説明

液体を蒸発させる放出器具、その方法、および蒸発器

液体を大気中に放出器具及び方法が開示される。ガスによって加圧された液体を流量制限装置(5)を経て蒸発器(7)に供給され、流量制限装置は、液体の流量を制限して連続した放出が可能であるようにし、蒸発器は、蒸発面を有し、この蒸発面は、好ましくは、表面積が増大させられていると共に(或いは)液体が蒸発面上でほぼ一様な膜を形成するように微細構造化によって設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本願請求項1の前文に記載された液体を蒸発させる放出器具、液体を蒸発させる蒸発器及び液体を大気中に蒸発させる方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、好ましくは密閉空間内の任意の活性成分、例えば、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air freshener)、医薬品等の小出しに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの連続液体送出し器具が、市場に出回っており又は提案された。大きく分けて2つの種類、例えば、受動型及び能動型がある。受動型器具では、液体をキャリヤ、例えばゲル、フォーム又は液体溶剤中に吸収させ、希釈し又は溶解させる。このような受動型器具では、大気中への液体又は任意の活性成分の移送は、室温及び空気循環量に依存する蒸発量で決まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多種多様な連続及び非連続能動型器具が、提案され又は市販されている。能動型器具には、受動型器具に蒸発エンハンサ、例えば電気ヒータ又は送風機を追加したものをベースしているものがある。能動型器具の中には、間欠的に連続しているに過ぎず、ユーザがボタンを押して活性成分を含有した液体のエアゾロル化雲を放出し、次にこれを大気中で蒸発させる方式のものもある。この種の典型的な器具は、壁取付け型加圧エアゾール缶であり、かかるエアゾール缶は、ユーザがレバー又は任意他のアクチュエータを押したときにユーザにより直接的に又は例えばドアを開いたときにユーザにより間接的に作動される。
【0005】
本発明の目的は、液体のより一様な且つ(或いは)連続した放出及び蒸発が可能であり、特に、室温及び空気循環への依存性を無くし又は少なくとも減少させることができ、ユーザ又は何らかの電気的装置による定期的、直接的又は間接的な作動が不要である、液体を蒸発させる放出器具及び方法並びに蒸発器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の放出器具、請求項30に記載の蒸発器、又は請求項36に記載の方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属形式の請求項の内容である。
【0007】
本発明の基本的な構想は、容器から蒸発器への加圧液体の流量を制限して弁等の間欠的な動作が不要であるようにする流量制限装置を用いることにある。その代わり、液体の連続放出及び連続蒸発のために装置を作動させたり作動停止させる弁を永続的に開いておくのがよく、このことは、少なくとも、長期間にわたること及び(又は)頻繁な閉鎖が不要であることを意味している。これにより、非常に簡単な取扱いが可能になる。さらに、流量制限装置は、流量を決定し、実際の蒸発量を決定する。したがって、室温、空気循環等に対する蒸発量の依存性を無くすことができ又は少なくとも減少させることができる。
【0008】
好ましくは、流量制限装置は、液体の流量を所望に応じて制限する少なくとも1つのチャネル、特に、長い毛管状チャネルを有する。
【0009】
実際のエネルギー源は好ましくは、ガスであり、このガスは、液化ガス又は圧縮ガスであるのがよい。ガスは、液体又は任意の活性成分と一緒に、好ましくは、必要ならば溶剤又は増量剤を加えて加圧容器内に貯蔵される。
【0010】
本発明では、「液体」という用語は、広い意味に理解されなければならない。特に、この用語は、蒸発可能なあらゆる種類の成分、液体、流体、混合物、懸濁液、液化ガス等を含むものとする。好ましくは、液体は、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分であり、或いは、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分を含有する。
【0011】
本発明の別の特徴は、液体を蒸発させる蒸発器に関する。この蒸発器は、蒸発面を有し、この蒸発面は、好ましくは、表面積が増大させられていると共に(或いは)液体が蒸発面上でほぼ一様な膜を形成するように微細構造化によって設計されている。このようにして、室温、空気循環等に対する蒸発量の依存性を無くすことができ又は少なくとも減少させることができる。
