説明

洗浄剤

【課題】多価アルコールを多量に含有し、洗浄後のしっとりと潤った洗い上がりを実現しながら、洗浄料の粘度が低く、フォーマー容器に充填して用いても、低温でもきめ細かい良好な泡が得られる洗浄剤を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)〜(E):
(A)硫酸基を有するアニオン界面活性剤、
(B)高級脂肪酸塩、又はエーテルカルボン酸型界面活性剤、
(C)IOB値が3.4以上6未満である多価アルコール、
(D)IOB値が0.1以上3.4未満である、多価アルコール又は一般式(1)で表されるアルコール、
1−(OCH2CH2n−OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは2〜200の数を示す)
(E)水
を含有し、成分(A)〜(D)の質量割合が、
{(A)+(B)}=1〜10質量%、
(C)=30〜60質量%、
(D)/(C)=0.01〜1、
である洗浄料を、フォーマー容器に充填した洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚洗浄剤には、主成分として、高気泡性という特徴によりアルキル硫酸塩やスルホン酸塩、高級脂肪酸塩などのアニオン界面活性剤が広く利用されている。しかし、これらのアニオン界面活性剤は、洗浄後にさっぱりした感触が得られるものの、つっぱりやかさつきを感じるという問題があった。洗浄後のつっぱり感を低減し、しっとりした潤いを与える方法として、多価アルコールを高配合した洗浄剤を泡立てずに直接肌に塗布し、洗い流す皮膚洗浄方法(特許文献1)が提案されている。しかしながら、皮膚洗浄剤においては、泡立ててから泡状の剤を顔に塗布してマッサージしながら洗浄するのが一般的であるため、泡立てずに直接塗布するという本来の使用方法がなされず、十分な効果が発揮されない場合が多かった。
【0003】
一方、洗浄料組成物をフォーマー容器に充填し、泡状に吐出させて使用する「泡タイプ洗浄料」が、キメ細かい泡でマッサージしながら洗浄することが可能で皮膚への摩擦が少ないこと、手で剤を泡立てるよりも簡便であることから広く用いられている。泡タイプ洗浄料も、フォーマー容器から吐出された泡を皮膚に直接塗布して使用されるものであるため、洗浄料中に多価アルコールを配合すれば、洗浄後にしっとりした潤いを得ることが期待される。
しかしながら、洗浄料に多価アルコールを高配合すると、組成物の粘度が上昇し、フォーマー容器に用いる場合には、泡の吐出性が悪くなってしまう。特に低温で泡のきめが粗く、保形性が悪くなるという問題があった(特許文献2、特許文献3)。このため、フォーマー容器に充填する洗浄料組成物に多価アルコールを高配合することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−172168号公報
【特許文献2】特開2004−137247号公報
【特許文献3】特開2008−94903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多価アルコールを多量に含有し、洗浄後のしっとりと潤った洗い上がりを実現しながら、洗浄料の粘度が低く、フォーマー容器に充填して用いても、低温でもきめ細かい良好な泡が得られる洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定のアニオン界面活性剤を組み合わせるとともに、IOB値が異なる多価アルコール等を組み合わせて用いることにより、前記課題を解決した洗浄剤が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、下記の成分(A)〜(E):
(A)硫酸基を有するアニオン界面活性剤、
(B)高級脂肪酸塩、又はエーテルカルボン酸型界面活性剤、
(C)IOB値が3.4以上6未満である多価アルコール、
(D)IOB値が0.1以上3.4未満である、多価アルコール又は一般式(1)で表されるアルコール、
1−(OCH2CH2n−OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは2〜200の数を示す)
(E)水
を含有し、成分(A)〜(D)の質量割合が、
{(A)+(B)}=1〜10質量%、
(C)=30〜60質量%、
(D)/(C)=0.01〜1、
である洗浄料を、フォーマー容器に充填した洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤は、多価アルコールを多量に含有し、洗浄後のしっとりと潤った洗い上がりを実現しながら、洗浄料の粘度が低く、フォーマー容器に充填して用いても、低温でもきめ細かい良好な泡が得られ、洗浄力及び安定性にも優れたものである。
また、本発明の洗浄剤は、フォーマー容器から吐出した泡をそのまま直接皮膚に塗布して使用できるため、高濃度の多価アルコールを含有する洗浄料の処方の特性を生かすことができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)のアニオン界面活性剤は、硫酸基を有するものである。
かかるアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩などが挙げられる。これらは、炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。これらのうち、低刺激性という点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルが好ましく、特に、ポリオキシエチレン(平均付加モル数0.5〜8)アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
また、成分(A)の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム、モノ、ジ又はトリ炭素数2〜3アルカノールアミン;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0010】
本発明で用いる成分(B)は、高級脂肪酸塩、又はエーテルカルボン酸型界面活性剤である。
高級脂肪酸は、炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。
また、エーテルカルボン酸型界面活性剤は、ポリオキシエチレン鎖又はグリコールエーテル単位を介して、疎水基とカルボキシル基とを有する化合物群であり、例えば、アルキルエーテル酢酸又はその塩、アルキルヒドロキシエーテル酢酸又はその塩、アルキルアミドエーテル酢酸又はその塩が挙げられる。それぞれ、以下の一般式で表されるものである。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R2、R3及びR4はそれぞれ炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示す)
【0013】
また、成分(B)の塩としては、成分(A)の塩と同様のものが挙げられ、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム、モノ、ジ又はトリ炭素数2〜3アルカノールアミン;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
成分(B)としては、起泡性が高く洗浄中の泡の維持が良好であるという点で、高級脂肪酸塩が好ましく、特に炭素数10〜18の高級脂肪酸塩が好ましい。
【0014】
本発明においては、(A)硫酸基を有するアニオン界面活性剤と、(B)高級脂肪酸塩、又はエーテルカルボン酸型界面活性剤を組み合わせて用いることにより、フォーマー容器からきめ細かい泡を吐出させることができる。
本発明において、洗浄料中における成分(A)と(B)の含有量は、それぞれ0.5〜10質量%、更に1〜4質量%、特に1.5〜3質量%が好ましい。
【0015】
また、洗浄料中における成分(A)と(B)の含有量は、合計で1〜10質量%であり、好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜5質量%である。成分(A)と(B)の合計含有量が1質量%以上で洗浄力と泡の維持性能が良好であり、10質量%以下で低温でのフォーマー容器からの泡の吐出性、低温保存時における安定性に優れる。
また、成分(A)と(B)の質量割合は、(A)/(B)が0.1以上で低温保存時における安定性が良好であり、9以下で洗浄後のしっとりした潤い感が得られる。更にさっぱり感としっとり感の両立の観点から(A)/(B)=0.1〜4が好ましく、特に好ましくは0.15〜3であり、より好ましくは0.2〜2である。
【0016】
本発明で用いる成分(C)の多価アルコールは、IOB値が3.4以上6未満のものである。かかる多価アルコールを用いることにより、洗い上がりのしっとりとした潤い感を実現することができる。
ここで、IOBとは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域 Vol.11,No.10(1957)719−725)に基づき求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、次式により求められる。
【0017】
【数1】

【0018】
成分(C)の具体例としては、グリセリン(IOB=5.0);ソルビトール(IOB=5.0)、スクロース(IOB=4.4)、マルチトール(IOB=4.4)、マンニトール(IOB=5.0)、キシリトール(IOB=5.0)等の糖アルコール;ポリオキシエチレン(20)メチルグリコシド(IOB=3.4)等のポリオキシエチレングリコシド誘導体などが挙げられる。これらのうち、使用後の肌感触が良好である点で、グリセリン、ソルビトール、ポリオキシエチレングリコシド誘導体が好ましい。特に、グリセリン、ソルビトールを用いた場合には、使用後の肌感触がべたつかず、かつ、しっとりとした潤い感が感じられる。
【0019】
本発明において、洗浄料中の成分(C)の含有量は、30〜60質量%である。30質量%以上で洗い上がりの潤い感が良好であり、60質量%以下で低温でのフォーマー容器からの泡の吐出性に優れる。更に、泡の吐出性と洗浄後の潤い感の両立という点で、35〜50質量%が好ましく、特に38〜48質量%が好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(D)の多価アルコール及び前記一般式(1)で表されるアルコールは、IOB値が0.1以上3.4未満のものである。
かかる多価アルコール又はアルコールは、成分(C)の多価アルコールと組み合わせることで、洗浄料の液粘度、特に低温での液粘度を低下させることができ、フォーマー容器からきめの細かい良質な泡を得ることができる。
