説明

浄水装置

【課題】 処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようにして、熱効率の向上を図る。
【解決手段】 処理水が送給され送給された処理水を加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離させる分離空間Bと、分離空間Bで分離された残物を取り出す残物取出部11と、分離空間Bで分離された水蒸気が蒸気供給通路1を介して供給され供給された水蒸気を冷却により凝縮して浄水にする凝縮空間Gと、凝縮空間Gで凝縮された浄水を取り出す浄水取出部91と、分離空間B及び凝縮空間Gを弱真空状態にする弱真空手段Vと、分離空間Bからの水蒸気を凝縮空間Gより高圧に圧縮して蒸気供給通路1に送る圧縮手段20と、凝縮空間Gで冷却された気体を凝縮空間Gと分離空間Bとの圧力差によって分離空間Bに供給する気体供給通路50と、気体供給通路50から供給された気体を加熱して分離空間Bに送る気体加熱手段60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理水として、例えば、海水や湖水等あるいは洗濯水等の汚水を用い、これを加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離し、その後、水蒸気を凝縮させて処理水から浄水を取り出す浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浄水装置としては、例えば、特許文献1(特開平11−62513号公報)に記載されたものが知られている。
これは、図4に示すように、処理水としての海水から浄水を得るもので、処理水が送給され送給された処理水を加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離させるボイラを備えた分離空間Bと、分離空間Bで分離された残物を取り出す残物取出部300と、分離空間Bを加熱する加熱手段301と、分離空間Bで分離された水蒸気により作動させられる蒸気タービン302と、蒸気タービン302から排出される水蒸気を凝縮して浄水にする凝縮空間Gと、凝縮空間Gで凝縮された浄水を取り出す浄水取出部303と、処理水を分離空間Bに送給する処理水送給通路304と、分離空間Bで分離された水蒸気を蒸気タービン302に供給する蒸気供給通路305とを備えてなる。処理水送給通路304は、分離空間B内及び凝縮空間G内を通過して設けられている。加熱手段301は、例えば、コイル状の熱交換器により、処理水を大気圧下で沸騰させる。
【0003】
処理水は、処理水送給通路304を通って分離空間Bに送給され、加熱手段301によって加熱させられた分離空間Bにおいて、加熱蒸発されて水蒸気と残物とに分離される。その後、水蒸気は、蒸気供給通路305を通って蒸気タービン302に供給され、蒸気タービン302を作動させて排出される。排出された水蒸気は、凝縮空間Gに送られて凝縮され復水する。凝縮空間Gには、処理水送給通路304が通っており、この処理水送給通路304内を低温の処理水が通っているので、この処理水と水蒸気とが熱交換させられて、水蒸気は冷却凝縮され復水する。このときの水蒸気は残物を含まない蒸気なので、復水した水は浄水となる。この浄水を、浄水取出部303から取り出している。また、分離された残物は、分離空間Bにおいて冷却される。分離空間Bには、処理水送給通路304が通っており、この送給通路内を低温の処理水が通っているので、この処理水と分離された残物とが熱交換させられて、残物は冷却される。このときの残物は、高濃度の塩水であるので、冷却された塩水は、みぞれ状の塩水となる。この残物を、残物取出部300から取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−62513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の浄水装置においては、処理水送給通路304を分離空間B内及び凝縮空間G内を通過させて、処理水を予熱して効率化を図るようにしているが、加熱手段301は、例えば、コイル状の熱交換器により、処理水を大気圧下で沸騰させるので、沸騰に要する熱エネルギーが大きくなり、それだけ、熱効率に劣るという問題があった。特に、処理水の温度が低いものでは、熱効率が顕著に悪くなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようにして、熱効率の向上を図った浄水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の浄水装置は、処理水が送給され該送給された処理水を加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離させる分離空間と、該分離空間で分離された残物を取り出す残物取出部と、上記分離空間で分離された水蒸気が蒸気供給通路を介して供給され該供給された水蒸気を冷却により凝縮して浄水にする凝縮空間と、該凝縮空間で凝縮された浄水を取り出す浄水取出部とを備えた浄水装置において、上記分離空間及び凝縮空間を弱真空状態にする弱真空手段を備え、上記分離空間からの水蒸気を上記凝縮空間より高圧に圧縮して該蒸気供給通路に送る圧縮手段を設け、上記凝縮空間で冷却された気体を該凝縮空間と上記分離空間との圧力差によって該分離空間に供給する気体供給通路を設け、該気体供給通路から供給された気体を加熱して該加熱した気体と処理水との熱交換により処理水を蒸発させるようにする気体加熱手段を設けた構成としている。尚、本装置は、内部を弱真空状態にすることから、装置を構成する構造体は、密封性のある材質のものを用いる。例えば、金属で構成し、あるいは、例えば、レンガを二重に積層してその間に断熱材を介装した壁体にし、更に、レンガからなる壁体表面に密封性のあるコーティング剤を塗付して密封する等である。
【0008】
これにより、分離空間に送給された処理水は、分離空間内において気体加熱手段によって加熱された気体と熱交換して蒸発させられて水蒸気と残物とに分離させられる。この場合、加熱蒸発させるための加熱温度が、例えば100℃以下の低いものであっても、分離空間は弱真空状態になっているので、ここで低温沸騰が生じ、水蒸気が生じる。そのため、処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようになるので、熱効率が極めて良いものになる。
【0009】
そして、分離した残物は残物取出部から取り出され、水蒸気は圧縮手段によって凝縮空間より高圧に圧縮されて蒸気供給通路に送られる。この圧縮手段によって圧縮された水蒸気は、凝縮空間より高圧なので、圧力差によって蒸気供給通路を通って凝縮空間に送られる。
蒸気供給通路から凝縮空間に供給された水蒸気は、凝縮空間内において冷却されて凝縮して復水する。この場合、蒸気供給通路からの蒸気の温度が、例えば100℃以下の低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。
【0010】
そして、凝縮して復水した浄水は浄水取出部から取り出され、復水しなかった水蒸気は冷却されて気体のまま気体供給通路に送られる。気体供給通路に送られた気体は、凝縮空間と分離空間との圧力差によって凝縮空間側から分離空間側に送られ、分離空間側において気体加熱手段により加熱されて分離空間に供給される。
この場合、気体は、蒸気供給通路及び気体供給通路を介して、分離空間と凝縮空間とを気体の圧力差によって循環するが、分離空間からの水蒸気は圧縮手段によって圧縮されて蒸気供給通路を通って凝縮空間に送られるので、圧力差を大きくして循環させることができ、そのため、装置の出力を向上させることができる。
また、蒸気供給通路にタービンを介装した場合には、圧縮手段で高圧にした水蒸気がタービンに送られるようになるので、タービンの出力を向上させることができる。また、気体が圧力差で分離空間と凝縮空間とを循環するので、蒸気供給通路内を通る水蒸気は、分離空間側から凝縮空間側に向けて引っ張られるようになり、そのため、水蒸気をタービンに勢い良く流入させることができるので、この点でも、タービンの出力を向上させることができる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔を備え、上記圧縮手段を、上側に漸次縮径する円錐台筒状に形成され下側開口が上記分離塔に連通するとともに上側開口が上記蒸気供給通路に連通し内部が上記分離空間からの水蒸気を上記凝縮空間より高圧に圧縮して該蒸気供給通路に送る圧縮空間として構成される蒸気圧縮筒と、該蒸気圧縮筒の下側開口に設けられ上記分離空間からの水蒸気を該蒸気圧縮筒内に送って圧縮させるファンとを備えて構成している。
【0012】
これにより、分離空間で蒸発させられた水蒸気は、ファンによって蒸気圧縮筒の下側開口から圧縮空間内に送られ、この圧縮空間内において下側から上側に向かって移動し、凝縮空間より高圧に圧縮されて蒸気圧縮筒の上側開口から出て蒸気供給通路に送られる。この圧縮空間内においては、水蒸気はファンによって下側から上側に向かってスパイラル状の気流となって加速しながら上昇していくので、気体を押圧して高圧に圧縮することができる。また、蒸気圧縮筒は、上側に漸次縮径する円錐台筒状に形成されているので、この点でも、気体の上昇に伴って気体を高圧に圧縮することができる。このため、圧力差を大きくして気体を循環させることができ、そのため、装置の出力を向上させることができる。
【0013】
また、必要に応じ、上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成している。尚、本装置は、内部を弱真空状態にすることから、上記の分離空間,加熱空間,蒸気供給通路,気体供給通路が密封されるように構築される。
【0014】
これにより、加熱空間においては、加熱水散布部から散布される加熱水により気体供給通路から供給された気体が加熱される。この加熱空間で加熱された気体は、分離空間に供給され、分離空間に処理水が処理水散布部から散布されると、分離空間においては、処理水は、加熱空間から分離空間に供給される気体に接触するので、蒸発させられて水蒸気になる。この場合、分離空間では低温沸騰が生じるため、処理水を比較的低い加熱温度で加熱蒸発させることができるが、気体を加熱空間で加熱して分離空間に供給するので、より一層処理水を加熱蒸発させやすくなり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
【0015】
更に、必要に応じ、上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間内に該加熱空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され熱水が供給される熱水パイプを備えて構成している。尚、本装置は、内部を弱真空状態にすることから、上記の分離空間,加熱空間,蒸気供給通路,気体供給通路が密封されるように構築される。
