消耗電極式溶解炉の通電装置
【課題】溶解過程で、消耗電極とそれを吊下げるスチンガーロッドが傾斜した場合でも、スチンガーロッドと接触子との間にスパークが発生せず、安定操業が可能な消耗電極式溶融炉の通電装置を提供する。
【解決手段】スチンガーロッド2軸芯周りに複数配置された接触子50と、接触子をスチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔42を有し、外部の電源装置から供給された電力を接触子へ送る接触子ホルダー31と、接触子嵌装孔内に嵌装された接触子をスチンガーロッドに押圧する押圧部70と、接触子と接触子嵌装孔との間であって、スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、スチンガーロッドの傾斜に追従して接触子を傾動可能となす傾動吸収部59とを備えた。
【解決手段】スチンガーロッド2軸芯周りに複数配置された接触子50と、接触子をスチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔42を有し、外部の電源装置から供給された電力を接触子へ送る接触子ホルダー31と、接触子嵌装孔内に嵌装された接触子をスチンガーロッドに押圧する押圧部70と、接触子と接触子嵌装孔との間であって、スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、スチンガーロッドの傾斜に追従して接触子を傾動可能となす傾動吸収部59とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスラグ再溶解炉、真空アーク炉等、スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に備えてなる消耗電極式溶解炉における通電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスラグ再溶解炉は、水冷構造を持つ鋼製の導電性ルツボの中に溶解材となる棒状の消耗電極を垂下させ、電源の一端を該電極に接続し、他端をルツボに接続して電流がルツボ中のスラグ層を流れる際の抵抗加熱で電極の先端を溶解させる装置である(例えば、特許文献1,2参照)。また、真空アーク炉は、ルツボ中を真空に保ち消耗電極の下端と溶湯面との間でアークを発生させアーク加熱により消耗電極を溶解させる装置である(例えば、特許文献3,4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−156232号公報
【特許文献2】特開昭62−55523号公報
【特許文献3】特開平9−31558号公報
【特許文献4】特開2001−214868号公報
【0004】
こうした消耗電極式溶解炉では、消耗電極を吊下げ、それに電力を送るスチンガーロッドを備えている。スチンガーロッドは、昇降装置の作動により、消耗電極と共に上下動する。そのため、かかる消耗電極式溶解炉では、スチンガーロッドの外周と摺動しながら、電源装置からの電力をスチンガーロッドへ送るための通電装置が設けてある。
【0005】
図11は、通電装置の断面構造を説明する説明図である。図示するように、通電装置Aは、円柱状のスチンガーロッドBの外周を覆うように配置され、外部の電源装置Eから電力の供給を受けている。通電装置Aは、スチンガーロッドBの軸芯から放射状に形成された複数の孔Cを備えており、その孔Cには、スチンガーロッドBと当接して該スチンガーロッドBに電力を送る接触子Dが設けてある。接触子Dは、バネ等の押圧部により矢印の方向に付勢され、スチンガーロッドBに当接する。つまり、外部の電源装置Eからの電力は、この接触子Dを介してスチンガーロッドBに供給され、更に消耗電極へ供給されている。このようにして、通常は消耗電極への電力供給が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる通電装置Aでは、接触子Dと孔Cとの上下(ロッドB軸芯方向の上下)方向の隙間はできるだけ小さくなっている。これは、接触子Dと孔Cとの上下方向の隙間が大きいことに起因して、スチンガーロッドBの昇降時にスチンガーロッドBと接触子Dとの摩擦により接触子Dがガタつき、接触子DとスチンガーロッドBとの接触不良により通電が不安定になったり、接触子Dの寿命が短くなるのを防ぐためである。
【0007】
しかしながら、こうした消耗電極式溶解炉では、溶解過程で消耗電極の重量・重心が経時的に変化するため、スチンガーロッドBが昇降時に傾斜することがある。この場合、上述の通り、接触子Dの上面及び下面と孔Cの上面及び下面との間には隙間がほとんど無いため、図12に示すように、接触子Dは傾斜したスチンガーロッドBに追従するようには傾動せず、スチンガーロッドBと接触子Dとの間に隙間dが生じることがあった。その結果、該隙間でスパークが発生することがあった。そして該スパークにより、スチンガーロッドBが損傷し、溶解炉の操業に支障を来たすことがあった。さらには、スパークが発生するたびに、通電装置Aの各部を点検したり、接触子DやスチンガーロッドBなどを交換する必要があり、溶解炉の安定操業を阻害するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る消耗電極式溶解炉の通電装置は、上記のような技術的課題を解決しようとするもので、請求項1記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に垂下してなる消耗電極式溶解炉の通電装置であって、前記スチンガーロッド軸芯周りに複数配置され、該スチンガーロッドに対して通電するための通電面を有する接触子と、前記接触子を前記スチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔を有し、外部の電源装置から供給された電力を前記接触子へ送る接触子ホルダーと、前記接触子ホルダーの前記接触子嵌装孔内に嵌装された前記接触子を前記スチンガーロッドに押圧する押圧部と、前記接触子と前記接触子嵌装孔との間であって、前記スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、前記スチンガーロッドの傾斜に追従して前記接触子を傾動可能となす傾動吸収部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記接触子が、一対の接触子板と、前記一対の接触子板を互いに離間する方向に付勢するバネを備え、前記一対の接触子板を前記バネの付勢により前記接触子ホルダーに接触させることを特徴とする。
【0010】
また請求項3記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1または2記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記傾動吸収部が、前記接触子嵌装孔の上面及び下面と前記接触子の上面及び下面との隙間により形成され、垂直に垂下された前記スチンガーロッドと前記通電面の全面が当接したとき、前記上下の隙間が、前記スチンガーロッドから離れるにつれて漸次広くなるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また請求項4記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1または2または3記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記押圧部が、前記接触子を前記スチンガーロッド軸芯方向の上下2箇所で押圧するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、接触子の上方及び下方に、接触子の傾動を許容する傾動吸収部を設けているため、溶解過程でスチンガーロッドが傾いた場合であっても、当該傾動吸収部がその傾きを吸収し、接触子はスチンガーロッドの傾斜に追従して傾動する。