA/6である2次光、波長がλA/10で
ある3次光、…が弱め合うことになる。因みに、λA/2よりも長い波長では強め合うこ
とも弱め合うこともない。
【0016】
即ち、溝周期Dである第1の格子溝110では波長λA/2である2次光が不所望の回
折光として出て来る筈であるが、溝周期D/4である第2の格子溝120では この波長
λA/2の光は1次光として弱め合うことになるから、結果として、この回折格子からの
波長λA/2の回折光の出射は抑制されることになる。このようにして、所望の波長λAの1次回折光の2次光を軽減することができるとされている。
【0017】
しかしながら、上記特許文献1においては、二種類のパターンを重ねることで二次光を軽減しているものの、基板の表面に段差を形成し、この段差の表面にさらに微小な凸部を形成する必要があり、たとえばこの回折素子を樹脂で形成する場合には、複数段のレジスト工程が必要となり、また、インプリント法で作成する場合にはモールドの作成が極めて煩雑になるとの問題がある。
【0018】
また、特許文献2(特開2002-22918号公報)には、等方性を有するパターンよりなる波長分波フィルターが記載されている、特許文献2では、トップ層を樹脂で形成することにより、波長分波フィルターを安価に製造できることが記載されている。
【0019】
しかしながら、パターン形状が単一であるため、出射光にサブピークが生じてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2006-91204号公報
【特許文献2】特開2002-22918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、複数の波長を有する入射光から単一波長の光を反射させることができ、意図しないサイドバンドの波長の光の反射をほぼ完全に防止した波長分波分光素子を提供することを目的としている。
【0021】
さらに、本発明は、偏光に対する依存性のない波長分波分光素子を提供することを目的としている。
また、本発明は、回折素子の設計が容易であり、低コストで供給可能な波長分波分光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の波長分波光学素子は、少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面に一定の間隔をもって規則的に形成された等方性を有する多数の凸部を備えた波長分波光学素子であって、
該トップ層の表面に、所定の間隙をもってそれぞれ独立に形成された凸部が、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)からなり、
隣接する凸部パターンが相互に異なる凸部パターンであり、
任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとの距離が一定であることを特徴としている。
【0023】
本発明の波長分波光学素子において、上記任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層
表面と垂直な平面に対して、垂直方向から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとの距離をPとしてときに、これらが、下記式(1)および(2)で表わされる関係を有することが好ましい。
【0024】
【数9】
ただし、KAは0.5〜0.95であり、KBは0.6〜0.8であり、KAとKBとは、同一ではない。
【0025】
本発明の波長分波光学素子においては、トップ層の表面に形成されている凸部であるパターンAの平面形状(トップ層の表面と平行な平面から見た凸部の形状。以下同様)が矩形凸部であり、パターンBの平面形状が矩形以外の異形凸部であってもよく、パターンA,および、パターンBが共に平面形状が、矩形以外の異形凸部であってもよく、さらに、パターンA、および、パターンBが共に平面形状矩形の凸部であってもよい。
【0026】
そして、このトップ層の表面にそれぞれ独立して形成された形態の異なる二種類の凸部が一定の間隔を形成することにより、これらの二種類の凸部は、周期Pで形成されている。そして、隣接するパターンAとパターンBとを一つの突起対としてみることができ、この突起対はこのトップ層の表面に一定の間隙を形成して形成されていることになる。従って、この波長分波光学素子は、隣接する凸部との間に周期Pという規則性をもって凸部が形成されているとともに、隣接する二個の凸部からなる突起対も、隣接する突起対との間で一定の周期をもって形成されていることになる。
【0027】
このように二種類の凸部が一定の周期で形成され、こうした二個の凸部によって形成される凸部対もまた一定の周期をもって形成されている。
このように波長分波光学素子を一定の周期をもって形成することにより、入射される光の束から、反射される波長以外の光の出射を抑制でき、入射した光の束から、サイドバンドのない単独波長光を効率的に出射させることができる。また、トップ層表面の形状が複雑ではないので、製造が容易であり、安価に高性能の波長分波光学素子を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の波長分波光学素子は、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)を有し、これらを一対の凸部として作用させることにより、入射光の束の中から所望の波長の光を独立して出射(反射)させることができ、このときの出射光の波長は単一であり、サイドバンドはほとんど観察されない。
【0029】
本発明の波長分波光学素子は、モールドを用いたインプリント法等により容易に製造することができ、しかもここで使用するモールドは、通常のモールドと同様に製造することができるので、高性能な波長分波光学素子を安価に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に本発明の波長分波光学素子について、図面を用いて具体的に説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明の波長分波光学素子の断面の一例を示す断面図である。図3は、本発明の波長分波光学素子のトップ層の平面を示す平面図である。図12は斜視図である。
【0031】
なお、本発明において、同一部材にはできうる限り同一の付番を付して説明する。
図1および図2に示されるように、本発明の波長分波光学素子は、通常は導波層20と、この導波層20の表面に積層されたトップ層10と、このトップ層10の表面に立設した複数の凸部40〜41を有している。
【0032】
トップ層の厚さは、通常は、0.20〜6.00μm、好ましくは0.6〜1.5μmの範囲内にあり、このトップ層を形成する素材の屈折率は、通常は1.4〜1.8の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。
【0033】