【0016】
これにより、加熱空間においては、熱水パイプに供給される熱水との熱交換により気体供給通路から供給された気体が加熱される。この加熱空間で加熱された気体は、分離空間に供給され、分離空間に処理水が処理水散布部から散布されると、分離空間においては、処理水は、加熱空間から分離空間に供給される気体に接触するので、蒸発させられて水蒸気になる。この場合、分離空間では低温沸騰が生じるため、処理水を比較的低い加熱温度で加熱蒸発させることができるが、気体を加熱空間で加熱して分離空間に供給するので、より一層処理水を加熱蒸発させやすくなり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
【0017】
更にまた、必要に応じ、上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、一次気体加熱手段と、該一次気体加熱手段により加熱された気体を更に加熱する二次気体加熱手段とを備えて構成し、上記一次気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成し、上記二次気体加熱手段を、上記加熱空間内に該加熱空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され熱水が供給される熱水パイプを備えて構成している。尚、本装置は、内部を弱真空状態にすることから、上記の分離空間,加熱空間,蒸気供給通路,気体供給通路が密封されるように構築される。
【0018】
これにより、加熱空間においては、一次気体加熱手段により、加熱水散布部から散布される加熱水によって気体供給通路から供給された気体が加熱される。この加熱された気体は、二次気体加熱手段により、熱水パイプに供給される熱水との熱交換によって更に加熱される。この加熱空間で一次気体加熱手段及び二次気体加熱手段により加熱された気体は分離空間に供給され、分離空間に処理水が処理水散布部から散布されると、分離空間においては、処理水は、加熱空間から分離空間に供給される気体に接触するので、蒸発させられて水蒸気になる。この場合、分離空間では低温沸騰が生じるため、処理水を比較的低い加熱温度で加熱蒸発させることができるが、気体を加熱空間で加熱して分離空間に供給するので、より一層処理水を加熱蒸発させやすくなり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
【0019】
そして、また、必要に応じ、上記加熱空間を、該加熱空間の加熱外塔側に形成され上記気体供給通路から供給された気体を上記一次気体加熱手段により加熱する第一加熱空間と、上記加熱空間の分離塔側に形成され上記一次気体加熱手段により加熱された気体を上記二次気体加熱手段により加熱する第二加熱空間とを備えて構成し、上記第一加熱空間と第二加熱空間との間に断熱性の仕切壁を設け、上記第二加熱空間の上側に上記第一加熱空間からの気体が流入する流入口を設けた構成としている。
【0020】
これにより、気体供給通路から供給された気体は、第一加熱空間内において一次気体加熱手段によって加熱され、その後、第二加熱空間の流入口から第二加熱空間内に流入し、この第二加熱空間内において二次気体加熱手段によって加熱される。このとき、第一加熱空間と第二加熱空間との間に断熱性の仕切壁が設けられており、第二加熱空間の流入口が第二加熱空間の上側に設けられているので、気体が第一加熱空間から第二加熱空間に最短距離で流入することができず、そのため、気体が第一加熱空間内を通過する距離が長くなるので、それだけ、気体を第一加熱空間で確実に加熱することができる。
【0021】
また、必要に応じ、上記凝縮空間で凝縮された浄水の一部を加熱し該加熱した熱水を上記熱水パイプに供給する加熱器を備えた構成としている。装置内で生成された浄水の一部を加熱して熱水パイプに供給するので、綺麗な水の有効利用を図ることができる。
この場合、上記加熱器を、上記凝縮空間で凝縮された浄水の一部を太陽光によって加熱するソーラー加熱器で構成することが有効である。電力等を使用しないので、それだけ、コストを低減させることができる。
【0022】
更に、必要に応じ、上記処理水散布部を、上記蒸気供給通路の手前に設けられ処理水を一時的に貯留するとともに上記分離空間からの水蒸気が通過する処理水貯留槽と、該処理水貯留槽内の処理水が送出管を通して送出され該送出された処理水をシャワー状にして上記分離空間内に散布する多数の小口を有した複数の散布ヘッドと、上記処理水貯留槽内の処理水を吸引して該散布ヘッドに送出する処理水ポンプとを備えて構成し、上記熱水パイプに熱水を供給するパイプの一部を、上記処理水貯留槽内を通して設けられ該処理水貯留槽内の処理水を加熱する加熱パイプとして構成している。
【0023】
これにより、処理水貯留槽に一時的に貯留された処理水は、加熱パイプを流れる熱水と熱交換して加熱される。この加熱された処理水は処理水ポンプによって吸引されて送出管に送出され、散布ヘッドから分離空間に散布される。加熱した処理水を分離空間に散布するので、より一層処理水を加熱蒸発させやすくなり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
一方、分離空間で生じた水蒸気は、処理水貯留槽内の処理水内を通過し、それから、蒸気供給通路へ向かって流出していく。このため、水蒸気によって処理水貯留槽に貯留された処理水の一部が水蒸気となるので、蒸気供給通路に送られる水蒸気の量を増加させることができる。また、処理水貯留槽において、蒸気内の不純物を洗浄することができる。
【0024】
更にまた、必要に応じ、上記気体供給通路から分岐して再び凝縮空間側に至る分岐路を設け、該分岐路から上記凝縮空間側へ流入する気体を冷却して該冷却後の気体と上記蒸気供給通路からの水蒸気との熱交換により該水蒸気を冷却凝縮させるようにする気体冷却手段を設けた構成としている。気体を気体冷却手段によって冷却して再び凝縮空間に流入させるので、この低温の気体によって凝縮空間を冷却することができ、そのため、蒸気供給通路からの水蒸気を確実に冷却して凝縮することができる。
この場合、上記気体供給通路に上記分離空間側と上記分岐路側との2方向に気体を振り分けて送るブロアを介装することが有効である。分離空間と凝縮空間とで圧力差がある場合には、気体は圧力の高い方から低い方へ向かって流れようとするので、気体供給通路の気体を凝縮空間側に再び流入させることが難しいが、ブロアを設けることにより、気体供給通路を通る気体を分離空間側と分岐路側との2方向に確実に振り分けることができる。
【0025】
また、必要に応じ、上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、上記気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成している。尚、本装置は、内部を弱真空状態にすることから、上記の凝縮空間,冷却空間,蒸気供給通路,気体供給通路が密封されるように構築される。
【0026】
これにより、冷却空間においては、冷却水散布部から散布される冷却水により気体供給通路から供給された気体が冷却される。この冷却空間で冷却された気体は、凝縮空間に供給され、蒸気供給通路からの水蒸気が凝縮空間に供給されると、凝縮空間においては、水蒸気は、冷却空間から凝縮空間に供給される気体に接触するので、急激に凝縮して復水していく。この場合、蒸気供給通路からの蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。
【0027】
更に、必要に応じ、上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、上記気体冷却手段を、上記冷却空間内に該冷却空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され冷媒が供給される冷媒パイプを備えて構成している。
【0028】
これにより、冷却空間においては、冷媒パイプに供給される冷媒との熱交換により気体供給通路から供給された気体が冷却される。この冷却空間で冷却された気体は、凝縮空間に供給され、蒸気供給通路からの水蒸気が凝縮空間に供給されると、凝縮空間においては、水蒸気は、冷却空間から凝縮空間に供給される気体に接触するので、急激に凝縮して復水していく。この場合、蒸気供給通路からの蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。
【0029】
更にまた、必要に応じ、上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、上記気体冷却手段を、一次気体冷却手段と、該一次気体冷却手段により冷却された気体を更に冷却する二次気体冷却手段とを備えて構成し、上記一次気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成し、上記二次気体冷却手段を、上記冷却空間内に該冷却空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され冷媒が供給される冷媒パイプを備えて構成している。
【0030】
これにより、冷却空間においては、一次気体冷却手段により、冷却水散布部から散布される冷却水によって気体供給通路から供給された気体が冷却される。この冷却された気体は、二次気体加熱手段により、冷媒パイプに供給される冷媒との熱交換によって更に冷却される。この冷却空間で一次気体冷却手段及び二次気体冷却手段により冷却された気体は凝縮空間に供給され、蒸気供給通路からの水蒸気が凝縮空間に供給されると、凝縮空間においては、水蒸気は、冷却空間から凝縮空間に供給される気体に接触するので、急激に凝縮して復水していく。この場合、蒸気供給通路からの蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。
【0031】
また、必要に応じ、上記冷却空間を、該冷却空間の冷却外塔側に形成され上記凝縮空間からの気体を上記一次気体冷却手段により冷却する第一冷却空間と、上記冷却空間の凝縮塔側に形成され上記一次気体冷却手段により冷却された気体を上記二次気体冷却手段により冷却する第二冷却空間とを備えて構成し、上記第一冷却空間と第二冷却空間との間に断熱性の仕切壁を設け、上記第二冷却空間の上側に上記第一冷却空間からの気体を導入する導入口を設けた構成としている。
【0032】
これにより、凝縮空間から気体供給通路及び分岐路を介して供給された気体は、第一冷却空間内において一次気体冷却手段によって冷却され、その後、第二冷却空間の導入口から第二冷却空間内に導入し、この第二冷却空間内において二次気体冷却手段によって冷却される。このとき、第一冷却空間と第二冷却空間との間に断熱性の仕切壁が設けられており、第二冷却空間の導入口が第二冷却空間の上側に設けられているので、気体が第一冷却空間から第二冷却空間に最短距離で導入することができず、そのため、気体が第一冷却空間内を通過する距離が長くなるので、それだけ、気体を第一冷却空間で確実に冷却することができる。
