説明

流体ポンプ装置と駆動システムを具える流体送出システム

ピストンチャンバ(11;101’;201’;310a;301b;701;901’)と、ピストンチャンバ内で前後に動くように構成されたピストン(2;102;202;302;302’;702;902;902’)と、入口ポート(10i;110i;210i;310i;710i;921)と出口ポート(10o;110o;210o;310o;710o;920)であって、ピストンのインストロークの間は流体がピストンチャンバに吸引され、アウトストロークの間はピストンチャンバから放出される入口ポートと出口ポートと、を有するポンプハウジング(1;101;201;301;701;901)を具える流体ポンプ装置。この装置は、更に、バルブベース部材(7;107;207;307;707;907)に対して移動可能に装着されたバルブ切り替え素子(9;109;201;309;701;909)を具え、この部材は、ピストンチャンバに連結されたピストンチャンバ開口(12p;112p;212p;312p;312p’;712p;912p)と、それぞれが流体ポンプ装置の入口及び出口ポートに連結された入口開口(12i;112i;212i;312i;712i;912i)と出口開口(12o;112o;212o;312o;712o;912o)を具える。この素子は、前記バルブベース部材に対して移動するように構成された溝(14;114;214;314;314’;714;914)又はその他の凹部(514)を具え、入口開口とピストンチャンバ開口との間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、ピストンのインストロークの一部の間に入口ポートから、溝又は凹部を通って、ピストンチャンバへ流体を吸引し、ピストンチャンバ開口と出口開口の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ピストンのアウトストロークの一部の間にピストンチャンバから、溝又は凹部、及び出口ポートを通って流体が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体ポンプ装置とそれに関連する駆動システムを具える流体送出システムに関する。本発明は、更にこの流体ポンプ装置を製造する方法に関する。本発明に係る流体送達システムは、化学又は薬学業界などあらゆる工業分野において使用することを意図している。本システムは、特に、医療業界における経腸、非経口、あるいはIVポンプとして使用するように適用されており、内部構造を容易に小さくして超小型で非常に軽量のポンプが得られることを考えると、ロード可能なペン型注射カートリッジからごく少量のボーラスを直接送達できるインスリンポンプとして使用することが好ましい。
【背景技術】
【0002】
インスリンポンプは従来技術において広く知られており、インスリンシリンジ又はインスリンペンによる毎日の複数回のインスリン注射の代替物である。インスリンポンプによって、シリンジを用いた注射より正確な量のインスリンを送達することが可能になる。このことは、血糖及びヘモグロビンA1cレベルのより精密な制御をサポートして、糖尿病に関連する長期に亘る合併症の機会を低減している。これは、毎日の複数回注射に関連する長期にわたるコスト低減となることが期待されている。
【0003】
あるインスリンポンプは、インスリン筒状ペン型注射カートリッジ用の内部受け取り手段を具えている。米国特許出願公開第2007/0167912号は、この種のポンプを開示しており、これは、カートリッジをポンプの受け取り手段に挿入すると、インスリンペン型注射カートリッジのプランジャに対向するポンプ内部に装着したプランジャ係合デバイスを具えている。このプランジャ係合デバイスは、互いに押圧されたときにカートリッジプランジャに接触するように構成されている。このデバイスは、ペン型注射カートリッジ内部でカートリッジプランジャを所定の距離に沿って押すように配置されたフレキシブルなピストンロッドに連結されており、インスリンがカートリッジの外に放出されるようになっている。このポンプの主な欠点は、ピストンロッドを作動させる駆動機構が複雑なことである。このポンプの機構は、多くの構成部品でできているポンプ内の配置がそのサイズを最小にするのを困難にしている。インスリンポンプは、ほとんどの場合擦り切れているので、ポンプのユーザは、快適でないあるいは使いにくいと考えている。一方で、ここに述べたポンプの全パーツを組み立てるのは時間のかかるプロセスであり、相互作用する多くのパーツがポンプの信頼性が下がるという失敗のリスクを上げるため、非常に骨の折れる品質管理が更に必要となる。
【0004】
この種のポンプのもう1つの不利益は、ピストンがペン型注射カートリッジ内部のカートリッジプランジャをその縦軸に沿って直接押す時に生じ、重要で、不規則、かつ制御できない摩擦が存在するため、この軸に沿ってプランジャが不規則に動く傾向にあることである。この現象は、「スティックスリップ」効果としてよく知られており、ポンプの精度に直接的に影響を与える。
【0005】
これらの不利益は、国際公開公報第2006056828号に記載されているような容積ポンプ機構によって大幅に解決されている。この容積ポンプは、第1及び第2の中空円筒部(チャンバ)の中に当該円筒部の縦軸に沿って移動可能に装着された第1及び第2のピストンであって、第1のピストンのインストロークの間に特定量の流体が吸引され、第2のピストンのアウトストロークの間に同量の流体が放出されるように互いに同期した、第1及び第2のピストンを具える。第1及び第2の中空円筒部は、端部同士が互いに対向するように組み立てられており、ハウジングを形成している。バルブディスク(バルブシステム)は、入口及び出口T字型チャネルにそれぞれ連結した入口及び出口ポートを具え、ハウジング内の第1及び第2のピストンの間に装着され、バルブシステムの動きによってピストンのストロークを連結する二方向直線運動及び角運動の組み合わせによって動くように構成されている。より正確に言うと、ディスクの直線運動によって、ピストンの軸に沿って円筒状ハウジングの往復摺動が生じ、各チャンバ内で第1及び第2のピストンの交互のインストロークと、それに続く第1及び第2のピストンの交互のアウトストロークが起こる間に、角運動が第1のピストンチャンバ充満期を、第2のピストン放出期に同期させる。この同期は、前記チャネルがディスクの横側部近傍の両円筒部の径に亘って配置された入口開口と出口開口に交互に重なるときに、入口ポートを第1及び第2のチャンバに、また第1及び第2のチャンバを出口ポートに、交互に接続させているバルブディスク内に配置した入口及び出口T字型チャネルによって行われる。このポンプによって放出される流体の流れは実質的に連続している。
【0006】
この容量ポンプの主な欠点は、入口及び出口T字型チャネルに交互に整列するように構成された入口開口と出口開口が、バルブディスクの横側部近傍の両円筒部の径に亘って配置されていることである。この構成によって第1及び第2のチャンバの減容が開口のサイズに制限されてしまい、このサイズ以下では正常な流れの送達の保証が不十分である。
【0007】
このポンプのもう1つの欠点は、入口及び出口チャネルが、直線運動及び角運動が伝わるバルブディスクの上に装着されていることに発する。この結果、入口及び出口ポート及びこれらに接続されているチューブは、常に作動状態で移動することになり、摩耗が問題であるポンプユーザにとってこれが問題となる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、流体ポンプ装置の内部機構を簡単にして、装置の寸法を小さくし、信頼性並びに精度を改良することである。
【0009】
この目的は、少なくとも一のピストンチャンバと、当該ピストンチャンバ内で往復移動して直線的に作動するように配置された少なくとも一のピストンを具えるハウジングと、ピストンのインストロークの間に流体が入口ポートを通ってピストンチャンバへ吸引され、ピストンのアウトストロークの間に流体が出口ポートを通ってピストンチャンバから放出されるように構成された少なくとも一の入口ポートと少なくとも一の出口ポートと、を具える流体ポンプデバイスによって達成される。この流体ポンプデバイスは更に、バルブベース部材に対応して移動可能に装着されたバルブ切り替え素子を有するバルブシステムを具える。バルブベース部材は、ピストンチャンバに連結された少なくとも一のピストンチャンバ開口と、流体ポンプ装置の入口ポートと出口ポートにそれぞれ接続された少なくとも一の入口開口と少なくとも一の出口開口を具える。バルブ切り替え素子は、バルブベース部材に対向して移動するように配置された少なくとも一の溝又はその他の凹部を具えており、この溝又は凹部が入口開口とピストンチャンバ開口の間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、ピストンのインストロークの少なくとも一部が行われる間に流体が入口ポートから溝又は凹部を通ってピストンチャンバに吸引されるようにする一方、溝又は凹部は、ピストンチャンバ開口と出口開口の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ピストンのアウトストロークの少なくとも一部が行われる間に流体が溝又は凹部と出口ポートを通ってピストンチャンバから放出されるようにしている。
【0010】
本発明の更なる態様では、特許請求の範囲に記載したように、流体ポンプデバイスのバルブベース部材に対してバルブ切り替え素子を回転及び/又は往復運動をさせるように構成した駆動システムを提供して、操作可能な流体送達システムを得るようにしている。
【0011】
本発明の更なる態様は、取り外し可能な蓋を有するケースユニットを具える持ち運び可能なポンプを提供する。このケースユニットには、本発明の流体ポンプデバイスと、駆動システムと、電池、及び治療薬剤を含むカートリッジを収納するように構成されたコンパートメントが組み込まれている。流体ポンプ装置は、針を具え、取り外し可能な蓋の底部分に連結されており、カートリッジをコンパートメント内に押すと、針がカートリッジを刺すようになっている。
【0012】
本発明の更なる態様は、ヒトの身体の皮膚に貼るパッチを提供することであり、このパッチは:
−本発明の流体ポンプ装置を組み込んだ使い捨てケースを有する使い捨ての受け入れユニットと;
−使い捨ての受け入れユニットの一部である接着膜と;
−使い捨ての受け入れユニットに係合し、本発明の駆動システムと、電池と、治療薬剤を含むカートリッジを収納するように構成したコンパートメントを組み込んだケースユニットと;
を具える。
【0013】
本発明の更なる態様は、異なるタイプの流体を混合する流体送達システムを提供することである。この流体送達システムは、複数の入口ポートと少なくとも一の出口ポートを具え、各入口ポートと出口ポートは、個々に、ピストンチャンバと流体連通するように選択可能である。バルブベース部材は、この目的のために、対応する複数の入口開口と出口開口を具える。各入口開口は、入口チャネルによって流体送達システムの入口ポートの1つに接続されており、各出口開口は、出口チャネルによって前記システムの対応する出口ポートに接続されている。バルブベース部材は更に、ピストンチャンバに連通する少なくとも一のピストンチャンバ開口を具える。いずれの入口ポートも、バルブ切り替え素子の動きをバルブベース部材に関連するバルブ切り替え素子に伝えることによって、溝が対向する入口及びピストンチャンバ開口と重なるように選択可能である。
【0014】
本発明の最後の態様は、最小数のステップで流体ポンプ装置を製造する射出成型法を提供して、製造コストを低減し、その信頼性を高めることである。この方法は:
(a)金型アッセンブリに、実質的に硬質要素を形成できる成型用プラスチック材料を注入して、流体ポンプ装置のハウジングを得るステップであって、このハウジングがバルブベース部材を受け取るように構成された部分を具える、ステップと;
(b)入口、出口、及びピストンチャンバのキャビティをこの部分に複製するように設計されたシールモールドマトリックスを配置するステップと;
(c)このマトリックスに流動状態にある成型用ゴム弾性材料を注入するステップであって、このゴム弾性材料がモールドマトリックス内で重合する一方、流体ポンプ装置のハウジングに接着してバルブベース部材を形成する、ステップと;
を具える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の実施例の詳細な説明によって、より理解することができる。
【図1】図1は、本発明の第1実施例による流体ポンプ装置の透視斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す流体ポンプ装置の下側から見た透視斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す流体ポンプ装置の透視底面図である。
【図4】図4は、図1に示す流体ポンプ装置のバルブシステムの一部を示す分解図である。
【図5】図5は、図1に示す流体ポンプ装置と、駆動システムと、ペン型注射カートリッジを具える流体送達システムの正面図である。
【図6】図6は、図5の平面図である。
【図7】図7は、図5の流体送達システムのA−A線に沿った断面図である。
【図8】図8は、図6の流体送達システムのD−D線に沿った断面図である。
【図9】図9は、図5の流体送達システムのB−B線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図5の流体送達システムのC−C線に沿った断面図である。
【図11】図11は、駆動システムの斜視図である。
【図12】図12は、ケースユニットと、ペン型注射カートリッジと、図1に示す流体ポンプ装置の底部分に固定された取り外し可能な蓋と、を具える持ち運び可能なポンプの分解図である。
【図13】図13は、第1実施例の流体送達システムを組み入れた、ヒトの身体の皮膚に貼るパッチの斜視図である。
【図14】図14は、図13のパッチをカニューレに接続するように構成したシステムの斜視図である。
【図15】図15は、図8に示す駆動システムとペン型注射カートリッジを受ける手段を具える図13のパッチの使い捨て受け取りユニットと、図1の流体ポンプ装置を組み入れたケーシングとを示す図である。
