説明

波長選択性偏光素子および投影型表示装置

【課題】ホイール回転に伴う、入射する光の偏光方向に対する色光別の偏光変換領域における偏光変換基準軸方向のずれ量を低減できる波長選択性偏光素子を提供する。
【解決手段】光の偏光方向を波長選択的に変換する色光別の偏光変換領域B−CS,G−CSが、回転中心Oを対称軸として放射線状に分割形成されたホイール形状の波長選択性偏光素子12であって、各偏光変換領域B−CS,G−CSは、回転中心Oを対称軸として放射状に細分割されて同一の変換特性を持つ複数の細分割領域からなる。端部細分割領域E1,E3の偏光変換基準軸は、該端部細分割領域E1,E3の中心より当該偏光変換領域B−CSの中心寄りに偏心させた位置に設定され、かつ、端部細分割領域E1,E3の分割角度γ,γが中間細分割領域E2の分割角度γよりも大きくなるように不均等に細分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換するホイール形状の波長選択性偏光素子およびこの波長選択性偏光素子を用いた投影型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーリンク社のカラーセレクト(登録商標;以下省略)と称される部材がある。このカラーセレクトは、積層した位相差板によって構成される波長選択性偏光素子であり、入射光の偏光方向を波長選択的に例えばP偏光からS偏光に回転させて出力することができる。このような波長選択性偏光素子は、例えば特許文献1等に示されるように、投影型表示装置の照明光に対して適用することで、特定波長の色光の偏光方向のみを変換させてダイクロイックプリズム等に入射させ、色分離合成に供することができる。
【0003】
ここで、このようなカラーセレクトには、色光別の複数の偏光変換領域が、扇形状となるように、回転中心を対称軸として放射状に2〜4分割させて形成されたホイール形状のものがある。そして、回転により光軸上に位置する偏光変換領域を順次切り換えるものである。例えば、3原色RGBのP偏光を入射させる場合において、或る偏光変換領域が光軸上に位置すると、青色光BのみS偏光に変換し赤色光Rや緑色光GはP偏光のまま透過させ、また、別の偏光変換領域が光軸上に位置すると、緑色光GのみS偏光に変換し赤色光Rや青色光BはP偏光のまま透過させる如く構成される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−185973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、扇形状の各偏光変換領域は、回転中心と領域中心とを結ぶ半径方向に偏光変換基準軸方向(注目波長光の偏光面を最も効率よく90度回転させ得る軸方向)が設定されている。よって、偏光変換領域に入射する照明光の偏光方向と偏光変換基準軸方向との関係がホイール回転に伴い大きく変化すると、その変化に伴い、偏光を回転させる波長域がずれる、偏光変換の効率が劣化する等、偏光変換領域に要求される特性が劣化してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ホイール回転に伴う、入射する光の偏光方向に対する色光別の偏光変換領域における偏光変換基準軸方向のずれ量を低減させ、色光別の偏光変換領域の特性劣化を軽減させることができる波長選択性偏光素子およびこの波長選択性偏光素子を用いた投影型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する色光別の偏光変換領域が、回転中心を対称軸として放射線状に分割形成されたホイール形状の波長選択性偏光素子であって、前記各偏光変換領域は、前記回転中心を対称軸として放射状に細分割され、該細分割領域は、同一の変換特性を持つ部材からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する色光別の偏光変換領域が、回転中心を対称軸として放射線状に分割形成されたホイール形状の波長選択性偏光素子であって、前記各偏光変換領域は、前記回転中心を対称軸として放射状に細分割されて同一の変換特性を持つ複数の細分割領域からなり、前記各細分割領域の偏光変換基準軸方向がそれぞれ前記回転中心を対称軸として放射状に設定されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記各偏光変換領域内の回転方向両端に位置する端部細分割領域の偏光変換基準軸は、該端部細分割領域の中心より当該偏光変換領域の中心寄りに偏心させた位置に設定されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記各偏光変換領域は、前記端部細分割領域の分割角度がこれら端部細分割領域間に位置する中間細分割領域の分割角度よりも大きくなるように不均等に細分割されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記端部細分割領域における偏光変換基準軸よりも前記中間細分割領域側部分の角度と、前記中間細分割領域における偏光変換基準軸に対する両側部分の角度とが、ほぼ等しいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記各偏光変換領域内の回転方向両端の端部細分割領域間に位置する中間細分割領域の偏光変換基準軸は、該中間細分割領域のほぼ中心位置に設