説明

流量及び差圧を制御する複合装置

本発明は、液体を導く暖房設備又は冷房設備の流量又は差圧を制御する複合装置(1)であって、1つの部分又は複数部分から成りかつ流入管片(10)、流出管片(11)及びこれらの管片の間に設けられる接続管片(6)を備えたハウジング(2)、接続管片(6)内に軸線方向に設けられる制御装置(3)を含み、接続管片(6)内に軸線方向に設けられかつハウジング(2)から突出して第2の座(24)に作用する操作部材(8)により調節可能な第1の流量制御装置(4)により、また軸線方向に又は第1の流量制御装置(4)に対して同軸的に設けられて初期設定可能な第2の流量制御装置(5)により制御装置(3)が差圧を所定の値に一定に保持し、流通断面(9)が設定可能であるものにおいて、操作部材(8)に作用する操作器(29)が取付けられる際、操作器により覆われない取っ手(7)により、流通断面(9)が調節可能であり、操作器(29)が取付けられる際、操作器により覆われない表示装置(19)において取っ手(7)の位置が読取り可能であり、表示装置(19)が流通断面(9)の初期設定を表すことを特徴とする、複合装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を導く暖房装置又は冷房装置の流量又は差圧を制御する複合装置であって、1つの部分又は複数部分から成りかつ流入管片、流出管片及びこれらの管片の間に設けられる接続管片を備えたハウジング、接続管片内に軸線方向に設けられる制御装置を含み、制御装置が目標値の作用を受ける可動隔壁を備え、第1の座に作用する閉鎖片により、可動隔壁が差圧で制御されて制御断面を変化し、接続管片内に軸線方向に設けられかつハウジングから突出して第2の座に作用する操作部材により調節可能な第1の流量制御装置により、また軸線方向に又は第1の流量制御装置に対して同軸的に設けられて初期設定可能な第2の流量制御装置により、制御装置が差圧を所定の値に一定に保持し、流通断面が設定可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2006/031161号明細書から、1つの部分から成る複合装置が公知であり、差圧制御部材、体積流量限定部材、測定ニップル及び遮断装置がハウジングに統合されている。工具により体積流量が無段階に初期設定可能であり、各初期設定値において常に完全な弁行程が可能であるように、この複合装置が構成されている。
【0003】
この構成は、初期設定が接近しがたい操作器側から行われ、初期設定値を変化しかつ/又は読取るために、操作器を取外さねばならない、という欠点を持っている。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許第10323981号明細書から、2つの部分から成るハウジングを持つ暖房弁装置が公知であり、弁座及び弁素子を持つ第1の弁装置がハウジングの第1の部分に収容され、第1の弁装置を介して差圧を一定に保つ第2の弁装置がハウジングの第2の部分に収容されている。
【0005】
この実施形態は、流量値の初期設定が考慮されていない、という欠点を持っている。
【0006】
両方の公知の実施形態では、構成部品が互いに軸線方向に設けられ、かつ媒体の流れ方向に対して横方向に向く管片内に設けられている。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許第19824630号明細書から組合わせ弁が公知であり、個々の構成部分が軸線方向には設けられていない。この装置は多くの場所を必要とし、更に構成部分を組込まねばならない特定の順序が規定されている。
【0008】
初期設定を持つ公知の弁装置では、初期設定を常に操作器側から行わねばならないという欠点がある。これは特に次の理由から不利である。即ちこのような複合装置は、冷房天井等を制御するための空間の天井範囲に組込まれ、その上にねじ止めされる電動、電熱又は熱操作器と共になるべく垂直に立つように組込まれて、管路から滴下する湿気水に対して操作器を保護するからである。このような組込み姿勢で、初期設定及び取付けられる目盛が、接近し難い空間天井の方を向く。従って対応する素子は、設定及び読取りのために、接近し難くかつ読取り難い。更に公知の構造では、初期設定を行いかつ/又は読取ることができるようにするため、まず常に操作器を取外さねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この従来技術から出発して、本発明の基礎になっている課題は、小さい寸法を持ちかつ安価に製造される複合装置を提供し、操作器が上にねじ止めされる場合にも、初期設定の操作がよく行われ、操作器が上にねじ止めされる場合そのつど選ばれる初期設定値がよく読取り可能であるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、本発明は次のことを提案する。即ち操作部材に作用する操作器が取付けられる際、操作器により覆われない取っ手により、流通断面が調節可能であり、操作器が取付けられる際、操作器により覆われない表示装置において取っ手の位置が読取り可能であり、表示装置が流通断面の初期設定を表わす。
