説明

流体回路、特にエンジン用冷却回路のための制御バルブ

【課題】ヘッド損失を少なくするとともに、極めて低い流量での流量制御をスムーズにする。
【解決手段】 本発明のバルブは、回転軸線(XX’)を中心に回転できる調節ユニット(13)のための円筒形受け領域を構成し、前記バルブ本体(2)の開口部(4、6)を通過する流体の配分を制御するために異なる回転角位置をとる本体(2)を有する。調節ユニット(13)は、中空円筒形本体の形状に構成されており、この円筒形本体は、少なくとも一端が開口し、前記回転軸線(XX’)に対して所定の角度(a)で傾斜した平面の方向に、前記開端部にて一部が切除されており、前記平面と交差する端部に位置する横方向開口部と共に横方向開口領域を形成し、この横方向開口領域は、前記端部の前方に配置された前記バルブ本体(2)の少なくとも1つの横方向開口部(6)を通過する前記流体の流量を制御できるようになっている。本発明は、自動車の冷却回路に好ましく使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体回路のための制御バルブ、およびかかるバルブが取り付けられた回路に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、自動車のエンジンのための冷却回路用制御バルブに関する。
【背景技術】
【0003】
この種の冷却回路は、冷却剤、すなわち通常水と凍結防止剤の混合物を含み、この冷却剤は、循環ポンプによって、閉回路を循環するようにポンプ送りされる。
【0004】
冷却回路は、通常、いくつかの分岐路を備え、1つの分岐路は、冷却ラジエータを備え、別の分岐路は、冷却ラジエータのまわりのバイパスを形成し、ある分岐路は、ヒーターコアとしても知られる、車室を暖房するためのラジエータを備えている。
【0005】
従来、この種の冷却回路は、サーモスタット、またはサーモスタットバルブを使用しており、このバルブは、エンジンの出口に接続された流体の入口と、2つの入口と出口とを備え、出口のうちの1つは、冷却ラジエータを含む分岐路に対応し、他方の出口は、バイパスを形成する分岐路に対応している。
【0006】
エンジンが冷間始動されるとき、冷却剤の温度が、所定のスレショルド温度に達していなければ、バルブは、冷却ラジエータを短絡するように、バイパス分岐路を通して冷却剤を供給する。冷却剤の温度が、このスレショルド温度に達しているか、またはこれを越えている場合、冷却剤は、ラジエータを通過し、バイパス分岐路を通過しない。
【0007】
通常、冷却剤は、ヒーターコアを含む分岐路を永続的に通過するように循環し、低温空気の流れと、ヒーターコアを通過した高温空気流とを混合することにより、車室を暖房するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、バルブ本体との間にパイプを接続することにより、パイプは広いスペースを占め、アジャスターを駆動するために、大きなトルクを必要となる。この理由は、アジャスターの周囲の長さが、出口チューブの直径、使用されるシーケンス数および出口オリフィスを徐々に開閉するのに必要なアジャスターストロークに応じて決まるからである。
【0009】
制御バルブは、1つの流体の入口と、少なくとも1つの流体の出口を有する本体を備えている。このバルブの本体は、内部が端部壁および円筒形壁によって構成され、これら2つの壁は、互いに直角に配置されている。バルブ本体は、円筒形壁の長手方向軸線を中心として回転でき、種々のバルブの出口を通過する冷却剤の配分を制御するための種々の回転角位置をとることができるアジャスターを収納している。
【0010】
アジャスターのサイズ、およびトルク条件を低減する1つの方法は、冷却剤の入口を、バルブ本体の端部壁に接続し、かつ冷却剤の出口を、円筒形壁に接続することである。アジャスターは、バルブ本体におけるアジャスターの回転角位置に基づき、冷却剤の出口を制御するような形状となっている部分を有している。
【0011】
