説明

注出具

【課題】容器本体からの飲料の飛び出しを効果的に防止することができる注出具を提供すること。
【解決手段】容器本体の開口形成部に溶着される注出筒部4付き注出具1は、基部2の一側部に連結された蓋取付部5と、蓋取付部5にヒンジ10を介して連結された上蓋6と、 蛇腹部3を挟んで基部2の一側部とは反対側に位置する基部2の他側部に連結され基部2から外側へ延びる受け部材取付部7と、受け部材取付部7に連結され、注出筒部4の円筒部4aを保持する受け部材8とを備えている。そして、注出具1は、上蓋6の閉時に、上蓋6と協働して注出筒部4の円筒部4aが受け部材8へ案内されるともに、上蓋6が受け部材8に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封部に注出筒部が一体型に装着されているブリックパック(紙パックなどの包装容器)の開封を容易にすることができる注出具に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、清涼飲料等の包装容器において、ブリックパックが知られている。ブリックパックは、紙を主体として外面及び内面が、ポリエチレン樹脂、必要に応じてアルミニウム箔、バリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成される。そして、上面に注出口を形成するためのパンチ穴が形成され、該パンチ穴がインナーシールによって閉塞され、さらにパンチ孔をプルタブによって覆っているものもある。ブリックパックの側面には、ストローパッケージが溶着などで貼着され、このストローパッケージからストローを取り出し、プルタブを剥がした後、パンチ孔を目指してインナーシールをストローの先端部で突き破り、ストローを注出口に挿入して飲料を飲用することができる。
このような、ストローが別体であるブリックパックは、プルタブを引き剥がして開封した後、吸飲者がブリックパックを強く掴んだようなときにその圧力によって、収容された飲料がストローから溢れ出てしまうことがある。
【0003】
この液体の漏れを防止し、また注出口の衛生を向上させるために下記の特許文献1の技術が開示されている。
特許文献1の包装容器(ブリックパック)は、開封部に容器本体と一体型の注出具を設け、注出具は、容器本体へ溶着する環状の固定部、該固定部に一端側が連結され、密封支持部としてのスリーブ状のベローズ、該ベローズの他端側に取付けられている注出筒部としてのストローが装着され、ストローの先端部には、着脱自在に配設された開閉手段としてのキャップが設けられている。
このような注出具は、ストローを初期位置の傾倒状態から引き起こして、容器本体の面に対してストローを直立させ、ベローズの伸縮作用によって、ストローを下方に押し下げて、注出口を開封してストローから飲料を注出できる。そして、包装容器は、ストローと容器本体との間にベローズや固定部によって囲まれた間隙を形成することによって、該間隙が噴出しようとする飲料の緩衝空間としての役割を果たし飲料が、外に噴き出すのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−236074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装容器は、開封前はキャップの先端が容器本体の上面にわずかに溶着され仮止めされている。このため使用前は容器の上面に水平に延在して固定されているが、一度使用した後は容器の上面に固定することができず、開封治具が邪魔になる。
また、開封治具とは別体のキャップがストロー部の飲み口に被嵌されている。