【0011】
この構成により、操作器を取付ける場合にも流通断面を設定することが可能である。なぜならば、取っ手は操作器により覆われていないからである。更に操作器が取付けられる場合、設定が読取り可能である。
【0012】
3つの制御装置組立て体を軸線方向に設け、即ち接続管片に第1の流量制御装置及び第2の流量制御装置を第1の流量制御装置の周りに同軸的に設けることによって、場所を節約しかつ小さい寸法で複合装置を製造することができる。このことは重要である。なぜならば、このような装置の組込み条件はしばしば非常に制限されているからである。このことは特に冷房天井設備における使用に当てはまり、そこではこのような設備を吊るされる天井内に設置せねばならない。
【0013】
複合装置の組込み後、一般に暖房及び/又は冷房設備の機能検査が行われる。この場合操作器が複合装置の上にねじ止めされる。なぜならば、操作器は機能検査の構成部分だからである。設備機能検査の範囲内で、個々の設備部分例えば冷房天井の液圧整合の微調整も行われる。このため第2の流量制御装置の初期設定が変化され、それにより個々の設備部分の最大に可能な流量が規定される。このような設備には大抵の場合数百ないし数千の複合装置が設けられているので、まず操作器をねじはずし、それから初期設定の変化後再びねじ止めせねばならない時、それは著しい超過費用を意味する。機能検査後、更に制御記録部を設けることが必要である。このため組込み位置を精確に規定されている個々の複合装置の初期設定値が読取られて、記録部に記録される。初期設定値を読出すため、操作器をねじ外し、後で再びねじ止めせねばならない時、この場合も著しい超過費用が生じる。
【0014】
設備を後で作動させる場合誤動作を速やかに除去できるようにするためにも、操作器の余分な取外し費用なしに初期設定値を読取って修正できると、有利である。本発明による解決策によって、上述した費用が最小にされる。なぜならば、操作器の取付けの際すべての必要な過程を行うことができるからである。
【0015】
流れ方向において、流入管片に続いて制御装置が設けられ、それから第1の流量制御装置が設けられ、それから第2の流量制御装置が設けられ、続いて流出管片が設けられているように、配置が、行われているとよい。
【0016】
流れ方向においてまず制御装置が設けられ、それから第1の流量制御装置が設けられ、その際流量値の初期設定が、その代りに又はそれに加えて第1の流量制御装置の設定可能な行程限定を介して行われるようにすることもできる。
【0017】
公知のように、可動隔壁が膜として構成されているようにすることができる。
【0018】
更に表示装置が目盛であるようにすることができる。
【0019】
好ましい展開によれば、接続管片が両端で開くように構成され、接続管片を貫通しかつ取っ手を備えた操作心棒により、第2の流量制御装置の流通断面が設定可能であり、第1の流量制御装置を調節する操作部材が、取っ手とは反対側にある接続管片の端部を貫通している。
【0020】
場所を節約して3つの組立て体を収容する接続管片の両端に接近可能であることにより、接続管片の一方の側から、操作器により第1の流量制御装置の調節を行い、反対の他方の側で、取っ手により第2の流量制御装置の操作を行うことができる。
【0021】
これらの複合装置がなるべく吊るされる天井内の冷房天井設備に組込まれ、操作器を管路から滴下する発汗水に対して保護するため、これらの操作器がなるべく垂直に立つように設置されるので、この構成は次の利点を持っている。即ち上からねじ止めされて天井の方へ向く操作器の場合、初期設定の操作及び選ばれた初期設定の読取りを、空間の方へ向いてよく接近可能な側から行うことができる。
【0022】
更に、接続管片が、取っ手とは反対側にある端部に、操作器用の取付け装置を備えている。
【0023】
取付け装置は、操作器の取付けを簡単に可能にする。取付け装置として例えばねじ結合装置又はスナップ結合装置が用いられる。
【0024】
