波長合分波モジュール、受信モジュール、送信モジュールおよび製造方法
【課題】使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ること。
【解決手段】波長合分波モジュール100は、レンズ120と、多層膜フィルタ部材130と、レンズ140と、を備える。レンズ120は、異なる複数の波長からなる合波光をコリメートする位置に設けられる。多層膜フィルタ部材130は、互いに異なる角度を有して配置された複数のフィルタ膜131〜133から形成され、レンズ120によってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を反射させる。レンズ140は、多層膜フィルタ部材130によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられる。
【解決手段】波長合分波モジュール100は、レンズ120と、多層膜フィルタ部材130と、レンズ140と、を備える。レンズ120は、異なる複数の波長からなる合波光をコリメートする位置に設けられる。多層膜フィルタ部材130は、互いに異なる角度を有して配置された複数のフィルタ膜131〜133から形成され、レンズ120によってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を反射させる。レンズ140は、多層膜フィルタ部材130によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュール、受信モジュール、送信モジュールおよび多層膜フィルタ部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)や光ファイバなど、アクセス網におけるブロードバンドの普及に伴ってメトロ網のトラフィックが増加している。これに対応して、40Gbps,100Gbpsなどの高速な光伝送を低コストで実現する技術の検討がなされている。
【0003】
たとえば、コスト低下と普及が進みつつある10Gbpsの伝送機器の技術を活用し、10Gbps×4波のCWDM(Coarse Wave Division Multiplexing)により40Gbpsのスループットを得る方式が検討されている。CWDM向けの合分波モジュールとしては、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュールが提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
この波長合分波モジュールは、異なる波長に対応した複数のフィルタ膜を重ねて配置して多層膜フィルタ部材を構成し、多層膜フィルタ部材にコリメートした光が斜めに入射されることで合分波を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2004−29243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の波長合分波モジュールは、多層膜フィルタ部材に対して複数の分波光が互いに平行に入出射する。したがって、複数のポートのそれぞれに分波光を集光するために、分波光毎にコリメートレンズを設ける必要がある。このため、使用する波長数が増加すると、コリメートレンズの数も増加してモジュールが大型化するという問題がある。
【0007】
また、使用されるコリメートレンズの数が増加すると、コリメートレンズ毎に行う配置調整作業に時間とコストがかかるという問題がある。低コストで実現する必要があるメトロ網の伝送機器においては、モジュールの大型化およびコストの問題は特に大きな問題となる。
【0008】
この発明は、上述した問題点を解消するものであり、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができる波長合分波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる波長合分波モジュールは、異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、を備え、前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、複数の分波光を入出射させるコリメートレンズを1つで構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明によれば、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる波長合分波モジュールの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
(波長合分波モジュールの構成)
図1は、実施の形態にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100は、合波光ポート110と、レンズ120と、多層膜フィルタ部材130と、レンズ140と、複数のポート151〜153と、を備えている。
【0014】
合波光ポート110は、複数の波長からなる合波光を入出射するポートである。合波光ポート110は、ここでは、波長λ1〜λ3(λ1<λ2<λ3とする)の3つの分波光を含む合波光を入出射する単芯の光ファイバである。レンズ120は、合波光ポート110からの合波光をコリメートする位置に設けられている。
【0015】
多層膜フィルタ部材130は、複数のフィルタ膜から形成されており、ここでは3つのフィルタ膜131〜133から形成されている。多層膜フィルタ部材130は、レンズ120によってコリメートされる合波光が斜めに入射される位置に設けられている。また、多層膜フィルタ部材130は、レンズ120によってコリメートされる合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を異なる角度によって反射させる。
【0016】
具体的には、フィルタ膜131〜133は、それぞれ異なる波長λ1〜λ3に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置される。フィルタ膜131〜133によって反射した波長λ1〜λ3の光は、合波光を分波した分波光となる。
【0017】
ここでは、フィルタ膜131〜133は、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させるフィルタ膜であるとする。この場合、フィルタ膜131〜133は、レンズ120およびレンズ140側から、対応する波長の長い順、すなわち、フィルタ膜133,132および131の順に配置される。
【0018】
また、フィルタ膜131〜133は、互いに異なる角度を有して配置されており、それぞれが対応する光を反射させる角度が互いに異なる。たとえば、フィルタ膜131〜133は、対応する波長が長いフィルタ膜ほど、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づく。すなわち、フィルタ膜133,132および131の順にレンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づき、この合波光を反射させる角度が小さくなる。
【0019】
レンズ140は、フィルタ膜131〜133によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられている。
【0020】
ポート151〜153は、波長の異なる複数の分波光をそれぞれ入出射するポートである。ポート151〜153は、レンズ140がそれぞれの分波光を集光する位置にそれぞれ設けられる。ポート151〜153は、ここでは、波長λ1〜λ3の3つの分波光をそれぞれ入出射する多芯の光ファイバである。
【0021】
上述した構成により、合波光ポート110からレンズ120に合波光を入力すると、合波光が多層膜フィルタ部材130によって波長毎に分波され、分波されたそれぞれの分波光がレンズ140からポート151〜153にそれぞれ出力される。一方、ポート151〜153からレンズ140に波長の異なる複数の分波光を入力すると、それぞれの分波光が多層膜フィルタ部材130によって合波され、合波された合波光がレンズ120から合波光ポート110に出力される。
【0022】
なお、フィルタ膜131〜133は、対応する波長以外の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させるフィルタ膜であってもよい。この場合、フィルタ膜131〜133は、レンズ120およびレンズ140側から、対応する波長の短い順、すなわち、フィルタ膜131〜133の順に配置される。
【0023】
図2は、フィルタ膜の透過特性の一例を示すグラフである。ここでは、フィルタ膜133に対して合波光が入射角度θで入射した場合の、フィルタ膜133の透過特性201を示している。ここで、横軸はフィルタ膜133に入射する光の波長を、縦軸は透過率を示している。
【0024】
