説明

液体吐出ヘッドの製造方法

【課題】 流路壁部材の強度を維持し、複数の吐出口の長さの均一化を図ること。
【解決手段】 第1の層が平坦に設けられている基板を用意するA工程と、前記流路を形成するための前記流路の型と、前記型の外側に前記型と間隙を介して設けられた部材(A)と、を前記第1の層から形成するB工程と、前記間隙を充填し前記型と前記部材(A)とを被覆するように、第2の層を設けるC工程と、前記吐出口を形成するための部材(B)を前記型の上に前記第2の層から形成するD工程と、前記部材(A)を除去するE工程と、前記部材(B)に密接するように、少なくとも前記基板に第3の層を設けるF工程と、前記型を除去して前記流路を形成するG工程と、をこの順に有する液体吐出ヘッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドの代表例としては、インクを被記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録方式に適用されるインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。このインクジェット記録ヘッドは、一般に、インクの流路と、その流路の一部に設けられた吐出エネルギー発生部と、そこで発生するエネルギーによってインクを吐出するための微細な吐出口と、を備えている。
【0003】
インクジェット記録ヘッドに適用可能な液体吐出ヘッドを製造するための方法が、特許文献1に開示されている。この方法においては、複数の吐出エネルギー発生部を有する基板上に感光性材料を用いて流路の型を形成するとともに、流路の型の周辺に周辺部型材を形成し、それらの上に流路の壁を形成する流路壁部材となる被覆樹脂層を塗布する。周辺部型材を設けることにより、流路の型の角部での被覆性を向上させている。そして、被覆層の、各吐出エネルギー発生部と対向する位置に、複数の吐出口となる開口を形成した後、型を除去することにより流路となる空間を形成する。
【0004】
近年では、記録装置に対して、より高いレベルでの高画質化、記録の高速化が要求されるため、複数の吐出口とそれに連通する流路とを高密度に配置するとともに、吐出される液滴の体積をさらに均一化することが要求されてきている。そのため、複数の吐出エネルギー発生部と対応する吐出口との距離をより一層均一とするために、吐出口の開口が形成される吐出口面の平坦化を図ることが求められる。
【0005】
特許文献1の方法を利用して、吐出エネルギー発生部と吐出口との距離を均一化する場合には、流路の型と周辺部型材との間隔を狭くすることによって、被覆樹脂層の上面をより平坦に形成することが考えられる。しかしその場合、周辺部型材と流路の型との間隔が狭くなり、その部分に形成される流路の壁が薄くなって、流路の壁の機械的強度が弱くなることが懸念される。また、流路の壁と基板との接触面積が小さくなって、接合強度が弱くなることも懸念される。それらのような場合には、液体吐出ヘッドとしての信頼性が低下する畏れがある。
【0006】
液体の吐出口と液体の流路とを高密度に配置する場合には、そもそも流路間を仕切る壁が薄くなるので、流路の壁の全体的な強度を低下させないように、より一層の注意を払う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−1809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、吐出口面の平坦性の向上と流路の壁の機械的強度の維持とを両立し、均一な液量の液滴を安定的に繰り返し吐出することができる信頼性の高い液体吐出ヘッドを歩留まりよく製造出来る製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明によって解決される。即ち本発明は、液体を吐出する吐出口に連通する流路を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、第1の層が平坦に設けられている基板を用意するA工程と、前記流路を形成するための前記流路の型と、前記型の外側に前記型と間隙を介して設けられた部材(A)と、を前記第1の層から形成するB工程と、前記間隙を充填し前記型と前記部材(A)とを被覆するように、第2の層を設けるC工程と、前記吐出口を形成するための部材(B)を前記型の上に前記第2の層から形成するD工程と、前記部材(A)を除去するE工程と、前記部材(B)に密接するように、少なくとも前記基板に第3の層を設けるF工程と、前記型を除去して前記流路を形成するG工程と、をこの順に有する液体吐出ヘッドの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐出される液滴の液量のバラツキがより一層低減され、均一な液量の液滴を安定的に繰り返し吐出することができ、かつ十分な機械的強度をもつ流路の壁を備えた信頼性の高い液体吐出ヘッドを歩留まりよく製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法により得られる液体吐出ヘッドの例を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を示す切断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す図。