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記偏光変換領域は、第1の色光に対応する第1の領域とこの第1の色光とは異なる第2の色光に対応する領域であって前記第1の色光に対応する前記第1の領域の有する偏光変換特性とは異なる偏光変換特性を有する第2の領域が回転方向に交互に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる波長選択性偏光素子は、上記発明において、前記第1の領域と前記第2の領域は、回転中心に対して同じ角度範囲であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる投影型表示装置は、照明光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する上記発明の波長選択性偏光素子と、該波長選択性偏光素子を透過した特定の偏光方向の特定の色光による照明光を該色光に対応する色信号に基づき変調する空間光変調器と、該空間光変調器で変調された投影光が入射される投影レンズと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる波長選択性偏光素子および投影型表示装置は、色光別の各偏光変換領域を、回転中心を対称軸として放射状に細分割し、該細分割領域を、同一の変換特性を持つ部材により構成し、または、色光別の各偏光変換領域を、放射状に細分割されて同一の変換特性を持ち、それぞれの偏光変換基準軸方向がそれぞれ回転中心を対称軸として放射状に設定された複数の細分割領域により構成しているので、各偏光変換領域内に放射状の複数の偏光変換基準軸を持たせることができ、よって、ホイール形状の当該波長選択性偏光素子の回転に伴う、入射する光の偏光方向に対する色光別の偏光変換領域における偏光変換基準軸方向のずれ量を1本の偏光変換基準軸の場合に比して低減させ、色光別の偏光変換領域の特性劣化を軽減させることができるという効果を奏する。また、波長選択性偏光素子に入射する光は、点ではなく、ある程度の大きさを有する光束であるが、各偏光変換領域内を同一の変換特性を有する複数の細分割領域に細分割しているので、異色領域間の境界が増えることがなく、ブランキング期間の増加による効率低下を抑制できるという効果を奏する。
【0017】
特に、偏光変換領域内で端部に位置して異なる色光用の他の偏光変換領域に隣接する端部細分割領域に関しては、他の偏光変換領域に隣接する側は混色防止のブランキング期間等のために有効範囲が光束の大きさ分だけ内側位置に規制されるのに対して、反対側は同一色用の細分割領域が存在し有効範囲が規制されず入射する光束が当該領域から完全に抜け出すまで有効利用される偏りに着目し、偏光変換基準軸方向を当該端部細分割領域の中心より当該偏光変換領域の中心寄りに偏心させた位置とすることで、当該端部細分割領域の有効部分に対して実質的な中央位置に設定し、領域両側についてずれ量を均等化させることで、当該端部細分割領域に入射する光の偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれ量を低減させることができるという効果を奏する。
【0018】
さらには、偏光変換領域内で端部細分割領域間に位置する中間細分割領域に関しては、両側に同一色用の細分割領域が存在し有効範囲が規制されず、入射する光束が当該領域の両側から完全に抜け出すまで有効利用され、端部細分割領域の場合よりも実質的に有効範囲が広い点に着目し、端部細分割領域の分割角度が中間細分割領域の分割角度よりも大きくなるように不均等に細分割することで、端部細分割領域および中間細分割領域に入射する光の偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれ量を均等化させて低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態である波長選択性偏光素子および投影型表示装置について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の波長選択性偏光素子を備える投影型表示装置を示す原理的構成図である。本実施の形態の投影型表示装置1は、空間光変調器としてDMD素子(Digital Micromirror Device)を用いたDLP(Digital Light Processing)方式の2板型の投影型表示装置への適用例を示す。
【0021】
本実施の形態の投影型表示装置1は、概略的には、光源2を含む照明光学系3、波長選択性偏光素子10、全反射型プリズム4、ダイクロイックプリズム5、2つのDMD素子6R,6GB、偏光板7および投影レンズ8を備える。
【0022】
光源2は、DMD素子6R,6GBを照明する照明光として白色光を発光出力するためのものである。照明光学系3は、光源2から出力される照明光の偏光状態を例えばP偏光に揃える偏光変換素子等により構成されている。
【0023】