あるタイプの構成例では、アジャスターは、中実な円筒形本体の形状となっており、この本体は、冷却剤入口オリフィスに向く端部に、平坦な面を有し、この面は、アジャスターの回転角に基づき、側部出口内に流入液の流れを転流させるよう、回転軸線に対して、約45度の角度をなしている。アジャスターが大きな慣性を有することとは別に、このタイプの構成では、冷却回路内にヘッド損失を生じさせ、このヘッド損失は、ある場合には、冷却剤温度を制御するためのシステムの作動にとって有害となっている。
【0012】
アジャスターの慣性を低減するために、従来技術では、アジャスターを、側面オリフィスが進入するような中空円筒形本体の形状とし、このような形状により、回転軸の方向に到達する流体を、バルブ本体のラジアル出口オリフィス内に分配させている。しかし、従来の構成例のほとんどでは、依然としてヘッド損失が大きく、極めて低い流量で、良好な制御をするのに必要な冷却剤の流れを、スムーズに変えることはできない。
【0013】
従って、本発明の目的は、このような状況を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、好ましい例として、自動車の熱エンジンのための冷却回路である冷却剤循環回路用の制御バルブを提供するものである。
【0015】
この特定の応用例では、本発明の目的は、熱エンジンの温度、および車室の暖房を最適にするよう、エンジン冷却回路の種々の分岐路における冷却剤の流量を、別々に制御できるバルブを提供することにある。従って、より詳細には、本発明は、回転軸線を中心として回転すると共に、バルブ本体内の開口部を通過する冷却剤の配分を制御するよう、種々の回転角位置をとることができるアジャスターのための円筒形ハウジングを構成する本体を備えた、熱エンジン冷却回路のための制御バルブに関する。
【0016】
本発明の全般的な特徴によれば、アジャスターは、2つの端部のうちの少なくとも1つにおいて開口する中空円筒形本体の形状に製造されており、前記回転軸線に対してなす角度(a)で傾斜する平面において、開端部が一部切除され、前記平面と交差する、この端部に位置する側面開口部と共に、開放側面領域を形成し、この側面領域は、この端部に向くバルブ本体の少なくとも1つの側面開口部を通過する冷却剤の流量を変えることができるようになっている。
【0017】
より詳細には、前記バルブ本体は、軸方向開口部を含む端部壁と、前記アジャスターを囲む円筒形側壁とを備え、この側壁は、前記回転軸線に対して選択された回転角位置、および軸方向の高さのところに、少なくとも2つの側面開口部を有している。
【0018】
前記アジャスターの一部切除された端部を向く少なくとも開口部は、例えば長方形または正方形のような多角形であることが好ましい、これによって、開放開始時において、冷却剤の流量を細かく変えることができると共に、冷却回路の熱制御を容易にできる。
【0019】
好ましい実施例では、アジャスターは、横方向接続壁により、ハブのまわりの所定位置に保持された円筒形側壁を備え、この接続壁は、アジャスターの内部を、2つのキャビティ、すなわち下方キャビティと上方キャビティとに分割している。
【0020】
前記下方キャビティは、開口しており、側面開口部を含み、この側面開口部は、前記傾斜面平面と交差し、下方キャビティの開放端部にて側面開口領域を形成し、この領域は、この領域に向いたバルブ本体の開口部とともに、このバルブ本体の開口部を通過する冷却剤の流量を変えることができる。
【0021】
前記横方向接続壁は、下方キャビティを上方キャビティに接続するための少なくとも1つの側面開口部を備え、この上方キャビティは、この上方キャビティが協動する前記バルブ本体の少なくとも1つの側面開口部を、前記横方向接続壁内の前記開口部を通して、前記下方キャビティに接続するための少なくとも1つの側面開口部を備えている。
【0022】
前記横方向接続壁内の開口部は、前記ハブの軸線に頂点が位置する円のセクターによって構成されている。
【0023】
ヘッド損失を制限するために、横方向接続壁は、この横方向接続壁を第1キャビティの側面接続壁に接続する球形または放物フィレットによって補強されている。
【0024】
本発明の別の特徴は、上記制御バルブを含む流体循環回路に関する。
【0025】