【0012】
本発明の別の観点、利点及び特徴は、特許請求の範囲及び好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0013】
図中、同一の参照符号は、同一又は類似のコンポーネントについて用いられており、同一又は類似の特徴又は利点は、説明の繰り返しを省いた場合であっても達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の放出器具Dの概略断面図である。放出器具Dは、液体2入りの容器1を有する。液体2は、好ましくは、活性成分、溶剤及び(又は)液体及び圧縮ガスを含む。「液体」という用語については上述のとおりである。
【0015】
液体2は、容器1内に納められた袋(図示せず)の中に入れられるのがよく、ガスがこの袋の外部に存在している。従来型袋又は弁装置に設けられた袋のいずれも使用できる。また、容器1内のピストンを用いると、所望ならば又は必要ならばガスと液体2を分離することができる。ピストンを用いる場合、ガスに代えて付勢手段、例えばばねを用いるのがよい。しかしながら、流体2を容器1内で加圧する他の手段も設けることができる。
放出器具Dは、任意的に、好ましくは容器1の頂部に取り付けられる弁3を有し、放出器具は、好ましくは、容器1の底まで下に延びる浸漬チューブ4を有する。
【0016】
弁3は好ましくは、従来型エアゾール弁等である。これにより、組立て及び充填が単純化される。弁3は好ましくは、オンオフ型のものである。しかしながら、弁3は又、これを一度だけ開くことができるように設計されたものであってもよい。この場合、弁3は、取外し可能な蓋、キャップ等によって形成されるのがよい。変形例として、計量弁を用いてもよい。このように、弁を開くたびに、正確に計量された量の液体2が放出される。好ましくは、弁3は、その開き状態及び(又は)閉じ状態にロックできる。
【0017】
放出器具Dは、好ましくはステム6を介して容器1/弁3と流体結合された流量制限装置5を更に有している。このように、流量制限装置5は、弁3の後に配置されている。しかしながら、流量制限装置5を弁3の前に配置すると共に(或いは)流量制限装置を弁3に組み込むことも又可能である。また、変形例として、浸漬チューブ4は、流量制限装置5によって置き換えられてもよく又は流量制限装置5を形成してもよい。
【0018】
放出器具Dは、蒸発のために液体2を供給できる流量制限装置5の出口に流体結合された蒸発器7を更に有している。
【0019】
放出器具Dは、アクチュエータ8を有しているが、このようにするかどうかは任意である。アクチュエータ8を容器1及び(又は)弁3に取り付けてアクチュエータ8を押し下げることにより弁3を開くことができるようにするのがよい。好ましくは、アクチュエータ8は、弁3をいったん開くと、ユーザがアクチュエータ8を押すのを止めた後でも弁が開いたままであるように設計されている。これは、ラチェット機構体、ロック機構体等によって達成できる。
【0020】
好ましくは、アクチュエータ8は、ユーザが弁3をオンにし、これを開き位置のままであるようにすることができるロック機構体を有している。ロック機構体は、弁3を開き位置に永続的にロックでき又はオンオフ特徴を有するのがよい。
【0021】
計量弁又は任意他の計量装置を組み込んで各作動後、又はアクチュエータ8を開き位置にロックするたびに液体2の放出量を制限するのがよい。
【0022】
容器1は、弁3を上にした状態で使用するのがよく、この場合、従来型浸漬チューブ4が用いられる。変形例として、容器1をアクチュエータ8が底部に位置した状態で逆さまの位置で用いてもよく、この場合、浸漬チューブ4は不要である。
【0023】
流量制限装置5は、アクチュエータ8内に設けてもよく、又はアクチュエータ8に組み込んでもよい。
【0024】
好ましくは、液体2は、ガス、特に液化ガス又は圧縮ガスによって容器1内で加圧される。液化ガスを用いる場合、この液化ガスは、炭化水素、例えば、ブタン、プロパン又はDME又は任意適当なHFAガス、例えば134aがよい。任意の重量パーセントの液化ガスを用途に応じて使用できる。推定使用期限が1ないし3箇月の容器の場合、ガスの好ましい重量パーセントは、好ましくは、5ないし50重量%である。液化ガスを液体2、特に、活性成分/溶剤混合液中に溶解させた場合、容器1内の圧力は、純粋ガスの蒸気圧未満であるのがよい。
【0025】
