説明

液体噴射装置

【課題】インクの強制排出によりノズル形成面に付着するインクの量を増やし、ノズル形
成面の湿潤の程度を高めることができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】プリンター1は、複数のノズル列27の中の少なくとも2列のノズル列27
に対して別々に対向することができる開口部32,33を有するフラッシグボックス16
を有し、開口部32は、開口部33に比べてノズル形成面12に対して近接することがで
きる近接開口部であり、フラッシングボックス16は、開口部32と開口部33とが連通
される連通部35を有し、開口部32と湿潤用ノズル列とが対向すると共に、開口部33
と被湿潤ノズル列とが対向し、かつ、開口部32を開口部33よりもノズル形成面12に
近接させて、湿潤用ノズル列についてインクの噴射を行い、開口部32に対向していない
ノズル列27についてはインクの噴射を行わない片側噴射を行うこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式のプリンターには、例えば、特許文献1に開示されるように、印刷ヘ
ッドのノズル形成面を払拭する払拭動作に先立ち、印刷ヘッドのノズル形成面をキャップ
により封止した状態で、キャップ内にインクを強制排出し、この強制排出により飛散した
インクの一部をノズル形成に付着させることでノズル形成を湿潤させる構成のものがある
。このようにノズル形成面を湿潤されることで、ノズル形成面に付着した増粘インクの粘
度が低下する。そして、増粘インクの粘度が低下したノズル形成面に対して払拭動作を施
すことで、容易にノズル形成面に付着した増粘インクの払拭を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−293973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すように、キャップ内にインクを強制排出しても、強制
排出された全てのインクがノズル形成面に付着するわけではなく、ノズル形成面に付着し
ている増粘インクの粘度を低下させるのに十分なインクをノズル形成面に付着させること
ができない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、インクの強制排出によりノズル形成面に付着するインクの量を増や
し、ノズル形成面の湿潤の程度を高めることができる液体噴射装置を提供しようとするも
のである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ノズル形成面に複数のノズル開口から形成されるノズル列
が複数列形成され、ノズル開口から液体を噴射することができる液体噴射ヘッドと、ノズ
ル開口からの液体の噴射を制御する液体噴射制御手段とを有する液体噴射装置において、
複数のノズル列の中の少なくとも2列のノズル列に対して別々に対向することができる複
数の開口部を有する空間形成体を有し、複数の開口部のうち、1つ以上かつ全数未満の開
口部は、他の開口部に比べてノズル形成面に対して近接することができる近接開口部であ
り、空間形成体は、近接開口部と他の開口部とが連通される連通部を有し、空間形成体と
液体噴射ヘッドとを、近接開口部と湿潤用ノズル列とが対向すると共に、他の開口部と被
湿潤ノズル列とが対向し、かつ、近接開口部を他の開口部に比べてノズル形成面に近接さ
せて配置した状態で、液体噴射制御手段が、湿潤用ノズル列のうち少なくとも1つのノズ
ル列について液体の噴射を行い、近接開口部に対向していないノズル列については液体の
噴射を行わない片側噴射を行うこととする。
【0007】
上記課題を解決するために、ノズル形成面に複数のノズル開口から形成されるノズル列
が形成され、ノズル開口から液体を噴射することができる液体噴射ヘッドと、ノズル開口
からの液体の噴射を制御する液体噴射制御手段とを有する液体噴射装置において、ノズル
列の中の一部のノズル開口と一部のノズル開口以外の他のノズル開口に対して別々に対向
することができる複数の開口部を有する空間形成体を有し、複数の開口部のうち、1つ以
上かつ全数未満の開口部は、他の開口部に比べてノズル形成面に対して近接することがで
きる近接開口部であり、空間形成体は、近接開口部と他の開口部とが連通される連通部を
有し、空間形成体と液体噴射ヘッドとを、近接開口部と湿潤用ノズル開口とが対向すると
共に、他の開口部と被湿潤ノズル開口とが対向し、かつ、近接開口部を他の開口部に比べ
てノズル形成面に近接させて配置した状態で、液体噴射制御手段が、湿潤用ノズル開口に
ついて液体の噴射を行い、近接開口部に対向していないノズル開口については液体の噴射
を行わない片側噴射を行うこととする。
【0008】
上記発明に加えて、連通部は、各開口部にそれぞれ独立に接続する独立連通部と、各独
立連通部を接続する共通連通部とを有することとする。
【0009】
上記発明に加えて、他の開口部には、他の開口部を開閉することができる開閉手段が備
えられていることとする。
【0010】
上記発明に加えて、液体は、印刷対象物に対して印刷を行うためのインクであり、湿潤
用ノズル列から噴射されるインクは黒色インクであり、被湿潤ノズル列から噴射されるイ
ンクは黒色以外の他の色のインクであることとする。
【0011】
上記発明に加えて、液体噴射ヘッドを主走査方向に移動させるための駆動手段を有し、
かつ、ノズル形成面を払拭するためのワイピング手段を備えると共に、液体噴射制御手段
は、片側噴射制御の後に、駆動手段を駆動させる制御を行って、ノズル形成面を払拭する
こととする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリンターの構成を示す斜視図である。
【図2】クリーニングヘッドの構成を示す断面図である。
【図3】クリーニングヘッドと印刷ヘッドとの位置関係を示す側面図である。
【図4】印刷ヘッドを下方から見た状態を示す斜視図である。
【図5】フラッシングボックスの構成を示す平面図である。
【図6】フラッシングボックスと印刷ヘッドの位置関係を示す側面図である。
【図7】制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態に係るフラッシングボックスの構成を示す平面図である。
【図9】第2の実施の形態に係るフラッシングボックスと印刷ヘッドの位置関係を示す側面図である。
【図10】変形例に係るフラッシングボックスの構成を示す平面図である。
【図11】変形例に係るフラッシングボックスと印刷ヘッドの位置関係を示す側面図である。
【図12】第3の実施の形態に係るフラッシングボックスの構成を示す平面図である。
【図13】第3の実施の形態に係るフラッシングボックスと印刷ヘッドの位置関係を示す側面図である。
【図14】第4の実施の形態に係るフラッシングボックスの構成を示す平面図である。
【図15】第4の実施の形態に係るフラッシングボックスと印刷ヘッドの位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る、液体噴射装置としてのプリンター1について
、図1から図7に基づいて説明する。
【0014】
(プリンター1の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る液体噴射装置としてのインクジェットプリンター(
以下、単にプリンターと言う。)1の全体的な概略の構成を示す斜視図である。なお、以
下の説明において、図1中矢印X1で示す向きを下流側(前側)、その反対方向X2を上
流側(後側)とし、下流側から上流側を見て、左手側(Y1方向)を左方(左側)、右手
側(Y2方向)を右方(右側)として説明を行う。