【0033】
更に、必要に応じ、上記凝縮塔の上側に上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を散布する浄水散布部を設けた構成としている。
これにより、凝縮空間には浄水散布部から浄水が散布され、蒸気供給通路からの水蒸気が凝縮空間に供給されると、水蒸気は、冷却空間から凝縮空間に供給される気体によって冷却凝縮されるとともに、浄水散布部から散布された低温の浄水に接触して急激に凝縮して復水し、浄水に付着して落下していく。この場合、蒸気供給通路からの水蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。また、浄水に接触させて落下させるので、この点でも確実に水蒸気を凝縮して復水させることができる。
【0034】
更にまた、必要に応じ、上記凝縮塔の上側に上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を散布する浄水散布部を設け、上記冷却空間の下部に上記冷却水散布部から散布された冷却水を貯留する冷却水貯留部を設け、上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を上記浄水散布部に送給する浄水送給分岐管路を設け、該浄水送給分岐管路を、上記冷却水貯留部内を通して設け、該冷却水貯留部内で浄水と冷却水との熱交換を行なわせる構成としている。
【0035】
これにより、浄水取出部から取り出された浄水は、その一部が浄水送給分岐管路を通過し、この浄水送給分岐管路の途中で冷却水貯留部に貯留された冷却水と熱交換して冷却されて浄水散布部から凝縮空間に散布される。この凝縮空間に散布された浄水は、蒸気供給通路からの水蒸気が復水して付着して落下し、再び浄水取出部から取り出される。即ち、浄水取出部から浄水を取り出すとともに一部の浄水を循環させ、この循環する浄水に水蒸気が復水して付着して浄水の水量が増すので、効率的に浄水を生成することができる。また、浄水を冷却して散布するので凝縮した水蒸気が散布された浄水に付着しやすくなるとともに、確実に水蒸気を凝縮して復水させることができる。
【0036】
また、必要に応じ、上記冷却水として処理水を用いるとともに、上記冷却水貯留部の冷却水としての処理水を上記加熱水散布部側に送給する処理水送給管を設けた構成としている。
これにより、冷却水として処理水を用いるので、それだけ、熱効率を向上させることができる。また、処理水送給管により、冷却水貯留部の冷却水としての処理水を、加熱水散布部側に送給して加熱水とすることができるので、それだけ、利用効率を向上させることができる。
【0037】
更に、必要に応じ、上記弱真空手段を、上記分離空間を凝縮空間より高真空状態にするように構成している。
これにより、分離空間は凝縮空間よりも高真空なので、圧力は分離空間よりも凝縮空間の方が高くなる。気体は圧力の高い方から低い方へ向かって移動するので、凝縮空間からの気体は、分離空間と凝縮空間との圧力差により、気体供給通路を介して分離空間に供給されるようになる。圧力差によって気体を供給するので出力を向上させることができる。また、分離空間の方が高真空であるので、分離空間内において、低温沸騰を生じさせることができ、そのため、熱効率を向上させることができる。
【0038】
更にまた、必要に応じ、上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成し、上記気体供給通路から分岐して再び凝縮空間側に至る分岐路を設け、該分岐路から上記凝縮空間側へ流入する気体を冷却して該冷却後の気体と上記蒸気供給通路からの水蒸気との熱交換により該水蒸気を冷却凝縮させるようにする気体冷却手段を設け、上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、上記気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成し、上記弱真空手段を、上記分離空間を凝縮空間より高真空状態にするように構成し、上記加熱空間の下部に上記加熱水散布部から散布された加熱水を貯留する加熱水貯留部を設け、上記弱真空手段を、上記加熱水貯留部に加熱排水入口が臨み加熱排水出口が該加熱水貯留部よりも下方位置に開放し該加熱水貯留部に貯留された加熱水を自然落下により排水する加熱水排水パイプを備えて構成し、上記冷却空間の下部に上記冷却水散布部から散布された冷却水を貯留する冷却水貯留部を設け、上記弱真空手段を、上記冷却水貯留部に冷却排水入口が臨み冷却排水出口が該冷却水貯留部よりも下方位置に開放し該冷却水貯留部に貯留された冷却水を自然落下により排水する冷却水排水パイプを備えて構成している。
【0039】
これにより、分離空間側においては、散布された加熱水は加熱水貯留部に貯留され、更に、加熱水貯留部から加熱水排水パイプを通って排出される。そのため、加熱水が加熱水排水パイプを自然落下するエネルギーにより、分離塔内を吸引して負圧にし、これにより、分離塔内が弱真空状態に保持される。加熱水排水パイプを自然落下するエネルギーにより、弱真空状態に保持するので、エネルギー効率が向上させられる。また、気体加熱手段により加熱された加熱空間からの気体の温度が低いものであっても、分離空間が弱真空状態になっているので、ここで低温沸騰が生じ、処理水散布部から散布される処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようになり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
【0040】
一方、凝縮空間側においては、散布された冷却水は冷却水貯留部に貯留され、更に、冷却水貯留部から冷却水排水パイプを通って排出される。そのため、冷却水が冷却水排水パイプを自然落下するエネルギーにより、凝縮塔内を吸引して負圧にし、これにより、凝縮塔内が弱真空状態に保持される。冷却水排水パイプを自然落下するエネルギーにより、弱真空状態に保持するので、エネルギー効率が向上させられる。また、気体冷却手段により冷却された冷却空間からの気体により凝縮空間が冷却されるので、蒸気供給通路からの水蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低くなり、そのため、水蒸気の凝縮が円滑に行なわれる。
また、弱真空手段により分離空間を凝縮空間より高真空状態するので、分離空間と凝縮空間との圧力差によって気体が供給され、そのため、装置の出力を向上させることができる。
【0041】
また、必要に応じ、上記加熱水排水パイプを、その長さが上記冷却水排水パイプの長さより長く形成した構成としている。
これにより、加熱水が加熱水排水パイプを自然落下するエネルギーが、冷却水が冷却水排水パイプを自然落下するエネルギーよりも大きくなり、そのため、分離空間を凝縮空間より高真空状態にすることができる。
【0042】
更に、必要に応じ、上記加熱水を取り込む加熱水取込部を設け、上記加熱水排水パイプの加熱排水出口から排水された加熱水を一時的に貯留する加熱排水貯留槽を設け、入口が該加熱排水貯留槽に連通するとともに出口が上記加熱水取込部に至り上記加熱排水貯留槽の加熱水を再使用せしめる加熱水送給管を設け、入口が該加熱水送給管の入口よりも上位に位置し上記加熱排水貯留槽内の加熱水を取り出す加熱排水取出管を設けた構成としている。
【0043】
これにより、加熱排水貯留槽に一時的に貯留された加熱水は、加熱水送給管により加熱水取込部に送給され、加熱水取込部から順次取り込まれる新たな加熱水と混合して再使用されるので、有効利用することができる。また、加熱排水貯留槽からの加熱水を新たな加熱水と混合させるので、新たな加熱水の分だけ徐々に加熱水の量が増していく。そして、加熱排水貯留槽に貯留された加熱水の量が加熱水送給管の送給量よりも多くなると、加熱水送給管の入口から加熱水送給管内に加熱水が入り込まなくなり、加熱水の水位が加熱水送給管の入口よりも上位になっていく。この場合、加熱排水取出管から加熱水が取り出される。この加熱排水取出管から取り出された加熱水は、加熱空間において気体と熱交換して温度が低下しているので、例えば、深海魚等の養殖等に用いることができ、そのため、有効利用することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の浄水装置によれば、分離空間及び凝縮空間を弱真空状態にするので、分離空間において、加熱蒸発させるための加熱温度が比較的低いものであっても、分離空間は弱真空状態になっていることから、ここで低温沸騰が生じ、水蒸気が生じる。そのため、処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようになるので、熱効率を向上させることができる。また、凝縮空間において、蒸気供給通路からの蒸気の温度が低いものであっても、凝縮空間内は更に温度が低いので、凝縮を円滑に行なうことができる。
【0045】
また、水蒸気は圧縮手段によって凝縮空間より高圧に圧縮されるので、分離空間から蒸気供給通路に送られた水蒸気は分離空間と凝縮空間との圧力差によって蒸気供給通路を介して分離空間側から凝縮空間側に送られ、凝縮空間から気体供給通路に送られた気体は分離空間と凝縮空間との圧力差によって気体供給通路を介して凝縮空間側から分離空間側に送られる。この場合、気体は、蒸気供給通路及び気体供給通路を介して、分離空間と凝縮空間とを気体の圧力差によって循環するが、分離空間からの水蒸気は圧縮手段によって圧縮されて蒸気供給通路を通って凝縮空間に送られるので、圧力差を大きくして循環させることができ、そのため、装置の出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る浄水装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る浄水装置を示し、分離空間側の構成を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る浄水装置を示し、凝縮空間側の構成を示す拡大断面図である。
【図4】従来の浄水装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る浄水装置を説明する。実施の形態においては、処理水として海水である深層水を用い、この深層水を水蒸気と残物としての塩とに分離し、その後、水蒸気を凝縮して浄水を得るものである。