好ましい応用例では、この冷却回路は、循環ポンプによって冷却剤がポンプ送りされるときに通過する自動車のエンジンのための冷却回路の形態をしている。この応用例では、制御バルブは三方向バルブであり、その本体は、エンジンからの冷却剤のための入口に接続された軸方向開口部と、冷却ラジエータを含む第1分岐路、冷却ラジエータのまわりにバイパスを形成する第2分岐路、および車室暖房用のヒーターコアを含む第3分岐路にそれぞれ接続された3つの流体出口側面開口部とを有している。
【0026】
第2変形例では、この制御バルブは、その軸方向開口部を介して、エンジンに冷却剤を供給し、アジャスターの下方キャビティと協動する本体の側面開口部は、ラジエータの冷却剤の出口に接続されている。バルブ本体の残りの2つの側面開口部のうちの1つは、冷却ラジエータのまわりにバイパスを形成する第2分岐路に接続されており、他方の開口部は、車室暖房用のヒーターコアを含む第3分岐路に接続されている、
【0027】
単なる例として示す次の説明においては、添付図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
まず、図1および図2を参照する。これらの図は、本発明の第1実施例における制御バルブ1を示す。この制御バルブは、軸方向開口部4を含む端部壁3と、側面開口部6、7および8を有し、かつ長手方向軸線XX’の円筒形側壁5によって境界が定められた円筒形本体2を備えている。
【0029】
流体入口チューブ9は、軸方向開口部4に流体を供給し、3つの流体出口チューブ10、11および12は、それぞれ側面開口部6、7および8に流体を供給する。これら3つの出口チューブは、回転軸線XX’に対して選択された軸方向高さ、および回転角位置に接続されている。
【0030】
バルブ本体2には、回転部材とも称されるアジャスター13が収容されており、このアジャスター13は、オプションとしてリングまたはシール14によってカバーされた中空本体の形状に製造されている。円筒形要素の直径は、バルブ本体2の内径とほぼ一致し、アジャスター13は、横方向接続壁17によって、ハブ16のまわりに接続された円筒形壁15を有する。
【0031】
ハブ16は、駆動ロッド18の上に、重ね成形または押し込むことができる。駆動ロッド18の長手方向軸線は、軸線XX’と一致し、ハブ16の一端は、駆動ロッド18を支持するショルダー19に当接している。駆動ロッド18の一端は、バルブ本体2に固定されたカバー20を貫通している。駆動ロッド18は、カバー20に取り付けられたベアリング22により、軸線XX’を中心として自由に回転でき、駆動ロッド18の一端に接続されたモータ23によって回転され、駆動ロッド18は、カバー20を貫通している。
【0032】
このモータは、例えば当業者によく知られているようなブラシレスDCモータ、すなわちBLDC(ブラシレス直流)モータでよく、このモータは、アジャスター13を多数の異なる位置に位置決めできるマイクロプロセッサによって制御される。
【0033】
図2に示す実施例では、カバー20を貫通する端部とは反対の駆動ロッド18の端部は、ハブ16から突出し、バルブ本体2の端部壁3に装着されたベアリング(図示せず)内に、オプションとして支持されている。しかし、アジャスターを変形し、アジャスターの作動を損なうような大きな負荷が加わる場合に限り、別のベアリングを追加することも可能である。
【0034】
アジャスターを変形させる恐れがないような負荷に対して、駆動ロッド18をハブ16に通過させる必要はなく、これにより、図2に示された実施例は簡略化されると共に、図4に一例として示すように、ハブ16の長さを短縮することが可能となる。図4では、図2の部品と対応する部品には、同じ符号を付してある。
【0035】
本発明の本質的な特徴は、横方向接続壁17が、アジャスター13の内部を、2つのキャビティ24、25、すなわち、流体入口チューブ9を、バルブの第1出口チューブ10に接続する下方キャビティ24と、バルブの他の2つの出口チューブ7および8に接続する上方キャビティ25とに分割していることである。
【0036】
「上方」および「下方」なる形容詞は、本明細書では、便宜上使用するものであり、これらの用語は、空間におけるキャビティの特殊な配置に、本発明を限定するものではない。
【0037】
図3に示すように、2つのキャビティ24、25は、頂点がハブ16の軸線上にある円のセクターの形状をした横方向壁17内の開口部26を経て互いに連通している。下方キャビティ24は、長手方向軸線XX’に対して、ある角度で傾斜した平面によって、一部切除された側面開口部27を有する。