成分(C)の多価アルコールは、多価アルコールのうちでも特に高い保湿効果が得られるが、洗浄料に配合すると、粘度が高くなって、低温で吐出させた泡のきめが粗くなってしまうため、単独で多量に配合することは困難である。本発明においては、成分(C)とともに成分(D)を組み合わせることにより、洗浄料の粘度を低くすることができ、成分(C)の多価アルコールも多量に配合することが可能である。
【0021】
成分(D)の具体例としては、直鎖または分岐鎖型のグリコール、モノアルキルモノ、ジ、またはトリアルキルグリコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。これらのうち、1,3−ブチレングリコール(IOB=2.5)、イソプレングリコール(IOB=2.0)、プロピレングリコール(IOB=3.3)、ジプロピレングリコール(IOB=1.8)等の炭素数が2〜10のグリコール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(IOB=1.6)、分子量が100〜1万のポリプロピレングリコール、分子量が100〜1万のポリエチレングリコール、オキシエチレンの平均付加モル数が4〜20のポリオキシエチレンジグリセリルエーテルが好ましく、特にイソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0022】
本発明において、洗浄料中の成分(D)の含有量は、合計で0.5〜30質量%、更に1〜15質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
また、成分(D)の含有量は、成分(C)との質量割合で決定され、(D)/(C)=0.01〜1であるのが、多価アルコール(C)及び(D)の組み合わせによる洗浄料の粘度低下の効果が大きく、フォーマー容器から得られる泡がきめ細かく、視認性が良好である。更に、洗浄料の粘度を低下させる効果が高いという点で、質量割合(D)/(C)=0.05〜0.8が好ましく、特に0.1〜0.5が好ましい。
【0023】
また、成分(D)のうち、(D1)IOB値が0.1以上1.8未満である多価アルコールと、(D2)IOB値が1.8以上3.4未満である多価アルコールを組み合わせて用いるのが、洗浄料の液粘度を低下させる効果がより大きくなり、成分(D1)のみを含有するときに比べて、低温における沈殿の生成や溶液の濁りを抑制することができ、好ましい。
(D1)の具体例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、分子量400以上のポリプロピレングリコール等が挙げられ、特に、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(IOB=1.6)、ポリプロピレングリコール−9(IOB=0.67)が好ましい。
また、(D2)の具体例としては、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量が400未満のポリプロピレングリコール、分子量が100〜1万のポリエチレングリコール等が挙げられ、特に、イソプレングリコール(IOB=2.0)、1,3−ブチレングリコール(IOB=2.5)が好ましい。
【0024】
成分(D1)と(D2)の質量割合は、(D1)/(D2)が9以下で低温での保存時における沈殿の生成や溶液の濁りが起こりにくくなり、0.1以上で洗浄料の液粘度を減粘する効果が十分となる。更には、(D1)/(D2)=0.2〜5であることが好ましく、特に0.4〜1が好ましい。
【0025】
本発明で用いる洗浄料は、更に、(F)両性界面活性剤を含有することができ、洗浄中の泡の維持性能を向上させ、マッサージ感を良好にすることができる。
かかる両性界面活性剤の具体例としては、炭素数7〜23の炭化水素基を有する、カルボベタイン系、スルホベタイン系、イミダゾリウムベタイン系、アミドベタイン系、ホスホベタイン系、アミンオキサイド系等の両性界面活性剤が好ましい。これらのうち、更に、カルボベタイン系、スルホベタイン系、アミドベタイン系、アミンオキサイド系が好ましく、特に、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
【0026】
成分(F)は洗浄料中に1〜20質量%含有するのが好ましく、更に3〜15質量%、特に7〜13質量%含有するのが好ましい。成分(F)が20質量%以下の場合で、洗浄料の粘度が低く、フォーマー容器から吐出される泡のきめが細かく良好であり、1質量%以上で泡の維持性が向上する効果が顕著で、洗浄中の泡によるマッサージ感が良好になる。
【0027】
本発明で用いる洗浄料は、更に、(G)グルコース骨格を有する非イオン界面活性剤を含有することができ、洗浄力を向上させることができる。成分(G)の具体例としては、下記一般式(2)で表わされるアルキルグリコシドが挙げられる。
【0028】
5−(OR6x−Gy (2)
〔式中、R5は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基又はアルキルフェニル基を示し、R6は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gはグルコース骨格の残基を示し、xはその平均値が0〜5となる数を、yはその平均値が1〜10となる数を示す〕
【0029】
