説明

浴室用液体洗浄剤組成物および浴室用液体洗浄剤製品

【課題】浴室内の湯アカ汚れに対して優れた洗浄効果を有する浴室用液体洗浄剤組成物および浴室用液体洗浄剤製品を提供する。
【解決手段】(A)N−アルキルもしくはN−アルケニルアミノ酸および/またはその塩0.05〜10質量%と、(B)ノニオン界面活性剤0.05〜5質量%と、(C)脂肪酸および/またはその塩0.1〜5質量%とを含有することを特徴とする浴室用液体洗浄剤組成物。該浴室用液体洗浄剤組成物を、液体を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口を備えた噴射ノズルとを備えた液体噴射容器内に収容した浴室用液体洗浄剤製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用液体洗浄剤組成物および浴室用液体洗浄剤製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浴槽、浴室内の床、壁及び用具類等に使用されているプラスチック類、タイル、ステンレス、陶磁器、ガラス等の硬表面に付着する汚れとして、石鹸やボディーシャンプー等に含まれる脂肪酸と水道水中のカルシウム分等が結合して生成する脂肪酸金属塩(石鹸カス)や、タンパク質等の含窒素化合物、遊離脂肪酸、グリセライド類、脂肪酸金属塩(石鹸カス)等の有機物及び泥等の無機物の混合物である湯アカ汚れがある。
従来、浴室内の汚れを除去するための洗浄剤組成物として様々なものが提案されている。たとえば特許文献1には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、金属イオン封鎖剤および水溶性溶剤を含有する浴室用液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献2には、アニオン界面活性剤またはノニオン界面活性剤と、脂肪酸またはその塩と、溶剤と、金属封鎖剤とを含有する洗浄剤組成物が開示されている。特許文献3には、特定のN−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸又はその塩と、特定のN−アルキル−N,N−ジ(カルボキシアルキル)アミン又はその塩とを含有する洗浄剤組成物が開示されている。特許文献4には、特定のアミンオキシドおよびそれ以外の界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献5には、少なくとも界面活性剤、キレート剤、高分子化合物、溶剤及び香料を含有する浴室用液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献6には、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤および両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物が開示されている。
【特許文献1】特許第2952561号明細書
【特許文献2】特開平11−335700号公報
【特許文献3】特開2000−328091号公報
【特許文献4】特開2001−329293号公報
【特許文献5】特開2003−183698号公報
【特許文献6】特開2005−008702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、浴室用を含め、浴室用液体洗浄剤組成物を容器に収容した液体洗浄剤製品としては、スプレー型のものが多く提案されるようになっている。なかでも、吹き付けた後、こすらずに洗浄ができることを訴求した液体洗浄剤製品は、使い勝手に優れることから開発が進められている。
しかしながら、従来の浴室用液体洗浄剤組成物は、石鹸カス汚れに対してはある程度の洗浄力を有するものの、湯アカ汚れに対する洗浄力は充分とはいえず、特に『こすらずに洗浄』した場合に、浴槽等の表面にざらつきが残ってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浴室内の湯アカ汚れに対して優れた洗浄効果を有する浴室用液体洗浄剤組成物および浴室用液体洗浄剤製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記問題に対して検討、解析を行ったところ、そのざらつきが、主に、浴槽等の表面に対して疎水的に吸着したタンパク質(皮膚の老廃物であるケラチンなど)により構成されていることを見出した。つまり、従来の浴室用液体洗浄剤組成物は、上記のような、浴槽等の表面に対して強固に付着したタンパク質に対する洗浄効果が充分ではなく、そのため、タンパク質や皮脂等を含む湯アカ汚れの洗浄力も不充分となっていた。この知見に基づき、さらに検討を重ねた結果、本発明者は、特定の3種の成分を特定量使用することにより、タンパク質に対する優れた洗浄力が発揮されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明の第一の態様は、下記(A)成分0.05〜10質量%と、下記(B)成分0.05〜5質量%と、下記(C)成分0.1〜5質量%とを含有することを特徴とする浴室用液体洗浄剤組成物である。
(A)N−アルキルもしくはN−アルケニルアミノ酸および/またはその塩。
(B)ノニオン界面活性剤。
(C)脂肪酸および/またはその塩。
本発明の第二の態様は、液体を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口を備えた噴射ノズルとを備えた液体噴射容器内に、前記第一の態様の浴室用液体洗浄剤組成物を収容した浴室用液体洗浄剤製品である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、浴室内の湯アカ汚れに対して優れた洗浄効果を有する浴室用液体組成物および浴室用液体洗浄剤製品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
≪浴室用液体洗浄剤組成物≫
