説明

流体サンプル中のターゲットを検出するデバイス、システムおよび方法

本発明は、捕捉性物質がプレ・コートされている光導波管を有する交換式カートリッジユニットと検出ユニットとを含む生化学検出システムを提供する。ターゲットを含有している液体または気体サンプルをカートリッジユニットの中に流すと、ターゲットが捕捉性物質に結合し、管の中を導波する光の量または光の特性の変化によってターゲットが検出される。光検出ユニットは、発光要素、光接続要素、および検出しようとするサンプル中のターゲットの量を伝える光検出要素を有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体サンプル中のターゲットを検出することができるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年、微細化と集積化はバイオテクノロジーの世界に革命的な変革をもたらし、小サンプル容量、ハイスループットそして多重式のアッセイを実現化させた。DNAマイクロアッセイからElisa 1536-ウェルプレートまで、多重式システムはバイオテクノロジーにとって前途有望な手法であるように思われる。これらのシステムは、多数の捕捉性物質およびターゲットを用いる高度に多重化されたアッセイに対して用いられる。しかしながら、臨床診断試験には、より高い特異性(低い偽陽性データポイント)、より低い多重性(<10の捕捉性物質)、より短いアッセイ時間(30分またはそれ以下)、そしてより簡単な取り扱い性が必要とされる。
【0003】
今日市場で販売されている診断用の試験は、以下に挙げる欠点の1つまたは複数をもっている。すなわち、長いアッセイ時間(30分超)、大きなサンプル容量、低いスループット、高度の複雑さ、そして特にモジュール方式の欠如である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、サンプル中のターゲットの濃度の定量測定を行うことができる、取り扱いが容易で、高い感度/選択性/特異性の、多重性がより低い、低コスト、低サンプル容量、そして高スループットのデバイスに対して強いニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の手法は、検出システムと一体になった交換式カートリッジユニットを有しているデバイスを作製することに基づいている。このカートリッジユニットは短い光導波管の束のように見え、該管の内側壁は顧客の要請に対して非常に容易に合わせることができる高度に特異的な捕捉性物質でプレコートされている。所望のカートリッジユニットとサンプルを機器に挿入することで、ユーザーは、このサンプル中のユーザーが選択するターゲットパネルの濃度を決定することができる。用途に応じて、カートリッジを構成する管を光導波性にするための様々な方法がある。
【0006】
本発明の手法が柔軟性を有するおかげで、カートリッジユニットの利用は、純粋なバイオテクノロジーの用途(DNA、タンパク質)から、対応する捕捉性物質を技術的に作ることができる液体サンプル中の化学物質、有害物質、ウイルスおよび/またはバクテリアあるいはその他任意のターゲットのような異なる機能にまで広がり得る。多数ある考えられ得る用途の中には、水質モニタリング、環境安全モニタリング、迅速診断キット、携帯野外センサー、ケアセンサーの一体型ポイントのような用途がある。潜在的なユーザーとしては、研究機関、製薬会社、分析機関ならびに軍事用途および民間用途におけるケアカスタマーのポイントが挙げられる。
【0007】
(フォトニックバンドギャップ結晶構造体を用いて)本交換式カートリッジユニットを液体導波路から気体導波路にまで範囲を広げることで、本発明の手法は、対応する捕捉性物質を作ることができる大気中の病原体、例えば炭疽菌、SARSあるいはその他のウイルス/バクテリアまたは任意のターゲットの測定もカバーする。多数の考えられ得る用途の中には、火薬用センサー、環境センサー、大気環境センサー、あるいは軍用携帯センサーがある。
【0008】
1つの態様では、本発明は測定セルに関するもので、該測定セルは少なくとも1本の管を有してなり、該管は光を導波させることができると同時に液体サンプルまたは気体サンプル中のターゲットを該管の内側表面に固定化されている少なくとも1種の捕捉性物質に促進されてそれに結合させることができる。
【0009】
この管は、入口開口部、出口開口部、および結合性物質でコートされた内側表面を有しており、調節された方式でサンプルを入口開口部に流し入れ管の中を通して出口開口部から流し出すことでサンプルに曝露される。この管を通るサンプルの流れは、圧力、重力、毛管力または電気泳動によって調節することができる。
【0010】
光を導波させる管の能力は、管の内側表面(これは単数または複数の有機もしくは無機層で作製することができ、例えばこの単数の層またはこれらの複数の層が光学コーティングを形成するように作製される)の特性によって、または管を構成するのに使用される材料の固有の特性によって生み出される。あるいは、光を導波させる管の能力は、管を構成している材料内に設計されている特徴の結果か、または管を取り囲んでいる材料内に設計されている特徴の結果である。そのような管の例は中空ファイバーおよびフォトニックバンドギャップ結晶である。光を導波させる管の能力を生み出す別の代替方法は、管を、または管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する流体(例えば液体)を管の中に導入することである。
【0011】
捕捉性物質は管の内側表面に(または管を形成している複数の層のうちの1つに)直接結合させてもよいし、あるいは単数または複数の層からなる中間層に結合させてもよい。この層は、サンプル中のターゲットおよび/または他の成分の非特異的吸着および/または非特異的結合を防ぐまたは遅らせる追加の物質を含んでいてもよい。別の実施形態では、管の内側表面が追加の層でコートされており、この層は結合ターゲットと相互作用して管の中を導波する光の特性を変える。
【0012】
別の態様では、本発明は、発光要素と、第一光接続要素と、第1の態様で述べたような測定セルと、第二光接続要素と、光検出要素と、そして流体供給要素とを含むシステムに関する。サンプル貯槽および廃棄物貯槽を有していてもよい。
【0013】
