説明

活線挿抜制御回路

【課題】解除電圧のばらつきを低減した活線挿抜制御回路を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、出力回路と、電圧発生回路と、検出回路と、補正回路とを備えた活線挿抜制御回路が提供される。前記出力回路は、活線挿抜基板に設けられた半導体装置の出力信号を電源電圧が解除電圧以下のときディスエーブルに切替え、前記電源電圧が前記解除電圧よりも高いときイネーブルに切替えることのできるイネーブル信号を生成する。前記電圧発生回路は、前記電源電圧が供給されるMOSFETを含み、前記電源電圧に応じて変化し前記解除電圧を検出する基準となる第1の電圧を発生する。前記検出回路は、前記第1の電圧を検出する。前記補正回路は、前記検出回路の出力に応じて前記第1の電圧を一定値に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、活線挿抜制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活線挿抜(ホットスワップ)機能を有する基板や装置は、装置本体に電源を供給したままでも脱着することができるようになっている。この活線挿抜機能により、例えば、通信システムやデータ処理システムなどにおいて、システムを停止することなく電源が供給された状態のままで障害の発生した基板や装置を脱着して入れ換えることができる。また、新たにモジュール化された基板を追加してシステムを拡張することができる。
【0003】
活線挿抜する基板(活線挿抜基板)側が出力可能なイネーブルであると、電源電圧が低くMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が正しく動作しない場合に、活線挿抜基板側の出力が主基板側に伝達され、主基板側が誤動作に陥る場合がある。
そこで、活線挿抜基板を主基板に脱着する場合、電源電圧が安定するまで、活線挿抜基板側から出力しないディスエーブルにする活線挿抜制御回路が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−278110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のしきい値電圧は製造プロセス等により変化するため、活線挿抜基板側の出力をディスエーブルからイネーブル、またイネーブルからディスエーブルに切替える電源電圧(以下、解除電圧)にはばらつきがあり、活線挿抜基板側から出力される電圧の論理値が誤判定されるおそれがある。
そこで、解除電圧のばらつきを低減した活線挿抜制御回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、出力回路と、電圧発生回路と、検出回路と、補正回路とを備えた活線挿抜制御回路が提供される。前記出力回路は、活線挿抜基板に設けられた半導体装置の出力信号を電源電圧が解除電圧以下のときディスエーブルに切替え、前記電源電圧が前記解除電圧よりも高いときイネーブルに切替えることのできるイネーブル信号を生成する。前記電圧発生回路は、前記電源電圧が供給されるMOSFETを含み、前記電源電圧に応じて変化し前記解除電圧を検出する基準となる第1の電圧を発生する。前記検出回路は、前記第1の電圧を検出する。前記補正回路は、前記検出回路の出力に応じて前記第1の電圧を一定値に補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1及び第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の構成を例示する回路図である。
【図2】比較例の活線挿抜制御回路の回路図である。
【図3】比較例の解除電圧VRDの製造ばらつきのシミュレーション結果を表すグラフである。
【図4】図1に表した活線挿抜制御回路の解除電圧VRDの製造ばらつきのシミュレーション結果を表すグラフである。
【図5】第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の他の構成を例示する回路図である。
【図6】第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の他の構成を例示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、論理値ローレベルをLで表し、論理値ハイレベルをHで表す。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1及び第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の構成を例示する回路図である。
図1においては、第1の実施形態に係る活線挿抜制御回路1及び第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路2の構成を例示している。
【0010】
活線挿抜制御回路1は、インタフェース回路3、電圧発生回路6、検出回路7、補正回路16、及び出力回路8を備える。活線挿抜制御回路1は、例えば半導体基板に形成され1チップ化した構造を備え、活線挿抜基板(図示せず)に搭載される。例えば、通信システムやデータ処理システムなどのシステムの主基板から、挿抜が行われる活線挿抜基板(図示せず)に搭載される。
【0011】
インタフェース回路3は、トライステート回路4、論理積回路(AND)5を有する。