【図16】図16は、使い捨て受け取りユニットのない図13に示すパッチの斜視図である。
【図17】図17は、図13の変形例によるパッチの斜視図である。
【図18】図18は、患者の身体にカニューレを挿入する自動装置の斜視図である。図18aは、図18の部分的断面図である。
【図19】図19は、図13のパッチに装着した図18の自動装置を示す図である。
【図20】図20aは、ポンプの動きがないポンプサイクルが開始する直前の流体送達システムの上側部分を示す正面図である。図20a’は、図20aのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図20bは、流体ポンプ装置のピストンインストロークの間の図20aと同様の図である。図20b’は、図20bのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図20cは、流体送達システムのピストンインストロークの終了時点における図20aと同様の図である。図20c’は、図20cのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図20dは、流体送達システムのピストンアウトストロークの間の図20aと同様の図である。図20d’は、図20dのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。
【図21】図21は、第1実施例の変形例による流体ポンプ装置の透視斜視図である。
【図22】図22は、図21の下側から見た斜視図である。
【図23】図23は、図21の平面図である。
【図24】図24は、図23のA−A線に沿った断面図である。
【図25】図25は、本発明の第2実施例の流体送達システムの流体ポンプ装置と駆動システムの分解図である。
【図26】図26は、図25の流体送達システムの斜視図である。
【図27】図27は、図25の流体ポンプ装置の分解図である。
【図28】図28は、図26の流体送達システムの正面図である。
【図29】図29は、図28の流体ポンプ装置のA−A線に沿った断面図である。
【図30】図30は、図28の平面図である。
【図31】図31は、図30の流体送達システムのB−B線に沿った部分的断面図である。
【図32】図32は、本発明の第3実施例の流体送達システムの流体ポンプ装置と駆動システムの斜視図である。
【図33】図33は、図32の底面図である。
【図34】図34は、図30の正面図である。
【図35】図35は、図34の流体送達システムのA−A線に沿った断面図である。
【図36】図36は、図32の平面図である。
【図37】図37は、図36の流体送達システムのB−B線に沿った断面図である。
【図38】図38は、図32の流体ポンプ装置の分解底面図である。
【図39】図39は、図32の流体ポンプ装置の分解平面図である。
【図40】図40は、本発明の第4実施例の、第1及び第2のピストンを具える流体ポンプ装置の透視斜視図である。
【図41】図41は、図40の透視底面図である。
【図42】図42は、図40の流体ポンプ装置のバルブシステムの一部を示す分解図である。
【図43】図43は、図40の流体ポンプ装置と駆動システムを具える流体送達システムの斜視図である。
【図44】図44は、図43の平面図である。
【図45】図45は、図44の流体送達システムのA−A線に沿った断面図である。
【図46】図46は、図44の流体送達システムのB−B線に沿った断面図である。
【図47】図47aは、ポンプの動きがないポンプサイクルが開始する直前の図43の上側部分の正面図である。図47a’は、図47aの流体送達システムのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図47bは、第1のピストンのインストロークと第2のピストンのアウトストロークの間の図47aと同様の図である。図47b’は、図47bの流体送達システムのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図47cは第1のピストンのインストロークと第2のピストンのアウトストロークの終了時点における図47aと同様の図である。図47c’は、図47cの流体送達システムのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。図47dは、第1のピストンのアウトストロークと第2のピストンのインストロークにおける図47aと同様の図である。図47d’は、図47dの流体送達システムのA−A線、B−B線、C−C線のそれぞれに沿った断面図である。
【図48】図48は、本発明の第5実施例の流体ポンプ装置用バルブシステムを示す概略図である。
【図49】図49は、本発明の第6実施例の流体ポンプ装置用バルブシステムを示す概略図である。
【図50】図50は、本発明の第7実施例の流体ポンプ装置用バルブシステムを示す概略図である。
【図51】図51は、本発明の第8実施例の流体ポンプ装置用バルブシステムを示す透視斜視図である。
【図52】図52は、図51の流体ポンプ装置のポンプハウジング内の筒状バルブホルダを示す透視斜視図である。
【図53】図53は、筒状バルブホルダの斜視図である。
【図54】図54は、軸上にピストンを装着したポンプハウジングの透視斜視図である。
【図55】図55は、図54の軸方向の断面図である。
【図56】図56は、図51乃至55に示す流体ポンプ装置の変形例の透視斜視図である。
【図57】図57は、図51乃至55に示す流体ポンプ装置の変形例の透視斜視図である。
【図58】図58は、図51乃至55に示す流体ポンプ装置の変形例の透視斜視図である。
【図59】図59は、本発明の第9実施例のバルブ切り替え素子にシール素子を具えるバルブシステムの斜視図である。
【図60】図60は、本発明の第10実施例である、複数の入口ポートとその駆動システムを有する流体ポンプ装置を具える流体送達システムを示す斜視図である。
【図61】図61は、図60の駆動システムの斜視図である。
【図62】図62は、図60の流体ポンプ装置の平面図である。
【図63】図63は、図62の側面図である。
【図64】図64は、図62の流体ポンプ装置のA−A線に沿った断面図である。
【図65】図65は、図62の流体ポンプ装置のB−B線に沿った断面図である。
【図66】図66は、図63の流体ポンプ装置のC−C線に沿った断面図である。
【図67】図67は、バルブシステムを有する流体ポンプ装置の斜視図である。
【図68】図68は、変形例のバルブシステムを有する流体ポンプ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施例
図1乃至12に示す本発明の第1実施例によれば、流体送出システムは、駆動システムに連結した好ましくは使い捨ての流体ポンプ装置を具える。図1乃至3に示すように、この流体ポンプ装置は、内部で往復運動できるようにピストン2が装着されたピストンチャンバと、ペン型注射カートリッジ4のヘッド4’を受ける筒状キャップ3と、を有するプラスチック成型のハウジング1を具える(図8)。針5は、筒状キャップ3内に軸上に装着されており、カートリッジヘッド4’が筒状キャップ3内に押圧されると、カートリッジヘッド4’を貫通するように構成されている。このため、カートリッジヘッド4’の内側部分4aは、柔軟な材料でできており、針5をカートリッジの内容物の中に容易に導入できるようになっている。
【0017】
流体ポンプ装置の底部は、実質的に平坦な底面を有する筒状凹部6(図3)を具え、この凹部に対してガスケット7(図4)の形状をしたシール素子が接着されている。このガスケット7は、2つの同心リング、すなわち、内側リング7aと外側リング7bを具えており、これらのリングは第1のシーリング部8と反対側の第2のシーリング部8’によって互いに取り付けられている。バルブベース部材を表わすディスクであるバルブ切り替え素子9は、ガスケット7の上に回転可能に装着されており、ポンプサイクル間に流体ポンプ装置の入口ポート10iと出口ポート10oを交互に開閉する。
【0018】
図3に示す例のように、ガスケット7はディスク9の回転軸に対して対称に対向するアーチ型入口キャビティ11iと出口キャビティ11o、及びこの回転軸の軸上に中心がある円形キャビティ11p(以下、ピストンチャンバキャビティという)ができるような形状をしている。入口キャビティ11iと出口キャビティ11oは、内側リング7a、外側リング7b、及びガスケット7の2つのシーリング部分8、8’によって規定されており、円形チャンバキャビティ11pは、ガスケットの内側リング7aによって規定される。
【0019】
図3、8及び9を参照すると、筒状凹部6は、入口開口12i、出口開口12o、及びピストンチャンバ開口12pを具え、これらは、ガスケット7によって規定される入口キャビティ11i、出口キャビティ11o、及びピストンチャンバキャビティ11p内にそれぞれ位置している。入口開口12iと、出口開口12oは、それぞれ、L字状入口チャネル13i(図8)によって針5(流体ポンプ装置の入口ポート10iとして見ることができる)と、出口チャネル13oによって出口ポート10oと流体連通しており(図1及び7)、ピストンチャンバ開口12pは、図8に示すようにピストンチャンバからピストンチャンバキャビティ11pへ、入口チャネル13iの一部に平行に延在しているピストンチャンバチャネル13pによって、ピストンチャンバと流体連通している。
【0020】
図4及び9に示すように、直線溝14がディスク9の上でガスケット内側リング7aの両側部に対して半径方向に延在している。ディスク9は、回転動作可能であり、溝14は、ピストンのインストロークの間にピストンチャンバキャビティ11pとアーチ状の入口キャビティ11iの近傍にある内側リング7aの一部に沿って移動し、この上に延在している。一方、溝14は、ピストンのアウトストロークの間にピストンチャンバキャビティ11pとアーチ状の出口キャビティ11oの近傍にある内側リング7aの一部に沿って移動し、この上に延在している。この結果、ディスク9の回転が入口キャビティ11iとピストンチャンバキャビティ11pとの間に漏れを生じさせる第1の連通路を作るので、ピストンのインストロークの間にピストンチャンバが流体ポンプ装置の入口ポート10iと流体連通し、一方、ディスク9の回転がピストンチャンバキャビティ11pと出口キャビティ11oとの間に漏れを生じさせる第2の連通路を作るので、ピストンのアウトストロークの間にピストンチャンバが流体ポンプ装置の入口ポート10oと流体連通する。このように、バルブシステムは、ディスク9の角運動に応じて作動する。
【0021】
ここで、図8乃至10を参照すると、流体ポンプ装置の駆動システムは、モータ17の回転シャフト16を受けるように構成した下側部分を有する支持構造15を具える。第1の回転可能な素子18は、シャフト16と同軸に装着されており、第1のボールベアリングアッセンブリ19によって水平方向に固定されている。第2のシャフト20の下側部分は、回転素子18に偏心して装着されると共に、この素子からT字型摺動トレイ22のほぼ矩形の開口21を通って垂直方向に延在しており、第1の回転可能な素子18と軸方向に整列して、第2のボールベアリングアッセンブリ24によって横方向に固定されている第2の回転可能な素子23に偏心して連結されている上側部分を有する。T字型摺動トレイ22は、回転シャフト16の回転軸に垂直な方向の往復直線運動によって、支持構造15上に作動可能に配置されている。
【0022】
このために、図10に示すように、T字型摺動トレイ22は、第2の矩形部分27に直交する方向に延在する第1の矩形部分26を具える。第1の矩形部分26は、ほぼ矩形の開口21を具え、第2の矩形部分27の両横側部は、適宜の手段によって支持構造15に固定されている2本のレール28に乗っている。ボールベアリングアッセンブリ30が開口21内の偏心シャフト20の周りに取り付けられており、偏心シャフト20が回転すると摺動トレイ22を前記往復直線運動させる。駆動シャフト31は、摺動トレイ22の第2の矩形部分27からピストンヘッド2a(図8)を通って垂直方向に突出するように配置されており、ピストンチャンバ内でピストン2を往復直線運動させている。
【0023】
摺動トレイ22の開口21は、ボールベアリング30が開口21の輪郭に沿って動き、バルブ切り替えサイクルで制御されたポンプサイクルを作るときに、摺動トレイ22が作動するように特定の輪郭になるような形状をしている。
【0024】
図2を参照すると、ディスク9の底部は、ディスクの全径にわたって延在しており、ディスクの回転軸を中心とする円形部分を有する直線状突出部32を具える。この突出部32は、駆動システムの第2の回転可能な素子23の上側部分の上に配置された対応する溝33内にはまるように構成されている(図11)。従って、直線状溝14を具えるディスク9は、ポンプサイクルの間に制御された速度で360°連続的に回転している。ガスケット内側リング7aの両側に半径方向に延在する溝14は、従って、ポンプサイクルの間に内側リング7aの全外周に沿って動くように配置されており(図9)、これによって、ピストンチャンバと、流体ポンプ装置の入口ポート10i及び出口ポート10oの間に漏れを生じさせる連通路を作っている。
【0025】
図12に示すように、本発明の第1実施例による流体ポンプ装置とその駆動システムは、ケースユニット40の形とした持ち運び可能なポンプ内に一体化することができる。このケースユニット40は、底部分に上述した、特に図1に示す使い捨ての流体ポンプ装置を固定的に保持する、使い捨ての取り外し可能な蓋41を具える。駆動システムは、ケースユニット40内に、ピストン駆動シャフト31がピストンヘッド2aに挿入され蓋41がケースユニット40に固定的に取り付けられると、流体ポンプ装置のディスク9に第2の回転可能な素子23が連結されるように、装着される。ケースユニットは更に、インスリンなどの治療薬剤を含有するペン型注射カートリッジ4を収納するように構成したコンパートメント42を具える。このコンパートメント42は、流体ポンプ装置の筒状キャップ3を一方の端部で受けるように構成されている。従って、ペン型注射カートリッジ4が保持ユニット42内に挿入され、ヘッド4’がキャップ3に押圧されると、カートリッジヘッド4’の柔軟な内側部分4aを、キャップ3の内側に軸上に装着された針5が貫通する。