このシステムでは、流体供給要素は調節された方式で液体または気体サンプルをサンプル貯槽から測定セルにそして測定セルから廃棄物貯槽に送出する。発光要素により発せられた光は第一光接続要素によって測定セルに接続される。この測定セルの中を光が導波し、次に第二光接続要素によって光検出要素に接続される。この検出された光の量における変化または検出された光の特性における変化は、測定セルの管の内側表面にある捕捉性物質に結合したターゲットの量、またはその特性の少なくとも1つの変化と相関している。
【0014】
発光要素の例は、レーザー、発光ダイオード、白色光源、面発光型レーザーならびにこれら要素のアレイである。光検出要素の例は、光電子増倍管、カメラ、フォトダイオードならびにこれら要素のアレイである。光接続要素の例は、ブルースター角窓、小型レンズアレイ、回折格子インデックスカプラー[grating index coupler]、部分反射鏡、分光もしくは光量フィルター、ならびにこれら上記の接続要素の2つ以上の組み合せである。同一でも同一でなくてもよい光接続要素は、同時に液体供給要素であってもよい。別の実施形態では、光接続要素は測定セルの管に一体化されている。
【0015】
光を導波させる管の能力は、管の内側表面(これは単数または複数の有機もしくは無機層で作製することができ、例えばこの単数層またはこれらの複数層が光学コーティングを形成するように作製される)の特性によって、または管を構成するのに使用されている材料の固有の特性によって生み出される。あるいは、光を導波させる管の能力は、管を構成している材料内に設計されている特徴の結果か、または管を取り囲んでいる材料内に設計されている特徴の結果である。そのような管の例は中空ファイバーおよびフォトニックバンドギャップ結晶である。光を導波させる管の能力を生み出す別の代替方法は、管を、または管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する流体(例えば液体)を管の中に導入することである。
【0016】
捕捉性物質は管の内側表面に(または管を形成している複数の層のうちの1つに)直接結合させてもよいし、あるいは単数または複数の層からなる中間層に結合させてもよい。この層は、サンプル中のターゲットおよび/または他の成分の非特異的吸着および/または非特異的結合を防ぐまたは遅らせる追加の物質を含んでいてもよい。別の実施形態では、管の内側表面が追加の層でコートされており、この層は結合ターゲットと相互作用して管の中を導波する光の特性を変える。
【0017】
第3の態様では、本発明は、液体または気体サンプル中のターゲットを検出するための方法に関する。この方法は、流体供給要素を用いて、光を導波させると共にサンプル中のターゲットに結合することができる少なくとも1本の管を有してなる測定セルの中に、サンプルを導入することを含む。この方法はまた、第一光接続要素を用いて、発光要素によって発せられた光を測定セルの中へ接続させる段階を含み、この光はその後に測定セルの中を導波し、そこで結合ターゲットと相互作用する。さらに、この方法は、第二光接続要素を用いて、測定セルから光検出要素に光を接続させる段階を含む。測定セルの中を通った光の量またはその光の特性の変化を、光検出要素によって検出することにより、測定セルの内側表面にある捕捉性物質に結合したターゲットの量またはこのターゲットの特性の測定または計算が可能になる。
【0018】
上記した管は、入口開口部、出口開口部、および結合性物質でコートされた内側表面を有している。この方法では、流体供給要素は、液体または気体サンプルを、サンプル貯槽から測定セルの中に、そして測定セルから廃棄物貯槽の中に、調節された方式で送出する。
【0019】
別の実施形態では、本方法は、この測定セルにサンプルを流体供給要素を用いて導入し、第1の段階で前記少なくとも1つの測定セルの内側表面に少なくとも1種のターゲットが固定化された後、この少なくとも1つの測定セルに少なくとも1種の切断性物質および/または分解性物質を少なくとも1つの流体供給要素を用いて導入することを含み、ここではこの少なくとも1種の切断性物質および/または分解性物質が前記少なくとも1種の結合ターゲットの構造を改変する。さらに別の実施形態では、本方法は、サンプルが測定セルに流体供給要素を用いて導入された後に、この測定セルの中に捕捉性物質によって捕捉されているターゲットに結合する第2の結合性物質を導入することを含む。この第2の結合性物質は光を発するか、もしくは光を吸収するか、または検出を高める光学特性を有している。ターゲットと、管の内側表面に結合または固定化された物質および/または層との相互作用は、第2の結合性物質、または結合ターゲット、または管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層の光学特性を変えることができる。この相互作用または第2の結合性物質の光学特性は、測定セルの中を通った光の量または光の特性を変え、測定セル内側表面にある捕捉性物質に結合したターゲットの量またはこのターゲットの特性を測定または計算することが可能となる。
【0020】
さらなる実施形態では、本方法は、測定セルに増幅性物質を導入することを含み、ここではこの増幅性物質は第2の結合性物質に結合する。増幅性物質は、光を発するか、光を吸収するか、または検出を高める光学特性を有している。ターゲットと、管の内側表面に結合または固定化された物質および/または層との相互作用は、結合ターゲット、または管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層の光学特性を変えることができる。この相互作用または増幅性物質の光学特性は、測定セルの中を通った光の量または光の特性を変え、測定セルの内側表面にある捕捉性物質に結合したターゲットの量またはこのターゲットの特性を測定または計算することが可能となる。
【0021】
別の実施形態では、サンプルは、測定セルの中に導入される前に必要な回数のサンプル調製段階を経験する。
【0022】
さらに別の実施形態では、本方法は、固定化の段階または検出の段階の間に洗浄段階を含み、あるいは含まない。
【0023】
別の実施形態では、少なくとも1つの測定セルの少なくとも1本の管の中に光学流体(例えば液体)が導入され、該光学流体は、少なくとも1本の管を、またはその少なくとも1本の管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有している。
【0024】