波長選択性偏光素子10は、光源2から出射された白色光(照明光)の偏光方向を波長選択的にP偏光からS偏光に回転させて変換するためのものである。図2は、波長選択性偏光素子10の前提的構成例を示す概略正面図である。この波長選択性偏光素子10は、ホイール形状に形成されて回転中心O周りに回転駆動されるもので、例えば、回転中心Oを対称軸として放射状に均等に4分割された扇形状の偏光変換領域G−CS,B−CSを交互に有する。偏光変換領域G−CSは、照明光に含まれる3原色RGB中の緑色光Gの偏光面を90度回転させることで偏光方向をP偏光からS偏光に変換し、赤色光Rや青色光Bは偏光変換されずにP偏光のまま透過させる領域である。偏光変換領域B−CSは、照明光に含まれる3原色RGB中の青色光Bの偏光面を90度回転させることで偏光方向をP偏光からS偏光に変換し、赤色光Rや緑色光Gは偏光変換されずにP偏光のまま透過させる領域である。よって、これら偏光変換領域G−CS,B−CSを照明光の光軸上に位置させて波長選択性偏光素子10を回転させることにより、緑色光Gと青色光Bとの偏光状態が時分割的に交互にP偏光からS偏光に変換され、赤色光RはP偏光のまま、全反射型プリズム4側に出射される。本実施の形態の波長選択性偏光素子10の詳細については後述する。
【0024】
DMD素子6R,6GBは、特開2007−25287号公報等に示されるように、μmサイズの無数の極小反射鏡を配列させた半導体型投影デバイスであり、色信号に基づき例えば所定の振れ角±12°の高速な振れ動作により角度制御(オンオフ制御)を行うことで偏向反射された色光を投影させるよう色光の変調を行うものである。本実施の形態では、3原色RGBのうちの1色である赤色光R用のDMD素子6Rと、残りの2色である緑色光Gと青色光Bとの2色分を波長選択性偏光素子10に従い時分割で共用するDMD素子6GBとを備える2板型として構成されている。
【0025】
全反射型プリズム4は、波長選択性偏光素子10を経た照明光を全反射させ、DMD素子6R,6GBで変調されて投影レンズ8側に向かう投影光が透過する全反射面4aを有する照明光/投影光分離用の光学素子である。また、ダイクロイックプリズム5は、赤色光Rを反射させ緑色光Gおよび青色光Bを透過させるダイクロイック膜5aを有する色分離/合成用の光学素子である。すなわち、ダイクロイックプリズム5は、入射する赤色光Rと緑色光Gまたは青色光Bとをダイクロイック膜5aで色分離してそれぞれDMD素子6R,6GBに入射させ、DMD素子6R,6GBで変調された投影光としての赤色光Rと緑色光Gまたは青色光Bとをダイクロイック膜5aで色合成して投影レンズ8側に出射させる。
【0026】
偏光板7は、投影光中に含まれるP偏光成分のみを透過させ、投影光中に含まれる不要なS偏光成分を透過させないためのものである。例えば、光束が波長選択性偏光素子10の偏光変換領域G−CS通過時であれば、P偏光のままの青色光Bは透過させ、S偏光に変換された緑色光Gは透過させない。また、光束が波長選択性偏光素子10の偏光変換領域B−CS通過時であれば、P偏光のままの緑色光Gは透過させ、S偏光に変換された青色光Bは透過させない。
【0027】
投影レンズ8は、DMD素子6R,6GBによって変調された色光としてダイクロイックプリズム5、全反射型プリズム4、偏光板7を経て入射される投影光を図示しないスクリーン等に向けて投影させるためのものである。投影レンズ8に対する投影光としては、波長選択性偏光素子10による時分割駆動に従い、赤色光Rと緑色光G、または赤色光Rと青色光Bとの色合成が時分割で交互に行われ、これらの色合成されたカラー画像がスクリーン上に表示されることとなる。
【0028】
次に、波長選択性偏光素子10の構成について詳細に説明する。まず、波長選択性偏光素子10に入射する照明光は、大きさを無視できる点ではなく、ある程度の大きさを有する光束である。そこで、波長選択性偏光素子10に入射する照明光の光束Lが回転中心Oとなす角度を、図2中に示すようにθとする。角度θは、一例としてθ=±8.6°であるとする。
【0029】
ここで、単純に分割角度90°ずつ4分割された4つの偏光変換領域G−CS,B−CSを有する波長選択性偏光素子10´の場合を例に採り、その問題点について図12を参照して説明する。ここでは、1つの偏光変換領域B−CSに着目して説明する。偏光変換領域B−CS中の両矢印←→は、回転中心Oを対称軸として放射状に(半径方向に)設定された偏光変換基準軸の方向を示している。偏光変換基準軸方向とは、注目波長光(注目色光)の偏光面を最も効率よく90°回転させることができる軸方向を意味する。図示例では、偏光変換領域B−CSの偏光変換基準軸方向は、領域中心に設定されている。また、波長選択性偏光素子10´外の両矢印←→は、照明光Lの偏光方向(P偏光の偏光方向を示している。
【0030】
図12(a)は、緑色Gの映像表示開始時(青色光BのみS偏光に変換)の波長選択性偏光素子10´と照明光の光束Lとの位置関係を示す正面図である。すなわち、波長選択性偏光素子10´の回転に伴い照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内に完全に入り込んだ状態を示している。偏光変換領域B−CSのうち、この状態よりも回転が戻る側の部分は、照明光の光束Lが回転が戻る側の偏光変換領域G−CSに跨ってしまうので、この跨っている期間は混色防止のためにブランキング期間とされる。よって、図12(a)の場合の照明光Lの偏光方向に対する偏光変換領域B−CSの偏光変換基準軸方向のずれ量は、-45°+θ=−36.4°となる。
【0031】
