流体噴射ローラ及びその製造方法
【課題】
流体噴射ローラ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
シリンダー状の表面を有するローラ体とそのローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成された流体噴射ローラにおいて、ローラ体の内部に流体が流入される流体空間が備えられ、この流体空間に流入された流体がローラ体の表面へ噴射されるようにローラ体の表面には流体空間に結ばれる噴出口が形成される。これにより、シリンダー状のローラの表面から流体が噴射されローラ表面と製品表面との間の接触圧を低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、これは製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れることに繋がる。
流体噴射ローラ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
シリンダー状の表面を有するローラ体とそのローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成された流体噴射ローラにおいて、ローラ体の内部に流体が流入される流体空間が備えられ、この流体空間に流入された流体がローラ体の表面へ噴射されるようにローラ体の表面には流体空間に結ばれる噴出口が形成される。これにより、シリンダー状のローラの表面から流体が噴射されローラ表面と製品表面との間の接触圧を低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、これは製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れることに繋がる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体噴射ローラ及びその製造方法に係り、特にシリンダー状のローラの表面に流体が噴射されてローラ表面と製品表面との間の接触圧が低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との間の摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、これにより製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れる流体噴射ローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品を生産する生産ラインでは、多数の搬送用ローラを一定間隔に配置して、板状の製品を搬送させている。特に、鋼板、ガラス、LCDパネル、繊維、紙類のように広幅の製品はシリンダー状のローラの表面に接触支持されて搬送される。この際、搬送される製品はその表面がローラの表面に接触されるが、接触によって製品が損傷されたり、ローラが損傷される問題が発生するのみならず、これは結局製品やローラの損傷を防止するため、製品の搬送速度をアップさせるのに限界がある。
【0003】
例えば、鋼板の生産工程中、圧延による鋼板を生産する生産ラインでは、搬送される鋼板がローラとの接触によって鋼板の表面にスクラッチが発生するか、異物が付いて鋼板の不良を引き起こす。
【0004】
また、搬送される鋼板は、場合によって極めて高温の状態であることから、その鋼板に接するローラは熱化して損傷する場合があり、鋼板の表面についていた水、酸(ACID)、アルカリ(ALKALI)溶液のような異物によりローラが損傷する。さらに、鋼板の搬送中にローラに付いていた異物を、再びそのローラに接触する鋼板につけてしまう問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的はシリンダー状のローラの表面に流体が噴射されローラ表面と製品表面との間の接触圧が低下されたり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、結局製品の搬送速度のアップにより生産性を向上させることのできる流体噴射ローラ及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述したような目的を達成するために、本発明に係る流体噴射ローラは、シリンダー状の表面を有するローラ体と、該ローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成される流体噴射ローラにおいて、前記軸体は長手方向に延びた流体通路が形成され、前記ローラ体は内部に前記流体が流入されうるように前記流体通路に連通される流体空間が設けられ、前記流体空間に流入された流体が外周面に噴射されるように外周面には前記流体空間に連通された多数の噴出口が形成される。
【0007】
前記ローラ体は気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブの外面が前記ローラ体の表面をなし、焼結成形で形成された前記気孔が前記ローラ体の噴出口であることが望ましい。
【0008】
前記焼結チューブは青銅粉末または青銅合金粉末で焼結成形される。
【0009】
一方、本発明の他の実施形態に係る前記ローラ体は、シリンダー状に形成されて内面と外面とを貫通する複数の噴出路が形成された補強チューブと、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されてその内面と前記補強チューブの外面とが接触するように内部に前記補強チューブが挿入され、前記補強チューブの外側に結合された焼結チューブが備えられて構成され、前記焼結チューブの外面がローラ体の表面をなし、前記補強チューブの噴出路と前記焼結チューブの気孔がローラ体の噴出口であることが望ましい。
【0010】
前記焼結チューブは、前記補強チューブが金型に位置したまま、その補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形される。
【0011】
前記補強チューブの噴出路には焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材が挿入され、前記焼結チューブは前記噴出路塞ぎ部材が噴出路に挿入された補強チューブが金型に位置したまま、補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形される。
【0012】
前記噴出路塞ぎ部材は前記補強チューブの外面に突出する突出部を有するのが望ましい。
【0013】
一方、本発明の実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法は、内部に流体が流入される流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される多数の噴出口が形成できるように外周面が焼結粉末で焼結成形されたローラ体を製造するローラ体製造段階と、前記ローラ体の両側端に設けられ、内部に前記流体空間に連通される流体通路が設けられ、一側には前記流体通路に流体が注入可能になるよう入口が形成された軸体を製造する軸体製造段階と、焼結成形された前記ローラ体の外周面を旋削または研削で加工する表面加工段階と、旋削または研削により前記ローラ体の表面に形成されたバリ(burr)を除去する表面処理段階とを含む。
【0014】
前記ローラ体の製造段階は、内部に前記流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される複数の噴出路が形成された補強チューブを製造する補強チューブ製造段階と、前記補強チューブの外周面を包むように焼結チューブを製造し、前記焼結チューブの外周面に多数の気孔が形成できるように焼結金属で焼結成形して前記焼結チューブを製造する焼結チューブ製造段階とを含むのが望ましい。
【0015】
