説明

洗浄剤組成物

【課題】皮膚等への刺激が少なく、泡質がクリーミーで、安定性に優れた浄剤組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)(a1)一般式(1)で表されるリン酸モノエステル系界面活性剤と(a2)一般式(2)で表されるリン酸ジエステル系界面活性剤との混合物であるリン酸エステル系界面活性剤:


(B)一般式(3) R4−COOM (3)で表される高級脂肪酸又はその塩;(C)炭素数6〜12のアルキル基もしくはアルケニル基を有する1種以上のグリセリルエーテルを含有する洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等に対する刺激が少なく、安定性及び起泡性に優れ、泡質がクリーミーで、かつ使用感が良好で、安定性にすぐれた洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸エステル系界面活性剤は、石鹸、アルキルエーテルサルフェート、アルキルサルフェート等に比べて皮膚や毛髪に対する刺激が低く、皮膚洗浄剤の成分として広く応用されている。またその特徴ゆえに、広範囲の他のアニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤との混合系などに応用されている。
【0003】
ところで、一般に、リン酸エステル系界面活性剤は、モノエスエルとジエステルの混合物として得られ、アルキルリン酸エステルには、水溶性が悪く起泡力も劣るジアルキルリン酸が混在している。これを洗浄剤主成分として単独で用いたのでは、一般に起泡力、泡質に問題が有るため、更に助剤を配合する方法がいくつか提案されている。そのなかで助剤として高級脂肪酸塩を添加する方法(特許文献1)は起泡力増強に優れた方法であるが、アルキルリン酸エステルの重量比が高く、高級脂肪酸塩の比率が低いこの方法では、高級脂肪酸塩(石鹸)のみと比較すると、まだまだ起泡力、泡質ともに満足できるものではなかった。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルに高級脂肪酸塩を添加する方法(特許文献2)も、起泡力、安定性といった点でまだまだ満足できるものではない。また、一方、助剤として炭素数6〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するグリセリルエーテルを用いる方法(特許文献3)は、モノアルキルリン酸エステル塩の場合には起泡力改善の点である程度効果があるが、モノアルキルリン酸エステル塩/ジアルキルリン酸エステル塩の比率が95/5未満であると、やはり高級脂肪酸塩のみを使用した場合と比較して起泡力、泡質の両方を満足することは困難である。また、高級脂肪酸塩単独使用は、上述のように起泡力、泡質といった泡性能は非常にすぐれているが、すすぎ時のきしみ感や洗い上がりのつっぱり感など皮膚刺激の点で問題があった。さらに、特許文献4には、リン酸モノエステルと高級脂肪酸塩とアルキルグリセリルエーテルの組合せが開示されているが、やはり、リン酸エステルの比が高く高級脂肪酸塩の比率が低いこれらの組合せは、起泡力、泡質といった点でまだまだ満足できるのもではなかった。
【特許文献1】特開昭57-49698号公報
【特許文献2】特開平1-316309号公報
【特許文献3】特開2001-107079号公報
【特許文献4】特開2005-206804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は皮膚等に対する刺激が少なく、起泡性に優れ、泡質がクリーミーで、使用感(すすぎ性、洗い上がりの感触)が良好で、安定性に優れた浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、リン酸エステル系界面活性剤を使用した洗浄剤組成物について、高級脂肪酸又はその塩とリン酸エステル系界面活性剤とを特定の比率で配合すると共にグリセリルエーテルを併用することにより、皮膚等に対する刺激が少なく、安定性、起泡性に優れ、泡質がクリーミーで、かつ使用感が良好な洗浄剤組成物が得られることを見いだした。また、このような組成であるため、配合時の製造が容易であった。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)および(C)を含有する洗浄剤組成物を提供するものである:
(A) (a1)一般式(1)で表されるリン酸モノエステル系界面活性剤と
(a2)一般式(2)で表されるリン酸ジエステル系界面活性剤
との混合物であって、その含有比率が重量比で(a1)/(a2)=90/10〜50/50であるリン酸エステル系界面活性剤:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、X1、X2、Yはそれぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示し、平均付加モル数k、m及びnはそれぞれ0〜10の数を示す);
(B)一般式(3)
4−COOM (3)
(式中R4は炭素数7〜17の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す)
で表される高級脂肪酸又はその塩;
(C)炭素数6〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有する1種以上のグリセリルエーテル