図12(b)は、緑色Gの映像表示終了時(青色光BのみS偏光に変換)の波長選択性偏光素子10´と照明光の光束Lとの位置関係を示す正面図である。すなわち、波長選択性偏光素子10´の回転に伴い照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内から抜け出し始める直前の状態を示している。偏光変換領域B−CSのうち、この状態よりもさらに回転が進む側の部分は、照明光の光束Lが回転がさらに進む側の偏光変換領域B−CSに跨ってしまうので、この跨っている期間は混色防止のためにブランキング期間とされる。よって、図12(b)の場合の照明光Lの偏光方向に対する偏光変換領域G−CSの偏光変換基準軸方向のずれ量は、45°−θ=36.4°となる。
【0032】
よって、偏光変換領域B−CSに入射する照明光Lの偏光方向と偏光変換基準軸方向との関係が波長選択性偏光素子10´の回転に伴い、最大で±36.4°と大きくずれてしまうものである。そして、その変化に伴い、偏光を回転させる波長域がずれる、偏光変換の効率が劣化する等、偏光変換領域B−CSに要求される特性が劣化してしまう。波長選択性偏光素子10´の他の偏光変換領域G−CS,B−CSについても同様である。
【0033】
これに対して、本実施の形態1の波長選択性偏光素子10は、図3に示すように、4つの偏光変換領域B−CS,G−CSのそれぞれを、回転中心Oを対称軸として放射状に30°ずつ均等に扇形状に3分割しそれぞれが同一の変換特性を持つ複数の細分割領域により構成してなる。ここで、1つの偏光変換領域B−CSに着目して説明すると、回転が戻る側から順に、第1細分割領域E1、第2細分割領域E2、第3細分割領域E3に細分割されている。これら細分割領域E1〜E3は、いずれも青色光BのP偏光をS偏光に変換させる同一の変換特性を有する。また、各細分割領域E1〜E3の偏光変換基準軸方向は、それぞれ回転中心Oを対称軸として各細分割領域E1〜E3の中央位置に放射状に設定されている。
【0034】
すなわち、各細分割領域E1〜E3の各偏光変換基準軸方向に対し図3にα,βで示した部分の角度を順に、α,β,α,β,α,βとし、各細分割領域E1〜E3の分割角度を順にγ,γ,γとした場合、
α=β=α=β=α=β=15°
γ(=α+β)=γ(=α+β)=γ(=α+β)=30°
の如く設定されている。残りの3つの偏光変換領域G−CS,B−CSについても同様である。
【0035】
このような構成の波長選択性偏光素子10の回転に伴う照明光の光束Lの偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれについて、図4を参照して考察する。まず、図4(a)は、波長選択性偏光素子10の回転に伴い照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内の第1細分割領域E1に完全に入り込んだ状態(緑色Gの映像表示開始および第1細分割領域開始状態)を示している。この場合の光束の偏光方向に対する第1細分割領域E1の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α+θ=−6.4°となる。
【0036】
図4(b)は、その後、波長選択性偏光素子10の回転が進み、照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内の第2細分割領域E2に入り込み始めた状態を示している。この状態では、光束は、第1細分割領域E1内に存在するが、同一色用の偏光特性を有し、混色の問題は生じないため、第2細分割領域開始状態を示すものとなる。この場合の光束の偏光方向に対する第2細分割領域E2の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−23.6°となる。
【0037】
図4(c)は、その後、波長選択性偏光素子10の回転が進み、照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内の第1細分割領域E1から抜け出す状態を示している。この状態では、光束は、第2細分割領域E2内に存在するが、同一色用の偏光特性を有し、混色の問題は生じないため、第1細分割領域終了状態を示すものとなる。この場合の光束の偏光方向に対する第1細分割領域E1の偏光変換基準軸方向のずれ量は、β+θ=23.6°となる。
【0038】
図4(d)は、その後、波長選択性偏光素子10の回転が進み、照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内の第3細分割領域E3に入り込み始めた状態を示している。この状態では、光束は、第2細分割領域E2内に存在するが、同一色用の偏光特性を有し、混色の問題は生じないため、第3細分割領域開始状態を示すものとなる。この場合の光束の偏光方向に対する第3細分割領域E3の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−23.6°となる。
【0039】
図4(e)は、その後、波長選択性偏光素子10の回転が進み、照明光の光束Lが偏光変換領域B−CS内の第2細分割領域E2から抜け出す状態を示している。この状態では、光束は、第3細分割領域E3内に存在するが、同一色用の偏光特性を有し、混色の問題は生じないため、第2細分割領域終了状態を示すものとなる。この場合の光束の偏光方向に対する第2細分割領域E2の偏光変換基準軸方向のずれ量は、β+θ=23.6°となる。
【0040】
さらに、図4(f)は、その後、波長選択性偏光素子10の回転が進み、照明光の光束Lが偏光変換領域B−CSから回転が進む側の偏光変換領域G−CSに入り込み始める直前の状態を示している。この状態が、第3細分割領域E3の有効範囲の限界位置であり、第3細分割領域終了および緑色Gの映像終了状態を示すものとなる。この場合の光束の偏光方向に対する第3細分割領域E3の偏光変換基準軸方向のずれ量は、β−θ=6.4°となる。
