説明

流体流れの閉じ込めを強化するための表面特徴を有する固定−回転組立体及び関連するプロセス

【課題】最新式ターボ機械の設計に関し、ターボ機械の種々のセクションを通る流体の流れを妨げるための方法及び組立体の提供。
【解決手段】固定部材172との界面領域182を有する回転部材180を含むターボ機械が記載される。界面領域は陥凹部186のパターンを含む。また、固定部材172と回転部材180との間のギャップ182を通る流体184の流れを制限するための方法が記載される。本方法は、固定部材又は回転部材のうちの少なくとも1つの表面188,178上に陥凹部186のパターンを形成する段階を含む。陥凹部186は、流体流れを妨げるのに十分な大きさ及び形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明が関連する主な科学分野は、最新式ターボ機械の設計である。より具体的には本発明の実施形態は、ターボ機械の種々のセクションを通る流体(例えば、高温ガス)の流れを妨げるための方法及び物品に関する。
【技術分野】
【0002】
ターボ機械は、当該技術分野で公知である。実施例には、ガスタービンエンジン、気体又は液体圧縮ユニット、蒸気タービン、及び同様のものがある。ガスタービンエンジンの幾つかの具体的な実施例は、ターボジェット、ターボプロップ、陸上発電タービン、及び舶用推進タービンエンジンを含む。ガスタービンエンジンの典型的な設計は、燃料と混合される空気を圧縮するための圧縮機を含む。燃料−空気混合気は、取り付けられた燃焼器内で点火されて燃焼ガスを生成する。最新のエンジンでは約1100から2000℃の範囲になる可能性のある高温の加圧ガスは、取り付けられた高圧タービンを転向するように流れを配向するタービンノズルを通って膨張することができる。タービンは通常、ロータシャフトに結合され、圧縮機を駆動する。次いでコアガスが高圧タービンから出て、下流側にエネルギーを提供する。エネルギーは、取り付けられた低圧タービンステージによって抽出される付加的な回転エネルギーの形態、及び/又は排気ノズルを通る推力の形態である。
【0003】
動作中、燃焼器内で生成された熱エネルギーは、1つ又はそれ以上のブレードロータ組立体に高温燃焼ガスを衝突させることによって、タービン内で機械エネルギーに変換される。ほとんどの場合において、ロータ組立体は、実際には「ステータ−ロータ組立体」の構成部品である。ロータ組立体上のロータブレードの列及びステータ組立体上のステータベーンの列は通常、燃焼ガスを「作動させる」ため軸方向に配向された流路全体にわたって交互に延びる。(半径方向に配向された圧縮機及びタービンもまた当該技術分野において公知である)。ステータ要素のベーンを出る高温燃焼ガスのジェットは、タービンブレードに作用して、エンジンタイプに応じてタービンホイールを約3000−15,000rpmの速度範囲で回転させる。
【0004】
ステータ−ロータ組立体は、流体の流れ(ここでは高温ガス)を制限する必要がある状況の実施例を示している。この場合には、ステータ要素とブレード又はバケットとの間の界面における開口部は、高温コアガスが高温ガス経路を出て、場合によってはタービンエンジンのホイール−スペースに入ることができる可能性があるが、これは望ましいことではない。典型的にはこの状況は、隣接するステータ/ロータ表面のセクションから延びることによってガス流路を収縮させるエンジェルウィングシール及びディスカレッジャーを組み込むことによって部分的に対処される。固定部品と回転部品との接合部には幾らかの間隙があることが必要であるので、界面にギャップが残されることになる。しかしながら、ギャップは、高温コアガスが高温ガス経路を出てタービンエンジンのホイール−スペース区域内に入ることができる経路を依然として提供する。他の設計特徴では、例えば、圧縮機から逸らされるパージ空気を使用するなど、高温ガス漏出の問題を改善することができる。しかしながらパージ空気を使用すると、エンジン効率を低下させることがある。
【0005】
ターボ機械内の流体の流れを制限する必要性は、ガス流又は液体流であっても、機械内の様々な場所において極めて重要である。一例として、ロータブレード先端と隣接シュラウドとの間の高温ガスの漏出を最小にすることが不可欠であることが多い。種々のシールは、多くの場合、この目的を達成するために用いられる。実際、ターボ機械は、多数の様々なタイプのシールを含む必要があることが多く、その一部は、以下で説明するラビリンスシールの形態である。他の実施例には、圧縮機とタービンセクションとの間の高圧パッキングシール、インデューサー・フローシール、ステージ間タービンスペーサホイールシール、及びシャフト漏出シールが含まれる。その上、水力タービンシステム又は蒸気タービンシステムは、1つの通路から別の領域まで水又は蒸気の流れを制限するための同様のタイプのシールを必要とすることが極めて多い。