圧縮ガスを用いる場合、圧力調整要素(図示せず)を設けて液体2の流量を液体レベルが容器1内で低下し、ガスにより充填された液体2の上方の空間9が増大すると生じる圧力変化とは無関係に一定に保つのがよい。圧力調整要素は、流量制限装置5内への圧力を自動的に調整することができ、或いは、ユーザにより、例えば、アクチュエータ8をひねることにより圧力調整要素を制御して容器内の圧力が使用につれて低下すると流量制限具合を減少させるのがよい。圧力調整装置を以下に説明するように流量制限装置5に組み込むのがよい。任意の圧縮ガス、例えば、空気、窒素又はCO2を用いることができる。
【0026】
容器1内の圧力は、好ましくは、5hPaないし1MPa、好ましくは、50hPaないし0.2MPaである。これは、特に、大気又は室温に適用できる。
【0027】
流量制限装置5は、弁3の開き状態において、容器1から蒸発器7への液体2の流量を蒸発器7による液体2の予想蒸発量よりも少なく又は略これに等しいように制限する。このように、弁3を弁1からの液体2の連続放出及び蒸発器7による液体2の連続蒸発を可能にするよう永続的に開いておくことができる。
【0028】
流量制限装置5は、好ましくは、液体2の流量を制限して、流量が0.01ないし2.0g/d(1日当たりのグラム数)、最も好ましくは、0.05ないし0.5g/dであるようにする。これは、大抵の用途、特に、エアフレッショナー等に適した比較的低い妥当な範囲である。
【0029】
放出器具Dの使用可能な寿命は、好ましくは、弁3を永続的に開いた状態で2ないし36週間である。弁3を閉じた状態では、放出器具Dを少なくとも2年間以上保存することができる。
【0030】
最も好ましい実施形態によれば、流量制限装置5は、図2の流量制限装置5の概略断面図に示すように、少なくとも1つの絞りチャネル10、好ましくは、長い毛管状チューブ又はチャネル10を有している。
【0031】
液体2の流量、圧力、粘度及び密度がいったん分かると、伝統的な層流に関する方程式を用いることによりチャネル10の所要長さ及び所要直径を計算することができる。チャネル10の長さが短ければ短いほど、流量及び組をなす物理的パラメータが任意所与の場合に必要な水力直径がそれだけ一層小さくなる。
【0032】
直径は、詰まり又は閉塞を最小限に抑えるためにできるだけ大きいことが必要である。好ましくは、チャネル10の平均又は水力直径は、1μmないし1mm、より好ましくは50ないし200μm、特に75ないし125μmである。チャネル10の断面は、任意適当な形態のものであってよく、必ずしも円形である必要はない。
【0033】
長さは又、流れ抵抗、及び流量を決定する要因であり、好ましくは、チャネル長さは、1mmないし10m、より好ましくは10mmないし1mである。
【0034】
図示の実施形態では、チャネル10は、蛇行形状のものである。しかしながら、後で説明する別の実施形態に示すように、チャネル10は、ほぼ真っ直ぐでも、或いは螺旋形状でもよい。
【0035】
別の実施形態では、チャネル10は、蒸発量が流量よりも非常に高い場合にチャネル10が完全に空になるのを回避するために、毛管力が高い部分を有し又はこれを形成し、この部分は、特に、直径又は断面の減少に起因して得られる。この部分(図示せず)は好ましくは、流量制限装置5及び(又は)チャネル10の出口弁の近くに形成される。
【0036】
別の実施形態(図示せず)によれば、流量制限装置5は、互いに並列接続された多数のチャネル10を有する。チャネル10はそれぞれ、流量を変化させるために好ましくは可変的に使用される(即ち、少なくとも1つのチャネル10を個々に遮断するのがよい)。特に、この構成は、上述の圧力調整装置を形成することができ、容器1内の圧力が低下して流れ抵抗が減少すると、チャネル10を順次開くのがよい。好ましくは、ユーザは、ボタンを押し、アクチュエータ8を回し、任意他の要素等を操作することにより一流量から少なくとも一つの別の流量に切り換えるのがよい。このように、流量は、調節可能である。しかしながら、特にチャネル10の有効長さ又は有効直径を変えることにより且つ(或いは)絞り弁(図示せず)等のような追加の手段の使用により流量を調節するよう使用できる他の考えられる手段が存在する。
【0037】
好ましくは、流量制限装置5は、図2に示すように好ましくはプラスチックで作られた成形本体12を有し、この成形本体は、チャネル10及び任意的にチャネル10の上流側に位置するフィルタ13を形成する。構造化本体12及び(又は)チャネル10若しくは任意他の流量制限構造体は、任意適当な材料で作られると共に(或いは)成形以外の任意他の適当な方法で構造化されてもよい。
【0038】