本発明において、導波層の厚さは、通常は2.0μm以上、好ましくは100〜700
μmの範囲内にある。
この導波層を形成する素材の屈折率は、通常は1.35〜1.77の範囲内、好ましくは1.45〜1.55の範囲内にある樹脂であり、トップ層を形成する素材よりも低い屈折率の素材を使用して形成されている。
【0034】
本発明の波長分波光学素子を形成する導波層、トップ層および凸部は、いずれも光透過性の素材で形成されている。ここで使用する基板を形成する素材の例としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂などの透明性の高い熱可塑性樹脂あるいはガラスなどの無機透明材料が挙げられる。また、導波層20およびトップ層10を形成する素材の例としても上記と同様の熱可塑性樹脂あるいは無機透明材料を挙げることができる。
【0035】
ここで、トップ層と導波層との間に波長分波に影響を及ぼさない範囲でプライマー層を設けてもよい。このプライマー層の厚さは目的とする分波波長よりも充分に小さい厚みであり、通常は数十nm以下、好ましくは25nm以下である。
【0036】
ただし、本発明の波長分波光学素子において、導波層20の屈折率を(n1)、トップ
層の屈折率を(n2)としたときに、トップ層30の屈折率(n2)と導波層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)が0.03以上、好ましくは0.06〜0.25の範囲内に
なるように形成素材を選定する。このようにトップ層30と導波層20との屈折率に差を設けることにより、より効率よく波長分波を行うことができる。
【0037】
本発明の波長分波光学素子が導波層の下に基板を有する三層構造を有する場合に、基板と導波層との屈折率差を0.05〜0.3の範囲内にすることにより、より分波性能の良い波長分波光学素子とすることができる。
【0038】
なお、本発明の波長分波光学素子において、トップ層10の表面に形成される凸部40〜41は、トップ層10を形成する素材と同一の素材で一体に形成されていることから、その屈折率もトップ層10を形成する素材の屈折率と同一である。
【0039】
本発明の波長分波光学素子を形成する素材としては、透明性の高い素材を使用することができ、全光線透過率が、通常は70%以上、好ましくは80%以上である透明性を有する素材を使用する。
【0040】
上記のようにしてトップ層10の平坦な表面に立設されている凸部40〜41のトップ
層30表面からの高さは、通常は100〜600nm、好ましくは300〜450nmであり、全ての凸部の高さは同一である。また、凸部対の幅は、通常は200〜1600nm、好ましくは500〜1000nmの範囲内にある。
【0041】
また、任意の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離(P)は、通常は400〜2000nm、好ましくは900〜1500nmの範囲にある。
本発明の波長分波光学素子には、面積および/または形状の異なるパターンAおよびパターンBを一対の凸部として、この凸部の対を多数形成することにより、特定の波長の光を増幅させて、効率よく波長の異なる光を出射させることができる。
【0042】
本発明において、パターンAおよびパターンBは下記式の関係を満たすことが好ましい。
A=KA×P ・・・・(1)
B=KB×P ・・・・(2)
0.5≦KA≦0.95
0.6≦KB≦0.8
KA≠KB
ここで、Pは、任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層表面と垂直な平面に対して
、垂直方向から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとを結んで仮想される直線の距離である。
【0043】
KA、KBの値はパターンA,パターンBの形状によってパターンの占める面積が変わるため、形状によってその値を適宜調整することがこのましい。
たとえば、パターンA、パターンBが共に平面形状が矩形のような場合には0.75≦KA≦0.9、0.5≦KB≦0.65とすることが好ましく、
また、たとえば、パターンA、パターンBが共に平面形状が円の場合には0.8≦KA
≦0.95、0.5≦KB≦0.65とすることが好ましく、
さらに、たとえば、パターンAが平面形状が矩形でパターンBが平面形状が十字型の場合や、パターンAの平面形状が円、パターンBの平面形状が十字型の場合には、0.8≦KA≦0.95、0.65≦KB≦0.8とすることが好ましい。
【0044】
またさらに、パターンA、パターンBの平面形状が、同形の場合には、KA−KBの値が0.15以上であることが好ましく、
パターンAの平面形状が矩形、パターンBの平面形状が十字型の場合や、パターンAの平面形状が円、パターンBの平面形状が十字型の場合には、KA−KBの値が0.15以上であることが好ましい。
【0045】
本発明の波長分波光学素子に形成されている凸部の平面形状には、特に限定はなく、菱形、多角形、楕円形、円形、十字型などの種々の形態にすることができ、たとえば図4に示すように矩形凸部47.十字型凸部48、十字型凸部にさらに横方向に突起を有する変形十字型49のような平面形状を有する凸部であってもよい。
【0046】
さらに、本発明の波長分波分光素子は、図3に示す平面図のように、十字型角柱41と矩形角柱40のように異なる形状の柱状物を組み合わせて凸部対を形成するすることができる。図3において、角柱はAの長さが320〜1900nm、高さが100〜600nmの
断面四角柱であり、十字型角柱は、Bの長さが260〜1600nm、B22がBの0.4〜0
.5倍の長さで高さが100〜600nmであり、さらに、十ギガ他の中心部分B22がBの0.3〜0.6倍、好ましくは0.4〜0.5倍であり、B21とB23とが等しい形状を有している。
【0047】
この十字型角柱41と矩形角柱40の中心間距離(P)は400〜2000nmになるよ
うに配置して凸部対とすることができる。。
また、上記図3に示す波長分波光学素子において、十字型角柱41および/または矩形角柱40は、図4に示すようなひし形角柱44、多角形角柱、好ましくは6角形角柱45
、円形円柱46、楕円円柱、方形柱47、付番48で示す十文字型角柱が回転した形状の十字型柱、付番49で示しように十字型角柱に突起が形成された突起付き十字型角柱などにすることができる。特に本発明においては十字型角柱41に代えて、たとえば上記図4に示すような異型柱状物を使用することもできる。
【0048】
上記のような特性を有する本発明の波長分波光学素子は、種々の方法により製造することができるが、特にモールドを用いて熱インプリント法により製造するのが有利である。
この方法は、金属、ガラス、シリコンなどの硬質部材で形成されたモールドを用いて、加熱下にトップ層の表面にこのモールドを押圧してモールドに形成されたパターンをトップ層の表面に転写する方法である。
【0049】
この方法では、トップ層としてガラス転移温度(Tg)が好ましくは40〜290℃、特
