説明

洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法

【課題】洗浄対象物の大きさや形状等に対応させて装置を作り替える必要がなく、低コストで確実に洗浄することができる洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】洗浄装置10は、各々が略水平方向に延びるローラ軸34とローラ軸34に軸支されたローラ本体35とを備えると共に上下に併設され、液晶表示パネル60を上側及び下側から挟んで搬送する上側及び下側ローラ32,33からなるローラ対31が複数設けられた搬送ユニット30と、搬送ユニット30で搬送される液晶表示パネル60の表面を洗浄する洗浄ユニット40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示装置に用いられる基板や偏光板等の洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置の製造工程においては、表示パネルに用いるガラス基板や偏光板等の表面に付着した皮脂、樹脂又は処理液等の汚れを、その表面から除去する洗浄工程が設けられている。
【0003】
このような基板等の洗浄工程に用いる洗浄装置として、例えば、特許文献1には、液晶パネルを保持する保持部材と、保持部材により保持された液晶パネルの表面に蒸気を噴出するための蒸気噴出ノズルと、保持部材と蒸気噴出ノズルとの間を所定の方向に沿って相対的に移動させる手段としての搬送ローラ及び基板抑え用ローラを具備するものが開示されている。そして、これによれば、汚れの再付着のない基板洗浄方法及びこれに用いる基板洗浄装置、並びに電気光学装置の製造方法を提供することができる、と記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、超音波振動が伝播される洗浄液によって基板を洗浄処理する超音波洗浄装置において、一端に搬入口、他端に搬出口が形成された洗浄槽と、上記基板を上記搬入口から搬入して上記搬出口から搬出する搬送ローラと、上記洗浄槽に洗浄液を供給してその液面を上記搬送手段によって搬送される基板の上面よりも高く維持するとともに上記搬入口と搬出口とから流出した洗浄液を回収する洗浄液の循環ポンプと、上記搬送ローラによって搬送される基板の上面側に配置されこの基板の上面側の洗浄液に一部を浸漬して設けられた超音波振動を発振する超音波発振器とを具備したことを特徴とすることが開示されている。そして、これによれば、搬送される基板の上面を効率よく確実に超音波洗浄することができるようにした超音波洗浄装置を提供することができる、と記載されている。
【特許文献1】特開2004-258368号公報
【特許文献2】特開2001-170583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された洗浄装置は、搬送ローラ及び基板抑え用ローラを独立させて設け、基板をその大きさや形状等に対応した保持手段により保持させなければならない。このため、大きさや形状等がそれぞれ異なる基板を洗浄する場合、それぞれ対応する保持手段を新たに設ける必要があり、洗浄工程にかけるコストが高くなるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示された洗浄装置は、複数の搬送ローラ上に直接処理対象の基板を載置して搬送し、これに洗浄処理を施しているが、搬送ローラは基板の下面に設けられているのみである。このため、搬送速度や基板の種類によっては、搬送中に搬送ローラ上を基板が滑るおそれがあり、このような場合、確実に基板を搬送して洗浄することが困難となってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗浄対象物の大きさや形状等に対応させて装置を作り替える必要がなく、低コストで確実に洗浄することができる洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗浄装置は、各々が略水平方向に延びるローラ軸とローラ軸に軸支されたローラ本体とを備えると共に上下に併設され、板状体を上側及び下側から挟んで搬送する上側及び下側ローラからなるローラ対が複数設けられた搬送ユニットと、搬送ユニットで搬送される板状体の表面を洗浄する洗浄ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、洗浄処理を施す板状体の上下方向からローラにより挟んで搬送するため、ローラ上で板状体が滑らず、確実に所定経路上を搬送することができる。また、大きさや形状が異なる板状体でも、それぞれに対応するように搬送ユニットを作り替える必要がないため洗浄装置の低コスト化が可能となる。さらに、上下に設けられた複数のローラのみが板状体に接触した状態で搬送するため、搬送ユニットによる二次的な汚染を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る洗浄装置は、複数のローラ対がローラ軸直方向に等間隔に設けられていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、複数のローラ対がローラ軸直方向に等間隔に設けられているため、搬送ユニットに複数の板状体を次々と送り込んでも、それらが均一な間隔を保って搬送される。従って、洗浄処理をそれぞれの板状体に対して確実に行うことができる。