【0026】
ペン型注射カートリッジは、流体送達システムの使い捨て部分に直接一体化されたあるいは使い捨て部分に連結可能な、付け替え可能な容器で置き換えることができる。このような容器は、容器の開口を通してなんらかの手段(例えば、シリンジや、充填用ステーション)で充填することができる。容器のタイプはあらゆる意味で限定するものではないが、例えば、充填ポートと放出ポートを有するものでもよい。この容器は、例えば、シリンダと取り外し可能なキャップを具える硬質部品でできていても良く、膨張可能なバッグであってもよい。更に、流体送達システムは、複数の容器を具えており、これらの容器は選択的に動作中に各容器から液体の流れを制御するバルブ要素を有していても良い。
【0027】
図13乃至17及び19を参照すると、使い捨ての流体ポンプ装置を、防水式の着用可能なパッチポンプに一体化することができる。この構成では、再使用可能な駆動ユニット60には、流体ポンプ装置の駆動システムと、バッテリ79(図19)と、ペン型注射カートリッジを収容するように構成されたコンパートメント60’が組み込まれている。例えば、図16に示すように、スロット69がスケールに応じてコンパートメント60’に沿って配置されており、カートリッジ4の流体レベルを常にモニタすることができる。駆動ユニット60は更に、撥水フィルタ60aを具え、このフィルタが空気だけを通過させて、ユニット内の陥没を防止するようにしている。ユニットは、第1実施例の流体ポンプ装置を組み込んでいるケースポンプ62を具える使い捨て受け取りユニット61の中に装着するように構成されており、接着膜63が患者の身体の一部に接着するようになっている。図14は、ケースポンプ62内に装着され、流体ポンプ装置の出口ポート10oにチューブ65を連結する(図19)ピース64を示している。カニューレ針66がこのピース64内に軸方向に摺動可能に装着されており、その上側部分が係止デバイス67に連結されている。カニューレ針は、カニューレの上側端部に連結されたノブ68(図13)を押圧されると、皮膚に挿入され、その時に係止デバイス67がケースポンプ62内に配置された対応する部分(図示せず)にクリップされ、カニューレ66を正しい位置に保持して、ノブ68を引っ張ることによって針が引き出される。図17は、挿入角度を調整することによって皮膚に入るカニューレの深さを制御できるシステムを具えるパッチポンプの変形例を示す。
【0028】
図18は、皮膚にカニューレを挿入する自動装置を示す図である。このデバイスはハウジング70を具え、この中には、U字部分73内で拡張するように構成されたばね72によって縦軸に沿って動作可能なトレイ71が摺動可能に装着されている。カニューレ66は、トレイ71の底部に放出可能に連結されている。ばね72の一端は、ロッド74に連結されており、このロッドは、トレイ71の上に、ばね72がU字部分73全体に沿って拡張するとトレイ71の両縦側部上で、2本の細長スロット75に沿って移動するように配置されている。2つの押しボタン76が自動装置の両横側部に配置されており、稼働時にトレイ71を放出する。自動デバイスは、わずかな圧力をかけるだけで、ケースポンプ62に容易に取り付けて固定することができる。2つの押しボタン76を一緒に押して、トレイ71を放出する。トレイ71は、ばね72の拡張によってそのポイントでカニューレ66に沿って下側に作動して、ロッド74がU字部分の底に届き、その時にカニューレが所望の深さで皮膚に挿入され、ケースポンプ内部に位置している対応する部分(図示せず)に係止デバイス67がクリップされて、カニューレを正しい位置に保持する。この段階で、ばね72がさらにU字部分内で拡張して、トレイ71を上向きに押して、これによって、カニューレ66から針を取り出す。次いで、自動装置の両横側部に配置した2つの放出手段78を同時に単に押すことによって、自動装置をパッチポンプから取り外す。
【0029】
ポンプサイクルの主要な段階を通じて、第1実施例による流体ポンプ装置と駆動システムを具える流体送達システムの詳細を、図20a乃至20dを特に参照して説明する。これらの図では、駆動システムが図8乃至10に示す駆動システムと、支持構造15と摺動トレイ22の形状、並びに互いに平行に、支持構造15の一方の横側部に直交して突出している2本のロッド34からなる摺動手段が、若干異なる。これらのロッド34は、摺動トレイ22の一方の側部に装着された2つの対応するリニアベアリング34’内で摺動可能に調節される(図20b’のC−C線に沿った断面図)。
【0030】
図20aとそれに対応する断面図(図20a’)は、ピストン2が実質的に動いておらず、バルブの切り替えが生じている場合のポンプサイクル開始直前の流体送達システムを示す。ポンプサイクルのこの段階では、摺動トレイ22がボールベアリング30によって最も遠い横位置の1つに押され(図20aのC−C線に沿った断面図)、ディスク9の直線溝14が角度的に配置されて、ガスケット7の第1シーリング部8の下で半径方向に延在する(図20aのB−B線に沿った断面図)。この構成において、ピストンチャンバが、流体送達システムの入口ポート10iと出口ポート10oから完全に密封される。
【0031】
バルブの切り替えは、ディスク9を回転させることによって行われ、ガスケット7の第1シール部分8の一方の側部から他方の側部に直線溝14ができて、その時点で溝14が、角度入口キャビティ11iとピストンチャンバキャビティ11pとの間に漏れを生じさせる連通路を作り、ピストンチャンバを流体送達システムの入口ポートに連結する。
【0032】
この瞬間から、ボールベアリング30は、開口21(図20bのC−C線に沿った断面図)の境界線に接触してトレイ22を後ろ側に押し、同時にピストン駆動シャフト31によってピストン2をインストロークさせ(図20bのA−A線に沿った断面図)、ディスク9の直線溝14が半径方向に内側リング7aの両側部に向けて延在して、ディスク9が約150°回転すると(図20bのB−B線に沿った断面図)、角度入口キャビティ11iとピストンチャンバキャビティ11pとの近傍の一部に沿って移動する。この回転の間に、L字入口チャネル13iが図8に示すように、流体ポンプ装置のピストンチャンバチャネル13pに永久的に接続される。この結果、ペン型注射カートリッジ4に含有されたインスリンなどの治療薬剤が針5を介して吸引され、L字入口チャネル13iと、角度入口キャビティ11iと、直線溝14と、ピストンチャンバキャビティ11pと、ピストンチャネル13pを通過して、ピストンチャンバを満たす。
【0033】
図20cに対応する断面図は、ピストン2が実質的に移動しておらず、バルブ切り替えが生じている、ピストンのインストロークの終わりにおける流体送達システムを示す。ポンプサイクルのこの段階では、摺動トレイ22がボールベアリング30によって、その横方向の最も遠い位置の他方へ(図20cのC−C線に沿った断面図)押され、ディスク9の直線溝14が、角度を成して配置され、ガスケット7の第2のシール部分8’の下(図20cのB−B線に沿った断面図)に半径方向に延在する。この構成で、ピストン2は、流体送達システムの入口ポート10iと出口ポート10oから完全に密封される。
【0034】
バルブの切り替えは、ディスク9を回転させて直線溝14をガスケット7の第2のシーリング部分8’の一方の側部から他方の側部へ動かすことによって行われる。この時点で、溝14はアーチ型出口キャビティ11oとピストンチャンバキャビティ11pの間に漏れを生じさせる連通路を作り、ピストンチャンバ1’を流体送達デバイスの出口ポート10oへ連結する。
【0035】
この瞬間から、ボールベアリング30は開口21の境界部と接触して、ピストン駆動シャフト31(図20dのA−A線に沿った断面図)によってトレイ22を押して、ピストン2をアウトストロークさせ、溝9の直線溝14が内側リング7aの両側に半径方向に延在し、ディスク9が更に約150°回転して(図20dのB−B線に沿った断面図)、角度出口キャビティ11oとピストンチャンバキャビティ11pの両方近傍においてその一部に沿って移動する。この回転の間に、ピストンチャンバチャネル13pが流体ポンプデバイスの出口ポート10oに永久的に連結される。この結果、治療薬剤がピストンチャンバから、ピストンチャンバチャネル13p、ピストンチャンバキャビティ11p、直線溝14、アーチ型出口キャビティ11o、及び出口チャネル13oを通過して、放出される。この時点において、上述したような別のポンプサイクルが始まっている。
【0036】
図21乃至24は、流体ポンプ装置を示しており、ここでは、本発明の第1実施例の変形例により、固定ピストン2’に沿った前後直線運動によって筒状ハウジング1’が作動するように配置されている。特に、流体ポンプ装置は、円形溝6’を有する実質的な円形部分6aを具え、ガスケット7’がその底部に配置されて、バルブベース部材となっている。ディスク9’の形をしたバルブ切り替え素子が、溝6’内のガスケット7’に対して移動するように回転可能に装着されている。この変形例の流体ポンプ装置のガスケットの一般的な形状を図21に示す。ディスク9’とガスケット7’は、第1実施例(図4)の対応する部品と同じである。流体ポンプ装置の円形部分6aは、ピストンとして動作する筒状延在部2’を具え、これに沿って筒状ハウジング1’が移動可能に装着されている。筒状ハウジングは、実質的に遠位端に、駆動シャフト(図示せず)を受けるように構成された貫通孔1aを具える。この変形例による流体ポンプ装置は、従って、本発明の第1実施例に記載されているような駆動装置によって駆動して、操作可能な流体送達システムを得ることができる。
【0037】
図24に示すように、筒状延在部2’は、一端がピストンチャンバと、他端がバルブベース部材と連結しているアキシャルピストンチャンバチャネル13p’を具える。ノーズ10’が、ピストン2’の反対側の流体ポンプ装置の円形部分6aから延在しており、バルブベース部材に連通するT型入口チャネル13i’を具える。上述の流体送達システムの作動中に、第1実施例で述べた流体送達システムと同様に、ポンプサイクルが行われる。流体は、入口ポート10i’から吸引されて、入口チャネル13i’と、ディスク(図示せず)に設けた溝と、ピストンチャンバチャネル13p’を通過して、ピストンハウジング1’が作動して流体ポンプ装置の円形部分6aから離れるピストン2’に沿って移動するとき(ピストンインストローク)に、ピストンチャンバを満たす。一方で、この流体は、ピストンチャンバから、ピストンチャンバチャネル13p’と、溝と、出口チャネル13o’を通って、ピストンハウジング1’がピストン2’に沿って流体ポンプ装置の円形部分6aへ移動するとき(ピストンアウトストローク)に、出口ポート10o’の外へ放出される。このポンプは、もちろん逆に作動するように構成されている。このように、上述の実施例の入口ポートと出口ポートは、ポンプの駆動が180°ずれたときに、それぞれ、出口ポートと、入口ポートになる。
【0038】
第2実施例
図25乃至31は、本発明の第2実施例の流体送達システムを示す。この流体送達システムは、本発明の第1実施例で述べた駆動システムの案内素子を用いて分注するように有利に設計されており、サイズを最小化すると共に製造プロセスを簡単にするようにしている。
【0039】
この目的のために、流体ポンプデバイスは、下側及び上側部分を具える。図27に示す下側部分は、内部に前後に移動可能にピストン102を装着した中空筒状ハウジング101(ピストンチャンバ)と、バルブベース部材として見ることができるガスケット107の形でシール素子を受けるように構成した上側表面と、を具える。ピストン102の両横側部に配置した2つの筒状突出部120、120’は、ハウジング101の両横側部に配置した半円筒状案内手段130、130’に沿って摺動可能に装着されており、ピストン102は、単一平面内の往復直線運動によって作動し得る。ガスケット107は、環状矩形(又はO−型)入口キャビティ111iと出口キャビティ111oを規定するように形成されている。これらのキャビティは、入口チャネル113iと出口チャネル113o(図29)によって入口ポート110iと出口ポート110oに連結されており、ほぼT字型のピストンチャンバキャビティ111pが、ピストンチャンバチャネル113pによってピストンチャンバに連結されている(図31)。入口キャビティ111iと出口キャビティ111oは、ピストンの移動に直交する方向に延びる共通の縦軸に沿って互いに隣り合って配置されており、チャンバキャビティ111pは、入口キャビティ111iと出口キャビティ111oの一方の横側部近傍に直線部分を有するように構成されている。
【0040】
図31を参照すると、流体ポンプ装置のピストンチャンバは、2つの異なる直径D1、D2を有する第1及び第2の軸上延在部L1、L2を有する。ピストン102の周りに第1のO−リング140と第2のO−リング140’が配置されており、ポンプサイクルの間に第1及び第2の軸上延在部L1、L2に沿ってそれぞれ移動する。従って、ピストンチャンバの体積は、「((D1−D2)/2)×π×L」の式で与えられる。ここで、Lはピストンストロークの長さである。従って、この体積は、本発明の第1実施例で述べた流体送達システムのピストンチャンバの全径によって与えられるピストンチャンバの体積より小さい。従って、より小さいボーラス投与量を送達して、流体送達システムの精度を上げることができる。
【0041】
図27に示すように、流体ポンプ装置の上側部分109(以下、バルブ切り替え素子という)は、直線溝114を有する平坦な底面を具える。この平坦な底面は、流体ポンプ装置の下側部分のガスケット107に接触するように装着されている。バルブ切り替え素子109は、ピストンの移動に直交する方向における往復直線運動によって作動し、O字型の入口キャビティと出口キャビティの縦軸に沿って前後に移動するときに、溝114の一部がピストンチャンバキャビティ111pの上方に部分的に延在し、溝114のその他の部分は、O字型の入口キャビティ111iと出口キャビティ111oの上方に延在する。
【0042】
