説明

洗浄物の受渡し機構

【課題】人手によるハンドリング作業を軽減し、ハンドリングによる汚染を減らした洗浄物の受渡し機構を提供する。
【解決手段】被洗浄物15を保持する内カゴ10と、サイクリックな循環過程により、セットされた内カゴ10を搬送する循環移動台20と、循環移動台20により搬送された内カゴ10を、一時仮置きする置き台30−0〜4と、内カゴを上下に移動させる昇降台40と、昇降台40の内カゴ10を受け取り搬送する搬送治具50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物を洗浄装置に受け渡しする機構に係り、詳しくは、人手によるハンドリング作業を軽減し、ハンドリングによる汚染を減らした洗浄物の受渡し機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来電子機器用のガラス基板等を洗浄する場合、被洗浄物が挿入された内カゴを、人手により複数個まとめて搬送治具内に配置し、さらにその搬送治具を洗浄装置の搬入口まで運んでセットしていた。この場合、内カゴを複数個まとめて搬送治具内にセットする時と、その搬送治具を洗浄装置の受渡し口まで運んでセットする時の2回、人手を介することになり、汚染源の付着の機会がそれだけ増える状況にあった。また、セットする内カゴの個数が増すにつれ、運搬する搬送治具全体の重量が増加するため、作業負担が増加する要因となっていた。
【0003】
特許文献1には、二列に併設された複数の処理ユニットと、一方の列の処理ユニットの上部に配置された洗浄ユニット及び下部に配置された搬入搬出機構と、洗浄ユニットに未処理の被洗浄物を供給する第1の受け渡し手段と、洗浄ユニットで洗浄処理された被洗浄物を受けて搬入搬出機構に受け渡す第2の受け渡し手段と、一方の列の処理ユニットと隣り合う他方の列の処理ユニットの下部に配置され第2の受け渡し手段から被処理物を受けた搬入搬出機構によってその被処理物が搬入及び搬出される、旨の記載がある。
【0004】
【特許文献1】特許第3999552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、人手によるハンドリング作業を軽減し、ハンドリングによる汚染を減らした洗浄物の受渡し機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄物の受渡し機構は、被洗浄物を洗浄装置と受け渡しする洗浄物受渡し機構であって、被洗浄物を保持する内カゴと、サイクリックな循環過程により、セットされた内カゴを搬送する循環移動台と、循環移動台により搬送された内カゴを、一時仮置きする置き台と、内カゴを上下に移動させる昇降台と、昇降台の内カゴを受け取り搬送する搬送治具とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の洗浄物の受渡し機構の昇降台は、搬送治具又は置き台と内カゴを受渡しする時の速度は、受渡し前後におけるストロークの長い上下動速度に比べ、低速であることを特徴とする。
【0008】
本発明の洗浄物の受渡し機構の搬送治具は、内カゴを傾斜して保持し、搬送する手段を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の洗浄物の受渡し機構の搬送治具は、内カゴを複数個保持して搬送する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人手によるハンドリング作業を削減し、且つこれによるハンドリング汚染の発生をなくした。これにより、クリーンで作業性の良い洗浄物の受渡し機構を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による洗浄物の受渡し機構の構成を示す構成図である。図1において、洗浄物の受渡し機構100は、被洗浄物15を保持する内カゴ10と、サイクリックな循環過程によりセットされた内カゴ10を搬送する循環移動台20と、循環移動台20により搬送された内カゴ10を、一時仮置きする置き台30−1〜30−4と、内カゴ10を上下に移動させる昇降台40と、昇降台40の内カゴ10を受け取り搬送する搬送治具50とを有している。
【0012】
再び図1において、被洗浄物15が挿入された内カゴ10は、最初に人手により、内カゴ10が置き台30−0にセットされると、循環移動台20の上部は上昇を開始する(矢印1)。次に所定の位置まで上昇すると、横方向に移動を開始する(矢印2)。置き台30−1の位置まで移動すると、降下を開始する(矢印3)。置き台30−1に内カゴ10をセットし終えると元の位置まで復帰する(矢印4)。
【0013】
さらに内カゴ10が置き台30−0にセットされると、循環移動台20は、同様のサイクリックな循環工程を繰り返し、置き台30−1、30−2に内カゴ10をセットする。この工程が繰り返され、全ての置き台30−1〜30−4に内カゴ10がセットされる。引き続き、内カゴ10が置き台30−0にセットされてサイクリック動作を開始する動きに同期して、昇降台40が上昇を開始し、置き台30−4の内カゴ10を受け取り、所定の位置まで持ち上げる(矢印5)。