に好ましくは60〜210℃のの熱可塑性透明樹脂、たとえば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいは、ポリカーボネート樹脂などから選択される樹脂をトップ層形成樹脂として用いて50〜340℃、好ましくは70〜260℃に加熱されたモールドと、このトップ層とを圧接して、トップ層形成樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度にまで冷却した後、モールドから樹脂を脱型して、積層樹脂のトップ層の表面にモールドの表面に形成されたパターンと逆のパターンを積層樹脂のトップ層の表面に形成する。
【0050】
なお、ここで使用するモールドには、樹脂のトップ層とモールドとが接触した際に空気が抜け出し易いように空気排気手段を形成することもできる。
本発明の波長分波分光装置には、上記のように分光手段である凸部が二個対になって規則的に配置された複数の突起対が形成している。
【0051】
そして、このように本発明の波長分波光学素子が、異なる二つの凸部を有することにより、取り出そうとする波長の光以外の波長の光を抑制して所望の波長の光を高い選択率で取り出すことができる。しかも、本発明の波長分波光学素子によれば、取り出される光が単波長であり、サイドバンドが極めて少ないとの特性を有する。
【0052】
従って、本発明の波長分波光学素子は、光通信などにおいて特定の波長の光を取り出すための分光素子として極めて重要性が高い。
【実施例】
【0053】
次に本発明の波長分波分光素子について実施例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜3〕
温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、スチレン(St
)100重量部と、ブチルパーオキサイド0.45重量部と、水130重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.004重量部と、第三リン酸カルシウム10重量部とを添加し、1000rpm攪拌下に乳化させた後、充分に窒素パージさせて、77〜80℃で3.5時間反応させ、次いで89〜91℃で1.5時間反応させ、さらに96〜97℃で1時間反応させた。
【0054】
重合したエマルジョンを35%塩酸および水で洗浄し、乾燥させ粉体とした。
このようにして調製されたエマルジョンの重合率は約100%であり、GPC法で用いて測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20万で、分子量分布係数は2.3であった。また、このように調製されたPSt樹脂(L1−1)の1540nmにおける屈折率(n1)は1.565であった。
【0055】
上記のようにして製造したPSt系樹脂(L1−1)を、固形分13%のトルエン溶液に調製し、膜厚(m0)=700μmのガラス(日本電気硝子(株)製:OA-10F)上にスピンコーターを用いて塗工(塗工条件:スピンコーター1HD ×2、ミカサ(株)製を用いて
、回転数1500〜2000rpmで20秒スピンコート)し、次いで、40℃×10分で、更に90℃×30分で乾燥し、膜厚約1.3μmの硬化PSt層を成膜させた。なお、
このガラスの屈折率(n1)は、1.52であり、トップ層30の屈折率(n2)と導波
層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)は、0.045であった。
【0056】
上記のようにして塗工したPSt樹脂(L1-1)の表面に、予め矩形―異形、異形−異形、矩形−矩形の形状の凸部を形成可能なモールドを形成して加熱下に押し当ててトップ層表面に表1に記載の凸部対を転写した。
【0057】
すなわち、130℃に加熱下にPSt樹脂(L1-1)の表面に、上記のようにして形成されたモールドを圧接して、モールドに形成されたパターンをPSt樹脂(L1-1)の表面に転写し、60℃まで冷却した後、脱型を行って、本発明の波長分波光学素子を得た。
【0058】
得られた波長分波光学素子の凸部の高さは300nm、トップ層の厚さは1000nmである。
上記のようにして製造した波長分波光学素子に対して垂直方向から、アジレント株式会社製波長可変レーザー光源8164Aを用いて、波長1460〜1580nmのレーザー光を照射し、反射される光をアジレント株式会社製波長可変レーザー光源8164A上の光パワーセンサーユニットにより検出した。
【0059】
結果を表1に示す。また反射光の強度を図5に示す。
こうして製造した波長分波光学素子に光を入射させたところ、図5〜7に示すように、実施例で得られた波長分波分光素子では、サブピークが観察されなかった。
【0060】
【表1】
〔比較例1〕
実施例1において、周期(P)を1066nmに変えるとともに、KAの値を0.81に変え、KBの値を0.81に変えた以外は同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0061】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表2に示す。
また、こうして得られた波長分波光学素子を用いた分波では、図8に示すように、相当強度のサイドバンドが観察された。
【0062】
〔比較例2〕
実施例2において、周期(P)を1066nmにかえるとともに、KAの値を0.90に変えた以外は同様にして波長分波光学素子を製造した。
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表2に示す。
【0063】
また、こうして得られた波長分波光学素子を用いた分波では、図9に示すように、相当強度のサイドバンドが観察された。
また、反射率が低く、波長分波光学素子としての特性が低いことがわかる。
【0064】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の波長分波分光素子は、トップ層表面に二種類の凸部が、一定のピッチで形成されていることにより、サイドバンドの発生がなく、反射率の高い、非常に高性能の波長分波分光素子である。また、本発明の波長分波分光素子は、たとえば、形成しようとするパターンとは逆のパターンをモールドに形成し、このモールドを用いて、トップ層の表面にパターンを転写することにより製造することができ、その製造が極めて容易である大量生産に適していることから、高性能の波長分波分光素子を安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の波長分波光学素子の断面の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の波長分波光学素子の断面の他の例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の波長分波光学素子の凸部の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、異型柱状体の横断面形状を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例2で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施例3で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例1で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図9】図8は、比較例2で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図10】図10は、従来の回折素子の断面を示す断面図である。