図25は、ピストン102とバルブ切り替え素子109とを往復直線運動させるように構成した駆動システムを示す。この駆動システムは、モータ169’の回転シャフト169の周りに装着した回転可能な素子168を具える。第2のシャフト170は、回転可能な素子168に偏心して装着されて縦方向に延在しており、流体ポンプ装置のピストン102とバルブ切り替え素子109の一部を形成している2つの重なり合った案内素子172と172’のほぼ矩形の開口171と171’を通って突出するように構成されている。2つの矩形開口171,171’の2本の縦軸は、互いに直交しており、従って、第2のシャフト170の回転が案内素子172を作動させて、ピストンのインストロークとアウトストロークを作り、案内素子172’を作動させて、バルブ切り替え素子109をピストンの動きに直交する方向に移動させる。
【0043】
更に詳細には、第1のボールベアリングアッセンブリ173が第2の軸170の周りに取り付けられて、ピストン案内素子172の開口171の外郭の一部に対して載置されており、第2のボールベアリングアッセンブリ174がこのシャフト170の周りに取り付けられて、バルブ切り替え案内素子172’の開口171’の外郭の一部に対して載置されている。偏心シャフト172の回転によって、ボールベアリング173がピストン案内素子172の開口171の外郭全体に沿って移動すると、ピストン102に対して往復直線運動が生じ、ボールベアリング174がバルブ切り替え案内素子172’の開口171’の外郭全体に沿って移動するときに、流体ポンプ装置のバルブ切り替え素子109を、縦方向の往復直線運動をさせる。
【0044】
上述の実施例の動作中、ピストンのインストロークの間、バルブ切り替え素子109の直線溝114が入口キャビティ111iとピストンチャンバキャビティ111pの両方に隣接するガスケット107の一部に沿って動くと、ピストンチャンバが流体ポンプ装置の入口ポート110iに連結される。これによって、これらのキャビティ111iと111pとの間に漏れを生じさせる第1の連通路ができて、入口チャネル113iと、入口キャビティ111iと、矩形溝114と、ピストンチャンバキャビティ111pと、ピストンチャンバチャネル113pを通って入口ポート110iから流体が吸引され、ピストンチャンバを満たす。ピストンのアウトストロークの間には、バルブ切り替え素子109の矩形溝114が、出口キャビティ111oとピストンチャンバキャビティ111pの双方近傍にあるガスケット107の一部に沿って更に移動するので、ピストンチャンバが、流体ポンプ装置の出口ポート110oに連結され、これによって、キャビティ111oと111pの間に漏れを生じさせる第2の連通路ができ、ピストンチャンバから、ピストンチャンバチャネル113p、ピストンチャンバキャビティ111p、矩形溝114、出口キャビティ111o、及び出口チャネル113oを通って、出口ポート110oの外へ流体が放出される。
【0045】
流体ポンプ装置の下側部分は、射出成型法によって作ることができる。この方法は:(a)実質的に硬質素子を形成することができる成型用プラスチック材料をモールドキャビティアッセンブリに注入して、下側部分のベースを得るステップと;(b)ベース部材が装着される前記ベースの上側部分にシールモールドマトリックスを配置するステップであって、このシールモールドマトリックスがガスケット107の形状を再生する設計であるステップと;(c)このマトリックスの中に成型可能なゴム弾性部材を流動状態で注入するステップであって、このゴム弾性部材が、ベースの上側部分に接着しつつモールドマトリックス中で重合するステップと;を具える。
【0046】
ガスケット107は、別の射出成型法によっても得ることができ、流体ポンプ装置の下側部分の上側表面に設けた対応する溝の上に加える。
【0047】
第3実施例
図32乃至39は、本発明の第3実施例に係る流体送達システムを示す。このシステムは、中空円筒型ハウジング201を具えており、このハウジングは、バルブホルダ207を受けて(図38及び39)、往復直線及び角運動によって動作可能に構成されている。ピストン202は、中空円筒型ハウジング201内に軸方向に装着されており、バルブホルダ207の対応する中空円筒チャンバ201’内に突出している。図39に示すように、ガスケット207’は、バルブホルダ207の筒状部分の外側表面に配置されており、O型入口キャビティ211iと出口キャビティ211o、及び矩形ピストンチャンバキャビティ211pを規定するように構成されている。入口キャビティ211iと、出口キャビティ211oは、互いに隣接して、ピストンチャンバキャビティ211pに整列している。入口キャビティ211iと出口キャビティ211oは、それぞれ、入口開口212iと出口開口212oを具え、これらの開口は、それぞれ、入口チャネル213iと出口チャネル213oによって流体送達システムの入口ポート210iと出口ポート210oに連結されており(図35)、ピストンチャンバキャビティ211pは、ピストンチャンバチャネル213pによってピストンチャンバに連結されている(図37)。矩形溝214がポンプハウジング201の内側表面に配置されており(図38)、この溝214の一部がピストンチャンバキャビティ211pの上方に延在し、溝214のその他の部分は、筒型ハウジング201がその回転軸の周りを前後に回転するときに、入口キャビティ211iと出口キャビティ211oの上方に代替的に延在する。
【0048】
筒状ハウジング201の往復直線及び角運動は駆動システムによって行われる。このシステムは、モータ291’に偏心して装着されており、その周りに第1及び第2のボールベアリング292、293が取り付けられているシャフト291を具える(図37)。この偏心シャフト291は、ポンプハウジング201に連結された案内素子282のほぼ正方形の開口を通って延在している。この案内素子282は、ピストン軸と軸方向にバランスしておらず、ポンプサイクル中に、第1のボールベアリング292がハウジング201をその回転軸を中心に揺動させ、第2のボールベアリング293がハウジング201を往復直線運動させて、ピストンのインストロークとアウトストロークを作る。
【0049】
ポンプサイクル中の図32乃至39の流体送達システムの様々なシーケンスについて以下に詳細に説明する。
【0050】
偏心シャフト291の第1のボールベアリング292は、シャフト291が90°回転するときに、案内素子282の内側輪郭の第1の部分に沿って移動し(図32)、これによって、筒型ハウジング201を回転させ、直線溝214が入口キャビティ211i近傍のガスケット207’の一部の上に延在し、ピストンチャンバキャビティ211pが、キャビティ211iと211pとの間に漏れを生じさせる第1の連通路を作る。次いで、偏心シャフト291が更に回転すると、第2のボールベアリング293が案内素子282の突出部294と接触する。次いで、第2のボールベアリング293が案内素子突出部294を押すと、ピストンのインストロークが生じ、流体送達システムの入口ポート210iから、入口チャネル213i(図35)と、入口キャビティ211iと、直線溝214と、ピストンチャンバキャビティ211pと、ピストンチャンバチャネル213pを通って、流体が吸引されて、ピストンチャンバを満たす。ピストン202がインストロークの終わりに達すると、第1のボールベアリング292が、第1の部分の反対側にある案内素子282の内側輪郭の第2の部分に沿って移動して、これによって、ポンプハウジング201を反対方向に回転させ、直線溝214が出口キャビティ211oに隣接するガスケット207’の一部の上に延在すると共に、流体送達システムのピストンチャンバキャビティ211pが、これらキャビティ211oと211pとの間に漏れを生じさせる第2の連通路を作る。次いで、偏心シャフト291が更に回転すると、第2のボールベアリング293が筒状ハウジング201の横側部と接触する。次いで、第2のボールベアリング293がハウジング201の横側部を押すとピストンのアウトストロークが生じ、ピストンチャンバから、ピストンチャンバチャネル213pと、ピストンチャンバキャビティ211pと、直線溝214と、出口キャビティ211oと、出口チャネル213oを通って、流体送達システムの出口ポート210oから流体が放出される。
【0051】
変形例によれば、上述の第2及び第3実施例は、第2のピストンチャンバを具えるように構成しても良い。この目的のために、本発明の第2又は第3実施例の1つと同様の第2の流体ポンプ装置を対応する第1の流体ポンプ装置に連結して、中心面に対して対称に配置する。この構成では、第1及び第2のピストンとバルブシステムが第2又は第3実施例で述べたような1又は2の共通の案内素子によって案内され、第1のピストンインストロークの間に特定量の流体が第1のピストンチャンバに吸引され、第2のピストンアウトストロークの間に同量の流体が第2のピストンチャンバから放出される。
【0052】
第4実施例
図40乃至47に示す本発明の第4実施例によると、実質的に流体が連続的に流れるように設計されている。この流体送達システムは、好ましくは使い捨ての流体ポンプ装置を具えており、この装置は、ハウジング301の縦軸に沿って互いに対向して配置した第1及び第2のチャンバ301a、301bを有する筒状ハウジング301を具える(図40及び45)。第1及び第2のピストン302、302’は、第1及び第2のピストンチャンバ内で前後に移動可能に装着されている。
【0053】
図41に示すように、流体ポンプ装置の底部が、ほぼ平坦な底面を有する筒状凹部306を具えており、この底面に対してガスケット307の形のシール素子(図42)が接着されている。このガスケット307は、3つの同心リング、すなわち、内側リング307a、中央リング307b、外側リング307cを具える。内側及び中央リング307a、307bは、対向する第1及び第2のシーリング部308、308’によって互いに連結されている。ガスケット307は更に、外側リング307cを中央リング307bと共に保持する、2つの取り付け手段308a、308a’を具えている。ディスク形状のバルブ切り替え素子309が、バルブベース部材であるガスケット307に回転可能に装着されている。
【0054】
図47bのB−B線線に沿った断面図に示すように、内側リング307aは、第1のピストン部材311pを規定しており、ディスク309の回転軸に対して対称に配置されたアーチ状入口キャビティ311iと出口キャビティ311oは、内側リング307aと中央リング307b、及び2つのシーリング部308、308’によって規定されている。環状の第2ピストンチャンバキャビティ311p’は、更に、中央リング307bと外側リング307cによって規定されている。
【0055】
図41を参照すると、筒状溝306は、その底面に入口キャビティ311iと出口キャビティ311o内にそれぞれ配置された入口開口312iと出口開口312oと、第1のピストンチャンバキャビティ311pと第2のピストンチャンバキャビティ311p’内に配置された第1のピストンチャンバ開口312pと第2のピストンチャンバ開口312p’を具える。内側及び外側開口312iと312oは、それぞれ、入口チャネル313iによって入口ポート310iに、出口チャネル313oによって出口ポート310oに流体連通しており(図46)、第1及び第2のピストンチャンバ開口312pと312p’は、第1及び第2のピストンチャンバチャネル313pと313p’によって、第1及び第2のピストンチャンバ301aと301bに流体連通している(図45)。
【0056】
図42を参照すると、ディスク309は第1及び第2の同一の直線溝314、314’を具えており、これらの溝はディスクの直径の2つのセグメントに沿って延在している。ディスク309がガスケット307に対して回転可能に装着されている場合、第1の直線溝314は、ディスク309の回転軸近傍にあり、ガスケット内側リング307aの両側部に半径方向に延在するように配置されておおり、一方、第2の直線溝314’は、ディスク309の周縁近傍にあり、ガスケットの中央リング307bの両側部に半径方向に延在するように配置されている。
【0057】
図45に示すように、本実施例による流体ポンプ装置の駆動システムは、モータ317の回転軸316を受けるように構成された下側部分を有するU字型支持構造315を具える。第1の回転可能な素子318は、シャフト316と同軸に装着されており、第1のボールベアリングアッセンブリ319によって横方向に固定されている。第2のシャフト320の下側部分は、回転可能な素子318に偏心して固定的に装着されており、U字型摺動トレイ322(図47aのC−C線に沿った断面図)の矩形開口321を通ってこの素子から垂直に延在し、その上側部分は第2の回転可能な素子323(図45)に偏心して連結されている。ここで、第2の回転可能な素子323は第1の回転可能な素子318に軸方向において整列しており、流体ポンプ装置のハウジング301が固定されている支持ピース340の上に装着した第2のボールベアリングアッセンブリ324によって横方向に固定されている。
【0058】
ディスク309は第2の回転可能な素子323の上に固定されており、速度を制御して、ポンプサイクルの間に360°連続的に回転している。従って、第1及び第2の矩形溝314、314’は、ポンプサイクルの間に各ガスケットの内側リングと中央リング307a、307bの全周に沿って垂直方向に移動するように配置されている。
【0059】
U字型摺動トレイ322は、U字型支持構造315上の往復直線運動によって動作可能に装置されている。この結果、図43に示すように、一方のロッド334は、支持構造315の一方の横側部315aから垂直方向に突出して、トレイ322の一方の側部に配置した対応するリニアベアリング334aを通って支持ピース340の一方の横側部に固定されるよう延在している。ロッド対334’は、互いに平行に装着されており、支持構造315の他方の横側部315bから垂直方向に突出して、摺動トレイ322の他方の側部に配置した2つの対応するリニアベアリング334a’を通って支持ピース340の別の横側部に固定されるように延在している。
【0060】
摺動トレイ322の往復直線運動は、トレイ322の矩形開口321内の偏心シャフト320の周りに取り付けたボールベアリングアッセンブリ330によって行われる(図47aのC−C線に沿った断面図)。第1及び第2のピストン駆動シャフト331、331’は、各横側部近傍で摺動トレイ322から垂直方向に突出し、第1及び第2のピストン302、302’の頭部302a、302a’を通って延在するように配置され、各チャンバ301a、301b内のピストンを往復直線運動させている(図45)。