【0015】
図1に示すように、プリンター1は、シャーシ2を有しており、このシャーシ2により
、キャリッジ3がキャリッジ軸4を介して摺動自在に支持されている。このキャリッジ3
には、液体噴射ヘッドとしての印刷ヘッド5が取り付けられている。また、シャーシ2に
は、キャリッジ軸4に平行な状態で左右に掛け渡されるタイミングベルト6が備えられて
いる。
【0016】
タイミングベルト6は、アイドルプーリー7と駆動プーリー8とに掛け渡され、駆動プ
ーリー8が駆動手段としてのキャリッジモーター9により往復回転させられることで左右
に往復回転する。キャリッジ3は、タイミングベルト6の一部に結合され、タイミングベ
ルト6の左右方向への往復回転と共に左右方向に往復移動可能となっている。タイミング
ベルト6の下方には、紙送りモーター10により回転させられ、記録紙Pを搬送するため
の搬送ローラー11が配設されている。また、印刷ヘッド5の下方には、搬送ローラー1
1の回転により上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pの下側を支持する図示を
省略するプラテンが配設されている。
【0017】
印刷ヘッド5の記録紙Pと対向する面であるノズル形成面12(図4参照)には、液体
としてのインクの噴射が行われる複数のノズル開口13(図4、図6参照)が形成されて
いる。そして、印刷ヘッド5はキャリッジ3と共に左右方向に往復移動しながら、プラテ
ンにより上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pに対してインクを噴射し、図示
外のパソコン等から送られる画像データ等に基づく所望の画像を記録紙Pに対して記録す
る。なお、印刷ヘッド5が記録紙Pに記録を行う際の印刷ヘッド5の左右方向への往復移
動は、記録紙Pの左右幅よりも広く設けられている記録領域S1の範囲内で行われる。
【0018】
一方、記録処理を実行している間にノズル形成面12がインク等で汚れたとき、あるい
は、一定量の記録を行う毎に、印刷ヘッド5は、記録領域S1の右側に設定される非記録
領域S2に移動させられる。非記録領域S2には、後述するようなキャッピング機構14
およびワイピング機構15が設けられている。なお、非記録領域S2は、プリンター1が
記録処理を行わないときの印刷ヘッド5の待機位置ともなっている。また、記録領域S1
を挟んだ非記録領域S2の反対側に設定される非記録領域S3には、後述する湿潤フラッ
シングを行うための空間形成体としてのフラッシングボックス16が配置されている。
【0019】
(キャッピング機構14およびワイピング機構15について)
続いて、本実施の形態における、キャッピング機構14およびワイピング機構15につ
いて、図2、図3等に基づいて説明する。
【0020】
キャッピング機構14は、キャップ部材17と、このキャップ部材17を上下に昇降さ
せる図示を省略する昇降機構等を備えている。キャップ部材17は、図2、図3等に示す
ように、後述する封止壁18を有している。
【0021】
ここで、キャップ部材17(封止壁18)は、弾性を有するゴム等を材質として構成さ
れている。また、封止壁18で囲まれた内部には、凹部19が設けられている。この凹部
19は、下方に向かうにつれて周方向長さが短くなる漏斗状に形成されていて、本実施の
形態では漏斗部は平面形状が矩形を為す四角錐に形成されている。さらに、この凹部19
の底部には通孔20が形成されていて、この通孔20に接続管21の一端が接続されてい
る。接続管21は、例えば直線状に形成されていて、凹部19から離間する他端側に小径
となる小径部22を有している(図2参照)。そして、この小径部22に、不図示の可撓
性チューブの一端側が接続されている。
【0022】
続いて、ワイピング機構15について説明する。ワイピング機構15は、ワイピング手
段としてのワイパーブレード23と、このワイパーブレード23を上下に昇降させる図示
を省略する昇降機構等を備えて構成されている。ワイパーブレード23は、ノズル形成面
12に付着しているインク廃液を掻き取り払拭するための部材である。このワイパーブレ
ード23は、図2等に示すように、キャップ部材17と一体的な部材(クリーニングヘッ
ド24)に設けられている。ワイパーブレード23は、クリーニングヘッド24に対する
付け根の部分から先端側(上端側)に向かうにつれて、主走査方向に沿う幅寸法が小さく
なるように形成されている。そのため、ワイパーブレード23の上端側は、ノズル形成面
12に当接した際に、弾性的に変形することを可能としている。
【0023】
ところで、このワイパーブレード23も、上述のキャップ部材17と同様の弾性を有す
るゴム等を材質として構成されている。また、図2に示すように、クリーニングヘッド2
4には、ワイパーブレード23とキャップ部材17との間の部位に、インク受け凹部25
が設けられている。インク受け凹部25は、ワイパーブレード23でノズル形成面12を
払拭した際のインク廃液を受け止めるための部分である。なお、インク受け凹部25の底
部には、排出孔26が形成されていて、インク受け凹部25に存在するインク廃液を排出
可能としている。
【0024】
(ノズル形成面12に関して)
続いて、ノズル形成面12の詳細な構成について述べる。図4に示すように、本実施の
形態における印刷ヘッド5のノズル形成面12には、複数のノズル開口13が所定ピッチ
で並んで形成されるノズル列27が8列形成されている。8列のノズル列27は、隣接す
る2つの列のノズル列27を1組として、4組のノズル列組28(28A,28B,28
C,28D)を構成している。そして、各ノズル列組28A,28B,28C,28Dは
、それぞれ、例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを噴射することが
できるように構成されている。
【0025】
また、ノズル形成面12は、その周囲をヘッドカバー29によって覆われている。ヘッ
ドカバー29は、その平面形状が枠形状に設けられている。また、図4に示すように、ヘ
ッドカバー29は、高さ方向における側壁にも所定の寸法だけ差し掛かるように設けられ
ている。
【0026】
(フラッシングボックス16について)
続いて、本実施の形態のプリンター1が備える、空間形成体としてのフラッシングボッ
クス16について、図5および図6に基づいて説明する。図5は、フラッシングボックス
16を上方から見た平面図を示し、図6は、後述するように、フラッシングボックス16
が上方に移動されたときの印刷ヘッド5との関係を示す図であり、フラッシングボックス
16については、図5の切断線A−Aにおける断面図を示している。また、記録ヘッド5
については、記録ヘッド5を正面(前方)から見たときの概略構成の概念図として示され
ている。
【0027】
フラッシングボックス16は、図1に示すようにプリンター1の右側に備えられるキャ
ッピング機構14およびワイピング機構15に対してその反対側の位置となる左側に配置
されている。フラッシングボックス16は、箱状部30と箱状部30の上面から上方に向
けて立ち上がる筒状部31とを有している。筒状部31の先端部(上端部)は開口され、
開口部32として形成されている。また、箱状部30の上面部には開口部33が形成され
ている。フラッシングボックス16は、開口部32,33以外の部分については壁部34
により覆われた閉鎖した空間として形成されている。また、筒状部31と箱状部30の内
部は互いに連通する空間として形成されている。すなわち、フラッシングボックス16の
内部は、開口部32と開口部33とを連通する連通部35として構成されている。
【0028】