従って、接触子の通電面が常にスチンガーロッドの外周面に隙間無く当接し、スパークの発生を防止することができ、消耗電極式溶解炉を安定して操業できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図6に示す第1実施例により、この発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の通電装置を備えたエレクトロスラグ再溶解炉の概略側面図である。図示するように、エレクトロスラグ再溶解炉1は、導電性のルツボ5、ルツボ5内のスラグ層に浸漬する消耗電極3、消耗電極3をスタブ4を介して吊り下げるスチンガーロッド2、スチンガーロッド2を所望の速度で昇降する電極昇降装置20、図示しない電源装置から供給される電力をスチンガーロッド2へ送るための通電装置30などを主要部材として構成されている。このエレクトロスラグ再溶解炉1は、3段構造の架台を有し、その下段テーブル6の下にルツボ5および消耗電極3を、その中段テーブル7の下に通電装置30を、その上段テーブル8の上に電極昇降装置20を、それぞれ配置している。なお、スチンガーロッド2は、上段テーブル8の直下から、中段テーブル7、下段テーブル6を貫通するよう配置され、その一端は昇降装置20と、他端はスタブ4を介して消耗電極3と、それぞれ接続されている。
【0014】
ルツボ5は、略円筒形状からなり、溶解された溶湯を保持する容器である。ルツボ5は、給電ポール9や水冷ケーブル10などの導線路により図示しない外部の電源装置と接続されている。このルツボ5内に吊り下げられる消耗電極3は、再溶解する原料からなり、その形状は円柱形状である。
【0015】
スチンガーロッド2は、導電性を有する円柱形状の部材で構成され、スタブ4を介して消耗電極3と着脱可能に接続されている。つまり、スチンガーロッド2と消耗電極3とは、電極昇降装置20の作動により、一体で昇降する。
【0016】
電極昇降装置20は、主に電動モータ21や減速機22、減速機22から上段テーブル8を貫通してスチンガーロッド2に螺合するネジ軸23等からなる。ネジ軸23はスチンガーロッド2の上端内部に設けた図示しないネジ孔に螺合している。また、スチンガーロッド2は、その端部に設けた係止板24を上段テーブル8の脚部を構成するガイドポール12に設けたスライダー25に固定することで、回転が規制されている。よって、電動モータ21が作動すると、スチンガーロッド2が昇降する。
【0017】
通電装置30は、リング状の形状をしており、中段テーブル7から連結部材13により吊下げられて、スチンガーロッド2の外周を包囲するように配置されている。通電装置30は、昇降動作するスチンガーロッド2の外周面が摺動する面を備えており、図示しない外部の電源装置から水冷ケーブル11を介して供給された電力をスチンガーロッド2(最終的には消耗電極3)へ送っている。つまり、外部の電源装置の一端は上述のルツボ5に、他端は通電装置30、スチンガーロッド2を介して消耗電極3に、それぞれ接続され、ルツボ5中のスラグ層を流れる電流の抵抗加熱によって消耗電極3の先端を溶解させている。
【0018】
なお、中段テーブル7や、中段テーブル7上に固定される上段テーブル8は、全体として、重量計14を介して、下段テーブル6上に立設されている。つまり、重量計14は、消耗電極3を含み、下段テーブル6上にかかる全ての重量を計測しており、溶解中の消耗電極3の重量変化を検知することができる。かかる重量計14は、図示しない制御装置に接続され、重量変化を制御装置に出力する。制御装置は、入力した消耗電極3の重量変化に基づき、適切な消耗電極3の重量減少速度を求め、その指令値を電動モータ21へ出力する。こうして、所望の溶解速度に応じた消耗電極3の昇降動作が行われている。
【0019】
次に、本発明の通電装置30の構造を詳細に説明する。図2は、通電装置30の一部切欠平面図を、図3は、図2のA−A断面における縦断面図を、図4は、図2の一部分を拡大して示す水平断面図を、図5は、図4に対応する部分の縦断面図を、それぞれ示している。
【0020】
図2に示すように、通電装置30は、リング状形状であり、その中央にスチンガーロッド2を挿通するための透孔34を備えている。この通電装置30は、3つの主要部材とその他の部材から構成されている。3つの主要部材は、略リング状の接触子ホルダー31、スチンガーロッド2に接触する接触子50、及び、接触子50をスチンガーロッド2へ押圧する押圧部70である。接触子50及び押圧部70は対をなし、これらが、接触子ホルダー31内に、その円周方向に等間隔で複数配置されている。
【0021】
まず、本発明の通電装置30の主要部材の一つである接触子ホルダー31の構成について説明する。接触子ホルダー31は、図3に示すように、接触子50を嵌装する接触子嵌装溝33を備える接触子ホルダー本体32と、接触子ホルダー本体32の下部に固定され接触子嵌装溝33の蓋として配置される下蓋35と、接触子ホルダー本体32の外周を所定の間隔を持って覆うように形成され、押圧部70を固定するカバー37などから構成されている。
【0022】
接触子ホルダー本体32は、前述のスチンガーロッド2を挿通するための透孔34を有するリング状の外形形状をしており、銅などの導電性の良好な材料からなる。接触子ホルダー本体32の下側略半分には、そのリング状の内周面から外周面に亘り、径方向に延びる複数の接触子嵌装溝33が円周方向に等間隔で形成されている。接触子嵌装溝33の上面は平坦な水平面として形成され、両側面は平坦な垂直面として形成されている。また、接触子嵌装溝33の幅は、接触子50がスチンガーロッド2の軸芯方向へ移動しやすいように、僅かであるが接触子ホルダー本体32の外周面側から内周面側へ漸次広くなるように形成されている。なお、図示は省略したが、接触子ホルダー本体32は外部と電気的に接続するための給電ポートを備えており、この給電ポートに水冷ケーブル11を接続することで図示しない電源装置からの電力供給を受けている。
【0023】
下蓋35は、導電性の良好な銅等の材料からなるリング状の板部材である。下蓋35の外径は接触子ホルダー本体32の外径よりも大きく、中心にスチンガロッド2を挿通するための穴36が穿設されている。
【0024】
カバー37は、ステンレス等の材料からなり、接触子ホルダー本体32外周を所定の隙間を持って覆う大きさの筒状体38と、筒状体38の端面に溶接固定される上蓋39と、から構成されている。筒状体38は、外径が下蓋35の外径と略同一とされ、高さが接触子ホルダー本体32の高さよりも低く(略半分)形成されている。上蓋39は、リング状の板部材であり、外径が筒状体38の外径と略同一とされ、内径が接触子ホルダー本体32の外径と略同一に形成されている。また、上蓋39の外縁部3箇所には、連結部材13を接続する張出部40が設けてある。なお、筒状体38の周側面には、押圧部70を水平に固設するための貫通孔41が円周方向等間隔に複数形成されている。この貫通孔41に固設された押圧部70の一端は、接触子50と当接する構造としてある。
【0025】
かかる部品からなる接触子ホルダー31は、接触子ホルダー本体32の下側から下蓋35をボルトで締結し、接触子ホルダー本体32の上側からカバー37を嵌合して固定することで組立てられる。その際、カバー37を構成する上蓋39が接触子ホルダー本体32と、カバー37を構成する筒状体38が下蓋35と、それぞれボルトで締結される。
【0026】
こうした組立てにより、接触子ホルダー本体32と下蓋35とで形成された空間が、接触子50を嵌装する接触子嵌装孔42とされ、この接触子嵌装孔42に、接触子50が接触子ホルダー31の外周側からスチンガーロッド2の軸芯方向へ摺動可能に嵌装される。組立てられた接触子ホルダー31のカバー37の張出部40には、連結部材13が接続され、該連結部材13は図示しない絶縁材を介して中段テーブル7に接続される。このようにして通電装置30は、中段テーブル7に吊下げられて固定される。
