説明

洗浄装置

【課題】炊飯釜を適切に洗浄できる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、凹状部20を有する回動可能な炊飯釜支持体21と、炊飯釜支持体21を回動させる支持体回動手段22とを備える。凹状部20には、凹状部20の凹部分内への取手部6の挿入を許容する許容状態および凹状部20の凹部分内から取手部6が抜け出るのを規制する規制状態になる抜止め体26を回動自在に設ける。洗浄装置1は、抜止め体26にて取手部6が凹部分内から抜け出ない状態の下向き姿勢の炊飯釜2内に向けて洗浄液を噴射する洗浄手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯釜を適切に洗浄できる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された洗浄装置が知られている。
【0003】
この洗浄装置は、洗浄室に上下方向に回動可能に配設され炊飯釜の取手部を支持する取手支持部と、炊飯釜が取手支持部とともに回動する際に炊飯釜の取手部を案内する円弧状のガイド支持部と、これら取手支持部およびガイド支持部にて支持され上面開口部が側方を向いた横向き姿勢(倒立した洗浄姿勢)の炊飯釜内に向けて洗浄水を噴射する上下に揺動可能な洗浄ノズルとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−328627号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の洗浄装置のように、横向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄水を噴射して炊飯釜を洗浄する構成では、洗浄水が横向き姿勢の炊飯釜の下部に位置する水平方向に面した1つの側板部の内側となる面のみを伝って流れ落ちていくことから、洗浄水が伝って流れ落ちていかない他の側板部の内側となる面では、流れ落ちていく洗浄水とともに米粒等が流れ落ちることはなく、適切な洗浄が行われないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、炊飯釜を適切に洗浄できる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の洗浄装置は、炊飯釜の取手部が挿入される凹状部を有する回動可能な炊飯釜支持体と、この炊飯釜支持体を回動させる支持体回動手段と、前記炊飯釜支持体に設けられ、前記凹状部内への取手部の挿入を許容する許容状態および前記凹状部内から取手部が抜け出るのを規制する規制状態になる抜止め体と、この抜止め体にて取手部が前記凹状部内から抜け出るのを規制された下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射する洗浄手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の洗浄装置は、請求項1記載の洗浄装置において、抜止め体は、炊飯釜支持体に対して回動自在で、前記炊飯釜支持体の回動時に取手部にて押されて回動することにより許容状態から規制状態になるものである。
【0009】
請求項3記載の洗浄装置は、請求項1または2記載の洗浄装置において、炊飯釜支持体の凹状部は、複数種の炊飯釜に対応できるように支持体本体部に位置調整可能に取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の洗浄装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の洗浄装置において、支持体回動手段は、洗浄時には炊飯釜支持体を往復回動させることにより炊飯釜を下向き姿勢のまま揺動させ、洗浄手段は、抜止め体にて取手部が凹状部内から抜け出るのを規制された状態で揺動する下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射するものである。
【0011】