本発明の浴室用液体洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物ということがある。)は、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分を必須の成分として含有する。以下、各成分について詳述する。
【0007】
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は、(B)成分および(C)成分とともに湯アカ汚れに対する洗浄力を向上させる効果を奏する。かかる効果において、(A)成分は、主に、タンパク質汚れに吸着して引き剥がす効果を奏すると推測される。
N−アルキルアミノ酸は、アミノ酸の窒素原子にアルキル基が結合した化合物であり、N−アルケニルアミノ酸は、アミノ酸の窒素原子にアルケニル基が結合した化合物である。
本明細書および特許請求の範囲において、アルキル基は、特に記載のない限り、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。また、アルケニル基は、特に記載のない限り、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
N−アルキルアミノ酸において、アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。該アルキル基の炭素数は、8〜26であることが好ましく、10〜20であることがより好ましく、10〜16であることがさらに好ましい。
N−アルケニルアミノ酸において、アルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。該アルケニル基の炭素数は、8〜26であることが好ましく、10〜20であることがより好ましく、10〜16であることがさらに好ましい。
アルキル基またはアルケニル基が結合するアミノ酸としては、公知のアミノ酸であれば特に制限はない。製造性や洗浄力等の点で、グリシンまたはアラニンが好ましい。
N−アルキルアミノ酸またはN−アルケニルアミノ酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩であることが好ましく、ナトリウム塩であることが好ましい。
【0008】
好ましい(A)成分としては、下記一般式(I)または(II)で表される化合物が挙げられる。以下、式(I)で表される化合物をモノ体、式(II)で表される化合物をジ体ということがある。
【0009】
【化1】

【0010】
式(I)中、Rは炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、mは1または2であり、Mは水素原子またはアルカリ金属イオンである。
式(II)中、Rは炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して1または2であり、MおよびMはそれぞれ独立して水素原子またはアルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)である。
【0011】
(A)成分の好ましい具体例としては、N−デシルグリシン、N−ラウリルグリシン、N−ミリスチルグリシン、N−パルミチルグリシン、N−デシルβアラニン、N−ラウリルβアラニン、N−ミリスチルβアラニン、N−パルミチルβアラニン及びこれらの塩などが挙げられる。
(A)成分は、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸Na(ライオンアクゾ(株)製)等が挙げられる。このラウリルアミノプロピオン酸Naは、モノ体とジ体の混合物である。
【0012】
洗浄剤組成物中、(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.05〜10質量%であり、好ましくは0.05〜5質量%である。0.05質量%未満では、湯アカ汚れに対する洗浄力が充分に発揮されず、10質量%より多い場合には、低温安定性が悪化し、低温、たとえば−10〜5℃条件下で保存した際に沈殿が生じるおそれがある。
【0013】
<(B)成分>
本発明において、(B)成分は、洗浄機能を担う成分であり、(B)成分を含有することにより洗浄力が向上する。また、(B)成分は、(A)成分および(C)成分とともに湯アカ汚れに対する洗浄力を向上させる効果を奏する。かかる効果において、(B)成分は、主に、浴槽など表面に疎水吸着しているタンパク汚れの界面に浸透し、汚れを浮き上がらせる効果を奏すると推測される。
(B)成分としては、公知の非イオン性界面活性剤が利用でき、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエーテル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグルコシドなどが挙げられる。
(B)成分としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、特に、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
−O−(CHCHO)−H …(III)
式(III)中、Rは、炭素数8〜20のアルキル基である。該アルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。該アルキル基の炭素数は、10〜18がより好ましい。
rはエチレンオキサイドの平均付加モル数であり、2〜20が好ましく、5〜15がより好ましい。
【0014】
洗浄剤組成物中、(B)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満では、洗浄力、特に湯アカ汚れに対する洗浄力が充分に発揮されず、5質量%より多い場合には、すすぎ性が悪くなり、液体洗浄剤製品とした際の使い勝手が悪くなるおそれがある。
【0015】
<(C)成分>