【0006】
その結果、流量制限は、シールを使用することによって、又はターボ機械の回転部品と固定部品との間のギャップを狭める物理的構造体及び付属部品を組み込むことによって部分的には達成することができることは確かに事実である。しかしながら、タービン機械の固定部品と回転部品との間の流体の漏出を低減するための新しい技術は、もしあればかなり関心のあるものとなる。この技術は、例えばガスタービンエンジンのような機械の基本設計要件を依然として忠実に守る必要がある。一般に、全体的なエンジン効率及び完全性を維持する必要がある。その上、ターボ機械又はターボ機械内の特定構成部品に加えられるあらゆる変更は、機械内に構築された全体的な流動場を阻害し、又は悪影響を及ぼしてはならない。また、企図される改良点は、時間を要し且つ経済的でない製造段階又は製造段階の変更を伴うべきではない。更に改良点は、例えば、作動媒体として気体又は液体を用いるものなど、エンジン構造物の様々な設計に適合可能とすべきである。
【特許文献1】米国特許第6,350,102号
【特許文献2】特許出願第11/541,336号
【特許文献3】米国特許第6,504,274号
【特許文献4】米国特許出願第10/841,366号
【特許文献5】米国特許第5,031,921号
【特許文献6】米国特許第4,466,239号
【特許文献7】米国特許第5,074,111号
【発明の開示】
【0007】
本発明の1つの実施形態は、固定部材との界面領域を有する回転部材を備えるターボ機械に関する。
【0008】
別の実施形態は、ターボ機械内の固定部材と回転部材との間のギャップを通る流体の流れを制限するための方法に関する。本方法は、固定部材又は回転部材のうちの少なくとも1つの表面上に陥凹部のパターンを形成する段階を含む。陥凹部は、流体流れを妨げるのに十分な大きさ及び形状を有する。
【0009】
本発明のこれらの概念、並びに他の特徴及び利点は、以下に記載され添付図面で図示された実施形態の詳細な説明に照らして明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、ガスタービンエンジン用の代表的なタービンブレードの概略正面図である。タービン組立体10はロータブレード部分12を含む。外側シュラウド14は、ロータブレード部分12の周りに同軸的に配置される。ロータブレード部分12は、内側根元部分16、翼形部18、及び外側先端部分20を含む。翼形部18は、タービンの作動媒体流路内に外向きに延び、ここで作動媒体ガスは、タービンの表面上に推進力を与える。外側先端部分20は、取り付けられた外側先端シュラウド(この図には示されていない)を含むこともある。これらの特徴部の多くはまた、引用により本明細書に組み込まれる、J.Bailey及びR.Bunkerらに付与された米国特許第6,350,102号に記載されている。
【0011】
図2は、全体的に図1の断面2−2に沿った図1の先端セクション20の角度平面図である。(先端セクションの上部21が別の色合いで強調されている)。先端セクション20は、正圧側壁22、負圧側壁24、前縁26、後縁28、及び先端表面30によって定められる。ブレード部分12(図1)の回転方向は、図2の要素42として全体が表される。タービンブレードのこのセクションに近づく典型的な作動流体方向は、矢印40で示される。(以下に記載するように、本発明は、様々なタイプの「流体」に関連することができるが、高温ガスが例示されることが多い)。高温ガス経路からの漏出空気43の半径方向の流れが先端表面30を越えて(すなわちブレードの上部を越えて)、先端セクションの翼弦に沿って流れるように示されている。
【0012】
図1を参照して、外側シュラウド14は、先端セクション20から間隔を置いて配置され、これらの間に間隙ギャップ32形成するようにする。上記背景セクションで一般的に考察されたように、タービンの性能及び効率は、間隙ギャップ32によって決定的な影響を受ける。漏出流れはブレード表面に推進力を与えず、従って動作をもたらさないので、間隙ギャップ32を通る漏出流れの量が多いほど、タービンの効率性が低くなる。
【0013】
図3は、図1の上部分の断面図であり、すなわち外側シュラウド14及び先端セクション20を示している。典型的にはシュラウド14は、ケーシング(図示せず)によって、より具体的には種々のケーシングハンガーによって構造的に支持される。図はまた、全体的にシュラウド先端組立体の正圧側面44及び負圧側面46を示す。シュラウド14の下面48は、全体的に先端セクション20の先端表面50に面している。
