説明

液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラム

【課題】廃液の残量を正確にカウントする液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムを提供する。
【解決手段】インクジェット式記録装置1は、インク滴を噴射する記録ヘッド10のノズル開口を封止するとともに、ノズル開口から排出されるインクを保持するキャップ8と、ノズル開口がキャップ8により封止されずに開放していたキャップ開放時間を計時するCOTタイマ25と、キャップ8に保持されたインクを廃インクとして貯留する廃インク貯留部12と、COTタイマ25が計時したキャップ開放時間に基づいて、キャップ8内に排出されてからキャップ開放時間中の蒸発量を減算したインクの残量を計算する残量計算部29と、残量計算部29が計算したインクの残量に基づいて廃インク貯留部12に貯留された廃インクの量をカウントする貯留量加算部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドを有するプリンタ,ディスプレー製造装置,電極形成装置、あるいはバイオチップ製造装置等の液体噴射装置に係り、特に、液体噴射ヘッドのノズル開口の液滴吐出能力を回復させるために液体噴射ヘッドから排出された液体の残量を管理する液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置は、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に装着される記録ヘッドをあげることができる。そこで、上記インクジェット式記録装置を例にとって説明する。
【0003】
インクジェット式記録装置では、対象物にインクを噴射する液体噴射装置(ヘッド)の目詰まりを防止あるいは回復するための、対象物への噴射とは別に、ヘッドからインクを吐出させたり、インクを吸引したりする回復動作を行なう。回復動作によってヘッドから排出されたインクは、キャップで受けられ廃液タンクに収容される。
【0004】
廃液タンクにおける廃インクの残量は、回復動作を行なうたびに計算され、残量が一定のしきい値を超えると、メンテナンスを要求するエラーを表示したり、回復動作を禁止したりするように制御されている。この場合、廃インクは排出されてからの時間の経過とともに一部が蒸発するので、経過時間に応じて廃インクの蒸発計算を行なうことにより、廃液タンクにおける廃インクの残量を計算するインクジェット記録装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。この特許文献1に示す装置は、時刻記憶手段に記憶された前回の廃インクの蒸発量を計算した蒸発計算時刻と現在の時刻との差から収容手段に収容された廃インクの蒸発量を計算するようになっている。
【特許文献1】特開平9−104121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すような装置では、単に、時刻から収容手段に収容された廃インクの蒸発量を計算するようになっているが、回復動作により排出されたインクは、キャップにおいても蒸発する。このため、実際にはキャップの開放時にキャップ内の液体が水分蒸発しているのにもかかわらず、水分蒸発していない液体量が廃液タンクにおける廃液の残量に加算されるため、実際にはまだ吸収能力があってもエラーになってしまう場合がある。
【0006】
すなわち、上記特許文献1に示すような装置では、実際に廃液タンクに収容されている廃インクの残量と、計算により算出した廃インクの残量との誤差が大きく、その誤差により装置外へ廃インクが溢れ出ないように、余裕を持たせて廃液タンクを大型化するか、エラーを出力するしきい値を下げる必要がある。このように、廃液タンクにおける廃液の残量を正確に計算することが困難であるため、廃液タンクにおける廃インクの収容能力を最大限に利用することができず、廃液タンクの廃インク収容能力に余裕を持たせた分だけ、装置全体として無駄に大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、廃液の残量を正確にカウントする液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法、および液体噴射装置のメンテナンスプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドと、上記ノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段と、上記回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を制御する排出制御手段と、上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップと、上記ノズル開口が上記キャップにより封止されずに開放していたキャップ開放時間を計時するキャップ開放時間計時手段と、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部と、上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を計算する残量計算手段と、上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて上記収容部に収容された廃液の量をカウントする廃液カウント手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
