説明

消臭吸音材

【課題】消臭および吸音性、特に1000Hzから2000Hzの範囲内での吸音性に優れ、軽量かつ小型化の要望に対応できる、消臭吸音材を提供すること。
【解決手段】1種または2種以上の繊維からなる短繊維不織布層および無機多孔質体含有層を含む消臭吸音材であって、無機多孔質体含有層が、メルトブローン不織布同士あるいはメルトブローン不織布と他の長繊維不織布とに挟まれた形の無機多孔質体を有することを特徴とする消臭吸音材を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短繊維不織布層および無機多孔質体含有層を含む消臭吸音材に関する。より詳細には、本発明は、自動車、建築用壁材などの分野において使用され得る、消臭機能と、特に低周波側の吸音機能に優れる消臭吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車や建築用途に、様々な材質の吸音材が用いられている。例えば、短繊維不織布は、吸音材として広く用いられており、高い吸音性能を得るため、繊維径を細くして空気の通過抵抗を大きくする、あるいは目付を大きくしたりするなどの方法が採られている。その結果、高い吸音性能を求められる場合には、繊維径が15ミクロン程度と比較的細い繊維を用い、目付が500〜5000g/cm2の厚くて重い短繊維不織布が一般的に用いられている。
【0003】
繊維径が10ミクロン以下の極細繊維を含む不織布は優れた吸音特性やフィルター性、遮蔽性などの特性があり多くの用途に利用されてきたが、強度が弱かったり、形態安定性が悪くなったりするなどの問題があり、その改善のために別の不織布と積層複合化して用いられている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、これらの方法では、所望の吸音性を達成する為に比較的厚みの大きい積層体が形成される。
【0004】
一方、近年自動車用途等を中心とした材料の小型化や軽量化の要望が高まっている。従来の高目付の吸音材を用いて重量則で遮音する手法はとりにくくなってきており、1000Hz〜2000Hzの周波数域で吸音性能の高い軽量の材料が求められている。しかしながら不織布の厚みを大きくしてこの程度の周波数域での吸音率を高くするとそれより高い周波数域で吸音性能が低下するという問題がある上、小型化の要望に応じることが困難となる。
【0005】
また、多孔質の吸音材表面にフィルム状のシートを貼り合わせると800Hz以上の周波領域の吸音性に優れている積層体が得られることが確認されている(特許文献2)が、満足のいくものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−203268号公報
【特許文献2】特開平09−76387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自動車、建築用壁材などの分野において使用され得る、消臭機能と、特に1000Hz〜2000Hzの周波域の吸音機能に優れる消臭吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記消臭吸音材を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、短繊維不織布層および無機多孔質体含有層を含む消臭吸音材であって、
該無機多孔質体含有層が、メルトブローン不織布同士またはメルトブローン不織布と他の長繊維不織布とに挟まれた無機多孔質体を有する構造の消臭吸音材に関する。
【0010】
上記消臭吸音材において、上記無機多孔質体は、活性炭であり得る。
【0011】
上記消臭吸音材において、上記メルトブローン不織布の繊維径は、10μm以下であり得る。
【0012】
上記消臭吸音材において、上記短繊維不織布層と前記無機多孔質体含有層とは接着層により貼り合わされ得る。
【0013】
上記消臭吸音材において、上記接着層は、熱融着不織布であり得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の消臭吸音材は、短繊維からなる不織布と、メルトブローン不織布同士またはメルトブローン不織布と長繊維不織布にはさまれた無機多孔質体含有層とを含む。このような構成を採用することにより、消臭効果と顕著な吸音効果が発揮される消臭吸音材となる。特に、本発明の消臭吸音材は、1000Hz〜2000Hzでの吸音性に優れており、そのような領域での吸音性が要求される様々な用途に広く利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の短繊維不織布層を構成する繊維の形態としては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェブまたはエアレイウェブが挙げられる。カードウェブであると、使用時の単繊維の脱落も少なく、嵩高なウェブを形成し易い点で好ましい。
【0016】
前記短繊維不織布層を構成する繊維は、1種類あるいは複数種類の繊維の混合であってよいが、平均繊度は、0.5dtex以上27dtex以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい繊度の範囲は、1.5dtexから15dtexである。さらに好ましい繊度の範囲は、1.5dtexから10dtexである。繊度が27dtexを超えると、低目付で均質な短繊維不織布層を形成することが困難となる可能性がある。
【0017】
