液体を噴出するパドル及び液体噴出デバイス
【課題】インク吐出用のマイクロメカニカルなプランジャの耐久性を向上する。
【解決手段】パドル8は、ノズルチャンバ2内からノズルチャンバ2の1つの壁において規定されたインク噴出ノズル4を通って液体を噴出する。パドル8は、使用中はインク噴出ノズル4に対向しインク噴出ノズル4から間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、第1の部分の周辺におけるプランジャ表面上に形成されて第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分とを含み、それによって、使用中、プランジャが作動してインクを、インク噴出ノズル2を通って噴出している間、第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、プランジャ表面がインク噴出ノズル4に触れるのを防止する。
【解決手段】パドル8は、ノズルチャンバ2内からノズルチャンバ2の1つの壁において規定されたインク噴出ノズル4を通って液体を噴出する。パドル8は、使用中はインク噴出ノズル4に対向しインク噴出ノズル4から間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、第1の部分の周辺におけるプランジャ表面上に形成されて第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分とを含み、それによって、使用中、プランジャが作動してインクを、インク噴出ノズル2を通って噴出している間、第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、プランジャ表面がインク噴出ノズル4に触れるのを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタ等のマイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイスの分野に関する。本明細書において、本発明は、マイクロエレクトロメカニカルなインクジェット技術に関して説明される。しかし、本発明は他のマイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス、たとえば、マイクロエレクトロメカニカルなポンプやマイクロエレクトロメカニカルなムーバ、へのより広い用途を有している。
【背景技術】
【0002】
マイクロメカニカルな及びマイクロエレクトロメカニカルなデバイスは、ますます普及してきており、通常、半導体製造技術を利用したμm(ミクロン)規模のデバイスの作成を伴う。マイクロメカニカルなデバイスに関する最近の概観として、非特許文1の「The Broad Sweep of Integrated Micro Systems」という論文を参照する。
【0003】
一般的に用いられているマイクロエレクトロメカニカルなデバイスの1つの形式は、インク噴出ノズルチャンバからインクが噴出される、インクジェット印字デバイスである。多くの形式のインクジェットデバイスが知られている。
インクジェット印字及び関連するデバイスに関する多くの異なる技術が、発明されている。この分野の概観として、非特許文献2の「Non-Impact Printing: Introduction and Historical Perspective」という論文を参照する。
【0004】
最近、本出願人によって、マイクロエレクトロメカニカルなインクジェット(MEMJET)技術と呼ばれる新しい形式のインクジェット印字が開発された。MEMJET技術の1つの形式において、パドルまたはプランジャに接続されたエレクトロメカニカルなアクチュエータを利用するインク噴出ノズルチャンバからインクが噴出される。パドルまたはプランジャは、チャンバの噴出ノズルに向かって動いて、噴出ノズルチャンバからインク滴が噴出される。
【0005】
本発明は、MEMJET技術その他マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイスにおいて用いる、機械的な屈曲アクチュエータの改良に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Tom Picraux;Paul J. McWhorter,IEEE Spectrum,p24-33,Feb.,1998
【非特許文献2】R. Dubeck;S. Sherr,Output Hard Copy Devices,p207-220,1988
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、マイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の熱アクチュエータが提供される。アクチュエータは、支持基板と、作動部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なように配置されている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置され、それによって第1及び第2のアームが両者の間に間隙を規定する、第2のアームとを含む。使用中は、第1のアームは伝導によって加熱されると熱膨張し、それによって作動部に力が加えるように配置されている。
【0008】
従って、従来技術の熱アクチュエータと比べて、たとえば動作温度等、アクチュエータの動作特性の作動部の材料に対する依存度を、少なくすることができる。従来技術の熱アクチュエータにおいて、作動部は通常部分的に、熱アクチュエータ(三層アクチュエータ)のアームとアームとの間に配置されている。さらに、作動部が部分的にアームとアームとの間に配置されている場合には、使用中に、作動部のその部分において剪断応力が誘発され、それによってアクチュエータの効率が下がってしまう可能性がある。
アクチュエータは、加熱電流を支持基板を通って第1のアームに印加することができるような方法で配置されていてもよい。
【0009】
第1及び第2のアームは、好ましくは、略同じ材料から形成される。アクチュエータは、第1の層を推積及びエッチングして第1のアームを形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして、第1のアームの上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして第2のアームを形成し、第2の層をエッチングして第1のアームと第2のアームとの間に間隙を形成する工程とによって製造してもよい。
【0010】
第1のアームは、第2の端において、伝導によって相互接続された2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
第2のアームは、2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
作動部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1のアームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームも窒化チタンから形成してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、インクジェット印字システムの製造の新規な形式が開示される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、ノズルチャンバ内からノズルチャンバの1つの壁において規定された液体噴出ノズルを通って液体を噴出する、パドルが提供される。パドルは、使用中はノズルに対向しノズルから間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、第1の部分の周辺におけるプランジャ表面上に形成されて第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分とを含み、それによって、使用中、プランジャが作動して液体をノズルを通って噴出している間、第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、プランジャ表面がノズルに触れるのを防止する。
【0013】
プランジャ表面をノズルから間隔を置いて配置することは、ノズルにおいて液体のメニスカスがプランジャ表面と接触する可能性を減らすのに重要である。接触すると、このような装置の動作特性に影響を与えてしまう可能性がある。当業者であれば、これに応じて、以前に構造上強固にするために必要であると思われていた一定の厚さを有するパドルと比較して、同じ噴出体積において本発明を実施するチャンバの大きさを小さくすることができる、ということが理解されよう。
【0014】
第2の部分は、プランジャ表面の中央部が使用中にノズルと略整列した状態で、中央部の周りに連続壁構造を規定するように構成してもよい。
中央部は、好ましくはノズルと同じ寸法であってもよい。
第1の部分は外周が円形であってもよく、第2の部分は、パドルの外周の周りの環形を含んでもよい。
パドルは、液体噴出ノズルの周りに略対照的に配置されてもよく、第1の層を推積及びエッチングして第1のパドル部を形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして第1のパドル部の上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして第3のパドル部を形成する工程とによって形成されてもよい。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の、機械的アクチュエータが提供される。かかるアクチュエータは、支持基板と、作動部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なように配置されている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置され、それによって第1及び第2のアームが両者の間に間隙を規定する、第2のアームとを含み、少なくとも1つの剛体部材が、第1のアームと第2のアームとをその第1の端と第2の端との間で相互接続し、使用中は、第1のアームが熱膨張し、それによってアクチュエータが作動部に力を加えるように配置されている。
【0016】
出願人は、第1のアームと第2のアームとの間に剛体部材を設けることによって、第1のアームが膨張するときに両アームが反るのを防止することができる、ということを発見した。
【0017】
第1のアームは、好ましくは、第1のアームの第1の端と第2の端との間に形成された第1の主本体と、第1の主本体に接続された、少なくとも1つのタブ本体とを含み、少なくとも1つの剛体部材のうちの最初のものが、タブを第2のアームと相互接続してもよい。
第2のアームは、好ましくは、第2のアームの第1の端と第2の端との間に形成された第2の主本体と、第2の主本体に接続された、少なくとも1つの対応するタブ本体とを含み、少なくとも1つの剛体部材のうちの最初のものが、第1及び第2のアームの対応する両タブを相互接続してもよい。
【0018】
タブ本体は、第1の薄くしたネック部を通して第1の主本体に接続されていてもよい。
対応するタブ本体は、第2の薄くしたネック部を通して第2の主本体に接続されていてもよい。
【0019】
第1のアームは、それによって第1のアームが伝導によって加熱可能であり、使用中に第1のアームを第2のアームに関して熱膨張させて、それによってアクチュエータが作動部に力を加えるようになっている、伝導層を含んでもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略平行であり、剛体部材は、第1及び第2のアームと略垂直であってもよい。
アクチュエータは、電流を支持基板を通って伝導層に供給できるような方法で配置されていてもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略同じ材料から形成される。
【0020】