【0027】
なお、組立てられた接触子ホルダー31には、接触子ホルダー本体32の外周と下蓋35とカバー37により囲まれた空間が形成される。この空間には、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、該空間及び接触子嵌装孔42内の圧力が正圧に保たれている。これにより、該空間及び接触子嵌装孔42内への外部からのダストの侵入を防止するとともに、溶解過程で生じる腐食性ガスの該空間及び接触子嵌装孔42内への侵入による接触子50の腐食を防止している。
【0028】
また、図3に示すように、接触子ホルダー本体32とスチンガーロッド2の隙間の上端部及び下蓋35とスチンガーロッド2の隙間には、ゴム製の絶縁リング45、46を設けている。この絶縁リング45、46は、スチンガーロッド2と、接触子ホルダー本体32及び下蓋35との接触を防止するとともに、前述の空間をシールしている。
【0029】
次に、本発明の通電装置30の主要部材の一つである接触子50の構成について説明する。接触子50は、図2及び図4に示すように、前述の接触子嵌装孔42内に、間に隙間を設けて横に並べて配設された一対の接触子板51、51と、その隙間に配設されたバネ58から構成されている。
【0030】
接触子板51は、カーボン製で、台形形状の板状部材である。台形形状を構成する平行な2辺のうちの長辺側の面を、スチンガーロッド2に対向させる通電面52としている。図4に示すように、通電面52は円柱状のスチンガーロッド2の外周面に隙間無く当接するよう、凹状に形成されている。
【0031】
図3、図5に示すように、通電面52の上下方向両端の角は鋭角である。一方、前記接触子嵌装孔42の上面43と下面44は水平である。従って、垂直に垂下されたスチンガーロッド2と通電面52が当接したとき、接触子嵌装孔42と接触子板51の上面53及び下面54との隙間59、60は、スチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっている。この隙間59、60が、接触子50を傾動可能とするための傾動吸収部に該当する。換言すると、本第1実施例の傾動吸収部は、接触子嵌装孔42の上下面を接触子ホルダー本体32の内周面側から外周面側へ平行に形成し、通電面52が長辺となる台形形状の接触子板51を嵌装することにより構成される。
【0032】
通電面52の上下方向長さは、接触子嵌装孔42の上下方向長さよりも、僅かに(約1mm)短く形成されている。そうすることで、接触子板51の通電面52をスチンガーロッド2に当接させたとき、通電面52の近傍部分では、接触子板51の上面53及び下面54と接触子嵌装孔42の上面43及び下面44との隙間は僅かになる。従って、スチンガーロッド2昇降時の接触子板51すなわち接触子50のガタつきを防止し、接触子板51とスチンガーロッド2との接触不良により通電が不安定になったり、接触子板51の寿命が短くなるのを防ぐことができる。
【0033】
図3、図5に示すように、接触子板51の通電面52側には、スリット状の切欠部56を2ヶ所設けている。この切欠部56により、接触子板51の熱膨張を吸収し、また、スチンガーロッド2との摩擦によって生じる接触子板51のダスト粒子を収容し、スチンガーロッド2と接触子板51との摺動不良を防止している。
【0034】
また、図4、図5に示すように、一対の接触子板51、51は、その対向する面の幅方向中央で且つ高さ方向3箇所に円環状凹部57を有している。そして、対向する円環状凹部57内に内装されたバネ58が、一対の接触子板51、51を接触子嵌装孔42の側面に良好に接触するように付勢している。これにより、接触子ホルダー31からの電力が接触子板51に送られている。
【0035】
次に本発明の通電装置30の主要部材の一つである押圧部70の構成について説明する。押圧部70は、図4及び図5に示すように、接触子ホルダー31の筒状体38に固定され、その一端が接触子板51の通電面52と反対側の面55を押圧することにより、通電面52をスチンガーロッド2に当接させている。
【0036】
図4及び図5に示すように、押圧部70は、前述のカバー37(筒状体38)周側面の貫通孔41に嵌設された支持部材71と、支持部材71を貫通して配置されるロッド72と、ロッド72の周りに配設された圧縮バネ73と、ロッド72の一端に固着された支承部材74と、支承部材74に回動可能に支持され、接触子50を押圧する押圧部材75と、から構成され、押圧部材75、支承部材74、ロッド72が一体で圧縮バネ73の復元力を受けて接触子50を押圧する構造である。
【0037】
支持部材71は、一端に鍔を設けた円柱状の部材であり、鍔を筒状体38の内周面に係止させて、筒状体38に嵌設している。この支持部材71の軸芯には貫通穴76が穿設され、鍔側の面には、貫通穴76と同芯状に環状溝77が設けてある。貫通穴76には、ロッド72が挿通され、ロッド72が水平に支持されている。なお、ロッド72の一部にはネジ部78が設けられ、ネジ部78の先端は貫通穴76を貫通し、筒状体38の外部へ突出している。
【0038】
支承部材74は、ロッド72の先端に固着された当板79、当板79の上面及び下面から水平に延設された上片80、下片81、上片80及び下片81にその両端を固着され垂直に設けられた軸82からなる。
【0039】
押圧部材75は、接触子板51、51に対向する側に2つの凸部83、84を有している。また、押圧部材75は、孔を有しており、該孔に軸82を挿通することにより、支承部材74に回動可能に支持されている。そして、凸部83、84は一対の接触子板51、51の通電面52、52と反対側の面55、55に当接している。
【0040】
また、押圧部材75は、セラミック等の碍子からなり、圧縮バネ73への電気の流れを断つことにより、該圧縮バネ73の過熱やスパークの発生を防止している。圧縮バネ73は、その一端を当板79に当接させ他端を環状溝77に嵌入して配設されている。よって、接触子50は押圧部材75からの押圧によりスチンガーロッド2に押圧されている。
【0041】
なお、押圧部70による接触子50への押圧を解除する場合には、接触子ホルダー31の筒状体38から外側に突出したロッド72に螺合するナット85を調整する。このナット85を締め込むことで、圧縮バネ73が縮められ、押圧を解除することができる。
【0042】
こうした各種部品からなる通電装置30は、図示しない電源装置から接触子ホルダー本体32に供給された電力を、接触子50を介してスチンガーロッド2に送る。
【0043】
図6は、スチンガーロッド2が傾斜したときの通電装置30の縦断面図であり、図2のB−B断面を示している。この通電装置30において、スチンガーロッド2が図6のように反時計回り方向に傾斜した場合、右側の接触子50は、その上面53と接触子嵌装孔42の上面43との隙間59が接触子50の傾動を吸収し得るようにスチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっているため、押圧部70からの押圧力により、反時計回り方向に傾動する。左側の接触子50も同様にスチンガーロッド2の傾斜に追従し反時計回り方向に傾動する。よって、スチンガーロッド2が傾斜しても通電面52の全面がスチンガーロッド2に常に当接し、スチンガーロッド2と通電面52との間に隙間ができることはないから、スパークの発生を防止することができる。また、通電面52の上下方向長さは接触子嵌装孔42の上下方向長さよりも僅かに(約1mm)短いため、接触子50のガタつきに起因する通電不良やスパークの発生を防止することができる。
【0044】