【0038】
この一部切除された開口部27は、この開口部の全体または一部が、下方流体出口チューブ10の上に位置するときに、下方キャビティを通して、流体入口チューブ9を下方出口チューブ10に連通させる。この開口部27は、バルブ本体2の側面開口部6と共に作動し、側面開口部6を通過する冷却剤の流れを変化させる。
【0039】
図3および図7のアジャスター13の展開図では、一部切除された開口部27のエッジ27aおよび27bは、横方向壁17の上方において、アジャスター13の上方部分内に延びており、円筒形壁の母線に沿う直線エッジ28および対向するエッジ29によって境界が定められた開口部を形成している。対向するエッジ29の歯状プロフィルは、アジャスターの回転角を関数とする、出口オリフィスを通過する冷却剤の所望するタイプの配分に応じて決まる。
【0040】
上方キャビティ25の円筒形壁は、オプションとして、長方形の開口部30によっても中断され、歯状上方エッジ31を有し、この上方エッジ31の位置および寸法は、上方キャビティ25を通過する冷却剤が、アジャスターの所定の回転角位置において、バルブの出口開口部7、8を通過できるように定められている。
【0041】
図3および図7に示す実施例は、当然ながら、図示された構成だけに限定されるものではなく、バルブ本体内の開口部の位置および出口を通過する冷却剤の分散の所望するシーケンス制御に合致するように、開口部の数、位置、および寸法を、応用例ごとに決定されるものであることは、理解されると思う。
【0042】
下方通路に向かう冷却剤の流れを改善するために、軸方向開口部4と直接対向する、横方向接続壁17の下面は、この下面をアジャスターの円筒形壁に接続する球形または放物形のフィレット32によって補強されている。これによって、冷却剤の流れは、この出口に向かってより効果的に集中し、ヘッド損失が少なくなっている。
【0043】
アジャスター13の展開周辺部は、出口チューブ10、11、12の数および寸法、供給される部材の開閉シーケンスおよび出口オリフィスの開状態と閉状態との間の移動距離Prに合致するように設計されている。
【0044】
図5は、出口開口部6が完全に開放状態にある初期位置P1でスタートし、出口6が完全に閉状態にある最終位置P2で終了するときに、アジャスターによって実行される移動距離Prを示す。これら2つの位置の間にあるスペースPrでは、ラジエータの出口の開口部は完全に開状態にあるわけでもなく、完全に閉じているわけでもない。このスペースは、ラジエータを通過する冷却剤の循環を変えるのに使用できる。
【0045】
アジャスター13の直径を最適にし、かつこれを最小にするために、開口部の同じ横断面の面積に対して、アジャスター13の展開長さ、従ってその直径を、図6が示すように小さくできるよう、出口開口部6、7、8は円ではなく、正方形または長方形とされている。
【0046】
直径dおよび面積πD2/4の円形開口部の同じ面積と比較し、面積a2および長さaの辺を有する正方形の開口部に対し、直径Dの長さに比例する、正方形の長さaは0.88×Dとなる。出口開口部によって形成される正方形の平行な辺のうちの2つが、回転軸線XX’に平行となるように正方形を配向することにより得られる節約量は0.12Dとなる。
【0047】
3つの分岐路(例えばラジエータ分岐路と、バイパス分岐路と、ヒーターコア分岐路)を有し、2つのレンジの調節、および3つの固定された位置を有するバルブを一例とし、ラジエータ分岐路の直径および固定された位置の長さの双方を示すためにDを使用し、変化のレンジの長さを示すためにPrを使用すると、調節レンジの長さは2D+Prとなる。このようにして得られるセグメントの周辺は、P=(4+3)D+2Prとなる。正方形の開口部に対し、周辺長さPは、P=0.88(4+3)D+2Prとなる。すなわち、D=28mmに対し、2つの周辺の間の差は21mmとなる。
【0048】
更に、正方形の開口部を使用することにより、角度aを大きくし、従って、変化する距離Prを小さくすることができる。
【0049】