請求項5記載の洗浄装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の洗浄装置において、炊飯釜支持体は、炊飯釜の取手部付近を通る水平方向の回動中心軸線を中心として回動可能となっているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄手段から洗浄液を噴射して炊飯釜を洗浄することによって炊飯釜を適切に洗浄でき、しかも、抜止め体が凹状部内から取手部が抜け出るのを規制するため、下向き姿勢の炊飯釜が炊飯釜支持体から落下することを防止できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、抜止め体は、炊飯釜支持体に対して回動自在で炊飯釜支持体の回動時に取手部にて押されて回動することにより許容状態から規制状態になるため、この規制状態の抜止め体にて凹状部内から取手部が抜け出るのを適切に規制できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、炊飯釜支持体の凹状部を支持体本体部に対して位置調整することによって複数種の炊飯釜に適切に対応できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、洗浄手段は、抜止め体にて取手部が凹状部内から抜け出るのを規制された状態で揺動する下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射するため、炊飯釜をより一層適切に洗浄できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、炊飯釜支持体は、炊飯釜の取手部付近を通る水平方向の回動中心軸線を中心として回動可能となっているため、洗浄装置全体のコンパクト化を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る洗浄装置の正面視断面図である。
【図2】同上洗浄装置の側面視断面図である。
【図3】同上洗浄装置の正面図である。
【図4】同上洗浄装置の平面図である。
【図5】同上洗浄装置の側面図である。
【図6】同上洗浄装置の支持体本体部の斜視図である。
【図7】同上洗浄装置の凹状部および抜止め体の斜視図である。
【図8】同上洗浄装置の凹状部の断面図である。
【図9】同上洗浄装置の許容状態の抜止め体を示す側面図である。
【図10】同上洗浄装置の規制状態の抜止め体を示す側面図である。
【図11】同上洗浄装置の反転時の動作説明図である。
【図12】図11に続く動作説明図である。
【図13】図12に続く動作説明図である。
【図14】図13に続く動作説明図である。
【図15】図14に続く動作説明図である。
【図16】図15に続く動作説明図である。
【図17】同上洗浄装置の洗浄時の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の洗浄装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1ないし図5において、1は洗浄装置で、この洗浄装置1は、例えば炊飯釜2を1個ずつ洗浄するバッチ式の炊飯釜洗浄装置である。
【0020】
炊飯釜2は、例えば重さが略10kgの業務用の炊飯釜で、釜開口部である上面開口部3を有する外形略直方体状のものである。炊飯釜2は、左右方向長手状で略矩形状の底板部4と、この底板部4の外周端部から上方に向って突出する前後左右4つの側板部5と、左右2つの側板部5の上端部から外側方に向って水平状に突出する突出部である取手部6とを有している。取手部6は、図2に示されるように、前後方向長手状で、側板部5の上端部における前後方向中央部に外側方に向って突設されている。
【0021】
洗浄装置1は、外形略直方体状の箱形状に形成された装置本体11を備えている。この装置本体11は、釜出入口12を介して前方に向って開口する洗浄室13を内部に有している。釜出入口12は、装置本体11の前面部の一部を構成する略矩形板状の開閉扉14にて開閉される。
【0022】
開閉扉14は、駆動モータ等にて構成された扉回動手段(図示せず)からの動力に基づいて左右方向の軸15を中心として上下方向に回動可能となっている。そして、開閉扉14は、上方への略90度回動により鉛直状の閉状態となって釜出入口12を閉鎖し、下方への略90度回動により水平状の開状態となって釜出入口12を開口させる。また、開閉扉14は、軸15を中心として回動可能な扉本体16を有し、この扉本体16の内面側には、開閉扉14の開状態時である釜出入口12の開口時に、炊飯釜2を洗浄室13に対して搬入および搬出する複数のフリーローラである搬送ローラ17が回転自在に取り付けられている。また、洗浄室13には、開状態の開閉扉14の搬送ローラと同一面上に位置する回転自在の複数の連絡ローラ30が配設されている。