さらなる実施形態では、この光学流体は、本方法の任意の段階で、または本方法の任意の段階の間で、またはこの両方で導入される。
【0025】
さらに別の実施形態では、この光学流体は、所望の測定を行うのに必要な時間、少なくとも1つの測定セルの少なくとも1本の管の中に保持される。
【0026】
さらなる実施形態では、固定化時間は、本方法の各実施形態のそれぞれの段階について適切に選ばれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の詳細な記載は、本発明を例によって説明するものであって、本発明を限定するものではない。この記載により、当業者なら、明らかに、本発明を実施しまた利用することができると思われる。またこの記載は、本発明を実施するのに最良の形態であると本発明者が現時点で信じているものも含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応形態、変形形態、改変形態および使用形態について述べるものである。
【0028】
本発明は、流体サンプル中のターゲットを検出する方法と、この方法の適用を可能にするシステムとを含む。このシステムは、サンプル中のターゲットに結合することができる少なくとも1個の測定セルを有している。この測定セルは交換式カートリッジユニットに一体化されており、このカートリッジユニットが検出システムに結合されることになる。これら3つの要素が、サンプル(液体または気体)中のターゲットを定量検出するための、非常に感度が良く、高価でなく、そしてコンパクトなシステムを形成している。
【0029】
本発明の方法
気体または液体で満たされた管は、その光学特性を具体的に設計することで、あるいはその流体の光学特性を具体的に選択することで光導波路にすることができる。管を満たしている流体の光学特性の変化、または管と流体との間の境界面の特性の変化は、この導波光の量または導波光の特性の変化を引き起こし得る。本明細書で述べられている方法は、この原理を利用して流体サンプル中のターゲットを検出する。管の内側表面は、サンプルが管の中を流れる場合、その表面にターゲットが固定化または結合されるように作製されている。ターゲットの光学特性、またはターゲットに結合した(例えば特異性または増幅性のための)物質の光学特性、あるいはターゲットまたは物質と、管の内側表面または他の物質との相互作用は、導波光の量の変化または導波光の特性の変化を生み出すことができ、これを検出することができる。この変化は、管の内側に結合したターゲットの量に比例している。
【0030】
図1に、上述した方法を利用することを可能にする構成を模式的に示す。発光要素[図1の(101)]により発せられた光は、第一光接続要素[図1の(102)]を通って単数または複数の測定セル[図1の(105)]に接続される。この光は測定セルの中を進み、そのあとその測定セルを出て第二光接続要素[図1の(103)]によって光検出要素[図1の(104)]に接続される。試験サンプルは測定セルの方に送られ、測定セルの中を通るその流れは流体供給要素[図1の(106)]によって調節される。サンプル中に含まれるターゲットが測定セルの管の内側表面に結合されている捕捉性物質に結合すると、管の中を導波する光の量またはその光の少なくとも1つの特性が、捕捉性物質に結合したターゲットの量に比例して変わる。
【0031】
捕捉性物質とはターゲットに結合することができる分子または分子の部分である。すなわちサンプル中に含まれている他の分子または他の分子の部分を、ある一定の時間固定化することができる分子または分子の部分である。ターゲットの例としては、火薬、病原体、バクテリア、ウイルス、DNA鎖、タンパク質などがある。捕捉性物質の例としては、ビオチンやアミン反応性末端のような特異的な末端基をもつ分子/ポリマーや、抗体、DNA鎖のような、より複雑な化学種がある。ターゲット(キナーゼ、プロテアーゼ)プロセスの一部の切断を検出する方法については、第1の段階でターゲットが測定セルの内側表面に固定化された後に測定セルの中に切断性および/または分解性物質を導入することができる。検出の感度を上げるため、あるいは特異的なタイプの検出を可能とするために、第2の結合性物質とターゲットとを相互作用させることができる。第2の結合性物質はまた、捕捉性物質への非特異的結合の影響を下げることで、第2のフィルターとしても機能することができる。第2の結合性物質は、蛍光染料、または光吸収性分子で標識化することもでき、そうすることで導波光とこの染料との、または導波光とその分子との相互作用により、導波光の特性の変化が生じる。アッセイの感度をさらに高めるため、第2の物質に、シグナル増幅目的およびさらなるフィルターの機能を果たす増幅性物質を結合させることができる。第2の結合性物質の例はHRP(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)に結合した二次抗体であり、その対応する増幅性物質はシグナル増強物質(例えばテトラメチルベンジジン)(Molecular Probes Inc. Eugene, OR 97402)である。過剰なサンプルまたは第2の結合性物質または増幅性物質を洗い落とすために洗浄段階をとることができる。
【0032】
半透光性の気体サンプルおよび半透光性の液体サンプルに関しては、測定はサンプルの流動と同時に行うことができ、また測定セルの中を通して連続的に行うことができる。追加の自動式流体デバイスにより、サンプル調製のためのさらなるアッセイ段階、ならびにターゲットおよび物質の固定化/インキュベーションが終った後に濯ぎ洗いおよび/またはシグナル増幅を必要とする該ターゲットおよび物質のためのさらなるアッセイ段階が可能となる。
【0033】
本発明の測定セル
測定セルは少なくとも1本の管を有してなり、この管の壁は、既知および/または未知の成分を含有しているサンプル中の少なくとも1つの特定のターゲットに結合する少なくとも1つの特異的捕捉性物質でコートされている。
【0034】
本発明の管
この少なくとも1本の管は、1つの入口開口部および1つの出口開口部を有しており、サンプルを管の中に導入して管の中を流すことができる。管の中を通る流れは圧力によって、毛管力によって、重力によって、電気泳動によって、ポンプ(Fluidigm Inc. South San Francisco, CA 94080)によって、受動式もしくは能動式バルブによって、または外部式流れ制御デバイスによって調節することができる。サンプルは液体でも気体でもよい。