アクチュエータは、第1の層を推積及びエッチングして第1のアームを形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして、第1のアームの上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして、第2のアームを形成する工程と、犠牲層をエッチングして第1のアームと第2のアームとの間に間隙を形成する工程とによって製造してもよい。
【0021】
第1のアームは、第2の端において、伝導によって相互接続された2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。第2のアームもまた2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
作動部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1の伝導アームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームは窒化チタンから形成してもよい。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の熱アクチュエータが提供される。かかるアクチュエータは、支持基板と、アクチュエータ延長部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において延長部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なようになっている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において延長部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置された第2のアームとを含み、使用中は、第1のアームが熱膨張し、それによってアクチュエータが延長部に力を加えるように配置されており、第1のアームは、第1のアームの略最高加熱点のところに少なくとも1つのヒートシンク要素を含み、この点は、使用中第1のアームの最高加熱が起こるところである。
【0023】
出願人は、ヒートシンク要素を設けることによって、第1のアームにおける最高温度を低くすることができるという点において、及び第1のアームの全体にわたってより均一な温度プロフィルを達成することができるという点において、熱によって曲がるアクチュエータの動作特性を改良することができる、ということを発見した。これによって、第1のアームにおいて誘発される熱膨張を最大にすることができる。
【0024】
ヒートシンク要素は、第1のアームの略中央に配置されていてもよい。
ヒートシンク要素は、第1のアームと第2のアームとを相互接続するように配置されていてもよい。
ヒートシンク要素は、第1のアームの主本体に接続された、少なくとも1つのタブ本体を含んでもよい。
タブ本体は、第1の薄くしたネック部を通して主本体に接続されていてもよい。
第1のアームは、それによって第1のアームが伝導によって加熱可能な、伝導層を含んでもよい。
【0025】
アクチュエータは、電流を支持基板を通って伝導層に供給できるような方法で配置されていてもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略同じ材料から形成される。
延長部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1の伝導アームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームは窒化チタンから形成してもよい。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、液体を噴出するための、その1つの壁における第1の開口部と、そこを通ってアクチュエータのアームが延びる、その壁における第2の開口部とを有するノズルチャンバを含む、液体噴出デバイスが提供される。アクチュエータのアームは、ノズルチャンバの外側に配置された基板に取り付けられ、ノズルチャンバの内側のパドルに接続されており、パドルは、アクチュエータのアームによって、液体を第1の開口部を通って噴出するように動作可能である。システムはさらに、第2の開口部の周りに形成された、第1の隆起したリムを含む。第1の隆起したリムは、アクチュエータのアームの動作中に、第1の隆起したリムとアクチュエータのアームとの間で液体の外面に沿って液体のメニスカスが形成されるような方法で、配置されている。
【0027】
従って、液体が第2の開口部を通ってノズルチャンバの外側に広がることは防止されるかもしれない。
アクチュエータは、好ましくは、第1の隆起したリムに隣接し、基板と略平行で基板から間隔を置いて配置された、平らな部分を含んでもよい。
第1の隆起したリムは、好ましくは、平らな部分と略平行な縁部を含んでもよい。
第1の隆起したリムは、隆起したリップを含んでもよい。
【0028】
デバイスはさらに、アクチュエータのアーム上に、第2の開口部の周りに形成された第1の隆起したリムに隣接して形成された、第2の隆起したリムを含んでもよい。この実施形態において、第2の隆起したリムは、液体が第2の開口部を通ってノズルチャンバの外側に広がることを防止する助けとなってもよい。
第1の隆起したリムは、アクチュエータのアームの一部もまた形成する層のデポジションから形成してもよい。
第1及び第2の隆起したリムのうちの少なくとも1つは、窒化チタンから形成してもよい。
第1の隆起したリムに隣接して、好ましくは、ウィッキングを低減する助けになるピットが形成される。
【0029】
本発明の第7の態様によれば、液体噴出デバイスが提供される。液体噴出デバイスは、ノズルチャンバと、ノズルチャンバ内に配置されて、第1の状態から噴出状態に動かされると、液体をノズルチャンバからノズルチャンバの1つの壁における開口部を通って噴出する、噴出パドルと、パドルが第1の状態にある時にはパドルによって略閉じているような方法で配置された、液体供給ポートとを含む。かかるノズルチャンバは、パドルが第1の状態にある時にはパドルのリムにぴったりと隣接して整列している、その壁構造上の内部突出部を含む。噴出状態において、パドルのリムのうちの少なくとも一部は、突出部から間隔を置いて配置されており、それによって、壁構造とパドルのリムのその一部との間に規定された液体再充填チャネルを形成する。
【0030】
内部突出部は、横断面が階段状であってもよい。
パドル及び内部突出部は、好ましくは1つのデポジション工程において形成される。
内部突出部は、ノズルチャンバの壁構造を形成する高アスペクト比のデポジション工程と比較してアスペクト比の低いデポジション工程を用いて形成してもよい。
パドルは、略平らであってもよい。
【0031】
本発明の範囲に入るかもしれないいかなる他の形式にもかかわらず、添付図面を参照して、実例のみとして、本発明の好ましい形式を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図2】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図3】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図4】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図5】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図6】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図7】第2の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図8】第2の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図9】第3の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図10】第3の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図11】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図12】図11の装置についての距離に関する温度の例示的グラフを示す。
【図13】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図14】図13の装置についての距離に関する温度の例示的グラフを示す。
【図15】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図16】好ましい実施形態のCMOS層の横から見た斜視図を示す。
【図17】1ミクロンのマスクを示す。
【図18】CMOS層の一部の平面図を示す。
【図19】犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図20】犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図21】犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図22】第1のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図23】第1のレベルの窒化チタンマスクの平面図を示す。
【図24】第1のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図25】第2のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図26】第2のレベルの犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図27】第2のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図28】第2のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図29】第2のレベルの窒化チタンマスクの平面図を示す。
【図30】第2のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図31】第3のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図32】第3のレベルの犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図33】第3のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図34】共形PECVDSiNH層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図35】共形PECVDSiNHマスクの平面図を示す。
【図36】共形PECVDSiNH層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図37】共形PECVDSiNHノズル先端エッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図38】共形PECVDSiNHノズル先端エッチングマスクの平面図を示す。
【図39】共形PECVDSiNHノズル先端エッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図40】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図41】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチングマスクの平面図を示す。
【図42】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図43】犠牲保護ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図44】犠牲保護ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図45】犠牲保護ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図46】バックエッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図47】バックエッチングマスクの平面図を示す。