更に第2の流量制御装置が、取っ手により互いに回転可能及び/又は移動可能な少なくとも2つの部分により形成され、これらの部分が互いに重なる開口を持ち、両方の部分の少なくとも1つの回転及び/又は移動により、互いに重なる開口により形成される流通路の大きさが設定可能であるのが好ましい。
【0025】
この構成では、取っ手の回転により流通断面の変化が行われ、その際流通断面を形成する両方の開口を互いに回転し、かつ/又はこれらの開口を互いに軸線方向に移動させるのが有利である。好ましい構成では、両方の部分が互いに回転されかつ軸線方向にも互いに移動される。
【0026】
ねじを備えた一方の部分が取っ手の回転運動により駆動され、同様にねじを備えた他方の部分が回転角に相当するねじピッチだけ軸線方向に移動されることによって、両方の部分の互いの軸線方向移動が行われる。これは同時に第1の流量制御装置の行程限定を行い、これも流量値を絞るのに利用することができる。この場合も初期設定のための場所を節約する構造という特別の利点を生じる。
【0027】
更に制御装置が、第1及び第2の流量制御装置と共に、係合又はねじ結合装置により固定的に結合されかつ単位体としてハウジング又は接続管片へ差込み可能な組立て体を形成しているのがよい。
【0028】
その利点は、複合装置の全内部機構の速やかで問題のない交換を可能にすることである。これにより複合装置は非常に保守し易く構成され、交換によって複合装置の流通範囲も速やかに変化することができる。このことは設備変更または設備拡張の際必要である。更にこれにより製造工程で複合装置の組立てが簡単化され、それにより安価になる。
【0029】
更にハウジングが、圧力及び/又は温度を測定する1つ又は複数の測定管片を備えているのがよい。
【0030】
制御記録を行うため、複合装置を介して制御される差圧の測定がしばしば規定される。このためハウジングが1つ又は複数の測定管片を備えている。しかし測定管片は、場合によっては必要となる設備の欠陥追及の場合にも役に立つ。それらは、圧力の測定のほかに温度の測定も可能にする。
【0031】
更に取っ手が回転及び/又は行程運動を限定するストッパを備えているのが好ましい。
【0032】
ストッパによる回転運動の限定は役に立つ。なぜならば、回転及び移動可能な部分の行程運動がこれにより簡単に制限されるからである。
【0033】
更に膜として構成される隔壁により、制御装置が差圧で制御されて制御断面を変化し、膜が一定の作用面を持つうねり膜として構成され、この作用面が、一方では第1の流量制御装置の前にある圧力通路を介して、他方では第2の制御装置の後にある圧力通路を介して、作用を受けるのが好ましい。
【0034】
膜をうねり膜として構成すると、小さい構造空間の場合膜が大きい行程を行うことができるという利点が生じる。うねり膜に特有の一定な作用面は、制御装置の比例偏差を少なくするという利点を生じる。第1の流量制御装置の前及び第2の流量制御装置の後における圧力の取出しは、制御装置が両方の絞り断面を介して差圧を一定に保持し、それにより複合装置の高い弁威力を与えるという利点を与える。
【0035】
更に複合装置が第1及び/又は第2の流量制御装置により液密に遮断可能であるようにすることができる。
【0036】
複合装置の液密な遮断は、後に接続される設備部分を保守する別の遮断弁を管路に組込む必要がない、という利点を与える。
【0037】
更に取っ手が、回転を伝えるようにただし軸線方向に移動可能に操作心棒上に取付けられて、第1の行程位置においてハウジングに対して自由に回転可能であり、第2の行程位置においてハウジング又はハウジングに相対回転しないように取付けられるねじ蓋のような部分により拘束されているのが好ましい。
【0038】
予期しない誤設定を防止される流量値の初期設定が利点として生じる。特に冷房天井設備の吊るされる天井に組込む際、このことは重要である。なぜならば、ここでは順次に異なる業者(電機、暖房、冷房、換気、絶縁等)が作業し、それにより保護されない初期設定が意図せずに変えられることがあるからである。
【0039】
更に取っ手及び操作心棒が、行程を限定するストッパを備えているのが好ましい。
【0040】
取っ手が、回転運動を限定するためハウジングストッパへ作用する1つ又は複数の回転限定ストッパを持ち、ハウジングストッパが同時に指針として構成されているのが好ましい。
【0041】
ハウジングストッパを指針として構成すると、取っ手の回転位置が、この取っ手に印刷される目盛りにより容易に確かめられ、ハウジングストッパのほかに余分な指針が必要でない、という利点が生じる。
【0042】
更に取っ手が、ハウジング直径を越えて突出しかつ斜めに設けられる1つ又は複数の環状面を持ち、この面に設けられる目盛が、互いに重なる開口の位置を表わすのが好ましい。