また、本発明の液体噴射装置のメンテナンス方法は、液滴を噴射する液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を所定の排出制御手段により制御し、上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップによって上記ノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間を所定のキャップ開放時間計時手段により計時し、上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を所定の残量計算手段により計算し、上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部に収容された廃液の量を所定の廃液カウント手段によりカウントすることを要旨とする。
【0010】
また、本発明の液体噴射装置のメンテナンスプログラムは、液滴を噴射する液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を所定の排出制御手段により制御するステップと、上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップによって上記ノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間を所定のキャップ開放時間計時手段により計時するステップと、上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を所定の残量計算手段により計算するステップと、上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部に収容された廃液の量を所定の廃液カウント手段によりカウントするステップとをコンピュータ装置に実行させることを要旨とする。
【0011】
すなわち、本発明によれば、上記キャップによって上記ノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間をキャップ開放時間計時手段により計時し、上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を残量計算手段により計算する。そして、上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部に収容された廃液の量を所定の廃液カウント手段によりカウントする。
【0012】
したがって、上記キャップにおける液体の蒸発量を減算することができるため、実際に収容部に収容されている廃液の量と、上記廃液カウント手段によりカウントされた廃液の量との誤差が極めて小さくなるため、収容部に収容された廃液の量を正確にカウントすることができる。また、上記キャップにおける液体の蒸発量から上記収容部に収容された廃液の残量を計算するため、例えば収容部が密閉されているときにはより効果的である。これにより、収容部の液体収容能力を最大限に利用することができるとともに、収容部から機外へ廃液が溢れることを防止することができる。また、正確に廃液の量をカウントすることができるため、収容部を小型化することができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0013】
本発明において、上記残量計算手段が計算した液体の残量を記憶する残量カウント手段を備え、上記残量計算手段は、上記残量カウント手段に記憶された液体の残量から上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を計算する場合には、上記キャップに保持された液体の残量をより正確に計算することができる。
【0014】
本発明において、上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に対して液体の蒸発率を乗じることにより、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を計算する蒸発量計算手段を備えた場合には、蒸発量をより正確に計算することができる。
【0015】
本発明において、上記廃液カウント手段がカウントした廃液の量が廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、当該収容された廃液の量が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力するオーバーフロー判断手段を備えた場合には、適切なタイミングで廃液の増加を防止することができ、廃液が装置から溢れることを防止することができる。
【0016】
本発明において、上記回復動作によって上記キャップに新たに排出された液体の排出量を、上記残量計算手段が計算した液体の残量に加算することによって、上記キャップに保持されている液体の総残量を算出する排出量加算手段と、上記排出量加算手段で算出された液体の総残量が上記キャップの保持限界値を超えたとき、上記収容部へ上記キャップに保持されている液体を排出する排出手段とを備えた場合には、適切なタイミングでキャップに保持されている液体を収容部へ排出することができ、キャップから液体が溢れることを防止することができる。
【0017】
本発明において、上記キャップ開放時間計時手段は、上記回復動作が行なわれたときに上記キャップ開放時間をリセットする場合には、キャップ開放時間をより正確に計時することができる。