図2に示すように、フィルタ膜133は、波長が0〜λ2までの光については透過率がほぼ1となっている。また、フィルタ膜133は、波長λ2とλ3の間の光から透過率が減少していき、波長λ3の光については透過率が0となっている。すなわち、フィルタ膜133は、波長λ3の光を反射させるとともに、波長λ1およびλ2の光を透過させる。
【0025】
ここで、フィルタ膜133に対する合波光の入射角度θを垂直に近づけた場合、フィルタ膜133の透過特性は符号202で示すように変化し、λ2の光を反射させるようになる。一方、フィルタ膜133に対する合波光の入射角度θを垂直から遠ざけた場合、フィルタ膜133の透過特性は符号203で示すように変化し、λ3の光を透過させるようになる。
【0026】
図3は、フィルタ膜が光を反射させる角度を示す図である。上述した、フィルタ膜133,132および131の順に、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づく場合について説明する。フィルタ膜133,132および131の、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度をそれぞれθa1〜θa3とすると、θa1<θa2<θa3となる。このため、フィルタ膜133,132および131がレンズ120によってコリメートされる合波光を反射させる角度をそれぞれθb1〜θb3とすると、θb3<θb2<θb1となる。
【0027】
このように、フィルタ膜133,132および131の順に、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくようにフィルタ膜133〜131を構成することで、たとえば波長λ2の光が最初にフィルタ膜133を透過するときのフィルタ膜133への入射角よりも、波長λ2の光がフィルタ膜133を透過してフィルタ膜132によって反射した後にフィルタ膜133に再度入射する入射角の方が大きくなる。これにより、フィルタ膜133を透過してフィルタ膜132によって反射した光が、フィルタ膜133を再度透過できなくなることを回避することができる。
【0028】
図4は、実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。図4に示すように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100は、上述したレンズ120とレンズ140とを、1つのレンズ410によって実現する構成としてもよい。この場合、レンズ410は、合波光ポート110によって入出力される合波光と、ポート151〜153によって入出力される分波光と、の両方を通過させコリメートまたは集光する。
【0029】
つぎに、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100における、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜131〜133から形成される多層膜フィルタ部材130の製造方法の一例を説明する。ここでは、多層膜フィルタ部材130は、複数のフィルタ膜を積層して製造する。
【0030】
(多層膜フィルタ部材の製造方法)
図5は、多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板を示す斜視図である。図6は、多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図7は、ポリイミドを塗布した状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図8は、ポリイミドを硬化収縮させた状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図5および図6に示すように、ガラス基板500の表面には鋸型の溝が設けられている。
【0031】
まず、この鋸型の溝が設けられたガラス基板500の表面に、第1層のフィルタ膜601を形成する。このとき、第1層のフィルタ膜601の表面も鋸型となる。フィルタ膜601は、たとえば石英や酸化チタンなどによって形成される。また、フィルタ膜601は、たとえばガラス基板500の表面に蒸着することで形成される。
【0032】
つぎに、図7に示すように、第1層のフィルタ膜601の鋸型の表面に、溶剤で希釈したポリイミド701を塗布する。たとえば、スピンコートなどの方法によって、第1層のフィルタ膜601の鋸型の表面が覆われて表面が平らになるようにポリイミド701を塗布する。ポリイミド701は硬化収縮性を有し、熱を加えると硬化収縮する。
【0033】
つぎに、第1層のフィルタ膜601の表面に塗布されたポリイミド701に対して熱を加えて硬化収縮させる。これにより、図8に示すように、硬化収縮したポリイミド701の表面は、ガラス基板500の表面と異なる角度を有して形成される。つぎに、ガラス基板500の表面(硬化収縮したポリイミド701の表面)に第2層のフィルタ膜602を形成する。これにより、第1層のフィルタ膜601と第2層のフィルタ膜602とが互いに異なる角度を有して配置される。
【0034】
さらに、第2層のフィルタ膜602の表面に新たなポリイミドを塗布して硬化収縮させ、硬化収縮させたポリイミドの表面に新たなフィルタ膜を形成する工程を繰り返すことで、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜から形成される多層膜フィルタ部材130を製造することができる。なお、ここではフィルタ膜601および602の表面にポリイミドを塗布する例について説明したが、フィルタ膜601および602の表面に塗布する塗布剤はポリイミドに限らず、硬化収縮性を有するその他の塗布剤も用いることができる。
【0035】
このように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100によれば、フィルタ膜131〜133が互いに異なる角度を有して配置されているため、複数の分波光がフィルタ膜131〜133によって異なる方向に反射する。このため、レンズ140を1つのレンズで構成することができる。また、レンズ120とレンズ140とを1つのレンズによって構成することも可能となる。このため、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができる。
【0036】
また、実施の形態にかかる製造方法によれば、ポリイミドなどの硬化収縮性を利用することで、フィルタ膜131〜133を互いに異なる角度を有するように容易に配置できるとともに、多数の多層膜フィルタ部材130を同時に多数製造することができる。このため、たとえばプリズムを多数製造して重ね合わせて製造するよりも、多層膜フィルタ部材130を容易にかつ効率的に製造することができる。
【実施例】
【0037】
以下に、実施の形態にかかる波長合分波モジュール、受信モジュール、送信モジュールおよび製造方法の各実施例を説明する。
【0038】
(実施例1)
図9は、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。図10は、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。図9および図10に示すように、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュール900は、光ファイバ910と、光ファイバ920と、筐体930と、を備えている。
【0039】
光ファイバ910は、4種類の波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4とする)の分波光を含む合波光を入出力する単芯の光ファイバである。光ファイバ920は、4種類の波長λ1〜λ4の分波光をそれぞれ入出力する多芯の光ファイバである。光ファイバ910および光ファイバ920はそれぞれ筐体930に接続されており、筐体930に対してそれぞれ合波光および分波光を入出力する。
【0040】
筐体930は、窓940と、窓950と、レンズ960と、多層膜フィルタ部材970と、を備えている。窓940は、光ファイバ910と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ910と筐体930との間で入出力される合波光を通過させる。窓950は、光ファイバ920と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ920と筐体930との間で入出力される分波光を通過させる。
【0041】
レンズ960は、上述した実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュール100のレンズ410と同様に、光ファイバ910と筐体930との間で入出力する合波光と、光ファイバ920と筐体930との間で入出力される分波光と、の両方を通過させて、通過させる光をコリメートまたは集光する。
【0042】