【0014】
図3では、シュラウド面48と先端表面50との間に位置する間隙ギャップ区域32は、界面領域を表す。用語「界面領域」とは、本明細書では、2つの表面間、すなわち固定部材と回転部材との表面間の制限寸法の通常領域を説明するのに用いられる。界面領域の正確な境界は、考慮される特定のターボ機械組立体に応じてある程度変化することになる。図3の組立体に対して、界面領域は、少なくともシュラウド面48の最長寸法の長さだけ延びることになる。(他の実施形態について以下に記載するように、界面領域は、場合によっては対向する面が互いに面する正確な区域よりも越えて延びることができる)。
【0015】
タービンエンジン設計の当業者が理解するように、間隙ギャップ32は、可能な限り小さく設計されるが、接面間の接触は回避される。比較的小さなギャップが漏出空気の流れを制限するように機能するが、ギャップを通るガス流れを更に制限することが多くの場合極めて望ましい。従って、本発明の1つの実施形態によれば、接面48及び50の少なくとも1つは、ガス流れを妨げる陥凹部のパターンを備える。(陥凹部は以下で考察する)。
【0016】
発明者は、この現象に対してどのような特定の理論にも拘束されることを望まないが、各陥凹部は、流体流れが陥凹部上を移動するときに局所的な流れ渦を生成すると思われる。流体流内に渦が放出されると、この渦はガス流れを制限する。このようにして、間隙ギャップ(界面領域)を通るガスの漏出が制限される。(この一般概念は、本出願と同時出願され、引用により本明細書に組み込まれる、R.Bunkerの米国特許出願番号11/541,336(「Stator-Rotor Assemblies Having Surface Features for Enhanced Containment of Gas Flow, and Related Processes(ガス流れの閉じ込めを強化するための表面特徴部を有するステータ−ロータ組立体及び関連プロセス)」に記載されている。米国特許出願第11/541,336号は、主にステータ−ロータ組立体内の界面領域に関する)。
【0017】
本明細書で用いられる用語「陥凹部」とは、極めて広範な凹部、窪み、ディンプル、穴、又はあらゆる他のタイプの離散的なシンクホールを包含することを意味する。幾つかの好ましい実施形態では、各陥凹部は、半球状又は部分半球の形状である。しかしながら、半球形状は、幾何学形状的に正確である必要はなく、すなわち幾らかの曲率の変動が可能である。
【0018】
図4及び図5は、陥凹部に利用可能な種々の半球形状の非限定的な断面図である。図4では、全半球、すなわち全半径Rに等しい深さを有する半球が示される。図5にははるかに浅い陥凹部が描かれている。また、陥凹部の表面縁部も同様に変化することができる。図4では、表面縁部60及び62は、幾分丸く描かれているが、図5では、表面縁部64及び66は比較的鋭利に描かれている。(更に、所与の陥凹部に対する表面縁部の別の部分も、例えば、これらが特定のガス流体流に対して位置付けられる方法に応じて形状を変えることができる)。
【0019】
例示的な図4及び5から明らかなように、陥凹部の深さはかなり変わる可能性がある。最適な深さの選択に関連する要因は、陥凹部全体にわたるガス流れのタイプ及び速度(1つ又はそれ以上の流れの中で)、ガス流れを制限する必要がある程度、陥凹部が置かれる固定表面及び/又は回転表面の形状及び大きさ、陥凹部が形成されることになる手法、並びに局所界面領域の大きさを含む。一般に、商業用ターボ機械の典型的な組立体用の陥凹部の深さは、約0.5mmから約6mmまでにわたることになる。半球又は部分的半球状の陥凹部の場合、深さは通常、約0.5mmから約6mmまで、より多くの場合には約0.5mmから約2.5mmに及ぶことになる。当業者であれば、上述の要因並びに流体流れ研究、流量係数試験、計算上の流体力学予測、及び同様のものに基づいた所与の状況にとって最も適切な陥凹部深さを選択することが可能であろう。
【0020】
上述のように、他の形状を有する陥凹部も可能である。1つの非限定的な例証として、陥凹部68(図6)は、傾斜側壁72と共に比較的平坦な底面70を有することができ、陥凹部の開口がその底部70よりも大きな区域を有するようになる。側壁の勾配の程度は、本明細書で記載される多くの他の要因に応じて有意に変わる可能性がある。
【0021】
陥凹部は、様々な多くの異なるパターンで配置することができる。選択される特定のパターンは、陥凹部の形状及び大きさに関して上記に挙げた要因の多くのものに応じて部分的には決定付けられることになる。通常は、必ずしもそうではないが、陥凹部は互いに均一に間隔を置いて配置される。