開口部の傾斜エッジが変形開口部のエッジに対し、接線方向に延びるアジャスターの回転角位置θ1と、開口部の一部しか開口していない角度θ1に対する角度Δθだけ、オフセットしている回転角位置θ2との間のアジャスターの角度aに傾斜したエッジの変化を示す図6では、どんな角度aであっても、開口開始時点での横断面の変化は、角度aに依存しているが、小さいものであることが理解できる。
【0050】
正方形の開口部の場合、このような変化は、アジャスターの傾斜エッジの傾斜角aに、より大きく依存する。例えば90度より小さい角度aに対し、アジャスターの同じ角度変位Δθに対し、横断面の変調は、同じ面積の円形開口部の場合よりも小さくなる。その理由は、カバーされていない面積が、より小さいからである。
【0051】
図8には、開口移動開始時における開口部の断面の変化のシミュレーションの結果が、グラフで示されている。このグラフでは、曲線AおよびBは、アジャスターの回転角の関数としての、円形開口部のカバーされていない面積および正方形の開口部のカバーされていない面積をそれぞれ示し、双方の開口部の面積は、同一であり、角度aは、同じ37°である。
【0052】
このグラフから曲線Bの面積の変化は、曲線Aの面積よりも小さく、この結果、冷却剤の流れは、同じ円形面積が開口し始めたときよりも、正方形の開口部が開口し始めたときのほうが、より小さく変化することが明らかとなり、このことは、正方形の開口部では(円形開口部の場合の)角度a=37°をa=64°に変更できることを意味している。
【0053】
次に図9を参照すると、この図は、自動車の熱エンジン34のための冷却剤回路を示す。この回路は、冷却剤、一般に凍結防止剤を含む水を搬送するようになっており、冷却剤は、ポンプ33によって回路を循環するようにポンプ送りされる。エンジン34によって加熱された冷却剤は、上記タイプの制御バルブ2の軸方向開口部4に接続された出口35を介して、エンジンを離れる。
【0054】
本体2の3つの側面開口部6、7および8は、回路の3つの分岐路に接続されている。この回路は、冷却ラジエータ36および膨張タンク37を含む第1分岐路と、冷却ラジエータ36を循環するバイパスを形成する第2分岐路38と、車室を暖房するためのヒーターコア39を含む第3分岐路とを備えている。開口部6は、ラジエータ36を含む分岐路に接続されており、開口部7は、ヒーターコア39を含む分岐路に接続されており、開口部8は、バイパス分岐路38を含む分岐路に接続されている。
【0055】
アジャスター13の下方キャビティ24と協動する本体の側面開口部6は、ラジエータの分岐路に接続されている。
【0056】
アジャスター13の上方キャビティ25と協動する本体2の側面開口部7および8は、第2分岐路および第3分岐路にそれぞれ接続されている。
【0057】
従って、バルブは、熱エンジンの温度および車室の暖房を最適にするように、上記分岐路内の流体の流れを別々に制御できる。
【0058】
しかしながら、図9の冷却回路に対するバルブの接続の別の変形例があることに留意されたい。すなわち、バルブ1の軸方向の開口部4は、エンジン34の出口35に接続されるのでなく、図10に示されているように、ラジエータ36の入口に接続されることが理解されると思う。
【0059】
この形態では、アジャスター13の下方キャビティ24と協動する本体の側面開口部6は、エンジン34の冷却剤の出口35に接続され、本体2の軸方向開口部4は、ラジエータ36を含む第1分岐路に接続され、本体2の2つの残りの側面開口部7および8は、冷却ラジエータ36のバイパスを形成する第2分岐路および車室暖房用のヒーターコア39を含む第3分岐路にそれぞれ接続されている。
【0060】
更に別の変形例(図示せず)では、側面開口部6、7および8を、ラジエータ36、バイパス分岐路38、およびヒーターコア39のそれぞれの冷却剤出口に接続し、軸方向開口部4を、エンジン34の冷却剤の入口に接続することにより、バイパスを接続することもできる。
【0061】
別の変形例(図示せず)では、開口部のうちの少なくとも1つは、円形でない形状、例えば上記のように、長方形または正方形の横断面を有することを条件に、バイパス本体内の開口部を通過する冷却剤の流れを制御するように、一部切除された中実アジャスターを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施例における三方向バルブの平面図である。