前記表面処理段階は酸(acid)成分の金属表面処理剤を使って前記バリを除去する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明に係る流体噴射ローラ及びその製造方法によれば、シリンダー状のローラの表面に流体が噴射され、ローラ表面と製品表面との接触圧が低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、結局製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れる長所を有する。
【0017】
特に、本発明に係る流体噴射ローラ及びその製造方法は、ローラの外部を気孔を有するように焼結成形された焼結チューブで形成することによって、流体がローラの表面に均一に噴出されるようにすることによって、製品とローラの表面との間に均一に空気層が形成される長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの部分拡大断面斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの部分拡大断面斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【図10】40〜60メッシュの青銅粉末でシリンダー状に焼結させた焼結チューブから分離された試片を示した写真である。
【図11】図12から分離された試片の組織を示した写真である。
【図12】40〜60メッシュ及び80〜100メッシュの青銅粉末を用いてディスク状に作製された試片の磨耗率を測定した状態の写真である。
【図13】スチールディスク試片の磨耗率を測定した状態の写真である。
【図14】本発明に係る流体噴射ローラの焼結チューブを製造する過程を示した流れ図である。
【図15】第3実施形態に係る流体噴射ローラが亜鉛メッキ鋼板の製造ラインに適用された例を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面に基づき本発明に係る流体噴射ローラをさらに詳述する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【0021】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラ1は、シリンダー状の表面を有するローラ体11と、該ローラ体11の両側端に備えられた軸体12とから構成される。
【0022】
前記ローラ体11は、製品と共に搬送される物体が保持されるための外面を有するシリンダー状の構成である。前記ローラ体11の内部には空気や水のような流体が流入されるための流体空間113が形成されるが、その流体空間113はシリンダー状のチューブ111の両側端がディスク112と結合され、そのチューブ111とディスク112で取り囲まれた内部に形成される。前記ローラ体11の内部流体空間113に流入された流体がローラ体11の表面へ噴射されるように、前記ローラ体11の表面には前記流体空間113と連通した噴出口114が形成される。前記噴出口114はシリンダー状のローラ体11に細かい孔を開けて形成される。前記ローラ体11の内部流体空間113に流入されて噴出口114に噴出される流体(fluid)としては、空気のような気体や水のような液体が利用でき、通常製品とローラとの摩擦を低減し、適宜な冷却の目的を達成できるのみならず、利用による費用が安価になるので、流体としては空気が利用される場合が望ましい。
【0023】
前記軸体12は、ローラ体11が回転自在に軸支持されるように所定の軸保持部(例えば、軸受)に保持されるための構成である。図面を参照すれば、前記軸体12は前記ローラ体11の両側端にディスク112の中央から軸方向に突設され、前記ローラ体11の内部流体空間113に延設される。 前記軸体12には外部の流体供給手段(例えば、エアポンプ)から供給される流体が前記ローラ体11の内部流体空間113に流れるための流体通路121が形成される。前記流体通路121は前記軸体12の一側末端に形成された入口121aから前記ローラ体11の内部流体空間113に延びた部分まで延長されて、その内部流体空間113の位置に流体が排出されるように形成された出口121bに結ばれる。
【0024】
図2は本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【0025】
図2を参照すれば、本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は、第1実施形態と同様に、シリンダー状の表面を有し、内部に流体空間213を有するローラ体21と、該ローラ体21の両側端に備えられた軸体22とから構成される。但し、第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は第1実施形態とは違って、前記ローラ体21が焼結粉末を焼結して焼結成形された焼結チューブ211によって形成されたことを特徴とする。従って、以下では第2実施形態が有する主な特徴だけを説明することとする。
【0026】
第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は、前記ローラ体21が焼結粒子(P)の間に気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブ211の外面がローラ体21の表面をなし、焼結成形で形成された気孔がローラ体21の噴出口214であることを特徴とする。前記焼結チューブ211には焼結過程で噴出口214に該当する気孔が形成されるので、該ローラ体21の製造を容易にするのみならず、気孔が表面全体に亘って分布することから、前記ローラ体21の製造を容易にする。また、気孔が表面全体に亘って分布するので、前記ローラ体21の製造を容易にするのみならず、気孔が表面全体に亘って分布するので、前記ローラ体21の内部から流体がローラ体21の表面全体に亘って均一に噴射される効果を奏する。一方、前記焼結チューブ211の両側端はディスク212と結合され、焼結チューブ211の内部に流体空間213が形成される。
【0027】
図3は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図であり、図4は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図であり、図5は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラに対する部分断面斜視図であり、図6は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【0028】
図3ないし図5を参照すれば、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は第1実施形態及び第2実施形態と同様に、シリンダー状の表面を有し、内部に流体空間314を有するローラ体31と、該ローラ体31の両側端に備えられた軸体32とから構成される。
【0029】
但し、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は、第1実施形態及び第2実施形態とは違って、前記ローラ体31が補強チューブ311と焼結チューブ312との2重に形成されたことを特徴とする。従って、以下では第3実施形態の有する主な特徴だけを説明することとする。
【0030】
前記補強チューブ311はローラ体31の強度を補強するための構成であって、スチールのような剛性に優れた材質の素材でシリンダー状に形成される。前記補強チューブ311にはその補強チューブ311の内部に形成された流体空間314から流体が排出されるための複数の噴出路315aが内面から外面に貫通するように形成される。前記補強チューブ311の両側端にはディスク313が結合され、そのディスク313と補強チューブ311により取り囲まれてローラ体31の内部流体空間314が形成される。