多層膜フィルタ部材970は、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜971〜974から形成されており、光ファイバ910から入力されてレンズ960によってコリメートされる合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を異なる角度によって反射させる。一方、光ファイバ920から入力されてレンズ960によってコリメートされるそれぞれの分波光を合波して、合波した合波光を反射させる。
【0043】
フィルタ膜971〜974は、それぞれ波長λ1〜λ4に対応し、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させるフィルタ膜である。この場合、フィルタ膜971〜974は、レンズ960側から、対応する波長の長い順、すなわち、フィルタ膜974,973,972および971の順に配置される。
【0044】
また、フィルタ膜971〜974は、対応する波長が長い順、すなわちフィルタ膜974,973,972および971の順に、レンズ960によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくように配置される。
【0045】
(実施例2)
図11は、実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。図12は、実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。図11および図12において、実施例1にかかる波長合分波モジュール900と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュール1100の多層フィルタ膜部材1170を形成するフィルタ膜1171〜1174は、それぞれ波長λ1〜λ4に対応し、対応する波長以上の波長の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させるフィルタ膜である。この場合、フィルタ膜1171〜1174は、レンズ960側から、対応する波長の短い順、すなわち、フィルタ膜1171,1172,1173および1174の順に配置される。
【0047】
また、フィルタ膜1171〜1174は、対応する波長が長い順、すなわち、フィルタ膜1174,1173,1172および1171の順に、レンズ960によってコリメートされた合波光との角度が垂直に近づくように配置される。
【0048】
(実施例3)
図13は、実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを正面からみた断面図である。図14は、実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを示す平面図である。図13および図14において、実施例2にかかる波長合分波モジュール1100と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールは、上述した実施の形態1の変形例にかかる波長合分波モジュール100を分波モジュールとして受信モジュールに適用した例である。図13および図14に示すように、実施例3にかかる受信モジュール1300は、光ファイバ910と、筐体930と、を備えている。
【0050】
光ファイバ910は、異なる波長の複数の分波信号光を含む合波信号光を他の通信装置から受信し、筐体930へ出力する。筐体930は、窓940と、レンズ960と、多層膜フィルタ部材1170と、ミラー1310と、セラミック基板1320と、4つの受光素子1330と、受信IC1340と、チップ部品1350と、ハンダバンプ1360と、を備えている。
【0051】
窓940は、光ファイバ910と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ910から筐体930へ出力される合波信号光を通過させ、レンズ960に出力させる。レンズ960は、光ファイバ910によって受信され、窓940を介して出力された合波信号光をコリメートし、多層膜フィルタ部材1170に出力する。また、レンズ960は、多層膜フィルタ部材1170から出力されるそれぞれの分波信号光をコリメートし、ミラー1310を介して4つの受光素子1330にそれぞれ出力する。
【0052】
ミラー1310は、レンズ960から出力されるそれぞれの分波信号光を反射させ、4つの受光素子1330にそれぞれ出力する。セラミック基板1320には、4つの受光素子1330、受信IC1340およびチップ部品1350が配置されている。4つの受光素子1330は、多層膜フィルタ部材1170によって分波され、レンズ960からミラー1310を介して出力されたそれぞれの分波光を受光し、それぞれ電気信号に変換する。
【0053】
受信IC1340およびチップ部品1350は、4つの受光素子1330によって変換されたそれぞれの電気信号に対して復調処理などの各種信号処理を行う。ハンダバンプ1360は、受信装置の基板上に受信モジュール1300を固定するとともに、4つの受光素子1330によって変換され、受信IC1340およびチップ部品1350によって信号処理された電気信号を受信装置との間で入出力する。
【0054】
この構成により、光ファイバ910が受信した合波信号光を多層膜フィルタ部材1170によって分波し、分波したそれぞれの分波信号光を4つの受光素子1330で電気信号に変換することで、複数の信号を同時に受信することができる。
【0055】
なお、ここでは波長合分波モジュール100を分波モジュールとして適用した受信モジュール1300について説明したが、同様に、上述した実施の形態にかかる各種の波長合分波モジュール100を分波モジュールとして受信モジュールに適用可能である。
【0056】
また、4つの受光素子1330に代えて、異なる波長の分波信号光を出力する複数の発光素子を備えることにより、波長合分波モジュール100を合波モジュールとして適用した送信モジュールとすることもできる。このように構成した場合、複数の発光素子によって出力された複数の分波信号光を多層膜フィルタ部材1170によって合波し、合波した合波信号光を光ファイバ910によって送信することで、複数の信号を同時に送信することができる。
【0057】
(実施例4)
図15〜図18は、実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その1)〜(その4)である。図15においては、鋸型の溝が設けたガラス基板500の表面に第1層のフィルタ膜601を形成し、フィルタ膜601の表面にポリイミド701を塗布して硬化収縮させた状態を示している。図16においては、ポリイミド701の表面に第2層のフィルタ膜602を形成し、フィルタ膜602の表面にポリイミド702を塗布して硬化収縮させた状態を示している。
【0058】
図17においては、ポリイミド702の表面に第3層のフィルタ膜603を形成し、フィルタ膜603の表面にポリイミド703を塗布して硬化収縮させた状態を示している。図18においては、ポリイミド703の表面に第4層のフィルタ膜604を形成した状態を示している。
【0059】
図15〜図18に示すように、実施の形態にかかる製造方法によって4層の多層膜フィルタ部材を製造する場合、それぞれのフィルタ膜を形成する各工程において、ポリイミド701〜703を塗布する基板の表面の鋸型の溝が浅くなっていくため、フィルタ膜601〜604を互いに一定の角度を有して配置するために、各工程で塗布するポリイミドの硬化収縮率を変えるとよい。
【0060】
たとえば、ポリイミドを希釈する溶剤の量を調節することで、ポリイミド701の硬化収縮率を65%程度、ポリイミド702の硬化収縮率を50%程度、ポリイミド703の硬化収縮率を5%程度とする。このように、ガラス基板500に近いフィルタ膜に塗布するポリイミドほど硬化収縮率を高くすることにより、フィルタ膜601〜604を互いにほぼ一定の角度を有して配置することができる。
【0061】
以上説明したように、この発明にかかる波長合分波モジュールによれば、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができるという効果を奏する。また、この発明にかかる製造方法によれば、この発明にかかる波長合分波モジュールの多層膜フィルタ部材を容易にかつ効率的に製造することができる。
【0062】
(付記1)異なる複数の波長からなる合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
互いに異なる角度を有して配置された複数のフィルタ膜から形成され、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、当該合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を反射させる多層膜フィルタ部材と、
前記多層膜フィルタ部材によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