【0035】
この少なくとも1本の管は、光を導波させる能力をも有している。第1の例では、屈折率が低い(n<1.33)Teflon AF polymer(Dupont)をコーティング材料として、または構成材料(Biogeneral, Inc. San Diego, CA 92121)として用いて管を製作することができ、該管は光導波路のように機能する。第2の例では、フォトニックバンドギャップ結晶(US 6,571,045 May 27, 2003 Hasegawa et al.)から製作した管が、気体で満たされた場合、光導波路のように機能する。これは、管を形成している材料内に設計されている特徴、または管を取り囲んでいる材料内に設計されている特徴の結果である。第3の例では、ガラスまたは石英ガラスまたは他の材料でできている管が、管自体の材料の有効屈折率よりも高い屈折率を有する流体(Cargille Laboratories, Inc., Cedar Grove, NY 07009)で満たされた場合に光導波性となる。
【0036】
捕捉性物質は、例えば化学結合により、管の内側表面に直接結合することができるし、あるいは少なくとも1つの中間層を介して間接的に結合することもできる。そのような中間層の例はポリマー(PLL-PEG、シラン、自己組織化単分子膜[アルカンチオール])である。具体的には、Teflon AFでできている管に対しては(すなわち液体サンプルについては)、管の内側表面を酸素プラズマで改変して、該内側表面と捕捉性物質とを直接結合させることができる。また、内側表面をニトロセルロースの中間層、または例えばOptodex(Arrayon Biotechnology SA, Neuchatel, 2007, Switzerland)の中間層でコートしてもよい。ガラス製の、またはガラスでコートされた管(該管を、または該管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路にするのに十分高い屈折率を有する流体で満たされる)、あるいはフォトニックバンドギャップ結晶についてはシリコンでできた管またはシリコンでコートされた管に関しては、捕捉性物質は、例えばシラン表面化学をそのまま利用して管の内側表面に結合させることができる。他の材料、例えばプラスチックやポリマーでできた管またはそれらでコートされた管については、上記表面化学のいずれかまたはそれらの組み合せを用いることができる。
【0037】
所望の場合、この少なくとも1本の管の内側表面には、サンプル中のターゲットおよび/または他の成分の非特異的吸着および/または非特異的結合を防ぐまたは遅らせる追加の物質が付いていてもよい。この追加の物質は、サンプル中のターゲットのみが管の内側表面に結合することを確実なものとするので、アッセイの特異性が保証される。この追加の物質の例は、PEG鎖である。
【0038】
この少なくとも1本の管の直径および長さは、その用途に要求される感度およびサンプル体積に依存し、典型的には直径については5ミクロン〜1000ミクロンであり、長さについては1mm〜1000mmである。液体サンプル、例えば強力で特異的な抗体・抗原の相互作用に関しては、直径50ミクロン〜100ミクロンに対しての長さ10mmがよく適している。サンプル中のより少ない量のターゲットの検出を可能とするために、気体サンプルには、活性表面の大きさが大きくなるように長い管(100mm〜1000mm)が必要となり得る。同様に、インキュベーション時間、すなわちサンプルと捕捉性物質とが接触状態にある全時間は、相互作用のタイプおよび所望のアッセイ感度に応じて設定することができる。典型的には1分〜4日であり、好ましくは1分〜30分である。連続式リアルタイムモニタリングも可能である。
【0039】
本発明の測定セル
測定セルは、同じような捕捉性物質または異なる捕捉性物質が予め付けられている1本または複数本の管の組み立て品であり、複製ができ、あるいは同じサンプル中の数種のターゲットを検出し、あるいはキャリブレーションとして機能する。捕捉性物質を付ける前または後に、そのような管の数本を一体化により一緒にしておくことができる(Schott Glas, 55122 Mainz, Germany)。製造を容易にするには、捕捉性物質の付加は長い管で行い、これを次の段階でそのサイズに合わせてカットすることができ、その結果最も効率的な均質化とQC/QA工程の容易化が確実なものとなる。最後に、保管および出荷の間、活性のある捕捉性物質の劣化を防ぐために、測定セルは緩衝液または保存液で満たしてもよく、密封してもよい。
【0040】
測定セルには、第一光接続要素および/または第二光接続要素および/または流体供給要素が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。これらの要素は、測定セルに一体化されていてもよいし、一体化されていなくてもよい。1つの例では、少なくとも1つの測定セルには、1つの第一光接続要素、1つの第二光接続要素、および流体要素が付いている。
【0041】
第一光接続要素は、(アッセイユニット[検出システム?]に属している[後の記載を参照されたい])少なくとも1つの発光要素から測定セルの少なくとも1本の管の中へ光を伝送し、第二光接続要素はこの測定セルの少なくとも1本の管から出る光を(本検出システムの[後の記載を参照されたい])少なくとも1つの光検出要素に伝送する。また、流体要素は、測定セルの管の中を通るサンプルの流れを調節する。より具体的には、サンプルが液体であってTeflon AFでできている管に対しては、サイズに合わせてカットされた管はガラスブルースター窓に接続されており、これが管の中にまた管の外へ光を導波させる(光接続要素)とともに管の中にまた管の外へサンプルを誘導する(流体供給要素)役割を果たす。
【0042】
第一光接続要素および第二光接続要素は、他の役割を果たすことができ、例えば管の中に光を収束させたり(レンズ、小型レンズアレイ)、光の特性を要望に合わせたり(波長フィルターや光量フィルター)、あるいは光の一部を管の中に逆反射させて管の中を何回も通過させたり(部分反射鏡)することができる。
【0043】
流体要素または流体要素の一部もまた他の役割を果たすことができ、例えば管の中に別のサンプル(第2の結合性物質、増幅性物質、緩衝液)を導入したり、サンプルの流れを調節したり、あるいはサンプル調製(例えば、サンプル濾過、サンプル混合、あるいはサンプル希釈)を行ったりすることができる。1つの例では、サンプルの流れは、管の入口開口部から管の出口開口部まで重力により制御される。さらに、流体要素はまた、管の中に、所定の屈折率を有する1種または複数種の流体を導入してその光導波特性を制御するのに用いることもできる。
