説明

流体制御弁

【課題】流体制御弁を開閉する際に必要なトルクを軽減する。
【解決手段】流体制御弁1は、ノブ20とピストン10の間に、ノブ20と連結するカム部材6が介在していること、(1)カム部材6のピストン10と当接する当接端面66に、凹形状のカム面62が形成されていること、及び、ピストン10のカム面62と当接する部分に凸形状のピストン係合部101が形成されていること、又は、(2)カム部材6のピストン10と当接する当接端面66に、凸形状のカム面62が形成されていること、及び、ピストン10のカム面62と当接する部分に凹形状のピストン係合部101が形成されていること、のいずれか一つの組み合わせを有することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ポートと第2ポートとを連通する流体の流路に形成された弁座と、前記弁座に当接又は離間して流体の流れを制御する弁体と、前記弁体と連結するピストンと、前記ピストンを前記弁体の開閉方向に移動させるノブとを有する流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、下記の特許文献1に記載される流体制御弁300がある。図22に、特許文献1に記載される流体制御弁300の断面図を示す。図22に示すように、流体制御弁300は、弁座301に当接又は離間する弁体302を有する主軸303を備え、スプリング304が主軸303を下(弁閉)方向に付勢している。主軸303がスプリング304により付勢されることで弁体302を弁座301に押圧シールしている。
また、流体制御弁300には、ハンドル305が形成され、ハンドル305内にはカム部材306が固定されている。流体制御弁300を開弁する際には、ハンドル305を回動し主軸303をカム部材306により上昇させ、弁体302を弁座301から離間させる。具体的には、カム部材306内には2つの鋼球307が備えられ、2つの鋼球307はハンドル305が回動することによりその間隔が狭くなる。また、主軸303の外周であって、2つの鋼球307と当接する部分には上側から下側に向かって狭いテーパ部が成形されている。そのため、ハンドル305を回動させることにより、2つの鋼球307の間隔が狭まり、テーパ部を持ちあげる形となり主軸303を上昇させている。
【0003】
特許文献2及び3には、本出願人が行ったカム部材を使用しない流体制御弁に関するものである。カム部材を使用しないものであるため、詳細な説明を割愛する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−59072号公報
【特許文献2】特開2010−144874号公報
【特許文献3】特開平10−122380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、スプリング304は、弁体302を弁座301に押圧シールするためのものであり高荷重(高反発力)のスプリングとなる。そのため、第1に、スプリング304が高荷重のものであるため、ハンドル305を回動させ2つの鋼球307の間隔を狭め主軸303を持ちあげるのに、非常に強いトルクを加える必要があるため問題となる。ハンドルと主軸の螺合している部分を増やし、ハンドルを多く回すことにより強いトルクを加えることができるが、流体制御弁が大型化するため、また問題となる。そのため、市場にあるものはスプリングで流体制御弁を開弁し、手動で閉弁(人間の力で閉弁)するタイプがほとんどである。
さらに、ハンドルを多く回すことにより閉弁又は開弁した場合、ハンドルの位置が定まらない。そのため、ハンドルの位置を確認することにより一見して流体制御弁の開閉状態を確認することが困難な場合がある。
【0006】
また、第2に、主軸303を2つの鋼球307が間隔を狭めて持ちあげるため、主軸303の強度も上げる必要がある。しかし、流体制御弁は樹脂製であるため強度を上げるためには流体制御弁を大型化してしまうという問題がある。また、樹脂製の流体制御弁はもともと金属に比べ強度が弱いために使用状況によっては破損しやすいという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は流体制御弁を開閉する際に必要なトルクを軽減できる流体制御弁の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における流体制御弁は、以下の構成を有する。
(1)第1ポートと第2ポートとを連通する流体の流路に形成された弁座と、前記弁座に当接又は離間して流体の流れを制御する弁体と、前記弁体と連結するピストンと、前記ピストンを前記弁体の開閉方向に移動させるノブとを有する流体制御弁において、前記ノブと前記ピストンの間に、前記ノブと連結するカム部材が介在していること、(1)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凹形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凸形状のピストン係合部が形成されていること、又は、(2)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凸形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凹形状のピストン係合部が形成されていること、のいずれか一つの組み合わせを有すること、を特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載する流体制御弁において、前記カム部材に前記カム面が2か所以上形成されていること、が好ましい。
(3)(1)又は(2)に記載する流体制御弁において、前記カム面は2以上の傾斜角度を有するテーパ面を有すること、が好ましい。