【図6】比較例の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための切断面図。
【図7】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【図8】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【図9】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【図10】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の工程中の状態を示す切断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を説明する。なお、本発明により得られる液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に搭載可能である。例えば、バイオッチップ作成や電子回路印刷、薬物を噴霧状に吐出することなどの用途の装置にも用いることができる。
【0013】
図1は本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す模式的斜視図である。図1に示す本発明の液体吐出ヘッドは、インク等の液体を吐出するために用いられるエネルギーを発生するエネルギー発生素子2が所定のピッチで形成された基板1を有している。基板1には液体を供給する供給口3が、エネルギー発生素子2の2つの列の間に設けられている。基板1上には、エネルギー発生素子2の上方に開口する吐出口5と、供給口3から各吐出口5に連通する個別の液体の流路6が形成されている。供給口3から各吐出口5に連通する個別の流路6の壁を形成する流路壁部材4は、吐出口5が設けられた吐出口部材と一体的に形成されている。
【0014】
(第1の実施形態)
次いで、図2を用いて本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の代表例について説明する。図2は第1の実施形態で製造される液体吐出ヘッドの模式的斜視図であり、図1のA−A’を通り、基板1に垂直な位置で切断した場合の各工程での切断面を表わす模式的切断面図である。
【0015】
図2(a)に示されるように、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子2を表面に備えた基板1上に第1の層7が、平坦に設けられている。先ず、この状態の基板1を用意する(A工程)。以降の説明では、1つの液体吐出ヘッド単位を図示して説明を行うが、基板1として6〜12インチのウェハーを使用して、複数の液体吐出ヘッド単位を一枚のウェハー上で製造して、最後に切り分けることで1つの液体吐出ヘッドを得ることもできる。
【0016】
第1の層7は、ポジ型感光性樹脂等の樹脂材料を使用してこれを塗布や、フィルム化したものをラミネートする方法により基板1上に設けられる。後の工程で基板1から除去するものであり、容易に除去することができるように溶解可能なものが好ましい。とりわけ、ポリメチルイソプロペニルケトンや、メタクリル酸とメタクリレートとの共重合体が好ましいものとして挙げられる。この理由は、上記化合物は、溶媒で簡単に除去することが可能であり、また単純な組成であるので構成成分が第2の層10に対して与える影響が少ないからである。
【0017】
次いで図2(b)に示されるように、液体の流路の型8と、その外側に型8と間隙を介して部材(A)9と、を第1の層7から互いの上面を同じ高さとして形成する(B工程)。第1の層7から、その一部を除去することにより、型8はエネルギー発生素子2の上に、部材(A)9はその外側に、それぞれの上面が同じ高さで形成される。第1の層7にポジ型感光性樹脂を使用した場合には、第1の層7を露光、現像してその一部を除去することができる。また第1の層7にドライエッチングを行ってもよい。
【0018】
ここで、図5は、図2(b)に示される状態の基板に設けられた、型8、部材(A)9の上面を見た模式図である。図5(a)に示されるように、部材(A)9は型8を囲むように、型8の外側に設けられる。図5(a)において、部材(A)9の外郭9aは1つの液体吐出ヘッドの単位の領域に相当する。後の工程で、第2の層10を型8と部材(A)9との上に平坦に塗布できるように、型8と部材(A)9との間隙30の基板表面にほぼ平行な方向の長さLを、40μm以下とすることが好ましい。また、同じ観点から、基板1の面にほぼ平行な方向において、型8に対して部材(A)9の面積が大きいことが好ましく、部材(A)9の面積を、型の面積の3倍以上とすることが好ましい。また、複数の液体吐出ヘッド単位を一括して設ける場合には、図5(b)に示されるように、1つの液体吐出ヘッド単位に対応した型8aと型8bとのそれぞれの間に部材(A)9を設ける。このとき部材(A)9は、1つの液体吐出ヘッドの単位同士の境目100(点線)をまたいで設けられる。境目100は、実際に基板に凹凸をつけることでできる線である場合もあれば、仮想線である場合もあり、境目100に沿って基板を切断して1つの液体吐出ヘッド単位を取り出すことができる。
