説明

液体収容器の溶着装置および溶着方法

【課題】2枚のシート状部材同士の溶着と、2枚のシート状部材とその間に挿入された挿入物との溶着とを行う際に、過溶着や溶着不足などの不具合が発生するのを低減する。
【解決手段】互いに重なり合う2枚の熱溶着可能なシートと、シート状部材100a,100b及びシート状部材の間に挿入される挿入物200,300とを、一対の回転体1,2の周面の間に送り込む。回転体1,2の周面には、2枚の熱溶着可能なシート状部材同士を溶着する第1の溶着部aと、シート状部材及び挿入物を収容しつつ溶着する第2の溶着部b,cが設けられ、第1の溶着部には第1の発熱手段が、第2の溶着部には第2の発熱手段が設けられている。第1の発熱手段と、第2の発熱手段の発熱量は、それぞれ独立に制御され、溶着箇所によって異なる熱量を与えて溶着を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容器の少なくとも一部を構成する一対のシート状部材の間に該シート状部材とは別体の挿入部材を挿入し、シート状部材同士の溶着及びシート状部材と挿入部材との溶着を行う液体収容器の溶着装置及び溶着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、シート状の容器形成部材により袋状に形成された容器本体にスパウトを溶着したスパウト付き液体収容器が知られている。このスパウト付き液体収容器の容器本体とスパウトとの溶着を行う装置として、特許文献1に開示の装置がある。この装置では、容器本体を構成する容器形成部材の間に挿入されたスパウトを、相対向する一対の円盤状のヒータブロックの周面(溶着面)の間に送り込み、その周面の熱によって溶着するものとなっている。すなわち、一対のヒータブロックの一方は時計周りに、他方は反時計周りに回転し、両ヒータブロックの溶着面にはスパウトを収容する収容凹部が設けられている。一対のヒータブロックの間を通過する際に、シート状の容器形成部材は、ヒータブロックの円弧部によって溶着され、スパウトは収容凹部によって容器形成部材に一体に溶着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−254911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置では、ヒータブロックの中の円周部と、凹部のいずれにおいても均一な熱量を発生するようになっている。すなわち、円盤状の一対のヒータブロックによる容器形成部材同士の溶着と、容器形成部材とスパウトとの溶着は、いずれもヒータブロックによって一定の熱量を付与することによって行われる。しかしながら、容器形成部材同士の溶着に要する熱量は、スパウトと容器形成部材とを溶着するための熱量よりも小さい。このため、容器形成部材とスパウトとの溶着を想定してヒータブロックに発生させる熱量を設定すると、容器形成部材同士の溶着には、過大な熱量が加わることとなり、過溶着が生じ、容器形成部材に変形や破損が生じる。逆に容器形成部材同士の溶着を想定してヒータブロックに発生させる熱量を設定すれば、容器形成部材とスパウトとの溶着に要する熱量が不足し、溶着不足が生じる。このように、特許文献1に開示の装置では、与える熱量が付与する容器に拘わりなく一定であるため、溶着箇所によっては、必要な熱量に適さない熱量で溶着が行われるという課題がある。
【0005】
本発明は、2枚のシート状部材同士の溶着と、2枚のシート状部材とその間に挿入された挿入物との溶着とを行う際に、過溶着や溶着不足などの不具合が発生するのを低減することが可能な溶着装置及び溶着方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
【0007】
本発明の第1の形態は、各々の周面が対向する一対の回転体を有し、前記一対の回転体は、互いに重なり合う熱溶着可能なシート状部材同士を溶着させる第1の溶着部と、前記シート状部材及び該シート状部材の間に挿入される挿入物を収容しつつ前記シード状部材と前記挿入物とを溶着させる第2の溶着部と、を備えた溶着装置であって、前記第1の溶着部に設けられた第1の発熱手段と、前記第2の溶着部に設けられた第2の発熱手段と、を備え、前記第1の発熱手段と、前記第2の発熱手段とは独立に制御されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の形態は、各々の周面が対向する一対の回転体の間に、互いに重なり合う熱溶着可能なシートと、前記シート状部材及び該シート状部材の間に挿入される挿入物とを回転する一対の回転体の周面の間に送り込み、互いに重なり合う2枚の熱溶着可能なシート状部材同士を前記回転体の周面に設けられる第1の溶着部によって溶着させると共に、前記回転体の周面に設けられる第2の溶着部の中に前記シート状部材及び前記挿入物を収容しつつ前記シート状部材と前記挿入物とを溶着させる溶着方法であって、前記第1の溶着部に設けられた第1の発熱手段と、前記第2の溶着部に設けられた第2の発熱手段と、を独立に制御して前記シート状部材同士の溶着と、前記シート状部材と前記挿入物との溶着とを独立に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート状部材同士の溶着、及びシート状部材と該シート状部材の間に挿入された挿入物との溶着を、それぞれの溶着に必要とされる熱量で溶着することが可能となり、過溶着や溶着不足といった溶着の不具合の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における溶着装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示したものの平面図である。