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る浄水装置Sの基本的構成は、処理水が送給され送給された処理水を加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離させる分離空間Bと、分離空間Bで分離された残物を取り出す残物取出部11と、分離空間Bで分離された水蒸気が蒸気供給通路1を介して供給され供給された水蒸気を冷却により凝縮して浄水にする凝縮空間Gと、凝縮空間Gで凝縮された浄水を取り出す浄水取出部91と、分離空間B及び凝縮空間Gを弱真空状態にする弱真空手段Vと、分離空間Bからの水蒸気を凝縮空間Gより高圧に圧縮して蒸気供給通路1に送る圧縮手段20と、凝縮空間Gで冷却された気体を凝縮空間Gと分離空間Bとの圧力差によって分離空間Bに供給する気体供給通路50と、気体供給通路50から供給された気体を加熱して加熱した気体と処理水との熱交換により処理水を蒸発させるようにする気体加熱手段60とを備えて構成されている。
【0048】
詳しくは、分離空間Bを構成し上部が蒸気供給通路1側に連通し下部が残物取出部11として構成される筒状の分離塔10と、分離塔10の外側を覆い分離塔10との間に気体加熱手段60により加熱される加熱空間Kを形成する加熱外塔12とを備えて構成されている。
分離塔10は、円筒状の一般壁10aと一般壁10aに連設され残物を受けるロート状の下端壁10bとで構成されており、一般壁10a,下端壁10b及び加熱外塔12で、加熱空間Kを形成している。また、一般壁10aには、加熱空間Kからの気体が分離空間B内に流出可能な複数の流出口72が形成されている。
残物取出部11は、ロート状に形成された受け部11aと、受け部11aの先端に設けられる残物取出管11bとを備え、残物取出管11bには残物を排出させるネジ型ポンプ13が設けられている。尚、図2中、符号14は、ネジ型ポンプ13を回転駆動させる減速機である。
【0049】
また、加熱外塔12の上側には、加熱外塔12から延設される延設塔15が設けられており、この延設塔15内であって分離空間Bの上側に圧縮手段20が設けられている。この圧縮手段20は、上側に漸次縮径する円錐台筒状に形成され下側開口22が分離塔10に連通するとともに上側開口23が蒸気供給通路1に連通し内部が分離空間Bからの水蒸気を凝縮空間Gより高圧に圧縮して蒸気供給通路1に送る圧縮空間Cとして構成される蒸気圧縮筒21と、蒸気圧縮筒21の下側開口22に設けられ分離空間Bからの水蒸気を蒸気圧縮筒21内に送って圧縮させるファン24とを備えて構成されている。この蒸気圧縮筒21は、その下側開口22を形成する下端部が延設塔15に、例えば溶接等で固定されて設けられている。
【0050】
また、分離塔10の上側には、処理水を散布する処理水散布部30が設けられている。この処理水散布部30は、蒸気供給通路1の手前に設けられ処理水を一時的に貯留するとともに分離空間Bからの水蒸気が通過する処理水貯留槽31と、処理水貯留槽31内の処理水が送出管32を通して送出され送出された処理水をシャワー状にして分離空間B内に散布する多数の小口を有した複数の散布ヘッド33と、処理水貯留槽31内の処理水を吸引して散布ヘッド33に送出する処理水ポンプ34とを備えて構成されている。送出管32の末端部32aは、蒸気圧縮筒21の下側開口22に接地面に平行に設けられており、この送出管32の末端部32aに、散布ヘッド33が設けられるとともにファン24の軸が回転可能に設けられている。
【0051】
処理水貯留槽31は、蒸気圧縮筒21と蒸気供給通路1との間に設けられ、後述の処理水供給パイプ38から供給される処理水を一時的に貯留し、貯留した処理水に分離空間Bで分離された水蒸気を通過させて蒸気供給通路1に至らしめる流通口部35を有して構成されている。詳しくは、この処理水貯留槽31は、延設塔15の中間部に接地面に平行に設けられた中間板31aを底壁とし、この底壁31aと、底壁31aが連設される延設塔15の側壁15aとで容器状に形成されており、底壁31aは蒸気圧縮筒21に溶接等で一体に形成され、蒸気圧縮筒21の上方には、蒸気圧縮筒21と同軸に設けられ蒸気圧縮筒21の上側開口23を覆うカップ状の覆体36が設けられている。そして、流通口部35は、上側開口23に連通し蒸気圧縮筒21及び覆体36で形成される流路で構成されている。蒸気圧縮筒21の上側開口23と延設塔15の側壁15aとの間には通気性のメッシュ壁37が設けられており、処理水は圧力の関係でこのメッシュ壁37の上側に貯留される。分離空間Bからの水蒸気は、上側開口23,流通口部35及びメッシュ壁37を通って処理水内に吹き込まれ、それから、蒸気供給通路1へ向かって流出していく。処理水貯留槽31の前位であって延設塔15外には、処理水貯留槽31に連通し処理水供給パイプ38の出口から流出する処理水を受けて溜める受槽39が設けられている。
【0052】
本実施の形態において、処理水は海底300m以上のポイントから汲み上げポンプ41により汲み上げられた深層水を用いており、この処理水は、汲み上げポンプ41から吐出されて、処理水送給パイプ42により延設塔15,蒸気圧縮筒21,中間板31aで囲繞された処理水ジャケット40内に送給されて貯留される。この処理水ジャケット40内に貯留された処理水は、蒸気圧縮筒21内の水蒸気と熱交換して加熱され、処理水ジャケット40と受槽39とを連通して設けられる処理水供給パイプ38によって、処理水ジャケット40から受槽39に供給されて貯留され、受槽39から処理水貯留槽31内に供給される。また、受槽39には、処理水供給パイプ38より上位に、受槽39と延設塔15とを連通する受槽連通パイプ43が設けられている。尚、図3中、符号44は、処理水送給パイプ42内の処理水の処理水ジャケット40への送給を許容,不能にする一方弁である。
【0053】
加熱空間Kは、加熱空間Kの加熱外塔12側に形成され気体供給通路50から供給された気体を一次気体加熱手段60aにより加熱する第一加熱空間Kaと、加熱空間Kの分離塔10側に形成され一次気体加熱手段60aにより加熱された気体を二次気体加熱手段60bにより更に加熱する第二加熱空間Kbとを備えて構成されている。この第一加熱空間Kaと第二加熱空間Kbとの間には断熱性の仕切壁61が設けられている。
【0054】
第一加熱空間Kaは、加熱外塔12と仕切壁61との間で形成されており、下側から気体が流入して上側に至るようになっている。この第一加熱空間Kaの上側には、第一加熱空間Kaに加熱水を散布する一次気体加熱手段60aとしての加熱水散布部62が設けられている。本実施の形態においては、加熱水として海水である表層水を用いている。この加熱水は、海面付近に設けられモータ65aにより回転駆動させられる送水器65により加熱水取込部66から取り込まれ、加熱水送給パイプ67により加熱水散布部62に送給されている。
【0055】
加熱水散布部62は、第一加熱空間Kaの上部において、加熱水送給パイプ67により送給された加熱水を一時的に収容する加熱水収容槽63を備え、この加熱水収容槽63の底壁に多数の小孔64を設け、この小孔64から加熱水を第一加熱空間Ka内に散布する。この加熱水の散布により気体が加熱される。
【0056】
第二加熱空間Kbは、仕切壁61と分離塔10との間で形成されており、上側に第一加熱空間Kaからの気体が流入する流入口71が設けられ、この流入口71から流入した気体が分離塔10の一般壁10aの流出口72から分離空間Bに流出するようになっている。この第二加熱空間Kbにおいては、仕切壁61と分離塔10との間に、気体が通過可能な通過孔73aを複数有した仕切板73が設けられており、この仕切板73と分離塔10の一般壁10aとの間に、仕切板73と分離塔10の一般壁10aとを接続するとともに、通過孔73aからの気体を流出口72に至らしめる複数の気体流通通路74aを形成する断面逆V状の接続板74が設けられている。また、この第二加熱空間Kbには、接続板74に支持されて第二加熱空間Kbの上下に亘って間隔を隔てて配設され熱水が供給される二次気体加熱手段60bとしての熱水パイプ70が設けられている。この熱水パイプ70は、第二加熱空間Kbの上下に亘って螺旋状に形成されている。
【0057】
この熱水パイプ70には、凝縮空間Gで凝縮された浄水の一部が、後述する浄水取出管91bから分岐した浄水供給パイプ75を通る途中で加熱されて熱水となって供給される。詳しくは、分離塔10外に凝縮空間Gで凝縮された浄水の一部を加熱し加熱した熱水を熱水パイプ70に供給する加熱器76が設けられており、この加熱器76によって浄水供給パイプ75内の浄水が加熱されて熱水となる。この加熱器76は、凝縮空間Gで凝縮された浄水の一部を太陽光によって加熱するソーラー加熱器76aで構成されている。ソーラー加熱器76aを用いることにより、電力等を使用しなくて良いので、それだけ、コストを低減させることができる。このソーラー加熱器76a内を通る浄水供給パイプ75が浄水加熱パイプ75aとして構成されている。また、熱水パイプ70に熱水を供給する浄水供給パイプ75の一部が、処理水貯留槽31内を通して設けられ処理水貯留槽31内の処理水を加熱する加熱パイプ75bとして構成されている。装置S内で生成された浄水の一部を加熱して熱水パイプ70に供給するので、綺麗な水の有効利用を図ることができる。尚、図1及び図3中、符号77は、浄水供給パイプ75に介装され、浄水取出管91b内の浄水の一部を吸引して浄水供給パイプ75内を通過させて浄水加熱パイプ75a内を通過させ、吸引した浄水を吐出して浄水供給パイプ75内を通過させて加熱パイプ75b内を通過させる浄水供給ポンプである。
【0058】
また、入口78aが熱水パイプ70の出口に接続されるとともに出口78bが浄水加熱パイプ75aの入口に接続され、熱水パイプ70を通過した熱水を浄水加熱パイプ75aに再び供給する再供給パイプ78が設けられている。尚、図2中、符号79は、再供給パイプ78に介装され、再供給パイプ78内の熱水の浄水加熱パイプ75aに対する供給を許容,不能にする一方弁である。
【0059】
また、第一加熱空間Ka及び第二加熱空間Kbの下部には、加熱水散布部62で散布された加熱水を貯留する加熱水貯留部80が設けられている。この加熱水貯留部80は、分離塔10の下端壁10bと加熱外塔12とで囲繞されて形成されている。加熱水貯留部80に貯留された加熱水は、加熱水パイプ81aを通って加熱水貯留槽81に一時的に貯留され、加熱水貯留槽81から後述の加熱水排水パイプ82を通って排出されて加熱排水貯留槽83に一時的に貯留される。この加熱水貯留槽81には、加熱水パイプ81aより上位に、加熱水貯留槽81と第一加熱空間Kaとを連通する加熱水貯留槽連通パイプ84が設けられており、加熱水貯留部80に貯留される加熱水の水位が上昇したときには、この加熱水貯留槽連通パイプ84から加熱水貯留部80の加熱水を加熱水貯留槽81に送給可能にしている。また、加熱排水貯留槽83には、入口85aが加熱排水貯留槽83に連通するとともに出口85bが加熱水取込部66に至り加熱排水貯留槽83の加熱水を再使用せしめる加熱水送給管85が設けられており、加熱排水貯留槽83の加熱水を加熱水取込部66に送給し加熱水送給パイプ67を介して加熱空間Kに送給して循環させている。尚、図1及び図2中、符号86は、加熱水送給パイプ67に介装され送水器65からの加熱水を吸引して送出する加熱水ポンプである。また、加熱排水貯留槽83には、入口87aが加熱水送給管85の入口85aよりも上位に位置し加熱排水貯留槽83内の加熱水を取り出す加熱排水取出管87が設けられている。この加熱排水取出管87から取り出した加熱水は、実施の形態では、例えば、深海魚等が収容された水槽88内に供給される。