【0019】
次いで図2(c)に示されるように、型8と部材(A)9とを被覆するように、第2の層10を設ける(C工程)。第2の層10を設ける方法としては、スピンコート法、カーテンコート法、ラミネート法などが挙げられる。第2の層10には、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基等の重合基を有する樹脂と、樹脂に対応する重合開始剤と、を含むネガ型感光性樹脂組成物を使用することが好ましい。この理由は、上記の官能基を含む樹脂は、重合反応性が高いので、機械的強度が高い吐出口を形成するための部材(B)が得られるからである。
【0020】
第1の層7の厚さと第2の層10の厚さとはそれぞれ適宜設定することができる。数ピコリットルの微小液滴を吐出する吐出口とそれに対応した液体の流路とを形成する場合には、第1の層7は3μm以上15μm以下、第2の層10は型8の上面から3μm以上10μm以下の厚さとすることが好適である。間隙30は非常に小さく形成されているため、型8と部材(A)9の上面に第2の層10が平坦に設けられる。このとき間隙30に第2の層10が入り込み、その部分は流路壁部材4の一部となる。
【0021】
次いで、第2の層10に吐出口を形成するための部材(B)を形成する(D工程)。吐出口形成用の部材(B)には、吐出口となる貫通口が設けられるが、この貫通口は以下のようにフォトリソグラフィーの手法によって微小にかつ高い位置精度で設けられることが好ましい。
【0022】
まず図2(d)に示されるように、第2の層10に対してパターン露光を行う。第2の層10に対してマスク201を介して露光し、露光が行われた部分21を硬化させる。必要に応じて加熱を行って、硬化を促進しても良い。次いで、図2(e)に示されるように、第2の層10に対して現像を行って層10の未露光部分を除去して吐出口形成用の部材(B)11を形成する。このとき、その一部が吐出口となる穴22も同時に形成される。穴22はエネルギー発生素子2のエネルギー発生面に対向する位置に形成されるのが望ましいが、これに限定されるものではない。以上のように型8と部材(A)9との間隔を適切に設定することで、型8、部材(A)9上に平坦に第2の層10を形成し、第2の層10が平坦な状態の時に、第2の層10から、厚さのばらつきが実質的にない部材(B)11を得ることが出来る。なお穴22は、層10の未露光部分を除去して部材(B)11を形成した後から、吐出口形成用のマスクを使用してドライエッチング等で形成することも可能である。D工程実施後にも部材(B)11の平坦性は維持されるので、得られる穴22の長さ(部材(B)の厚さ方向)は、基板内で均一である。
【0023】
なお、第2の層10の表面上に撥液用材料を付与しておけば、部材(B)11の上面(部材(B)の基板側と反対側の表面)は撥液性となり、部材(B)11の上面にはインク等の液体が付着せず好都合である。吐出液体として顔料、染料を含んだインクを想定した場合は、水の前進接触角が80度以上となる程度の撥液性を付与すると十分であると考えられる。90度以上であると、部材(B)11への液体の付着をさらに抑止できるので好ましい。
【0024】
次いで、図2(f)に示されるように、部材(A)9を除去する(E工程)。部材(A)9の除去は液体で部材(A)9を溶解させるなどして行う。部材(B)11は硬化が行われ、その形状が実質的に変化することがないため、部材(A)9とともに型8を除去してもかまわないが、後述する第3の層が流路となる空間内に入るのを防止したければ、型8を残しておくことが好ましい。部材(A)9が樹脂から形成されている場合には、部材(A)9に選択的に紫外線等の光を照射して光が照射されなかった型8との液体に対する溶解選択比を大きくした後、部材(A)9を液体で溶解させ、部材(A)9を選択的に除去することができる。
【0025】
次いで、図2(g)に示されるように、部材(A)9が除去された後の基板1に、部材(B)11に密接するように第3の層12を設ける(F工程)。第3の層が部材(B)に密接することで部材(B)が補強される。特に部材(A)9の間隙30に相当する部分は、非常に薄いので、第3の層により補強されることで強度が大きく向上する。第3の層12は、第2の層10と同一の組成のネガ型感光性樹脂で形成されることが好適であり、より好ましくは第3の層と第2の層10とが含んでいる化合物が同じであることがよい。このようにすると第3の層12を硬化させた際に第2の層10から得られた部材(B)11との接合が効率的に行われる。しかし、組成比まで同一である必要はない。第3の層12の厚みは、その上表面位置が部材(B)11の上面の位置よりも高くとも(厚くとも)、同じであっても、低くとも(薄くとも)よい。流路の壁の強度の観点からは、第3の層と部材(B)とが密接する面積が大きいことが好ましいので、第3の層は型8より厚いことが好ましく、さらに部材(B)より厚いことがより好ましい。第3の層12を設けることによって、流路壁部材4の基板1との接合部位を増やし、基板1に水平方向に関して流路壁部材4の厚さを大きくすることができ、流路壁部材4の強度が向上する。また、基板1の第3の層12が設けられる部分100はエネルギー発生素子2を駆動させるための駆動回路に使用されるトランジスタ等が設けられているため、駆動回路に対する保護性も向上する。また、第3の層12の一部は、穴22内に入り込むが、この部分は最終的には除去される。第3の層12の一部が、穴22に入り込んでいると、後に第3の層12を硬化させる際にこの部分の型8の膨らみを低減することが可能である。穴22に第3の層の一部が入り込む必要はかならずしもなく、穴22の形状、大きさによっては第3の層12は穴22の内部には入り込まない場合がある。