本発明において、(C)成分は、(A)成分および(B)成分とともに湯アカ汚れに対する洗浄力を向上させる効果を奏する。また、(B)成分を含有することによるすすぎ性の低下を防止する効果も奏する。
(C)成分において、脂肪酸としては、飽和であっても不飽和であってもよく、炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖の脂肪酸が好ましく、炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖の脂肪酸がより好ましい。脂肪酸の具体例としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などが挙げられる。これらの中でも、高い洗浄力を発揮する点で、ラウリン酸またはヤシ油脂肪酸が好ましい。
脂肪酸塩の塩としては、特に制限はなく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩がより好ましい。
【0016】
洗浄剤組成物中、(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満では、(C)成分を配合することによる効果が充分に得られず、5質量%より多い場合には、低温安定性が悪化し、低温、たとえば−10〜5℃条件下で保存した際に沈殿が生じるおそれがある。
【0017】
<(D)成分および(E)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、下記(D)成分0.05〜5質量%と、下記(E)成分0.5〜5質量%とを含有することが好ましい。
(D)半極性を有する界面活性剤。
(E)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩。
(D)成分および(E)成分を併用することにより、皮脂汚れに対する洗浄力が向上し、湯アカ汚れに対する洗浄力がさらに向上する。
【0018】
(D)成分としては、例えば、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルアミンオキシド、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物などが挙げられる。
【0019】
【化2】

[式(IV)中、R11は炭素数8〜26のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシルアミドアルキル基またはアルキルフェニル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシエチレン基であり、nは0〜3であり、R12及びR13は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基である。]
【0020】
【化3】

[式(V)中、R14は炭素数8〜16の直鎖のアルキル基またはアルケニル基であり、R15は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R16、R17はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、Xは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−または−O−である。]
【0021】
式(IV)中、R11は、アルキル基であることが好ましく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。該アルキル基の炭素数は、8〜26が好ましく、10〜20がより好ましい。
12及びR13は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0022】
式(V)中、R14は、直鎖のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基の炭素数は、8〜16が好ましく、10〜16がより好ましい。
16及びR17は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0023】
洗浄剤組成物中、(D)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満であると、(D)成分を配合することによる効果が充分に得られず、5質量%より多い場合には、低温安定性が悪化し、低温、たとえば−10〜5℃条件下で保存した際に沈殿が生じるおそれがある。
【0024】
(E)成分において、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸としては、直鎖アルキル基の炭素数が、8〜16であることが好ましく、10〜14であることがより好ましい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、特に制限はなく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
【0025】
洗浄剤組成物中、(E)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満であると、(E)成分を配合することによる効果が充分に得られず、5質量%より多い場合には、当該洗浄剤組成物が手に付着した際に手荒れが生じるなどの悪い影響が生じるおそれがある。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物においては、前記(D)成分と、前記(E)成分との含有量の比が、質量比で、(D)/(E)=1/10〜10/1であることが好ましく、1/9〜5/5であることがより好ましい。(D)成分と、前記(E)成分との含有量の比が上記範囲内であると、(D)成分および(E)成分を配合することにより得られる効果が向上する。
【0027】
<他の任意成分>
本発明の洗浄剤組成物には、必要に応じて、その他の任意成分を配合することができる。