【図2】本発明の第1実施例における三方向バルブの正面図である。
【図3】本発明に係わるアジャスターのそれぞれの図である。
【図4】本発明の第2実施例における、バルブを通る横断面図である。
【図5】移動レンジを定める図である。
【図6】円形開口部と同じ面積の正方形開口部を比較する図である。
【図7】アジャスターの展開図である。
【図8】アジャスターの回転角を関数とする、円形開口部および長方形の開口部における冷却剤の開口部の横断面の面積の変化の例を示す2つのカーブを比較するグラフである。
【図9】自動車の熱エンジンの冷却剤回路に対し、本発明に係わるバルブを適用例を示す図である。
【図10】自動車の熱エンジンの冷却剤回路に対し、本発明に係わるバルブを適用例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 制御バルブ
2 バルブ本体
3 端部壁
4、6、7、8 開口部
5 側壁
7、8 流体出口チューブ
9 流体入口チューブ
10、11、12、 流体出口チューブ
13 アジャスター
14 シール
15 円筒形壁
16 ハブ
17 横方向接続壁
18 駆動ロッド
19 ショルダー
20 カバー
23 モータ
24 下方キャビティ
25 上方キャビティ
26 開口部
27 開口部
27a エッジ
27b エッジ
28 直線エッジ
29 エッジ
30 開口部
31 上方エッジ
32 フィレット
33 循環ポンプ
34 エンジン
35 入口
36、37 冷却ラジエータ
38、39 ヒーターコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(XX’)を中心として回転するとともに、バルブ本体(2)内の開口部(4、6、7、8)を通過する冷却剤の配分を制御するよう、種々の回転角位置をとることができるアジャスター(13)のための円筒形ハウジングを構成する本体(2)を備える、熱エンジン冷却回路のための制御バルブ(1)において、
前記アジャスター(13)は、2つの端部のうちの少なくとも1つにおいて開口する中空円筒形本体の形状に製造されており、前記回転軸線(XX’)に対し、角度(a)で傾斜する平面において、開端部が一部切除され、前記平面と交差する、この端部に位置する側面開口部(27)と共に、開放側面領域(27)を形成し、この側面領域は、この端部を向くバルブ本体(2)の少なくとも1つの側面開口部(6)を通過する冷却剤の流量を変えることができるようになっていることを特徴とする制御バルブ(1)。
【請求項2】
前記バルブ本体は、軸方向開口部(4)を有する端部壁(3)と、前記アジャスター(13)を囲む円筒形側壁(5)とを備え、この側壁は、前記回転軸線(XX’)に対して選択された回転角位置、および軸方向の高さのところに、少なくとも2つの側面開口部(6、7、8)を有することを特徴とする、請求項1記載のバルブ。
【請求項3】
前記アジャスターにおける、少なくとも一部切除された端部を向く開口部(6)は、多角形であることを特徴とする、請求項2記載のバルブ。
【請求項4】
少なくとも、前記アジャスターの一部切除された端部を向く開口部(6)は、正方形または長方形であることを特徴とする、請求項3記載のバルブ。
【請求項5】
前記アジャスター(13)は、横方向接続壁(17)により、ハブ(16)のまわりの所定位置に保持された円筒形側壁(15)を備え、この接続壁(1)は、前記アジャスター(13)の内部を、2つのキャビティ、すなわち下方キャビティ(24)と上方キャビティ(25)とに分割しており、これらのキャビティは、前記横方向接続壁(17)内の開口部(26)を経て、互いに連通していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバルブ。
【請求項6】
前記下方キャビティ(24)は、一部切除されており、かつ側面開口部を有し、この側面開口部は、下方キャビティが協動するバルブ本体内の側面開口部(6)と共に、この開口部(6)を通過する冷却剤の流量を変えることができるように、前記傾斜平面と交差していることを特徴とする、請求項5記載のバルブ。
【請求項7】