を備えることを特徴とする波長合分波モジュール。
【0063】
(付記2)異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、
前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、
前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、
を備え、
前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする波長合分波モジュール。
【0064】
(付記3)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長が長い前記フィルタ膜ほど、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくことを特徴とする付記2に記載の波長合分波モジュール。
【0065】
(付記4)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させ、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズ側から、対応する波長の長い順に配置されることを特徴とする付記2または3に記載の波長合分波モジュール。
【0066】
(付記5)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長以上の波長の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させ、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズ側から、対応する波長の短い順に配置されることを特徴とする付記2または3に記載の波長合分波モジュール。
【0067】
(付記6)前記第1のレンズと前記第2のレンズとは、1つのレンズによって構成されていることを特徴とする付記2〜5のいずれか一つに記載の波長合分波モジュール。
【0068】
(付記7)付記2〜6のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、前記第2のレンズから出力される前記複数の分波光をそれぞれ複数の電気信号に変換する複数の受光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記合波光を他の通信装置から受信して前記第1のレンズに出力することを特徴とする受信モジュール。
【0069】
(付記8)付記2〜6のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、複数の電気信号をそれぞれ複数の分波光に変換して前記第2のレンズへ出力する複数の発光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記第1のレンズから出力される前記合波光を他の通信装置へ送信することを特徴とする送信モジュール。
【0070】
(付記9)複数のフィルタ膜を積層して多層膜フィルタ部材を製造する方法において、
表面に鋸型の溝が設けられた基板の表面にフィルタ膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1の形成工程によって形成されたフィルタ膜の表面に硬化収縮性を有する塗布剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程によって塗布された前記塗布剤を硬化収縮させる硬化収縮工程と、
前記硬化収縮工程によって硬化収縮された前記塗布剤の表面に新たなフィルタ膜を形成する第2の形成工程と、
を含み、
前記塗布工程、前記硬化収縮工程および前記第2の形成工程を少なくとも1回行うことを特徴とする製造方法。
【0071】
(付記10)前記塗布工程では、前記基板に近いフィルタ膜に塗布する塗布剤ほど硬化収縮率が高いことを特徴とする付記9に記載の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、この発明にかかる波長合分波モジュールは、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュールに有用であり、特に、メトロ網における伝送機器に適用する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。
【図2】フィルタ膜の透過特性の一例を示すグラフである。
【図3】フィルタ膜が光を反射させる角度を示す図である。
【図4】実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。
【図5】多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板を示す斜視図である。
【図6】多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図7】ポリイミドを塗布した状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図8】ポリイミドを硬化収縮させた状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図9】実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。
【図10】実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。
【図11】実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。
【図12】実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。
【図13】実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを正面からみた断面図である。
【図14】実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを示す平面図である。
【図15】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その1)である。
【図16】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その2)である。
【図17】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その3)である。
【図18】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その4)である。
【符号の説明】
【0074】
100,900,1100 波長合分波モジュール
110 合波光ポート
120,140,410 レンズ
130 多層膜フィルタ部材
131,132,133,601,602,603,604 フィルタ膜
151,152,153 ポート
201,202,203 透過特性
500 ガラス基板
701,702,703 ポリイミド
1300 受信モジュール
1330 受光素子
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュール、受信モジュール、送信モジュールおよび多層膜フィルタ部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)や光ファイバなど、アクセス網におけるブロードバンドの普及に伴ってメトロ網のトラフィックが増加している。これに対応して、40Gbps,100Gbpsなどの高速な光伝送を低コストで実現する技術の検討がなされている。
【0003】
たとえば、コスト低下と普及が進みつつある10Gbpsの伝送機器の技術を活用し、10Gbps×4波のCWDM(Coarse Wave Division Multiplexing)により40Gbpsのスループットを得る方式が検討されている。CWDM向けの合分波モジュールとしては、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュールが提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
この波長合分波モジュールは、異なる波長に対応した複数のフィルタ膜を重ねて配置して多層膜フィルタ部材を構成し、多層膜フィルタ部材にコリメートした光が斜めに入射されることで合分波を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2004−29243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の波長合分波モジュールは、多層膜フィルタ部材に対して複数の分波光が互いに平行に入出射する。したがって、複数のポートのそれぞれに分波光を集光するために、分波光毎にコリメートレンズを設ける必要がある。このため、使用する波長数が増加すると、コリメートレンズの数も増加してモジュールが大型化するという問題がある。
