説明

液付与装置及び画像形成装置

【課題】流路構造を利用して流路等に設けられたフィルタのメンテナンスを行うことで、好ましいフィルタのメンテナンスを可能とする液付与装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】塗布皿24と廃液タンク72とを連通させる排出流路64は、ろ過フィルタ66が設けられ、排出流路64のろ過フィルタ66よりも塗布皿24側にメンテナンス用排出流路64’が接続されるとともに、メンテナンス用排出流路64’は一方向弁70’が設けられる。塗布皿24のドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62を閉じて排出ポンプ68を反転動作させると、一方向弁70’に所定の開放圧力が付与され、一方向弁70’が開放される。ろ過フィルタ66から除去された異物を含む塗布液は、一方向弁70’、メンテナンス用排出流路64’を介して廃液タンク72へ回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液付与装置及び画像形成装置に係り、特に媒体等に液を付与する液付与装置における液の循環系の構造及びメンテナンス技術、並びにこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の画像形成装置として普及しているインクジェット記録装置において、インクジェット方式を用いた各種媒体への良好な画像形成を目的として、凝集処理剤を用いた直接描画方式が検討されている。かかる直接描画方式は、凝集処理剤や他の処理液体を記録媒体上に付与し、これらの液体を乾燥させた後に、定着用ポリマー粒子を添加したインクを打滴して記録媒体上に画像を形成し、インクに凝集反応が発生した後に加熱して記録媒体上の水分を除去し、さらに、ポリマー粒子を成膜して画像を記録媒体に固定する方式が好適である。また、上述した直接描画方式において凝集処理液を付与する方法として、オフセット印刷機などで実績のあるローラ塗布が好適である。
【0003】
次の塗布処理までの休止時間が長い場合や1日の終業点検時など、長期間にわたって非稼動状態となるときには、塗布処理部から塗布液を排出させ、塗布処理部、塗布液の供給系及び循環系等の洗浄が行われる。このように長期にわたる非稼動時に洗浄処理を行うことで、塗布ローラなどの塗布処理部、塗布液の供給系、循環系、塗布処理部や供給流路等に設けられる測定装置への塗布液の固着が回避され、良好な状態が維持される。
【0004】
特許文献1は、流路制御弁42〜46を切換制御して、インラインコーティング装置(ドクターブレード装置)12にコート液と洗浄液を切換供給することで、インラインコーティング装置12のコート部を自動洗浄するように構成された印刷機用自動コーティング/洗浄システムを開示している。
【0005】
また、特許文献2は、ポンプの運転とバルブの切り換えにより、ニス舟へのニスの供給とニス舟の洗浄とを選択的に切り替えることで、ニスコートの作業性改善と労力の軽減を計るように構成された印刷物ニス塗り装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−246902号公報
【特許文献2】特開昭59−142151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
塗布液の流路(配管)や塗布液の貯留部は塗布液内の異物などを捕獲するためのフィルタが適宜設けられている。この流路や貯留部に設けられたフィルタは、捕獲された異物の蓄積によって詰まりが発生してしまうので、定期的に交換や清掃を行い清浄状態を維持する必要がある。
【0008】
しかしながら、フィルタの詰まりは、装置の環境温度、使用頻度、使用される塗布液の物性などの影響を受けるために交換時期の判断が難しい。頻繁に交換を行えばフィルタの詰まりが発生する可能性は極めて低くなるものの、フィルタを交換するために液抜きなどの処理を行わなければならないので、フィルタの交換は最小限に留めたい。一方、フィルタの詰まりが発生してしまうと、塗布液の液量不足による塗布ムラなどの異常の発生や、塗布液の詰まりによる測定手段の誤測定、配管等の破損といったことが懸念される。さらに、長期間放置されたフィルタに塗布液が固着すると、フィルタ周りの流路の詰まりの原因となり、フィルタの交換のみならず配管等の交換が必要になる。
【0009】
上記した特許文献1,2は、フィルタのメンテナンスという課題やかかる課題を解決するための構成は開示されていない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、流路構造を利用して流路等に設けられたフィルタのメンテナンスを行うことで、好ましいフィルタのメンテナンスを可能とする液付与装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る液付与装置は、第1液を媒体に付与する液付与部と、前記液付与部と連通する第1排出流路と、前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、前記第1排出流路に設けられ、前記第1排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段と、前記第1排出流路の前記第1フィルタ手段よりも前記液付与部側に接続されるとともに前記廃液回収部と連通される第2排出流路と、前記第1フィルタ手段から前記第2排出流路を介して前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開くように動作する第2排出流路開閉手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段の交換や取り外しを行うことなく、第1フィルタ手段に捕獲された異物を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る塗布装置(液供給装置)の全体構成を示すブロック図
【図2】図1に示す塗布装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図3】図1に示す塗布装置の塗布液循環供給シーケンスを説明する図
【図4】図1に示す塗布装置の加水シーケンスを説明する図
【図5】液体の種類と濃度値との関係を示す説明図
【図6】図1に示す塗布装置の加水制御における濃度変化を説明する図
【図7】図1に示す塗布装置の加水制御における制御タイミングと濃度値の関係を説明する図
【図8】図1に示す塗布装置における塗布ローラの回転速度と塗布量の関係を説明する図
【図9】図1に示す塗布装置の洗浄シーケンスを説明する図
【図10】図1に示す塗布装置の洗浄モニタ機能を説明する図
【図11】洗浄シーケンスにおける液の温度と粘度の関係を説明する図
【図12】図1に示す塗布装置の予備洗浄機能を説明する図
【図13】図1に示す塗布装置の廃液回収機能を説明する図
【図14】図1に示す塗布装置における液抜き動作を説明する図
【図15】ろ過フィルタのメンテナンスを説明する図
【図16】ドレインフィルタ、オーバーフローフィルタのメンテナンスを説明する図
【図17】図1に示す塗布装置における塗布液バッファタンクのメンテナンスを説明する図
【図18】図1に示す塗布装置が適用されたインクジェット記録装置の全体構成図
【図19】図18に示すインクジェットヘッドの構成例を示す平面透視図
【図20】図19に示すインクジェットヘッドの一部拡大図
【図21】図19に示すインクジェットヘッドの他の構成例を示す平面透視図
【図22】図19に示すインクジェットヘッドのさらに他の構成例を示す平面透視図
【図23】図19中のA−A線に沿う断面図
【図24】図18に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
〔塗布装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す全体構成図である。
【0016】
同図に示す塗布装置10は、溶媒(水)と溶質を含む水溶性の塗布液を媒体の表面に塗布する塗布部12と、塗布部12に塗布液及び希釈液を供給する供給部14と、を含んで構成されている。なお、塗布部12及び供給部14のそれぞれは、単独で液塗布装置、液供給装置として機能させることができる。また、塗布液の一例として、インクジェット記録装置に使用されるインクを凝集させる酸性液が挙げられる。以下の〔表2〕に、インクを凝集させる機能を有する酸性液(凝集処理液)の組成例を示す。
【0017】
【表2】

上記表2の組成にて凝集処理液を調整し、得られた液の物性値を測定した結果、粘度4.9(mPa・s)、表面張力24.3(mN/m)、pH値1.5であった。このようにインクの凝集性やローラによる塗布性に優れ、かつ、記録媒体の濡れに優れたものであるといえる。
【0018】
塗布部12は、周面に媒体を保持する圧胴20と、圧胴20に保持された媒体に接触して塗布液を塗布する塗布ローラ22と、塗布皿24に充填されている塗布液を汲み上げて塗布ローラ22に供給する供給ローラ26と、塗布ローラ22をクリーニングする清掃部28と、を含んで構成される。
【0019】
供給部14は、補充用の塗布液が貯留される塗布液補充タンク30と、塗布液補充タンク30から塗布液バッファタンク32へ塗布液を送液するための塗布液補充ポンプ34と、塗布液バッファタンク32から塗布部12へ送られる塗布液の流路となる供給流路36と、供給流路36を開閉するための塗布液供給バルブ38と、塗布液バッファタンク32から塗布部12へ送られる塗布液に圧力を付与する供給ポンプ40と、を含んで構成される。
【0020】
また、塗布液の濃度を調整するために塗布部12へ供給される希釈液が貯留される希釈液タンク42が、希釈液供給流路44を介して供給流路36と連通している。希釈液供給流路44は、希釈液供給流路44を開閉するための希釈液供給バルブ46が設けられ、塗布液供給バルブ38よりも塗布部12側で供給流路36と接続されている。
【0021】
供給流路36の希釈液供給流路44との接続部よりも塗布部12側には、供給流路36を通過する液の濃度を測定するための濃度センサ48が設けられている。濃度センサ48から得られた濃度情報(センサ信号)は、変換部50を介して制御系(図1中不図示、図2に詳細を図示)へ送られる。すなわち、塗布液供給バルブ38を通過して塗布部12へ送られる塗布液、及び希釈液供給バルブ46を通過して塗布部12へ送られる希釈液は、供給流路36に設けられた濃度センサ48によって濃度値が監視されるように構成されている。
【0022】
供給流路36の供給ポンプ40よりも塗布部12側には、供給流路36を通過する液の温度を調整するためのヒータ52と、メンテナンス時や凍結防止の目的で供給流路36の液を抜くための手動バルブ54と、塗布部12の直近において、塗布部12に送られる液の温度を検出するためのサーミスタ56が設けられている。ヒータ52に付随してヒータ自身の温度を検出するためのサーミスタ(不図示)と、ヒータ52の過熱防止用のサーモスタット58とが具備される。
【0023】
塗布部12に設けられる塗布皿24の排出口(不図示)は、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62を介して排出流路64と連通されている。排出流路64は、廃液タンク72と連通されるとともに、ろ過フィルタ66、排出ポンプ68、排出バルブ70が設けられている。また、排出流路64は循環流路74と連通され、循環流路74に設けられた循環バルブ76を介して塗布液バッファタンク32と連通されている。
【0024】
〔塗布部の構成〕
次に、図1に図示される塗布部12の構成について詳細に説明する。
【0025】
圧胴20は、周面に媒体を保持するための多数の吸着穴が設けられている媒体保持領域を具備し、吸着穴から媒体に対して真空ポンプ(不図示)から負圧が付与され媒体が保持されるように構成されている。圧胴20は円筒のドラム形状を有し、不図示の回転機構により符号Aを付して図示した反時計回りに回転させることで、周面に保持された媒体を圧胴20の回転方向に沿って移動させる。
【0026】
塗布ローラ22は、その表面が所定量の塗布液を保持することができる材質(例えば、ゴム)で構成され、不図示の回転機構によって圧胴20と反対方向(符号Bを付して図示した時計回り方向)に回転駆動可能に構成されている。塗布ローラ22を所定の回転速度で回転させながら、圧胴20に保持された媒体に所定の押圧で押し当てて、媒体の表面に塗布液が塗布される。
【0027】
また、圧胴20は媒体の先端を保持するグリッパ(グリッパ部)21が設けられている。該グリッパ21は、圧胴20の周面(媒体保持面)から突出した構造を有しているので、塗布ローラ22はグリッパ21と衝突しないように、グリッパ21が通過する際に圧胴20の周面から離間可能に構成されている。図1では、符号Dを付して塗布ローラ22の移動方向を図示する。
【0028】
塗布皿24は、供給部14から供給された塗布液が貯留される部材であり、塗布液が保持される液保持部24Aと、液保持部24Aからオーバーフローした塗布液が集められるオーバーフロー部24Bと、液保持部24Aとオーバーフロー部24Bとを区画している仕切板24Cと、を含んで構成される。液保持部24Aの塗布液の液面高さが仕切板24Cに設けられた開口部24Dの位置に達すると、開口部24Dからオーバーフロー部24Bへ塗布液が流れ込み、液保持部24A内の塗布液の液面高さが一定に保たれる。
【0029】
液保持部24Aの底面には塗布液を排出するための排出口(不図示)が設けられ、オーバーフロー部24Bの底面にも塗布液を排出するための排出口(不図示)が設けられている。液保持部24A及びオーバーフロー部24Bの排出口は、それぞれドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62と接続され、排出流路64と連通される。また、液保持部24Aの底面には、液保持部24A内の塗布液の温度を調整するためのヒータ24Eが設けられている。なお、ヒータ24Eが省略された態様も可能である。
【0030】
供給ローラ26は、クロムやセラミックでメッキ(又はコート)された表面、もしくはステンレス材の表面に、図示しない細かい溝(セル)が形成されたアニロックスローラが適用される。供給ローラ26は、その表面の一部が塗布皿24の中の塗布液に浸漬され、符号Cを付して図示した塗布ローラ22と反対の反時計回り方向に回転させることで、溝の中に保持された塗布液を汲み上げる。供給ローラ26の表面が塗布ローラ22に接触すると、供給ローラ26の溝に保持された塗布液は塗布ローラ22の表面に転写される。なお、供給ローラ26に液量を調整するためにブレードを付勢させてもよい。
【0031】
清掃部28は、圧胴20の周面に付着した付着物(主として塗布液)を除去するための手段として機能する。図1には、圧胴20の周面を払拭するブレード28Aと、ブレード28Aにより除去された付着物を回収する回収トレイ28Bと、を含む態様が図示されている。塗布ローラ22と同様に、ブレード28Aはグリッパ21と衝突を回避するためにグリッパ21が通過する際に圧胴20の周面から離間可能に構成されている。
【0032】
〔供給部の構成〕