【0012】
さらに、本発明に係る洗浄装置は、上側及び下側ローラのそれぞれがローラ軸にローラ本体が複数軸支されて構成されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、上側及び下側ローラのそれぞれがローラ軸にローラ本体が複数軸支されて構成されているため、板状体を挟持する狭持点がローラ軸方向に複数形成されている。従って、板状体をより確実に狭持して搬送することができる。
【0014】
また、本発明に係る洗浄装置は、複数のローラ本体がローラ軸に等間隔に軸支されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、複数のローラ本体がローラ軸に等間隔に軸支されているため、板状体を軸方向にバランス良く均等に狭持して搬送することができる。従って、板状体が搬送方向から曲がって進むことを抑制し、搬送経路上を確実に直進させることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る洗浄装置は、ローラ対のローラ表面が弾性体で形成されていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、ローラ対のローラ表面が弾性体で形成されているため、搬送中に板状体の表面を傷つけて損傷させることを抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る洗浄装置は、洗浄ユニットが、ローラ対で挟んで搬送される板状体の上側に設けられた上側洗浄部と板状体の下側に設けられた下側洗浄部とを備え、板状体を両側から洗浄するように構成されていてもよい。
【0019】
このような構成によれば、板状体を上側洗浄部と下側洗浄部とで同時に洗浄することができるため、洗浄効率が高くなる。
【0020】
本発明に係る表示装置の製造方法は、各々のローラ軸が略水平方向に延びるように上下に並設された複数のローラ対で板状体を上側及び下側から挟んで搬送しながら、板状体を洗浄することを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、洗浄処理を施す板状体の上下方向からローラにより挟んで搬送するため、ローラ上で板状体が滑らず、確実に所定経路上を搬送することができる。また、大きさや形状が異なる板状体でも、それぞれに対応するように搬送ユニットを作り替える必要がないため洗浄装置の低コスト化が可能となる。さらに、上下に設けられた複数のローラのみが板状体に接触した状態で搬送するため、搬送ユニットによる二次的な汚染を抑制することができる。
【0022】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、複数のローラ対が、各々板状体を上側及び下側から挟んで搬送する上側ローラ及び下側ローラで構成されると共に、上記上側及び下側ローラのすべてが同一の径となるように形成され且つ同一の回転速度で回転するように構成されていてもよい。
【0023】
このような構成によれば、板状体を搬送する複数のローラ対のすべてのローラが同一の径で形成されており且つ同一の回転速度で回転するように構成されているため、搬送ユニットに複数の板状体を次々と送り込んでも、それらが同一の速度で搬送されるため、均一な間隔を保って搬送される。従って、洗浄処理をそれぞれの板状体に対して確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、洗浄対象物の大きさや形状等に対応させて装置を作り替える必要がなく、低コストで確実に洗浄することができる洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
本発明の実施形態1として、液晶表示装置に用いる液晶表示パネルの洗浄装置及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法について図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
(洗浄装置の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る洗浄装置10を、各構成ユニットごとに示した概略図である。洗浄装置10は、パネル載置ユニット20、パネル搬送ユニット30、パネル洗浄ユニット40、パネル引上げユニット50及びこれらの動作を制御する不図示の制御部で構成されている。
【0027】
パネル載置ユニット20は、図2に示すように、ガイド21、アーム基部22、アーム23、吸着部24及びコンベア25で構成されている。
【0028】
ガイド21は、長尺状に形成されており、液晶表示パネル60がセットされたトレー61の上方から、取り出したパネルを載置するコンベア25の上方に亘って水平に設けられている。