【図11】図11は、従来技術で採用されている回折素子の断面図である。
【図12】図12は、本発明の波長分波光学素子の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10・・・トップ層
20・・・導波層
30・・・基板
40・・・面矩形角柱
41・・・面十文字型角柱
44・・・面ひし形角柱
45・・・面多角形角柱(横断面6角形角柱)
46・・・面円形円柱
【技術分野】
【0001】
本発明は反射される波長を単一波長にすることができ、容易に製造可能な波長分波光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発達に伴って、情報の伝達媒体が電気から光に変わりつつある。例えばインターネットなどにおいては、ISDNのように電話回線を用いた電気信号の代わりに、光ファイバーを用いたネットワークが構築されており、この光ファイバーを通して波長の異なる複数の光からなる光の束として情報を送信することができる。例えば、このような光の束を構成する特定波長の光を画像情報の伝達媒体として使用し、他の特定波長の光を音響情報の伝達媒体とするなど、光通信技術では複数の情報を一本の光ファイバーを用いて同時に送信することができる。
【0003】
具体的な例を示すと、インターネットの通信に用いられている光ファイバー通信網では、近赤外から中赤外線領域の波長光(波長:760nm〜2.5μm、2.5〜4μm)を使用して情報の伝達が行われている。この近赤外から中赤外線領域の波長光は、肉眼では見えないが、光としての性質は勿論、可視光に近い性質を有しており、通信伝達媒体としての光として可視光より極めて便利な波長光であることから、近年、急速に普及した携帯電話の光通信網、インタ-ネットの光ファイバ通信網で使用されている。そして、今後
その情報伝送量はますます増大すると予測されている。
【0004】
このように光通信では、例えば、波長分割多重化WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式が採用されている。
ここで採用されているWDM方式とは、波長の異なる複数の光を用いて、例えば、音声、画像、映像などの独立情報を、それぞれの波長の光に割り当て独立情報の数に対応した波長の数の光を多重化して光信号として光束伝送させる光通信システムである。
【0005】
従って、WDM方式で送られた情報を受ける側では、光の束に含まれる特定波長の光を光の束から個別独立に分離する必要がある。このようなWDM方式の通信システムで多重化伝送された光信号を分離(又は分波)させるために、波長分波性(又は波長選択性)を有する波長に対して選択のあるフィルターが必要であり、このようなフィルターは、例えば図10に示すように、表面に凹凸を有する透明部材で形成された構造を有しており、通常は、波長分波光学素子とよばれている。
【0006】
このような波長分波光学素子は、例えば、図10に示すように、反射型の回折格子1は基板100上に周期Dの格子溝110が規則的に配列された光学素子である。この回折格子に対し、格子溝110の法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝110における光束の光路差ΔL10は次の(A)式で与えられる。
【0007】
【数2】
この光路差ΔL10が波長λの1/2の偶数倍、即ち、
【0008】
【数3】
但し、M=1、2、3の整数を表す。
と等しくなるとき出射光は強め合うことになる。したがって、次の(B)式を満足する特定の波長λを持つ光が回折格子から出射(回折)する。
【0009】
【数4】
例えば、θ1+θ2=αを一定にする条件の下で入射角θ1及び出射角θ2を変化させることにより、回折光の波長λを任意に変化させることができる。また、入射光が白色光である場合にも、出射角θ2を変化させることにより特定波長を持つ光を回折光として取り出すことができるとされている。
【0010】
しかしながら、上記のような従来の回折格子には、所望の波長の光とともに必要としない高次光も同じ方向に出射してくるという原理的な問題がある。即ち、(B)式は、波長がλである1次光、波長がλ/2である2次光、波長がλ/3である3次光、・・・が強め合って出て来ることを意味するから、いま入射角θ1、出射角(回折角)θ2の配置で取り出したい1次光の波長をλAとすると、同時に不要であるλA/2、λA/3、・・・の
光も同じ方向に出射する。一般に次数が高くなるに伴って回折光の強度は低下するものの、2次光は無視できない程度に大きな強度を有していることが多い。
【0011】
こうした従来の回折格子(波長分波分光素子)において、必要とされるλA以外の波長の光が分波して、所望の波長λAを高い選択率で分波するために、たとえば特開2006-91204号公報(特許文献1)には、「溝周期がDである第1の格子溝の上に、該格子溝と同一方向に延伸し溝周期がD/4である第2の格子溝を重ねて刻して成ることを特徴とする回折格子。」の発明が記載されており、第1の格子溝110における回折条件は上記と同様であるが、第2の格子溝12の回折条件を考えると、第1の格子溝110と同様に、法線Pとの成す角度θ1で以て入射した光が法線Pとの成す角度θ2で以て回折したとき、隣り合う格子溝12における光束の光路差ΔL2は次の(C)式で与えられる。
【0012】
【数5】
この第2の格子溝120によって強め合う条件は、(B)式と同様に次の(D)式となる。
【0013】
【数6】
但し、N=1、2、3、などの整数である。
第1の格子溝110で取り出したい1次光の波長をλAとすると、(B)式より、
【0014】
【数7】
であるから、溝周期がD/4である第2の格子溝12では、波長がλA/4である1次
光、波長がλA/8である2次光、波長がλA/12である3次光、・・・を強め合うことが分かる。他方、逆に弱め合う条件は、次の(E)式を満足するときである。
【0015】
【数8】
即ち、波長がλA/2である1次光、波長がλA/6である2次光、波長がλA/10で
ある3次光、…が弱め合うことになる。因みに、λA/2よりも長い波長では強め合うこ
とも弱め合うこともない。
【0016】