次に、供給部14の構成について詳細に説明する。
【0033】
塗布液補充タンク30は、内部の塗布液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた密閉型の構造を有し、その内部には塗布液をろ過するためのろ過フィルタ30Aが具備されている。また、塗布液補充タンク30はフロートセンサ(図1中不図示、図2に符号126を付して図示)を具備し、塗布液を補充する際の液面の上限を検出することができ、かつ、塗布液を消費したときの液面の下限を検出することができる。液面の上限又は下限が検出されるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。
【0034】
塗布液バッファタンク32は、内部の塗布液をろ過するためのろ過フィルタ32Aと、塗布液の液面の上限及び下限を検出するためのフロートセンサ33と、を備えている。フロートセンサ33によって塗布液の液面が下限を下回ったことが検出されると、塗布液補充ポンプ34を動作させて塗布液補充タンク30から塗布液バッファタンク32へ一定量の塗布液が補充され、塗布液バッファタンク32内の液量が一定範囲に保たれる。また、フロートセンサ33によって塗布液の液面が上限に達したことが検出されると、塗布液バッファタンク32の液量異常として報知信号が制御系へ送出される。
【0035】
希釈液タンク42は、塗布液補充タンク30と同様の密閉型の構造(内部の塗布液が消費された分だけ大気と置換される一方向弁などが組み込まれた構造)を有し、内部の希釈液をろ過するためのろ過フィルタ42Aが具備されるとともに、外部に回収トレイ42Bが具備されている。回収トレイ42Bは、希釈液タンク42に液を補充する際の液受けであり、回収トレイ42B溜まった液は不図示の廃液流路を介して廃液タンク72に送られるように構成されている。
【0036】
希釈液は、溶媒の蒸発等によって使用範囲濃度を超えて高濃度となった塗布液を希釈する液体であり、蒸留水やイオン交換水などの水にジクロルイソシアヌル酸塩などの塩素系殺菌剤を添加したものが好適に用いられる。なお、希釈液は、使用範囲濃度よりも希釈された低濃度の塗布液を適用してもよい。
【0037】
廃液タンク72は、塗布部12から排出される液体が集められるタンクである。廃液タンク72にも不図示の上限センサが具備されており、廃液タンク72内の液が上限センサの位置を超えるとその旨を報知する報知手段(ブザー、ランプ、報知信号を制御系へ送出する手段等)が具備されている。また、廃液タンク72は、廃液回収流路78及びポンプ80を介して清掃部28の回収トレイ28Bと連通されている。
【0038】
塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46は、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じて開閉が制御される制御弁が適用される。塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46の開閉を制御するとともに、これらの開閉に応じ供給ポンプ40を動作させることで、供給流路36へ塗布液が供給されるか、希釈液が供給されるかを切り換えることが可能となっている。なお、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70、循環バルブ76もまた、制御弁が適用され、図2に図示する制御系から送出される制御信号に応じてその開閉が制御される。
【0039】
供給ポンプ40及び排出ポンプ68は、チュープポンプなど正逆両用型ポンプが適用される。供給ポンプ40及び排出ポンプ68の回転方向の切り換えによって、供給流路36、排出流路64に流れる液の方向は切り換え可能に構成されている。チューブポンプは、小型自給式であり、送液方向の切り換えが容易であり、装置の小型化、制御系の簡素化に寄与する。なお、塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46などバルブ類の開閉制御、及び供給ポンプ40及び排出ポンプ68のオンオフ制御、回転方向制御、回転速度制御の詳細については後述する。
【0040】
供給流路36内を通過する液の濃度を検出する濃度センサ48は、被検出対象の液体の濃度情報(濃度値)に応じたセンサ信号を出力する。本例の濃度センサ48には、光の屈折率に基づいて水溶液中に含まれる溶質成分(可溶性固形分)の濃度を測定する屈折率濃度計(ブリックス濃度計)が適用される。屈折率濃度計は、不図示の温度センサが内蔵されており、測定濃度の温度依存が自動的に補正される。
【0041】
供給流路36を流れる液の温度調節を行うヒータ52は、塗布部12の近傍に設けられるサーミスタ56の検出温度に応じて通電時間が制御される。サーミスタ56は、塗布部12(塗布皿24)内の塗布液の温度を検出する位置に設けられていてもよい。
【0042】
〔制御系の説明〕
図2は、塗布装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。塗布装置10は、通信インターフェース100、システム制御部102、圧胴制御部104、塗布ローラ制御部106、バルブ制御部108、ポンプ制御部110、温度制御部112(サーモスタット58)が備えられている。また、図2では図示を省略するが、各部の動作パラメータや設定値、濃度センサ48から得られた濃度情報等が記憶される記憶部(メモリ)を備えている。
【0043】
通信インターフェース100は、ホストコンピュータ116から送られてくる制御データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース100の通信方式や形態は限定されるものではなく、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。
【0044】
システム制御部102は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って塗布装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システム制御部102は、通信インターフェース100、圧胴制御部104等の各部を制御し、ホストコンピュータ116との間の通信制御、記憶部の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0045】
圧胴制御部104は、圧胴駆動部118を介して図1に図示した圧胴20の回転動作や媒体の動作を制御する。例えば、ジョブ(塗布動作)間の待機モードにおいて媒体検出センサ120により処理対象の媒体が検出されると、媒体の吸着動作が開始されるとともに、圧胴20の回転動作が塗布処理モードの動作に切り換えられる。
【0046】
塗布ローラ制御部106は、システム制御部102から送られた制御信号に基づいて、図1に図示した塗布ローラ22や供給ローラ26を駆動するローラ駆動部122を制御する。例えば、圧胴20に処理対象の媒体が供給されると、圧胴20の動作に応じて塗布ローラ22を圧胴20に押圧させるとともに圧胴20に供給ローラ26を押圧させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転数で所定の回転方向に回転させる。また、塗布ローラ制御部106は、塗布ローラ22の離間や、塗布ローラ22及び供給ローラ26の回転速度を制御する。
【0047】
バルブ制御部108は、システム制御部102から送られた制御信号に基づいて、制御バルブ(塗布液供給バルブ38、希釈液供給バルブ46、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70、循環バルブ76)の開閉を制御する。
【0048】
ポンプ制御部110は、システム制御部102から送られた制御信号に基づいて、ポンプ111(塗布液補充ポンプ34、供給ポンプ40、排出ポンプ68、ポンプ80、及び圧胴20に保持される媒体に吸着圧力を付与するポンプなどその他のポンプ)のオンオフ、回転速度、回転方向(正逆転制御可能なもの)を制御する。なお、システム制御部102によって、バルブの開閉タイミングや、ポンプのオンオフのタイミングの同期が取られるように制御される。
【0049】
温度制御部112は、塗布液の温度が所定の温度に保たれるように、温度センサ124(サーミスタ56)の検出温度に基づいて、塗布部12に供給される塗布液の温度を調整するヒータ52を制御するとともに、塗布皿24に設けられるヒータ24Eを制御する。また、塗布装置10の各部に設けられる不図示のヒータ類の制御を行う。
【0050】
図1に図示した塗布液補充タンク30や塗布液バッファタンク32、希釈液タンク42、廃液タンク72に設けられているフロートセンサ126(図1では、塗布液バッファタンク32に設けられたフロートセンサに符号33を付して図示)によって、内部の液の液面が上限を超えたことが検出されると、その旨の検出信号がシステム制御部102に送られる。システム制御部102は、フロートセンサ126から送出される検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段(不図示)を動作させて、その旨を報知させる。
【0051】
一方、システム制御部102は、塗布液バッファタンク32に設けられるフロートセンサ126から塗布液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受けると、塗布液補充ポンプ34を動作させるようにポンプ制御部110へ制御信号を送出する。また、塗布液補充タンク30及び希釈液タンク42に設けられたフロートセンサ126によって、内部の液の液面が下限を下回ったことを検出した旨の検出信号を受け取ると、ブザーやランプなどの報知手段を動作させて、その旨を報知させる。
【0052】
システム制御部102は、濃度センサ48から供給流路36を通過する液の濃度情報が送られると、その濃度情報を所定の記憶部(不図示)に逐次記憶してその変化を監視する。供給流路36を通過する塗布液の濃度が設定範囲の上限を超えると、塗布部12へ希釈液タンク42から所定量の希釈液が供給されるように、加水制御シーケンス(詳細後述)が実行される。
【0053】
一方、供給流路36を通過する塗布液の濃度が設定範囲の下限を超えると、塗布部12の塗布液を循環させる循環シーケンスが実行されるとともに、ヒータ52(ヒータ24E)を動作させて塗布液を加温して濃縮するように温度制御部112へ制御信号を送出する。
【0054】
ここで、塗布部12の塗布処理の一連の流れを説明する。待機モード中は塗布ローラ22(図1参照)を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を塗布動作中よりも遅い回転速度で回転させるとともに、塗布液バッファタンク32と塗布皿24の間で塗布液を循環させる。塗布皿24内の塗布液を攪拌し、かつ、塗布液を循環させることで、塗布液の温度、濃度、粘度などの物性が均質に保たれ、塗布液の溶質の固着が防止され、紙粉などの異物はフィルタ66によってろ過される。
【0055】
不図示の搬送系によって処理対象の媒体が搬送され、媒体検出センサ120によって媒体が検出されると塗布処理モードに移行し、媒体の搬送に同期して塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の回転速度で回転させるとともに、グリッパ21の通過に同期しながら塗布ローラ22をニップさせる。塗布動作が終了して処理モードから待機モードに移行すると、塗布ローラ22を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を減速させる。一方、塗布処理が終了すると、塗布部12の塗布液は塗布液バッファタンク32へ回収され、洗浄シーケンスが実行される。なお、塗布処理モード中は、処理液を循環させている(詳細後述)。
【0056】
次に、本例に示す塗布装置10の液供給制御、液循環制御、洗浄制御について詳説する。
【0057】
〔循環供給シーケンスの説明〕
図3は、塗布液バッファタンク32から塗布部12へ塗布液を供給する場合の循環供給シーケンスを模式的に表した図である。以降、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、図3以降の図において太線で図示された流路は、矢印の方向へ液が流れることを表している。
【0058】
循環供給シーケンスでは、塗布液供給バルブ38、オーバーフローバルブ62、及び循環バルブ76が開かれ、供給ポンプ40及び排出ポンプ68を正転動作させる。塗布液バッファタンク32の塗布液は、塗布液供給バルブ38、濃度センサ48、供給ポンプ40、サーミスタ56を経由して塗布部12の塗布皿24へ供給される。
【0059】
塗布皿24へ塗布液が連続的に供給され、塗布皿24の液保持部24Aに一定量以上の塗布液が供給されると、余剰の塗布液はオーバーフロー部24Bへ流れ出し、オーバーフロー部24Bの排出口(不図示)、オーバーフローバルブ62、排出ポンプ68、循環流路74、循環バルブ76を経由して塗布液バッファタンク32へ戻される。塗布部12の動作中において、かかる塗布液の循環供給を行うことにより、供給ローラ26によって汲み上げられた分の塗布液が遅滞なく補充され、塗布皿24の液保持部24Aの液面は一定の水位に保たれる。
【0060】
循環シーケンスが終了されるときは、ドレインバルブ60が開かれ、オーバーフローバルブ62及び循環バルブ76が開かれたまま、供給ポンプ40を停止させ、塗布液供給バルブ38が閉じられる。排出ポンプ68を一定期間正転動作させて塗布液が塗布液バッファタンク32へ回収されると、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、循環バルブ76が閉じられる。
【0061】
塗布液の循環供給シーケンスの実行中は、濃度センサ48から得られる濃度情報に基づき、供給流路36を通過する塗布液の濃度が監視される。上述したように、濃度センサ48から得られた濃度情報は、図3に図示したシステムコントローラの制御により所定のサンプリングタイミングでサンプリングされ、記憶される。
【0062】
〔加水シーケンスの説明〕
濃度センサ48から得られた濃度情報に基づいて、供給流路36を通過して塗布部12に供給される塗布液の濃度が設定濃度範囲の上限を超えたと判断されると、塗布液の濃度が使用濃度範囲内になるように希釈する加水シーケンスが実行される。
【0063】
図4は、希釈液タンク42から供給流路36へ希釈液が供給される加水シーケンスの説明図である。同図に示す加水シーケンスでは、塗布液供給バルブ38が閉じられて塗布液の供給を停止させるとともに、希釈液供給バルブ46を開いて希釈液供給流路44、希釈液供給バルブ46を経由して希釈液が供給流路36へ供給される。供給流路36へ供給された希釈液は、濃度センサ48、供給ポンプ40、ヒータ52、サーミスタ56を経由して塗布部12へ供給される。
【0064】