構造化本体12は好ましくは、蓋、フィルム又は任意他の適当な覆い(例えば、図5に示す覆い16)で覆われており、したがって、ステム6により供給された液体2が、入口14を経て流量制限装置5/フィルタ13に流入し、そして出口11を経て流量制限装置5から出ることしかできないようになっており、この場合、液体2の蒸発は、流量制限装置5内では阻止される。好ましくは、成形本体12は、フィルム等を本体12の表面上にヒートシールし又は第2のプラスチック成形品、カバー等をこの表面上に超音波溶接することにより密封され、通路、即ち、少なくともチャネル10及び任意的にフィルタ13が成形本体12内に形成されるようにする。
【0039】
フィルタ13は、チャネル10の閉塞又は詰まりが生じないようにする。好ましくは、フィルタ13は、液体2中の問題となる粒子を濾過して除去するために次のチャネル10の直径よりも小さな寸法のフィルタボア又は開口部を有している。
【0040】
第1の好ましい実施形態では、フィルタ13は、流量制限装置5及び(又は)本体12に組み込まれている。しかしながら、フィルタ13は、流量制限装置5とは別個に形成すると共に(或いは)配置してもよい。例えば、フィルタ13をステム6又は弁3に組み込んでもよい。いずれの場合においても、フィルタ13は好ましくは、流量制限装置5又は少なくともそのチャネル10と直列に上流側に配置される。
【0041】
別の実施形態(図示せず)によれば、流量制限装置5は、追加的に又は代替的に、好ましくは水力直径が30ないし100μmの少なくとも1つの制限オリフィスを有するのがよく、その目的は、液体2の流量を所望に応じて減少させ又は制限することにある。チャネル構造と比較した制限オリフィス構造の利点は、その全体サイズが小さいことにある。欠点は、その閉塞の生じやすさの度合が高いことにある。
【0042】
蒸発器7は、流量制限装置5、特に、その出口11に流体結合されている。蒸発器7の構造につき、他の図及び実施形態を参照して詳細に説明する。
【0043】
第1の実施形態では、流量制限装置5及び蒸発器7は好ましくは、互いに隣接して、詳細には上下に配置されている。また、流量制限装置5を蒸発器7に組み込むこと又はこの逆の関係にすることも可能である。代替的に又は追加的に、蒸発器7を放出器具Dのアクチュエータ8に組み込んでもよい。
【0044】
蒸発器7は、成形された溝付きのプラスチック板、スポンジ状材料、吸着性の紙又は液体2を蒸発させながら液体2を保持することができる円錐形カップ若しくは任意他の器具から成るのがよい。この蒸発器は、好ましくは、アクチュエータ8内に配置されると共にユーザが液体2に直接接触するのを阻止するためにキャップ、カバー、スクリーン又はアクチュエータ8で保護される。蒸発器7の全露出領域は、液体2を流量制限装置5を通る液体2の流量に少なくとも略等しく又はこれよりも多い量で蒸発させるのに足るほど広い。
【0045】
本発明によれば、液体2を蒸発させる蒸発器7は、蒸発面15(図1に示されている)を有し、この蒸発面は、表面積が増大させられていると共に(或いは)液体2が蒸発面15上にほぼ一様な膜を形成するよう設計されている。好ましくは、蒸発面15は、これら性質を達成するよう微細構造化されている。
【0046】
以下において、別の図を参照して本発明の別の実施形態を説明するが、この場合、本質的な相違点のみを強調する。上記説明が同様に追加的に援用される。
【0047】
図3は、弁3が閉鎖された状態の放出器具Dの第2の実施形態を示している。流量制限装置5は、略鉛直に且つ上記のように設けられた蒸発器7の水平蒸発面15にほぼ垂直に配置されている。チャネル10は、第1の実施形態の場合と同様蛇行形状のものであり、流体を蒸発器7、特にその表面15に直接案内する。
【0048】
アクチュエータ8を押し下げることにより弁3を開くことができる。アクチュエータ8を押し下げてこの位置にロックした場合、弁3は、アクチュエータ8が例えばひねることによりロック解除されるまで、永続的に開いたままである。
【0049】
好ましくは、ステム6は、流量制限装置5又は本体12と一体であり、このステムは、流体2を弁3から供給する送りチャネルを有する。
【0050】
図4は、蒸発面15に設けられた溝20のクモの巣状構造を示している。これら溝20又はこれに類似した構造は、蒸発面15上における液体2の一様な膜の形成を促進する。さらに、流体2を流量制限装置2から供給する中央供給チャネルが示されている。
【0051】
図5は、弁3が閉鎖された状態の放出器具Dの第3の実施形態を示している。流量制限装置5、特に螺旋形態のそのチャネル10は、略水平に且つ上述のように配置された蒸発器7の水平蒸発面15にほぼ平行に配置されている。特に、蒸発器7は、覆い16を形成し、又この逆の関係が成り立ち、流量制限装置5の覆い16は、蒸発面の上側フェースを形成している。
【0052】