【0029】
アーム基部22は、長尺状に形成されており、ガイド21に対して垂直に交わるように設けられている。アーム基部22は、ガイド21との当接部において、ガイド21に対して上下移動及び水平移動するための機能が備えられている。アーム基部22は、その下方先端にアーム23及び吸着部24が設けられている。
【0030】
アーム23は、アーム基部22から一旦水平方向に延びるように形成されており、途中で下方へ曲がるように形成されている。下方へ曲げられたアーム23は、その先端内側でパネルを狭持するように内向きの押圧力を奏するように構成されている。また、先端が内側へ曲げられたアーム23は、再度もとの水平方向へ戻るように構成されている。
【0031】
吸着部24は、アーム基部22の下方先端に形成されている。吸着部24は、その内部が内空に形成されており、その上面に内空まで到達する不図示の複数の吸引孔が形成されている。吸着部24は、アーム基部22の先端に形成された連通孔により、不図示の真空ポンプ等の減圧吸引装置と連通されている。
【0032】
尚、吸着部24は、吸着チャックをさらに形成することにより、パネルをより強固に吸引固定するように構成されていてもよい。
【0033】
コンベア25は、駆動軸26及びコンベアベルト27で構成されており、パネル搬送ユニット30に隣接して設けられている。コンベア25は、その上に載置されたパネルを水平方向へ搬送させ、パネル搬送ユニット30へ送り込むように構成されている。
【0034】
パネル搬送ユニット30は、図3に示すように、パネル搬送方向に等間隔に配置された複数のローラ対31で構成されている。
【0035】
ローラ対31は、それぞれ液晶表示パネル60を上側及び下側から挟んで搬送する上側及び下側ローラ32,33で構成されており、上側及び下側ローラ32,33は、図4及び図5に示すように、それぞれ水平方向に延びるローラ軸34とローラ軸34に軸支された複数のローラ本体35とで構成されている。ローラ対31は、それらすべてが不図示の制御部に接続されている。
【0036】
ローラ軸34は、長尺の円柱状に形成されている。ローラ軸34は、パネル搬送方向と水平面内において垂直な方向に等間隔に配置されている。ローラ軸34は、鉄や鋼、又は、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系等のステンレス等で形成されている。ローラ軸34は、その先端で不図示の支持台に支持及び固定されている。
【0037】
ローラ本体35は、それぞれローラ軸34に等間隔に軸支されている。ローラ本体35は、例えば、シリコンゴム、熱可塑性エラストマー及びその他の合成ゴム等の任意の弾性ゴム材等で形成されている。ローラ本体35は、所定厚のローラ幅となるように且つすべてが同一の径となるように形成されている。ローラ対31の上側ローラ32及び下側ローラ33のそれぞれのローラ本体35は、搬送するパネルの厚さと略同一かそれ以下の間隔を空けて互いに対向するように設けられている。
【0038】
尚、ローラ本体35は、それぞれローラ軸34上に複数形成されていなくてもよい。即ち、ローラ本体35がローラ軸34の表面を長さ方向に連続して覆うように形成されていてもよい。
【0039】
パネル洗浄ユニット40は、図3に示すように、スチーム供給部41、中圧シャワー供給部42及びエアー供給部43で構成されている。
【0040】
スチーム供給部41は、給水管に接続されたスチーム発生器(不図示)、スチーム発生器に接続された連結管44及び連結管44に接続されたスチームノズル45で構成されている。スチーム発生器は、内部にボイラが設けられており、内部に導かれた水を加熱して高温の蒸気を生成する。
【0041】
中圧シャワー供給部42は、給水ポンプ(不図示)、給水ポンプに接続された連結管46及び連結管46に接続されたシャワーノズル47で構成されている。
【0042】
エアー供給部43は、エアーポンプ(不図示)、エアーポンプに接続された連結管48及び連結管48に接続されたエアーノズル49で構成されている。
【0043】
スチーム供給部41、中圧シャワー供給部42及びエアー供給部43のそれぞれの連結管44,46,48は、スチーム発生器、給水ポンプ又はエアーポンプからそれぞれ延びて、図4に示すように、隣接する二つのローラ対31のローラ軸34間において、その上方及び下方にローラ対31に並行するように設けられている。
【0044】
スチームノズル45、シャワーノズル47及びエアーノズル49は、それぞれそのノズル口が搬送されるパネルの表面に向かうように上下の連結管44,46,48からそれぞれ延びるように設けられている。スチームノズル45、シャワーノズル47及びエアーノズル49は、それぞれの連結管44,46,48が延びる方向に各々等間隔に複数設けられている。スチームノズル45、シャワーノズル47及びエアーノズル49のノズル口は、それぞれ、図6に示すように中央が盛り上がった形状に形成されており、先端に複数の噴出口が形成されている。従って、ノズル口から噴出されるスチームは放射状に広がって進む。