希釈液の供給量は、濃度センサ48により得られた濃度情報と、希釈後の塗布液の目標濃度とに基づいて決められ、希釈液供給バルブ46の開放時間及び供給ポンプ40の動作時間及び回転速度により管理される。すなわち、濃度センサ48により得られた濃度情報と、希釈後の塗布液の目標濃度との関係から希釈液の供給量が決められると、希釈液の供給量に対応して希釈液供給バルブ46の開放時間、供給ポンプ40の回転速度、動作時間が決められる。
【0065】
所定量の希釈液が塗布部12へ供給されると、塗布液供給バルブ38を開くとともに、希釈液供給バルブ46が閉じられ、塗布液バッファタンク32から塗布部12へ塗布液の循環供給が再開される(図3参照)。
【0066】
本例では、供給流路36へ塗布液を供給するか、希釈液を供給するかを切り換える塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46の塗布部12側(液の流れ方向における下流側)に濃度センサ48を配置することで、循環供給シーケンス実行時の塗布液、加水シーケンス実行時の希釈液のいずれも濃度センサ48を通過するので、塗布液、希釈液の両方の濃度を測定し、監視することが可能である。
【0067】
また、希釈液タンク42から塗布液バッファタンク32へポンプを介して直接希釈液を供給する態様と比較して、当該ポンプや塗布液バッファタンク32へ供給される希釈液の濃度を測定するための手段が不要となる。
【0068】
さらに、希釈液を塗布部12へ供給する際に、希釈液が通過する供給流路36(チューブ)の内部が洗浄されるとともに、濃度センサ48やサーミスタ56などの測定部材、ヒータなどの液と接触する部材(接液部材)の内部が洗浄される。
【0069】
ここで、液体の種類と濃度センサ48から得られる濃度値について説明する。図5は、液体の種類と濃度センサ48(ブリックス濃度計)により得られる濃度値(Brix濃度(%))の関係を示す表である。同図に示すように、塗布液(凝集処理剤)の濃度値は21〜28パーセントであり、希釈液(水の場合)の濃度値は0〜5パーセントである。したがって、この濃度値(濃度情報)から濃度センサ48を通った液の種類を判断することが可能である。また、塗布液供給バルブ38と希釈液供給バルブ46の切換が正常に行われているか、さらに、塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46が正常に動作しているかを判断することができる。さらにまた、塗布液補充タンク30や希釈液タンク42に他の液が誤装填されていないかを判断することができる。
【0070】
なお、参考までに、本例に示す塗布装置10をインクジェット記録装置に適用した場合において(詳細後述)、使用される液体のブリック濃度を図5に示す。C(シアン)インク、M(マゼンダ)インク、K(黒)インクのブリックス濃度は35パーセント以上、Y(イエロー)インクのブリックス濃度は30〜33パーセント、洗浄液(インクジェットヘッドのノズル面等を洗浄するもの)のブリックス濃度は18〜20パーセントである。また、液が存在しない場合のブリックス濃度は−2〜−1パーセントとする。
【0071】
図5に示す、希釈液、洗浄液、塗布液はいずれも無色透明のものが多く、見た目では判断することが極めて困難であるが、濃度センサ48から得られる濃度情報に基づいて、いずれの液体であるかを容易に判断することができる。
【0072】
本例に示す加水シーケンスは、ジョブ間などの待機モード中及びジョブ内の処理モード中のいずれの場合にも実行可能である。以下に、加水シーケンスが待機モード中に実行される場合と、処理モード中に実行される場合とに分けて詳説する。
【0073】
(待機モード中に加水シーケンスが実行される場合)
上述したように、待機モード中は塗布液を循環させ、濃度センサ48により得られた塗布液の濃度値が監視され、塗布液の濃度値が設定範囲の上限を超えて濃縮が進んだ場合には塗布部12へ希釈液が供給される。待機モード中は、塗布皿24内の塗布液の濃度が変化しても問題はなく、希釈された塗布液を循環させることで、次のジョブ開始までに塗布液の濃度、温度等を均質にすることができる。
【0074】
また、供給流路36に希釈液を通過させることで、待機中にも供給流路36や供給流路36に設けられている測定部材や接液部材を洗浄することができ、塗布液が固定されることによる測定精度の低下やヒータの寿命低下が防止される。
【0075】
図6は、1ジョブ(30分)を実行後に塗布液を循環させながら加水制御をしたときの経過時間と濃度値(Brix濃度(%))との関係を示すグラフである。なお、塗布液の温度は35℃に温調されている。同図に示すように、希釈液が供給された直後は、濃度値がゼロ近傍まで大きく下降するものの、循環流路74や塗布液バッファタンク32で攪拌され、すぐに濃度は安定する。一方、図6に破線で図示するように、該加水シーケンスを実行しない場合には、ほぼ経過時間に比例して濃度が上昇する。
【0076】
塗布液のブリックス濃度は25パーセントから25.7パーセントの範囲内(25パーセントを基準として3パーセント以内)であり、塗布開始前の塗布液の濃度変化を±3パーセントの範囲で制御することが可能である。
【0077】
(処理モード中に加水シーケンスが実行される場合)
処理モード中における加水シーケンスの実行では、濃度センサ48よりも塗布部12側の配管を濃度センサ48の塗布部12と反対側の配管よりも太くするとともに、希釈液の供給を断続的に行うことで、塗布部12における塗布液の急激な濃度変化を回避することができ、塗布処理に影響を与えることなく加水シーケンスを実行することができる。
【0078】
図7(a)は供給ポンプ40の動作、(b)は塗布液供給バルブ38の動作、(c)は希釈液供給バルブ46(図1参照)の動作であり、(d)は濃度センサ48(図4参照)から得られる濃度値の変化を表している。図7(a)〜(d)の横方向は時間を示し、供給ポンプ40の動作タイミング、塗布液供給バルブ38の動作タイミング、希釈液供給バルブ46の動作タイミング、濃度値の変化の関係を示している。
【0079】
図7(a)において「ON」で示す状態は供給ポンプ40の動作中であり、「OFF」で示す状態は供給ポンプ40の停止中である。また、図7(b),(c)において「OPEN」で表す状態は塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46を開いた状態を表し、「CLOSE」で表す状態は塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46が閉じられた状態である。図7(d)に図示した濃度センサ48の濃度値において、「塗布液」と記載した状態は塗布液の濃度値を表し、「水」と記載した状態は希釈液の濃度値を表している。
【0080】
希釈液供給バルブ46が閉じられた状態で塗布液供給バルブ38が開かれ、供給ポンプ40を動作させると、符号140を付して図示するように、濃度センサ48が示す濃度値は洗浄状態である水の濃度値から塗布液の濃度値へ上昇する。符号142を付して図示するように、塗布液の濃度が経時濃縮によって緩やかに上昇して所定の値を超えると、希釈液供給バルブ46が開かれ希釈液が供給流路36へ供給され、その後、塗布液供給バルブ38が閉じられて塗布液の供給を停止させる。
【0081】
希釈液が供給流路36に供給されることで、符号144を付して図示したように、濃度センサ48が示す濃度値が急激に低下する。その後、塗布液供給バルブ38が開かれ塗布液が供給流路36へ送られると、符号146を付して図示したように、供給流路36内の液の濃度は急激に上昇する。希釈液供給バルブ46が閉じられると、循環によって供給流路36内の液の濃度は低下し、経時によって所定の濃度まで上昇する。
【0082】
なお、塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46が同時に開かれる期間を設けることで、供給流路36に適用されるチューブが負圧を受けてつぶれてしまうことが防止される。
【0083】
希釈液の供給を停止させるときは、先に塗布液供給バルブ38が開かれて塗布液の供給が開始された後に、希釈液供給バルブ46が閉じられる。塗布液が供給されると、符号146を付して図示したように、濃度センサ48が示す濃度値は水の濃度値から塗布液の濃度値へ急激に変化する。希釈液供給バルブ46が閉じられるときにも、供給流路36に適用されるチューブがつぶれることを防止するために、塗布液供給バルブ38と希釈液供給バルブ46の両方を同時に開く期間が設けられる。
【0084】
希釈液供給バルブ46が開かれる期間を2〜3秒程度とすることで、塗布液の急激な濃度変化が回避され、塗布液供給バルブ38及び希釈液供給バルブ46の両方が同時に開かれる期間を0.2〜0.5秒程度とすることで、希釈液供給バルブ46の開閉時における供給流路36に用いられるチューブがつぶれてしまうことが防止される。
【0085】
塗布液供給バルブ38と希釈液供給バルブ46から濃度センサ48までの流路に使用されるチューブやヒータ52の内径をより細くすることで(例えば、内径1〜10mm、断面積に換算すると0.8mm〜80mm)、濃度変化の検出応答性が向上する。また、濃度センサ48から塗布部12までの供給流路36に用いられるチューブの内径をより太くすることで(例えば、内径10〜20mm、断面積に換算すると約78mm〜320mm)、この部分における攪拌作用が大きくなり、供給流路36において塗布液がより均質化しやすくなり、好適である。また、供給ローラ26の回転によって塗布皿24内の塗布状態の液が一段と攪拌されて均質化され、待機モードと同様の濃度管理が可能である。
【0086】
処理モード中に塗布液の濃縮がより顕著な場合には、塗布液の温度、塗布ローラ22の回転数、塗布ローラ22の付勢力を変えて、媒体に塗布される塗布液の濃度を相対的に変えて補助的に補正する態様が好ましい。
【0087】
図8は、塗布ローラ22(図1参照)と圧胴20との速比(塗布ローラの速度/圧胴の速度)と、媒体に塗布される塗布液の量(g/m)との関係を表したグラフである。同図に示すように、塗布ローラ22の速度を小さくすると単位面積あたりの塗布液の塗布量は減少し、塗布ローラ22の速度を大きくすると単位面積あたりの塗布液の塗布量は増加する傾向がある。この傾向は、媒体の種類を変えても共通している。図8に符号160を付した特性は媒体A(グロス紙)のものであり、符号162を付した特性は媒体B(マット紙)のものである。
【0088】
塗布液の単位面積あたりの塗布量を減少させることで、媒体に塗布される塗布液の総量(塗布液に含有する溶質の総量)が減少するので、媒体に塗布される塗布液の濃度を低下させることと等価になる。また、塗布液の温度を上昇させると塗布液の粘度が低下して媒体に塗布される塗布液の総量が減少し、塗布ローラ22の付勢力を上昇させると媒体に塗布される塗布液の総量が減少し、いずれの場合にも媒体に塗布される塗布液の濃度を低下させること等価になる。
【0089】
塗布ローラ22の回転速度や付勢力の大幅な変更や塗布液の温度の大幅な変更は、塗布ムラや共振などの不具合を生じるものの、かかる不具合を生じない範囲で変更を行うことにより濃度調整を補助する手段として有効である。
【0090】
さらに、塗布液バッファタンク32に設けられたフロートセンサ(図2参照)を用いて、一定量(例えば、塗布液バッファタンク32の容量が5リットルのときに2〜3リットル程度)の塗布液を循環させることで、塗布液の濃度や粘度などの物性値が安定する。また、塗布液の液量が低下する度合い(塗布液補充ポンプ34の動作頻度)を監視することで、供給系(図1の供給部14)や制御系(図2参照)の動作確認をすることが可能である。
【0091】
例えば、塗布液補充ポンプ34の動作頻度が低い場合は、塗布液の塗布量が過少であり、塗布ローラ22の媒体への接触不良の可能性が考えられる。一方、塗布液補充ポンプ34の動作頻度が高い場合は、塗布液の塗布量が過大であり、配管(塗布皿24の配管、排出流路64に用いられる配管の液漏れの可能性が考えられる。
【0092】
本例では、供給流路36を通過する液の濃度情報を取得して、塗布部12へ供給される液の種類を判断し、ポンプ類、バルブ類の動作確認を行う態様を例示したが、濃度情報に代わり他の液物性情報を測定してもよい。他の液物性情報としては、導電率計による導電率、pHメータによるpH値、粘度計による粘度などが挙げられる。導電率、粘度の測定値が上昇した場合やpH値が下降した場合には、液の濃縮が進行したと判断することができる。
【0093】
〔洗浄シーケンスの説明〕
次に、本例に示す塗布装置10の洗浄シーケンスについて説明する。以下に説明する洗浄シーケンスは、塗布部12の塗布処理が終了した後に自動実行される。
【0094】
図9は、洗浄シーケンスの説明図である。本例に示す洗浄シーケンスは、塗布液の濃度調整に使用する希釈液を用いて、塗布部12の圧胴20、塗布ローラ22、供給ローラ26が洗浄されるとともに、供給部14の供給流路36や濃度センサ48が洗浄される。
【0095】
同図に示すように、洗浄シーケンスが実行されると、先ず、供給ポンプ40を停止させ、塗布液供給バルブ38が閉じられて塗布液の供給を停止させるとともに、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、循環バルブ76が開かれ、排出ポンプ68を動作させて、塗布部12の塗布液が塗布液バッファタンク32へ回収される。
【0096】
次に、ドレインバルブ60が閉じられ、排出バルブ70が開かれた後に循環バルブ76が閉じられ、さらに、希釈液供給バルブ46が開かれて供給ポンプ40を動作させると、希釈液タンク42から希釈液供給バルブ46、供給流路36を経由して希釈液が塗布部12へ連続的に供給され、塗布皿24からオーバーフローした希釈液は、排出流路64を経由して廃液タンク72へ回収される。
【0097】
また、洗浄シーケンスでは、塗布ローラ22及び供給ローラ26を所定の期間回転させて、これらの洗浄が行われ、洗浄後の塗布ローラ22を圧胴20に押圧させた状態で圧胴20を回転させて圧胴20が洗浄される。圧胴20、塗布ローラ22、供給ローラ26が洗浄されるとドレインバルブ60が開かれ、塗布皿24の液保持部24Aの希釈液が廃液タンク72へ回収される。
【0098】
上述した洗浄シーケンスでは、希釈液供給バルブ46から塗布部12までの間に設けられる供給流路36及び供給ポンプ40が洗浄されるとともに、供給流路36に設けられる濃度センサ48、サーミスタ56など測定部材の内部(塗布液が通過する部分)が洗浄されるので、供給部14の各部の良好な状態が維持され、塗布液の供給異常などの不具合が防止される。なお、希釈液に代わり、洗浄効果を向上させる機能を有する洗浄液を適用することも可能である。
【0099】
ここで、オーバーフローバルブ62を開かずに供給ポンプ40を動作させれば、塗布皿24のオーバーフロー部24Bの液面が塗布処理中よりも上昇して、仕切板24Cより高い位置まで液が補充される。この状態で供給ローラ26を高速回転させると、液保持部24Aのオーバーフロー界面やオーバーフロー部24Bの洗浄性が向上する。塗布皿24に供給される液の量は供給ポンプ40の動作時間により設定することができ、また、塗布皿24に上限センサを設けてオーバーフローバルブ62を制御してもよい。
【0100】
〔洗浄モニタ機能〕
次に、本例に示す塗布装置10に具備される洗浄モニタ機能について説明する。洗浄モニタ機能は、洗浄シーケンスが正常に実行されたかを確認するとともに、洗浄対象の各部の洗浄が十分であるかを確認するための洗浄モニタ機能を具備している。