図6は、覆い16の無い拡大された流量制限装置5を示している。チャネル10の螺旋形態が、明確に見える。さらに、液体2の円周方向リング状空間17が、設けられている。これは、液体バッファを形成する。半径方向凹み、切欠き又は溝18は、液体2が覆い16の周りを流れ、そして蒸発面15まで上方に流れることができるよう蒸発領域又は流体結合部を形成している。
【0053】
図7は、覆い16が無く且つ関連の蒸発器7が無い流量制限装置5の第4の実施形態を示している。チャネル10の螺旋形態が、明確に見える。さらに、半径方向チャネル接続部19が設けられている。アクチュエータ8等の回転位置に応じて、チャネル連結部19のうちの少なくとも1つを蒸発器7(図示せず)に連結することができる。チャネル10の有効長さはそれぞれ連結されたチャネル連結部19に応じて様々である。このように、液体2の流量を調節することができる。
【0054】
変形例(図示せず)によれば、2つの平行な螺旋を形成する少なくとも2つのチャネル10を設けると共に所望に応じて互いに並列に又は直列に接続するのがよい。個々の閉塞方式を用いて有効長さを変えると、流れ抵抗及び流量を調節することができる。
【0055】
図8は、蒸発器7の第5の実施形態を示している。蒸発面15は、格子状に配列された溝又は凹部20を有している。これら溝、凹部20又は類似した構造は、蒸発面15上における液体2の一様な膜の形成を促進する。加えて、蒸発面15は、円周方向溝20により包囲されており、この円周方向溝は、液体2で一杯になることがないよう深い。このリング状溝21は、蒸発面15上における液体2の外側限界を形成している。
【0056】
図9は、蒸発器7の第6の実施形態を示している。蒸発面15は、別の格子状の溝22及びポスト23等のような微細構造体を有している。これら構造体23は、液体2により覆われる総表面積を増大させ、蒸発量を増大させる。
【0057】
上述の種々の実施形態のそれぞれの特徴を互換的に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施形態による流量制限装置及び蒸発器を備えた放出器具の概略断面図である。
【図2】第1の実施形態の流量制限装置の断面図である。
【図3】第2の実施形態の放出器具の一部を閉鎖状態で示す断面図である。
【図4】第2の実施形態の放出器具の蒸発器の略図である。
【図5】第3の実施形態による流量制限装置を備えた放出器具の一部の概略断面斜視図である。
【図6】第3の実施形態の流量制限装置の斜視図である。
【図7】第4の実施形態の流量制限装置の斜視図である。
【図8】第5の実施形態の蒸発器の部分斜視図である。
【図9】第6の実施形態の蒸発器の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧状態の液体(2)の入った容器(1)と、前記液体(2)の放出を制御する弁(3)とを有する液体(2)を蒸発させる放出器具(D)であって、
前記放出器具(D)は、流量制限装置(5)と蒸発器(7)とを更に有し、
前記流量制限装置(5)は、前記弁(3)が開いているとき、前記容器(1)から前記蒸発器(7)への前記液体(2)の流量を前記蒸発器(7)による前記液体(2)の予想蒸発量よりも少なく又はこれに略等しく制限し、前記弁(3)を前記液体(2)の連続放出及び連続蒸発が可能であるよう永続的に開いておくことができるようになっている、
ことを特徴とする放出器具。
【請求項2】
前記液体(2)は、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分であり、或いは、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分を含有する、
請求項1に記載の放出器具。
【請求項3】
前記液体(2)は、ガス、特に液化ガス又は圧縮ガスによって、又は付勢手段、特にばねによって加圧されている、
請求項1又は2に記載の放出器具。
【請求項4】
前記液体(2)の圧力は、5hPaないし1MPa、好ましくは50hPaないし0.2MPaである、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項5】
前記弁(3)は、1回だけ開くことができるもの、又はオンオフ型のものである、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項6】
前記弁(3)は、その開き状態及び(又は)閉じ状態にロックできる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項7】
前記放出器具(D)は、前記液体(2)を流量制限前に濾過するフィルタ(13)を有する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項8】
前記フィルタ(13)は、前記流量制限装置(5)に組み込まれている、
請求項7に記載の放出器具。