トライステート回路4には、活線挿抜基板内の半導体装置の論理回路(図示せず)から信号DIが入力される。トライステート回路4からは、信号DOが出力される。トライステート回路4の制御端子にはAND5の出力が接続され、イネーブル信号PU3sOUTと制御信号ENとの論理積が入力される。
【0012】
イネーブル信号PU3sOUTは、電圧発生回路6、検出回路7、補正回路16及び出力回路8により生成される。後述するように、インタフェース回路3には、電源電圧VCCの値に応じてローレベルまたはハイレベルとなるイネーブル信号PU3sOUTが入力され、トライステート回路4の出力の状態は、イネーブル/ディスエーブルに制御される。トライステート回路4の出力の状態は、電源電圧VCCが解除電圧VRD以下のときディスエーブルに制御され、電源電圧VCCが解除電圧VRDよりも高いときイネーブルに制御される。
【0013】
制御信号ENは、活線挿抜基板内の他の論理回路(図示せず)から入力される。また、トライステート回路4から出力される信号DOは、活線挿抜基板が主基板(図示せず)に装着された場合に、活線挿抜基板側から主基板側へ出力される信号である。
【0014】
制御信号ENは、イネーブル信号PU3sOUTがハイレベルのときに、活線挿抜基板から主基板への信号の出力を制御する信号である。制御信号ENがハイレベルのとき、トライステート回路4はイネーブルとなり、活線挿抜基板側から信号DIが主基板側へ信号DOとして出力される。制御信号ENがローレベルのとき、トライステート回路4はディスエーブルになり、トライステート回路4の出力はハイインピーダンスの状態になる。
【0015】
次に、活線挿抜制御回路1のインタフェース回路3の動作について説明する。
まず、主基板側であるシステムの電源がオンの状態であり、通電状態の主基板に活線挿抜基板を挿し込む場合について説明する。活線挿抜基板を主基板に挿し込むと、活線挿抜制御回路1の電源電圧VCCは、0Vから、主基板から供給される電源電圧まで上昇する。
【0016】
ここで、電源電圧VCCは、活線挿抜制御回路1に実際に供給されている電源電圧の瞬時値を表している。電源電圧VCCは、活線挿抜基板を主基板に挿し込む前は、0Vに放電しており、主基板に挿し込むと、主基板から供給される電源電圧まで充電される。このように、充電時間を経て定常値に達するまで、活線挿抜制御回路1の電源電圧VCCは、主基板から供給される電源電圧とは異なる。この、電源電圧VCCが0Vから、主基板から供給される電源電圧まで上昇するときに、誤動作のおそれがある。
【0017】
通常CMOSは、例えば0.8V近辺で動作を始める。そのため、電源電圧VCCが0.8Vまで上昇すると、各回路が動作を開始してローレベルまたはハイレベルを出力する。しかし、そのハイレベルとして出力される電圧は、活線挿抜制御回路1に実際に供給されている電源電圧VCCの値に制限される。そのため、活線挿抜基板からは、0.8Vまでしか出力できない。従って、例えば、この状態でインタフェース回路3から5V規格の主基板側へ0.8Vの信号DOが出力されると、主基板側において、出力される0.8Vはローレベルであると認識し誤動作を引き起こすことが懸念される。
【0018】
そこで、活線挿抜機能を実現するために、活線挿抜基板から出力される電圧が主基板側からみてハイレベルになる規定値まで、活線挿抜基板からの出力は、ハイインピーダンス状態を保つことが求められる。例えば、主基板側の入力をプルアップしたときに、電源電圧VCCが規定値の1.5V(5V規格の場合)まで、活線挿抜基板側からの出力はハイインピーダンス状態を保つ必要がある。
また、活線挿抜基板を主基板から抜き取る場合、活線挿抜基板の電源電圧VCCは、主基板から供給される電源電圧の定常値から0Vまで低下していく。このとき、活線挿抜基板から出力される電圧が主基板側からみてハイレベルになる規定値よりも低下した場合は、活線挿抜基板からの出力はハイインピーダンス状態にする必要がある。
【0019】
そこで、活線挿抜制御回路1のインタフェース回路3においては、電源投入/切断時に、電源電圧VCCの値が主基板側からみてハイレベルになる規定値以下のときは、活線挿抜基板からの出力はハイインピーダンス状態に制御される。
【0020】
例えば、主基板側が5V規格の場合、インタフェース回路3においては、電源電圧VCCが0〜1.5Vの間の規定値以下のとき、活線挿抜基板からの出力はハイインピーダンス状態に制御される。また、例えば、主基板側が3V規格の場合、インタフェース回路3においては、電源電圧VCCが0〜1.2Vの間の規定値以下のとき、活線挿抜基板からの出力はハイインピーダンス状態に制御される。
【0021】
上記のとおり、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルまたはハイレベルからローレベルに変化するときの電源電圧VCCは、インタフェース回路3の出力のハイインピーダンス状態が解除される電圧、すなわち解除電圧VRDである。また、この解除電圧VRDは、インタフェース回路3にハイレベルの信号DIが入力され信号DOにハイレベルの出力を開始したときに出力される電圧である。
【0022】
このように、活線挿抜制御回路1においては、イネーブル信号PU3sOUTにより、インタフェース回路3の出力の状態を制御している。そのため、主基板側の入力をプルダウンした際には、インタフェース回路3からの出力がハイレベルであっても活線挿抜機能が保証される。また、活線挿抜制御回路1においては、イネーブル信号PU3sOUTは、電圧発生回路6、検出回路7、補正回路16及び出力回路8を備えた第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路2から出力される。