他の任意成分としては、たとえば香料が挙げられる。香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994);「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996);「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994);「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989);「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996);「Flower oils and Floral Compound−s In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されており、これらを任意に使用することができる。
【0028】
他の任意成分としては、水溶性溶剤も挙げられる。水溶性溶剤を配合することにより、湯アカ汚れ洗浄力の向上や泡立ちを速くするという効果が得られる。
水溶性溶剤としては、汎用の水溶性溶剤を用いることができ、具体例として、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらのうち、保存安定性、洗浄力の点からジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
水溶性溶剤を配合する場合、洗浄剤組成物中の水溶性溶剤の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、1〜15質量%が好ましい。
【0029】
他の任意成分としては、キレート剤も挙げられる。キレート剤を配合することにより、浴室用洗浄剤として重要な石鹸カス汚れを落とすという効果が得られる。
キレート剤としては、アミノカルボン酸系、オキシカルボン酸系、ホスホン酸系等の汎用のキレート剤を用いることができる。
アミノカルボン酸系キレート剤の具体例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸等が挙げられる。
オキシカルボン酸系キレート剤の具体例としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等を挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、エタン−1、1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸等が挙げられる。
これらのキレート剤は、酸の形でも使用可能であるし、アルカリ金属との塩、アルカノールアミンとの塩として使用することも可能である。
これらのうち、エチレンジアミンテトラ酢酸が、保存安定性、洗浄力の点から好ましい。
キレート剤を配合する場合、洗浄剤組成物中のキレート剤の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1〜10質量%が好ましい。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物には、さらに、上記以外の任意成分を配合できる。かかる任意成分としては、例えば、殺菌剤、防腐又は防カビ剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、紫外線吸収剤、可溶化剤、アクリル酸/マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記のうち、アクリル酸/マレイン酸共重合体は、アクリル酸単量体から誘導される構成単位と、マレイン酸単量体から誘導される構成単位とを有する共重合体である。該共重合体を併用することにより、タンパク質汚れに対する洗浄力が向上し、湯アカ汚れに対する洗浄力がさらに向上する。また、該共重合体を含有することにより、再汚染防止効果が向上する。
ここで、「アクリル酸単量体から誘導される構成単位」とは、アクリル酸単量体(モノマー)のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位(以下、構成単位(m1)という。)を意味する。「マレイン酸単量体から誘導される構成単位」とは、マレイン酸単量体(モノマー)のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位(以下、構成単位(m2)という。)を意味する。なお、構成単位(m2)は、酸無水物(無水マレイン酸)の構成単位を含んでいてもよい。
アクリル酸/マレイン酸共重合体は、必要に応じて、前記構成単位(m1)、前記構成単位(m2)以外の構成単位(m3)を有していてもよい。
また、アクリル酸/マレイン酸共重合体は、塩を形成していてもよい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
該アクリル酸マレイン酸共重合体として好適に用いられる市販品としては、ソカランCP7(商品名、BASFジャパン製)、アクアリックTL−400(商品名、日本触媒製)、カルボキシレートHM−80(商品名、東亜合成製)等が挙げられる。
【0031】
殺菌剤としては、たとえば、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、4−イソプロピル−3−メチルフェノール等のフェノール系抗菌剤、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系抗菌剤、N−ブチル−1,2−ベンズイソリアゾロン−3等のイソチアゾロン系抗菌剤、パラヒドロキシ安息香酸メチルエステル等のエステル系抗菌剤等、(株)繊維社発行の『抗菌のすべて』(1997)129〜172頁記載の抗菌成分を用いることができる。