【図48】バックエッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図49】ストリッピング犠牲材料層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図50】ストリッピング犠牲材料マスクの平面図を示す。
【図51】ストリッピング犠牲材料層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図52】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図53】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験のマスクの平面図を示す。
【図54】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図55】滴を噴出している好ましい実施形態の横から見た斜視断面図を示す。
【図56】作動しているときの好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図57】滴を噴出している好ましい実施形態の横から見た斜視断面図を示す。
【図58】復帰している時の好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図59】好ましい実施形態の平面図を示す。
【図60】アクチュエータのアーム及びノズルチャンバを示す横から見た拡大斜視図である。
【図61】アクチュエータのパドルのリム及びノズルチャンバを示す横から見た拡大斜視図である。
【図62】アクチュエータのヒータ要素を示す横から見た拡大斜視図である。
【図63】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの平面図を示す。
【図64】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの横から見た斜視断面図を示す。
【図65】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの横から見た拡大斜視断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
好ましい実施形態において、熱によって曲がるアクチュエータを利用してノズルチャンバからインクを噴出する、コンパクトな形式の液体噴出デバイスが提供される。
【0034】
まず図1ないし3を参照して、好ましい実施形態の動作原理を説明する。図1に示すように、インク噴出装置1が提供される。インク噴出装置1は、通常インクで満たされて、隆起したリムを有するインク噴出ノズル4の周りにメニスカス3を形成するようになっている、ノズルチャンバ2を含む。ノズルチャンバ2内のインクは、インク供給チャネル5によって補給される。
【0035】
ノズルのパドル8にしっかりと相互接続された熱アクチュエータ7によって、インクはノズルチャンバ2から噴出される。熱アクチュエータ7は、2つのアーム10、11を含み、下のアーム11は電流源に相互接続されていて、下のアーム11の伝導加熱を行うようになっている。ノズルチャンバ2から滴を噴出することが所望される場合、下のアーム11が加熱されて、このアーム11が上のアーム10に関して急速に膨張するようにする。この急速な膨張によって今度は、パドル8がノズルチャンバ2内で急速に上向きに動く。図2に、この最初の動きを示す。アーム8が上向きに動いて、ノズルチャンバ2内の圧力が本質的に上昇するようになっており、この圧力上昇によって今度は、インクがノズル4から流出し、メニスカス3が膨れ上がる。次にヒータ11への電流をオフにして、図3に示すように、パドル8がその元の位置への復帰を開始するようにする。この結果、ノズルチャンバ2内の圧力が本質的に低下する。ノズルのリム4の外側のインクは前方に勢いがついているので、その結果メニスカスがくびれて分かれ、図3に示すように、メニスカス3と気泡13とを形成するようになる。気泡13は前方に、インク印字媒体上へと進み続ける。
【0036】
重要なことであるが、ノズルチャンバは縦断面の縁15を含み、図2に示すように、これによって、パドル8が上に動くときに、チャネルの空間16が大きく増大する。このようにチャネルの空間16が大きくなることによって、インクのメニスカス3の表面張力効果によって、チャネル16を通ってインクが引き込まれ、実体量のインクが急速にノズルチャンバ2に流入することができる。ノズルチャンバのプロファイルによって、ノズルチャンバを急速に再充填することができ、この装置は結局、前に図1に示したように、静止位置に復帰する。
【0037】
装置1はまた、多数のその他の重要な特徴も含む。こういったものには、図1に示すような円形のリム18が含まれる。円形のリム18は、パドル8の外周の周りに形成され、パドル8の構造上の支持を行いながら、図3に示すメニスカス3と、パドル表面8との間の距離を実質的に最大にしている。この距離を最大にすることによって、メニスカス3がパドル表面8と接触しそれによって動作特性に影響を与える可能性が、低くなる。さらに、製造工程の一部として、表面、たとえば20、に沿ってインクがウィッキングし、それによって装置1の動作特性に影響を与える可能性を低減するための、インク流出防止リップ19が設けられる。
【0038】
熱アクチュエータ7の動作原理を、まず図4から10を参照して説明する。まず図4を参照して、基板22に取り付けられた、熱によって曲がるアクチュエータを示す。熱によって曲がるアクチュエータは、アクチュエータのアーム23を含み、その両側には作動アーム24、25がある。2つのアーム24、25は、好ましくは同じ材料から形成され、互いに熱的な釣り合いがとれるようになっている。さらに、アクチュエータのアーム23の表面には、圧力Pが働くとする。圧力の上昇が所望の場合には、図5に示すように、下のアーム25が加熱され、上のアーム24と下のアーム25との間の引っ張り応力が小さくなるようにする。この結果、アクチュエータのアーム23に働く合力が出力され、その結果、アクチュエータのアーム23が全体として上向きに動く。
【0039】
不都合なことに、実際には、アーム24、25が長すぎる場合、アーム25を加熱すると、図6に示すような反り状態に入ってしまう危険があるということがわかっている。この反り状態は、アクチュエータのアーム23の動作有効性を低減する。図6に示すような反り状態の可能性は、より小さな、熱によって曲がるアーム24、25を利用することによって、本質的に低くすることができる。このように変形した装置を、図7に示す。図8に示すように下の熱アーム25を加熱すると、アクチュエータのアーム23が上向きに曲がり、システムが図6の反り状態に入る可能性が本質的に低くなる、ということがわかっている。
【0040】
図8の装置において、アクチュエータのアーム23のうちの、作動部24と25との間の部分26は、剪断応力状態になり、その結果、この実施形態においては動作効率が失われてしまうかもしれない。さらに、材料26が存在することの結果として、アーム部25からアーム部24へと急速に熱が伝導する可能性がある。
さらに、熱アーム25は、アーム23を動作するのに好適な温度で動作させなければならない。従って動作特性は、部分26の特性、たとえば融点、によって制限される。
【0041】
図9において、熱によって曲がるアクチュエータの他の形式を示す。かかるアクチュエータは、2つのアーム24、25及びアクチュエータのアーム23を含むが、アームとアームとの間には、空間すなわち間隙28が設けられている。アームの一方を加熱すると、図10に示すように、アーム25が以前と同様に上向きに曲がる。図10の装置は、アーム24、25の動作特性、たとえば温度、がアーム23において利用されている材料によって必ずしも制限されなくてもよい、という利点を有する。さらに、図10の装置は、アーム23内に剪断力を誘発することがなく、動作中に層間剥離が起こってしまう可能性も低い。こういった原理が、図1ないし図3の装置の熱によって曲がるアクチュエータにおいて利用されて、よりエネルギー効率のよい動作形式が提供されるようになっている。
【0042】
さらに、より効率のよい動作形式の熱アクチュエータを提供するために、多数の更なる工夫が図られる。熱アクチュエータは伝導加熱に依存しており、好ましい実施形態において利用される装置は、図11において示すように、材料30に概略的に単純化することができる。材料30は、第1の端31のところで基板に、第2の端32のところで負荷に、相互接続されている。アーム30は、伝導によって加熱され、膨張して負荷32に力を及ぼすようになっている。伝導によって加熱すると、温度プロフィルはおよそ図12に示すようなものになる。2つの端31、32は、その伝導加熱についての「ヒートシンク」としての役割を果たし、従って、温度プロフィルはそれぞれの端においてより低く、中央において最も高い。中央36における温度が融点35を超えるとアームは作動しないかもしれない、という点において、アーム30の動作特性は、融点35によって決まる。図12のグラフは、図11におけるアーム30がその長さに沿って均一に加熱されているわけではないという点において、最適ではない結果を表している。
【0043】
図13に示すように、ヒートシンク38、39をアーム30の中央部に含むようにアーム30を変形することによって、図14に示すような、より好適な熱プロフィルを達成することができる。図14のプロフィルは、アーム30の長さにわたってより均一に加熱されており、それによって全体の動作がより効率的になる。
【0044】
次に図15を参照して、一連の支柱を設けて2つのアクチュエータ作動アーム24、25を結合することによって、更なる効率及び反りの可能性の低減を達成することができる。このような装置を、図15において概略的に示す。図15において、一連の支柱、たとえば40、41が設けられて2つのアーム24、25を結合し、その反りを防止するようになっている。従って、下のアーム25は、加熱すると上向きに曲がる可能性がより高くなり、それによってアクチュエータのアーム23もまた上向きに曲がる。
【0045】
インクジェット印字MEMSデバイスの詳細な構成の1形式を、次に説明する。図面のいくつかにおいて、図17において示すような1ミクロンの格子を、準拠枠として利用する。
【0046】
工程1及び2.出発物質を、図16ないし図18において示すように好適に処理及び不活性化した(窒化シリコンを用いて)CMOSウエハー100とする。
【0047】
工程3.図19ないし図21において示すように、1ミクロンのスピンオン感光性ポリイミド102を推積し、図20のマスク104を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド102を現像する。
ポリイミド102は犠牲的であるので、幅広い範囲の他の材料を用いることができる。感光性ポリイミドであれば、デポジション、エッチング、及びレジストストリッピングの各工程が省かれるので、処理が簡単になる。
【0048】
工程4.図22ないし図24に示すように、0.2ミクロンのマグネトロンをスパッタリングした窒化チタン106を300℃で推積し、図23のマスク108を用いてエッチングする。これによって、アクチュエータ層105及びパドル107を含む層を形成する。
【0049】
工程5.図25ないし図27において示すように、1.5ミクロンの感光性ポリイミド110をスピンオンし、図26のマスク112を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド110を現像する。この厚さが結局、アクチュエータと補償窒化チタン層との間の間隙101を決定するので、アクチュエータが曲がる量に影響を与える。
工程3に関して、感光性ポリイミドを用いることによって、デポジション、エッチング、及びレジストストリッピングの各工程が省かれるので、処理が簡単になる。
【0050】