【0060】
更に、本装置Sにおいて、弱真空手段Vの1つの手段として、加熱水排水パイプ82を備えている。この加熱水排水パイプ82は、加熱水貯留槽81に加熱排水入口82aが臨み加熱排水出口82bが加熱水貯留部80よりも下方位置の加熱排水貯留槽83に開放し、加熱水貯留槽81に貯留された加熱水を自然落下により加熱排水貯留槽83まで排水するものである。この加熱水排水パイプ82の排水により分離塔10内が弱真空状態に保持される。加熱水排水パイプ82の長さは、例えば、外気の圧力が1000hPaでは、約9mに設定され、加熱水が加熱水排水パイプ82を自然落下するエネルギーにより、分離塔10内を吸引して負圧にする。この場合、外気の圧力が1000hPaに対して加熱水排水パイプ82の長さが約9mであるので、分離塔10内の圧力は100hPaとなる。
【0061】
そしてまた、本装置Sは、上記の凝縮空間Gを構成し上部が蒸気供給通路1に連通し下部が浄水取出部91として構成される筒状の凝縮塔90と、凝縮塔90の外側を覆い凝縮塔90との間に冷却空間Rを形成する冷却外塔92とを備えて構成されている。また、気体供給通路50から分岐して再び凝縮空間G側に至る分岐路51が設けられており、この分岐路51から凝縮空間G側へ流入する気体を冷却して冷却後の気体と蒸気供給通路1からの水蒸気との熱交換により水蒸気を冷却凝縮させるようにする気体冷却手段100が設けられている。更に、気体供給通路50には、分離空間B側と分岐路51側との2方向に気体を振り分けて送るブロア52が介装されている。
【0062】
凝縮塔90は、円筒状の一般壁90aと一般壁90aに連設され浄水を受けるロート状の下端壁90bとで構成されており、一般壁90a,下端壁90b及び冷却外塔92で冷却空間Rを形成している。また、一般壁90aには、冷却空間Rからの気体が凝縮空間G内に導出可能な複数の導出口112が形成されている。
浄水取出部91は、ロート状に形成された受け部91aと、受け部91aの先端に設けられる浄水取出管91bとを備えて構成されている。浄水取出管91bは冷却外塔92外部に設けられ浄水を排出させる浄水ポンプ93に接続され、この浄水ポンプ93の駆動により浄水は浄水排出管94を通して浄水槽95へ送られる。この浄水槽95に貯留された浄水は、排出パイプ96を通して排出され、例えば、飲料水等として使用される。
【0063】
冷却空間Rは、冷却空間Rの冷却外塔92側に形成され凝縮空間Gからの気体を一次気体冷却手段100aにより冷却する第一冷却空間Raと、冷却空間Rの凝縮塔90側に形成され一次気体冷却手段100aにより冷却された気体を二次気体冷却手段100bにより更に冷却する第二冷却空間Rbとを備えて構成されている。この第一冷却空間Raと第二冷却空間Rbとの間には断熱性の仕切壁101が設けられている。
【0064】
第一冷却空間Raは、冷却外塔92と仕切壁101との間で形成されており、下側から気体が流入して上側に至るようになっている。この第一冷却空間Raの上側には、第一冷却空間Raに冷却水を散布する一次気体冷却手段100aとしての冷却水散布部102が設けられている。本実施の形態においては、冷却水として処理水を用いている。この冷却水としての処理水は、汲み上げポンプ41で汲み上げられ、汲み上げポンプ41から吐出されて処理水ジャケット40内に貯留された後、冷却水送給パイプ103により冷却水散布部102に送給されている。尚、図3中、符号103aは、冷却水送給パイプ103内の冷却水の冷却水散布部102への送給を許容,不能にする開閉弁である。また、図3中、符号104は、処理水送給パイプ42から分岐して設けられ、処理水送給パイプ42内の処理水を冷却水として直接冷却水散布部102に送給可能にする冷却水分岐パイプであり、符号104aは、一方弁44及び開閉弁103aを閉にしたとき開にし、一方弁44及び開閉弁103aを開にしたとき閉にして、処理水送給パイプ42内の処理水を冷却水として直接冷却水散布部102に送給することを許容,不能にするバランサーバルブである。このバランサーバルブ104aの開閉により汲み上げポンプ41から吐出された処理水の流路を可変させて、処理水の温度調整を行なっている。
【0065】
冷却水散布部102は、第一冷却空間Raの上部において、冷却水送給パイプ103により送給された冷却水を一時的に収容する冷却水収容槽105を備え、この冷却水収容槽105の底壁に多数の小孔106を設け、この小孔106から冷却水を第一冷却空間Ra内に散布する。この冷却水の散布により気体が冷却される。
【0066】
第二冷却空間Rbは、仕切壁101と凝縮塔90との間で形成されており、上側に第一冷却空間Raからの気体が導入する導入口111が設けられ、この導入口111から導入した気体が凝縮塔90の一般壁90aの導出口112から凝縮空間Gに導出するようになっている。この第二冷却空間Rbにおいては、仕切壁101と凝縮塔90との間に、気体が通過可能な通過孔113aを複数有した仕切板113が設けられており、この仕切板113と凝縮塔90の一般壁90aとの間に、仕切板113と凝縮塔90の一般壁90aとを接続するとともに、通過孔113aからの気体を導出口112に至らしめる複数の気体流通通路114aを形成する断面逆V状の接続板114が設けられている。また、この第二冷却空間Rbには、接続板114に支持されて第二冷却空間Rbの上下に亘って間隔を隔てて配設され冷媒が供給される二次気体冷却手段100bとしての冷媒パイプ110が設けられている。この冷媒パイプ110は、第二冷却空間Rbの上下に亘って螺旋状に形成されている。また、この冷媒パイプ110には、図示外の冷媒ボンベから図示外の冷媒供給管を通して常時冷媒が供給されており、気体と熱交換して温度上昇した冷媒は、図示外の冷媒排出管から排出されていく。
【0067】
また、第一冷却空間Ra及び第二冷却空間Rbの下部には、冷却水散布部102で散布された冷却水を貯留する冷却水貯留部120が設けられている。この冷却水貯留部120は、凝縮塔90の下端壁90bと冷却外塔92とで囲繞されて形成されている。冷却水貯留部120に貯留された冷却水は、冷却水パイプ121aを通って冷却水貯留槽121に一時的に貯留され、冷却水貯留槽121から後述の冷却水排水パイプ122を通って排出されて冷却排水貯留槽123に一時的に貯留される。この冷却水貯留槽121には、冷却水パイプ121aより上位に、冷却水貯留槽121と第一冷却空間Raとを連通する冷却水貯留槽連通パイプ124が設けられており、冷却水貯留部120に貯留される冷却水の水位が上昇したときには、この冷却水貯留槽連通パイプ124から冷却水貯留部120の冷却水を冷却水貯留槽121に送給可能にしている。また、冷却排水貯留槽123には、入口125aが冷却排水貯留槽123に連通するとともに出口125bが加熱水取込部66に至り冷却排水貯留槽123の冷却水としての処理水を加熱水として加熱水散布部62側に送給する処理水送給管125が設けられており、冷却水貯留部120から冷却排水貯留槽123に送られた冷却水を加熱水取込部66に送給し加熱水送給パイプ67を介して加熱水散布部62から加熱空間Kに送給するようにしている。この処理水送給管125と上記の加熱水送給管85とは、加熱水取込部66の前位で接続されており、処理水送給管125内の冷却水としての処理水と加熱水送給管85内の加熱水とが接続部126で合流して加熱水取込部66に送給されている。
【0068】
更に、本装置Sにおいて、弱真空手段Vの1つの手段として、冷却水排水パイプ122を備えている。この冷却水排水パイプ122は、冷却水貯留槽121に冷却排水入口122aが臨み冷却排水出口122bが冷却水貯留部120よりも下方位置の冷却排水貯留槽123に開放し、冷却水貯留槽121に貯留された冷却水を自然落下により冷却排水貯留槽123まで排水するものである。この冷却水排水パイプ122の排水により凝縮塔90内が弱真空状態に保持される。冷却水排水パイプ122の長さは、加熱水排水パイプ82の長さよりも短く形成されており、例えば、外気の圧力が1000hPaでは、約7mに設定され、冷却水が冷却水排水パイプ122を自然落下するエネルギーにより、凝縮塔90内を吸引して負圧にする。この場合、外気の圧力が1000hPaに対して冷却水排水パイプ122の長さが約7mであるので、凝縮塔90内の圧力は300hPaとなる。
【0069】
本実施の形態においては、外気の圧力が1000hPaに対して分離塔10内の圧力が100hPaであるので、分離塔10内は90%の真空状態であり、また、外気の圧力が1000hPaに対して凝縮塔90内の圧力が300hPaであるので、凝縮塔90内は70%の真空状態であるといえる。即ち、外気の圧力が同一である場合、弱真空手段Vを、加熱水排水パイプ82の長さを冷却水排水パイプ122の長さより長く形成して構成することにより、分離空間Bを凝縮空間Gよりも高真空状態にすることができる。尚、図1及び図2中、符号127は、加熱水散布部62から第一加熱空間Kaに供給される加熱水中のガスを抜くための真空ポンプであり、符号128は、真空ポンプ127に接続される真空パイプである。この真空ポンプ127を適時に作動させて加熱水中のガスを抜くことにより、分離空間B内を適切な真空状態にすることができる。
【0070】
更にまた、凝縮塔90の上側には、浄水取出部91から取り出された一部の浄水を散布する浄水散布部130が設けられている。詳しくは、浄水排出管94から分岐し、浄水取出部91から取り出されて浄水ポンプ93によって浄水排出管94に送られた一部の浄水を浄水散布部130に送給する浄水送給分岐管路131が設けられている。この浄水送給分岐管路131の末端部131aには、浄水をシャワー状にして凝縮空間Gに散布する多数の小口を有した複数の散布ヘッド132が接続されている。また、浄水送給分岐管路131は、冷却水貯留部120内を通して設けられており、即ち、冷却水貯留部120内には、浄水送給分岐管路131を螺旋状にした熱交換管部131bが設けられており、この熱交換管部131bにより冷却水貯留部120内で浄水と冷却水との熱交換を行なわせるようにしている。
【0071】
また、本装置Sにおいて、蒸気供給通路1には、分離空間Bからの水蒸気により作動する蒸気タービン140が介装されている。蒸気タービン140の回転は動力機構141に伝達される。動力機構141は、発電機142,処理水ポンプ34,真空ポンプ127,浄水供給ポンプ77,加熱水ポンプ86,汲み上げポンプ41,浄水ポンプ93,本装置Sの始動時に蒸気タービン140を回転させるディーゼルエンジン143,ブロア52に連動してこれらを駆動する。真空ポンプ127は、所定条件で結合及び切断するクラッチ144を介して連携されており、ディーゼルエンジン143は、所定条件で結合及び切断するランニングクラッチ145を介して連携されている。尚、図2中、符号146は、蒸気タービン140の作動により水蒸気の一部が凝縮した復水を加熱水散布部62に送給する復水送給パイプであり、符号147は、ブロア52により気体の一部が凝縮した復水を加熱水送給パイプ67に供給する復水供給パイプである。