【0007】
また、使用されるコリメートレンズの数が増加すると、コリメートレンズ毎に行う配置調整作業に時間とコストがかかるという問題がある。低コストで実現する必要があるメトロ網の伝送機器においては、モジュールの大型化およびコストの問題は特に大きな問題となる。
【0008】
この発明は、上述した問題点を解消するものであり、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができる波長合分波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる波長合分波モジュールは、異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、を備え、前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、複数の分波光を入出射させるコリメートレンズを1つで構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明によれば、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる波長合分波モジュールの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
(波長合分波モジュールの構成)
図1は、実施の形態にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100は、合波光ポート110と、レンズ120と、多層膜フィルタ部材130と、レンズ140と、複数のポート151〜153と、を備えている。
【0014】
合波光ポート110は、複数の波長からなる合波光を入出射するポートである。合波光ポート110は、ここでは、波長λ1〜λ3(λ1<λ2<λ3とする)の3つの分波光を含む合波光を入出射する単芯の光ファイバである。レンズ120は、合波光ポート110からの合波光をコリメートする位置に設けられている。
【0015】
多層膜フィルタ部材130は、複数のフィルタ膜から形成されており、ここでは3つのフィルタ膜131〜133から形成されている。多層膜フィルタ部材130は、レンズ120によってコリメートされる合波光が斜めに入射される位置に設けられている。また、多層膜フィルタ部材130は、レンズ120によってコリメートされる合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を異なる角度によって反射させる。
【0016】
具体的には、フィルタ膜131〜133は、それぞれ異なる波長λ1〜λ3に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置される。フィルタ膜131〜133によって反射した波長λ1〜λ3の光は、合波光を分波した分波光となる。
【0017】
ここでは、フィルタ膜131〜133は、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させるフィルタ膜であるとする。この場合、フィルタ膜131〜133は、レンズ120およびレンズ140側から、対応する波長の長い順、すなわち、フィルタ膜133,132および131の順に配置される。
【0018】
また、フィルタ膜131〜133は、互いに異なる角度を有して配置されており、それぞれが対応する光を反射させる角度が互いに異なる。たとえば、フィルタ膜131〜133は、対応する波長が長いフィルタ膜ほど、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づく。すなわち、フィルタ膜133,132および131の順にレンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づき、この合波光を反射させる角度が小さくなる。
【0019】
レンズ140は、フィルタ膜131〜133によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられている。
【0020】
ポート151〜153は、波長の異なる複数の分波光をそれぞれ入出射するポートである。ポート151〜153は、レンズ140がそれぞれの分波光を集光する位置にそれぞれ設けられる。ポート151〜153は、ここでは、波長λ1〜λ3の3つの分波光をそれぞれ入出射する多芯の光ファイバである。
【0021】
上述した構成により、合波光ポート110からレンズ120に合波光を入力すると、合波光が多層膜フィルタ部材130によって波長毎に分波され、分波されたそれぞれの分波光がレンズ140からポート151〜153にそれぞれ出力される。一方、ポート151〜153からレンズ140に波長の異なる複数の分波光を入力すると、それぞれの分波光が多層膜フィルタ部材130によって合波され、合波された合波光がレンズ120から合波光ポート110に出力される。
【0022】
なお、フィルタ膜131〜133は、対応する波長以外の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させるフィルタ膜であってもよい。この場合、フィルタ膜131〜133は、レンズ120およびレンズ140側から、対応する波長の短い順、すなわち、フィルタ膜131〜133の順に配置される。
【0023】
図2は、フィルタ膜の透過特性の一例を示すグラフである。ここでは、フィルタ膜133に対して合波光が入射角度θで入射した場合の、フィルタ膜133の透過特性201を示している。ここで、横軸はフィルタ膜133に入射する光の波長を、縦軸は透過率を示している。
【0024】
図2に示すように、フィルタ膜133は、波長が0〜λ2までの光については透過率がほぼ1となっている。また、フィルタ膜133は、波長λ2とλ3の間の光から透過率が減少していき、波長λ3の光については透過率が0となっている。すなわち、フィルタ膜133は、波長λ3の光を反射させるとともに、波長λ1およびλ2の光を透過させる。
【0025】
ここで、フィルタ膜133に対する合波光の入射角度θを垂直に近づけた場合、フィルタ膜133の透過特性は符号202で示すように変化し、λ2の光を反射させるようになる。一方、フィルタ膜133に対する合波光の入射角度θを垂直から遠ざけた場合、フィルタ膜133の透過特性は符号203で示すように変化し、λ3の光を透過させるようになる。
【0026】
図3は、フィルタ膜が光を反射させる角度を示す図である。上述した、フィルタ膜133,132および131の順に、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づく場合について説明する。フィルタ膜133,132および131の、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度をそれぞれθa1〜θa3とすると、θa1<θa2<θa3となる。このため、フィルタ膜133,132および131がレンズ120によってコリメートされる合波光を反射させる角度をそれぞれθb1〜θb3とすると、θb3<θb2<θb1となる。
【0027】
このように、フィルタ膜133,132および131の順に、レンズ120によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくようにフィルタ膜133〜131を構成することで、たとえば波長λ2の光が最初にフィルタ膜133を透過するときのフィルタ膜133への入射角よりも、波長λ2の光がフィルタ膜133を透過してフィルタ膜132によって反射した後にフィルタ膜133に再度入射する入射角の方が大きくなる。これにより、フィルタ膜133を透過してフィルタ膜132によって反射した光が、フィルタ膜133を再度透過できなくなることを回避することができる。
【0028】
図4は、実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。図4に示すように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100は、上述したレンズ120とレンズ140とを、1つのレンズ410によって実現する構成としてもよい。この場合、レンズ410は、合波光ポート110によって入出力される合波光と、ポート151〜153によって入出力される分波光と、の両方を通過させコリメートまたは集光する。
【0029】
つぎに、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100における、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜131〜133から形成される多層膜フィルタ部材130の製造方法の一例を説明する。ここでは、多層膜フィルタ部材130は、複数のフィルタ膜を積層して製造する。
【0030】
(多層膜フィルタ部材の製造方法)