【図3】図1に示した溶着装置の溶着ブロックの構成を示す分解平面図である。
【図4】容器形成部材とスパウトの溶着箇所を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図を示している。
【図5】実施形態の溶着装置により溶着された液体収容器の溶着箇所を示す図である。
【図6】実施形態の溶着装置による溶着動作の各過程を示す説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、液体を収容する液体収容器としてのインク収容器を製造するに際し、シート状の容器形成部材同士の溶着と、インク収容器内に収納された液体を導出させるためのスパウトと容器形成部材との溶着を行う溶着装置を例に挙げて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態における溶着装置の全体構成を模式的に示す図、図2は図1に示したものの平面図、図3は図1に示した溶着装置の溶着ブロックの構成を示す分解平面図である。図1および図2において、本実施形態における溶着装置は、ハウジング15,16内に設けられたモータ13,14の駆動力によって回転する回転軸12a,12bと共に回転する一対の溶着ブロック(回転体)1,2を備える。各溶着ブロック1,2は、同一径を有する略円盤形状をなす。各溶着ブロックの外周面aは、互いに対向して配置されており、溶着ブロック1と溶着ブロック2は、モータ13,14の駆動によって互いに逆方向に回転する。図2では、溶着ブロック1は、時計周りに回転し、溶着ブロック2は反時計周りに回転する。また、各溶着ブロック1,2の周面には、図1及び図2に示すように、回転軸13a,14aの回転中心を中心とした円弧形状をなす円弧部a1,a2と、凹部bと、凹部cとが形成されている。各溶着ブロック1,2それぞれの円弧面部a1,a2及び凹部b,cは、図2及び図3の平面図に示すように、ワークである後述の容器形成部材100及びスパウト200,300を搬送経路Rに対して対称となる位置に形成されている。なお、前記駆動モータ13,14の駆動は制御手段としての制御装置21によって制御される。
【0013】
図3に示すように、溶着ブロック1は、第1溶着部(第1の溶着部)1Aと、第2溶着部(第2の溶着部)1Bと、第3溶着部(第2の溶着部)1Cと、を備え、溶着ブロック2は、第1溶着部2Aと、第2溶着部2Bと、第3溶着部2Cと、を備える。第1溶着部1Aは、モータ13の回転軸13aに固定されており、モータ13の駆動により回転する。この第1溶着部1Aの外面aには、前述の円弧部a1,a2が形成されると共に、この円弧部a1とa2との間には、V字状に凹んだ装着部a3,a4が形成されている。装着部a3には、断熱材hiを介して第2溶着部1Bが、装着部a4には断熱材hiを介して第3溶着部1Cがそれぞれねじなどによって取り外し可能に固定されている。断熱材hiとしては、例えばセラミックファイバー等からなる断熱シートを使用可能である。なお、溶着ブロック2についても、溶着ブロック1と同様に、第1、第2、第3溶着部2A,2B,2Cが構成されている。
【0014】
溶着ブロック1,2の第1溶着部1A及び2A内には、それぞれヒータ(第1の発熱手段)が設けられており、このヒータの発熱をヒータ制御部11によって制御することにより、両円弧部a1,a2の温度を制御することができる。また、各溶着ブロック1,2の第2溶着部1B,2B、及び第3溶着部1C,2C内にもそれぞれヒータ(第2の発熱手段、第3の発熱手段)が設けられており、各ヒータの温度もヒータ制御部11によって独立に制御することができる。なお、本実施形態では、発熱体であるニクロム線により直接ワークを加熱溶着させるインパクト方式を用いている。また、各溶着ブロック1,2において、各溶着部の間には、断熱材hiが設けられている。すなわち第1溶着部1Aと第2溶着部1Bとの間、第1溶着部1Aと第3溶着部1Cとの間、第1溶着部2Aと第2溶着部2Bとの間、第1溶着部2Aと第3溶着部2Cとの間には、いずれも断熱材hiが介在している。このため、各溶着部の温度が互いに影響し合うことはなく、各溶着部毎に独立した温度制御を安定して行うことが可能になる。
【0015】