【0045】
スチーム供給部41、中圧シャワー供給部42及びエアー供給部43は、それぞれこの順に隣接するローラ対31の間の上下に配置されている。
【0046】
パネル引上げユニット50は、図7に示すように、洗浄されてパネル搬送ユニット30で搬送された液晶表示パネル60が載置されるコンベア25、コンベア25上のパネルを吸着させて引き上げるアーム基部22、アーム23及び吸着部24、パネルを狭持したアーム基部22が伝って移動するためのガイド21で構成されている。尚、これら各部の構成は、上述したパネル載置ユニット20と同様である。
【0047】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、洗浄装置10を用いた液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0048】
(パネル載置工程)
まず、図2に示すように、パネル載置ユニット20に洗浄処理対象の液晶表示パネル60を収容したトレー61をセットする。液晶表示パネル60は、液晶材料を狭持したTFT基板及びCF基板で構成されている。次に、アーム基部22がガイド21に沿って水平に移動し、トレー61上で止まる。次いで、アーム基部22が下降して、トレー61最上部の液晶表示パネル60上に吸着部24を押圧する。押圧した吸着部24は真空引きによる吸引力で液晶表示パネル60を吸着する。次に、アーム基部22が上昇する。アーム基部22が上昇すると吸着部24で吸着された液晶表示パネル60が持ち上げられる。次いで、アーム23を下方へ曲げて、持ち上げた液晶表示パネル60の端部を狭持する。次に、アーム基部22の上昇を止める。次いで、液晶表示パネル60を吸着保持したままアーム基部22をコンベア25の上方までガイド21に沿って水平移動させる。次に、コンベア25の上方まで移動させたアーム基部22を下降させて、吸着保持している液晶表示パネル60をコンベア25上に載置する。次いで、パネル端部を狭持しているアーム23を伸ばし、吸着部24の真空引きによる吸引力を解除して液晶表示パネル60を離す。次に、離した液晶表示パネル60をコンベア25でパネル搬送ユニット30へ送る。
【0049】
(パネル搬送工程及びパネル洗浄工程)
次に、パネル搬送ユニット30へ送られた液晶表示パネル60を、パネル上側及び下側ローラ32,33によるローラ対31で狭持する。このとき、上側ローラ32と下側ローラ33とは、図3に示すように互いに逆方向に回転させているため、狭持した液晶表示パネル60を搬送方向へと送り出す。一つのローラ対31に狭持されて送り出された液晶表示パネル60は、隣接するローラ対31に狭持される前に、二つのローラ対31の間に設けたスチーム供給部41によって両表面がスチーム洗浄される。
【0050】
スチーム洗浄は、まず、スチーム発生器内でヒータにより水を加熱することにより高温(100℃)高圧(0.2Mpa程度)のスチームを生成する。次に、このスチームを連結管44を通してスチームノズル45からパネル両表面へと放射状に噴射させることにより行う。パネル両表面に同時に噴射された高温高圧のスチームは、パネル全面に広がることにより、液晶表示パネル60の汚れを短時間で効率良く除去する。
【0051】
スチーム洗浄された液晶表示パネル60は、さらにローラ対31で狭持されて送り出されることにより、今度は中圧シャワー供給部42によりシャワー洗浄が施される。
【0052】
シャワー洗浄は、まず、給水ポンプから中圧の水流を連結管46を通してシャワーノズル47へと送り、シャワーノズル47からパネル両表面へ中圧シャワーとして放射状に噴射することにより行う。パネル両表面に同時に噴射された中圧シャワーは、パネル全面に広がることにより、液晶表示パネル60上に残ったスチーム洗浄による皮脂や樹脂等の残渣を短時間で効率良く除去する。
【0053】
シャワー洗浄された液晶表示パネル60は、さらにローラ対31で狭持されて送り出されることにより、今度はエアー供給部43によりエアー乾燥が施される。
【0054】
エアー乾燥は、まず、エアーポンプから高圧のエアーを連結管48を通してエアーノズル49へと送り、エアーノズル49からパネル両表面へ高圧エアーとして放射状に噴射することにより行う。パネル両表面に同時に噴射された高圧エアーは、パネル全面に広がることにより、液晶表示パネル60上の水分を短時間で効率良く除去する。
【0055】
ローラ対31は引き続き液晶表示パネル60を狭持して送り出すことにより、隣接して設けられたコンベア25へ洗浄・乾燥を施した液晶表示パネル60を搬送する。
【0056】
また、液晶表示パネル60は、パネル載置ユニット20からパネル搬送ユニット30へ次々と連続して送り出して、パネル搬送ユニット30で次々と搬送しながら洗浄する。パネル搬送ユニット30を構成するローラ対31は、それぞれ同径のローラ本体35を有し、同速で回転するため、液晶表示パネル60は次々と同速で搬送される。従って、複数の液晶表示パネル60を、互いに衝突せずにスムーズに搬送することができる。
【0057】
(パネル引上げ工程)