を含有し、成分(A)と成分(B)との含有比率が重量比で成分(B)/成分(A)=1.5超〜10未満である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は皮膚等に対する刺激が少なく、起泡性に優れ、泡質がクリーミーで、しかも洗浄時の使用感(すすぎ性、洗い上がりの感触)が良好で、安定性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に用いる低刺激性の基剤である成分(A)の一般式(1)及び(2)で表されるリン酸エステルにおいて、R1、R2及びR3としては炭素数10〜16、特に12〜14のアルキル基であるのが好ましく、X1、X2及びYはカリウム又はナトリウムのようなアルカリ金属原子、トリエタノールアミンが好ましく、特に水に対する溶解性の点からカリウムが好ましい。エチレンオキサイド平均付加モル数k、m及びnは起泡力の観点から0〜4モル、さらに0〜2、特に0〜1モルが好ましい。
【0011】
成分(A)中のアルキルリン酸モノエステル(a1)とアルキルリン酸ジエステル(a2)との含有比率は、配合の容易さの観点から、重量比(a1)/(a2)=90/10〜50/50であり、85/15〜60/40が好ましく、80/20〜70/30が更に好ましい。重量比(a1)/(a2)が50/50未満では起泡性が劣り、重量比(a1)/(a2)が90/10超ではアルキルリン酸エステル混合物の融点が高くなり配合が困難となる。
【0012】
成分(A)のリン酸エステル系界面活性剤の含有量は、泡立ち、洗浄力及び配合の容易さの観点から、本発明の洗浄剤組成物の1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%が更に好ましい。
【0013】
成分(A)は、例えば対応する脂肪族アルコール又は対応する脂肪族アルコールにエチレンオキシドを付加し、平均付加モル数0超〜10となったエトキシレートと、無水リン酸、オルトリン酸、ポリリン酸またはオキシ塩化リン酸等のリン酸化剤とを反応させ得られるリン酸エステル、又はそのリン酸エステルを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリで一部又は完全に中和することにより得られるリン酸エステル塩である。(a1)/(a2)は、脂肪族アルコールとリン酸化剤に含まれる水との比率でコントロールすることができる。
(a1)/(a2)=90/10〜50/50を得る方法としては、例えば反応時に無水リン酸と水を含むオルトリン酸を用いて、原料アルコールと水の比率を調整し直接的に(a1)/(a2)の比率をコントロールする方法や、(a1)/(a2)=100/0〜95/5のリン酸エステルと、(a1)/(a2)=50/50のリン酸エステルを適当な割合で混合する方法等がある。
【0014】
成分(B)の一般式(3)で表される高級脂肪酸又はその塩において、R4は好ましくは炭素数7〜17のアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムが好ましく、特に好ましくはカリウム又はナトリウムのようなアルカリ金属原子である。
【0015】
この高級脂肪酸塩は、洗浄剤組成物を製造する配合槽中で高級脂肪酸と塩基を中和反応せしめて調製しても良い。また、高級脂肪酸塩の一部はリン酸エステル塩の対イオンと塩交換を生じていても本発明の効果の妨げとはならない。
【0016】
成分(B)は成分(C)にない泡質改善効果、すなわち、クリーミーな泡質をもたらし、また、起泡性も向上させる。
【0017】
成分(B)の高級脂肪酸又はその塩は単独又は2種以上の混合物として使用することができる。成分(B)の含有量は、本発明の洗浄剤組成物の洗浄性、起泡性を与える点から、5〜35重量%が好ましく、5〜30重量%が更に好ましく、10〜25重量%が特に好ましい。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物において成分(A)と成分(B)の好ましい含有量は上記のとおりであるが、更に成分(A)と成分(B)の含有比率を重量比で成分(B)/成分(A)=1.5超〜10未満とすることが洗浄力、起泡力、泡質、泡の感触及び皮膚刺激性の点から重要である。成分(B)/成分(A)重量比は2〜9が好ましく、特に2〜5が好ましい。
【0019】
成分(C)のグリセリルエーテルは、炭素数6〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有するもので、例えばn−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基等の炭素数6〜12のアルキル基を有するものが好ましく、更に炭素数6〜11、特に炭素数6〜10、とりわけ炭素数8のアルキル基を1又は2個、特に1個有するのが好ましい。成分(C)のグリセリルエーテルは、1種以上を用いることができる。
成分(C)は安定性を維持し起泡力を向上させる効果がある。
成分(C)の配合量は、本発明の洗浄剤組成物に0.1〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%が更に好ましく、0.2〜1重量%が特に好ましい。
成分(C)は、例えば対応するグリシジルエーテルと水を100〜230℃で加水分解して得ることができる。
【0020】
成分(A)および(B)を重量比で成分(B)/成分(A)=1.5超〜10未満の割合で併用すること、さらに成分(C)を併用することにより、高級脂肪酸塩の刺激を、リン酸エステル系界面活性剤単独使用並の低刺激に変化させ、リン酸エステル系界面活性剤の欠点である起泡性が高級脂肪酸並に改善される。泡質はクリーミーとなり好ましい。また高級脂肪酸塩の比率が高いにもかかわらず、リン酸エステル系界面活性剤特有の使用感である、肌がつっぱらないということが認知され、使用感が良好である。更に本発明に由来して、製造時の配合が、粘度の上昇がなく、容易となる。