【0041】
したがって、第1細分割領域E1に注目すると、図4(a),(c)から、照明光の光束Lの偏光方向に対する第1細分割領域E1の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α+θ=−6.4°〜β+θ=23.6°となる。同様に、第2細分割領域E2に注目すると、図4(b),(e)から、照明光の光束Lの偏光方向に対する第2細分割領域E2の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−23.6°〜β+θ=23.6°となる。さらに、第3細分割領域E3に注目すると、図4(d),(f)から、照明光の光束Lの偏光方向に対する第3細分割領域E3の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−23.6°〜β−θ=6.4となる。よって、最大ずれ量は、±23.6°であり、図12に示した単純分割の波長選択性偏光素子10´の場合の最大ずれ量±36.4°より低減したものとなる。
【0042】
このように、本実施の形態1の波長選択性偏光素子10によれば、色光別の各偏光変換領域B−CS,G−CSを、放射状に細分割されて同一の変換特性を持ち、それぞれの偏光変換基準軸方向がそれぞれ回転中心を対称軸として放射状に設定された複数の細分割領域E1〜E3により構成しているので、各偏光変換領域B−CS,G−CS内に放射状の複数の偏光変換基準軸を持たせることができる。よって、ホイール形状の波長選択性偏光素子10の回転に伴う、入射する光の偏光方向に対する色光別の偏光変換領域B−CS,G−CSにおける偏光変換基準軸方向のずれ量を1本の偏光変換基準軸の場合に比して低減させ、色光別の偏光変換領域B−CS,G−CSの特性劣化を軽減させることができる。また、各偏光変換領域B−CS,G−CS内を同一の変換特性を有する複数の細分割領域E1〜E3に細分割しているので、異色領域間の境界が増えることがなく、ブランキング期間の増加による効率低下を抑制することもできる。
【0043】
(実施の形態2)
図5は、本実施の形態2の波長選択性偏光素子11の構成例を示す概略正面図である。本実施の形態2は、原理的構成例を示す実施の形態1を改良したものである。ここでも、4つの偏光変換領域B−CS,G−CSは同一構造からなるため、1つの偏光変換領域B−CSに着目して説明する。
【0044】
細分割された偏光変換領域B−CSは、異なる色光用の他の偏光変換領域G−CSに隣接する端部細分割領域である第1,第3細分割領域E1,E3と、同一の色光用の第1,第3細分割領域E1,E3に挟まれた中間細分割領域である第2細分割領域E2とからなる。ここで、端部細分割領域である第1,第3細分割領域E1,E3をみると、図4(a)や図4(f)に示すように、他の偏光変換領域G−CSに隣接する側(角度αの領域側、角度βの領域側)は、混色防止のブランキング期間等のために有効範囲が照明光の光束Lの大きさ分(角度θ分)だけ内側位置に規制されるのに対して、反対の領域側(角度βの領域側、角度αの領域側)は、同一色用の細分割領域E2が存在し有効範囲が規制されず入射する光束が当該領域から完全に抜け出すまで有効利用されるものであり、全体的に光束の大きさ分(角度θ分)だけ偏りがある。この結果、実施の形態1のように、偏光変換基準軸方向を領域中央に設定した場合には、光束の偏光方向のずれ量は、一方が23.6°であるのに対して他方が6.4°であり、偏りの大きなものとなる。
【0045】
そこで、本実施の形態2では、各細分割領域E1,E2,E3内における入射光の偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれ量の偏りを小さくするため、左右均等化させたものである。まず、第1細分割領域E1に関しては、α+β=30°、θ=8.6°の条件の下に、α−θ=β+θを満たすように、α=23.6°、β=6.4°に設定されている。これにより、第1細分割領域E1用の偏光変換基準軸方向は、第1細分割領域E1の中心より偏光変換領域B−CS自体の中心寄りに角度θ分偏心させた位置に設定されている。
【0046】
同様に、第3細分割領域E3に関しては、α+β=30°、θ=8.6°の条件の下に、β−θ=α+θを満たすように、β=23.6°、α=6.4°に設定されている。これにより、第3細分割領域E3用の偏光変換基準軸方向は、第3細分割領域E3の中心より偏光変換領域B−CS自体の中心寄りに角度θ分偏心させた位置に設定されている。
【0047】
なお、第2細分割領域E2に関しては、実施の形態1で、入射光の偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれ量が元々左右均等であるため、実施の形態のままとした(α=β=15°)。
【0048】
本実施の形態2の場合、第1細分割領域E1に注目すると、照明光の光束Lの偏光方向に対する第1細分割領域E1の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α+θ=−15°〜β+θ=15°となる。同様に、第3細分割領域E3に注目すると、照明光の光束Lの偏光方向に対する第3細分割領域E3の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−15°〜β−θ=15°となる。よって、端部細分割領域である第1,第3細分割領域E1,E3に関しては、その有効部分に対して実質的な中央位置に偏光変換基準軸方向が設定されていることになる。この結果、第1,第3細分割領域E1,E3に関しては、最大ずれ量を、実施の形態1の場合よりも小さな±15°に低減させることができる。