次いで、図7に示すように、洗浄・乾燥を終えた液晶表示パネル60を、ローラ対31からパネル引上げユニット50のコンベア25上に送り出して載置する。次に、アーム基部22がガイド21に沿って水平に移動し、コンベア25上で止まる。次いで、アーム基部22が下降して、液晶表示パネル60上に吸着部24を押圧する。押圧した吸着部24は真空引きによる吸引力で液晶表示パネル60を吸着する。次に、アーム基部22が上昇する。アーム基部22が上昇すると吸着部24で吸着された液晶表示パネル60が持ち上げられる。次いで、アーム23を下方へ曲げて、持ち上げた液晶表示パネル60の端部を狭持する。次に、アーム基部22の上昇を止める。次いで、液晶表示パネル60を吸着保持したままアーム基部22をガイド21に沿って水平移動させて、次の工程へ移る。
【0058】
以上のように液晶表示パネル60を洗浄し、この液晶表示パネル60を用いて液晶表示装置を作製する。
【0059】
(実施形態2)
本発明の実施形態2として、液晶表示装置に用いる偏光板の洗浄装置70及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法について図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
また、実施形態1と同様の構成物については、同符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
(洗浄装置70の構成)
図8は、本発明の実施形態2に係る洗浄装置70を各構成ユニットごとに示した概略図である。洗浄装置70は、偏光板載置ユニット80、偏光板搬送ユニット90、偏光板洗浄ユニット100、偏光板引上げユニット110及びこれらの動作を制御する不図示の制御部で構成されている。
【0062】
偏光板載置ユニット80は、図9に示すように、ガイド21、支持部81、吸着部24、エアー供給部82、厚さ測定部83及びコンベア25で構成されている。
【0063】
支持部81は、長尺状に形成されており、ガイド21に対して垂直に交わるように2部が並列して設けられている。支持部81は、ガイド21との当接部において、ガイド21に対して上下移動及び水平移動するための機能が備えられている。2つの支持部81の上昇は、それぞれ交互に行われるように構成されている。支持部81は、その下方先端に吸着部24が設けられている。
【0064】
エアー供給部82は、エアーポンプ、エアーポンプに接続された連結管(以上不図示)及び連結管に接続されたエアーノズル84で構成されている。エアーノズル84は、そのノズル口が偏光板ホルダ120に重ねて載置された偏光板121の側方へ向くように設けられている。
【0065】
厚さ測定部83は、支持部81の上昇位置の側方に設けられている。厚さ測定部83は、一定の間隔を空けて並列する2本の棒状センサがそれぞれ水平方向に設けられている。
【0066】
偏光板洗浄ユニット100は、図10に示すように、スチーム供給部41及びエアー供給部43で構成されている。スチーム供給部41及びエアー供給部43の各ノズルは、それぞれこの順に隣接するローラ対31の間の上下に配置されている。
【0067】
偏光板引上げユニット110は、図11に示すように、洗浄されて偏光板搬送ユニット90で搬送された偏光板121が載置されるコンベア25、コンベア25上の偏光板121を吸着させて引き上げる支持部81及び吸着部24、偏光板121を狭持した支持部81が伝って移動するためのガイド21で構成されている。
【0068】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、洗浄装置70を用いた液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0069】
(偏光板載置工程)
まず、図9に示すように、偏光板載置ユニット80に洗浄処理対象の偏光板121を収容した偏光板ホルダ120をセットする。次に、支持部81がガイド21に沿って水平に移動し、偏光板ホルダ120上で止まる。次いで、支持部81が下降して、偏光板ホルダ120最上部の偏光板121上にそれぞれの吸着部24を押圧する。押圧した吸着部24は真空引きによる吸引力で偏光板121を吸着する。次に、支持部81が交互に上昇する。支持部81が交互に上昇すると吸着部24で吸着された偏光板121が段差をつけて持ち上げられる。偏光板121を持ち上げると同時に、エアーノズル84から偏光板121の側方にエアーを噴射させる。偏光板121がもし静電気による引力等により2枚取りされていれば、このエアーによって吸着されていない下側の偏光板121が離れ、偏光板121の2枚取りを防ぐ。 次いで、支持部81の上昇を止めて、側方から厚さ測定部83を水平に移動させて、2本の棒状センサで持ち上げた偏光板121を上下から挟み込む。ここで、予め設定した一枚の偏光板121の厚さと、実際に棒状センサで検知した偏光板121の厚さが同一であれば、次のガイド21による水平移動へ移行する。一方、予め設定した一枚の偏光板121の厚さよりも厚さが大きければ、2枚取りをしているものと見なして支持部81を下降させて、一旦偏光板ホルダ120上に載置する。そして再度同様の動作を、厚さ測定部83で一枚の偏光板121と見なされるまで繰り返す。