【0023】
なお、装置本体11の前面部には、運転ボタンを含む複数の操作ボタン等にて構成された操作ボックス18が設けられている。また、装置本体11には、洗浄水等の洗浄液が貯留される洗浄槽19が設けられている。
【0024】
また、洗浄装置1は、装置本体11の洗浄室13に左右方向の水平状の回動軸23を中心として回動可能に配設され炊飯釜2の取手部6が出入り可能に挿入される側面視略コ字状の凹状部20を有する炊飯釜支持体21と、この炊飯釜支持体21を回動軸23を中心として回動させる支持体回動手段22とを備えている。
【0025】
さらに、洗浄装置1は、炊飯釜支持体21の凹状部20に左右方向の水平状の支軸24を中心として回動自在に設けられ炊飯釜支持体21に対する回動により凹状部20内への取手部6の挿入を許容する許容状態および凹状部20内から取手部6が抜け出るのを規制する規制状態になる抜止め体26と、この抜止め体26にて取手部6が凹状部20内から抜け出るのを規制された下向き姿勢の炊飯釜2内に向けて洗浄液(洗浄水等)を噴射する洗浄手段27とを備えている。
【0026】
そして、炊飯釜支持体21は、洗浄室13の略中央の位置であって炊飯釜2の取手部6付近の位置を通る水平方向の回動中心軸線(回動軸23の軸芯を通る線)Xを中心として回動可能となっており、この炊飯釜支持体21は支持体回動手段22からの動力に基づいて回動する。
【0027】
つまり、炊飯釜支持体21は、炊飯釜2を上向き姿勢(上面開口部3が上方を向いた姿勢)から下向き姿勢(上面開口部3が下方を向いた姿勢)にする反転時には図2に示すa方向に正位置から反転位置まで略180度回動し、逆に、炊飯釜2を下向き姿勢から上向き姿勢に戻す反転時には図2に示すb方向に反転位置から正位置まで略180度回動する。
【0028】
また、炊飯釜支持体21は、洗浄手段27から噴射される洗浄液で炊飯釜2内を洗浄する洗浄時には、前後両方向(a方向およびb方向)に交互に所定角度(例えば略30度)αずつ往復回動する(図17参照)。その結果、炊飯釜2は、抜止め体26にて取手部6が凹状部20内から抜け出るのを規制された状態でかつ上面開口部3が下方を向いた状態の下向き姿勢のまま前後に揺動つまりスイングし、この揺動中の下向き姿勢の炊飯釜2内に向って洗浄手段27から洗浄液が噴射される。
【0029】
支持体回動手段22は、図1に示されるように、駆動モータ31、この駆動モータ31の出力軸32、この出力軸32に固着されたスプロケット33、回動軸23の端部に固着されたスプロケット34、これら両スプロケット33,34に掛け渡されたチェーン35等にて構成されている。左右の駆動軸である回動軸23は、装置本体11の軸受部36にて回動可能に軸支されている。
【0030】
炊飯釜支持体21は、図6ないし図10にも示すように、この炊飯釜支持体21が正位置に位置した状態時に、開状態の開閉扉14の搬送ローラ17および連絡ローラ30から搬入される炊飯釜2を受け入れて載置状態で支持する載置部である支持体本体部40を有している。そして、この支持体本体部40には、左右1対の凹状部20が左右方向寸法(幅寸法)や上下方向寸法(高さ寸法)等が異なる複数の炊飯釜2、つまり大きさの異なる複数種の炊飯釜2に対応できるようにこの支持体本体部40に対して左右方向および上下方向に位置調整可能に取り付けられている。
【0031】
支持体本体部40は、左右方向長手状で略矩形枠状の支持枠41と、この支持枠41の左右端部から上方に向って突出し互いに離間対向する左右1対の突出板42と、これら両突出板42の後端部同士を連結する上下2本の連結板43とを有している。
【0032】
支持枠41の上面側には、連絡ローラ30と同一面上に位置する複数の載置ローラである支持ローラ44が回転自在に取り付けられている。また、支持枠41には、炊飯釜2を誘導する左右1対の誘導棒45が左右方向に位置調整可能に取り付けられている(図1参照)。各突出板42の外面から回動軸23が外側方に向って突出し、一方の突出板42の外面から突出した回動軸23の端部に支持体回動手段22のスプロケット34が固着されている。
【0033】