【0026】
次いで図2(h)に示されるように、第3の層12に対してマスク202を介して露光を行い、被露光部分23を硬化させる。露光が行われなかった部分24は硬化しない。第3の層12のうち、吐出口となる穴22内とその上部は除く必要があるため、マスク202により遮光される。
【0027】
次いで図2(i)に示されるように、例えば液体現像法により、露光が行われなかった部分24を除去する。除去を溶解により行う場合は、ネガ型感光性樹脂の組成に応じてキシレン等の適切な溶媒を用いればよい。これにより型8は穴22を通じて外部に露出する。
【0028】
次いで、図2(j)に示されるように、基板1にドライエッチング、ウェットエッチング等で供給口3を形成し、型8を外部と連通させ、型8を適切な溶剤で溶解させるなどして除去し吐出口5と連通する液体流路6を形成する(G工程)。流路壁部材4は吐出口5が開口する面に隣接した壁面13を有する。吐出用の液体が吐出口5内、つまり開口面14よりも基板側においてメニスカスを形成することができるように、壁面13と吐出口5との距離を設定する。例えば、吐出口の径が15μmである場合、壁面13と吐出口5の縁との距離は、80μm以上が好適である。部材(B)11の形成以降、その後の工程により、部材(B)の平坦性は損なわれないので、基板内において、基板1のエネルギー発生面と吐出口5との距離Dは、均一となる。よって、複数の吐出口から吐出される液体の量が一定化される。なお、この後に、吐出口5の開口面14に撥液機能を付与してもよい。
【0029】
ここで、図7、8を参照して本実施形態において行うことが可能な第1の層7の上表面の平坦化処理について説明する。図7、8は、各工程での切断面を示す切断面図である。なお、図7、8の断面は図2と同様である。この第1の層7の上表面の平坦化処理は、C工程を行う前のいずれかの工程と並行して、もしくはいずれかの工程間において行うことができる。
【0030】
図7(a)に示されるように、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子2を表面に備えた基板1上に、パターン化された密着性向上部材(c)301、第1の層7がこの順で設けられている。部材(c)301は、基板と流路の壁との密着をより強固なものにする目的や、基板上の配線部の保護目的等で用いられる部材である。流路の壁の形状に対応するように設けることができる。部材(c)301は、ポリエーテルアミド等の樹脂材料を用いて、これをスピンコートやラミネート等の手段を用いて、基板1上に付与し、ドライエッチングにより形成する。感光性樹脂を用いた場合には、ドライエッチングの代わりに、露光・現像を行うことにより1〜3μm程度の厚さで形成することができる。流路壁部材4と基板1との接合位置を含む領域に部材(c)301を形成した後、部材(c)301を被覆するように、第1の層7を積層する。ここで、部材(c)301が有る部分と無い部分との間に、第1の層7の表面に段差D2が生じる。
【0031】
段差D2の大きさは、密着性向上部材の厚さと第1の層7の厚さとの関係によって異なるが、D2の大きさに応じてこれを低減させるための処理を行うことができる。パターン化された部材(c)301、第1の層7をこの順で設けた後、C工程を行う前に、第1の層7を薄化する。より好ましくは、段差D2が、なるべく小さくなるように、第1の層7を部分的に薄化する。
【0032】
図7(b)に示されるように、第1の層7がポジ型感光性樹脂で形成されている場合には、第1の層7を深さ方向に全て除去するのに必要な最低露光量よりも少ない露光量で第1の層7の密着性向上部材上の部分を露光する。そして上面の一部のみ現像液に可溶な露光部302とする。次に、図7(c)に示されるように現像液を用いて露光部302を除去する。次いで、型8と、その外側に型8と間隙30を介して部材(A)9と、を形成するB工程を実施し、図2(c)に示される工程(C工程)以降は第1の実施形態と同様に行い、液体吐出ヘッドを製造する。
【0033】
ここでは、B工程以前に第1の層7の上表面の平坦化処理を行ったが、これは、C工程を行う前のいずれかの工程中、もしくはいずれかの工程間において行えば良い。例えば、第1の層7に用いたポジ型感光性樹脂の感度が良く、露光量によって薄化する膜厚を調整することが困難な場合には、感光波長域の電離放射線の吸収材を添加することで、第1の層7が薄化する度合いを制御しても良い。
【0034】