そのため、使用時にキャップが紛失してしまう虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、容器を一端開封した後にもストロー(注出筒部)を安定に保持することができると共に、容器の使用中にキャップを安定に保持できるため、使い易さが向上された、しかもキャップを紛失することもない注出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の注出具は、上記目的を達成するために、容器本体の開口形成部に溶着される環状の基部と、一端側が該基部に連結されて前記基部から上方へ突出する伸縮可能な蛇腹部と、該蛇腹部の他端側に外周面が連結された注出筒部とを備え、該注出筒部は前記蛇腹部が連結された円筒部と該円筒部の下部に設けられたカッター部とからなり、前記注出筒部を下降させて前記カッターにより前記開口形成部に開口を形成する注出具において、前記基部の一側部に連結された蓋取付部と、該蓋取付部にヒンジを介して連結された上蓋と、前記蛇腹部を挟んで前記基部の一側部とは反対側に位置する他側部に連結され前記容器本体に沿って該基部の外方へ延びる受け部材取付部と、該受け部材取付部に一定の間隔を空けて配設され、前記上蓋の閉時に該上蓋と係止する一対の受け部材とを備え、前記上蓋の閉時に、前記注出筒部が前記上蓋の回動に伴って傾倒し、前記筒部が前記受け部材間へ案内されるようにした。
上記注出具の前記蛇腹部は断面が略逆U字形状の複数の主環状部と、隣接主環状部の間には、外側の主環状部の内端と内側の主環状部の外端とを連結し、内側に隣接する主環状部が高くなるように段差を形成する断面が略J字形状の副環状部とを有し、前記主環状部のうち、最外に位置する主環状部の外側端部に前記基部との連結部を設け、最内に位置する主環状部の内側端部に前記注出筒部との連結部を設け、前記主環状部と副環状部には、前記上蓋が閉状態から開状態に回動する際に、前記注出筒部を傾倒状態から起立姿勢に復帰させる弾性復帰力を付加することができる。
上記注出具の前記蓋取付部は、前記基部から上方へ突出し前記蛇腹部の周囲のほぼ半分領域を囲繞する支持壁を有し、前記上蓋は前記支持壁の上端部に連結され、前記支持壁に対応する形状の切欠部を形成した周壁と、該周壁端に連結された天面壁とから形成されていることが好ましい。
上記注出具の前記受け部材は、前記受け部材取付部から上方に突出する一対の支柱からなり、各々の支柱の外側面には、前記上蓋を係止する係止部を形成し、前記上蓋の天面壁の内面には前記係止部に係止される係合部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の注出具は、前記基部の一側部に連結された蓋取付部と、該蓋取付部にヒンジを介して連結された上蓋と、前記蛇腹部を挟んで前記基部の一側部とは反対側に位置する他側部に連結され前記容器本体に沿って該基部の外方へ延びる受け部材取付部と、該受け部材取付部に一定の間隔を空けて配設され、前記上蓋の閉時に該上蓋と係止する一対の受け部材とを備え、前記上蓋の閉時に、前記注出筒部が前記上蓋の回動に伴って傾倒し、前記筒部が前記受け部材間へ案内されるようにしたので、上蓋を閉じることによって、注出筒部を注出具内に案内することができる。したがって、上蓋の組み付けや注出筒部の収容性が良く、使い勝手が良く、組み付けが容易である。
上記注出具の前記蛇腹部は、断面が略逆U字形状の複数からなる主環状部と、隣接主環状部の間には、外側の主環状部の内端と内側の主環状部の外端とを連結し、内側に隣接する主環状部が高くなるように段差を形成する断面が略J字形状の副環状部とを有し、前記主環状部のうち、最外に位置する主環状部の外側端部に前記基部の連結部を設け、最内に位置する主環状部の内側端部に前記注出筒部の連結部を設け、前記主環状部と副環状部には、前記上蓋が閉状態から開状態に回動する際に、前記注出筒部を傾倒状態から起立姿勢に復帰させる弾性復帰力を付加するようにした。すなわち、上蓋を閉状態から開状態にすると、注出筒部を任意の姿勢に復帰できる。また、開口形成部に開口を形成する際に、注出筒部を押し込んだ後、もとの位置に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態による注出具の斜視図である。
【図2】図1の注出具の側面図である。
【図3】図1の注出具を側面方向から見た断面図である。
【図4】図1の注出具の上蓋を閉状態にした側面図である。
【図5】図4の注出具の上蓋を閉状態にした部分破断断面図である。
【図6】図3における注出具の蛇腹部の拡大断面図である。
【図7】図2における注出具の注出筒部を傾倒させた状態の側面図である。
【図8】図3の注出具の注出筒部を下降させて開口を形成した状態の断面図である。