【0031】
前記焼結チューブ312は、前記補強チューブ311の噴出路315aを通じて排出された流体をローラ体31の表面に均一に噴出されるようにするための構成であって、前記補強チューブ311の外部に結合される。図面を参照すれば、前記焼結チューブ312は焼結粒子(P)の間に気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されて、その内面と前記補強チューブ311の外面が接触されるように内部に前記補強チューブ311が挿入された前記補強チューブの外側に結合される。前述したように、補強チューブ311の外側に結合された焼結チューブ312の外面がローラ体31の表面をなし、前記補強チューブ311の噴出路315aと前記焼結チューブ312の気孔315bは、前記ローラ体31の内部流体空間314から空気が噴出されるためのローラ体31の噴出口315a及び315bになる。
【0032】
一方、前記補強チューブ311と焼結チューブ312との結合は、補強チューブ311を前記焼結チューブ312の内部に押し込んで行われ、図6はこれを示した図である。
【0033】
一方、図7は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図であり、図8は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラに対する部分拡大断面斜視図であり、図9は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【0034】
図7及び図8を参照すれば、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は第3実施形態と同様に、シリンダー状の表面をなし、内部に流体空間414を有するローラ体41と、該ローラ体41の両側端に備えられたディスク413に結合された軸体42とから構成され、前記ローラ体41も補強チューブ411と焼結チューブ412の2重に形成されることを特徴とする。また、第3実施形態と同様に、補強チューブ411の外側に結合された焼結チューブ412の外面がローラ体41の表面をなし、前記補強チューブ411の噴出路415aと前記焼結チューブ412の気孔415bは前記ローラ体41の内部流体空間414から空気が噴出されるためのローラ体41の噴出口415a及び415bになる。
【0035】
但し、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は、第3実施形態とは違って、前記補強チューブ411の噴出路415aに焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材416が挿入されることを特徴とする。特に、前記噴出路塞ぎ部材416は挿入部416aが前記噴出路415aに挿入され、突出部416bが前記補強チューブ411の外面に突出されて、その突出部416bが焼結チューブ412と噛み合って、焼結チューブ412と補強チューブ411との間の軸方向及び円周方向の滑りを防止できるようになる。
【0036】
前述したように、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は、前記補強チューブ311と焼結チューブ312との結合が押込の方法で行われるが、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は補強チューブ411を金型として用いて焼結チューブ412を焼結成形させることによって形成される。焼結成形過程で補強チューブ411と焼結チューブ412との結合が行われるようにして製造される。すなわち、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は前記補強チューブ411が金型の一部の機能を果たすように、金型に位置したままその補強チューブ411の外面に焼結チューブ412が結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形させる過程で、焼結チューブ412が補強チューブ411の外面に結合されるようにする方法によって製造される。前記噴出路塞ぎ部材416は、焼結粉末が補強チューブ411の噴出路415aに漏れないようにする役割をする。特に、前記噴出路塞ぎ部材416の突出部416bが前記補強チューブ411の外面に突出されている場合は、前述したように、補強チューブ411を金型として焼結チューブを成形させることが望ましい。図9は前述したように補強チューブ411を金型の一部として用いて 焼結チューブ412を焼結成形させてローラ体41を製造する過程を図式的に示した図である。図9を参照すれば、補強チューブ411の噴出路415aに噴出路塞ぎ部材416が挿入されたまま、その補強チューブ411の外面に直接に焼結チューブ412が焼結成形される。
【0037】
一方、第2実施形態ないし第4実施形態は、共通的に焼結チューブ211、312、412が焼結粉末で気孔を有するように焼結成形されたことを特徴とするが、本発明では流体が噴出されるための気孔による通気性及び製品が表面に接するので、機械的/化学的性質に優れたものが望ましい。
【0038】
図10は焼結粉末で40〜60メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いて、通常の焼結方法でシリンダー状に焼結させた焼結チューブから分離された試片を示した写真であり、図11は図10から分離された試片の組織を示した写真である。一方、表1は図10及び図11の試片の充填率を纏めたものであって、表1を参照すれば、青銅粉末で焼結された焼結チューブには平均的に26.82%のキャビティ(Cavity)が形成されて、十分な気孔を有すると解される。
【表1】
【0039】
図12は焼結粉末で40〜60メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いてディスク状に作製された試片と80〜100メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いてディスク状に作製された試片の磨耗率を測定した状態の写真であり、図13はスチールディスク試片の磨耗率を測定した状態の写真である。磨耗試験は研磨石を用いた回転試験(10,000rpm、1Kgf、10時間)を常温磨耗の方法で施したものである。
【0040】
表2は図12及び図13の試片に対する磨耗率を纏めたものであって、焼結粉末の粒子が小さいほど磨耗特性に優れ、スチールに比べ焼結された試片全てが磨耗特性に優れることが分った。
【表2】
【0041】
一方、第2実施形態ないし第4実施形態において、焼結チューブ211、312、412はその表面に製品が接触するので、表面が滑らかに加工されるのが望ましい。図14は焼結チューブの製造過程を示した流れ図である。
【0042】
図14を参照すれば、本発明に係る流体噴射ローラの製造方法は、内部に流体が流入される流体空間113が形成され、外周面には多数の噴出口114が形成されうるように焼結粉末で焼結成形されたローラ体11を製造する焼結成形(S10)工程であるローラ体製造段階と、ローラ体11の両側端に設けられ、内部に流体空間113に連通される流体通路121が設けられ、一側には流体通路121に流体が流入されうるように入口121aが形成された軸体12を製造する軸体製造段階と、焼結成形されたローラ体11の外周面を 旋削または研削で加工する表面加工段階(S20)と、旋削または研削によりローラ体11の表面に形成されたバリ(burr)を除去する表面処理段階(S30)とを含む。
【0043】
この際、ローラ体製造段階は、内部に流体空間113が形成され、外周面に流体空間に連通される複数の噴出路315aが形成された補強チューブ311を製造する補強チューブ製造段階と、補強チューブ311の外周面を包むように焼結チューブ312を製造し、焼結チューブ312の外周面に多数の気孔が形成できるように焼結金属で焼結成形して焼結チューブ312を製造する焼結チューブ製造段階とを含む。