【0010】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか一つの流体制御弁において、前記流体制御弁は、前記ノブと前記カム部材が約90度回動することにより、前記弁座に前記弁体が当接又は離間すること、が好ましい。
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか一つの流体制御弁において、前記カム部材の前記当接端面に前記ピストンが閉方向にスライドした際に前記ピストン係合部と係合する当接端面係合部が形成されていること、が好ましい。
【0011】
(6)(1)乃至(5)に記載するいずれか一つの流体制御弁において、前記ノブは、前記カム部材が内蔵される弁本体の外形寸法よりも小さいこと、が好ましい。
(7)(1)乃至(6)に記載するいずれか一つの流体制御弁において、前記ピストンの移動を前記ノブによる駆動に代えて、モータ駆動又はシリンダ駆動を用いること、が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記流体制御弁の作用及び効果について説明する。
(1)第1ポートと第2ポートとを連通する流体の流路に形成された弁座と、前記弁座に当接又は離間して流体の流れを制御する弁体と、前記弁体と連結するピストンと、前記ピストンを前記弁体の開閉方向に移動させるノブとを有する流体制御弁において、前記ノブと前記ピストンの間に、前記ノブと連結するカム部材が介在していること、(1)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凹形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凸形状のピストン係合部が形成されていること、又は、(2)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凸形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凹形状のピストン係合部が形成されていること、のいずれか一つの組み合わせを有することにより、高荷重の第1付勢部材に対してカム部材を回動させる小さなトルクで圧縮することができ、小さなトルクで閉弁することができる。すなわち、カム部材の凹凸形状のカム面を利用しカム部材を回動させるトルクにより、ピストンに弁体が弁座に当接移動するための直線的な動きを与えることができる。
【0013】
また、カム面及びピストン係合部を使用し流体制御弁の開閉を行うことができるため、従来技術のように鋼球を使用する場合と比較して流体制御弁の強度を上げる必要がない。そのため、流体制御弁の素材を全て樹脂とすることができるため、流体制御弁の大型化を防止することができる。
また、作業者がノブとカム部材を少ない回動動作をするだけの簡単な一つの動作で流体制御弁を開閉することができるため、作業者は流体制御弁の開閉を容易にすることができる。
また、少ない回動動作をするだけの簡単な一つの動作で流体制御弁を開閉させることができるため、作動に必要なトルクを軽減することができる。
【0014】
(2)(1)に記載する作用及び効果の他、カム部材にカム面が2か所以上形成されていることにより、カム部材の傾きを抑制できる。また、2か所以上カム面を形成することにより、カム面に掛かる1か所当たりの負荷を軽減できるため作業者が容易に流体制御弁の開閉を行うことができる。すなわち、ピストンと当接するカム面に2か所以上形成されていることにより、カム部材が安定するためカム部材の傾きを抑制することができる。カム部材が安定することにより、弁体を均等のトルクで弁座に対して押圧することができる。そのため、弁体に対してシール力を均一に与えることができ、確実にシールすることができる。
また、カム面に掛かる1か所当たりの負荷を軽減できるため、カムの耐久性を向上させることができ、カムを有する流体制御弁の耐久性を向上させることができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載する作用及び効果の他、カム面は2以上の傾斜角度を有するテーパ面を有することにより、ノブに掛かるトルクを傾斜角度により変更することができる。トルクが掛からないノブの前半回動時において傾斜角度を急な角度とすることで、ノブに掛かるトルクは結果として小さくなる。また、トルクが掛かるノブの後半回転時の傾斜角度を緩やかな角度とすることで、ノブに掛かるトルクを小さくすることができる。よって、ノブを回転させるトルクを全体を通して小さくすることができる。
【0016】
(4)(1)乃至(3)に記載する作用効果の他、流体制御弁は、ノブとカム部材が約90度回動することにより、弁座に弁体が当接又は離間することができる。
約90度回動させるだけの簡単な一つの動作で流体制御弁を開閉させることができるため、作動に必要なトルクを軽減することができる。
また、約90度回動させることにより流体制御弁を開閉することができるので、ノブの向きを外観から見るだけで開状態か閉状態かを一見して認識することができる。一見して開閉状態を確認できるので、作業者の確認作業が容易になり、確認するためのコストを低減することができる。
(5)(1)乃至(4)に記載する作用効果の他、カム部材の当接端面にピストンが閉方向にスライドした際にピストン係合部と係合する当接端面係合部が形成されていること、により、流体制御弁を開状態又は閉状態で維持することができる。すなわち、ピストンのピストン係合部とカムの当接端面係合部が係合することにより、ピストンとカムは維持される。ピストンとカムが維持される状態を流体制御弁が全開状態又は全閉状態とすることで、流体制御弁を全開状態又は全閉状態で維持することができる。
【0017】