【0044】
管の入口開口部と出口開口部は、シール(密封)することにより、またはスリットでカバーすることにより、より取り扱い易いようにすることができるし、また周囲の雑菌混入から測定セルの中身を保護することができる。これらのシールまたはスリットは、測定セルを検出システムユニットに挿入すると、またはサンプルを管の中に挿入すると破れあるいはスライドするようになっている。測定セルもまた、使用されるまでその内容物の完全な状態を保存するためにシールすることができる。
【0045】
測定セルは、ユーザーにとって使い勝手のよいカートリッジの中に包装しておくことができ、このカートリッジが検出システムに挿入される。
【0046】
本発明の検出システム
(カートリッジユニットに包装された)交換式測定セルは、少なくとも1つの発光要素および少なくとも1つの光検出要素を含み得る検出システムに結合される。さらに、光接続要素は、液体供給ユニット、サンプル貯槽および廃棄物貯槽と同じようにこの検出システムの一部となり得る。
【0047】
交換式カートリッジユニットの中に包装された測定セルを検出システムに挿入することで、入口カバーと出口カバーが測定セルからスライドし、および/または測定セルのシールが自動的に破け、測定セルへのサンプルの導入が可能となる。測定セルの中を通るサンプルの流れを促進するために、流体供給要素を用いることができる。測定セルの中を通るサンプルの流れは、重力、毛管力によって推進することができるし、電気泳動または圧力あるいはこれらの組み合せによって推進することもできる。気体サンプルに対しては、このサンプルの取り扱いシステムは、測定セルの中を通る流れを増大させるデバイスから構成され得る。
【0048】
少なくとも1つの発光要素によって発せられた光は、少なくとも1つの第一光接続要素を通って交換式カートリッジユニットの測定セルに接続される。光は少なくとも1つの測定セルの中を進み、その後この少なくとも1つの測定セルから出て前記少なくとも1つの第二光接続要素を通って前記少なくとも1つの光検出要素に接続される。
【0049】
サンプル中に含有されるターゲットが管の内側表面に固定化された捕捉性物質に結合すると、この管の中を導波する光の量の変化、またはこの光の少なくとも1つの特性の変化が測定される。例えば、測定セルの中を導波する光の様々な波長における強度は、この光とターゲットとの、および/またはこの光と捕捉性物質との、および/またはこの光と第2の結合性物質との、および/またはこの光と測定セル内側表面に結合している増幅性物質との相互作用によって変化する。光散乱のような他の光学プロセス、または上記の化学種のうちの2つの間における相互作用もしくは上記の化学種のうちの1つと1つの中間層との間における相互作用のような他の光学プロセスもまた、伝送された光の量または伝送された光の少なくとも1つの特性を変えることができる。これらの変化を測定することにより、捕捉性物質に結合したターゲットの量を測定または計算することができる。
【0050】
本発明の発光要素
用途にもよるが、少なくとも1つの発光要素は、可視光領域で、および/または赤外領域で、および/またはUV領域で単色光または多色光を発光するものであり得る(例えば、Jameco Electronics Belmont, CA 94002)。単純な発光ダイオード、またはレーザーダイオード、または白色光源(Newport Corporation, Irvine, CA 92606)でも、あるいは面発光型レーザーでもよい。発光要素は、管の中にこれらを挿入することができるような、発光ダイオードまたはレーザーまたは白色光源のアレイであってもよい。注目する波長は、光を管の中に結合させる役割も果たしている少なくとも1つの第一光接続要素を通して選択してもよい。
【0051】
本発明の光接続要素
第一光接続要素と第二光接続要素は、例えば少なくとも1つの発光要素からの光を少なくとも1つの測定セルの中に接続し、その少なくとも1つの測定セルから出る光を少なくとも1つの光検出要素に接続するという異なる目的を果たす。光接続要素はまた、例えば光を離れた管の中に収束させたり(レンズ、小型レンズアレイ、Control Optics, Chino, CA 91710)、光の特性を調整したり(波長フィルターおよび光量フィルター、Newport Corporation, Irvine, CA 92606)、管の中で光を前後に部分的に反射させたり、あるいは管の中に入る光または管から出る光を回折格子インデックスカプラーと結合させる等の他の目的を果たすこともできる。第一光接続要素および第二光接続要素の種類は、用いられている光検出プロセス、例えば蛍光、吸光、ラマン散乱に応じて選択される。
【0052】
第一光接続要素と第二光接続要素は、それぞれの測定セルに対して上記した要素が重複したものであってもよい。測定セルの中に光を接続すること以外に、サンプルの取り扱いを確実に行わせることも同様に接続要素の目的である。これらの光接続要素は測定セルに一体化されていてもよいし、されていなくてもよい。
【0053】
本発明の光検出要素
この検出器は、各測定セルを出る光の特性および/または強度をモニターする。この検出器はカメラ(Jameco Electronics Belmont, CA 94002)、または光電子倍増管、またはフォトダイオード、あるいは多数ある測定セルに対しては光検出要素が連続したものであり得る。特定波長におけるこの光の強度または特性の変化から、処理回路により、サンプル中の生物学的または化学的に関連するターゲットの濃度が計算される。
【0054】
本発明の流体供給要素