フラッシングボックス16は、昇降機構36(図7参照)により、筒状部31の先端部
が印刷ヘッド5のノズル形成面12に当接する上方に移動した位置と、開口部32が印刷
ヘッド5のノズル形成面12から離れる下方に移動した位置とに昇降可能とされている。
図6は、フラッシングボックス16が上方に移動し、筒状部31の先端部がノズル形成面
12に当接した状態を示している。
【0029】
図5に示すように、開口部32,33は、平面視において、それぞれ矩形状に形成され
、矩形の長手方向についてはノズル列27の長さよりもやや長く形成されている。一方、
矩形の短手方向については、1組のノズル列組28の幅よりもやや長く形成されている。
そして、開口部32,33は、ノズル列組28が配列されるピッチと同一ピッチで配置さ
れている。フラッシングボックス16は、ノズル列組28が配列される方向に、開口部3
2,33が配列されるように配置されている。また、フラッシングボックス16は、開口
部33を、開口部32に対してワイピング機構15が配置される側となるように配置され
ている。すなわち、本実施の形体では、フラッシングボックス16は、開口部33が、開
口部32に対して右側に配置されるように配置されている。
【0030】
したがって、印刷ヘッド5のノズル列組28のうち、開口部32に対して開口部33が
配置される方向(右方向)の一番端に位置するノズル列組28(28D)よりも開口部3
2側に配置されるノズル列組28(28A,28B,28C)の中の1つが開口部32に
対向するように、印刷ヘッド5がフラッシングボックス16に対して配置されると、開口
部33は、開口部32に対向するノズル列組28よりもワイピング機構15側に位置する
ノズル列組28に対向することになる。
【0031】
なお、本実施の形態では、2つのノズル列27を1組としたノズル列組28(28A,
28B,28C,28D)に開口部32,33が対向するように構成されているが、ノズ
ル列組28(28A,28B,28C,28D)を構成するノズル列27を1列としても
よい。この場合には、ノズル形成面12に形成されるノズル列27の数は4列となる。ま
た、ノズル列組28(28A,28B,28C,28D)を構成するノズル列27を3列
以上のノズル列27から構成するようにしてもよい。ノズル列組28(28A,28B,
28C,28D)を構成するノズル列27を3列とした場合には、ノズル形成面12に形
成されるノズル列27の数は12列となる。
【0032】
筒状部31の先端部には、ゴム材等の弾性材により形成されるパッキン37が備えられ
ている。すなわち、筒状部31の先端部はパッキン37を介してノズル形成面12に当接
する。したがって、筒状部31の先端部とノズル形成面12との間を空気が通らないよう
に、筒状部31の先端部とノズル形成面12とが密着できる構成となっている。また、開
口部32は、箱状部30の上面から上方に向けて突出した筒状部31の上端部に形成され
ている。すなわち、箱状部30の上面に形成される開口部33は、筒状部31の高さ方向
の長さ分だけ開口部32よりも下側に形成されている。したがって、開口部32をノズル
形成面12に当接した状態で、開口部33とノズル形成面12との間には、間隔Dが形成
される。つまり、開口部32は、開口部33に比べてノズル形成面12に近接する近接開
口部として構成される。
【0033】
(制御部の構成)
また、図7に示すように、プリンター1には、制御部38が設けられている。この制御
部38は、液体噴射制御手段としても機能し、不図示のCPU、メモリー(ROM、RA
M、不揮発性メモリー等)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、
バス、タイマ、インターフェース等を有している。
【0034】
また、この制御部38には、各種センサーからの信号が入力されると共に、このセンサ
ーからの信号に基づいて、制御部38は、キャリッジ3を駆動するキャリッジモーター9
、紙送りモーター10、印刷ヘッド5、フラッシングボックス16を昇降させる昇降機構
36、および図示を省略する吸引ポンプ等の駆動を司る。
【0035】
また、上述のメモリーの中のデータ、およびプログラムがCPUで実行され、制御部3
8の各構成が協働することにより、機能的には、図7のブロック図に示すような構成が実
現される。この図7に示すように、制御部38は、主制御部39、ヘッド制御部40、キ
ャリッジ(CR)モーター制御部41、昇降機構制御部42、ヘッド駆動回路43、キャ
リッジ(CR)モーター駆動回路44、昇降機構制御回路45等を具備している。
【0036】
これらのうち、主制御部39は、プリンター1の全体の制御を司る部分であり、プリン
ター1に接続されるコンピューター側からの指令、またはプリンター1の操作パネル等か
らの指令等が入力されると共に、メモリーに記憶されている不図示のメンテナンステーブ
ルを読み込む。そして、このメンテナンステーブルを参照して、フラッシング動作や印刷
ヘッド5の吸引レベルに応じたメンテナンス動作を選定するように構成してもよい。
【0037】
なお、メンテナンステーブルにおいては、フラッシング動作の種類を複数存在させ、印
刷時間や印刷動作の所定のタイミングに応じて選択することができるように構成していて
も良い。例えば、キャップ部材17内に向けて、全てのノズル列27からインク滴を噴射
させる通常のフラッシング動作と、図6において開口部32と対向するノズル列組28か
らインクを噴射し、開口部33と対向するノズル列組28からはインクを噴射しない片側
噴射を行う湿潤フラッシング等の少なくとも2つのフラッシング動作が存在するように、
メンテナンステーブルを構成する。
【0038】
(湿潤フラッシングの動作について)
続いて、上述のような構成を有するプリンター1における湿潤フラッシングの動作につ
いて説明する。
【0039】
プリンター1の電源オンの状態で、所定のタイミングが到来すると、主制御部39は、
キャリッジモーター制御部41に指令を与え、キャリッジモーター9を駆動する。そして
、印刷ヘッド5を、記録領域S1あるいは非記録領域S2から非記録領域S3に移動し、
フラッシングボックス16の上部に位置する状態とする。なお、所定のタイミングとは、
例えば、印刷動作を行っている間の所定の時間間隔毎である。
【0040】
主制御部39は、印刷ヘッド5を、記録領域S1あるいは非記録領域S2から非記録領
域S3に移動するときには、フラッシングボックス16が下方に移動させられた状態とな
っているように昇降機構制御部42に指令を出す。フラッシングボックス16が下方に移
動していることで、記録領域S1あるいは非記録領域S2から非記録領域S3に移動して
くる印刷ヘッド5がフラッシングボックス16に衝突することを防止できる。
【0041】
主制御部39は、隣接する2つのノズル列組28に、開口部32と開口部33とがそれ
ぞれ対向することができる位置に印刷ヘッド5を移動するように、キャリッジモーター制
御部41に指令を与える。ここでは、図6に示すように、ノズル列組28A,28Bに開
口部32と開口部33がそれぞれ対向することができる位置に印刷ヘッド5を移動するよ
うに、キャリッジモーター制御部41に指令を与える。そして、開口部32と開口部33
が、ノズル列組28A,28Bにそれぞれ対向する状態で、主制御部39は、昇降機構制
御部42に指令を与え、昇降機構36を動作させ、フラッシングボックス16を上方に移
動し、ノズル形成面12に開口部32を当接させる。つまり、印刷ヘッド5とフラッシン
グボックス16とを、図6に示すような位置関係とする。
【0042】
続いて、主制御部39の指令に基づいて、開口部32に対向しているノズル列組28(
28A)からインク滴を噴射し、他のノズル列組28(28B,28C,28D)につい