【0072】
また、浄水取出部91には、受け部91aに溜まった浄水の水位を検知し、水位が所定以上高くなったときオン作動し所定以下のときオフ作動するフロートスイッチ150が設けられている。このフロートスイッチ150がオン作動したときは、浄水排出管94を開閉する電磁弁151を開にして浄水の排出を有効にする。このフロートスイッチ150がオフ作動したときは、浄水排出管94を開閉する電磁弁151を閉にして浄水の排出を無効にする。これにより、浄水の回収を確実に行なうことができる。
【0073】
更に、処理水貯留槽31前位の受槽39には、受槽39に溜まった処理水の水位を検知し、水位が所定以上高くなったときオン作動し所定以下のときオフ作動するフロートスイッチ160が設けられている。このフロートスイッチ160がオン作動したときは、処理水送給パイプ42に介装された一方弁44を閉にして処理水の処理水ジャケット40への送給を不能にする。これにより過剰な処理水の供給が抑止される。一方、このフロートスイッチ160がオフ作動したときは、処理水送給パイプ42に介装された一方弁44を開にして処理水の処理水ジャケット40への送給を許容する。これにより処理水の供給が行なわれる。
【0074】
従って、この実施の形態に係る浄水装置Sによれば、分離空間B側においては、処理水としての深層水が汲み上げポンプ41により汲み上げられて処理水送給パイプ42を通して処理水ジャケット40内に送給されるとともに、加熱水としての表層水が送水器65により加熱水取込部66から取り込まれ、この加熱水が加熱水ポンプ86により加熱水送給パイプ67を通して加熱水散布部62の加熱水収容槽63に送給されており、この加熱水が加熱水収容槽63の小孔64から第一加熱空間Ka内に散布されている。この加熱水の散布により、気体供給通路50から第一加熱空間Kaに供給された気体が加熱される。このとき、第一加熱空間Ka内においては、第一加熱空間Kaと第二加熱空間Kbとの間に断熱性の仕切壁61が設けられており、第二加熱空間Kbの流入口71が第二加熱空間Kbの上側に設けられているので、気体が第一加熱空間Kaから第二加熱空間Kbに最短距離で流入することができず、供給された気体は第一加熱空間Kaを下側から上側に向かって移動していき、散布される加熱水は第一加熱空間Kaの上側から下側に向かって落下していくので、気体が第一加熱空間Ka内を通過する距離が長くなって気体と加熱水とが接触する距離が長くなり、そのため、熱交換効率を向上させることができるので、気体を確実に加熱することができる。この場合、例えば、汲み上げられる処理水の温度は2℃であり、加熱水散布部62に送給される加熱水の温度は30℃である。
【0075】
この散布された加熱水は加熱水貯留部80に貯留され、更に、加熱水貯留部80から加熱水貯留槽81に送給されて貯留され、加熱水貯留槽81から加熱水排水パイプ82を通って排出されて、加熱排水貯留槽83に貯留される。加熱水が加熱水貯留部80から加熱水排水パイプ82を通って排出されると、加熱水排水パイプ82の長さが9mに設定されているので、加熱水が加熱水排水パイプ82を自然落下するエネルギーにより、分離塔10内を吸引して負圧にし、これにより、分離塔10内が100hPaの弱真空状態に保持される。加熱水排水パイプ82を自然落下するエネルギーにより弱真空状態に保持するので、エネルギー効率が向上させられる。このとき、加熱水排水パイプ82の長さが冷却水排水パイプ122の長さよりも長く形成されているので、加熱水が加熱水排水パイプ82を自然落下するエネルギーが、冷却水が冷却水排水パイプ122を自然落下するエネルギーよりも大きくなり、そのため、分離空間Bを凝縮空間Gより高真空状態にすることができる。
【0076】
加熱排水貯留槽83に貯留された加熱水は、加熱水送給管85を通って加熱水取込部66に至り、この加熱水取込部66において順次取り込まれる新たな加熱水と混合して加熱水ポンプ86により吸引されて加熱水送給パイプ67に吐出され、再び加熱水散布部62に送給されて循環させられる。これにより、有効利用することができるとともに、利用効率を向上させることができる。また、加熱排水貯留槽83からの加熱水を新たな加熱水と混合させるので、新たな加熱水の分だけ徐々に加熱水の量が増していく。この場合、加熱排水貯留槽83に貯留された加熱水の量が加熱水送給管85の送給量よりも多くなると、加熱水送給管85の入口85aから加熱水送給管85内に加熱水が入り込まなくなり、加熱水の水位が加熱水送給管85の入口85aよりも上位になっていくので、加熱排水取出管87から加熱水を取り出すようにする。この加熱排水取出管87から取り出された加熱水は、実施の形態では、深海魚等が収容された水槽88内に供給され、深海魚等の養殖等に用いられている。そのため、この点においても、有効利用することができる。また、加熱水貯留部80に貯留された加熱水の温度は、気体供給通路50から供給される気体の温度が、例えば15℃とすると、第一加熱空間Ka内でこの気体と熱交換して20℃程度にまで温度低下し、水槽88に貯留されるときの加熱水の温度は15℃程度まで温度低下しているので、深海魚等の養殖に最適な温度となっている。
【0077】
そして、第一加熱空間Kaで加熱された気体は、流入口71から第二加熱空間Kb内に流入し、熱水パイプ70を流れる熱水と熱交換して更に加熱される。このとき、浄水供給パイプ75を流れる浄水は、浄水加熱パイプ75aを通過するときに加熱器76によって、例えば80℃にまで加熱され熱水となって、熱水パイプ70に供給される。この第二加熱空間Kbで熱水パイプ70を流れる熱水と熱交換した気体は、例えば20℃まで温度上昇して流出口72から分離空間B内に流出していく。
【0078】
この分離空間B内においては、処理水散布部30から処理水が分離空間Bに散布されている。詳しくは、処理水ジャケット40内の処理水は受槽39から処理水貯留槽31に送給され、処理水ポンプ34によって送出管32を通して散布ヘッド33に送給され、散布ヘッド33からシャワー状にして分離空間Bに散布される。この場合、処理水ジャケット40内の処理水の温度が2℃と低いものであるので、処理水貯留槽31に貯留される処理水の温度も2℃程度と低いものであるが、処理水が処理水貯留槽31内を通過している浄水供給パイプ75の加熱パイプ75b内を流れる80℃の熱水と熱交換して、例えば、70℃まで温度上昇させられて散布ヘッド33から散布される。
【0079】
分離空間B内に、加熱空間Kで加熱された気体が吹き込まれるとともに、処理水散布部30から処理水が散布されると、分離空間B内においては、散布された処理水が加熱空間Kから分離空間Bに供給される気体に接触するので、蒸発させられて水蒸気と残物とに分離させられる。この場合、加熱空間Kからの気体の温度が、例えば20℃と低いものであっても、分離空間Bは弱真空状態になっているので、ここで低温沸騰が生じて水蒸気が生じる。そのため、処理水の温度が低くても、比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるようになるので、熱効率が極めて良いものになる。また、処理水の温度が低くても比較的低い加熱温度で処理水を加熱蒸発させることができるが、処理水は処理水貯留槽31において70℃にまで加熱され、気体は第一加熱空間Ka及び第二加熱空間Kbで20℃にまで加熱して分離空間Bに供給されているので、より一層処理水を加熱蒸発させやすくなり、そのため、熱効率が極めて良いものになる。
【0080】
そして、分離空間Bで分離された残物は、分離塔10の下部の残物取出部11に向けて降下していく。この降下中も残物と水蒸気との熱交換が行なわれ、最後には残物から水分が除去され、粒状の残物となる。本実施の形態では、処理水として海水である深層水を用いているため、残物は粒状の塩になる。残物取出部11の受け部11aに集束された残物は、ネジ型ポンプ13により外部に取り出される。
【0081】
一方、分離空間Bで生じた水蒸気は、ファン24によって蒸気圧縮筒21の下側開口22から圧縮空間C内に送られ、この圧縮空間C内において下側から上側に向かって移動し、凝縮空間Gより高圧に圧縮される。この圧縮空間C内においては、水蒸気はファン24によって下側から上側に向かってスパイラル状の気流となって加速しながら上昇していくので、気体を押圧して高圧に圧縮することができる。また、蒸気圧縮筒21は、上側に漸次縮径する円錐台筒状に形成されているので、この点でも、気体の上昇に伴って気体を高圧に圧縮することができる。この圧縮空間Cでの水蒸気の圧力は、下側開口22付近では200hPaであり、上側開口23付近では500hPaと高圧に圧縮される。
【0082】
また、この圧縮空間Cでは、水蒸気は処理水ジャケット40内の処理水と熱交換して冷却される。このとき、水蒸気はファン24によってスパイラル状の気流となるので、水蒸気が蒸気圧縮筒21の壁部の内面に衝突するようになり、処理水ジャケット40が蒸気圧縮筒21の壁部を外面側から冷却しているので、水蒸気と処理水ジャケット40内の処理水との熱交換効率を向上させることができる。
【0083】
そして、蒸気圧縮筒21の上側開口23から出た水蒸気は、分離塔10の上部にある流通口部35及びメッシュ壁37を通って処理水貯留槽31内の処理水内に吹き込まれ、それから、蒸気供給通路1へ向かって流出していく。この水蒸気によっても処理水貯留槽31に貯留された処理水が加熱される。この場合、処理水貯留槽31内の一部の処理水が水蒸気となるので、蒸気供給通路1に送られる水蒸気の流量が増加する。また、処理水貯留槽31において、水蒸気内の不純物を洗浄することができる。そして、蒸気供給通路1に至った水蒸気は、例えば40℃にまで温度上昇し、蒸気供給通路1を通過して蒸気タービン140に供給され、この水蒸気によって蒸気タービン140が作動させられる。この蒸気タービン140の作動により、動力を得ることができる。この動力により動力機構141が機能するとともに、発電機142によって電力を得ることができる。また、圧縮手段20で水蒸気を高圧にして蒸気タービン140に送るので、蒸気タービン140の出力を向上させることができる。
【0084】
蒸気タービン140から排出された水蒸気は、例えば20℃程度となって凝縮空間Gに送られる。このとき、水蒸気は凝縮空間Gより高圧に圧縮されているので、この圧力差によって、蒸気供給通路1を通る気体は、分離空間B側から凝縮空間G側に向けて引っ張られるようになり、そのため、気体を蒸気タービン140に勢い良く流入させることができるので、この点でも、蒸気タービン140の出力を向上させることができる。
【0085】