【0044】
図14を参照すれば、焼結成形された焼結チューブの表面が焼結粒子(P)により凹凸を有するが、このような凹凸を除去し所望の寸法を有するように前記表面加工段階(S20)では旋削または研削加工のような機械加工が行われる。前述したように、表面加工段階(S20)で機械加工された焼結チューブの表面は滑らかに加工されるが、その機械加工過程で焼結粒子(P)が崩れ壊れてバリ(burr、B)が形成されるが、そのバリ(B)により焼結粒子(P)の間の気孔の一部が詰まるようになる。前記表面処理段階(S30)は前記表面加工段階(S20)において形成されたバリ(B)を酸のような金属表面処理剤を用いて除去する過程である。一般に、バリ(B)はその構造が細いか薄いので、錆(rust)などを除去する金属表面処理剤により除去される。
【0045】
図15は本発明に係る流体噴射ローラのうち第3実施形態に係る流体噴射ローラが亜鉛メッキ鋼板の製造ラインに適用された例を概念的に示した図である。亜鉛メッキされた鋼板ストリップ(S)は、第1冷却装置(C1)を通過して、その上部に置かれたトップローラ(Top Roller)により保持され、方向が90°角度に曲がりながら水平方向に移動して、第2冷却装置(C2)へ搬送される。図15は前記トップローラとして第3実施形態に係る流体噴射ローラ3が利用されたことを示したものであって、補強チューブと焼結チューブの2重よりなるローラ3の表面に空気が噴出されることによって、スチールストリップ(S)がローラ3に巻かれる領域でローラ3の表面とスチールストリップ(S)との間に空気層が形成されて、スチールストリップ(S)がローラ3の表面に直接に接触されずに搬送される状態を概念的に示した図である。図15のように、空気層(g)がローラ3の表面とスチールストリップ(S)との間に形成される場合は、スチールストリップ(S)とローラ3の表面との間の摩擦が著しく低減される。また、ローラ3の表面に噴出される空気の圧力が低い場合は、図15のような空気層(g)が形成されず、スチールストリップ(S)がローラ3の表面に接触されるが、噴出される空気の圧力によってその接触力が減って、結局スチールストリップ(S)とローラ3の表面との間の摩擦を低減することができるようになる。
【0046】
一方、本発明に係る流体噴射ローラ3は、スチールストリップ(S)がローラ3に巻かれない領域においても空気が噴出されることによって、ローラ3の表面についている異物が飛散されて除去されることによって、ローラ3の表面がきれいに維持される。また、亜鉛メッキされ1次的に冷却されて前記ローラ3に巻かれながら保持されるスチールストリップ(S)は温度が極めて高いが、本発明はローラ3の表面に空気が噴出されるので、ローラ3を適正温度に冷却させて、ローラ3が熱化によって損傷することを防止することができる。
【0047】
前述した流体噴射ローラ及びその製造方法は、本発明を実施するための一の実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を限定することと解されてはいけない。本発明の真の保護範囲は以下の特許請求の範囲に記載された事項によってのみ定まり、本発明の要旨を逸脱せず改良及び変更された実施形態は本発明の属する技術の分野において通常の知識を有する者にとって自明なものは、本発明の保護範囲に属すると言えよう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は製品の搬送速度をアップして、生産性の向上が図れる流体噴射ローラ及びその製造方法に適用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は流体噴射ローラ及びその製造方法に係り、特にシリンダー状のローラの表面に流体が噴射されてローラ表面と製品表面との間の接触圧が低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との間の摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、これにより製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れる流体噴射ローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品を生産する生産ラインでは、多数の搬送用ローラを一定間隔に配置して、板状の製品を搬送させている。特に、鋼板、ガラス、LCDパネル、繊維、紙類のように広幅の製品はシリンダー状のローラの表面に接触支持されて搬送される。この際、搬送される製品はその表面がローラの表面に接触されるが、接触によって製品が損傷されたり、ローラが損傷される問題が発生するのみならず、これは結局製品やローラの損傷を防止するため、製品の搬送速度をアップさせるのに限界がある。
【0003】
例えば、鋼板の生産工程中、圧延による鋼板を生産する生産ラインでは、搬送される鋼板がローラとの接触によって鋼板の表面にスクラッチが発生するか、異物が付いて鋼板の不良を引き起こす。
【0004】
また、搬送される鋼板は、場合によって極めて高温の状態であることから、その鋼板に接するローラは熱化して損傷する場合があり、鋼板の表面についていた水、酸(ACID)、アルカリ(ALKALI)溶液のような異物によりローラが損傷する。さらに、鋼板の搬送中にローラに付いていた異物を、再びそのローラに接触する鋼板につけてしまう問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的はシリンダー状のローラの表面に流体が噴射されローラ表面と製品表面との間の接触圧が低下されたり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、結局製品の搬送速度のアップにより生産性を向上させることのできる流体噴射ローラ及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述したような目的を達成するために、本発明に係る流体噴射ローラは、シリンダー状の表面を有するローラ体と、該ローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成される流体噴射ローラにおいて、前記軸体は長手方向に延びた流体通路が形成され、前記ローラ体は内部に前記流体が流入されうるように前記流体通路に連通される流体空間が設けられ、前記流体空間に流入された流体が外周面に噴射されるように外周面には前記流体空間に連通された多数の噴出口が形成される。
【0007】
前記ローラ体は気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブの外面が前記ローラ体の表面をなし、焼結成形で形成された前記気孔が前記ローラ体の噴出口であることが望ましい。
【0008】
前記焼結チューブは青銅粉末または青銅合金粉末で焼結成形される。
【0009】
一方、本発明の他の実施形態に係る前記ローラ体は、シリンダー状に形成されて内面と外面とを貫通する複数の噴出路が形成された補強チューブと、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されてその内面と前記補強チューブの外面とが接触するように内部に前記補強チューブが挿入され、前記補強チューブの外側に結合された焼結チューブが備えられて構成され、前記焼結チューブの外面がローラ体の表面をなし、前記補強チューブの噴出路と前記焼結チューブの気孔がローラ体の噴出口であることが望ましい。
【0010】
前記焼結チューブは、前記補強チューブが金型に位置したまま、その補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形される。
【0011】