溶着ブロック1における各溶着部1A,1B,1Cに設けられたヒータには、それぞれ電力供給用のリード線が接続されている。このリード線は、ハウジング15の上面に設けられたスリップリング17の回転部17aに設けられた回転端子に接続されており、モータの回転軸と共に回転する。またスリップリング17の固定部17b内に設けられた固定端子は、制御装置21に接続されており、この制御装置21にて制御された電力はスリップリング17及びリード線を介して各ヒータに供給される。なお、各溶着部1A,1B,1Cのヒータに供給される電力は、制御装置21によって独立して制御可能である。以上、溶着ブロック1における各溶着部1A,1B,1Cへの電力の供給について説明したが、溶着ブロック2における各溶着部2A,2B,2Cについても同様に、スリップリング17及びリード線を介して各溶着部2A,2B,2Cのヒータに供給される。そして、各溶着部2A,2B,2Cのヒータに供給される電力は、制御装置21によって独立に制御可能となっている。
【0016】
また、本実施形態における溶着装置には、溶着ブロック1及び2に対し、スパウトが溶着されていない袋状の容器形成部材100及びこれに溶着させる第1,第2のスパウト100,200を、溶着ブロック1と2の間に送り込む搬送ユニット10が設けられている。この搬送ユニット10(搬送手段)は、上縁部が開口部となっている袋状の容器構成材100とこの容器構成材100の上縁部110に溶着させるべき筒状の第1,第2のスパウト(挿入物)200,300とを保持するホルダ11を有する。さらに、搬送ユニットは、ホルダ11を搬送経路Rに沿って移動させる搬送台12を備える。搬送台12の移動は、制御装置21によって制御される図外のサーボモータによって行われる。すなわち、制御装置21は回転体の回転速度を変化させる回転速度制御手段および搬送台の移動速度を変化させる搬送手段としての機能を有する。
【0017】
まず、容器形成部材100とスパウト200,300の構成を説明する。図4は溶着すべき容器形成部材100とスパウト200,300を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図を示している。本実施形態における容器形成部材100は、一辺で折り返して重ね合わせた熱溶着可能なフィルム(シート状部材)、または2枚のフィルムを重ね合わせたフィルムの側縁部101,102及び底縁部103を溶着し、上縁部104が開口した袋状をなしている。この容器形成部材100を構成する2枚のフィルムには、例えば樹脂フィルムやアルミフィルムの溶着面に接着層である樹脂材がコーティングされたものなどが用いられる。また、図示のスパウト200,300は、樹脂により筒状に構成されており、第1スパウト200は第2スパウト300より大きな横断面形状を有している。そして、溶着ブロック1及び2の凹部bは第1スパウト200の断面形状に対応する形状(略同一の形状)を有し、溶着ブロック1及び2の凹部cは第3スパウトの断面形状に対応する形状(略同一の形状)を有している。
【0018】
容器形成部材100にスパウト200,300を溶着する場合には、まず、図1に示すように、スパウト200,300の一端部を、それぞれスパウト保持部11a,11bに挿入し、それぞれを立てた状態に保持させる。この後、容器形成部材100の開放された上縁部内にスパウト200,300を挿入させた状態で容器形成部材100をスパウト保持部11a,11b上に保持させる。
【0019】
ここで、制御装置21に対して溶着動作を指示すると、制御装置21によってモータ13,14が駆動され、回転軸13a,14aと共に溶着ブロック1,2が回転を開始する。次いで、所定のタイミングで搬送ユニット10を駆動するサーボモータが駆動され、搬送台12が搬送経路Rに沿って直線移動を開始し、ホルダ11に保持された容器形成部材100及びスパウト200が溶着ブロック1と2の間に送り込まれる。図6(a)にこの状態を示す。容器形成部材100の上縁部を構成する2枚のフィルム100a,100bが溶着ブロック1,2の円弧部a1,a2の間に送り込まれると、両円弧部a1,a2から付与される熱によってフィルム100a,100b同士(シート状部材同士)が溶着される。これにより図4に示す溶着箇所110の溶着が行われる。
【0020】
続いて、容器形成部材100に覆われた第1スパウト200が溶着ブロック1,2に達すると、第1スパウト200が各溶着ブロック1,2に形成された凹部b,bの中に送り込まれる。両凹部b,bは、第2溶着部1B,2Bによって構成されており、この第2溶着部1B,2Bの熱によって容器形成部材100a,100bと第1スパウト200の両側面との溶着が行われる。すなわち、図4に示す溶着箇所111の溶着が行われる。この後、溶着ブロック1,2の円弧部a2,a2の熱によって2枚のフィルム100a,100b同士が重なり合う溶着箇所112の溶着が行われる。
【0021】
次いで、容器形成部材100によって覆われた第3スパウト300が溶着ブロック1,2に達すると、第3スパウト300が各溶着ブロック1,2に形成された凹部c,cの中に送り込まれる。これにより、両凹部c,cを構成する第3溶着部1C,2Cの熱によってフィルム100a,100bとスパウト300の両側面とが溶着される。すなわち、図4に示す溶着箇所114の溶着が行われる。そして最後に第1溶着部1A,2Aの熱により、2枚のフィルム100a,100bが重なり合う溶着箇所115が溶着され、これによって図5に示すようなインクなどの液体を収容するため収容器が得られる。なお、上記の溶着動作を実現するためには、溶着ブロックの回転速度と搬送台10の送り速度は同期させる必要があり、その制御は制御部21によって行われる。