【0061】
ポンプサイクルの主段階を実行するときの本発明の第4実施例の流体送達システムを特に図47a乃至47dを参照して詳細に説明する。
【0062】
図47aとそれに対応する断面図(図47a’)では、第1及び第2のピストン302、302’に実質的な動きがなく、バルブの切り替えが生じている、ポンプサイクルの開始直前の流体送達システムを示す。ポンプサイクルのこの段階では、摺動トレイ322がボールベアリングアッセンブリ330によって最も遠い横位置の1つへ押されており(図47aのC−C線に沿った断面図)、ディスク309の2本の直線溝314,314’の各々がガスケット307の2つのシーリング部分308、308’の各々のもとで半径方向に延在するように、角度を成して位置している(図47aのB−B線に沿った断面図)。この構成では、第1及び第2のピストンチャンバが流体送達システムの入口ポート310iと出口ポート310oから全体的に密封されており、ディスク309が回転して、第1及び第2の直線溝314、314’がガスケット307の2つのシーリング部308、308’の各々の一方の側部から他方の側部へ移動して、このとき、第1の矩形溝314によって第1のピストンチャンバキャビティ311pとアーチ状の入口キャビティ311iとの間に漏れを生じさせる。一方、第2の矩形溝314’によって、第2のピストチャンバキャビティ311p’とアーチ状出口キャビティ311oとの間に漏れが生じる。この結果、第1のピストンチャンバ301が流体送達システムの入口ポート310iと常に流体連通し、第2のピストンチャンバ301’は、このシステムの入口ポート310iに常に流体連通する。
【0063】
この瞬間から、偏心して回転するボールベアリングアッセンブリ330が、矩形開口321の境界に接触し、摺動トレイ322を前に押して、第1のピストン駆動シャフト331と第2のピストン駆動シャフト331’によって、第1ピストン302のインストロークと、第2ピストン302’のアウトストロークが生じる(図47bのA−A線に沿った断面図)。このポンプ段階では、ディスク309が約150°回転して、これによって、アーチ型入口キャビティ311iと第1のピストンチャンバキャビティ311pの両方に隣接するガスケットの内側リング307aに沿って第1の矩形溝314が移動して、第2のピストンチャンバキャビティ311p’とアーチ型出口キャビティ311oの両方に隣接するガスケットの中央リング307b(図47bのB−B線に沿った断面図)に沿って第2の矩形溝314’が移動する。従って、予め規定した量の流体が、第1のピストン302のインストロークでは、入口ポート310iから、内側チャネル313i、角度入口キャビティ311i、第1の矩形溝314、第1のピストンチャンバキャビティ311p、及び第1のピストンチャンバチャネル313pを通って、第1のピストンチャンバ301aを満たし、第2のピストン302’のアウトストロークでは、同量の流体が、第2のピストンチャンバ301bから、第2のピストンチャンバチャネル313p’と、第2のピストンチャンバキャビティ311p’と、第2の矩形溝314’と、角度出口キャビティ311oと、出口チャネル313oを通って、出口ポート310oへ放出される。
【0064】
図47cとそれに対応する断面図(図47c’)は、バルブの切り替えが生じるときの、第1のピストン302と第2のピストン302’のそれぞれのインストロークとアウトストロークの終端における流体送達システムを示す。
【0065】
ポンプサイクルのこの段階では、摺動トレイ322はボールベアリングアッセンブリ330によって他方の最も遠い横位置へ押され(図47cのC−C線に沿った断面図)、ディスク309の2つの矩形溝314、314’のそれぞれが角度を成して配置され、ガスケット307の2つのシーリング部分308、308’の下で半径方向に延在している(図47cのB−B線に沿った断面図)。この構成では、第1のピストンチャンバ301aと第2のピストンチャンバ301bが、流体送達システムの入口ポート310iと出口ポート310oから全体的に密封されており、ディスク309が回転して、ガスケット307の2つのシーリング部分308、308’の各々の一方の側部から他方の側部へ、第1及び第2の矩形溝314、314’を移動させる。このとき、第1の矩形溝314が、第1のピストンチャンバキャビティ311pと角度出口キャビティ311oとの間に漏れを作り、第2の矩形溝314’が、第2のピストンチャンバキャビティ311p’と角度入口キャビティ311iとの間に漏れを作る。この結果、第1のピストンチャンバ301aは、流体送達システムの出口ポート310oと常に流体連結しており、第2のピストンチャンバ301’は、このシステムの入口ポート310iと常に流体連結している。
【0066】
この瞬間から、偏心して回転するボールベアリングアッセンブリ330は、矩形開口321の境界に接触し摺動トレイ322を前方向に押して(図47dのC−C線に沿った断面図)、第1及び第2のピストン駆動シャフト331、331’(図47dのA−A線に沿った断面図)によって第1のピストン302のアウトストロークと第2のピストン302’のインストロークができる。このポンプ段階においては、ディスク309が更に、約150°回転して、これによって、第1の矩形溝314が、角度出口キャビティ311oとの間にと第1のピストンチャンバキャビティ311pの両方に隣接するガスケット内側リング307aの一部に沿って移動し、第2の矩形溝314’が、第2のピストンチャンバキャビティ311p’と角度入口キャビティ311iの両方に隣接するガスケット中央リング307bの一部に沿って移動する(図47dのB−B線に沿った断面図)。従って、流体は、第1のピストン302のアウトストロークの間は、流体送達システムの第1のピストンチャンバ301aから、第1のピストンチャンバチャネル313pと、第1のピストンチャンバチャネル311pと、第1の矩形溝314と、角度出口キャビティ311oと、出口チャネル313oを通って、出口ポート310oに放出され、第2のピストン302’のインストロークの間は、同量の流体が流体送達システムの入口ポート310iから、入口チャネル313i、角度入口キャビティ311i、第2の矩形溝314’、第2のピストンチャンバキャビティ311p’、及び第2のピストンチャンバチャネル313p’を通って、第2のピストンチャンバ301bを満たす。従って、本発明の第4実施例による流体送達システムは、ほぼ連続的な流体フローを送達することができる。
【0067】
第5実施例
本発明の第5実施例によれば、流体送達システムは、図48に概要を示すバルブシステムを具える。このバルブシステムは、ディスクを有しており(図示せず)、このディスクは、直線溝414を具える。このディスクは、180°の角度を、双方向に角度移動することによって作動するようにガスケット407の上に装着されている。ガスケット407は、ピストンチャンバ401に接続された内側半リング型キャビティ411pと、当該内側半リング型キャビティ411pに隣接し、シーリング部408によって2つの等しい角度の入口キャビティ411iと出口キャビティ411oに分けられる、外側半リング型部分を規定するように構成されている。これらのキャビティ411i、411oは、それぞれ、流体送達システムの入口ポート410iと出口ポート410oに接続されている。直線溝414は、回転可能なディスクの上に配置されており、ピストンのインストロークの間は、角度入口キャビティ411iと半リング型キャビティ411pに隣接するガスケット407の一部に沿って移動して、この上に半径方向に延在し、これによって、キャビティ411iと411pとの間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、ピストンのインストロークの間は流体が入口ポート410iを通ってピストンチャンバ401に吸引され、一方、矩形溝414が角度出口キャビティ411oと半リング型キャビティ411pに隣接するガスケット407の一部に沿って移動して、この上を半径方向に延在し、これによって、キャビティ411o、411pの間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ピストンのアウトストロークの間に出口ポート410oを通ってピストンチャンバ401から流体が放出される。
【0068】
第6実施例
本発明の第6実施例によると、流体送達システムは、図49に概略を示すバルブシステムを具える。このバルブシステムは、角度セクタ形状の溝514を有するディスク(図示せず)を具える。ディスクは、ガスケット507の上に回転可能に装着されており、一方向の角度移動によって作動する。ガスケット507は、正反対の2つの同一角度セクタ形状のキャビティ511i、511o(以下、入口キャビティと出口キャビティという)を規定する形状をしており、それぞれ、流体送達システムの入口ポート510iと出口ポート510oに連結されている。一方、別の正反対の2つのキャビティ511p(もう一方は、溝514に隠されている)が、ピストンチャンバ501に連結されている(このキャビティは、以下、2つのピストンチャンバキャビティと言う)。溝514は回転可能なディスクの上に配置されており、ピストンのインストロークの間に入口キャビティ511iに隣接するガスケット507の一部と2つのピストンチャンバキャビティ511pの一方の上に移動し、これによってこのキャビティ間に漏れを生じさせる第1の連通路ができて、ピストンのインストロークの間にピストンチャンバ501に流体が吸引される。ピストンの アウトストロークの間は、溝514が出口キャビティ511oに隣接するガスケット507の一部と2つのピストンチャンバキャビティ511pの他方の上に移動し、これによって、キャビティ間に漏れを生じさせる第2の連通路ができ、ピストンのアウトストロークの間にピストンチャンバ501から流体が放出される。
【0069】
第7実施例
本発明の第7実施例によれば、流体送達システムは図50に概略を示すバルブシステムを具える。このバルブシステムは、互いに約90°の角度でずれた4本の矩形溝614を有するディスク(図示せず)を具える。このディスクは、ガスケット607の上に回転可能に装着されており、このガスケットは、流体送達システムの入口ポート610iと出口ポート610oにそれぞれ接続された第1の角度入口キャビティ611iと出口キャビティ611oを形成するように分割された外側リング型部と、ピストンチャンバ601a、601b、601c、601dに各々接続されている4つの角度ピストンチャンバキャビティ611a、611b、611c、611dに分割された中央リング型部分と、流体送達システムの入口ポート610iと出口ポート610oにそれぞれ接続された第2の角度入口キャビティ611i’と出口キャビティ611o’を形成するように分割された内側リング型部分と、を規定するように構成されている。
【0070】
第8実施例
図51乃至55は、本発明の第8実施例による別のバルブ構成を有する流体ポンプ装置を示す。この流体ポンプ装置は、バルブベース部材として作用する筒状バルブホルダ707を受けるように設計された中空筒状ハウジング701を具える。ロータ730は、中空筒状ハウジング701に角移動を与える一方、筒状バルブホルダ707は静止したままであるように構成されている。ピストン702は、流体ポンプ装置の中空筒状ハウジング701内に軸方向に装着され、バルブホルダ707の対応する筒状チャンバ701’内に突出している。
【0071】
図53に特に示すように、筒状バルブホルダ707の外側表面にガスケット708が配置されており、バルブホルダ軸に対して互いに反対側にある入口キャビティ711iと出口キャビティ711oを規定し、好ましくはホルダ707の周りに165°延在するように構成されている。O−リング708’が筒状バルブホルダ707の全周に配置されており、ガスケット708の一部近傍にある環状キャビティ711pを規定している。この環状キャビティ711pは、以下、ピストンチャンバキャビティという。バルブホルダ707は、それぞれ、入口チャンバキャビティ711i内、出口チャンバキャビティ711o内、ピストンチャンバキャビティ711p内に位置している、入口チャンバ開口712iと、出口ピストン開口712oと、ピストンチャンバ開口712pを具える。
【0072】
入口キャビティ711iと出口キャビティ711oは、流体ポンプ装置の入口ポートと出口ポートに、入口チャネル713iと出口チャネル713oによってそれぞれ接続されており、ピストンチャンバキャビティ711pは、ピストンチャンバチャネル713pによってピストンチャンバ701’に連結されている(図51)。
【0073】
直線溝714は、ハウジング701(図55)の内側表面に配置されており、溝714の一部がピストンチャンバキャビティ711pの上に部分的に延在して、溝714のその他の部分は、ハウジング701が360°回転してポンプサイクルが完了するときに、入口キャビティ711iと出口キャビティ711oの上に部分的に交互に延在する。
【0074】
らせん面750が傾斜平面上の筒状バルブホルダ707の上側部分の周りに延在しており、流体ポンプ装置(図55)のハウジング701内部に配置した案内突出部740に接触するように設計されている。ばね731は、ハウジング701の一端に装着されており(図51)、ロータ730によってポンプハウジング701に角度移動が生じると、案内突出部740がらせん面750の全周に沿って移動して、ハウジングを往復直線運動させる。ばね731によって、案内突出部740は確実に常にらせん面750に接触し、筒状バルブホルダ702に対する中空筒状ハウジング701の正しい位置を保障する。
【0075】
図51乃至55の流体ポンプ装置のポンプサイクルが行われる間の様々なシーケンスについて以下に述べる。ポンプサイクルの開始時点では、直線溝714が、ポンプハウジング701が回転すると入口キャビティ711iとピストンチャンバキャビティ711pの両方に隣接するガスケット708の一部に沿って移動するように配置されており、これによって、キャビティ711iと711pの間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、ハウジング701の突出部740がらせん面750の傾斜を上り、これによって、流体ポンプ装置のピストンのインストロークを作る。このピストンのインストロークの間に、流体は入口ポートから吸引され、入口チャネル713i、入口キャビティ711i、直線溝714、ピストンチャンバキャビティ711p、及びピストンチャンバチャネル713pを通って、ピストンチャンバ701’を満たす。