溶解性、起泡性及び洗浄性より、R5は炭素数10〜14が好ましい。更に、R6は炭素数2〜4のアルキレン基であるが、水に対する溶解性などの点から、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。
成分(G)は、洗浄料中に0.5〜5質量%、更に0.8〜4質量%、特に1〜3質量%含有するのが、洗浄力の向上が顕著であるので、好ましい。
【0030】
本発明で用いる洗浄料は、更に、(H)分岐アルキル基を有する非イオン界面活性剤を含有することができ、低温保存時における沈殿の生成や溶液の濁りを抑制することができる。
具体的には、モノ、ジ、トリ脂肪酸ポリオキシアルキレングリセリル、ポリオキシエチレンヒマシ油(硬化ヒマシ油含む)、モノ、ジ、トリ脂肪酸ポリオキシエチレンヒマシ油(硬化ヒマシ油含む)などが挙げられる。これらの中の脂肪酸としては、炭素数6〜22の分岐アルキル基を有するものが好ましい。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが挙げられ、ポリオキシエチレンが好ましい。更に、脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましく、特に、ポリオキシエチレンの繰り返し単位の合計が平均3〜30である、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましい。
成分(H)は、洗浄料中に0.1〜3質量%、更に0.1〜2質量%、特に0.2〜1質量%含有するのが、洗浄料の低温における安定性を改善することができ、好ましい。
【0031】
本発明において、(E)水は、洗浄料中に30〜60質量%、特に40〜50質量%含有するのが好ましい。この範囲内であれば、低温においてフォーマー容器から吐出される泡のきめが細かく、洗い上がりのしっとりした潤い感を得ることができる。
【0032】
本発明で用いる洗浄料には、前記成分以外に、必要に応じて、更に通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、ラノリン及びその誘導体、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類、やし油等のトリグリセライドなどの油分;ポリグリセリン脂肪酸エステル等の保湿剤;トリクロサン、トリクロロカルバニリド等の殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等のキレート剤;クエン酸、コハク酸等のpH調整剤;塩化ナトリウム等の塩類;その他パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを、本発明の効果を損わない範囲において配合することができる。
【0033】
本発明で用いる洗浄料は、通常の方法により、全成分を混合することにより製造することができる。5℃における粘度は、60mPa・s以下であるのが好ましく、更に5〜50mPa・s、特に5〜30mPa・sであるのが、フォーマー容器から吐出する泡がきめ細かく、保形性が良好であるので好ましい。
なお、本発明において、粘度は、5℃においてB型(ブルックフィールド)粘度計を用いて、所定の回転数(100mPa・s以下は60rpm、100mPa・s以上は30rpm)、測定時間1分にて測定される。
【0034】
このようにして得られた洗浄料は、フォーマー容器に充填される。フォーマー容器は多孔質膜を有するもので、多孔質膜としては、例えばスポンジ、焼結体、ネットなどが挙げられる。これらの多孔質膜のうち、膜に付着残存した洗浄液が、乾燥固化して目詰まりを起こした場合、次回の吐出時に泡の流れによって、直ちに固化物を溶解して目詰まりを解消できることから、薄肉であるネットが好ましい。ネットとしては、50〜500メッシュのものが好ましく、特に200〜400メッシュのものが、良好な泡を生成するため好ましい。また、このようなメッシュの材質として好ましいものとしては、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。
容器には、このような膜が複数枚あることが好ましく、特に経済性、泡の安定性等の点から2枚であるのが好ましい。
【0035】
また、フォーマー容器としては、一定量の洗浄液を一定量の空気と混合し、泡状態として吐出させるものであればいずれでもよく、例えば実開昭58−174272号公報、実開昭62−42787号公報、特公昭52−16567号公報等に記載されている軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー;例えば実開平3−7963号公報、実開昭62−103458号公報、特開平7−315463号公報等に記載されているポンプ機構を備えたキャップの頭を手指で押圧することにより使用されるポンプフォーマーが挙げられる。
【0036】
本発明の洗浄剤は、洗顔フォーム、クレンジングフォーム、メイク落としフォーム、シェービングフォーム、シャンプーフォーム、身体洗浄フォーム等にすることができる。特に、クレンジングフォーム、メイク落としフォームとして有用である。
【0037】
本発明の洗浄剤は、フォーマー容器から吐出させた泡を手に取り、水で希釈せずにそのまま皮膚に直接塗布し、よくなじませてマッサージした後、水ですすぎ流すことにより使用される。
【実施例】
【0038】
実施例1〜19、比較例1〜9