前記短繊維不織布層を構成する繊維における好ましい形態としては、繊維断面において少なくとも1つの中空部を形成する中空繊維である。中空繊維を用いることにより、嵩高な短繊維不織布層を得ることができるとともに、吸音性にも優れる層を得ることができる。具体的には、繊度が3dtex以上15dtex以下の範囲内にある中空繊維が好ましく、素材としては特に限定はされないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド等の合成繊維のいずれも使用することができる。前記短繊維不織布層を構成する繊維は、1種類であっても2種以上の混合であってもよい。この場合、中空繊維が短繊維不織布層に占める割合は、限定はされないが、10〜70重量%程度であることが好ましい。より好ましい中空繊維の含有量の範囲は、20〜50重量%である。
【0018】
前記短繊維不織布層を構成する繊維としては、中空繊維の他に、通常の繊維および/または芯鞘構造を有する繊維が用いられる。すなわち、短繊維不織布層を構成する繊維として、中空繊維、通常の繊維、芯鞘構造繊維のいずれも単独で用いることもできるし、これらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。通常の繊維の繊度としては、具体的には、繊度が2dtex以上30dtex以下の範囲内にある繊維が好ましい。素材は特に限定はされないが、例えば、コットン、麻、ウール等の天然繊維、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸レーヨン、アセテート等の再生繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維のいずれも使用することができる。
【0019】
芯鞘構造を有する繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド等の繊維が好ましく用いられる。このうち、特にポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の芯と芯より融点の低い変性ポリエステル、変性ポリプロピレン、ポリエチレンなどからなる鞘を有する繊維が好ましい。
【0020】
短繊維不織布層を形成する繊維の長さは、10〜100mmが好ましく、特に20〜80mmが好ましい。繊維長10mm以上の短繊維を使用することにより、個々の短繊維が不織布から脱落しにくくなる。
【0021】
短繊維不織布層は、密度が0.005g/cm以上0.1g/cm以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい短繊維不織布層の密度の下限は、0.008g/cmである。さらに好ましい短繊維不織布層の密度の下限は、0.01g/cmである。より好ましい短繊維不織布層の密度の上限は、0.05g/cmである。さらに好ましい短繊維不織布層の密度の上限は、0.035g/cmである。短繊維不織布層の密度が0.005g/cm未満であると、外圧がかかったときに厚みの低下し易い傾向にある。短繊維不織布層の密度が0.1g/cmを超えると、所望の厚みを得るのに繊維集積量を多くする必要があり、不経済であり、硬くなり、吸音材を設置するときの柔軟性に欠ける。
【0022】
前記短繊維不織布層の密度は、以下のようにして測定することができる。まず、吸音材の目付、および2.94cN/cm荷重下における厚みを測定する。次いで、極細繊維層に筋状に結合された短繊維不織布層を極細繊維層から引き剥がし、極細繊維層の目付、および2.94cN/cm荷重下における厚みを測定する。前記吸音材の目付と前記極細繊維層の目付との差から、短繊維不織布層の目付を算出する。一方、前記吸音材の厚みと前記極細繊維層の厚みとの差から、短繊維不織布層の厚みを算出する。そして、上述で求められる短繊維不織布層の目付と厚みから密度を算出することができる。
【0023】
前記短繊維不織布層の厚みは、2mm以上であることが好ましい。より好ましい短繊維不織布層の厚みの下限は、3mmである。短繊維不織布層の厚みが2mm未満であると、所望の吸音性が得られないだけでなく、所望の形状に成形するときの成形性にも劣る。
【0024】
前記無機多孔質体含有層を構成するメルトブローン不織布とは、メルトブロー法によって得られた不織布をいい、その製造は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、一列に並んだオリフィスを有するノズルから加熱溶融した樹脂を押し出し、その近傍に備わったスリットからノズルと同程度の温度に加熱された高温エアを噴出し、オリフィスから紡出された溶融樹脂と接触させることで細化し、それをノズル下方に配置した捕集面に積層しシート化することで得られる。
【0025】
本発明のメルトブローン不織布は、好ましくは平均繊維径10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下の極細繊維からなり、目付が15〜100g/mのメルトブローン不織布である。
【0026】
本発明に用いるメルトブローン不織布を構成する繊維としては、繊維形成性の熱可塑性樹脂よりなる極細繊維が好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミドが好ましい。さらに、熱可塑性エラストマーよりなる極細繊維も使用することができ、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどからなる極細繊維が挙げられる。
【0027】
前記他の長繊維不織布は、例えばスパンボルト法、乾式法、メルトブロー法、エレクトロスピニング法等によって製造される。
【0028】