【0076】
ピストンのインストロークが終わる時点で、ポンプハウジング701の突出部740が傾斜を有していないらせん面750の一部に沿って移動し、バルブの切り替えが生じてもピストン702が移動しないようにする。次いで、直線溝714は、ポンプハウジング701が更に回転すると出口キャビティ711oとピストンチャンバキャビティ711pの両方に隣接するガスケット708の一部に沿って移動し、これによって、キャビティ711oとキャビティ711pの間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ハウジング701の突出部740がらせん面750の傾斜を下って、これによって、流体ポンプ装置のピストンのアウトストロークを作る。ピストンのアウトストロークの間に、ピストンチャンバ701’から流体が開放され、ピストンチャンバチャネル713p、ピストンチャンバキャビティ711p、直線溝714、出口キャビティ711o、出口チャネル713oを通って、流体ポンプ装置の出口ポートから放出される。
【0077】
直線溝714は、ポンプサイクルの間に、ピストンチャンバキャビティ711pと入口キャビティ711iと出口キャビティ711oの両方の上を連続して移動するのに十分に長く形成されている。変形例では、流体ポンプ装置をピストンチャンバキャビティと入口及び出口キャビティ近傍の部分を有するように変形して、ポンプサイクルの間に直線溝714の往復直線及び角度移動をその部分が通るようにしても良い。
【0078】
一方で、図56乃至58に示すように、流体ポンプ装置を変形して、インストロークの間にピストン702に加わった線形速度をポンプが必要な流体タイプに適用するように変形することができる。この構成では、入口キャビティ711iが好ましくは280°乃至320°の角度で筒状バルブホルダ707の周囲に延在しており、出口キャビティ710oは、好ましくは10°乃至60°の角度でこのバルブホルダの周囲に延在している。らせん面750は、280°乃至320°の正の勾配と、10°乃至60°の負の勾配751を持ち、案内突出部分740が負の勾配に沿って動くと、最大ピストンアウトストロークが生じる。このように、ポンプチャンバはゆっくりと満杯になり、空洞化現象を防止することができる。このポンプは、時計方向及び反時計方向に作動して、ポンプチャンバがゆっくり(280°まで)と、あるいは急速に(40°まで)満杯になり空になるように設計されている。
【0079】
入口及び出口キャビティ711i、711oのサイズ、並びにらせん面のプロファイルは、筒状ハウジング701を1°乃至350°に回転させることによってピストンチャンバが満杯になるように構成することができる。
【0080】
筒型バルブホルダ707のらせん面750又は流体ポンプ装置の別の部分に歯を付けて、筒型ハウジング701が爪で容易に軸上の位置に維持され、手動での駆動に適するようにすることができる。
【0081】
第9実施例
本発明の第9実施例によれば、流体ポンプ装置は、シール素子がバルブ切り替え素子の一部であり、バルブベース部材が、流体ポンプ装置の入口および出口ポートと、ピストンチャンバにそれぞれ連結されている、入口、出口、及びピストンチャンバ開口を具えるバルブシステムを具える。
【0082】
図59は、この特別な実施例による流体ポンプ装置のバルブシステムを示す図であり、ここで、シール素子807’はディスク809に外側被覆されている。ディスク809は、中心に円形開口を具えており、ディスク809は筒状溝807内部に軸方向に装着されたシャフト820の周りに回転可能に配置されている。このシャフトは、入口開口812i、出口開口812o、ピストンチャンバ開口812pを具える平坦な基板を有する。入口開口812iと出口開口812oは、好ましくは反対側にあり、溝807の外周近傍に位置しているが、ピストンチャンバ開口812pは、ディスク809が回転可能に装着されているシャフト820の隣に位置している。シール素子807’は、シャフト820の外周において筒状ベースと接触するように配置された環状部分814aを有する溝814と、ディスク809の周縁部近傍のアーチ型部分814bを規定する形状を有する。この溝のアーチ型部分814bは、ディスク809の回転軸に対して曲がっており、約150°の角度に延在している。溝814の環状部分814aとアーチ型部分814bは、半径方向の溝814cによって互いに流体連通している。
【0083】
上述の実施例の作動中は、アーチ型溝814bの一方の端部が入口開口812iと重なっており、ポンプサイクルの開始時に入口開口812iとピストンチャンバ開口812pとの間に漏れを生じさせる第1の連通路を作る。従って、ピストンのインストロークの間に、ディスク809が約150°回転すると、流体はポンプ装置の入口ポートから、アーチ型溝814bの一部、半径方向の溝814c、環状溝814aの一部を通って、ピストンチャンバへ吸引される。ピストンのインストロークの最後に入口開口812iが密封されて、ディスク809が更に回転するとアーチ型溝814bの一方の端部が出口開口812oと重なって、ピストンチャンバ開口812pと出口開口812oの間に漏れを生じさせる第2の流通路を作る。従って、ピストンのアウトストロークの間にディスク809が更に約150°まで回転すると、流体は、ピストンチャンバから、環状溝814aの一部、半径方向の溝814c、及びアーチ型溝814bの一部を通って、流体ポンプ装置の出口ポートから放出される。
【0084】
第10実施例
図60乃至67は、本発明の第10実施例による、異なる流体を混合するように設計された流体送達システムを示す図である。このシステムは、第1及び第2のピストンハウジング901a、901b(図66)内で作動するように構成された第1及び第2のピストン902、902’と、複数のポート921、922、923、920、920’、926、925及び924(図65)を具える流体ポンプ装置を含む。これらは、第1及び第2のピストン902、902’のインストロークとアウトストロークの間に、それぞれ、第1及び第2のピストンチャンバ901、901’に連通する。この流体送達システムは、従って、タイプが異なる流体に接続された所望の入口ポートを有するように構成されている。この特別な実施例では、流体送達システムは、タイプの異なる流体に接続された6つの入口ポート921、922、923、924、925及び926と、2つの出口ポート920、920’を有するように構成されている(図60)。
【0085】
流体送達システムの入口ポートと出口ポートの選択は、ピストンチャンバ901’に各々対向する各ピストンハウジング901a、901bの一方の端部に装着された2つのバルブシステム900aによって行われる(図64)。図67に示すように、各バルブシステムは、ピストン軸に沿って円形のほぼ平坦面907から突出するシャフト930上に回転可能に装着されたディスク909の形のバルブ切り替え素子を具える。この円形面907を、以下バルブベース部材と呼ぶ。この面は、バルブベース部材907の周縁近傍に円形パターンで配置された6つの入口開口912iと、2つの出口開口912oを具える。図65に示すように、各バルブシステムの6つの入口開口912iの各々は、対応する入り口ポート921、922、923、924、925及び926に、相互入口チャネル913iによって接続されており、各バルブシステムの2つの出口開口912oの各々は、対応する出口ポート920、920’に相互出口チャネル913oによって接続されている。各バルブシステムのバルブベースチャンバ907は、更に、ピストンチャンバに流体連通する8つのピストンチャンバ開口912pを具える(図65)。
【0086】
図67に示すように、O−リング907’の形をとる流体シール素子が、バルブベース部材907の入口開口912iと出口開口912oの上にそれぞれ取り付けられており、バルブ部材907に接触するディスク909の表面は、8つの入口及び出口開口912i、912oの1つと、対応するピストンチャンバ開口912pとに重なるように配置された直線溝914を具える。
【0087】
図60に示すように、この2つのバルブシステムと第1及び第2のピストン902、902’は、2つの独立した駆動システム950、960によって駆動するように構成されている。バルブ駆動システム950は、バルブ駆動ディスク951に回転運動を与えるように構成されているシャフト950’を具える。このディスクはバルブ切り替え素子909の全径に亘って延在する対応する突出部952を受ける直線溝を有する(図63)。2つのピストン902、902’の往復運動は、好ましくは、互いに反対であり、実質的に連続したフロー送達を確実なものにしている。このピストンは、好ましくは、ウォームねじ駆動システム又は油圧モータによって作動する。
【0088】
上述の実施例の動作中は、バルブ切り替え素子909は、角度を成して作動し、6つの入口開口912iのうちの1つの上方に直線溝914を移動させて、ピストンチャンバ901’が所望の入口ポートに流体連結するようにする。その時点で、ピストンのインストロークの間に、当該入口ポートから、入口チャネル913i、入口開口912i、溝914、及び対応するピストンチャンバ開口912pを通り、ピストンチャンバ901’へ流体が吸引される。バルブ切り替え素子909がその駆動システムによって角度を成して作動し、6つの入口開口912iのうちの別の開口上方に溝914を移動させてピストンチャンバ901’を別の入口ポートに連結する間、ピストンをそのインストロークの工程のいずれかのポイントで固定することができ、その時、ピストンのインストロークの別の部分で、タイプが異なる流体をピストンチャンバに吸引することができる。バルブの切り替えは、ピストンのインストロークの間のいずれの時点でも最大5回まで行うことができ、所望の流体を混合することができる。ピストンのインストロークの最後に、バルブ切り替え素子909が駆動システムによって更に角度を成して作動し、2つの出口開口912oの一方の上方に溝914を移動させ、ピストンチャンバを2つの出口ポート920、920’の一方に流体連通させ、その時点で、ピストンチャンバ901’から、対応するピストン開口912p、溝914、出口開口912o、及び出口チャネル913oを通って、2つの出口ポート920、920’から流体を放出することができる(図65)。
【0089】
図68に示すように、この実施例の変形例によると、各バルブシステムのバルブベース部材907に接触しているディスク909の表面は、ピストンチャンバ開口912pに重なって配置された見掛け上完全な円形の溝914を規定する流体シール素子907’を具える。この溝914は、更に、8つの入口開口912iと出口開口912oの1つのみと重なるように構成された半径方向の延在部914’を具える。この構成では、バルブベース部材907は、シール素子は有していない。
【0090】
上述の流体送達システムは、互いに対向する2つのピストンを具えており、実質的に連続的な流体送達を確実なものにしているが、バルブシステムは、バルブベース部材と、一のピストンのみあるいは、2つ以上のピストンを具える流体送達システムに適用できるバルブ切り替え素子を具える。一方、バルブシステムは、バルブ切り替え素子にバルブベース部材に対する往復運動をさせることによって、いずれかの入口ポートを選択して、溝が対応する入口開口とピストンチャンバ開口に重なるようにすることができる。
【0091】
いずれかの実施例で上述した流体送達システムは、有線又は無線でリモートコントロールユニット、又は携帯移動電話と通信して、送達システムによって放出される流体の量を制御するようにすることができる。このシステムは更に、圧力、力、温度、湿度あるいは空気センサなど、あるいは駆動システムに接続されたその他のタイプのセンサといったモニタ内部センサを具えていても良い。このようなセンサは、流体経路に直接又は間接的に連通させることができる。更に、流体送達システムは、有線又は無線で、グルコースセンサあるいは電子機器に情報を提供するその他のセンサなどの外部センサに接続して、例えば閉ループシステムでセンサによって測定したデータを伴って流体送達するようにしてもよい。この流体ポンプ装置の駆動システムと、リモートコントロールユニット間の通信プロトコルは、どのようなタイプのプロトコルであっても良い。駆動システムあるいは制御ユニットのいずれも、患者の入力又はセンサのデータに応じて流体送達を調整するようにプログラムすることができる。
【0092】
バイブレータやラウドスピーカなどの追加の要素を流体ポンプ装置の駆動システムに組み込んで、流体ラインの詰まり、バッテリィ切れ、リザーバ内の薬剤のレベル低下、あるいは、患者に対してリスクとなり得る予め設定したレベルをセンサが検出した時の欠陥を含めて、ポンプのその他の作動欠陥に対するアラームを発するようにしても良い。
【0093】
本発明のいくつかの実施例の本質的な特徴は、バルブベース部材に回転可能に装着され、好ましくはポンプサイクル中に360°回転するディスクであるバルブ切り替え素子にある。
【0094】
本発明のその他の実施例の本質的な特徴は、バルブベース部材の入口及び出口キャビティが整列しており、入口キャビティと出口キャビティ各々の直線エッジが隣接している一方、ピストンチャンバキャビティが、入口及び出口キャビティの他方の直線エッジに隣接する一の直線エッジを有するように構成されていることにある。ここで、バルブ切り替え素子は、入口、出口、及びピストンチャンバキャビティ近傍にあるバルブ部材のエッジに沿って移動し、このエッジの上に延在するように構成された直線溝を有する。
【0095】
本発明のいずれかの実施例による流体ポンプ装置のシール素子は、どのような種類のO−リング、及び/又は、どのようなガスケットであっても良い。一方、流体ポンプ装置のいずれの部品も、機械加工するか、あるいは射出成型法で得ることができる。流体ポンプ装置のピストン、ハウジング、あるいはバルブベース部材は、有利なことに、シール素子なしで弾性特性をもつ材料で一体的にモールドすることができる。このような一体的にモールドしたピースは、シール素子を必要とすることなく、セラミック部品をシーリングするのに広く用いられている。