(6)(1)乃至(5)に記載する作用及び効果の他、ノブは、カム部材が内蔵される弁本体の外形寸法よりも小さいことにより、流体制御弁を小型化し、マニホールドにした場合省スペース化を図ることができる。すなわち、ノブを例えば約90度回動するだけで流体制御弁の開閉を行うことができるため、作業者がノブを回動するのに必要なトルクが小さくて済む。そのため、ノブを小型化することができ、流体制御弁を小型化することができる。
(7)(1)乃至(6)に記載する作用及び効果の他、ピストンの移動をノブによる駆動に代えて、モータ駆動又はシリンダ駆動を用いること、モータ又はシリンダの駆動力を小さくすることができる。そのため、モータ又はシリンダを小型化することができる。
さらに、駆動源をモータとした場合において、カム部材及びピストンを用いることで、操作トルクを軽減できる。したがって、駆動源をモータとした場合、小さな電力でモータを作動させることができるため省エネルギーとすることができる。また、シリンダを用いた場合も同様にエアの出力を小さくすることができるため省エネルギーとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の本実施例1に係る流体制御弁(全開時)の断面図である。
【図2】本発明の本実施例1に係る流体制御弁(動作時(1))の断面図である。
【図3】本発明の本実施例1に係る流体制御弁(動作時(2))の断面図である。
【図4】本発明の本実施例1に係る流体制御弁(全閉時)の断面図である。
【図5】本発明の本実施例1に係るカム部材の上面図である。
【図6】本発明の本実施例1に係る図5に示すカム部材をA方向から見た側面図である。
【図7】本発明の本実施例1に係るカム部材の下面図である。
【図8】本発明の本実施例1に係るカム部材の外観上方斜視図である。
【図9】本発明の本実施例1に係る図5に示すカム部材をB方向から見た側面図である。
【図10】本発明の本実施例1に係るカム部材の外観下方斜視図である。
【図11】本発明の本実施例1に係るピストンの上面図である。
【図12】本発明の本実施例2に係る流体制御弁(全開時)の断面図である。
【図13】本発明の本実施例2に係る流体制御弁(全閉時)の断面図である。
【図14】本発明の本実施例2に係るカム部材の上面図である。
【図15】本発明の本実施例2に係る図14に示すカム部材をC方向から見た側面図である。
【図16】本発明の本実施例2に係るカム部材の下面図である。
【図17】本発明の本実施例2に係るカム部材の外観上方斜視図である。
【図18】本発明の本実施例2に係るカム部材の外観下方斜視図である。
【図19】本発明の本実施例2に係るピストンの上面図である。
【図20】本発明の本実施例1及び2に係る流体制御弁(全開時)の上面図である。
【図21】本発明の本実施例1及び2に係る流体制御弁(全閉時)の上面図である。
【図22】従来技術に係る流体制御弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る流体制御弁の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
<流体制御弁の全体構成>
図1には、流体制御弁1(全開時)の断面図を示す。図2には、流体制御弁1(動作時(1))の断面図を示す。図3には、流体制御弁1(動作時(2))の断面図を示す。図4には、流体制御弁1(全閉時)の断面図を示す。
本実施形態においては、流体制御弁を手動弁として説明するが、駆動源を手動以外の電動、又はエア等とすることもできる。
【0021】
本実施の形態の流体制御弁1は、半導体製造装置の流体制御機器の一つとして用いられる。図1に示すように、流体制御弁1の弁本体2は、ボディ部3、シリンダ4、カバー5などを連結したものである。ボディ部3、シリンダ4、カバー5は、樹脂により構成されている。
ボディ部3には、第1ポート13と第2ポート14が形成され、それらを連通する弁室18内に弁孔17が設けられている。弁孔17の周縁部には、凸形状の弁座16が円周状に形成されている。
ダイアフラム弁体15は、その周縁部がボディ部3とシリンダ4との間で狭持され、中央部にピストン10の一端が螺設されている。
【0022】
<ピストンの構成>
ピストン10は、略円柱形状である図1に示す大円柱部102及び小円柱部103が接合することにより形成されている。大円柱部102はカム部材6側に形成され、小円柱部103は弁座16側に形成されている。またピストン10は、シリンダ4内に形成された略中空円筒部41に上下方向に摺動可能な状態で配置されている。ピストン10の小円柱部103の一端はダイアフラム弁体15と螺設され、大円柱部102はカム部材6と当接している。
ピストン10の大円柱部102のうち、カム部材6と当接する部分に凸形状のピストン係合部101が成形されている。ピストン係合部101は、先端部101Aを有する断面三角形状をなす。図11に、ピストン10の上面図を示す。図11に示すように、ピストン10のピストン係合部101は、ピストン10の上面の中心を横断するように形成されている。
さらに、図1のカム部材6と当接する面と反対の大円柱部102の面には、第2付勢部材12の一端が固定されている。第2付勢部材12の他端はシリンダ4に固定されている。したがって、ピストン10は第2付勢部材12によりノブ20方向に付勢された状態となる。そのため、ピストン10のピストン係合部101は、カム面62に当接した状態となる。
なお、本実施形態においてはピストン係合部101を凸形状としたが、カム面62を凸形状とした場合には、ピストン係合部101を凹形状とする。
【0023】
<カム部材の構成>
カム部材6の構成について説明する。
図5に、カム部材6の上面図を示す。図6に、図5に示すカム部材6をA方向から見た側面図を示す。図7に、カム部材6の下面図を示す。図8に、カム部材6の外観上方斜視図を示す。図9に、図5に示すカム部材6をB方向から見た側面図を示す。図10に、カム部材6の外観下方斜視図を示す。