【0021】
本発明洗浄剤組成物は、洗顔剤、シャンプー、ボディシャンプー等の皮膚洗浄剤又は毛髪洗浄剤のような身体用洗浄剤として有用な洗浄剤組成物であるが、特に、洗顔剤、ボディーシャンプー等の皮膚洗浄剤として使用するのが好ましい。これらの洗浄剤組成物には、その目的に応じ任意成分を配合することができる。ここで、任意成分としては、通常これらの洗浄剤に配合される他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、コンディショニング成分などが挙げられる。
【0022】
他のアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸系界面活性剤、スルホサクシナメート系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセライド硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化アミノ酸塩、成分(A)以外のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ;非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキサイド、脂肪酸多価アルコールエステル等が挙げられる。またカチオン界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖のモノ又はジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩、モノ又はジ長鎖アルキル第3級アミン等が挙げられ;両性界面活性剤としては、アミドアミノ酸系活性剤、カルボベタイン系活性剤、スルホベタイン系活性剤、アミドスルホベタイン系活性剤、イミダゾリニウムベタイン系活性剤、アミノ酸系ベタイン活性剤、ホスホベタイン系活性剤等が挙げられる。
【0023】
コンディショニング成分としては、高級アルコール、シリコーン及びシリコーン誘導体、ラノリン、スクワレン、炭化水素、蛋白誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル等の油剤、カチオン化セルロース、カチオン化グアガムやマーコート550(ナルコ社製)、ソフトケアKG−301W[花王(株)製]等のカチオンポリマー等が挙げられる。
【0024】
また、洗浄剤組成物中に通常使用されるその他の成分、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等の多糖類等の水溶性高分子;ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、エタノール等の粘度調整剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホスホン酸塩類等のキレート剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;ビタミンやその前駆体等の有効成分;レシチン、ゼラチン等の動植物抽出物又はその誘導体;ナイロンやポリエチレン等のポリマー微粉体;グリチルリチン酸ジカリウム等の消炎剤;トリクロサン、トリクロロカルバン、オクトピロックス、ジンクピリチオン等の殺菌剤や抗フケ剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;パール化剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、色素、香料、水を本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、pH7〜11であるものが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、硬度が1〜30°DHの水と共に用いられるのが好ましい。また、ここで使用する水はpHが4〜9のものが好ましい。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物は、常法に従って製造できる。本発明の洗浄剤組成物の剤型について特に制限はなく、従来より公知の種々の剤型、例えば液体ボディシャンプー、クリーム状洗顔料等とすることができる。本発明の洗浄剤組成物は特に皮膚、毛髪等の身体用洗浄剤として好適である
【実施例】
【0026】
製造例1
500mLの反応容器に窒素雰囲気下で原料アルコール(ラウリルアルコール)187.3g(1.0モル)を加え、85重量%のオルトリン酸31.9g〔P2O5・nH2Oとして表すとP2O5 19.6g(0.14モル)H2O 12.3g(0.68モル)〕を加え35℃にて攪拌・混合した。更に五酸化リン(有効分98.5重量%)62.1g(0.43モル)を攪拌しながら60分間で徐々に添加した。温度は65℃まで上昇し、更に昇温し80℃で12時間反応を行った。更に水を10.0g加え80℃で3時間加水分解を行って得られたリン酸エステルを水酸化カリウムで中和して表1に示すラウリルホスフェートK塩(モノラウリル体/ジラウリル体=80/20)を得た。
【0027】
製造例2
製造例1と同様にして、モノラウリル体/ジラウリル体=60/40になるように、ラウリルアルコールに対する水の量を調節し、反応させ、表1に示すラウリルホスフェートK塩(モノラウリル体/ジラウリル体=60/40)を得た。
【0028】
製造例3
製造例1と同様にして、モノラウリル体/ジラウリル体=70/30になるように、ラウリルアルコールに対する水の量を調節し、反応させ、得られたリン酸エステルをトリエタノールアミンで中和し、表1に示すラウリルホスフェートトリエタノールアミン塩(モノラウリル体/ジラウリル体=70/30)を得た。
