説明

洗浄装置

【課題】ジェット洗浄だけを行う洗浄モードと浸漬洗浄とジェット洗浄の双方を行う洗浄モードとを切り換え可能にする。
【解決手段】搬送コンベヤ18によって被洗浄物Fを搬送する搬送経路に浸漬洗浄部8と噴射洗浄部10が設けられている。浸漬洗浄部8には被洗浄物Fを浸漬する浸漬槽24とサブタンク26が配置されている。浸漬槽24内の洗浄液とサブタンク26内の洗浄液は互いに移送可能になっており、浸漬洗浄を行う洗浄モード時には、サブタンク26内の洗浄液を浸漬槽24に移送して、搬送コンベヤ18上の被洗浄物Fが洗浄液中を通過するように浸漬槽24の水位を高くし、浸漬洗浄をしない洗浄モードでは、浸漬槽24内の洗浄液をサブタンク26に移して、浸漬槽24の水位を低くし、搬送コンベヤ18により搬送される被洗浄物Fが洗浄液中を通らないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段によって搬送される被洗浄物を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄装置は、一般に、搬送手段によって搬送している被洗浄物を、洗浄液を貯留した浸漬槽に浸漬させて洗浄を行う浸漬洗浄や、搬送している被洗浄物に洗浄液を高圧で噴射して洗浄を行うジェット洗浄、あるいは、これら浸漬洗浄とジェット洗浄を組み合わせた洗浄方式等が従来から知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1に記載された液中ジェット洗浄装置は、ワークをネットコンベアに載せて斜面を下降して、ディップ槽内に搬送し、ディップ槽内の上下に設置したノズルから液中に噴射してジェット洗浄を行うようにしている。また、ワークがノズルからのジェットによって飛ばされることを防止するために、前記ネットコンベアの上方にワークの通る所定の間隔をあけて別のネットコンベアを配置している。
【0004】
また、特許文献2に記載されたエアフィルター洗浄装置は、洗浄、リンス、リンス兼用殺菌等の各処理槽を配置し、走行式のリフター装置でフィルターをリフトアップして走行して各処理槽に順次浸漬して洗浄するようになっている。
【0005】
さらに、特許文献3に記載された食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄装置は、庫体の一端に搬入口、他端に搬出口を設け、これら搬入口と搬出口間に被洗浄物の連続する移送路が形成され、この移送路が、搬入口から下方へ向かう傾斜面と、この傾斜面の下端から搬出口へ向かう無端回動式のコンベアとから成り、前記コンベア上に被洗浄物を載置したときに、被洗浄物が完全に沈降しうる深さを有する内部に洗浄液を入れた浸漬槽を形成するとともに、この浸漬槽の上部に、浸漬槽を向けてシャワーノズルを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−108580号公報
【特許文献2】実用新案登録第3075148号公報
【特許文献3】特開昭62−82933号公報
【0007】
前記のように各種タイプの洗浄装置が知られているが、例えば、被洗浄物が金属メッシュのフィルターの場合には、高圧水の噴射だけで洗浄しようとすると、フィルターの表面はきれいになっても、洗浄水はメッシュの内部をそのまま通過してしまうので、被洗浄物全体としては洗浄液が行き渡らず、完全に汚れを落としきることができないおそれがあった。この場合には、洗浄液を貯留した浸漬槽中に浸漬することがより完全な洗浄に有効である。また、例えば、被洗浄物がスポンジ状のフィルターの場合には、浸漬槽に浸漬すると、洗浄液を吸い込んで浸漬槽から持ち出してしまい、洗浄液の使用量が増大してランニングコストがアップし、さらに、浸漬槽が複数の場合には、洗浄液を次の浸漬槽に持ち込んで混入してしまうという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように被洗浄物の種類によって好適な洗浄方法は異なっているため、浸漬槽を有する洗浄装置を、浸漬による洗浄を必要としない洗浄装置に兼用することが望まれているが、簡単な操作で切り替えることができる洗浄装置は現在のところ存