【図9】図8の注出具の注出筒部が初期位置に復帰した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態による注出具の斜視図、図2は注出具の側面図、図3は注出具を側面方向から見た断面図、図4は注出具の上蓋を閉じた状態の側面図、図5は図4の部分破断断面図である。
図に示すように、本発明に係る注出具1は、容器本体9に貼り付けられる基部2と、基部2に一端側が連結されている蛇腹部3と、蛇腹部3の他端側に連結されている注出筒部4と、基部2の周壁に連結されている蓋取付部5と、該蓋取付部5にヒンジ10によって連結されている上蓋6と、蓋取付部5に対して基部2の周方向反対側に位置する他側部に連結されている受け部材取付部7と、該受け部材取付部7に連結されている受け部材8とを備えている。これらの基部2〜受け部材8は、一体成形で形成され、材質は高密度ポリエチレンなどで形成される。以下、これらの部材について詳細に説明する。
【0010】
基部2は、円環形状であり、基部2の底部が容器本体9の一端側に設けられている開口形成部11の表面に溶着される。開口形成部11は多層構造であり、紙層(表面に印刷層を含む)12と、紙層12の表面(外面)にポリエチレン(PE)13が貼着され、紙層12の裏面(内面)に表面にポリエチレン14が貼着され、該ポリエチレン14の内面にアルミニウム15が装着され、そのアルミニウム15の内面にポリエチレン16が貼着されている(図3のX部拡大図を参照)。開口形成部11では、将来注出筒部4によって開封される開口17(図9参照:なお、開封前は開口は形成されていないが、説明の便宜上、開口とする)の部分には、紙層12に円形の孔が形成されている。そして、上述の基部2の底部が容器本体9の表面に配設されているポリエチレン層13に、開口17を囲繞するようにして、基部2の外周側底面が容器本体9に気密に溶着固定される。
なお、溶着については、上蓋6を閉じた状態で、上蓋6の上方から超音波により溶着することができる。
【0011】
蛇腹部(ベローズ)3は、円形で中心側に向かって段状に高くなるように形成し、注出筒部4を上下方向に昇降するよう伸縮可能であり、また注出筒部4を360度の全方向に亘って、傾倒させることが可能である。
図6に示すように蛇腹部3は、全体がやや薄肉の主環状部20と同じく薄肉の副環状部21とによって形成されている。主環状部20は複数設けられ、上下方向における切断面が略逆U字形状で横(水平)方向における切断面が円環形状であって上部に頂き面を設け、本実施形態では4つの主環状部20が設けられ、内側に配設されているものほど径が小さく形成されている。
互いに隣接する主環状部20の間には、上下方向における切断面が縦長のJ字形状で横(水平)方向における切断面が円環形状である複数の副環状部21が配設されている。副環状部21は、外側に位置する主環状部20の内端aと内側の主環状部20の外端bとを連結している。副環状部21は、縦長のJ字形状に形成することによって、半径方向内側に位置する主環状部20が外側に位置する主環状部20よりも段状に高くなるように主環状部20に段差を付与する。そして、内側に位置する主環状部20が、外側に位置する主環状部20よりも直径が減径する。本実施形態では、主環状部20の間に、3つの副環状部21が配設されている。
【0012】
複数の主環状部20のうち、最外側の主環状部20の外側端部には基部2の上面と気密に連結される連結部20aを設け、最内側の主環状部20の内側端部には注出筒部4の中間部下側に気密に連結される連結部20bを設けている。上述したように、主環状部20は断面が逆U字形状であり、副環状部21は断面がJ字形状に形成されており、これらの逆U字及びJ字形状の部分には、通常の取り扱いでは変形した後にもとの形状に戻ろうとする弾性復帰力がある。したがって、無負荷状態では、注出筒部4を上昇位置に配置した状態でほぼ直立姿勢とし、この状態から注出筒部4を下降させると蛇腹部3の高さが縮小する。また、注出筒部4に横向きの負荷を加えて傾倒させると、図7に示すように、注出筒部4を傾倒させた側の蛇腹部3が縮み、注出筒部4を傾倒させた側と反対側が伸び、負荷を取り除くと、図2及び図3の初期状態に復帰する。
【0013】
注出筒部4は、蛇腹部3に連結されている以外は、一般的な形状の筒状部材であり、上述したように蛇腹部3の最内側の主環状部20に連結部20bを介して連結され、該連結部20bより上の円筒部4aは蛇腹部3の外に配設され、連結部よりも下のカッター部4bは蛇腹部3の内に収容される。