【0024】
図1に示すように、カム部材6は、シリンダ4内に形成された略中空円筒部41内に回動可能な状態で配置されている。図8及び図10に示すように、カム部材6の形状は、略円筒形状である。また、カム部材6のうち円筒部下面はピストン10と当接する当接端面66であり、カム部材6のうち円筒部上面はノブ連結部材19と連結する連結端面65である。当接端面66と連結端面65は平行な面である。
【0025】
図8及び図10に示すように、当接端面66には、凹凸形状であるカム面62及びピストン10のピストン係合部101と係合する当接端面係合部63が形成されている。
カム面62は、底部621、摺動テーパ面622及び逃げ部テーパ面623を有する。底部621は、当接端面66から最も奥まった部分に形成されている。また、底部621から当接端面66へ向かってテーパ形状の摺動テーパ面622及び逃げ部テーパ面623が続いている。摺動テーパ面622は、ピストン10のピストン係合部101が当接しスライドする面である。他方逃げ部テーパ面623は、ピストン10のピストン係合部101と当接することはない面である。図9に示すように、摺動テーパ面622の当接端面66に対する角度αは、本実施形態においては約15度である。角度αを約15度と緩い角度にすることにより、ノブ20を回動させピストン10を下(弁閉)方向へ移動させるときのトルクを小さくすることができる。
なお、本実施形態においては角度αを約15度としたが、角度αは角度を緩くすることにより操作トルクを低減できるため、角度αはできるだけ小さい角度であることが好ましい。
【0026】
図9に示すように、当接端面係合部63は、摺動テーパ面622の続きに形成されている。当接端面係合部63はピストン10を係合固定するために形成されており、ピストン10が摺動テーパ面622へと戻らないように維持するためのものである。ピストン10のピストン係合部101が当接端面係合部63と係合することにより、流体制御弁1を図4に示す閉弁した状態で維持することができる。本実施形態においては閉弁状態で維持することとしたが、開弁状態において維持することもできる。
【0027】
図5に示すように、連結端面65の中心には、ノブ連結部材19が挿入される略四角形状の挿入孔61が形成されている。本実施形態においては略四角形状としたが、ノブ連結部材19と係合できる多角形状であればよい。
また、図1に示すように連結端面65には、第1付勢部材11の一端が係合されている。また、第1付勢部材11の他端は、ノブ連結部材19に形成されている付勢部材固定部191に係合されている。そのため、カム部材6は第1付勢部材11により弁座16方向へ付勢される。そのため、カム部材6はピストン10のピストン係合部101と当接した状態となる。図1においては、カム部材6は、シリンダ4内に形成された内筒段部42に当接した状態にあり、カム部材6は内筒段部42よりも下(弁閉)方向へは移動できない状態にある。
なお、本実施形態においてはカム面62を凹形状としたが、ピストン係合部101を凸形状とした場合には、カム面62を凸形状とする。
【0028】
<ノブの構成>
図20に、流体制御弁1(全開時)の上面図を示す。図21に、流体制御弁1(全閉時)の上面図を示す。
図1に示すように、流体制御弁1上端には、約90度回動可能なノブ20が形成されている。図20の状態からノブ20を約90度回動させることにより図21のノブ20の状態になる。ノブ20は、長軸Xと短軸Yを有する縦長の六角形形状である。ノブ20が六角形形状であることにより角部201が6か所に形成されている。角部201が6か所に形成されていることにより、作業者が手を滑らせることなくノブ20を回動させることができる。
【0029】
また、ノブ20は、図21に示すように長軸X及び短軸Yを有する縦長形状である。そのため、図20に示すように開弁状態にある場合は、ノブ20の長軸Xは、第1ポート13及び第2ポート14と同じライン上にある。また、図21の閉弁時にはノブ20の長軸Xは、第1ポート13及び第2ポート14と垂直のライン上にある。したがって、閉弁時と開弁時のノブ20の位置が異なることが外観上一見して認識することができる。そのため、作業者は一目で流体制御弁1の開閉状態を認識することができるため、確認作業の時間を短縮することができ、確認作業に係るコストを低減することができる。
【0030】
また、ノブ20の長軸Xにより約90度回動させるだけのトルクは小さくて流体制御弁1の開弁及び閉弁することができるので、作業者の力が小さくて済む。そのため、ノブ20を小型化することができる。
ノブ20を小型化することができることにより、例えば図示しないが、ノブ20の長軸X及び短軸Yをカム部材6が内蔵される弁本体2の外形寸法よりも小さくすることができる。ノブ20を弁本体2の外形寸法よりも小さくすることで、開弁状態及び閉弁状態のどちらにおいても弁本体2の投影面積からはみ出すことがない。そのため、流体制御弁1を小型化することができる。流体制御弁1を小型化することができることにより、マニホールド(連設)にした場合省スペース化を図ることができる。
【0031】
図1に示すように、ノブ20の中心部に、ノブ連結部材19の上端が固定連結されている。ノブ連結部材19は略円筒形状である。ノブ連結部材19は、ノブ20の中心部に固定連結されており、さらに略円筒形状であるため、ノブ20を回動させた場合、ノブ連結部材19はノブ20に連動して回動する。ノブ連結部材19は、カバー5内の中空部51内に回動可能な状態で配置されている。ノブ連結部材19の下端の形状は四角形形状である。ノブ連結部材19の下端は、カム部材6の中心に形成された挿入孔61に挿入されている。本実施形態においては四角形形状としたが、カム6の挿入孔61の多角形形状に合わせた形状とすることにより、ノブ連結部材19とカム6を連動して回動することができる。ノブ連結部材19の円筒側面には円周状に付勢部材固定部191が形成されており、第1付勢部材11の一端は付勢部材固定部191に係合されている。また、第1付勢部材11の他端はカム部材6の連結端面65に係合されている。