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被洗浄物を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送経路に設けられ、搬送されている被洗浄物を浸漬して洗浄する浸漬洗浄部と、被洗浄物に洗浄液を噴射して洗浄する噴射洗浄部とを備えた洗浄装置において、前記浸漬洗浄部は、被洗浄物を浸漬洗浄する浸漬槽と、洗浄液を貯留するサブタンクとを備え、これら浸漬槽とサブタンク内の洗浄液を互いに移送可能に構成し、前記浸漬槽の水位を、搬送手段によって搬送されている被洗浄物を浸漬可能な高さに保持して被洗浄物の浸漬洗浄を行う第1洗浄モードと、
浸漬槽の洗浄液をサブタンクに移して浸漬槽の水位を搬送手段による搬送経路以下として、被洗浄物の浸漬洗浄を行わない第2洗浄モードとを、被洗浄物に応じて切り換え可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗浄装置は、浸漬洗浄部に設けた浸漬槽とサブタンク間で互いに洗浄液を移送可能にし、浸漬洗浄を行う場合には、サブタンクの洗浄液を浸漬槽に移して浸漬槽の液面を高くして、搬送コンベヤによって搬送されている被洗浄物が洗浄液中を通過するようにし、浸漬洗浄を行わない場合には、浸漬槽の洗浄液をサブタンクに移送して、搬送コンベヤによって搬送されている被洗浄物が浸漬槽の洗浄液中に入らないようにしたので、浸漬洗浄を行う第1洗浄モードと、浸漬洗浄を行わない第2運転モードとを簡単に切り替えることができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る洗浄装置の縦断面図であり、浸漬洗浄を行う第1洗浄モードを示す。(実施例1)
【図2】図2は図1と同様の縦断面図であり、浸漬洗浄を行わない第2洗浄モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
被洗浄物を搬送する搬送手段の搬送経路に、被洗浄物を浸漬槽の洗浄液中に浸漬して洗浄を行う浸漬洗浄部と、洗浄液あるいは清水を噴射して被洗浄物の洗浄を行う噴射洗浄部が設けられている。浸漬洗浄部には浸漬槽の他にサブタンクが設けられており、このサブタンク内の洗浄液と浸漬槽内の洗浄液を互いに移送できるようになっている。浸漬洗浄を行う第1洗浄モードでは、サブタンク内の洗浄液を浸漬槽内に移送して浸漬槽内の洗浄液の液面の高さを上昇させ、搬送手段によって搬送されている被搬送物が洗浄液中を通過するようにし、一方、浸漬洗浄を行わない第2洗浄モードでは、浸漬槽内の洗浄液をサブタンクに移して、浸漬槽内の洗浄液の水位を低くして、搬送手段による搬送経路以下とすることにより、浸漬洗浄を行うモードと浸漬洗浄を行わないモードとを簡単に切り替えるという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る洗浄装置は、缶体2の入口側(図の右側)に、被洗浄物Fの供給部4および前処理部6が配置され、続く缶体2の内部の、前半部に浸漬洗浄部8、後半部に噴射洗浄部10が配置され、出口側に洗浄が終了した被洗浄物Fを排出する排出部12が設けられている。この洗浄装置には、複数のプーリ14および送りローラ16等を介してネットコンベヤあるいはチェーンコンベヤ等の搬送手段(以下、搬送コンベヤ18と呼ぶ)が配置され、この搬送コンベヤ18によって被洗浄物Fを搬送中に、前記各処理部6、8、10においてそれぞれの処理を行うようになっている。
【0014】
供給部4において、前記搬送コンベヤ18上に、図示しない供給手段から被洗浄物Fが供給される。この実施例では、洗浄される物品は金属メッシュフィルターFAと樹脂製のスポンジ状フィルターFBの2種類である。このようなフィルター(被洗浄物F)が供給部4で搬送コンベヤ18上に供給された後、搬送コンベヤ18の走行によって前処理部6に送られる。
【0015】
前処理部6では、外部から供給された被洗浄物(フィルターF)に付着している塵埃を除去する。この前処理部6には、エアコンプレッサからの圧縮エアを前記フィルターFに吹き付けるエアノズル20が搬送コンベヤ18の下方に配置されており、この圧縮エアによって吹き飛ばされた塵埃を、ブロアによって吸引する吸塵装置22で上方から吸引することにより、後の工程で洗浄されるフィルターFの洗浄前処理が行われる。