【請求項9】
前記流量は、0.01ないし2.0g/d、好ましくは0.05ないし0.5g/dである、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項10】
前記流量は、調節可能である、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項11】
前記流量制限装置(5)は、少なくとも1つの絞りチャネル(10)、好ましくは長い毛管状チャネル(10)を有する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項12】
前記チャネル(10)は、略真っ直ぐであり、或いは、螺旋形状又は蛇行形状である、
請求項11に記載の放出器具。
【請求項13】
前記チャネル(10)の平均又は水力直径は、1μmないし1mm、好ましくは50ないし200μm、より好ましくは75ないし125μmである、
請求項11又は12に記載の放出器具。
【請求項14】
前記チャネル(10)の長さは、1mmないし10m、好ましくは10mmないし1mである、
請求項11ないし13のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項15】
前記チャネル(10)は、毛管力が高い部分を有し、前記毛管力は、特に、この部分における直径又は断面の減少に起因して得られている、
請求項11ないし14のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項16】
前記チャネル(10)の有効長さ又は有効直径は、前記流量を変化させるために可変である、
請求項11ないし15のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項17】
前記流量制限装置(5)は、互いに並列接続された多数のチャネル(10)を有する、
請求項11ないし16のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項18】
前記チャネル(10)はそれぞれ、前記流量を変化させるために可変的に使用される、
請求項17に記載の放出器具。
【請求項19】
前記チャネル(10)及び任意的にフィルタ(13)は、好ましくはプラスチックで作られた構造化又は成形本体(12)によって形成されている、
請求項11ないし18のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項20】
前記流量制限装置(5)は、絞り弁から成る、
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項21】
前記流量制限装置(5)は、好ましくは水力直径が30ないし100μmの制限オリフィスから成る、
請求項1ないし20のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項22】
前記流量制限装置(5)は、前記弁(3)の前又は後に配置されている、
請求項1ないし21のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項23】
前記流量制限装置(5)は、前記弁(3)に組み込まれている、
請求項1ないし22のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項24】
前記流量制限装置(5)は、前記放出器具(D)のアクチュエータ(8)に組み込まれている、
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項25】
前記流量制限装置(5)及び前記蒸発器(7)は、互いに隣接して、好ましくは、上下に配置されている、
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項26】
前記流量制限装置(5)は、前記蒸発器(7)に組み込まれている、
請求項1ないし25のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項27】
前記蒸発器(7)は、キャップ、カバー、スクリーン又はアクチュエータ(8)によって保護されている、
請求項1ないし26のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項28】
前記蒸発器(7)は、前記放出器具(D)のアクチュエータ(8)に組み込まれている、
請求項1ないし27のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項29】
前記蒸発器(7)は、請求項30ないし35のいずれか1項の記載に従って設計されている、請求項1ないし28のいずれか1項に記載の放出器具。