【0018】
本発明において、上記回復動作によって排出された液体の総量を記憶する排出総量カウント手段と、上記排出総量カウント手段に記憶されている液体の総量に対して、上記液体が最大限蒸発したときに残る液体の割合である蒸発残率を乗じることにより、上記キャップにおける液体の第1の最低残量を計算し、上記残量計算手段が計算した液体の残量が上記第1の最低残量よりも少ないときに、上記残量計算手段が計算した液体の残量を上記第1の最低残量に置き換える残量診断手段とを備えた場合には、上記残量計算手段が計算した液体の残量を実際よりも少なく計算することを防止し、装置から液体が溢れることをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
なお、以下の説明では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、「記録装置」という)を例に挙げる。この記録装置は、ノズル開口から吐出させた液滴(液体状のインク)を噴射対象物である記録紙(印刷媒体の一種)の表面に着弾させることで文字や画像を記録するものであり、画像記録装置の一種でもある。
【実施例1】
【0021】
図1は、記録装置1の機能構成の一例を示す図である。
【0022】
図示のように、記録装置1は、ホストコンピュータ2と接続されている。このホストコンピュータ2には、プリンタドライバ3が搭載されており、キーボードやマウス等の入力装置4からの指令によって、用紙サイズ、モノクロ/カラー印字の選択、記録モードの選択、フォント等のデータおよび印字指令等が入力できるようになっている。
【0023】
また、上記ホストコンピュータ2には、ディスプレー9が接続されており、このディスプレー9によって、上記入力装置4による入力状況が確認できるとともに、記録装置1の状態、例えば装着されている各インクカートリッジのインク残量等の情報も可視的に表示できるように構成されている。
【0024】
記録装置1は、インクカートリッジ6が搭載されるとともに、インク(液滴)を噴射する液体噴射ヘッド(以下「記録ヘッド」という)10が取り付けられたキャリッジ7を備えている。
【0025】
上記キャリッジ7は、タイミングベルトを介してステッピングモータに接続され、ガイドバーに案内されて記録紙の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジ7は、上部に開放する箱型を呈し、記録紙と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッド10のノズル面が露呈するよう取り付けられるとともに、インクカートリッジ6が収容されるようになっている。
【0026】
そして、上記記録ヘッド10にインクカートリッジ6からインクが供給され、キャリッジ7を移動させながら記録紙上面にインク滴を吐出させて記録紙に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。
【0027】
図示において、8は印刷休止中に記録ヘッド10のノズル開口を封止することによりノズルの乾燥をできるだけ防ぐとともに、上記ノズル開口から排出されるインクを保持するキャッピング手段としてのキャップである。キャップ8内には、回復動作等によりノズル開口から排出されたインクを受けるインク受材8a(吸収材)が収納されている。
【0028】
上記キャップ8の下方には、キャップ8により封止されたノズル開口からインクを吸引する吸引手段である吸引ポンプ11が設けられている。また、12は上記吸引ポンプ11で吸引されたインクを貯留する廃インク貯留部である。すなわち、廃インク貯留部12は、上記キャップ8に保持された液体を廃インクとして収容する収容部としての役割を果たす。
【0029】
上記キャップ8には、吸引ポンプ11から吸引されたインクが流通するチューブ11aの一端が接続されており、この吸引ポンプ11の排出側は廃インク貯留部12に接続されている。吸引ポンプ11の動作(クリーニング動作)によってキャップ8内に排出されたインク廃液は、廃インク貯留部12に収納された廃液吸収材13に吸収保持されるように構成されている。
【0030】
上記吸引ポンプ11は、後述の排出制御部23の制御により回復部21を介して、キャップ8に封止された状態の記録ヘッド10に対する負荷する吸引力(負圧)を大きくしたり、小さくするようになっている。これにより、キャップ8により封止されたノズル開口からインクを排出させる度合い(力、量、時間を含む)を変化させるようになっている。
【0031】
ノズル開口は、印刷中等においては上記キャップ8により封止されずに開放され、印刷休止中等においては上記キャップ8により封止されるようになっている。すなわち、印刷中等においては上記キャップ8内に保持されたインクは蒸発しやすく、印刷休止中等においては上記キャップ8内に保持されたインクは蒸発し難い。
【0032】
上記記録装置1は、各種機器の制御を行なう演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、各種装置を動作させるためのプログラム等を記憶するROM(Read−Only Memory)と、プログラムの一時的な作業領域ともなるRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。
【0033】