【0016】
次の浸漬洗浄部8には、浸漬槽24が配置されている。この浸漬槽24は、入口側の次第に深くなる下降傾斜面24a、中央の深い貯水槽部24b、出口側の次第に浅くなる2段の上昇傾斜面(第1上昇傾斜面24cおよび第2上昇傾斜面24d)を備えている。前記搬送コンベヤ18は、前記供給部4、前処理部6および下流側の噴射洗浄部10では水平に走行しているが、この浸漬洗浄部8では、浸漬槽24の形状に応じて走行経路を上下に変化させている。搬送コンベヤ18は、浸漬槽24の入口側の下降傾斜面24aの上方では、浸漬槽24の傾斜に応じて次第に下降する傾斜部18aが、浸漬槽24の貯水槽部24bの上方では、最も下降した高さで水平に走行する低位水平走行部18bが、そして、浸漬槽24の第1上昇傾斜面24cの上方では、この第1上昇傾斜面24cの傾斜に応じて上昇するようになっており、それ以降の部分18dは噴射洗浄部10に向けて水平に走行する。
【0017】
浸漬洗浄部8には浸漬槽24の他にサブタンク26が設けられている。このサブタンク26内の洗浄液と浸漬槽24内の洗浄液とを互いにポンプ28で移送できるようになっている。サブタンク26内の洗浄液は、ポンプ28によって吸引され、フィルター30を介して浸漬槽24の下降傾斜部24aの上方に設置された給水ノズル32から浸漬槽24内に送液される。また、浸漬槽24内の洗浄液は、ポンプ28によって吸引され、フィルター30を介してサブタンク26の上方に配置された給水ノズル34からサブタンク26内に投入される。なお、浸漬槽24およびサブタンク26にはそれぞれ液面の高さを検出するレベルセンサ36、38が設けられている。また、浸漬槽24およびサブタンク26には、貯留されている洗浄液の液温を調節するためのヒータ40、42がそれぞれ設けられている。
【0018】
この実施例では、被洗浄物Fの材質形状等に応じて浸漬洗浄を行う場合と、浸漬洗浄を行わずに洗浄液または清水等を噴射するジェット洗浄だけを行う場合に切り替えられるようになっている。例えば、吸水性の高いスポンジ状フィルターFBの場合には、浸漬洗浄を行わずに洗浄液を噴射するジェット洗浄だけを行う方が好ましいので、浸漬槽24内の洗浄液を前記ポンプ28および通路を通してサブタンク26に移送する。このときの浸漬槽24の液面24Bの高さは、図2に示すように、搬送コンベヤ18によって搬送されているスポンジ状フィルターFBが接触しない位置まで低下させておく。また、金属メッシュフィルターFAの場合には、洗浄液を噴射するジェット洗浄を行う前に浸漬洗浄を行う方が好ましいので、サブタンク26の洗浄液を浸漬槽24に移送して、搬送コンベヤ18によって搬送されている金属メッシュフィルターFAが洗浄液中を通過するように、液面24Aの高さを上昇させる(図1参照)。この浸漬槽24の液面24A、24Bの高さは適宜変更可能であり、必要に応じて浸漬洗浄を行う時間を調整することができる。なお、浸漬槽24の洗浄液は、適宜フィルター30を通して循環濾過が行われて、常に一定の清浄度を保つようになっている。また、浸漬槽24からサブタンク26への洗浄液の移送の際にも、フィルター30による洗浄液の濾過が行われている。なお、この実施例では、単一の浸漬槽24により浸漬洗浄を行うようにしているが、複数の浸漬槽を設けて繰り返し浸漬を行うことも可能である。また、浸漬槽中に噴射ノズルを設けて液中でジェット噴射を行うことも可能である。
【0019】
浸漬洗浄部8に続いて噴射洗浄部10が配置されている。噴射洗浄部10は、上流側から順に、予備洗浄部44、高圧洗浄部46、仕上げ洗浄部48および水切り部50を備えている。予備洗浄部44には、上下の噴射ノズル52、54が設けられており、搬送コンベヤ18上を搬送されている被洗浄物Fに上下から洗浄液を噴射する。噴射された洗浄液は、搬送コンベヤ18の下方に配置された第1液受け部56内に流れ込み機外に排出される。この予備洗浄部44では、噴射ノズル52、54から常温水あるいは温水の吹き付けが行われる。
【0020】