図5は、多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板を示す斜視図である。図6は、多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図7は、ポリイミドを塗布した状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図8は、ポリイミドを硬化収縮させた状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。図5および図6に示すように、ガラス基板500の表面には鋸型の溝が設けられている。
【0031】
まず、この鋸型の溝が設けられたガラス基板500の表面に、第1層のフィルタ膜601を形成する。このとき、第1層のフィルタ膜601の表面も鋸型となる。フィルタ膜601は、たとえば石英や酸化チタンなどによって形成される。また、フィルタ膜601は、たとえばガラス基板500の表面に蒸着することで形成される。
【0032】
つぎに、図7に示すように、第1層のフィルタ膜601の鋸型の表面に、溶剤で希釈したポリイミド701を塗布する。たとえば、スピンコートなどの方法によって、第1層のフィルタ膜601の鋸型の表面が覆われて表面が平らになるようにポリイミド701を塗布する。ポリイミド701は硬化収縮性を有し、熱を加えると硬化収縮する。
【0033】
つぎに、第1層のフィルタ膜601の表面に塗布されたポリイミド701に対して熱を加えて硬化収縮させる。これにより、図8に示すように、硬化収縮したポリイミド701の表面は、ガラス基板500の表面と異なる角度を有して形成される。つぎに、ガラス基板500の表面(硬化収縮したポリイミド701の表面)に第2層のフィルタ膜602を形成する。これにより、第1層のフィルタ膜601と第2層のフィルタ膜602とが互いに異なる角度を有して配置される。
【0034】
さらに、第2層のフィルタ膜602の表面に新たなポリイミドを塗布して硬化収縮させ、硬化収縮させたポリイミドの表面に新たなフィルタ膜を形成する工程を繰り返すことで、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜から形成される多層膜フィルタ部材130を製造することができる。なお、ここではフィルタ膜601および602の表面にポリイミドを塗布する例について説明したが、フィルタ膜601および602の表面に塗布する塗布剤はポリイミドに限らず、硬化収縮性を有するその他の塗布剤も用いることができる。
【0035】
このように、実施の形態にかかる波長合分波モジュール100によれば、フィルタ膜131〜133が互いに異なる角度を有して配置されているため、複数の分波光がフィルタ膜131〜133によって異なる方向に反射する。このため、レンズ140を1つのレンズで構成することができる。また、レンズ120とレンズ140とを1つのレンズによって構成することも可能となる。このため、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができる。
【0036】
また、実施の形態にかかる製造方法によれば、ポリイミドなどの硬化収縮性を利用することで、フィルタ膜131〜133を互いに異なる角度を有するように容易に配置できるとともに、多数の多層膜フィルタ部材130を同時に多数製造することができる。このため、たとえばプリズムを多数製造して重ね合わせて製造するよりも、多層膜フィルタ部材130を容易にかつ効率的に製造することができる。
【実施例】
【0037】
以下に、実施の形態にかかる波長合分波モジュール、受信モジュール、送信モジュールおよび製造方法の各実施例を説明する。
【0038】
(実施例1)
図9は、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。図10は、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。図9および図10に示すように、実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュール900は、光ファイバ910と、光ファイバ920と、筐体930と、を備えている。
【0039】
光ファイバ910は、4種類の波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4とする)の分波光を含む合波光を入出力する単芯の光ファイバである。光ファイバ920は、4種類の波長λ1〜λ4の分波光をそれぞれ入出力する多芯の光ファイバである。光ファイバ910および光ファイバ920はそれぞれ筐体930に接続されており、筐体930に対してそれぞれ合波光および分波光を入出力する。
【0040】
筐体930は、窓940と、窓950と、レンズ960と、多層膜フィルタ部材970と、を備えている。窓940は、光ファイバ910と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ910と筐体930との間で入出力される合波光を通過させる。窓950は、光ファイバ920と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ920と筐体930との間で入出力される分波光を通過させる。
【0041】
レンズ960は、上述した実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュール100のレンズ410と同様に、光ファイバ910と筐体930との間で入出力する合波光と、光ファイバ920と筐体930との間で入出力される分波光と、の両方を通過させて、通過させる光をコリメートまたは集光する。
【0042】
多層膜フィルタ部材970は、互いに異なる角度を有して配置されたフィルタ膜971〜974から形成されており、光ファイバ910から入力されてレンズ960によってコリメートされる合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を異なる角度によって反射させる。一方、光ファイバ920から入力されてレンズ960によってコリメートされるそれぞれの分波光を合波して、合波した合波光を反射させる。
【0043】
フィルタ膜971〜974は、それぞれ波長λ1〜λ4に対応し、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させるフィルタ膜である。この場合、フィルタ膜971〜974は、レンズ960側から、対応する波長の長い順、すなわち、フィルタ膜974,973,972および971の順に配置される。
【0044】
また、フィルタ膜971〜974は、対応する波長が長い順、すなわちフィルタ膜974,973,972および971の順に、レンズ960によってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくように配置される。
【0045】
(実施例2)
図11は、実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。図12は、実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。図11および図12において、実施例1にかかる波長合分波モジュール900と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュール1100の多層フィルタ膜部材1170を形成するフィルタ膜1171〜1174は、それぞれ波長λ1〜λ4に対応し、対応する波長以上の波長の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させるフィルタ膜である。この場合、フィルタ膜1171〜1174は、レンズ960側から、対応する波長の短い順、すなわち、フィルタ膜1171,1172,1173および1174の順に配置される。
【0047】
また、フィルタ膜1171〜1174は、対応する波長が長い順、すなわち、フィルタ膜1174,1173,1172および1171の順に、レンズ960によってコリメートされた合波光との角度が垂直に近づくように配置される。
【0048】
(実施例3)
図13は、実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを正面からみた断面図である。図14は、実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを示す平面図である。図13および図14において、実施例2にかかる波長合分波モジュール1100と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールは、上述した実施の形態1の変形例にかかる波長合分波モジュール100を分波モジュールとして受信モジュールに適用した例である。図13および図14に示すように、実施例3にかかる受信モジュール1300は、光ファイバ910と、筐体930と、を備えている。