前記補強チューブの噴出路には焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材が挿入され、前記焼結チューブは前記噴出路塞ぎ部材が噴出路に挿入された補強チューブが金型に位置したまま、補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形される。
【0012】
前記噴出路塞ぎ部材は前記補強チューブの外面に突出する突出部を有するのが望ましい。
【0013】
一方、本発明の実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法は、内部に流体が流入される流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される多数の噴出口が形成できるように外周面が焼結粉末で焼結成形されたローラ体を製造するローラ体製造段階と、前記ローラ体の両側端に設けられ、内部に前記流体空間に連通される流体通路が設けられ、一側には前記流体通路に流体が注入可能になるよう入口が形成された軸体を製造する軸体製造段階と、焼結成形された前記ローラ体の外周面を旋削または研削で加工する表面加工段階と、旋削または研削により前記ローラ体の表面に形成されたバリ(burr)を除去する表面処理段階とを含む。
【0014】
前記ローラ体の製造段階は、内部に前記流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される複数の噴出路が形成された補強チューブを製造する補強チューブ製造段階と、前記補強チューブの外周面を包むように焼結チューブを製造し、前記焼結チューブの外周面に多数の気孔が形成できるように焼結金属で焼結成形して前記焼結チューブを製造する焼結チューブ製造段階とを含むのが望ましい。
【0015】
前記表面処理段階は酸(acid)成分の金属表面処理剤を使って前記バリを除去する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明に係る流体噴射ローラ及びその製造方法によれば、シリンダー状のローラの表面に流体が噴射され、ローラ表面と製品表面との接触圧が低下したり、その間に流体層が形成されてローラと製品との摩擦及び製品とローラの損傷を減らし、結局製品の搬送速度をアップして生産性の向上が図れる長所を有する。
【0017】
特に、本発明に係る流体噴射ローラ及びその製造方法は、ローラの外部を気孔を有するように焼結成形された焼結チューブで形成することによって、流体がローラの表面に均一に噴出されるようにすることによって、製品とローラの表面との間に均一に空気層が形成される長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの部分拡大断面斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの部分拡大断面斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【図10】40〜60メッシュの青銅粉末でシリンダー状に焼結させた焼結チューブから分離された試片を示した写真である。
【図11】図12から分離された試片の組織を示した写真である。
【図12】40〜60メッシュ及び80〜100メッシュの青銅粉末を用いてディスク状に作製された試片の磨耗率を測定した状態の写真である。
【図13】スチールディスク試片の磨耗率を測定した状態の写真である。
【図14】本発明に係る流体噴射ローラの焼結チューブを製造する過程を示した流れ図である。
【図15】第3実施形態に係る流体噴射ローラが亜鉛メッキ鋼板の製造ラインに適用された例を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面に基づき本発明に係る流体噴射ローラをさらに詳述する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【0021】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態に係る流体噴射ローラ1は、シリンダー状の表面を有するローラ体11と、該ローラ体11の両側端に備えられた軸体12とから構成される。
【0022】
前記ローラ体11は、製品と共に搬送される物体が保持されるための外面を有するシリンダー状の構成である。前記ローラ体11の内部には空気や水のような流体が流入されるための流体空間113が形成されるが、その流体空間113はシリンダー状のチューブ111の両側端がディスク112と結合され、そのチューブ111とディスク112で取り囲まれた内部に形成される。前記ローラ体11の内部流体空間113に流入された流体がローラ体11の表面へ噴射されるように、前記ローラ体11の表面には前記流体空間113と連通した噴出口114が形成される。前記噴出口114はシリンダー状のローラ体11に細かい孔を開けて形成される。前記ローラ体11の内部流体空間113に流入されて噴出口114に噴出される流体(fluid)としては、空気のような気体や水のような液体が利用でき、通常製品とローラとの摩擦を低減し、適宜な冷却の目的を達成できるのみならず、利用による費用が安価になるので、流体としては空気が利用される場合が望ましい。
【0023】
前記軸体12は、ローラ体11が回転自在に軸支持されるように所定の軸保持部(例えば、軸受)に保持されるための構成である。図面を参照すれば、前記軸体12は前記ローラ体11の両側端にディスク112の中央から軸方向に突設され、前記ローラ体11の内部流体空間113に延設される。 前記軸体12には外部の流体供給手段(例えば、エアポンプ)から供給される流体が前記ローラ体11の内部流体空間113に流れるための流体通路121が形成される。前記流体通路121は前記軸体12の一側末端に形成された入口121aから前記ローラ体11の内部流体空間113に延びた部分まで延長されて、その内部流体空間113の位置に流体が排出されるように形成された出口121bに結ばれる。
【0024】
図2は本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図である。
【0025】
図2を参照すれば、本発明の第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は、第1実施形態と同様に、シリンダー状の表面を有し、内部に流体空間213を有するローラ体21と、該ローラ体21の両側端に備えられた軸体22とから構成される。但し、第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は第1実施形態とは違って、前記ローラ体21が焼結粉末を焼結して焼結成形された焼結チューブ211によって形成されたことを特徴とする。従って、以下では第2実施形態が有する主な特徴だけを説明することとする。
【0026】
第2実施形態に係る流体噴射ローラ2は、前記ローラ体21が焼結粒子(P)の間に気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブ211の外面がローラ体21の表面をなし、焼結成形で形成された気孔がローラ体21の噴出口214であることを特徴とする。前記焼結チューブ211には焼結過程で噴出口214に該当する気孔が形成されるので、該ローラ体21の製造を容易にするのみならず、気孔が表面全体に亘って分布することから、前記ローラ体21の製造を容易にする。また、気孔が表面全体に亘って分布するので、前記ローラ体21の製造を容易にするのみならず、気孔が表面全体に亘って分布するので、前記ローラ体21の内部から流体がローラ体21の表面全体に亘って均一に噴射される効果を奏する。一方、前記焼結チューブ211の両側端はディスク212と結合され、焼結チューブ211の内部に流体空間213が形成される。
【0027】