【0023】
以下に説明するように、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルまたはハイレベルからローレベルに変化するときの解除電圧VRDの変動が補正されている。そのため、インタフェース回路3から出力されるハイレベルの電圧を主基板からみてローレベルと誤認識し誤動作を引き起こすことはない。
【0024】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路2は、電圧発生回路6、検出回路7、出力回路8及び補正回路16を備える。活線挿抜制御回路2は、電源電圧VCCの値に応じて論理値がローレベルまたはハイレベルとなるイネーブル信号PU3sOUTを出力する。
【0025】
電圧発生回路6は、トランジスタ9、抵抗10、第1の抵抗11、第2の抵抗12を有する。
トランジスタ9は、Pチャンネル形MOSFET(以下、PMOS)であり、そのソースには電源電圧VCCが供給され、ゲート及びドレインには抵抗10の一端が接続される。抵抗10の他端は、第1の抵抗11の一端に接続される。トランジスタ9及び抵抗10は電源電圧VCCを供給され、第1の抵抗11の一端、すなわち抵抗10と第1の抵抗11との接続点13に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を供給する。
【0026】
なお、電圧発生回路6においては、電源電圧VCCをトランジスタ9及び抵抗10に供給して、第1の抵抗10の一端に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を供給している。しかし、電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を第1の抵抗の一端に供給できればよく、トランジスタ9だけでもよい。
【0027】
第1の抵抗11の他端と接地との間に、第2の抵抗12が接続される。第1の抵抗11と第2の抵抗12とは、接続点14で互いに直列に接続されている。第2の抵抗12の両端の間に第1の電圧Vbが発生する。
後述するように、この第1の電圧Vbは、出力回路8に入力され、電源電圧VCCに応じてローレベルまたはハイレベルとなるデジタル信号に変換されイネーブル信号PU3sOUTとして出力される。
【0028】
検出回路7は、第1のトランジスタ15、第3の抵抗17、第4の抵抗18を有する。
第1のトランジスタ15は、PMOSであり、そのゲートは、第1の抵抗11と第2の抵抗12との接続点14に接続される。第1のトランジスタ15のドレインは接地され、ソースは第3の抵抗17の一端に接続される。
【0029】
第3の抵抗17の他端は、第4の抵抗18の一端に接続され、第4の抵抗18の他端には電源電圧VCCが供給される。
第1のトランジスタ15のゲート・ソース間電圧がしきい値電圧以上のとき、第1のトランジスタ15、第3及び第4の抵抗17、18に電流I4が流れる。
【0030】
この電流I4により、第3及び第4の抵抗17、18の接続点19に電圧Vfが発生する。第1のトランジスタ15は、第3の抵抗17と接地との間に接続され、第1の電圧Vbを検出して第1の電圧Vbに応じて電流I4を第3の抵抗17に出力し、接続点19に電圧Vfを発生する。
【0031】
補正回路16は、第2のトランジスタ16で構成され、検出回路7の出力に応じて第1の電圧Vbを一定値に補正する。ここで、一定値に補正するとは、後述するように、製造プロセスなどによるMOSFETのパラメータのばらつきに基づく第1の電圧Vbの変動を抑制することである。第2のトランジスタ16は、Nチャンネル形MOSFET(以下、NMOS)であり、そのゲートは、第3の抵抗17と第4の抵抗18との接続点19に接続される。第2のトランジスタ16のドレインには、電源電圧VCCが供給される。第2のトランジスタ16のソースは、電圧発生回路6の抵抗10と第1の抵抗11との接続点13に接続される。
【0032】
第2のトランジスタ16は、検出回路7の出力の接続点19の電圧Vfで制御され、電圧発生回路6の接続点13、すなわち第1の抵抗11の一端に第2の電流I2を帰還して一定の電源電圧VCCに対して第1の電圧Vbを一定値に補正する。
【0033】
検出回路7と、補正回路16とは、第1の抵抗11の両端の間で帰還回路を構成している。この帰還回路は、一定の電源電圧VCCに対しては、電圧発生回路2の製造プロセスなどによるばらつきに基づく第1の電圧Vbの変動を検出して、第2の電流I2を第1の抵抗11の一端に負帰還する。第1及び第2の抵抗11、12を流れる第1及び第2の電流I1、I2の合成電流I1+I2は一定値に制御され、第1の電圧Vbは一定値に制御される。これにより、電圧発生回路2の製造プロセスなどによるばらつきに基づく第1の電圧Vbの変動は補正される。
【0034】
また、電源電圧VCCの変動に対しては、第2の電流I2は正帰還され、第1及び第2の抵抗11、12を流れる合成電流I1+I2は、電源電圧VCCに応じた値に制御される。そのため、第1の電圧Vbは、電源電圧VCCに応じた値に補正される。
【0035】
出力回路8は、第4のトランジスタ20、トランジスタ21、22、第5の抵抗23、インバータ25、26を有する。