本発明に用いる他の長繊維不織布を構成する繊維としては、繊維形成性の熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマーよりなる極細繊維が挙げられるが、限定はされない。熱可塑性樹脂としては例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリプロピレンなどであり、特にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。この他、極細繊維でなくとも、通常の太さの繊維まで、様々な径の繊維が用いられ得る。素材は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルなどポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維のいずれも使用することができる。繊維の形態は特に限定されない。
【0029】
本明細書において、無機多孔質体は、特に限定されないが、活性炭などの各種炭、シリカゲル、多孔質ガラス、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ハイドロキシアパタイト、粘土鉱物類等が例示される。中でも、本発明において、特に好ましくは、活性炭が用いられる。
【0030】
無機多孔質体の形状は特に限定はされないが、粒状のものが好ましく用いられる。粒状の活性炭の場合の粒径は、好ましくは、20μm以上5mm以下、特に好ましくは75μm以上2mm以下である。また、比重は、空隙のある活性炭においては、球相当比重で0.1〜2.0が好ましい。
【0031】
次に、本発明の消臭吸音材における製造方法の一例を説明する。まず、1種または2種以上の所定の短繊維を準備し、短繊維不織布層を作製する。
【0032】
一方、無機多孔質体含有層を別に準備する。無機多孔質体含有層は、例えば、以下のように調製することができる。まず、無機多孔質体をバインダー樹脂と混合し、メルトブローン不織布の一方の面上に均一に散布する。あるいは長繊維不織布上に均一に散布することもできる。また、予め繊維表面にバインダーを散布、塗布しておくこと、多孔質体を散布した後にバインダー成分を付与することなどの手段も好ましく用いることができる。
【0033】
ここで使用されるバインダー樹脂は、好ましくは粒状、繊維状、エマルジョン、または粉末状であり得る。あるいは、溶剤系接着剤や溶融樹脂を用いることもできる。バインダー樹脂の素材としては、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂のほか、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などを単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0034】
無機多孔質体とバインダー樹脂の混合重量割合は、1:1から50:1、好ましくは、2:1〜20:1程度である。
【0035】
無機多孔質体を不織布上に散布する際の割合は特に限定はないが、無機多孔質体として、10〜1000g/m程度、好ましくは、30〜300g/m程度が含まれることが好ましい。
【0036】
次に、無機多孔質体上に他の長繊維不織布あるいはメルトブローン不織布を積層し、熱で処理して、無機多孔質体含有層を形成する。熱処理の条件は、使用するバインダー樹脂の溶融温度等により変わり得るが、例えば100℃以上200℃以下の温度範囲で、30秒から5分の間のいずれかの時間で処理することが可能である。
【0037】
次に、別々に作成した短繊維不織布層と、無機多孔質体含有層とを積層し合わせる。この時短繊維不織布層と無機多孔質体含有層とを、ニードルパンチ法により合わせることも可能であるし、接着層により貼り合わせることも可能である。合成ゴム、エラストマー、その他のホットメルトの溶融塗布により貼り合わせることもできる。
【0038】
接着層による貼り合わせの場合は、例えば、熱融着不織布、樹脂接着剤を接着剤層とすることができる。接着層の素材は特に限定されず、ポリエチレン系樹脂、変性オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
【0039】
例えば、熱可塑性樹脂を用いた接着層を短繊維不織布層と無機多孔質体含有層との間に設置した後、全体を熱処理することができる。
【0040】
本発明の消臭吸音材は、最終的に、厚さ5〜50mm程度、好ましくは、5〜30mm程度が好ましく、目付は、100〜1000g/m、好ましくは、150〜500g/m程度である。
【0041】
このようにして得られる本発明の消臭吸音材は、限定はされないが、自動車のドアトリムなどの内装材に適用でき、特に植物性材料を含有した基材に添設させることで基材から放出される独特な臭いを消臭するとともに、ロードノイズ及び車室内の音を吸音することができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0043】
[実施例1]
ポリプロピレンよりなる50g/m、繊維径=3.6μmのメルトブローン不織布を用意した。次に、活性炭(規定方法JIS K1417「活性炭試験方法」により直径30〜60メッシュ、250〜500マイクロメートル)、粉末ポリエチレンバインダー樹脂を重量比9:1で混合し、これをメルトブローン不織布上に均一に80g/mとなるよう散布した。さらにポリエチレンテレフタレートよりなる25g/m、繊度=2.2dtexの熱圧着タイプのスパンボンド不織布を積層し、積層したものを135℃×1分で処理し、無機多孔質体含有層を得た。
【0044】