【0101】
図10は、洗浄モニタ機能の説明図である。洗浄モニタ機能が実行されると、まず、塗布液供給バルブ38が閉じられた状態で希釈液供給バルブ46が開かれ、供給ポンプ40を動作させて、希釈液タンク42から塗布部12へ希釈液が供給される。塗布皿24の液保持部24Aからの希釈液がオーバーフローする程度の量、もしくはそれ以上の量の希釈液が塗布部12へ供給されると、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70、循環バルブ76が閉じられ、排出ポンプ68を停止させる。
【0102】
塗布皿24に希釈液が溜められた状態で塗布ローラ22を圧胴20から離間させ、塗布ローラ22及び供給ローラ26を回転させて塗布ローラ22及び供給ローラ26の洗浄が行われる。さらに、塗布ローラ22を圧胴20に押圧させ、圧胴20及び塗布ローラ22、供給ローラ26を回転させて、圧胴20の洗浄が行われる。なお、圧胴20、塗布ローラ22、供給ローラ26の洗浄中に希釈液が不足する場合には、希釈液が適宜補充される。
【0103】
圧胴20、塗布ローラ22及び供給ローラ26が洗浄されると、塗布液供給バルブ38が開かれるとともに希釈液供給バルブ46が閉じられ、供給ポンプ40を逆転動作させて、塗布皿24の液保持部24Aに残った洗浄後の希釈液の少なくとも一部を、濃度センサ48の濃度測定値が所定の値に上昇するまで戻す。次に、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62、排出バルブ70が開かれ、排出ポンプ68を正転動作させて塗布皿24に残った洗浄後の希釈液が廃液タンク72へ回収する。さらに、供給ポンプ40を逆転動作させて塗布液バッファタンク32へ希釈液を回収すれば、供給流路36に残った洗浄後の希釈液が塗布液バッファタンク32へ回収される際に、濃度センサ48から回収時の希釈液の濃度情報を得ることができる。
【0104】
回収時の希釈液には洗浄された被洗浄部から除去された塗布液の成分が溶解しているので、回収時の希釈液の濃度情報に基づいて、塗布ローラ22、供給ローラ26、圧胴20などの塗布部12の洗浄状態や、供給流路36及び供給流路36に設けられる濃度センサ48等の洗浄状態を把握することが可能である。
【0105】
例えば、供給時の希釈液の濃度値は0〜5パーセントであり(図5参照)、塗布液(凝集処理液の場合)の濃度値は21〜28パーセントなので、回収時の希釈液の濃度値が5パーセントを超え、21パーセント未満であれば、洗浄シーケンスが正常に実行されたと判断することができる。また、回収時の希釈液の濃度値に洗浄の程度の指標を規定しておくことで、良好な洗浄状態が得られているか否かを判断することができる。例えば、「0%<濃度値<10%」の場合は洗浄が十分と判断し、「10%≦濃度値<21%」の場合には、洗浄が不十分と判断することができる。
【0106】
洗浄が不十分と判断された場合には、洗浄シーケンスを再度実行することが好ましい。より好ましくは、再洗浄の際には洗浄条件を変更してより強力に洗浄を行うことである。洗浄条件の変更例として、洗浄回数を増やす、洗浄時間(塗布ローラ22の回転時間など)を増やす、洗浄時の温度設定を上げるなどが挙げられる。
【0107】
図11は、洗浄液の温度(液温)と粘度との関係を表すグラフである。同図に示すように、希釈液の温度が上がると残留している塗布液の粘度が低下するので高い洗浄効果を得ることができ、塗布液及び希釈液の溶解度が増して、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0108】
上述した洗浄モニタ機能を利用することにより、洗浄対象の各部の洗浄が十分に行われたか否かを判断することができ、洗浄不足による塗布ローラ22や供給ローラ26への塗布液の残留が防止される。なお、塗布液バッファタンク32内の塗布液は回収された希釈液により希釈されるが、塗布液バッファタンク32は供給流路36と比較して大容量であり、希釈の程度は軽度である。
【0109】
仮に、洗浄を数回実施して、ある程度の希釈液が塗布液バッファタンク32に回収された場合など、希釈の程度が塗布処理時の塗布液の濃度に影響する程度に塗布液が希釈されたとしても、塗布液の温度を下げて粘度を下げる、塗布ローラ22の回転数を下げるなどの塗布量の補助的な補正によって対応可能である。
【0110】
〔予備洗浄機能〕
次に、予備洗浄機能について説明する。
【0111】
予備洗浄機能では、廃液タンク72内の液体を使用して塗布部12の各部を洗浄するものである。廃液タンク72は、洗浄シーケンスに使用された希釈液や、装置のジャムの発生などにより塗布皿24に残った塗布液などが回収されるので、塗布液バッファタンク32の塗布液よりも希釈された低濃度の塗布液が収容されている。この低濃度の塗布液を用いて予備洗浄を行うことで、希釈液の消費量が抑制され、かつ、廃液の再利用が可能となる。
【0112】
図12は、予備洗浄機能の説明図である。塗布部12の塗布液が塗布液バッファタンク32へ回収されると、循環バルブ76が閉じられ、ドレインバルブ60、排出バルブ70が開かれ、排出ポンプ68を反転動作させて、廃液タンク72内の液が塗布皿24の液保持部24Aへ供給される。液保持部24Aに所定量の液が供給されると、洗浄シーケンスと同様の制御によって、圧胴20、塗布ローラ22、供給ローラ26の予備洗浄が行われる。予備洗浄時に排出ポンプ68を駆動制御して、塗布皿24のオーバーフロー部24Bにも廃液タンク72から液を充填させれば、塗布皿24の液保持部24Aの液面が上昇して洗浄性の向上が見込まれる。
【0113】
〔廃液の再利用〕
廃液タンク72の液は前述のとおり希釈されているため、通常は所定の廃棄処理が施された後に廃棄されるが、廃液タンク72から塗布液バッファタンク32へ廃液を戻し、再利用処理を施して塗布液として再利用することが可能である。廃液の再利用処理は夜間や休日など装置非稼動後に実行される。
【0114】
図13は、廃液タンク72から塗布液バッファタンク32へ廃液を戻す廃液回収シーケンスの説明図である。同図に示すように、塗布液供給バルブ38、ドレインバルブ60、排出バルブ70が開かれ、供給ポンプ40及び排出ポンプ68を反転動作させ、廃液タンク72内の液が排出流路64、塗布部12、供給流路36、塗布液供給バルブ38を経由して塗布液バッファタンク32へ戻される。
【0115】
塗布液バッファタンク32へ廃液が戻されると、再利用処理が実行される。再利用処理は、循環供給シーケンス(図3参照)が利用され、塗布液バッファタンク32の液を循環させ、濃度センサ48を用いて液の濃度が監視されながら、ヒータ52を用いて循環中の液に加熱処理が施される。加熱処理によって循環中の液が濃縮されて所定の濃度に達すると、加熱処理及び循環シーケンスが停止される。
【0116】
上述した再利用処理が終了されると、供給ポンプ40を反転動作させて供給流路36内の液が塗布液バッファタンク32へ回収されるとともに、ドレインバルブ60、循環バルブ76が開かれ、排出ポンプ68を正転動作させて塗布皿24に残留している液は塗布液バッファタンク32へ回収される。なお、廃液回収シーケンス実行前に、補充配管(塗布液補充タンク30から塗布液バッファタンク32へ塗布液を供給するための配管)を塗布液バッファタンク32の底部に到達するように延ばしておき、塗布液補充ポンプ34を逆転動作させて、塗布液バッファタンク32の塗布液を抜いておけば、さらに効果的である。
【0117】
〔液抜きシーケンス〕
次に、液抜きシーケンスについて説明する。液抜きシーケンスは、部品交換などのメンテナンスや冬場の凍結防止を目的として、塗布液の循環供給シーケンス(図3参照)の終了後や洗浄シーケンス(図9参照)の終了後に実行される。
【0118】
図14は、液抜きシーケンスの説明図である。液抜きシーケンスでは、塗布液供給バルブ38が開かれ、希釈液供給バルブ46が閉じられた状態で、供給ポンプ40を逆転動作させ、塗布部12の塗布液が塗布液バッファタンク32へ回収される。その後、塗布液供給バルブ38が閉じられた状態で希釈液供給バルブ46を開くと希釈液供給流路44内の希釈液が希釈液タンク42へ回収される。
【0119】
また、塗布液補充ポンプ34を正逆転切換が可能な構成とすることで、塗布液補充タンク30と塗布液バッファタンク32との間の流路の塗布液を塗布液補充タンク30へ戻すことも可能である。
【0120】
このようにして、供給部14の各流路内の液を抜くことができるように構成することで、部品交換などのメンテナンス性が改善され、濃度センサ48や塗布液供給バルブ38等のバルブ類、供給ポンプ40等のポンプ類、ヒータ52などの凍結による破損が防止される。また、濃度センサ48から得られる濃度値を監視することで、液が抜けたことを確実に検出することができる。
【0121】
〔ろ過フィルタのメンテナンス〕
塗布処理中や塗布処理後の塗布液には、処理対象の媒体を構成する素材や媒体の処理に用いられる材料、及び媒体の表面に付着して機外から持ち込まれる物質が混入していることがあり、排出流路64に設けられたろ過フィルタ66でこれらの異物を除去することで、濃度センサ48や塗布ローラ22の塗布欠陥などを低減化しているが、長期間の使用によりろ過フィルタ66の詰まりが発生しやすい。ろ過フィルタ66の詰まりの原因となるものとして、紙媒体を使用する場合の紙粉や塗工層成分、印刷装置に用いられるパウダー類などが挙げられ、これらを除去するろ過フィルタ66はメッシュサイズが10〜100μm程度の比較的細かなものが適用される。
【0122】
図15に示す塗布装置10’は、ろ過フィルタ66に詰まった汚れ(異物)を除去するメンテナンスを実行可能に構成されている。
【0123】
図15は、ろ過フィルタ66のメンテナンスを行う構成が追加された塗布装置10’の概略構成図である。同図に示すよう塗布装置10’は、ろ過フィルタ66と廃液タンク72の間にメンテナンス用排出流路64’が設けられるとともに、メンテナンス用排出流路64’に一方向弁70’が設けられている。
【0124】
一方向弁70’は、ろ過フィルタ66から廃液タンク72へ向かう方向にのみ液を流すように構成されており、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62が閉じられた状態で排出ポンプ68を反転動作させると一方向弁70’が開かれるので、ろ過フィルタ66から除去された異物を含んだ塗布液は、一方向弁70’、メンテナンス用排出流路64’を介して廃液タンク72へ回収される。
【0125】
かかる構成によれば、ろ過フィルタ66の自動メンテナンスが可能となり、詰まりの原因となる異物による装置内の汚染も防止される。また、一方向弁70’に代わり、リリーフバルブを適用することも可能である。リリーフバルブは、一次側(ろ過フィルタ66側)に一定以上の圧力が付与されると自動的に弁が開いて流体を放出し、一次側の圧力が一定以下に下降すれば弁が閉じる機能(構造)を持つ弁である。
【0126】
すなわち、ドレインバルブ60、オーバーフローバルブ62が閉じられた状態で排出ポンプ68を反転動作させると、リリーフバルブの一次側に圧力がかかり、一定以上の圧力(例えば、30〜300キロパスカル程度)がかかるとリリーフバルブが開き、ろ過フィルタ66の汚れが廃液タンク72へ送られる。さらに、リリーフバルブの開放圧力を高くして(例えば、100〜200キロパスカル)ろ過フィルタ66からリリーフバルブまでの流路にシリコンチューブなどの弾性を有する材料(硬度が40〜70°、より好ましくは50〜60°の材料)を適用すれば、該流路が膨張してからリリーフバルブが開放されるので、瞬間的に流速を高めることができ、より効果的なメンテナンスが可能である。
【0127】
なお、廃液タンク72の液を濃縮して再利用する場合などは、廃液タンク72とは別にタンクを用意して回収すれば、塗布液の汚れを軽減することも可能である。
【0128】
〔塗布皿のメンテナンス〕
次に、塗布皿のメンテナンス機能が付加された塗布装置について説明する。図16は、塗布液バッファタンク32のメンテナンス機能が付加された塗布装置10”の概略構成図である。
【0129】
同図に示す塗布装置10”は、先に説明した塗布装置10(図1参照)において、供給ポンプ40の塗布液供給バルブ38側から廃液タンク72へのメンテナンス流路90が設けられるとともに、メンテナンス流路90に一方向弁92が設けられている。一方向弁92は、供給ポンプ40から廃液タンク72へ向かう方向にのみ開く構造を有している。
【0130】
塗布部12に設けられる塗布皿24の液保持部24Aの排出口近傍には、液保持部24A内に混入した異物(紙粉や紙片など)を捕獲するドレインフィルタ(不図示)が設けられ、オーバーフロー部24Bの排出口の近傍には、オーバーフローフィルタ(不図示)が設けられている。このドレインフィルタ、オーバーフローフィルタは、塗布皿24内の配管に異物が詰まることを防止するものであり、0.1mm〜0.5mm程度のメッシュ構造を有している。長期間の使用によってドレインフィルタ及びオーバーフローフィルタにも詰まりが発生するので、メンテナンスを行う必要がある。
【0131】
図16に示す塗布装置10”は、塗布皿24のドレインフィルタ及びオーバーフローフィルタに付着した異物が供給流路36を経由し、さらに、メンテナンス流路90及び一方向弁92を経由して廃液タンク72へ送られるように構成されている。
【0132】
すなわち、ドレインフィルタ及びオーバーフローフィルタのメンテナンスが実行されると、循環バルブ76、ドレインバルブ60が開かれるとともに、塗布液供給バルブ38、希釈液供給バルブ46、オーバーフローバルブ62が閉じられる。この状態で排出ポンプ68を逆回転させると、塗布皿24の液保持部24Aのドレインフィルタに付着した異物がドレインフィルタから離脱して液保持部24Aを浮遊する。また、循環バルブ76、オーバーフローバルブ62が開かれ、塗布液供給バルブ38、希釈液供給バルブ46、ドレインバルブ60が閉じられる。この状態で排出ポンプ68を逆転動作させると、オーバーフローフィルタに付着した異物がオーバーフローフィルタから離脱してオーバーフロー部24Bを浮遊する。
【0133】
さらに、供給ポンプ40を逆転動作させると一方向弁92が開かれるので、塗布皿24の液保持部24Aの塗布液は供給流路36、供給ポンプ40、メンテナンス流路90、一方向弁92を経由して、廃液タンク72へ送られる。さらにまた、オーバーフローバルブ62が開かれた状態で排出ポンプ68を逆転動作させると、オーバーフロー部24Bの液が液保持部24Aへ移動する。液保持部24Aの液は供給ポンプ40を逆転動作させることで廃液タンク72へ送られる。
【0134】
かかる構成によれば、塗布皿24に設けられるドレインフィルタ及びオーバーフローフィルタの自動メンテナンスが可能である。なお、塗布皿24から供給流路36、メンテナンス流路90を経由して廃液タンク72に至る流路は、紙粉などの異物が詰まらないように、異物の大きさを考慮して通常よりも太くしておくことが好ましい。
【0135】
上述したろ過フィルタのメンテナンス及び塗布皿のメンテナンスは、水溶性の塗布液以外の塗布液(例えば、フォトレジストや油性インク)を使用する塗布装置にも適用することが可能である。