【0022】
上記の溶着動作において、本実施形態では、フィルム同士の溶着に際してフィルムに与える単位面積当たりの熱量と、フィルムとスパウト200または300とを溶着するに際してフィルムに与える単位面積当たりの熱量とを異ならせている。すなわち、溶着箇所111,113,115を溶着するために必要とされる単位面積当たりの熱量と、溶着箇所112,114を溶着する場合に発生させるべき単位面積当たりの熱量とを異ならせている。これは、フィルムの融点とスパウトの融点が異なり、しかも溶着箇所112と溶着箇所114とでは、溶着面積が異なるためである。例えば、スパウト等にPP(ポリプロピレン)材、フィルムの接着層にCPP(無延伸ポリプロピレン)材を用いているとする。この場合、フィルムの接着層に用いられるCPPの融点はおよそ125℃であり、スパウトに用いられるPPの融点は約165℃である。また、第1スパウト200とフィルム100a,100bとの溶着面積は、第2スパウト300とフィルム100a,100bとの溶着面積より小さい。
【0023】
従って、本実施形態では、上記のようなCPPからなるフィルム100a,100b同士を溶着する際の溶着ブロック1A,2Aの円弧部a1,a2の温度は、130℃前後となるように制御される。また、PPからなる第1スパウト200とCPPからなるフィルム100a,100bとを溶着する溶着ブロック2A,2Bの凹部b,bの温度は180℃前後となるように制御される。さらに、第2スパウト300をフィルム100a,100bに溶着する溶着ブロック3A,3Bの凹部c,cの温度は170℃前後となるように制御される。これによれば、フィルム100a,100b同士の溶着及びフィルム100a,100bと各スパウト200,300との溶着を過不足のない温度で行うことができ、いずれの溶着箇所111〜115にも適正な溶着状態を得ることができる。
【0024】
なお、溶着ブロック1,2の周長を溶着すべき容器形成部材100の上縁部110の長さと同等にすれば、溶着ブロック1,2を1回転させることによって一連の溶着工程を完了させることができる。但し、溶着ブロック1,2の周長を、上縁部100の長さの複数倍にし、スパウト等に対応する凹部を複数配置すれば、溶着ブロック1回転で複数の溶着を行うことも可能である。本実施形態における上縁部の長さは約65mmであるため、溶着ブロックの円周長を65mmにして、回転速度を2rpmに設定した。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、各溶着箇所によって異なる温度制御を行い、溶着時に発生する熱量を制御することで過不足のない溶着を実現することができる。
【0026】
また、本実施形態では、溶着ブロック1A,2Aの装着部a3,a4に対して溶着ブロック1B,2B、及び1C,2Cを着脱可能に構成している。このため、異なる形状のスパウトを溶着する場合には、そのスパウトの断面形状に応じた形状の溶着ブロックを装着a2,a3に装着すれば良く、溶着ブロック1A,1B全体を交換する場合に比べて高汎用性が得られる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。なお、この第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に図1ないし図4に示す構成を有するものとする。上記第1の実施形態では、溶着ブロック1,2の回転速度及び搬送ユニット10の搬送台12を一定の速度に保ちながら溶着を行うようにした。しかし、第2の実施形態では、各溶着ブロックの各溶着部1A,2A、1B,2B、1C,2C毎に溶着温度を制御すると共に、溶着ブロック1,2の回転速度及び搬送台12による搬送速度を溶着箇所や溶着ブロックの回転角度などに応じて変化させる。これにより、第2の実施形態では、各溶着ブロックの温度と搬送台12の搬送速度とを複合して制御することが可能になり、各溶着ブロックから容器形成部材及びスパウトに加える熱量を、より精密に制御することが可能になる。
【0028】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、溶着ブロックの第1溶着部と第2溶着部との間、及び第1溶着部と第3溶着部との間にそれぞれ断熱材を設けた場合を例に採り説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、第1溶着部に対し、断熱材を介さずに直接的に、第2溶着部、第3溶着部を設けることも可能である。この場合、第1溶着部と、第2溶着部及び第3溶着部との間で熱の伝播が生じるが、予めこの熱の伝播を想定して、各溶着部の発熱量を制御すれば、各溶着部の温度を適正に保つことができる。
【0029】