予備洗浄部44に続く高圧洗浄部46にも、搬送コンベヤ18によって搬送されている被洗浄物Fに上下から高圧ジェット噴射を行う噴射ノズル58、60が配置されている。高圧洗浄部46の搬送コンベヤ18の下方に第2液受け部62が配置され、噴射ノズル58、60から噴射された洗浄液が流れ落ちる。この第2液受け部62の下方に、第1貯留タンク64が配置されており、第2液受け部62に落下した洗浄液がこの第1貯留タンク64内に流入する。高圧洗浄部46の噴射ノズル58、60には、前記第1貯留タンク64内に貯留されている洗浄液がポンプ66によって吸い出され、フィルター68を通した後高圧ポンプ70によって送られるようになっており、洗浄液が循環して使用される。また、前記第1貯留タンク64に貯留されている洗浄液の液温を調節するために第1貯留タンク64にはヒータを設けてもよい。
【0021】
次の仕上げ洗浄部48には、搬送コンベヤ18によって搬送されている被洗浄物Fに上方から常温水あるいは温水を噴射する噴射ノズル72が設けられている。この噴射ノズル72には、図示しない給水源から洗浄用の水が供給され、噴射された後、搬送コンベヤ18の下方に配置された第3液受け部74に落下し、さらにその下方に配置された第2貯留タンク76に流入する。この第2貯留タンク76に貯留されている水は、ポンプ78によって吸引され、フィルター80を通して前記予備洗浄部52の上下のノズル52、54に送られる。また、この第2貯留タンク76に貯留されている水の水温を調節するために、第2貯留タンク76にはヒータを設けてもよい。この仕上げ洗浄部48では、常温水あるいは温水を噴射することにより、前の工程の高圧洗浄部46で浮き出た汚れや付着した洗浄液を洗い流すようになっている。
【0022】
最後の水切り部50では、ブロア82からの圧縮エアを吹き出すエアノズル84が設けられており、搬送コンベヤ18によって搬送されつつ、予備洗浄、高圧洗浄および仕上げ洗浄が行われた被洗浄物Fに圧縮エアを吹き付けて水切りを行う。この水切り部50の下方には、前記仕上げ洗浄部48の下方に配置された第3液受け部74が延長されており、圧縮エアを噴射することによって吹き飛ばされた水分がこの第3液受け部74に受けられる。噴射洗浄部10の水切り部50で洗浄が終了した被洗浄物Fは、排出部12から排出される。
【0023】
以上の構成に係る洗浄装置の作動について説明する。先ず、金属メッシュフィルターFAの洗浄を行う場合は、浸漬洗浄部8のポンプ28を駆動して、サブタンク26内に貯留されている洗浄液を、浸漬槽24の下降傾斜面24aの上方に設けられているノズル32に送って浸漬槽24内に移送する。この実施例では、図1に示すように、浸漬槽24の下降傾斜面24aと第1上昇傾斜面24cの上部まで洗浄液が貯留された状態になるまで洗浄液を移送して液面24Aを上昇させる。金属メッシュフィルターFAは、噴射洗浄だけで洗浄を行うと表面は洗浄されるが、網目の内部が充分に洗浄できないので、噴射洗浄に加えて浸漬洗浄を行う。
【0024】
浸漬槽24内の洗浄液の量を前記状態にしてから運転を開始する。搬送コンベヤ18の供給部4から金属メッシュフィルターFAを供給する。この金属メッシュフィルターFAは、先ず、前処理部6に送られる。この前処理部6では、下方からコンプレッサによる圧縮エアが吹き付けられて、金属メッシュフィルターFAに付着している塵埃が吹き飛ばされ、上方の吸塵装置22によって吸引されて除去される。
【0025】
前記前処理部6で洗浄前の処理が済んだ金属メッシュフィルターFAは、缶体2内部の浸漬洗浄部8に搬入される。浸漬洗浄部8では、浸漬槽24の上方で搬送コンベヤ18の搬送経路が下降しており、搬送コンベヤ18によって搬送されている金属メッシュフィルターFAは、搬送コンベヤ18の前進に伴って次第に下降して洗浄液中に導入され浸漬される。
【0026】
浸漬槽24の洗浄液中を通過したメッシュフィルターFAは、次の噴射洗浄部10に搬入される。この噴射洗浄部10では、先ず、予備洗浄が行われる。この予備洗浄部44では、仕上げ洗浄部48の下方に配置されている第2貯液タンク76の常温水または温水をポンプ78およびフィルター80を介して供給され、上下の噴射ノズル52、54から噴射される。金属メッシュフィルターFAは、すでに浸漬洗浄部8で浸漬洗浄が行われているので、浸漬洗浄により付着した洗浄液がこの予備洗浄部44で洗い流される。なお、金属メッシュフィルターFAは、浸漬洗浄部8で付着した洗浄液は表面だけなので、予備洗浄によって簡単に洗い流されるため下流の工程に洗浄液を持ち込むおそれはほとんど無い。