カッター部4bは下端部が斜めに切断され下端の先端側が尖った形状に形成され、切断方向は蓋取付部5から受け部材取付部7に向かって、斜め下方へ傾斜させている。カッター部4bの下端部は、容器本体9の開口形成部11の開口17が形成されるべき個所の直上方に近接して配置されている。蛇腹部3の内面と注出筒部4の外周面との間には、間隙23が形成されている。
【0014】
蓋取付部5は、基部2の上面に連結し該上面から上方へ突出し、蛇腹部3の周囲のほぼ半分領域を囲繞する断面が円弧形の帯板形状の支持壁25を有する。支持壁25の上端部には、薄肉部10aと薄肉部10aの両端部に位置させた帯材(ストラップ)10bからなるヒンジ10を形成し、上蓋6がヒンジ10によって上下方向に開閉可能に連結されている。支持壁25の高さは上蓋6の高さの半分程度である。
なお、蓋取付部5は、環状形状の基部2の上面に直接連結しているが、基部2の側面に、受け部材取付部7がある側と反対側へ延長し、基部と同じ肉厚を有する延長部(図示せず)を設け、該延長部に蓋取付部5を取付けることによって、基部2から離した位置に蓋取付部5を設けてもよい。こうすると、基部2の表裏両面が開放されることによって、基部2の表面に障害物がなく、超音波による溶着がさらに容易になる。
【0015】
上蓋6は周壁28と天面壁29とで形成されヒンジ10を軸として回動が可能である。周壁28には、支持壁25に対応する形状の切欠き30を形成し、上蓋6が閉状態となったときに、支持壁25の両側端部が切欠き30に隙間無く入り込む。
周壁28は全体として、横断面が長円(小判)形状であり、上蓋6の閉状態では蛇腹部3、受け部材8を覆う。
周壁28の上端部には天面壁29が設けられている。天面壁29には内面に、該内面から垂直方向へ突出し、内面先端に被係止突起31が設けられた一対の被受け部材35が一体成形で形成されている。この一対の被係止突起31の間隔は、注出筒部4の円筒部4aの直径よりも若干広く形成されている。被係止突起31は、後述する一対の受け部材8の外周面に形成されている係止突起32と係合する。
天面壁29には、天面壁29の面の延在方向へ、周壁28から突出する庇部34を形成し、庇部34は上蓋6の開閉の際に指先の引っ掛け部となる。
【0016】
受け部材取付部7は、蛇腹部3を挟んで蓋取付部5の反対側に位置し、基部2の側部に連結され、蓋取付部5の反対側へ延びるように形成されている。この受け部材取付部7は、平面視がほぼU字形状であって、内部に内孔が形成されている。この受け部材取付部7は、容器本体9の面上に位置するが溶着を必要としない。したがって、受け部材取付部7は片持ち張り状態となって基部2に保持されている。
受け部材取付部7の上面には、間隔を空けて一対の受け部材8を連結し、受け部材取付部7から上方へ突出するように形成されている。一対の受け部材8の間隔は、注出筒部4の円筒部4aの直径とほぼ同じかそれよりも広く形成されている。受け部材8の位置は、本実施形態では、注出筒部4が傾倒した状態で、受け部材8の間に入るような位置に配設される。
受け部材8の上端部には、上述した上蓋6の被係止突起31を係止させる係止突起32が形成されている。したがって、被係止突起31は、上蓋6が閉状態になったときに、係止突起32に対応する位置に形成される。
【0017】
このような、注出具1は、成形時には図1及び図2などで示すように、上蓋6が開いた状態で射出成形によって成形される。
飲料が充填されて容器本体9に基部2が溶着されて、注出具1が容器本体9に装着された状態では、図1及び図2のように、上蓋6が開状態にあり、その後製品出荷のため、上蓋6が閉じられる。
上蓋6の閉動作は、ヒンジ10を回動軸として、注出筒部4側に上蓋6を回動させる。上蓋6は仰向け状態から約90度回動して起立状態に移行すると、天面壁29に設けられている一対の被係止突起31の間に注出筒部4の円筒部4aが位置する。さらに上蓋6が回動すると、上蓋6の回動に伴って注出筒部4が天面壁29に案内されて、蛇腹部3の連結部20bを回動軸として受け部材8側へ傾倒する。この際、図7に示すように、蛇腹部3は受け部材8側が縮小し、反対側の蓋取付部5側が伸びる。そして、円筒部4aは一対の受け部材8の間に案内され、上蓋6が閉状態になると被係止突起31が係止突起32に係止されて、上蓋6は閉状態で保持されることとなる(図4及び図5)。このように、上蓋が閉じた状態で包装容器は出荷される。