【0043】
1つ又はなるべく複数の斜面に目盛を印刷することによって、複数の側から目盛を読取ることができる。このことは、目盛への視界が他の設備部分により隠される時特に重要である。
【0044】
更に取っ手とハウジング又はそれに取付けられるねじ蓋のような部分との間へ押込まれている止め輪により、取っ手が第2の行程位置に保持可能であるのが好ましい。
【0045】
予期しない調節に対して初期設定を更に保護するため、止め輪を取付けることができる。それにより部材の歯が常にかみ合ったままであり。取っ手を回すことができない。
【0046】
更に取っ手がばねにより両方の行程位置の1つへ押されており、第2の行程位置が、取っ手への軸線方向力導入によってのみ設定可能であるのがよい。
【0047】
ばねに関連してこの配置により、取っ手が操作後常にその初期位置へ動かされ、この位置で適当な部材により拘束され、従って予期しない移動を防止される、という利点が生じる。ばねの力に抗して取っ手の移動により初めて、取っ手が移動及び設定を可能にする適当な素子と係合する。
【0048】
更に止め輪が、ハウジング直径から突出する取っ手を備えているのが好ましい。
【0049】
取っ手が鉛封印穴を持っていることもできる。
【0050】
更にハウジングストッパが、取っ手の鉛封印穴に重なることができる鉛封印穴を持っているようにすることができる。
【0051】
本発明の実施例が図面に示されており、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】 中心を通る縦断面で見て上に操作器をねじ止めされる複合装置を2つの異なる位置で示す。
【図2】 制御装置を個別図として2つの異なる行程位置で示す。
【図3】 第1の流量制御装置を2つの異なる行程位置で示す。
【図4】 複合装置を2つの異なる行程位置で示す。
【図5】 止め輪及び圧力測定管片を持つ複合装置を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図面には、液体を導く暖房又は冷房設備において流量又は差圧を制御する複合装置1が示されている。この装置は、流入管片10、流出管片11及びその間に設けられる接続管片6を持つハウジング2を含んでいる。接続管片6内には、軸線方向に制御装置3が設けられて、目標値の作用を受ける可動隔壁20を備えている。この隔壁20は、第1の座21に作用する閉鎖片22により、差圧で制御されて制御断面14を変化し、制御装置3は、同様に接続管片6内に軸線方向に設けられかつハウジング2から突出して第2の座24に作用する操作部材8により調節可能な第1の流量制御装置4によって、また軸線方向に又はこの流量制御装置4に対して同軸的に設けられて初期設定可能な第2の流量制御装置5によって、差圧を所定の値に一定に保つ。操作部材8に作用する操作器29が取付けられると、操作器29により覆われない取っ手7により、流通断面9が調節可能である。操作器29が取付けられると、取っ手7の位置は、操作器29により覆われない表示装置19で読取り可能であり、その際表示装置19が流通断面9の初期設定を表わす。
【0054】
操作部材8には、第2の座24と共同作用する閉鎖片24′が設けられている。複合装置1の配置は次のように行われる。即ち流れ方向に流入管片10に続いて、制御装置3、それから第1の流量制御装置4、その後に第2の流量制御装置5、続いて流出管片11が設けられている。
【0055】
可動隔壁20は膜として構成されている。表示装置19は目盛である。
【0056】
接続管片6は両端で開くように構成されている。接続管片6を貫通しかつ取っ手7を備えた操作心棒23により、第2の流量制御装置5の流通断面9が設定可能である。第1の流量制御装置4を調節する操作部材8は、取っ手7とは反対の側にある接続管片6の端部12を貫通している。こうして接続管片6の一方の側から、操作器29により第1の流量制御装置4の調節を行い、反対の他方の側で、取っ手7により第2の流量制御装置5の操作を行うことができる。
【0057】
接続管片6の端部12には、更に操作器29用の取付け装置が設けられている。このような取付け装置は、例えばねじ結合装置又はスナップ結合装置であってもよい。
【0058】
流通断面9の変化は、取っ手7の回転により行われる。これにより流通断面9を形成する開口17,18が互いに回転され、かつ/又は互いに軸線方向に移動される。実施例では、回転及び移動可能な部分15と16が、互いに回転されかつ互いに軸線方向に移動される。
【0059】