【0027】
予備洗浄が終了した金属メッシュフィルターFAは、次の高圧洗浄部46に送られる。この高圧洗浄部46では、高圧ポンプ70によって供給された洗浄水が、上下の高圧噴射ノズル58、60から金属メッシュフィルターFAに高圧で噴射されて洗浄が行われる。高圧噴射ノズル58、60から噴射された洗浄液は、下方の液受け部62から第1貯液タンク64に流下し、循環して使用される。続いて、高圧洗浄された金属メッシュフィルターFAは仕上げ洗浄部48に送られ、図示しない清水供給部から供給された常温水あるいは温水が噴射されることにより、高圧洗浄によって浮き出た汚れや付着した洗浄液を洗い流す。その後、水切り部50において、ブロア82から送られた圧縮エアがエアノズル84から吹き付けられることにより水切りが行われ、金属メッシュフィルターFAの浸漬洗浄と噴射洗浄の両洗浄方式を用いた洗浄が終了する。この浸漬洗浄を行う洗浄モードが請求項1に記載した第1洗浄モードである。
【0028】
前記洗浄装置で樹脂製のスポンジ状フィルターFBの洗浄を行う場合には、浸漬槽24の、搬送コンベヤ18よりも上方まで貯留されている洗浄液を、サブタンク26へ移送して搬送コンベヤ18を洗浄液の液面24Bよりも上方へ露出させる(図2参照)。このように洗浄液を浸漬槽24からサブタンク26へ移送することにより浸漬洗浄部8をなくした状態にして浸漬洗浄を行わないようにする。スポンジ状のフィルターFBは吸水性がよいため、浸漬洗浄を行うと洗浄液の持ち出しが多くなり、また、浸漬時に浮き上がってしまうという問題があるため、浸漬を行わず、ジェット噴射だけで洗浄を行う。
【0029】
搬送コンベヤ18の供給部4にスポンジ状フィルターFBが供給されると、先ず、前処理部6でこのフィルターFBに付着していた塵埃を吹き飛ばして吸塵装置22で吸引して洗浄前の処理を行う。その後、搬送コンベヤ18の走行によりスポンジ状フィルターFBが浸漬洗浄部8内を搬送されるが、浸漬槽24の液面24Bが浸漬槽24の中央の深い貯水槽部24b付近まで低下しているので、充填液中に浸漬されることなくそのまま浸漬洗浄部8を通過する。
【0030】
浸漬洗浄部8を通過して噴射洗浄部10に搬入されたスポンジ状フィルターFBは、予備洗浄部44、高圧洗浄部46、仕上げ洗浄部48を通過してそれぞれの洗浄が順次行われ、最後に水切り部50で水切りが行われる。水切り部50で吹き付ける圧縮エアが温風であれば、フィルターFの乾燥も行える。なお、吹き付ける圧縮エアの温度の設定等は被洗浄物の材質形状等に応じて適宜変更可能である。この浸漬洗浄を行わない洗浄モードが請求項1の第2洗浄モードである。
【符号の説明】
【0031】
F 被洗浄物(フィルター)
8 浸漬洗浄部
10 噴射洗浄部
18 搬送手段(搬送コンベヤ)
24 浸漬槽
26 サブタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を搬送する搬送手段と、この搬送手段による搬送経路に設けられ、搬送されている被洗浄物を浸漬して洗浄する浸漬洗浄部と、被洗浄物に洗浄液を噴射して洗浄する噴射洗浄部とを備えた洗浄装置において、
前記浸漬洗浄部は、被洗浄物を浸漬洗浄する浸漬槽と、洗浄液を貯留するサブタンクとを備え、これら浸漬槽とサブタンク内の洗浄液を互いに移送可能に構成し、
前記浸漬槽の水位を、搬送手段によって搬送されている被洗浄物を浸漬可能な高さに保持して被洗浄物の浸漬洗浄を行う第1洗浄モードと、
浸漬槽の洗浄液をサブタンクに移して浸漬槽の水位を搬送手段による搬送経路以下として、被洗浄物の浸漬洗浄を行わない第2洗浄モードとを、被洗浄物に応じて切り換え可能としたことを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−250212(P2012−250212A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126570(P2011−126570)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】