次に図7に示す第2実施例の通電装置130について説明する。図示するように、この第2実施例の通電装置130は、第1実施例に比べて、押圧部70の個数が異なるだけで、その他の構成は第1実施例と同様である。したがって、図3と同一または相当部分には同一符号を付して図示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。以下、後述する他の実施例においても同様とする。
【0045】
この第2実施例の通電装置130は、接触子50を2個の押圧部70により押圧するように構成し、第1実施例の押圧部70の倍の数の押圧部70を備えている。具体的には、接触子ホルダー31のカバー37に押圧部70取り付け用の貫通孔41が追加され、接触子50を、スチンガーロッド2軸芯方向の上下2箇所で押圧している。この独立した2つの押圧部70が、接触子50を押圧することで、スチンガーロッド2の傾斜に追従して傾動した接触子50を、より一層確実にスチンガーロッド2に接触させることができる。
【0046】
次に図8に示す第3実施例の通電装置230について説明する。図示するように、この第3実施例では、第1実施例における接触子嵌装孔42と接触子50との隙間の形状を変更するため、新たに接触子嵌装孔242と接触子250とを設けている。接触子嵌装孔242は、その上面243のみがスチンガーロッド2から離れるにつれて漸次高くなるよう形成され、接触子250は、その接触子板251の上面253のみが水平となるように形成されている。この第3実施例でも、第1実施例及び第2実施例と同様に、接触子嵌装孔242と接触子板251の上面253及び下面254との隙間はスチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっており、この隙間を、接触子250を傾動可能とするための傾動吸収部としている。本実施例でも、第1実施例及び第2実施例と同様に、スチンガーロッド2が傾斜したとき、接触子250は、押圧部70からの押圧によりスチンガーロッド2の傾斜に追従して傾動する。
【0047】
次に図9に示す第4実施例の通電装置330について説明する。図示するように、この第4実施例では、第1実施例とは接触子50の構造のみが異なる。第4実施例の通電装置330を構成する接触子350は、その接触子板351が台形の短辺側に長方形を繋ぎ合わせた外観形状をしている。つまり、スチンガーロッド2と当接する通電面352側から押圧部70方向へ向かって、接触子板351の上面353及び下面354と接触子嵌装孔42の隙間が徐々に大きくなるよう台形形状部分が形成され、押圧部70方向へ所定距離隔たった位置からは、隙間が一定間隔となるよう長方形形状部分が形成されている。第4実施例では、スチンガーロッド2から離れるにつれて隙間が大きくなる構造とは異なるが、かかる構成であっても、第1実施例と同様、接触子350の上下の隙間が傾動吸収部としての役割を果たし、同様の効果を奏する。
【0048】
なお、第4実施例に示すように、隙間が一定間隔となる傾動吸収部を形成した場合、スチンガーロッド2が大きく傾斜すると、接触子板351の長方形形状部分が、先に、接触子嵌装孔42と接触してしまうことも考えられる。しかしながら、接触子板351の長方形形状部分の形成にあたって、スチンガーロッド2の最大傾斜角度を考慮することで、確実にスチンガーロッド2の傾動を吸収する傾動吸収部を設けることができる。具体的には、スチンガーロッド2の最大傾斜角度が、スチンガーロッド2とそれが挿通される接触子ホルダー本体32の透孔34とのクリアランスと絶縁リング45、46の弾性率で決まることを考慮し、求めたスチンガーロッド2の最大傾斜角度から、接触子板351の長方形形状部分の形状(接触子嵌装孔42との隙間の広さ)を決定すればよい。
【0049】
次に図10に示す第5実施例の通電装置430について説明する。図示するように、この第5実施例では、第1実施例とは接触子50の構造のみが異なる。第5実施例の通電装置430を構成する接触子450は、その接触子板451の上面453と下面454を円弧状に形成したものである。この第5実施例は、接触子板451の上面453及び下面454と接触子嵌装孔42との隙間は、スチンガーロッド2に近い部分では、該スチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっているが、スチンガーロッド2から遠い部分では、該スチンガーロッド2から離れるにつれて狭くなっている。しかし、第4実施例と同様に、通電面452と反対側の面455の上下方向両端と接触子嵌装孔42との隙間を、スチンガーロッド2の最大傾斜角度を考慮した距離にしておけば、この隙間が傾動吸収部としての役割を果たし、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0050】
この発明は上記の例に限定されるものではなく、接触子ホルダー31の形状や材質などは、上記以外のものとしてもよく、押圧部70は油圧シリンダーなどの流体圧シリンダーやパワーシリンダーなどを使用したものでもよい。また、通電面と反対側の面55の形状も上記の例に限定されず、凹状にするなど、種々変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】エレクトロスラグ再溶解炉の概略側面図。
【図2】通電装置の一部切欠平面図。
【図3】図2のA−A断面における縦断面図。
【図4】図2の一部分を拡大して示す水平断面図。
【図5】図4に対応する部分の縦断面図。
【図6】第1実施例において、スチンガーロッドが傾斜したときの通電装置の縦断面図。
【図7】第2実施例における通電装置の縦断面図。
【図8】第3実施例における通電装置の縦断面図。
【図9】第4実施例における通電装置の縦断面図。
【図10】第5実施例における通電装置の縦断面図。
【図11】通電装置の断面構造を説明する説明図。
【図12】従来の通電装置において、スチンガーロッドが傾斜したときの縦断面図。
【符号の説明】
【0052】
1・・・エレクトロスラグ再溶解炉、2・・・スチンガーロッド、3・・・消耗電極、5・・・ルツボ、20・・・電極昇降装置、30・・・通電装置、31・・・接触子ホルダー、32・・・接触子ホルダー本体、35・・・下蓋、37・・・カバー、42・・・接触子嵌装孔、50・・・接触子、51・・・接触子板、52・・・通電面、58・・・バネ、59・・・隙間(傾動吸収部)、60・・・隙間(傾動吸収部)、70・・・押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスラグ再溶解炉、真空アーク炉等、スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に備えてなる消耗電極式溶解炉における通電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスラグ再溶解炉は、水冷構造を持つ鋼製の導電性ルツボの中に溶解材となる棒状の消耗電極を垂下させ、電源の一端を該電極に接続し、他端をルツボに接続して電流がルツボ中のスラグ層を流れる際の抵抗加熱で電極の先端を溶解させる装置である(例えば、特許文献1,2参照)。また、真空アーク炉は、ルツボ中を真空に保ち消耗電極の下端と溶湯面との間でアークを発生させアーク加熱により消耗電極を溶解させる装置である(例えば、特許文献3,4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−156232号公報
【特許文献2】特開昭62−55523号公報
【特許文献3】特開平9−31558号公報
【特許文献4】特開2001−214868号公報
【0004】
こうした消耗電極式溶解炉では、消耗電極を吊下げ、それに電力を送るスチンガーロッドを備えている。スチンガーロッドは、昇降装置の作動により、消耗電極と共に上下動する。そのため、かかる消耗電極式溶解炉では、スチンガーロッドの外周と摺動しながら、電源装置からの電力をスチンガーロッドへ送るための通電装置が設けてある。