【0022】
陥凹部間の距離はまた、ある程度変わる可能性がある。(本明細書での距離は、陥凹部の表面直径によって分割される中心間のスペースの比率として表わされる)。典型的なタービンエンジン組立体の場合、記載される比率は、約1.0から約3.0にまで及ぶことになる。幾つかの場合では、均一に間隔を置いた陥凹部のパターンは、陥凹部の他の列間で陥凹部の交互配置を含むことができる。上述のものと同様の流体流れの研究を利用して、所与の状況において陥凹部の最も適切なパターンを容易に決定することができる。また、パターン自体は、ターボ機械の様々な表面セクションに沿って変化することができる点に留意されたい。(ガス流れに曝される金属表面上の陥凹部の用途、形状、及び配置に関する他の詳細は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6,504,274号(R.Bunker他)で提供される)。
【0023】
陥凹部は、様々な方法によって形成することができる。非限定的な実施例は、種々のフライス加工技術などの機械加工手法を含む。利用可能な他の機械加工プロセスは、放電加工(EDM)及び電解加工(ECM)を含む。場合によっては、陥凹部は、例えばタービンロータ又はシュラウドのインベストメント鋳造法のような特定の構成部品の鋳造中に形成することができる。1つの実施例として、インベストメント鋳型表面は、例えば、「マウンド」、ドーム、ピラミッド、ピン、或いは他のあらゆるタイプの突起又はタービュレーションのようなポジティブ特徴の選択パターンを備えることができる。(これらの特徴を種々の表面に設けるための方法の幾つかは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/841,366号(R.Bunker他)に記載されている)。ポジティブ特徴の形状は、ポジティブ特徴に対して逆になる陥凹部の所要の形状によって決まる。従って、鋳型を取り外した後、部品は陥凹部の選択パターンを含むことになる。当業者であれば、所与の表面上に陥凹部を形成するための最も適切な技術(又は技術の組み合わせ)を容易に決定することができるであろう。
【0024】
図7は、ブレード先端セクション80及びシュラウド84を強調した、別のタービンロータブレードの一部の断面図である。シュラウドは下面86を含む。動作中のブレードの回転方向は、矢印82で示される。本図はまた、界面領域/間隙ギャップ90に向かって貫通して移動する漏出ガス88を描いている。
【0025】
図7は、シュラウド表面86内に組み込まれた陥凹部92のパターンを非限定的に示す。上述のように、陥凹部の具体的な場所、形状、及び大きさは、特定の組立体及びターボ機械の要件を満たすように変わることになる。陥凹部の存在は、ギャップ90を通る漏出ガス88の流れを大きく制限することができる。これまで説明したように、漏出ガスの量の減少は、タービン効率をかなり改善することができる。(同様の方法で、陥凹部の好適なパターンは、図3に描かれたシュラウド内、すなわちシュラウド14の下面48に組み込むことができる)。
【0026】
本発明の種々の実施形態は、様々なロータブレード形状、より具体的にはブレードの先端領域の種々の形状に適用可能である。例えば、ブレード先端セクション80は、先端セクション20(図3)の形状とは異なる形状を有する。セクション80は、上側先端表面94を含む。表面94自体は、突起領域98及び100と共に窪み先端領域96を含む。
【0027】
陥凹部は、シュラウド86上に陥凹部が存在する代わりに、又はこれに加えて、図7で描かれた組立体の種々の表面に組み込むことができる。陥凹部の他の実施可能な場所は、種々の小さな矢印記号で示される。図示のように、陥凹部を上側先端表面94の種々の部分に組み込むことができる。同様に陥凹部は、先端表面50(図3)のあらゆる部分に組み込むことができる。
【0028】
多くの場合、流体流量制限の観点での最大の利点は、回転部材に比べて、主として固定部材の表面に陥凹部を組み込むことによって得られる。しかしながら、異なるタイプの組立体は、陥凹部が固定部材上に存在するか否かに関係なく、回転部材上にこれらの特徴部を配置することにより利点を得ることができる。当業者であれば、これらの教示、並びに上述の種々の実験観察に基づいて、所与のタイプの組立体の陥凹部の配置の最適位置を容易に決定することができるであろう。
【0029】