また、図7(b)に示される露光工程において、図8(a)に示されるように、ハーフトーンマスク41を用いて第1の層7の上表面側のみが現像されるような露光と、深部まで現像で除去される露光と一括して行ってもよい。マスクのハーフトーン部による電離放射線の透過率の調整により、第1の層7の上面の一部のみ現像液に可溶な露光部302とする。そして現像を行うことにより図8(b)に示されるように、型8の上表面と部材(A)9の上表面とが揃うように型8と部材(A)9とを形成できる。なお、図示した例ではマスクのハーフトーン部は部材(A)9が形成される位置に対応していたが、マスクのハーフトーン部を第1の層7の型8に対応する部分として露光を行ってもよい。またどちらが一方の上表面のみを現像で除去するだけでなく、両方の上表面部が現像で除去される割合が異なるようにすることも可能である。
【0035】
(第2の実施形態)
図3、図4を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、各工程での切断面を示す切断面図である。また、図4は本実施形態により得られる液体吐出ヘッドを説明するための切断面図である。なお、図3、図4の断面は図2と同様である。本実施形態では、図2に示される工程(A工程)までは第1の実施形態と同様に行う。次いで部材(B)9を形成する工程(B工程)において、以下を行う。
【0036】
図3(a)に示されるように、第2の層10の上面に撥液性を付与するための撥液用材料15を提供する。撥液用材料15の一部または全部を第2の層10に浸透させることも可能である。吐出に用いる液体が水性または油性のインクである場合は、撥液性が付与される部分の基板1に垂直な方向での厚さは、2μmあれば十分である。第1の層7と第2の層10と同様に、撥液用材料15は基板に平坦に積層される。感光性のフッ素含有エポキシ樹脂フィルムや、フッ素含有シランと重合基を含有するシランとの縮合物を含む組成物等を撥液用材料15に用いることが可能である。撥液用材料15に上記のものを用いた場合は、撥液用材料15と第2の層10とを一括してフォトリソグラフィーによりパターニングすることができる。
【0037】
次いで、図3(b)に示されるように、第2の層10と撥液用材料15に対して、マスク16を介して部材(B)11を形成するための露光を行う。マスクの形状を調整することで、撥液用材料15の一部は露光され、他の部は露光されないようにする。具体的には、撥液用材料には光が照射されず、その下部の第2の層10は露光される程度に幅が調整された遮光スリット部16aを開口50内に設けたマスク16を使用して第2の層10と撥液用材料15に対して露光を行う。次いで、露光が行われた部分を硬化させた後に現像を行い、第2の層10と撥液用材料15との未露光部分を除去する。以上により、図3(c)に示されるように、部材(B)11の吐出口となる穴22の周辺に、撥液性が付与された撥液性部分17を設けることができる。撥液性材料のうち、遮光スリット部16aに対応した未露光部は除去されるため、その部分には撥液性は付与されず、非撥液性部分19となる。
【0038】
次いで、第2の層10の未露光部を除去した後、図3(d)に示すように部材(B)11の上面に第3の層12を設ける。部材(B)11の撥液性部分17では、第3の層12がはじかれる可能性があるが、部材(B)11の上面の非撥液性部分19では、第3の層12が部材(B)11の上面に密接する。また、部材(B)11の側外面も、撥液性が付与されていないので、第3の層12と密接する。
【0039】
その後、第3の層12の必要個所を硬化させ、基板1に供給口3を形成し、型8を除去して流路6を形成し、図3(e)に示されるように、液体吐出ヘッドが得られる。
【0040】
図4に示されるように、第2の実施形態により製造された液体吐出ヘッドでは、部材(B)11の吐出口5が開口する開口面14に撥液性が付与されている。そのため、流路内に充填された吐出用の液体18は、開口面14上には滞留せず、吐出口5とほぼ等しい位置にメニスカスを形成することができる。吐出された液体の一部がミスト状に浮遊して開口面14に付着した場合でも、ミストが開口面14に固定されことが抑制され、液体吐出装置に備えられている吸引機構による吸引等によって容易に除去することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図9を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。図9は、各工程での切断面を示す切断面図である。なお、図9の断面は図2と同様である。本実施形態では、図2(c)に示される工程(A工程)までは第1の実施形態と同様に行う。次いで部材(B)9を形成する工程(B工程)において、以下を行う。
【0042】
まず第2の実施形態である図2(a)と同様に、図9(a)に示されるように、第2の層10の上面に撥液性を付与するための撥液用材料15を提供する。撥液用材料15は第2の実施形態同様、撥液用材料15と第2の層10とを一括してフォトリソグラフィーによりパターニング可能なものを用いる。
【0043】
次いで、図9(b)に示されるように、第2の層10と撥液用材料15に対して、マスク500を介して部材(B)11を形成するための露光を行う。この際の露光量は後述する条件を満たすE1であり、マスク500の形状は、撥液性を付与すべき部分のみに光を照射するよう調整した開口パターン60を有する。ここで、撥液性が十分出現しパターン形状が良好となる最適な露光量をE1、撥液用材料15と第2の層10の最下部まで硬化するのに必要な最低露光量をEthとしたとき、Eth<E1の関係が成り立ち、E1はEthの1.5倍以上の範囲で設定されることが好ましい。