【0005】
図11は、通電装置の断面構造を説明する説明図である。図示するように、通電装置Aは、円柱状のスチンガーロッドBの外周を覆うように配置され、外部の電源装置Eから電力の供給を受けている。通電装置Aは、スチンガーロッドBの軸芯から放射状に形成された複数の孔Cを備えており、その孔Cには、スチンガーロッドBと当接して該スチンガーロッドBに電力を送る接触子Dが設けてある。接触子Dは、バネ等の押圧部により矢印の方向に付勢され、スチンガーロッドBに当接する。つまり、外部の電源装置Eからの電力は、この接触子Dを介してスチンガーロッドBに供給され、更に消耗電極へ供給されている。このようにして、通常は消耗電極への電力供給が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる通電装置Aでは、接触子Dと孔Cとの上下(ロッドB軸芯方向の上下)方向の隙間はできるだけ小さくなっている。これは、接触子Dと孔Cとの上下方向の隙間が大きいことに起因して、スチンガーロッドBの昇降時にスチンガーロッドBと接触子Dとの摩擦により接触子Dがガタつき、接触子DとスチンガーロッドBとの接触不良により通電が不安定になったり、接触子Dの寿命が短くなるのを防ぐためである。
【0007】
しかしながら、こうした消耗電極式溶解炉では、溶解過程で消耗電極の重量・重心が経時的に変化するため、スチンガーロッドBが昇降時に傾斜することがある。この場合、上述の通り、接触子Dの上面及び下面と孔Cの上面及び下面との間には隙間がほとんど無いため、図12に示すように、接触子Dは傾斜したスチンガーロッドBに追従するようには傾動せず、スチンガーロッドBと接触子Dとの間に隙間dが生じることがあった。その結果、該隙間でスパークが発生することがあった。そして該スパークにより、スチンガーロッドBが損傷し、溶解炉の操業に支障を来たすことがあった。さらには、スパークが発生するたびに、通電装置Aの各部を点検したり、接触子DやスチンガーロッドBなどを交換する必要があり、溶解炉の安定操業を阻害するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る消耗電極式溶解炉の通電装置は、上記のような技術的課題を解決しようとするもので、請求項1記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に垂下してなる消耗電極式溶解炉の通電装置であって、前記スチンガーロッド軸芯周りに複数配置され、該スチンガーロッドに対して通電するための通電面を有する接触子と、前記接触子を前記スチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔を有し、外部の電源装置から供給された電力を前記接触子へ送る接触子ホルダーと、前記接触子ホルダーの前記接触子嵌装孔内に嵌装された前記接触子を前記スチンガーロッドに押圧する押圧部と、前記接触子と前記接触子嵌装孔との間であって、前記スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、前記スチンガーロッドの傾斜に追従して前記接触子を傾動可能となす傾動吸収部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記接触子が、一対の接触子板と、前記一対の接触子板を互いに離間する方向に付勢するバネを備え、前記一対の接触子板を前記バネの付勢により前記接触子ホルダーに接触させることを特徴とする。
【0010】
また請求項3記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1または2記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記傾動吸収部が、前記接触子嵌装孔の上面及び下面と前記接触子の上面及び下面との隙間により形成され、垂直に垂下された前記スチンガーロッドと前記通電面の全面が当接したとき、前記上下の隙間が、前記スチンガーロッドから離れるにつれて漸次広くなるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また請求項4記載の消耗電極式溶解炉の通電装置は、請求項1または2または3記載の消耗電極式溶解炉の通電装置において、前記押圧部が、前記接触子を前記スチンガーロッド軸芯方向の上下2箇所で押圧するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、接触子の上方及び下方に、接触子の傾動を許容する傾動吸収部を設けているため、溶解過程でスチンガーロッドが傾いた場合であっても、当該傾動吸収部がその傾きを吸収し、接触子はスチンガーロッドの傾斜に追従して傾動する。従って、接触子の通電面が常にスチンガーロッドの外周面に隙間無く当接し、スパークの発生を防止することができ、消耗電極式溶解炉を安定して操業できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図6に示す第1実施例により、この発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の通電装置を備えたエレクトロスラグ再溶解炉の概略側面図である。図示するように、エレクトロスラグ再溶解炉1は、導電性のルツボ5、ルツボ5内のスラグ層に浸漬する消耗電極3、消耗電極3をスタブ4を介して吊り下げるスチンガーロッド2、スチンガーロッド2を所望の速度で昇降する電極昇降装置20、図示しない電源装置から供給される電力をスチンガーロッド2へ送るための通電装置30などを主要部材として構成されている。このエレクトロスラグ再溶解炉1は、3段構造の架台を有し、その下段テーブル6の下にルツボ5および消耗電極3を、その中段テーブル7の下に通電装置30を、その上段テーブル8の上に電極昇降装置20を、それぞれ配置している。なお、スチンガーロッド2は、上段テーブル8の直下から、中段テーブル7、下段テーブル6を貫通するよう配置され、その一端は昇降装置20と、他端はスタブ4を介して消耗電極3と、それぞれ接続されている。
【0014】
ルツボ5は、略円筒形状からなり、溶解された溶湯を保持する容器である。ルツボ5は、給電ポール9や水冷ケーブル10などの導線路により図示しない外部の電源装置と接続されている。このルツボ5内に吊り下げられる消耗電極3は、再溶解する原料からなり、その形状は円柱形状である。
【0015】
スチンガーロッド2は、導電性を有する円柱形状の部材で構成され、スタブ4を介して消耗電極3と着脱可能に接続されている。つまり、スチンガーロッド2と消耗電極3とは、電極昇降装置20の作動により、一体で昇降する。
【0016】
電極昇降装置20は、主に電動モータ21や減速機22、減速機22から上段テーブル8を貫通してスチンガーロッド2に螺合するネジ軸23等からなる。ネジ軸23はスチンガーロッド2の上端内部に設けた図示しないネジ孔に螺合している。また、スチンガーロッド2は、その端部に設けた係止板24を上段テーブル8の脚部を構成するガイドポール12に設けたスライダー25に固定することで、回転が規制されている。よって、電動モータ21が作動すると、スチンガーロッド2が昇降する。
【0017】
通電装置30は、リング状の形状をしており、中段テーブル7から連結部材13により吊下げられて、スチンガーロッド2の外周を包囲するように配置されている。通電装置30は、昇降動作するスチンガーロッド2の外周面が摺動する面を備えており、図示しない外部の電源装置から水冷ケーブル11を介して供給された電力をスチンガーロッド2(最終的には消耗電極3)へ送っている。つまり、外部の電源装置の一端は上述のルツボ5に、他端は通電装置30、スチンガーロッド2を介して消耗電極3に、それぞれ接続され、ルツボ5中のスラグ層を流れる電流の抵抗加熱によって消耗電極3の先端を溶解させている。