【0032】
第1付勢部材11の付勢力は、ピストン10に固定されたダイアフラム弁体15を弁座16に押圧するためのものである。第2付勢部材12の付勢力はピストン10をカム部材6に押圧させるためのものである。第1付勢部材11は、図1中下方にある第2付勢部材12の付勢力に打ち勝ちダイアフラム弁体15を弁座16に押圧させる。そのため、第1付勢部材11の付勢力は、第2付勢部材12の付勢力よりも大きい。なお、第1付勢部材11及び第2付勢部材12は、本実施形態においては弾性力を有する金属バネ部材を使用している。
【0033】
<流体制御弁の作用効果>
図1の流体制御弁1は開弁状態にある。そのため、第1ポート13から流入した流体は、弁孔17、弁室18を通り、第2ポート14へと流出する。第2ポート14への出力を停止する場合には、図1に示す流体制御弁1のノブ20を約90度回動させ、図4に示す閉弁状態にする。図4の閉弁状態となることにより、弁座16に対してダイアフラム弁体15が当接した状態になるため、第1ポート13から流入した流体は、弁孔17を通ることができないため、第2ポート14へ流体は流入しない。
【0034】
図1の流体制御弁1の全開状態から、図4の流体制御弁1の全閉状態への変化について図1乃至図4を用いて詳細に説明する。
【0035】
<全開状態>
図1に示す流体制御弁1が全開状態にあるとき、ピストン10のピストン係合部101がカム部材6のカム面62のうち当接端面66から最も奥まった部分である底部621と当接している。ピストン係合部101とカム面62の底部621が当接することにより、ピストン10とカム部材6は最も係合安定した位置になる。そのため、ピストン10を付勢する第2付勢部材12も最も伸びた状態にあり、第2付勢部材12により付勢されているピストン10は最も上がった位置(弁座から離れた位置)になる。
また、カム部材6を付勢する第1付勢部材11は最も伸びた状態にあり、第1付勢部材11により付勢されているカム部材6は最も下がった位置になる。そのため、図1においては、カム部材6は、シリンダ4内に形成された内筒段部42に当接した状態にあり、カム部材6は内筒段部42よりも下(弁閉)方向へは移動できない状態にある。カム部材6は内筒段部42に当接した状態にあり、さらに、ピストン10のピストン係合部101がカム面62の底部621と当接した状態にあるため、第1付勢部材11の付勢力はピストン10に伝達されていない。したがって、ピストン10がカム部材6により押圧され弁座16方向へ移動することがないため、ダイアフラム弁体15は弁座16から離間した状態にある。よって、流体制御弁1は全開状態にある。
【0036】
<全閉状態への移行>
図2に示す流体制御弁1は、全開状態から全閉状態へ移行し弁座16とダイアフラム弁体15が当接し始めたときである。具体的には、図2に示すようにノブ20が、本実施形態においては、図中右回りに約70度回動する。それに伴い、ノブ20に固設されたノブ連結部材19が回動し、係合するカム部材6も同様に約70度回動した状態になる。
【0037】
第1に、図1に示す状態からノブ20が回動し始めると、図2に示すようにピストン10は、カム部材6の摺動テーパ面621に沿って押圧され弁座16方向へ移動する。図2に示すように、ノブ20を約70度回動させた状態においては、ピストン10に螺設されたダイアフラム弁体15は、弁座16に当接し始めた状態となる。図2では、第1付勢部材11の付勢力が第2付勢部材12の付勢力よりも勝っているため、第2付勢部材12は付勢され縮んだ状態になりピストン10が弁座16方向へと押圧される。図2では、第1付勢部材11はほぼ伸びきった状態になるため、カム部材6の位置もほとんど図1に示す状態と変化はない。
【0038】
第2に、図2に示す状態からノブ20をさらに回動させ、図3のノブ20が約87度回動させた状態にする。ノブ20及びカム部材6が約87度回動した状態において、ピストン係合部101は、当接端面係合部63に係合される直前の状態である。図2に示す状態においては、ピストン10はダイアフラム弁体15を介して弁座16に当接した状態にあるためピストン10の位置はほとんど変わらない。他方、ノブ20を図2の状態から図3の状態に回動させると、カム部材6はピストン10に押圧されてノブ20方向へ移動する。
【0039】
すなわち、カム部材6が図2の状態から図3の状態にさらに回動されると、ピストン係合部101が摺動テーパ面622を押圧しながら底部621から当接端面66方向へと移動する。ピストン係合部101が当接端面66方向へ移動することにより、カム部材6はピストン10により押し上げられノブ20方向へカム部材6は移動する。カム部材6がノブ20方向へ移動するとき第1付勢部材11はピストン10の押圧力により圧縮された状態となる。
第1付勢部材11は、本実施形態においては図2に示す約70度以上ノブ20を回動させ弁閉状態に近づく場合にのみ圧縮される構造を取る。それにより、ノブ20を約70度回動させた後から高荷重である第1付勢部材11を圧縮すればよい。そのため、大きなトルクが必要となるのは、ノブ20が約70度回動した後からだけとなる。したがって、操作トルクが必要となる範囲を軽減することができるため、作業者の力は小さくて済み作業性をさらに向上させることができる。
【0040】