【0044】
続いて、図9(c)に示されるように、第2の層10と撥液用材料15に対して、マスク501を介して露光を行う。この際の露光量は後述する条件を満たすE0であり、マスク501の形状は、この後図9(e)にて第2の層10と第3の層12とを密接させる部のみに光を照射するよう調整した開口パターン61を有する。
【0045】
ここでの露光量E0は、撥液用材料15が撥液性を出現せず、撥液用材料15と第2の層10の積層部が不十分に硬化する照射量である。従ってE0は、E0<Ethの関係が成り立つ露光量であり、E0はEthの1/4以上1/2以下の範囲で設定されることが好ましい。この際、マスク501の開口部にハーフトーンマスクを用いることも可能である。つまり光透過率が所望の1/4以上1/2以下の範囲で決められたハーフトーンマスクを用いれば、露光量E1で露光することにより、実際の光照射量がE0相当となる。このことはまた、図9(b)と図9(c)の工程を、一括の工程にて行うことが可能であることを示唆している。マスクとして500の開口60のパターン(光透過率100%)と、同501の開口61のパターン(光透過率25〜50%)を併せ持つマスクを準備することで、露光工程を一括にて行うことが可能である。
【0046】
次いで、露光が行われた部分を硬化させた後に現像を行い、第2の層10と撥液用材料15との未露光部分を除去する。以上により、図9(d)に示されるように、部材(B)11の吐出口となる穴22の周辺に、撥液性が付与された撥液性部分67を設けることができる。撥液性材料のうち、開口部61に対応したEth以下での露光部には、撥液性は付与されず、非撥液性部分69となる。
【0047】
次いで、部材(A)9を除去した後、図9(e)に示すように部材(B)11の上面に第3の層12を設ける。部材(B)11の撥液性部分67では、第3の層12がはじかれる可能性があるが、部材(B)11の上面の非撥液性部分69では、第3の層12が部材(B)11の上面に密接する。また、部材(B)11の側外面も、撥液性が付与されていないので、第3の層12と密接する。更に必要に応じて第3の層12の上に撥液用材料15により撥液性とすることも可能である(不図示)。
【0048】
その後第2の実施形態同様、第3の層12の必要個所を硬化させ、基板1に供給口3を形成し、型8を除去して流路6を形成し、図9(f)に示されるように、液体吐出ヘッドが得られる。
【0049】
(第4の実施形態)
図10を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は部材(A)9を部分的に除去するものである。図10は、各工程での切断面を示す切断面図である。なお、図10の断面は図2と同様である。
【0050】
次いで、図10(a)に示されるように、部材(A)9を除去する工程において、部材(A)を部分的に除去することにより、部材(A)の基板上に残った部分を部材(C)90として得る。この形態では、部材(A)の前記部材(B)と接する部分を除去する。
【0051】
次いで、図10(b)に示されるように、部材(C)90上に、第3の層12を設ける。部材C90を用意することで、第3の層12が部材(B)11に乗り上げやすくなるため、流路壁部材12の端部での強度向上に効果的である。
【0052】
次いで図10(c)に示されるように、第3の層12の部材(C)90上の部分を遮光して第3の層12を露光する。
【0053】
次いで図10(d)に示されるように、吐出口となる開口22とともに、部材(C)90が露出するように開口401を形成する。
【0054】
次いで図10(e)に示されるように、部材(C)90を除去する。部材(C)90が除去されて空間が形成されるが、部材(B)11からの側端から部材(C)まである程度を取ることで流路壁部材の厚さを確保できる。
【実施例】
【0055】
(実施例)
図2を参照して、実施例を説明する。
【0056】
まず、第1の層7が設けられた基板1(6インチウェハ)を用意した(図2(a))。第1の層7はポジ型感光性樹脂であるODUR−1010(東京応化工業(株)製)をスピンコート法により塗布した後、120℃で乾燥して形成した。形成後の第1の層7の厚さの平均値は7μmで、基板1(6インチウェハ)内での第1の層7の厚さの標準偏差は0.1μm以下であった(6インチウェハ内の350箇所で測定)。
【0057】
次いで、マスクを用いて第1の層7を露光し、露光された部分を除去して部材(A)9と型8とを得た(図2(b))。このとき部材(A)9と型8との間隙30の長さLを30μmとした。
【0058】
次いで、表1に示される成分を含む組成物をスピンコート法を使用して部材(A)9と型8上に塗布し、90℃で3分間乾燥させて第2の層10を形成した(図2(c))。第2の層10の厚さの平均値は5μmで、厚さの標準偏差(6インチウェハ内の350箇所で測定)は0.2μmであった。
【0059】
【表1】

【0060】
次に、キヤノン(株)製マスクアライナーMPA−600Super(製品名)を使用して第2の層10に露光を行った(図2(d))。
【0061】