【0018】
なお、中段テーブル7や、中段テーブル7上に固定される上段テーブル8は、全体として、重量計14を介して、下段テーブル6上に立設されている。つまり、重量計14は、消耗電極3を含み、下段テーブル6上にかかる全ての重量を計測しており、溶解中の消耗電極3の重量変化を検知することができる。かかる重量計14は、図示しない制御装置に接続され、重量変化を制御装置に出力する。制御装置は、入力した消耗電極3の重量変化に基づき、適切な消耗電極3の重量減少速度を求め、その指令値を電動モータ21へ出力する。こうして、所望の溶解速度に応じた消耗電極3の昇降動作が行われている。
【0019】
次に、本発明の通電装置30の構造を詳細に説明する。図2は、通電装置30の一部切欠平面図を、図3は、図2のA−A断面における縦断面図を、図4は、図2の一部分を拡大して示す水平断面図を、図5は、図4に対応する部分の縦断面図を、それぞれ示している。
【0020】
図2に示すように、通電装置30は、リング状形状であり、その中央にスチンガーロッド2を挿通するための透孔34を備えている。この通電装置30は、3つの主要部材とその他の部材から構成されている。3つの主要部材は、略リング状の接触子ホルダー31、スチンガーロッド2に接触する接触子50、及び、接触子50をスチンガーロッド2へ押圧する押圧部70である。接触子50及び押圧部70は対をなし、これらが、接触子ホルダー31内に、その円周方向に等間隔で複数配置されている。
【0021】
まず、本発明の通電装置30の主要部材の一つである接触子ホルダー31の構成について説明する。接触子ホルダー31は、図3に示すように、接触子50を嵌装する接触子嵌装溝33を備える接触子ホルダー本体32と、接触子ホルダー本体32の下部に固定され接触子嵌装溝33の蓋として配置される下蓋35と、接触子ホルダー本体32の外周を所定の間隔を持って覆うように形成され、押圧部70を固定するカバー37などから構成されている。
【0022】
接触子ホルダー本体32は、前述のスチンガーロッド2を挿通するための透孔34を有するリング状の外形形状をしており、銅などの導電性の良好な材料からなる。接触子ホルダー本体32の下側略半分には、そのリング状の内周面から外周面に亘り、径方向に延びる複数の接触子嵌装溝33が円周方向に等間隔で形成されている。接触子嵌装溝33の上面は平坦な水平面として形成され、両側面は平坦な垂直面として形成されている。また、接触子嵌装溝33の幅は、接触子50がスチンガーロッド2の軸芯方向へ移動しやすいように、僅かであるが接触子ホルダー本体32の外周面側から内周面側へ漸次広くなるように形成されている。なお、図示は省略したが、接触子ホルダー本体32は外部と電気的に接続するための給電ポートを備えており、この給電ポートに水冷ケーブル11を接続することで図示しない電源装置からの電力供給を受けている。
【0023】
下蓋35は、導電性の良好な銅等の材料からなるリング状の板部材である。下蓋35の外径は接触子ホルダー本体32の外径よりも大きく、中心にスチンガロッド2を挿通するための穴36が穿設されている。
【0024】
カバー37は、ステンレス等の材料からなり、接触子ホルダー本体32外周を所定の隙間を持って覆う大きさの筒状体38と、筒状体38の端面に溶接固定される上蓋39と、から構成されている。筒状体38は、外径が下蓋35の外径と略同一とされ、高さが接触子ホルダー本体32の高さよりも低く(略半分)形成されている。上蓋39は、リング状の板部材であり、外径が筒状体38の外径と略同一とされ、内径が接触子ホルダー本体32の外径と略同一に形成されている。また、上蓋39の外縁部3箇所には、連結部材13を接続する張出部40が設けてある。なお、筒状体38の周側面には、押圧部70を水平に固設するための貫通孔41が円周方向等間隔に複数形成されている。この貫通孔41に固設された押圧部70の一端は、接触子50と当接する構造としてある。
【0025】
かかる部品からなる接触子ホルダー31は、接触子ホルダー本体32の下側から下蓋35をボルトで締結し、接触子ホルダー本体32の上側からカバー37を嵌合して固定することで組立てられる。その際、カバー37を構成する上蓋39が接触子ホルダー本体32と、カバー37を構成する筒状体38が下蓋35と、それぞれボルトで締結される。
【0026】
こうした組立てにより、接触子ホルダー本体32と下蓋35とで形成された空間が、接触子50を嵌装する接触子嵌装孔42とされ、この接触子嵌装孔42に、接触子50が接触子ホルダー31の外周側からスチンガーロッド2の軸芯方向へ摺動可能に嵌装される。組立てられた接触子ホルダー31のカバー37の張出部40には、連結部材13が接続され、該連結部材13は図示しない絶縁材を介して中段テーブル7に接続される。このようにして通電装置30は、中段テーブル7に吊下げられて固定される。
【0027】
なお、組立てられた接触子ホルダー31には、接触子ホルダー本体32の外周と下蓋35とカバー37により囲まれた空間が形成される。この空間には、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、該空間及び接触子嵌装孔42内の圧力が正圧に保たれている。これにより、該空間及び接触子嵌装孔42内への外部からのダストの侵入を防止するとともに、溶解過程で生じる腐食性ガスの該空間及び接触子嵌装孔42内への侵入による接触子50の腐食を防止している。
【0028】
また、図3に示すように、接触子ホルダー本体32とスチンガーロッド2の隙間の上端部及び下蓋35とスチンガーロッド2の隙間には、ゴム製の絶縁リング45、46を設けている。この絶縁リング45、46は、スチンガーロッド2と、接触子ホルダー本体32及び下蓋35との接触を防止するとともに、前述の空間をシールしている。
【0029】
次に、本発明の通電装置30の主要部材の一つである接触子50の構成について説明する。接触子50は、図2及び図4に示すように、前述の接触子嵌装孔42内に、間に隙間を設けて横に並べて配設された一対の接触子板51、51と、その隙間に配設されたバネ58から構成されている。
【0030】
接触子板51は、カーボン製で、台形形状の板状部材である。台形形状を構成する平行な2辺のうちの長辺側の面を、スチンガーロッド2に対向させる通電面52としている。図4に示すように、通電面52は円柱状のスチンガーロッド2の外周面に隙間無く当接するよう、凹状に形成されている。
【0031】
図3、図5に示すように、通電面52の上下方向両端の角は鋭角である。一方、前記接触子嵌装孔42の上面43と下面44は水平である。従って、垂直に垂下されたスチンガーロッド2と通電面52が当接したとき、接触子嵌装孔42と接触子板51の上面53及び下面54との隙間59、60は、スチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっている。この隙間59、60が、接触子50を傾動可能とするための傾動吸収部に該当する。換言すると、本第1実施例の傾動吸収部は、接触子嵌装孔42の上下面を接触子ホルダー本体32の内周面側から外周面側へ平行に形成し、通電面52が長辺となる台形形状の接触子板51を嵌装することにより構成される。
【0032】
通電面52の上下方向長さは、接触子嵌装孔42の上下方向長さよりも、僅かに(約1mm)短く形成されている。そうすることで、接触子板51の通電面52をスチンガーロッド2に当接させたとき、通電面52の近傍部分では、接触子板51の上面53及び下面54と接触子嵌装孔42の上面43及び下面44との隙間は僅かになる。従って、スチンガーロッド2昇降時の接触子板51すなわち接触子50のガタつきを防止し、接触子板51とスチンガーロッド2との接触不良により通電が不安定になったり、接触子板51の寿命が短くなるのを防ぐことができる。