【0049】
(実施の形態3)
図6は、本実施の形態3の波長選択性偏光素子12の構成例を示す概略正面図である。本実施の形態3は、改良構成例を示す実施の形態2についてさらに最適化されるよう改良したものである。ここでも、4つの偏光変換領域B−CS,G−CSは同一構造からなるため、1つの偏光変換領域B−CSに着目して説明する。
【0050】
実施の形態2の場合、中間細分割領域である第2細分割領域E2に関しては、照明光の光束Lの偏光方向に対する偏光変換基準軸方向の最大ずれ量は、実施の形態1のままであり、±23.6°のままである。そこで、本実施の形態3では、同一の偏光変換領域B−CSに属する細分割領域E1〜E3の全てについての最大ずれ量を小さくするため、細分割領域E1〜E3間のずれ量を均等化させるようにしたものである。細分割領域E1〜E3間のずれ量を均等化させるためには、
α=β
α=β≒α=β
とすればよい。そこで、θ=8.6°の条件の下に、β=αと仮定して
α−θ=β+θ → α−β=2θ
4β+2α=90°
を満たすように、α=β=26.5°、β=α=9.3°、α=β=9.2°、γ=γ=35.8°、γ=18.4°に設定されている。
【0051】
これにより、偏光変換領域B−CSは、端部細分割領域である第1,第3細分割領域E1,E3の分割角度γ,γが中間細分割領域である第2細分割領域E2の分割角度γよりも大きくなるように不均等に細分割されている。また、第1,第3細分割領域E1,E3用の偏光変換基準軸方向は、第1,第3細分割領域E1,E3の中心より偏光変換領域B−CS自体の中心寄りに偏心させた位置に設定されている。
【0052】
本実施の形態3の場合、第1細分割領域E1に注目すると、照明光の光束Lの偏光方向に対する第1細分割領域E1の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α+θ=−26.5°+8.6°=−17.9°、β+θ=9.3°+8.6°=17.9°となる。同様に、第3細分割領域E3に注目すると、照明光の光束Lの偏光方向に対する第3細分割領域E3の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−9.3°−8.6°=−17.9°、β−θ=26.5°−8.6°=17.9°となる。さらに、第2細分割領域E2に注目すると、照明光の光束Lの偏光方向に対する第2細分割領域E2の偏光変換基準軸方向のずれ量は、−α−θ=−9.2°−8.6°=−17.8°、β+θ=9.2+8.6°=17.8°となる。よって、第1〜第3細分割領域E1〜E3に関して、照明光の光束Lの偏光方向に対する各細分割領域の偏光変換基準軸方向の最大ずれ量は、±17.9°程度に均等に低減させることができる。
【0053】
(変形例1)
図7は、実施の形態3の変形例として波長選択性偏光素子13の構成例を示す概略正面図である。この変形例の偏光変換領域B−CSは、偏光変換領域B−CS内を実施の形態3に準じて最適に4分割した第1〜第4細分割領域E1〜E4からなる。
【0054】
図7において、細分割領域E1〜E4間のずれ量を均等化させるためには、
α=β
α=β≒α=β=α=β
とすればよい。そこで、θ=8.6°の条件の下に、β=αと仮定して
α−θ=β+θ → α−β=2θ
6β+2α=90°
を満たすように、α=β=24.2°、β=α=7°、α=β=α=β=6.9°、γ=γ=31.2°、γ=γ=13.8°に設定されている。これによれば第1〜第4細分割領域E1〜E4に関して、照明光の光束Lの偏光方向に対する各細分割領域の偏光変換基準軸方向の最大ずれ量は、±15.6°程度に均等に低減させることができる。
【0055】
(変形例2)
図8は、変形例2を説明するための説明図である。前述の実施の形態1〜3および変形例1では、説明を簡単にするため、偏光変換基準軸方向に対する照明光の光束Lの偏光方向が、図8(a)に示すようにマイナス方向(回転が進む方向側)にずれても、図8(b)に示すようにプラス方向(回転が戻る方向側)にずれても、偏光変換特性の変化は均等であるという前提で説明したものである。ところが、波長選択性偏光素子の中には、偏光変換基準軸方向に対する照明光の光束Lの偏光方向のずれがマイナス方向であるかプラス方向であるかによって偏光変換特性の変化の仕方が異なることがある。例えば、図8(a)に示すようにマイナス方向にずれた場合の方が、図8(b)に示すようにプラス方向にずれた場合よりも、偏光変換特性の劣化が大きいことがある。
【0056】
このような場合には、例えば図6で説明した構成において、各細分割領域E1〜E3に関して、マイナス方向側部分の角度α1〜α3をΔ分だけ小さめに修正する一方、プラス方向側部分の角度β1〜β3をΔ分だけ大きめに修正し、偏光変換特性の実質的な劣化量が偏光変換基準軸方向の左右で均等化されるようにすればよい。
【0057】
(変形例3)