図3は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した切開斜視図であり、図4は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図であり、図5は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラに対する部分断面斜視図であり、図6は本発明の第3実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【0028】
図3ないし図5を参照すれば、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は第1実施形態及び第2実施形態と同様に、シリンダー状の表面を有し、内部に流体空間314を有するローラ体31と、該ローラ体31の両側端に備えられた軸体32とから構成される。
【0029】
但し、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は、第1実施形態及び第2実施形態とは違って、前記ローラ体31が補強チューブ311と焼結チューブ312との2重に形成されたことを特徴とする。従って、以下では第3実施形態の有する主な特徴だけを説明することとする。
【0030】
前記補強チューブ311はローラ体31の強度を補強するための構成であって、スチールのような剛性に優れた材質の素材でシリンダー状に形成される。前記補強チューブ311にはその補強チューブ311の内部に形成された流体空間314から流体が排出されるための複数の噴出路315aが内面から外面に貫通するように形成される。前記補強チューブ311の両側端にはディスク313が結合され、そのディスク313と補強チューブ311により取り囲まれてローラ体31の内部流体空間314が形成される。
【0031】
前記焼結チューブ312は、前記補強チューブ311の噴出路315aを通じて排出された流体をローラ体31の表面に均一に噴出されるようにするための構成であって、前記補強チューブ311の外部に結合される。図面を参照すれば、前記焼結チューブ312は焼結粒子(P)の間に気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されて、その内面と前記補強チューブ311の外面が接触されるように内部に前記補強チューブ311が挿入された前記補強チューブの外側に結合される。前述したように、補強チューブ311の外側に結合された焼結チューブ312の外面がローラ体31の表面をなし、前記補強チューブ311の噴出路315aと前記焼結チューブ312の気孔315bは、前記ローラ体31の内部流体空間314から空気が噴出されるためのローラ体31の噴出口315a及び315bになる。
【0032】
一方、前記補強チューブ311と焼結チューブ312との結合は、補強チューブ311を前記焼結チューブ312の内部に押し込んで行われ、図6はこれを示した図である。
【0033】
一方、図7は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラを示した断面図であり、図8は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラに対する部分拡大断面斜視図であり、図9は本発明の第4実施形態に係る流体噴射ローラの製造方法を示した流れ図である。
【0034】
図7及び図8を参照すれば、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は第3実施形態と同様に、シリンダー状の表面をなし、内部に流体空間414を有するローラ体41と、該ローラ体41の両側端に備えられたディスク413に結合された軸体42とから構成され、前記ローラ体41も補強チューブ411と焼結チューブ412の2重に形成されることを特徴とする。また、第3実施形態と同様に、補強チューブ411の外側に結合された焼結チューブ412の外面がローラ体41の表面をなし、前記補強チューブ411の噴出路415aと前記焼結チューブ412の気孔415bは前記ローラ体41の内部流体空間414から空気が噴出されるためのローラ体41の噴出口415a及び415bになる。
【0035】
但し、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は、第3実施形態とは違って、前記補強チューブ411の噴出路415aに焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材416が挿入されることを特徴とする。特に、前記噴出路塞ぎ部材416は挿入部416aが前記噴出路415aに挿入され、突出部416bが前記補強チューブ411の外面に突出されて、その突出部416bが焼結チューブ412と噛み合って、焼結チューブ412と補強チューブ411との間の軸方向及び円周方向の滑りを防止できるようになる。
【0036】
前述したように、第3実施形態に係る流体噴射ローラ3は、前記補強チューブ311と焼結チューブ312との結合が押込の方法で行われるが、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は補強チューブ411を金型として用いて焼結チューブ412を焼結成形させることによって形成される。焼結成形過程で補強チューブ411と焼結チューブ412との結合が行われるようにして製造される。すなわち、第4実施形態に係る流体噴射ローラ4は前記補強チューブ411が金型の一部の機能を果たすように、金型に位置したままその補強チューブ411の外面に焼結チューブ412が結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形させる過程で、焼結チューブ412が補強チューブ411の外面に結合されるようにする方法によって製造される。前記噴出路塞ぎ部材416は、焼結粉末が補強チューブ411の噴出路415aに漏れないようにする役割をする。特に、前記噴出路塞ぎ部材416の突出部416bが前記補強チューブ411の外面に突出されている場合は、前述したように、補強チューブ411を金型として焼結チューブを成形させることが望ましい。図9は前述したように補強チューブ411を金型の一部として用いて 焼結チューブ412を焼結成形させてローラ体41を製造する過程を図式的に示した図である。図9を参照すれば、補強チューブ411の噴出路415aに噴出路塞ぎ部材416が挿入されたまま、その補強チューブ411の外面に直接に焼結チューブ412が焼結成形される。
【0037】
一方、第2実施形態ないし第4実施形態は、共通的に焼結チューブ211、312、412が焼結粉末で気孔を有するように焼結成形されたことを特徴とするが、本発明では流体が噴出されるための気孔による通気性及び製品が表面に接するので、機械的/化学的性質に優れたものが望ましい。
【0038】
図10は焼結粉末で40〜60メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いて、通常の焼結方法でシリンダー状に焼結させた焼結チューブから分離された試片を示した写真であり、図11は図10から分離された試片の組織を示した写真である。一方、表1は図10及び図11の試片の充填率を纏めたものであって、表1を参照すれば、青銅粉末で焼結された焼結チューブには平均的に26.82%のキャビティ(Cavity)が形成されて、十分な気孔を有すると解される。
【表1】
【0039】
図12は焼結粉末で40〜60メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いてディスク状に作製された試片と80〜100メッシュの青銅(Cu89−Sn11)粉末を用いてディスク状に作製された試片の磨耗率を測定した状態の写真であり、図13はスチールディスク試片の磨耗率を測定した状態の写真である。磨耗試験は研磨石を用いた回転試験(10,000rpm、1Kgf、10時間)を常温磨耗の方法で施したものである。
【0040】