【0029】
製造例4
500mLの反応容器に窒素雰囲気下で原料アルコール(ラウリルアルコール、EO=平均1モル付加品)230.4g(1.0モル)を加え、85重量%のオルトリン酸31.9g〔P2O5・nH2Oとして表すとP2O5 19.6g(0.14モル)H2O 12.3g(0.68モル)〕を加え35℃にて攪拌・混合した。更に五酸化リン(有効分98.5重量%)62.1g(0.43モル)を攪拌しながら60分間で徐々に添加した。温度は65℃まで上昇し、更に昇温し80℃で12時間反応を行った。更に水を10.0g加え80℃で3時間加水分解を行って得られたリン酸エステルを水酸化カリウムで中和して表1に示すポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルホスフェートK塩(モノラウリル体/ジラウ
リル体=80/20)を得た。
【0030】
製造例5
製造例1と同様にして、ラウリルアルコール、EO=平均1モル付加品をミリスチルアルコール、EO=平均1モル付加品に変え、モノミリスチル体/ジミリスチル体=85/15になるように、ミリスチルアルコール、EO=平均1モル付加品に対する水の量を調節し、反応させ、表1に示すポリオキシエチレン(1)ミリスチルエーテルホスフェートK塩(モノミリスチル体/ジミリスチル体=85/15)を得た。
【0031】
製造例6
製造例1と同様にして、ラウリルアルコール、EO=平均1モル付加品をラウリルアルコール、EO=平均2モル付加品に変え、モノラウリル体/ジラウリル体=75/25になるように、ラウリルアルコール、EO=平均2モル付加品に対する水の量を調節し、反応させ、表1に示すポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルホスフェートK塩(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)を得た。
【0032】
製造例7
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル208g、水104.8g、ラウリン酸5.82g及び水酸化カリウム18.5gをオートクレーブに入れ、140℃で5時間攪拌した。減圧下(6.67kPa)、100℃で脱水後、ラウリン酸9.7g及び水酸化カリウム2.72gを加え、160℃で15時間反応し、その後減圧蒸留(53〜67Pa、120〜123℃)により精製して表1に示す2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを得た。
【0033】
製造例8
製造例7と同様にして、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルをn−オクチルグリシジルエーテルに変えて、表1に示すn−オクチルグリセリルエーテルを得た。
【0034】
実施例1〜8及び比較例1〜7
表1に示す組成の洗浄組成物を、各成分を70℃で混合して製造(pHを9に調整)し、起泡性、泡質、すすぎ性、洗い上がりの感触、低刺激性及び安定性を評価した。結果を表1に示す。
(1)起泡性、泡質、すすぎ性、洗い上がりの感触及び低刺激性
常法に従って調製した洗浄組成物を手のひらに洗浄剤1gを塗布して手、腕を洗浄したときの起泡性、泡質、すすぎ性、洗い上がりの感触及び低刺激性を専門パネラー10名により下記の評価基準に従いを評価した。
(起泡性)
4:泡量が非常に多い。
3:泡量が多い。
2:泡量がやや少ない。
1:泡量が少ない。
(泡質)
4:きめ細かく、かつ非常にクリーミーで良好な泡質。
3:クリーミーで良好な泡質
2:ややクリーミーな泡質
1:軽く粗い泡質。
(すすぎ性)
4:きしまず、すすぎ性良好。
3:ほとんどきしまず、すすぎ性やや良好
2:ややきしみ、すすぎ性やや悪い
1:きしみ、すすぎ性悪い
(洗いあがりの感触)
4:洗いあがりのつっぱり感が無く使用感良好。
3:洗いあがりのつっぱり感がほとんど無く使用感やや良好
2:洗いあがりのつっぱり感がややあり使用感やや悪い
1:洗いあがりのつっぱり感があり使用感悪い
ランク
A:平均評点が3.5以上
B:平均評点が2.5以上、3.5未満
C:平均評点が1.5以上、2.5未満
D:平均評点が1.5未満
(低刺激性)
A:全ての人が刺激を感じなかった。
B:1名以上2名以下の人が刺激を感じたが、許容できる弱い刺激であった。
C:1名以上2名以下の人が刺激を感じたが、許容できない強い刺激であった。
D:3名以上の人が刺激を感じた。
【0035】
(2)安定性
洗浄組成物をガラスビンに入れ、20℃で1ヶ月間保存後、外観を次の基準で肉眼評価した。
◎:透明。
○:かすかに濁る。
△:やや濁る。
×:沈殿を生じ分離。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例9〜11
下記の処方で、洗顔料、全身洗浄料を製造した。いずれも、低刺激であり、使用する水のpHが4〜9の全ての領域においても、また、使用する水の硬度が1〜30°DHの全ての領域においても、起泡性が良好で、泡質がクリーミーであり、すすぎ性、洗い上がりの感触が良好で安定性の良いものであった。
【0038】
実施例9(洗顔料)
(成 分) (重量%)
ラウリルホスフェートK塩 2.0
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルホスフェートK塩 a) 6.0
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ラウリン酸K塩 10.0