上述の説明では、本発明の波長選択性偏光素子を用いる投影型表示装置として、図1に示したようにDMD素子を利用した多板型(2板型)の投影型表示装置への適用例で説明したが、このような投影型表示装置に限らず、3原色RGB分を順次1色ずつ偏光変換して1個の空間光偏光器に入射させるタイプの単板型の投影型表示装置であってもよい。また、投影型表示装置に用いる空間光変調器としても、DMD素子に限らず、反射型あるいは透過型の液晶ライトバルブ等であってもよい。さらに、全反射型プリズム4やダイクロイックプリズム5による照明光/投影光分離、色分離/合成の機能部分は、各種変形構成が可能である。
【0058】
(変形例4)
また、波長選択性偏光素子に関しても、種々の変形構成が可能である。偏光変換領域や細分割領域の数、偏光変換する色光の種類、並びに各種角度例は、上述した例に限定されるものではない。例えば、図9−1は、2板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子14の例を示す正面図である。この波長選択性偏光素子14は、2分割構成の半円状の波長変換領域B−CS,G−CSを有するタイプ例を示し、各波長変換領域B−CS,G−CS内が前述した如く、複数の細分割領域に細分割されて構成される。この場合、細分割領域の分割数を6〜8個程度、あるいはそれ以上に増やすのがよい。
【0059】
図9−2は、2板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子15の例を示す正面図である。この波長選択性偏光素子15は、基本的に2分割構成の波長変換領域B−CS,G−CSの境界部分に分割角の小さめな波長変換領域C−CSを付加したものである。この波長変換領域C−CSは、シアン光C(緑色光G+青色光B)の偏光方向をP偏光からS偏光に変換する領域である。各波長変換領域B−CS,G−CS,C−CS内が前述した如く、複数の細分割領域に細分割されて構成される。波長変換領域C−CSを加えることで、明るさを向上させることができる。図9−2に示す波長選択性偏光素子15を図1に示す投影型表示装置1に適用すると、シアン光C(緑色光G+青色光B)がS偏光になるので、赤色光Rのみがスクリーンに達する。
【0060】
図9−3は、2板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子15aの例を示す正面図である。この波長選択性偏光素子15aは、波長選択性偏光素子15の波長変換領域C−CSに代えて透明領域を持たせたものである。図9−3に示す波長選択性偏光素子15aを図1に示す投影型表示装置1に適用すると、ホワイト光(赤色光R+緑色光G+青色光B)がスクリーンに達するので、明るくなる。
【0061】
図9−4は、単板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子16の例を示す正面図である。この波長選択性偏光素子16は、3分割構成の扇形状の波長変換領域B−CS,G−CS,R−CSを有し、各波長変換領域B−CS,G−CS,R−CS内が前述した如く、複数の細分割領域に細分割されて構成される。
【0062】
図9−5は、単板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子17の例を示す正面図である。この波長選択性偏光素子17は、波長変換領域B−CS,G−CS,R−CSに加えて、シアン光C(緑色光G+青色光B)の偏光方向をP偏光からS偏光に変換する波長変換領域C−CSを備える4分割構成のもので、各波長変換領域B−CS,G−CS,R−CS,C−CS内が前述した如く、複数の細分割領域に細分割されて構成される。波長変換領域C−CSを加えることで、明るさを向上させることができる。
【0063】
なお、図9−6に示すように、波長選択性偏光素子17の波長変換領域C−CSに代えて、透明領域を持たせた波長選択性偏光素子17aを用いるようにしてもよい。
【0064】
(実施の形態4)
図10は、本実施の形態4の波長選択性偏光素子18の構成例を示す概略正面図である。上述の各実施の形態では、各偏光変換領域B−CS,G−CSを、放射状に細分割されて同一の変換特性を持ち、それぞれの偏光変換基準軸方向がそれぞれ回転中心を対称軸として放射状に設定された複数の細分割領域により構成した場合について説明した。本実施の形態4では、例えば1つ偏光変換領域のB−CS中の細分割領域E1〜E3の各偏光変換基準軸方向(領域中に両矢印で示す)と、波長選択性偏光素子18外に両矢印で示す光束偏光方向とが所定の角度εをなすように構成したものである。つまり、細分割領域E1〜E3は、それぞれの偏光変換基準軸方向が回転中心を向いていないが、同一の変換特性を持つ部材により構成されている。
【0065】
本実施の形態4によれば、波長選択性偏光素子18を出る光の偏光方向を、角度εと角度ε+90°で制御することができる。
【0066】
(実施の形態5)
図11は、本実施の形態5の波長選択性偏光素子19の構成例を示す概略正面図である。基本的には、実施の形態4(図10)に準ずるものであるが、照明光の偏光方向を細分割領域E1〜E3の偏光変換基準軸方向に揃えるように設定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1の波長選択性偏光素子を備える投影型表示装置を示す原理的構成図である。
【図2】波長選択性偏光素子の前提的構成例を示す概略正面図である。