【0070】
厚さ測定部83で一枚の偏光板121であると見なされた偏光板121に対し、続いてガイド21に沿って支持部81によってコンベア25の上方までガイド21に沿って水平移動させる。次に、コンベア25の上方まで移動させた支持部81を下降させて、吸着保持している偏光板121をコンベア25上に載置する。次いで、吸着部24の真空引きによる吸引力を解除して偏光板121を離す。次に、離した偏光板121をコンベア25で偏光板搬送ユニット90へ送る。
【0071】
(偏光板搬送工程及び偏光板洗浄工程)
次に、偏光板搬送ユニット90へ送られた偏光板121を、偏光板121上側及び下側ローラ32,33によるローラ対31で狭持する。このとき、上側ローラ32と下側ローラ33とは、図10に示すように互いに逆方向に回転させているため、狭持した偏光板121を搬送方向へと送り出す。一つのローラ対31に狭持されて送り出された偏光板121は、隣接するローラ対31に狭持される前に、二つのローラ対31の間に設けたスチーム供給部41によって両表面が(100℃)高圧(0.2Mpa程度)のスチームでスチーム洗浄される。偏光板121両表面に同時に噴射された高温高圧のスチームは、偏光板121全面に広がることにより、偏光板121の汚れを短時間で効率良く除去する。
【0072】
スチーム洗浄された偏光板121は、さらにローラ対31で狭持されて送り出されることにより、今度はエアー供給部82により高圧エアーでエアー乾燥が施される。偏光板121両表面に同時に噴射された高圧エアーは、偏光板121全面に広がることにより、偏光板121上の水分を短時間で効率良く除去する。
【0073】
ローラ対31は引き続き偏光板121を狭持して送り出すことにより、隣接して設けられたコンベア25へ洗浄・乾燥を施した偏光板121を搬送する。
【0074】
また、偏光板121は、偏光板載置ユニット80から偏光板搬送ユニット90へ次々と連続して送り出して、偏光板搬送ユニット90で次々と搬送しながら洗浄する。偏光板搬送ユニット90を構成するローラ対31は、それぞれ同径のローラ本体35を有し、同速で回転するため、偏光板121は次々と同速で搬送される。従って、複数の偏光板121を、互いに衝突せずにスムーズに搬送することができる。
【0075】
(偏光板引上げ工程)
続いて、図110に示すように、洗浄・乾燥を終えた偏光板121を、ローラ対31から偏光板引上げユニット110のコンベア25上に送り出して載置する。次に、2つの支持部81がガイド21に沿って水平に移動し、コンベア25上で止まる。次いで、支持部81が下降して、偏光板121上に吸着部24を押圧する。押圧した吸着部24は真空引きによる吸引力で偏光板121を吸着する。次に、支持部81が上昇する。支持部81が上昇すると吸着部24で吸着された偏光板121が持ち上げられる。次に、支持部81の上昇を止め、偏光板121を吸着保持したまま支持部81をガイド21に沿って水平移動させて、次の工程へ移る。
【0076】
以上のように偏光板121を洗浄し、この偏光板121を用いて液晶表示装置を作製する。
【0077】
また、本実施形態では、LCD(liquid crystal display;液晶表示ディスプレイ)の製造工程における液晶表示パネル及び偏光板の洗浄装置70及びその製造方法について示したが、PDP(plasma display panel;プラズマディスプレイパネル)、有機EL(organic electroluminescence )、FED(field emission display;電界放出ディスプレイ)、又は、SED(surface-conduction electron-emitter display;表面電界ディスプレイ)等に係る表示パネル等の洗浄及び製造に係るものであってもよい。
【0078】
(作用効果)
次に作用効果について説明する。
【0079】
本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、各々が略水平方向に延びるローラ軸34とローラ軸34に軸支されたローラ本体35とを備えると共に上下に併設され、液晶表示パネル60又は偏光板121を上側及び下側から挟んで搬送する上側及び下側ローラ32,33からなるローラ対31が複数設けられた搬送ユニット30,90と、搬送ユニット30,90で搬送される液晶表示パネル60又は偏光板121の表面を洗浄する洗浄ユニット40,100と、を備えたことを特徴とする。
【0080】
このような構成によれば、洗浄処理を施す液晶表示パネル60又は偏光板121の上下方向からローラにより挟んで搬送するため、ローラ上で液晶表示パネル60又は偏光板121が滑らず、確実に所定経路上を搬送することができる。また、大きさや形状が異なる液晶表示パネル60又は偏光板121でも、それぞれに対応するように搬送ユニット30,90を作り替える必要がないため洗浄装置10,70の低コスト化が可能となる。さらに、上下に設けられた複数のローラのみが液晶表示パネル60又は偏光板121に接触した状態で搬送するため、搬送ユニット30,90による二次的な汚染を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、複数のローラ対31がローラ軸34直方向に等間隔に設けられていてもよい。