ねじを持つ部分16が取っ手7の回転運動により駆動され、同様にねじを持つ部分16が回転角に相当するねじピッチの寸法だけ軸線方向に移動することによって、移動が行われる。これが同時に第1の流量制御装置4の行程限定を行い、これを同様に流量値の絞りに利用することができる。
【0060】
実施例では、制御装置3が、係合又はねじ結合装置30により固定的に結合される第1及び第2の流量制御装置4,5と共に共通な組立て体を形成している。それによりこれらの流量制御装置を単位体として、ハウジング2又は接続管片6へ差込むことができる。更にハウジングに、圧力及び/又は温度を測定する測定管片31,32も設けられている。取っ手7は更に回転運動及び/又は行程運動を限定するストッパ33を備えている。
【0061】
制御装置3は、膜として構成される隔壁20により制御断面14を差圧で制御されて変化し、膜20は一定の作用面を持つうねり膜として構成され、一方では第1の流量制御装置4の前の圧力通路37を経て、他方では第2の流量制御装置5の後の圧力通路38を経て、液体の作用を受けている。
【0062】
取っ手7は回転を伝えるようにただし軸線方向に移動可能に操作心棒23上に設けられ、第1の行程位置ではハウジング2に対して自由に回転可能であり、第2の行程位置ではハウジング2に相対回転しないように取付けられるねじ蓋25を介して、ハウジング2により拘束されている。
【0063】
更に取っ手7及び操作心棒は行程を限定するストッパ26,27を持っている。取っ手7は、ハウジングストッパと共同作用して回転運動を限定する1つ又は複数の回転限定ストッパ33を持ち、ハウジングストッパは同時に指針34として構成されているのがよい。取っ手は、取っ手7とハウジング2又はそれに取付けられるねじ蓋25のような部分との間に押込まれている止め輪35によって、第2の行程位置に保持されている。更に取っ手7は、ばね28によって両方の行程位置の1つへ押されている。第2の行程位置は、取っ手7への軸線方向力導入によってのみ、ばね28の力に抗して設定可能である。更に止め輪35は、ハウジング直径から突出する取っ手36を備えている。この取っ手36は鉛封印穴を持ち、ハウジングストッパ34(指針)も鉛封印を持ち、この鉛封印が取っ手36の鉛封印穴に重なることができるので、鉛封印を行うことができる。
【0064】
図1において、取っ手7は左側で第2の行程位置において示され、この位置で取っ手7がねじ蓋25により相対回転しないように拘束されている。右側で取っ手7は第1の行程位置において示され、この位置で取っ手7はハウジング2に対して自由に回転可能である。
【0065】
取っ手7は、操作心棒23に取付けられるばねによって、常に第2の行程位置へ押し戻される。相対回転しないけれども軸線方向に可動に操作心棒23上に設けられる取っ手7により、完全な制御装置3及びこの制御装置3に相対回転しないように取付けられる部分16を回すことができ、その際接続管片6内における取っ手の軸線方向位置は変わらない。この回転運動により、開口17,18により決定される流通断面9が変化される。開口18は部分16にあり、開口17は部分15にある。部分15は、歯付き部40によりハウジング2内に相対回転しないけれども軸線方向移動可能に保持され、ねじにより部分16上へねじはめられている。取っ手7の回転運動により、部分15が軸線方向に移動する。図1の左側には下の行程位置が示され、右側には上の行程位置が示されている。
【0066】
制御すべき流量は、流入管片10、制御装置3、第1及び第2の流量制御装置4,5、及び流出管片11の順序で、複合装置1を通って流れる。この場合流量は第1の流量制御装置4及び第2の流量制御装置5により、最大値に限定することができる。
【0067】
この場合第1の流量制御装置4は、上にねじはめられる操作器29によって設定される。操作器29は例えば室温に関係して制御される。操作部材8は、弁ばねにより操作器29の突き棒へ押付けられる。第2の流量制御装置5は、液圧整合のために必要な複合装置1の流量を、固定値に限定する。
【0068】
図2は制御装置3を示す。第1及び第2の流量制御装置4,5を介する差圧が、膜に作用する目標値ばねの力より小さい時、左側は、現れる上の行程位置を示す。図2の右側は、閉鎖片22が座22へ向かって遮断している下の行程位置を示す。更に第1の流量制御装置4前及び第2の流量制御装置5の後における圧力取出しが認められる(符号37,38)。同様に第2の流量制御装置5の後の圧力を膜20の下側へ導く圧力通路38が示されている。
【0069】
操作部材8を持つ第1の流量制御装置4が図3に示され、操作部材8は弁ばね内で操作器29の突き棒へ押付けられる。左側は流量制御装置4の完全に開かれた位置を示し、右側は閉じられた位置を示す。