図8は、本発明の実施形態の別のタイプの組立体を描いたものである。この図は、先端セクション112を含むロータブレード部分110の断面図である。本図はまた、様々な異なる形状及び大きさを想定することができる、シュラウドケーシング114を描いている。シュラウドケーシングは下面116を含む。本図はまた、この特定の組立体内の高温ガス流117及び排出ガス流119の主要経路を描いている。
【0030】
ロータブレード部分110は、従来手段によって先端セクション112に取り付けられる先端シュラウド118(「シュラウドケーシング」114と混同してはならない)を含む。先端シュラウドは、形状及び大きさがかなり変化する可能性がある、1つ又はそれ以上の突起又は「シール歯」120を含むことができる。先端シュラウド及び取り付けられたシール歯は、間隙ギャップ122の有効な大きさを部分的には小さくするように機能する。前述のように、間隙ギャップの大きさの減少は、望ましくはギャップを通る漏出ガス124(高温ガス流117から逃げるもの)の流れを妨げることができる。
【0031】
非限定的な有用な例証として、界面領域が図8に描かれている。界面領域126は、点線128及び130で境界付けられた長さとして示されており、少なくとも間隙ギャップ122を囲む。界面領域の長さ(すなわち、流れライン117及び119に平行な寸法)は、前述のようにある程度まで変化する可能性がある。この場合では、界面領域は一般に、先端シュラウド118の接面とシュラウドケーシング114との間の制限寸法の少なくとも区域を表すが、通常は長さ寸法に沿ったより大きな範囲まで延びる。一例として、界面領域126の長さは、長さ寸法に沿っていずれの方向にも先端シュラウド118を超えて約10%延びるように描かれる。
【0032】
従って図8の実施形態では、陥凹部は通常、界面領域126内のシュラウドケーシング114の下面116の少なくとも一部に組み込まれる。しかしながら、これらはまた、ほぼ平面のセクション132を含む先端シュラウド118の種々のセクション内、及び/又はシール歯120の表面のあらゆる部分上に組み込むこともできる(或いは代替的に組み込むことも可能)。他の実施形態と同様、陥凹部の最も効果的な場所は、これらの教示を参照しながら当業者があまり苦労せずに決定することができる。
【0033】
図9は、本発明のある実施形態の組立体の更に別の図面である。この図は、先端ンセクション142を含むロータブレード部分140の断面図である。シュラウドケーシング144も示されている。シュラウドケーシングは、下面148を有するシュラウド146を保持する。ロータブレード部分140は、先端セクション142に取り付けた先端シュラウド150を含む。この実施形態では、先端シュラウドの上面151は、2つのシール歯152、154を含む。シール歯はまた、先端セクション142の上平面図である図10に描かれる。他の実施形態と同様に、図9及び図10の先端シュラウド及び取り付けられたシール歯は、間隙ギャップ156の効果的な大きさを部分的には小さくするように機能する。このようにして、ギャップを通る漏出ガス158の流れが望ましくは妨げられる。
【0034】
上記教示に従って、界面領域160は一般に、間隙ギャップ156を囲み、通常は先端シュラウドの上面151に面する区域に沿って更に延びる。言い換えれば、界面領域は、両方向の図10に示す長さ(L)寸法を超えて約10%延びると言える。上述の陥凹部は、通常、界面領域160内のシュラウドケーシング144の下面148の少なくとも一部に組み込まれる。これらは更に(或いは代替的に)、ほぼ平面のセクション151(図10)並びにシール歯152及び154の表面セクションを含む、先端シュラウド150の種々のセクションに組み込むことができる。
【0035】
図11は、ラビリンスシールの例証である。一般にラビリンスシールはまた、固定表面と回転表面との間の蛇行路のような、制限された流体流れの領域を提供する。現在の非限定的な実施例では、ラビリンスシールは、シュラウドブレード先端組立体170内に形成されている。シュラウド172は、部分的に漏れディスカレッジャーとして機能する複数の窪み領域174を含む。窪み領域は、シュラウドの本体内に配置された円周方向の溝として描かれているが、これらの形状及び大きさはかなり変化する可能性がある。
【0036】
ラビリンスシールの別の要素は、ブレード先端180の上部に取り付けた先端キャップ流れディスカレッジャー176のセットである。先端キャップ流れディスカレッジャーは、窪み領域174と位置合わせされ、間隙ギャップ182を定めて、ラビリンス構成を形成するようにされる。他の実施形態の構造体の場合と同様に、ラビリンスシールは、ギャップ182を通る漏出ガス184の流れを妨げる。
【0037】