流体供給要素は、サンプル貯槽から少なくとも1つの測定セルに、またこの少なくとも1つの測定セルから廃棄物貯槽にサンプルを送出する。流体供給要素を用いて測定セルの中のサンプルの流れを促進することができる。測定セルの中を通るサンプルの流れは、重力によって、毛管力によって、電気泳動によって、または圧力によって、あるいはこれらの組み合せによって推進することができる。気体サンプルについては、サンプル取り扱いシステムは、測定セルの中を通る流れを増大させるデバイスを含み得る。流体供給要素はまた、例えば管に異なる溶液(第2の結合性物質、増幅性物質、緩衝液、光学流体)を導入したり、サンプルの流れを調節したり、あるいは濾過、混合、サンプル希釈などのサンプル調製を行う等の他の目的を果たし得る。1つの例では、サンプルの流れは、管の入口開口部から管の出口開口部まで毛管現象によって制御される。さらに、流体供給要素を用いて、管をまたは管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有している指標となる流体でセルを満たすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】1個の発光要素(101)、1個の第一光接続要素(102)、1個の第二光接続要素(103)、および1個の光検出要素(104)を有する光検出ユニットから構成される生化学検出システムである。このシステムはさらに、捕捉性物質がプレコートされた光導波管を有する交換式カートリッジユニット(105)および1個の流体供給要素(106)を含む。
【符号の説明】
【0056】
101 発光要素
102 第一光接続要素
103 第二光接続要素
104 光検出要素
105 交換式カートリッジユニット
106 液体供給要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導波させることができる少なくとも1本の管を有してなる測定セルであって、該管が、
a)入口開口部、
b)出口開口部、および
c)サンプル中の少なくとも1種のターゲットに結合することができる少なくとも1種の結合性物質でコートされた内側表面、
を有しており、
該少なくとも1本の管の内側表面が、サンプルを入口開口部に流し入れ管の中を通して出口開口部から流し出すことで該流体サンプルに曝露される測定セル。
【請求項2】
前記サンプルが液体または気体である請求項1に記載の測定セル。
【請求項3】
前記サンプルの流れを調節することができる請求項1に記載の測定セル。
【請求項4】
前記サンプルの流れが圧力によって、または重力によって、または毛管力によって、または電気泳動によって調節される請求項3に記載の測定セル。
【請求項5】
前記管の光を導波させる能力が、
a)該管の内側表面の構造または物理特性、
b)該管を構成するのに使用されている材料の固有の特性、
c)該管を形成している材料内に設計されている特徴、
d)該管を取り囲んでいる材料内に設計されている特徴、または
e)該管を、または該管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する流体(例えば液体)の該管の中への導入、
によって与えられる請求項1に記載の測定セル。
【請求項6】
前記管の内側表面を単一層または複数層から構成することができ、該層は有機材料または無機材料あるいは有機材料と無機材料との組み合せから作製することができ、および/または該層は光学コーティングとして機能することができる請求項1に記載の測定セル。
【請求項7】
前記管を取り囲んでいる材料をさらに有してなり、該材料の物理特性または該材料の構造によって該管が光導波管となる請求項1に記載の測定セル。
【請求項8】
前記管が中空ファイバーかフォトニックバンドギャップ結晶である請求項1に記載の測定セル。
【請求項9】
該管を、または該管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する光学流体(液体)で該管が満たされている請求項1に記載の測定セル。
【請求項10】
前記少なくとも1種の捕捉性物質が管の内側表面に直接結合されている請求項1に記載の測定セル。
【請求項11】
前記少なくとも1種の捕捉性物質と前記管の内側表面との間に中間層をさらに有してなり、該中間層を単層または多層とすることができる請求項1に記載の測定セル。
【請求項12】
前記管の内側表面が、サンプル中のターゲットおよび/または他の成分の非特異的吸着および/または非特異的結合を防ぐまたは遅らせる追加の物質でコートされている請求項1に記載の測定セル。
【請求項13】
前記管の内側表面が、該管の中を導波する光の特性が変わるように前記少なくとも1種の結合ターゲットと相互作用する追加の層でコートされている請求項1に記載の測定セル。
【請求項14】
a)少なくとも1つの発光要素;
b)少なくとも1つの第一光接続要素;
c)光を導波することができる少なくとも1本の管を有してなる少なくとも1つの測定セルであって、
該管が、
i.入口開口部、
ii.出口開口部、および
iii.サンプル中の少なくとも1種のターゲットに結合することができる少なくとも1種の結合性物質でコートされた内側表面、
を有し、
該少なくとも1本の管の内側表面が、サンプルを入口開口部に流し入れ管の中を通して出口開口部から流し出すことで該流体サンプルに曝露される測定セル;
d)少なくとも1つの第二光接続要素;
e)少なくとも1つの光検出要素;および
f)少なくとも1つの流体供給要素;
を含むシステムにおいて、
該少なくとも1つの流体供給要素がサンプルを前記少なくとも1つの測定セルに供給し;
さらに該少なくとも1つの発光要素によって発せられた光が前記少なくとも1つの第一光接続要素によって前記少なくとも1つの測定セルに伝送され;
さらに該少なくとも1つの測定セルの中を導波する光が前記少なくとも1つの第二光接続要素によって前記少なくとも1つの光検出要素に伝送され;
さらに該少なくとも1つの光検出要素によって検出される光の量または該光の少なくとも1つの特性の変化が、前記少なくとも1つの測定セルの少なくとも1本の管の内側表面にある前記少なくとも1種の捕捉性物質に結合した少なくとも1種のターゲットの量または該ターゲットの構造および/または特性の変化と相関しているシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの発光要素が、
a)レーザー;
b)発光ダイオード;
c)白色光源;および
d)面発光型レーザー;
からなる群から選択される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの発光要素が、
a)レーザー;
b)発光ダイオード;
c)白色光源;および
d)面発光型レーザー;
からなる群から選択される要素の組み合せまたはアレイである請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光検出要素が、
a)光電子増倍管;
b)カメラ;および
c)フォトダイオード;