上記記録装置1は、ホストコンピュータ2から送信される印刷データ(印刷信号)に基づいてビットマップデータを生成し、このデータに基づいて印刷制御を行なう印刷制御手段である印刷制御部20と、印刷とは無関係に上記ノズル開口からインクを排出させる回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を回復または維持させる回復手段である回復部21と、上記回復部21が回復動作において記録ヘッド10のノズル開口から排出するインクの量を制御する排出制御手段である排出制御部23と、上記ノズル開口がキャップ8により封止されずに開放していたキャップ開放時間(COT:Cap Open Time)を計時するキャップ開放時間計時手段であるCOTタイマ25と、上記COTタイマ25が計時したキャップ開放時間に対してインクの蒸発率(EC:Evaporation Coefficient)を乗じることにより、上記キャップ8内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を計算する蒸発量計算手段である蒸発量計算部27と、上記COTタイマ25が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ8内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算したインクの残量を計算する残量計算手段である残量計算部29と、上記残量計算部29が計算したインクの残量を記憶する残量カウント手段である残量カウンタ31とを備える。
【0034】
上記インクの蒸発率は、インクの種類に依存し、例えば0.4から0.5程度の値である。この蒸発率の値は蒸発のワースト条件である多湿状態での蒸発率から予め設定された値であり、蒸発量計算部27に記憶されている。なお、記録装置1に、温度を計測する温度センサ(温度計測手段)や湿度を計測する湿度センサ(湿度計測手段)を具備している場合は、その情報(計測結果)に基づいて蒸発率を設定してもよい。このようにすることにより、上記キャップ8や廃インク貯留部12におけるインクの残量を使用環境に応じてより一層正確に計算することができる。
【0035】
また、記録装置1は、上記残量計算部29が計算したインクの残量に基づいて上記キャップ8に保持されているインクの残量をカウントする排出量加算部33と、上記廃インク貯留部12に貯留された廃インクの量をカウントする廃液カウント手段である貯留量加算部34と、上記貯留量加算部34がカウントした廃インクの量が廃インク貯留部12の廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、当該貯留された廃インクの量が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力するオーバーフロー判断手段であるオーバーフロー判断部35とを備える。
【0036】
また、記録装置1は、上記排出量加算部33で算出されたインクの総残量が上記キャップ8の保持限界値を超えたとき、上記排出制御部23を介して吸引ポンプ11を制御し、上記キャップ8に保持されているインクを上記廃インク貯留部12へ排出する排出手段である保持限界判断部37と、上記回復動作によって排出されたインクの総量を記憶する排出総量カウント手段である排出総量カウンタ38と、上記排出総量カウンタ38に記憶されているインクの総量に対して、上記インクが最大限蒸発したときに残るインクの割合である蒸発残率を乗じることにより、上記キャップ8におけるインクの第1の最低残量を計算し、上記残量計算部29が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも少ないときに、上記残量計算部29が計算したインクの残量を上記第1の最低残量に置き換える残量診断手段である残量診断部39とを備える。
【0037】
具体的には、排出量加算部33は、上記回復動作によって上記キャップ8に新たに排出されたインクの排出量を、上記残量計算部29が計算したインクの残量に加算することによって、上記キャップ8に保持されているインクの総残量を算出する排出量加算手段としての機能を果たす。
【0038】
記録装置1は、印刷開始前の予備操作の1つとして、記録装置1に電源が投入された時点や、最初に印刷信号が入力された時点で、印刷とは無関係に各ノズル開口から強制的にインクを吐出させることにより、ノズル開口の目詰まりを解消し、インク滴吐出能力を回復させる「フラッシング動作」や「クリーニング動作」等の回復動作が回復部21により実行される。
【0039】
上記「フラッシング動作」は、記録ヘッド10の圧電振動子に印刷信号と無関係の駆動信号を印加することにより、記録ヘッド10のノズル開口から所定のショット数でインク滴を噴射させ、ノズル開口周辺の増粘したインクをあらかじめ排出させるものである。上記フラッシング動作では、増粘したインクをより強力に排出(吐出)させるため、圧電振動子に駆動電圧を印加する際、印刷時の電圧よりも高い電圧を最も高い周波数で印加される。
【0040】
上記「クリーニング動作」は、上記「フラッシング動作」では完全にノズル開口が回復されない場合に行なわれるもので、ノズル開口付近の増粘したインクの目詰まりを解消させるため、あるいは目詰まりを防止するために実行される。そして、吸引ポンプ11が各ノズル開口に対して負圧を与え所定の吸引度合い(吸引力、吸引量、吸引時間を含む)で記録ヘッド10のノズル開口から液体を吸引し、圧力発生室内等の増粘したインクを印刷前に強制的に排出させるものである。
【0041】
上記排出制御部23は、想定される目詰まりの程度がひどいほど多くのインクを吐出または吸引するよう回復部21を制御する。
【0042】