第4のトランジスタ20は、NMOSであり、そのゲートは、電圧発生回路6の接続点14に接続される。第4のトランジスタ20のソースは接地され、ドレインは、トランジスタ21のドレインに接続されている。第4のトランジスタ20のゲート・ソース間には、第1の電圧Vbが供給される。トランジスタ21、22はPMOSであり、カレントミラーを構成している。
【0036】
トランジスタ22のドレインと接地との間に、第5の抵抗23が接続される。トランジスタ22のドレインと第5の抵抗23との接続点24に、インバータ25の入力が接続される。また、インバータ25の出力にインバータ26が縦続接続され、インバータ26からイネーブル信号PU3sOUTが出力される。
【0037】
出力回路8は、例えば活線挿抜基板に設けられた半導体装置の出力信号を電源電圧VCCが解除電圧VRD以下のときディスエーブルに切替え、電源電圧VCCが解除電圧VRDよりも高いときイネーブルに切替えることのできるイネーブル信号PU3sOUTを生成する。
【0038】
第1の電圧Vbが、出力回路8の論理しきい値よりも高いとき、イネーブル信号PU3sOUTはハイレベルになり、第1の電圧Vbが、出力回路8の論理しきい値よりも低いとき、イネーブル信号PU3sOUTはローレベルになる。出力回路8は、第1の電圧Vbを入力して電源電圧VCCの値に応じてローレベルまたはハイレベルとなるデジタル信号に変換してイネーブル信号PU3sOUTとして出力する。
出力回路8は、入力した第1の電圧Vbの値を検出することにより、電源電圧VCCが解除電圧VRDよりも高いか否かを判定している。電源電圧VCCに応じて変化する第1の電圧Vbは、解除電圧VRDを検出する基準となっている。
【0039】
次に活線挿抜制御回路2の動作について説明する。
活線挿抜制御回路2は、例えば、通信システムやデータ処理システムなどのシステムの主基板から、挿抜が行われる基板(活線挿抜基板)側に設けられる。
システムの電源がオンの状態であり、通電状態の主基板に活線挿抜基板を挿し込む場合について説明する。
【0040】
活線挿抜基板を挿し込むと、活線挿抜制御回路2の電源電圧VCCは、0Vから、主基板から供給される電源電圧の定常値まで上昇する。電圧発生回路6の第1の抵抗11の一端(接続点13)には、トランジスタ9、抵抗10を介して電源電圧VCCが供給され、第1の抵抗11の一端に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1が供給されている。電源電圧VCCの上昇に伴い、抵抗10から供給される第1の電流I1が増加する。
【0041】
また、第2のトランジスタ(補正回路)16から、第1の抵抗11の一端(接続点13)に第2の電流I2が帰還される。
第1及び第2の抵抗11、12には、第1及び第2の電流I1、I2の合成電流I3=I1+I2が流れ、第2の抵抗12の両端には、第1の電圧Vbが発生する。
【0042】
第1の電圧Vbが、出力回路8の第4のトランジスタ20のしきい値電圧を越えるまでは、第4のトランジスタ20はオフの状態のままである。トランジスタ21、22からなるカレントミラー、第5の抵抗23に電流が流れないため、第5の抵抗23の両端の電圧Vdはインバータ25の論理しきい値よりも低い。従って、インバータ25の入力はローレベルであり、インバータ26から出力されるイネーブル信号PU3sOUTは、ローレベルである。
【0043】
第1の電圧Vbは、電源電圧VCCの上昇とともに上昇する。第1の電圧Vbが出力回路8の第4のトランジスタ20のしきい値電圧を超えると、第4のトランジスタ20はターンオンする。
第4のトランジスタ20のターンオンにより、カレントミラーの基準側トランジスタ21に第1の電圧Vbに応じて電流I5が流れる。この電流I5は、カレントミラーにより折り返され、トランジスタ22から電流I6が第5の抵抗23に流れる。
【0044】
第5の抵抗23の両端の電圧Vdは、インバータ25の論理しきい値を超えてハイレベルになる。従って、インバータ25の出力はハイレベルからローレベルに変化し、インバータ26から出力されるイネーブル信号PU3sOUTは、ローレベルからハイレベルになる。このとき、インバータ26から出力されるイネーブル信号PU3sOUTは、電源電圧VCCにほぼ等しくなる。
【0045】
その後、電源電圧VCCの上昇とともに、イネーブル信号PU3sOUTも上昇する。
電源電圧VCC及びイネーブル信号PU3sOUTは、主基板から供給される電源電圧まで上昇して定常値になる。
また、活線挿抜基板を主基板から抜き取る場合、上記と逆に電源電圧VCCは、主基板から供給される電源電圧の定常値から0Vまで低下する。第5の両端の電圧Vdも低下し、インバータ25の論理しきい値よりも低下すると、イネーブル信号PU3sOUTは、ハイレベルからローレベルになる。そして、イネーブル信号PU3sOUTは、0Vまで低下する。
【0046】
上記のとおり、第1の電圧Vbに応じて第5の抵抗23に電流I6が流れ、第5の抵抗23の両端の電圧Vdがインバータ25の論理しきい値電圧を越えたとき、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルに変化する。また、第5の抵抗23の両端の電圧Vdがインバータ25の論理しきい値電圧よりも低下したとき、イネーブル信号PU3sOUTはハイレベルからローレベルに変化する。このイネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルに、またはハイレベルからローレベルに変化するときの電源電圧VCCは、上記のとおり解除電圧VRDである。
【0047】