【0018】
吸飲者が飲料を飲むときは、上蓋6の庇部34に指を掛けて上蓋6を開けようとすると、被係止突起31と係止突起32との係合が解除されて上蓋6を開状態にすることができる。注出筒部4の円筒部4aは、天面壁29から解放され、蛇腹部3の弾性復帰力によって、円筒部4aは傾倒した状態から直立した起立姿勢に回動する(図1〜図3)。この際、蛇腹部3の弾性復帰力は、主環状部20と副環状部21の伸縮変形した部分がもとの形状に戻ることによってなされる。
【0019】
容器本体9の開封時には、注出筒部4が直立した状態にあり、カッター4bの先(下)端部が、図3に示すように、開口形成部11の直上方に位置しており、吸飲者は円筒部4を押し下げることによって、注出筒部4のカッター4bの先端部が円形の薄肉部を突き破って開口17を形成する。カッター4bの先端は、開口形成部11との隙間が少なく形成されていることによって、開口17を形成する際に、押し込みストロークを小さくすることができる。また、注出筒部4を押し込むだけで開口17を形成するので、的(開口)を外すことがない。
【0020】
この開口17の形成にあたって、蛇腹部3は注出筒部4が下降したときに、蛇腹部3は全体として縮むが、図8に示すように、主環状部20と副環状部21の一部が伸びる(時には伸縮)。なお、図8では、最内側の主環状部20と副環状部21が伸びているが、それらの内側の環状部20,21が伸びるとは限らない。また、複数の主環状部20と副環状部21とがほぼ均等に伸縮することもありうる。
注出筒部4の下方への押し込み力が解除された後は、主環状部20と副環状部21の伸びた部分がもとの形状に戻ろうとする弾性復帰力によって、注出筒部4は、図9に示すように、上昇位置に復帰する。注出筒部4は、蛇腹部3によって支持されているので、注出筒部4の向きは360度の全ての方向に傾倒することができ、吸飲者の好む角度で注出筒部4から飲料を吸飲できる。
【0021】
このように吸飲者が飲料を飲もうとして、不用意に容器本体9を圧迫しても注出筒部4の下端が容器の内容液の中に深く入り込んでいないため、飲料が注出筒部4から飛び出すようなことがない。
吸飲者が、飲料の吸飲を中断するような場合は、注出筒部4を蓋部材6側へ傾倒させ、円筒部4aを保持部8に保持して、蓋部材6を注出開口4cに嵌合させればよい。
容器を使用していないとき、注出筒部4の円筒部4aの先端が蓋部材6に被われているので、注出筒部4の内部に埃などの異物が入ることがない。また、蓋部材6がヒンジ10により注出具1に一体成形で連結されているので、蓋部材6が分離することなく、使い勝手が良い。
また、注出筒部4の円筒部4aの全体が上蓋6に被われているので、汚れが付きにくい。また、上蓋6がヒンジにより注出具1に一体成形で連結されているので、上蓋6が分離することなく、使い勝手が良い。
【0022】
以上述べたように、本発明は、注出筒部4が直立した状態であっても、上蓋6を閉じるだけで、注出筒部4を傾倒させることができ、上蓋6を開状態にすると、注出筒部4がもとの直立した姿勢に、蛇腹部3の弾性復元力によって戻すことができる。このような包装容器は、注出筒部が蛇腹部3により保持されているため、ストローで突き刺すような従来のものと比べて、カッターを安定して確実に開口形成部に突き刺すことができる。
また、注出具1と容器本体9の接続部は基部2の溶着によって気密にされ、また、注出具1の基部2と蛇腹部3の連結部20aと蛇腹部3の注出筒部4との連結部20bは各々一体成形によって気密に連結されており、衛生的である。
上蓋6が蓋取付部5に薄肉部によるヒンジ結合で連結されているので、上蓋6の紛失がなく、上蓋6の回収の手間を省き、吸飲を中断したときには、上蓋6で注出具1内に注出筒部4を収容できるので、衛生的である。