また、上記各実施形態では、ワーク(容器形成材及びスパウト)の熱溶着を行う方式としてインパルス方式を用いた場合を例に採り説明した。しかし、本発明は、ニクロム線などのヒータ(発熱手段)を埋め込んだ熱板を各溶着ブロックに設け、その熱板によってワークを熱溶着させる熱板方式を用いることも可能である。なお、熱板方式では、各溶着ブロックに設けたセンサによって各溶着ブロックにおける各熱板の温度を検出し、その検出信号に従って制御装置21が各溶着ブロックのヒータに供給する電力を制御する。この場合、センサから制御装置への信号の伝達は、リード線及びスリップリングなどを用いて行うことができる。
【0030】
また、シート状部材に溶着させる挿入部材として、スパウトを例に挙げて説明したが、その他の熱溶着可能な部材をシート状部材に溶着させる場合にも本発明は適用可能である。さらに、本発明は、容器形成材だけでなく他のシート状部材同士の溶着及びシート状部材と挿入物との溶着にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1,2 溶着ブロック
1A,2A 第1溶着部
1B,2B 第2溶着部
1C,2C 第3溶着部
a3,a4 装着部
a1,a2 円弧部
b 凹部
c 凹部
hi 断熱材
10 搬送ユニット
21 制御装置
100 容器形成部材
200,300 スパウト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の周面が対向する一対の回転体を有し、前記一対の回転体は、互いに重なり合う熱溶着可能なシート状部材同士を溶着させる第1の溶着部と、前記シート状部材及び該シート状部材の間に挿入される挿入物を収容しつつ前記シート状部材と前記挿入物とを溶着させる第2の溶着部と、を備えた溶着装置であって、
前記第1の溶着部に設けられた第1の発熱手段と、
前記第2の溶着部に設けられた第2の発熱手段と、を備え
前記第1の発熱手段と、前記第2の発熱手段とは独立に制御されることを特徴とする溶着装置。
【請求項2】
前記一対の回転体は、前記回転体の回転中心を中心とした円弧形状をなす円弧部と、前記シート状部材及び前記溶着部を収容する凹部とを有し、前記円弧部は前記第1の溶着部によって構成され、前記凹部は第2の溶着部によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の溶着装置。
【請求項3】
前記第2の溶着部は、前記第1の溶着部に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の溶着装置。
【請求項4】
前記シート状部材は、開口部が形成された袋状の容器形成部材であり、
前記挿入物は、前記開口部に挿入されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の溶着装置。
【請求項5】
前記挿入物は、前記容器形成部材に収納された液体を導出するためのスパウトであることを特徴とする請求項4に記載の溶着装置。
【請求項6】
前記回転体の回転速度を変化させる回転速度制御手段を備え、前記回転速度制御手段によって前記回転体の回転速度を変化させることにより、前記第1の溶着部から複数のシート状部材に与える単位面積当たりの熱量と、前記第2の溶着部から前記シート状部材に与える単位面積当たりの熱量を制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の溶着装置。
【請求項7】
前記シート状部材及び前記挿入物を、前記一対の回転体の間に搬送する搬送手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の溶着装置。
【請求項8】
前記第1の溶着部及び第2の溶着部のそれぞれは、前記回転体の複数の箇所に設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の溶着装置。
【請求項9】
各々の周面が対向する一対の回転体の間に、互いに重なり合う熱溶着可能なシートと、前記シート状部材及び該シート状部材の間に挿入される挿入物とを回転する一対の回転体の周面の間に送り込み、互いに重なり合う2枚の熱溶着可能なシート状部材同士を前記回転体の周面に設けられる第1の溶着部によって溶着させると共に、前記回転体の周面に設けられる第2の溶着部に前記シート状部材及び前記挿入物を収容しつつ前記シート状部材と前記挿入物とを溶着させる溶着方法であって、
前記第1の溶着部に設けられた第1の発熱手段と、前記第2の溶着部に設けられた第2の発熱手段と、を独立に制御して前記シート状部材同士の溶着と、前記シート状部材と前記挿入物との溶着とを独立に制御することを特徴とする溶着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−224827(P2011−224827A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95054(P2010−95054)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】