従って、製造プロセスなどによる解除電圧VRDの変動(ばらつき)を低減するためには、第1の電圧Vbを製造プロセスなどのばらつきに対して補正する必要がある。
そこで、活線挿抜制御回路2においては、検出回路7及び補正回路(第2のトランジスタ)16で構成される帰還回路により、一定の電源電圧VCCに対しては、第2の電流を負帰還して第1及び第2の電流I1、I2の合成電流I1+I2を一定値に制御している。
【0048】
検出回路7の第1のトランジスタ15は、第1の電圧Vbを検出している。また、補正回路(第2のトランジスタ)16は、第1のトランジスタ15の出力により制御され、電圧発生回路6の第1の抵抗11の一端に第2の電流I2を帰還している。これにより第1の電圧Vbの変動を補正している。また、電源電圧VCCの変動に対しては、第2の電流を正帰還して、第1の電圧Vbを電源電圧VCCに応じた値に補正している。
【0049】
この第2の電流I2と抵抗10を介して供給される第1の電流I1とを合成した電流I3=I1+I2を作り込んで第1の電圧Vbを生成している。そのため、第1の電圧Vbが安定化され、製造プロセスのばらつきの影響により起こり得る解除電圧VRDのばらつきが補正され低減される。
次に、活線挿抜制御回路2の動作解析を示す。
【0050】
第1及び第2のトランジスタ15、16のトランスコンダクタンスをそれぞれgm1、gm2とする。また、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧をそれぞれVthP、VthNとする。さらに、第1の電圧(接続点14の電圧)、接続点13の電圧、第2のトランジスタ16のゲート電圧、第1のトランジスタ15のソース電圧をそれぞれVb、Ve、Vf、Vgとする。
【0051】
第2のトランジスタ16の第2の電流I2は、(1)式のようになる。

I2=(gm2/2)×(Vf−Ve−VthN) …(1)
【0052】
第1のトランジスタ15の電流I4は、(2)式のようになる。

I4=(gm1/2)×(Vg−Vb−VthP) …(2)
【0053】
また、トランジスタ9、抵抗10を介して電源電圧VCCから供給される第1の電流I1とし、第1及び第2の抵抗11、12を流れる電流をI3=I1+I2とする。さらに、第1〜第3の抵抗11、12、17の抵抗値をそれぞれR1、R2、R3とする。このとき、第1の電圧Vb、第1の抵抗11の一端(接続点13)の電圧Ve、第2のトランジスタ16のゲート電圧Vf、第1のトランジスタ15のソース電圧Vgには、(3)〜(5)式が成り立つ。
【0054】

Ve−Vb=I3×R1=(I1+I2)×R1 …(3)

Vb=I3×R2=(I1+I2)×R2 …(4)

Vf−Vg=I4×R3 …(5)
【0055】
(1)〜(5)式から、第1の電圧Vb、接続点13の電圧Ve、第2のトランジスタ16のゲート電圧Vf、第1のトランジスタ15のソース電圧Vgを消去すると(6)式のようになる。
【0056】

I2×(1+(gm2/2)×R1)=
(gm2/2)×
(−I1×R1+I4×(R3+(2/gm1)
+VthP−VthN)) …(6)
【0057】
さらに、1≪(gm2/2)×R1と設定すると、(6)式は、(7)式のように簡単化される。

I2=(I4×(R3+(2/gm1))
+VthP−VthN)/R1−I1 …(7)
【0058】
(7)式から、第1及び第2の抵抗11、12を流れる電流I3=I1+I2は、製造プロセスのばらつきの影響が低減され、定電流性が保たれることがわかる。例えば製造プロセスのばらつきの影響により、トランジスタ9及び抵抗10を介して第1の抵抗11の一端に供給される第1の電流I1が増加した場合、第2のトランジスタ16から帰還される第2の電流I2が減少する。また、トランジスタ9及び抵抗10を介して供給される第1の電流I1が減少した場合、第2のトランジスタ16から帰還される第2の電流I2が増加する。
【0059】
従って、第1の電圧Vbのばらつきは補正され、製造プロセスによる解除電圧VRDのばらつきが補正され低減される。
また、検出回路7及び補正回路(第2のトランジスタ)16で構成される帰還回路においては、一定の電源電圧VCCに対して第1の電圧Vbの変動を検出して第2の電流I2を帰還する経路に、互いに導電形の異なる第1及び第2のトランジスタ15、16が直列的に挿入されている。
【0060】
そのため、(7)式のように、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNに関して、その差分(VthP−VthN)が第1の抵抗11の抵抗値R1で除されている。従って、製造プロセスのばらつきの大きな要因であるMOSFETのしきい値電圧に関しても、解除電圧VRDのばらつきが補正され低減される。
【0061】
ここで、比較例として、検出回路7及び補正回路16で構成される帰還回路がない場合の活線挿抜制御回路について説明する。
図2は、比較例の活線挿抜制御回路の回路図である。
図2に表したように、比較例の活線挿抜制御回路31は、電圧発生回路32と出力回路8とを備える。比較例の活線挿抜制御回路31は、図1に表した活線挿抜制御回路2の検出回路7、補正回路16がなく、また電圧発生回路6を電圧発生回路32に置き換えた構成である。出力回路8については、図1に表した活線挿抜制御回路2と同様である。
【0062】
電圧発生回路32は、トランジスタ33、第1及び第2の抵抗11、12を有する。電圧発生回路32は、図1に表した電圧発生回路6の抵抗10を短絡した構成である。