工程6.図28ないし図30において示すように、0.05ミクロンの共形PECVD窒化シリコン(SixNyHz)(様々な各層の相対的寸法のために、図示せず)を300℃で推積する。次に、0.2ミクロンのマグネトロンをスパッタリングした窒化チタン116を、これもまた300℃で推積する。このTiN116を、図29のマスク119を用いてエッチングする。次にこのTiN116をマスクとして用いて、PECVD窒化物をエッチングする。
【0051】
TiN116の段差被覆が良好であるということは、重要ではない。TiN116の最上層は電気的に接続されておらず、純粋に機械的な構成要素として用いられる。
【0052】
工程7.図31ないし図33において示すように、6ミクロンの感光性ポリイミド118をスピンオンし、図32のマスク120を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド118を現像する。この厚さが、ノズルチャンバルーフまでの高さを決定する。この高さがある距離(滴分裂特性によって決まる)を越えれば、実際の高さはほとんど重要ではない。しかしこの高さは、応力を小さくしリソグラフィーの精度を上げるように、制限されるべきである。6ミクロンのポリイミド118の一番上と一番下との間に1ミクロンのテーパーを設けることは、容易に行える。
【0053】
工程8.図34ないし図36において示すように、2ミクロン(ポリイミド118を越える厚さ)のPECVD窒化シリコン122が300℃で推積される。これによって、ノズルチャンバを形成している前述のPSポリイミド層118において形成されたチャネルが満たされる。マスクは用いない(図35)。
【0054】
工程9.図37ないし図39において示すように、図38のマスク124を用いて、1ミクロンの公称(nominal)深さまでPECVD窒化シリコン122をエッチングする。このエッチング深さは決定的に重要なものではなく±50%までばらついてもよいので、これは単純な時限エッチングである。
このエッチングは、ノズルのリム126及びアクチュエータのポートのリム128を形成する。こういったリムを用いて、インクのメニスカスをある位置に固定し、インクが広がるのを防止する。
【0055】
工程10.図40ないし図42に示すように、図41のマスク130を用いて、PECVD窒化シリコン122を、1ミクロンの公称深さまでエッチングして、ポリイミド118上で止める。前述の2つの工程におけるばらつきは、100%のオーバーエッチングで対応することができ、製造公差を緩やかにすることができる。
このエッチングは、ノズルチャンバのルーフ132を形成する。
【0056】
工程11.図43ないし図45において示すように、公称3ミクロンのポリイミド134を、バックエッチング用の保護層としてスピンオンする(マスクなし−図44)。
【0057】
工程12.図46ないし図48において示すように、ウエハー100を300ミクロンまで薄くし(バックエッチングの時間を短くするために)、ウエハー100の裏側136上の3ミクロンのレジスト(図示せず)を、図47のマスク138を通して露光する。ウエハー100の表側上の金属部103に位置を合わせる。この位置合わせは、ウエハーアライナへの赤外顕微鏡アタッチメントを用いて行うことができる。
【0058】
次に、ウエハー100を、ディープ・シリコン・エッチング「ボッシュ・プロセス」を用いて、330ミクロンの深さまで(10%のオーバーエッチングを許容)エッチングする(裏側36から)。このプロセスは、アルカテル、プラズマ・サーム、及びサーフィス・テクノロジー・システムズからのプラズマエッチャー上で利用できる。チップはまた、このエッチングによってダイシングされるが、ウエハーは11ミクロンの様々なポリイミドの層によって、まだ一緒に保持されている。
【0059】
工程13.図49ないし図51を参照して説明するように、ウエハー100をひっくり返し、トレイ内に配置し、犠牲ポリイミド層102、110、118、134のすべてを、マスクを用いないで酸素プラズマ内でエッチングする(図60)。
【0060】
工程14.図52ないし図54を参照して説明するように、標準パッケージに0.5mmのホールドをドリリングしパッケージにインクホース(図示せず)を接着することによって、パッケージが作成される。このインクホースは、0.5ミクロンのアブソリュートフィルターを含んで、インク121からのノズルの汚染を防止するべきである。
【0061】
図55ないし図62は、好ましい実施形態の様々な図を示し、そのうちのいくつかは、動作中の実施形態を示す。
明らかに、プリントヘッド202の大きなアレイ200は、様々なプリントヘッドのアレイの図を示す図63ないし図56において示すように、同時に構成することができる。
【0062】
現在開示しているインクジェット印字技術は、潜在的に幅広い範囲の印字システムに好適である。こういった印字システムは、カラー及びモノクロのオフィスプリンタ、ショートランデジタルプリンタ、高速デジタルプリンタ、オフセット印刷機を補足するプリンタ、低コストスキャンプリンタ、高速ページ幅プリンタ、ページ幅プリンタを内蔵したノート型コンピュータ、ポータブルのカラー及びモノクロのプリンタ、カラー及びモノクロの複写機、カラー及びモノクロのファクシミリ、プリンタとファクシミリと複写機とを組み合わせたもの、ラベルプリンタ、フォーマットの大きなプロッタ、写真複写機、デジタル写真「ミニラボ」用プリンタ、ビデオプリンタ、フォトCDプリンタ、PDA用ポータブルプリンタ、壁紙プリンタ、屋内サインプリンタ、屋外広告板プリンタ、ファブリックプリンタ、カメラプリンタ、及び故障許容の市販のプリンタのアレイを含む。
【0063】
さらに、略述したMEMS原理は、MEMSデバイスの構成において一般的な適用可能性を有する。
【0064】
当業者であれば、広く説明した本発明の精神または範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態において示す本発明に、非常に多くの変更及び/または変形を行ってもよい、ということが理解されよう。従って好ましい実施形態は、すべての点において例示的であり限定的ではないものとしてみなされなければならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタ等のマイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイスの分野に関する。本明細書において、本発明は、マイクロエレクトロメカニカルなインクジェット技術に関して説明される。しかし、本発明は他のマイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス、たとえば、マイクロエレクトロメカニカルなポンプやマイクロエレクトロメカニカルなムーバ、へのより広い用途を有している。
【背景技術】
【0002】
マイクロメカニカルな及びマイクロエレクトロメカニカルなデバイスは、ますます普及してきており、通常、半導体製造技術を利用したμm(ミクロン)規模のデバイスの作成を伴う。マイクロメカニカルなデバイスに関する最近の概観として、非特許文1の「The Broad Sweep of Integrated Micro Systems」という論文を参照する。
【0003】
一般的に用いられているマイクロエレクトロメカニカルなデバイスの1つの形式は、インク噴出ノズルチャンバからインクが噴出される、インクジェット印字デバイスである。多くの形式のインクジェットデバイスが知られている。
インクジェット印字及び関連するデバイスに関する多くの異なる技術が、発明されている。この分野の概観として、非特許文献2の「Non-Impact Printing: Introduction and Historical Perspective」という論文を参照する。
【0004】
最近、本出願人によって、マイクロエレクトロメカニカルなインクジェット(MEMJET)技術と呼ばれる新しい形式のインクジェット印字が開発された。MEMJET技術の1つの形式において、パドルまたはプランジャに接続されたエレクトロメカニカルなアクチュエータを利用するインク噴出ノズルチャンバからインクが噴出される。パドルまたはプランジャは、チャンバの噴出ノズルに向かって動いて、噴出ノズルチャンバからインク滴が噴出される。
【0005】
本発明は、MEMJET技術その他マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイスにおいて用いる、機械的な屈曲アクチュエータの改良に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Tom Picraux;Paul J. McWhorter,IEEE Spectrum,p24-33,Feb.,1998
【非特許文献2】R. Dubeck;S. Sherr,Output Hard Copy Devices,p207-220,1988
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、マイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の熱アクチュエータが提供される。アクチュエータは、支持基板と、作動部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なように配置されている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置され、それによって第1及び第2のアームが両者の間に間隙を規定する、第2のアームとを含む。使用中は、第1のアームは伝導によって加熱されると熱膨張し、それによって作動部に力が加えるように配置されている。
【0008】
従って、従来技術の熱アクチュエータと比べて、たとえば動作温度等、アクチュエータの動作特性の作動部の材料に対する依存度を、少なくすることができる。従来技術の熱アクチュエータにおいて、作動部は通常部分的に、熱アクチュエータ(三層アクチュエータ)のアームとアームとの間に配置されている。さらに、作動部が部分的にアームとアームとの間に配置されている場合には、使用中に、作動部のその部分において剪断応力が誘発され、それによってアクチュエータの効率が下がってしまう可能性がある。
アクチュエータは、加熱電流を支持基板を通って第1のアームに印加することができるような方法で配置されていてもよい。
【0009】
第1及び第2のアームは、好ましくは、略同じ材料から形成される。アクチュエータは、第1の層を推積及びエッチングして第1のアームを形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして、第1のアームの上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして第2のアームを形成し、第2の層をエッチングして第1のアームと第2のアームとの間に間隙を形成する工程とによって製造してもよい。
【0010】
第1のアームは、第2の端において、伝導によって相互接続された2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
第2のアームは、2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
作動部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1のアームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームも窒化チタンから形成してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、インクジェット印字システムの製造の新規な形式が開示される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、ノズルチャンバ内からノズルチャンバの1つの壁において規定された液体噴出ノズルを通って液体を噴出する、パドルが提供される。パドルは、使用中はノズルに対向しノズルから間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、第1の部分の周辺におけるプランジャ表面上に形成されて第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分とを含み、それによって、使用中、プランジャが作動して液体をノズルを通って噴出している間、第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、プランジャ表面がノズルに触れるのを防止する。