てはインク滴の噴射を行わない、片側噴射を行うように、印刷ヘッド5が駆動させられる
(図6参照)。これにより、ノズル列組28Aから、連通部35内にインク滴が噴射され
る。
【0043】
一方、開口部33が対向しているノズル列組28Bからはインク滴が噴射されないため
、開口部33の側から連通部35内にインク滴がフラッシングボックス16に入り込むこ
とはない。そのため、開口部32の側から連通部35内に噴射されたインク滴は、連通部
35を通って開口部33から噴出する。開口部33から噴出したインク滴は、開口部33
に対向しているノズル列組28Bのノズル開口13とその周囲に付着する(図6参照)。
すなわち、開口部33に対向するノズル列組28Bのノズル開口13とその周囲をインク
滴により湿潤させることができる。以上のようにして湿潤フラッシングが行われる。そし
て、ノズル形成面12にインクを付着させた後、主制御部39は、昇降機構制御部42に
指令を与え、昇降機構36を動作させ、フラッシングボックス16を下方に移動させる。
【0044】
なお、上述の構成の場合には、開口部32に対向しているノズル列組28Aから噴射さ
れたインク滴は、連通部35を通って開口部33からノズル列組28Bに付着し、ノズル
開口13の内部とその周囲を湿潤させるものであり、開口部32に対向しているノズル列
組28Aは湿潤用ノズル列として機能している。そして、開口部33に対向しているノズ
ル列組28Bは、湿潤用ノズル列から噴射されたインク滴によって湿潤される被湿潤ノズ
ル列となっている。
【0045】
筒状部31の先端部は、パッキン37によりノズル形成面12に対して密着し、筒状部
31の先端部とノズル形成面12との間は、空気が流通しないようになっている。一方、
開口部33とノズル形成面12との間には間隔Dが形成されている。したがって、開口部
32から連通部35内にインク滴が噴射されると、噴射されたインク滴の体積分の空気が
開口部33からフラッシングボックス16の外側に放出される。この放出により開口部3
3には連通部35内から外部に向かう上昇気流が発生する。そして、この上昇気流により
開口部32から連通部35内に放出されたインク滴を、開口部33から外部に効率よく噴
出させることができる。このため、開口部33に対向するノズル列組28Bのノズル開口
13とその周囲に付着するインク滴の量を多くすることができる。
【0046】
上述の湿潤フラッシングは、例えば、インクの色毎に噴射頻度が大きく異なる記録動作
を行っている間に所定のタイミング(時間間隔)で行うことが好ましい。所定のタイミン
グは、例えば、ノズル列組28から噴射するインクが印刷に支障のない粘度から噴射に支
障を来す粘度になるまでに要する時間よりも短い時間間隔である。インクの色毎に噴射頻
度が大きく異なる記録動作を行うと、インクの噴射頻度が高いノズル列組28のノズル開
口13内のインクについては増粘し難いが、インクの噴射頻度が低いノズル列組28のノ
ズル開口13内に残留しているインクは、噴射を行っていない時間の経過と共に増粘度が
増していく。そこで、所定のタイミングで、インクの噴射頻度が高いノズル列組28を湿
潤用ノズル列として開口部32を対向させると共に、インクの噴射頻度が低いノズル列組
28を被湿潤ノズル列として開口部33に対向させる。そして、開口部32に対向してい
るノズル列組28からインク滴を噴射し、開口部33に対向しているノズル列組28のノ
ズル開口13にインク滴を付着させることで、インクの噴射頻度の低いノズル列組28の
ノズル開口13内に残留しているインクの増粘を抑えることができる。
【0047】
なお、湿潤フラッシングが終了した後、印刷ヘッド5をワイピング機構15側に移動し
、ワイパーブレード24によりノズル形成面12を払拭するようにしてもよい。払拭は、
開口部33に対向するノズル列組28B(被湿潤ノズル列)の側から開口部32に対向す
るノズル列組28A(湿潤用ノズル列)の側に向かって行う。このような方向に払拭を行
うことで、開口部33に対向する被湿潤ノズル列であるノズル列組28Bのノズル開口1
3とその周囲に周着したインクにより、ノズル列組28Bから湿潤用ノズル列であるノズ
ル列組28Aに向かって、ノズル形成面12に付着している増粘したインクを溶融しなが
ら払拭することができる。
【0048】
なお、上述の説明では、開口部32を近接開口部としてノズル列組28Aに対向させ、
開口部33をノズル形成面12から間隔Dを開けて配置される開口部としてノズル列組2
8Bに対向させる場合を示した。これに対し、各ノズル列組28のインクの噴射頻度に応
じて、開口部32をノズル列組28Bに対向させると共に開口部33をノズル列組28C
に対向させたり、あるいは開口部32をノズル列組28Cに対向させると共に開口部33
をノズル列組28Dに対向させるようにしてもよい。
【0049】
(第2の実施の形態)
プリンター1の使用状態として、ノズル列組28A,28B,28C,28Dのインク
の噴射頻度が予め判っている場合には、第1の実施の形態に係るプリンター1に使用され
るフラッシングボックス16は、図8および図9に示す構成のフラッシングボックス16
1としてもよい。つまり、プリンター1の使用状態が、例えば、ブラックインクを噴射す
るノズル列組28Aは、インクの噴射頻度が高く、他の色(イエロー、シアン、マゼンタ
)のインクを噴射するノズル列組28B,28C,28Dについてはインクの噴射頻度が
低いことが予想される場合がある。この場合には、フラッシングボックス161に、ノズ
ル列組28A,29B,28C,28Dにそれぞれ対向することができる4つの開口部5
0A,50B,50C,50Dを形成する。そして、4つのノズル列組28に、4つの開
口部50A,50B,50C,50Dをそれぞれ対向させたときに、ノズル列組28Aに
対向することができる開口部50Aを近接開口部として構成し、他の開口部50B,50
C,50Dについては、ノズル形成面12に対して間隔Dを開けてノズル列組28B,2
8C,28Dに対向することができる開口部として構成する。
【0050】
なお、図8は、フラッシングボックス161を上方から見た平面図を示し、図9は、フ
ラッシングボックス161が上方に移動させられたときの印刷ヘッド5との関係を示す図
であり、フラッシングボックス161については、図8の切断線B−Bにおける断面図を
示している。なお、フラッシングボックス16と同様の機能を有する部材については同一
の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
開口部50Aは、筒状部31の先端部に形成されている。そして、開口部50B,50
C,50Dは、箱状部30の上面に形成されている。フラッシングボックス161は、開
口部50A,50B,50C,50D以外の部分については壁部34により覆われた閉鎖
した空間として形成され、フラッシングボックス161の内部は、開口部50Aと開口部
50B,50C,50Dとを連通する連通部35として構成されている。
【0052】
開口部50A,50B,50C,50Dは、平面視において、それぞれ矩形状に形成さ
れ、矩形の長手方向についてはノズル列27の長さよりもやや長く形成されている。一方
、矩形の短手方向については、ノズル列組28の幅よりもやや長く形成されている。そし
て、開口部50A,50B,50C,50Dは、ノズル列組28が配列されるピッチと同
一ピッチで配置されている。開口部50A,50B,50C,50Dは、ノズル列組28
が配列される方向に配列されている。また、開口部50B,50C,50Dは、開口部5
0Aに対してワイピング機構15が配置される側に配置されている。すなわち、開口部5
0B,50C,50Dは、開口部50Aの右側に配置されている。