トランジスタ33は、PMOSであり、そのソースには電源電圧VCCが供給され、ゲート及びドレインには第1の抵抗11の一端が接続される。トランジスタ33は、電源電圧VCCを供給され、第1の抵抗11の一端に第1の電流I1を供給する。
【0063】
第1の抵抗11の他端は、第2の抵抗12の一端に接続され、第2の抵抗12の他端は、接地される。第1の抵抗11と第2の抵抗12とは、互いに直列に接続される。第2の抵抗12の両端の間に第1の電圧Vbが発生する。
【0064】
電源切断時は、活線挿抜制御回路31の電源−接地間に電流が流れないため、第1の電圧Vb、イネーブル信号PU3sOUTは0Vである。
電源を投入すると、電源電圧VCCは0Vから上昇し、電圧発生回路32のトランジスタ33、第1の抵抗11、第2の抵抗12を介した電圧発生回路32の電源−接地間の第1の電流I1は増加を始める。
【0065】
電源電圧VCCが上昇し、出力回路8の第4のトランジスタ20がターンオンする電圧(しきい値電圧)を得たところで、出力回路8の第4のトランジスタ20、21を介した電源−接地間経路に電流I5が流れる。
【0066】
トランジスタ21、22は、カレントミラー構成をなし、トランジスタ22、第5の抵抗23を介した電源−接地間経路に電流I6が流れる。第5の抵抗23の両端の電圧Vdがインバータ25の論理しきい値を越えると、インバータ26から出力されるイネーブル信号PU3sOUTは、ハイレベルになる。
【0067】
しかし、第4のトランジスタ20のゲート・ソース間電圧は、第1の電圧Vbに等しく、電源電圧VCCから供給される第1の電流I1により決定される。そのため、製造プロセスによるばらつきなどにより第1の電流I1が変動すると、イネーブル信号PU3sOUTはばらつき、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルへ変化するときの電源電圧、すなわち解除電圧VRDもばらつく。なお、電源を投入する場合について説明したが、電源を切断する場合も同様である。
【0068】
図3は、比較例の解除電圧VRDの製造プロセスによるばらつきのシミュレーション結果を表すグラフである。
図3においては、横軸に電源電圧VCC、縦軸にイネーブル信号PU3sOUTの電圧をとり、製造プロセスのばらつきによる解除電圧VRDのばらつきのシミュレーション結果を表している。第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNが、それぞれプロセスセンター条件(typ)、プロセス最小条件(min)及びプロセス最大条件(max)の各場合を表している。
【0069】
なお、プロセスセンター条件(typ)は、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNが共にセンター値の場合である。プロセス最小条件(min)は、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNが共に最小値の場合である。プロセス最大条件(max)は、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNが共に最大値の場合である。
【0070】
図3に表したように、イネーブル信号PU3sOUTが、ローレベルからハイレベルまたはハイレベルからローレベルに変化する電源電圧、すなわち解除電圧VRDの値は、minの場合とmaxの場合とで、ばらつきがあることがわかる。図2において説明したように、第1の電圧Vb及び第4のトランジスタ20がターンオンする電圧は、第1の電流I1により決定される。そのため、製造プロセスによるばらつき等により、第1の電流I1が変動し、解除電圧VRDがばらつく。
【0071】
解除電圧VRDのばらつきが大きいと、解除電圧VRDの値は、主基板側からみてハイレベルとなる規定値(5V規格時:1.5V)を下まわる場合があり得る。または活線挿抜制御回路31の動作電源電圧の下限値を上まわる値を取る場合もあり得る。図3に表したように、ばらつきが大きい場合、minの場合の解除電圧VRDを規定値の1.5Vよりも高く設定する必要がある。
【0072】
図4は、図1に表した活線挿抜制御回路の解除電圧VRDの製造プロセスによるばらつきのシミュレーション結果を表すグラフである。
図4においては、横軸に電源電圧VCC、縦軸にイネーブル信号PU3sOUTの電圧をとり、製造プロセスのばらつきによる解除電圧VRDのばらつきのシミュレーション結果を表している。第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNが、それぞれプロセス最小条件(min)及びプロセス最大条件(max)の各場合を表している。シミュレーションの条件は、図3に表した比較例の場合と同様である。
【0073】
イネーブル信号PU3sOUTがローレベルからハイレベルまたはハイレベルからローレベルに変化するときの電源電圧、すなわち解除電圧VRDのばらつきは、図3に表した比較例の場合と比較して低減していることがわかる。そのため、minの場合及びmaxの場合の解除電圧VRDは、規定値の1.5Vに対してそれほど高く設定する必要はない。
【0074】
なお、製造プロセスによるばらつきには、第1及び第2のトランジスタ15、16のしきい値電圧VthP、VthNの他にも、ゲート酸化膜厚、ゲート長などのばらつきもある。しかし、これらも第1の電流I1の変動として現れるため、活線挿抜制御回路2により、解除電圧VRDのばらつきは補正され低減されることがわかる。