【0070】
図4はほぼ図2に相当し、操作器29のみが示されていない。
【0071】
図5には複合装置1が示されている。ここでは操作器29の代わりに蓋39がねじはめられ、この蓋により第1の流量制御装置4を手動で遮断することができる。更に測定管片31,32及び2つの目盛19を備えた取っ手7が示されている。取付けられた止め輪35の取っ手36は、指針34に対して形成されるハウジングストッパの所に回されて示されている。この位置で、それぞれ指針34及び取っ手36に設けられる鉛封印穴が一直線をなす。
【0072】
本発明は実施例に限定されず、開示の範囲内で多様に変更可能である。
【0073】
明細書及び/又は図面に開示されるすべての新しい個々の特徴及びその組合わせは、本発明にとって重要なものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を導く暖房設備又は冷房設備の流量又は差圧を制御する複合装置(1)であって、1つの部分又は複数部分から成りかつ流入管片(10)、流出管片(11)及びこれらの管片の間に設けられる接続管片(6)を備えたハウジング(2)、接続管片(6)内に軸線方向に設けられる制御装置(3)を含み、制御装置(3)が目標値の作用を受ける可動隔壁(20)を備え、第1の座(21)に作用する閉鎖片(22)により、可動隔壁(20)が差圧で制御されて制御断面(14)を変化し、接続管片(6)内に軸線方向に設けられかつハウジング(2)から突出して第2の座(24)に作用する操作部材(8)により調節可能な第1の流量制御装置(4)により、また軸線方向に又は第1の流量制御装置(4)に対して同軸的に設けられて初期設定可能な第2の流量制御装置(5)により、制御装置(3)が差圧を所定の値に一定に保持し、流通断面(9)が設定可能であるものにおいて、操作部材(8)に作用する操作器(29)が取付けられる際、操作器により覆われない取っ手(7)により、流通断面(9)が調節可能であり、操作器(29)が取付けられる際、操作器により覆われない表示装置(19)において取っ手(7)の位置が読取り可能であり、表示装置(19)が流通断面(9)の初期設定を表わすことを特徴とする、複合装置。
【請求項2】
流れ方向において、流入管片(10)に続いて制御装置(3)が設けられ、それから第1の流量制御装置(4)が設けられ、それから第2の流量制御装置(5)が設けられ、続いて流出管片(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の複合装置。
【請求項3】
流れ方向においてまず制御装置(3)が設けられ、それから第1の流量制御装置(4)が設けられ、その際流量値の初期設定が、その代りに又はそれに加えて第1の流量制御装置(4)の設定可能な行程限定を介して行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合装置。
【請求項4】
可動隔壁(20)が膜として構成されていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の複合装置。
【請求項5】
表示装置(19)が目盛であることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の複合装置。
【請求項6】
接続管片(6)が両端で開くように構成され、接続管片を貫通しかつ取っ手(7)を備えた操作心棒(23)により、第2の流量制御装置(5)の流通断面(9)が設定可能であり、第1の流量制御装置(4)を調節する操作部材(8)が、取っ手(7)とは反対側にある接続管片(6)の端部(12)を貫通していることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の複合装置。
【請求項7】
接続管片(6)が、取っ手(7)とは反対側にある端部(12)に、操作器(29)用の取付け装置(13)を備えていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の複合装置。
【請求項8】
第2の流量制御装置(5)が、取っ手(7)により互いに回転可能及び/又は移動可能な少なくとも2つの部分(15,16)により形成され、これらの部分(15,16)が互いに重なる開口(17,18)を持ち、両方の部分(15,16)の少なくとも1つの回転及び/又は移動により、互いに重なる開口(17,18)により形成される流通路の大きさが設定可能であることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の複合装置。