表2は図12及び図13の試片に対する磨耗率を纏めたものであって、焼結粉末の粒子が小さいほど磨耗特性に優れ、スチールに比べ焼結された試片全てが磨耗特性に優れることが分った。
【表2】
【0041】
一方、第2実施形態ないし第4実施形態において、焼結チューブ211、312、412はその表面に製品が接触するので、表面が滑らかに加工されるのが望ましい。図14は焼結チューブの製造過程を示した流れ図である。
【0042】
図14を参照すれば、本発明に係る流体噴射ローラの製造方法は、内部に流体が流入される流体空間113が形成され、外周面には多数の噴出口114が形成されうるように焼結粉末で焼結成形されたローラ体11を製造する焼結成形(S10)工程であるローラ体製造段階と、ローラ体11の両側端に設けられ、内部に流体空間113に連通される流体通路121が設けられ、一側には流体通路121に流体が流入されうるように入口121aが形成された軸体12を製造する軸体製造段階と、焼結成形されたローラ体11の外周面を 旋削または研削で加工する表面加工段階(S20)と、旋削または研削によりローラ体11の表面に形成されたバリ(burr)を除去する表面処理段階(S30)とを含む。
【0043】
この際、ローラ体製造段階は、内部に流体空間113が形成され、外周面に流体空間に連通される複数の噴出路315aが形成された補強チューブ311を製造する補強チューブ製造段階と、補強チューブ311の外周面を包むように焼結チューブ312を製造し、焼結チューブ312の外周面に多数の気孔が形成できるように焼結金属で焼結成形して焼結チューブ312を製造する焼結チューブ製造段階とを含む。
【0044】
図14を参照すれば、焼結成形された焼結チューブの表面が焼結粒子(P)により凹凸を有するが、このような凹凸を除去し所望の寸法を有するように前記表面加工段階(S20)では旋削または研削加工のような機械加工が行われる。前述したように、表面加工段階(S20)で機械加工された焼結チューブの表面は滑らかに加工されるが、その機械加工過程で焼結粒子(P)が崩れ壊れてバリ(burr、B)が形成されるが、そのバリ(B)により焼結粒子(P)の間の気孔の一部が詰まるようになる。前記表面処理段階(S30)は前記表面加工段階(S20)において形成されたバリ(B)を酸のような金属表面処理剤を用いて除去する過程である。一般に、バリ(B)はその構造が細いか薄いので、錆(rust)などを除去する金属表面処理剤により除去される。
【0045】
図15は本発明に係る流体噴射ローラのうち第3実施形態に係る流体噴射ローラが亜鉛メッキ鋼板の製造ラインに適用された例を概念的に示した図である。亜鉛メッキされた鋼板ストリップ(S)は、第1冷却装置(C1)を通過して、その上部に置かれたトップローラ(Top Roller)により保持され、方向が90°角度に曲がりながら水平方向に移動して、第2冷却装置(C2)へ搬送される。図15は前記トップローラとして第3実施形態に係る流体噴射ローラ3が利用されたことを示したものであって、補強チューブと焼結チューブの2重よりなるローラ3の表面に空気が噴出されることによって、スチールストリップ(S)がローラ3に巻かれる領域でローラ3の表面とスチールストリップ(S)との間に空気層が形成されて、スチールストリップ(S)がローラ3の表面に直接に接触されずに搬送される状態を概念的に示した図である。図15のように、空気層(g)がローラ3の表面とスチールストリップ(S)との間に形成される場合は、スチールストリップ(S)とローラ3の表面との間の摩擦が著しく低減される。また、ローラ3の表面に噴出される空気の圧力が低い場合は、図15のような空気層(g)が形成されず、スチールストリップ(S)がローラ3の表面に接触されるが、噴出される空気の圧力によってその接触力が減って、結局スチールストリップ(S)とローラ3の表面との間の摩擦を低減することができるようになる。
【0046】
一方、本発明に係る流体噴射ローラ3は、スチールストリップ(S)がローラ3に巻かれない領域においても空気が噴出されることによって、ローラ3の表面についている異物が飛散されて除去されることによって、ローラ3の表面がきれいに維持される。また、亜鉛メッキされ1次的に冷却されて前記ローラ3に巻かれながら保持されるスチールストリップ(S)は温度が極めて高いが、本発明はローラ3の表面に空気が噴出されるので、ローラ3を適正温度に冷却させて、ローラ3が熱化によって損傷することを防止することができる。
【0047】
前述した流体噴射ローラ及びその製造方法は、本発明を実施するための一の実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を限定することと解されてはいけない。本発明の真の保護範囲は以下の特許請求の範囲に記載された事項によってのみ定まり、本発明の要旨を逸脱せず改良及び変更された実施形態は本発明の属する技術の分野において通常の知識を有する者にとって自明なものは、本発明の保護範囲に属すると言えよう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は製品の搬送速度をアップして、生産性の向上が図れる流体噴射ローラ及びその製造方法に適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー状の表面を有するローラ体と、該ローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成される流体噴射ローラにおいて、
前記軸体は長手方向に延びた流体通路が形成され、
前記ローラ体は内部に流体が流入されうるように前記流体通路に連通される流体空間が設けられ、前記流体空間に流入された流体が外周面に噴射されるように外周面には前記流体空間に連通された多数の噴出口が形成されることを特徴とする流体噴射ローラ。
【請求項2】
前記ローラ体は、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブの外面が前記ローラ体の表面をなし、焼結成形で形成された前記気孔が前記ローラ体の噴出口であることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ローラ。
【請求項3】
前記焼結チューブは、青銅粉末または青銅合金粉末で焼結成形されることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射ローラ。
【請求項4】
前記ローラ体はシリンダー状に形成され、内面と外面とを貫通する複数の噴出路が形成された補強チューブと、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されて、その内面と前記補強チューブの外面とが接触するように内部に前記補強チューブが挿入され、前記補強チューブの外側に結合された焼結チューブが備えられて構成され、
前記焼結チューブの外面がローラ体の表面をなし、前記補強チューブの噴出路と前記焼結チューブの気孔がローラ体の噴出口であることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ローラ。
【請求項5】
前記焼結チューブは、前記補強チューブが金型に置かれた状態でその補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形されることを特徴とする請求項4に記載の流体噴射ローラ。
【請求項6】
前記補強チューブの噴出路には焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材が挿され、
前記焼結チューブは前記噴出路塞ぎ部材が噴出路に挿入された補強チューブが金型に置かれた状態で補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形されることを特徴とする請求項4に記載の流体噴射ローラ。
【請求項7】
前記噴出路塞ぎ部材は、前記補強チューブの外面に突出する突出部を有することを特徴とする請求項6に記載の流体噴射ローラ.