次に、得られた無機多孔質体含有層の上に、10g/mのポリエステル系くもの巣状熱融着不織布(呉羽テック株式会社製 ダイナック(登録商標))を積層した。さらに、6.6dtex、カット長=64mm、丸中空率30%のポリエチレンテレフタレート繊維(a)、2.2dtex、カット長51mmの丸断面ポリエチレンテレフタレート繊維(b)、および4.4dtex、51mmの芯鞘構造を有し、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が軟化点130℃のイソフタル酸変性ポリエステルであるバインダー繊維(c)を、(a):(b): (c)の重量比を30:60:10として混合した後、カードウエッブとし、これを上記ポリエステル系くもの巣状熱融着不織布上にクロスレイ方式で170g/mとなるよう積層した。その後、処理後の厚さが10mmになるよう規制し(エアースルー処理装置中のコンベアーによる)、150℃×2分熱処理し、325g/mの吸音材を得た。
【0045】
[比較例1]
ポリプロピレンよりなる50g/m、繊維径=3.6μmのメルトブロー不織布を用意した。次に、消臭剤(化学反応で臭いの成分をとる市販の消臭剤(非多孔質かつアルデヒド反応性のp−アミノ安息香酸)、粉末ポリエチレンバインダー樹脂を重量比9:1で混合し、これをメルトブロー不織布上に均一に80g/mとなるよう散布した。さらにポリエチレンテレフタレートよりなる25g/m、繊度=2.2dtexの熱圧着タイプのスパンボンド不織布を積層し、135℃×1分で処理し、消臭剤含有長繊維不織布層を得た。
【0046】
次に、その不織布層の上に、10g/mのポリエステル系くもの巣状熱融着不織布(呉羽テック株式会社製ダイナック(登録商標))を積層した。さらに、6.6dtex、カット長=64mm、丸中空率30%のポリエチレンテレフタレート繊維(a)、2.2dtex、カット長51mmの丸断面ポリエチレンテレフタレート繊維(b)、および4.4dtex、51mmの芯鞘構造を有し、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が軟化点130℃のイソフタル酸変性ポリエステルであるバインダー繊維(c)を、(a):(b): (c)の重量比を30:60:10として混合した後、カードウエッブとし、これを上記ポリエステル系くもの巣状熱融着不織布上にクロスレイ方式で170g/mとなるよう積層した。その後、処理後の厚さが10mmになるよう規制し、150℃×2分熱処理し、325g/mの吸音材を得た。
【0047】
[比較例2]
ポリプロピレンよりなる50g/m、繊維径=3.6μmのメルトブロー不織布を用意した。さらにポリエチレンテレフタレートよりなる25g/m、繊度=2.2dtexの熱圧着タイプのスパンボンド不織布を積層し、次に、その長繊維不織布層の上に、6.6dtex、カット長=64mm、丸中空率30%のポリエチレンテレフタレート繊維(a)、2.2dtex、カット長51mmの丸断面ポリエチレンテレフタレート繊維(b)、および4.4dtex、51mmの芯鞘構造を有し、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が軟化点130℃のイソフタル酸変性ポリエステルであるバインダー繊維(c)を、(a):(b): (c)の重量比を30:60:10として混合した後、カードウエッブをクロスレイ方式で250g/mとなるよう積層した。その後、ニードルパンチにより交絡させ、処理後の厚さが10mmになるよう規制し、150℃×2分熱処理し、325g/mの吸音材を得た。
【0048】
上記実施例および比較例で得られた、消臭吸音材(サンプル)について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0049】
<吸音性能の測定>
測定方法
吸音性能:JIS A1405に準拠し、垂直入射法により、1000Hz、1250Hzおよび1600Hzの周波数におけるそれぞれの吸音率を測定した。
【0050】
<消臭性能の測定>
消臭性能:社団法人繊維評価技術協議会 消臭加工繊維製品認証基準 第3章 アセトアルデヒドによる。容積5Lのガス捕集袋に100×100mmの試料を封入後、14ppmに調整したアセトアルデヒドガス3Lを導入した。2時間放置後の濃度をガステック社製アセトアルデヒド検知管No.92Lを用い測定を行った。
【0051】
数値の算出は次式にて行った。
((空試験の測定濃度−実試験の測定濃度)÷(空試験の測定濃度))×100(%)
評価基準は次の通りである。
◎: 90%以上
○: 80%以上
△: 70%以上
×: 70%未満
【0052】
【表1】

【0053】
この結果、本発明の消臭吸音材は、優れた消臭および吸音効果があることがわかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
短繊維不織布層および無機多孔質体含有層を含む消臭吸音材であって、
該無機多孔質体含有層が、メルトブローン不織布同士あるいはメルトブローン不織布と他の長繊維不織布とに挟まれた無機多孔質体を有することを特徴とする消臭吸音材。
【請求項2】
前記無機多孔質体が活性炭であることを特徴とする請求項1に記載の消臭吸音材。
【請求項3】
前記メルトブローン不織布の繊維径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の消臭吸音材。
【請求項4】
前記短繊維不織布層と前記無機多孔質体含有層とが接着層により貼り合わされていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の消臭吸音材。
【請求項5】
前記接着層が、熱融着不織布であることを特徴とする請求項4に記載の消臭吸音材。

【公開番号】特開2009−275309(P2009−275309A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127227(P2008−127227)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】