【請求項30】
液体(2)を蒸発させる蒸発器(7)であって、
蒸発面(15)を備え、前記蒸発面は、表面積が増大させられていると共に(或いは)前記液体(2)が前記蒸発面(15)上にほぼ一様な膜を形成するよう設計されている、
ことを特徴とする蒸発器。
【請求項31】
前記蒸発面(15)は、表面積が増大させられていると共に(或いは)前記液体(2)が前記蒸発面(15)上にほぼ一様な膜を形成するよう微細構造化されている、
請求項30記載の蒸発器。
【請求項32】
前記蒸発面(15)は、ほぼ平らであると共に(或いは)好ましくはプラスチックで作られた構造化又は成形本体(12)によって形成されている、
請求項30又は31に記載の蒸発器。
【請求項33】
前記液体(2)は、前記蒸発面(15)に加わる毛管力により駆動される、
請求項30ないし32のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項34】
前記液体(2)は、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分であり、或いは、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分を含有する、
請求項30ないし33のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項35】
前記流量は、0.01ないし2.0g/d、好ましくは0.05ないし0.5g/dである、
請求項30ないし34のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項36】
液体(2)を大気中に蒸発させる方法であって、前記液体(2)は、加圧され、好ましくは、流量制限装置(5)を経て前記液体(2)を蒸発させる蒸発器(7)に連続的に放出され、前記流量制限装置(5)は、前記蒸発器(7)への前記液体(2)の流量を前記蒸発器(7)による前記液体(2)の予想蒸発量よりも少なく又は略これに等しいように制限する、
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記液体(2)は、ガス又は付勢手段によって加圧されている、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記液体(2)は、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分であり、或いは、オイル、溶剤、フレグランス、香水、エアフレッショナー(air fleshener )、医薬成分、治療薬成分又は任意他の活性成分を含有する、
請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記液体(2)の圧力は、5hPaないし1MPa、好ましくは50hPaないし0.2MPaである、
請求項36ないし38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記流量は、0.01ないし2.0g/d、好ましくは0.05ないし0.5g/dである、
請求項36ないし39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記流量は、前記流量制限装置(5)の流れ抵抗を変化させることにより調節される、
請求項36ないし40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記液体(2)は、好ましくは密閉容器(1)内で加圧されている、
請求項36ないし41のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−516858(P2008−516858A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537127(P2007−537127)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007851
【国際公開番号】WO2006/045359
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(503277020)ベーリンガー インゲルハイム マイクロパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim microParts GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauert 7,D−44227 Dortmund,Germany
【Fターム(参考)】