からなる群から選択される請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光検出要素が、
a)光電子増倍管;
b)カメラ;および
c)フォトダイオード;
からなる群から選択される要素の組み合せまたはアレイである請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第一光接続要素および前記少なくとも1つの第二光接続要素が、独立して、
a)オプティカルウインドウ;
b)小型レンズアレイ;
c)分光フィルター;
d)部分反射鏡;
e)光量フィルター;および
f)回折格子インデックスカプラー;
からなる群から選択される請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第一光接続要素および前記少なくとも1つの第二光接続要素の一方または両方が液体供給要素でもある請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第一光接続要素および前記少なくとも1つの第二光接続要素の一方または両方が測定セルの中に一体化されている請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの液体供給要素が液体を前記少なくとも1つの測定セルに移動させ且つ液体を前記少なくとも1つの測定セルから移動させることができる請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
さらに少なくとも1つのサンプル貯槽を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
さらに少なくとも1つの廃棄物貯槽を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項25】
前記サンプルが液体または気体である請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記サンプルの流れが調節される請求項14に記載のシステム。
【請求項27】
前記サンプルの流れが、圧力によって、または重力によって、または毛管力によって、または電気泳動によって調節される請求項14に記載のシステム。
【請求項28】
前記管の光を導波させる能力が、
a)該管の内側表面の構造または物理特性、
b)該管を構成するのに使用されている材料の固有の特性、
c)該管を形成している材料内に設計されている特徴、
d)該管を取り囲んでいる材料内に設計されている特徴、または
e)該管を、または該管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する流体(例えば液体)の該管の中への導入、
によって与えられる請求項14に記載のシステム。
【請求項29】
前記管の内側表面を単一層または複数層から構成することができ、該層は有機材料または無機材料あるいは有機材料と無機材料との組み合せから作製することができ、および/または該層は光学コーティングとして機能することができる請求項14に記載のシステム。
【請求項30】
前記管が中空ファイバーかフォトニックバンドギャップ結晶である請求項14に記載のシステム。
【請求項31】
該管を、または該管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有する光学流体(液体)で前記管が満たされている請求項14に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1種の捕捉性物質が管の内側表面に直接結合されている請求項14に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1種の捕捉性物質と前記管の内側表面との間に中間層をさらに含み、該中間層を単層または多層とすることができる請求項14に記載のシステム。
【請求項34】
前記測定セルの管の内側表面が、サンプル中のターゲットおよび/または他の成分の非特異的吸着および/または非特異的結合を防ぐまたは遅らせる追加の層でコートされている請求項14に記載のシステム。
【請求項35】
前記管の内側表面が、該管の中を導波する光の特性が変わるように前記少なくとも1種の結合ターゲットと相互作用する追加の層でコートされている請求項14に記載のシステム。
【請求項36】
サンプル中のターゲットを検出するための方法であって、
a)少なくとも1つの流体供給要素を用いてサンプルを少なくとも1つの測定セルに導入する段階であって、該測定セルが光を導波させることができる少なくとも1本の管を有してなり、該管が、
i.入口開口部;
ii.出口開口部;
iii.サンプル中の少なくとも1種のターゲットに結合することができる少なくとも1種の結合性物質でコートされた内側表面;
を有し、該管の内側表面が、サンプルを入口開口部に流し入れ管の中を通して出口開口部から流し出すことで該流体サンプルに曝露される段階;
b)少なくとも1つの第一光接続要素を用いて少なくとも1つの発光要素から少なくとも1つの測定セルの中へ光を接続させる段階であって、該光がその後に前記少なくとも1つの測定セルの中を導波してそこで前記少なくとも1種の結合ターゲットと相互作用する段階;
c)少なくとも1つの第二光接続要素を用いて少なくとも1種の結合ターゲットと相互作用した少なくとも1つの測定セルから少なくとも1つの光検出要素へ光を接続させる段階;
d)少なくとも1つの光検出要素により前記管の中を導波する光の量または該管の中を導波する光の少なくとも1つの特性の変化を検出する段階であって、該光の量または該光の特性の少なくとも1つの変化が、前記少なくとも1つの測定セルの少なくとも1つの管の内側表面にある少なくとも1種の捕捉性物質に結合している少なくとも1種のターゲットターゲットの量または該ターゲットの構造および/または特性の変化と相関する段階;
e)前記少なくとも1種の捕捉性物質に結合している少なくとも1種のターゲットの量を測定または計算する段階;
を含む方法。
【請求項37】
前記サンプルの流れが調節されている請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記サンプルの流れが圧力によって、または重力によって、または毛管力によって、または電気泳動によって調節されている請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種のターゲットと前記管の内側表面に結合しまたは固定化されている物質および/または層との相互作用が、該結合ターゲットの光学特性かまたは該管の内側表面に結合しまたは固定化されている物質または層の光学特性を変える請求項36に記載の方法。