【0136】
〔塗布液バッファタンクのメンテナンス〕
次に、塗布液バッファタンクのメンテナンスについて説明する。
【0137】
上記したろ過フィルタ66や、ドレインフィルタ、オーバーフローフィルタのメンテナンスなどによって塗布液を消費して、塗布液バッファタンク32を空にした後に、希釈液タンク42から、塗布皿24を経由して希釈液が塗布液バッファタンク32へ充填され、塗布液バッファタンク32から供給流路36、塗布部12、排出流路64、循環流路74を経由して塗布液バッファタンク32へ希釈液を循環させることで、塗布液バッファタンク32や供給流路36、排出流路64、循環流路74のメンテナンスを行うことができる。
【0138】
図17は、塗布液バッファタンク32等のメンテナンスを説明する図である。同図に太実線を用いて示すように、希釈液を塗布液バッファタンク32へ充填するシーケンスは、希釈液供給バルブ46、オーバーフローバルブ62、循環バルブ76が開かれ、供給ポンプ40、排出ポンプ68を正転動作させると、希釈液タンク42から塗布部12を経由して塗布液バッファタンク32へ希釈液が充填される。
【0139】
希釈液を循環させるシーケンスでは、塗布液供給バルブ38、オーバーフローバルブ62、循環バルブ76が開かれ、供給ポンプ40、排出ポンプ68を正転動作させると、塗布液バッファタンク32内の希釈液は太破線で図示する経路を循環する。希釈液を循環させるシーケンスにおいて、塗布ローラ22、供給ローラ26を回転させて、これらを洗浄してもよい。また、濃度センサ48を用いて循環する希釈液の濃度をモニタして洗浄回数などを設定することで、さらに安定したメンテナンス(洗浄)が可能である。
【0140】
塗布液バッファタンク32にジクロルイソシアヌル酸塩などの塩素系殺菌剤を希釈液タンク42よりも多く添加することで、濃度センサ48などの測定部材や塗布ローラ22などの洗浄殺菌効果が向上し、さらに効果的である。
【0141】
さらに、図15に示したメンテナンス用排出流路64’及び一方向弁70’、図16に示したメンテナンス流路90、一方向弁92を備え、循環(洗浄)後にフィルタ類のメンテナンスを行うことで、メンテナンス流路64’,90、一方向弁70’,92が希釈液で洗浄される。
【0142】
〔他の装置構成への適用例〕
次に、上述した塗布装置10(10’、10”)を記録媒体にカラー画像を形成するインクジェット記録装置へ適用した構成例について説明する。以下に説明するインクジェット記録装置は、記録媒体に凝集処理剤を塗布する処理液塗布部へ上述した塗布装置を適用したものである。
【0143】
(インクジェット記録装置の全体構成)
図18は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置200は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体214の記録面に画像を形成する二液凝集方式の記録装置である。
【0144】
インクジェット記録装置200は、主として、給紙部220、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260、及び排出部270を備えて構成される。処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260の前段に搬送される記録媒体214の受け渡しを行う手段として渡し胴232,242,252,262が設けられるとともに、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260のそれぞれに記録媒体214を保持しながら搬送する手段として、ドラム形状を有する圧胴234,244,254,264が設けられている。
【0145】
渡し胴232〜262及び圧胴234〜264は、外周面の所定位置に記録媒体214の先端部(又は後端部)を挟んで保持するグリッパ280A,280Bが設けられている。グリッパ280Aとグリッパ280Bにおける記録媒体214の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパとの間で記録媒体214の受け渡しを行う構造は同一であり、かつ、グリッパ280Aとグリッパ280Bは、圧胴234の外周面の圧胴234の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
【0146】
グリッパ280A,280Bにより記録媒体214の先端部を狭持した状態で渡し胴232〜262及び圧胴234〜264を所定の方向に回転させると、渡し胴232〜262及び圧胴234〜264の外周面に沿って記録媒体214が回転搬送される。
【0147】
なお、図18中、圧胴234に備えられるグリッパ280A,280Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパの符号は省略する。
【0148】
給紙部220に収容されている記録媒体(枚葉紙)214が処理液塗布部230に給紙されると、圧胴234の外周面に保持された記録媒体214の記録面に、凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。なお、「記録媒体214の記録面」とは、圧胴234〜264の保持された状態における外側面であり、圧胴234〜264に保持される面と反対面である。
【0149】
その後、凝集処理液が付与された記録媒体214は描画部240に送出され、描画部240において記録面の凝集処理液が付与された領域に色インクが付与され、所望の画像が形成される。
【0150】
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体214は乾燥処理部250に送られ、乾燥処理部250において乾燥処理が施されるとともに、乾燥処理後に定着処理部260に送られ、定着処理が施される。乾燥処理及び定着処理が施されることで、記録媒体214上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体214の記録面に所望の画像が形成され、該画像が記録媒体214の記録面に定着した後に、排出部270から装置外部に搬送される。
【0151】
以下、インクジェット記録装置200の各部(給紙部220、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260、排出部270)について詳細に説明する。
【0152】
(給紙部)
給紙部220は、給紙トレイ222と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体214は給紙トレイ222から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ222から送り出された記録媒体214は、渡し胴(給紙胴)232のグリッパ(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
【0153】
(処理液塗布部)
処理液塗布部230(図1に図示した塗布装置10に対応)は、給紙胴232から受け渡された記録媒体214を外周面に保持して記録媒体214を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)234(図1に図示した圧胴20に対応)と、処理液ドラム234の外周面に保持された記録媒体214の記録面に処理液を付与する処理液塗布装置236(図1に図示した供給部14及び塗布ローラ22、塗布皿24,供給ローラ26を含む構成に対応)と、を含んで構成されている。処理液ドラム234を図18における反時計回りに回転させると、記録媒体214は処理液ドラム234の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
【0154】
図18に示す処理液塗布装置236は、処理液ドラム234の外周面(記録媒体保持面)と対向する位置に設けられている。処理液塗布装置236の構成例として、処理液が貯留される処理液容器(図1に図示した塗布皿24に対応)と、処理液容器の処理液に一部が浸漬され、処理液容器内の処理液を汲み上げる汲み上げローラ(図1に図示した供給ローラ26に対応)と、汲み上げローラにより汲み上げられた処理液を記録媒体214上に移動させる塗布ローラ(ゴムローラ、図1に図示した塗布ローラ22に対応)と、を含んで構成される態様が挙げられる。
【0155】
なお、該塗布ローラを上下方向(処理液ドラム234の外周面の法線方向)に移動させる塗布ローラ移動機構を備え、該塗布ローラとグリッパ280A,280Bとの衝突を回避可能に構成する態様が好ましい。
【0156】
処理液塗布部230により記録媒体214に付与される処理液は、描画部240で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含有し、記録媒体214上で処理液とインクとが接触すると、インク中の色材が凝集して溶媒との分離が促進される。
【0157】
処理液塗布装置236は、記録媒体214に塗布される処理液量を計量しながら塗布することが好ましく、記録媒体214上の処理液の膜厚は、描画部240から打滴されるインク液滴の直径より十分に小さくすることが好ましい。
【0158】
本発明に係る塗布装置(液供給装置)は、処理液塗布部230(処理液塗布装置236)に適用される。
【0159】
(描画部)
描画部240は、記録媒体214を保持して搬送する圧胴(描画ドラム)244と、記録媒体214を描画ドラム244に密着させるための用紙抑えローラ246と、記録媒体214にインクを付与するインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yを備えている。なお、描画ドラム244の基本構造は、先に説明した処理液ドラム234と共通しているので、ここでの説明は省略する。
【0160】
用紙抑えローラ246は、描画ドラム244の外周面に記録媒体214を密着させるためのガイド部材であり、描画ドラム244の外周面に対向し、渡し胴242と描画ドラム244との記録媒体214の受渡位置よりも記録媒体214の搬送方向下流側であり、且つ、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yよりも記録媒体214の搬送方向上流側に配置される。
【0161】
渡し胴242から描画ドラム244に受け渡された記録媒体214は、グリッパ(符号省略)によって先端が保持された状態で回転搬送される際に、用紙抑えローラ246によって押圧され、描画ドラム244の外周面に密着する。このようにして、記録媒体214を描画ドラム244の外周面に密着させた後に、描画ドラム244の外周面から浮き上がりのない状態で、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの直下の印字領域に送られる。
【0162】
インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム244の回転方向(図18における反時計回り方向)に上流側から順に配置されるとともに、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yのインク吐出面(ノズル面)が描画ドラム244に保持された記録媒体214の記録面と対向するように配置される。なお、「インク吐出面(ノズル面)」とは、記録媒体214の記録面と対向するインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの面であり、後述するインクが吐出されるノズル(図19に符号301を付して図示する。)が形成される面である。
【0163】
また、図18に示すインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yは、描画ドラム244の外周面に保持された記録媒体214の記録面とインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yのノズル面が略平行となるように、水平面に対して傾けられて配置されている。
【0164】
インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yは、記録媒体214における画像形成領域の最大幅(記録媒体214の搬送方向と直交する方向の長さ)に対応する長さを有するフルライン型のヘッドであり、記録媒体214の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
【0165】
インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yのノズル面(液体吐出面)には、記録媒体214の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図18中不図示、図19に符号302を付して図示する。)がマトリクス配置されて形成されている。
【0166】
記録媒体214がインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの直下の印字領域に搬送されると、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yから記録媒体214の凝集処理液が付与された領域に画像データに基づいて各色のインクが吐出(打滴)される。
【0167】
インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム244の外周面に保持された記録媒体214の記録面に向かって吐出されると、記録媒体214上で処理液とインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料系色材)又は不溶化する色材(染料系色材)の凝集反応が発現し、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体214上に形成された画像における色材の移動(ドットの位置ズレ、ドットの色ムラ)が防止される。
【0168】
また、描画部240の描画ドラム244は、処理液塗布部230の処理液ドラム234に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yに処理液が付着することがなく、インクの吐出異常の要因を低減することができる。
【0169】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0170】
(乾燥処理部)
乾燥処理部250は、画像形成後の記録媒体214を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)254と、該記録媒体214上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す溶媒乾燥装置256を備えている。なお、乾燥ドラム254の基本構造は、先に説明した処理液ドラム234及び描画ドラム244と共通しているので、ここでの説明は省略する。
【0171】