【0050】
光ファイバ910は、異なる波長の複数の分波信号光を含む合波信号光を他の通信装置から受信し、筐体930へ出力する。筐体930は、窓940と、レンズ960と、多層膜フィルタ部材1170と、ミラー1310と、セラミック基板1320と、4つの受光素子1330と、受信IC1340と、チップ部品1350と、ハンダバンプ1360と、を備えている。
【0051】
窓940は、光ファイバ910と筐体930との接続部分に設けられており、光ファイバ910から筐体930へ出力される合波信号光を通過させ、レンズ960に出力させる。レンズ960は、光ファイバ910によって受信され、窓940を介して出力された合波信号光をコリメートし、多層膜フィルタ部材1170に出力する。また、レンズ960は、多層膜フィルタ部材1170から出力されるそれぞれの分波信号光をコリメートし、ミラー1310を介して4つの受光素子1330にそれぞれ出力する。
【0052】
ミラー1310は、レンズ960から出力されるそれぞれの分波信号光を反射させ、4つの受光素子1330にそれぞれ出力する。セラミック基板1320には、4つの受光素子1330、受信IC1340およびチップ部品1350が配置されている。4つの受光素子1330は、多層膜フィルタ部材1170によって分波され、レンズ960からミラー1310を介して出力されたそれぞれの分波光を受光し、それぞれ電気信号に変換する。
【0053】
受信IC1340およびチップ部品1350は、4つの受光素子1330によって変換されたそれぞれの電気信号に対して復調処理などの各種信号処理を行う。ハンダバンプ1360は、受信装置の基板上に受信モジュール1300を固定するとともに、4つの受光素子1330によって変換され、受信IC1340およびチップ部品1350によって信号処理された電気信号を受信装置との間で入出力する。
【0054】
この構成により、光ファイバ910が受信した合波信号光を多層膜フィルタ部材1170によって分波し、分波したそれぞれの分波信号光を4つの受光素子1330で電気信号に変換することで、複数の信号を同時に受信することができる。
【0055】
なお、ここでは波長合分波モジュール100を分波モジュールとして適用した受信モジュール1300について説明したが、同様に、上述した実施の形態にかかる各種の波長合分波モジュール100を分波モジュールとして受信モジュールに適用可能である。
【0056】
また、4つの受光素子1330に代えて、異なる波長の分波信号光を出力する複数の発光素子を備えることにより、波長合分波モジュール100を合波モジュールとして適用した送信モジュールとすることもできる。このように構成した場合、複数の発光素子によって出力された複数の分波信号光を多層膜フィルタ部材1170によって合波し、合波した合波信号光を光ファイバ910によって送信することで、複数の信号を同時に送信することができる。
【0057】
(実施例4)
図15〜図18は、実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その1)〜(その4)である。図15においては、鋸型の溝が設けたガラス基板500の表面に第1層のフィルタ膜601を形成し、フィルタ膜601の表面にポリイミド701を塗布して硬化収縮させた状態を示している。図16においては、ポリイミド701の表面に第2層のフィルタ膜602を形成し、フィルタ膜602の表面にポリイミド702を塗布して硬化収縮させた状態を示している。
【0058】
図17においては、ポリイミド702の表面に第3層のフィルタ膜603を形成し、フィルタ膜603の表面にポリイミド703を塗布して硬化収縮させた状態を示している。図18においては、ポリイミド703の表面に第4層のフィルタ膜604を形成した状態を示している。
【0059】
図15〜図18に示すように、実施の形態にかかる製造方法によって4層の多層膜フィルタ部材を製造する場合、それぞれのフィルタ膜を形成する各工程において、ポリイミド701〜703を塗布する基板の表面の鋸型の溝が浅くなっていくため、フィルタ膜601〜604を互いに一定の角度を有して配置するために、各工程で塗布するポリイミドの硬化収縮率を変えるとよい。
【0060】
たとえば、ポリイミドを希釈する溶剤の量を調節することで、ポリイミド701の硬化収縮率を65%程度、ポリイミド702の硬化収縮率を50%程度、ポリイミド703の硬化収縮率を5%程度とする。このように、ガラス基板500に近いフィルタ膜に塗布するポリイミドほど硬化収縮率を高くすることにより、フィルタ膜601〜604を互いにほぼ一定の角度を有して配置することができる。
【0061】
以上説明したように、この発明にかかる波長合分波モジュールによれば、使用するコリメートレンズの数を減らし、小型化を図ることができるという効果を奏する。また、この発明にかかる製造方法によれば、この発明にかかる波長合分波モジュールの多層膜フィルタ部材を容易にかつ効率的に製造することができる。
【0062】
(付記1)異なる複数の波長からなる合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
互いに異なる角度を有して配置された複数のフィルタ膜から形成され、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、当該合波光を波長毎に分波して、分波したそれぞれの分波光を反射させる多層膜フィルタ部材と、
前記多層膜フィルタ部材によって反射したそれぞれの分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
を備えることを特徴とする波長合分波モジュール。
【0063】
(付記2)異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、
前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、
前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、
を備え、
前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする波長合分波モジュール。
【0064】
(付記3)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長が長い前記フィルタ膜ほど、前記第1のレンズによってコリメートされる合波光との角度が垂直に近づくことを特徴とする付記2に記載の波長合分波モジュール。
【0065】
(付記4)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長以上の波長の光を反射させるとともに、対応する波長未満の波長の光を透過させ、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズ側から、対応する波長の長い順に配置されることを特徴とする付記2または3に記載の波長合分波モジュール。
【0066】
(付記5)前記複数のフィルタ膜は、対応する波長以上の波長の光を透過させるとともに、対応する波長未満の波長の光を反射させ、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズ側から、対応する波長の短い順に配置されることを特徴とする付記2または3に記載の波長合分波モジュール。
【0067】
(付記6)前記第1のレンズと前記第2のレンズとは、1つのレンズによって構成されていることを特徴とする付記2〜5のいずれか一つに記載の波長合分波モジュール。
【0068】
(付記7)付記2〜6のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、前記第2のレンズから出力される前記複数の分波光をそれぞれ複数の電気信号に変換する複数の受光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記合波光を他の通信装置から受信して前記第1のレンズに出力することを特徴とする受信モジュール。
【0069】
(付記8)付記2〜6のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、複数の電気信号をそれぞれ複数の分波光に変換して前記第2のレンズへ出力する複数の発光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記第1のレンズから出力される前記合波光を他の通信装置へ送信することを特徴とする送信モジュール。
【0070】
(付記9)複数のフィルタ膜を積層して多層膜フィルタ部材を製造する方法において、
表面に鋸型の溝が設けられた基板の表面にフィルタ膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1の形成工程によって形成されたフィルタ膜の表面に硬化収縮性を有する塗布剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程によって塗布された前記塗布剤を硬化収縮させる硬化収縮工程と、