【0082】
このような構成によれば、複数のローラ対31がローラ軸34直方向に等間隔に設けられているため、搬送ユニット30,90に複数の液晶表示パネル60又は偏光板121を次々と送り込んでも、それらが均一な間隔を保って搬送される。従って、洗浄処理をそれぞれの液晶表示パネル60又は偏光板121に対して確実に行うことができる。
【0083】
さらに、本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、上側及び下側ローラ32,33のそれぞれがローラ軸34にローラ本体35が複数軸支されて構成されていてもよい。
【0084】
このような構成によれば、上側及び下側ローラ32,33のそれぞれがローラ軸34にローラ本体35が複数軸支されて構成されているため、液晶表示パネル60又は偏光板121を挟持する狭持点がローラ軸34方向に複数形成されている。従って、液晶表示パネル60又は偏光板121をより確実に狭持して搬送することができる。
【0085】
また、本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、複数のローラ本体35がローラ軸34に等間隔に軸支されていてもよい。
【0086】
このような構成によれば、複数のローラ本体35がローラ軸34に等間隔に軸支されているため、液晶表示パネル60又は偏光板121を軸方向にバランス良く均等に狭持して搬送することができる。従って、液晶表示パネル60又は偏光板121が搬送方向から曲がって進むことを抑制し、搬送経路上を確実に直進させることができる。
【0087】
さらに、本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、ローラ対31のローラ表面が弾性体で形成されていてもよい。
【0088】
このような構成によれば、ローラ対31のローラ表面が弾性体で形成されているため、搬送中に液晶表示パネル60又は偏光板121の表面を傷つけて損傷させることを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態1及び2に係る洗浄装置10,70は、洗浄ユニット40,100が、ローラ対31で挟んで搬送される液晶表示パネル60又は偏光板121の上側に設けられた上側洗浄部と液晶表示パネル60又は偏光板121の下側に設けられた下側洗浄部とを備え、液晶表示パネル60又は偏光板121を両側から洗浄するように構成されていてもよい。
【0090】
このような構成によれば、液晶表示パネル60又は偏光板121を上側洗浄部と下側洗浄部とで同時に洗浄することができるため、洗浄効率が高くなる。
【0091】
本実施形態1及び2に係る液晶表示装置の製造方法は、各々のローラ軸34が略水平方向に延びるように上下に並設された複数のローラ対31で液晶表示パネル60又は偏光板121を上側及び下側から挟んで搬送しながら、液晶表示パネル60又は偏光板121を洗浄することを特徴とする。
【0092】
このような構成によれば、洗浄処理を施す液晶表示パネル60又は偏光板121の上下方向からローラにより挟んで搬送するため、ローラ上で液晶表示パネル60又は偏光板121が滑らず、確実に所定経路上を搬送することができる。また、大きさや形状が異なる液晶表示パネル60又は偏光板121でも、それぞれに対応するように搬送ユニット30,90を作り替える必要がないため洗浄装置10,70の低コスト化が可能となる。さらに、上下に設けられた複数のローラのみが液晶表示パネル60又は偏光板121に接触した状態で搬送するため、搬送ユニット30,90による二次的な汚染を抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態1及び2に係る液晶表示装置の製造方法は、複数のローラ対31が、各々液晶表示パネル60又は偏光板121を上側及び下側から挟んで搬送する上側ローラ及び下側ローラで構成されると共に、上記上側及び下側ローラ32,33のすべてが同一の径となるように形成され且つ同一の回転速度で回転するように構成されていてもよい。
【0094】
このような構成によれば、液晶表示パネル60又は偏光板121を搬送する複数のローラ対31のすべてのローラが同一の径で形成されており且つ同一の回転速度で回転するように構成されているため、搬送ユニット30,90に複数の液晶表示パネル60又は偏光板121を次々と送り込んでも、それらが同一の速度で搬送されるため、均一な間隔を保って搬送される。