表1及び2に示す組成の液体洗浄料組成物を調製し、フォーマー容器(160mL〔YF−9413、吉野工業社製〕)に充填して、洗浄剤を製造した。得られた洗浄剤について、液粘度、低温での吐出性、低温での溶液状態、洗浄後の肌感触、洗浄中の泡の維持、及び洗浄力を下記の方法により評価した。結果を表1及び2に併せて示す。
【0039】
(評価方法)
(1)液粘度:
5℃において、B型(ブルックフィールド)粘度計(TVB−10形粘度計、東機産業株式会社製)で、ローターBM No.1を用い、所定の回転数(100mPa・s以下は60rpm、100mPa・s以上は30rpm)で、測定時間1分にて液粘度を測定した。
【0040】
(2)低温での吐出性:
専門評価者10名に、5℃においてフォーマー容器から吐出された泡の状態を、以下の(I)5段階評価基準で目視により評価し、評点の平均値を持って(II)4段階判定基準に従い、低温での泡の吐出性を判定した。
【0041】
(I)5段階評価基準;
評点4;泡のきめが細かく、全体的に均一である。
評点3;泡のきめは細かいが、わずかに粗い気泡が混ざる。
評点2;泡のきめは細かいが、やや粗い気泡が混ざる。
評点1;泡のきめが細かいが、多くの粗い気泡が混ざる。
評点0;泡のきめが粗い。
(II)4段階判定基準;
◎;評点平均3.0以上。
○;評点平均2.0以上3.0未満。
△;評点平均1.0以上2.0未満。
×;評点平均1.0未満。
【0042】
(3)低温での溶液状態:
各洗浄料を−5℃で1週間保存した後、目視により評価し、以下の4段階判定基準に従い、判定した。
◎;析出や濁りが発生しない。
○;わずかに溶液が濁るが半透明の状態。
△;濁りが強いが、目視では分離物が確認されない。
×;析出などの分離物が目視で確認される。
【0043】
(4)洗浄後の肌感触:
専門評価者10名に洗浄剤を実際に使用してもらい、洗浄後の肌の感触を以下の(I)5段階評価基準で官能評価し、評点の平均値を持って(II)4段階判定基準に従い、肌感触を判定した。
【0044】
(I)5段階評価基準;
評点4;うるおい感を感じる。
評点3;少しうるおい感を感じる。
評点2;ややうるおい感を感じる。
評点1;わずかにうるおい感を感じる。
評点0;うるおい感を感じない。
(II)4段階判定基準;
◎;評点平均3.0以上。
○;評点平均2.0以上3.0未満。
△;評点平均1.0以上2.0未満。
×;評点平均1.0未満。
【0045】
(5)洗浄中の泡の維持:
専門評価者10名に各洗浄剤を実際に使用してもらい、マッサージのときの泡の感触が良いと答えた評価者の人数により、以下の評価基準に従って判定した。
◎;8名以上。
○;6〜7名。
△;3〜5名。
×;2名以下。
【0046】
(6)洗浄力(メイク落ち):
油性固形口紅を10mg/5cm2 の割合で塗布した前腕部を、フォーマー容器より吐出させた泡1gで30秒間洗浄し、残留した口紅の量を、以下の評価基準に従って目視にて判定した。
◎;ほぼ完全に落ちる。
○;ほぼ落ちる。
△;やや落ちる。
×;全く落ちない。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)〜(E):
(A)硫酸基を有するアニオン界面活性剤、
(B)高級脂肪酸塩、又はエーテルカルボン酸型界面活性剤、
(C)IOB値が3.4以上6未満である多価アルコール、
(D)IOB値が0.1以上3.4未満である、多価アルコール又は一般式(1)で表されるアルコール、
1−(OCH2CH2n−OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは2〜200の数を示す)
(E)水
を含有し、成分(A)〜(D)の質量割合が、
{(A)+(B)}=1〜10質量%、
(C)=30〜60質量%、
(D)/(C)=0.01〜1、
である洗浄料を、フォーマー容器に充填した洗浄剤。
【請求項2】
成分(C)が、グリセリン又はソルビトールであり、含有量が30〜60質量%である請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
成分(D)が、
(D1)IOB値が0.1以上1.8未満である多価アルコール、及び
(D2)IOB値が1.8以上3.4未満である多価アルコール
である請求項1又は2記載の洗浄剤。
【請求項4】
成分(D1)/(D2)=0.2〜5である請求項3項記載の洗浄剤。
【請求項5】
5℃における洗浄料の粘度が、60mPa・s以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の洗浄剤。
【請求項6】
更に、(F)両面界面活性剤を含有する請求項1〜5の何れか1項記載の洗浄剤。
【請求項7】
更に、(G)グルコース骨格を有する非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜6の何れか1項記載の洗浄剤。
【請求項8】
更に、(H)分岐アルキル基を有する非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜7の何れか1項記載の洗浄剤。

【公開番号】特開2011−12034(P2011−12034A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159736(P2009−159736)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】