【請求項40】
さらに、前記導波光を検出する前に前記少なくとも1つの測定セルからサンプルの未結合ターゲットおよび/または成分を洗い去る段階を含む請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプルが、前記測定セルの中に導入される前に、必要とされる数のサンプル調製段階を経験する請求項36に記載の方法。
【請求項42】
固定化時間が本方法の各段階に対して適切に選ばれる請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの測定セルの少なくとも1本の管の中に光学流体(例えば液体)が導入され、該光学流体が、前記少なくとも1本の管を、または前記少なくとも1本の管をそれを取り囲んでいる材料と共に光導波路とするのに十分高い屈折率を有している請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記光学流体が、本方法のいずれかの段階で、または本方法のいずれかの段階の間で、またはこの両方で導入される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記光学流体が、所望の測定を行うのに必要な時間、前記少なくとも1つの測定セルの少なくとも1本の管の中に保持される請求項43に記載の方法。
【請求項46】
最初の段階で前記少なくとも1つの測定セルの内側表面に少なくとも1種のターゲットが固定化されたあと、少なくとも1つの流体供給要素を用いて該少なくとも1つの測定セルの中に少なくとも1種の切断性物質および/または分解性物質が導入され、該少なくとも1種の切断性物質および/または分解性物質がこの少なくとも1種の結合ターゲットの構造を改変する請求項36に記載の方法。
【請求項47】
最初の段階で前記少なくとも1つの測定セルの内側表面に少なくとも1種のターゲットが固定化されたあと、少なくとも1つの流体供給要素を用いて該少なくとも1つの測定セルの中に少なくとも1種の第2の結合性物質が導入され、該少なくとも1種の第2の結合性物質がこの少なくとも1種の結合ターゲットによって捕捉される請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記導波光が前記少なくとも1種のターゲット、または前記少なくとも1種の第2の結合性物質、または前記管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質または層と相互作用した後、前記少なくとも1つの検出要素を用いて導波光を検出する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
さらに固定化段階の間または検出段階の間に洗浄段階を含む請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1種の第2の結合性物質が、検出を高める光学特性を有している請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1種の第2の結合性物質が、光を発するかまたは前記少なくとも1つの発光要素によって発せられた光を吸収する請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1種の第2の結合性物質と、前記少なくとも1種の結合ターゲットとの相互作用、および/または前記管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層との相互作用が、該第2の結合性物質の光学特性、および/または該結合ターゲットの光学特性、および/または該管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層の光学特性を変える請求項47に記載の方法。
【請求項53】
固定化時間が本方法の各段階に対して適切に選ばれる請求項47に記載の方法。
【請求項54】
さらに前記少なくとも1つの測定セルに少なくとも1種の増幅性物質を導入する段階を含み、該増幅性物質が前記少なくとも1種の第2の結合性物質に結合する請求項47に記載の方法。
【請求項55】
固定化段階の間または検出段階の間にさらに洗浄段階を含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種の第2の結合性物質および/または前記少なくとも1種の増幅性物質が、検出を高める光学特性を有している請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1種の第2の結合性物質および/または前記少なくとも1種の増幅性物質が、光を発するかまたは前記少なくとも1つの発光要素によって発せられる光を吸収する請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1種の増幅性物質と、前記少なくとも1種の結合ターゲットとの相互作用、および/または前記管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層との相互作用が、該増幅性物質の光学特性、および/または該結合ターゲットの光学特性、および/または該管の内側表面に結合または固定化されているいずれかの物質および/または層の光学特性を変える請求項54に記載の方法。
【請求項59】
固定化時間が本方法の各段階に対して適切に選ばれる請求項58に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−506978(P2007−506978A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528167(P2006−528167)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031259
【国際公開番号】WO2005/031354
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(506097829)
【出願人】(506097830)
【Fターム(参考)】