該抗菌剤として好適に用いられる市販品としては、アーカードCB−50(ライオン・アクゾ製)、PROXEL XL2(S)(アビシア製)等が挙げられる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物のpHは、特に限定されないが、使用性と洗浄力を考慮すると、25℃におけるpHが5〜9の範囲内であることが好ましく、7〜8の範囲内であることがさらに好ましい。
pHを上記範囲に調整するには、pH調整剤を適宜配合すれば良い。pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて随意であるが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が、配合安定性の面から好ましい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物の調製方法は、特に制限されるものではなく、通常の液体洗浄剤組成物と同様、常法に準じて、例えば上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分、更に適宜水を配合し、これらを混合することによって調製することができる。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物の使用方法は、特に限定されず、一般的な浴室用液体洗浄剤組成物と同様の方法で使用できる。
本発明の洗浄剤組成物は、湯アカ汚れに対する洗浄力が高いため、浴室内の洗浄対象物(浴槽、床、壁等)に付着させた後、こすらずに洗浄した場合であっても、充分な洗浄効果が得られる。
本発明の洗浄剤組成物は、プラスチック製容器などの樹脂製等の容器に充填して使用に供することができ、特に、後述するように、液体を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口を備えた噴射ノズルとを備えた液体噴射容器内に収容して浴室用液体洗浄剤製品として使用に供されることが好ましい。
【0035】
≪浴室用液体洗浄剤製品≫
本発明の浴室用液体洗浄剤製品(以下、単に洗浄剤製品ということがある。)は、液体を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口を備えた噴射ノズルとを備えた液体噴射容器内に、前記本発明の浴室用液体洗浄剤組成物を収容したものである。
かかる洗浄剤製品においては、液体噴射容器内の洗浄剤組成物が、噴射ノズルにより、線状、霧状、泡状等とされて外部に噴出される。そのため、使用に際し、浴室内の広い範囲に容易に洗浄剤組成物を付着させることができるなど、利便性が高い。
噴射ノズルとしては、これまで提案されている任意のものを利用でき、たとえば略真円形状、楕円形状、帯形状等の様々な噴出形態のものを利用できる。ここで、「噴出形態」とは、噴射された洗浄剤組成物により、洗浄対象物(浴槽、浴室内の床、壁及び用具類等)の表面に形成されるパターンの形状である。
【0036】
本発明においては、特に、前記液体噴射容器が、前記噴射ノズルの外側壁に取り付けられたノズルカバーを備えていることが好ましく、該ノズルカバーが、前記噴射ノズルの外側壁に嵌合する嵌合部および前記噴射ノズルの噴出口を露出させる開口部を備える筒状のカバー本体と、前記カバー本体の周囲を囲む壁部材とを備え、前記壁部材が、前記噴出口から放出される液体の噴出範囲を拡大させる形状を有するものであることが好ましい。かかるノズルカバーを備えた液体噴射容器を用いることにより、本発明の洗浄剤組成物を洗浄対象物に吹き付けた際に、その付着が、広範囲で、均一なものとなる。
以下、図面を参照して前記ノズルカバーをより具体的に説明する。
【0037】
図1は、噴射ノズル1(図1(b))およびノズルカバー2(図1(a))をそれぞれ示した外観斜視図である。
図2(a)は、図1に示したノズルカバー2が、噴射ノズル1に、着脱可能に取り付けられた状態を示す外観斜視図であり、図2(b)は、図2(a)中に示す位置X−X’における断面図である。
噴射ノズル1は、容器内の内容物を噴出させることができる噴出口1aを有する。噴射ノズル1においては、所定の噴出形態を実現するために、前記噴出口1aを取り囲むように、幅広のトラック楕円形状の造泡筒1bが噴出方向前方に延出しており、該造泡筒1bの内側には、噴射ノズル1の外壁に開口する空気導入部1cへ通じる空気導入孔が複数設けられている。
【0038】
ノズルカバー2は、噴射ノズル1の噴出口1aを露出させる開口部2aと、噴射ノズル1の外側壁において嵌合する嵌合部6とを備えた筒状のカバー本体2bに、当該カバー本体2bの周囲を囲む壁部材2cが一体的に取り付けられた構造を有する。
開口部2aには、噴射ノズル1をカバー本体2bに適合させる際に、噴射ノズル1の先端面の縁部において当接させて該噴射ノズル1の位置決めを行なう障壁hが設けられている。
カバー本体2bの後端部の壁面には、3ヶ所の切欠3が形成されており、該切欠3が、噴射ノズル1の外側壁に一体的に設けられた凸部4に適合するようになっている。かかる切欠3および凸部4が存在することにより、ノズルカバー2の嵌合時におけるガタツキが抑えられ、また、噴射ノズル1の外側壁が曲面である場合に、ノズルカバー2が回転するのを阻止できるようになっている。
カバー本体2bの左右両側には、その前端から後方に向けて切欠部5が形成されている。この切欠部5は、噴射ノズル1の空気導入部1cをカバー本体2bから露出させるように形成されるもので、これにより、泡生成のための空気を、噴射ノズル1の空気導入部1cを通してスムーズに導入することができるようになっている。
嵌合部6は、カバー本体2bの後端内壁面に形成された凸部である。図2(b)に示すように、嵌合部6は、ノズルカバー2を噴射ノズル1に装着した際に、噴射ノズル1の外周壁に設けられた段差1’の端面に当接し、これによって、ノズルカバー2の、噴射ノズル1からの抜けを防止できるようになっている。
【0039】
壁部材2cは、ノズルカバー2を噴射ノズル1に装着した際に、カバー本体2bおよび噴射ノズル1をともに内側に納めるようになっており、噴射ノズル1の先端から液体の噴出方向に向けて、その断面積が漸次拡大する異径(上下、左右の径寸法が異なる)のラッパ状(楕円形状)となっている。