【0075】
(第2の実施形態の実施例2)
図5は、第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の他の構成を例示する回路図である。
図5に表したように、第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路2aは、電圧発生回路6、検出回路7、出力回路8a及び補正回路16を備える。活線挿抜制御回路2aは、図1に表した活線挿抜制御回路2の出力回路8を、出力回路8aに置き換えた構成である。
活線挿抜制御回路2aを用いて、図1に表した活線挿抜制御回路2と同様に、インタフェース回路3を制御することができる。
【0076】
出力回路8aは、第4のトランジスタ20、トランジスタ21、22、第5の抵抗23、インバータ25、26、抵抗27を有する。
第4のトランジスタ20は、NMOSであり、そのゲートは、電圧発生回路6の接続点14に接続される。第4のトランジスタ20のソースは接地され、ドレインは、抵抗27を介してトランジスタ21のドレインに接続されている。トランジスタ21、22はPMOSであり、カレントミラーを構成している。
【0077】
トランジスタ22のドレインと接地との間に、第5の抵抗23が接続される。トランジスタ22のドレインと第5の抵抗23との接続点24に、インバータ25の入力が接続される。また、インバータ25の出力にインバータ26が縦続接続され、インバータ26からイネーブル信号PU3sOUTが出力される。
【0078】
出力回路8aは、図1に表した出力回路8の第4のトランジスタ20と21との間に抵抗27を追加した構成である。抵抗27により、第4のトランジスタ20がターンオンしたときに流れる電流I5、I6を制限することができる。この点以外の回路動作については、図1に表した出力回路8と同様である。
出力回路8aにおいては、抵抗27の抵抗値により定常使用時の消費電流を抑制することができる。
【0079】
電圧発生回路6、検出回路7、補正回路16については、活線挿抜制御回路2と同様である。
電圧発生回路6は、電源電圧VCCを供給して、接続点13を介して第1及び第2の抵抗11、12に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を供給し、第2の抵抗12の両端に第1の電圧Vbを発生する。
【0080】
検出回路7と補正回路16とは第1の抵抗11の両端の間で帰還回路を構成する。この帰還回路は、一定の電源電圧VCCに対する第1の電圧Vbの変動を検出して、第1の電圧Vbの変動に応じて第2の電流I2を電圧発生回路6の第1の抵抗11の一端に帰還して第1の電圧Vbを補正する。第1のトランジスタ15は、第1の電圧Vbの変動を検出している。また、第2のトランジスタ16は、第1のトランジスタ15により検出した第1の電圧Vbのばらつきに応じて、電圧発生回路6の第1の抵抗11の一端に第2の電流I2を帰還して第1の電圧Vbを補正している。
【0081】
この第2の電流I2と抵抗10を介して供給される第1の電流I1とを合成した電流I3=I1+I2を作り込んで第1の電圧Vbを生成している。そのため、第1の電圧Vbの変動が補正され、製造プロセスのばらつきの影響により起こり得る解除電圧VRDのばらつきが補正され低減される。
このように、活線挿抜制御回路2aは、電源電圧VCCの値に応じてローレベルまたはハイレベルをとるイネーブル信号PU3sOUTを出力する。また、活線挿抜制御回路2aによれば、製造プロセスによる解除電圧VRDのばらつきを補正して低減することができる。
【0082】
(第2の実施形態の実施例3)
図6は、第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路の他の構成を例示する回路図である。
図6に表したように、第2の実施形態に係る活線挿抜制御回路2bは、電圧発生回路6a、検出回路7、補正回路16、出力回路8aを備える。活線挿抜制御回路2bは、図5に表した活線挿抜制御回路2aの電圧発生回路6を、電圧発生回路6aに置き換えた構成である。
活線挿抜制御回路2bを用いて、図1に表した活線挿抜制御回路2と同様に、インタフェース回路3を制御することができる。
【0083】
電圧発生回路6aは、トランジスタ9、抵抗10、第1の抵抗11、第2の抵抗12、トランジスタ28、抵抗29を有する。電圧発生回路6aは、図2に表した電圧発生回路6に、トランジスタ28、抵抗29を追加した構成である。
【0084】
トランジスタ9は、PMOSであり、そのソースにはトランジスタ28を介して電源電圧VCCが供給される。トランジスタ9のゲート及びドレインには抵抗10の一端が接続される。抵抗10の他端は、第1の抵抗11の一端に接続される。トランジスタ9及び抵抗10は電源電圧VCCを供給され、第1の抵抗11の一端(接続点13)に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を供給する。
【0085】
第1の抵抗11の他端と接地との間に、第2の抵抗12が接続される。第1の抵抗11と第2の抵抗12とは、互いに直列に接続されている。第2の抵抗12の両端の間に第1の電圧Vbが発生する。
【0086】
トランジスタ28のゲートと接地との間に、抵抗29が接続される。トランジスタ28のゲートには、テスト信号TESTが入力される。テスト信号TESTがハイレベルのとき、活線挿抜制御回路2bはテスト状態になる。トランジスタ28はターンオフし、電圧発生回路6aの電源−接地間に電流は流れない。そのため、活線挿抜制御回路2bは、イネーブル信号PU3sOUTにローレベルを出力する。