【0013】
プランジャ表面をノズルから間隔を置いて配置することは、ノズルにおいて液体のメニスカスがプランジャ表面と接触する可能性を減らすのに重要である。接触すると、このような装置の動作特性に影響を与えてしまう可能性がある。当業者であれば、これに応じて、以前に構造上強固にするために必要であると思われていた一定の厚さを有するパドルと比較して、同じ噴出体積において本発明を実施するチャンバの大きさを小さくすることができる、ということが理解されよう。
【0014】
第2の部分は、プランジャ表面の中央部が使用中にノズルと略整列した状態で、中央部の周りに連続壁構造を規定するように構成してもよい。
中央部は、好ましくはノズルと同じ寸法であってもよい。
第1の部分は外周が円形であってもよく、第2の部分は、パドルの外周の周りの環形を含んでもよい。
パドルは、液体噴出ノズルの周りに略対照的に配置されてもよく、第1の層を推積及びエッチングして第1のパドル部を形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして第1のパドル部の上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして第3のパドル部を形成する工程とによって形成されてもよい。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の、機械的アクチュエータが提供される。かかるアクチュエータは、支持基板と、作動部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なように配置されている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において作動部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置され、それによって第1及び第2のアームが両者の間に間隙を規定する、第2のアームとを含み、少なくとも1つの剛体部材が、第1のアームと第2のアームとをその第1の端と第2の端との間で相互接続し、使用中は、第1のアームが熱膨張し、それによってアクチュエータが作動部に力を加えるように配置されている。
【0016】
出願人は、第1のアームと第2のアームとの間に剛体部材を設けることによって、第1のアームが膨張するときに両アームが反るのを防止することができる、ということを発見した。
【0017】
第1のアームは、好ましくは、第1のアームの第1の端と第2の端との間に形成された第1の主本体と、第1の主本体に接続された、少なくとも1つのタブ本体とを含み、少なくとも1つの剛体部材のうちの最初のものが、タブを第2のアームと相互接続してもよい。
第2のアームは、好ましくは、第2のアームの第1の端と第2の端との間に形成された第2の主本体と、第2の主本体に接続された、少なくとも1つの対応するタブ本体とを含み、少なくとも1つの剛体部材のうちの最初のものが、第1及び第2のアームの対応する両タブを相互接続してもよい。
【0018】
タブ本体は、第1の薄くしたネック部を通して第1の主本体に接続されていてもよい。
対応するタブ本体は、第2の薄くしたネック部を通して第2の主本体に接続されていてもよい。
【0019】
第1のアームは、それによって第1のアームが伝導によって加熱可能であり、使用中に第1のアームを第2のアームに関して熱膨張させて、それによってアクチュエータが作動部に力を加えるようになっている、伝導層を含んでもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略平行であり、剛体部材は、第1及び第2のアームと略垂直であってもよい。
アクチュエータは、電流を支持基板を通って伝導層に供給できるような方法で配置されていてもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略同じ材料から形成される。
【0020】
アクチュエータは、第1の層を推積及びエッチングして第1のアームを形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして、第1のアームの上方に犠牲層支持構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして、第2のアームを形成する工程と、犠牲層をエッチングして第1のアームと第2のアームとの間に間隙を形成する工程とによって製造してもよい。
【0021】
第1のアームは、第2の端において、伝導によって相互接続された2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。第2のアームもまた2つの細長い柔軟性を有する細長片を含んでもよい。
作動部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1の伝導アームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームは窒化チタンから形成してもよい。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、マイクロメカニカルなまたはマイクロエレクトロメカニカルなデバイス用の熱アクチュエータが提供される。かかるアクチュエータは、支持基板と、アクチュエータ延長部と、その第1の端において基板に取り付けられ、第2の端において延長部に取り付けられた第1のアームであって、使用中は伝導によって加熱可能なようになっている第1のアームと、第1の端において支持基板に取り付けられ、第2の端において延長部に取り付けられた第2のアームであって、第1のアームと間隔を置いて配置された第2のアームとを含み、使用中は、第1のアームが熱膨張し、それによってアクチュエータが延長部に力を加えるように配置されており、第1のアームは、第1のアームの略最高加熱点のところに少なくとも1つのヒートシンク要素を含み、この点は、使用中第1のアームの最高加熱が起こるところである。
【0023】
出願人は、ヒートシンク要素を設けることによって、第1のアームにおける最高温度を低くすることができるという点において、及び第1のアームの全体にわたってより均一な温度プロフィルを達成することができるという点において、熱によって曲がるアクチュエータの動作特性を改良することができる、ということを発見した。これによって、第1のアームにおいて誘発される熱膨張を最大にすることができる。
【0024】
ヒートシンク要素は、第1のアームの略中央に配置されていてもよい。
ヒートシンク要素は、第1のアームと第2のアームとを相互接続するように配置されていてもよい。
ヒートシンク要素は、第1のアームの主本体に接続された、少なくとも1つのタブ本体を含んでもよい。
タブ本体は、第1の薄くしたネック部を通して主本体に接続されていてもよい。
第1のアームは、それによって第1のアームが伝導によって加熱可能な、伝導層を含んでもよい。
【0025】
アクチュエータは、電流を支持基板を通って伝導層に供給できるような方法で配置されていてもよい。
第1及び第2のアームは、好ましくは略同じ材料から形成される。
延長部は、パドル構造を含んでもよい。従ってアクチュエータは、液体噴出チャンバからの液体の噴出に対してパドル構造が可動な状態で、液体噴出チャンバ内で用いてもよい。
第1の伝導アームは窒化チタンから形成してもよく、第2のアームは窒化チタンから形成してもよい。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、液体を噴出するための、その1つの壁における第1の開口部と、そこを通ってアクチュエータのアームが延びる、その壁における第2の開口部とを有するノズルチャンバを含む、液体噴出デバイスが提供される。アクチュエータのアームは、ノズルチャンバの外側に配置された基板に取り付けられ、ノズルチャンバの内側のパドルに接続されており、パドルは、アクチュエータのアームによって、液体を第1の開口部を通って噴出するように動作可能である。システムはさらに、第2の開口部の周りに形成された、第1の隆起したリムを含む。第1の隆起したリムは、アクチュエータのアームの動作中に、第1の隆起したリムとアクチュエータのアームとの間で液体の外面に沿って液体のメニスカスが形成されるような方法で、配置されている。
【0027】
従って、液体が第2の開口部を通ってノズルチャンバの外側に広がることは防止されるかもしれない。
アクチュエータは、好ましくは、第1の隆起したリムに隣接し、基板と略平行で基板から間隔を置いて配置された、平らな部分を含んでもよい。
第1の隆起したリムは、好ましくは、平らな部分と略平行な縁部を含んでもよい。
第1の隆起したリムは、隆起したリップを含んでもよい。
【0028】
デバイスはさらに、アクチュエータのアーム上に、第2の開口部の周りに形成された第1の隆起したリムに隣接して形成された、第2の隆起したリムを含んでもよい。この実施形態において、第2の隆起したリムは、液体が第2の開口部を通ってノズルチャンバの外側に広がることを防止する助けとなってもよい。
第1の隆起したリムは、アクチュエータのアームの一部もまた形成する層のデポジションから形成してもよい。
第1及び第2の隆起したリムのうちの少なくとも1つは、窒化チタンから形成してもよい。
第1の隆起したリムに隣接して、好ましくは、ウィッキングを低減する助けになるピットが形成される。
【0029】
本発明の第7の態様によれば、液体噴出デバイスが提供される。液体噴出デバイスは、ノズルチャンバと、ノズルチャンバ内に配置されて、第1の状態から噴出状態に動かされると、液体をノズルチャンバからノズルチャンバの1つの壁における開口部を通って噴出する、噴出パドルと、パドルが第1の状態にある時にはパドルによって略閉じているような方法で配置された、液体供給ポートとを含む。かかるノズルチャンバは、パドルが第1の状態にある時にはパドルのリムにぴったりと隣接して整列している、その壁構造上の内部突出部を含む。噴出状態において、パドルのリムのうちの少なくとも一部は、突出部から間隔を置いて配置されており、それによって、壁構造とパドルのリムのその一部との間に規定された液体再充填チャネルを形成する。
【0030】
内部突出部は、横断面が階段状であってもよい。
パドル及び内部突出部は、好ましくは1つのデポジション工程において形成される。
内部突出部は、ノズルチャンバの壁構造を形成する高アスペクト比のデポジション工程と比較してアスペクト比の低いデポジション工程を用いて形成してもよい。
パドルは、略平らであってもよい。
【0031】
本発明の範囲に入るかもしれないいかなる他の形式にもかかわらず、添付図面を参照して、実例のみとして、本発明の好ましい形式を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図2】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図3】好ましい実施形態の動作を概略的に示す。
【図4】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図5】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図6】第1の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図7】第2の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図8】第2の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図9】第3の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図10】第3の熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図11】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図12】図11の装置についての距離に関する温度の例示的グラフを示す。