本実施形態においては約70度以上ノブ20を回動させた場合にのみ第1付勢部材11が圧縮される構造としたが、変形例としてノブ20の回動が約90度に近い状態において第1付勢部材11が圧縮される構造とすることができる。それにより、さらに操作トルクが必要となる範囲を軽減することができる。変形例においては、ノブ20の回動が閉弁状態に近い約90度に近いほど第1付勢部材11が圧縮する構造とするのが好ましい。
【0041】
第3に、図3に示す状態からノブ20をさらに回動させ、図4の約90度回動させた状態にする。図4に示すように、ノブ20及びカム部材6が約90度回動した状態において、ピストン係合部101は、当接端面係合部63に係合された状態となる。図4に示す状態においては第1付勢部材11がカム部材6を押圧し、ピストン10を弁座16方向へと押圧する。そのため、第1付勢部材11の荷重によりダイアフラム弁体15を弁座16に対して押圧することができ安定したシール力を維持することができる。
また、ピストン係合部101が当接端面係合部63に係合された状態にあるため、図4に示す全閉状態で維持することができる。すわなち、ピストン係合部101と当接端面係合部63が係合することにより、ピストン10及びカム部材6は図4に示す位置から移動することができないため閉弁状態で維持することができる。
また、ノブ20とカム部材6が約90度回動することにより、弁座16とダイアフラム弁体15が当接又は離間できる。すなわち、作業者がノブ20を約90度回動させるだけの簡単な一つの動作で流体制御弁を開閉することができるため、流体制御弁1の開閉を容易にすることができる。さらに、約90度回動させるだけの簡単な一つの動作で流体制御弁1を開閉させることができるため、作動に必要なトルクを軽減することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図12及び図13に示す第2実施形態に係る流体制御弁200は、図1乃至図4に示す第1実施形態に係る流体制御弁1と比較して、カム部材及びピストンの形状以外異なるところがない。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なるカム部材206及びピストン210について説明することにより、その他の詳細な説明を割愛する。
なお、第2実施形態ではその他の流体制御弁200の詳細な説明を割愛するが、第1実施形態の流体制御弁1と同様の作用、及び効果を有する。
【0043】
<流体制御弁の全体構成>
図12には、流体制御弁200(全開時)の断面図を示す。図13には、流体制御弁200(全閉時)の断面図を示す。
本実施形態においては、流体制御弁200を手動弁として説明するが、駆動源を手動以外の電動、又はエア等とすることもできる。
【0044】
<ピストンの構成>
図19に、ピストン210の上面図を示す。
第2実施形態におけるピストン210は、第1実施形態におけるピストン10と比較して、ピストン係合部211の個数が異なる。すわなち、第1実施形態のピストン10のピストン係合部101は外周に対して2か所に表れていたが、第2実施形態のピストン210におけるピストン係合部211は外周に対して4か所に表れている。図19に示すように、ピストン210の上面の中心を横断交差するように2本のピストン係合部211が形成されている。ピストン210のピストン係合部211は外周面に対して4か所、90度間隔で形成される。
【0045】
<カム部材の構成>
カム部材206の構成について説明する。
図14に、カム部材206の上面図を示す。図15に、図14に示すカム部材206をC方向から見た側面図を示す。図16に、カム部材206の下面図を示す。図17に、カム部材206の外観上方斜視図を示す。図18に、カム部材206の外観下方斜視図を示す。
【0046】
第2実施形態におけるカム部材206は、第1実施形態におけるカム部材6と比較して、当接端面係合部263の個数、及びカム面250の形状及び個数が異なる。
すわなち、当接端面係合部263は、図16に示すようにカム部材206のうち円筒部下面である当接端面266に対して、90度間隔に均等に形成されている。当接端面係合部263は、90度間隔に形成されているため全周にわたり4か所に形成される。
【0047】
図15及び図16に示すように、カム面250は、底部251、摺動テーパ面252、逃げ部テーパ面253、及び連結テーパ面254を有する。カム面250は当接端面266に対して、90度間隔に均等に形成されている。カム面250は、90度間隔に形成されているため全周にわたり4か所に形成されている。
【0048】
図15に示すように、底部251は、当接端面266から最も奥まった部分に形成されている。また、底部251から当接端面266へ向かってテーパ形状の逃げ部テーパ面253及び連結テーパ面254の一端が連結している。連結テーパ面254の他端は摺動テーパ面252に連結している。摺動テーパ面252の他端は当接端面266に連結している。
連結テーパ面254及び摺動テーパ面252は、ピストン210のピストン係合部211が当接しスライドする面である。他方逃げ部テーパ面253は、ピストン210のピストン係合部211と当接することはない面である。
【0049】
図15に示すように、摺動テーパ面252の当接端面266に対する角度βは、約15度である。角度βを約15度と緩い角度にすることにより、ノブ220を回動させピストン210を下(弁閉)方向へ移動させるときのトルクを小さくすることができる。すなわち、第1付勢部材211を圧縮する範囲を緩い角度とすることができることにより、トルクの掛かりを小さくすることができるためである。それにより、操作トルクが軽減することができ操作性を高めることができる。特に、第2実施形態のように2か所以上にカム面を形成する場合には、連結テーパ面254が形成されていても、第1付勢部材211を圧縮する範囲において約15度の摺動テーパ面252を形成することができれば、トルクの掛かりを小さくすることができる。
【0050】