溶媒乾燥装置256は、乾燥ドラム254の外周面に対向する位置に配置され、記録媒体214に存在する水分を蒸発させる処理部である。描画部240により記録媒体214にインクが付与されると、処理液とインクとの凝集反応により分離したインクの液体成分(溶媒成分)及び処理液の液体成分(溶媒成分)が記録媒体214上に残留してしまうので、かかる液体成分を除去する必要がある。
【0172】
溶媒乾燥装置256は、ヒータによる加熱、ファンによる送風、又はこれらを併用して記録媒体214上に存在する液体成分を蒸発させる乾燥処理を施し、記録媒体214上の液体成分を除去するための処理部である。記録媒体214に付与される加熱量及び送風量は、記録媒体214上に残留する水分量、記録媒体214の種類、及び記録媒体214の搬送速度(干渉処理時間)等のパラメータに応じて適宜設定される。
【0173】
溶媒乾燥装置256による乾燥処理が行われる際に、乾燥処理部250の乾燥ドラム254は、描画部240の描画ドラム244に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yにおいて、熱又は送風によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの吐出異常の要因を低減することができる。
【0174】
記録媒体214のコックリングの矯正効果を発揮させるために、乾燥ドラム254の曲率を0.002(1/mm)以上とするとよい。また、乾燥処理後の記録媒体の湾曲(カール)を防止するために、乾燥ドラム254の曲率を0.0033(1/mm)以下とするとよい。
【0175】
また、乾燥ドラム254の表面温度を調整する手段(例えば、内蔵ヒータ)を備え、該表面温度を50℃以上に調整するとよい。記録媒体214の裏面から加熱処理を施すことによって乾燥が促進され、次段の定着処理時における画像破壊が防止される。かかる態様において、乾燥ドラム254の外周面に記録媒体214を密着させる手段を具備すると、さらに効果的である。記録媒体214を密着させる手段の一例として、真空吸着、静電吸着などが挙げられる。
【0176】
なお、乾燥ドラム254の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム254の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
【0177】
このように構成された乾燥ドラム254の外周面に、記録媒体214の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体214の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥処理を施すことで、記録媒体214のシワや浮きに起因する乾燥ムラが確実に防止される。
【0178】
(定着処理部)
定着処理部260は、記録媒体214を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)264と、画像形成がされ、さらに、液体が除去された記録媒体214に加熱処理を施すヒータ266と、該記録媒体214を記録面側から押圧する定着ローラ268と、を備えて構成される。なお、定着ドラム264の基本構造は処理液ドラム234、描画ドラム244、及び乾燥ドラム254と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ266及び定着ローラ268は、定着ドラム264の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム264の回転方向(図18において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
【0179】
定着処理部260では、記録媒体214の記録面に対してヒータ266による予備加熱処理が施されるとともに、定着ローラ268による定着処理が施される。ヒータ266の加熱温度は記録媒体の種類、インクの種類(インクに含有するポリマー微粒子の種類)などに応じて適宜設定される。例えば、インクに含有するポリマー微粒子のガラス転移点温度や最低造膜温度とする態様が考えられる。
【0180】
定着ローラ268は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体214を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ268は、定着ドラム264に対して圧接するように配置されており、定着ドラム264との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体214は、定着ローラ268と定着ドラム264との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
【0181】
定着ローラ268の構成例として、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成する態様が挙げられる。かかる加熱ローラで記録媒体214を加熱することによって、インクに含まれるポリマー微粒子のガラス転移点温度以上の熱エネルギーが付与されると、該ポリマー微粒子が溶融して画像の表面に透明の被膜が形成される。
【0182】
この状態で記録媒体214の記録面に加圧を施すと、記録媒体214の凹凸に溶融したポリマー微粒子が押し込み定着されるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、好ましい光沢性を得ることができる。なお、画像層の厚みやポリマー微粒子のガラス転移点温度特性に応じて、定着ローラ268を複数段設けた構成も好ましい。
【0183】
また、定着ローラ268の表面硬度は71°以下であることが好ましい。定着ローラ268の表面をより軟質化することで、コックリングにより生じた記録媒体214の凹凸に対して追随効果を期待でき、記録媒体214の凹凸に起因する定着ムラがより効果的に防止される。
【0184】
図18に示すインクジェット記録装置200は、定着処理部260の処理領域の後段(記録媒体搬送方向の下流側)には、インラインセンサ282が設けられている。インラインセンサ282は、記録媒体214に形成された画像(又は記録媒体214の余白領域に形成されたチェックパターン)を読み取るためのセンサであり、CCDラインセンサが好適に用いられる。
【0185】
本例に示すインクジェット記録装置200は、インラインセンサ282の読取結果に基づいてインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの吐出異常の有無が判断される。また、インラインセンサ282は、水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段を含む態様も可能である。かかる態様において、水分量、表面温度、光沢度の読取結果に基づいて、乾燥処理部250の処理温度や定着処理部260の加熱温度及び加圧圧力などのパラメータを適宜調整し、装置内部の温度変化や各部の温度変化に対応して、上記制御パラメータが適宜調整される。
【0186】
(排出部)
図18に示すように、定着処理部260に続いて排出部270が設けられている。排出部270は、張架ローラ272A,272Bに巻きかけられた無端状の搬送ベルト274と、画像形成後の記録媒体214が収容される排出トレイ276と、を備えて構成されている。
【0187】
定着処理部260から送り出された定着処理後の記録媒体214は、搬送ベルト274によって搬送され、排出トレイ276に排出される。
【0188】
(インクジェットヘッドの構造)
次に、描画部240に具備されるインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの構造について説明する。なお、各色に対応するインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号300によってインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を示すものとする。
【0189】
図19はヘッド300の構造例を示す平面透視図である。以降、本明細書において、先に説明した図と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0190】
図19に示すように、ヘッド300のノズル面には、記録媒体214の全幅Wに対応する長さにわたって複数のノズル302が並べられた構造を有するフルライン型ヘッドである。なお、記録媒体214の搬送方向Sは副走査方向と呼ばれることがあり、記録媒体214の搬送方向Sと直交する方向Mは主走査方向と呼ばれることがある。
【0191】
記録媒体214上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド300におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド300は、図19に示すように、インク吐出口であるノズル302と、各ノズル302と連通する圧力室304と、不図示の共通流路と各圧力室304とを連通させる供給口306等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)308をマトリクス配置した構造を有し、これにより、ヘッド300の長手方向である主走査方向に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(図20に符号Pを付して図示する投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0192】
ノズル302と連通する圧力室304は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル302が設けられ、他方に供給口306が設けられている。なお、圧力室304の形状は本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0193】
図20は、図19に図示したヘッド300の一部を拡大した拡大図である。同図に示すように、ノズル302及び圧力室304等からなるインク室ユニット308を、主走査方向(符号Mを付して図示)に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θ(0°<θ<90°)を有する斜めの列方向(符号S’を付して図示)に沿って一定の配列パターンでマトリクス配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0194】
すなわち、主走査方向に対してある角度θをなす方向に沿ってインク室ユニット308を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルの投影ノズルピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル302が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列は、1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度配置を実現することが可能になる。
【0195】
なお、記録媒体214の全幅Wに対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図19の構成に代えて、図21に示すように、複数のノズル302が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール300’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体214の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0196】
また、図22に示すように、記録媒体214の全幅に満たない短尺のヘッドモジュール300”を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。同図において、列方向(図20参照)に沿って並べられたノズル302は斜めの実線で図示されている。
【0197】
図23は、図19に示すヘッド300(インク室ユニット308)の立体構造を示す断面図(図19中A−A線に沿う断面図)である。
【0198】
ノズル302と連通する圧力室304は、供給口306を介して共通流路310と連通している。共通流路310はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、該インクタンクから供給されるインクは共通流路310を介して各圧力室304に供給される。
【0199】
圧力室304の上面を構成する振動板312には、個別電極314と共通電極316とを具備し、個別電極314と共通電極316との間に圧電体部318がはさまれた構造を有する圧電素子320が接合されている。また、図23に示すヘッド300は、圧力室304、供給口306、及び共通流路310などの流路構造が形成された構造体に、ノズル302の開口部322が形成されるノズル板324を接合した構造を有している。
【0200】
個別電極314と共通電極316との間に所定の駆動電圧を印加することによって圧電素子320及び振動板312が変形し、これに伴い圧力室304の容積が変化する。圧力室304の容積変化により圧力室304内部のインクに圧力変化が生じ、圧力室304の容積変化に対応する体積のインクがノズル302から吐出される。インクが吐出された後は、圧電素子320及び振動板312が元の状態に戻る際に、共通流路310から供給口306を通って新しいインクが圧力室304に充填される。
【0201】
本例では、ヘッド300に設けられたノズル302から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子320を適用したが、圧力室304内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
【0202】
(制御系の説明)
図24は、インクジェット記録装置200の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置200は、通信インターフェース400、システム制御部402、搬送制御部344、画像処理部346、ヘッド駆動部348を備えるとともに、記憶部(メモリ)350、一次記憶部352を備えている。
【0203】
通信インターフェース400は、ホストコンピュータ416から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース400は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース400は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0204】