具体的には、上記排出制御部23は、前回電源の供給が停止されてから今回電源が供給されるまでの電源供給停止期間や、上記記録ヘッド10のノズル開口が上記キャップ8により封止されずにインク滴を噴射していた累積噴射時間等の装置の使用環境に応じたパラメータに基づいて、例えばROMに記憶された回復動作決定テーブルを参照し、ショット数が異なるフラッシング動作、通常タイマクリーニング動作、強力タイマクリーニング動作の中からいずれかの回復動作を回復部21を介して実行するようになっている。
【0043】
フラッシング動作は上記パラメータに応じてショット数が異なるフラッシング動作が設定されており、各フラッシング動作のショット数はポイントに換算される。すなわち、フラッシング動作の種類に応じてポイントが割り当てられている。そして、この換算されたポイントは、蒸発量計算部27や排出量加算部33により読み込まれフラッシング動作時におけるインクの排出量が判別される。また、クリーニング動作においても、クリーニング動作の種類に応じてポイントが割り当てられている。このポイントは、蒸発量計算部27や排出量加算部33により読み込まれクリーニング動作時におけるインクの排出量が判別される。
【0044】
残量カウンタ31は、EEPROM等の不揮発性メモリに上記残量計算部29が計算したインクの残量を格納する。
【0045】
上記回復部21は、上記排出制御部23からの指令を受けて、記録ヘッド10を駆動し、上記フラッシング動作を実行する。また、回復部21は、上記排出制御部23の制御により吸引ポンプ11によりキャップ8に封止された状態の記録ヘッド10に負圧を与え、全ノズル開口からインクを強制的に吸引するクリーニング動作を実行する。
【0046】
つぎに、図2〜図4のフローチャートを参照して、記録装置1の動作処理の一例について説明する。
【0047】
図2〜図4に示す処理は、記録装置1がROMに記憶されるプログラムを実行することによって実現される。以下において、「S」はステップを意味する。
【0048】
図2は、COTタイマ25に計時を開始させるCOTタイマ計時開始処理を示す。
【0049】
図2に示すように、記録装置1は、ホストコンピュータ2から印刷信号を受信すると、回復部21により上記ノズル開口からインクを排出させる回復動作を行なって記録ヘッド10の液体噴射性能を回復させる印刷開始前動作処理を行なう(S1)。具体的には、回復動作として、例えばフラッシング動作が行なわれた場合には、排出制御部23により上記ノズル開口から排出するインク滴のショット数が決定される。そして、上記回復部21により、上記決定されたショット数で上記ノズル開口からインク滴が排出される。
【0050】
ついで、印刷開始前動作処理(S1)が終了し印刷が開始されると、記録ヘッド10が取り付けられたキャリッジ7が主走査方向に往復移動するため、上記キャップ8が開放される。そして、記録装置1は、COTタイマ25に上記キャップ開放時間の計時を開始させる(S2)。
【0051】
上記記録装置1は、フラッシング動作が行なわれると、キャップ8におけるインクの蒸発率を考慮して、キャップ8に保持されているインクの量を計算するようになっている。
【0052】
ここで、図3を参照して、キャップ8に保持されているインクの残量を計算する動作処理(インク残量計算処理)について説明する。
【0053】
上記記録装置1は、フラッシング動作が行なわれると、キャップ8における蒸発後のインクの残量(Acap)を計算する(S11)。具体的には、上記記録装置1は、まず、蒸発量計算部27により、上記COTタイマ25が計時したキャップ開放時間に対してインクの蒸発率(EC:Evaporation Coefficient)を乗じて、上記キャップ8内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を計算する。そして、残量計算部29により、上記残量カウンタ31に記憶されたインクの残量から上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を計算し、キャップ8における蒸発後のインクの残量を計算するようになっている(Acap=前回のAcap−COT×蒸発率)。
【0054】
上記フラッシング動作は、12seg/9sでインク滴を吐出する定期フラッシング動作、10000seg/2000sでインク滴を吐出する定期まとめ打ちフラッシング動作、印字終了時にキャップ8からの蒸発インクを補う休止時フラッシング動作、印字開始前にノズル開口の増粘インクを除去する印字開始前フラッシング動作等である。
【0055】
上記「前回のAcap」は、前回のインク残量計算処理のS15において排出量加算部33が、残量計算部29により計算されたキャップ8における蒸発後のインクの残量(Acap)に、フラッシング動作において排出された生インク量とを加算して算出したインク量である。
【0056】
このように、上記COTタイマ25が計時したキャップ開放時間に対してインクの蒸発率を乗じることにより、上記キャップ8内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を計算するため、蒸発量をより正確に計算することができる。
【0057】
また、上記残量計算部29は、上記残量カウンタ31に記憶されたインクの残量から上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算したインクの残量を計算するため、上記キャップ8に保持されたインクの残量をより正確に計算することができる。
【0058】