また、連結テーパ面254の当接端面266に対する角度θは、約40度である。ピストン係合部211が連結テーパ面254をスライドするのは、ノブ220が約70度回転するまでの間である。ノブ220が約70度回転するまでの間は、ダイアフラム弁体15が弁座16に当接し始めるまでの時間である。ダイアフラム弁体15が弁座16に当接し始めるまでは、第1付勢部材11の付勢力が第2付勢部材12の付勢力よりも勝っているため、トルクは小さくて済む。そのため、連結テーパ面254の当接端面266に対する角度θが約40度の急角度であっても、作業者がノブ220に掛けるトルクは小さくて済む。 本実施形態において角度βを約15度と緩い角度にすることができたのは、カム部材206の円筒部外周にカム面250を形成したことによる。円筒部外周にカム面250を形成することで距離を取ることができるため角度を緩くすることができるためである。また、連結テーパ面254の角度θを急角度にしたことによる。
【0051】
<流体制御弁の作用効果>
第2実施形態における流体制御弁200は、第1実施形態における流体制御弁1と同一の作用効果を有する他、以下の特有の作用効果を有する。
流体制御弁200は、図12に示す開弁状態から図13に示す閉弁状態に移動する際、ノブ220を回動させることにより、カム部材206を同様に回動させる。カム部材206が回動することによりカム部材206のカム面250と当接するピストン210が移動する。流体制御弁200においてはカム面250とピストン210のピストン係合部211は全周にわたり4か所で当接する。そのため、ピストン210が弁座216方向へ移動する際に、4か所のピストン係合部211が4か所のカム面250に押圧されることにより移動する。ピストン210のうち均等に90度間隔で形成された4か所のピストン係合部211が押圧されることによりピストン210は平行移動することができる。そのため、ピストン210に螺設されたダイアフラム弁体215も均等のトルクで押圧され平行移動することができるため、弁座216に対して均等のトルクで押圧する。したがって、弁座216に対してダイアフラム弁体215を確実にシールすることができる。また、4か所で押圧されることによりカム部材206の傾きを防止することができる。
【0052】
また、カム面250は傾斜角度βを有する摺動テーパ面252及び連結テーパ面254を有する。そのため、ノブ220を約70度回動させるまでは、ピストン係合部211が連結テーパ面254をスライドする。連結テーパ面254をスライドする場合、ダイアフラム弁体15が弁座16に当接し始めるまでは、第1付勢部材11の付勢力が第2付勢部材12の付勢力よりも勝っているため、ノブ220が加えるトルクは小さくて済む。そのため、連結テーパ面254の当接端面266に対する角度θが約40度の急角度であっても、作業者がノブ220に掛けるトルクは小さくて済む。他方、ノブ220を約70度以上回動させると、ピストン係合部211は、摺動テーパ面252をスライドする。摺動テーパ面252は、第1付勢部材211を圧縮する範囲であり、その範囲を緩い角度とすることができるため、トルクの掛かりを小さくすることができる。それにより、操作トルクを軽減することができ操作性を高めることができる。
したがって、カム面250を2以上の傾斜角度を有するテーパ面とすることにより、ノブ220に掛かるトルクを傾斜角度により変更することができる。本実施形態においては、トルクが掛からないノブ220を約70度回動させるまでの傾斜角度を急な角度とすることで、ノブ220に掛かるトルクは結果として小さくなる。また、トルクが掛かるノブ220を約70度以上回動させたときの傾斜角度を緩やかな角度とすることにより、ノブ220に掛かるトルクを小さくすることができる。よって、ノブ220を回転させるトルクを全体を通して小さくすることができる。
なお、実施形態により角度β及び角度θは変更することが可能である。角度β及び角度θを変更することにより、ノブに掛かるトルクを変更することができる。
【0053】
また、カム面250を4か所に形成することにより、ピストン210を押圧するための1か所の負荷が軽減される。カム面250を4か所に形成することにより、カム面250に掛かる1か所当たりの負荷を軽減できるため作業者が容易に流体制御弁1の開閉を行うことができる。すなわち、ピストン210と当接するカム面250が外周に4か所形成されていることにより、カム部材206が安定するためカム部材206の傾きを抑制することができる。カム部材206が安定することにより、弁体15を均等のトルクで弁座16に対して押圧することができる。そのため、弁体15に対してシール力を均一に与えることができ、確実にシールすることができる。
また、カム面205に掛かる1か所当たりの負荷を軽減できるため、カム部材206の耐久性を向上させることができ、カム部材206を有する流体制御弁1の耐久性を向上させることができる。
【0054】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、流体制御弁を手動弁として駆動源をノブを回動させる手動としたが、手動弁のほか駆動源を電動、又はシリンダ等によることができる。例えば、変形例として駆動源を電動とした場合、上記実施例のカム部材及びピストンを用いれば、操作トルクを軽減できる。したがって、駆動源を電動とした場合、小さな電力でモータを作動させることができるため省エネルギーとすることができる。また、エアシリンダを用いた場合も同様にエアの出力を小さくすることができるため省エネルギーとすることができる。また、駆動源を電動又はシリンダとした場合には、手動弁ではないため、ノブに代えてモータ又はシリンダに変える。
【0055】