【図13】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図14】図13の装置についての距離に関する温度の例示的グラフを示す。
【図15】更なる熱屈曲アクチュエータを概略的に示す。
【図16】好ましい実施形態のCMOS層の横から見た斜視図を示す。
【図17】1ミクロンのマスクを示す。
【図18】CMOS層の一部の平面図を示す。
【図19】犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図20】犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図21】犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図22】第1のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図23】第1のレベルの窒化チタンマスクの平面図を示す。
【図24】第1のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図25】第2のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図26】第2のレベルの犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図27】第2のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図28】第2のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図29】第2のレベルの窒化チタンマスクの平面図を示す。
【図30】第2のレベルの窒化チタン層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図31】第3のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図32】第3のレベルの犠牲ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図33】第3のレベルの犠牲ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図34】共形PECVDSiNH層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図35】共形PECVDSiNHマスクの平面図を示す。
【図36】共形PECVDSiNH層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図37】共形PECVDSiNHノズル先端エッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図38】共形PECVDSiNHノズル先端エッチングマスクの平面図を示す。
【図39】共形PECVDSiNHノズル先端エッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図40】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図41】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチングマスクの平面図を示す。
【図42】共形PECVDSiNHノズルルーフエッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図43】犠牲保護ポリイミド層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図44】犠牲保護ポリイミドマスクの平面図を示す。
【図45】犠牲保護ポリイミド層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図46】バックエッチング層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図47】バックエッチングマスクの平面図を示す。
【図48】バックエッチング層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図49】ストリッピング犠牲材料層を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図50】ストリッピング犠牲材料マスクの平面図を示す。
【図51】ストリッピング犠牲材料層を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図52】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験を有する好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図53】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験のマスクの平面図を示す。
【図54】パッケージング、ボンディング、プライミング、及び試験を有する好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図55】滴を噴出している好ましい実施形態の横から見た斜視断面図を示す。
【図56】作動しているときの好ましい実施形態の横から見た斜視図を示す。
【図57】滴を噴出している好ましい実施形態の横から見た斜視断面図を示す。
【図58】復帰している時の好ましい実施形態の一部断面の側面図を示す。
【図59】好ましい実施形態の平面図を示す。
【図60】アクチュエータのアーム及びノズルチャンバを示す横から見た拡大斜視図である。
【図61】アクチュエータのパドルのリム及びノズルチャンバを示す横から見た拡大斜視図である。
【図62】アクチュエータのヒータ要素を示す横から見た拡大斜視図である。
【図63】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの平面図を示す。
【図64】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの横から見た斜視断面図を示す。
【図65】ウエハー上に形成されたノズルのアレイの横から見た拡大斜視断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
好ましい実施形態において、熱によって曲がるアクチュエータを利用してノズルチャンバからインクを噴出する、コンパクトな形式の液体噴出デバイスが提供される。
【0034】
まず図1ないし3を参照して、好ましい実施形態の動作原理を説明する。図1に示すように、インク噴出装置1が提供される。インク噴出装置1は、通常インクで満たされて、隆起したリムを有するインク噴出ノズル4の周りにメニスカス3を形成するようになっている、ノズルチャンバ2を含む。ノズルチャンバ2内のインクは、インク供給チャネル5によって補給される。
【0035】
ノズルのパドル8にしっかりと相互接続された熱アクチュエータ7によって、インクはノズルチャンバ2から噴出される。熱アクチュエータ7は、2つのアーム10、11を含み、下のアーム11は電流源に相互接続されていて、下のアーム11の伝導加熱を行うようになっている。ノズルチャンバ2から滴を噴出することが所望される場合、下のアーム11が加熱されて、このアーム11が上のアーム10に関して急速に膨張するようにする。この急速な膨張によって今度は、パドル8がノズルチャンバ2内で急速に上向きに動く。図2に、この最初の動きを示す。アーム8が上向きに動いて、ノズルチャンバ2内の圧力が本質的に上昇するようになっており、この圧力上昇によって今度は、インクがノズル4から流出し、メニスカス3が膨れ上がる。次にヒータ11への電流をオフにして、図3に示すように、パドル8がその元の位置への復帰を開始するようにする。この結果、ノズルチャンバ2内の圧力が本質的に低下する。ノズルのリム4の外側のインクは前方に勢いがついているので、その結果メニスカスがくびれて分かれ、図3に示すように、メニスカス3と気泡13とを形成するようになる。気泡13は前方に、インク印字媒体上へと進み続ける。
【0036】
重要なことであるが、ノズルチャンバは縦断面の縁15を含み、図2に示すように、これによって、パドル8が上に動くときに、チャネルの空間16が大きく増大する。このようにチャネルの空間16が大きくなることによって、インクのメニスカス3の表面張力効果によって、チャネル16を通ってインクが引き込まれ、実体量のインクが急速にノズルチャンバ2に流入することができる。ノズルチャンバのプロファイルによって、ノズルチャンバを急速に再充填することができ、この装置は結局、前に図1に示したように、静止位置に復帰する。
【0037】
装置1はまた、多数のその他の重要な特徴も含む。こういったものには、図1に示すような円形のリム18が含まれる。円形のリム18は、パドル8の外周の周りに形成され、パドル8の構造上の支持を行いながら、図3に示すメニスカス3と、パドル表面8との間の距離を実質的に最大にしている。この距離を最大にすることによって、メニスカス3がパドル表面8と接触しそれによって動作特性に影響を与える可能性が、低くなる。さらに、製造工程の一部として、表面、たとえば20、に沿ってインクがウィッキングし、それによって装置1の動作特性に影響を与える可能性を低減するための、インク流出防止リップ19が設けられる。
【0038】
熱アクチュエータ7の動作原理を、まず図4から10を参照して説明する。まず図4を参照して、基板22に取り付けられた、熱によって曲がるアクチュエータを示す。熱によって曲がるアクチュエータは、アクチュエータのアーム23を含み、その両側には作動アーム24、25がある。2つのアーム24、25は、好ましくは同じ材料から形成され、互いに熱的な釣り合いがとれるようになっている。さらに、アクチュエータのアーム23の表面には、圧力Pが働くとする。圧力の上昇が所望の場合には、図5に示すように、下のアーム25が加熱され、上のアーム24と下のアーム25との間の引っ張り応力が小さくなるようにする。この結果、アクチュエータのアーム23に働く合力が出力され、その結果、アクチュエータのアーム23が全体として上向きに動く。
【0039】
不都合なことに、実際には、アーム24、25が長すぎる場合、アーム25を加熱すると、図6に示すような反り状態に入ってしまう危険があるということがわかっている。この反り状態は、アクチュエータのアーム23の動作有効性を低減する。図6に示すような反り状態の可能性は、より小さな、熱によって曲がるアーム24、25を利用することによって、本質的に低くすることができる。このように変形した装置を、図7に示す。図8に示すように下の熱アーム25を加熱すると、アクチュエータのアーム23が上向きに曲がり、システムが図6の反り状態に入る可能性が本質的に低くなる、ということがわかっている。
【0040】
図8の装置において、アクチュエータのアーム23のうちの、作動部24と25との間の部分26は、剪断応力状態になり、その結果、この実施形態においては動作効率が失われてしまうかもしれない。さらに、材料26が存在することの結果として、アーム部25からアーム部24へと急速に熱が伝導する可能性がある。
さらに、熱アーム25は、アーム23を動作するのに好適な温度で動作させなければならない。従って動作特性は、部分26の特性、たとえば融点、によって制限される。
【0041】
図9において、熱によって曲がるアクチュエータの他の形式を示す。かかるアクチュエータは、2つのアーム24、25及びアクチュエータのアーム23を含むが、アームとアームとの間には、空間すなわち間隙28が設けられている。アームの一方を加熱すると、図10に示すように、アーム25が以前と同様に上向きに曲がる。図10の装置は、アーム24、25の動作特性、たとえば温度、がアーム23において利用されている材料によって必ずしも制限されなくてもよい、という利点を有する。さらに、図10の装置は、アーム23内に剪断力を誘発することがなく、動作中に層間剥離が起こってしまう可能性も低い。こういった原理が、図1ないし図3の装置の熱によって曲がるアクチュエータにおいて利用されて、よりエネルギー効率のよい動作形式が提供されるようになっている。
【0042】