【請求項8】
内部に流体が流入される流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される多数の噴出口が形成できるように外周面が焼結粉末で焼結成形されたローラ体を製造するローラ体製造段階と、
前記ローラ体の両側端に設けられ、内部に前記流体空間に連通される流体通路が設けられ、一側には前記流体通路に流体が注入できるように入口が形成された軸体を製造する軸体製造段階と、
焼結成形された前記ローラ体の外周面を旋削または研削により加工する表面加工段階と、
旋削または研削により前記ローラ体の表面に形成されたバリを除去する表面処理段階と、を含むことを特徴とする流体噴射ローラの製造方法。
【請求項9】
前記ローラ体の製造段階は、
内部に前記流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される複数の噴出路が形成された補強チューブを製造する補強チューブ製造段階と、
前記補強チューブの外周面を包むように焼結チューブを製造し、前記焼結チューブの外周面に多数の気孔が形成されうるように焼結金属で焼結成形して前記焼結チューブを製造する焼結チューブ製造段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の流体噴射ローラの製造方法。
【請求項10】
前記表面処理段階は、酸成分の金属表面処理剤を使って前記バリを除去することを特徴とする請求項9に記載の流体噴射ローラの製造方法。
【請求項1】
シリンダー状の表面を有するローラ体と、該ローラ体の両側端に備えられた軸体とから構成される流体噴射ローラにおいて、
前記軸体は長手方向に延びた流体通路が形成され、
前記ローラ体は内部に流体が流入されうるように前記流体通路に連通される流体空間が設けられ、前記流体空間に流入された流体が外周面に噴射されるように外周面には前記流体空間に連通された多数の噴出口が形成されることを特徴とする流体噴射ローラ。
【請求項2】
前記ローラ体は、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形された焼結チューブの外面が前記ローラ体の表面をなし、焼結成形で形成された前記気孔が前記ローラ体の噴出口であることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ローラ。
【請求項3】
前記焼結チューブは、青銅粉末または青銅合金粉末で焼結成形されることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射ローラ。
【請求項4】
前記ローラ体はシリンダー状に形成され、内面と外面とを貫通する複数の噴出路が形成された補強チューブと、気孔を有するようにシリンダー状に焼結成形されて、その内面と前記補強チューブの外面とが接触するように内部に前記補強チューブが挿入され、前記補強チューブの外側に結合された焼結チューブが備えられて構成され、
前記焼結チューブの外面がローラ体の表面をなし、前記補強チューブの噴出路と前記焼結チューブの気孔がローラ体の噴出口であることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ローラ。
【請求項5】
前記焼結チューブは、前記補強チューブが金型に置かれた状態でその補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形されることを特徴とする請求項4に記載の流体噴射ローラ。
【請求項6】
前記補強チューブの噴出路には焼結粉末で焼結成形された噴出路塞ぎ部材が挿され、
前記焼結チューブは前記噴出路塞ぎ部材が噴出路に挿入された補強チューブが金型に置かれた状態で補強チューブの外面に焼結チューブが結合されるように焼結粉末でシリンダー状に焼結成形されることを特徴とする請求項4に記載の流体噴射ローラ。
【請求項7】
前記噴出路塞ぎ部材は、前記補強チューブの外面に突出する突出部を有することを特徴とする請求項6に記載の流体噴射ローラ.
【請求項8】
内部に流体が流入される流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される多数の噴出口が形成できるように外周面が焼結粉末で焼結成形されたローラ体を製造するローラ体製造段階と、
前記ローラ体の両側端に設けられ、内部に前記流体空間に連通される流体通路が設けられ、一側には前記流体通路に流体が注入できるように入口が形成された軸体を製造する軸体製造段階と、
焼結成形された前記ローラ体の外周面を旋削または研削により加工する表面加工段階と、
旋削または研削により前記ローラ体の表面に形成されたバリを除去する表面処理段階と、を含むことを特徴とする流体噴射ローラの製造方法。
【請求項9】
前記ローラ体の製造段階は、
内部に前記流体空間が形成され、外周面に前記流体空間に連通される複数の噴出路が形成された補強チューブを製造する補強チューブ製造段階と、
前記補強チューブの外周面を包むように焼結チューブを製造し、前記焼結チューブの外周面に多数の気孔が形成されうるように焼結金属で焼結成形して前記焼結チューブを製造する焼結チューブ製造段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の流体噴射ローラの製造方法。
【請求項10】
前記表面処理段階は、酸成分の金属表面処理剤を使って前記バリを除去することを特徴とする請求項9に記載の流体噴射ローラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図14】
【図15】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図14】
【図15】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−526034(P2012−526034A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518499(P2012−518499)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008720
【国際公開番号】WO2011/152601
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(511266553)セコ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SECO Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】722−9, Gwangyeong−dong, Gwangyang−si, Jeollanam−do 545−871, Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008720
【国際公開番号】WO2011/152601
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(511266553)セコ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SECO Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】722−9, Gwangyeong−dong, Gwangyang−si, Jeollanam−do 545−871, Korea
【Fターム(参考)】
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