【0053】
上述のように構成されるフラッシングボックス161に対して、印刷ヘッド5を、ノズ
ル列組28Aに開口部50Aが対向し、かつ、ノズル列組28B,28C,28Dにそれ
ぞれ開口部50B,50C,50Dが対向するように配置する。そして、フラッシングボ
ックス161を、開口部50Aがノズル形成面12から離れている下方の位置から上方に
移動し、筒状部31の先端部をノズル形成面12に当接させる。そして、開口部50Aに
対向しているノズル列組28Aからインクを噴射し、他のノズル列組28からインクを噴
射しない片側噴射を行う。
【0054】
この片側噴射により、ノズル列組28Aから、連通部35内にインク滴が噴射される。
一方、ノズル列組28B,28C,28Dからはインク滴が噴射されないため、開口部5
0B,50C,50Dの側から連通部35内にインク滴がフラッシングボックス161に
入り込むことはない。そのため、開口部50Aの側から連通部35内に噴射されたインク
滴は、連通部35を通って開口部50B,50C,50Dから噴出する。開口部50B,
50C,50Dから噴出したインク滴は、開口部50B,50C,50Dに対向している
ノズル列組28B,28C,28Dのノズル開口13とその周囲に付着する(図9参照)
。すなわち、開口部50B,50C,50Dに対向するノズル列組28B,28C,28
Dのノズル開口13とその周囲をインク滴により湿潤させることができる。以上のように
して湿潤フラッシングが行われる。
【0055】
なお、上述の構成の場合には、開口部50Aに対向しているノズル列組28Aから噴射
されたインク滴は、連通部35を通って開口部50B,50C,50Dに対向しているノ
ズル列組28B,28C,28Dに付着し、ノズル開口13の内部とその周囲を湿潤させ
る。つまり、開口部50Aに対向しているノズル列組28Aは湿潤用ノズル列として機能
している。そして、開口部50B,50C,50Dに対向しているノズル列組28B,2
8C,28Dは、湿潤用ノズル列から噴射されたインク滴によって湿潤される被湿潤ノズ
ル列となっている。
【0056】
上述のフラッシングボックス161を用いた湿潤フラッシングは、インクの噴射頻度が
小さいイエロー、シアン、マゼンタのインクの増粘の進行の程度に合わせた所定のタイミ
ングで、印字動作中に行うことで、イエロー、シアン、マゼンタのインクを噴射するノズ
ル列組28B,28C,28Dについては、インクを消費することなく湿潤させることが
できる。
【0057】
なお、上述の説明では、開口部50Aを近接開口部としてノズル列組28Aに対向させ
、開口部50B,50C,50Dをノズル形成面12から間隔Dを開けて配置される開口
部としてノズル列組28B,28C,28Dに対向させる場合を示した。これに対し、ノ
ズル列組28のインクの噴射頻度に応じて、開口部50A以外の開口部50B,50C,
50Dのいずれかを近接開口部とし、他の開口部をノズル形成面12から間隔Dを開けて
配置される開口部として構成してもよい。
【0058】
(変形例)
図10,11に、上述のフラッシングボックス161の変形例としての、フラッシング
ボックス162の構成を示す。なお、図10は、フラッシングボックス162を上方から
見た平面図を示し、図11は、フラッシングボックス162が上方に移動されたときの印
刷ヘッド5との関係を示す図であり、フラッシングボックス162については、図10の
切断線C−Cにおける断面図を示している。なお、フラッシングボックス16と同様の機
能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
上述の実施の形態に係るフラッシングボックス16,161は、近接開口部としての開
口部(フラッシングボックス16において開口部32、フラッシングボックス161にお
いて開口部50A)は、1つのノズル列組(フラッシングボックス16においてノズル列
組28Aから28Cのいずれか、フラッシングボックス161においてノズル列組28A
)となっている。これに対し、図10,11に示すように、3つの開口部60A,60B
,60Cを形成し、2つのノズル列組28A,28Bに近接開口部としての開口部60A
が対向するように構成してもよい。この場合、フラッシングボックス162の内部は、開
口部60Aと開口部60B,60Cとを連通する連通部35として構成される。
【0060】
このように構成されるフラッシングボックス162においても、フラッシングボックス
16,161と同様に、開口部60Aをノズル列組28A,29Bに対向させると共にノ
ズル形成面12に当接させた状態にして、ノズル列組28A,28Bからインクを噴射し
、ノズル列組28C,28Dからインクを噴射しない片側噴射を行うことで、ノズル列組
28C,28Dのノズル開口13とその周囲を湿潤させることができる。上述の片側噴射
により、ノズル列組28A,28Bから、連通部35内にインク滴が噴射される。一方、
ノズル列組28C,28Dからはインク滴が噴射されないため、開口部60B,60Cの
側から連通部35内にインク滴がフラッシングボックス162に入り込むことはない。
そのため、開口部60Aの側から連通部35内に噴射されたインク滴は、連通部35を通
って開口部60B,60Cから噴出される。開口部60B,60Cから噴出したインク滴
は、開口部60B,60Cに対向しているノズル列組28C,28Dのノズル開口13と
その周囲に付着し湿潤させることができる(図11参照)。
【0061】
(第3の実施の形態)
図12,13に、フラッシングボックス16の他の実施の形態に係るフラッシングボッ
クス163の構成を示す。フラッシングボックス163は、フラッシングボックス161
と同様に、プリンター1の使用状態として、ノズル列組28A,28B,28C,28D
のインクの噴射頻度が予め判っている場合の構成となっている。つまり、プリンター1の
使用状態が、例えば、ブラックインクを噴射するノズル列組28Aは、インクの噴射頻度
が高く、他の色(イエロー、シアン、マゼンタ)のインクを噴射するノズル列組28B,
28C,28Dについてはインクの噴射頻度が低いことが予想される場合の構成となって
いる。
【0062】
図12は、フラッシングボックス163を上方から見た平面図を示し、図13は、フラ
ッシングボックス163が上方に移動されたときの印刷ヘッド5との関係を示す図であり
、フラッシングボックス163については、図12の切断線D−Dにおける断面図を示し
ている。なお、フラッシングボックス161と同様の機能を有する部材については同一の
符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
フラッシングボックス163においては、開口部50A,50B,50C,50Dの間
に、それぞれ、箱状体30の上面から下方に延びる隔壁51が設けられている。つまり、
開口部50A,50B,50C,50Dに対して、それぞれ独立して接続する独立連通部
35A,35D,35C,35Dが形成されている。また、隔壁51は、隔壁51の下端
51Aが、箱状体30の底面30Aに接しないように設けられている。したがって、隔壁
51の下端51Aの下側には、独立連通部35A,35B,35C,35Dを接続する共
通連通部35Eが形成されている。このため、ノズル列組28Aから独立連通部35A内
に噴射されたインク滴は、共通連通部35Eを通って各独立連通部35B,36C,35
Dに入り、そして、各独立連通部35B,35C,35Dに接続する開口部50B,50
C,50Dからノズル形成面12に向かって噴出し、開口部50B,50C,50Dと対
向するノズル列組28B,28C,28Dのノズル開口13とその周辺に付着し湿潤させ