このような壁部材2cが取り付けられていることにより、コアンダ効果によって、噴射ノズル1から噴出した液体の噴出範囲が拡大する。
「コアンダ効果」は、流れの中に物体を置いたときにその物体に沿って流れようとする流体の性質をいい、コアンダ効果により、噴流(空気流、水など)を面に沿って吹き付けると、その面に沿って流れるという現象が生じる。
つまり、壁部材2cが取り付けられているノズルカバー2を装着した噴霧ノズル1から、洗浄剤組成物が空気と共に放出されると、その噴流が壁部材2cに沿って流れる。
洗浄剤組成物は、通常、噴霧ノズル1から霧状、泡状等として噴射されると、噴出方向前方に、造泡筒1bと合致した形状の噴射パターンを形成する。たとえば本例では、造泡筒1bがトラック楕円形状であるため、噴射された断面形状が略トラック楕円形状である略円錐状の噴射パターンが形成される(図4参照)。
このとき、その略円錐状の噴射パターンよりも、その噴射方向中心から外側に拡大していく形状の壁部材2cが設けられていると、図3に示すように、噴霧ノズル1から噴出された直後の噴流の流れる方向が、壁部材2c方向に変化し、壁部材2cが取り付けられていない場合(図4参照)よりも、噴射パターンの断面積が拡大する。その結果、浴室内に噴射された際に、洗浄剤組成物が付着する範囲が増大する。
【0040】
図5は、本実施形態における壁部材2cの末端(噴出方向前方末端部)形状、および該壁部材2cと噴射ノズル1のトラック楕円形状の造泡筒1bとの位置関係を示す概略図である。
図5(a)は、図1〜2に示したノズルカバー2において、壁部材2cの、液体の噴出方向先端部から、カバー本体2bの開口部2を含む平面と同一平面上までを示す上面図である。図5(b)は、図5(a)に示した噴出方向先端部の長径方向における縦断面図であり、図5(c)は、図5(a)に示した噴出方向先端部の短径方向における縦断面図である。
図5に示す態様においては、造泡筒1bの長辺方向の内径Yが7〜10mmの範囲内であり、且つ該造泡筒1bの短辺方向の内径Zが3〜4mmの範囲内である場合、図5(b)中のpが、qの+1〜+8mmの範囲内であることが好ましい。該範囲内であると、コアンダ効果が生じやすく、噴射パターンの拡大効果が向上する。
ここで、pは、壁部材2cの噴出方向先端部の長辺方向の内径である。YおよびZが上記範囲内である場合、pは、30〜37mmの範囲内であることが好ましく、35〜37mmの範囲内であることがより好ましい。
qは、カバー本体2bの開口部2aの障壁hを含む平面と同一平面上における壁部材2cの長辺方向の内径である。YおよびZが上記範囲内である場合、qは、26〜32mmの範囲内であることが好ましく、28〜30mmの範囲内であることがより好ましい。
【0041】
また、図5(b)中のr(カバー本体2bの開口部2aの障壁hから壁部材2cの噴出方向先端部までの高さ)は、YおよびZが上記範囲内である場合、2〜8mmの範囲内であることが好ましく、4〜5.5mmの範囲内であることがより好ましい。
本発明において、図5(c)中のs(壁部材2cの噴出方向先端部の短辺方向の内径)は、特に限定されないが、YおよびZが上記範囲内である場合、18〜22mmの範囲内であることが好ましい。
また、t(カバー本体2bの開口部2を含む平面と同一平面上における壁部材2cの短辺方向の内径)は、特に限定されないが、YおよびZが上記範囲内である場合、17〜21mmの範囲内であることが好ましい。
【0042】
容器内の液体を泡状にするには、噴射ノズル1の先端に組み込まれた造泡筒部分に、容器本体から液体を導入し、該液体を造泡筒の壁部で衝突させて乱流を発生させ、空気との混合を促進する方法、噴射ノズル1の前面に障壁やメッシュを配置して泡状にする方法等が一般的であり、この点に関する構造については従来構造のものが適用される。
泡を生成するための空気は、カバー本体2bと噴射ノズル1との嵌合隙間を通し、噴射ノズル1の空気導入部1c及び空気導入孔を経て導入される。なお、図示はしないがノズルカバー2の装着状態において噴射ノズル1の空気導入部1cへの空気流路を確保する目的で、カバー本体2bの内壁か噴射ノズル1の外壁の何れか一方又は両方に、突条、突起あるいは凹溝を形成することもできる。
【0043】
なお、カバー本体2bと壁部材2cとは、部品点数の削減、組立て工数の簡略化を図る観点からは一体ものとするのがよいが、別体構造を採用してもかまわない。
また、壁部材2cの形状は、図1〜2においては異径のラッパ状(楕円形状)として示したが、図示のものに限られるわけではなく、縦長の楕円形状、帯状等、内容物の噴出形態に応じて種々変更される。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
表1〜3に示す各成分を混合して浴室用液体洗浄剤組成物を調製した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
<表1〜3中に示した成分の説明>
[(A)成分]
A−1:ラウリルアミノプロピオン酸Na(ライオンアクゾ社、商品名:アンフォラックL−18。別名:N−ラウリル−β−アラニンNa塩)。
A−2:N−ラウリルグリシンNa塩(モノクロロ酢酸とラウリルアミン(ライオンアクゾ社、商品名:アーミン12D)により、通常の方法で得た合成品)。
[(B)成分]
B−1:C2n+1O(CHCHO)15H(n=12;天然ラウリルアルコールに酸化エチレン15モルをアルカリ触媒法で付加重合したもの)。
B−2:C2n+1O(CHCHO)15H(n=12/13混合物(質量比55/45)、下記に示す合成方法により合成した合成品)。
B−3:C2n+1O(CHCHO)H(n=12/13混合物(質量比45/55)、下記に示す合成方法により合成した合成品)。
[(C)成分]
C−1:ヤシ脂肪酸カリウム(ライオン化学製)。
[(D)成分]
D−1:ラウリルジメチルアミンオキシド(商品名:ライオンアクゾ社製、商品名:アロモックスDM12D−W(C))。