システム制御部402は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置200の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、さらに、記憶部350及び一次記憶部352のメモリコントローラとして機能する。すなわち、システム制御部402は、通信インターフェース400、搬送制御部344等の各部を制御し、ホストコンピュータ416との間の通信制御、記憶部350及び一次記憶部352の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0205】
ホストコンピュータ416から送出された画像データは通信インターフェース400を介してインクジェット記録装置200に取り込まれ、画像処理部346によって所定の画像処理が施される。
【0206】
画像処理部346は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをヘッド駆動部348に供給する制御部である。画像処理部346において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッド駆動部348を介してヘッド300の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図24に示すヘッド駆動部348には、ヘッド300の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0207】
また、搬送制御部344は、画像処理部346により生成された印字制御用の信号に基づいて記録媒体214(図18参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図24における搬送駆動部356は、図18の圧胴234〜264を回転させるモータや、渡し胴232〜262を回転させるモータ、給紙部220における記録媒体214の送出機構のモータ、排出部270の張架ローラ272A(272B)を駆動するモータなどが含まれ、搬送制御部344は上記のモータのドライバーとして機能している。
【0208】
記憶部350は、システム制御部402のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部402を通じてデータの読み書きが行われる。記憶部350は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
【0209】
一時記憶部(一次記憶メモリ)352は、通信インターフェース400を介して入力された画像データを一旦格納する一次記憶手段としての機能や、記憶部350に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部346の作業領域)としての機能を有している。一時記憶部352には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
【0210】
さらに、このインクジェット記録装置200は、処理液付与制御部360、乾燥処理制御部362、及び定着処理制御部364を備えており、システム制御部402からの指示にしたがって、それぞれ、処理液塗布部230、乾燥処理部250、及び定着処理部260の各部の動作を制御する。
【0211】
処理液付与制御部360は、画像処理部346から得られた印字データに基づいて、処理液付与のタイミングの制御を制御するとともに、処理液の付与量を制御する。また、乾燥処理制御部362は、乾燥処理のタイミングを制御するとともに、処理温度、送風量等を制御し、定着処理制御部364は、定着処理部260のヒータ266の温度を制御するとともに、定着ローラ268の押圧を制御する。
【0212】
検出部366は、図18に示したインラインセンサ282と、インラインセンサ282から出力される読取信号にノズル除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理を施す信号処理部を含む処理ブロックである。システム制御部402は、検出部366により得られた検出信号に基づいて、ヘッド300の吐出異常の有無を判断する。
【0213】
図24に図示した、ローラ制御部406、バルブ制御部408、ポンプ制御部410、温度制御部412は、図2の塗布ローラ制御部106、バルブ制御部108、ポンプ制御部110、温度制御部112に相当している。また、図24のローラ駆動部422、制御バルブ409は図2のローラ駆動部122、塗布液供給バルブ38等の制御バルブに相当している。なお、図24では、複数の制御バルブを代表して符号409を付して図示されている。
【0214】
図24のポンプ411、ヒータ430は、図2のポンプ111、ヒータ24E,52に相当し、図24の濃度センサ448、温度センサ424、フロートセンサ426及び媒体検出センサ420は、それぞれ図2の濃度センサ48、温度センサ124、フロートセンサ126(33)、媒体検出センサ120に相当している。なお、図2に図示した構成と対応関係を説明した構成についてはすでに説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0215】
上述した他の装置構成例では、記録媒体にカラーインクを吐出してカラー画像を記録するインクジェット記録装置を例示したが、マスクパターンの形成やプリント配線基板の配線描画など基板に樹脂液等により所定のパターン形状を形成する他の画像形成装置にも、本発明に係る塗布装置(液供給装置)を適用可能である。
【0216】
以上、本発明に係る塗布装置(液供給装置)を詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0217】
〔付記〕
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0218】
(発明1):第1液を媒体に付与する液付与部と、前記液付与部と連通する第1排出流路と、前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、前記第1排出流路に設けられ、前記第1排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段と、前記第1排出流路の前記第1フィルタ手段よりも前記液付与部側に接続されるとともに前記廃液回収部と連通される第2排出流路と、前記第1フィルタ手段から前記第2排出流路を介して前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開くように動作する第2排出流路開閉手段と、を備えたことを特徴とする液付与装置。
【0219】
本発明によれば、排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段の交換や取り外しを行うことなく、第1フィルタ手段に捕獲された異物を除去することが可能となる。
【0220】
(発明2):発明1に記載の液付与装置において、前記第2排出流路開閉手段は、前記第1フィルタ手段から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開く一方向弁を含むことを特徴とする。
【0221】
かかる態様によれば、第1フィルタ手段から除去された異物(第1液の溶質成分や媒体を構成する材料成分)が廃液回収部へ回収されるので、該異物が液付与部や供給流路へ戻ることがない。
【0222】
一方向弁は、所定の方向に所定の圧力が付与されたときにのみ開くように動作するリリーフバルブを適用するとよい。
【0223】
(発明3):発明1又は2に記載の液付与装置において、前記第2排出流路は、少なくとも前記第1排出流路との接続部から前記第2排出流路開閉手段までの間が弾性を有する部材により構成されることを特徴とする液付与装置。
【0224】
かかる態様によれは、瞬間的に流速が速まるので、第1フィルタ手段のメンテナンスが効率よく行われる。
【0225】
かかる態様における「弾性を有する部材」はシリコンチューブが好適に適用される。
【0226】
(発明4):発明1乃至3のいずれかに記載の液付与装置において、前記液付与部へ液を供給する供給流路を備えたことを特徴とする。
【0227】
(発明5):第1液を媒体に付与する液付与部と、前記液付与部へ液を供給する供給流路と、前記液付与部と連通する第1排出流路と、前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、前記第1排出流路が接続される前記液付与部の排出部に設けられ、前記液付与部から前記第1排出流路へ排出される液をろ過する第2フィルタ手段と、一方の端部は前記供給流路と連通され、他方の端部は前記廃液回収部と連通されるメンテナンス流路と、前記メンテナンス流路に設けられ前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開くように動作するメンテナンス流路開閉手段と、を備えたことを特徴とする液付与装置。
【0228】
本発明によれば、第2フィルタ手段の交換や第2フィルタ手段の取り外しを行うことなく、第2フィルタ手段に詰まった異物することが可能となる。
【0229】
(発明6):発明5に記載の液付与装置において、前記メンテナンス流路開閉手段は、前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開く一方向弁を含むことを特徴とする。
【0230】
かかる態様によれば、液付与部から供給流路、メンテナンス流路を経由して第2フィルタ手段から除去された異物が廃液回収部へ回収され、メンテナンス流路から供給流路への異物の逆流が防止される。
【0231】
(発明7):発明5又は6に記載の液付与装置において、前記メンテナンス流路は、少なくとも前記供給流路との接続部から前記メンテナンス流路開閉手段までの間が弾性を有する部材により構成されることを特徴とする。
【0232】
かかる態様における「弾性を有する部材」はシリコンチューブが好適に適用される。
【0233】
(発明8):発明2又は6に記載の液付与装置において、前記一方向弁は、30キロパスカル以上300キロパスカル以下の開放圧力によって開放されることを特徴とする。
【0234】
(発明9):発明3又は7に記載の液付与装置において、前記弾性を有する部材は、40度以上70度以下の硬度を有することを特徴とする。
【0235】
(発明10):発明4乃至9のいずれかに記載の液付与装置において、前記第1液を前記供給流路へ供給する第1液供給流路と、前記第1液よりも溶質成分の含有比率が低い第2液を前記供給流路へ供給する第2液供給流路と、前記第2液供給流路と連通し、前記第2液が貯留される第2液貯留部と、前記供給流路と前記第1液供給流路及び前記第2液供給流路のいずれを連通させるかを切り換える連通切換手段と、前記供給流路及び前記第1液供給流路、第2液供給流路における液の流れ方向を切り換える液流方向切換手段と、前記液付与部へ前記第2液が供給された後に前記第2液が回収されるときに、前記液付与部内及び前記供給流路内の第2液が前記第1液供給流路を介して回収されるように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0236】
かかる態様によれば、供給流路の液の流れ方向を切り換え可能に構成するとともに、第1液供給流路及び第2液供給流路と供給流路との接続を適宜切り換え可能に構成することで、液付与部及び供給流路から第2液が回収される際に供給流路及び第1液供給流路を経由するので、確実に、かつ、効率よく第2液を回収することが可能である。また、フィルタのメンテナンスと液抜きとを組み合わせることで、フィルタに付着した異物を除去した後に流路を空にすることができ、流路の液を抜いても異物がフィルタに固着することがなく、耐久性及びメンテナンス効率の向上し、凍結防止の効果を得ることが可能である。
【0237】
第1液は、水系溶媒に所定の溶質成分を含有させた液体であり、例えば、所定の媒体の表明をコートする(コート層を形成する)コート液がある。また、第2液は、第1液の溶媒(水)のみでもよい。
【0238】
液付与部の構成として、塗布ローラやブレードなどの付与部材を媒体に接触させる接触付与方式や、スプレー方式、インクジェット方式などの間接付与方式がを適用可能である。
【0239】
連通切換手段には、切換制御手段から送出された制御信号に応じて動作する制御弁を適用する態様が好ましい。また、第1液供給流路と第2液供給流路のそれぞれに第1制御弁及び第2制御弁を配設し、これらを連動させる態様も好ましい。
【0240】
液流方向切換手段には、供給流路に回転方向を切り換え可能に構成されたポンプ(チューブポンプ)を設ける態様が好ましい。また、制御手段から送られる制御信号に従って液流方向の切り換えができるものが好ましい。
【0241】
制御手段は、各部の制御を行う(各部へ指令信号を送る)制御ブロックに区画されていてもよい。例えば、各制御部を統括して管理する上位制御部と、各部のそれぞれを制御する1つ又は複数の下位制御部から構成される態様がある。
【0242】
(発明11):発明10に記載の液付与装置において、前記制御手段は、前記第2液供給流路内の第2液が前記第2液貯留部へ回収されるように前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴する。
【0243】
かかる態様によれば、第2液供給流路の未使用の第2液を第2液貯留部へ回収することで、第2液のムダが低減される。
【0244】
かかる態様の構成例として、制御手段から第1液供給流路に設けられた第1制御弁、及び第2液供給流路に設けられた第2制御弁に制御信号を送出し、第1制御弁を閉じ、第2制御弁を開くように動作させ、さらに、制御手段から供給流路に設けられたチューブポンプを逆転動作させる制御信号を送る態様が挙げられる。
【0245】
(発明12):発明4又は11に記載の液付与装置において、前記供給流路を通過する液の物性値を測定する測定手段を備えたことを特徴とする。
【0246】
かかる態様によれば、供給流路を経由して第2液を回収する際に、供給流路を通過する液の物性をモニタすることで、第2液が供給流路を通過したか否かを判別すること、また、供給流路の液が完全に抜けたか否かを判別することができる。
【0247】
液の物性(物性値)は、少なくとも液の濃度情報を含む態様が好ましい。また、測定手段は複数の物性値を測定可能に構成してもよい。
【0248】
(発明13):発明10乃至12に記載の液付与装置において、前記第2液は、前記第1液を希釈させる希釈液であり、前記制御手段は、前記液付与部及び前記供給流路の洗浄処理が実行されるときに、前記供給流路を介して前記液付与部へ前記第2液を供給するように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする。
【0249】
かかる態様によれば、液付与部へ供給されるときの第2液の物性値と、液付与部から回収された第2液の物性値との比較結果から、液付与部及び供給流路の洗浄状態を把握することが可能である。
【0250】