この実施形態では、陥凹部186は、シュラウド172内に組み込まれるものとして示される。陥凹部は、窪み領域174の表面及びシュラウドの下面188上の両方の上に形成することができる。他の実施形態と同様に、陥凹部の大きさ、形状、及び配置は、上記で考察した要因の多くに応じて大きく変わる可能性がある。その上、陥凹部はまた、先端キャップ178の種々のセクションに組み込むことができる(又は代替として組み込むことができる)。これらのセクションは、ブレード先端表面178、及び流れディスカレッジャー176の表面のいずれかを含む。
【0038】
図11は、シュラウドとタービンブレードの先端セクションとの間のラビリンスシールを描いている。しかしながら、多くの他のタイプのラビリンスシールは、本発明の特徴に適用できることは強調する必要がある。例えばラビリンスシールは、ターボ機械の他のセクションに含まれることができる。非限定的な実施例では、圧縮機とタービンセクションとの間の種々の高圧パッキングシール、ステージ間タービンスペーサホイールシール、インデューサー・フローシール、ステージ間圧縮機ホイールシール、シャフト漏出シール、及びシャフト・グランドシールを含む。(本発明は、例えばブラシシール、摩耗性シール、フォイルシール、及び同様のもののような他のタイプのシールにも好適であることを理解されたい)。
【0039】
これらのタイプのシールの各々を有する組立体は当該技術分野で公知である。一例として、グランドシールは通常、閉回路冷却システムと共に用いられる。これらは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,031,921号に記載されているように、蒸気タービン内の組立体内に組み込まれることが多い。ガスタービンエンジンで用いられるインデューサー・シールの実施例は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4,466,239号で見出すことができる。更に、米国特許第5,074,111号(同様に引用により本明細書に組み込まれる)は、圧縮機及びタービンエンジンのタービンセクションを分離するのに利用される種々のタイプのシールを記載している。当業者であれば、本明細書に記載した本発明から利点を得ることができる、ターボ機械内の他の具特定領域を認識することができるであろう。
【0040】
上記で触れたように、本明細書に記載した本発明の概念は、様々なタイプの流体に適用することができる。従って、用語「流体」は、気体、液体、気体−液体混合物、2相流体、多成分流体、又はこれらの種々の組み合わせについて表すものとする。非限定的な実施例として、本発明は、例えば、あらゆるタイプの水力発電システムで用いるもののような、水力タービン内に組み込むことができる。
【0041】
更にまた、多くの様々なタイプのターボ機械は、本発明の特徴を組み込むことができる点を強調する必要がある。ターボ機械の他のタイプの非限定的な実施例は、気体圧縮ユニット、液体圧縮ユニット、エキスパンダー、ハイドロタービン、及び蒸気タービンを含む。これらの機械の組み合わせはまた本発明の範囲内にある。
【0042】
本発明は、本発明の詳細な実施形態に関して図示され記載されてきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の形態及び詳細に種々の変更を加えることができる点は理解されるであろう。更に、上述の特許、特許文献、及び他の文献の全ては、引用により本明細に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ガスタービンエンジン用の代表的なタービンブレードの概略正面図。
【図2】タービンブレードの先端セクションの角度平面図。
【図3】図1のタービンブレードの上部の断面図。
【図4】陥凹部を含む物品表面の部分側面図。
【図5】陥凹部を含む物品表面の別の部分側面図。
【図6】陥凹部を含む物品表面の別の部分側面図。
【図7】ブレード先端セクション及び隣接シュラウドを描いたタービンロータブレードの部分の断面図。
【図8】ロータブレード及び隣接シュラウドケーシングの一部の断面図。
【図9】ロータブレード及び隣接シュラウドケーシングの一部の断面図。
【図10】図9のロータブレードの先端セクションの平面図。
【図11】シュラウドとタービンブレードの先端セクションとの間のラビリンスシールの断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 タービン組立体
12 ロータブレード部分
14 外側シュラウド
16 内側根元部分
18 翼形部
20 外側先端部分
22 正圧側壁
24 負圧側壁
26 前縁
28 後縁
30 先端表面
32 間隙ギャップ
40 ガス経路矢印