ることができる(図13参照)。
【0064】
このように、開口部50A,50B,50C,50D毎に独立連通部35A,35B,
35C,35Dを設けることで、ノズル列組28Aから開口部50A内に噴射されたイン
ク滴を各開口部50B,50C,50Dに効率的に導くことができる。
【0065】
また、開口部50B,50C,50Dには、それぞれ、開閉手段としてシャッター52
を備えられ、開口部50B,50C,50Dをそれぞれ開閉することができるように構成
されている。このようにシャッター52を備え、開口部50B,50C,50Dのうち、
湿潤が必要ないノズル列組28に対向する開口部のシャッター52を閉鎖し、湿潤が必要
なノズル列組28に対向する開口部のシャッター52を開放することで、湿潤が必要なノ
ズル列組28に噴射されるインク滴の量を増やすことができる。
【0066】
なお、シャッター52の開閉は、例えば、次のようにして行う。シャッター52に、そ
れぞれ、シャッター52を閉鎖方向に付勢するスプリング等の付勢手段と、この付勢手段
の付勢力に抗して、シャッター52を開放方向に移動することができる電磁駆動装置等の
シャッター駆動手段とを備える。そして、常時は、付勢手段によりシャッター52を閉鎖
方向に偏倚させ、開口部50B,50C,50Dをシャッター52により閉鎖しておく。
そして、湿潤フラッシグ動作を開始するに当たり、開口部50B,50C,50Dのうち
、開放が必要な開口部に対応するシャッター52のシャッター駆動手段に対して、主制御
部39から指令を送り、シャッター52を開放方向に移動する。
【0067】
(第4の実施の形態)
図14,15に、フラッシングボックス16の他の実施の形態にかかるフラッシングボ
ックス164の構成を示す。なお、図14は、フラッシングボックス164を上方から見
た平面図を示し、図15は、フラッシングボックス164が上方に移動させられたときの
印刷ヘッド5との関係を示す図であり、フラッシングボックス164については、図14
の切断線E−Eにおける断面図を示している。なお、フラッシングボックス16と同様の
機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
上述のフラッシングボックス16,161,162,163は、ノズル列組28A,2
8B,28C,28D毎にフラッシングボックスに形成される開口部を対向させる構成で
ある。これに対し、フラッシングボックス164は、ノズル列組28の中の一部のノズル
開口13とこの一部のノズル開口13以外の他のノズル開口13とに対して、別々に対向
することができる開口部70Aと開口部70Bが設けられている。つまり、各ノズル列2
7それぞれに対して、2つの開口部70Aと開口部70Bが対向する。
【0069】
フラッシングボックス164は筒状部71と箱状部72を有し、筒状部71の先端に開
口部70Aが形成されている。そして、箱状部72の上面に開口部70Bが形成されてい
る。開口部70Aは、ノズル列組28の配列方向について、ノズル列組28A,28B,
28C,28Dに亘って形成されると共に、ノズル列27の長さ方向については、長さ方
向の概ね中間から一端側(前側)に位置するノズル列27(ノズル開口13)に対向する
ことができる大きさと形状に形成されている。また、開口部70Bは、開口部70Aに対
向しているノズル開口13以外のノズル開口13に対向することができるように形成され
ている。そして、フラッシングボックス164は、開口部70A,70B以外の部分につ
いては壁部34により覆われた閉鎖した空間として形成され、フラッシングボックス16
4の内部は、開口部70Aと開口部70Bとを連通する連通部35として構成されている

【0070】
上述のように構成されるフラッシングボックス164に対して、印刷ヘッド5を、ノズ
ル列組28A,28B,28C,28Dが開口部70Aと開口部70Bに対向することが
できるように配置する。つまり、印刷ヘッド5を、ノズル列組28A,28B,28C,
28Dのノズル列27の長さ方向の一端側(前側)の約半分程度が開口部70Aに対向し
、他端側(後側)の約半分程度が開口部70Bに対向するように配置する。
【0071】
そして、フラッシングボックス164を、筒状部71の先端部がノズル形成面12から
離れている下方の位置から上方に移動し、筒状部71の先端部をノズル形成面12に当接
させる。そして、開口部70Aに対向しているノズル開口13からインクを噴射し、他の
ノズル開口13からインクを噴射しない片側噴射を行う。すなわち、各ノズル列組28A
,28B,28C,28Dについて、ノズル列27の一端側(前側)の半分についてイン
クの噴射を行い、他端側の半分についてはインクの噴射を行わない。
【0072】
この片側噴射により、各ノズル列組28A,28B,28C,28Dのノズル列27の
うち、長手方向の中間から一端側に位置するノズル開口13からインク滴が連通部35内
に噴射される。一方、各ノズル列組28A,28B,28C,28Dの長手方向の中間か
ら他端側に位置するノズル開口13からはインク滴が噴射されない。そのため、開口部7
0Bの側から連通部35内にインク滴が入り込むことはない。したがって、開口部70A
の側から連通部35内に噴射されたインク滴は、連通部35を通って開口部70Bから噴
出する。開口部70Bから噴出したインク滴は、開口部70Bに対向しているノズル列組
28A,28B,28C,28Dのノズル開口13とその周囲に付着する(図15参照)
。すなわち、ノズル列組28A,28B,28C,28Dのノズル開口13のうち、開口
部70Bに対向するノズル開口13とその周囲をインク滴により湿潤させることができる
。以上のようにして湿潤フラッシングが行われる。
【0073】
なお、上述の構成の場合には、開口部70Aに対向しているノズル開口13から噴射さ
れたインク滴は、連通部35を通って開口部70Bに対向しているノズル列組28のノズ
ル開口13とその周囲に付着し湿潤させる。つまり、開口部70Aに対向しているノズル
列組28のノズル開口13は湿潤用ノズル開口として機能している。そして、開口部70
Bに対向しているノズル開口13は、湿潤用ノズル開口から噴射されたインク滴によって
湿潤させられる被湿潤ノズル開口となっている。
【0074】
上述の構成によれば、ノズル開口13の全てからインクの噴射を行う場合に比べて、フ
ラッシングに伴うインクの消費量を少なくすることができる。なお、本実施の形態では、
ノズル列27の長さ方向、すなわち前後方向における開口部70Aと開口部70Bの長さ
は、概ね同一に構成されているが、いずれか一方を長くし、他方を短くする構成としても
よい。例えば、開口部70Aのノズル列27の長さ方向(前後方向)の長さを、開口部7
0Bのノズル列27の長さ方向の長さ(前後方向)よりも短くした場合には、開口部70
Aに対向するインク滴を噴射する湿潤用ノズル開口の数が少なくなる。このため、湿潤フ
ラッシングに消費されるインク滴の量を少なくすることができる。また、連通部35を、
ノズル列組28A,28B,28C,28D毎に対応するように仕切り壁により分離する
構成としてもよい。このようにすることにより、ノズル開口13に他の色のインク滴が付
着することを防止することができる。
【0075】
上述したように本発明の実施の形態とその変形例に係るプリンター1は、ノズル形成面
12に複数のノズル開口13から形成されるノズル列27が複数列形成され、ノズル開口
13から液体としてのインクを噴射することができる液体噴射ヘッドとしての印刷ヘッド
5と、ノズル開口13からのインクの噴射を制御する液体噴射制御手段としての制御部3
8とを有する。そして、さらに、プリンター1は、複数のノズル列27の中の少なくとも