【0014】
内カゴ10が所定の位置まで持ち上げられると、搬送治具50が、洗浄装置(図示せず)の搬入口の位置から、持ち上げられた内カゴ10を受け取るため、所定の位置まで移動する(矢印6)。昇降台40は、内カゴ10を搬送治具50に受け渡すと、元の位置まで降下する(矢印7)。この降下動作に同期して、循環移動台20は、内カゴ10を置き台30−4にセットする。搬送治具50は内カゴ10を受け渡されると、再び洗浄装置の搬入口の位置に復帰する(矢印8)。
【0015】
昇降台40は、置き台30−4にセットされた内カゴ10を受け取る時と、搬送治具50に受け渡す時は、矢印5、7で示される途中のストロークの長い上下動の速度に比べ、低速により受け渡し動作を行なう。特に搬送治具50は図1に示されるように内カゴ10を傾斜して支えるため鉤の部分が段違いになっており、セットする際の最適な速度制御が求められる。この低速制御により内カゴ10を安定して受け渡すことができる。また内カゴ10が傾斜してセットされることにより、洗浄における洗浄効果と水切り効果が高められる。搬送治具50が複数個の内カゴ10を受け取ることができる場合は、その数だけこの工程が繰り返され、全てのセットが完了すると、搬送治具50は洗浄装置に取り込まれて洗浄が開始される。
【0016】
図1において、搬送治具50は、理解を容易にするため図面の左右にコの字状に記載されているが、実際には図面の前後にコの字に設置されることにより、内カゴ10を受け取ることができる。また複数個の内カゴ10を受け取る場合は、コの字の部屋が複数個並んで1つの搬送治具50を構成している。また循環移動台20は、上下動する際、置き台30−0〜30−4と衝突しないよう、置き台30−0〜30−4を囲んだ形状を成し、図面では、内カゴ10の下部の前後を支持する構成となっている。したがって、置き台30−0〜30−4は、内カゴ10の下部の左右を支持する構成となっている。また、循環移動台20、昇降台40、及び搬送治具50の移動動作を行なう機構は、所望の移動を行なうものであれば、特に限定されるものではない。
【0017】
以上説明したように本発明によれば、人手によるハンドリング作業を削減し、且つこれによるハンドリング汚染の発生をなくした。これにより、クリーンで作業性の良い洗浄物の受渡し機構を提供することが可能となる。また図1において、搬送治具50を洗浄装置の搬入口にセットする操作を説明したが、本発明の受渡し機構100を洗浄装置の搬出口に配備し、洗浄された内カゴ10を取り出す工程に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による洗浄物の受渡し機構の構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0019】
10 内カゴ
15 被洗浄物
20 循環移動台
30−0〜30−4 置き台
40 昇降台
50 搬送治具
100 洗浄物の受渡し機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄装置と受け渡しする洗浄物受渡し機構であって、
前記被洗浄物を保持する内カゴと、
サイクリックな循環過程により、セットされた前記内カゴを搬送する循環移動台と、
前記循環移動台により搬送された前記内カゴを、一時仮置きする置き台と、
前記内カゴを上下に移動させる昇降台と、
前記昇降台の前記内カゴを受け取り搬送する搬送治具とを有することを特徴とする洗浄物の受渡し機構。
【請求項2】
前記昇降台が、前記搬送治具又は前記置き台と前記内カゴを受渡しする時の速度は、前記受渡し前後におけるストロークの長い上下動速度に比べ、低速であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄物の受渡し機構。
【請求項3】
前記搬送治具は、前記内カゴを傾斜して保持し、搬送する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄物の受渡し機構。
【請求項4】
前記搬送治具は、前記内カゴを複数個保持して搬送する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄物の受渡し機構。

【図1】
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【公開番号】特開2010−50400(P2010−50400A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215575(P2008−215575)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】