D−2:ラウリルジメチルアミドプロピルアミンオキシド、下記に示す合成方法により合成した合成品)。
[(E)成分]
E−1:C10〜C14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製)。
【0049】
(B−2の合成方法)
Sasol製 商品名Safol23アルコール(分岐率50%*1)224.4g、30%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。
次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながらエチレンオキシド(ガス状)763.6gを吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1%水溶液のpHが約7になるように、70%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、B−2を得た。
なお、*1の「分岐率」とは、アルコールを構成する全炭素数に対し、分岐鎖を有するアルコールを構成する炭素数の割合を示す。
【0050】
(B−3の合成方法)
シェルケミカルズ社製 商品名ネオドール23アルコール388g、特許第3312883号公報における実施例1記載のMg、Al、Mnの複合酸化触媒0.4gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。
次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)440gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1%水溶液のpHが約7になるように、70%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、エチレンオキサイドの平均付加モル数5、ナロー率86%のB−3を得た。ナロー率とは特開2005−132898号公報P4に記載された通り。
【0051】
(D−2の合成方法)
<原料アミンの製造>
撹拌器、温度計、及び還流冷却器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、脂肪酸エステルとしてラウリン酸メチルエステル300g(ライオンケミカル社製、パステルM12、分子量214)を仕込み、60℃にて窒素置換(13kPaに減圧後、常圧・窒素戻し)を2回行った後、180℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(BASF社製、以下「DMAPA」と略記する)186g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比:1.3)を3時間かけて滴下した。DMAPAの滴下中から滴下終了後、5時間まで180〜190℃に保持して反応物を調製した。反応により副生したメタノールは冷却器に80℃の温水を流すことにより系外に留去し、DMAPAは還流させた。その後、180〜190℃に保持したまま、4.0kPaに減圧し、1時間保持することにより未反応のDMAPAを留去し、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドを得た。
<アミドアミンオキシドの製造>
攪拌機、温度計、還流式冷却器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、有効成分が30%になるように、上記にて合成したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド200g(アミン価から算出した分子量286 )、精製水200gを仕込み、攪拌しながら75℃で8.3%過酸化水素(三菱ガス化学製、45%品を精製水で希釈したもの、対アミン1.05モル比)56gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃にて5時間熟成し、有効成分30.1%のアミドアミンオキシドを得た。
【0052】
[共通組成]
<共通組成A>
エチレンジアミンテトラ酢酸:1.5質量%。
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:8.0質量%。
クエン酸:1.2質量%。
水酸化ナトリウム:適量。
精製水:バランス。
【0053】
<共通組成B>
エチレンジアミンテトラ酢酸:2.0質量%。
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:8.0質量%。
クエン酸:1.5質量%。
キサンタンガム:0.1質量%。
水酸化ナトリウム:適量。
精製水:バランス。
【0054】
[香料組成物A〜D]
【0055】
【表4】

【0056】
得られた浴室用液体洗浄剤組成物のpH(25℃)を表1〜3に併記する。
また、得られた浴室用液体洗浄剤組成物を、それぞれ、図5に示す末端形状において、Yが8.5mm、Zが3.5mmであり、pおよびrがそれぞれ表5に示す値であり、qが29.0mm、sが19.2mm、tが18.2mmである噴射ノズルA〜Hを備えた液体噴射容器に収容して浴室用液体洗浄剤製品を得た。
【0057】
【表5】

【0058】
得られた浴室用液体洗浄剤組成物および浴室用液体洗浄剤製品について、下記の評価を行った。その結果を表1〜3に併記する。
<湯アカ汚れ洗浄力>
(評価方法)
一般家庭の浴槽内側壁面に、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製テストピース(3×10cm)を固定した後、成人男性1名、女性1名、小学生男児2名がそれぞれ2回入浴(1日につき1回入浴し、2日間繰り返し、その間風呂水は入れ替えずに沸かし直して使用)し、汚れを付着させた。