一方、凝縮空間G側においては、処理水ジャケット40内の冷却水としての処理水が冷却水送給パイプ103によって冷却水散布部102の冷却水収容槽105に送給されており、この冷却水が冷却水収容槽105の小孔106から第一冷却空間Ra内に散布されている。この冷却水の散布により、気体供給通路50からブロア52によって分岐路51に振り分けられて第一冷却空間Raに供給された気体が冷却される。このとき、第一冷却空間Ra内においては、第一冷却空間Raと第二冷却空間Rbとの間に断熱性の仕切壁101が設けられており、第二冷却空間Rbの導入口111が第二冷却空間Rbの上側に設けられているので、気体が第一冷却空間Raから第二冷却空間Rbに最短距離で流入することができず、供給された気体は第一冷却空間Raを下側から上側に向かって移動していき、散布される冷却水は第一冷却空間Raの上側から下側に向かって落下していくので、気体が第一冷却空間Ra内を通過する距離が長くなって気体と冷却水とが接触する距離が長くなり、そのため、熱交換効率を向上させることができるので、気体を確実に冷却することができる。
【0086】
この散布された冷却水は冷却水貯留部120に貯留され、更に、冷却水貯留部120から冷却水貯留槽121に送給されて貯留され、冷却水貯留槽121から冷却水排水パイプ122を通って排出されて、冷却排水貯留槽123に貯留される。冷却水が冷却水貯留部120から冷却水排水パイプ122を通って排出されると、冷却水排水パイプ122の長さが7mに設定されているので、冷却水が冷却水排水パイプ122を自然落下するエネルギーにより、凝縮塔90内を吸引して負圧にし、これにより、凝縮塔90内が300hPaの弱真空状態に保持される。冷却水排水パイプ122を自然落下するエネルギーにより弱真空状態に保持するので、エネルギー効率が向上させられる。このときの冷却水貯留部120での冷却水の温度は、気体との熱交換により5℃になっている。
【0087】
冷却排水貯留槽123に貯留された冷却水は、処理水送給管125を通り、接続部126で加熱水送給管85内の加熱水と合流して加熱水取込部66に至り、この加熱水取込部66から加熱水送給パイプ67を介して加熱水散布部62に送給される。冷却水として処理水を用いるので、それだけ、熱効率を向上させることができる。また、処理水送給管125により、冷却水貯留部120の冷却水としての処理水を、加熱水散布部62側に送給して加熱水とすることができるので、それだけ、利用効率を向上させることができる。
【0088】
そして、第一冷却空間Raで冷却された気体は、導入口111から第二冷却空間Rb内に流入し、冷媒パイプ110を流れる冷媒と熱交換して更に冷却される。この第二冷却空間Rbで冷媒パイプ110を流れる冷媒と熱交換した気体は、例えば15℃にまで温度低下して導入口111から凝縮空間G内に導出していく。
【0089】
この凝縮空間G内においては、浄水散布部130から浄水が凝縮空間Gに散布されている。詳しくは、浄水取出部91から取り出された浄水は、その一部が浄水ポンプ93で吸引されて浄水送給分岐管路131を通して散布ヘッド132に送給され、散布ヘッド132からシャワー状にして凝縮空間Gに散布される。この場合、浄水送給分岐管路131は、冷却水貯留部120内に螺旋状にした熱交換管部131bが設けられており、この熱交換管部131bにより冷却水貯留部120内で浄水と冷却水との熱交換が行なわれるので、凝縮空間Gにおいては、浄水散布部130から散布された浄水は、例えば、4℃程度になって散布される。
【0090】
凝縮空間G内に、冷却空間Rで冷却された気体が吹き込まれるとともに浄水散布部130から浄水が散布されている状態で、蒸気供給通路1からの水蒸気が供給されると、凝縮空間G内においては、水蒸気は、冷却空間Rから凝縮空間Gに供給される気体に接触して冷却凝縮されるとともに、浄水散布部130から散布された低温の浄水に接触するので、急激に凝縮して復水し、シャワー状の浄水に付着して落下していく。この場合、蒸気供給通路1からの蒸気の温度が、例えば20℃と低いものであっても、凝縮空間G内は更に温度が低いので、凝縮が円滑に行なわれる。また、シャワー状の浄水に接触させて落下させるので、この点でも確実に水蒸気を凝縮して復水させることができる。更に、浄水を熱交換管部131bで冷却してから散布するので、この点でも確実に水蒸気を凝縮して復水させることができる。この場合、散布する浄水の温度が低い方が、凝縮した水蒸気が付着しやすいので、例えば4℃程度にまで冷却した浄水を散布することにより、より確実に付着させることができる。
【0091】
凝縮空間Gで復水した水は、浄水散布部130から散布された浄水とともに、浄水取出部91の受け部91aに溜まり、浄水ポンプ93によって浄水取出管91bから取り出される。取り出された浄水は、その一部が浄水排出管94を通して浄水槽95へ送られ、一部が浄水供給パイプ75に送られ、一部が浄水送給分岐管路131に送られる。この浄水槽95に貯留された浄水は、排出パイプ96を通して排出され、例えば、飲料水等として使用される。一方、浄水供給パイプ75及び浄水送給分岐管路131に送られた浄水は装置S内で循環させられ、この循環する浄水に水蒸気が復水して付着して浄水の水量が増すので、効率的に浄水を生成することができる。
【0092】
一方、凝縮空間G内で復水しなかった水蒸気は、冷却されて気体のまま気体供給通路50に送られる。このとき、弱真空手段Vにより分離空間Bは凝縮空間Gよりも高真空状態になっているので、圧力は分離空間Bよりも凝縮空間Gの方が高くなり、気体は圧力の高い方から低い方へ向かって移動するので、気体供給通路50に送られた気体は、凝縮空間Gと分離空間Bとの圧力差によって凝縮空間G側から分離空間B側に送られ、分離空間B側において気体加熱手段60により加熱されて分離空間Bに供給される。この場合、気体は、蒸気供給通路1及び気体供給通路50を介して、分離空間Bと凝縮空間Gとを気体の圧力差によって循環するが、分離空間Bからの水蒸気は圧縮手段20によって圧縮されて蒸気供給通路1を通って凝縮空間Gに送られるので、圧力差を大きくして循環させることができ、そのため、装置Sの出力を向上させることができる。
【0093】
また、気体供給通路50に送られた気体は、その一部が、ブロア52により分岐路51に振り分けられる。気体は圧力の高い方から低い方へ向かって流れようとするので、気体供給通路50の気体を凝縮空間G側に再び流入させることが難しいが、ブロア52を設けることにより、気体供給通路50を通る気体を分離空間B側と分岐路51側との2方向に確実に振り分けることができる。このブロア52を通過した気体は、例えば15℃程度となって第一加熱空間Kaと第一冷却空間Raに送られる。
【0094】
尚、上記実施の形態において、処理水として海水の深層水を用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、湖水や、洗濯水などの排水であっても良く、適宜選択できる。また、上記実施の形態において、加熱水として海水の表層水を用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、湖水や、洗濯水などの排水であっても良く、適宜選択できる。
また、上記実施の形態において、加熱水排水パイプ82の長さを9m、冷却水排水パイプ122の長さを7mに形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、加熱水排水パイプ82の長さを冷却水排水パイプ122の長さよりも長く形成すれば良く、適宜変更して差支えない。
【0095】
尚また、上記実施の形態において、加熱空間Kを第一加熱空間Kaと第二加熱空間Kbとを備えて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみで構成しても良く、適宜変更して差支えない。
更に、上記実施の形態において、冷却空間Rを第一冷却空間Raと第二冷却空間Rbとを備えて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみで構成しても良く、適宜変更して差支えない。
【符号の説明】
【0096】
S 浄水装置
B 分離空間
G 凝縮空間
V 弱真空手段
K 加熱空間
Ka 第一加熱空間
Kb 第二加熱空間
C 圧縮空間
R 冷却空間
Ra 第一冷却空間
Rb 第二冷却空間
1 蒸気供給通路
10 分離塔
11 残物取出部
11a 受け部
11b 残物取出管
12 加熱外塔
13 ネジ型ポンプ
14 減速機
15 延設塔
20 圧縮手段
21 蒸気圧縮筒
22 下側開口
23 上側開口
24 ファン
30 処理水散布部
31 処理水貯留槽
32 送出管
33 散布ヘッド
34 処理水ポンプ
35 流通口部
36 覆体
37 メッシュ壁
38 処理水供給ポンプ
39 受槽
40 処理水ジャケット
41 汲み上げポンプ
42 処理水送給パイプ
43 受槽連通パイプ
44 一方弁
50 気体供給通路
60 気体加熱手段
60a 第一気体加熱手段
60b 第二気体加熱手段
61 仕切壁
62 加熱水散布部
63 加熱水収容槽
64 小孔
65 送水器
65a モータ
66 加熱水取込部
67 加熱水送給パイプ
70 熱水パイプ
71 流入口
72 流出口
73 仕切板
74 接続板
74a 気体流通通路
75 浄水供給パイプ
75a 浄水加熱パイプ
75b 加熱パイプ
76 加熱器
76a ソーラー加熱器
77 浄水供給ポンプ
78 再供給パイプ
79 一方弁
80 加熱水貯留部
81 加熱水貯留槽
82 加熱水排水パイプ
83 加熱排水貯留槽
84 加熱水貯留槽連通パイプ
85 加熱水送給管
86 加熱水ポンプ
87 加熱排水取出管
88 水槽
90 凝縮塔
91 浄水取出部
92 冷却外塔
93 浄水ポンプ
94 浄水排出管
95 浄水槽
96 排出パイプ
100 気体冷却手段
100a 第一気体冷却手段
100b 第二気体冷却手段
101 仕切壁
102 冷却水散布部
103 冷却水送給パイプ
104 冷却水分岐パイプ
105 冷却水収容槽
106 小孔
110 冷媒パイプ
111 導入口
112 導出口
113 仕切板
114 接続板
114a 気体流通通路
120 冷却水貯留部
121 冷却水貯留槽
122 冷却水排水パイプ
123 冷却排水貯留槽
124 冷却水貯留槽連通パイプ
125 処理水送給管
126 接続部
127 真空ポンプ
128 真空パイプ
130 浄水散布部
131 浄水送給分岐管路
132 散布ヘッド
140 蒸気タービン
141 動力機構
142 発電機
143 ディーゼルエンジン
144 クラッチ
145 ランニングクラッチ
146 復水送給パイプ
147 復水供給パイプ
150 フロートスイッチ
151 電磁弁
160 フロートスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水が送給され該送給された処理水を加熱蒸発させて水蒸気と残物とに分離させる分離空間と、該分離空間で分離された残物を取り出す残物取出部と、上記分離空間で分離された水蒸気が蒸気供給通路を介して供給され該供給された水蒸気を冷却により凝縮して浄水にする凝縮空間と、該凝縮空間で凝縮された浄水を取り出す浄水取出部とを備えた浄水装置において、