ミリスチン酸K塩 7.0
パルミチン酸K塩 7.0
ジプロピレングリコール 10.0
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.5
ソルビット液 10.0
塩化ナトリウム 0.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.1
BHT 0.2
香料 0.05
精製水 バランス
計 100.00
a)( )内はエチレンオキシド平均付加モル数を示し、一般式(1)及び(2)の k=m=n=1である化合物。
【0039】
実施例10(ボディシャンプー)
(成 分) (重量%)
ラウリルホスフェートK塩 1.3
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルホスフェートK塩 a) 3.8
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ラウリン酸K塩 6.0
ミリスチン酸K塩 4.5
パルミチン酸K塩 4.5
ジプロピレングリコール 0.7
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.3
ラウロイルヒドロキシスルホベタイン 10.0
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(160EO) 2.0
グリセリン 5.0
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−
ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重
合体4重量%水溶液 b) 2.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.2
BHT 0.2
香料 0.05
精製水 バランス
計 100.00
a) ( )内はエチレンオキシド平均付加モル数を示し、一般式(1)及び(2)の k=m=n=1である化合物。
b)ソフケアKG−301W;花王(株)製
【0040】
実施例11(ボディシャンプー)
(成 分) (重量%)
ラウリルホスフェートトリエタノールアミン塩 1.3
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルホスフェートトリエタノール
アミン塩 a) 3.8
(モノラウリル体/ジラウリル体=75/25)
ラウリン酸トリエタノールアミン塩 6.0
ミリスチン酸トリエタノールアミン塩 4.5
パルミチン酸トリエタノールアミン塩 4.5
ジプロピレングリコール 0.7
n−オクチルグリセリルエーテル 0.3
ラウロイルヒドロキシスルホベタイン 10.0
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(160EO) 2.0
グリセリン 5.0
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−
ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共
重合体4重量%水溶液 b) 2.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.2
BHT 0.2
香料 0.05
精製水 バランス
計 100.00
a) ( )内はエチレンオキシド平均付加モル数を示し、一般式(1)及び(2)の k=m=n=1である化合物。
b)ソフケアKG−301W;花王(株)製

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)および(C)
(A) (a1)一般式(1)で表されるリン酸モノエステル系界面活性剤と
(a2)一般式(2)で表されるリン酸ジエステル系界面活性剤
との混合物であって、その含有比率が重量比で(a1)/(a2)=90/10〜50/50であるリン酸エステル系界面活性剤:
【化1】

(式中R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、X1、X2、Yはそれぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示し、平均付加モル数k、m及びnはそれぞれ0〜10の数を示す);
(B)一般式(3)
4−COOM (3)
(式中R4は炭素数7〜17の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す)
で表される高級脂肪酸又はその塩;
(C)炭素数6〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有する1種以上のグリセリルエーテル
を含有し、成分(A)と成分(B)との含有比率が重量比で成分(B)/成分(A)=1.5超〜10未満である洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)を1〜15重量%含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)を5〜35重量%含有する請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−297618(P2007−297618A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100161(P2007−100161)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】