【0033】
図3、図5に示すように、接触子板51の通電面52側には、スリット状の切欠部56を2ヶ所設けている。この切欠部56により、接触子板51の熱膨張を吸収し、また、スチンガーロッド2との摩擦によって生じる接触子板51のダスト粒子を収容し、スチンガーロッド2と接触子板51との摺動不良を防止している。
【0034】
また、図4、図5に示すように、一対の接触子板51、51は、その対向する面の幅方向中央で且つ高さ方向3箇所に円環状凹部57を有している。そして、対向する円環状凹部57内に内装されたバネ58が、一対の接触子板51、51を接触子嵌装孔42の側面に良好に接触するように付勢している。これにより、接触子ホルダー31からの電力が接触子板51に送られている。
【0035】
次に本発明の通電装置30の主要部材の一つである押圧部70の構成について説明する。押圧部70は、図4及び図5に示すように、接触子ホルダー31の筒状体38に固定され、その一端が接触子板51の通電面52と反対側の面55を押圧することにより、通電面52をスチンガーロッド2に当接させている。
【0036】
図4及び図5に示すように、押圧部70は、前述のカバー37(筒状体38)周側面の貫通孔41に嵌設された支持部材71と、支持部材71を貫通して配置されるロッド72と、ロッド72の周りに配設された圧縮バネ73と、ロッド72の一端に固着された支承部材74と、支承部材74に回動可能に支持され、接触子50を押圧する押圧部材75と、から構成され、押圧部材75、支承部材74、ロッド72が一体で圧縮バネ73の復元力を受けて接触子50を押圧する構造である。
【0037】
支持部材71は、一端に鍔を設けた円柱状の部材であり、鍔を筒状体38の内周面に係止させて、筒状体38に嵌設している。この支持部材71の軸芯には貫通穴76が穿設され、鍔側の面には、貫通穴76と同芯状に環状溝77が設けてある。貫通穴76には、ロッド72が挿通され、ロッド72が水平に支持されている。なお、ロッド72の一部にはネジ部78が設けられ、ネジ部78の先端は貫通穴76を貫通し、筒状体38の外部へ突出している。
【0038】
支承部材74は、ロッド72の先端に固着された当板79、当板79の上面及び下面から水平に延設された上片80、下片81、上片80及び下片81にその両端を固着され垂直に設けられた軸82からなる。
【0039】
押圧部材75は、接触子板51、51に対向する側に2つの凸部83、84を有している。また、押圧部材75は、孔を有しており、該孔に軸82を挿通することにより、支承部材74に回動可能に支持されている。そして、凸部83、84は一対の接触子板51、51の通電面52、52と反対側の面55、55に当接している。
【0040】
また、押圧部材75は、セラミック等の碍子からなり、圧縮バネ73への電気の流れを断つことにより、該圧縮バネ73の過熱やスパークの発生を防止している。圧縮バネ73は、その一端を当板79に当接させ他端を環状溝77に嵌入して配設されている。よって、接触子50は押圧部材75からの押圧によりスチンガーロッド2に押圧されている。
【0041】
なお、押圧部70による接触子50への押圧を解除する場合には、接触子ホルダー31の筒状体38から外側に突出したロッド72に螺合するナット85を調整する。このナット85を締め込むことで、圧縮バネ73が縮められ、押圧を解除することができる。
【0042】
こうした各種部品からなる通電装置30は、図示しない電源装置から接触子ホルダー本体32に供給された電力を、接触子50を介してスチンガーロッド2に送る。
【0043】
図6は、スチンガーロッド2が傾斜したときの通電装置30の縦断面図であり、図2のB−B断面を示している。この通電装置30において、スチンガーロッド2が図6のように反時計回り方向に傾斜した場合、右側の接触子50は、その上面53と接触子嵌装孔42の上面43との隙間59が接触子50の傾動を吸収し得るようにスチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっているため、押圧部70からの押圧力により、反時計回り方向に傾動する。左側の接触子50も同様にスチンガーロッド2の傾斜に追従し反時計回り方向に傾動する。よって、スチンガーロッド2が傾斜しても通電面52の全面がスチンガーロッド2に常に当接し、スチンガーロッド2と通電面52との間に隙間ができることはないから、スパークの発生を防止することができる。また、通電面52の上下方向長さは接触子嵌装孔42の上下方向長さよりも僅かに(約1mm)短いため、接触子50のガタつきに起因する通電不良やスパークの発生を防止することができる。
【0044】
次に図7に示す第2実施例の通電装置130について説明する。図示するように、この第2実施例の通電装置130は、第1実施例に比べて、押圧部70の個数が異なるだけで、その他の構成は第1実施例と同様である。したがって、図3と同一または相当部分には同一符号を付して図示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。以下、後述する他の実施例においても同様とする。
【0045】
この第2実施例の通電装置130は、接触子50を2個の押圧部70により押圧するように構成し、第1実施例の押圧部70の倍の数の押圧部70を備えている。具体的には、接触子ホルダー31のカバー37に押圧部70取り付け用の貫通孔41が追加され、接触子50を、スチンガーロッド2軸芯方向の上下2箇所で押圧している。この独立した2つの押圧部70が、接触子50を押圧することで、スチンガーロッド2の傾斜に追従して傾動した接触子50を、より一層確実にスチンガーロッド2に接触させることができる。
【0046】
次に図8に示す第3実施例の通電装置230について説明する。図示するように、この第3実施例では、第1実施例における接触子嵌装孔42と接触子50との隙間の形状を変更するため、新たに接触子嵌装孔242と接触子250とを設けている。接触子嵌装孔242は、その上面243のみがスチンガーロッド2から離れるにつれて漸次高くなるよう形成され、接触子250は、その接触子板251の上面253のみが水平となるように形成されている。この第3実施例でも、第1実施例及び第2実施例と同様に、接触子嵌装孔242と接触子板251の上面253及び下面254との隙間はスチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっており、この隙間を、接触子250を傾動可能とするための傾動吸収部としている。本実施例でも、第1実施例及び第2実施例と同様に、スチンガーロッド2が傾斜したとき、接触子250は、押圧部70からの押圧によりスチンガーロッド2の傾斜に追従して傾動する。
【0047】
次に図9に示す第4実施例の通電装置330について説明する。図示するように、この第4実施例では、第1実施例とは接触子50の構造のみが異なる。第4実施例の通電装置330を構成する接触子350は、その接触子板351が台形の短辺側に長方形を繋ぎ合わせた外観形状をしている。つまり、スチンガーロッド2と当接する通電面352側から押圧部70方向へ向かって、接触子板351の上面353及び下面354と接触子嵌装孔42の隙間が徐々に大きくなるよう台形形状部分が形成され、押圧部70方向へ所定距離隔たった位置からは、隙間が一定間隔となるよう長方形形状部分が形成されている。第4実施例では、スチンガーロッド2から離れるにつれて隙間が大きくなる構造とは異なるが、かかる構成であっても、第1実施例と同様、接触子350の上下の隙間が傾動吸収部としての役割を果たし、同様の効果を奏する。
【0048】