2つの連結板43の左右端部付近には、上下方向長手状の長孔部が複数、例えば左右4つずつ、つまり上下2つで1組をなす外側長孔部46と上下2つで1組をなす内側長孔部47とが形成されている。そして、外側長孔部46および内側長孔部47の中から炊飯釜2の大きさに応じて選択されたいずれか一方、例えば外側長孔部46に対して、凹状部20が上下方向に位置調整可能にボルトおよびナット等からなる取付手段48にて取り付けられている(図1および図8参照)。すなわち例えば凹状部20には上下方向長手状をなす上下2つの取付用孔部50が形成され、互いに対向する取付用孔部50および外側長孔部46にボルトが挿通され、このボルトにナットが螺合されている。
【0034】
凹状部20は、側面視で略コ字状をなす反転アーム等の凹状部材51と、この凹状部材51の外側面に貼り付けられた樹脂製の間座等の樹脂部材52とを有している。
【0035】
凹状部材51は、樹脂部材52と同じ形状の凹状板部51aと、この凹状板部51aの上下端部から外側方に向って突出する上板部51bおよび下板部51cと、凹状板部51aの後端部から外側方に向って突出する後板部51dとにて構成されている。
【0036】
凹状部材51の凹状板部51aの前側には、炊飯釜2の取手部6が出入り可能に挿入される略矩形状の凹部分53が形成されている。また、凹状板部51aの外側面における凹部分53のやや上方の位置から支軸24が外側方に向って突出し、この支軸24は樹脂部材52の挿通孔54に挿通され、この支軸24のうち樹脂部材52から外側方に突出した部分に抜止め体26が回動自在に取り付けられている。また、後板部51dの上下端の近傍に長孔である取付用孔部50が形成されている。
【0037】
抜止め体26は、図7等に示されるように、例えば側面視で略L字状をなす爪部材56にて構成されている。この爪部材56は、前後方向長手状の本体部である本体板部57と、この本体板部57の前端部にこの本体板部57と直交状に一体に設けられこの本体板部57から下方に突出する略矩形状の突出部である規制板部58とを有している。本体板部57の長手方向中央部には取付用孔部59が形成され、この取付用孔部59が支軸24に回動自在に取り付けられている。
【0038】
規制板部58の上側角部には第1当接面61が形成され、この第1当接面61は、図9に示すように、抜止め体26の許容状態時に凹状部20の上板部51bと当接し、この当接により抜止め体26が許容状態に保持される。この状態では、凹状部20の凹部分53は釜出入口12側である前方に向って開口し、この凹部分53内に対して炊飯釜2の取手部6が出入り可能である。
【0039】
なお、抜止め体26の回動支点である支軸24より後方の部分が支軸24より前方の部分に比べて重いため、抜止め体26は、自重で前側が上昇する方向に凹状部20に対して回動し、第1当接面61が凹状部20の上板部51bに当接した所望の許容状態となる。
【0040】
また、本体板部57の後端の上側角部には第2当接面62が形成され、この第2当接面62は、図10に示すように抜止め体26の規制状態時に凹状部20の上板部51bと当接する。つまり第2当接面62は、凹部分53が釜出入口側である前方に向って開口した状態の凹状部20を反転したとき、上板部51bと当接して抜止め体26が規制状態となるようにしている。すなわち、凹状部20を回動させていくと、上部に位置していた上板部51bは反転状態で下部に位置するとともに、抜止め体26は、上板部51bの上方に位置することとなり、抜止め体26においては、規制板部58より重い本体板部57が下降する方向に回動して第2当接面62が上板部51bと当接することとなる。また、図10に示されるように、炊飯釜支持体21の正位置から反転位置への回動時に、その回動途中(a方向に90度以上回動した時点)で、炊飯釜2が支持体本体部40の支持ローラ44から離れ、抜止め体26の本体板部57がその炊飯釜2の取手部6にて下方へ押されて凹状部20に対して樹脂部材52に摺接しながら回動する。その結果、抜止め体26が許容状態から規制状態になり、この規制状態の抜止め体26の規制板部58にて凹状部20の凹部分53の先端開口53aが閉鎖され、取手部6が凹部分53内に閉じ込められる。この際、例えば取手部6は凹状部20と抜止め体26とにて略隙間なく挟持された状態となる。
【0041】
洗浄手段27は、図2等に示されるように、洗浄室13の下部に固定して配設され炊飯釜支持体21が反転位置に位置した状態時には炊飯釜支持体21にて支持された下向き姿勢の炊飯釜2の上面開口部3と対向する複数本の洗浄パイプ65を有し、この各洗浄パイプ65には洗浄液を噴射する複数の噴射口部(図示せず)が形成されている。また、洗浄パイプ65には、配管67等を介して洗浄用ポンプ66が接続され、この洗浄用ポンプ66は配管68等を介して洗浄槽19に接続されている。