ついで、記録装置1は、上記排出総量カウンタ38に記憶されているインクの総量(前回のSAcap)に対して、上記インクが最大限蒸発したときに残るインクの割合である蒸発残率(ERR:Evaporation Residual Rate)を乗じることにより、上記キャップ8におけるインクの第1の最低残量を計算し、上記残量計算部29が計算したインクの残量(Acap)が上記第1の最低残量よりも少ない(Acap<SAcap×蒸発残率)か否かを判別する(S12)。ここで、上記残量計算部29が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも少ないと判別すると(S12で“YES”)、S13に進み、上記残量計算部29が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも多いと判別すると(S12で“NO”)、S14に進む。
【0059】
上記「前回のSAcap」は、前回のインク残量計算処理のS15において排出量加算部33が、排出総量カウンタ38に記憶されている生インクの総量(SAcap)に、フラッシング動作において排出された生インク量とを加算して算出したインク量である。
【0060】
上記残量計算部29が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも少ないと(S12で“YES”)、記録装置1は、残量診断部39により、上記残量計算部29が計算したインクの残量(Acap)を上記第1の最低残量に置き換える(S13)。すなわち、残量診断部39は、上記の機能により、残量計算部29が、廃インクの蒸発後の残量をインクの蒸発残率よりも少ない割合で算出した場合に、理論上の最低限の残量で適切に置き換えることができる。このようにすることにより、上記残量計算部29が計算したインクの残量を実際よりも少なく計算することを防止し、装置からインクが溢れることをより確実に防止することができる。
【0061】
上記残量計算部29が計算したインクの残量が上記第1の最低残量よりも多いと(S12で“NO”)、記録装置1は、残量計算部29によりCOTタイマ25のキャップ開放時間をリセットし、当該COTタイマ25に計時を開始させる(S14)。
【0062】
このように、COTタイマ25は、上記回復動作が行なわれたときに上記キャップ開放時間をリセットするため、キャップ開放時間をより正確に計時することができる。
【0063】
ついで、記録装置1は、上記キャップ8内に排出されている生インクの総量(現在のSAcap)と、上記キャップ8に保持されているインクの総残量(現在のAcap)を算出する(S15)。具体的には、上記排出量加算部33により、上記フラッシング動作によって上記キャップ8に新たに排出されたインクの排出量(生インク量)を、上記排出総量カウンタ38に記憶されているインクの総量(前回のSAcap)に加算することによって、上記キャップ8内に排出されている生インクの総量(現在のSAcap)を算出する(現在のSAcap=前回のSAcap+今回排出された生インク量)。
【0064】
これとともに、上記フラッシング動作によって上記キャップ8に新たに排出されたインクの排出量(生インク量)を、残量計算部29で計算されたインクの残量(Acap)に加算することによって、上記キャップ8に保持されているインクの総残量(現在のAcap)を算出する(現在のAcap=前回のAcap+今回排出された生インク量)。
【0065】
上記排出量加算部33は、上記キャップ8に保持されているインクの総残量(現在のAcap)を残量カウンタ31に格納するとともに、上記キャップ8内に排出されている生インクの総量(現在のSAcap)を排出総量カウンタ38に格納する。ここで、格納した上記キャップ8に保持されているインクの総残量(現在のAcap)や上記キャップ8内に排出されている生インクの総量(現在のSAcap)は、つぎにインク残量計算処理を実行するときに用いられる。
【0066】
ここで、図4を参照して、廃インク貯留部12に貯留された廃インクの量を計算する動作処理(廃液カウント処理)について説明する。
【0067】
廃インク量計算処理は、定期空吸引または空吸引を行なったときに、実行される処理である。
【0068】
空吸引は、上記クリーニング動作により行なわれる動作であり、定期空吸引は、廃インク貯留部12へ上記キャップ8に保持されているインクを廃インクとして排出する動作である。
【0069】
定期空吸引は、記録装置1の保持限界判断部37により、上記排出量加算部33で算出されたインクの総残量(現在のAcap)が上記キャップ8の保持限界値を超えたか否かを判別され、当該インクの総残量が上記キャップ8の保持限界値を超えたとき、実行される。具体的には、定期空吸引では、保持限界判断部37により、排出制御部23にインクの排出制御を停止させるとともに、排出制御部23を介して吸引ポンプ11を駆動しキャップ8内に保持されているインクを廃インク貯留部12に貯留する。このようにすることにより、適切なタイミングでキャップ8に保持されているインクを廃インク貯留部12へ排出することができ、キャップ8からインクが溢れることを防止することができる。
【0070】
まず、記録装置1は、クリーニング動作を実行したか否かを判別する(S21)。ここで、クリーニング動作を実行したと判別すると(S21で“YES”)、S22に進み、クリーニング動作を実行していないと判別すると(S21で“NO”)、S23に進む。
【0071】
クリーニング動作を実行すると(S21で“YES”)、記録装置1は、排出量加算部33により、クリーニング動作時に排出されたインク量を上記S15の「今回排出されたインク量」に加算する(S22)。この後、S23に進む。