2列のノズル列27に対して別々に対向することができる複数の開口部32,33(開口
部50A,50B,50C,50D、開口部60A,60B,60C)を有する空間形成
体としてのフラッシグボックス16(161,162,163,164)を有し、上述の
複数の開口部のうち、1つ以上かつ全数未満の開口部は、他の開口部に比べてノズル形成
面12に対して近接することができる近接開口部であり、フラッシングボックス16(1
61,162,163,164)は、近接開口部と他の開口部とが連通される連通部35
を有し、フラッシングボックス16(161,162,163,164)と印刷ヘッド5
とを、近接開口部と湿潤用ノズル列とが対向すると共に、他の開口部と被湿潤ノズル列と
が対向し、かつ、近接開口部を他の開口部に比べてノズル形成面12に近接させて配置し
た状態で、制御部38が、湿潤用ノズル列のうち少なくとも1つのノズル列についてイン
クの噴射を行い、近接開口部に対向していないノズル列27についてはインクの噴射を行
わない片側噴射を行うこととする。
【0076】
プリンター1をこのように構成した場合には、湿潤用ノズル列から噴射されたインクが
連通部35を通って、他の開口部から放出され被湿潤ノズル列のノズル開口とその周囲の
ノズル形成面に付着する。これにより、被湿潤ノズル列のノズル開口13部内のインクと
その周囲のノズル形成面12に付着したインクの増粘を防止することができる。また、近
接開口部は、他の開口部に比べてノズル形成面12に近接している。つまり、連通部35
内は、近接開口部側が他の開口部側に比べて密閉度が高くなっている。このため、近接開
口部に対向するノズル列27から連通部35内にインクが噴射されると、連通部35内は
近接開口部側が他の開口部側よりも気圧が高くなる。したがって、近接開口部側から他の
開口部側に向かう気流が生じ易く、湿潤用ノズル列から噴射されたインクを被湿潤ノズル
列のノズル開口13とその周囲のノズル形成面12に効率よく付着させることができる。
【0077】
また、プリンター1は、ノズル形成面12に複数のノズル開口13から形成されるノズ
ル列27が形成され、ノズル開口13から液体としてのインクを噴射することができる液
体噴射ヘッドとしての印刷ヘッド5と、ノズル開口13からのインクの噴射を制御する液
体噴射制御手段としての制御部38とを有する。そして、さらに、プリンター1は、ノズ
ル列27の中の一部のノズル開口13とこの一部のノズル開口13以外の他のノズル開口
13に対して別々に対向することができる複数の開口部70A,70Bを有する空間形成
体としてのフラッシングボックス164を有し、複数の開口部70A,70Bのうち、1
つ以上かつ全数未満の開口部70Aは、他の開口部70Bに比べてノズル形成面12に対
して近接することができる近接開口部であり、フラッシングボックス164は、近接開口
部と他の開口部とが連通される連通部35を有し、フラッシングボックス164と印刷ヘ
ッド5とを、近接開口部と湿潤用ノズルが対向すると共に、他の開口部と被湿潤ノズル開
口とが対向し、かつ、近接開口部を他の開口部に比べてノズル形成面12に近接させて配
置した状態で、制御部38が、湿潤用ノズルについてインクの噴射を行い、近接開口部に
対向していないノズル開口13についてはインクの噴射を行わない片側噴射を行うことと
する。
【0078】
プリンター1をこのように構成した場合にも、湿潤用ノズルから噴射されたインクが連
通部35を通って、他の開口部から放出され被湿潤ノズルのノズル開口13とその周囲の
ノズル形成面12に付着する。これにより、被湿潤ノズル列のノズル開口13内のインク
とその周囲のノズル形成面12に付着したインクの増粘を防止することができる。また、
近接開口部は、他の開口部に比べてノズル形成面12に近接している。つまり、連通部3
5内は、近接開口部側が他の開口部側に比べて密閉度が高くなっている。このため、近接
開口部に対向するノズル列27から連通部35内にインクが噴射されると、連通部35内
は近接開口部側が他の開口部側よりも気圧が高くなる。したがって、近接開口部側から他
の開口部側に向かう気流が生じ易く、湿潤用ノズル列から噴射されたインクを被湿潤ノズ
ル列のノズル開口13部とその周囲のノズル形成面12に効率よく付着させることができ
る。
【0079】
また、プリンター1は、連通部35を、各開口部50A,50B,50C,50Dにそ
れぞれ独立に接続する独立連通部35A,35B,35C,35Dと、各独立連通部35
A,35B,35C,35Dを接続する共通連通部35Eとを有すること構成としてもよ
い。
【0080】
プリンター1を、このように構成した場合には、他の開口部にインクを導きやすくなる

【0081】
また、プリンター1は、他の開口部50B,50C,50Dに、他の開口部50B,5
0C,50Dを開閉することができる開閉手段としてのシャッター52を備えることとし
てもよい。
【0082】
プリンター1を、このように構成した場合には、シャッター52を開閉することにより
、被湿潤ノズル列の開口部の湿潤を必要に応じて行うことができる。つまり、被湿潤ノズ
ル列の開口部のうちで、湿潤させる必要はない開口部については、シャッター52により
閉鎖しておくことで、湿潤が必要なノズル列組についてだけ増粘を防止する処理を行うこ
とができる。
【0083】
また、プリンター1は、湿潤用ノズル列から噴射されるインクは黒色インクであり、被
湿潤ノズル列から噴射されるインクは黒色以外の他の色のインクであることとしてもよい

【0084】
プリンター1を、このように構成した場合には、湿潤用の液体を黒色インクとすること
で、フラッシングによる他の色のインクの消費量を少なくすることができる。
【0085】
上述のプリンター1は、印刷ヘッド5を主走査方向に移動させるための駆動手段として
のキャリッジモーター9を有し、かつ、ノズル形成面12を払拭するためのワイピング手
段としてワイピング機構15を備えると共に、制御部38は、片側噴射制御の後に、キャ
リッジモーター9を駆動させる制御を行って、ノズル形成面12を払拭することとしても
よい。
【0086】
プリンター1を、このように構成した場合には、片側噴射制御によってノズル形成面1
2にインクが付着した後に、ワイピング機構15によってノズル形成面12が払拭される
。そのため、増粘していない新たに付着したインクが塗り広げられる状態となり、ノズル
開口13で増粘しているインクの粘度を低下させて、再溶解させることが可能となる。そ
れにより、ノズル開口13の目詰まりを防止することが可能となる。
【0087】
上述の各実施の形態とその変形例において、近接開口部として構成される開口部(開口
部32、開口部50A、開口部60A、開口部70A)は、ノズル形成面12に密着させ
なくてもよい。近接開口部(開口部32、開口部50A、開口部60A、開口部70A)
とノズル形成面12との間隔を、近接開口部以外の開口部とノズル形成面12との間隔D
に対して、概ね1/2以下とすることで、近接開口部以外の開口部の側に上昇気流が発生
し易くなる。そのため、湿潤用ノズル列や湿潤用ノズル開口から連通部35内に噴射され
たインク滴を近接開口部以外の開口部から外部に効率よく噴射させることができる。なお
、近接開口部(開口部32、開口部50A、開口部60A、開口部70A)以外の開口部
とノズル形成面12の間隔Dを狭くすることで、開口部に対向するノズル列組28により
近い位置にインク滴を付着させ易くなる。
【0088】
また、フラッシング時の気流による流出のし易さ等を勘案すると、インク滴は、小さい
方が好ましく、加えて印刷ヘッド23においては、気流が生じるほどの振動数(周波数)
にて、インク滴が噴射されることが好ましい。
【0089】