さらに、より効率のよい動作形式の熱アクチュエータを提供するために、多数の更なる工夫が図られる。熱アクチュエータは伝導加熱に依存しており、好ましい実施形態において利用される装置は、図11において示すように、材料30に概略的に単純化することができる。材料30は、第1の端31のところで基板に、第2の端32のところで負荷に、相互接続されている。アーム30は、伝導によって加熱され、膨張して負荷32に力を及ぼすようになっている。伝導によって加熱すると、温度プロフィルはおよそ図12に示すようなものになる。2つの端31、32は、その伝導加熱についての「ヒートシンク」としての役割を果たし、従って、温度プロフィルはそれぞれの端においてより低く、中央において最も高い。中央36における温度が融点35を超えるとアームは作動しないかもしれない、という点において、アーム30の動作特性は、融点35によって決まる。図12のグラフは、図11におけるアーム30がその長さに沿って均一に加熱されているわけではないという点において、最適ではない結果を表している。
【0043】
図13に示すように、ヒートシンク38、39をアーム30の中央部に含むようにアーム30を変形することによって、図14に示すような、より好適な熱プロフィルを達成することができる。図14のプロフィルは、アーム30の長さにわたってより均一に加熱されており、それによって全体の動作がより効率的になる。
【0044】
次に図15を参照して、一連の支柱を設けて2つのアクチュエータ作動アーム24、25を結合することによって、更なる効率及び反りの可能性の低減を達成することができる。このような装置を、図15において概略的に示す。図15において、一連の支柱、たとえば40、41が設けられて2つのアーム24、25を結合し、その反りを防止するようになっている。従って、下のアーム25は、加熱すると上向きに曲がる可能性がより高くなり、それによってアクチュエータのアーム23もまた上向きに曲がる。
【0045】
インクジェット印字MEMSデバイスの詳細な構成の1形式を、次に説明する。図面のいくつかにおいて、図17において示すような1ミクロンの格子を、準拠枠として利用する。
【0046】
工程1及び2.出発物質を、図16ないし図18において示すように好適に処理及び不活性化した(窒化シリコンを用いて)CMOSウエハー100とする。
【0047】
工程3.図19ないし図21において示すように、1ミクロンのスピンオン感光性ポリイミド102を推積し、図20のマスク104を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド102を現像する。
ポリイミド102は犠牲的であるので、幅広い範囲の他の材料を用いることができる。感光性ポリイミドであれば、デポジション、エッチング、及びレジストストリッピングの各工程が省かれるので、処理が簡単になる。
【0048】
工程4.図22ないし図24に示すように、0.2ミクロンのマグネトロンをスパッタリングした窒化チタン106を300℃で推積し、図23のマスク108を用いてエッチングする。これによって、アクチュエータ層105及びパドル107を含む層を形成する。
【0049】
工程5.図25ないし図27において示すように、1.5ミクロンの感光性ポリイミド110をスピンオンし、図26のマスク112を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド110を現像する。この厚さが結局、アクチュエータと補償窒化チタン層との間の間隙101を決定するので、アクチュエータが曲がる量に影響を与える。
工程3に関して、感光性ポリイミドを用いることによって、デポジション、エッチング、及びレジストストリッピングの各工程が省かれるので、処理が簡単になる。
【0050】
工程6.図28ないし図30において示すように、0.05ミクロンの共形PECVD窒化シリコン(SixNyHz)(様々な各層の相対的寸法のために、図示せず)を300℃で推積する。次に、0.2ミクロンのマグネトロンをスパッタリングした窒化チタン116を、これもまた300℃で推積する。このTiN116を、図29のマスク119を用いてエッチングする。次にこのTiN116をマスクとして用いて、PECVD窒化物をエッチングする。
【0051】
TiN116の段差被覆が良好であるということは、重要ではない。TiN116の最上層は電気的に接続されておらず、純粋に機械的な構成要素として用いられる。
【0052】
工程7.図31ないし図33において示すように、6ミクロンの感光性ポリイミド118をスピンオンし、図32のマスク120を通して紫外光を用いて露光する。次にポリイミド118を現像する。この厚さが、ノズルチャンバルーフまでの高さを決定する。この高さがある距離(滴分裂特性によって決まる)を越えれば、実際の高さはほとんど重要ではない。しかしこの高さは、応力を小さくしリソグラフィーの精度を上げるように、制限されるべきである。6ミクロンのポリイミド118の一番上と一番下との間に1ミクロンのテーパーを設けることは、容易に行える。
【0053】
工程8.図34ないし図36において示すように、2ミクロン(ポリイミド118を越える厚さ)のPECVD窒化シリコン122が300℃で推積される。これによって、ノズルチャンバを形成している前述のPSポリイミド層118において形成されたチャネルが満たされる。マスクは用いない(図35)。
【0054】
工程9.図37ないし図39において示すように、図38のマスク124を用いて、1ミクロンの公称(nominal)深さまでPECVD窒化シリコン122をエッチングする。このエッチング深さは決定的に重要なものではなく±50%までばらついてもよいので、これは単純な時限エッチングである。
このエッチングは、ノズルのリム126及びアクチュエータのポートのリム128を形成する。こういったリムを用いて、インクのメニスカスをある位置に固定し、インクが広がるのを防止する。
【0055】
工程10.図40ないし図42に示すように、図41のマスク130を用いて、PECVD窒化シリコン122を、1ミクロンの公称深さまでエッチングして、ポリイミド118上で止める。前述の2つの工程におけるばらつきは、100%のオーバーエッチングで対応することができ、製造公差を緩やかにすることができる。
このエッチングは、ノズルチャンバのルーフ132を形成する。
【0056】
工程11.図43ないし図45において示すように、公称3ミクロンのポリイミド134を、バックエッチング用の保護層としてスピンオンする(マスクなし−図44)。
【0057】
工程12.図46ないし図48において示すように、ウエハー100を300ミクロンまで薄くし(バックエッチングの時間を短くするために)、ウエハー100の裏側136上の3ミクロンのレジスト(図示せず)を、図47のマスク138を通して露光する。ウエハー100の表側上の金属部103に位置を合わせる。この位置合わせは、ウエハーアライナへの赤外顕微鏡アタッチメントを用いて行うことができる。
【0058】
次に、ウエハー100を、ディープ・シリコン・エッチング「ボッシュ・プロセス」を用いて、330ミクロンの深さまで(10%のオーバーエッチングを許容)エッチングする(裏側36から)。このプロセスは、アルカテル、プラズマ・サーム、及びサーフィス・テクノロジー・システムズからのプラズマエッチャー上で利用できる。チップはまた、このエッチングによってダイシングされるが、ウエハーは11ミクロンの様々なポリイミドの層によって、まだ一緒に保持されている。
【0059】
工程13.図49ないし図51を参照して説明するように、ウエハー100をひっくり返し、トレイ内に配置し、犠牲ポリイミド層102、110、118、134のすべてを、マスクを用いないで酸素プラズマ内でエッチングする(図60)。
【0060】
工程14.図52ないし図54を参照して説明するように、標準パッケージに0.5mmのホールドをドリリングしパッケージにインクホース(図示せず)を接着することによって、パッケージが作成される。このインクホースは、0.5ミクロンのアブソリュートフィルターを含んで、インク121からのノズルの汚染を防止するべきである。
【0061】
図55ないし図62は、好ましい実施形態の様々な図を示し、そのうちのいくつかは、動作中の実施形態を示す。
明らかに、プリントヘッド202の大きなアレイ200は、様々なプリントヘッドのアレイの図を示す図63ないし図56において示すように、同時に構成することができる。
【0062】
現在開示しているインクジェット印字技術は、潜在的に幅広い範囲の印字システムに好適である。こういった印字システムは、カラー及びモノクロのオフィスプリンタ、ショートランデジタルプリンタ、高速デジタルプリンタ、オフセット印刷機を補足するプリンタ、低コストスキャンプリンタ、高速ページ幅プリンタ、ページ幅プリンタを内蔵したノート型コンピュータ、ポータブルのカラー及びモノクロのプリンタ、カラー及びモノクロの複写機、カラー及びモノクロのファクシミリ、プリンタとファクシミリと複写機とを組み合わせたもの、ラベルプリンタ、フォーマットの大きなプロッタ、写真複写機、デジタル写真「ミニラボ」用プリンタ、ビデオプリンタ、フォトCDプリンタ、PDA用ポータブルプリンタ、壁紙プリンタ、屋内サインプリンタ、屋外広告板プリンタ、ファブリックプリンタ、カメラプリンタ、及び故障許容の市販のプリンタのアレイを含む。
【0063】
さらに、略述したMEMS原理は、MEMSデバイスの構成において一般的な適用可能性を有する。
【0064】
当業者であれば、広く説明した本発明の精神または範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態において示す本発明に、非常に多くの変更及び/または変形を行ってもよい、ということが理解されよう。従って好ましい実施形態は、すべての点において例示的であり限定的ではないものとしてみなされなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルチャンバ内から該ノズルチャンバの1つの壁において規定された液体噴出ノズルを通って液体を噴出するパドルであって、
使用中は前記ノズルに対向し該ノズルから間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、
該第1の部分の周辺における前記プランジャ表面上に形成されて前記第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分と
を含み、それによって、使用中、前記プランジャが作動して液体を前記ノズルを通って噴出している間、前記第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、前記プランジャ表面が前記ノズルに触れるのを防止するパドル。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記プランジャ表面の中央部が使用中に前記ノズルと略整列した状態で、前記中央部の周りに壁構造を規定するように構成されている請求項1に記載のパドル。
【請求項3】
前記中央部は、前記ノズルと同じ寸法である請求項2に記載のパドル。
【請求項4】
前記第1の部分は外周が円形であり、前記第2の部分は、前記パドルの前記外周の周りの環形を含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載のパドル。
【請求項5】
前記壁構造は、部分的に下部をカットされている請求項2に記載のパドル。
【請求項6】
前記パドルは、第1の層を推積及びエッチングして前記第1の部分を形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして前記第1の部分の一部の上に犠牲層構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして前記第2の部分を形成し、前記犠牲層をエッチングして前記第2の部分が部分的に下部をカットされるようにする工程とによって形成される請求項5に記載のパドル。
【請求項7】
液体を噴出するための、その1つの壁における第1の開口部と、そこを通ってアクチュエータのアームが延びる、その壁における第2の開口部とを有するノズルチャンバであって、前記アクチュエータのアームは、前記ノズルチャンバの外側に配置された基板に取り付けられ、前記ノズルチャンバの内側のパドルに接続されており、該パドルは、前記アクチュエータのアームによって、前記液体を前記第1の開口部を通って噴出するように動作可能であるノズルチャンバと、