従って、洗浄処理をそれぞれの液晶表示パネル60又は偏光板121に対して確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明は、例えば表示装置に用いられる基板や偏光板等の洗浄装置及びそれを用いた表示装置の製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態1に係る洗浄装置10を、各構成ユニットごとに示した概略図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るパネル載置ユニット20の模式図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るパネル搬送ユニット30及びパネル洗浄ユニット40の側方側から見た模式図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るパネル搬送ユニット30及びパネル洗浄ユニット40の上方側から見た模式図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るパネル搬送ユニット30及びパネル洗浄ユニット40の各処理位置の拡大図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るスチームノズル45、シャワーノズル47及びエアーノズル49のノズル口の拡大図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るパネル引上げユニット50の模式図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る洗浄装置70を、各構成ユニットごとに示した概略図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る偏光板載置ユニット80の模式図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る偏光板搬送ユニット90及び偏光板洗浄ユニット100の側方側から見た模式図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る偏光板引上げユニット110の模式図である。
【符号の説明】
【0097】
10,70 洗浄装置
20 パネル載置ユニット
30 パネル搬送ユニット
31 ローラ対
32 上側ローラ
33 下側ローラ
34 ローラ軸
35 ローラ本体
40 パネル洗浄ユニット
41 スチーム供給部
42 中圧シャワー供給部
43 エアー供給部
44,46,48 連結管
45 スチームノズル
47 シャワーノズル
49 エアーノズル
50 パネル引上げユニット
60 液晶表示パネル
80 偏光板載置ユニット
90 偏光板搬送ユニット
100 偏光板洗浄ユニット
110 偏光板引上げユニット
121 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が略水平方向に延びるローラ軸と該ローラ軸に軸支されたローラ本体とを備えると共に上下に併設され、板状体を上側及び下側から挟んで搬送する上側及び下側ローラからなるローラ対が複数設けられた搬送ユニットと、
上記搬送ユニットで搬送される板状体の表面を洗浄する洗浄ユニットと、
を備えた洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載された洗浄装置において、
上記複数のローラ対は、ローラ軸直方向に等間隔に設けられている洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載された洗浄装置において、
上記上側及び下側ローラのそれぞれは、上記ローラ軸に上記ローラ本体が複数軸支されて構成されている洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載された洗浄装置において、
上記複数のローラ本体は、上記ローラ軸に等間隔に軸支されている洗浄装置。
【請求項5】
請求項1に記載された洗浄装置において、
上記ローラ対は、ローラ表面が弾性体で形成されている洗浄装置。
【請求項6】
請求項1に記載された洗浄装置において、
上記洗浄ユニットは、上記ローラ対で挟んで搬送される板状体の上側に設けられた上側洗浄部と板状体の下側に設けられた下側洗浄部とを備え、板状体を両側から洗浄するように構成されている洗浄装置。
【請求項7】
各々のローラ軸が略水平方向に延びるように上下に並設された複数のローラ対で板状体を上側及び下側から挟んで搬送しながら、板状体を洗浄する表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載された表示装置の製造方法において、
上記複数のローラ対は、各々板状体を上側及び下側から挟んで搬送する上側ローラ及び下側ローラで構成されると共に、上記上側及び下側ローラのすべてが同一の径となるように形成され且つ同一の回転速度で回転するように構成されている表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−175653(P2007−175653A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379204(P2005−379204)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】