即ち、溝周期Dである第1の格子溝110では波長λA/2である2次光が不所望の回
折光として出て来る筈であるが、溝周期D/4である第2の格子溝120では この波長
λA/2の光は1次光として弱め合うことになるから、結果として、この回折格子からの
波長λA/2の回折光の出射は抑制されることになる。このようにして、所望の波長λAの1次回折光の2次光を軽減することができるとされている。
【0017】
しかしながら、上記特許文献1においては、二種類のパターンを重ねることで二次光を軽減しているものの、基板の表面に段差を形成し、この段差の表面にさらに微小な凸部を形成する必要があり、たとえばこの回折素子を樹脂で形成する場合には、複数段のレジスト工程が必要となり、また、インプリント法で作成する場合にはモールドの作成が極めて煩雑になるとの問題がある。
【0018】
また、特許文献2(特開2002-22918号公報)には、等方性を有するパターンよりなる波長分波フィルターが記載されている、特許文献2では、トップ層を樹脂で形成することにより、波長分波フィルターを安価に製造できることが記載されている。
【0019】
しかしながら、パターン形状が単一であるため、出射光にサブピークが生じてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2006-91204号公報
【特許文献2】特開2002-22918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、複数の波長を有する入射光から単一波長の光を反射させることができ、意図しないサイドバンドの波長の光の反射をほぼ完全に防止した波長分波分光素子を提供することを目的としている。
【0021】
さらに、本発明は、偏光に対する依存性のない波長分波分光素子を提供することを目的としている。
また、本発明は、回折素子の設計が容易であり、低コストで供給可能な波長分波分光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の波長分波光学素子は、少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面に一定の間隔をもって規則的に形成された等方性を有する多数の凸部を備えた波長分波光学素子であって、
該トップ層の表面に、所定の間隙をもってそれぞれ独立に形成された凸部が、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)からなり、
隣接する凸部パターンが相互に異なる凸部パターンであり、
任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとの距離が一定であることを特徴としている。
【0023】
本発明の波長分波光学素子において、上記任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層
表面と垂直な平面に対して、垂直方向から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとの距離をPとしてときに、これらが、下記式(1)および(2)で表わされる関係を有することが好ましい。
【0024】
【数9】
ただし、KAは0.5〜0.95であり、KBは0.6〜0.8であり、KAとKBとは、同一ではない。
【0025】
本発明の波長分波光学素子においては、トップ層の表面に形成されている凸部であるパターンAの平面形状(トップ層の表面と平行な平面から見た凸部の形状。以下同様)が矩形凸部であり、パターンBの平面形状が矩形以外の異形凸部であってもよく、パターンA,および、パターンBが共に平面形状が、矩形以外の異形凸部であってもよく、さらに、パターンA、および、パターンBが共に平面形状矩形の凸部であってもよい。
【0026】
そして、このトップ層の表面にそれぞれ独立して形成された形態の異なる二種類の凸部が一定の間隔を形成することにより、これらの二種類の凸部は、周期Pで形成されている。そして、隣接するパターンAとパターンBとを一つの突起対としてみることができ、この突起対はこのトップ層の表面に一定の間隙を形成して形成されていることになる。従って、この波長分波光学素子は、隣接する凸部との間に周期Pという規則性をもって凸部が形成されているとともに、隣接する二個の凸部からなる突起対も、隣接する突起対との間で一定の周期をもって形成されていることになる。
【0027】
このように二種類の凸部が一定の周期で形成され、こうした二個の凸部によって形成される凸部対もまた一定の周期をもって形成されている。
このように波長分波光学素子を一定の周期をもって形成することにより、入射される光の束から、反射される波長以外の光の出射を抑制でき、入射した光の束から、サイドバンドのない単独波長光を効率的に出射させることができる。また、トップ層表面の形状が複雑ではないので、製造が容易であり、安価に高性能の波長分波光学素子を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の波長分波光学素子は、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)を有し、これらを一対の凸部として作用させることにより、入射光の束の中から所望の波長の光を独立して出射(反射)させることができ、このときの出射光の波長は単一であり、サイドバンドはほとんど観察されない。
【0029】
本発明の波長分波光学素子は、モールドを用いたインプリント法等により容易に製造することができ、しかもここで使用するモールドは、通常のモールドと同様に製造することができるので、高性能な波長分波光学素子を安価に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に本発明の波長分波光学素子について、図面を用いて具体的に説明する。
図1、図2は、それぞれ、本発明の波長分波光学素子の断面の一例を示す断面図である。図3は、本発明の波長分波光学素子のトップ層の平面を示す平面図である。図12は斜視図である。
【0031】
なお、本発明において、同一部材にはできうる限り同一の付番を付して説明する。
図1および図2に示されるように、本発明の波長分波光学素子は、通常は導波層20と、この導波層20の表面に積層されたトップ層10と、このトップ層10の表面に立設した複数の凸部40〜41を有している。
【0032】
トップ層の厚さは、通常は、0.20〜6.00μm、好ましくは0.6〜1.5μmの範囲内にあり、このトップ層を形成する素材の屈折率は、通常は1.4〜1.8の範囲内、好ましくは1.56〜1.63の範囲内にある。
【0033】
本発明において、導波層の厚さは、通常は2.0μm以上、好ましくは100〜700
μmの範囲内にある。
この導波層を形成する素材の屈折率は、通常は1.35〜1.77の範囲内、好ましくは1.45〜1.55の範囲内にある樹脂であり、トップ層を形成する素材よりも低い屈折率の素材を使用して形成されている。