前記硬化収縮工程によって硬化収縮された前記塗布剤の表面に新たなフィルタ膜を形成する第2の形成工程と、
を含み、
前記塗布工程、前記硬化収縮工程および前記第2の形成工程を少なくとも1回行うことを特徴とする製造方法。
【0071】
(付記10)前記塗布工程では、前記基板に近いフィルタ膜に塗布する塗布剤ほど硬化収縮率が高いことを特徴とする付記9に記載の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、この発明にかかる波長合分波モジュールは、多層膜フィルタ部材を備えた波長合分波モジュールに有用であり、特に、メトロ網における伝送機器に適用する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。
【図2】フィルタ膜の透過特性の一例を示すグラフである。
【図3】フィルタ膜が光を反射させる角度を示す図である。
【図4】実施の形態の変形例にかかる波長合分波モジュールの構成の概要を示す図である。
【図5】多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板を示す斜視図である。
【図6】多層膜フィルタ部材を製造するためのガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図7】ポリイミドを塗布した状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図8】ポリイミドを硬化収縮させた状態のガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図である。
【図9】実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。
【図10】実施の形態の実施例1にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。
【図11】実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを正面からみた断面図である。
【図12】実施の形態の実施例2にかかる波長合分波モジュールを示す平面図である。
【図13】実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを正面からみた断面図である。
【図14】実施の形態の実施例3にかかる受信モジュールを示す平面図である。
【図15】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その1)である。
【図16】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その2)である。
【図17】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その3)である。
【図18】実施の形態にかかる製造方法によってフィルタ膜を形成したガラス基板の一部を側面からみた拡大断面図(その4)である。
【符号の説明】
【0074】
100,900,1100 波長合分波モジュール
110 合波光ポート
120,140,410 レンズ
130 多層膜フィルタ部材
131,132,133,601,602,603,604 フィルタ膜
151,152,153 ポート
201,202,203 透過特性
500 ガラス基板
701,702,703 ポリイミド
1300 受信モジュール
1330 受光素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、
前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、
前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、
を備え、
前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする波長合分波モジュール。
【請求項2】
前記複数のフィルタ膜は、対応する波長が長い前記フィルタ膜ほど、前記第1のレンズによってコリメートされた合波光との角度が垂直に近づくことを特徴とする請求項1に記載の波長合分波モジュール。
【請求項3】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとは、1つのレンズによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の波長合分波モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、前記第2のレンズから出力される前記複数の分波光をそれぞれ複数の電気信号に変換する複数の受光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記合波光を他の通信装置から受信して前記第1のレンズに出力することを特徴とする受信モジュール。
【請求項5】
複数のフィルタ膜を積層して多層膜フィルタ部材を製造する方法において、
表面に鋸型の溝が設けられた基板の表面にフィルタ膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1の形成工程によって形成されたフィルタ膜の表面に硬化収縮性を有する塗布剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程によって塗布された前記塗布剤を硬化収縮させる硬化収縮工程と、
前記硬化収縮工程によって硬化収縮された前記塗布剤の表面に新たなフィルタ膜を形成する第2の形成工程と、
を含み、
前記塗布工程、前記硬化収縮工程および前記第2の形成工程を少なくとも1回行うことを特徴とする製造方法。
【請求項1】
異なる複数の波長からなる合波光を入射および出射の少なくとも1つを行う合波光ポートと、
前記合波光ポートからの合波光をコリメートする位置に設けられた第1のレンズと、
前記第1のレンズによってコリメートされる合波光が斜めに入射および出射の少なくとも1つを行う位置に設けられ、それぞれ異なる波長に対応し、対応する波長の光を反射させるとともに、対応する波長以外の波長の光を透過させるように配置された複数のフィルタ膜と、
前記複数のフィルタ膜によって反射した場合に前記複数の分波光をそれぞれ異なる位置に集光する位置に設けられた第2のレンズと、
前記第2のレンズが前記複数の分波光をそれぞれ集光する位置にそれぞれ設けられ、前記分波光を入射および出射の少なくとも1つを行う複数のポートと、
を備え、
前記複数のフィルタ膜は、互いに異なる角度を有して配置されていることを特徴とする波長合分波モジュール。
【請求項2】
前記複数のフィルタ膜は、対応する波長が長い前記フィルタ膜ほど、前記第1のレンズによってコリメートされた合波光との角度が垂直に近づくことを特徴とする請求項1に記載の波長合分波モジュール。
【請求項3】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとは、1つのレンズによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の波長合分波モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の波長合分波モジュールと、
前記複数のポートに代えて設けられ、前記第2のレンズから出力される前記複数の分波光をそれぞれ複数の電気信号に変換する複数の受光素子と、
を備え、
前記合波光ポートは、前記合波光を他の通信装置から受信して前記第1のレンズに出力することを特徴とする受信モジュール。
【請求項5】
複数のフィルタ膜を積層して多層膜フィルタ部材を製造する方法において、
表面に鋸型の溝が設けられた基板の表面にフィルタ膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1の形成工程によって形成されたフィルタ膜の表面に硬化収縮性を有する塗布剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程によって塗布された前記塗布剤を硬化収縮させる硬化収縮工程と、
前記硬化収縮工程によって硬化収縮された前記塗布剤の表面に新たなフィルタ膜を形成する第2の形成工程と、
を含み、
前記塗布工程、前記硬化収縮工程および前記第2の形成工程を少なくとも1回行うことを特徴とする製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−122697(P2008−122697A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306877(P2006−306877)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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