【図3】実施の形態1の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図4】波長選択性偏光素子の回転に伴う照明光の光束の偏光方向に対する偏光変換基準軸方向のずれ量を順に説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図6】本発明の実施の形態3の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図7】変形例1の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図8】変形例2を説明するための説明図である。
【図9−1】変形例4の2板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子の例を示す正面図である。
【図9−2】変形例4の2板型の投影型表示装置に適用される別の波長選択性偏光素子の例を示す正面図である。
【図9−3】図9−2の変形例を示す正面図である。
【図9−4】変形例4の単板型の投影型表示装置に適用される波長選択性偏光素子の例を示す正面図である。
【図9−5】変形例4の単板型の投影型表示装置に適用される別の波長選択性偏光素子の例を示す正面図である。
【図9−6】図9−5の変形例を示す正面図である。
【図10】実施の形態4の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図11】実施の形態5の波長選択性偏光素子の構成例を示す概略正面図である。
【図12】従来の単純分割構成の波長選択性偏光素子の場合のずれ量を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0068】
6R,6GB DMD素子
8 投影レンズ
10〜17 波長選択性偏光素子
B−CS,G−CS,R−CS,C−CS 偏光変換領域
E1〜E4 細分割領域
O 回転中心
γ〜γ 分割角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する色光別の偏光変換領域が、回転中心を対称軸として放射線状に分割形成されたホイール形状の波長選択性偏光素子であって、
前記各偏光変換領域は、前記回転中心を対称軸として放射状に細分割され、該細分割領域は、同一の変換特性を持つ部材からなることを特徴とする波長選択性偏光素子。
【請求項2】
光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する色光別の偏光変換領域が、回転中心を対称軸として放射線状に分割形成されたホイール形状の波長選択性偏光素子であって、
前記各偏光変換領域は、前記回転中心を対称軸として放射状に細分割されて同一の変換特性を持つ複数の細分割領域からなり、前記各細分割領域の偏光変換基準軸方向がそれぞれ前記回転中心を対称軸として放射状に設定されていることを特徴とする波長選択性偏光素子。
【請求項3】
前記各偏光変換領域内の回転方向両端に位置する端部細分割領域の偏光変換基準軸は、該端部細分割領域の中心より当該偏光変換領域の中心寄りに偏心させた位置に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の波長選択性偏光素子。
【請求項4】
前記各偏光変換領域は、前記端部細分割領域の分割角度がこれら端部細分割領域間に位置する中間細分割領域の分割角度よりも大きくなるように不均等に細分割されていることを特徴とする請求項3に記載の波長選択性偏光素子。
【請求項5】
前記端部細分割領域における偏光変換基準軸よりも前記中間細分割領域側部分の角度と、前記中間細分割領域における偏光変換基準軸に対する両側部分の角度とが、ほぼ等しいことを特徴とする請求項4に記載の波長選択性偏光素子。
【請求項6】
前記各偏光変換領域内の回転方向両端の端部細分割領域間に位置する中間細分割領域の偏光変換基準軸は、該中間細分割領域のほぼ中心位置に設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の波長選択性偏光素子。
【請求項7】
前記偏光変換領域は、第1の色光に対応する第1の領域とこの第1の色光とは異なる第2の色光に対応する領域であって前記第1の色光に対応する前記第1の領域の有する偏光変換特性とは異なる偏光変換特性を有する第2の領域が回転方向に交互に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の波長選択性偏光素子。
【請求項8】
前記第1の領域と前記第2の領域は、回転中心に対して同じ角度範囲であることを特徴とする請求項7に記載の波長選択性偏光素子。
【請求項9】
照明光の偏光方向を波長選択的に回転させて変換する請求項1〜8のいずれか一つに記載の波長選択性偏光素子と、
該波長選択性偏光素子を透過した特定の偏光方向の特定の色光による照明光を該色光に対応する色信号に基づき変調する空間光変調器と、
該空間光変調器で変調された投影光が入射される投影レンズと、
を備えることを特徴とする投影型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図9−6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−151017(P2009−151017A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327706(P2007−327706)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】