次いで、第2の層10に対してポストベークと現像とを行い、吐出口となる穴22が設けられた部材(B)11を形成した(図2(e))。なお、露光量は、1J/cmであり、現像液は、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液を使用し、現像後のリンス液にはキシレンを使用した。穴22の直径は12μmである。
【0062】
次いで、ウシオ電機(株)製マスクアライナーUX−3000SC(製品名)を使用してDeep−UV光(波長220nm〜400nm)を10J/cmの条件で部材(A)9に照射した後、メチルイソブチルケトンで部材(A)9を溶解させて除去した。(図2(f))。
【0063】
次いで、表1に示される組成物を部材(B)11上に塗布して、基板1の表面から第3の層12の部材(B)11上の部分の上面までの厚さが18μmとなるように、第3の層12を形成した(図2(g))。
【0064】
次いで、MPA−600Super(製品名:キヤノン(株)社製)により、第3の層12に対して露光(露光量=1J/cm)を行い(図2(h))、ポストベーク、現像、リンスを行い、第3の層12の露光部分23を部材(B)11と一体化した(図2(i))。なお、現像液は、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/3の混合液を使用し、現像後のリンス液にはキシレンを使用した。
【0065】
80℃の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液をエッチング液として使用して、シリコンの基板1に異方性エッチングを行い、供給口3を形成した。その後、型8を乳酸メチルで溶解し、基板1から除去して直径12μmの吐出口5を形成した。(図2(j))。
【0066】
基板(6インチウェハ)内で、距離Dの平均値は12μm、距離Dの標準偏差は0.25μmであった。なお、距離Dは、ウェハー内の350個の吐出口をウェハー中央から端部まで均一になるように選出し、各吐出口に関して測定して得られた値である。
【0067】
最後に、6インチウェハをダイシングソーにより切断し、一つの液体吐出ヘッドを得た。
【0068】
(比較例)
図6を参照して比較例に係る液体吐出ヘッドの作成方法について説明する。
図6は、比較例の液体吐出ヘッドを作成する各工程での断面を表している。
【0069】
エネルギー発生素子102を備えたシリコン基板101(6インチウェハ)上に、ODUR−1010(商品名 東京応化工業(株)製)を塗布し、乾燥を行って、厚さが7μmのポジ型感光性樹脂の層103を基板101上に形成した(図6(a))。
【0070】
次いで、ポジ型感光性樹脂の層103に対して、露光とそれに次ぐ現像とを行って、流路の型104を形成した(図6(b))。
【0071】
次いで、実施例の表1に記載の組成物を型104上にスピンコート法を使用して塗布し、90℃で3分間乾燥して被覆層105を形成した。被覆層105の型104の上面に設けられた部分の膜厚が7μmとなるように被覆層105を形成した(図6(c))。
【0072】
次いで、マスクを使用して被覆層105に露光を行い、露光が行われた部分106を硬化させた(図6(d)。
【0073】
現像を行って被覆層105の未露光部分を除去して流路の壁を形成する部材と、直径12μmの吐出口107とを形成した(図6(e))。
【0074】
次いで、基板101に供給口109を形成した後、型104を除去して流路108を形成した(図6(f))。
【0075】
次に、6インチウェハをダイシングソーにより切断して、一つの液体吐出ヘッドの単位に分離した。
【0076】
得られた液体吐出ヘッドにおいては、基板101のエネルギー発生素子102のエネルギー発生面から吐出口107までの距離hの平均値が12μmであった。一方、距離hの標準偏差は0.6μmであった。なお、距離hは、ウェハー内の350個の吐出口をウェハー中央から端部まで均一になるように選出し、各吐出口に関して測定して得られた値である。
【0077】
実施例の液体吐出ヘッドの距離Dの標準偏差と比較例に係る液体吐出ヘッドの距離hの標準偏差とでは、大きく差があることが分かる。
【0078】
距離Dの標準偏差が0.25μmと小さかった原因は、平坦に形成された第2の層10から、厚さのばらつきが極めて小さい、部材(B)11を得ることができたためであると考えられる。これは、第2の層10が平坦性の高い型8と部材(A)9上に配置されている状態で、第2の層10から部材(B)11を形成したことによる。
【0079】
一方、距離hの標準偏差が0.6μmと大きかった原因の一つとしては、被覆層105の下に型104がある部分と、型104が無い部分とでは、被覆層105の上面の高さに差がでてしまったことが考えられる。また、比較例においては、6インチウェハの最外周部分に設けられた型104のさらに外側には型104が存在ないため、ウェハーの外周部での被覆層105の上面の高さは、中央部分と比較して低く形成されてしまったことも他の原因として考えられる。
【0080】