【0034】
本発明の波長分波光学素子を形成する導波層、トップ層および凸部は、いずれも光透過性の素材で形成されている。ここで使用する基板を形成する素材の例としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(チオ)フェノール誘導体系樹脂、フッ素変性アクリル系樹脂、無機ナノ粒子添加系樹脂および有機−無機ハイブリット系樹脂などの透明性の高い熱可塑性樹脂あるいはガラスなどの無機透明材料が挙げられる。また、導波層20およびトップ層10を形成する素材の例としても上記と同様の熱可塑性樹脂あるいは無機透明材料を挙げることができる。
【0035】
ここで、トップ層と導波層との間に波長分波に影響を及ぼさない範囲でプライマー層を設けてもよい。このプライマー層の厚さは目的とする分波波長よりも充分に小さい厚みであり、通常は数十nm以下、好ましくは25nm以下である。
【0036】
ただし、本発明の波長分波光学素子において、導波層20の屈折率を(n1)、トップ
層の屈折率を(n2)としたときに、トップ層30の屈折率(n2)と導波層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)が0.03以上、好ましくは0.06〜0.25の範囲内に
なるように形成素材を選定する。このようにトップ層30と導波層20との屈折率に差を設けることにより、より効率よく波長分波を行うことができる。
【0037】
本発明の波長分波光学素子が導波層の下に基板を有する三層構造を有する場合に、基板と導波層との屈折率差を0.05〜0.3の範囲内にすることにより、より分波性能の良い波長分波光学素子とすることができる。
【0038】
なお、本発明の波長分波光学素子において、トップ層10の表面に形成される凸部40〜41は、トップ層10を形成する素材と同一の素材で一体に形成されていることから、その屈折率もトップ層10を形成する素材の屈折率と同一である。
【0039】
本発明の波長分波光学素子を形成する素材としては、透明性の高い素材を使用することができ、全光線透過率が、通常は70%以上、好ましくは80%以上である透明性を有する素材を使用する。
【0040】
上記のようにしてトップ層10の平坦な表面に立設されている凸部40〜41のトップ
層30表面からの高さは、通常は100〜600nm、好ましくは300〜450nmであり、全ての凸部の高さは同一である。また、凸部対の幅は、通常は200〜1600nm、好ましくは500〜1000nmの範囲内にある。
【0041】
また、任意の凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離(P)は、通常は400〜2000nm、好ましくは900〜1500nmの範囲にある。
本発明の波長分波光学素子には、面積および/または形状の異なるパターンAおよびパターンBを一対の凸部として、この凸部の対を多数形成することにより、特定の波長の光を増幅させて、効率よく波長の異なる光を出射させることができる。
【0042】
本発明において、パターンAおよびパターンBは下記式の関係を満たすことが好ましい。
A=KA×P ・・・・(1)
B=KB×P ・・・・(2)
0.5≦KA≦0.95
0.6≦KB≦0.8
KA≠KB
ここで、Pは、任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層表面と垂直な平面に対して
、垂直方向から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとを結んで仮想される直線の距離である。
【0043】
KA、KBの値はパターンA,パターンBの形状によってパターンの占める面積が変わるため、形状によってその値を適宜調整することがこのましい。
たとえば、パターンA、パターンBが共に平面形状が矩形のような場合には0.75≦KA≦0.9、0.5≦KB≦0.65とすることが好ましく、
また、たとえば、パターンA、パターンBが共に平面形状が円の場合には0.8≦KA
≦0.95、0.5≦KB≦0.65とすることが好ましく、
さらに、たとえば、パターンAが平面形状が矩形でパターンBが平面形状が十字型の場合や、パターンAの平面形状が円、パターンBの平面形状が十字型の場合には、0.8≦KA≦0.95、0.65≦KB≦0.8とすることが好ましい。
【0044】
またさらに、パターンA、パターンBの平面形状が、同形の場合には、KA−KBの値が0.15以上であることが好ましく、
パターンAの平面形状が矩形、パターンBの平面形状が十字型の場合や、パターンAの平面形状が円、パターンBの平面形状が十字型の場合には、KA−KBの値が0.15以上であることが好ましい。
【0045】
本発明の波長分波光学素子に形成されている凸部の平面形状には、特に限定はなく、菱形、多角形、楕円形、円形、十字型などの種々の形態にすることができ、たとえば図4に示すように矩形凸部47.十字型凸部48、十字型凸部にさらに横方向に突起を有する変形十字型49のような平面形状を有する凸部であってもよい。
【0046】
さらに、本発明の波長分波分光素子は、図3に示す平面図のように、十字型角柱41と矩形角柱40のように異なる形状の柱状物を組み合わせて凸部対を形成するすることができる。図3において、角柱はAの長さが320〜1900nm、高さが100〜600nmの
断面四角柱であり、十字型角柱は、Bの長さが260〜1600nm、B22がBの0.4〜0
.5倍の長さで高さが100〜600nmであり、さらに、十ギガ他の中心部分B22がBの0.3〜0.6倍、好ましくは0.4〜0.5倍であり、B21とB23とが等しい形状を有している。
【0047】
この十字型角柱41と矩形角柱40の中心間距離(P)は400〜2000nmになるよ
うに配置して凸部対とすることができる。。
また、上記図3に示す波長分波光学素子において、十字型角柱41および/または矩形角柱40は、図4に示すようなひし形角柱44、多角形角柱、好ましくは6角形角柱45
、円形円柱46、楕円円柱、方形柱47、付番48で示す十文字型角柱が回転した形状の十字型柱、付番49で示しように十字型角柱に突起が形成された突起付き十字型角柱などにすることができる。特に本発明においては十字型角柱41に代えて、たとえば上記図4に示すような異型柱状物を使用することもできる。
【0048】
上記のような特性を有する本発明の波長分波光学素子は、種々の方法により製造することができるが、特にモールドを用いて熱インプリント法により製造するのが有利である。
この方法は、金属、ガラス、シリコンなどの硬質部材で形成されたモールドを用いて、加熱下にトップ層の表面にこのモールドを押圧してモールドに形成されたパターンをトップ層の表面に転写する方法である。
【0049】
この方法では、トップ層としてガラス転移温度(Tg)が好ましくは40〜290℃、特