上記分離空間及び凝縮空間を弱真空状態にする弱真空手段を備え、
上記分離空間からの水蒸気を上記凝縮空間より高圧に圧縮して該蒸気供給通路に送る圧縮手段を設け、上記凝縮空間で冷却された気体を該凝縮空間と上記分離空間との圧力差によって該分離空間に供給する気体供給通路を設け、該気体供給通路から供給された気体を加熱して該加熱した気体と処理水との熱交換により処理水を蒸発させるようにする気体加熱手段を設けたことを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔を備え、上記圧縮手段を、上側に漸次縮径する円錐台筒状に形成され下側開口が上記分離塔に連通するとともに上側開口が上記蒸気供給通路に連通し内部が上記分離空間からの水蒸気を上記凝縮空間より高圧に圧縮して該蒸気供給通路に送る圧縮空間として構成される蒸気圧縮筒と、該蒸気圧縮筒の下側開口に設けられ上記分離空間からの水蒸気を該蒸気圧縮筒内に送って圧縮させるファンとを備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の浄水装置。
【請求項3】
上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成したことを特徴とする請求項1または2記載の浄水装置。
【請求項4】
上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間内に該加熱空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され熱水が供給される熱水パイプを備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の浄水装置。
【請求項5】
上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、一次気体加熱手段と、該一次気体加熱手段により加熱された気体を更に加熱する二次気体加熱手段とを備えて構成し、
上記一次気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成し、
上記二次気体加熱手段を、上記加熱空間内に該加熱空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され熱水が供給される熱水パイプを備えて構成したことを特徴とする請求項1または2記載の浄水装置。
【請求項6】
上記加熱空間を、該加熱空間の加熱外塔側に形成され上記気体供給通路から供給された気体を上記一次気体加熱手段により加熱する第一加熱空間と、上記加熱空間の分離塔側に形成され上記一次気体加熱手段により加熱された気体を上記二次気体加熱手段により加熱する第二加熱空間とを備えて構成し、
上記第一加熱空間と第二加熱空間との間に断熱性の仕切壁を設け、上記第二加熱空間の上側に上記第一加熱空間からの気体が流入する流入口を設けたことを特徴とする請求項5記載の浄水装置。
【請求項7】
上記凝縮空間で凝縮された浄水の一部を加熱し該加熱した熱水を上記熱水パイプに供給する加熱器を備えたことを特徴とする請求項4乃至6何れかに記載の浄水装置。
【請求項8】
上記加熱器を、上記凝縮空間で凝縮された浄水の一部を太陽光によって加熱するソーラー加熱器で構成したことを特徴とする請求項7記載の浄水装置。
【請求項9】
上記処理水散布部を、上記蒸気供給通路の手前に設けられ処理水を一時的に貯留するとともに上記分離空間からの水蒸気が通過する処理水貯留槽と、該処理水貯留槽内の処理水が送出管を通して送出され該送出された処理水をシャワー状にして上記分離空間内に散布する多数の小口を有した複数の散布ヘッドと、上記処理水貯留槽内の処理水を吸引して該散布ヘッドに送出する処理水ポンプとを備えて構成し、
上記熱水パイプに熱水を供給するパイプの一部を、上記処理水貯留槽内を通して設けられ該処理水貯留槽内の処理水を加熱する加熱パイプとして構成したことを特徴とする請求項4乃至8何れかに記載の浄水装置。
【請求項10】
上記気体供給通路から分岐して再び凝縮空間側に至る分岐路を設け、該分岐路から上記凝縮空間側へ流入する気体を冷却して該冷却後の気体と上記蒸気供給通路からの水蒸気との熱交換により該水蒸気を冷却凝縮させるようにする気体冷却手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載の浄水装置。
【請求項11】
上記気体供給通路に上記分離空間側と上記分岐路側との2方向に気体を振り分けて送るブロアを介装したことを特徴とする請求項10記載の浄水装置。
【請求項12】
上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、
上記気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成したことを特徴とする請求項10または11記載の浄水装置。
【請求項13】
上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、
上記気体冷却手段を、上記冷却空間内に該冷却空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され冷媒が供給される冷媒パイプを備えて構成したことを特徴とする請求項10乃至12何れかに記載の浄水装置。
【請求項14】
上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、
上記気体冷却手段を、一次気体冷却手段と、該一次気体冷却手段により冷却された気体を更に冷却する二次気体冷却手段とを備えて構成し、
上記一次気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成し、
上記二次気体冷却手段を、上記冷却空間内に該冷却空間の上下に亘って間隔を隔てて配設され冷媒が供給される冷媒パイプを備えて構成したことを特徴とする請求項10または11記載の浄水装置。
【請求項15】
上記冷却空間を、該冷却空間の冷却外塔側に形成され上記凝縮空間からの気体を上記一次気体冷却手段により冷却する第一冷却空間と、上記冷却空間の凝縮塔側に形成され上記一次気体冷却手段により冷却された気体を上記二次気体冷却手段により冷却する第二冷却空間とを備えて構成し、
上記第一冷却空間と第二冷却空間との間に断熱性の仕切壁を設け、上記第二冷却空間の上側に上記第一冷却空間からの気体を導入する導入口を設けたことを特徴とする請求項14記載の浄水装置。
【請求項16】
上記凝縮塔の上側に上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を散布する浄水散布部を設けたことを特徴とする請求項12乃至15何れかに記載の浄水装置。
【請求項17】
上記凝縮塔の上側に上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を散布する浄水散布部を設け、
上記冷却空間の下部に上記冷却水散布部から散布された冷却水を貯留する冷却水貯留部を設け、上記浄水取出部から取り出された一部の浄水を上記浄水散布部に送給する浄水送給分岐管路を設け、該浄水送給分岐管路を、上記冷却水貯留部内を通して設け、該冷却水貯留部内で浄水と冷却水との熱交換を行なわせることを特徴とする請求項12,14または15記載の浄水装置。
【請求項18】
上記冷却水として処理水を用いるとともに、上記冷却水貯留部の冷却水としての処理水を上記加熱水散布部側に送給する処理水送給管を設けたことを特徴とする請求項17記載の浄水装置。
【請求項19】
上記弱真空手段を、上記分離空間を凝縮空間より高真空状態にするように構成したことを特徴とする請求項1乃至18何れかに記載の浄水装置。
【請求項20】
上記分離空間を構成し上部が上記蒸気供給通路側に連通し下部が上記残物取出部として構成される筒状の分離塔と、該分離塔の外側を覆い該分離塔との間に上記気体加熱手段により加熱される加熱空間を形成する加熱外塔とを備え、上記分離塔の上側に処理水を散布する処理水散布部を設け、上記気体加熱手段を、上記加熱空間の上側に設けられ該加熱空間に加熱水を散布する加熱水散布部を備えて構成し、
上記気体供給通路から分岐して再び凝縮空間側に至る分岐路を設け、該分岐路から上記凝縮空間側へ流入する気体を冷却して該冷却後の気体と上記蒸気供給通路からの水蒸気との熱交換により該水蒸気を冷却凝縮させるようにする気体冷却手段を設け、
上記凝縮空間を構成し上部が上記蒸気供給通路に連通し下部が上記浄水取出部として構成される筒状の凝縮塔と、該凝縮塔の外側を覆い該凝縮塔との間に上記気体冷却手段により冷却される冷却空間を形成する冷却外塔とを備え、上記気体冷却手段を、上記冷却空間の上側に設けられ該冷却空間に冷却水を散布する冷却水散布部を備えて構成し、
上記弱真空手段を、上記分離空間を凝縮空間より高真空状態にするように構成し、
上記加熱空間の下部に上記加熱水散布部から散布された加熱水を貯留する加熱水貯留部を設け、上記弱真空手段を、上記加熱水貯留部に加熱排水入口が臨み加熱排水出口が該加熱水貯留部よりも下方位置に開放し該加熱水貯留部に貯留された加熱水を自然落下により排水する加熱水排水パイプを備えて構成し、
上記冷却空間の下部に上記冷却水散布部から散布された冷却水を貯留する冷却水貯留部を設け、上記弱真空手段を、上記冷却水貯留部に冷却排水入口が臨み冷却排水出口が該冷却水貯留部よりも下方位置に開放し該冷却水貯留部に貯留された冷却水を自然落下により排水する冷却水排水パイプを備えて構成したことを特徴とする請求項19記載の浄水装置。
【請求項21】
上記加熱水排水パイプを、その長さが上記冷却水排水パイプの長さより長く形成したことを特徴とする請求項20記載の浄水装置。
【請求項22】
上記加熱水を取り込む加熱水取込部を設け、上記加熱水排水パイプの加熱排水出口から排水された加熱水を一時的に貯留する加熱排水貯留槽を設け、入口が該加熱排水貯留槽に連通するとともに出口が上記加熱水取込部に至り上記加熱排水貯留槽の加熱水を再使用せしめる加熱水送給管を設け、入口が該加熱水送給管の入口よりも上位に位置し上記加熱排水貯留槽内の加熱水を取り出す加熱排水取出管を設けたことを特徴とする請求項20または21記載の浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104478(P2011−104478A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259770(P2009−259770)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(597040304)
【Fターム(参考)】