(発明14):発明13に記載の液付与装置において、前記第1液供給流路と連通し、前記第1液が貯留される第1液貯留部を備え、前記制御手段は、前記液付与部へ前記希釈液が供給された後に、前記液付与部内の希釈液及び前記供給流路内の希釈液が前記第1液供給流路を介して前記第1液貯留部へ回収されるように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする。
【0251】
かかる態様によれば、液付与部及び供給流路の希釈液を第1液貯留部に回収することで、未使用の(第2液供給流路内の)希釈液との混合が防止される。また、液付与部及び供給流路から回収された希釈液は濃度の低い第1液と等価であり、希釈液が回収され後の第1液貯留部内の液は希釈の程度が所定範囲内であれば、そのまま第1液として使用することができる。
【0252】
液付与部及び供給流路から回収された希釈液の濃度は、発明3に記載された測定手段によって測定可能である。
【0253】
(発明15):発明13又は14に記載の液付与装置において、前記液付与部から前記第1液貯留部へ液を循環させる循環流路を含み、前記供給流路及び前記循環流路を介して前記第1液貯留部と前記液付与部との間で一定量の液を循環させる循環手段と、前記循環手段によって循環される液を加熱する加熱処理手段と、を備え、前記循環手段は、前記第1液貯留部に希釈液が回収された後の前記第1液貯留部内に貯留される希釈した第1液を循環させることを特徴とする。
【0254】
かかる態様によれば、希釈された第1液を循環させることで、第1液が均質化される。また、第1液の物性が安定する。
【0255】
循環手段は、循環流路に設けられる開閉手段(制御弁)と、加圧手段(ポンプ)が具備される態様が好ましい。また、第1貯留部の容積の20%〜60%の第1液(例えば、5リットルに対して1〜3リットル)を循環させる態様が好ましい。
【0256】
加熱手段の一例として、循環流路又は供給流路に設けられるヒータが挙げられる。また、循環流路又は供給流路内の液の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出温度に応じて加熱処理手段の動作を制御する加熱制御手段と、を備える態様が好ましい。
【0257】
(発明16):発明10乃至15のいずれかに記載の液付与装置において、前記液付与部の非稼動状態が所定期間以上になる場合に、前記液付与部及び前記供給流路の洗浄処理を実行する洗浄処理手段を備え、前記制御手段は、前記洗浄処理手段による洗浄処理が実行させるときに、前記第2液貯留部から前記供給流路を介して前記液付与部へ第2液を供給するように前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする。
【0258】
かかる態様によれば、第2液(希釈液)を用いた液付与部の洗浄処理終了後に、発明1から12のいずれかに記載の液抜きを行うことで、液付与部の非稼動時における部品交換等のメンテナンスを効率よく行うことができ、また、残留した第2液の凍結による各流路、各部材の破損が防止される。
【0259】
(発明17):記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備え、前記処理液付与手段は、液付与部と、前記液付与部と連通する第1排出流路と、前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、前記第1排出流路に設けられ、前記第1排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段と、前記第1排出流路の前記第1フィルタ手段よりも前記液付与部側に接続されるとともに前記廃液回収部と連通される第2排出流路と、前記第1フィルタ手段から前記第2排出流路を介して前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開くように動作する第2排出流路開閉手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0260】
(発明18):記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備え、前記処理液付与手段は、液付与部と、前記液付与部へ液を供給する供給流路と、前記液付与部と連通する第1排出流路と、前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、前記第1排出流路が接続される前記液付与部の排出部に設けられ、前記液付与部から前記第1排出流路へ排出される液をろ過する第2フィルタ手段と、一方の端部は前記供給流路と連通され、他方の端部は前記廃液回収部と連通されるメンテナンス流路と、前記メンテナンス流路に設けられ前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開くように動作するメンテナンス流路開閉手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0261】
発明17及び発明18に係る画像形成装置には、インクジェット方式により記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置が含まれる。
【符号の説明】
【0262】
10…塗布装置、12…塗布部、14…供給部、22…塗布ローラ、24…塗布皿、30…塗布液補充タンク、32…塗布液バッファタンク、34…塗布液補充ポンプ、36…供給流路、38…塗布液供給バルブ、40…供給ポンプ、42…希釈液タンク、46…希釈液供給バルブ、48…濃度センサ、50…変換部、52…ヒータ、56…サーミスタ、64…排出流路、64’,90…メンテナンス流路、66…ろ過フィルタ、68…排出ポンプ、70…排出バルブ、70’,92…一方向弁、72…廃液タンク、74…循環流路、76…循環バルブ、102…システム制御部、106…塗布ローラ制御部、108…バルブ制御部、110…ポンプ制御部、112…温度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液を媒体に付与する液付与部と、
前記液付与部と連通する第1排出流路と、
前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、
前記第1排出流路に設けられ、前記第1排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段と、
前記第1排出流路の前記第1フィルタ手段よりも前記液付与部側に接続されるとともに前記廃液回収部と連通される第2排出流路と、
前記第1フィルタ手段から前記第2排出流路を介して前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開くように動作する第2排出流路開閉手段と、
を備えたことを特徴とする液付与装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液付与装置において、
前記第2排出流路開閉手段は、前記第1フィルタ手段から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開く一方向弁を含むことを特徴とする液付与装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液付与装置において、
前記第2排出流路は、少なくとも前記第1排出流路との接続部から前記第2排出流路開閉手段までの間が弾性を有する部材により構成されることを特徴とする液付与装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の液付与装置において、
前記液付与部へ液を供給する供給流路を備えたことを特徴とする液付与装置。
【請求項5】
第1液を媒体に付与する液付与部と、
前記液付与部へ液を供給する供給流路と、
前記液付与部と連通する第1排出流路と、
前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、
前記第1排出流路が接続される前記液付与部の排出部に設けられ、前記液付与部から前記第1排出流路へ排出される液をろ過する第2フィルタ手段と、
一方の端部は前記供給流路と連通され、他方の端部は前記廃液回収部と連通されるメンテナンス流路と、
前記メンテナンス流路に設けられ前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開くように動作するメンテナンス流路開閉手段と、
を備えたことを特徴とする液付与装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液付与装置において、
前記メンテナンス流路開閉手段は、前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開く一方向弁を含むことを特徴とする液付与装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の液付与装置において、
前記メンテナンス流路は、少なくとも前記供給流路との接続部から前記メンテナンス流路開閉手段までの間が弾性を有する部材により構成されることを特徴とする液付与装置。
【請求項8】
請求項2又は6に記載の液付与装置において、
前記一方向弁は、30キロパスカル以上300キロパスカル以下の開放圧力によって開放されることを特徴とする液付与装置。
【請求項9】
請求項3又は7に記載の液付与装置において、
前記弾性を有する部材は、40度以上70度以下の硬度を有することを特徴とする液付与装置。
【請求項10】
請求項4乃至9のいずれかに記載の液付与装置において、
前記第1液を前記供給流路へ供給する第1液供給流路と、
前記第1液よりも溶質成分の含有比率が低い第2液を前記供給流路へ供給する第2液供給流路と、
前記第2液供給流路と連通し、前記第2液が貯留される第2液貯留部と、
前記供給流路と前記第1液供給流路及び前記第2液供給流路のいずれを連通させるかを切り換える連通切換手段と、
前記供給流路及び前記第1液供給流路、第2液供給流路における液の流れ方向を切り換える液流方向切換手段と、
前記液付与部へ前記第2液が供給された後に前記第2液が回収されるときに、前記液付与部内及び前記供給流路内の第2液が前記第1液供給流路を介して回収されるように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする液付与装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液付与装置において、
前記制御手段は、前記第2液供給流路内の第2液が前記第2液貯留部へ回収されるように前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴する液付与装置。
【請求項12】
請求項4乃至11のいずれかにに記載の液付与装置において、
前記供給流路を通過する液の物性値を測定する測定手段を備えたことを特徴とする液付与装置。
【請求項13】
請求項10乃至12に記載の液付与装置において、
前記第2液は、前記第1液を希釈させる希釈液であり、
前記制御手段は、前記液付与部及び前記供給流路の洗浄処理が実行されるときに、前記供給流路を介して前記液付与部へ前記第2液を供給するように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする液付与装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液付与装置において、
前記第1液供給流路と連通し、前記第1液が貯留される第1液貯留部を備え、
前記制御手段は、前記液付与部へ前記希釈液が供給された後に、前記液付与部内の希釈液及び前記供給流路内の希釈液が前記第1液供給流路を介して前記第1液貯留部へ回収されるように、前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする液付与装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の液付与装置において、
前記液付与部から前記第1液貯留部へ液を循環させる循環流路を含み、前記供給流路及び前記循環流路を介して前記第1液貯留部と前記液付与部との間で一定量の液を循環させる循環手段と、
前記循環手段によって循環される液を加熱する加熱処理手段と、
を備え、
前記循環手段は、前記第1液貯留部に希釈液が回収された後の前記第1液貯留部内に貯留される希釈した第1液を循環させることを特徴とする液付与装置。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載の液付与装置において、
前記液付与部の非稼動状態が所定期間以上になる場合に、前記液付与部及び前記供給流路の洗浄処理を実行する洗浄処理手段を備え、
前記制御手段は、前記洗浄処理手段による洗浄処理が実行させるときに、前記第2液貯留部から前記供給流路を介して前記液付与部へ第2液を供給するように前記連通切換手段及び前記液流方向切換手段を制御することを特徴とする液付与装置。
【請求項17】
記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備え、
前記処理液付与手段は、液付与部と、
前記液付与部と連通する第1排出流路と、
前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、
前記第1排出流路に設けられ、前記第1排出流路を通過する液をろ過する第1フィルタ手段と、
前記第1排出流路の前記第1フィルタ手段よりも前記液付与部側に接続されるとともに前記廃液回収部と連通される第2排出流路と、
前記第1フィルタ手段から前記第2排出流路を介して前記廃液回収部へ液が流れるときに前記第2排出流路を開くように動作する第2排出流路開閉手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
記録媒体に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段によって処理液が付与された記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備え、
前記処理液付与手段は、液付与部と、
前記液付与部へ液を供給する供給流路と、
前記液付与部と連通する第1排出流路と、
前記第1排出流路を介して前記液付与部から排出された液が回収される廃液回収部と、
前記第1排出流路が接続される前記液付与部の排出部に設けられ、前記液付与部から前記第1排出流路へ排出される液をろ過する第2フィルタ手段と、
一方の端部は前記供給流路と連通され、他方の端部は前記廃液回収部と連通されるメンテナンス流路と、
前記メンテナンス流路に設けられ前記供給流路から前記廃液回収部へ液が流れるときに前記メンテナンス流路を開くように動作するメンテナンス流路開閉手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−50823(P2011−50823A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200521(P2009−200521)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】