44 正圧側面
46 負圧側面
48 シュラウドの下面
50 先端表面
60 表面縁部
62 表面縁部
64 表面縁部
66 表面縁部
68 陥凹部
70 底面
72 傾斜側壁
80 ブレード先端セクション
82 回転方向の矢印
84 シュラウド
86 シュラウドの下面
88 漏出ガス
90 間隙ガス/界面領域
92 陥凹部
94 上側先端表面
96 窪み先端領域
98 先端セクションの突起領域
100 先端セクションの突起領域
110 ロータブレード部分
112 先端セクション
114 シュラウドケーシング
116 シュラウドケーシングの下面
117 高温ガス流れ
118 先端シュラウド
119 排出ガス流れ
120 シール歯
122 間隙ガス
124 漏出ガス
126 界面領域
128 界面領域境界の点線
130 界面領域境界の点線
132 先端シュラウドの平面セクション
140 ロータブレード部分
142 先端セクション
144 シュラウドケーシング
146 シュラウド
148 下面
150 先端シュラウド
151 先端シュラウドの上面
152 シール歯
154 シール歯
156 間隙ギャップ
158 漏出ガス
160 界面領域
170 シュラウドブレード先端組立体
172 シュラウド
174 窪み領域
176 先端キャップ流れディスカレッジャー
178 先端キャップ
180 ブレード先端
182 間隙ギャップ
184 漏出ガス
186 陥凹部
188 シュラウドの下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材(84)との界面領域(90)を有する回転部材(80)を備え、前記界面領域(90)が陥凹部(92)のパターンを含むことを特徴とするターボ機械の組立体。
【請求項2】
前記陥凹部(92)が、半球又は部分的半球の形状であることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記界面領域(90)が、前記回転部材(80)と前記固定部材(84)との間の流体(88)の流れを制限する流量制限領域であることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記流体(88)が、気体、液体、気体−液体混合物、2相流体、多成分流体、及び前述のいずれかの組み合わせからなるグループから選択された物質を含むことを特徴とする請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記ターボ機械が、ガスタービンエンジンである請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記界面領域(182)の少なくとも一部が、前記回転部材(180)と前記固定部材(172)との間にシール(174、176)を含み、陥凹部(186)の前記パターンが、前記シール(174、176)の少なくとも1つの表面(188)上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記シール(174、176)が、ラビリンスシールであり、陥凹部(186)の前記パターンが、前記ラビリンスシールの少なくとも1つの表面(188)上に配置されることを特徴とする請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記ターボ機械が、気体圧縮ユニット、液体圧縮ユニット、エキスパンダー、ハイドロタービン、蒸気タービン、水力タービン、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
回転部材(180)及び固定部材(172)の対向する面(188,178)を含み、陥凹部(186)のパターンが前記対向する面(188,178)の少なくとも1つの上に配置されるターボ機械。
【請求項10】
ターボ機械内の固定部材(172)と回転部材(180)との間のギャップ(182)を通る流体(184)の流れを制限する方法であって、
前記固定部材又は前記回転部材のうちの少なくとも1つの表面(188,178)上に、流体流れ(184)を妨げるのに十分な大きさ及び形状を有する陥凹部(186)のパターンを形成する段階を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−101614(P2008−101614A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253384(P2007−253384)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】