【0072】
クリーニング動作を実行していないと(S21で“NO”)、記録装置1は、貯留量加算部34により、廃インク貯留部12に貯留されている廃インクの量(Amain)を算出するとともに、残量カウンタ31と排出総量カウンタ38をリセットする(S23)。具体的には、廃インク貯留部12に貯留されている廃インクの量(現在のAmain)は、廃インク貯留部12に貯留されている廃インクの量(前回のAmain)を、上記キャップ8内に保持されているインクの総残量(現在のAcap)に加算することによって算出される(現在のAmain=前回のAmain+現在のAcap)。
【0073】
これとともに、上記残量カウンタ31に記憶されているインクの残量(現在のAcap)と、上記排出総量カウンタ38に記憶されているインクの総量を“0”にする。
【0074】
ここで、記録装置1は、オーバーフロー判断部35により、上記貯留量加算部34でカウントした廃インクの量が廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、廃インク貯留部12に貯留された廃インクの量(現在のAmain)が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力する。このようにすることにより、適切なタイミングで廃インクの増加を防止することができ、廃インクが装置から溢れることを防止することができる。
【0075】
このように、記録装置1は、キャップ8によってノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間をCOTタイマ25により計時し、そのキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ8内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算したインクの残量を残量計算部29により計算する。そして、その計算されたインクの残量に基づいて、上記キャップ8に保持されたインクを廃インクとして廃インク貯留部12に収容された廃液の量を貯留量加算部34によりカウントする。
【0076】
したがって、上記キャップ8におけるインクの蒸発量を減算することができるため、実際に廃インク貯留部12に貯留されている廃インクの量と、排出量加算部33によりカウントされた廃インクの量との誤差が極めて小さくなるため、廃インク貯留部12に貯留された廃インクの量を正確にカウントすることができる。また、上記キャップ8におけるインク体の蒸発量から廃インク貯留部12に貯留された廃インクの残量を計算するため、例えば廃インク貯留部12が密閉されているときにはより効果的である。これにより、廃インク貯留部12の液体収容能力を最大限に利用することができるとともに、廃インク貯留部12から装置外へ廃インクが溢れることを防止することができる。また、正確に廃インクの量をカウントすることができるため、廃インク貯留部12を小型化することができ、本装置全体をコンパクトにすることができる。
【0077】
なお、上記記憶装置の制御をプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカード等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスク等の記録媒体に記録させて、プログラムを提供することもできる。また、電気通信回線や衛星通信回線等のネットワークを通じて、プログラムを提供することもできる。提供されるプログラム製品は、ハードディスク等のプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0078】
上記実施例は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によって得られた液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明が適用されるインクジェット式記録装置のシステム構成図である。
【図2】COTタイマ計時開始処理を示すフローチャートである。
【図3】インク残量計算処理を示すフローチャートである。
【図4】廃液カウント処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1 記録装置,2 ホストコンピュータ,3 プリンタドライバ,4 入力装置,6 インクカートリッジ,7 キャリッジ,8 キャップ,8a インク受材,9 ディスプレー,10 液体噴射ヘッド(記録ヘッド),11 吸引ポンプ,11a チューブ,12 廃インク貯留部,13 廃液吸収材,20 印刷制御部,21 回復部,23 排出制御部,25 COTタイマ,27 蒸発量計算部,29 残量計算部,31 残量カウンタ,33 排出量加算部,34 貯留量加算部,35 オーバーフロー判断部,37 保持限界判断部,38 排出総量カウンタ,39 残量診断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル開口から液滴を噴射する液体噴射ヘッドと、
上記ノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段と、
上記回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を制御する排出制御手段と、
上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップと、