【0096】
本発明の様々な実施例で述べた流体送達システムは、特に、インスリンポンプとして使用するように適用されているが、必須の要素は、流体送達システムが別の分野で稼働するようにどのようなサイズにスケールアップしてもよい。例えば、広い範囲の流速を超えて作動する高圧抵抗流体送達システムを得ることができる。
【0097】
様々な実施例の要素及び/又は特徴は、互いに組み合わせることができ、及び/又は、この開示と特許請求の範囲内で互いに対して置き換えるようにしても良い。例えば、第1実施例で述べたパッチポンプは、いずれの実施例のポンプを組み込むように構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のピストンチャンバ(1’;101’;201’;310a;301b;701’;901’)と、当該ピストンチャンバ内で前後に動くように構成された少なくとも一のピストン(2;102;202;302;302’;702;902;902’)と、少なくとも一の入口ポート(10i;110i;210i;310i;710i;921)と少なくとも一の出口ポート(10o;110o;210o;310o;710o;920)であって、ピストンのインストロークの間は流体が当該入口ポートを介して前記ピストンチャンバに吸引され、ピストンのアウトストロークの間は前記ピストンチャンバから前記出口ポートを通って放出される、入口ポートと出口ポートと、を有するポンプハウジング(1;101;201;301;701;901)を具え、更にバルブシステムを具える流体ポンプ装置において:前記バルブシステムが、バルブベース部材(7;107;207;307;707;907)に対して移動可能に装着されたバルブ切り替え素子(9;109;201;309;701;909)を具え、前記バルブベース部材が、前記ピストンチャンバに連結された少なくとも一のピストンチャンバ開口(12p;112p;212p;312p;312p’;712p;912p)と、それぞれが前記流体ポンプ装置の入口及び出口ポートに連結された少なくとも一の入口開口(12i;112i;212i;312i;712i;912i)と少なくとも一の出口開口(12o;112o;212o;312o;712o;912o)を具え、前記バルブ切り替え素子が、前記バルブベース部材に対して移動するように構成された少なくとも一の溝(14;114;214;314;314’;714;914)又はその他の凹部(514)を具え、当該溝又は凹部が、前記入口開口(12i;112i;212i;312i;712i;912i)と前記ピストンチャンバ開口(12p;112p;212p;312p;312p’;712p;912p)との間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、前記ピストンのインストロークの少なくとも一部の間に流体が前記入口ポートから、前記溝又は凹部を通って、前記ピストンチャンバへ吸引され、前記溝又は凹部が前記ピストンチャンバ開口(12p;112p;212p;312p;312p’;712p;912p)と前記出口開口(12o;112o;212o;312o;712o;912o)の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、前記ピストンのアウトストロークの少なくとも一部の間に流体が前記ピストンチャンバから、前記溝又は凹部、及び前記出口ポートを通って放出される;ことを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブ切り替え素子(9;109;201;309;701)の溝(14;114;214;314;314’;714)又は凹部(514)とバルブベース部材(7;107;207;307;707)が、ピストンのインストロークの間及びアウトストロークの間に互いに対して移動可能であり、前記溝又は凹部、及び前記バルブベース部材が、前記バルブ切り替え素子(9;109;201;309;701)が前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)に対して移動するときに前記第1及び第2の連通路を作るように構成されており、ピストンのインストロークの間に、入口ポートから、前記溝を通って、前記ピストンチャンバへ流体が吸引され、ピストンのアウトストロークの間に、前記ピストンチャンバから、前記溝と前記出口ポートを通って流体が放出されることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)は、少なくとも3つのキャビティ(11i,11o,11p,111i,111o,111p;211i,211o,211p;311i,311o,311p,311p’;711i,711o,711p)を規定する形状であり、各キャビティが、前記入口開口(12i;112i;212i;312i;712i)と、出口開口(12o;112o;212o;312o;712o)と、ピストンチャンバ開口(12p;112p;212p;312p;312p’;712p)を具え(前記キャビティを、以下、入口キャビティ、出口キャビティ、ピストンチャンバキャビティという)、前記バルブ切り替え素子(9;109;201;309;701)の前記溝(14;114;214;314;314’;714)又は凹部(514)が、ピストンのインストロークの間に前記溝又は凹部が前記ピストンチャンバキャビティ(11p;111p;211p;311p;311p’;711p)と前記入口キャビティ(11i;111i;211i;311i;711i)に隣接する前記バルブベース部材の一部に沿って又はこれを横切って移動するように構成されており、これによって、前記2つのキャビティ間に漏れを生じさせる第1の連通路ができて、ピストンのインストロークの間に前記入口ポートから、前記溝(14;114;214;314;314’;714)又は凹部(514)を通って、前記ピストンチャンバへ流体が吸引され、ピストンのアウトストロークの間に、前記溝または凹部が、前記ピストンチャンバキャビティ(11p;111p;211p;311p;311p’;711p)と前記出口キャビティ(11o;111o;211o;311o;711o)に隣接する前記バルブベース部材の一部に沿って又はこれを横切って移動し、これによって、前記2つのキャビティ間に漏れを生じさせる第2の連通路ができて、ピストンのアウトストロークの間に、前記ピストンチャンバから前記溝又は凹部を通って、前記出口ポートへ流体が放出されることを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体ポンプ装置において、前記ピストンチャンバが中空細長部分であり、前記入口及び出口ポートが前記流体ポンプ装置のハウジングに配置されていることを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブ切り替え素子(9;309)が前記バルブベース部材(7;307)に対して回転可能に装着されたディスクであることを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項6】
請求項2に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブ切り替え素子(809)が前記バルブベース部材(807)に対して回転可能に装着されたディスクであり、前記ディスク(809)が前記溝又は凹部を規定する形状をした流体シール素子(807’)を具えることを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項7】
請求項5に記載の流体ポンプ装置において、前記ディスク(9;309;809)が、ポンプサイクル中に360°回転することを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブベース部材(7)が前記ディスク(9)の回転軸に対して中心を置き、前記ディスク(9)の回転に対して対称であるアーチ状入口及び出口キャビティ(11i;11o)を境界とする円形ピストンチャンバキャビティ(11p)を具え、前記ディスク(9)がほぼ直線状の溝(14)を具え、前記ディスク(9)が前記バルブベース部材(7)に回転可能に装着されており、ピストンのインストロークの間に、前記溝(14)が前記ピストンチャンバキャビティ(11p)と前記アーチ状入口キャビティ(11i)の近傍にある前記バルブベース部材(7)の一部に沿って移動して、この部分の上を半径方向に延在し、これによって、ピストンのインストロークの間に、前記入口ポート(10i)から、前記溝(14)を通って前記ピストンチャンバへ流体が吸引されるように前記2つのキャビティ(11p;11i)の間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、一方、ピストンのアウトストロークの間に、前記溝(14)が前記ピストンチャンバキャビティ(11p)と前記アーチ状出口キャビティ(11o)の近傍にある前記バルブベース部材(7)の一部に沿って移動して、この部分の上を半径方向に延在し、これによって、前記2つのキャビティ(11p,11o)の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ピストンのアウトストロークの間に、前記ピストンチャンバから、前記溝(14)と前記出口ポート(10o)を通って流体が放出される、ことを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項9】
請求項7に記載の流体ポンプ装置において、前記ポンプハウジング(301)が第1及び第2のチャンバ(301a,301b)と、当該チャンバ(301a,301b)の各々内で直線作動して前後に移動するように構成された第1及び第2のピストン(302,302’)を具え、前記バルブベース部材(307)が、前記ディスク(309)の回転軸に対して中心を置き、前記第1のピストンチャンバ(301a)に連結された第1のピストンチャンバキャビティ(311p)を具え、当該第1のピストンチャンバキャビティ(311p)が、前記流体ポンプ装置の入口及び出口ポート(310i,310o)にそれぞれ接続され、前記ディスク(309)の回転軸に対して対称であるアーチ状入口及び出口キャビティ(311i,311o)を具え、前記バルブベース部材(307)が更に、前記アーチ状入口及び出口キャビティ(311i,311o)を取り囲む第2のピストンチャンバキャビティ(311p’)を具え、当該第2のピストンチャンバキャビティ(311p’)が前記第2のピストンチャンバ(301b)に接続されていることを特徴とする、流体ポンプ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の流体ポンプ装置において、前記ディスク(309)が、第1及び第2の反対側に位置する実質的に直線の溝(314,314’)を具え、当該ディスク(309)が前記バルブベース部材(307)に回転可能に装着されて、前記第1のピストン(302)のインストロークの間、及び前記第2のピストン(302’)のアウトストロークの間に、前記第1の溝(314)が、前記第1のピストンチャンバキャビティ(311p)と前記アーチ状入口キャビティ(311i)に隣接する前記バルブベース部材(307)の一部に沿って移動し、この上を半径方向に延在し、これによって、前記2つのキャビティ(311p,311i)の間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、前記第1のピストン(302)のインストロークの間に、流体が前記入口ポート(310i)から、前記第1の溝(314)を通って、前記第1のピストンチャンバ(301a)に吸引され、一方、前記第2の溝(314’)が前記アーチ状出口キャビティ(311o)と前記第2のピストンチャンバキャビティ(311p’)に隣接する前記バルブベース部材(307)の一部に沿って移動し、この上を半径方向に延在し、これによって、前記2つのキャビティ(311o,311p’)の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、前記第2のピストンのアウトストロークの間に、流体が前記第2のピストンチャンバから、前記第2の溝(314’)と前記出口ポート(310o)を通って、放出されることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項11】
請求項3に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブベース部材(107;207;707)の前記入口キャビティ(111i;211i;711i)と出口キャビティ(111o;211o;711o)が整列して、入口キャビティと出口キャビティの各々の一方の直線エッジが隣接しており、前記ピストンチャンバキャビティ(111p;211p;711p)が入口キャビティと出口キャビティ(111i;111o;211i;211o;711i;711o)の別の直線エッジに隣接する一の直線エッジを有するように構成されており、前記バルブ切り替え素子(109;201;701)が、前記入口、出口、及びピストンチャンバキャビティに隣接する前記バルブ部材(107;207;707)の一部に沿って移動し、この上に延在するように配置された溝(114;214;714)を具えることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項12】
請求項11に記載の流体ポンプ装置において、前記入口及び出口キャビティ(111i,111o)がほぼ矩形であり、前記ピストン(102)の動きに直交する方向に向いた共通の縦軸に沿って互いに隣接しており、前記ピストンチャンバキャビティ(111p)が、入口及び出口キャビティ(111i,111o)一方の横側部に隣接する直線エッジを有するように構成されていることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項13】