に好ましくは60〜210℃のの熱可塑性透明樹脂、たとえば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいは、ポリカーボネート樹脂などから選択される樹脂をトップ層形成樹脂として用いて50〜340℃、好ましくは70〜260℃に加熱されたモールドと、このトップ層とを圧接して、トップ層形成樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度にまで冷却した後、モールドから樹脂を脱型して、積層樹脂のトップ層の表面にモールドの表面に形成されたパターンと逆のパターンを積層樹脂のトップ層の表面に形成する。
【0050】
なお、ここで使用するモールドには、樹脂のトップ層とモールドとが接触した際に空気が抜け出し易いように空気排気手段を形成することもできる。
本発明の波長分波分光装置には、上記のように分光手段である凸部が二個対になって規則的に配置された複数の突起対が形成している。
【0051】
そして、このように本発明の波長分波光学素子が、異なる二つの凸部を有することにより、取り出そうとする波長の光以外の波長の光を抑制して所望の波長の光を高い選択率で取り出すことができる。しかも、本発明の波長分波光学素子によれば、取り出される光が単波長であり、サイドバンドが極めて少ないとの特性を有する。
【0052】
従って、本発明の波長分波光学素子は、光通信などにおいて特定の波長の光を取り出すための分光素子として極めて重要性が高い。
【実施例】
【0053】
次に本発明の波長分波分光素子について実施例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜3〕
温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、スチレン(St
)100重量部と、ブチルパーオキサイド0.45重量部と、水130重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.004重量部と、第三リン酸カルシウム10重量部とを添加し、1000rpm攪拌下に乳化させた後、充分に窒素パージさせて、77〜80℃で3.5時間反応させ、次いで89〜91℃で1.5時間反応させ、さらに96〜97℃で1時間反応させた。
【0054】
重合したエマルジョンを35%塩酸および水で洗浄し、乾燥させ粉体とした。
このようにして調製されたエマルジョンの重合率は約100%であり、GPC法で用いて測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は20万で、分子量分布係数は2.3であった。また、このように調製されたPSt樹脂(L1−1)の1540nmにおける屈折率(n1)は1.565であった。
【0055】
上記のようにして製造したPSt系樹脂(L1−1)を、固形分13%のトルエン溶液に調製し、膜厚(m0)=700μmのガラス(日本電気硝子(株)製:OA-10F)上にスピンコーターを用いて塗工(塗工条件:スピンコーター1HD ×2、ミカサ(株)製を用いて
、回転数1500〜2000rpmで20秒スピンコート)し、次いで、40℃×10分で、更に90℃×30分で乾燥し、膜厚約1.3μmの硬化PSt層を成膜させた。なお、
このガラスの屈折率(n1)は、1.52であり、トップ層30の屈折率(n2)と導波
層20の屈折率(n1)との差(n2−n1)は、0.045であった。
【0056】
上記のようにして塗工したPSt樹脂(L1-1)の表面に、予め矩形―異形、異形−異形、矩形−矩形の形状の凸部を形成可能なモールドを形成して加熱下に押し当ててトップ層表面に表1に記載の凸部対を転写した。
【0057】
すなわち、130℃に加熱下にPSt樹脂(L1-1)の表面に、上記のようにして形成されたモールドを圧接して、モールドに形成されたパターンをPSt樹脂(L1-1)の表面に転写し、60℃まで冷却した後、脱型を行って、本発明の波長分波光学素子を得た。
【0058】
得られた波長分波光学素子の凸部の高さは300nm、トップ層の厚さは1000nmである。
上記のようにして製造した波長分波光学素子に対して垂直方向から、アジレント株式会社製波長可変レーザー光源8164Aを用いて、波長1460〜1580nmのレーザー光を照射し、反射される光をアジレント株式会社製波長可変レーザー光源8164A上の光パワーセンサーユニットにより検出した。
【0059】
結果を表1に示す。また反射光の強度を図5に示す。
こうして製造した波長分波光学素子に光を入射させたところ、図5〜7に示すように、実施例で得られた波長分波分光素子では、サブピークが観察されなかった。
【0060】
【表1】
〔比較例1〕
実施例1において、周期(P)を1066nmに変えるとともに、KAの値を0.81に変え、KBの値を0.81に変えた以外は同様にして波長分波光学素子を製造した。
【0061】
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表2に示す。
また、こうして得られた波長分波光学素子を用いた分波では、図8に示すように、相当強度のサイドバンドが観察された。
【0062】
〔比較例2〕
実施例2において、周期(P)を1066nmにかえるとともに、KAの値を0.90に変えた以外は同様にして波長分波光学素子を製造した。
得られた波長分波光学素子について、実施例1と同様に光学的特性を測定した。
結果を表2に示す。
【0063】
また、こうして得られた波長分波光学素子を用いた分波では、図9に示すように、相当強度のサイドバンドが観察された。
また、反射率が低く、波長分波光学素子としての特性が低いことがわかる。
【0064】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の波長分波分光素子は、トップ層表面に二種類の凸部が、一定のピッチで形成されていることにより、サイドバンドの発生がなく、反射率の高い、非常に高性能の波長分波分光素子である。また、本発明の波長分波分光素子は、たとえば、形成しようとするパターンとは逆のパターンをモールドに形成し、このモールドを用いて、トップ層の表面にパターンを転写することにより製造することができ、その製造が極めて容易である大量生産に適していることから、高性能の波長分波分光素子を安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の波長分波光学素子の断面の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の波長分波光学素子の断面の他の例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の波長分波光学素子の凸部の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、異型柱状体の横断面形状を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例2で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施例3で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例1で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図9】図8は、比較例2で製造した波長分波光学素子における光学特性を示すグラフである。