【0042】
そして、洗浄用ポンプ66が作動すると、洗浄槽19内の洗浄液が洗浄パイプ65に圧送され、洗浄パイプ65の各噴射口部から洗浄液が揺動中の下向き姿勢の炊飯釜2内に向って噴射される。
【0043】
なお、洗浄室13の後側上下部には仕上げ用洗浄パイプ70が固定して配設され、この各仕上げ用洗浄パイプ70には複数の噴射口部(図示せず)が形成されている。そして、例えば水道管からの水道水等のすすぎ用の仕上げ液が仕上げ用洗浄パイプ70の噴射口部から主に炊飯釜2内に向けて噴射される。
【0044】
次に、上記洗浄装置1の作用等を図面を参照して説明する。
【0045】
図11に示すように、炊飯釜2は、例えば作業者の手で押される形で、上向き姿勢のまま、搬送ローラ17および連絡ローラ30にて釜出入口12から洗浄室13に搬入され、炊飯釜支持体21の支持体本体部40の支持ローラ44にて載置支持される。
【0046】
このとき、抜止め体26は許容状態となっており、炊飯釜2の取手部6は、炊飯釜支持体21の凹状部20の凹部分53内に挿入される。
【0047】
作業者は、炊飯釜2を上向き姿勢のまま洗浄室13へ入れた後、操作ボックス18の運転ボタンを押す。
【0048】
すると、図12に示すように、開閉扉14が扉回動手段からの動力で回動し、釜出入口12が開閉扉14にて閉鎖される。
【0049】
その後、図13ないし図16に示すように、炊飯釜支持体21が支持体回動手段22からの動力で回動軸(回動中心軸線X)23を中心としてa方向に正位置から反転位置まで略180度回動し、炊飯釜2が上向き姿勢から下向き姿勢となる。
【0050】
この炊飯釜支持体21の回動途中で、抜止め体26は、支軸24を支点にして規制板部58より本体板部57の方が重いことから本体板部57の第2当接面62を上板部51bに当接させる方向に回動する作用が生じるとともに、炊飯釜2の取手部6にて下方へ押されることにより凹状部20に対して支軸24を中心として回動して許容状態から規制状態となり、この抜止め体26の規制板部58にて凹状部20の凹部分53の先端開口53aが閉鎖される。
【0051】
このため、凹状部20の凹部分53内に挿入された取手部6は、抜止め体26が規制状態にある限り、凹状部20の凹部分53内から抜け出ることはなく、炊飯釜2が炊飯釜支持体21上から落下することがない。
【0052】
その後、図17に示すように、炊飯釜支持体21が支持体回動手段22からの動力で回動軸23を中心としてa,b方向の交互に所定角度(例えば略30度)αずつ往復回動し、炊飯釜2が抜止め体26にて取手部6が凹状部20内から抜け出るのを規制された下向き姿勢のまま揺動する。
【0053】
このとき、洗浄用ポンプ66が作動し、洗浄槽19内の洗浄液が洗浄パイプ65に供給され、洗浄パイプ65の各噴射口部から洗浄液が揺動中の下向き姿勢の炊飯釜2内に向って噴射され、炊飯釜2の主洗浄が行われる。
【0054】
この主洗浄が終了すると、炊飯釜支持体21が支持体回動手段22からの動力で回動軸23を中心としてb方向に反転位置から正位置まで略180度回動し、炊飯釜2が下向き姿勢から上向き姿勢に戻る。
【0055】
この炊飯釜支持体21の回動途中で、抜止め体26は、炊飯釜2の取手部6にて押されていた状態から解除されるとともに、自重で凹状部20に対して支軸24を中心として回動して規制状態から許容状態となり、凹状部20の凹部分53の先端開口53aが開口する。
【0056】
また、この回動途中において、炊飯釜2が上向き姿勢に戻る前に、仕上げ用洗浄パイプ70の各噴射口部から仕上げ液が主に炊飯釜2内に向って噴射され、炊飯釜2の仕上げ洗浄が行われる。
【0057】
その後、作業者は、洗浄後の炊飯釜2を上向き姿勢のまま洗浄室13から取り出し、次に洗浄する炊飯釜2を洗浄室13に入れる。こうして炊飯釜2が1個ずつ洗浄される。
【0058】
そして、このような洗浄装置1によれば、揺動中の下向き姿勢の炊飯釜2内に向けて洗浄手段27から洗浄液を噴射して炊飯釜2を洗浄する構成であるから、洗浄液が炊飯釜2の内面全体に満遍なく当たるとともに、付着していた米粒等が炊飯釜2内に向けて噴射され垂直方向に面しているすべての側板部5の内側を伝って流れ落ちていく洗浄水とともに炊飯釜2内からスムーズに流れ落ちるため、従来の構成に比べて、炊飯釜2を効率的かつ適切に洗浄できる。
【0059】