【0087】
テスト信号TESTがローレベルのとき、活線挿抜制御回路2bは通常動作の状態になる。トランジスタ28はターンオンし、電圧発生回路6aの動作は、図1に表した電圧発生回路6と同様になる。
通常動作の状態において、電圧発生回路6aは、電源電圧VCCを供給して、接続点13を介して第1及び第2の抵抗11、12に電源電圧VCCに応じて変化する第1の電流I1を供給し、第2の抵抗12の両端に第1の電圧Vbを発生する。
【0088】
検出回路7及び補正回路16は第1の抵抗11の両端の間で帰還回路を構成する。この帰還回路は、一定の電源電圧VCCに対する第1の電圧Vbの変動を検出して、第1の電圧Vbの変動に応じて第2の電流I2を電圧発生回路6の第1の抵抗11の一端(接続点13)に帰還して第1の電圧Vbの変動を補正する。第1のトランジスタ15は、第1の電圧Vbの変動を検出している。また、第2のトランジスタ16は、第1のトランジスタ15により検出した第1の電圧Vbのばらつきに応じて、電圧発生回路6に第2の電流I2を帰還して第1の電圧Vbの変動を補正している。
【0089】
この第2の電流I2と抵抗10を介して供給される第1の電流I1とを合成した電流I3=I1+I2を作り込んで第1の電圧Vbを生成している。そのため、第1の電圧Vbの変動が補正され、製造プロセスのばらつきの影響により起こり得る解除電圧VRDのばらつきが補正され低減される。
このように、活線挿抜制御回路2bは、テスト信号TESTをローレベルとすることにより、電源電圧VCCの値に応じてイネーブル信号PU3sOUTを出力する。また、活線挿抜制御回路2bによれば、製造プロセスによる解除電圧VRDのばらつきを補正して低減することができる。
【0090】
さらに、活線挿抜制御回路2bは、テスト信号TESTをハイレベルとすることにより、イネーブル信号PU3sOUTにローレベルを出力してインタフェース回路3をシャットダウンすることができる。
【0091】
なお、活線挿抜制御回路2、2a、2bにおいては、出力回路8、8aがインバータ25、26を有する構成を例示している。しかし、インタフェース回路3及びイネーブル信号PU3sOUTの論理によっては、インバータは1つでもよい。
また、活線挿抜制御回路1においては、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルのとき、インタフェース回路3をハイインピーダンス状態のディスエーブルに制御している。また、イネーブル信号PU3sOUTがハイレベルのとき、インタフェース回路3のハイインピーダンス状態を解除しイネーブルに制御している。しかし、インタフェース回路3の論理のよっては、イネーブル信号PU3sOUTがハイレベルのとき、インタフェース回路3をイネーブルに制御し、イネーブル信号PU3sOUTがローレベルのとき、インタフェース回路3をディスエーブルに制御してもよい。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1、2、2a、2b 活線挿抜制御回路
3 インタフェース回路
4 トライステート回路
5 論理積回路(AND)
6、6a 電圧発生回路
7 検出回路
8、8a 出力回路
9 トランジスタ
10、27、29 抵抗
11 第1の抵抗
12 第2の抵抗
13、14、19、24 接続点
15 第1のトランジスタ
16 第2のトランジスタ(補正回路)
17 第3の抵抗
18 第4の抵抗
20 第4のトランジスタ
21、22、28、33 トランジスタ
23 第5の抵抗
25、26 インバータ
31 活線挿抜制御回路
32 電圧発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活線挿抜基板に設けられた半導体装置の出力信号を電源電圧が解除電圧以下のときディスエーブルに切替え、前記電源電圧が前記解除電圧よりも高いときイネーブルに切替えることのできるイネーブル信号を生成する出力回路と、
前記電源電圧が供給されるMOSFETを含み、前記電源電圧に応じて変化し前記解除電圧を検出する基準となる第1の電圧を発生する電圧発生回路と、
前記第1の電圧を検出する検出回路と、
前記検出回路の出力に応じて前記第1の電圧を一定値に補正する補正回路と、
を備えたことを特徴とする活線挿抜制御回路。
【請求項2】
前記検出回路は第1のトランジスタを有し、
前記補正回路は、前記第1のトランジスタの出力に応じて前記電圧発生回路に電流を帰還する、前記第1のトランジスタと導電形の異なる第2のトランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の活線挿抜制御回路。
【請求項3】
前記イネーブル信号によりディスエーブルまたはイネーブルに制御され前記活線挿抜基板に設けられた前記半導体装置の前記出力信号を出力するトライステート回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の活線挿抜制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−248467(P2011−248467A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118699(P2010−118699)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】