【図10】図10は、従来の回折素子の断面を示す断面図である。
【図11】図11は、従来技術で採用されている回折素子の断面図である。
【図12】図12は、本発明の波長分波光学素子の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10・・・トップ層
20・・・導波層
30・・・基板
40・・・面矩形角柱
41・・・面十文字型角柱
44・・・面ひし形角柱
45・・・面多角形角柱(横断面6角形角柱)
46・・・面円形円柱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面に一定の間隔をもって規則的に形成された等方性を有する多数の凸部を備えた波長分波光学素子であって、
該トップ層の表面に、所定の間隙をもってそれぞれ独立に形成された凸部が、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)からなり、
隣接する凸部パターンが相互に異なる凸部パターンであり、
任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとの距離が一定であることを特徴とする波長分波光学素子。
【請求項2】
上記任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層表面と垂直な平面に対して、垂直方向
から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとの距離をPとしてときに、これらが、下記式(1)および(2)で表わされる関係を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子:
【数1】
(ただし、KAは0.5〜0.95であり、KBは0.6〜0.8であり、KAとKBとは、同一ではない。)。
【請求項3】
上記パターンAが矩形凸部であり、上記パターンBが矩形以外の異形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項4】
上記パターンA,および、パターンBが共に矩形以外の異形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項5】
上記異形凸部は、トップ層表面と平行な面から見た形状が、菱形、多角形、楕円形、円形、十字型よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の平面形状を有する凸部であることを特徴とする請求項第3項または第4項記載の波長分波光学素子。
【請求項6】
上記パターンA、および、パターンBが共に矩形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項7】
上記凸部の高さが、トップ層表面から100〜600nmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第6項もいずれかの項記載の波長分波光学素子。
【請求項8】
上記波長分波光学素子を構成するトップ層の屈折率が、導波層の屈折率よりも0.03〜0.25高いことを特徴とする請求項第1項乃至第7項のいずれかの項記載の波長分波光学素子。
【請求項1】
少なくとも、導波層と、該導波層の屈折率よりも0.03以上高い屈折率を有するトップ層とが積層されてなり、該トップ層の表面に一定の間隔をもって規則的に形成された等方性を有する多数の凸部を備えた波長分波光学素子であって、
該トップ層の表面に、所定の間隙をもってそれぞれ独立に形成された凸部が、面積および/または形状の異なる二種類の凸部パターン(パターンA、パターンB)からなり、
隣接する凸部パターンが相互に異なる凸部パターンであり、
任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとの距離が一定であることを特徴とする波長分波光学素子。
【請求項2】
上記任意のパターンAの中心を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線aと、これに隣接するパターンBの中心部を通ってトップ層表面に対して垂直方向に仮想される仮想中心線bとを含み、且つトップ層表面と垂直な平面に対して、垂直方向
から投影したときのパターンAの凸部の幅をA、パターンBの凸部の幅をB、上記仮想中心線aと仮想中心線bとの距離をPとしてときに、これらが、下記式(1)および(2)で表わされる関係を有することを特徴とする請求項第1項記載の波長分波光学素子:
【数1】
(ただし、KAは0.5〜0.95であり、KBは0.6〜0.8であり、KAとKBとは、同一ではない。)。
【請求項3】
上記パターンAが矩形凸部であり、上記パターンBが矩形以外の異形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項4】
上記パターンA,および、パターンBが共に矩形以外の異形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項5】
上記異形凸部は、トップ層表面と平行な面から見た形状が、菱形、多角形、楕円形、円形、十字型よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の平面形状を有する凸部であることを特徴とする請求項第3項または第4項記載の波長分波光学素子。
【請求項6】
上記パターンA、および、パターンBが共に矩形凸部であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の波長分波光学素子。
【請求項7】
上記凸部の高さが、トップ層表面から100〜600nmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第6項もいずれかの項記載の波長分波光学素子。
【請求項8】
上記波長分波光学素子を構成するトップ層の屈折率が、導波層の屈折率よりも0.03〜0.25高いことを特徴とする請求項第1項乃至第7項のいずれかの項記載の波長分波光学素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−163114(P2009−163114A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2227(P2008−2227)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
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