【請求項9】
制御装置(3)が、第1及び第2の流量制御装置(4,5)と共に、係合又はねじ結合装置(30)により固定的に結合されかつ単位体としてハウジング(2)又は接続管片(6)へ差込み可能な組立て体を形成していることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の複合装置。
【請求項10】
ハウジング(2)が、圧力及び/又は温度を測定する1つ又は複数の測定管片(31,32)を備えていることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の複合装置。
【請求項11】
取っ手(7)が回転及び/又は行程運動を限定するストッパ(33)を備えていることを特徴とする、請求項1〜10の1つに記載の複合装置。
【請求項12】
膜として構成される隔壁(20)により、制御装置(3)が差圧で制御されて制御断面(14)を変化し、膜(20)が一定の作用面を持つうねり膜として構成され、この作用面が、一方では第1の流量制御装置(4)の前にある圧力通路(37)を介して、他方では第2の制御装置(5)の後にある圧力通路(38)を介して、作用を受けることを特徴とする、請求項1〜11の1つに記載の複合装置。
【請求項13】
複合装置が第1及び/又は第2の流量制御装置(4,5)により液密に遮断可能であることを特徴とする、請求項1〜12の1つに記載の複合装置。
【請求項14】
取っ手(7)が、回転を伝えるようにただし軸線方向に移動可能に操作心棒(23)上に取付けられて、第1の行程位置においてハウジング(2)に対して自由に回転可能であり、第2の行程位置においてハウジング(2)又はハウジングに相対回転しないように取付けられるねじ蓋(25)のような部分により拘束されていることを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載の複合装置。
【請求項15】
取っ手(7)及び操作心棒(23)が、行程を限定するストッパ(26,27)を備えていることを特徴とする、請求項1〜14の1つに記載の複合装置。
【請求項16】
取っ手(7)が、回転運動を限定するためハウジングストッパへ作用する1つ又は複数の回転限定ストッパ(33)を持ち、ハウジングストッパが同時に指針(34)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜15の1つに記載の複合装置。
【請求項17】
取っ手(7)が、ハウジング直径を越えて突出しかつ斜めに設けられる1つ又は複数の環状面を持ち、この面に設けられる目盛が、互いに重なる開口(17,18)の位置を表わすことを特徴とする、請求項1〜16の1つに記載の複合装置。
【請求項18】
取っ手(7)とハウジング(2)又はそれに取付けられるねじ蓋(25)のような部分との間へ押込まれている止め輪(35)により、取っ手(7)が第2の行程位置に保持可能であることを特徴とする、請求項1〜17の1つに記載の複合装置。
【請求項19】
取っ手(7)がばね(28)により両方の行程位置の1つへ押されており、第2の行程位置が、取っ手(7)への軸線方向力導入によってのみ設定可能であることを特徴とする、請求項1〜18の1つに記載の複合装置。
【請求項20】
止め輪(35)が、ハウジング直径から突出する取っ手(36)を備えていることを特徴とする、請求項18に記載の複合装置。
【請求項21】
取っ手(36)が鉛封印穴を持っていることを特徴とする、請求項20に記載の複合装置。
【請求項22】
ハウジングストッパ(34)が、取っ手(36)の鉛封印穴に重なることができる鉛封印穴を持っていることを特徴とする、請求項21に記載の複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522170(P2011−522170A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504304(P2011−504304)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000669
【国際公開番号】WO2009/127173
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(509268967)エフ・ヴエー・オーヴエントロープ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (1)
【Fターム(参考)】