【0023】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、蛇腹部3の主環状部20及び副環状部21を変形に対して弾性復帰させるようにしたが、上蓋6の回動に伴って注出筒部4が傾倒されるものであれば、主環状部20及び副環状部21については、変形に対する弾性復帰をしないものであってもよい。その場合は、注出筒部4の位置をもとに戻すために、人手によって行う。また、蛇腹部3を弾性復帰させない構造にするときには、注出筒部4の円筒部4aを受け部材8に保持させる構造にしてもよい。
上蓋6を係止させる受け部材8については、上蓋6の天面壁29に形成した被受け部材35の被係止突起31を係止するようにしたが、被係止突起31の位置については、周壁28の内周面に被係止突起を設けてもよい。この場合は、受け部材8の間隔を周壁28の間隔に対応させる必要がある。
【0024】
また、複数ある主環状部20について、各々を同じ断面形状に形成し、複数ある副環状部21について、各々を同じ断面形状に形成したが、主環状部20及び(又は)副環状部21の高さを変更し、蛇腹部3の段差の形状を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 注出具
2 基部
3 蛇腹部
4 注出筒部
4a 円筒部
4b カッター
5 蓋取付部
6 上蓋
7 受け部材取付部
8 受け部材
9 容器本体
10 ヒンジ
11 開口形成部
17 開口
20 主環状部
21 副環状部
23 間隙
31 被係止突起
32 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口形成部に溶着される環状の基部と、
一端側が該基部に連結されて前記基部から上方へ突出する伸縮可能な蛇腹部と、
該蛇腹部の他端側に外周面が連結された注出筒部とを備え、
該注出筒部は前記蛇腹部が連結された円筒部と該円筒部の下部に設けられたカッター部とからなり、
前記注出筒部を下降させて前記カッターにより前記開口形成部に開口を形成する注出具において、
前記基部の一側部に連結された蓋取付部と、
該蓋取付部にヒンジを介して連結された上蓋と、
前記蛇腹部を挟んで前記基部の一側部とは反対側に位置する他側部に連結され前記容器本体に沿って該基部の外方へ延びる受け部材取付部と、
該受け部材取付部に一定の間隔を空けて配設され、前記上蓋の閉時に該上蓋と係止する一対の受け部材とを備え、
前記上蓋の閉時に、前記注出筒部が前記上蓋の回動に伴って傾倒し、前記筒部が前記受け部材間へ案内されるようにしたことを特徴とする注出具。
【請求項2】
前記蛇腹部は断面が略逆U字形状の複数の主環状部と、
隣接主環状部の間には、外側の主環状部の内端と内側の主環状部の外端とを連結し、内側に隣接する主環状部が高くなるように段差を形成する断面が略J字形状の副環状部とを有し、
前記主環状部のうち、最外に位置する主環状部の外側端部に前記基部との連結部を設け、最内に位置する主環状部の内側端部に前記注出筒部との連結部を設け、
前記主環状部と副環状部には、前記上蓋材が閉状態から開状態に回動する際に、前記注出筒部を傾倒状態から起立姿勢に復帰させる弾性復帰力を付加するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の注出具。
【請求項3】
前記蓋取付部は、前記基部から上方へ突出し前記蛇腹部の周囲のほぼ半分領域を囲繞する支持壁を有し、
前記上蓋は前記支持壁の上端部に連結され、前記支持壁に対応する形状の切欠部を形成した周壁と、該周壁端に連結された天面壁とから形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の注出具。
【請求項4】
前記受け部材は前記受け部材取付部から上方に突出する一対の支柱からなり、各々の支柱の外側面には、前記上蓋を係止する係止部を形成し、前記上蓋の天面壁の内面には前記係止部に係止される係合部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注出具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−189011(P2010−189011A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32565(P2009−32565)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】