また、上述の実施の形態では、主走査方向に操作する、印刷ヘッド5を用いる場合につ
いて説明している。しかしながら、本発明は、主走査方向に走査しない、長尺状のライン
ヘッドに適用しても良い。なお、ラインヘッドに本発明を適用する場合には、当該長尺状
のヘッドに対応させて、フラッシングボックスも長尺状となる。
【0090】
また、上述の各実施の形態における液体噴射装置としてのプリンター1は、プリンター
単独の機能を有する構成のみならず、スキャナ装置やコピー装置のような、複合的な機器
の一部であっても良い。さらに、上述の実施の形態においては、インクジェット方式のプ
リンター1に関して説明している。しかしながら、プリンター1としては、液体を噴射可
能なものであれば、インクジェット方式のプリンターには限られない。例えば、ジェルジ
ェット方式のプリンター、トナー方式のプリンター、ドットインパクト方式のプリンター
等、種々のプリンターに対して、本発明を適用することが可能である。
【0091】
また、上述の実施の形態では、液体噴射装置を、インクジェット式のプリンター1に具
体化しているが、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散
又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射
したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(
エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられ
る電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する
液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精
密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【0092】
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、
光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬
化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするため
に酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)な
どの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一
種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 … プリンター(液体噴射装置) 5 … 印刷ヘッド(液体噴射ヘッド) 9
… キャリッジモーター(駆動手段) 12 … ノズル形成面 13 … ノズ
ル開口 13 … ノズル開口(湿潤用ノズル開口,被湿潤ノズル開口) 15 …
ワイピング機構(ワイピング手段) 16,161,162,163,164 …
フラッシングボックス(空間形成体) 27 … ノズル列 27 … ノズル列(
湿潤用ノズル列,被湿潤ノズル列) 32,33,50A,50B,50C,50D,
60A,60B,60C,70A,70B … 開口部 32,50A,60A,70
A … 開口部(近接開口部) 35 … 連通部 35A,35B,35C,35
D … 独立連通部 35E … 共通連通部 38 … 制御部(液体噴射制御手
段)
52… シャッター(開閉手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル形成面に複数のノズル開口から形成されるノズル列が複数列形成され、上記ノズ
ル開口から液体を噴射することができる液体噴射ヘッドと、
上記ノズル開口からの液体の噴射を制御する液体噴射制御手段と、
を有する液体噴射装置において、
上記複数のノズル列の中の少なくとも2列のノズル列に対して別々に対向することがで
きる複数の開口部を有する空間形成体を有し、
上記複数の開口部のうち、1つ以上かつ全数未満の開口部は、他の開口部に比べて上記
ノズル形成面に対して近接することができる近接開口部であり、
上記空間形成体は、上記近接開口部と上記他の開口部とが連通される連通部を有し、
上記空間形成体と上記液体噴射ヘッドとを、上記近接開口部と湿潤用ノズル列とが対向
すると共に、上記他の開口部と被湿潤ノズル列とが対向し、かつ、上記近接開口部を上記
他の開口部に比べて上記ノズル形成面に近接させて配置した状態で、上記液体噴射制御手
段が、上記湿潤用ノズル列のうち少なくとも1つのノズル列について液体の噴射を行い、
上記近接開口部に対向していないノズル列については液体の噴射を行わない片側噴射を行
う、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
ノズル形成面に複数のノズル開口から形成されるノズル列が形成され、上記ノズル開口
から液体を噴射することができる液体噴射ヘッドと、
上記ノズル開口からの液体の噴射を制御する液体噴射制御手段と、
を有する液体噴射装置において、
上記ノズル列の中の一部のノズル開口と上記一部のノズル開口以外の他のノズル開口に
対して別々に対向することができる複数の開口部を有する空間形成体を有し、
上記複数の開口部のうち、1つ以上かつ全数未満の開口部は、上記他の開口部に比べて
上記ノズル形成面に対して近接することができる近接開口部であり、
上記空間形成体は、上記近接開口部と上記他の開口部とが連通される連通部を有し、
上記空間形成体と上記液体噴射ヘッドとを、上記近接開口部と湿潤用ノズル開口とが対
向すると共に、上記他の開口部と被湿潤ノズル開口とが対向し、かつ、上記近接開口部を
上記他の開口部に比べて上記ノズル形成面に近接させて配置した状態で、上記液体噴射制
御手段が、上記湿潤用ノズル開口について液体の噴射を行い、上記近接開口部に対向して
いないノズル開口については液体の噴射を行わない片側噴射を行う、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記連通部は、前記各開口部にそれぞれ独立に接続する独立連通部と、上記各独立連通
部を接続する共通連通部とを有する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記他の開口部には、前記他の開口部を開閉することができる開閉手段が備えられてい
ることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記液体は、印刷対象物に対して印刷を行うためのインクであり、
前記湿潤用ノズル列から噴射されるインクは黒色インクであり、前記被湿潤ノズル列か
ら噴射されるインクは黒色以外の他の色のインクである
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドを主走査方向に移動させるための駆動手段を有し、かつ、前記ノズ
ル形成面を払拭するためのワイピング手段を備えると共に、
前記液体噴射制御手段は、前記片側噴射制御の後に、上記駆動手段を駆動させる制御を
行って、前記ノズル形成面を払拭することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−228291(P2010−228291A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78388(P2009−78388)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】