なお、第4実施例に示すように、隙間が一定間隔となる傾動吸収部を形成した場合、スチンガーロッド2が大きく傾斜すると、接触子板351の長方形形状部分が、先に、接触子嵌装孔42と接触してしまうことも考えられる。しかしながら、接触子板351の長方形形状部分の形成にあたって、スチンガーロッド2の最大傾斜角度を考慮することで、確実にスチンガーロッド2の傾動を吸収する傾動吸収部を設けることができる。具体的には、スチンガーロッド2の最大傾斜角度が、スチンガーロッド2とそれが挿通される接触子ホルダー本体32の透孔34とのクリアランスと絶縁リング45、46の弾性率で決まることを考慮し、求めたスチンガーロッド2の最大傾斜角度から、接触子板351の長方形形状部分の形状(接触子嵌装孔42との隙間の広さ)を決定すればよい。
【0049】
次に図10に示す第5実施例の通電装置430について説明する。図示するように、この第5実施例では、第1実施例とは接触子50の構造のみが異なる。第5実施例の通電装置430を構成する接触子450は、その接触子板451の上面453と下面454を円弧状に形成したものである。この第5実施例は、接触子板451の上面453及び下面454と接触子嵌装孔42との隙間は、スチンガーロッド2に近い部分では、該スチンガーロッド2から離れるにつれて広くなっているが、スチンガーロッド2から遠い部分では、該スチンガーロッド2から離れるにつれて狭くなっている。しかし、第4実施例と同様に、通電面452と反対側の面455の上下方向両端と接触子嵌装孔42との隙間を、スチンガーロッド2の最大傾斜角度を考慮した距離にしておけば、この隙間が傾動吸収部としての役割を果たし、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0050】
この発明は上記の例に限定されるものではなく、接触子ホルダー31の形状や材質などは、上記以外のものとしてもよく、押圧部70は油圧シリンダーなどの流体圧シリンダーやパワーシリンダーなどを使用したものでもよい。また、通電面と反対側の面55の形状も上記の例に限定されず、凹状にするなど、種々変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】エレクトロスラグ再溶解炉の概略側面図。
【図2】通電装置の一部切欠平面図。
【図3】図2のA−A断面における縦断面図。
【図4】図2の一部分を拡大して示す水平断面図。
【図5】図4に対応する部分の縦断面図。
【図6】第1実施例において、スチンガーロッドが傾斜したときの通電装置の縦断面図。
【図7】第2実施例における通電装置の縦断面図。
【図8】第3実施例における通電装置の縦断面図。
【図9】第4実施例における通電装置の縦断面図。
【図10】第5実施例における通電装置の縦断面図。
【図11】通電装置の断面構造を説明する説明図。
【図12】従来の通電装置において、スチンガーロッドが傾斜したときの縦断面図。
【符号の説明】
【0052】
1・・・エレクトロスラグ再溶解炉、2・・・スチンガーロッド、3・・・消耗電極、5・・・ルツボ、20・・・電極昇降装置、30・・・通電装置、31・・・接触子ホルダー、32・・・接触子ホルダー本体、35・・・下蓋、37・・・カバー、42・・・接触子嵌装孔、50・・・接触子、51・・・接触子板、52・・・通電面、58・・・バネ、59・・・隙間(傾動吸収部)、60・・・隙間(傾動吸収部)、70・・・押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に垂下してなる消耗電極式溶解炉の通電装置であって、
前記スチンガーロッド軸芯周りに複数配置され、該スチンガーロッドに対して通電するための通電面を有する接触子と、
前記接触子を前記スチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔を有し、外部の電源装置から供給された電力を前記接触子へ送る接触子ホルダーと、
前記接触子ホルダーの前記接触子嵌装孔内に嵌装された前記接触子を前記スチンガーロッドに押圧する押圧部と、
前記接触子と前記接触子嵌装孔との間であって、前記スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、前記スチンガーロッドの傾斜に追従して前記接触子を傾動可能となす傾動吸収部と、
を備えたことを特徴とする消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項2】
前記接触子は、一対の接触子板と、
前記一対の接触子板を互いに離間する方向に付勢するバネを備え、
前記一対の接触子板を前記バネの付勢により前記接触子ホルダーに接触させる請求項1に記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項3】
前記傾動吸収部は、前記接触子嵌装孔の上面及び下面と前記接触子の上面及び下面との隙間により形成され、
垂直に垂下された前記スチンガーロッドと前記通電面の全面が当接したとき、前記上下の隙間が、前記スチンガーロッドから離れるにつれて漸次広くなるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記接触子を前記スチンガーロッド軸芯方向の上下2箇所で押圧するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つの項記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項1】
スチンガーロッドに吊下された消耗電極を導電性ルツボ内に昇降自在に垂下してなる消耗電極式溶解炉の通電装置であって、
前記スチンガーロッド軸芯周りに複数配置され、該スチンガーロッドに対して通電するための通電面を有する接触子と、
前記接触子を前記スチンガーロッドの外周から軸芯方向へ摺動可能に嵌装する接触子嵌装孔を有し、外部の電源装置から供給された電力を前記接触子へ送る接触子ホルダーと、
前記接触子ホルダーの前記接触子嵌装孔内に嵌装された前記接触子を前記スチンガーロッドに押圧する押圧部と、
前記接触子と前記接触子嵌装孔との間であって、前記スチンガーロッド軸芯方向の上方及び下方に設けられ、前記スチンガーロッドの傾斜に追従して前記接触子を傾動可能となす傾動吸収部と、
を備えたことを特徴とする消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項2】
前記接触子は、一対の接触子板と、
前記一対の接触子板を互いに離間する方向に付勢するバネを備え、
前記一対の接触子板を前記バネの付勢により前記接触子ホルダーに接触させる請求項1に記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項3】
前記傾動吸収部は、前記接触子嵌装孔の上面及び下面と前記接触子の上面及び下面との隙間により形成され、
垂直に垂下された前記スチンガーロッドと前記通電面の全面が当接したとき、前記上下の隙間が、前記スチンガーロッドから離れるにつれて漸次広くなるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記接触子を前記スチンガーロッド軸芯方向の上下2箇所で押圧するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つの項記載の消耗電極式溶解炉の通電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−46715(P2009−46715A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212447(P2007−212447)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】
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