前記第2の開口部の周りに形成された、第1の隆起したリムであって、前記アクチュエータのアームの動作中に、前記第1の隆起したリムと前記アクチュエータのアームとの間で前記液体の外面に沿って液体のメニスカスが形成されるような方法で配置されている、第1の隆起したリムと
を含む液体噴出デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記第1の隆起したリムに隣接し前記基板と略平行で該基板から間隔を置いて配置された平らな部分を含む請求項7に記載の液体噴出デバイス。
【請求項9】
前記第1の隆起したリムは、前記平らな部分と略平行な縁部を含む請求項8に記載の液体噴出デバイス。
【請求項10】
前記第1の隆起したリムは、隆起したリップを含む請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項11】
前記アクチュエータのアーム上に、前記第2の開口部の周りに形成された前記第1の隆起したリムに隣接して形成された、第2の隆起したリムをさらに含む請求項7〜10のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項12】
前記第1の隆起したリムは、前記アクチュエータのアームの一部もまた形成する層のデポジションから形成される請求項7〜11のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項13】
前記第1及び第2の隆起したリムのうちの少なくとも1つは、窒化チタンから形成される請求項7〜12のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項14】
前記第1の隆起したリムに隣接して、ウィッキングを低減する助けになるピットが形成される請求項7〜13のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項15】
ノズルチャンバと、
該ノズルチャンバ内に配置されて、第1の状態から噴出状態に動かされると、液体を前記ノズルチャンバから該ノズルチャンバの1つの壁における開口部を通って噴出する、噴出パドルと、
該パドルが前記第1の状態にある時には、前記パドルによって略閉じているような方法で配置された、液体供給ポートと
を含み、
前記ノズルチャンバは、前記パドルが前記第1の状態にある時には、前記パドルのリムにぴったりと隣接して整列している、その壁構造上の内部突出部を含み、
前記噴出状態において、前記パドルの前記リムのうちの少なくとも一部は、前記突出部から間隔を置いて配置されており、それによって、前記壁構造と前記パドルの前記リムの前記一部との間に規定された液体再充填チャネルを形成する液体噴出デバイス。
【請求項16】
前記内部突出部は、横断面が階段状である請求項15に記載の液体噴出デバイス。
【請求項17】
前記パドル及び前記内部突出部は、1つのデポジション工程において形成される請求項15または16に記載の液体噴出デバイス。
【請求項18】
前記内部突出部は、前記ノズルチャンバの前記壁構造を形成する高アスペクト比のデポジション工程と比較してアスペクト比の低いデポジション工程を用いて形成される請求項15〜17のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項19】
前記パドルは略平らである請求項15〜18のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項1】
ノズルチャンバ内から該ノズルチャンバの1つの壁において規定された液体噴出ノズルを通って液体を噴出するパドルであって、
使用中は前記ノズルに対向し該ノズルから間隔を置いて配置された略平らなプランジャ表面を提供するように構成された第1の部分と、
該第1の部分の周辺における前記プランジャ表面上に形成されて前記第1の部分の構造上の支持を行う第2の部分と
を含み、それによって、使用中、前記プランジャが作動して液体を前記ノズルを通って噴出している間、前記第2の部分がスペーサとしての役割を果たして、前記プランジャ表面が前記ノズルに触れるのを防止するパドル。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記プランジャ表面の中央部が使用中に前記ノズルと略整列した状態で、前記中央部の周りに壁構造を規定するように構成されている請求項1に記載のパドル。
【請求項3】
前記中央部は、前記ノズルと同じ寸法である請求項2に記載のパドル。
【請求項4】
前記第1の部分は外周が円形であり、前記第2の部分は、前記パドルの前記外周の周りの環形を含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載のパドル。
【請求項5】
前記壁構造は、部分的に下部をカットされている請求項2に記載のパドル。
【請求項6】
前記パドルは、第1の層を推積及びエッチングして前記第1の部分を形成する工程と、第2の層を推積及びエッチングして前記第1の部分の一部の上に犠牲層構造を形成する工程と、第3の層を推積及びエッチングして前記第2の部分を形成し、前記犠牲層をエッチングして前記第2の部分が部分的に下部をカットされるようにする工程とによって形成される請求項5に記載のパドル。
【請求項7】
液体を噴出するための、その1つの壁における第1の開口部と、そこを通ってアクチュエータのアームが延びる、その壁における第2の開口部とを有するノズルチャンバであって、前記アクチュエータのアームは、前記ノズルチャンバの外側に配置された基板に取り付けられ、前記ノズルチャンバの内側のパドルに接続されており、該パドルは、前記アクチュエータのアームによって、前記液体を前記第1の開口部を通って噴出するように動作可能であるノズルチャンバと、
前記第2の開口部の周りに形成された、第1の隆起したリムであって、前記アクチュエータのアームの動作中に、前記第1の隆起したリムと前記アクチュエータのアームとの間で前記液体の外面に沿って液体のメニスカスが形成されるような方法で配置されている、第1の隆起したリムと
を含む液体噴出デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記第1の隆起したリムに隣接し前記基板と略平行で該基板から間隔を置いて配置された平らな部分を含む請求項7に記載の液体噴出デバイス。
【請求項9】
前記第1の隆起したリムは、前記平らな部分と略平行な縁部を含む請求項8に記載の液体噴出デバイス。
【請求項10】
前記第1の隆起したリムは、隆起したリップを含む請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項11】
前記アクチュエータのアーム上に、前記第2の開口部の周りに形成された前記第1の隆起したリムに隣接して形成された、第2の隆起したリムをさらに含む請求項7〜10のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項12】
前記第1の隆起したリムは、前記アクチュエータのアームの一部もまた形成する層のデポジションから形成される請求項7〜11のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項13】
前記第1及び第2の隆起したリムのうちの少なくとも1つは、窒化チタンから形成される請求項7〜12のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項14】
前記第1の隆起したリムに隣接して、ウィッキングを低減する助けになるピットが形成される請求項7〜13のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項15】
ノズルチャンバと、
該ノズルチャンバ内に配置されて、第1の状態から噴出状態に動かされると、液体を前記ノズルチャンバから該ノズルチャンバの1つの壁における開口部を通って噴出する、噴出パドルと、
該パドルが前記第1の状態にある時には、前記パドルによって略閉じているような方法で配置された、液体供給ポートと
を含み、
前記ノズルチャンバは、前記パドルが前記第1の状態にある時には、前記パドルのリムにぴったりと隣接して整列している、その壁構造上の内部突出部を含み、
前記噴出状態において、前記パドルの前記リムのうちの少なくとも一部は、前記突出部から間隔を置いて配置されており、それによって、前記壁構造と前記パドルの前記リムの前記一部との間に規定された液体再充填チャネルを形成する液体噴出デバイス。
【請求項16】
前記内部突出部は、横断面が階段状である請求項15に記載の液体噴出デバイス。
【請求項17】
前記パドル及び前記内部突出部は、1つのデポジション工程において形成される請求項15または16に記載の液体噴出デバイス。
【請求項18】
前記内部突出部は、前記ノズルチャンバの前記壁構造を形成する高アスペクト比のデポジション工程と比較してアスペクト比の低いデポジション工程を用いて形成される請求項15〜17のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【請求項19】
前記パドルは略平らである請求項15〜18のいずれか一項に記載の液体噴出デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
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【図39】
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【図41】
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【図43】
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【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
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【図51】
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【図59】
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【図11】
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【図18】
【図19】
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【図28】
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【図65】
【公開番号】特開2010−173327(P2010−173327A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61220(P2010−61220)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2000−599685(P2000−599685)の分割
【原出願日】平成12年2月11日(2000.2.11)
【出願人】(500142213)シルバーブルック リサーチ プロプライエタリイ、リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】SILVERBROOK RESEARCH PTY.LIMITED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2000−599685(P2000−599685)の分割
【原出願日】平成12年2月11日(2000.2.11)
【出願人】(500142213)シルバーブルック リサーチ プロプライエタリイ、リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】SILVERBROOK RESEARCH PTY.LIMITED
【Fターム(参考)】
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