請求項12に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブシステムのバルブ切り替え素子(109)が、前記バルブベース部材(107)の上に乗っており、前記バルブ切り替え素子(109)と前記バルブベース部材(107)との間で前記ピストン(102)の動きに直交する方向に相対往復直線運動をするように装着されたほぼ平坦な面を有し、前記溝(114)が前記バルブ切り替え素子(109)の前記面の上に配置されており、ピストンのインストロークの間に前記溝(114)が前記入口キャビティ(111i)と前記チャンバキャビティ(111p)に隣接する前記バルブベース部材(107)の一部に沿って移動し、この上に延在し、これによって、前記キャビティ(111i,111p)の間に漏れを生じさせる第1の連通路を作り、前記ピストンのインストロークの間に、前記ピストンチャンバに流体が吸引され、前記ピストンのアウトストロークの間に、前記溝(114)が前記出口キャビティ(110o)と前記チャンバキャビティ(111p)に隣接する前記バルブベース部材(107)の一部に沿って移動し、この上に延在し、これによって、前記キャビティ(111i,111p)の間に漏れを生じさせる第2の連通路を作り、ピストンのアウトストロークの間に前記流体ポンプ装置の出口ポート(110o)を通って前記ピストンチャンバから流体が放出される、ことを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項14】
請求項11、12又は13に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブ切り替え素子(109)と前記ピストン(102)の各々が、前記バルブ切り替え素子(109)が前記流体ポンプ装置の前記バルブベース部材(107)に装着されたときに重なるように構成されたほぼ矩形の開口(171,171’)を有する案内素子(172,172’)を具え、駆動システムの一部が前記案内素子(172,172’)の2つの開口(171,171’)を通って突出し、前記開口(171,171’)が互いに直交する縦軸をそれぞれ有するように構成されていることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項15】
請求項3乃至5、及び7乃至14のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)が、前記入口、出口、及びピストンチャンバキャビティを規定するあるいはこれに合致する形状である流体シール素子を具えることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項16】
請求項3乃至5、及び7乃至14のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置において、前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)が、入口、出口、及びピストンチャンバキャビティを具える射出成型部分又はオーバーモールド部分を具えることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置において、前記駆動システムが、前記流体ポンプ装置の前記バルブ切り替え素子と前記バルブベース部材の間を相対移動させるように構成されていることを特徴とする流体ポンプ装置。
【請求項18】
請求項2乃至10のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置を駆動する駆動システムにおいて、前記バルブ切り替え素子(9;201;309;701)に回転運動を与え、前記流体ポンプ装置のピストン(2;202;302,302’;702)に往復直線運動を与える駆動手段を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項19】
請求項5、6、7又は8に記載の流体ポンプ装置を駆動する請求項18に記載の駆動システムにおいて:
−第1の回転可能な素子(18)を取り付けた回転シャフト(16)を受けるように構成した下側部分を有する支持構造(15)と;
−前記第1の回転可能な素子(18)に偏心して装着され、当該素子から垂直方向に延在して、前記第1の回転可能な素子(18)と軸方向において整列した第2の回転可能な素子(23)に偏心して連結されている、第2のシャフト(20)と;
−前記流体ポンプ装置の前記ピストンに連結するようにピストン駆動シャフト(31)が装着されている摺動トレイ(22)と;
を具え、
開口(21)が、前記第2のシャフト(20)が前記開口(21)を通って垂直方向に突出するように前記摺動トレイ(22)に設けられており、前記第1の回転可能な素子(18)の回転が、前記ピストン駆動シャフト(31)によって前記摺動トレイ(22)と前記ピストン(2)に往復運動をさせる前記第2のシャフト(20)を偏心させて回転させ、前記第2の回転可能な素子(23)の回転が、前記流体ポンプ装置の前記バルブシステムのディスク(9)に回転運動を与える、ことを特徴とする駆動システム。
【請求項20】
請求項19に記載の駆動システムにおいて、前記第2のシャフト(20)に、前記偏心した第2のシャフト(20)の回転に応じて前記摺動トレイ(22)の開口(21)の輪郭に対して押圧回動するベアリングアッセンブリ(30)が取り付けられていることを特徴とする駆動システム。
【請求項21】
請求項9又は10に記載の流体ポンプ装置を駆動する請求項19又は20に記載の駆動システムにおいて、第1及び第2の駆動シャフト(131,131’)が前記摺動トレイ(122)から垂直方向に延在して、前記流体ポンプ装置の第1及び第2のピストン(302,302’)に連結していることを特徴とする駆動システム。
【請求項22】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置を駆動する駆動システムにおいて、前記バルブ切り替え素子に往復運動を与える手段を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項23】
請求項14に記載の流体ポンプ装置を駆動する請求項22に記載の駆動システムにおいて、モータ(169’)の回転シャフト(169)に装着した回転可能な素子(168)と、前記回転可能な素子(168)に偏心して装着されており、前記流体ポンプ装置のバルブ切り替え素子(109)とピストン(102)の各々の前記重なった案内素子(172,172’)の2つのほぼ矩形の開口(171,171’)を通って、前記回転可能な素子から垂直方向に延在する第2のシャフト(170)とを具え、前記第2のシャフト(170)が、当該第2のシャフト(170)が回転するときに、それぞれのほぼ矩形の開口(171,171’)の縦軸に沿って前記ガイド素子(172,172’)に往復直線運動を与える手段(173,174)を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項24】
請求項11又は12に記載の流体ポンプ装置を駆動する駆動システムにおいて、前記バルブ切り替え素子(201;701)に回転運動と往復直線運動を組み合わせて与える手段を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項25】
射出成型法によって、請求項15又は16に係る流体ポンプ装置を製造する方法において:
(a)実質的に硬質要素を形成可能な成型用プラスチック材料を、前記流体ポンプ装置のハウジング(1;101;201;301;701)を得る金型アッセンブリに注入するステップであって、前記ハウジングが前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)を受けるように構成した部分を具える、ステップと;
(b)前記部分上に、前記入口、出口、及びピストンチャンバキャビティ(11i;11o;11p;111i;111o;111p;211i;211o;211p;311i;311o;311p;711i;711o;711p)を再生するように設計されたシール成型マトリックスを配置するステップと;
(c)前記マトリックスに流動可能な状態の成型用ゴム弾性材料を注入するステップであって、当該ゴム弾性材料が前記成型マトリックス内で重合化し前記流体ポンプ装置のハウジングに接着されて前記バルブベース部材を形成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項15又は16に記載の流体ポンプ装置を製造する方法において、前記流体ポンプ装置のハウジング(1;101;201;301;701)が、実質的に硬質素子を形成可能な成型用プラスチック材料を金型アッセンブリに注入して前記流体ポンプ装置のハウジングを得るステップであって、前記ハウジングが前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)を受けるように構成された部分を具えるステップからなる射出成型法によって得られ;前記バルブベース部材(7;107;207;307;707)が、別の射出成型法で得ることが可能であり、前記部分に加えられることを特徴とする、方法。
【請求項27】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置と、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の駆動システムを具えることを特徴とする流体送達システム。
【請求項28】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置と、請求項22に記載の駆動システムを具えることを特徴とする流体送達システム。
【請求項29】
取り外し可能な蓋(41)を有するケースユニット(40)を具える携帯可能なポンプにおいて、前記ケースユニット(40)が、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置と、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の駆動システムと、バッテリィ(19)と、治療薬剤を含むカートリッジ(4)を収容するように構成したコンパートメント(42)とを組み込んでおり、前記流体ポンプ装置が、針(5)を具え、前記流体ポンプ装置が前記取り外し可能な蓋(41)の底部に連結されて、前記カートリッジ(4)を前記コンパートメント(42)内部に押しいれたときに前記針(5)が前記カートリッジ(4)を突き破ることを特徴とする携帯可能なポンプ。
【請求項30】
人体の皮膚に適用するパッチにおいて:
−請求項5乃至8のいずれか1項に記載の流体ポンプ装置を組み込んだ使い捨て可能なケース(62)を具える使い捨て可能な受け取りユニット(61)と;
−前記使い捨て可能な受け取りユニット(61)の一部を成す接着膜(63)と;
−前記使い捨て可能な受け取りユニット(61)の上に係合し、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の駆動システムと、バッテリィと、治療薬剤を含むカートリッジ(4)を収容するように構成したコンパートメント(60’)を組み込んだケースユニット(60)と;
を具えることを特徴とするパッチ。
【請求項31】
請求項1に記載の流体ポンプ装置を具える流体送達システムにおいて、当該流体送達システムが、複数の入口ポート(921,922,923,924,925,926)と少なくとも一の出口ポート(920,920’)を具え、前記入口ポートと出口ポートの各々が前記ピストンチャンバ(901’)と流体連通するように独立して選択可能であり、前記バルブベース部材(907)がこの目的のために対応する複数の入口及び出口開口(912i,912o)を具え、各入口開口(912i)が前記流体送出システムの対応する入口ポート(921,922,923,924,925,926)に入口チャネル(913i)によって連結されており、各出口開口(912o)が出口チャネル(913o)によって対応する出口ポート(920,920’)に連結されており、前記バルブベース部材(907)が更に、前記ピストンチャンバ(900’)と連通する少なくとも一のピストンチャンバ開口(912p)を具えており、いずれかの入口又は出口ポート(921,922,923,924,925,926,920,920’)が、前記バルブベース部材(907)に対して前記バルブ切り替え素子(909)に動きを与えることによって選択可能であり、前記溝(914)が対応する入口又は出口開口(912i,912o)及び前記ピストンチャンバ開口(912p)と重なることを特徴とする流体送達システム。
【請求項32】
請求項31に記載の流体送達システムにおいて、前記バルブ切り替え素子が、前記バルブベース部材(907)に回転可能に装着されたディスク(909)であり、前記複数の入口及び出口開口(912i,912o)が、円形パターンで前記バルブベース部材(907)に配置されていることを特徴とする流体送達システム。
【請求項33】
請求項32に記載の流体送達システムにおいて、前記ディスク(909)が、前記少なくとも一のピストンチャンバ開口(912p)に永久に重なるように構成した円形溝を規定する形状の流体シール素子(907’)を具え、前記溝が前記入口又は出口開口(912i,912o)の一方に重なるように構成された半径方向に延在部(914’)を有することを特徴とする流体送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図18a】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【公表番号】特表2012−533381(P2012−533381A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521110(P2012−521110)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001683
【国際公開番号】WO2011/010198
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(511103605)
【氏名又は名称原語表記】SWISSINNOV PRODUCT SARL
【Fターム(参考)】