前記上方キャビティ(25)は、少なくとも1つの側面開口部(30)を有し、この側面開口部は、前記上方キャビティが協動するバルブ本体(2)の少なくとも1つの側面開口部(7、8)を、前記横方向接続壁(17)内の前記開口部(26)を経て、前記下方キャビティ(24)に接続するようになっていることを特徴とする、請求項5および6のいずれかに記載のバルブ。
【請求項8】
前記横方向接続壁(17)内の開口部(6)は、前記ハブの軸線(XX’)に頂点が位置する円のセクターよりなっていることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のバルブ。
【請求項9】
前記横方向接続壁(17)は、これを前記下方キャビティ(24)の側面パーティションに接続する球形または放物フィレット(32)によって、補強されていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載のバルブ。
【請求項10】
全制御バルブ(1)は、全バルブ本体(2)に対する選択された回転角位置に、前記アジャスター(13)を駆動できるモータ(23)を備えていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のバルブ。
【請求項11】
循環ポンプ(33)によりポンプ送りされる冷却剤が通過する自動車のエンジン(34)のための冷却回路において、
請求項1〜10のいずれかに記載の制御バルブ(1)を備え、そのバルブ本体(2)は、前記エンジン(34)からの冷却剤のための入口(35)に接続された軸方向の開口部(4)と、冷却ラジエータ(36)を含む第1分岐路と、前記冷却ラジエータ(36)のまわりにバイパスを形成する第2分岐路と、車室の暖房のためのヒーターコア(38)を含む第3分岐路にそれぞれ接続された3つの流体出口側面開口部(6、7、8)とを備えることを特徴とする冷却回路。
【請求項12】
前記アジャスター(13)の下方キャビティ(24)と協動する前記本体の側面開口部(6)は、前記ラジエータ分岐路に接続されていることを特徴とする、請求項11記載の回路。
【請求項13】
前記アジャスター(13)の前記上方キャビティ(25)と協動する前記バルブ本体(2)の側面開口部(7、8)は、前記第2分岐路および第3分岐路にそれぞれ接続されていることを特徴とする、請求項12記載の回路。
【請求項14】
循環ポンプ(33)によりポンプ送りされる冷却剤が通過する自動車のエンジン(34)のための冷却回路において、
請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載の制御バルブ(1)を備え、前記アジャスター(13)の下方キャビティと協動する前記本体の側面開口部(6)は、前記エンジン(34)からの冷却剤の出口(35)に接続されており、前記バルブ本体(2)の軸方向開口部は、ラジエータ(36)を含む第1分岐路に接続されており、前記本体の残りの2つの側面開口部(7、8)は、一方が、冷却ラジエータ((36)のまわりにバイパスを形成する第2分岐路に接続され、他方が、車室暖房用のヒーターコア(3)を含む第3分岐路に接続されるようになっていることを特徴とする冷却回路。
【請求項15】
循環ポンプ(33)によりポンプ送りされる冷却剤が通過する自動車の熱エンジン(34)のための冷却回路において、
請求項1〜10のいずれかに記載の制御バルブ(1)を備え、前記側面開口部(6、7、8)は、それぞれ、前記バイパス分岐路および前記ヒーターコア(38)のラジエータ(36)の冷却剤出口にそれぞれ接続されており、かつ前記軸方向開口部(4)は、前記エンジン(34)の冷却剤の入口に接続されていることを特徴とする冷却回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−504504(P2008−504504A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518635(P2007−518635)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001553
【国際公開番号】WO2006/010806
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(506280029)
【Fターム(参考)】