実施例、比較例の液体吐出ヘッドについて、耐久試験を実施した。液体吐出ヘッドをキヤノン製インクBCI‐6C(pH=約9)中に浸漬し、121℃、2気圧、の下、100時間放置した。その後、インク中から取り出した、各液体吐出ヘッドについて、基板1と流路壁部材との界面を観察したところ、実施例、比較例の液体吐出ヘッドともに、基板1と流路壁部材4との剥れ、変形は確認されなかった。実施例の液体吐出ヘッドにおいて、流路壁部材は十分な機械的強度を有し、また基板との接合性を有していることが確認された。
【0081】
また、実施例、比較例の液体吐出ヘッドを使用して試験記録を行った。同じ6インチウェハ内から切り出された複数の液体吐出ヘッドについて記録を行った。なお、純水/ジエチレングリコール/イソプロピルアルコール酢酸リチウム/黒色染料フードブラック2=79.4/15/3/0.1/2.5からなるインク液を使用し、吐出体積Vd=1pl、吐出周波数f=15kHzで記録を行った。
【0082】
記録により得られた画像を観察したところ、実施例に係る液体吐出ヘッドを使用して記録を行った場合には、非常に高品位な記録画像が得られていた。また、同じ6インチウェハ内から得られた複数の液体吐出ヘッドいずれについても同等に高品位であった。一方、比較例に係る液体吐出ヘッドを使用して記録を行った場合には、実施例に係る記録画像と比較して、記録画像にムラが観られた。また、同じ6インチウェハ内から得られた複数の液体吐出ヘッドを使用して得られた記録画像それぞれについて、ムラの状態がわずかながら異なっていた。この原因は、前述した距離Dの標準偏差が、距離hの標準偏差より小さいため、実施例に係る液体吐出ヘッドから吐出されるインクの体積のばらつきは、比較例に係る液体吐出ヘッドより吐出されるインクの体積のばらつきより小さいことであると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口に連通する流路を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
第1の層が平坦に設けられている基板を用意するA工程と、
前記流路を形成するための前記流路の型と、前記型の外側に前記型と間隙を介して設けられた部材(A)と、を前記第1の層から形成するB工程と、
前記間隙を充填し前記型と前記部材(A)とを被覆するように、第2の層を設けるC工程と、
前記吐出口を形成するための部材(B)を前記型の上に前記第2の層から形成するD工程と、
前記部材(A)を除去するE工程と、
前記部材(B)に密接するように、少なくとも前記基板に第3の層を設けるF工程と、前記型を除去して前記流路を形成するG工程と、をこの順に有する液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記B工程において、前記第1の層の一部を除去することにより、前記部材(A)と前記型とを形成する請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記D工程において、前記部材(B)に前記吐出口となる開口を形成する請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記F工程を行う前に、前記部材(B)の前記開口の周辺の部分を撥液性とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記F工程を行う前に、前記部材(B)の前記基板側と反対側の表面の一部を撥液性の部分とし、前記F工程において、前記表面の前記撥液性の部分ではない部分と前記第3の層とが接する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記部材(A)は、前記型を囲むように形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記間隙の、前記基板の面に沿う方向に関する間隔は40μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記B工程において、前記流路の壁の形状に対応した密着性向上部材が設けられた基板上に、前記第1の層を設け、前記型の上表面と前記部材(A)の上表面とが揃うように前記第1の層の前記型に対応する部分の上表面側と前記第1の層の前記部材(A)の上表面側との少なくとも一方を部分的に除去する請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記B工程において、前記第1の層の前記密着性向上部材上の上表面側の部分を除去する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記第1の層はポジ型感光性樹脂からなり、前記B工程において、前記第1の層を露光し、露光が行われた部分を除去することにより、前記第1の層の前記型に対応する部分の上表面側と前記第1の層の前記部材(A)の上表面側との少なくとも一方を部分的に除去し、かつ前記型と前記部材(A)とを形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−131212(P2012−131212A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70178(P2011−70178)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】