上記ノズル開口が上記キャップにより封止されずに開放していたキャップ開放時間を計時するキャップ開放時間計時手段と、
上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部と、
上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を計算する残量計算手段と、
上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて上記収容部に収容された廃液の量をカウントする廃液カウント手段とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
上記残量計算手段が計算した液体の残量を記憶する残量カウント手段を備え、
上記残量計算手段は、上記残量カウント手段に記憶された液体の残量から上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を計算する請求項1記載の液体噴射装置。
【請求項3】
上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に対して液体の蒸発率を乗じることにより、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を計算する蒸発量計算手段を備えた請求項1または2記載の液体噴射装置。
【請求項4】
上記廃液カウント手段がカウントした廃液の量が廃液収容限界値を超えたか否かを判断し、当該収容された廃液の量が廃液収容限界値を超えたと判断したとき、エラーを出力するオーバーフロー判断手段を備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
上記回復動作によって上記キャップに新たに排出された液体の排出量を、上記残量計算手段が計算した液体の残量に加算することによって、上記キャップに保持されている液体の総残量を算出する排出量加算手段と、
上記排出量加算手段で算出された液体の総残量が上記キャップの保持限界値を超えたとき、上記収容部へ上記キャップに保持されている液体を排出する排出手段とを備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
上記キャップ開放時間計時手段は、上記回復動作が行なわれたときに上記キャップ開放時間をリセットする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
上記回復動作によって排出された液体の総量を記憶する排出総量カウント手段と、
上記排出総量カウント手段に記憶されている液体の総量に対して、上記液体が最大限蒸発したときに残る液体の割合である蒸発残率を乗じることにより、上記キャップにおける液体の第1の最低残量を計算し、上記残量計算手段が計算した液体の残量が上記第1の最低残量よりも少ないときに、上記残量計算手段が計算した液体の残量を上記第1の最低残量に置き換える残量診断手段とを備えた請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
液滴を噴射する液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を所定の排出制御手段により制御し、
上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップによって上記ノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間を所定のキャップ開放時間計時手段により計時し、
上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を所定の残量計算手段により計算し、
上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部に収容された廃液の量を所定の廃液カウント手段によりカウントすることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
液滴を噴射する液体噴射ヘッドのノズル開口から液体を排出させる回復動作を行なって上記液体噴射ヘッドの液体噴射性能を回復させる回復手段が回復動作において上記ノズル開口から排出する液体の量を所定の排出制御手段により制御するステップと、
上記ノズル開口を封止するとともに、上記ノズル開口から排出される液体を保持するキャップによって上記ノズル開口が封止されずに開放していたキャップ開放時間を所定のキャップ開放時間計時手段により計時するステップと、
上記キャップ開放時間計時手段が計時したキャップ開放時間に基づいて、上記キャップ内に排出されてから上記キャップ開放時間中の蒸発量を減算した液体の残量を所定の残量計算手段により計算するステップと、
上記残量計算手段が計算した液体の残量に基づいて、上記キャップに保持された液体を廃液として収容する収容部に収容された廃液の量を所定の廃液カウント手段によりカウントするステップとをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンスプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−95820(P2006−95820A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283655(P2004−283655)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】