例えば、本実施形態においてはカム部材6に形成するカムを2か所または4か所形成することを記載したが、カムは1か所又は3か所であってもよい。1か所である場合には、ピストンを動かすためにカムが当接するのが1か所となり作業者の力が必要になる。2か所以上で当接することによりカムがピストンに与える押圧力を分散することができるため、作業者の力が少なくて済む。また、ピストンを動かすためカムに当接するのが1か所となると均等なトルクでピストンを押圧することができない。ピストンを均等なトルクで押圧できないと、弁体が弁座に対して均等なトルクで押圧できず弁座全周に対して均一にシールすることができない。そのため、2か所以上のカムが必要となる。
【0056】
例えば、本実施形態においてノブ20の形状を六角形形状としたがノブ20の形状は、弁本体2の投影面積の中に収まる形状であり、かつ、縦長の形状のものであればどのような形状であってもよい。例えば、楕円形状、長方形形状、多角形形状であってもよい。
【0057】
例えば、本実施形態においてカム部材に当接端面係合部を形成し、ピストンに凸部を形成し、凸部と当接端面係合部が係合することにより流体制御弁を開弁状態又は閉弁状態で維持することができることとしたが、構成を逆としても同様の作用効果を有する。すなわち、当接端面係合部をピストンに形成し、カム部材に凸部を形成しても同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
例えば、本実施形態においては、カム面はカム部材の外周に2か所以上形成されていることとしたが、カム面は設計条件によっては外周以外の例えば、内周に形成することもできる。なお、カム面がカム部材の外周に位置することにより、カム面とピストンの当接部を外周に持ってくることができるためカムを安定させることができる。
【0059】
例えば、本実施形態においては、流体制御弁は、ノブとカム部材が約90度回動することにより、弁を開閉することができることとしたが、ノブとカム部材の回動角度は設計により変更することができる。すなわち、ノブとカム部材の回動角度は、摺動テーパ面の傾斜角度により決定される。傾斜角度が大きくなることによりノブとカム部材の回動する回動角度が小さくなり、傾斜角度が小さくなることによりノブとカム部材の回動する回動角度が大きくなる。よって、傾斜角度の設計を変更することによりノブとカム部材の回動角度を変更することができる。なお、傾斜角度の設計変更は、流体制御弁に用いる付勢部材により、操作トルクの掛かり具合が変わるため付勢部材により変更する。
【符号の説明】
【0060】
1、200 流体制御弁
6、206 カム部材
62、250 カム面
63、263 当接端面係合部
10、210 ピストン
11、211 第1付勢部材
12、212 第2付勢部材
13、213 第1ポート
14、214 第2ポート
15、215 ダイアフラム弁体
16、216 弁座
20、220 ノブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポートと第2ポートとを連通する流体の流路に形成された弁座と、前記弁座に当接又は離間して流体の流れを制御する弁体と、前記弁体と連結するピストンと、前記ピストンを前記弁体の開閉方向に移動させるノブとを有する流体制御弁において、
前記ノブと前記ピストンの間に、前記ノブと連結するカム部材が介在していること、
(1)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凹形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凸形状のピストン係合部が形成されていること、又は、(2)前記カム部材の前記ピストンと当接する当接端面に、凸形状のカム面が形成されていること、及び、前記ピストンの前記カム面と当接する部分に凹形状のピストン係合部が形成されていること、のいずれか一つの組み合わせを有すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載する流体制御弁において、
前記カム部材に前記カム面が2か所以上形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する流体制御弁において、
前記カム面は2以上の傾斜角度を有するテーパ面を有すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載するいずれか一つの流体制御弁において、 前記流体制御弁は、前記ノブと前記カム部材が約90度回動することにより、前記弁座に前記弁体が当接又は離間すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載するいずれか一つの流体制御弁において、
前記カム部材の前記当接端面に前記ピストンが閉方向にスライドした際に前記ピストン係合部と係合する当接端面係合部が形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載するいずれか一つの流体制御弁において、
前記ノブは、前記カム部材が内蔵される弁本体の外形寸法よりも小さいこと、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6に記載するいずれか一つの流体制御弁において、
前記ピストンの移動を前記ノブによる駆動に代えて、モータ駆動又はシリンダ駆動を用いること、
を特徴とする流体制御弁。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−229755(P2012−229755A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98743(P2011−98743)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】