また、抜止め体26が凹状部20の凹部分53内から取手部6が抜け出るのを規制するため、炊飯釜2の揺動時である洗浄時に、炊飯釜2が炊飯釜支持体21から落下することを確実に防止できる。
【0060】
さらに、例えば大きさの異なる複数種の炊飯釜2を洗浄する場合には、各炊飯釜2に応じて炊飯釜支持体21の凹状部20を支持体本体部40に対して左右上下方向に位置調整でき、複数種の炊飯釜2に適切に対応できる。
【0061】
また、炊飯釜支持体21は、洗浄室13の略中央の位置であって炊飯釜2の取手部6付近の位置を通る回動中心軸線Xを中心として回動可能となっているため、洗浄室13内の釜反転用スペースを小さくでき、洗浄装置1全体のコンパクト化を容易に図ることができる。
【0062】
さらに、炊飯釜2を揺動させるため、洗浄手段27の洗浄パイプ65を揺動させる必要がなく、洗浄手段27の構成の簡素化を容易に図ることができる。
【0063】
なお、上記一実施の形態では、炊飯釜2を1個ずつ洗浄室13に入れて洗浄する構成について説明したが、例えば、炊飯釜2を複数個、例えば3個ずつ洗浄室13に入れて洗浄する構成等でもよい。
【0064】
また、抜止め体26が支軸24を支点にして自重によって回動させていることや炊飯釜2の取手部6にて押されて回動する構成には限定されず、例えば抜止め体26を炊飯釜支持体21に対して回動させる駆動手段等を設けた構成等でもよい。
【0065】
さらに、凹状部20が支持体本体部40に対して左右上下方向に位置調整可能に設けられた構成には限定されず、例えば凹状部20が左右上下方向に加えて前後方向にも位置調整可能な構成でもよく、また例えば凹状部を炊飯釜支持体21の所定部位に切欠き形成した構成等でもよい。
【0066】
また、上記一実施の形態では、開閉扉14を動力によって自動開閉する構成について説明したが、例えば作業者が手で開閉するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 洗浄装置
2 炊飯釜
6 取手部
20 凹状部
21 炊飯釜支持体
22 支持体回動手段
26 抜止め体
27 洗浄手段
40 支持体本体部
X 回動中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯釜の取手部が挿入される凹状部を有する回動可能な炊飯釜支持体と、
この炊飯釜支持体を回動させる支持体回動手段と、
前記炊飯釜支持体に設けられ、前記凹状部内への取手部の挿入を許容する許容状態および前記凹状部内から取手部が抜け出るのを規制する規制状態になる抜止め体と、
この抜止め体にて取手部が前記凹状部内から抜け出るのを規制された下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射する洗浄手段と
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
抜止め体は、炊飯釜支持体に対して回動自在で、前記炊飯釜支持体の回動時に取手部にて押されて回動することにより許容状態から規制状態になる
ことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
炊飯釜支持体の凹状部は、複数種の炊飯釜に対応できるように支持体本体部に位置調整可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄装置。
【請求項4】
支持体回動手段は、洗浄時には炊飯釜支持体を往復回動させることにより炊飯釜を下向き姿勢のまま揺動させ、
洗浄手段は、抜止め体にて取手部が凹状部内から抜け出るのを規制された状態で揺動する下向き姿勢の炊飯釜内に向けて洗浄液を噴射する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の洗浄装置。
【請求項5】
炊飯釜支持体は、炊飯釜の取手部付近を通る水平方向の回動中心軸線を中心として回動可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−207722(P2010−207722A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56606(P2009−56606)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000116699)株式会社アイホー (65)
【Fターム(参考)】