この浴槽汚れが付着したテストピースを充分乾燥させた後、該テストピースに対して、その全面が濡れるように液体洗浄剤組成物(原液)をスプレーし、30秒間放置した後、水道水(15℃)ですすぎ流した。充分乾燥させた後、テストピース表面の汚れの除去状態を下記の評価基準で視覚評価した。
(評価基準)
5点:汚れ落ちが非常に良好。
4点:汚れ落ちが良好。
3点:汚れ落ちにむらがある。
2点:若干汚れが落ちる程度。
1点:ほとんど汚れが落ちない。
【0059】
<皮脂汚れ洗浄力>
(評価方法)
モデル汚れとして、石鹸成分(パルミチン酸カルシウム塩50部+ステアリン酸カルシウム塩50部)30部に対して、油性成分(オレイン酸50部、トリオレイン30部、オレイン酸コレステロール20部)70部を加え、混合した。
80℃に加温した上記モデル汚れの中に5cm×7cmのガラス板を入れて、30秒間静置した後、ゆっくりと引き上げ、25℃にて1晩放置し、試験試料とした。
上記試験試料に、液体洗浄剤組成物(原液)1.0mLを滴下してスポンジで軽く擦り、水道水ですすいだ後に汚れ落ちを下記の評価基準で目視評価した。
(評価基準)
5点:汚れ落ちが非常に良好。
4点:汚れ落ちが良好。
3点:汚れ落ちにむらがある。
2点:若干汚れが落ちる程度。
1点:ほとんど汚れが落ちない。
【0060】
<泡の長さ>
(評価方法)
液体洗浄剤製品の、液体噴射容器の噴出口から20cm離れた位置から、アクリル板の垂直面に対してスプレーし、そのとき該垂直面上に形成された泡の長径の長さを、定規を用いて測定し、下記の評価基準で目視評価した。
(評価基準)
○:長さが20cm以上。
×:長さが20cm未満。
【0061】
上記結果から明らかなように、実施例1〜9の浴室用液体洗浄剤組成物は、湯アカ汚れに対して優れた洗浄力を示した。また、皮脂汚れに対する洗浄力にも優れており、特に(D)成分および(E)成分を併用した実施例4〜9は、特に洗浄力が高かった。
また、実施例1〜9の浴室用液体洗浄剤製品は、スプレーにより形成された泡の長さが長く、たとえば実施例1〜4と比較例1〜4とを比較すると、それぞれ同じ液体噴射容器を用いたにもかかわらず、実施例の方が、泡の長さが長かった。
一方、(A)成分、(B)成分および(C)成分のいずれかを含有しない比較例1〜6の浴室用液体洗浄剤組成物は、湯アカ汚れに対する洗浄力が低かった。また、皮脂汚れに対しても、(D)成分および(E)成分を併用した場合であっても、充分な洗浄力は得られなかった。また、スプレーにより形成された泡の長さも短かった。
なお、比較例1〜6のうち、pが35〜37mmである噴射ノズルA〜C、E〜Gを用いた比較例1〜4は、pが38mmである噴射ノズルD,Hを用いた比較例5〜6よりも長かった。この結果から、pが35〜37mmである噴射ノズルを備えた液体噴霧容器が、噴出形態の拡大効果(コアンダ効果)に優れることが確認できた。
【0062】
(実施例10〜11)
表6に示す各成分を混合して浴室用液体洗浄剤組成物を調製した。
表中、*2は、BASF社製、商品名:ソカランCP5である。
*3はケルコ社製、商品名:ケルザンTである。
*4は、アビシア社製、商品名:Proxel XL2(S)である。
【0063】
【表6】

【0064】
得られた浴室用液体洗浄剤組成物を用いて、上記と同様の評価を行った。その結果を表6に併記する。
上記結果から明らかなように、実施例10〜11の浴室用液体洗浄剤組成物は、湯アカ洗浄力、皮脂汚れ洗浄力ともに優れており、また、液体洗浄剤製品とした際の泡の長さも充分なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】噴射ノズル1およびノズルカバー2をそれぞれ示した外観斜視図である。
【図2】ノズルカバー2が取り付けられた状態の噴射ノズル1の外観斜視図である。
【図3】壁部材がある場合の噴射パターンを示す概略図である。
【図4】壁部材がない場合の噴射パターンを示す概略図である。
【図5】壁部材の末端形状を示す概略図である。
【符号の説明】
【0066】
1…噴射ノズル、1a…噴出口、1b…造泡筒、1c…空気導入部、2…ノズルカバー、2a…開口部、2b…カバー本体、2c…壁部材、3…切欠、4…凸部、5…切欠部、6…嵌合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分0.05〜10質量%と、下記(B)成分0.05〜5質量%と、下記(C)成分0.1〜5質量%とを含有することを特徴とする浴室用液体洗浄剤組成物。
(A)N−アルキルもしくはN−アルケニルアミノ酸および/またはその塩。
(B)ノニオン界面活性剤。
(C)脂肪酸および/またはその塩。
【請求項2】
さらに、下記(D)成分0.05〜5質量%と、下記(E)成分0.5〜5質量%とを含有する請求項1記載の浴室用液体洗浄剤組成物。
(D)半極性を有する界面活性剤。
(E)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩。
【請求項3】
液体を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口を備えた噴射ノズルとを備えた液体噴射容器内に、請求項1または2記載の浴室用液体洗浄剤組成物を収容した浴室用液体洗浄剤製品。
【請求項4】
前記液体噴射容器が、前記噴射ノズルの外側壁に取り付けられたノズルカバーを備えており、
前記ノズルカバーが、前記噴射ノズルの外側壁に嵌合する嵌合部および前記噴射ノズルの噴出口を露出させる開口部を備える筒状のカバー本体と、前記カバー本体の周囲を囲む壁部材とを備え、
前記壁部材が、前記噴出口から放出される液体の噴出範囲を拡大させる形状を有する請求項3記載の浴室用液体洗浄剤製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−63372(P2008−63372A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240062(P2006−240062)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】